JP4489918B2 - 感光性樹脂組成物及びそれを用いた感光性材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はプリント配線板等の製造に用いられる高感度な感光性樹脂組成物及びこれを用いた感光性材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エッチングやめっき等のプリント配線板の製造工程においては、ドライフィルム・レジストなどの感光性材料が広く用いられている。プリント配線板の高密度化に伴って、感光性材料には高解像性が求められている。高解像性の感光性材料としては、下記化合物(2)として示す光開始剤化合物2−(クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾ−ル二量体(以下B−CIMと略す)
【0003】
【化3】
と、水素供与体を組み合わせた感光性組成物が報告されており(米国特許第3,479,185号)、 この系統の化合物(HABI:ヘキサアリルビスイミダゾ−ル)を用いて作成したレジストはドライフィルム・レジスト用の開始剤として一般的に使用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし近年においては、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン1(以下BDMBと略す)のような高感度なαアミノケトン系列の光開始剤化合物が普及しつつある。この系統の化合物に比較すると、HABIの系統の光開始剤化合物は感度が低い。
【0005】
本発明は、解像度性に優れたHABI系列の化合物で、従来のB−CIMより顕著に感度が高く、BDMBと同程度に高感度な化合物を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは高感度な開始剤を求めてHABI系列に属する化合物を多数合成し、感光性樹脂組成物および感光性材料を作製して相対感度を比較する探索実験をおこなった。その結果、下記化合物(1)
【0007】
【化4】
【0008】
が類似構造の化合物に比べて顕著に高い感度を持つことを見出して、本発明を完成した。
【0009】
すなわち本発明はカルボキシル基を有するバインダ−ポリマ−と、エチレン性不飽和基を有する光重合性化合物、さらに光開始剤として上記化合物(1)で表される光開始剤化合物を含有することを特徴とする感光性樹脂組成物であり、またこれらの感光性樹脂組成物を用いたことを特徴とする感光性材料である。
【0010】
本発明の光開始剤化合物は、従来の2−(クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾ−ル二量体よりははるかに優れた感度を示す。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明における (A) カルボキシル基を有するポリマ−としては、例えばメタクリル酸とスチレン、アルキル又は置換アルキルのアクリレ−ト、メタクリレ−ト等の共重合物が挙げられる。共重合物の平均分子量は10,000〜100,000が好ましい。
【0012】
本発明における (B) 重合可能なエチレン性不飽和基を有する化合物としては、ビニルモノマ−が挙げられる。1官能ビニルモノマ−としてモノアクリレ−トやモノメタクリレ−ト、2官能ビニルモノマ−としてジアクリレ−トやジメタクリレ−ト、多官能ビニルモノマ−としてα、β-不飽和カルボン酸を多価アルコ−ルやグリシジル基含有化合物と反応して得られる化合物が好ましい。
【0013】
本発明における (A)成分の配合量は重量部で、(B)成分の0.6〜4倍とすることが好ましい。
【0014】
本発明における光開始剤化合物の配合量は重量部で、(A)成分と(B)成分の総重量の0.005〜0.15倍とすることが好ましい。
【0015】
本発明の感光性樹脂組成物には、N,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノンのようなN,N’−テトラアルキル−4,4’−ジアミノベンゾフェノンや、N−フェニルグリシンのようなN−アリ−ル−α−アミノ酸を添加剤として、さらに、熱重合阻止剤や密着性付与剤、発色剤を必要に応じて添加しても良い。
【0016】
また本発明の感光性樹脂組成物は、銅などの金属性の基板にレジストパタ−ンを描き、エッチング、めっき等の加工によってプリント配線板を製造するための、感光性材料を作製するために用いられる。本発明の感光性材料は、感光性樹脂組成物の溶液を基板となる金属の表面上に液体レジストとして塗布、乾燥して感光層とすることができる。さらに公知の方法によってポリエチレンテレフタレ−トなどの重合性フィルム上に塗布、乾燥してドライフィルムを作製し、基板となる金属の表面上にラミネ−トすることによって感光層とすることができる。
【0017】
塗布しやすい溶液を作製するために感光性樹脂組成物は、アセトン、メチルセロソルブ、メチルエチルケトン、トルエン、メタノ−ル、プロピレングリコ−ルモノエチルエ−テル、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフランなどの溶剤、またはこれらの混合溶剤で希釈される。塗布は、ロ−ルコ−タ−、エアナイフコ−タ−、バ−コ−タ−、スピンコ−タ−などでおこなうことができる。乾燥は60〜130℃で行うことができる。乾燥後の感光層の厚さは5〜100μmであることが好ましい。
【0018】
感光層の露光には高圧水銀灯などの光源から発生する光が用いられる。感光層の現像には炭酸ナトリウム等のアルカリ性水溶液などが用いられる。エッチング、めっきは公知の方法でおこなわれる。感光層の剥離には強アルカリ性水溶液などが用いられる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下本発明について、実施例により具体的に説明する。
【0020】
【実施例】
(実施例1)
【0021】
本発明の光開始剤化合物、2−(2,3−ジクロルフェニル)−4,5−ビス(4−メトキシフェニル)イミダゾ−ル二量体は特公平5−60570明細書記載の方法にて合成し、融点226〜228℃の黄色の粉末として得られた。アセトニトリル中での紫外吸収スペクトルを図1に示した。
【0022】
【図1】
【0023】
紫外吸収スペクトルの最大吸収波長は238.5nmであった。この化合物は紫外線の照射により、淡緑色のラジカル発色を示した。
【0024】
(実施例2)メタクリル酸とメタクリル酸エチル、スチレンを共重合させて、分子量60,000のカルボキシル基を有する共重合物を作製した。この共重合物100gに、(B)成分と溶剤を表1に示したように配合して感光性樹脂組成物の溶液を得た。
【0025】
【表1】
【0026】
暗所にて上記の溶液に実施例1で合成した光開始剤化合物6.6g、ロイコクリスタルバイオレット0.79gをテトラヒドロフラン25gで溶解した溶液を添加した。
【0027】
この感光性樹脂組成物の溶液をガラス繊維エポキシ樹脂銅張積層板(住友ベ−クライト製)上にスピンコーターで塗工し、100℃のホットプレートで10分間乾燥させて膜厚25μmの感光層を作製した。この塗工基板をホットプレ−トで加温し、50μmのPETフィルム(東レ製)を密着させて、レジスト膜を模した感光性材料を作製した。
【0028】
この感光性材料の上にネガとしてスト−ファ−21段ステップタブレット(電子写真学会製)を載せ、その上に2.3mmの石英ガラス板(誠工特殊ガラス製)を置いて真空で引いてネガと感光性材料を密着させ、高圧水銀灯ランプを有する並行露光機(ウシオ電気製)で75mj/cm2露光した。次に、PETフィルムを剥がし、20℃の室内で1%炭酸ナトリウム水溶液に90秒浸漬して振とうすることにより、未露光部分を除去した。さらに、塗工基板上に形成された光硬化膜のステップタブレットの段数を測定することにより感度を評価した。
【0029】
(比較例1)実施例2の光開始剤(実施例1で合成した化合物)の代わりにB−CIMを使用した以外は実施例2と同様の操作を行なって、感度を評価した。
【0030】
(比較例2)実施例2の光開始剤(実施例1で合成した化合物)の代わりにBDMBを使用した以外は実施例2と同様の操作を行なって、感度を評価した。
【0031】
実施例2、比較例1および比較例2の感度評価結果を表2に示す。光感度はステップタブレットの段数で表し、段数が高いほど高感度であることを示す。
【0032】
【表2】
【0033】
表2の段数の差違によって、本発明の感光性材料が高感度であることが実証された。
【0034】
【発明の効果】
本発明の感光性樹脂組成物およびこれを用いた感光性材料は容易に調製でき、高感度である。本発明の感光性材料によって、プリント配線板等に良好なレジスト・パターンを作製できる。
【0035】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化合物(1)で表される化合物を測定した紫外吸収スペクトル図である。
【図1】
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JPH0675373A (ja) * | 1992-08-28 | 1994-03-18 | Toppan Printing Co Ltd | 感光性着色組成物およびカラーフィルターの製造方法およびカラーフィルター |
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