JP4489223B2 - 2波長の光線透過率による膜特性の制御されたAlOx膜の形成方法および装置 - Google Patents
2波長の光線透過率による膜特性の制御されたAlOx膜の形成方法および装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板上に、膜特性の制御されたAlOx膜を形成する方法および装置に関し、特に、基板上に、特定の2波長のそれぞれの光線透過率を利用して膜特性の制御されたAlOx膜を形成する方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、膜特性の制御されたAlOx膜を形成するには、例えば、電子ビーム加熱式の場合、AlOx膜の成膜条件を一定の電子ビーム出力と一定の反応ガス(酸素ガス)導入量になるように管理することによってのみ成膜を行って、得られた膜の特性を制御していた。この場合、成膜後に、得られたAlOx膜を大気中に取出し、水蒸気透湿度、酸素透過率、全光線透過率等の膜特性の測定を行って初めて、膜特性が制御されていたかどうかを確認し、膜特性の制御されたAlOx膜を提供していたに過ぎなかった。
【0003】
また、成膜中における簡易的なガスバリヤ特性の制御方法として、可視光域の単一波長(例えば、550nm)による光線透過率を一定に保って膜特性を制御する方法もある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記したような成膜条件を管理して成膜する従来方法では、プラスチックのような誘電体からなる基板上にAlOx膜を形成する場合、透明ガスバリヤ膜としてのAlOx膜の膜特性である水蒸気透湿度、酸素透過率、全光線透過率を同時に、且つ成膜時に真空成膜室内において制御することは不可能であった。
【0005】
また、上記したような可視光域の単一波長による光線透過率を利用して膜特性を制御する従来方法では、透明度の高い酸化膜の場合、酸化膜の干渉作用のために、成膜された基板と非成膜基板との間の光線透過率の差異を認織することができず、有効な膜特性の制御は困難であった。
【0006】
本発明は、真空成膜室内で、誘電体からなる基板上へAlOx膜を形成しながら、ガスバリヤ膜としてのAlOx膜の膜特性(水蒸気透湿度、酸素透過率、全光線透過率)を同時に、成膜時に制御可能とし、膜特性の制御されたAlOx膜を形成する方法および装置を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、同一装置内で、AlOx膜を成膜しながら、膜の水蒸気透湿度、酸素透過率、光線透過率を同時に、成膜時に制御するための技術について、鋭意研究を続けた結果、特定の2波長における光線透過率を制御することによって上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明の膜特性の制御されたAlOx膜の形成方法は、真空成膜室内で、Alおよび反応ガスとしての酸素ガスまたは酸素含有ガスを用いて、誘電体からなる透明基板上に透明ガスバリヤ膜としての真空蒸着法によるAlOx膜を形成する方法において、該真空成膜室内で、該基板上に形成されたAlOx膜の光線透過率を、250〜400nmの範囲から選ばれた1波長と、可視光域の1波長との特定の2波長にてそれぞれ測定し、両方の測定値をモニタしながら、測定された光線透過率が所定の光線透過率になるように該反応ガスの導入量を調整し、その後、該所定の光線透過率を保つようにしてAlOx膜の形成を行い、水蒸気透湿度、酸素透過率、全光線透過率の制御されたAlOx膜を形成することからなる。これにより、水蒸気透湿度、酸素透過率、全光線透過率が同時に、成膜時に制御されたAlOx膜が得られる。
【0009】
上記したように反応ガスの導入量を調整して、250〜400nmの範囲から選ばれた1波長で測定された光線透過率を所定の光線透過率(A)に設定した後、この段階で反応ガスの導入量を固定し、該所定の光線透過率(A)を保つようにしてAlOx膜の形成を行い、成膜中の測定透過率が該所定の光線透過率(A)の設定透過率より低くなった場合には、該所定の光線透過率(A)をモニタしてAl蒸発量を調整することにより、該所定の光線透過率(A)を保つようにしてAlOx膜の形成を続け、また、成膜中の測定透過率が可視光域の1波長に基づいて設定された所定の光線透過率(B)の設定透過率より高くなった場合には、該所定の光線透過率(B)をモニタしてAl蒸発量を調整することにより、該所定の光線透過率(B)を保つようにしてAlOx膜の形成を続け、水蒸気透湿度、酸素透過率、全光線透過率の制御されたAlOx膜を形成することができる。これにより、水蒸気透湿度、酸素透過率、全光線透過率が同時に、成膜時に制御されたAlOx膜が効率的に得られる。
【0010】
Alの蒸発量および反応ガス(酸素ガスまたは酸素含有ガス)の導入量を上記したように制御することが好ましいが、成膜中に所定の光線透過率を制御できるならば、その制御方法には特に制限はない。
【0011】
上記紫外線域と可視光域との境界領域の波長およびその領域の近傍の波長から選ばれた1波長として、250〜400nmの範囲内の波長を用いることが好ましい。250nm未満の波長では、ほとんどの誘電体製透明基板の光線透過率の測定ができないからであり、400nmを超える波長では、非成膜基板と成膜された基板との間の光線透過率の差異が識別困難であり、光線透過率の微調整が難しいからである。また、可視光域の1波長として500〜600nmの範囲内の波長を用いることが好ましい。500nm未満の波長では、色調の変化の識別が難しく、また、600nmを超える波長では、振動が大きくなり、測定の正確性に欠けるからである。このような2波長を用い、この2波長にてそれぞれ測定した各光線透過率を制御することにより成膜を行う。すなわち、所定の光線透過率の下限域では、紫外線域と可視光域との境界領域の波長およびその領域の近傍の波長から選ばれた1波長に基づいて設定された光線透過率をモニタし、また、所定の光線透過率の上限域では、可視光域の1波長に基づいて設定された光線透過率をモニタして、成膜を行えば、良好なガスバリア特性を有するAlOx膜が得られる。低い方の波長では、高い方の波長に比べて光線透過率の変化に対する応答性が敏感であり、光線透過率の微調整が可能であるが、設定された光線透過率が高いと識別が困難になる傾向にある。従って、成膜中の測定光線透過率が設定された光線透過率の上限を超える場合には、低い方の波長だけで制御すると、酸素の供給過剰になり、膜質の低下を生じるという問題がある。そこで、高い方の波長で測定された光線透過率に変化があらわれるまでを酸素導入量の限界として制御する。
【0012】
上記所定の光線透過率としては、77〜80%に設定することが好ましい。77%未満に設定すると、得られる膜の全光線透過率が低くなり、80%を超えると非成膜基板と成膜された基板との間の光線透過率の差異の識別が困難になり、光線透過率の微調整が難しいからである。
【0013】
上記基板はプラスチックまたはガラスであってもよく、また、上記AlOx膜は金属またはセラミックスである。AlOx膜の成膜に際し、基板を固定または移動しながら成膜することができる。
【0014】
本発明の膜特性の制御された膜を形成するための真空成膜装置は、真空成膜室と該成膜室内に設置される基板送出・巻取装置とを有し、該送出・巻取装置は、基板の送出ロール、冷却ドラム、巻取ロールからなり、該基板が該送出ロールから繰り出されて該冷却ドラムへと送られ、次いで該冷却ドラムの回転に伴われて連続移動して該巻取ロールに巻き取られるように構成されており、該冷却ドラムの下方には、蒸発物質を収容する容器が設置されて、該蒸発物質が加熱蒸発され、該基板上に被膜として形成されるようになっており、該真空成膜室には、反応ガス導入口が設けられて、この導入口から反応ガスを導入して該基板上で目的膜の形成が行われるように構成されており、そして該冷却ドラムと該巻取ロールとの間には、目的膜の形成された基板の光線透過率を、250〜400nmの範囲から選ばれた1波長と可視光域の1波長との特定の2波長でそれぞれ測定し、モニタして所定の光線透過率を保つように構成されている制御装置が設けられている。この装置を用いることにより、水蒸気透湿度、酸素透過率、全光線透過率のような膜特性が同時に、成膜時に制御されたAlOx膜を容易に形成することができる。
【0015】
該基板は、送出ロールから冷却ドラムへとガイドロールを介して繰り出され、冷却ドラムから巻取ロールへは別のガイドロールを介して巻き取られる。また、蒸発物質の加熱手段は特に制限されないが、電子銃からの電子ビーム照射により行われることが好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
本発明において、成膜中、紫外線域と可視光域との境界領域の波長およびその領域の近傍の波長から選ばれた1波長と、可視光域の1波長との特定の2波長によりAlOx膜の光線透過率を測定し、モニタするための制御装置の構成を図1に示し、この制御装置を備えた本発明の真空成膜装置を図2に示す。
【0018】
図1に示す制御装置は、AlOx膜の成膜された基板1が投光側センサ2と受光側センサ3との間を通過するように搬送されて、該センサ間を通過するときに光線透過率を測定できるように構成され、その光線透過率をモニタできるようになっている。ランプハウス4によって発生された所定の波長の光線、すなわち紫外線域と可視光域との境界領域の波長およびその領域の近傍の波長から選ばれた1波長ならびに可視光域の1波長の各光線が、光ファイバケーブル5、光ファイバ導入フランジ6を通過した後、投光側センサ2から測定対象物であるAlOx膜が成膜された基板1に対して発せられ、該膜を透過した光線は受光側センサ3によって受光される。その後、この受光された光線に基づいて、透過率モニタ本体7によりそれぞれの光線透過率が測定される。
【0019】
図1に示すような制御装置の構成は、従来の金属膜の光線透過率測定装置とほとんど同じである。可視光域の単一波長のみを使用した従来装置の場合、上記したように、成膜された基板と非成膜基板との間の光線透過率の差異が認識できず、不都合を生じることになるが、本発明の場合には、測定に用いる光線の波長として、特定の2波長、好ましくは250nm〜400nmの範囲内の1波長と500〜600nmの範囲内の1波長とを併用しているので、単一波長を利用した場合と比べて光線透過率の測定精度を向上させることができる。
【0020】
図1では、投光側のセンサ2、受光側のセンサ3を、AlOx膜の形成された基板の幅方向に複数個並べて示してあるが、特定の2波長のそれぞれについて、成膜された基板の光線透過率が適切に測定でき、モニタできるようになっていれば、その配置は特に制限されない。例えば、それぞれの波長について単一のセンサが基板の幅方向に走行するように構成されているものでもよく、また、基板の幅方向に並べた複数個のセンサを複数列設ける(例えば、低い波長および高い波長に対するセンサをそれぞれ一列とし、これを複数列設ける)ように構成されているものでもよい。
【0021】
本発明の形成方法によりAlOx膜を形成するために用いる透明基板としては、誘電体からなる基板、例えばポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン等からなるプラスチックフィルムであっても、シートであってもよい。また、ロール状の長尺基板であっても、カットシート基板であってもよい。AlOx膜の形成方法としては、蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD法のようなCVD法、イオンプレーティング法等を用いることができる。
【0022】
図2に示す本発明の真空成膜装置は、巻取式真空蒸着装置であり、真空成膜室11内に基板送出・巻取装置12が設けられ、この基板送出・巻取装置12は送出ロール13、冷却ドラム14、巻取ロール15からなり、基板16が送出ロール13から繰り出され、ガイドロール17、18を介して冷却ドラム14へと送られ、次いで該基板は冷却ドラム14の回転に伴われて連続移動し、別のガイドロール19、20を介して巻取ロール15に巻き取られるように構成されている。冷却ドラム14の下方には、蒸発物質21を収容する電子ビーム蒸発用容器22が設置され、電子銃23からの電子ビーム24の照射により該蒸発物質が加熱蒸発され、該基板上に被膜として形成されるようになっている。また、真空成膜室11には反応ガス導入口25が設けられ、この反応ガス導入口から導入される酸素ガス、酸素含有ガスのような反応ガスを、基板の成膜部近傍に配置されたガス導入ノズルから基板上に導くようにして成膜が行われる。図1では、紫外線域と可視光域との境界領域の波長およびその領域の近傍の波長から選ばれた1波長を用いる制御装置26および可視光域の1波長を用いる制御装置27が、それぞれ、ガイドロール19と巻取ロール15との間に設置され、成膜された基板の各光線透過率を測定できるようにしてある。
【0023】
以下の実施例では、光線透過率の測定に用いる光線の波長として、350nmと550nmとの2波長を用いたが、上記したように、250〜400nmの範囲内の1波長と500〜600nmの範囲内の1波長とからなる2波長であれば、どの波長を用いてもよい。
【0024】
【実施例】
(実施例1)
本実施例では、以下述べるように、図2に示す巻取式真空蒸着装置を用いてAlOx膜の形成を行い、同一装置内で、得られた膜の光線透過率を350nmの波長と550nmの波長との2波長を用いてそれぞれ測定し、モニタしながら所定の光線透過率を保つように酸素ガス(または酸素含有ガス)の導入量、Al蒸発量を制御して成膜を続け、所望のAlOx膜を得た。また、得られた膜の光線透過率を上記2波長の代わりに550nmの単一波長のみを用いて測定し、上記と同様にして成膜を続け、別のAlOx膜を得、この膜と上記本発明の膜との比較を行った。
【0025】
先ず、送出ロール13に巻かれた厚さ12μmのPETフィルムの長尺基板16に通常の巻取張力を与えて、2×l0-5Torrの成膜室内11内を、ガイドロール17および18を介して金属製の冷却ドラム14へ、200m/minの速度で移動させ、出力120Kwの電子銃23からの電子ビーム24の照射により、容器22内の蒸発物質(Al)21を加熱蒸発させ、基板16上に所定の膜厚(50〜130オングストローム)のAlを蒸着せしめた。次いで、基板16が冷却ドラム14を通過する際、反応ガス導入口25から酸素ガスを導入して、この酸素ガスを成膜部近傍に設置されたガス導入ノズルから基板上に導き、AlOx膜を作製した。成膜されたAlOx膜について、巻取ロール15に巻き取られる前に、350nmの波長を用いる制御装置26および550nmの波長を用いる制御装置27によって、それぞれの波長における光線透過率を測定し、モニタした。モニタしながら、350nmの波長で測定した光線透過率が所定の光線透過率(77〜80%)になるように酸素ガス導入量を調整し、該所定の光線透過率を保つように設定した。所定の光線透過率に設定した段階で、酸素ガス導入量を固定して、さらに成膜を続けた。なお、光線透過率をモニタしながら成膜し、成膜中に光線透過率が変化して設定された所定の光線透過率の範囲を外れて下がった場合には、電子ビームの出力を変えてAlの蒸発量を調整し、所定の光線透過率が保たれるようにした。また、設定された所定の光線透過率の範囲を外れて上昇した場合、550nmの波長で測定した波長の光線透過率に基づいて設定された所定の光線透過率の上限値を超えたときに、電子ビームの出力を変えてAlの蒸発量を調整し、この所定の光線透過率が保たれるようにした。このようにして、所望の膜厚および光線透過率の管理ができた。
【0026】
使用した長尺基板の全光線透過率は88.3%、ガスバリヤ特性は水蒸気透湿度42g/m2・day、酸素透過率137g/m2・day・atmであった。550nm波長を用いる制御装置27によって制御して得たAlOx膜は、水蒸気透湿度0.8g/m2・day、酸素透過率1.04g/m2・day・atmと良好なガスバリヤ性を有するものであったが、全光線透過率は83%と低く、完全なAl2O3膜に見られるような膜の透明性は得られず、ガスバリア膜としては不満足であった。これに対し、350nmの波長を用いる制御装置26と550nmの波長を用いる制御装置27とによって制御したAlOx膜は、水蒸気透湿度0.9g/m2・day、酸素透過率1.0g/m2・day・atmと良好なガスバリヤ性を有し、且つ、その全光線透過率は88%と高く、良好なガスバリア膜であった。
【0027】
本発明の方法によりPETフィルム上に形成した透明AlOxガスバリヤ膜の300nmから780nmまでの波長における光線透過率を調べた結果を図3に示す。図3中の符号aは使用した長尺基板自体の光線透過率を示し、符号bはAlOx膜を形成した長尺基板の光線透過率を示す。符号bで示す光線透過率を見ると、可視光域内の広い波長範囲にわたって(400nmを超える波長)AlOx膜による干渉が起こっていることがわかる。また、符号bおよびaで示す光線透過率から、325〜400nmの波長領域では、400nmを超える波長領域と比較して、成膜された基板と非成膜基板との光線透過率の差異があらわれやすいことがわかる。
【0028】
なお、本発明で基板として用いる、例えば、PETフィルムの光線透過率は、ほとんどのものが図3に示したaと同様の曲線傾向を示すが、PETの製造メーカによって、またフィルムの種類によっても測定可能な波長や光線透過率に多少のバラツキはある。しかしながら、250nm程度以上の波長であれば光線透過率の測定が可能でありかつ成膜された基板と非成膜基板との光線透過率の差異があらわれやすい。従って、膜特性の制御されたAlOx膜を形成するには、低い方の波長の下限値は、250nmであることが好ましいといえよう。
【0029】
また、このように2波長を用いた場合、図3の符号cで示すように、350nmの測定結果と550nmの測定結果との間を直線で結び、その傾きを求めたところ、この傾きを制御することにより、光線透過率のみならず、膜の色調も制御できることがわかった。実験の結果、直線の傾きが大きいほど、青色が強くなる傾向にあった。なお、色調については、傾きが異なることは可視域での吸収波長が異なることに対応しており、同一傾きにすることにより再現性の良い色調が可能となる。
【0030】
【発明の効果】
本発明の形成方法によれば、透明ガスバリヤ膜としてのAlOx膜の形成にあたり、紫外線域と可視光域との境界領域の波長およびその領域の近傍の波長から選ばれた1波長と、可視光域の1波長との2波長のそれぞれの波長における膜の光線透過率を制御することにより、全光線透過率、水蒸気透湿度、酸素透過率という膜特性を容易に制御し、ガスバリア膜としての満足すべき特性を得ることができると共に、膜の色調についても容易に制御可能である。また、本発明の真空成膜装置を用いれば、良好な膜特性を有するAlOx膜を有効に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法の実施に使用する制御装置の一例を、模式的に示す構成図。
【図2】本発明の方法の実施に使用することのできる真空成膜装置の構成の一例を模式的に示す裁断側面図。
【図3】AlOx膜の形成されたPETフィルム基板および非成膜PETフィルム基板の光線透過率の一例を示すグラフ。
【符号の説明】
1 基板 2 投光側センサ
3 受光側センサ 4 ランプハウス
5 光ファイバケーブル 6 光ファイバ導入フランジ
7 透過率モニタ本体 11 真空成膜室
12 基板送出・巻取装置 13 送出ロール
14 冷却ドラム 15 巻取ロール
16 基板 17、18、19、20 ガイドロール
21 蒸発物質 22 電子ビーム蒸発用容器
23 電子銃 24 電子ビーム
25 反応ガス導入口 26、27 制御装置
Claims (5)
- 真空成膜室内で、Alおよび反応ガスとしての酸素ガスまたは酸素含有ガスを用いて、誘電体からなる透明基板上に透明ガスバリヤ膜として、真空蒸着法によるAlOx膜を形成する方法において、該真空成膜室内で、該基板上に形成されたAlOx膜の光線透過率を、250〜400nmの範囲から選ばれた1波長と、可視光域の1波長との特定の2波長にてそれぞれ測定し、両方の測定値をモニタしながら、測定された光線透過率が所定の光線透過率になるように該反応ガスの導入量を調整し、その後、該所定の光線透過率を保つようにしてAlOx膜の形成を行い、水蒸気透湿度、酸素透過率、全光線透過率の制御されたAlOx膜を形成することを特徴とする膜特性の制御されたAlOx膜の形成方法。
- 前記反応ガスの導入量を調整して、前記250〜400nmの範囲から選ばれた1波長で測定された光線透過率を所定の光線透過率(A)に設定した後、この段階で反応ガスの導入量を固定し、該所定の光線透過率(A)を保つようにしてAlOx膜の形成を行い、成膜中の測定透過率が該所定の光線透過率(A)の設定透過率より低くなった場合には、該所定の光線透過率(A)をモニタしてAl蒸発量を調整することにより、該所定の光線透過率(A)を保つようにしてAlOx膜の形成を続け、また、成膜中の測定透過率が可視光域の1波長に基づいて設定された所定の光線透過率(B)の設定透過率より高くなった場合には、該所定の光線透過率(B)をモニタしてAl蒸発量を調整することにより、該所定の光線透過率(B)を保つようにしてAlOx膜の形成を続け、水蒸気透湿度、酸素透過率、全光線透過率の制御されたAlOx膜を形成することを特徴とする請求項1記載の形成方法。
- 上記可視光域の1波長が500〜600nmの範囲内にあることを特徴とする請求項1または2記載の形成方法。
- 上記基板を固定または移動しながら成膜することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
- 真空成膜室と該成膜室内に設置される基板送出・巻取装置とを有し、該送出・巻取装置は、基板の送出ロール、冷却ドラム、巻取ロールからなり、該基板が該送出ロールから繰り出されて該冷却ドラムへと送られ、次いで該冷却ドラムの回転に伴われて連続移動して該巻取ロールに巻き取られるように構成されており、該冷却ドラムの下方には、蒸発物質を収容する容器が設置されて、該蒸発物質が加熱蒸発され、該基板上に被膜として形成されるようになっており、該真空成膜室には、反応ガス導入口が設けられて、この導入口から反応ガスを導入して該基板上で目的膜の形成が行われるように構成されており、そして該冷却ドラムと該巻取ロールとの間には、目的膜の形成された基板の光線透過率を、250〜400nmの範囲から選ばれた1波長と可視光域の1波長との特定の2波長でそれぞれ測定し、モニタして所定の光線透過率を保つように構成されている制御装置が設けられていることを特徴とする膜特性の制御されたAlOx膜を形成するための真空成膜装置。
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