JP2001192810A - 2波長の光線透過率による膜特性の制御されたAlOx膜の形成方法および装置 - Google Patents

2波長の光線透過率による膜特性の制御されたAlOx膜の形成方法および装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 真空成膜室内で、AlOx膜の膜特性
(水蒸気透湿度、酸素透過率、全光線透過率)を同時
に、成膜時に制御可能とし、膜特性の制御されたAlO
x膜を形成する方法および装置の提供。 【解決手段】 真空成膜室内で、誘電体からなる透明基
板上に形成されたAlOx膜の光線透過率を、250〜
400nmから選ばれた1波長と500〜600nmの
波長から選ばれた1波長との2波長にてそれぞれ測定
し、モニタしながら、77〜80%の光線透過率になる
ように反応ガスの導入量を調整し、この段階で酸素導入
量を固定し、該光線透過率を保つようにしてAlOx膜
の形成を行い、成膜中に該光線透過率が変化した場合に
は、上記特定の2波長でのモニタにより随時Al蒸発量
を調整し、該光線透過率を保つようにしてAlOx膜の
形成を続ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基板上に、膜特性
の制御されたAlOx膜を形成する方法および装置に関
し、特に、基板上に、特定の2波長のそれぞれの光線透
過率を利用して膜特性の制御されたAlOx膜を形成す
る方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、膜特性の制御されたAlOx膜を
形成するには、例えば、電子ビーム加熱式の場合、Al
Ox膜の成膜条件を一定の電子ビーム出力と一定の反応
ガス(酸素ガス)導入量になるように管理することによ
ってのみ成膜を行って、得られた膜の特性を制御してい
た。この場合、成膜後に、得られたAlOx膜を大気中
に取出し、水蒸気透湿度、酸素透過率、全光線透過率等
の膜特性の測定を行って初めて、膜特性が制御されてい
たかどうかを確認し、膜特性の制御されたAlOx膜を
提供していたに過ぎなかった。
【0003】また、成膜中における簡易的なガスバリヤ
特性の制御方法として、可視光域の単一波長(例えば、
550nm)による光線透過率を一定に保って膜特性を
制御する方法もある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記したような成膜条
件を管理して成膜する従来方法では、プラスチックのよ
うな誘電体からなる基板上にAlOx膜を形成する場
合、透明ガスバリヤ膜としてのAlOx膜の膜特性であ
る水蒸気透湿度、酸素透過率、全光線透過率を同時に、
且つ成膜時に真空成膜室内において制御することは不可
能であった。
【0005】また、上記したような可視光域の単一波長
による光線透過率を利用して膜特性を制御する従来方法
では、透明度の高い酸化膜の場合、酸化膜の干渉作用の
ために、成膜された基板と非成膜基板との間の光線透過
率の差異を認織することができず、有効な膜特性の制御
は困難であった。
【0006】本発明は、真空成膜室内で、誘電体からな
る基板上へAlOx膜を形成しながら、ガスバリヤ膜と
してのAlOx膜の膜特性(水蒸気透湿度、酸素透過
率、全光線透過率)を同時に、成膜時に制御可能とし、
膜特性の制御されたAlOx膜を形成する方法および装
置を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、同一装置
内で、AlOx膜を成膜しながら、膜の水蒸気透湿度、
酸素透過率、光線透過率を同時に、成膜時に制御するた
めの技術について、鋭意研究を続けた結果、特定の2波
長における光線透過率を制御することによって上記課題
を解決することができることを見出し、本発明を完成す
るに至った。
【0008】本発明の膜特性の制御されたAlOx膜の
形成方法は、真空成膜室内で、Alおよび反応ガスとし
ての酸素ガスまたは酸素含有ガスを用いて、誘電体から
なる透明基板上に透明ガスバリヤ膜としてのAlOx膜
を形成する方法において、該真空成膜室内で、該基板上
に形成されたAlOx膜の光線透過率を、紫外線域と可
視光域との境界領域の波長およびその領域の近傍の波長
から選ばれた1波長と、可視光域の1波長との特定の2
波長にてそれぞれ測定し、両方の測定値をモニタしなが
ら、測定された光線透過率が所定の光線透過率になるよ
うに該反応ガスの導入量を調整し、その後、該所定の光
線透過率を保つようにしてAlOx膜の形成を行い、水
蒸気透湿度、酸素透過率、全光線透過率の制御されたA
lOx膜を形成することからなる。これにより、水蒸気
透湿度、酸素透過率、全光線透過率が同時に、成膜時に
制御されたAlOx膜が得られる。
【0009】上記したように反応ガスの導入量を調整し
て、紫外線域と可視光域との境界領域の波長およびその
領域の近傍の波長から選ばれた1波長で測定された光線
透過率を所定の光線透過率(A)に設定した後、この段階
で反応ガスの導入量を固定し、該所定の光線透過率(A)
を保つようにしてAlOx膜の形成を行い、成膜中の測
定透過率が該所定の光線透過率(A)の設定透過率より低
くなった場合には、該所定の光線透過率(A)をモニタし
てAl蒸発量を調整することにより、該所定の光線透過
率(A)を保つようにしてAlOx膜の形成を続け、ま
た、成膜中の測定透過率が可視光域の1波長に基づいて
設定された所定の光線透過率(B)の設定透過率より高く
なった場合には、該所定の光線透過率(B)をモニタして
Al蒸発量を調整することにより、該所定の光線透過率
(B)を保つようにしてAlOx膜の形成を続け、水蒸気
透湿度、酸素透過率、全光線透過率の制御されたAlO
x膜を形成することができる。これにより、水蒸気透湿
度、酸素透過率、全光線透過率が同時に、成膜時に制御
されたAlOx膜が効率的に得られる。
【0010】Alの蒸発量および反応ガス(酸素ガスま
たは酸素含有ガス)の導入量を上記したように制御する
ことが好ましいが、成膜中に所定の光線透過率を制御で
きるならば、その制御方法には特に制限はない。
【0011】上記紫外線域と可視光域との境界領域の波
長およびその領域の近傍の波長から選ばれた1波長とし
て、250〜400nmの範囲内の波長を用いることが
好ましい。250nm未満の波長では、ほとんどの誘電
体製透明基板の光線透過率の測定ができないからであ
り、400nmを超える波長では、非成膜基板と成膜さ
れた基板との間の光線透過率の差異が識別困難であり、
光線透過率の微調整が難しいからである。また、可視光
域の1波長として500〜600nmの範囲内の波長を
用いることが好ましい。500nm未満の波長では、色
調の変化の識別が難しく、また、600nmを超える波
長では、振動が大きくなり、測定の正確性に欠けるから
である。このような2波長を用い、この2波長にてそれ
ぞれ測定した各光線透過率を制御することにより成膜を
行う。すなわち、所定の光線透過率の下限域では、紫外
線域と可視光域との境界領域の波長およびその領域の近
傍の波長から選ばれた1波長に基づいて設定された光線
透過率をモニタし、また、所定の光線透過率の上限域で
は、可視光域の1波長に基づいて設定された光線透過率
をモニタして、成膜を行えば、良好なガスバリア特性を
有するAlOx膜が得られる。低い方の波長では、高い
方の波長に比べて光線透過率の変化に対する応答性が敏
感であり、光線透過率の微調整が可能であるが、設定さ
れた光線透過率が高いと識別が困難になる傾向にある。
従って、成膜中の測定光線透過率が設定された光線透過
率の上限を超える場合には、低い方の波長だけで制御す
ると、酸素の供給過剰になり、膜質の低下を生じるとい
う問題がある。そこで、高い方の波長で測定された光線
透過率に変化があらわれるまでを酸素導入量の限界とし
て制御する。
【0012】上記所定の光線透過率としては、77〜8
0%に設定することが好ましい。77%未満に設定する
と、得られる膜の全光線透過率が低くなり、80%を超
えると非成膜基板と成膜された基板との間の光線透過率
の差異の識別が困難になり、光線透過率の微調整が難し
いからである。
【0013】上記基板はプラスチックまたはガラスであ
ってもよく、また、上記AlOx膜は金属またはセラミ
ックスである。AlOx膜の成膜に際し、基板を固定ま
たは移動しながら成膜することができる。
【0014】本発明の膜特性の制御された膜を形成する
ための真空成膜装置は、真空成膜室と該成膜室内に設置
される基板送出・巻取装置とを有し、該送出・巻取装置
は、基板の送出ロール、冷却ドラム、巻取ロールからな
り、該基板が該送出ロールから繰り出されて該冷却ドラ
ムへと送られ、次いで該冷却ドラムの回転に伴われて連
続移動して該巻取ロールに巻き取られるように構成され
ており、該冷却ドラムの下方には、蒸発物質を収容する
容器が設置されて、該蒸発物質が加熱蒸発され、該基板
上に被膜として形成されるようになっており、該真空成
膜室には、反応ガス導入口が設けられて、この導入口か
ら反応ガスを導入して該基板上で目的膜の形成が行われ
るように構成されており、そして該冷却ドラムと該巻取
ロールとの間には、目的膜の形成された基板の光線透過
率を、紫外線域と可視光域との境界領域の波長およびそ
の領域の近傍の波長から選ばれた1波長と可視光域の1
波長との特定の2波長でそれぞれ測定し、モニタして所
定の光線透過率を保つように構成されている制御装置が
設けられている。この装置を用いることにより、水蒸気
透湿度、酸素透過率、全光線透過率のような膜特性が同
時に、成膜時に制御された目的膜を容易に形成すること
ができる。
【0015】該基板は、送出ロールから冷却ドラムへと
ガイドロールを介して繰り出され、冷却ドラムから巻取
ロールへは別のガイドロールを介して巻き取られる。ま
た、蒸発物質の加熱手段は特に制限されないが、電子銃
からの電子ビーム照射により行われることが好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面に基づ
いて説明する。
【0017】本発明において、成膜中、紫外線域と可視
光域との境界領域の波長およびその領域の近傍の波長か
ら選ばれた1波長と、可視光域の1波長との特定の2波
長によりAlOx膜の光線透過率を測定し、モニタする
ための制御装置の構成を図1に示し、この制御装置を備
えた本発明の真空成膜装置を図2に示す。
【0018】図1に示す制御装置は、AlOx膜の成膜
された基板1が投光側センサ2と受光側センサ3との間
を通過するように搬送されて、該センサ間を通過すると
きに光線透過率を測定できるように構成され、その光線
透過率をモニタできるようになっている。ランプハウス
4によって発生された所定の波長の光線、すなわち紫外
線域と可視光域との境界領域の波長およびその領域の近
傍の波長から選ばれた1波長ならびに可視光域の1波長
の各光線が、光ファイバケーブル5、光ファイバ導入フ
ランジ6を通過した後、投光側センサ2から測定対象物
であるAlOx膜が成膜された基板1に対して発せら
れ、該膜を透過した光線は受光側センサ3によって受光
される。その後、この受光された光線に基づいて、透過
率モニタ本体7によりそれぞれの光線透過率が測定され
る。
【0019】図1に示すような制御装置の構成は、従来
の金属膜の光線透過率測定装置とほとんど同じである。
可視光域の単一波長のみを使用した従来装置の場合、上
記したように、成膜された基板と非成膜基板との間の光
線透過率の差異が認識できず、不都合を生じることにな
るが、本発明の場合には、測定に用いる光線の波長とし
て、特定の2波長、好ましくは250nm〜400nm
の範囲内の1波長と500〜600nmの範囲内の1波
長とを併用しているので、単一波長を利用した場合と比
べて光線透過率の測定精度を向上させることができる。
【0020】図1では、投光側のセンサ2、受光側のセ
ンサ3を、AlOx膜の形成された基板の幅方向に複数
個並べて示してあるが、特定の2波長のそれぞれについ
て、成膜された基板の光線透過率が適切に測定でき、モ
ニタできるようになっていれば、その配置は特に制限さ
れない。例えば、それぞれの波長について単一のセンサ
が基板の幅方向に走行するように構成されているもので
もよく、また、基板の幅方向に並べた複数個のセンサを
複数列設ける(例えば、低い波長および高い波長に対す
るセンサをそれぞれ一列とし、これを複数列設ける)よ
うに構成されているものでもよい。
【0021】本発明の形成方法によりAlOx膜を形成
するために用いる透明基板としては、誘電体からなる基
板、例えばポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン等
からなるプラスチックフィルムであっても、シートであ
ってもよい。また、ロール状の長尺基板であっても、カ
ットシート基板であってもよい。AlOx膜の形成方法
としては、蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD
法のようなCVD法、イオンプレーティング法等を用い
ることができる。
【0022】図2に示す本発明の真空成膜装置は、巻取
式真空蒸着装置であり、真空成膜室11内に基板送出・
巻取装置12が設けられ、この基板送出・巻取装置12
は送出ロール13、冷却ドラム14、巻取ロール15か
らなり、基板16が送出ロール13から繰り出され、ガ
イドロール17、18を介して冷却ドラム14へと送ら
れ、次いで該基板は冷却ドラム14の回転に伴われて連
続移動し、別のガイドロール19、20を介して巻取ロ
ール15に巻き取られるように構成されている。冷却ド
ラム14の下方には、蒸発物質21を収容する電子ビー
ム蒸発用容器22が設置され、電子銃23からの電子ビ
ーム24の照射により該蒸発物質が加熱蒸発され、該基
板上に被膜として形成されるようになっている。また、
真空成膜室11には反応ガス導入口25が設けられ、こ
の反応ガス導入口から導入される酸素ガス、酸素含有ガ
スのような反応ガスを、基板の成膜部近傍に配置された
ガス導入ノズルから基板上に導くようにして成膜が行わ
れる。図1では、紫外線域と可視光域との境界領域の波
長およびその領域の近傍の波長から選ばれた1波長を用
いる制御装置26および可視光域の1波長を用いる制御
装置27が、それぞれ、ガイドロール19と巻取ロール
15との間に設置され、成膜された基板の各光線透過率
を測定できるようにしてある。
【0023】以下の実施例では、光線透過率の測定に用
いる光線の波長として、350nmと550nmとの2
波長を用いたが、上記したように、250〜400nm
の範囲内の1波長と500〜600nmの範囲内の1波
長とからなる2波長であれば、どの波長を用いてもよ
い。
【0024】
【実施例】(実施例1)本実施例では、以下述べるよう
に、図2に示す巻取式真空蒸着装置を用いてAlOx膜
の形成を行い、同一装置内で、得られた膜の光線透過率
を350nmの波長と550nmの波長との2波長を用
いてそれぞれ測定し、モニタしながら所定の光線透過率
を保つように酸素ガス(または酸素含有ガス)の導入
量、Al蒸発量を制御して成膜を続け、所望のAlOx
膜を得た。また、得られた膜の光線透過率を上記2波長
の代わりに550nmの単一波長のみを用いて測定し、
上記と同様にして成膜を続け、別のAlOx膜を得、こ
の膜と上記本発明の膜との比較を行った。
【0025】先ず、送出ロール13に巻かれた厚さ12
μmのPETフィルムの長尺基板16に通常の巻取張力
を与えて、2×l0-5Torrの成膜室内11内を、ガ
イドロール17および18を介して金属製の冷却ドラム
14へ、200m/minの速度で移動させ、出力12
0Kwの電子銃23からの電子ビーム24の照射によ
り、容器22内の蒸発物質(Al)21を加熱蒸発さ
せ、基板16上に所定の膜厚(50〜130オングスト
ローム)のAlを蒸着せしめた。次いで、基板16が冷
却ドラム14を通過する際、反応ガス導入口25から酸
素ガスを導入して、この酸素ガスを成膜部近傍に設置さ
れたガス導入ノズルから基板上に導き、AlOx膜を作
製した。成膜されたAlOx膜について、巻取ロール1
5に巻き取られる前に、350nmの波長を用いる制御
装置26および550nmの波長を用いる制御装置27
によって、それぞれの波長における光線透過率を測定
し、モニタした。モニタしながら、350nmの波長で
測定した光線透過率が所定の光線透過率(77〜80
%)になるように酸素ガス導入量を調整し、該所定の光
線透過率を保つように設定した。所定の光線透過率に設
定した段階で、酸素ガス導入量を固定して、さらに成膜
を続けた。なお、光線透過率をモニタしながら成膜し、
成膜中に光線透過率が変化して設定された所定の光線透
過率の範囲を外れて下がった場合には、電子ビームの出
力を変えてAlの蒸発量を調整し、所定の光線透過率が
保たれるようにした。また、設定された所定の光線透過
率の範囲を外れて上昇した場合、550nmの波長で測
定した波長の光線透過率に基づいて設定された所定の光
線透過率の上限値を超えたときに、電子ビームの出力を
変えてAlの蒸発量を調整し、この所定の光線透過率が
保たれるようにした。このようにして、所望の膜厚およ
び光線透過率の管理ができた。
【0026】使用した長尺基板の全光線透過率は88.
3%、ガスバリヤ特性は水蒸気透湿度42g/m2・d
ay、酸素透過率137g/m2・day・atmであ
った。550nm波長を用いる制御装置27によって制
御して得たAlOx膜は、水蒸気透湿度0.8g/m2
・day、酸素透過率1.04g/m2・day・at
mと良好なガスバリヤ性を有するものであったが、全光
線透過率は83%と低く、完全なAl23膜に見られる
ような膜の透明性は得られず、ガスバリア膜としては不
満足であった。これに対し、350nmの波長を用いる
制御装置26と550nmの波長を用いる制御装置27
とによって制御したAlOx膜は、水蒸気透湿度0.9
g/m2・day、酸素透過率1.0g/m2・day・
atmと良好なガスバリヤ性を有し、且つ、その全光線
透過率は88%と高く、良好なガスバリア膜であった。
【0027】本発明の方法によりPETフィルム上に形
成した透明AlOxガスバリヤ膜の300nmから78
0nmまでの波長における光線透過率を調べた結果を図
3に示す。図3中の符号aは使用した長尺基板自体の光
線透過率を示し、符号bはAlOx膜を形成した長尺基
板の光線透過率を示す。符号bで示す光線透過率を見る
と、可視光域内の広い波長範囲にわたって(400nm
を超える波長)AlOx膜による干渉が起こっているこ
とがわかる。また、符号bおよびaで示す光線透過率か
ら、325〜400nmの波長領域では、400nmを
超える波長領域と比較して、成膜された基板と非成膜基
板との光線透過率の差異があらわれやすいことがわか
る。
【0028】なお、本発明で基板として用いる、例え
ば、PETフィルムの光線透過率は、ほとんどのものが
図3に示したaと同様の曲線傾向を示すが、PETの製
造メーカによって、またフィルムの種類によっても測定
可能な波長や光線透過率に多少のバラツキはある。しか
しながら、250nm程度以上の波長であれば光線透過
率の測定が可能でありかつ成膜された基板と非成膜基板
との光線透過率の差異があらわれやすい。従って、膜特
性の制御されたAlOx膜を形成するには、低い方の波
長の下限値は、250nmであることが好ましいといえ
よう。
【0029】また、このように2波長を用いた場合、図
3の符号cで示すように、350nmの測定結果と55
0nmの測定結果との間を直線で結び、その傾きを求め
たところ、この傾きを制御することにより、光線透過率
のみならず、膜の色調も制御できることがわかった。実
験の結果、直線の傾きが大きいほど、青色が強くなる傾
向にあった。なお、色調については、傾きが異なること
は可視域での吸収波長が異なることに対応しており、同
一傾きにすることにより再現性の良い色調が可能とな
る。
【0030】
【発明の効果】本発明の形成方法によれば、透明ガスバ
リヤ膜としてのAlOx膜の形成にあたり、紫外線域と
可視光域との境界領域の波長およびその領域の近傍の波
長から選ばれた1波長と、可視光域の1波長との2波長
のそれぞれの波長における膜の光線透過率を制御するこ
とにより、全光線透過率、水蒸気透湿度、酸素透過率と
いう膜特性を容易に制御し、ガスバリア膜としての満足
すべき特性を得ることができると共に、膜の色調につい
ても容易に制御可能である。また、本発明の真空成膜装
置を用いれば、良好な膜特性を有するAlOx膜を有効
に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法の実施に使用する制御装置の一例
を、模式的に示す構成図。
【図2】本発明の方法の実施に使用することのできる真
空成膜装置の構成の一例を模式的に示す裁断側面図。
【図3】AlOx膜の形成されたPETフィルム基板お
よび非成膜PETフィルム基板の光線透過率の一例を示
すグラフ。
【符号の説明】
1 基板 2 投光側セン
サ 3 受光側センサ 4 ランプハウ
ス 5 光ファイバケーブル 6 光ファイバ
導入フランジ 7 透過率モニタ本体 11 真空成膜室 12 基板送出・巻取装置 13 送出ロー
ル 14 冷却ドラム 15 巻取ロー
ル 16 基板 17、18、1
9、20 ガイドロール 21 蒸発物質 22 電子ビー
ム蒸発用容器 23 電子銃 24 電子ビー
ム 25 反応ガス導入口 26、27 制
御装置

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真空成膜室内で、Alおよび反応ガスと
    しての酸素ガスまたは酸素含有ガスを用いて、誘電体か
    らなる透明基板上に透明ガスバリヤ膜としてのAlOx
    膜を形成する方法において、該真空成膜室内で、該基板
    上に形成されたAlOx膜の光線透過率を、紫外線域と
    可視光域との境界領域の波長およびその領域の近傍の波
    長から選ばれた1波長と、可視光域の1波長との特定の
    2波長にてそれぞれ測定し、両方の測定値をモニタしな
    がら、測定された光線透過率が所定の光線透過率になる
    ように該反応ガスの導入量を調整し、その後、該所定の
    光線透過率を保つようにしてAlOx膜の形成を行い、
    水蒸気透湿度、酸素透過率、全光線透過率の制御された
    AlOx膜を形成することを特徴とする膜特性の制御さ
    れたAlOx膜の形成方法。
  2. 【請求項2】 前記反応ガスの導入量を調整して、前記
    紫外線域と可視光域との境界領域の波長およびその領域
    の近傍の波長から選ばれた1波長で測定された光線透過
    率を所定の光線透過率(A)に設定した後、この段階で反
    応ガスの導入量を固定し、該所定の光線透過率(A)を保
    つようにしてAlOx膜の形成を行い、成膜中の測定透
    過率が該所定の光線透過率(A)の設定透過率より低くな
    った場合には、該所定の光線透過率(A)をモニタしてA
    l蒸発量を調整することにより、該所定の光線透過率
    (A)を保つようにしてAlOx膜の形成を続け、また、
    成膜中の測定透過率が可視光域の1波長に基づいて設定
    された所定の光線透過率(B)の設定透過率より高くなっ
    た場合には、該所定の光線透過率(B)をモニタしてAl
    蒸発量を調整することにより、該所定の光線透過率(B)
    を保つようにしてAlOx膜の形成を続け、水蒸気透湿
    度、酸素透過率、全光線透過率の制御されたAlOx膜
    を形成することを特徴とする請求項1記載の形成方法。
  3. 【請求項3】 上記紫外線域と可視光域との境界領域の
    波長およびその領域の近傍の波長から選ばれた1波長が
    250〜400nmの範囲内にあり、また、可視光域の
    1波長が500〜600nmの範囲内にあることを特徴
    とする請求項1または2記載の形成方法。
  4. 【請求項4】 上記所定の光線透過率が77〜80%で
    あることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の
    形成方法。
  5. 【請求項5】 上記基板を固定または移動しながら成膜
    することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の
    方法。
  6. 【請求項6】 真空成膜室と該成膜室内に設置される基
    板送出・巻取装置とを有し、該送出・巻取装置は、基板
    の送出ロール、冷却ドラム、巻取ロールからなり、該基
    板が該送出ロールから繰り出されて該冷却ドラムへと送
    られ、次いで該冷却ドラムの回転に伴われて連続移動し
    て該巻取ロールに巻き取られるように構成されており、
    該冷却ドラムの下方には、蒸発物質を収容する容器が設
    置されて、該蒸発物質が加熱蒸発され、該基板上に被膜
    として形成されるようになっており、該真空成膜室に
    は、反応ガス導入口が設けられて、この導入口から反応
    ガスを導入して該基板上で目的膜の形成が行われるよう
    に構成されており、そして該冷却ドラムと該巻取ロール
    との間には、目的膜の形成された基板の光線透過率を、
    紫外線域と可視光域との境界領域の波長およびその領域
    の近傍の波長から選ばれた1波長と可視光域の1波長と
    の特定の2波長でそれぞれ測定し、モニタして所定の光
    線透過率を保つように構成されている制御装置が設けら
    れていることを特徴とする膜特性の制御された膜を形成
    するための真空成膜装置。
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