JP3633815B2 - 真空蒸着装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は各種フィルム状製品の製造に適する真空蒸着装置に関し、詳しくは、真空槽内を走行するフィルムに異なる元素からなる混合膜を形成するための真空蒸着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
真空槽中を走行する高分子フィルムに薄膜を蒸着・形成する方法として、例えば特開平2−236273号公報に記載されている方法がある。この方法は、移動する高分子フィルムと直行する方向に、高分子フィルムの幅方向を越えて対向・配置された横長の蒸発源に、無走査電子銃から電子線を照射して加熱し、高分子フィルム上に、薄膜を形成させる。そして、電子線から電子線を照射する際、電子線が蒸着源の各位置で同じ入射角度になるように磁界を制御して行うようになっている。
【0003】
しかしながら、この方法では蒸着した膜厚をモニタする手段が無いため、例えば、真空槽の真空度が変化したり、蒸着材料の表面形状が変化するなどにより蒸着速度が変化した場合に、蒸着膜の厚みが変化して一定しないという問題があった。又、この方法は、複数の材料を同時に蒸着させて、これらの蒸着材料による混合膜を高分子フィルム上に形成することはできない。
【0004】
かかる問題を解決するために発明された真空蒸着装置として、例えば、真空槽内の蒸着源を電子銃で加熱した際の蒸発量の一部を検出する検出器と、この検出器での検出値に基づいて前記蒸着源の出力を制御する手段とを備えた構造のものがある。この方式の検出器は水晶振動子を備えていて、水晶振動子に蒸着膜が付着すると、膜厚に依存して振動周波数が変動する原理を利用している。この真空蒸着装置は、蒸着源からの蒸発量の一部を制御指標として高分子フィルム上に製膜された薄膜の厚みを間接的に制御する。
【0005】
しかしながら、上述した検出器は種類の異なる複数の蒸着源を有する場合には、検出した信号を各々の成分情報に分解することができず、その結果、化学組成比および厚みの制御の精度が著しく低下するという問題があった。又、間接制御のために、例えば蒸着時の蒸発ビーム方向が変わった場合には、検出器の測定値と実測値が合わなくなることもあった。更に、上記検出器は検出器への総蒸着量の制限から、長時間の連続計測を行う場合に、計測途中で検出器を切り替える等の対策が必要となり、計測の信頼性にも間題があった。
【0006】
かかる問題を解消した装置として、例えば特開平1−208465号公報に記載のものがある。この装置は、蒸着後の基板上の蒸着膜に電子線を鋭角に入射して特性X線を励起させるための電子銃と、この特性X線強度を測定する検出器と、この検出器での検出値に基づいて各蒸着源の出力を制御する手段とを備える。この装置では、蒸着薄膜の直接計測が可能なため、上述した装置に比べて製膜性は向上する。
【0007】
しかしながら、上記特性X線はRHEED(高エネルギー電子線)を蒸着膜に鋭角に入射することにより励起されるため、蒸着薄膜のごく表層の情報しか得ることができない。つまり、蒸着薄膜全体の情報が得られるわけではないため、混合膜の組成比および総厚みが一定である蒸着膜を製膜する装置としては、十分な情報が得られず問題であった。又、特性X線の励起源が高エネルギー電子線であることから、照射された部分の蒸着膜表面を破損するという問題もあった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来の装置では2種類の成分からなる混合膜を走行フィルムの幅方向および走行方向に均一に分散・形成させることは困難であり、予めフィルム中の粒子厚み(当量)を測定できないため、高精度に混合膜のみの厚みを測定することはできず、更にはフィルム表面に蒸着薄膜が形成されて補正が必要な場合にのみ補正をすることはできず、しかも一定の組成比および厚みとなるように、長時間連続的に、且つ安定に形成することは困難である。
【0009】
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の有する問題点を解消し、走行中のフィルム表面に異なる元素からなり、所定の組成比および目標厚みを有する混合膜を、連続的、且つ均一に形成できる真空蒸着装置を提供することにある。尚、本発明において「フィルム」とは、幅および長さに対して厚みの薄い形状の材料を総称するものとし、本来のフィルムのみならずシート状材料を含む概念として用いる。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、請求項に記載の発明により達成される。すなわち、本発明に係る真空蒸着装置の特徴構成は、真空槽内を走行するフィルムに異なる元素からなる混合膜を形成する蒸着装置において、蒸着材料を加熱する加熱手段と、走行中のフィルムにX線を照射してフィルムに含まれる特定元素の厚み当量を測定するフィルム厚み測定手段と、開閉装置を開閉してフィルムヘの薄膜形成と非形成を制御する開閉制御手段と、混合膜形成後の蒸着フィルムにX線を照射して特定元素の厚みを計測する蒸着フィルム厚み測定手段と、前記フィルム厚み測定手段と前記蒸着フィルム厚み測定手段を同一の厚みモニタ装置として構成し、この厚みモニタ装置で得られたデータを基に混合膜層の特定元素厚みに換算して出力する厚み補正手段と、この厚み補正手段で得られた厚みデータを基に材料の蒸発量を制御可能な厚み制御手段と、を備えると共に、フィルム継ぎ目を検出する継ぎ目検出センサーを有していて、前記開閉制御手段は走行中のフィルム継ぎ目を検出した際、自動的に一定時間前記開閉装置を閉めるようになっていることにある。
【0011】
この構成によれば、蒸着材料から蒸発した蒸着成分により、走行フィルムに形成された混合膜から、直接、且つリアルタイムで各成分毎の特性X線強度を測定できるので、かかる測定値から各々の混合膜形成成分の厚みデータに換算・出力でき、この厚みデータに基づいて厚み制御手段により予め設定された各成分の目標値と比較し、これらの偏差値を求める等の処理が可能になり、かかる処理に基づいて加熱手段をフィードバック制御すること等により蒸着材料の蒸発量を制御できるので、所定の化学組成を有し、且つ目標とする厚みの混合膜を高精度にフィルム上に製膜できる。
【0012】
しかも、蒸着材料と同じ成分の粒子を含有するフィルムに混合膜を形成する場合であっても、予めフィルム中の粒子厚み(当量)を測定できるために、混合膜の厚み計測時に前記粒子厚みデータを基に補正を行うことにより、混合膜のみの厚みを高精度に計測することができる。
【0013】
さらに、蒸着された混合膜形成成分の厚みデータを検出するのにX線を照射するようにしているため、高エネルギー電子線の照射と異なり、混合膜を破損することがない。その結果、走行中のフィルム表面に異なる元素の混合膜の組成比および目標厚みを有する混合膜を連続的、且つ均一に形成できる真空蒸着装置を提供することができた。
のみならず、開閉手段は、走行中のフィルム継ぎ目を検出した際、一定時間前記開閉装置を閉めるようになっているので、この動作に連動して前記フィルム厚み測定手段が動作し、フィルム中の粒子厚み(当量)を測定する。これにより、粒子密度の異なるフィルムが継ぎ足されたシートを連続で蒸着する場合でも、フィルムの走行を止めずに連続で混合膜のベース厚み補正を行うことが可能になる。
また、前記フィルム厚み測定手段と前記蒸着フィルム厚み測定手段を同一の厚みモニタ装置として構成しているので、夫々の機能を備えた別々の装置を備える必要がなく、装置全体を安価に構成できる。
【0014】
前記開閉装置がシャッターであり、前記厚み補正手段は前記シャッターが開いている時のみ厚み補正を行うようになっていることが好ましい。このようになっていると、開閉を確実、容易にすることができると共に、フィルム表面に蒸着薄膜が形成されて補正が必要な場合にのみ補正をするようにできて、装置の作動を効率的にすることができる。
【0017】
フィルムの継ぎ目を検知するセンサ一は、光の透過量変化または反射量変化で動作する光学式センサーであることが好ましい。光学式センサーを用いると、フィルムに非接触でフィルムの継ぎ目を確実に検知でき、フィルム及びセンサーを損傷させるおそれを無くすことができて都合がよい。
【0018】
前記X線照射手段は、厚みを測定する混合膜に対して垂直に照射することが好ましい。X線を混合膜に対して垂直に照射するようにすれば、励起される特性X線は混合膜の厚み方向全体の情報として得ることができて都合がよい。
【0019】
前記複数の分光結晶板は、混合膜にX線が照射される位置から略等しい距離に配置されることが好ましい。このように構成されていると、蒸着材料の種類数が多い場合でも各々の成分から放出される特性X線強度を同じ条件にて測定できて都合がよい。
【0020】
前記X線照射手段などからなる厚みモニタ装置は、測定する混合膜の要求品質に応じてフィルム幅方向に略等間隔で千鳥状に配置させるか、又は、フィルム幅方向に一列に略等間隔で配置させて測定することが好ましい。モニタ装置を千鳥状に配置する方法は、モニタ装置の形状の制約を受け難いため、混合膜の全幅において多くの厚み情報を、同時に且つリアルタイムに計測できる。モニタ装置を一列に略等間隔で配置する方法は、装置数が少なく比較的安価に構成でき、且つ混合膜の全幅を、同時に且つリアルタイムに計測できて都合がよい。
【0021】
又、測定された情報を基に測定点間の厚みを近似予測するようにすると、制御性を一層向上させることができて好ましいと共に、特に少ない厚みモニタ装置の配置でも精度の良い制御ができて都合がよい。厚みモニタ装置としては、前記X線照射手段、前記開閉手段、前記フィルム厚み測定手段、前記蒸着フィルム厚み測定手段、前記厚み補正手段などからなるように構成することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は,本実施形態における真空蒸着装置の概略構造を示す。この真空蒸着装置は、フィルム状の被蒸着材料として、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの高分子フィルムを例に用いた。真空槽6の巻き出しロール1にセットされた高分子フィルム17は冷却ロール3上を走行し、測定ロール5を通り、巻き取りロール2で巻き取られる。真空槽6内の真空度は油拡散ポンプ(図示略)等からなる排気系10により所定の真空度に維持される。又、巻き出しロール1から巻き出された高分子フィルム17の継ぎ目を検知する継ぎ目センサー21が、高分子フィルム17に対面するように巻き出しロール1の下流側に配置されている。
【0023】
真空槽6の底部に蒸着材料16を保持する保持手段の一例である坩堝9が配置されていて、この坩堝9は、加熱手段である電子銃4に向かって高分子フィルム17の被蒸着面と平衡関係を保ちながら低速で移動するようになっている。つまり、坩堝9は移動する高分子フィルムに対して蒸着条件が一定に保たれるように、図1の電子銃4に対して接近または離間することにより、坩堝9内に収納されている蒸着材料を照射する電子線の照射条件(電子銃と蒸着材料との距離など)ができるだけ一定になるように配置されている。電子銃4は、坩堝9に収納された蒸着材料16に対して電子線18を照射する。電子線18の照射により加熱・蒸発された蒸着材料の一部は、冷却ロール3上を走行する高分子フィルム17の被蒸着面に蒸着される。その際、走行する高分子フィルム17と蒸着材料16との間には開閉装置の一例であるシャッター8が配置されていて、被蒸着面に良好な蒸着を形成するようになっていると共に、後述するように、高分子フィルム17の一部に非蒸着部分を形成することができる。
【0024】
次に、真空槽6の上部に配置され、高分子フィルム17に含まれる特定元素粒子の膜厚(当量)及び高分子フィルム17の表面に蒸着された薄膜の厚みを測定するための厚みモニタ装置7について説明する。この厚みモニタ装置7には、膜構成成分から特性(蛍光)X線を励起させるためのX線発生装置7aが測定ロール5に対して略垂直に配置されている。X線発生装置7aから、測定ロール5上を走行する蒸着後の高分子フィルム17に略垂直に照射されたX線により励起された特性X線の一部は、測定ロール5表面に対して略30°の角度に配置された分光結晶板7bに導かれ、この分光結晶板7bより波長が選択された後、比例係数管7cに導かれる。比例計数管7cにより一定間隔で連続的に計測された特性X線強度は、一定間隔毎にアナログの電気信号に変換される。このアナログ電気信号は、アンプ11にて増幅された後、アナログ/デジタル変換器12にてデジタル信号に変換される。デジタル信号に変換された特性X線強度は、厚み演算器13にて各々の元素での厚みに変換された後、制御量演算器14に入力される。ここに前記厚みモニタ装置7、アンプ11、アナログ/デジタル変換器12、厚み演算器13はオンライン測定手段を構成する。
【0025】
制御量演算器14は、予め設定された各元素の目標とする基準厚みデータと、入力された各々の測定厚みデータとを比較して偏差値を求める。得られた偏差値情報に基づいて、電子銃を制御するために制御データが自動的に生成される。尚、フィルム中に蒸着する材料と同じ成分の粒子が含まれる場含には、蒸着材料16と走行フィルム17との間に設けられたシャッター8が閉じている時に、前記粒子の厚み(当量)を測定し、混合膜の厚み補正用べ一スデータとして記憶させる。この間の電子銃の制御は行わない。シャッター8が開いているときは、フィルム17上に蒸着された混合膜の厚みを測定し、厚み演算器13によって予め測定されたベースデータで混合膜の厚みに補正を加えた後、前記制御量演算器14にデータが送られる。もっとも、この補正を、厚み演算器13と前記制御量演算器14との間に別に設けた演算手段により行うようにしてもよいし、前記制御量演算器14が有する演算機能を用いて行うようにしてもよい。尚、シャッター8が閉じるのは、蒸着を開始する最初の一定時間とフィルム17中に含まれる粒子の密度の異なるフィルムが継ぎ足されている場合に、継ぎ目をセンサー21で検知した場合および蒸着が完了した時である。
【0026】
電子銃を制御するための制御データは、電子銃制御装置15に送られる。電子銃制御装置15は、入力された制御データに従って電子銃4の投入電力と電子線の走査時間などを制御する。ここに制御量演算器14、電子銃制御装置15は、厚み制御手段を構成する。尚、シャッター8の開閉制御は、制御量演算器14から開閉制御手段22を介して制御するようになっている。前記したように、制御量演算器14には高分子フィルム17の継ぎ目を検知する継ぎ目センサー21の検知信号が入力されるようになっているので、検知信号に応じてシャッター8の開閉をタイミング良く行うことができる。
【0027】
【実施例】
以下に、実際に行った例を示す。蒸着される高分子フィルム17として、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡績(株)製、E5100:商品名)を用いた。その他使用可能な高分子フィルムとしては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ナイロン4、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等が挙げられるが、高分子フィルムとして特に材料に限定されるものではない。
【0028】
蒸着材料(蒸着源)として、3〜5mm程度の大きさの粒子状をした酸化アルミニウム(Al 、純度99.5%)と酸化珪素(Si0 、純度99.9%)を用いた。これらの材料を保持する1個の坩堝は銅製であり、底部に外形20mmΦの冷却用水冷管20を設けた構造とした。冷却水の流量は略4m /分である。この坩堝9内には、蒸着材料16をフィルム幅方向に対向して交互1列に配置させるために、2mm厚みのカーボン製しきり板19を幅方向100mm間隔で配置させ、計8ブロックの材料を収納できる構造とした。このしきり板19は、後述する電子銃4の電子線18が各蒸着材料に入射される角度と略等しい角度に傾斜して配置されている。しきり板19で確保された各ブロックには、前記2種類の蒸着材料を交互に均一に収容した。図2、3に、本実施例で用いた坩堝9の概略構造を示す。
【0029】
電子銃4として、250kWのものをフィルム幅方向に平行に配置した坩堝9に対面するように配置した。この電子銃4により、坩堝9内に交互配置されたSi0 が4ブロック、Al が4ブロックの計8ブロックの蒸着材料を蒸着させる仕様とした。この実施例では1台の電子銃を使用したが、坩堝9に投入する総エネルギ一量が1台で確保できない場合や広幅の高分子フィルムを蒸着する場合などでは、複数の電子銃を使用して、蒸着領域を分割する方法を採用してもよく、電子銃の設置台数には特に限定されない。
【0030】
蒸着中の真空槽内圧力は、4×10−4Pa以下を常時確保できるような排気系とした。具体的には、50,000L/秒の油拡散ポンプを真空槽底部に直接接続する構造にした。尚、蒸着後の混合膜層の厚みは、測定ロールの略真上で、且つ高分子フィルム17の幅方向の中央に配置された厚みモニタ装置7にて連続的に測定した。
【0031】
次に、厚みモニタ装置7を詳細に説明する。まず、X線発生装置7aとしてロジウムのX線管を用い、このX線管に40kV、50mAの電流を流して、測定ロール5上を走行中のフィルム17に略垂直に―次X線を照射した。この場合、フィルム17上の蒸着膜に照射されるX線は、コリメートされた30mmΦの光束である。このX線により励起された特性(蛍光)X線の一部は、混合膜の測定位置から略等距離にあり、且つ測定ロール面5に対して略30°の入射角度で配置された2個のフタル酸水素タリウム分光結晶板7cに導かれる。2個の分光結晶板7cは、SiとAlの元素成分の特性X線波長に分光する。これらの分光結晶板7cに導かれた特性X線は、Alの波長である8.34Åと、Siの波長である7.13Åに各々分光される。これらの選択された波長が各々独立の比例係数管7cに導かれて、一定時間毎に特性X線強度が計測される。
【0032】
前記比例係数管7cにて計測された特性X線強度は、以後のアンプ11により処理可能なレベルの0〜5Vまで増幅された後、アナログ/デジタル変換器12にてデジタル信号に変換された。その分解能は12ビット(bit)である。変換されたデジタル信号は、厚み演算器13により各元素毎の厚みデ−夕に変換した。変換法として、厚みが既知である複数の蒸着サンプルでの蒸着膜厚とX線強度の検量線を事前に作成しておき、この検量線に基づいて厚みデータに変換する方法を採用した。
【0033】
厚みモニタ装置7は、フィルムの幅方向では各蒸着材料の略真上に配置できるように千鳥状に2列に計8台を配置した。図6(a)にその配置例を示す。各厚みモニタ装置の幅方向の間隔は、100mmである。尚、千鳥配置の間隔、配列数および台数などは蒸着フィルムの幅寸法や蒸着薄膜の要求品質に基づいて決定すれば良く、特に限定するものではない。
【0034】
厚み演算器13で演算され出力された厚みデータは、制御量演算器14に送られる。ここでは、厚みデータに基づいて電子銃4の投入電力量と電子線の滞在時間が計算される。これらの制御データは、実験にて求められる各々の坩堝での蒸発速度(蒸着厚みに相当)と投入エネルギーとの関係式を基に計算した。図4は、坩堝9での投入エネルギーとフィルム堆積厚みとの関係を表した結果である。図中、A1、A2、A3、A4は坩堝中のAl の各位置を示し、S1、S2、S3、S4は坩堝中のSi0 の各位置を示すもので、交互に異なる成分が隣接して、フィルム17の幅方向に対向するように順次配置されている。図4から判るように、現在の厚みと目標値との偏差値に相当するエネルギー量を現在値に加算または減算して出力することにより、目的の厚み及び組成比に制御できる。但し、これらの材料に投入されるエネルギーは、同じ電子銃4から照射される電子線18が源であるため、実際は電子線の滞在時間を各々の坩堝に対して変化させることにより、各材料へ投入されるエネルギーを分配できる。これらの間係式を次に示す。
【0035】
ta =[Pa /(ΣPa+ΣPs)]×t0
ここに
ta :酸化アルミニウム・ブロックnでの電子線走査時間
Pa :酸化アルミニウム・ブロックnに投入するエネルギー量
ΣPa:計4ブロックの酸化アルミニウムに投入する総エネルギー量
ΣPs:計4ブロックの酸化珪素に投入する総エネルギ−量
t0 :ハードウェアーに依存する時間定数(ms)
各蒸着ブロックから蒸発するガスの分布は、坩堝中の各蒸着材料の蒸発特性を示す図5の31(酸化珪素・ブロックからの蒸発成分)、32(酸化アルミニウム・ブロックからの蒸発成分)に示すように、真上が最も強度が高く、横に広がる程、強度が低下する分布を示す。この分布強度および形状は、電子ビ−ムの強度、電子線が入射される角度、電子銃と坩堝までの距離および蒸発面積に主に依存する。従って、薄膜を形成するフィルムの幅方向および走行方向に組成比が同じで、且つ目標とする総厚みが均一な膜を形成させるためには、蒸着材料の配置が最も重要である。本実施例における材料の配置は、図2、3に示す通りであり、電子銃と最も近い坩堝表面までの距離を1,000mmとした。尚、図中A、Sは夫々A1 、SiO が収納されていることを示す。
【0036】
蒸着材料は、図3に示す薄いしきり板19で蒸着材料16を分割して配置した。そして、前述した条件にて高分子フィルム17に蒸着を行った。フィルム17の走行速度は300m/分で、計40,000mを蒸着した。坩堝9は、電子銃4の方向に向かって2mm/分の速度で移動させた(駆動装置は図示略)。
【0037】
高分子フィルム17中に含まれるSi粒子の密度は、80ppmと120ppmの2種類を準備し、20,000mで接続して計40,000mのロールにした。接続には光を反射する光沢テープを用い、継ぎ目検出センサー21には反射式の光電スイッチを用いた。
【0038】
自動制御の効果を確認するために自動制御を行った場合と、厚みモニタ装置のみ動作状態として制御系を切り離した場合とを比較した。尚、自動制御の制御周期は30秒とした。その結果を表1に示す。自動制御を行わない場合には、総厚み変動および組成比変動が大きいのに対して、自動制御を行うと、非常に安定な膜が形成されることが判る。又、フィルム中の粒子濃度が異なるシートであっても非常に安定な膜が形成されていることが判る。
【0039】
【表1】
Figure 0003633815
【別実施の形態】
(1)厚みモニタ装置7を、図6(b)に示すように配置してもよい。この場合、例えば各モニタ装置7の幅方向の間隔を200mmとし、フィルム幅方向に一列に略等間隔に計4台配置する。このように、厚みモニタ装置を一列に略等間隔で配置する方法は、厚みモニタ装置の配置数を少なくして比較的安価に構成でき、且つ混合膜の全幅を、上記実施形態と同様に、同時に且つリアルタイムに計測できて好ましい。
【0040】
(2)上記実施形態では、真空槽としていわゆる1チャンバー式を用いた例を示たが、フィルム等の被蒸着材料を走行する室と蒸着材料を加熱する室とを異なる減圧状態にして真空蒸着を行う、いわゆる2チャンバー式の装置にも、本発明を適用できる。
【0041】
(3)上記実施形態では、被蒸着材料の巻き出しロール及び巻き取りロールを真空槽内に配置した例を示したが、巻き出しロール及び巻き取りロールを蒸着する真空槽外に配置し、蒸着を高真空槽内で行う連続方式の装置にも適用できる。
【0042】
(4)上記実施形態では、フィルム状の被蒸着材料として高分子フィルムを例に挙げたが、被蒸着材料としては紙、布などでもよい。又、蒸着材料として、上記した酸化アルミニウムと酸化珪素以外に、種々の元素、化合物を使用することができ、更に2種以上の蒸着材料を用いて2種以上の元素または成分からなる混合膜を形成するようにしてもよい。
【0043】
(5)上記実施形態では加熱手段を電子銃としたが、坩堝を誘導加熱コイルにより加熱する蒸着装置にも本発明を適用できる。
【0044】
【発明の効果】
上述したように、本発明によれば走行中のフィルム表面に異なる元素の混合膜の組成比および目標厚みを有する混合膜を、フィルム幅方向および走行方向に対して長時間連続的に且つ均ーに安定して形成できる真空蒸着装置を提供できた。のみならず、開閉手段は、走行中のフィルム継ぎ目を検出した際、一定時間前記開閉装置を閉めるようになっているので、この動作に連動してフィルム厚み測定手段が動作し、フィルム中の粒子厚み(当量)を測定でき、これにより、粒子密度の異なるフィルムが継ぎ足されたシートを連続で蒸着する場合でも、フィルムの走行を止めずに連続で混合膜のベース厚み補正を行うことが可能になる。更に、フィルム厚み測定手段と蒸着フィルム厚み測定手段を同一の厚みモニタ装置として構成しているので、夫々の機能を備えた別々の装置を備える必要がなく、装置全体を安価に構成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る真空蒸着装置の概略全体構成図
【図2】本発明の一実施形態に係る真空蒸着装置に用いる坩堝とその配置を説明する図
【図3】図2の坩堝の構造を説明する図
【図4】坩堝投入エネルギ一量とフィルム蒸着速度との関係を説明するグラフ
【図5】各蒸着材料ブロックの蒸着特性を説明するグラフ
【図6】厚みモニタ装置の配置方法を説明する図
【符号の説明】
4 加熱手段
8 開閉装置(シャッター)
14,15 厚み制御手段
16 蒸着材料
17 フィルム
21 継ぎ目検出センサー

Claims (3)

  1. 真空槽内を走行するフィルムに異なる元素からなる混合膜を形成する蒸着装置において、蒸着材料を加熱する加熱手段と、走行中のフィルムにX線を照射してフィルムに含まれる特定元素の厚み当量を測定するフィルム厚み測定手段と、開閉装置を開閉してフィルムヘの薄膜形成と非形成を制御する開閉制御手段と、混合膜形成後の蒸着フィルムにX線を照射して特定元素の厚みを計測する蒸着フィルム厚み測定手段と、前記フィルム厚み測定手段と前記蒸着フィルム厚み測定手段を同一の厚みモニタ装置として構成し、この厚みモニタ装置で得られたデータを基に混合膜層の特定元素厚みに換算して出力する厚み補正手段と、この厚み補正手段で得られた厚みデータを基に材料の蒸発量を制御可能な厚み制御手段と、を備えると共に、フィルム継ぎ目を検出する継ぎ目検出センサーを有していて、前記開閉制御手段は走行中のフィルム継ぎ目を検出した際、自動的に一定時間前記開閉装置を閉めるようになっていることを特徴とする真空蒸着装置。
  2. 前記開閉装置がシャッターであり、前記厚み補正手段は前記シャッターが開いている時のみ厚み補正を行う請求項1の真空蒸着装置。
  3. 前記フィルムの継ぎ目を検出する継ぎ目検出センサーは、前記フィルムを反射する光の反射量または前記フィルムを透過する透過量と予め設定された基準値とを比較して継ぎ目の有無を検出する請求項1又は2の真空蒸着装置。
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