以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明の実施形態に係る複合機1の全体斜視図である。本複合機1はいわゆる多機能装置(MFD:Multi Function Device)であって、図1に示すように、下部に配設されたプリンタ部2と、その上部に配設されたスキャナ部3と、ADF(Auto Document Feeder)4(原稿搬送手段)を備えた原稿カバー6と、装置上面の前方側に配置された操作パネル5とを一体的に備えており、プリンタ機能、スキャナ機能、コピー機能及びファクシミリ機能などの各種機能を備える。
上記スキャン機能は、スキャナ部3で読み取られた画像データを不図示のPC(Personal Computer)やメモリカード、内部メモリ、USB(Universal Serial Bus)メモリなどのデバイスへ転送する機能である。また、コピー機能は、スキャナ部3で読み取られた画像をプリンタ部2において記録紙に記録する機能である。プリント機能は、上記デバイスから転送された画像データや文書データを含む記録データに基づいて、プリンタ部2において画像や文書を記録紙に記録する機能である。
また、ファクシミリ機能は、電話回線などの伝送路を介して、スキャナ部3で読み取られた画像を受信端末に送信し、受信端末から送信された画像を送信端末側で受信してプリンタ部2において記録紙に記録する機能である。このファクシミリ機能を備えている点で、本複合機1は本発明の通信端末装置に相当する。なお、本発明を実現するうえで、上述した複数の機能を一体的に備えている必要はなく、少なくとも上記ファクシミリ機能を備えていればよい。もちろん、ファクシミリ機能のみを有する専用機、即ち、ファクシミリ装置単体にも本発明は適用可能である。
以下、本複合機1を構成する各構成要素の概略について順次説明する。なお、以下に説明する複合機1の構成は単なる一例であって、言うまでもなく、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更することが可能である。
(操作パネル)
複合機1の上面の前方側であって、スキャナ部3の正面側の上面には、プリンタ部2やスキャナ部3を操作するための操作パネル5が設けられている。操作パネル5には、各種操作キー10や液晶ディスプレイ11(LCD:Liquid Crystal Display)などが配設されて構成されている。各種操作キーとしては、例えば、プリンタ部2やスキャナ部3の動作を開始させるためのスタートボタンや、動作の停止や設定の終了を行うためのストップボタン、更に、ファクシミリ機能を選択するためのファクシミリモードキー14、スキャナ機能を選択するためのスキャナモードキー15、コピー機能を選択するためのコピーモードキー16などのモード選択ボタン、コピー枚数やスキャナ部3により読み取られる画像データの解像度や階調などの設定情報を入力するためのテンキーや十字キーなどが配置されている。液晶ディスプレイ11には、複合機1の現在の動作モードや利用者への操作案内、設定情報、エラー情報等が表示される。
本複合機1は、操作パネル5から入力された指示に従って動作するように制御部100(図5参照)によって制御される。なお、複合機1が図示しないPCに接続されている場合は、PCにインストールされたプリンタドライバ又はスキャナドライバ等から送信される指示に基づいて本複合機1は動作される。操作パネル5の所定の操作キー10が押下されると、複合機1の制御部100(図5参照)に所定の入力情報が伝達される。これにより、伝達された入力情報に応じた動作をするように制御部100によって複合機1が制御される。例えば、ファクシミリモードキー14が押下されると、複合機1はファクシミリモードに設定され、予め指定された送信相手に画像データを送信するファクシミリ通信が可能に制御される。
(原稿カバー)
図2は原稿カバー6およびADF4の概略構成を模式的に示す縦断面図である。図1および図2に示すように、原稿カバー6は、スキャナ部3を構成する原稿読取台7に対して装置の背面側の蝶番(不図示)を介して開閉可能に取り付けられている。原稿カバー6には、原稿が載置される原稿トレイ30から原稿搬送路32(図2参照)を通じて原稿排出トレイ31へ原稿を自動的に連続搬送するADF4が備えられている。
図1および図2に示すように、原稿カバー6の上面には、原稿が載置される原稿トレイ30、および原稿が排出される原稿排出トレイ31が設けられている。原稿トレイ30と原稿排出トレイ31とは原稿搬送路32で連結されている。原稿カバー6に設けられたADF4は、原稿トレイ30から原稿搬送路32を経て原稿排出トレイ31へ原稿を自動的に連続して搬送するものである。ADF4による搬送過程において、原稿がプラテンガラス21上の読取位置(原稿読取位置に相当)を通過し、該読取位置の下方において待機する画像読取ユニット22(画像読取手段)によって原稿の画像が読み取られる。
原稿トレイ30および原稿排出トレイ31は、原稿カバー6の上面において上下二段に設けられている。具体的には、原稿トレイ30の下側に原稿排出トレイ31が設けられている。原稿トレイ30は、ADF4により画像の読取りが行われる原稿が載置されるためのものであり、複数枚の原稿が、表面(第1面)を上向きにした積層状態で給紙方向の搬送方向先端を原稿搬送路32に挿入するようにして、原稿トレイ30上に載置される。
原稿トレイ30には、複合機1の奥行き方向に隔てて一対の原稿ガイド19(図1参照)が、奥行き方向へスライド移動可能に設けられている。原稿ガイド19は、原稿トレイ30から起立して、原稿トレイ30に載置される原稿の幅方向の位置を規制するものである。一対の原稿ガイド19は、周知の連動機構により、いずれか一方の原稿ガイド19をスライド移動させると、他方の原稿ガイド19も連動してスライド移動する。従って、原稿トレイ30に原稿を載置して、原稿ガイド19の一方をスライドさせると、原稿の中心が常に一定位置となるように原稿が規制される。
原稿排出トレイ31は、上記原稿トレイ30の下側に上下方向に隔てた位置にあり、原稿カバー6の上面に一体的に形成されている。従って、ADF4から排紙された原稿は、原稿トレイ30上の原稿と分離した状態で原稿排出トレイ31上に順次積載される。なお、本実施形態では、後述するように、原稿の表面を下にした状態で原稿が原稿排出トレイ31に排紙される。
図2に示すように、ADF4の内部には、原稿トレイ30と原稿排出トレイ31とを連結する原稿搬送路32が設けられている。原稿搬送路32は縦断面視において横向き略U字形状に形成されている。原稿搬送路32は、ADF本体を構成する部材やガイド板等によって、原稿が通過可能な所定幅の通路として連続的に形成されている。詳細には、原稿搬送路32は、原稿トレイ30から原稿カバー6の一端側(図2の紙面左側)へ延出され、続いて下方へ反転するように湾曲してプラテンガラス21上の読取位置に至り、該読取位置から原稿排出トレイ31へ向かって延出された形状のものである。原稿搬送路32は、大別して、U字形状において上下二段の直線部分をなす上側部分32Aおよび下側部分32Cと、上側部分32Aと下側部分32Cとを連続するようにして湾曲する湾曲部分32Bとの3つの部分からなる。原稿搬送路32は、ADF4による原稿の片面読取りおよび両面読取りに共通して、原稿の搬送経路として用いられる。
上記原稿搬送路32には、原稿を搬送するための原稿搬送手段を構成するローラ部材が設けられている。詳細には、図2に示すように、原稿搬送路32に設けられた吸入ローラ33、分離ローラ34、搬送ローラ35A,35B,35C,35D、および排出ローラ36とこれら各ローラに圧接するピンチローラ37が設けられている。なお、原稿搬送手段を構成する各ローラの構成は単なる一例であり、ローラの数や配置を変更したり、その他の公知の搬送機構を適用することが可能である。
原稿搬送路32の最上流付近には、吸入ローラ33および分離ローラ34が設けられている。吸入ローラ33は、分離ローラ34の回転軸と同軸に設けられたアーム29の先端部に回転自在に設けられている。また、分離ローラ34は、吸入ローラ33から給紙方向へ隔てた位置に、原稿搬送路32の対向面に当接するように回転可能に設けられている。吸入ローラ33および分離ローラ34は、ステッピングモータなどのモータからの駆動力が伝達されて回転駆動される。アーム29は上記モータからの駆動力が伝達されることにより上下動される。吸入ローラ33および分離ローラ34は同径であり、同じ周速度で回転される。分離ローラ34の対向位置に、分離ローラ34のローラ面と圧接して、摩擦により原稿を分離する図示しない分離パッドが配設されている。
搬送ローラ35A,35B,35C,35Dは、原稿搬送路32の異なる位置にそれぞれ配設されている。本実施形態では、分離ローラ34の直下流側に搬送ローラ35Aが配設され、原稿搬送路32の上側部分32Aに搬送ローラ35Bが配設され、原稿搬送路32の下側部分32Cであって読取位置の直上流側に搬送ローラ35Cが配設され、原稿搬送路32の下側部分32Cであって読取位置の直下流側に搬送ローラ35Dが配設されている。これらの搬送ローラは、図示しないモータからの駆動力が伝達されて回転駆動される。なお、この配置は一例であり、搬送ローラ35A,35B,35C,35Dの数や配置は適宜変更できる。
各搬送ローラ35A,35B,35C,35Dの対向位置には、ピンチローラ37がそれぞれ設けられている。各ピンチローラ37は、その軸がバネに弾性付勢されることにより、各搬送ローラ35A,35B,35C,35Dのローラ面に圧接されている。各搬送ローラ35A,35B,35C,35Dが回転されると、これに従動してピンチローラ37が回転される。各ピンチローラ37により、原稿が各搬送ローラ35に圧接されて、各搬送ローラ35A,35B,35C,35Dの回転力が原稿に伝達される。
排出ローラ36は、原稿搬送路32の最下流付近に配設されている。排出ローラ36は、搬送ローラ35と同様に、モータからの駆動力が伝達されて回転駆動される。排出ローラ36の対向位置にもピンチローラ37が設けられており、ピンチローラ37はバネにより弾性付勢されて、排出ローラ36に圧接される。
原稿搬送路32の下側部分32Cの連結位置38には、スイッチバックパス39が連結されている。スイッチバックパス39は、両面読取りを行う場合に、読取位置において表面(第1面)の画像が読み取られた原稿を、先端と後端とを逆転させて読取位置の搬送方向下流側から搬送方向上流側の原稿搬送路32へ再送するためのものである。スイッチバックパス39は、連結位置38から原稿トレイ30の上側へ向かって斜め上方へ延出されて、原稿搬送路32の上側部分32Aと交差している。上側部分32Aとスイッチバックパス39との交差位置40からスイッチバック搬送された原稿が原稿搬送路32へ戻される。なお、図2に示すスイッチバックパス39は原稿のスイッチバック搬送を実現するための単なる一例である。スイッチバック搬送が可能であれば、上記スイッチバックパス39に代えて種々の搬送経路を採用することが可能である。もちろん、前記した特許文献1に記載の従来公知の搬送経路を採用してもかまわない。また、本実施形態では原稿の搬送方向先端と搬送方向後端とを入れ替える手段としてスイッチバック搬送を採用しているが、原稿の搬送方向先端と搬送方向後端との入れ替えが可能であれば、該スイッチバック搬送に限定されない。
スイッチバックパス39の終端41は、ADF4の上面に開口されている。スイッチバックパス39の終端41から原稿トレイ30側には、終端41から連続する原稿支持部42が形成されている。原稿支持部42は、スイッチバックパス39の終端41から突出された原稿を支持するためのものであり、給紙ローラ33及び分離ローラ34の上側においてADF4の上カバー9をなしている。上カバー9は、ADF4に対して開閉可能に形成されており、給紙ローラ33及び分離ローラ34を含めてADF4の全体は上カバー9により覆われる。原稿支持部42は、終端41から原稿トレイ30側へ向かって、給紙ローラ33及び分離ローラ34による給紙位置より上流側に至るまで延出されている。これにより、両面読取りにおいて、スイッチバックパス39に進入して終端41からADF4の外側へ突出した原稿が原稿支持部42上に支持されるので、原稿トレイ30に積載された原稿の給紙位置より搬送方向下流側(図左側)に垂れ下がることがなく、給紙位置において原稿が乱されることが防止される。また、上カバー9が開かれることにより、ADF4内の原稿搬送路32及びスイッチバック39の一部が露出され、ジャム処理などのメンテナンス作業を行うことができる。
スイッチバックパス39の交差位置40より終端41側には、スイッチバックローラ43が配設されている。スイッチバックローラ43は、モータからの駆動力が伝達されて正逆双方向に回転駆動される。スイッチバックローラ43の対向位置には、ピンチローラ44が設けられている。ピンチローラ44は、その軸がバネに弾性付勢されることにより、スイッチバックローラ43のローラ面に圧接されており、スイッチバックローラ43の回転に従動して回転する。ピンチローラ44により、原稿がスイッチバックローラ43に圧接されて、スイッチバックローラ43の回転力が原稿に伝達される。
図2に示すように、交差位置40には、所望の搬送経路に原稿を案内するためのガイドフラップ46及びガイドフラップ47が配設されている。ガイドフラップ46は、交差位置40における原稿搬送路32の読取位置側とスイッチバックパス39の連結位置38側との隅部を回動軸として所定範囲で回動可能に配設されている。ガイドフラップ46は、羽根形状の平板であり、その先端が交差位置40に突出されている。図においては、ガイドフラップ46は1つのみ示されているが、同形状のガイドフラップ46が原稿搬送路32の幅方向(図2の紙面垂直方向、装置奥行き方向)に所定間隔で複数設けられており、複数のガイドフラップ46が一体に回動される。
ガイドフラップ46は、図2に示す位置から図中上側へ回動可能である。また、ガイドフラップ46は、例えば、原稿搬送路32又はスイッチバックパス39を形成するガイド部材に当接することにより、図2に示す位置から図中下側へ回動することが規制されている。ガイドフラップ46が図2に示す位置にあると、交差位置40において、原稿搬送路32の原稿トレイ30側(図右側)から読取位置側(図左側)への搬送経路が連続するとともに、原稿搬送路32からスイッチバックパス39の連結位置38側(図下側)への搬送経路が閉止される。これにより、原稿搬送路32の原稿トレイ30側から交差位置40に到達した原稿は、原稿搬送路32の読取位置側へ進入することが許容され、且つスイッチバックパス39の連結位置38側へ進入することが制止される。また、スイッチバックパス39の終端41側(図上側)から交差位置40に到達した原稿は、原稿搬送路32の読取位置側へ進入することが許容され、且つスイッチバックパス39の連結位置38側へ進入することが制止される。
ガイドフラップ46が図中上側に回動されることにより、スイッチバックパス39の連結位置38側から終端41側への搬送経路が連続するとともに、スイッチバックパス39の連結位置38側から原稿搬送路32の読取位置側への搬送経路が閉止される。これにより、スイッチバックパス39の連結位置38側から交差位置40に到達した原稿は、スイッチバックパス39の終端41側へ進入することが許容され、且つ原稿搬送路32の読取位置側へ進入することが制止される。
ガイドフラップ46による搬送経路の切替えは、原稿の当接により行われる。ガイドフラップ46は、その自重により又はバネ等の弾性部材の付勢力を受けて、常時、図2に示す位置にある。スイッチバックパス39を連結位置38から交差位置40に向かって搬送される原稿がガイドフラップ46に当接することにより、ガイドフラップ46が図中上側は押しやられるように回動される。一方、スイッチバックパス39の終端41側から交差位置40に搬送された原稿は、ガイドフラップ46に当接するが、ガイドフラップ46は図2に示す位置から図中下側へは回動しないように規制されているので、該原稿はガイドフラップ46に案内されて、原稿搬送路32の上側部分32Aを読取位置側へ進入する。ガイドフラップ46の羽根形状は、スイッチバックパス39の連結位置38側から交差位置40へ搬送される原稿の当接により姿勢変化し易く、スイッチバックパス39の終端41側から交差位置40へ搬送される原稿が原稿搬送路32の読取位置側へ案内されやすい形状が採用される。このように、ガイドフラップ46を原稿の当接により姿勢変化するようにすれば、ガイドフラップ46をモータからの駆動力を付与して積極的に姿勢変化させる必要がないので、簡易な構成でガイドフラップ46を実現できる。
ガイドフラップ47は、交差位置40における原稿搬送路32の原稿トレイ30側とスイッチバックパス39の終端41側との隅部を回動軸として所定範囲で回動可能に配設されている。ガイドフラップ47は、羽根形状の平板であり、その先端が交差位置40に突出されている。図2においては、ガイドフラップ47は1つのみ示されているが、同形状のガイドフラップ47が原稿搬送路32の幅方向に所定間隔で複数設けられており、複数のガイドフラップ47が一体に回動される。
ガイドフラップ47は、図2に示した位置から図中左側へ回動可能である。ガイドフラップ47は、例えば、原稿搬送路32又はスイッチバックパス39を形成するガイド部材に当接することにより、図2に示した位置から図中右側へ回動することが規制されている。ガイドフラップ47が図2に示した位置にあると、スイッチバックパス39の終端41側から原稿搬送路32の読取位置側への搬送経路が連続するとともに、スイッチバックパス39の連結位置38側から原稿搬送路32の原稿トレイ30側への搬送経路が閉止される。これにより、スイッチバックパス39の終端41側から交差位置40に到達した原稿は、原稿搬送路32の読取位置側へ進入することが許容され、且つ原稿トレイ30側へ進入することが制止される。また、スイッチバックパス39の連結位置38側から交差位置40に到達した原稿は、スイッチバックパス39の終端41側へ進入することが許容され、且つ原稿搬送路32の原稿トレイ30側へ進入することが制止される。
ガイドフラップ47が図中左側に回動されると、原稿搬送路32の原稿トレイ30側から読取位置側への搬送経路が連続するとともに、原稿搬送路32の原稿トレイ30側からスイッチバックパス39の終端41側への搬送経路が閉止される。これにより、原稿搬送路32の原稿トレイ30側から交差位置40に到達した原稿は、原稿搬送路32の読取位置側へ進入することが許容され、且つスイッチバックパス39の終端41側へ進入することが制止される。
ガイドフラップ47による搬送経路の切替えは、原稿の当接により行われる。ガイドフラップ47は、その自重により又はバネ等の弾性部材の付勢力を受けて、常時、図2に示す位置にある。原稿搬送路32の原稿トレイ30側から搬送される原稿がガイドフラップ47に当接することにより、ガイドフラップ47が図中左側に押しやられるように回動される。一方、スイッチバックパス39の連結位置38側から交差位置40に搬送された原稿が、仮にガイドフラップ47に当接したとしても、ガイドフラップ47は図2に示す位置から図中右側へは回動しないように規制されているので、該原稿はガイドフラップ47に案内されて、スイッチバックパス39の終端41側へ進入する。ガイドフラップ47の羽根形状は、原稿搬送路32の原稿トレイ30側から交差位置40へ搬送される原稿の当接により姿勢変化し易く、スイッチバックパス39の連結位置38側から交差位置40へ搬送される原稿がスイッチバックパス39の終端41側へ案内されやすい形状が採用される。このように、ガイドフラップ47を原稿の当接により姿勢変化するようにすれば、ガイドフラップ47をモータ等からの駆動力を付与して積極的に姿勢変化させる必要がないので、簡易な構成でガイドフラップ47を実現できる。
図2に示すように、連結位置38には、ガイドフラップ50が配設されている。ガイドフラップ50は、連結位置38において原稿搬送路32から分岐するスイッチバックパス39と原稿排出トレイ31側に連続する原稿搬送路32の下側部分32Cとの間となる位置を回動軸として回動可能に配設されている。ガイドフラップ50は、図示しないモータから駆動力が伝達されることにより、図2に示した位置から図中下側に回動される。ガイドフラップ50は、例えば、原稿搬送路32又はスイッチバックパス39を形成するガイド部材に当接することにより、図2に示した位置から図中上側へ回動することが規制され、図中下側へ回動してスイッチバックパス39へ原稿を案内する位置となってからさらに図中下側へ回動することが規制されている。ガイドフラップ50が図2に示す位置にある場合には、連結位置38において、原稿搬送路32の読取位置側(図左側)から原稿排出トレイ31側(図右側)への搬送経路が連続する。これにより、読取位置を通過した原稿は、原稿搬送路32の下側部分32Cを原稿排出トレイ31へ向かって連結位置38を案内される。ガイドフラップ50が図2に示す位置から図中下側に回動されることにより、原稿搬送路32の下側部分32Cの読取位置より下流側からスイッチバックパス39への搬送経路が連続する。これにより、読取位置を通過した原稿は、スイッチバックパス39へ進入するように連結位置38を案内される。このようにして、ガイドフラップ50は、連結位置38において原稿を原稿搬送路32又はスイッチバックパス39のいずれかの搬送経路に案内可能に配設されている。なお、図2においては、ガイドフラップ50は1つのみ示されているが、同形状のガイドフラップ50が原稿搬送路32の幅方向に所定間隔で複数設けられており、複数のガイドフラップ50が一体に回動される。
図2に示すように、原稿搬送路32及びスイッチバックパス39には、原稿の搬送を検知するための複数のセンサが設けられている。詳細には、原稿搬送路32には、分離ローラ34の上流側及び下流側に第1フロントセンサ52及び第2フロントセンサ53がそれぞれ配設されており、また、読取位置の直上流側にリアセンサ54が配設されている。スイッチバックパス39の連結位置38と交差位置40との間には、スイッチバックセンサ55が配設されている。これら各センサは、原稿搬送路32またはスイッチバックパス39へ出没する検出子の回動をフォトインタラプタのオン/オフとして検出する所謂光学センサである。
原稿の搬送方向先端が分離ローラ34に当接するようにして原稿トレイ30上に原稿が載置されると、第1フロントセンサ52がオンとなる。第1フロントセンサ52のオン/オフにより、原稿トレイ30に原稿が載置されたか否かが検知される。
分離ローラ34の直下流に配設された第2フロントセンサ53は、そのオン/オフにより、原稿搬送路32に給送された原稿の搬送方向長さを検知するためのものである。第2フロントセンサ53から原稿搬送路32の連結位置38までの距離は、複合機1において両面読取り可能な最大サイズの原稿の搬送方向長さ(長辺長さ)より長い。換言すれば、第2フロントセンサ53は、原稿搬送路32の連結位置38から搬送方向上流側へ、少なくとも両面読取り可能な最大サイズの原稿の搬送方向長さを隔てた位置に設けられている。したがって、原稿搬送路32の連結位置38より搬送方向上流側の所定位置に原稿の搬送方向先端が到達した際に、該原稿の搬送方向後端側を第2フロントセンサ53が検知するか否かで、該原稿が所定の搬送方向長さより長いか否かを判断することができる。なお、本実施形態にかかる複合機1では、ADF4で両面読取可能に搬送し得る原稿の最大サイズはA4に設定されている。
複合機1において両面読取可能であるか否かは、ADF4により両面読取用の搬送が可能か否かで判断される。両面読取りにおいては、原稿搬送路32の読取位置を通過した原稿は、スイッチバックパス39に導かれてスイッチバック搬送され、交差位置40から原稿搬送路32の読取位置より上流側に戻される。原稿搬送路32の交差位置40からプラテン21上の読取位置、連結位置38、スイッチバックパス39を順に経て再び交差位置40に至るループ状の搬送距離より搬送方向の長さが長い原稿が、原稿搬送路32の連結位置38からスイッチバックパス39に進入して交差位置40に到達すれば、交差位置40において該原稿の搬送方向先端側と搬送方向後端側とが当接して、紙詰まりや原稿の損傷等の不具合が生ずるおそれがある。したがって、前述したループ状の搬送距離より搬送方向長さが長い原稿は、ADF4により両面読取用の搬送を行うことができないものとされる。なお、第2フロントセンサ53は、原稿の搬送方向長さを検知するためだけに設けられたものである必要はない。例えば、原稿のレジストを行うために、原稿の搬送方向先端が搬送ローラ35Bに到達したか否かを、第2フロントセンサ53の検知信号とモータの回転量等から判断するためなどの他の目的にも第2フロントセンサ53が使用されてもよい。
読取位置の直上流に配設されたリアセンサ54は、そのオン/オフにより、原稿搬送路32を搬送される原稿の先端及び後端を検知するためのものである。リアセンサ54が原稿の先端又は後端を検知してからの搬送ローラ35A,35B,35C,35Dの回転数をエンコーダやモータのステップ数等によって監視することにより、原稿の先端又は後端が読取位置、又は連結位置38より搬送方向上流側の所定位置に到達したか否かが判断される。画像読取ユニット22の画像読取りは、このリアセンサ54の検知信号に基づいて制御され、原稿の先端が読取位置に到達すれば画像読取りが開始され、原稿の後端が読取位置に到達すれば画像読取りが終了される。また、原稿の搬送方向長さを判断するために第2フロントセンサ53が原稿の有無を検知するタイミングは、リアセンサ54の検知信号に基づいて、原稿の搬送方向先端が連結位置38より搬送方向上流側の所定位置に到達したと判断されるときである。
スイッチバックパス39の連結位置38と交差位置40との間に配設されたスイッチバックセンサ55は、そのオン/オフにより、スイッチバックパス39を搬送される原稿の先端又は後端を検知するためのものである。例えば、スイッチバックセンサ55が原稿の後端を検知してからの搬送ローラ35A,35B,35C,35D及びスイッチバックローラ43の回転数をエンコーダやモータのステップ数等によって監視することにより、原稿の後端が交差位置40を通過したか否かが判断される。スイッチバックセンサ55を、スイッチバックローラ43の搬送方向上流側の比較的近い位置に配置することにより、リアセンサ54等の検知信号に基づいて原稿の後端を監視するより、スイッチバックローラ43の搬送精度を高めることができる。
(スキャナ部)
次に、スキャナ部3の構成について説明する。スキャナ部3は、図1〜図3に示すように、FBS(Flatbed Scanner)として機能する原稿読取台7を備えている。ここに、図3はスキャナ部3の概略構成を示す模式断面図である。原稿読取台7は、複合機1の筐体の一部をなし、装置上面の一部を構成している。原稿読取台7の上面にはプラテンガラス20,21(図2参照)が配設されている。従って、原稿カバー6が開かれることによりプラテンガラス20,21が原稿読取台7の上面として露出される。また、原稿カバー6が図1に示すように閉じられることにより、プラテンガラス20,21を含め原稿読取台7の上面全体が覆われる。この閉じられた状態で、原稿カバー6が装置の上面の一部となる。
図3に示すように、原稿読取台7は、略直方体の本体フレーム8と、本体フレーム8の上面に設けられたプラテンガラス20,21(図2参照)と、本体フレーム8に内蔵された画像読取ユニット22とを有する。本体フレーム8は複合機1の筐体の一部を構成する。画像読取ユニット22はプラテンガラス20,21の裏面に対向するようにして本体フレーム8の内部に配設されている。また、画像読取ユニット22は、キャリッジ25によって複合機1の奥行き方向(主走査方向)と直交する方向(副走査方向)に移動可能に支持されている。
プラテンガラス20は、スキャナ部3をFBSとして使用する場合に原稿が載置されるものであり、例えば透明なガラス板からなる。原稿読取台7の上面中央には、プラテンガラス20を露出するための開口が形成されており、その開口に表面が外部に露出するようにプラテンガラス20が嵌め込まれている。プラテンガラス20の表面全域がFBSにおける原稿読取領域となる。
プラテンガラス21は、ADF4を用いて原稿を搬送させながら該原稿の画像を読み取るときの読取位置を構成するものであり、例えば透明なガラス板からなる。プラテンガラス21は、画像読取ユニット22の主走査方向の長さに対応して、複合機1の奥行き方向に延設されている。
プラテンガラス20とプラテンガラス21との間に位置決め部材23が介設されている。位置決め部材23は、プラテンガラス21と同様に複合機1の奥行き方向に延設された長尺の平板状の部材である。位置決め部材23は、FBSにおける原稿載置面であるプラテンガラス20上に原稿が載置される際に、原稿の載置位置を決める基準として用いられる。そのため、位置決め部材23の上面には、中央位置やA4サイズ(210×297mm)、B5(182×257mm)、A5(148×210mm)サイズ等の各種原稿サイズの両端位置を示す表示が記されている。また、位置決め部材23の上面には、ADF4によりプラテンガラス23上を通過するように搬送される原稿をすくい上げて再びADF4の内部に戻すガイド面が形成されている。
図2および図3に示すように、原稿読取台7の内部には、プラテンガラス20,21に対向するよう配置された画像読取ユニット22、画像読取ユニット22を支持するキャリッジ25、ガイドシャフト18、ローラユニット17などが配設されている。ガイドシャフト18は同図の紙面に垂直な方向(副走査方向)に架設されている。キャリッジ25はガイドシャフト18に連結されることにより、紙面に垂直な方向に摺動自在に支持される。キャリッジ25は、走査機構である図示しないベルト駆動機構に連結されており、画像読取ユニット22をプラテンガラス20,21の下方で複合機1の奥行き方向と直交する副走査方向へ走査可能に支持している。キャリッジ25が図示しないモータから駆動力を受けてプラテンガラス20,21と平行に副走査方向(図2の左右方向)へ往復移動することにより、画像読取ユニット22が同様に往復移動される。
ローラユニット17は、画像読取ユニット22の両端部に設けられている。このローラユニット17のローラ面がプラテンガラス20の裏面に当接している。従って、画像読取ユニット22がキャリッジ25の移動に伴って移動した場合は、ローラユニット17のローラがプラテンガラス20に沿って転動する。このローラユニット17が設けられているので、画像読取ユニット22がプラテンガラス20の裏面に押し付けられていても、画像読取ユニット22は、プラテンガラス20に沿って円滑に移動する。また、このローラユニット17は、プラテンガラス20と画像読取ユニット22との距離を一定に保つ役割も果たしている。従って、画像読取ユニット22が焦点深度の浅いCIS(Contact Image Sensor)を備えて構成されたものであっても、プラテンガラス20上に載置された原稿の画像は、画像読取ユニット22により良好に読み取られる。
画像読取ユニット22は、複合機1の奥行き方向を主走査方向とするラインイメージセンサである。詳細には、光源と、該光源からプラテンガラス20,21を通じて原稿に光を照射し、該原稿からの反射光を集光するレンズと、該レンズにより集光された光を受光して電気信号に変換するリニアフォトセンサなどの受光素子とを一体的に備えてなる密着型のCIS(Contact Image Sensor)である。画像読取ユニット22は、CPU101から出力された読取タイミングや読取条件などに基づいて原稿の画像を読み取るものである。なお、画像読取ユニット22としては、CISに代えて、例えば、縮小光学系のCCD(Charge Coupled Device)や、CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor:相補型金属酸化膜半導体)などのイメージセンサを適用することができる。
(プリンタ部)
図4はプリンタ部2の断面構造を模式的に示す模式断面図である。以下に、同図を参照しながら、プリンタ部2の内部構成の概要について説明する。
プリンタ部2は、所謂、電子写真式の画像形成プロセスを行うものであって、その最下部に設けられた給紙カセット60と、プリンタ部2の前面上部に設けられた排紙トレイ61と、プロセスユニット62と、レーザースキャニングユニット63と、給紙カセット60の前面側から排紙トレイ61の奥側に至る略横向きS字状の用紙搬送路64と、用紙搬送路64に沿って給紙カセット60側から順次配設された給紙ローラ65、レジストローラ66、転写装置67、定着装置68、排出ローラ69と、を備えて概略構成されている。また、第1面に画像が記録された記録紙をスイッチバックさせてプロセスユニット62の上流側の用紙搬送路64へ案内するための反転搬送路70が設けられている。この反転搬送路70は、プリンタ部2の奥部から給紙カセット60の上部を通ってプロセスユニット62の上流側に亘って形成されている。なお、用紙搬送路64及び反転搬送路70には搬送ローラ71が適宜配設されている。
プロセスユニット62は、用紙搬送路64を挟んで転写装置67と対向する位置に配設された感光体ドラム72と、感光体ドラム72の周囲に転写装置67側から感光体ドラム72の回転方向下流側へ向かって順次配設された導電性ブラシ73、帯電装置74、現像ユニット75等により構成される。なお、本実施形態におけるプリンタ部2の画像形成プロセスは適宜変更可能であり、電子写真式に限らず、例えばインクジェット式或いはサーマル式(感熱式)を採用することも勿論可能である。
このように構成されたプリンタ部2では、ファクシミリ通信によって電話回線などの伝送路から画像データを受信すると、図示しないモータが駆動される。このモータの駆動力が感光体ドラム72や給紙ローラ65、搬送ローラ71、排出ローラ69などの駆動系に伝達されて該駆動系が回転駆動される。また、帯電装置74によって、回転駆動する感光体ドラム72の表面が所定電位(例えば数百V)に帯電される。一方、受信した画像データは、バッファなどを経て、レーザースキャニングユニット63に転送される。レーザースキャニングユニット63では、転送された画像データに基づいて該画像データの情報を含むレーザが生成され、そのレーザがポリゴンミラーなどを経て所定電位に帯電された感光体ドラム72の表面に向けてレーザ走査される。これにより感光体ドラム72上に静電潜像が生成される。感光体ドラム72が回転されて、上記静電潜像が現像ユニット75と対向する位置に移動すると、現像ユニット75により現像剤が上記静電潜像に移動して、当該静電潜像が現像される。
給紙ローラ65の回転によって、給紙カセット60の記録紙Pが取り出されて用紙搬送路64へ給紙される。転写装置67では,給紙カセット60から用紙搬送路64の湾曲部76を通ってUターン搬送された記録紙Pが,感光体ドラム72とその周速と同じ速度で移動する転写ローラ77との間に挟持された状態で搬送されながら帯電される。これにより,感光体ドラム72の表面に担持された像が記録紙Pの第1面に転写される。
転写装置67により像が転写された後、さらに感光体ドラム72が回転すると、転写装置67の回転方向下流側において、感光体ドラム72の表面に摺接するよう配設された導電性ブラシ73によって、感光体ドラム72上に残存する現像剤が取り除かれる。
転写装置67によって第1面に像が転写された記録紙Pは,その搬送方向下流側に設けられた定着装置68に搬送され、ここで、現像剤が加圧されながら加熱されて記録紙に溶融定着される。これにより、ファクシミリ通信により受信した画像データが記録紙Pの第1面に記録される。その後,湾曲部78を経て、排出ローラ69によって排紙トレイ61に記録紙Pが第1面を下に向けた状態で排出される。
また、操作パネル5からコピーモードが設定されて、スタートボタン12が押下された場合は、画像読取ユニット22によって読み取られた原稿の画像データがレーザースキャニングユニット63に転送されることにより、読取画像が記録紙Pの第1面に記録される。
また、複合機1において両面コピー機能が設定されている場合は、第1面に画像が記録された記録紙Pは排出ローラ69による排出過程において、記録紙の搬送方向後端が排出ローラ69によってニップされた状態で停止される。その後、排出ローラ69が逆回転されて、記録紙Pが逆送される。このとき、記録紙Pの搬送方向先端は用紙搬送路64へ案内されずに、反転搬送路70へ案内される。記録紙Pは搬送ローラ71により反転搬送路70を搬送されて、プロセスユニット62の上流側、詳細には感光体ドラム72と転写ローラ77との狭持部の上流側で用紙搬送路64に合流する。これにより、記録紙の第2面が感光体ドラム72に対向するようにして搬送され、上述したように画像が記録されて、最終的に排出トレイ61へ排出される。なお、両面コピー時でも第1面を下に向けた状態で排出するべく、第2面への画像記録後に再度記録紙Pを反転搬送路70へ案内して用紙搬送路64へ再送し、画像記録をすることなく記録紙Pを排紙トレイ61に排出させてもよい。
次に、図5を参照して、本複合機1の動作を制御する制御部100について説明する。ここに、図5は制御部100の概略構成を示すブロック図である。制御部100は、図示するように、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)104を主とするマイクロコンピュータとして構成されており、バス105を介してASIC(Application Specific Integrated Circuit)106に接続されている。
ROM102には、複合機1が備える各機能を実現するためのプログラムや、複合機1を構成する各構成要素の動作を制御するためのプログラムが格納されている。RAM103は、CPU101が上記プログラムを実行する際に用いる各種データを一時的に記録する記憶領域又はデータやプログラムの展開領域として使用される。また、RAM103は読み取られた原稿の画像データを一時的に格納する画像メモリとして用いられる。また、EEPROM104には、上記プログラムに従った処理に用いられる各種データが格納されている。
CPU101は、制御部100を構成する周辺制御デバイス、或いは複合機1の駆動系機器を統括的に制御する演算処理装置である。このCPU101によって、ROM102に格納されたプログラムや、RAM103またはEEPROM104に格納されたデータが読み出され、上記プログラムに従った演算処理が行われる。これにより、後述するフローチャート(図6および図7参照)に示す手順に従った処理が実行される。なお、CPU101と後述の中継器108とによって本発明のMCF信号検出手段が具現化される。
バス105には、圧縮伸張部107、ASIC106、パネルゲートアレイ(パネルGA)114、LCDコントローラ115、NCU(Network Control Unit)118とFAXモデム119、中継器108、カウンタ109が接続されている。
圧縮伸張部107は,圧縮回路や伸張回路、内部メモリなどを備えて一体に回路構成されたLSIやVLSI等の集積回路である。上記圧縮回路は,圧縮伸張部107に順次入力された所定ライン(例えば8ライン)の画像データに対して少なくとも非可逆性圧縮処理を順次施すものであり,具体的にはJPEG方式の画像圧縮処理を行う回路が該当する。一方,上記伸張回路は,圧縮伸張部107に入力された圧縮画像データを順次伸張するものである。
ASIC106には、ADF4、スキャナ部3、プリンタ部2が接続されている。ASIC106はCPU101から受けた指令に従い、ADF4、スキャナ部3、プリンタ部2の駆動系を制御するための制御信号を生成してADF4、スキャナ部3、プリンタ部2それぞれに転送することによりADF4、スキャナ部3、プリンタ部2を駆動制御するものである。もちろん、ASIC106などのハードロジック回路を用いずに、CPU101により実行されるソフトウェアプログラムに基づいて上記各デバイスを制御してもよい。
パネルゲートアレイ114は、複合機1の操作パネル5に配設されたスタートボタンやストップボタンなどの各種の操作キー10を制御するものである。操作キー10が押下されると、パネルゲートアレイ114によって押下されたキーに対応する所定のコード信号が出力される。それぞれの操作キー10にはキーコードが割り当てられている。CPU101は、パネルゲートアレイ114から所定のキーコードを示すコード信号を受信すると、所定のキー処理テーブルに従って、実行すべき制御処理を行う。キー処理テーブルは、キーコードと制御処理とを対応させてテーブル化したものであり、例えば、EEPROM104に記憶されている。
LCDコントローラ115は、液晶ディスプレイ(LCD)11の画面表示を制御するものであり、例えば、LSIやVLSI等の集積回路からなる。LCDコントローラ115は、CPU101の指令に基づいて、液晶ディスプレイ11にプリンタ部2又はスキャナ部3の動作に関する情報やエラー情報、設定情報などを画面に表示させる。
FAXモデム119は、所謂G3FAXモデムと呼ばれるアナログ回線用のモデムであって、デジタル信号を伝送路の特性に合わせたアナログ信号に変調して送信するとともに、伝送路からのアナログ信号をデジタル信号に復調して受信する変調復調装置である。なお、接続される伝送路の仕様によってアナログ回線用の国際規格グループ3(G3)あるいはデジタル回線用(ISDN)の国際規格グループ4(G4)に適応したモデムが用いられる。
NCU118は、電話回線などの伝送路に接続するために交換機に対し回線の接続、相手側の電話番号の通知、切断、通信先などの変更処理を行う網制御装置である。ITU−T勧告に準拠したファクシミリ伝送手順に従ったファクシミリ通信はNCU118によって行われる。NCU118とFAXモデム119とにより本発明のファクシミリ制御手段による送信制御が具体的に実現される。
中継器108は、伝送路を介して送信相手から送信されたMCF信号を受信して該信号をCPU101に導くものである。詳細には、コンパレータや内部メモリ、A/D変換器、演算器などの電子デバイスを備えた集積回路として構成されている。内部メモリにはMCF信号を示す信号データ(x0110001)が格納されており、演算器により該信号データがコンパレータの入力ポートに出力される。また、コンパレータの他方の入力ポートには伝送路を介して伝送された信号が入力される。コンパレータに入力された2つの信号が該コンパレータによって比較判定される。そして、双方の信号が一致しているか否かの判定結果がCPU101へ通知される。上記コンパレータによって双方の信号が一致していると判定された場合はMCF信号が伝送されたことを意味する。この場合は、中継器108によってNCU118へのMCF信号の出力が遮断される。また、一致していない場合は伝送された信号が中継器108を経てNCU118へ出力される。なお、MCF信号の出力の遮断手法としては、例えば、所定のフィルタをNCU118側の信号経路に設け、MCF信号と判定された場合に上記フィルタのフィルタ係数を変えるなどしてNCU118へ出力されるMCF信号を除去することが考えられる。もちろん、上記した遮断手法以外に種々の手法が適用可能であることは言うまでもない。
カウンタ109は、伝送路を介して送信相手から受信したMCF信号の受信回数をカウント(計数)するカウント回路を有してなる。カウンタ109は後述するステップS17およびステップS18の判定処理に用いられる。カウントされた値はカウンタ109内の内部メモリに加算され累積記憶される。また、CPU101からカウンタ109にリセット信号が出力されると、カウンタ101の内部メモリが初期化され、カウント値がリセットされる。なお、カウンタ109に代えて、カウンタプログラムを用いてソフトウェアによってカウントを行う計数手段を適用してもよい。
また、バス105には、図外のコンピュータとパラレルケーブル又はUSBケーブルを介してデータの送受信を行うためのパラレルインタフェース116およびUSBインタフェース117が接続されている。
以下、ADF4による原稿の搬送動作、および画像読取ユニット22による原稿Gnの読取動作について説明する。スキャナ部3は、FBSとして使用することも、ADF4を使用することも可能であるが、FBSの使用は本発明に特に関連しないので詳細な説明は省略する。
ADF4を使用して原稿の画像を読み取る場合には、原稿カバー6を原稿読取台7に対して閉じた状態とする。原稿カバー6の開閉は、原稿読取台7に設けられたセンサ等により検知され、原稿カバー6が閉じられるとADF4が使用可能となるように制御されている。そして、原稿トレイ30に読み取るべき原稿が載置される。原稿載置される。また、原稿は1枚であっても複数枚であってもよい。例えば、同じサイズの複数枚の原稿の画像読取りを行う場合には、第1枚目の原稿の第1面が上向きとなるように、すなわちフェイスアップで重ね揃えて原稿トレイ30に載置される。
読取開始指示が入力されると、モータが駆動されて、吸入ローラ33、分離ローラ34、搬送ローラ35A,35B,35C,35D、排紙ローラ36、及びスイッチバックローラ43が所定のタイミングで回転駆動される。また、アーム29が降下されて、吸入ローラ33が原稿トレイ30上の原稿G1と圧接する。そして、吸入ローラ33及び分離ローラ34の回転力を直接受ける最上位置の原稿から1枚ずつ分離されて原稿搬送路32へ送り込まれる。給送された原稿は、原稿搬送路32に案内されて読取位置へ搬送され、該読取位置の下方で待機された画像読取ユニット22により原稿の画像読取りが行われる。そして、画像読取りを終えた原稿は、原稿排出トレイ31へ排出される。このような画像読取動作において、原稿の片面読取りを行う場合と両面読取りを行う場合とで、原稿の搬送経路が異なる。原稿の片面読取りを行うか両面読取りを行うかは、読取開始が入力される前に予め設定された片面読取モードまたは両面読取モードにより判断される。読取モードの設定情報は、RAM103あるいはCPUのレジスタに記憶され、画像読取りの前後において一定時間保持される。
以下、両面読取モードおよびファクシミリモードに設定された複合機1においてADF4により行われる複数枚原稿Gnの搬送動作、および画像読取ユニット22により行われる原稿Gnの両面画像の読取動作(両面読取動作)について、図8のタイミングチャートおよび図9〜図15の模式図を用いて説明する。ここに、図8は原稿Gnの搬送状態などを示すタイミングチャートであり、図中の(a)は原稿搬送路32における原稿Gnの搬送状態、(b)は読取動作状態、(c)はスイッチバック搬送時の原稿Gnの搬送状態、(d)は読取画像の送信処理、(e)はMPS信号、(f)はMCF信号、(g)はDCN信号のタイミングチャートである。また、図9〜図15は原稿Gnの画像読取時にADF4で実行される原稿搬送動作を説明するための模式図である。同図において原稿Gnに「1」で示された面は、両面読取りにおいて先に読み取られる第1面であり、「2」で示された面は後に読み取られる第2面であり、第1面と第2面とは表裏面の関係にある。なお、複合機1において片面読取りモードが設定されると、原稿トレイ30から給送された原稿G1は、第1面を読取位置に対向させて原稿搬送路32をUターン搬送されて、第1面のみの画像が読み取られた後、原稿排出トレイ31に排出される。このような片面読取りは、周知の動作であり、また、本発明とは関係しないため詳細な説明は省略する。
原稿Gnの給紙前は、図9に示すように、ガイドフラップ50は、連結位置38における搬送経路を、原稿搬送路32の読取位置側から原稿排出トレイ31側へ連続する位置にある。ガイドフラップ46は、交差位置40における搬送経路を原稿搬送路32の原稿トレイ30側から読取位置側へ連続させる位置にあり、ガイドフラップ47は、交差位置40における搬送経路をスイッチバックパス39の終端41側から原稿搬送路32の読取位置側へ連続させる位置にある。
読取開始指示が入力されると、制御部100は、第1フロントセンサ52により原稿トレイ30上に原稿Gnが載置されているか否かを検知させる。このとき、制御部100は、原稿トレイ30上に原稿Gnが載置されていないと判断した場合には、複合機1の液晶ディスプレイ11に「原稿なし」のエラー表示を行う。制御部100は、原稿トレイ30に原稿Gnが載置されていると判断した場合には、モータを駆動する。
モータが駆動されることにより、アーム29に駆動力が伝達されてアーム29が降下する。これにより、吸入ローラ33が原稿トレイ30上の原稿G1と圧接する。また、モータの駆動力が吸入ローラ33及び分離ローラ34に伝達され、吸入ローラ33及び分離ローラ34が給送方向に回転することにより、原稿G1は原稿搬送路32へ繰り込まれる。これにより、原稿の搬送が開始される(図8のT0)。原稿トレイ30に複数枚の原稿Gnが載置されている場合に、最上位置の原稿G1に伴って、その直下の原稿G2が重送されることがあるが、原稿G2は分離ローラ34の対向位置に設けられた分離パッドにより制止される。このようにして、原稿G1が原稿搬送路32に給紙される。
原稿搬送路32では、搬送ローラ35A,35B,35C,35D及び排紙ローラ36にモータからの駆動力が伝達されて、各ローラが原稿搬送路32の上流側から下流側へ原稿Gnを搬送するように、すなわち搬送方向に回転する。原稿トレイ30から原稿搬送路32へ給送された原稿G1は、搬送ローラ35A及びピンチローラ37にニップされて回転力が伝達されることにより、原稿搬送路32を交差位置40に搬送される。なお、原稿搬送路32に原稿G1が給送されることにより、第2フロントセンサ53がオンになる。
ガイドフラップ47は、原稿搬送路32の原稿トレイ30側から交差位置40への搬送経路を閉止しているので、交差位置40に搬送される原稿G1はガイドフラップ47に当接する。図10に示すように、ガイドフラップ47は、原稿搬送路32を搬送される原稿G1に押しやられるように図中左側に回動する。これにより、原稿搬送路32の原稿トレイ30側から読取位置側への搬送経路が連続するとともに、スイッチバックパス39の終端41側への搬送経路が閉止される。また、ガイドフラップ46により、スイッチバックパス39の連結位置38側への搬送経路は閉止されている。したがって、原稿搬送路32の原稿トレイ30側から交差位置40に到達した原稿G1は、ガイドフラップ46及びガイドフラップ47に案内されて、スイッチバックパス39のいずれの方向にも進入することなく、原稿搬送路32の読取位置側へ搬送される。
図11に示すように、原稿G1は、原稿搬送路32の湾曲部32Bにより下側へ反転するように搬送され、リアセンサ54が原稿G1の搬送方向先端を検知してオンになる。原稿G1の搬送方向先端は、リアセンサ54に検知されて所定時間経過した後に読取位置に到達するので、原稿G1の搬送方向先端が読取位置へ到達すれば、制御部100は画像読取ユニット22を動作させ、原稿G1の第1面の画像読取りが行われる(図8のT1)。詳細には、原稿G1は、第1面を画像読取ユニット22に対向するようにして読取位置を通過し、その通過過程において画像読取ユニット22により原稿G1の第1面の画像がその搬送方向先端から1ラインずつ読み取られる。そして、読み取られた画像の送信処理が開始される(図8のT2)。なお、画像読取ユニット22によって所定ライン(例えば8ライン)分の画像が読み取られるごとに、読み取られた部分画像が予め入力されたFAX番号に基づき特定された送信相手に送信される。かかる送信処理は後述するように図6及び図7のフローチャートに従って実行される。
リアセンサ54は、原稿G1の搬送方向後端を検知するとオフになる(図11参照)。制御部100は、リアセンサ54がオフになって所定時間経過した後に、画像読取ユニット22による原稿G1の第1面の画像読取りを終了させる(図8のT3)。
原稿G1の第1面の画像読取りの終了後、読み取られた原稿G1の第1面の画像の送信が終了すると(図8のT4)、NCU118からMPS信号sig1(図8(e)参照)が送出され、連続して送信する画像(次頁の画像)の存在が送信相手の通信装置に伝達される。なお、本来、MPS信号sig1が送信相手側へ送出されると、MPS信号sig1を受信した送信相手の受信端末から直ちにMCF信号sig11(図8(f)参照)が返信されるが(図8のT5)、本複合機1では、MPS信号sig1に応じて返信されたMCF信号sig11は後述するように破棄される(図7のS19参照)。
図12に示すように、ガイドフラップ50は、原稿G1の搬送方向先端が連結位置38に到達するまでに、モータからの駆動力を受けて原稿G1をスイッチバックパス39へ案内する姿勢に姿勢変化される。第1面を読み取られた原稿G1は、その搬送方向先端がガイドフラップ50に案内され、連結位置38を原稿搬送路32からスイッチバックパス39へ進入される。これにより、原稿のスイッチバック搬送が開始される(図8のT3)。このとき、スイッチバックセンサ55は、スイッチバックパス39に進入した原稿G1の搬送方向先端を検知してオンになる。
ガイドフラップ46は、スイッチバックパス39から交差位置40への搬送経路を閉止しているので、スイッチバックパス39に進入した原稿G1の搬送方向先端は、交差位置40に到達する際にガイドフラップ46に当接する。ガイドフラップ46は、図12に示すように、スイッチバックパス39を搬送される原稿G1の搬送方向先端に押し上げられるように回動される。これにより、スイッチバックパス39の連結位置38側からスイッチバックパス39の終端41側への搬送経路が連続するとともに、原稿搬送路32の読取位置側への搬送経路が閉止される。また、ガイドフラップ47により、原稿搬送路32の原稿トレイ30側への搬送経路は閉止されている。したがって、スイッチバックパス39の連結位置38側から交差位置40に到達した原稿G1の搬送方向先端は、ガイドフラップ46及びガイドフラップ47に案内されて、原稿搬送路32に進入することなく、交差位置40から終端41へ延びるスイッチバックパス39へ搬送される。そして、原稿G1の搬送方向先端は、スイッチバックローラ43及びピンチローラ44にニップされ、スイッチバックローラ43の引き込み方向の回転によりスイッチバックパス39を終端41側へ搬送される。
図13に示すように、原稿G1の搬送方向後端が、スイッチバックパス39の交差位置40を超えて終端41側に完全に進入した後、制御部100はモータの回転を切り替える。スイッチバックセンサ55は、スイッチバックパス39を搬送される原稿G1の後端を検知してオフになり、それから所定時間経過後に原稿G1の後端が交差位置40を通過する。したがって、制御部100は、スイッチバックセンサ55の検知信号と搬送ローラ35D及びスイッチバックローラ43による搬送距離又は搬送時間のカウントにより、原稿G1の搬送方向後端が、スイッチバックパス39の交差位置40を超えて終端41側に完全に進入したことを判断する。モータの回転が切り替えられることにより、スイッチバックローラ43とピンチローラ44にニップされて終端41から突出された原稿G1は、交差位置40へ戻される。
なお、原稿G1の一部がスイッチバックパス39の終端41からADF4の外側へ突出した際に、突出した原稿G1の一部分は原稿支持部42により支持される。また、原稿G1が交差位置40を通過してガイドフラップ46から離れることにより、ガイドフラップ46は下側へ回動する。
図14に示すように、スイッチバックパス39から戻された原稿G1は、交差位置40においてガイドフラップ46に当接する。ガイドフラップ46は、図14に示す位置から下側へ回動しないように規制されている。したがって、スイッチバックパス39の終端41側から原稿搬送路32の読取位置側への搬送経路が連続するとともに、スイッチバックパス39の連結位置38側への搬送経路が閉止される。また、ガイドフラップ47は、原稿搬送路32の原稿トレイ30側への搬送経路を閉止している。したがって、原稿G1は、ガイドフラップ46及びガイドフラップ47に案内されて、スイッチバックパス39の連結位置38側や原稿搬送路32の原稿トレイ30側へ進入することなく、スイッチバックパス39の終端41側から原稿搬送路32の読取位置側へ搬送される。原稿G1がスイッチバックパス39から原稿搬送路32の読取位置の上流側へ戻されることにより、原稿G1は、最初に原稿搬送路32を搬送された状態から、先端と後端とが逆転した状態で原稿搬送路32を再送される(図8のT6)。このようにして、原稿G1がスイッチバックされる。そして、原稿G1は、第2面を読取位置に対向させるようにして原稿搬送路32を搬送される。
原稿G1の搬送方向先端がリアセンサ54に検知され、該搬送方向先端が読取位置に到達すると、図15に示すように、制御部100は、画像読取ユニット22に、原稿G1の第2面の画像読取りを行わせる(図8のT9)。そして、読み取られた第2面の画像データの向きを第1面画像と同じ向きに合わせるための反転処理が行われ、反転処理がなされた画像が送信される(図8のT10)。
このように、本複合機1では、第1面画像の読取り後に原稿G1がスイッチバックされるため、第2面画像の送信処理までにある程度の準備時間t2(図8参照)を要する。具体的には、原稿G1のスイッチバック搬送や、スイッチバックされた原稿G1の読取位置までの再送、原稿G1の第2面の読取処理、読み取られた画像データの反転処理に費やされる時間が準備時間t2として必要である。上述したように本複合機1のADF4において両面読取可能に搬送し得る最大原稿サイズは縦送りA4サイズである。このADF4においては、原稿G1のスイッチバックに概ね2.5秒、スイッチバック後から読取位置までの再送に概ね0.5秒、第2面画像の所定ライン分の読取り及び反転処理に概ね1秒ほどかかり、上記準備時間t2として概ね4秒要することが実測データとして得られている。なお、この準備時間t2は、仮に、MPS信号sig1の送出に応じて直ちに返信されるMCF信号sig11を受信した場合に、その受信から第2面画像の送信準備が整うまでに要する時間t4(図8参照)と実質的に一致する。上記時間t4が経過するまでは、送信元の複合機1と送信相手の通信装置とは無通信状態となる。ITU−T勧告に従ったファクシミリ通信が行われる場合は、送信元の複合機1と送信相手の通信装置との間で3秒を超える無通信状態が継続すると、タイムアウトが発生して一方的に回線を切断する処理がなされるが、本実施形態では、上述したように、送信相手の受信端末から返信されたMCF信号sig11は破棄される。従って、MPS信号sig1が送出されてからt1(t1=3秒)経過後に再度MPS信号sig2が送信相手に送出されるため(図8のT7)、3秒を超える無通信状態が回避され、送信相手側による一方的な回線の切断が防止される。なお、MPS信号sig2の送出に応じて返信されたMCF信号sig12(図8のT8)は破棄されずにNCU118で受信される。
原稿G1の搬送方向後端がリアセンサ54に検知されて、該後端が読取位置に到達すれば、制御部100は、画像読取ユニット22による原稿G1の第2面の画像読取りを終了する(図8のT11)。そして、第2面の画像が読み取られた後の原稿G1は、その搬送方向先端がガイドフラップ50に案内されて、連結位置38を原稿搬送路32からスイッチバックパス39へ進入する。これにより、再び原稿G1はスイッチバック搬送される(図8のT11)。
原稿G1の第2面の画像読取りの終了後、読み取られた原稿G1の第2面の画像の送信が終了すると(図8のT12)、NCU118からMPS信号sig3(図8(e)参照)が送出され、連続して送信する画像データ(次頁の画像データ)の存在が送信相手の受信端末に伝達される。なお、本実施形態では、後述するように、MPS信号sig3が送信相手側へ送出されたときに直ちに返信されるMCF信号sig13(図8のT13)が破棄され、その後、時間t1経過後にNCU118によって再び送出されるMPS信号sig4(図8のT15)に応じて返信されるMCF信号sig14(図8のT16)も破棄される。そして、MPS信号sig3から数えて3回目に送出されたMPS信号sig5(図8のT19)に応じて返信されたMCF信号sig15(図8のT20)がNCU118で受信される。
原稿G1がスイッチバックパス39へ進入し、その先端が交差位置40に到達すると、図13と同様にして、原稿G1の搬送方向先端はガイドフラップ46を押し上げて、交差位置40から終端41側へ延びるスイッチバックパス39に進入する。そして、図14と同様にして、原稿G1の搬送方向後端が、スイッチバックパス39の交差位置40を超えて終端41側に完全に進入した後、制御部100はモータの回転を切り替え、スイッチバックローラ43を戻し方向に回転させて、原稿G1を交差位置40へ戻す。スイッチバックパス39から戻された原稿G1は、ガイドフラップ46及びガイドフラップ47に案内されて、スイッチバックパス39の終端41側から原稿搬送路32の読取位置側へ搬送される。これにより、原稿G1は、再び先端と後端とが逆転した状態で、すなわち最初に原稿搬送路32に給送された状態で原稿搬送路32を再送される(図8のT14)。このようにして、原稿G1が再びスイッチバックされる。そして、原稿G1は、第1面を読取位置に対向させるようにして原稿搬送路32を搬送される。
その後、原稿G1は、読取位置を通過し、ガイドフラップ50により連結位置38を原稿排出トレイ31側へ案内され、排紙ローラ36により、第1面を下にした状態で原稿排出トレイ31に排出される(図8のT17)。原稿G1の排紙後は、原稿トレイ30に次の原稿G2がセットされているため、すなわち第1フロントセンサ52がオンであるため、制御部100は、分離ローラ34を給送方向に回転させて、原稿トレイ30上の原稿G2を原稿搬送路32に給送させる(図8のT18)。そして、前述と同様にして原稿G2の両面の画像読取りが行われる。なお、原稿トレイ30に、次の原稿がない場合には、制御部100は、両面読取りを終了する。
本複合機1では、上述したように、原稿G1の第2面読取り後に原稿G1をスイッチバックさせて排出し、その後に原稿G2の搬送(図8のT18)、原稿G2の第1面画像の読取り(図8のT21)、原稿G2の第1面画像の送信(図8のT22)が順次行われる。従って、原稿G1の第2面画像が読み取られ送信されてから原稿G2の第1面画像が読み取られ送信されるまでの準備時間として、上記準備時間t2よりも長い時間t3を要する。そのため、上述したように、MCF信号sig13(図8のT13)及びMCF信号sig14(図8のT16)を連続して破棄して、MPS信号sig4及びMPS信号sig5を送出させることにより、無通信状態となることを回避して、タイムアウトによる回線の切断を防止している。
なお、本実施形態では、原稿トレイ30に載置された複数枚の原稿Gnの順序を維持した状態で原稿排出トレイ31へ排紙されるものとして、画像読取ユニット22による両面読取りの動作を説明したが、原稿トレイ30に載置された原稿Gnの順序と原稿排出トレイ31に排紙された原稿Gnの順序とを整合させる必要がない場合には、読取位置に原稿Gnの第2面を対向させて原稿Gnが搬送された後、再びスイッチバックパス39に原稿Gnを進入させることなく、連結位置38を原稿排出トレイ31側へ搬送して、原稿排出トレイ31へ原稿Gnを排出することとしてもよい。これにより、原稿排出トレイ31において原稿Gnの順序は維持されないが、最後のスイッチバック搬送を省略することができるので、原稿Gnの両面読取りに要する時間を短縮することができる。また、上記の如く時間が短縮されるため、MCF信号sig14を破棄せず受信するようにしてもよい。
続いて、図6および図7のフローチャートを用いて、ファクシミリモードにおいてCPU101によって実行されるファクシミリ通信処理の手順の一例について説明する。図中のS1、S2、…は処理手順(ステップ)の番号を示す。以下の処理は、原稿トレイ30に原稿Gnがセットされ、ファクシミリモードおよび両面読取モードが予め設定された状態でステップS1から開始される。なお、言うまでもなく、当該ファクシミリ通信処理はITU−T勧告に準拠したデータ伝送手順に従って行われる。このデータ伝送手順は周知であるため、該データ伝送手順に含まれるフェーズA〜Eの各手順で行われる処理についての詳細な説明は省略する。
本複合機1では、操作パネル5のファクシミリモードキーが押下され、その後に送信相手を特定するFAX番号が入力され、液晶ディスプレイ11に表示される両面読取機能が選択されることにより、原稿Gnの両面画像のファクシミリ通信が可能となる。この状態で、操作パネル5から読取指示が入力されると、フェーズAで定められた回線接続処理が実行され(S1)、フェーズBで定められたデータリンクの確立処理(S2)が実行される。これにより、送信相手との間で画像データの送受信が可能な状態となる。
上述したように原稿G1が搬送され、第1面画像が読み取られると、フェーズCの手順に従って読み取られた第1面画像が送信される(S3)。第1面画像の送信後は、ステップS4において、ステップS3で送信した画像が第1面画像であるかどうかが判定される。かかる判定は、例えば、読取指示が入力されてからの原稿の読取回数や原稿の搬送状態を監視することにより容易である。ここで第1面画像であると判定されると、処理はステップS5に進み、後述のステップS18で用いられる判定値nが「1」に設定される。その後、処理はステップS8に進み、第1面画像の送信後にMPS信号が出力される。なお、上記判定値nは画像データ送信後に受信したMCF信号を破棄する回数であり、ステップS5及び後述のステップS7は該回数を設定するための処理である。かかる回数は、例えば、RAM103やCPU101のレジスタに設定記憶される。
一方、ステップS3で送信した画像が第1面画像ではない場合、即ち、第2面画像の場合は、ステップS6において、現在読み取られている原稿Gnが最終原稿であるかどうかが判定される。かかる判定処理は、第1フロントセンサ52のオン/オフに基づいて判定される。ここで、原稿Gnが最終原稿でないと判定されると、後述のステップS18で用いられる判定値nが「2」に設定される(S7)。その後、処理はステップS8に進み、第1面画像の送信後にMPS信号が出力される。なお、当該ステップS7で判定値nが「2」に設定される理由は、送信された画像データが第2面画像であり、最終原稿でない場合は、次頁の原稿の第1面画像の送信準備が整うまでに時間を要するためである。
また、ステップS6において、最終原稿であると判定された場合は、次に送信する画像が存在しないため、ステップS8においてEOP信号が出力される。当該ステップS8でMPS信号あるいはEOP信号が出力されると、続いて、図7のステップS9以降の処理が実行される。
図7のステップS9では、送信相手から返信されたMCF信号を中継器108(図5参照)で中継したかどうかが判定される。詳細には、NCU118からMPS信号あるいはEOP信号が出力されたことにより、該信号に応答して送信相手の受信端末から返信されたMCF信号が中継器108(図5参照)で受信されたかどうかが判定される。この判定は、中継器108からCPU101に出力される比較結果に基づいて行われる。MCF信号が受信されたと判定された場合は、EOP信号に応答して返信されたものである場合には(S10のYes側)、CPU101によってMCF信号がNCU118へ転送される(S11)。その後、カウンタ109(図5参照)のカウント値がリセットされる(S12)。
そして、受信したMCF信号がEOP信号に応答して返信されたものである場合には(S14のYes側)、ステップS15においてフェーズDで定められた手順に従ってデータリンクを解放する処理がなされ、その後、DCN信号を送出して回線を切断する処理が行われる(S16)。一方、受信したMCF信号がMPS信号に応答して返信されたものである場合には(S14のNo側)、処理は図6のステップS3に進み、次の画像データを送信する処理及び該ステップS3以降の処理が繰り返される。
一方、ステップS10において、受信したMCF信号がEOP信号ではなくMPS信号に応答して返信されたものである場合には(S10のNo側)、処理はステップS18に進む。ここでは、カウンタ109でカウントされたカウント値Kが上記ステップS5またはS7で設定された設定値nと同値であるかどうかがCPU101によって比較判定される。即ち、カウント値Kが設定値nに達したかどうかが判定される。
例えば、最初の原稿G1の第1面画像が送信された後に処理がステップS17に進んだ場合は、設定値nは「1」に設定されており、また、カウント値Kは初期値「0」であるため、ステップS17では「No」と判定される。この場合、ステップS18において、CPU101によってカウンタ109に信号が送られて、カウンタ109のカウント値がインクリメントされる。その後、中継器108から転送されたMCF信号がNCU118に転送されずに破棄される(S19)。従って、NCU118によってMCF信号が受信されないため、時間t1(=3秒)(図8参照)が経過したことを条件に(S20のYes側)、再度ステップS8においてMPS信号が出力される。その後、ステップS9、S10を経て、再度処理がステップS17に進むと、カウント値Kと設定値nとは同値「1」であるため、MCF信号は破棄されずに、ステップS11においてNCU118へ転送される。なお、上述したように、その後、ステップS12においてカウント値Kはリセットされる。このように、最初の原稿G1の第1面画像が送信された場合は、MCF信号が1回だけ破棄されることにより、NCU118へのMCF信号の転送が1回だけ遮断される。即ち、NCU118によるMCF信号の検出が1回だけCPU101によって阻止される。
一方、原稿G1の第2面画像が送信され、更に原稿G1が最終原稿でないと判定された後に処理がステップS17に進んだ場合は、設定値nは「2」に設定されており、また、カウント値Kは初期値「0」にリセットされているため、ステップS17では「No」と判定される。その後、上述と同様にしてカウンタ109のカウント値がインクリメントされ(S18)、MCF信号がCPU101によって破棄され(S19)、時間t1(=3秒)が経過が経過したことを条件に(S20のYes側)、再度ステップS8においてMPS信号が出力される。このループ処理をステップS18においてカウント値Kが設定値n(=2)をカウントするまで行われる。このように、原稿G1の第2面画像が送信され、更に原稿G1が最終原稿でないと判定された後に処理がステップS17に進んだ場合は、NCU118へのMCF信号の転送が2回だけ遮断される。即ち、NCU118によるMCF信号の検出が2回だけCPU101によって阻止される。なお、3回破棄すると、ITU−T勧告によればNCU118によって回線が切断される。そのため、MCF信号を破棄する回数として最大2回まで設定可能である。もちろん、ITU−T勧告によってファクシミリ処理手順が制限されない場合は、複合機1における上記準備時間t2及びt3に応じた任意の値に記設定値nを設定することができるのは当然である。
なお、上述した実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、実施形態を適宜変更することができることはもちろんである。上述の実施形態では、集積回路などのハードロジック回路により構成された中継器108によってCPU101へのMCF信号の伝送を遮断する例について説明したが、この中継器108の機能を実現するプログラムに従ってCPU101を動作させることにより、ソフトウェアによってNCU118へのMCF信号の伝送を強制的に遮断するようにしてもよい。