以下、本発明にかかる画像形成装置を具体化した実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本実施形態は、ファックス送受信機能,スキャン機能,及びコピー機能を備えた複合機(MFP:Multi Function Peripheral)に本発明を適用したものである。
[MFPの構成]
本実施形態のMFP100は、図1に示すように、用紙に画像を印刷する画像形成部51と、原稿の画像を読み取る画像読取部52とを備えている。なお、画像形成部51の画像形成方式は、電子写真方式であっても、インクジェット方式であってもよい。また、画像形成部51は、カラー画像及びモノクロ画像の形成が可能であってもよいし、モノクロ画像のみの形成が可能であってもよい。さらに、画像読取部52は、カラー画像及びモノクロ画像の読み取りが可能であってもよいし、モノクロ画像のみの読み取りが可能であってもよい。
MFP100は、前面側に操作パネル40を備えている。操作パネル40には、図1に示すように、液晶ディスプレイからなる表示部42、各種のボタン(例えば、スタートキー43,キャンセルキー,テンキー等の各ボタン)によって構成されるボタン群41等が設けられている。MFP100では、操作パネル40の表示部42やボタン群41によって、動作状況の表示やユーザによる操作の入力が可能になっている。
[画像読取部の構成]
続いて、画像読取部52(読取手段の一例)の構成について、図1および図2を参照しつつ説明する。なお、図1および図2は、画像読取部52の外観を示している。
画像読取部52は、画像の読み取りを行う本体部10と、原稿の自動搬送を行う自動原稿供給装置(ADF:Auto Document Feeder)20とを備えている。ADF20は、本体部10の上方に位置するとともに一辺が本体部10と接続し、本体部10に対して回動自在に設けられている。そのため、ADF20は、本体部10の上面を開閉することができる。
ここで、図1のA−A断面における画像読取部52の内部構成を示す図3を参照しつつ説明する。本体部10は、その上面に、コンタクトガラス11(以下、「FBガラス11」とする)、コンタクトガラス12(以下、「ADFガラス12」とする)を備えている。さらに、本体部10の内部であってFBガラス11、ADFガラス12の下方には、原稿の画像を読み取るイメージセンサ15が設けられている(図3参照)。イメージセンサ15は、主走査方向(用紙搬送方向に直交方向、図3の奥行き方向)に光学素子が一列に並んで配置されており、原稿からの反射光を電気信号に変換して出力する。イメージセンサ15としては、例えば、CIS(Contact Image Sensor)などが適用可能である。
イメージセンサ15は、スライド軸13に対してスライド自在に支持されている。このスライド軸13は、副走査方向(図3中の左右方向)に延び、両端部が本体部10の筐体に固定されている。そのため、イメージセンサ15は、図3中の左右方向に移動可能に設けられている。
ADF20は、読み取り前の原稿を載置する原稿トレイ21と、読み取り後の原稿を載置する排出トレイ22とを備えている。具体的に、原稿トレイ21は、排出トレイ22の上方に配設されている。また、原稿ガイド53は原稿トレイに21に取り付けられ、両端部を図3の奥行き方向にスライド可能になっている。ユーザは、原稿ガイド53の両端部をスライドして原稿幅に合わせることにより、原稿を傾きなく載置させることが可能である。原稿ガイド53には、原稿の幅を検出可能な原稿幅センサ54が取り付けられている。
また、ADF20は、その下面に開口部23が設けられ、その開口部23の上流側に原稿押さえ板24が配置されている。この原稿押さえ板24は、原稿搬送方向の、メインローラ62よりも下流で排出ローラ63よりも上流に位置し、ADF20を閉じた状態でADFガラス12と対向している。
ADF20は、原稿トレイ21に載置された原稿を搬入ローラ61によって1枚ずつ取り出し、原稿センサ50まで搬送し、その原稿をメインローラ62に沿ってUターンさせる。そして、その原稿を本体部10のADFガラス12に対向する位置に搬送する。具体的には、原稿を原稿押さえ板24とADFガラス12との間を通過させる。その後、排出ローラ63を介して、その原稿を排出トレイ22上に排出する。
また、イメージセンサ15を利用した原稿の読取方式としては、フラットベッド(原稿固定走査)方式と、ADF(原稿移動走査)方式とがある。フラットベッド方式の場合、原稿を1枚ずつFBガラス11上に載置する。その状態で、イメージセンサ15が副走査方向(主走査方向に直交方向、図3の左右方向)に移動し、その際に主走査方向に1ラインずつ原稿の画像が読み取られる。一方、ADF方式の場合、原稿を纏めて原稿トレイ21に載置する。そして、イメージセンサ15がADFガラス12に対向する位置に移動し、固定される。その状態で、ADF20によって原稿が原稿押さえ板24の下側であってADFガラス12に対向する位置に搬送され、その際に主走査方向に1ラインずつ原稿の画像が読み取られる。
また、ADF20は、原稿搬送方向の、搬入ローラ61よりも下流でメインローラ62よりも上流に、原稿の画像を読み取るイメージセンサ25およびそのイメージセンサ25に対向する原稿押さえ板26を備え、イメージセンサ25と原稿押さえ板26との間を原稿が通過するように配置される。イメージセンサ25についても、本体部10のイメージセンサ15と同様に、CISなどが適用可能である。
イメージセンサ25は、ADF方式によってイメージセンサ15に読み取られる面とは反対の面を読み取ることができる位置に配置される。そのため、本形態の画像読取部52は、1回の原稿搬送で、本体部10のイメージセンサ15によって原稿の第1面を、ADF20のイメージセンサ25によって原稿の第2面を、それぞれ読み取ることができる。つまり、1パスで両面読み取りを行うことが可能な構成になっている。
なお、ここではイメージセンサ15とイメージセンサ25によって、1パスで原稿の両面読み取りを行う形態について説明したが、イメージセンサ25はあってもなくてもよい。その場合、画像読取部52内には原稿の反転経路を備え、イメージセンサ15でまずは第1面を読み取り、その後、反転経路により反転させた原稿を搬送し、第2面を読み取る。つまり、2パスで両面読み取りを行う。
[画像形成部の構成]
続いて、画像形成部51(印刷手段の一例)の構成について、図4を参照しつつ説明する。なお、図4は画像形成部51の内部構成を示している。
画像形成部51は、パーソナルコンピュータ(PC)等の情報端末装置から送られてくる画像データや画像読取部52で読み取った原稿の画像データを基に画像を生成し、当該画像を用紙に印刷する。本実施形態の画像形成部51は、周知の電子写真方式によって画像を形成するものであり、トナーにより画像を形成する印刷部55と、画像形成前の用紙を載置する給紙カセット91と、画像形成後の用紙を載置する排紙トレイ92とを備えている。
画像形成部51内には、底部に位置する給紙カセット91に収容された用紙が、給紙ローラ73,レジストローラ72(搬送手段の一例),印刷部55を通り、排紙ローラ74を介して上部の排紙トレイ92へ導かれるように、略S字形状の搬送経路71が設けられている。すなわち、画像形成部51は、給紙ローラ73により給紙カセット91に載置されている用紙を1枚ずつ取り出し、その用紙をレジストローラ72によって印刷部55に搬送し、印刷部55にて形成されたトナー像をその用紙に転写する。そして、定着後の用紙を排紙ローラ74等により排紙トレイ92に排出する。
さらに、画像形成部51内には、用紙の両面に印刷を行うための両面印刷機構が備えられている。図4中の搬送路75は、用紙の両面のうち先に搬送される面である先行面に印刷が行われた用紙の、後続面にも印刷が行われるように、用紙を反転して印刷部55に再搬送するための搬送路である。
画像形成部51による両面印刷では、搬送路71を経由して先行面に画像形成された用紙を排紙ローラ74で停止させ、用紙の搬送方向を反転させる。そして、その用紙を排紙ローラ74から再搬送路である搬送路75に搬送し、印刷部55と給紙カセット91との間の位置を通過させ、再度印刷部55まで導く。これにより、用紙の表裏が反転され、後続面に画像形成されることになる。
なお、図4に示した画像形成部51は、搬送路71に沿って搬送されてきた用紙を、排紙ローラ74によって反転して方向を変えることにより、用紙を図4中の前方向へと排紙するフェイスダウン方式である。しかし、用紙を排紙ローラ74によって反転せず、方向を変えずにそのまま図4中の後方向へと排紙するフェイスアップ方式であってもよい。
[MFPの電気的構成]
続いて、MFP100の電気的構成について説明する。MFP100は、図5に示すように、CPU31(制御手段,圧縮手段,判定手段の一例)と、ROM32と、RAM33(記憶手段の一例)と、NVRAM(Non Volatile RAM)34とを備えた制御部30を備えている。また、制御部30は、画像形成部51と、画像読取部52と、操作パネル40と、原稿センサ50と、原稿幅センサ54と、ネットワークインターフェース37とに、電気的に接続されている。
ROM32には、MFP100を制御するための制御プログラムであるファームウェアや各種設定、初期値等が記憶されている。RAM33及びNVRAM34は、各種制御プログラムが読み出される作業領域として、あるいは読み取った画像データを一時的に記憶する記憶領域として利用される。
CPU31は、ROM32から読み出した制御プログラムや各種センサから送られる信号に従って、その処理結果をRAM33またはNVRAM34に記憶させながら、MFP100の各構成要素を制御する。
原稿センサ50は原稿の有無を検知し、その検知信号をCPU31に出力する。原稿幅センサ54は、原稿ガイド53の両端部の位置を検出し、その検出信号をCPU31に出力する。CPU31は原稿幅センサ54の検出信号を基に、原稿の幅を判断する。
ネットワークインターフェース37は、他の装置との通信を可能にするインターフェースである。MFP100は、ネットワークインターフェース37を介して他の装置から送信される印刷データを受信したり、他の装置へ読み取った画像データを送信したりする。
[MFPの制御]
続いて、MFP100の制御について説明する。本明細書におけるMFP100は、画像データを印刷する両面コピーモードを有する。この両面コピーモードは、読み取った原稿の画像データを用紙の両面へ印刷するモードである。
[実施形態]
以下、本実施形態に関する両面コピー処理について、図6〜図12を参照しつつ説明する。
なお、本実施形態における両面コピー処理では、用紙の両面へ印刷する画像データの読み取りが完了する前に用紙の搬送を開始して印刷を行う。また、以下の説明では、用紙の搬送を、レジストローラ72による印刷部55への用紙の搬送のことを指すものとして説明する。
また、両面コピーを行う際は、原稿の片面にある画像を読み取る場合と原稿の両面にある画像を読み取る場合がある。以下の説明では、片面原稿の場合は「原稿の1ページ目」とは原稿の1枚目を、「原稿の2ページ目」は原稿の2枚目を指すものとし、両面原稿の場合は「原稿の1ページ目」とは原稿の一方の面を、「原稿の2ページ目」は原稿の他方の面を指すものとして説明する。
本実施形態の両面コピー処理について、まず図6のフローチャートを参照しつつ説明する。両面コピー処理は、例えば操作パネル40の操作を介して両面コピーモードが設定され、スタートキー43の押下が検出されると、CPU31によって処理が開始される。
両面コピーモードの処理が開始されると、S101にて、原稿を読み取る方向と画像データの用紙への印刷方向が同じか否かを、CPU31が判断する。CPU31は、原稿と用紙の搬送方向,綴じ代設定,画像読取部52の読取機構等の情報に基づいて、S101の判断を行う。まず、原稿を読み取る方向と画像データの用紙への印刷方向が同じ場合と異なる場合を、それぞれ図7〜図9を例として参照しつつ説明する。
なお、図7〜図9は原稿の片面のみにある画像を読み取り、用紙の両面への印刷を行う場合を例に示してある。また、読み取りを行う原稿の画像が片面のみにあるか両面にあるかについては、操作パネル40の操作を介してユーザから入力された設定に基づいて、CPU31が判断する。
また、以下の説明では、アルファベット「A」または「B」という文字の画像に対して上下左右方向(図7〜図9中の上下左右方向)を用いて説明する。また、原稿の長さの長い辺を長辺(図7〜図9中の上下方向)、長さの短い辺を短辺(図7〜図9中の左右方向)とする。また、以下の説明では特に断りがない限り、原稿および用紙は、長辺方向に搬送されるようになっているとして説明する。
図7の場合は、例えば、操作パネル40の操作を介してユーザから短辺綴じが設定されている場合である。この場合、アルファベット「A」および「B」の原稿を、図中の上から下の方向へ順次読み取っていく。そして読み取ったアルファベット「A」および「B」を、用紙に上から下の方向へ印刷していく。この場合、原稿を読み取る方向と画像データの用紙への印刷方向が同じである。
図8の場合は、例えば、操作パネル40の操作を介してユーザから長辺綴じが設定されている場合である。この場合、アルファベット「A」および「B」の原稿を、図中の上から下の方向へ順次読み取っていく。一方、印刷はアルファベット「A」は上から下の方向へ印刷するが、「B」は下から上の方向へ印刷を行う。この場合、原稿を読み取る方向と画像データの用紙への印刷方向が異なる。
図9では、原稿が短辺方向に搬送され、用紙が長辺方向に搬送される例を示している。この場合、アルファベット「A」および「B」の原稿を、左から右の方向へ順次読み取っていく。一方、印刷はアルファベット「A」および「B」を上から下の方向へ印刷していく。このとき、図8のようにアルファベット「B」を図7の場合のように、下から上の方向へ印刷する場合があるか否かに関わらず、原稿を読み取る方向と画像データの用紙への印刷方向が異なる。つまり、長辺綴じか短辺綴じか否かに関わらず、原稿を読み取る方向と画像データの用紙への印刷方向が異なる。
以上のように、原稿を読み取る方向と画像データの用紙への印刷方向には、図7〜図9に例として示したような場合がある。CPU31は、原稿と用紙の搬送方向,綴じ代設定,画像読取部52の読取機構等の情報に基づいて、これらの場合を判断する。これについて説明する。
CPU31は、原稿幅センサ54からの検出信号に基づいて、原稿のサイズを判断する。これは、周知の技術であるので、詳細な説明を省略する。これより、原稿を搬送して読み取りを行う方向が、長辺に沿った方向(長辺方向)なのか短辺に沿った方向(短辺方向)なのかが判断できる。
さらに、CPU31は、用紙が搬送されて印刷を行う方向が、長辺方向なのか短辺方向なのかについて、操作パネル40の操作を介してユーザから入力された設定情報に基づいて判断できる。また、A4サイズの用紙が長辺方向に搬送されるようにしか載置できないといったように、給紙カセット91のサイズから印刷方向が長辺方向か短辺方向かを、CPU31が判断できる場合もある。
なお、原稿および用紙の搬送方向は、操作パネル40の操作を介して入力させ、その入力に基づいてCPU31が判断してもよい。
次に、CPU31は、操作パネル40の操作を介してユーザから入力された、綴じ代設定を判断する。綴じ代設定には、例えば、長辺綴じと短辺綴じがある。
次に、読取機構について説明する。図7〜図9では、原稿の片面にある画像について説明したが、原稿の両面にある画像を読み取る場合がある。このような場合、読取機構によって、原稿の読み取る方向と印刷方向が異なる場合がある。これについて説明する。
まず、画像読取部52がイメージセンサ15とイメージセンサ25を備え、1パスで原稿の両面を読み取ることができる場合は、図10にようにアルファベット「A」もアルファベット「B」も上から下の方向へ読み取られる。
一方、画像読取部52がイメージセンサ25を備えず、2パスで原稿の両面を読み取る場合は、アルファベット「A」は上から下の方向へ読み取られ、原稿が反転されて搬送されることにより、アルファベット「B」は下から上の方向へ読み取られる。この場合、図8で説明したように長辺綴じが設定されていたとしても、原稿を読み取る方向と印刷を行う方向が同じになる。
以上のように、CPU31は、原稿と用紙の搬送方向,綴じ代設定,原稿の読み取り面,読取機構などの情報に基づいて、原稿を読み取る方向と画像データの用紙への印刷方向が同じか否かを判断する。
原稿を読み取る方向と画像データの用紙への印刷方向が同じ場合は(S101:Yes)、S102に移行して、用紙の搬送を開始する時間として、予め定められた時間T1(図7参照)をCPU31が設定する。なお、時間T1や後述する時間T2は予め定められ、ROM32やNVRAM34等に記憶されているものとする。
原稿を読み取る方向と画像データの用紙への印刷方向が異なる場合は(S101:No)、S103に移行して、用紙の搬送を開始する時間として、時間T1より長いT2(図8参照)をCPU31が設定し、RAM33等に記憶する。
なお、本実施形態では、時間T2は、用紙の先行面に印刷する画像データの読み取りが完了する時間としている。図8や図9に示したように、原稿を読み取る方向と印刷方向が異なる場合は、読み取った画像データを回転する処理を行わなければならない。その分、原稿を読み取る方向と印刷方向が同じ場合と比べて時間を要する。
そのため、原稿を読み取る方向と印刷方向が異なるか否かで、用紙の搬送開始時間を変更することにより、画像データが欠けている状態で用紙の搬送が開始され、印刷が行われることによる、印刷の失敗を抑制することができる。
なお、時間T1や時間T2は、用紙の先行面に印刷する画像データの読み取りを開始した時点を起点にした経過時間であり、図7〜図9においてアルファベット「B」の原稿の読み取りを開始してからの経過時間のことである。これは、図10に示したような2つのイメージセンサによって原稿の両面を1パスで読み取る場合でも同様であり、アルファベット「B」の原稿の読み取りを開始してから、経過時間がT1に達したときに用紙の搬送を開始する。
S102とS103の後は、S104に移行する。S104では、画像読取部52がイメージセンサ15やイメージセンサ25によって、原稿の画像の読み取りを開始する。そして、読み取った画像データは、CPU31が順次RAM33に記憶していく。なお、S104で読み取りを開始した後は、後述するS130にて、読み取りが終了したと判断される(S130:Yes)まで、継続して読み取りを行う。
S104の後は、S200に移行し、CPU31が搬送判断処理を行う。搬送判断処理については、図12を参照しつつ説明する。
図12において、S106では、原稿の読み取り順と読み取った画像データの印刷順が同じか否かを、CPU31が判断する。これについて説明する。
まず、用紙の排紙がフェイスダウン方式の場合は、原稿の読み取り順と読み取った画像データの印刷順が異なる。図7〜図10に示した例では全て、原稿の読み取り順と読み取った画像データの印刷順が異なる場合の例である。そのため、原稿の1ページ目である画像「A」、2ページ目である「B」といった順で画像を読み取り、印刷は2ページ目であった「B」を先に用紙の先行面に、その後に1ページ目であった「A」を用紙の後続面に印刷している。
一方、用紙の排紙がフェイスアップ方式の場合は、原稿の読み取り順と読み取った画像データの印刷順が同じである。図11に示した例は、原稿の読み取り順と読み取った画像データの印刷順が同じ場合の例である。そのため、原稿の1ページ目である画像「A」、2ページ目である「B」といった順で画像を読み取り、印刷も1ページ目であった「A」を先に用紙の先行面に、その後に2ページ目であった「B」を用紙の後続面に印刷している。
なお、ここでは排紙方式がフェイスダウンの場合は原稿の読み取り順と読み取った画像データの印刷順が異なると記載したが、排紙方式がフェイスダウン方式であっても、例えば、操作パネル40の操作を介して、印刷順を揃えず原稿を読み取った順で印刷を行う設定がされた場合は、フェイスアップ方式と同様に、原稿の読み取り順と画像データの印刷順は同じであるとCPU31が判断する。
以上記載したように、CPU31は、印刷順を揃える必要がないとユーザに指示されたか否かと、排紙の方式がフェイスアップかフェイスダウンかという情報を基に、S106で原稿の読み取り順と読み取った画像データの印刷順が同じか否かを判断する。原稿の読み取り順と印刷順が同じでない場合は(S106:No)、S107に移行する。
S107では、RAM33の空き容量が規定量以下か否かをCPU31が判定する。規定量は予め定められているものとし、例えば、RAM33の容量の20%や、200キロバイト、というように定められている。
RAM33の空き容量が規定量以下でない場合は(S107:No)、S108に移行して、S104で読み取りを開始した原稿の1ページ目の画像データを非圧縮または低い圧縮率で圧縮し、RAM33に記憶する。このとき、低い圧縮率は予め定められているものとする。
RAM33の空き容量が規定量以下である場合は(S107:Yes)、S109に移行し、CPU31が高い圧縮率で原稿の1ページ目の画像データを圧縮し、RAM33に記憶する。ここでいう高い圧縮率とは、S108の圧縮率に比べて高い圧縮率のことであり、予め定められているものとする。
なお、S108,S109で圧縮を行う際、CPU31は、S104で読み取られ、RAM33に記憶されている原稿の1ページ目の画像データを、圧縮して再度RAM33に記憶してもよいし、S104で読み取りを開始し、順次読み取っている原稿の1ページ目の画像データを、そのままRAM33へ記憶することはせず、順次圧縮しながらRAM33へ記憶していってもよい。
S108,S109の後はS110に移行し、画像読取部52が原稿の2ページ目の読み取りを開始しているか否かを、CPU31が判断する。なお、原稿の2ページ目とは、用紙の先行面に印刷する画像のことであり、図7〜図10の「B」の原稿に該当する。つまり、2ページ目の原稿とは、両面に画像がある原稿の場合は1枚目の原稿の片面に該当する場合もあるし、片面のみに画像がある原稿の場合は原稿の2枚目に該当する場合もある。
なお、原稿の両面にある画像を、イメージセンサ15とイメージセンサ25により1パスで読み取っているような場合は、図10に示したように、原稿の2ページ目(図中の「B」)が原稿1ページ目(図中の「A」)にわずかに遅れ、同時に読み取られる。このような場合のように、原稿の1ページ目を読み取っているときでも、原稿の2ページ目を読み取っているので、原稿の2ページ目の読み取りを開始しているとCPU31が判断する。
画像読取部52が原稿の2ページ目の読み取りを開始していない場合は(S110:No)、再びS106に移行する。つまり、原稿の2ページ目の読み取りが開始されるまで、S104,S106〜S109のステップを繰り返す。なお、上述したように、原稿の両面にある画像を1パスで読み取っているような場合は、原稿の1ページ目と2ページ目がほぼ同時に読み取りを開始されているので、1ページ目の読み取りが完了する前に、S110以降のステップに移行する。
画像読取部52が原稿の2ページ目の読み取りを開始している場合は(S110:Yes)、S111に移行する。
S111では、RAM33の空き容量が規定量以下か否かをCPU31が判定する。これは、S107のステップと同様である。空き容量が規定量以下でない場合は(S111:No)、S112に移行して、CPU31が画像データを非圧縮または低い圧縮率で圧縮し、RAM33へ記憶する。RAM33の空き容量が規定量以下の場合は(S111:Yes)、S113に移行してCPU31が画像データを高い圧縮率で圧縮し、RAM33に記憶する。
S112,S113の圧縮率は予め定められているものとする。また、S112でいう低い圧縮率とは、S113の圧縮率に比べて低い圧縮率のことである。さらに、S112,S113の圧縮率は、S108,S109の圧縮率より低いものとする。つまり、原稿の2ページ目の画像データは原稿の1ページ目の画像データより低い圧縮率であることが望ましい。
原稿の読み取り順と印刷順が異なる場合は(S106:No)、原稿の2ページ目の画像データが先に用紙の先行面に印刷される。そのため、原稿の1ページ目の画像データに比べて、原稿の2ページ目の画像データの圧縮率を低くしておくと、RAM33の圧迫を抑制しつつ、かつ、印刷を行う際に画像データの解凍が間に合わず、印刷が失敗する可能性が低くなるという効果を見込むことができる。
なお、S112,S113で圧縮を行う際、CPU31は、RAM33に記憶されている原稿の2ページ目の画像データを圧縮して再度RAM33に記憶してもよいし、S104で読み取りを開始し、順次読み取っている原稿の2ページ目の画像データを、そのままRAM33へ記憶することはせず、順次圧縮しながらRAM33へ記憶していってもよい。
S112,S113の後は、S114に移行する。S114では、S102またはS103設定され、RAM33等に記憶された搬送開始時間T1またはT2を、CPU31が参照する。
続くS115では、S114で参照した搬送開始時間T1またはT2に基づいて、用紙の搬送開始タイミングに達したか否かを、CPU31が判断する。用紙に先行面に印刷する画像データの読み取りを開始してから、用紙の搬送開始タイミングに達していない場合は(S115:No)、再びS115に移行する。用紙の搬送開始タイミングに達した場合は(S115:Yes)、搬送判断処理を終えて、図6の両面コピー処理に戻る。
ここで、一方、S106にて原稿の読み取り順と印刷順が同じ場合(S106:Yes)について説明する。S106にて原稿の読み取り順と印刷順が同じ場合(S106:Yes)、S120に移行する。S120では、RAM33の空き容量が規定量以下か否かを、CPU31が判定する。これは、既述したS107,S111のステップと同様である。
空き容量が規定量以下でない場合は(S120:No)、S121に移行して、S104で読み取りを開始している原稿の1ページ目の画像データを、CPU31が非圧縮または低い圧縮率で圧縮する。空き容量が規定量以下である場合は(S120:Yes)、S122に移行して、原稿の1ページ目の画像データをCPU31が高い圧縮率で圧縮する。ここでいう高い圧縮率とは、S121の圧縮率と比べて高い圧縮率のことを指す。
S121,S122の圧縮率は予め定められているものとする。また、S112,S113の圧縮率と同等のものであることが望ましい。なぜなら、原稿の読み取り順と印刷順が異なる場合は(S106:No)、原稿の1ページ目の画像データが用紙に先に印刷される(図11参照)。そのため、S108,S109のような高い圧縮率にしてしまうと、印刷の際に解凍が間に合わず、印刷が失敗してしまう場合があるからである。
なお、S121,S122で圧縮を行う際、CPU31は、S104で読み取られ、RAM33に記憶されている原稿の1ページ目の画像データを、圧縮して再度RAM33に記憶してもよいし、S104で読み取りを開始し、順次読み取っている原稿の1ページ目の画像データを、そのままRAM33へ記憶することはせず、順次圧縮しながらRAM33へ記憶していってもよい。
S121,S122の後には、S123に移行して、S102またはS103で設定され、RAM33等に記憶されている用紙の搬送開始時間T1またはT2を、CPU31が参照する。これは、S114のステップと同様である。
続くS124では用紙の搬送開始時間に達したか否かをCPU31が判断する。これは、S115のステップと同様に行う。ただし、用紙の搬送開始は、用紙の先行面に印刷する原稿の1ページ目の画像の読み取りを開始してから、時間T1または時間T2が経過した時点で行う。
用紙の搬送開始時間に達していない場合は(S124:No)、再びS124に移行する。用紙の搬送開始時間に達した場合は(S124:Yes)、搬送判断処理を終えて、図6の両面コピー処理に戻る。
図6の両面コピー処理の説明に戻る。S116では、CPU31がレジストローラ72によって印刷部55に載置されている用紙の搬送を開始する。なお、用紙は予め給紙ローラ73によって給紙カセット91から給紙され、レジストローラ72まで搬送されて停止している。そして、搬送開始タイミングに達すると、CPU31はレジストローラ72によって印刷部55へと用紙の搬送を開始する。そのため、搬送経路の長さに依存せず、用紙の搬送を開始してすぐに印刷が開始されるので、より両面コピーの高速化を実現できる可能性が高い。
そして、続くS117にて、画像形成部51の印刷部55が、レジストローラ72によって印刷部55へと搬送された用紙へ、画像データの印刷を開始する。画像データが圧縮されている場合は、CPU31が画像データを解凍し、解凍された画像データに基づき、印刷部55により印刷が行われる。
S117で印刷を開始した後は、S130に移行する。S130では、画像読取部52による原稿の画像の読み取りが全て終了したか否かを、CPU31が判断する。原稿の読み取りが全て終了していない場合は(S130:No)、再びS200に移行する。なお、このとき、S104で既述したように、読み取りは継続して行われている。一方、原稿の読み取りが全て終了した場合は(S130:Yes)、S131に移行する。
S131では、画像データの印刷が全て終了したか否かをCPU31が判断する。印刷が全て終了していない場合は(S131:No)、再びS131に移行する。印刷が全て終了した場合は(S131:Yes)、両面コピー処理を終了する。
なお、上記実施形態では、用紙の搬送とは、レジストローラ72による印刷部55への搬送を指すものとして説明したが、給紙ローラ73による給紙カセット91からの搬送であってもよい。
また、上記実施形態では、原稿の読み取りを開始(S104)してから、RAM33の空き容量が規定量以下か否かを判断している(S107,S111,S120)。しかしながら、空き容量が規定量以下か否かは、原稿の読み取りを開始する前に判断してもよい。この場合CPU31が、空き容量が規定量以下か否かを判断して、非/低圧縮または高圧縮のフラグをセットしておき、そのフラグに基づき、読み取った画像データを順次圧縮しながらRAM33に記憶していけばよい。
以上記載したように、上記実施形態では、用紙の両面に印刷する原稿の1ページ目と2ページ目の読み取りが完了する前に、用紙の搬送を開始して印刷を行うようにした。そのため、両面コピーを行う場合であっても、印刷の高速化がなされ、印刷物を早期に取得できるようになる。
また、上記実施形態では、原稿の画像を読み取る方向と画像データの印刷を行う方向が同じか否か(S101)によって、用紙の搬送開始時間として異なる時間を設定している(S102,S103)。これにより、原稿の画像を読み取る方向と画像データの印刷を行う方向が異なる場合、つまり画像データの回転処理を必要とする場合は、用紙の両面に印刷する原稿の1ページ目と2ページ目の読み取りが完了した後に、用紙の搬送を開始して印刷を行うことができる。そのため、画像データが欠けていることによる印刷の失敗が起こる可能性を抑制できる。
また、上記実施形態では、原稿を読み取る順と印刷順が同じか否かによって(S106)、用紙の搬送を開始するタイミングが異なる。具体的には、原稿を読み取る順と印刷順が異なる場合は(S106:No)、原稿の1ページ目を読み取っているときには用紙の搬送を開始せず(S110::No)、2ページ目を読み取っているときに(S110:Yes)用紙の搬送を開始する(S115:Yes,S116)。一方、原稿を読み取る順と印刷順が同じ場合は(S106:Yes)、原稿の1ページ目を読み取っているときに、そのまま用紙の搬送を開始する(S124:Yes,S116)。
これにより、用紙の両面に印刷する画像データの読み取りが完了する前の早いタイミングで用紙の搬送を開始して印刷を行うことができ、両面コピーの高速化が実現できる。その上、用紙の印刷順を考慮したタイミングで用紙の搬送を開始して印刷を行うため、画像データが欠けていることによる印刷の失敗が起こる可能性も低くすることができる。
また、2ページ目の原稿を読み取り中に用紙の搬送を開始する場合で、特に原稿の片面のみに画像がある場合や、原稿の両面にある画像を2パスで読み取る場合は、原稿の1ページ目を読み取ることにより、原稿の搬送方向の正確なサイズが原稿センサ50からの信号と搬送時間から判断できるため、画像データが欠けている可能性が低いタイミングで用紙の搬送を開始することができる。そのため、印刷の失敗が起こりにくく、かつ早く印刷物を取得できる可能性が高い。
また、上記実施形態では、原稿の読み取り順と印刷順が異なる場合(S106:No)、空き容量が規定量以下の場合には(S107:Yes,S111:Yes,S120:Yes)、画像データを高い圧縮率で圧縮し(S109,S113,S122)、空き容量が規定量以下でない場合には(S107:No,S111:No,S120:No)、画像データを低い圧縮率で圧縮または非圧縮としている(S108,S112,S121)。これにより、読み取った画像データがRAM33に記憶できずに印刷が失敗してしまう可能性を低減できる。
さらに、既述したように、上記実施形態では、S113,S122の圧縮率はS109の圧縮率より低く、S112,S121の圧縮率はS108の圧縮率より低くした。これにより、RAM33の圧迫を低減すると共に、用紙に先に印刷する画像データでの圧縮率は低くできる可能性が高い。
具体的には、原稿の読み取り順と印刷順が同じ場合は(S106:Yes)、原稿の1ページ目の画像データの圧縮率を、原稿の読み取り順と印刷順が異なる場合は(S106:No)、原稿の2ページ目(S110:Yes)の圧縮率を、低くできる可能性が高い。そのため、画像データの解凍処理が間に合わず、画像データが欠けて印刷が失敗してしまう可能性も低減できる。
[変形例]
上記実施形態では、両面コピー処理が終了するまで、S106,S110,S115,S124のステップを繰り返し、用紙の両面に印刷する原稿の1ページ目と2ページ目の読み取りが完了する前に用紙の搬送を開始している(S116)。しかし、これらの処理は、原稿の1ページ目と2ページ目まで行えばよく、それ以降の原稿については、行わなくてもよい。つまり、両面コピー処理が終了するまで繰り返さなくてもよい。
この場合、原稿の1ページ目と2ページ目の読み取りと用紙の搬送が開始された後は、用紙の先行面に印刷する原稿の画像の読み取りが完了した後に、用紙の搬送を開始するように実施形態を変更する。これについて以下に説明する。
まず、原稿の読み取り順と印刷順が同じ場合は(S106:Yes)、S124では、用紙の先行面に印刷する原稿の3ページ目の読み取りが完了した時点を、用紙の搬送開始タイミングである(S115:Yes)とCPU31が判断する。以降、4ページ目,5ページ目,・・・についても同様に判断する。
一方、原稿の読み取り順と印刷順が異なる場合は(S106:No)、S115では、用紙の先行面に印刷する原稿の4ページ目の読み取りが完了した時点を、用紙の搬送開始タイミングである(S124:Yes)とCPU31が判断する。以降、6ページ目,8ページ目,・・・についても同様に判断する。
上記変形例では、原稿の読み取り順と印刷順が異なる場合は(S106:No)、用紙に先に印刷する原稿の4ページ目の読み取りが完了した時点を、用紙の搬送開始タイミングである(S115:Yes)と判断している。つまり、ここで、用紙の両面に印刷する原稿の第1面と第2面に該当する3ページ目と4ページ目の読み取りが完了した後に用紙の搬送を開始して印刷を行う。
ここで、コピーを行う際は、用紙の搬送を開始して印刷を開始した分、早期に印刷物を取得しやすく、利便性が向上する。そのため、このように原稿の1ページ目と2ページ目の読み取りと用紙の搬送開始が完了した後には、用紙の先行面に印刷する画像データの読み取りが完了した後に用紙の搬送を開始しても、印刷物を早期に取得できるという効果は得られる。
また、原稿の3ページ目以降については、用紙の先行面に印刷する原稿の読み取りが完了した後に用紙の搬送を開始するため、画像データが欠けていることによる印刷の失敗が起こりづらいという効果も得られる。
なお、本実施形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能である。
例えば、MFPに限らず、複写機等、画像読取機能を備えるものであれば適用可能である。
また、上記実施形態では、1つのCPU31が両面コピー処理を全て実行したが本発明はこれに限られず、複数のCPUや、専用回路ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などで実行してもよい。例えば、空き容量の判定,読み取り方向と印刷方向の判断,用紙搬送開始タイミングの判断などを別々のCPUに実行させてもよい。