JP4487693B2 - エンジンマウント装置 - Google Patents

エンジンマウント装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4487693B2
JP4487693B2 JP2004259308A JP2004259308A JP4487693B2 JP 4487693 B2 JP4487693 B2 JP 4487693B2 JP 2004259308 A JP2004259308 A JP 2004259308A JP 2004259308 A JP2004259308 A JP 2004259308A JP 4487693 B2 JP4487693 B2 JP 4487693B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
engine
vehicle
mount
engine mount
main shaft
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004259308A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005319979A (ja
Inventor
浩樹 鎌田
俊平 矢嶋
稔 木谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP2004259308A priority Critical patent/JP4487693B2/ja
Publication of JP2005319979A publication Critical patent/JP2005319979A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4487693B2 publication Critical patent/JP4487693B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、車両用のエンジンマウント装置に関するものであり、特に、車両の前後方向に対して横向きに配置したエンジン及びトランスミッションを少なくとも2個のマウント部で支持する装置に関するものである。
従来のエンジンマウント装置としては、エンジンとトランスミッションとを車両の進行方向に対して横向き状態に搭載する場合に、エンジンとトランスミッションとの重心を通過する慣性主軸と鉛直線とを含む平面を形成し、マウント部をこの平面の近傍に配置すると共に、エンジンの外端近傍且つ慣性主軸の上下、及びトランスミッションの外端近傍且つ慣性主軸の上方の少なくとも3個のマウント部を配置するというものが知られている(例えば特許文献1参照)。
特開平9−123770号公報(第2頁、図2)
しかしながら、前記特許文献1に記載の技術にあっては、慣性主軸と鉛直線とを含む平面近傍にマウントさせるので、車両平面視において慣性主軸とエンジンマウントとがほぼ一致する構成となる。これにより、エンジン−エンジンマウントの振動系において、ロール振動と上下振動とを非連成とするので、エンジンにロール起振力が発生したときにエンジンマウント上下方向伝達力が低減されて上下振動を励起しないようにしている。しかしながら、エンジンマウント前後方向伝達力は低減されない。
すなわち、前記特許文献1に記載の技術では、エンジンのロール方向の動きをトルクロッドのみで規制するという構成にしているため、トルクロッド前後入力により車体の曲げ2節モードが励起されやすく、アイドル振動に対して不利であるという問題があった。この問題を図26乃至図28を用いて説明する。
図26は、そのエンジンマウント装置の平面図を示し、図27は、そのエンジンマウント装置の主要部分のみを抜粋した左側面図である。この図26及び図27に示すように、エンジン4及びトランスミッション6とで構成されて横置き(車両前後方向に直交する方向)に配置されているパワートレーン2は、車体に対してエンジンマウントMT1,MT2により支持されている。
エンジンマウントMT1,MT2は、前記特許文献1で開示されているように、パワートレーン2の重心Gを通過する慣性主軸TR上に配置されている。さらに、このようにエンジンマウントMT1,MT2で支持されているパワートレーン2が、上下に配置したアッパトルクロッド101及びロアトルクロッド101でロール振動を規制されている。
このような支持構造とした場合、図28(a)に示すように、パワートレーン2で発生するロール力Rがトルクロッド101,101への前後入力となり、これにより、図28(b)にも示すように、パワートレーン2で発生するロール振動が車体の曲げ2節モードを励起してしまっていた。これにより、従来の支持構造は、アイドル振動に対して不利となっていた。なお、図28(b)に示す符号0は、フロア位置を示す。
このように前記特許文献1に記載の技術にあっては、エンジンマウント前後入力と上下入力とを足し合わせたトータルのアイドル振動を低減することができないという未解決の課題がある。
そこで、本発明は、前記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、エンジンマウント前後入力と上下入力とを足し合わせたトータルのアイドル振動を低減することができるエンジンマウント装置を提供することを目的としている。
前記目的を達成するために、本発明に係るエンジンマウント装置は、前記マウント部は、前記パワートレーンの重心に対して車両右側に配置された右エンジンマウントと、前記パワートレーンの重心に対して車両左側に配置された左エンジンマウントとを有し、左右エンジンマウントのうち少なくとも1個は、前記パワートレーンの重心を通過する慣性主軸に対して車室の方向にオフセットして配置し、前記マウント部の車両上下方向の剛性と、前記マウント部から前記慣性主軸への垂線の水平面上成分の長さとを乗じた値をマウント上下入力とした場合、前記慣性主軸に対して車室の方向にオフセットして配置された各マウント部のマウント上下入力の合計が、前記慣性主軸上又は前記慣性主軸に対して車室と逆の方向にオフセットして配置された各マウント部のマウント上下入力の合計よりも大きくなるように配置されている。
本発明によれば、左右エンジンマウントのうち少なくとも1つを車室の方向にオフセットして配置し、前記マウント部の車両上下方向の剛性と、前記マウント部から前記慣性主軸への垂線の水平面上成分の長さとを乗じた値をマウント上下入力とした場合、前記慣性主軸に対して車室の方向にオフセットして配置された各マウント部のマウント上下入力の合計が、前記慣性主軸上又は前記慣性主軸に対して車室と逆の方向にオフセットして配置された各マウント部のマウント上下入力の合計よりも大きくなるように配置するので、エンジンにロール起振力が発生したときに、エンジンマウント前後方向伝達力と逆位相のエンジンマウント上下方向伝達力を発生することができ、両者の打ち消し合いによって、エンジンマウント前後入力と上下入力とを足し合わせたトータルのアイドル振動を低減することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本発明の第1の実施形態は、本発明を適用したエンジンマウント装置である。図1は、そのエンジンマウント装置の平面図であり、図2はエンジンマウント装置の主要部分のみを抜粋した左側面図である。
図中Gは、エンジン4及びトランスミション6からなるパワートレーン2の重心を示している。
パワートレーン2は、車両の前後方向に対して横向き(車両前後方向に直交する方向)に配置されており、車体前部のフレームに支持されている。そして、フレームは、自動車ボディを支持するメインフレーム8と、メインフレーム8の下方に配設されてメインフレーム8に結合されたサブフレーム10とで構成されている。
メインフレーム8は、車両前後方向に延びる左右一対のメインサイドメンバ8R,8Lと、これらメインサイドメンバ8R,8Lの前端部どうしを連結して車幅方向(車両右側、車両左側)に延びる図示しないフロントクロスメンバと、メインサイドメンバ8R,8Lの後端部どうしを連結して車幅方向に延びる図示しないリヤクロスメンバとを備えている。
サブフレーム10は、メインサイドメンバ8R,8Lの下方に位置して車両前後方向に延びる左右一対のサブサイドメンバ10R,10Lと、これらサブサイドメンバ10R,10Lの前端部どうしを連結して車幅方向(車両右側、車両左側)に延びるサブフロントクロスメンバ10Fと、サブサイドメンバ10R,10Lの後端部どうしを連結して車幅方向に延びるサブリヤクロスメンバ10REとを備えている。
エンジン4を支持するマウント部材は、エンジン4(パワートレーン2)の右側に右エンジンマウントMT1が配置され、エンジン4(パワートレーン2)の左側に左エンジンマウントMT2が配置されている。そして、この2つのエンジンマウントMT1,MT2は、図1に示すように、慣性主軸TRに対して車両後方(例えば、30mm程度)にオフセットして配置されている。
ここで、慣性主軸TRは、ある軸の回りに剛体を回転させたとき、剛体と共に回転する座標系から見て回転軸の方向を変えさせようとするモーメントが発生しないような軸のことをいい、エンジン(パワートレーン)に固有のものである。本実施形態では、慣性主軸TRは、車両右側から車両左側に向かうに従い下り傾斜を付けて延在している。
ところで、エンジンの慣性主軸上に左右エンジンマウントを配置する従来のエンジンマウント装置においては、エンジン−エンジンマウントの振動系において、ロールモードと上下モードを非連成として、エンジンにロール起振力が発生したときに上下振動を励起させないようにしている。
そのため、エンジンマウントからの上下方向伝達力は発生しない。しかしながら、エンジンがロール振動することにより発生するエンジンマウント前後方向伝達力は低減されないので、エンジンマウント前後方向伝達力と上下方向伝達力とを足し合わせたトータルのエンジンマウント入力を低減することができないという問題がある。
しかし、本実施形態では、図1及び図2に示すように、左右エンジンマウントを慣性主軸に対して車両後方にオフセットして配置するので、エンジン−エンジンマウント振動系において、ロールモードと上下モードが連成する。したがって、エンジンにロール起振力が発生したとき、エンジンマウントの上下方向伝達力が発生する。このとき発生する上下方向伝達力は、前後方向伝達力と逆位相の関係にあるため、両者の打ち消し合いにより、トータルのエンジンマウント入力アイドル振動を低減することができる。
次に、左右エンジンマウントを車両後方にオフセットして配置することによって、エンジンマウント前後入力と上下入力とが打ち消しあう理由について説明する。
今、前記図28(b)に示したように、アイドル振動に対して寄与の高い車体モードである曲げ2節モードを考える。ここで、斜線部分はエンジンが設置されている位置、二点鎖線で示す曲線はフロア位置を示している。
図3は、エンジンロール力を前後入力と上下入力とに分解し、それぞれの入力に対するフロア振動を示した図である。
左右エンジンマウントが慣性主軸上に一致するように配置されている従来のエンジンマウント装置においては、ロールモードと上下モードが非連成となって上下方向伝達力は発生せず、ロール振動による前後方向伝達力のみが発生する。例えば、図3(a)に示すように、左右エンジンマウントMT1,MT2が慣性主軸上に一致するように配置されている場合において、車両左側面視において反時計回りのロール力Rが発生したものとすると、上側エンジンマウント前後力は車両前方向の力となり、下側エンジンマウント前後力は車両後方向の力となる。そのため、前後入力に対するフロア振動は、図3(a)に示すように上に凸となる。或いは、車体を下に凸とするような曲げ(以下、下凸曲げモードという。)となる。この場合、トータルのフロア振動は前後方向伝達力のみで決定されることになる。
図4は、左右エンジンマウントを慣性主軸上にマウントした場合のエンジンマウント前後入力及び上下入力の関係を示したものであり、横軸にエンジン回転数、縦軸にフロア振動レベルをとっている。ここで、破線Aはエンジンマウント前後入力、実線Cはエンジンマウント入力トータル(前後入力+上下入力)である。エンジンマウント上下入力は0となるので、図4の結果からもわかるように、トータルのエンジンマウント入力レベルはエンジンマウント上下入力により決定される。
また、左右エンジンマウントMT1,MT2が慣性主軸に対して車両前方にオフセットして配置されている場合には、ロールモードと上下モードが連成となるため上下方向伝達力が発生する。しかしながら、このとき、エンジンマウント上下力は車両下方向の力となるため、上下入力に対するフロア振動は、図3(b)に示すように上に凸となる。或いは、車体を上に凸とするような曲げ(以下、上凸曲げモードという。)となる。このとき発生する上下方向伝達力は前後方向伝達力と同位相の関係となる。したがって、両者によってフロア振動はさらに励起されることになり、トータルのフロア振動は低減されない。
一方、本実施形態のように、左右エンジンマウントMT1,MT2が慣性主軸に対して車両後方にオフセットしてマウントされている場合には、エンジンマウント上下力は車両上方向の力となるため、上下入力に対するフロア振動は、図3(c)に示すように下に凸となる。すなわち、前後方向伝達力と逆位相の関係にある上下方向伝達力が発生することになる。これにより、両者が互いに打ち消し合いをするので、トータルのフロア振動は低減される。
なお、図3では、車両左側面視において反時計回りのロール力が発生する場合について説明したが、時計回りのロール力が発生する場合でも、左右エンジンマウントを慣性主軸に対して車両後方にオフセットして配置した場合には、前後方向伝達力と逆位相の上下方向伝達力が発生して、トータルのフロア振動が低減されることは明らかである。
図5は、左右エンジンマウントを慣性主軸に対して車両後方にオフセットしてマウントした場合のエンジンマウント前後入力及び上下入力の関係を示したものである。ここで、破線Aはエンジンマウント前後入力、一点鎖線Bはエンジンマウント上下入力、実線Dはエンジンマウント入力トータル(前後入力+上下入力)である。図5の結果からもわかるように、エンジンマウント前後入力とほぼ同レベルのエンジンマウント上下入力が発生している。また、このとき前後入力と上下入力との位相関係は逆位相である。したがって、このときのトータルのエンジンマウント入力レベルは、前後入力及び上下入力に対して低減されることになる。
図6は、図4に示す左右エンジンマウントを慣性主軸上にマウントした場合のトータルのエンジンマウント入力レベル(実線C)と、図5に示す左右エンジンマウントを慣性主軸に対して車両後方にオフセットしてマウントした場合のトータルのエンジンマウント入力レベル(実線D)とを比較した図である。この図6の結果からもわかるように、斜線で示すアイドル振動が発生するエンジン回転数域(550〜650[rpm])でのフロア振動は6〜7[dB]低減していることがわかる。
このように、第1の実施形態では、左右エンジンマウントをエンジン及びトランスミッションの重心を通過する慣性主軸に対して車両後方にオフセットして配置するので、エンジン−エンジンマウント振動系において、ロールモードと上下モードとを連成とし、エンジンにロール起振力が発生したとき、エンジンマウント前後方向伝達力と逆位相の関係となる上下方向伝達力を発生させて、両者の打ち消し合いによりトータルのエンジンマウント入力アイドル振動を低減することができる。
なお、第1の実施形態においては、左右エンジンマウントMT1,MT2を慣性主軸に対して車両後方にオフセットして配置する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、図7に示すように、左エンジンマウントMT2のみを慣性主軸TRに対して車両後方にオフセットして配置するようにしてもよい。このように、左右エンジンマウントの何れか一方を慣性主軸に対して車両後方にオフセットして配置する場合にも、エンジンマウント前後入力と打ち消し合う関係となるような上下入力を発生させることができ、結果としてトータルのアイドル振動を低減することができる。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
この第2の実施形態も、本発明を適用したエンジンマウント装置である。
図8は、そのエンジンマウント装置の平面図であり、図9はエンジンマウント装置の主要部分のみを抜粋した左側面図である。
前記第1の実施形態では、左右それぞれ1つずつのエンジンマウントMT1,MT2でパワートレーン2を支持しているのに対して、第2の実施形態では、左右それぞれ2つずつのエンジンマウントMT11,MT12,MT21,MT22でパワートレーン2を支持している。
エンジンマウントMT11〜MT22は、パワートレーン2(詳しくはその重心)の左右それぞれに前後2箇所に配置されている。以降、パワートレーン2の右前側に配置されているエンジンマウントMT11を右前エンジンマウントMT11と称し、パワートレーン2の右後側に配置されているエンジンマウントMT12を右後エンジンマウントMT12と称し、パワートレーン2の左前側に配置されているエンジンマウントMT21を左前エンジンマウントMT21と称し、パワートレーン2の左後側に配置されているエンジンマウントMT22を左後エンジンマウントMT22と称す。
このエンジンマウントMT11〜MT22の配置や剛性は次のようになる。
右前エンジンマウントMT11と右後エンジンマウントMT12との間、及び左前エンジンマウントMT21と左後エンジンマウントMT22との間を慣性主軸TRが通るように、当該各エンジンマウントMT11〜MT22を配置する。すなわち、前記特許文献1との対比でいうと、前記特許文献1で慣性主軸TR(詳しくは慣性主軸TRと鉛直線とを含む平面)上に配置していたエンジンマウントを、本実施形態では、慣性主軸TRの前後それぞれに分割して配置する。
また、弾性主軸E1が慣性主軸TRに対して後方に位置されている。ここで、弾性主軸E1とは、ばね装置(支持装置)に特定の軸に沿って力を加えたときに、力の方向と弾性変位の方向が一致し、且つ角変位が生じないような軸をいい、ばねの強さ又は剛性と配置だけに関係し、質量系に無関係であり重心位置にも無関係である。
慣性主軸TRに対して弾性主軸E1を後方に位置させることは、前後のエンジンマウントで剛性を調整することで、すなわち右前エンジンマウントMT11と右後エンジンマウントMT12で剛性を調整し、さらに左前エンジンマウントMT21と左後エンジンマウントMT22で剛性を調整することで実現している。すなわち、右前エンジンマウントMT11の上下方向の剛性をK11とし、右後エンジンマウントMT12の上下方向の剛性をK12とし、左前エンジンマウントMT21の上下方向の剛性をK21とし、左後エンジンマウントMT22の上下方向の剛性をK22とした場合に、下記(1)式が成り立つように、剛性K11,K12,K21,K22との間の関係を調整している。
11+K21<K12+K22 ………(1)
また、例えば、右側のエンジンマウントMT11,MT12の剛性K11,K12に着目すれば、慣性主軸TRに対する弾性主軸E1のオフセット量lを下記(2)式により得ることができる。
=K11/(K11+K12)×L−L12 ………(2)
ここで、Lは、右前エンジンマウントMT11と右後エンジンマウントMT12との車両前後方向における距離であり、L12は、右後エンジンマウントMT12と慣性主軸TRとの車両前後方向における距離である(図10参照)。
以上のようにエンジンマウントMT11〜MT22の配置や剛性を決定している。
次に、以上のようにエンジンマウントを配置することによって、エンジンマウント前後入力と上下入力とが打ち消しあう理由について説明する。
前述したように、前記特許文献1に記載の技術では、パワートレーンの慣性主軸上にエンジンマウントを配置して、ロール方向の向きを上下に配置したアッパトルクロッド及びロアトルクロッドで規制している。
これに対して、本実施形態では、アッパトルクロッド及びロアトルクロッドをなくす一方で、左右のエンジンマウントを慣性主軸TRの前後それぞれに分割して配置し、さらに左前エンジンマウント及び左後エンジンマウントをトランスミッションの下側に配置する構造にしている。これにより、パワートレーン2のロール振動をエンジンマウントの前後スパン(4つのエンジンマウントの上下剛性)と上下スパン(4つのエンジンマウントの前後剛性)に分散させて受け止めている。
具体的には、図9に示すように時計回りにロール力Rが発生する場合には、各エンジンマウントMT11〜MT22に対する矢印として示すように、右前エンジンマウントMT11は、上方及び後方に作用する力を受け止め、右後エンジンマウントMT12は、下方及び後方に作用する力を受け止め、左前エンジンマウントMT21は、上方及び前方に作用する力を受け止め、左後エンジンマウントMT22は、下方及び前方に作用する力を受け止める。
このようにパワートレーン2のロール振動をエンジンマウントの前後スパン(4つのエンジンマウントの上下剛性)と上下スパン(4つのエンジンマウントの前後剛性)に分散させて受け止めることで、エンジンマウントMT11〜MT22への前後入力を低減して、車体の曲げ2節モードが励起されにくくなる。
また、弾性主軸E1を慣性主軸TRの後方に配置する構造にすることで、エンジンマウントMT11〜MT22への上下入力とその前後入力とが、車体の曲げ2節モードで必ず逆位相の関係になるので、これにより、車体曲げ力の打ち消し合いが発生し、アイドル振動に対して有利になる。
ここで、図11乃至図14を用いて前記車体の曲げ2節モードが逆位相になることについて説明する。
図11(a)は、パワートレーン2にロール力が作用している際のエンジンマウントMT11〜MT22への前後入力と車体の曲げ2節モードとの関係を示し、同図(b)は、パワートレーン2にロール力が作用している際のエンジンマウントMT11〜MT22への上下入力と車体の曲げ2節モードとの関係を示す。
先ず、図11(a)に示すように、パワートレーン2に時計回り方向(実線の矢印の方向)のロール力が発生すると、右側のエンジンマウントMT11,MT12に後方向(実線の矢印の方向)への入力があり、左側のエンジンマウントMT21,MT22に前方向(実線の矢印の方向)への入力がある。これにより、車体の曲げ2節モードでは、下凸曲げモードとなる。
一方、図11(b)に示すように、パワートレーン2に時計回り方向(実線の矢印の方向)のロール力が発生すると、前側のエンジンマウントMT11,MT21に上方向(実線の矢印の方向)への入力F1があり、後側のエンジンマウントMT12,MT22に下方向(実線の矢印の方向)への入力F2がある。そして、エンジンマウントMT11〜MT22の剛性K11〜K22を前記(1)式のような関係にして、慣性主軸TRに対して弾性主軸E1を車両後方に位置させたことで、エンジンマウントMT11〜MT22全体として、下方向に力が作用するようになる。これにより、車体の曲げ2節モードでは、上凸曲げモードとなる。
前記エンジンマウントMT11〜MT22全体として下方向に力が作用する原理は次のようになる。ここで、図12、図13及び図14を用いて説明する。
図12は、前記第1の実施形態のように(前記図3(c)等)、慣性主軸TRに対して弾性主軸E1を車両後方側に位置させるためのマウント配置の例を示しており、エンジンマウントMT1,MT2をパワートレーン2の慣性主軸TRに対して車両後方側に配置している。これに対して、図13は、前記図3(b)と同様に、慣性主軸TRに対して弾性主軸E1を車両前方側に位置させるためのマウント配置の例を示しており、エンジンマウントMT1,MT2をパワートレーン2の慣性主軸TRに対して車両前方側に配置している。また、図14は、慣性主軸TRに対して弾性主軸E1を車両前方側に位置させるためのマウント配置の例を示しており、エンジンマウントMT1,MT2をパワートレーン2の慣性主軸TRに対して車両後方側で、そのパワートレーン2の重心よりも上側(同図(a))又は下側(同図(b))に偏らせて配置している。
図12(a)に示すように、エンジンマウントMT1,MT2をパワートレーン2の慣性主軸TRに対して車両後方側に配置した場合において、パワートレーン2に時計回り方向(実線の矢印の方向)のロール力が発生すると、右エンジンマウントMT1に車両後方(実線の矢印の方向)への入力があり、左エンジンマウントMT2に車両前方(実線の矢印の方向)への入力がある。これにより、車体の曲げ2節モードでは、下凸曲げモードとなる。そして、このときエンジンマウントMT1,MT2への上下方向の入力については、図12(b)に示すように下方向(実線の矢印の方向)への入力となる。
これに対して、図13(a)に示すように、エンジンマウントMT1,MT2をパワートレーン2の慣性主軸TRに対して車両前方側に配置した場合において、パワートレーン2に時計回り方向(実線の矢印の方向)のロール力が発生すると、右エンジンマウントMT1に車両後方(実線の矢印の方向)への入力があり、左エンジンマウントMT2に車両前方(実線の矢印の方向)への入力がある。これにより、車体の曲げ2節モードでは、下凸曲げモードとなる。そして、このときエンジンマウントMT1,MT2への上下方向の入力については、図13(b)に示すように上方向(実線の矢印の方向)への入力となる。
また、図14(a)に示すように、エンジンマウントMT1,MT2をパワートレーン2の慣性主軸TRに対して車両後方側で、その重心よりも上側に偏倚させて配置した場合でも、パワートレーン2に時計回り方向(実線の矢印の方向)のロール力が発生すると、右エンジンマウントMT1に車両後方(実線の矢印の方向)への入力があり、左エンジンマウントMT2に車両前方(実線の矢印の方向)への入力がある。また、図14(b)に示すように、エンジンマウントMT1,MT2をパワートレーン2の慣性主軸TRに対して車両後方側で、その重心よりも下側に偏倚させて配置した場合でも、パワートレーン2に時計回り方向(実線の矢印の方向)のロール力が発生すると、右エンジンマウントMT1に車両後方(実線の矢印の方向)への入力があり、左エンジンマウントMT2に車両前方(実線の矢印の方向)への入力がある。なお、図示しないが、いずれの場合でも、エンジンマウントMT1,MT2への上下入力は、前記図12(b)に示したように下方向への入力となる。
このように、エンジンマウントMT1,MT2への前後入力及び上下入力は、当該エンジンマウントMT1,MT2がパワートレーン2の慣性主軸TRに対して車両後方側に配置されていれば、上下方向の設置場所に左右されることはない。
以上、図12、図13及び図14を用いた説明によれば、慣性主軸TRに対して弾性主軸E1を車両後方に位置させるようなマウント配置にすることで、特にエンジンマウントMT1,MT2への上下方向の入力については、下方向(実線の矢印の方向)への入力となる。このような原理のもと、第2の実施形態でも、エンジンマウントMT11〜MT22全体として、下方向に力が作用するようになる。これにより、車体の曲げ2節モードでは上凸曲げモードとなる。
そして、このようにパワートレーン2に時計回り方向(実線の矢印の方向)のロール力の発生時にエンジンマウントMT11〜MT22への上下入力が上凸曲げモードとして作用する一方で、前述したようにエンジンマウントMT11〜MT22への前後入力が下凸曲げモードとして作用することから、これらの関係が車体の曲げ2節モードで逆位相となる関係になる。
また、前記説明は、パワートレーン2に時計回り方向(実線の矢印の方向)のロール力が発生した場合のものであるが、パワートレーン2に反時計回り方向(点線の矢印の方向)のロール力が発生した場合でも、同様な結果となる。すなわち、図11に示すように、パワートレーン2に反時計回り方向(点線の矢印の方向)のロール力が発生すると、エンジンマウントMT11〜MT22への前後入力が上凸曲げモードとして作用し(同図(a))、エンジンマウントMT11〜MT22への上下入力が下凸曲げモードとして作用する(同図(b))。この結果、車体の曲げ2節モードで逆位相となるので、車体曲げ力が打ち消し合うようになる。
このような結果、パワートレーン2にロール振動が発生しても、車体の振動が抑制されるようになる。これにより、支持構造をアイドル振動に対して有利にすることができる。なお、この第2の実施形態の場合でも、前記図5を用いて説明したのと同様な効果を得ることができる。
また、2個のエンジンマウントMT1,MT2でパワートレーン2を支持する前記第1の実施形態では、前記特許文献1に記載の技術と同様に、実質的にはアッパトルクロッドやロアトルクロッドが必要になるが、第2の実施形態では2個のエンジンマウントMT1,MT2でパワートレーン2を支持することで、アッパトルクロッドやロアトルクロッドを用いることなく、車体の振動を抑制することができるようになる。
また、前述したように、慣性主軸TRに対して弾性主軸E1を車両後方に位置させるといった弾性主軸の位置のコントロールをマウント剛性比を調整することで実現している。これにより、同一車種において複数のパワープラントバリエーションを持つ場合でも、マウント配置を変更することなく、そのパワープラントバリエーションに応じて弾性主軸E1の最適位置を設定することができる。
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
この第3の実施形態は、エンジン駆動力により発生するエンジンマウント車両前後方向伝達力を低減するために、前記第1の実施形態において、エンジンマウントをさらに慣性主軸に対して車両下方にオフセットして配置するようにしたものである。
前述したように、第1の実施形態では、左右エンジンマウントを慣性主軸に対して車両後方にオフセットして配置することにより、エンジンにロール起振力が発生したとき、エンジンマウント前後方向伝達力と逆位相の関係となる上下方向伝達力を発生させて、両者の打ち消し合いによりトータルのエンジンマウント入力によるアイドル振動を低減させている。
しかしながら、前記第1の実施形態においては、エンジン駆動力によるエンジンマウント車両前後方向伝達力の低減は考慮されていないため、例えば、急なアクセルON/OFF時に車体振動が大きくなる場合がある。
そこで、第3の実施形態では、このようなエンジン駆動力によるエンジンマウント車両前後方向伝達力の低減を考慮して、左右エンジンマウントを配置する。
図15は、第3の実施形態におけるエンジンマウント装置の正面図である。このように、慣性主軸TRに対して車両後方にオフセットして配置した左右エンジンマウントMT1,MT2を、さらに慣性主軸TRに対して車両下方にオフセットして配置する。
今、図16の左側面図に示すような車両前後方向とロール方向とに自由度を持ち、エンジンマウントが設置されているエンジン上下位置に前後方向にバネを有するモデルを考える。なお、弾性中心の上下位置は規定していないものとして考える。
エンジンにロール方向のトルク変動を加え、周波数を変化させたときのエンジンマウントから車体に働く伝達力は、図17に示すようになる。ここで、fは下側マウント位置が振動モードの節となる周波数、fは上側マウント位置が振動モードの節となる周波数
である。
ところで、例えば、急アクセルON/OFF時には車両前後力が大きく働くため、車体振動(加減速ショック)が大きくなる場合がある。
図16は車体に働く前後力を示しており、F3はエンジン駆動力による車両前後力、F4は上側エンジンマウント前後力、F5は下側エンジンマウント前後力である。ここで、エンジン駆動力による車両前後力F3及び下側エンジンマウント前後力F5は車両前方向に働く力であり、上側エンジンマウント前後力F4は車両後方向に働く力である。
このように、車体に働く各前後力を考慮すると、トータルの前後力(F3+F4+F5)を低減するためには、エンジン駆動力による車両前後力F3と逆位相のエンジンマウント前後力を発生させればよいことがわかる。すなわち、上側エンジンマウント前後力F4が下側エンジンマウント前後力F5より大きく発生すればよい。
この要件を満たすためには、f>fを満たす必要がある。周波数f及びfは、下記(3)式及び(4)式で表される。
=(1/2π)√{k(L+L)/ML} ………(3)
=(1/2π)√{k(L+L)/ML} ………(4)
ここで、kは上側バネ定数、kは下側バネ定数、Lは重心から上側バネまでの上下方向距離、Lは重心から下側バネまでの上下方向距離、Mは質量である。
<fであるので、前記(3)及び(4)式より下記の条件が求まる。
<k ………(5)
なお、この式は、2個のエンジンマウントでパワートレーンを支持する場合に対応した式であり、前記第2の実施形態のように4個のエンジンマウントでパワートレーンを支持する場合には次のようになる。図18は、弾性主軸E1と4個のエンジンマウントMT11〜MT22との位置関係を示す。そして、4個のエンジンマウントの場合、下記(6)式のような条件となる。
+k<k´l´+k´l´ ………(6)
ここで、lは、右前エンジンマウントMT11から弾性主軸E1への垂線の水平面上成分の長さであり、lは、左前エンジンマウントMT21から弾性主軸E1への垂線の水平面上成分の長さであり、l´は、右後エンジンマウントMT12から弾性主軸E1への垂線の水平面上成分の長さであり、l´は、左後エンジンマウントMT22から弾性主軸E1への垂線の水平面上成分の長さである。また、kは、右前エンジンマウントMT11に関してのバネ定数であり、kは、左前エンジンマウントMT21に関してのバネ定数であり、k´は、右後エンジンマウントMT12に関してのバネ定数であり、k´は、左後エンジンマウントMT22に関してのバネ定数である。
さらに、これ以外の複数個のエンジンマウントを備える場合には、一般化した下記(7)式の条件となる。
Σk<Σk´l´ ………(7)
ここで、lは、弾性主軸E1に対して車両前方に配置されているエンジンマウントから弾性主軸E1への垂線の水平面上成分の長さであり、kは、そのエンジンマウントに関してのバネ定数であり、nはそのエンジンマウントの数になる。一方、l´は、弾性主軸E1に対して車両後方に配置されているエンジンマウントから弾性主軸E1への垂線の水平面上成分の長さであり、k´は、そのエンジンマウントに関してのバネ定数であり、mはそのエンジンマウントの数になる。
なお、エンジンマウントから弾性主軸E1への垂線の水平面上成分の長さを図解すると図19に示すようになる。この図19では、右前エンジンマウントM11と弾性主軸E1との関係を例として示しており、右前エンジンマウントM11から弾性主軸E1に垂線を引き、その垂線の水平面上における長さlが、エンジンマウントから弾性主軸E1への垂線の水平面上成分の長さとなる。
ところで、図20に示すように、弾性中心から上側バネまでの上下方向距離をX、弾性中心から下側バネまでの上下方向距離をXとすると、弾性中心の定義は下記(8)式で表される。
=k ………(8)
ここで、バネ定数k=kであるとすると、前記(8)式よりX=Xとなる。また、X+X=L+Lである。
したがって、前記(5)式の条件は、k=kであるとするとL<Lとなり、弾性中心が重心位置より低い位置にあるという意味になる。つまり、エンジンマウント系ロール弾性主軸を、エンジン+トランスミッションの重心よりも車両下方に下げればよいことを表している。
図21は、エンジンを車両前後方向に対して横向きに設置している車両において、弾性主軸E1をエンジン慣性主軸TRと同じ高さに配置した場合の車体に働く前後力を示す図であり、破線は負荷時におけるエンジン及びトランスミッションの位置を示している。この場合、負荷時における重心位置は変化せず、上側エンジンマウント前後力F4と下側エンジンマウント前後力F5とは同じ強さで逆方向の関係となる。
したがって、この図21からもわかるように、エンジンマウント前後入力(F4+F5)をゼロとすることができるが、トータルの車体振動としては、駆動系による前後入力が残る。
また、図22は、弾性主軸E1をエンジン慣性主軸TRより上位置に配置した場合の車体に働く前後力を示す図であり、破線は負荷時におけるエンジン及びトランスミッションの位置を示している。この場合、負荷時における重心位置は前方に変化し、下側エンジンマウント前後力F5が上側エンジンマウント前後力F4より大きな力となる。
したがって、この図22からもわかるように、エンジンマウント前後入力(F4+F5)は下側エンジンマウント前後力F5と比較して低減することができるが、このエンジンマウント前後入力(F4+F5)はエンジン駆動力による車体前後力F3に対して同位相の関係にあるため、トータルの車体振動としては駆動系による前後入力が残る。
これに対して、図23は、弾性主軸E1をエンジン慣性主軸TRより下位置に配置した場合の車体に働く前後力を示す図であり、破線は負荷時におけるエンジン及びトランスミッションの位置を示している。この場合、負荷時における重心位置は後方に変化し、上側エンジンマウント前後力F4が下側エンジンマウント前後力F5より大きな力となる。
したがって、この図23からもわかるように、エンジン駆動力による車体前後力F3に対して逆位相のエンジンマウント前後力(F4+F5)が発生することになる。そのため、これらを足し合わせたトータルの車体振動レベルは大きく低減する。
つまり、弾性主軸E1を慣性主軸TRよりも下方に配置することにより、エンジン+エンジンマウントの振動系において、ロールモードと前後モードが連成し、エンジンにロール起振力が発生したとき、エンジンマウント前後方向の伝達力を発生する。この前後方向伝達力は、車体に働く前後加速力と逆位相の関係にあるため、両者の打ち消し合いにより、トータルで車体に入力される前後力を低減することができる。
このように、前記第3の実施形態では、左右エンジンマウントを車両下方にオフセットして配置することにより、弾性主軸を慣性主軸よりも下方に配置するので、車体に働く前後力において、エンジン駆動力による車体前後力と逆位相のエンジンマウント前後力を発生させてトータルの前後力を低減することができ、急アクセルON/OFF時など車両前後力が大きく働く場合でも車体振動を低減することができる。
なお、前記第3の実施形態においては、図17に示す車体に働く伝達力の周波数特性において、上側エンジンマウント前後力F4が下側エンジンマウント前後力F5より大きくなる効果周波数域AがアクセルON/OFFショックの原因となるアクセル駆動系捻り共振(例えば、マニュアルトランスミッション車では、3速であれば約5Hz)を含むように設定する。
また、前記第3の実施形態においては、左右エンジンマウントを共に慣性主軸に対して車両下方にオフセットして配置する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、図25に示すように、左右エンジンマウントの何れか一方を慣性主軸TRに対して車両下方にオフセットして配置するようにしてもよい。この場合にも、弾性主軸E1を慣性主軸TRに対して車両下方に設定することができるので、エンジン駆動力による車体前後力と逆位相のエンジンマウント前後力を発生させることができ、結果としてトータルの前後力を低減することができる。
また、前記第3の実施形態においては、左右エンジンマウントを慣性主軸に対して車両下方にオフセットして配置する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、図24に示すように、左右エンジンマウントの少なくとも1つを慣性主軸TRに対して車両上方に配置し、少なくとも1つの下方エンジンマウントMT3を慣性主軸TRに対して車両下方に配置して、下方エンジンマウントMT3の剛性および前記マウントMT3から慣性主軸TRへの垂線の車両上下方向成分の長さを調整して、パワートレーンの弾性主軸が、慣性主軸TRに対して車両下方に位置するようにしてもよい。ここで、下方エンジンマウントMT3には、例えばトルクロッド等を適用することができる。この場合にも、弾性主軸E1を慣性主軸TRに対して車両下方に設定することができるので、エンジン駆動力による車体前後力と逆位相のエンジンマウント前後力を発生させることができ、結果としてトータルの前後力を低減することができる。
また、前記実施形態においては、パワートレーン2が車両前部に搭載されている場合を前提として説明した。しかし、これに限定されるものではない。すなわち、パワートレーン2が車両後部に搭載されている場合でもよく、この場合、第1の実施形態であれば、エンジンマウントMT1,MT2をパワートレーン2の慣性主軸TRに対して車両前方にオフセットして配置する。すなわち、2個のエンジンマウントであれば、それらエンジンマウントを、パワートレーン2の慣性主軸TRに対して車室の方向にオフセットして配置する。また、4個のエンジンマウントであれば、それらエンジンマウントを、パワートレーンの重心に対して車両右側かつパワートレーンの重心を通過する慣性主軸に対して車室の方向の位置と、パワートレーンの重心に対して車両右側かつパワートレーンの重心を通過する慣性主軸に対して車室と逆の方向の位置と、パワートレーンの重心に対して車両左側かつパワートレーンの重心を通過する慣性主軸に対して車室の方向の位置と、パワートレーンの重心に対して車両左側かつパワートレーンの重心を通過する慣性主軸に対して車室と逆の方向の位置とに配置する。
また、第1〜第3の実施形態において、乗り心地性能改善等のためにエンジンマウントに液体封入式のエンジンマウントを用いる場合、そのマウント点を2点以上とし、各液体封入式エンジンマウントの減衰力が最大となる周波数をそれぞれのエンジンマウント毎に異なる周波数に設定することができる。これにより従来よりも幅広い周波数帯域でエンジンマウントによる減衰効果を効かせることができ、乗り心地性能も向上させることができる。
本発明の第1の実施形態を示す平面図である。 本発明の第1の実施形態を示す左側面図である。 エンジンマウント配置位置によるフロア振動を比較した図である。 従来装置における入力寄与を示す図である。 本発明の第1の実施形態における入力寄与を示す図である。 本発明の第1の実施形態における効果を説明する図である。 本発明の第1の実施形態における他の例を示す図である。 本発明の第2の実施形態を示す平面図である。 本発明の第2の実施形態を示す左側面図である。 慣性主軸TRに対する弾性主軸E1のオフセット量lを説明する図である。 エンジンマウント装置による車体の曲げ2節モードに起因する車体の振動の抑制効果を説明する図である。 パワートレーンの後方側にエンジンマウントを配置した場合の車体の曲げ2節モードへの影響を説明する図である。 パワートレーンの前方側にエンジンマウントを配置した場合の車体の曲げ2節モードへの影響を説明する図である。 パワートレーンの後方側かつその重心よりも上側又は下側に偏倚させてエンジンマウントを配置した場合の車体の曲げ2節モードへの影響を説明する図である。 本発明の第3の実施形態を示す正面図である。 車体に働く前後力を説明する図である。 車体に働く伝達力の特性図である。 弾性主軸と4個のエンジンマウントとの位置関係を示す図である。 エンジンマウントから弾性主軸への垂線の水平面上成分の長さ説明する図である。 弾性中心の定義を説明する図である。 本発明の第3の実施形態における効果を説明する図である。 本発明の第3の実施形態における効果を説明する図である。 本発明の第3の実施形態における効果を説明する図である。 本発明の第3の実施形態における他の例を示す図である。 本発明の第3の実施形態における他の例を示す図である。 特許文献1に記載のエンジンマウント装置を示す平面図である。 特許文献1に記載のエンジンマウント装置を示す左側面図である。 パワートレーン2で発生するロール振動と車体の曲げ2節モードとの関係を説明する図である。
符号の説明
2 パワートレーン
4 エンジン
6 トランスミション
8 メインフレーム
8R,8L メインサイドメンバ
10 サブフレーム
10R,10L サブサイドメンバ
10F サブフロントクロスメンバ
10RE サブリヤクロスメンバ
E1 弾性主軸
MT1〜MT3 エンジンマウント
MT11〜MT22 エンジンマウント
TR 慣性主軸

Claims (4)

  1. エンジンと、エンジンの出力軸方向に直列に配置したトランスミッションとを結合したパワートレーンを、前記エンジンの出力軸が、車両前後方向の中心線と水平面上で交差する向きに配置して、前記パワートレーンを車体側のフレームに少なくとも2個のマウント部によって支持するエンジンマウント装置において、
    前記マウント部は、前記パワートレーンの重心に対して車両右側に配置された右エンジンマウントと、前記パワートレーンの重心に対して車両左側に配置された左エンジンマウントとを有し、左右エンジンマウントのうち少なくとも1個は、前記パワートレーンの重心を通過する慣性主軸に対して車室の方向にオフセットして配置されており、前記マウント部の車両上下方向の剛性と、前記マウント部から前記慣性主軸への垂線の水平面上成分の長さとを乗じた値をマウント上下入力とした場合、前記慣性主軸に対して車室の方向にオフセットして配置された各マウント部のマウント上下入力の合計が、前記慣性主軸上又は前記慣性主軸に対して車室と逆の方向にオフセットして配置された各マウント部のマウント上下入力の合計よりも大きくなるように配置されていることを特徴とするエンジンマウント装置。
  2. 前記マウント部の剛性と配置により決まる前記パワートレーンの弾性主軸が、前記慣性主軸に対して前記左右エンジンマウントの間の範囲で車両下方に位置するように、前記マウント部を配置したことを特徴とする請求項1に記載のエンジンマウント装置。
  3. 前記マウント部を、前記パワートレーンの重心に対して車両右側かつ前記パワートレーンの重心を通過する慣性主軸に対して車室の方向の位置と、前記パワートレーンの重心に対して車両右側かつ前記パワートレーンの重心を通過する慣性主軸に対して車室と逆の方向の位置と、前記パワートレーンの重心に対して車両左側かつ前記パワートレーンの重心を通過する慣性主軸に対して車室の方向の位置と、前記パワートレーンの重心に対して車両左側かつ前記パワートレーンの重心を通過する慣性主軸に対して車室と逆の方向の位置とに配置したことを特徴とする請求項1又は2に記載のエンジンマウント装置。
  4. 前記マウント部の剛性と配置により決まる前記パワートレーンの弾性主軸が、前記慣性主軸に対して平行に車室の方向に位置するように、前記マウント部を配置したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のエンジンマウント装置。
JP2004259308A 2004-04-07 2004-09-07 エンジンマウント装置 Expired - Fee Related JP4487693B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004259308A JP4487693B2 (ja) 2004-04-07 2004-09-07 エンジンマウント装置

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004113332 2004-04-07
JP2004259308A JP4487693B2 (ja) 2004-04-07 2004-09-07 エンジンマウント装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005319979A JP2005319979A (ja) 2005-11-17
JP4487693B2 true JP4487693B2 (ja) 2010-06-23

Family

ID=35467553

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004259308A Expired - Fee Related JP4487693B2 (ja) 2004-04-07 2004-09-07 エンジンマウント装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4487693B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
TWI341264B (en) 2006-09-28 2011-05-01 Mitsubishi Motors Corp Electric motor mounting structure for vehicles
CN113212133B (zh) * 2021-05-28 2023-04-07 重庆宗申创新技术研究院有限公司 一种动力总成悬挂结构

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005319979A (ja) 2005-11-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3445651B2 (ja) 自動車
JP3341638B2 (ja) パワートレーンの懸架装置
JP2007139080A (ja) 防振支持構造
EP1580057B1 (en) Power train supporting apparatus and method for automotive vehicle
JP4487693B2 (ja) エンジンマウント装置
JP2001097050A (ja) 自動車のパワープラント支持構造
JP7180213B2 (ja) モータユニット支持構造
JP7285684B2 (ja) パワーユニット懸架構造
JP2002200924A (ja) パワープラント支持構造
JP2008024174A (ja) 車両用パワーユニット支持装置
JP2007030577A (ja) エンジンマウント構造
JP4410802B2 (ja) 車両の動力源支持構造
KR100802920B1 (ko) 차량의 배기계 센터 행거 마운팅부의 구조
JP4710301B2 (ja) パワートレーン支持装置
JP7180215B2 (ja) モータユニット支持構造
JP5087531B2 (ja) ステアリング振動低減装置
JP2007106162A (ja) 自動車の内燃機関支持構造
JP2005112228A (ja) 自動車車両
JP2008068813A (ja) マウントシステム
JP2949264B2 (ja) 車両のパワートレイン支持構造
JP2002362175A (ja) パワートレーン支持装置
CN116583423A (zh) 车辆用天窗构造
JP6301153B2 (ja) 振動体の支持構造
JP2002087073A (ja) パワーユニット支持装置
JP2005047363A (ja) 車両用フレーム連結構造

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070727

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20091208

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091224

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100309

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100322

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130409

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130409

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140409

Year of fee payment: 4

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees