JP4710301B2 - パワートレーン支持装置 - Google Patents
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Description
ここで、パワートレーンのピッチ方向の定義を図15に示す。
また、エンジン側マウント及びトランスミッション側マウントを、車両正面視においてパワートレーンの慣性主軸に一致又は略一致するように配置するので、エンジンの燃焼加振力によるトルク変動により励起される振動をパワートレーンの慣性主軸のまわりの振動に集中することができ、励起される複数の振動が連成しにくくなり、その結果、アイドル時のフロア振動を改善することができる。
さらに、エンジン前方側マウントを車体側のフレームに対して車両後方にオフセットして配置し、エンジン前方側マウント及び車体側のフレームで構成される共振系の捩り共振時のモード中心が、エンジン前方側マウント位置に一致するように設定するので、エンジン前方側マウントからの入力によって車体側フレームに対して捩りモードの振動が入力されることが抑制されて、車体側フレームの共振が励起され難くなり、車内の静粛性を向上することができる。
図1は、本発明における第1の実施形態のパワートレーン支持装置の平面図であり、図2はパワートレーン支持装置の正面図である。
図中Gは、エンジン4及びトランスミション6を一体的に設けたパワートレーン2の重心を示している。
メインフレーム8は、車両前後方向に延びる左右一対のメインサイドメンバ8R,8Lと、これらメインサイドメンバ8R,8Lの前端部どうしを連結して車幅方向(車両右側、車両左側)に延びる図示しないフロントクロスメンバと、メインサイドメンバ8R,8Lの後端部どうしを連結して車幅方向に延びる図示しないリヤクロスメンバとを備えている。
そして、図2に示すように、マウントMT1〜MT3は、重心Gからエンジン前方側マウントMT1及びエンジン後方側マウントMT2を結ぶ直線までの慣性主軸方向距離L1が、重心Gからトランスミッション側マウントM3までの距離L2より短くなるように配置されている。
ところで、パワートレーンのピッチ方向の固有振動数は、各エンジンマウントからパワートレーン重心までの距離あるいはエンジンマウントの剛性が増加すると、前記固有振動数が増加する関係にある。
従来の構造は、パワートレーンの慣性主軸近傍のエンジン外端近傍とトランスミッション外端近傍とで支持しており、パワートレーン重心から各エンジンマウントまでの距離が大きく、かつ、全エンジンマウントにパワートレーン荷重が加わる。したがって、従来の構造は、パワートレーンのピッチ方向の固有振動数を決めるエンジンマウントの剛性およびパワートレーン重心からエンジンマウントまでの距離を低減することが困難であるため、パワートレーンのピッチ方向の固有振動数を低周波数域に設定するのに不利であり、パワートレーンのピッチ方向振動により励起されるアイドル時のフロア振動を低減することができないという課題がある。
この図3は、横軸に加振周波数をとり、縦軸にフロア振動の加速度レベルをとって、車両のアイドル振動を比較したものである。図3において、実線は第1の実施形態のパワートレーン支持装置を搭載した車両、破線は前述した従来装置を搭載した車両を示している。
このように、上記第1の実施形態では、エンジンとトランスミッションとから成るパワートレーンの重心を考慮し、パワートレーンの重心からエンジン前後マウントを結ぶ直線までの慣性主軸方向距離が、重心からトランスミッション側マウントまでの距離より短くなるように配置するので、パワートレーンピッチ方向固有値を低周波数域に下げやすくなり、エンジンの回転慣性加振力によるパワートレーンピッチ方向振動により励起されるアイドル時のフロア振動を改善することができる。
この第2の実施形態は、車両正面視において、エンジン側マウントを慣性主軸に一致するように配置したものである。
図4は、本発明における第2の実施形態のパワートレーン支持装置の平面図であり、図5はパワートレーン支持装置の正面図である。
図5に示すように、車両の正面図において、エンジン前方側マウントMT1、エンジン後方側マウントMT2及び慣性主軸TRが一致するように、マウントMT1及びMT2が配置されている。
図6の結果からもわかるように、第2の実施形態の装置を搭載した車両は、第1の実施形態の装置を搭載した車両と比較して、アイドル時のフロア振動がさらに低減されることになる。
なお、上記第2の実施形態においては、車両正面視において、エンジン側マウントが慣性主軸に一致するように配置する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、エンジン側マウントが慣性主軸に略一致していればよい。
この第3の実施形態は、エンジン側マウントを結ぶ直線がパワートレーンの重心近傍に位置するように、エンジン側マウントを配置するようにしたものである。
図7は、本発明における第3の実施形態のパワートレーン支持装置の平面図であり、図8はパワートレーン支持装置の正面図である。
図7及び図8に示すように、エンジン前方側マウントMT1及びエンジン後方側マウントMT2を結ぶ直線が、パワートレーンの重心Gの近傍に位置するようにマウントMT1及びMT2が配置されている。
これにより、パワートレーンのロール方向振動によりエンジン前方側マウント及びエンジン後方側マウントから車体に入力される力が略同等、且つ逆位相となるので、エンジン前方側マウントからの入力とエンジン後方側マウントからの入力とがキャンセルされ、アイドル時のフロア振動を改善することができる。
このように、上記第3の実施形態では、エンジン側マウントを結ぶ直線がパワートレーンの重心近傍に位置するように、エンジン側マウントを配置するので、パワートレーンのロール方向振動によりエンジン前方側マウント及びエンジン後方側マウントから車両に伝達される力を略同等且つ逆位相とすることができ、両者の打ち消し合いによりアイドル時のフロア振動をより改善することができる。
また、上記各実施形態では、エンジンマウントとサブフレームとをつなぐエンジンマウントブラケットを小さくすることができるので、ブラケット剛性を向上して加速時の騒音を改善することができると共に、コストを低減することができる。
この第4の実施形態は、エンジン前方側マウントをサブフロントクロスメンバに対して車両後方にオフセットして配置した場合に、エンジン前方側マウントからの入力による捩りモードを励起され難くして、サブフロントクロスメンバの共振を励起され難くするようにしたものである。
前述した第1〜第3の実施形態では、エンジン前方側マウントMT1はサブフロントクロスメンバ10F上に配置しているが、デザインや車両サイズの観点からフロントオーバーハングの短縮要望により、例えば、ラジエータをサブフロントクロスメンバ10F上に搭載する場合がある。このような場合には、エンジン前方側マウントMT1は、サブフロントクロスメンバ10F上に配置することができず、サブフロントクロスメンバ10Fに対して車両後方にオフセットして搭載される。
図12は、エンジン前方側マウントMT1とサブフロントクロスメンバ10Fとで構成される共振系の振動モデルを簡略化して示した図である。図12において、ktはサブフロントクロスメンバ10Fの捩り剛性、kはサブフロントクロスメンバ10Fの上下曲げ剛性である。
Mx″+kx+klGθ=0 ………(1)
Iθ″+lGkx+(lG 2k+kt)θ=0 ………(2)
上記(1)、(2)式を変形すると、
x″+ax+(b/M)θ=0 ………(3)
θ″+(b/I)x+cθ=0 ………(4)
となる。ここで、a,b,cは下記(5)式に示すようになる。
a=k/M,
b=klG,
c=(klG 2+kt)/I ………(5)
X/Θ=−b/{M(a−ω2)}=−{I(c−ω2)}/b ………(6)
上記(6)式を解くと、
ω2=(a+c)/2±√[{(c−a)2/4}+b2/MI] ………(7)
となる。前記(7)式において、
ω1 2=(a+c)/2−√[{(c−a)2/4}+b2/MI] ………(8)
ω2 2=(a+c)/2+√[{(c−a)2/4}+b2/MI] ………(9)
とし、上記(8)及び(9)式の√内を夫々展開することにより、固有振動数ωは次式で表される。
ω1 2=a−b2/{MI(c−a)} ………(10)
ω2 2=c+b2/{MI(c−a)} ………(11)
ここで、前記(8)及び(9)式からも明らかなように、ω2 2>ω1 2である。
ここで、重心Mからエンジン前方側マウントMT1までの距離は(l−lG)であるので、tanΘ=X/(l−lG)の関係式が成り立つ。Θを微小角度としてtanΘ≒Θと近似すると、
Θ=X/(l−lG) ………(12)
となり、さらに、
X/Θ=l−lG ………(13)
となり、振幅比(X/Θ)が重心Mからエンジン前方側マウントMT1までの距離(l−lG)と等しくなる。
X/Θ=−b/{M(a−ω2)}=−{I(c−ω2)}/b
=l−lG ………(14)
そして、上記(14)式に、前記(5)式に示すa,b,cと、固有振動数のうち剛性の高い方であるω2 2(前記(11)式)とを代入することにより、次の関係式が求められる。
kt=(I/M)・k={(m1・m2)/M2}・l2・k ………(15)
図11の太線で示す曲線は、エンジン前方側マウントMT1を車両後方にオフセットして配置し、且つ前記(15)式を満たすように設定することで捩り共振時のモード中心を当該エンジン前方側マウントMT1位置に一致させた場合の振動レベルを示している。この図からも明らかなように、捩り共振時のモード中心をエンジン前方側マウントMT1位置に一致させることにより、捩り共振のピークが図11の細線に示すP3から太線に示すP5に変更される。
図14は、本発明の捩り共振時における入力低減のメカニズムを示す図である。振動モードの中心をエンジン前方側マウントMT1位置に一致させない場合、図14(a)に示す上下振動モードと、図14(b)に示す捩り振動モードとが発生し、エンジン前方側マウントMT1からの入力によってサブフロントクロスメンバ10Fの共振が励起されてしまう。
このように、上記第4の実施形態では、エンジン前方側マウントを車体側のフレームに対して車両後方にオフセットした配置した場合には、エンジン前方側マウント及び車体側のフレームで構成される共振系の捩り共振時のモード中心が、エンジン前方側マウント位置に一致するように設定するので、エンジン前方側マウントからの入力によって車体側フレームに対して捩りモードの振動が入力されることが抑制されて、車体側フレームの共振が励起され難くなり、車内の静粛性を向上することができる。
また、上記第4の実施形態においては、エンジン側マウント同士を結ぶ直線がパワートレーンの重心近傍に位置する場合に、エンジン前方側マウントをサブフロントクロスメンバに対して車両後方にオフセットして配置する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、前述した第1の実施形態に示すようにエンジン側マウント同士を結ぶ直線がパワートレーンの重心近傍に位置しない場合に、エンジン前方側マウントを車両後方にオフセットして配置する場合であっても有効である。
4 エンジン
6 トランスミション
8 メインフレーム
8R,8L メインサイドメンバ
10 サブフレーム
10R,10L サブサイドメンバ
10F サブフロントクロスメンバ
10RE サブリヤクロスメンバ
12 ラジエータ
14 ブラケット
MT1 エンジン前方側マウント
MT2 エンジン後方側マウント
MT3 トランスミッション側マウント
TR 慣性主軸
Claims (3)
- エンジンとエンジンの出力軸に対して直列的に配置されたトランスミッションとから成るパワートレーンを、前記出力軸が車両の前後方向の中心線に対して、車両上面視において交差するように、車体側のフレームに少なくとも3個のマウント部によって支持するパワートレーン支持装置において、
前記マウント部は、前記エンジンに対して車両の前方側及び後方側に、車両正面視において前記パワートレーンの重心を通過する慣性主軸と一致又は略一致するように夫々配置されたエンジン側マウントと、前記慣性主軸近傍且つ前記トランスミッションの近傍に配置されたトランスミッション側マウントとを有し、
車両正面視において、前記車両の前方側及び後方側のエンジン側マウントは、前記パワートレーンの重心に対して一方の側に配置され、前記トランスミッション側マウントは、前記パワートレーンの重心に対して他方の側に配置されており、
前記パワートレーンの重心から前記車両の前方側及び後方側のエンジン側マウント同士を結ぶ直線までの前記慣性主軸方向の距離が、前記パワートレーンの重心から前記トランスミッション側マウントまでの前記慣性主軸方向の距離より短くなるように配置されており、
前記車両の前方側のエンジン側マウントが、前記車体側のフレームに対して車両後方にオフセットして配置され、前記車両の前方側のエンジン側マウント及び前記車体側フレームで構成される共振系の振動モードの中心が、当該車両の前方側のエンジン側マウント位置と一致又は略一致するように設定されていることを特徴とするパワートレーン支持装置。 - 前記マウント部は、前記エンジン側マウント同士を結ぶ直線が、前記パワートレーンの重心近傍に位置するように配置されていることを特徴とする請求項1に記載のパワートレーン支持装置。
- 前記車体側のフレームの捩り剛性をkt、前記車体側のフレームの上下曲げ剛性をk、前記車体側のフレームの上下曲げ等価質量をm1、前記車両の前方側のエンジン側マウントの質量をm2、前記車体側のフレームから前記車両の前方側のエンジン側マウントまでの車両前後方向の距離をl、前記m1と前記m2との和をM、慣性モーメントをIとしたとき、
kt=(I/M)・k={(m1・m2)/M 2 }・l 2 ・k
を満たすように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のパワートレーン支持装置。
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JPS59196751U (ja) * | 1983-06-16 | 1984-12-27 | トヨタ自動車株式会社 | エンジンマウンテイング装置 |
JPH1128937A (ja) * | 1997-07-11 | 1999-02-02 | Toyota Motor Corp | パワートレーンの懸架装置 |
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- 2004-11-08 JP JP2004323334A patent/JP4710301B2/ja not_active Expired - Fee Related
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