JP4720304B2 - フロア下部品支持構造 - Google Patents
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Description
このようにトランスアクスル方式などを採用した車両にあっては、エンジンから切り離されたトランスミッションをクルマの後方のフロア下などに配置する必要があるが、その配置構造に関する技術として従来では、例えば以下の特許文献1に示すような方法が提案されている。
一方、このように小さくなった最低地上高を確保すべく車両の床を高くすると乗り降りが困難になったり、車高が高くなってしまうといった問題が生ずる。
また、このようにトランスミッションを車両の後方に配置すると、車両の後方に新たな振動源が発生する。そのため、従来では、ゴムなどの弾性体からなるミッションマウント11を介してクロスメンバ10上にトランスミッション8を支持(マウント)するようにしているが、このような防振マウントのみではその振動を十分に抑制することは困難である。
車体のフロア下に配置するフロア下部品を支持するフロア下部品支持構造であって、
前記フロアの一部を上方に隆起させて当該フロアに前記フロア下部品を格納して配置する配置部を形成し、当該配置部に配置された前記フロア下部品を第1の弾性支持体を介して質量体クロスメンバで支持すると共に、当該質量体クロスメンバの両端を第2の弾性支持体を介してそれぞれ前記フロア側に振動自在に連結し、前記質量体クロスメンバの下方に、所定の間隙を隔てて前記配置部を横断するように補剛クロスメンバを設け、その補剛クロスメンバの両端を、前記第2の弾性支持体の弾性部材とは非接触状態で且つ当該第2の弾性支持体のフロアへの連結位置とは別の位置で前記フロアに固定したことを特徴とするものである。
また、この質量体クロスメンバの両端を直接フロア側に直接に固定するのではなく、第2の弾性支持体を介してそれぞれフロア側に振動自在に連結するようにしたため、この質量体クロスメンバがダイナミックダンパの質量体として機能することから、トランスミッションなどのフロア下部品から発生する振動も効果的に抑制することができる。
図1および図2は、本発明に係るフロア下部品支持構造の第1の実施の形態を示したものであり、図1は、このフロア下部品支持構造を採用したトランスアクスル構造の車体フロアを示す車両底面図、図2は図1中A−A線矢視図である。
図1において、符号10は、車両の床部を構成するフロアであり、その中央部には車両上方側(車室側)に隆起したトンネル11(配置部)が車両の前後方向に延びるように形成されている。
そして、図2に示すように、このフロア下部品13は、その一部あるいは全部がこのトンネル11内に収納されるような状態でフロア10下に配置されており、このトンネル11の開口縁間を横断するように位置する質量体クロスメンバ14上に、ゴムやコイルスプリングなどからなる第1の弾性支持体15、15を介して弾性自在に支持(載置)されている。
また、この質量体クロスメンバ14の下方には、これよりもやや長尺の補剛クロスメンバ17が同じくトンネル11を横断するように設けられており、その両端が取付けボルト18、18によってフロア10側にリジットに固定されている。
そして、この中間の隆起部分が前記質量体クロスメンバ14の下面に嵌合されるような状態で配置されるようになっている。
また、さらにこの補剛クロスメンバ17の隆起部分側にも同じく断面コ字形状の嵌合溝17aが形成されており、質量体クロスメンバ14の嵌合溝14aの中央部に形成された突起部14bを所定の隙間Cを隔てて嵌合するような状態となっている。
図示するように、一般にトランスアクスル構造の車両は、エンジン(ENG)が車体前方のフロントサスペンションメンバ(FSM)にエンジンマウントなどによって弾性支持され、トランスミッションやデフギアなどのトランスアクスル(T/AXLE)がリアサスペンションメンバ(RSM)に弾性部材を介してそれぞれ弾性支持されている。
このようなフロントアクスルからの車体入力振動を低減させるためには、リアサスペンションメンバなどを低剛性化することが考えられるが、トランスアクスルは、大きな駆動反力を受けるため、これを支持するためのリアサスペンションメンバなどの低剛性化には限界がある。
ここで本発明でいうダイナミックダンパとは、ある起振源の主振動体Mと、質量体mがあり、これらが起振側弾性体K1および制振側弾性体K2で繋がれているとき、質量体mの固有振動周波数f以上では、主振動体Mのエネルギーが質量体mに渡され、質量体mが入力方向とは逆方向に大きく振動、すなわち主振動体Mとは逆位相の振動モードで振動することで質量体mと制振側弾性体K2で決まる車体に伝わる入力を低減する機能を発揮するものをいう(防振効果)。
ここで、十分なダイナミックダンパ効果を得るためには、質量体mである質量体クロスメンバ14の重さや、起振側弾性体K1である第1の弾性支持体15、15や、制振側弾性体K2である第2の弾性支持体16、16の剛性などを適宜調整することが必要となってくる。
(K1・K2)/K1+K2≧F/X
ここで、Fは主振動体Mの取り付け点に入力される力であり、Xは主振動体Mの移動可能量を示すものである。
このようにして求められた各弾性体K1、K2の剛性と、効果を得たい周波数250Hzをルート2で割った値である、f=170Hzから2自由度の計算式で質量体mが決定される。
一例を挙げると、M=28.5Kg、K1=3030N/mm、K2=1510N/mmとすると、m=4kgとなる。
また、本発明のフロア下部品支持構造は、このようなダイナミックダンパ効果を発揮する質量体クロスメンバ14に加えてその下部にトンネル11を横断するように補剛クロスメンバ17を備えたことから、フロア下部品13を収容するトンネル11を設けることによって低下したフロア10の剛性を容易に向上させることが可能となり、トンネル11の開きや変形などを確実に防止することができる。
また、図4に示すように、この補剛クロスメンバ17の中間部は上方に隆起してその上方の質量体クロスメンバ14下面の嵌合溝14a内に嵌合した状態で配置されることから、補剛クロスメンバ17を設けても、フロア下のスペースや車両の最低地上高を犠牲にするようなこともない。
さらに、万一、質量体クロスメンバ14に大きな曲げや捻りモーメントなどが加わった場合には、この補剛クロスメンバ17が質量体クロスメンバ14を補強するように機能するため、質量体クロスメンバ14やその連結部(第2の弾性支持体16)などの損傷を防止することも可能となる。
先ず、図11および図12は、本発明のフロア下部品支持構造に係る第2の実施の形態を示したものである。
すなわち、前記第1の実施の形態では、質量体クロスメンバ14の下面に嵌合溝14aを形成し、その下方に位置する補剛クロスメンバ17を隆起させてその嵌合溝14aに嵌合するように配置することで、フロア下の省スペース化、最低地上高の確保、質量体クロスメンバ14の補強などを図るようにしたものであるが、本実施の形態では、それぞれ図12に示すように、断面四角形状をした質量体クロスメンバ14の下面および補剛クロスメンバ17の上面をそれぞれ斜め方向にカットして断面三角形状とし、それらのカット面同士が向き合うように所定の間隙を隔てて配置したものである。
また、図13は、本発明のフロア下部品支持構造に係る第3の実施の形態を示したものであり、前述した質量体クロスメンバ14側にハンガー部材27、27を設け、そのハンガー部材27、27に架け渡された支持部材28などによって排気ラインを構成する排気管などのフロア下部品29を吊下するように支持したものである。
これによって、排気管などのフロア下部品28を質量体クロスメンバ14と共にダイナミックダンパの質量体として機能させることが可能となると共に、排気管自体の振動も同時に抑制することが可能となる。
11 トンネル(配置部)
13 トランスアクスル(フロア下部品)
14 質量体クロスメンバ
14a 嵌合溝
15 第1の弾性支持体
16 第2の弾性支持体
17 補剛クロスメンバ
Claims (6)
- 車体のフロア下に配置するフロア下部品を支持するフロア下部品支持構造であって、
前記フロアの一部を上方に隆起させて当該フロアに前記フロア下部品を格納して配置する配置部を形成し、当該配置部に配置された前記フロア下部品を第1の弾性支持体を介して質量体クロスメンバで支持すると共に、当該質量体クロスメンバの両端を第2の弾性支持体を介してそれぞれ前記フロア側に振動自在に連結し、
前記質量体クロスメンバの下方に、所定の間隙を隔てて前記配置部を横断するように補剛クロスメンバを設け、その補剛クロスメンバの両端を、前記第2の弾性支持体の弾性部材とは非接触状態で且つ当該第2の弾性支持体のフロアへの連結位置とは別の位置で前記フロアに固定したことを特徴とするフロア下部品支持構造。 - 請求項1に記載のフロア下部品支持構造において、
前記質量体クロスメンバの下面に、断面コ字形状の嵌合溝を形成し、当該嵌合溝内に前記補剛クロスメンバが所定の隙間を介して配置されるように前記補剛クロスメンバを設けたことを特徴とするフロア下部品支持構造。 - 請求項2に記載のフロア下部品支持構造において、
前記質量体クロスメンバと前記補剛クロスメンバとが直線状に重なり合うように前記補剛クロスメンバを設けたことを特徴とするフロア下部品支持構造。 - 請求項1に記載のフロア下部品支持構造において、
前記質量体クロスメンバの下面と、前記補剛クロスメンバの上面とをそれぞれ所定の間隙を隔てて斜め方向に対向するように傾斜させて形成したことを特徴とするフロア下部品支持構造。 - 請求項1〜4のいずれかに記載のフロア下部品支持構造において、
前記質量体クロスメンバにさらに他のフロア下部品を支持したことを特徴とするフロア下部品支持構造。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載のフロア下部品支持構造において、
前記質量体クロスメンバとその両端の第1の弾性支持体とで構成される振動体の振動モードが、前記フロア下部品の振動モードに対して逆位相となるように前記前記質量体クロスメンバの質量と、その両端の第2の弾性支持体の弾性特性を決定することを特徴とするフロア下部品支持構造。
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