JP4482845B2 - ブレーキ倍力装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、通常の気圧式倍力装置としての機能に加え、自動ブレーキとしての機能も備えたブレーキ倍力装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種のブレーキ倍力装置としては、シェル本体内をパワーピストンにより定圧室と変圧室とに分割し、該パワーピストンに支持されたバルブボデー内にプランジャと筒状の弁座部材とを同心に配設し、前記プランジャの後端に設けられた環状の大気用弁座と前記バルブボデー内に配設されたポペット弁の内径寄りの第1環状部位とで大気弁を、前記弁座部材の後端に設けられた環状の真空用弁座と前記ポペット弁の外径寄りの第2環状部位とで真空弁をそれぞれ構成し、前記プランジャをブレーキペダルと連動する入力ロッドと一体に移動させ、または前記弁座部材を前記バルブボデーに内装した電磁駆動手段により移動させて前記大気弁を開き、前記定圧室と前記変圧室とに差圧を発生させて、前記ブレーキペダルの踏力に応じた出力、または前記電磁駆動手段の電磁力に応じた出力を得るようにしたものがある(例えば、特表平7−503214号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このようなブレーキ倍力装置にあっては、大気弁の閉弁状態では、ポペット弁に変圧室内の圧力と大気圧との圧力差が作用しており、電磁駆動手段により弁座部材を移動させて大気弁を開くには、この圧力差(差圧力)に打ち勝つ電磁力を弁座部材に加える必要がある。しかし、上記した従来のブレーキ倍力装置では、大気弁と真空弁とが単純に軸径方向に配置されているため、大気弁が閉弁状態から開弁状態へ移行すると、前記差圧力が作用するポペット弁の受圧面積が減少し、大気弁が開弁すると同時に弁座部材にかかる反力が減じて大気弁の開弁量がさらに増加し、出力が目標以上に発生する、いわゆるオーバーシュートが起こり易いという問題があった。
【0004】
なお、特開平11−208453号公報に記載のブレーキ倍力装置では、真空弁径より大気弁径を大として、大気弁が閉弁状態から開弁状態に移行する間に、上記差圧力がかかるポペット弁の受圧面積が逆に増加するようにしているので、上記オーバーシュートの発生は防止される。しかし、このものでは、真空弁と大気弁とを軸方向に直列に配置する構成としているので、ブレーキ倍力装置全体の軸方向寸法が長くなり、車両搭載性が悪化する。
【0005】
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたもので、その課題とするところは、真空弁と大気弁とを軸径方向に配置する構成としてもオーバーシュートを確実に防止できるブレーキ倍力装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、真空弁と大気弁とを軸径方向に並べて配置し、入力ロッドと連動するプランジャの移動によりブレーキペダルの踏力に応じた出力を、電磁駆動手段と連動する弁座部材の移動により電磁力に応じた出力を選択的に得るようにしたブレーキ倍力装置において、前記真空弁の径(D3)を前記弁座部材の摺動径(D4)よりも大径とし、また、ポペット弁の受圧有効径(D1)を前記大気弁の径(D2)よりも大径とし、前記弁座部材の摺動径(D4)と前記真空弁の径(D3)との間の環状面積を、前記大気弁の径(D2)前記ポペット弁の受圧有効径(D1)との間の環状面積とほぼ同等かそれより大きく設定したことを特徴とする。
この場合、ポペット弁の受圧有効径を真空弁の径とほぼ同等かそれより小さく設定すると共に、大気弁の径を弁座部材の摺動径とほぼ同等かそれより大きく設定するようにしてもよい。
このように構成したブレーキ倍力装置においては、大気弁が開弁すると同時に弁座部材に定圧室内の圧力と大気圧との差圧に相当する反力が作用し、大気弁が必要以上に開弁することはなくなる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基いて説明する。
【0008】
図1乃至図3は、本発明の一つの実施の形態としてのブレーキ倍力装置を示したものである。本ブレーキ倍力装置は、タンデム型として構成されており、図3にその全体的構成が示されるように、シェル本体1内は、センターシェル2により前・後2室に分割され、この前・後2室はさらに、ダイアフラム3,4を備えたパワーピストン5,6により定圧室7,8と変圧室9,10とに分割されている。各パワーピストン5,6には、大径のカップ部11aと小径の筒状部11bとを連設してなるバルブボデー11が支持されている。バルブボデー11は、そのカップ部11aがセンターシェル2を気密的にかつ摺動自在に挿通して配置されると共に、その筒状部11bがシェル本体1の背面側の筒状部1aを気密的にかつ摺動自在に挿通してその後方まで延ばされている。なお、バルブボデー11の筒状部11bの、シェル本体1の後方に延在する部分はブーツBにより覆われている。
【0009】
バルブボデー11には、2つの定圧室7と8とを相互に連通しかつ各定圧室7,8をバルブボデー11の筒状部11b内に連通する定圧通路(真空通路)12が設けられる他、2つの変圧室9と10とを相互に連通しかつ各変圧室9,10をバルブボデー11の筒状部11b内に連通する大気通路13が設けられている。図の左側(フロント側)の定圧室7には、例えばエンジン負圧が導入されるようになっており、この負圧は、前記真空通路12を通じて図の右側(リア側)の定圧室8にも供給される。一方、バルブボデー11の筒状部11bには、サイレンサ機能を有するフィルタユニット14を通して大気が導入されるようになっており、この大気は、後述の弁機構15の作動により前記大気通路13を通じて2つの変圧室9と10に供給される。
【0010】
弁機構15は、図1によく示されるように、ブレーキペダル(図示略)と連動する入力ロッド16に連結され、バルブボデー11内に配置した後述の中空ガイド17に沿って摺動するプランジャ18と、このプランジャ18の後端に形成された環状の大気用弁座19と、バルブボデー11の内面にシール部材20を介して摺動可能に嵌装された筒状の弁座部材21と、この弁座部材21の後端に形成された環状の真空用弁座22と、バルブボデー11の筒状部11bにリング部材23および押え部材24により基端部が固定され、入力ロッド16に一端が係止された弁ばね25により常時は前記大気用弁座19と真空用弁座22とに着座する方向へ付勢されたポペット弁26とからなっている。
【0011】
上記大気用弁座19とこれに当接するポペット弁26先端の内径寄り環状部位(第1環状部位)とは大気弁27を、上記真空用弁座22とこれに当接するポペット弁26先端の外径寄り環状部位(第2環状部位)とは真空弁28をそれぞれ構成し、前記2つの変圧室9,10には、これら大気弁27または真空弁28の開弁に応じて大気または真空が選択的に供給されるようになる。ここで、前記押え部材24と入力ロッド16との間には戻しばね29が保持されており(図1)、プランジャ18は、本ブレーキ倍力装置の非作動時には、この戻しばね29と弁ばね25との付勢力により、その大気用弁座19をポペット弁26に当接させる状態を維持するようになっている。
【0012】
一方、バルブボデー11のカップ部11a内には、ソレノイド機構(電磁駆動手段)30が配設されている。ソレノイド機構30は、図2によく示されるように、ソレノイド31と、このソレノイド31を収めたハウジング32とハウジング32内にシール部材33を介して摺動可能に配設された環状の可動子(アーマチュア)34とから概略構成されている。
【0013】
ソレノイド機構30のハウジング32は、前記ソレノイド31を収めた二重筒形状の本体部35と、この本体部35の後端からリア側へ延ばされた延長筒部36と、本体部35内と延長筒部36内と仕切る仕切部37とを備えており、その延長筒部36をバルブボデー11の内面にシール部材38を介して嵌入させている。ハウジング32はまた、その外周面に設けたフランジ部39をバルブボデー11のカップ部11aの内面に設けた段差部40に着座させ、この状態のもと、フロント側の定圧室7内に配置した戻しばね41により前端が押えられて、バルブボデー11に対して位置規制されている。しかして、前記フランジ部39と段差部40との間には、フロント側パワーピストン5の筒状部5aに設けられた内方フランジ5bが介装されており、バルブボデー11およびハウジング32はパワーピストン5と一体に軸方向移動するようになっている。なお、図3中、Wはソレノイド31に電流を供給するための配線で、通常はシェル本体1の前面に設けたコネクタ(図示略)を通して外部へ導出されている。
【0014】
ハウジング32の本体部35の内部には前記中空ガイド17が配置されている。中空ガイド17は、本体部35内の段差部に係止された大端部42とこの大端部42からハウジング32の仕切部37を挿通してリア側へ延ばされた小径軸部43とからなっており(図2)、その小径軸部43に前記プランジャ18が摺動可能に挿入されている。プランジャ18には、前記大気通路13を通してバルブボデー11内に半径方向から挿入されたストップキー44の先端部が連結されている。このストップキー44の基端部は、シェル本体1のリア側筒状部1a内に固設されたストッパ板45に当接するようになっており、プランジャ18は、このストップキー44がストッパ45に当接する位置が後退端とされている。また、このストップキー44は、前記弁座部材21に形成した長孔(図1)21aも挿通しており、弁座部材21は、その開口21a内におけるストップキー44の移動範囲内でプランジャ18と相対移動できるようになっている。
【0015】
上記ハウジング32の本体部35内の前端側にはリアクションディスク46と出力ロッド47の基端大径部47aとが配置されている。出力ロッド47の先端部は、シェル本体1の前面を気密的に挿通してその前方へ延ばされ、これにはマスタシリンダのピストン(図示略)が作動連結されるようになる。この出力ロッド47の基端大径部47aとリアクションディスク46とは、前記戻しばね41によりバルブボデー11の前端に押圧固定されたリテーナ48によりハウジング32からの抜けが規制されている。また、中空ガイド17の大端部42の前面に形成された凹部内には受圧板49が配置されており、ブレーキ倍力装置の非作動時にはこの受圧板49の背面にわずか接する程度に前記プランジャ18が位置決めされ、この状態で、受圧板49の前面と前記リアクションディスク46との間にはわずかの間隙Sが形成されるようになっている。
【0016】
上記ソレノイド機構30の可動子34にはピン50の一端部が圧入固定されており、このピン50の他端部は、ハウジング32内の仕切部37に設けた貫通孔に挿入されている。一方、前記大気用弁座22を後端に有する弁座部材21は、プランジャ18に一端が係止されたばね51によりフロント側へ付勢され、常時はその前端を前記ハウジング32内の仕切部37に当接させている。しかして、ソレノイド機構30の可動子34は、ソレノイド31への通電によりリア側へ移動するようになっており、これにより、可動子34に固定したピン50が弁座部材21をばね51と前記弁ばね25との付勢力に抗してリア側へ移動させ、この結果、ポペット弁26がプランジャ18の後端の大気用弁座19から持ち上げられ、プランジャ18の動きすなわち入力ロッド16の動きとは無関係に大気弁27が開弁するようになる。
【0017】
一方、可動子34と中空ガイド17との間は、可動子34の内周面に保持させたシール部材53によりシールされている。可動子34の外周面は、前記したようにシール部材33によりハウジング32に対してシールされており、これにより、可動子34の両端側には圧力室54,55が画成されている。ここで、フロント側の圧力室54は、ハウジング32に形成した通路56によりフロント側の定圧室7に連通され、一方、リア側の圧力室55は、ハウジング32の仕切部37に形成した通路57により大気通路13を介して変圧室10,9に連通されている。
【0018】
しかして、プランジャ18の後端の大気用弁座19は、入力ロッド16に対する連結部60からリア側へ向けて傘状に拡張する拡張部61の先端に設定されている。一方、弁座部材21の後端の真空用弁座22は、バルブボデー11の内面にシール部材20を介して摺接する摺動部62よりも拡径する拡径部63の先端に設定されている。また、この弁座部材21の摺動部62と拡径部63との間は、放射方向へ拡張する円板部64として構成され、この円板部64は、バルブボデー11の内面に形成された段差面65と対向して配置されている。弁座部材21の拡径部63および円板部64の外側は定圧室7,8に通じる真空通路12に開放されており、したがって、大気弁27および真空弁28が閉じた状態では、前記円板部64には定圧室7,8と前記変圧室9,10との差圧が作用するようになっている。なお、弁座部材21とバルブボデー11との間をシールするシール部材20は、リテーナ66によりバルブボデー11に固定されている。
【0019】
ここで、ポペット弁26の受圧有効径D1と、大気弁27の径(大気弁径)D2と、真空弁28の径(真空弁径)D3と弁座部材21の摺動部62の径(弁座部材摺動径)D4とは、ポペット弁26の受圧有効径D1が真空弁径D3とほぼ同等かそれより小さく設定(D1≦D3)されると共に、大気弁径D2が弁座部材摺動径D4とほぼ同等かそれより大きく設定(D2≧D4)されている。換言すれば、弁座部材摺動径D4と真空弁径D3との間の環状面積(D4〜D3)は、大気弁径D2とポペット弁26の受圧有効径D1との間の環状面積(D2〜D1)とほぼ同等かそれより大きく設定(D4〜D3≧D2〜D1)されている。
【0020】
以下、上記のように構成したブレーキ倍力装置の作用を説明する。
ブレーキ倍力装置は、そのシェル本体1の後面に植立した複数のスタッドボルト58(図3)を用いて図示しない車体に取付けられ、この状態でその入力ロッド16に図示しないブレーキペダルが連結される。一方、このブレーキ倍力装置には、そのシェル本体1の前面に植立したスタッドボルト59(図3)を利用して、予め図示しないマスタシリンダが結合され、この状態でその出力ロッド47がマスタシリンダ内のピストンに当接される。
【0021】
ブレーキ倍力装置は、図示(図1〜3)の初期状態で、定圧室7,8および変圧室9,10は一定圧(真空)となっており、かつ大気弁27、真空弁28は閉じている。そして、この状態でブレーキペダルが踏み込まれると、入力ロッド16が押されてプランジャ18がフロント側へ変位し、その後端の大気用弁座19がポペット弁26から離間して大気弁27が開き、大気が大気通路13を通って変圧室10,9に流入し、変圧室10,9と定圧室7,8との間に差圧が生じる。これによりパワーピストン5,6が推進し、その推力がバルブボデー11を介して出力ロッド47に伝達され、制動作用が開始される。なお、この制動の開始当初は、受圧板49とリアクションディスク46との間隙Sが解消されるまでは、入力に無関係にブースタ出力が増大する、いわゆるジャンプインが発生し、十分な初期制動力を得ることができる。
【0022】
一方、上記ジャンプイン後は出力ロッド47からの出力反力の一部がリアクションディスク46、受圧板49およびプランジャ18を介して入力ロッド16に伝達される。そして、バルブボデー11が前進することによって生じる出力ロッド47からの反力の大きさが、ブレーキペダルに加わる踏力の大きさと等しくなると、大気弁27は閉弁状態となり、一定のブースタ出力が保持される。また、この状態から、ブレーキペダルに加わる踏力の大きさを増減し、前記差圧力に基づく反力の大きさとブレーキペダルに加わる踏力の大きさとの間に不均衡が生じた場合には、大気弁27が再び開弁しまたは真空弁28が大気弁27に代わって開弁することによって、前記差圧力に基づく反力の大きさがブレーキペダルに加わる踏力の大きさに等しくなるように、定圧室7,8との間に生じた差圧力が調整される。したがって、ソレノイド31に通電しない状態では、ブレーキペダルに加わる踏力の大きさが所定の倍力比で倍力され、本ブレーキ倍力装置は、通常の気圧式倍力装置として作動する。
【0023】
これに対し、ソレノイド31に通電する自動ブレーキ時には、ソレノイド31に電流が供給されることで、可動子34に電磁力が作用し、可動子34がリア側へ移動して、その動きがピン50を介して弁座部材21に伝達され、ポペット弁26がプランジャ18の後端の大気用弁座19から持ち上げられて大気弁27が開弁する。この時、ポペット弁26には、大気弁径D2と真空弁径D3との間の環状面積(D2〜D3)に変圧室9,10内の圧力Vrと大気圧との圧力差が、真空弁径D3と受圧有効径D1との間の環状面積(D3〜D1)に定圧室7,8内の圧力Vfと大気圧との圧力差がそれぞれ作用しているが、ブレーキ倍力装置の非作動状態ではVr=Vfのため、ほぼD2〜D1間の環状面積に定圧室7,8内の圧力Vfと大気圧との圧力差に相当する力F0が作用しているとみることができる。したがって、この閉弁状態から弁座部材21を移動させて大気弁27を開弁させるには、この力F0およびその他の反力(ばね52および弁ばね25の合計ばね力)に打ち勝つ電磁力を発生させる電流をソレノイド31に供給する必要がある。なお、大気弁27が開弁すると、ポペット弁26の大気弁27から真空弁径D3のリング状部分はほぼ大気圧になり、この部分は、開弁前に左側が変圧室圧、右側が大気圧であったのが、開弁により左側がほぼ大気圧となるため、この部分で開弁前に左向きに作用していた力がなくなることとなり、ポペット弁26には、真空弁径D3と受圧有効径D1との間の環状面積(D3〜D1)に定圧室7,8内の圧力Vfと大気圧との圧力差が作用するが、受圧有効径D1と真空弁径D3とがほぼ同等(D1≒D3)である場合は、この力を無視できる。
【0024】
一方、弁座部材21には、定圧室7,8内の圧力Vfと変圧室9,10内の圧力Vrとの圧力差が作用している(ただし、ブレーキ倍力装置の非作動状態ではVr=Vfのため、弁座部材21に作用する力は0となる)。この状態から大気弁27が開弁すると、弁座部材21の後端側がほぼ大気圧となるため、弁座部材摺動径D4と真空弁径D3との間の環状面積(D4〜D3)に定圧室7,8内の圧力Vfと大気圧との圧力差に相当する力(反力)F1が作用するようになる。ここで、D4〜D3間の環状面積は、前記したように大気弁径D2と受圧有効径D1との間の環状面積(D2〜D1)とほぼ同等かそれより大きく設定されていることから、この反力F1は、上記した閉弁時にポペット弁26に作用している力F0とほぼ同じかそれより大きくなり(F1≧F0)、大気弁27が閉弁状態から開弁状態に移行する間に、弁座部材21が受ける力(反力)に変化がないか、より大きな反力を受けることになる。したがって、大気弁27が開弁した直後にその開弁量が必要以上に開弁することはなく、いわゆる出力のオーバーシュートが発生しない。
【0025】
そして、大気弁27が開弁すると、変圧室10,9に大気が導入されて定圧室7,8との間に差圧が生じ、これによりパワーピストン5,6が推進して、その推力がバルブボデー11を介して出力ロッド47に伝達される。しかして、可動子34の一端側の圧力室54には通路56を通してフロント側の定圧室7(8)と同じ圧力が、可動子34の他端側の圧力室55には通路57、ピン50周りの間隙および大気通路13を通して変圧室10(9)と同じ圧力がそれぞれ導入されているので、変圧室10,9に大気が導入されると、可動子34の他端側の圧力室55にも、通路57およびピン50周りの間隙を通して大気が導入され、真空が導入されているフロント側の圧力室54との間に差圧が発生し、可動子34に差圧力が作用する。この差圧力は、可動子34をフロント側へ戻す方向すなわち可動子34に作用する電磁力の向きと逆方向に働き(駆動反力として働き)、開弁と同時に弁座部材21に作用する上記反力F1と合わさって、可動子34に比較的大きな反力が作用する。この結果、ソレノイド31に供給する電流が一定すなわち可動子34に作用する電磁力が一定とされている場合には、可動子34は前記反力によってフロント側へ押し戻される。そして、可動子34に作用する電磁力と駆動反力とが均衡すると、可動子34のフロント側への移動が停止され、これにより大気弁27が閉弁し、一定のブースタ出力が維持される。
【0026】
一方、この状態からソレノイド31に流す電流の大きさを増減し、前記可動子34に作用する電磁力と差圧力との間に再び不均衡が生じると、可動子34が駆動反力と電磁力とを均衡させるように再び移動し、これによって、大気弁27が再び開弁し、または真空弁28が大気弁27に代わり開弁し、変圧室9,10の圧力がソレノイド31に流す電流の大きさに応じて調整される。
【0027】
このようにして、ソレノイド31に供給した電流に比例したブースタ出力が得られるので、ソレノイド31に供給する電流を広範囲に変えることにより広範囲にわたってブースタ出力を調整できることになる。しかも、可動子34には、その両端の圧力室54と55との差圧に応じた駆動反力に、弁座部材21からの反力F1も加わるので、ソレノイド31に供給する電流とブースタ出力との比例関係はゆるやかな勾配となり、この結果、ブースタ出力の細かい制御が可能になって、自動ブレーキとしての制御性が向上する。
【0028】
なお、上記実施の形態においては、タンデム型として構成したブレーキ倍力装置を示したが、本発明は、定圧室と変圧室とを各1つだけ有する、いわゆるシングル型ブレーキ倍力装置として構成してもよいことはもちろんである。
【0029】
【発明の効果】
上記したように、本発明に係るブレーキ倍力装置によれば、真空弁と大気弁とを軸径方向に配置する構成としてもオーバーシュートを確実に防止でき、車両への搭載性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る制御型ブレーキ倍力装置の要部構造を示す拡大断面図である。
【図2】本発明に係る制御型ブレーキ倍力装置の要部構造を示す断面図である。
【図3】本発明に係る制御型ブレーキ倍力装置の全体的構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1 シェル本体
5,6 パワーピストン
7,8 定圧室、 9,10 変圧室
11 バルブボデー、 16 入力ロッド、 18 プランジャ
19 大気用弁座、 21 弁座部材、 22 真空用弁座
26 ポペット弁、 27 大気弁、 28 真空弁
30 ソレノイド機構(電磁駆動手段)
31 ソレノイド
32 ハウジング
34 可動子
47 出力ロッド
50 ピン

Claims (2)

  1. シェル本体内をパワーピストンにより定圧室と変圧室とに分割し、該パワーピストンに支持されたバルブボデー内にプランジャと筒状の弁座部材とを同心に配設し、前記プランジャの後端に設けられた環状の大気用弁座と前記バルブボデー内に配設されたポペット弁の内径寄りの第1環状部位とで大気弁を、前記弁座部材の後端に設けられた環状の真空用弁座と前記ポペット弁の前記第1環状部位よりも外径寄りで前記第1環状部位と径方向に並んで配置される第2環状部位とで真空弁をそれぞれ構成し、前記弁座部材を前記バルブボデーに内装した電磁駆動手段により移動させ、該弁座部材の移動により前記ポペット弁を前記大気用弁座から離間させて前記大気弁を開き、前記定圧室と前記変圧室とに差圧を発生させて、前記電磁駆動手段の電磁力に応じた出力を得るようにしたブレーキ倍力装置において、
    前記真空弁の径(D3)を前記弁座部材の摺動径(D4)よりも大径とし、また、前記ポペット弁の受圧有効径(D1)を前記大気弁の径(D2)よりも大径とし、前記弁座部材の摺動径(D4)と前記真空弁の径(D3)との間の環状面積を、前記大気弁の径(D2)と前記ポペット弁の受圧有効径(D1)との間の環状面積とほぼ同等かそれより大きく設定したことを特徴とするブレーキ倍力装置。
  2. ポペット弁の受圧有効径(D1)を真空弁の径(D3)とほぼ同等かそれより小さく設定すると共に、大気弁の径(D2)を弁座部材の摺動径(D4)とほぼ同等かそれより大きく設定したことを特徴とする請求項1に記載のブレーキ倍力装置。
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