JP3911652B2 - タンデム型気圧式倍力装置 - Google Patents

タンデム型気圧式倍力装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両のブレーキ系統に用いられる気圧式倍力装置に係り、より詳しくはブレーキ補助機構としてのソレノイドを内蔵したタンデム型気圧式倍力装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ブレーキ補助機構は、車両を急停止または急減速させたい緊急状態であるか否かを、例えばブレーキペダルの踏込速度から判断し、緊急状態と判断した場合に入力軸の動きから独立して気圧式倍力装置の変圧室に作動流体を供給するようにしたもので、事故を回避する上で有用となるところから、近年、その利用が注目されている。
【0003】
このブレーキ補助機構としては、気圧式倍力装置から独立して作動流体源を設け、コントロール弁の作動に応じて該作動流体源から気圧式倍力装置の変圧室に作動流体を供給するようにしたものもあるが(例えば、特開昭61−268560号公報参照)、最近では、気圧式倍力装置を構成するバルブボデー内にソレノイドを組込み、このソレノイドを励磁して電磁気的にバルブボデー内の弁機構(大気弁)を作動させるようにした、いわゆるソレノイド内蔵型の気圧式倍力装置が主流となってきている。
【0004】
ところで、気圧式倍力装置のバルブボデーは、最近、樹脂製となっており、例えば、このバルブボデーを樹脂成形する際、ソレノイドを一体に埋込むようにすれば、気圧式倍力装置を簡単にソレノイド内蔵型とすることができる。しかし、気圧式倍力装置が、前・後2つのパワーピストンを備えたタンデム型である場合は、バルブボデーも複雑構造となり、前記したようにソレノイドをバルブボデーに埋込むことは不可能になる。
【0005】
そこで従来、タンデム型の気圧式倍力装置をソレノイド内蔵型とする場合は、ソレノイドをバルブボデーとは別体のソレノイドケースに納め、このソレノイドケースをバルブボデーに作動連結してソレノイド内蔵型とすることが行われており、例えば、米国特許第5493946号には、図4および図5に示すようなタンデム型気圧式倍力装置が提案されている。
【0006】
図4および図5において、1はシェル本体、2はシェル本体1内を前・後2室に分割するセンターシェル、3,4は各室に配した前・後のパワーピストン、5は弁機構6を内蔵するバルブボデー、7はソレノイド8を内蔵する環状のソレノイドケースであり、ここでは、後側パワーピストン4にバルブボデー5を支持させると共に、前側パワーピストン3に取付けた有底筒状の係止部材9によりソレノイドケース7をバルブボデー5のカップ部底に衝合させるようにしている。環状のソレノイドケース7の内径にはスリーブ10が圧入されており、このスリーブ10内には、ブレーキペダル(図示略)から延ばした入力軸11に連結されたプランジャ12が摺動可能に嵌挿され、一方、このスリーブ10の外周には前記弁機構6を構成する大気用弁座部材13が摺動可能に外嵌されている。また、ソレノイドケース7の前端部に凹部14が形成されて、この凹部14にプレート15とリアクションディスク16が納められ、出力軸17の基端部を支承する係止部材9の底面ボス部9aがこのリアクションディスク16に突当てられている。なお、出力軸17の先端部は、シェル本体1に作動連結されたマスタシリンダM内へ導入されている。
【0007】
上記大気用弁座部材13は、図5に示すように、プランジャ12に一端が係止されたばね18により常時は後方へ付勢され、その途中に設けた段差面をプランジャ12に設けた係止片12aに当接させた後退端に位置決めされている。この弁座部材13の後端には大気用弁座13aが形成され、一方、バルブボデー5内にはポペット弁19が配設されており、前記弁座13aが常時はポペット弁19に突き当てられている。
【0008】
上記構成の気圧式倍力装置においては、通常の制動時は、入力軸11と一体に前進するプランジャ12によって、弁座部材13がばね18の付勢力によってその段差面がプランジャ12の係止片12aに当接状態となっているため、プランジャ12と一体的に前進し、弁座部材13の後端の大気用弁座13aがポペット弁19から離間して、前・後の変圧室C,Dに大気が導入され、負圧が導入されている定圧室A,Bとの間に差圧が発生し、この差圧により前・後のパワーピストン3,4が推進して、それらの推力がソレノイドケース7および係止部材9を介して出力軸17に伝達される。一方、ブレーキペダルの踏込速度から緊急状態と判断されると、ソレノイド8に通電がなされ、弁座部材13がプランジャ12の動きとは無関係に前進し、大気用弁座13aがポペット弁19から大きく離間して前・後の変圧室C,Dに急激に大量の大気が導入され、この結果、前・後のパワーピストン3,4の推力が一気に高まって、大きな制動力が得られるようになる。なお、前記出力作用時の反力の一部はリアクションディスク16およびプランジャ13を介して入力軸11に伝達される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記ソレノイド内蔵のタンデム型気圧式倍力装置によれば、スリーブ10は、その前端に設けた鍔部10aをソレノイドケース7の内径段差面に当接するまで圧入されているので、後方への移動は規制されているが、所望のジャンプイン出力を発生させるため、作動前においてはプレート15とリアクションディスク16との間に所定の隙間を初期設定していることもあって、抜け方向への押えは利いていない。このため、上記した保持力の不足は、スリーブ10の抜け方向への移動を引き起こす原因にもなり、倍力特性が不安定になる。
【0010】
また、スリーブ10の周りに大気用弁座部材13の移動用空所Sを確保しなければならないため、ソレノイドケース7の内径に、スリーブ10を圧入するための圧入部7aの長さLを十分大きくとれず(図5)、これが原因して、スリーブ10がバルブボデー5の軸心に対して傾斜する状態で組付けられることが多く、弁座部材13が傾斜方向に案内されてその後端の大気用弁座13aがポペット弁19に片当たりし、シール性が阻害されるという問題があった。なお、このシール性の問題は、弁座部材13を付勢するばね18の設定荷重を大きくすることで、ある程度改善されるが、この場合は、入力軸11からの無効入力が増大し、ペダルフィーリング性に悪影響を及ぼすこととなり、根本的な解決には至らない。
【0011】
さらに、たとえ、圧入代あるいは圧入作業の厳密な管理によりスリーブ10をバルブボデー5と同心に組付けることができたとしても、上記圧入長さLを大きくとれないため、ソレノイドケース7の圧入部7aによる保持力が不足する状態となっている。一方、入力軸11からの入力には斜め押し成分があり、スリーブ10にモーメントが加わるようになっている。このため、せっかくスリーブ10をバルブボデー5と同心に組付けても、前記モーメントによってスリーブ10が傾動し易く、上記した大気用弁座13aのシール性に関する不安が依然として残ることになる。
【0012】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたもので、その課題とするところは、プランジャのガイドとなるスリーブを精度良くかつ強固に組付けることを可能にし、もって性能安定に大きく寄与する、ソレノイド内蔵のタンデム型気圧式倍力装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、シェル本体内をセンターシェルにより前・後2室に分割すると共に、この分割した前・後2室のそれぞれを、ダイアフラムを備えた前・後パワーピストンにより定圧室と変圧室とに分割し、少なくとも後側パワーピストンに支持されたバルブボデー内に、ブレーキペダルから延ばした入力軸に連結されたプランジャと、該プランジャと連動して前記定圧室と前記変圧室とに差圧を発生させる弁機構と、前記弁機構の作動を前記プランジャの動きとは独立に制御するソレノイドを内蔵する環状のソレノイドケースとを配設し、前記定圧室と前記変圧室とに発生する差圧により各パワーピストンを推進して、その推力を前記ソレノイドケースを介して出力軸に伝達し、かつその時の反力の一部を前記ソレノイドケースに保持させたリアクションディスクと前記プランジャとを経て入力軸に伝達するようにしたタンデム型気圧式倍力装置において、前記ソレノイドケースの内径を段付孔としてその後部側の小径孔部に、前記プランジャと前記弁機構を構成する弁座部材とのガイドとなるスリーブを設け、該スリーブの前端に設けた鍔部を前記ソレノイドケースの段付孔の前部側の大径孔部に位置させると共に、該大径孔部に前記リアクションディスクを配置し、該リアクションディスクから反力が伝わるとき、該反力により常時前記スリーブの鍔部を前記段付孔の段差面に押圧するようにしたことを特徴とする。
また、シェル本体内をセンターシェルにより前・後2室に分割すると共に、この分割した前・後2室のそれぞれを、ダイアフラムを備えた前・後パワーピストンにより定圧室と変圧室とに分割し、少なくとも後側パワーピストンに支持されたバルブボデー内に、ブレーキペダルから延ばした入力軸に連結されたプランジャと、該プランジャと連動して前記定圧室と前記変圧室とに差圧を発生させる弁機構と、前記弁機構の作動を前記プランジャの動きとは独立に制御するソレノイドを内蔵する環状のソレノイドケースとを配設し、前記定圧室と前記変圧室とに発生する差圧により各パワーピストンを推進して、その推力を前記ソレノイドケースを介して出力軸に伝達し、かつその時の反力の一部を前記ソレノイドケースに保持させたリアクションディスクと前記プランジャとを経て入力軸に伝達するようにしたタンデム型気圧式倍力装置において、前記ソレノイドケースの内径を段付孔としてその後部側の小径孔部に、前記プランジャのガイドとなるスリーブを設け、該スリーブの前端に設けた鍔部を前記ソレノイドケースの段付孔の前部側の大径孔部に位置させると共に、前記プランジャの前記リアクションディスクへの当接部を前記鍔部よりも内径側に位置して設け、該大径孔部に前記リアクションディスクを配置し、該リアクションディスクから伝わる反力により前記スリーブの鍔部を前記段付孔の段差面に押圧するようにしたことを特徴とする。
【0014】
このように構成したタンデム型気圧式倍力装置においては、スリーブの鍔部が、リアクションディスクから伝わる反力によりソレノイドケースの段付孔の段差面に押圧され、ソレノイドケースに対する圧入距離をそれほど長くとれなくても、スリーブの組付精度が向上し、しかも作動中におけるスリーブの傾動や軸移動が抑制される。
【0015】
本発明は、上記入力軸とプランジャとの連結部をスリーブ内に設定するの望ましく、これにより、入力軸からスリーブに加わるモーメントが可及的に低減し、スリーブの傾動がより確実に抑制されるようになる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基いて説明する。
【0017】
図1乃至図3は、本発明の一つの実施の形態としての、ソレノイド内蔵のタンデム型気圧式倍力装置を示したものである。これらの図において、20は、フロントシェル21とリヤシェル22とからなるシェル本体で、このシェル本体20内は、センターシェル23により前・後2室に分割され、この前・後2室はさらに、ダイアフラム24,25を備えたパワーピストン26,27により定圧室28,29と変圧室30,31とに分割されている。各パワーピストン26,27には、大径のカップ部32aと小径の筒状部32bとを連設してなる樹脂製のバルブボデー32が支持されている。バルブボデー32は、そのカップ部32aがセンターシェル23を気密的にかつ摺動自在に挿通して延ばされると共に、その筒状部32bがリヤシェル22を気密的にかつ摺動自在に挿通してリヤシェル22の外部まで延ばされている。
【0018】
バルブボデー32には、2つの定圧室28と29とを連通しかつ各定圧室28,29をバルブボデー32の筒状部32b内に連通する定圧通路(負圧通路)33が設けられる他、2つの変圧室30と31とを連通しかつ各変圧室30,31をバルブボデー32の筒状部32b内に連通する大気通路34が設けられている。前側の定圧室28には、例えばエンジン負圧が導入されるようになっており、この負圧は、前記負圧通路33を通じて後側の定圧室28にも供給される。一方、バルブボデー32の筒状部32b内には、サイレンサ機能を有するフィルタユニット35を通じて大気が導入されるようになっており、この大気は、後述する弁機構36の作動により前記大気通路34を通じて2つの変圧室30と31に供給される。
【0019】
バルブボデー32のカップ部32a内には、ソレノイド37を納めた環状のソレノイドケース38が配設されている。このソレノイドケース38は、前端面および内周面を確定する本体39と外周面および後端面を確定するカバー40とからなっており、両者は、本体39に対してカバー40をかしめ止めすることにより一体化されている。しかして、このソレノイドケース38のカバー40の前端側外周面には鍔部41が設けられ、一方、前側パワーピストン26には、バルブボデー32のカップ部32aに挿入され、かつ前記鍔部41に係合可能な係止部42を内側に有する内径筒部43が一体に設けられている。ソレノイドケース38は、その外周の鍔部41を前記内径筒部43の係止部42に着座させることで前側パワーピストン26に保持されると共に、その前端面とフロントシェル21との間に介装した戻しばね44により軸方向移動しないように押られている。また、バルブボデー32のカップ部32aの内面には段差部45が設けられており、この段差部45が前記内径筒部43の係止部42を介して前記ソレノイドケース38の鍔部41に突き当てられている。
【0020】
ソレノイドケース38を構成するカバー40の後端からは筒状部46が後方へ向けて延ばされており、ソレノイドケース38は、この筒状部46をバルブボデー32のカップ部32a底に設けられた環状溝47に嵌入させている。ソレノイドケース38の前部側は、前記した前側パワーピストン26の内径筒部43を介してバルブボデー32のカップ部32aに嵌合されており、これにより、ソレノイドケース38は、バルブボデー32に対してその前後部がそれぞれ半径方向に拘束された状態で組付けられている。
【0021】
本体37により確定されたソレノイドケース38の内径は、段付孔48として構成されており、この段付孔48の後部側の小径孔部48aには、スリーブ49が圧入固定されている。スリーブ49は、その前端に設けた鍔部49aを段付孔48の前部側の大径孔部48bに位置させて、該鍔部49aが段付孔48の段差面48cに当接するまで圧入され、この圧入状態でスリーブ49の他端部はバルブボデー32の筒状部32b内まで延ばされている。ソレノイドケース38の内径は後部側の途中で打切られており、この打切りにより生じた、スリーブ49の周りの空所Sには、スリーブ49に摺動可能に外嵌した筒状の弁座部材50の前部側が位置決めされている。弁座部材50は、その後端に大気用弁座51を有しており、常時は、スリーブ49の周りにソレノイドケース38との間で配したばね52により後方へ付勢されている。
【0022】
一方、スリーブ49内には、プランジャ53と後述の反力調整機構54とが相互に作動連結して配設されている。プランジャ53の後端部には、ブレーキペダル(図示略)から延ばした入力軸55が連結されており、プランジャ53は、入力軸55と一体にスリーブ49内を進退動するようになっている。なお、このプランジャ53と入力軸55との連結部は、スリーブ49内に設定されている。プランジャ53にはまた、前記大気通路34および前記スリーブ49に設けた開口を通してバルブボデー32内に半径方向から挿入されたストップキー56の中間部が連結されている。このストップキー56の両端部は、リヤシェル22の小径部内面に固設されたストッパ57に当接するようになっており、プランジャ53は、このストップキー56がストッパ57(図2)に当接する位置が後退端とされている。また、このストップキー56は、上記弁座部材50に形成した開口(長孔)50aも挿通しており、弁座部材50は、その開口50aの前側内縁をストップキー56に当接させた位置が後退端とされている。
【0023】
バルブボデー32の小径の筒状部32b内に配設された弁機構36は、前記弁座部材50の後端に形成された大気用弁座51を含む他、前記筒状部32bの内面に負圧通路33を含むように形成された負圧用弁座60と、筒状部32bに押え部材61により基端部が固定され、入力軸55に一端が係止された弁ばね62により常時は前記大気用弁座51と負圧用弁座60とに着座する方向へ付勢されたポペット弁63とを備えている。なお、前記押え部材61には入力軸55を後退方向へ付勢する戻しばね64が保持されている。大気用弁座51は、通常動作時は、入力軸55と一体にプランジャ53が前進し、その動きがストップキー56を介して弁座部材50に伝えられて、該弁座部材50がばね52の付勢力に抗して前進することによりポペット弁63に対して離間し、弁機構36の大気弁が開かれる。また、この大気用弁座51は、緊急時は、ソレノイド37が励磁して弁座部材50がばね52の付勢力に抗して前進することによりポペット弁63に対して離間し、弁機構36の大気弁が開かれる。
【0024】
また、スリーブ49内に配設された反力調整機構54は、プランジャ53側に配置されたハット形状のばね受け65と、前端側に配置された反力受け66と、ばね受け65と反力受け66との間に介装された圧縮ばね67と、頭部をばね受け65内に位置させると共に軸部が反力受け66に圧入固定され、前記圧縮ばね67に所定のセット荷重を与えると共に反力受け66をプランジャ53側へ移動可能に支持するステム68とからなっている。そして、反力受け66とばね受け65との間には、常時は所定の間隙S2 が確保されている。なお、この間隙S2 は、反力受け66に対するステム68の圧入深さを調整することで変更可能となる。
【0025】
一方、ソレノイド37を内蔵するソレノイドケース38内の段付孔48の前部側の大径孔部48bには、リング部材70と、ゴム製のリアクションディスク71と出力軸72の基端大径部とが収納されている。リング部材70は、後述する倍力作用時にはリアクションディスク71から反力を受け、上記スリーブ49の鍔部49aをソレノイドケース38の段付孔48の段差面48aに押えるように働く。このリング部材70の内径には、上記反力受け66の先端部が嵌入されており、非作動時には反力受け66の先端とリアクションディスク71との間に所定の間隙S1 が確保されるようになっている。なお、出力軸72は、フロントシェル21を気密的に挿通してその前方へ延ばされ、これにはマスタシリンダ(図示略)が作動連結されるようになる。そして、この出力軸72は、ソレノイドケース38の前端部に嵌合されかつ戻しばね44を受ける薄板73によって抜止めされており、この薄板73とリアクションディスク71との間にはわずかの間隙S3 が確保されている。したがって、この間隙S3 の範囲内でリング部材70の厚さを調整することで、間隙S1 を変更することができる。
【0026】
上記した気圧式倍力装置は、そのリヤシェル22の後面に植立した複数のスタッドボルト74を用いて車体に取付けられ、この取付状態で入力軸55に図示を略すブレーキペダルが連結される。そして、通常の制動時は、ブレーキペダルの踏込みに応じて入力軸55が前進し、プランジャ53が図の左方向へ移動し、その動きがストップキー56を介して弁座部材50に伝えられ、大気用弁座51がポペット弁63に対して離間し、弁機構36の大気弁を開く。この結果、フィルタ35を通じてバルブボデー32内に大気が流入し、この大気は大気通路34を通って二つの変圧室31,30に導入され、これにより、負圧が導入されている定圧室28,29と変圧室30,31との間に差圧が発生し、前・後のパワーピストン26,27が推進してその推力(出力)が、ソレノイドソレノイドケース38を介して出力軸72に伝達され、倍力作用が行われる。
【0027】
この時、前側のパワーピストン26の推力は、その筒状部43の係止部42から鍔部41を介してソレノイドソレノイドケース38に伝えられ、バルブボデー32には後側パワーピストン27の推力のみが伝達されることになる。したがって、バルブボデー32に対する強度要求値は低減し、バルブボデー32を樹脂製としても、それほど大型(大径)に形成する必要はなくなる。このことは、差圧を受けるパワーピストン26,27の有効面積を大きくとれることを意味し、これにより最大出力の低減は最小限に抑えられる。一方、後側パワーピストン27からバルブボデー32に伝えられた推力は、そのカップ部32a内周の段差部45から推力受面としての鍔部41を介してソレノイドソレノイドケース38に伝達されるが、その推力伝達部は、バルブボデー32を軸方向にほぼまっすぐに圧縮する部位となっているため、強度的に有利となり、結果としてバルブボデー32の軸方向長さを短縮できる。
【0028】
一方、上記倍力作用の開始により、出力反力の一部は、リアクションディスク71から反力調整機構54およびプランジャ53を介して入力軸55に伝達される。この時、出力反力は、リング部材70を介してスリーブ49の鍔部49aにも作用し、該鍔部49はリング部材70により強固にソレノイドケース38の段差面48cに押圧される。この結果、前記リング部材70による鍔部49aの押圧によりスリーブ49の保持力が増大し、入力軸11からの入力に含まれる斜め押し成分によってスリーブ10にモーメントが加わっても、スリーブ10が傾動することはなくなり、しかもスリーブ10の軸方向移動も確実に規制される。
【0029】
そして、入力軸55に加えられる踏力(入力)が小さい間、すなわち反力が反力調整機構54の圧縮ばね67のセット荷重より小さい間は、反力受け66とばね受け65とが突張っているので、リアクションディスク71に対する出力軸72と反力受け66との接触面積の比で決まる所定の倍力比で出力が増大することになる。その後、入力が増大して反力が反力調整機構54の圧縮ばね67のセット荷重を超えると、該圧縮ばね67が縮み始めて、いわゆる2次的なジャンプイン出力が生じ、倍力比が一段高まって、大きな減速度が得られるようになる。そして、この2次的なジャンプイン出力は、反力受け66とばね受け65との間隙S2 が解消されるまで続き、その間隙S2 が解消された後は、再び一定の倍力比で出力が増大する。
【0030】
なお、倍力作用の開始当初は、反力受け66とリアクションディスク71との間隙S1 が解消されるまでは、入力に無関係に出力が増大する、いわゆるジャンプイン出力が生じ、マスタシリンダの無効入力を打消すに十分な出力が得られるようになる。ただし、このジャンプイン出力は、あまり大きいと不用意に制動が起こり、逆に、あまり小さいとブレーキの利き始めのブレーキペダルの踏力が大き過ぎることになり、したがって、前記間隙S1 を適当な範囲に設定する必要がある。この場合、上記したようにソレノイド37を始め、可動の弁座部材50や反力調整機構54をバルブボデー32内に内蔵するものでは、各要素の製作誤差や組付誤差により前記間隙S1 を所定の範囲内に収めることが困難になる。しかし、本実施の形態では、リアクションディスク71とソレノイドソレノイドケース38との間にリング部材70を介装しているので、このリング部材70の厚さを調整することにより、簡単に前記間隙S1 を調整することができ、極めて合理的な設計になっている。
【0031】
しかして、ブレーキペダルまたは前・後パワーピストン26,27の動きがストロークセンサ(図示略)により監視されており、いま、該ストロークセンサからの信号に基づいて求めたブレーキペダルの踏込速度が所定値を超えると、図示を略すコントローラが緊急制動であると判断し、前記ソレノイド37に対する通電指令を出力する。これにより、ソレノイド37が励磁して、弁座部材50がばね52の付勢力に抗して前方へ移動し、入力軸55またはプランジャ53の動きとは無関係に大気用弁座51が大きく開く。この結果、変圧室30,31には大量の大気が急激に導入され、出力が一気に高まって、いわゆるフル制動が行われる。また、ソレノイド37への通電によりその温度が上昇するようになるが、このソレノイド37を内蔵するソレノイドケース38の前方領域は、前側定圧室28内に大きく開放されているばかりか、ソレノイドケース38は前側パワーピストン26と当接され、このパワーピストンにも熱伝達されて大型の放熱板として機能するので、前記ソレノイド37の熱放散は円滑となり、ソレノイド37が機能障害を起こすことはなくなる。
【0032】
なお、ブレーキペダルから踏力がなくなると、入力軸55が戻しばね64の復元力によって右方向へ移動(後退)すると共に、プランジャ53も後退し、プランジャ53に係止されたストップキー56も後退し、バルブボデー32のストップ貫通穴の後端に当接する。このとき、図示しないストップキー56に一体に設けられたキースイッチの可動片もバルブボデー32に当接することで、スイッチが切り替わり、ソレノイド37への通電を解除するととなる。これによりソレノイド37の推力が消失し、ばね52の推力により大気用弁座51がポペット弁63を負圧用弁座60から持上げる。これにより変圧室30,31に定圧室28,29内の負圧が導入されて、上記した差圧が解消され、続いて、戻しばね44のばね力によりバルブボデー32が戻り方向へ移動し、パワーピストン26,27が元の位置(非作動状態)に復帰する。そして、この復帰と共に、ストップキー56がストッパ57に当接してプランジャ53も元位置に位置決めされることになるが、本実施の形態では、ストッパ57をリヤシェル22の筒状部の内面に固定してそのストッパ面を前方へ向けるようにしているので、リヤシェル22の筒状部と垂直壁との連接部にストッパを設けていた従来のものに比し、該連接部の周辺域が開放され、その分、バルブボデー32の有効径を拡大することができて、通路設計等が容易となる。
【0033】
【発明の効果】
上記したように、本発明に係るソレノイド内蔵のタンデム型気圧式倍力装置よれば、プランジャまたは弁座部材のガイドとなるスリーブを、出力反力を利用してソレノイドケースに精度良くかつ強固に組付けることができるので、性能の安定性を恒久的に確保することができ、装置に対する耐久信頼性が著しく向上する。また、入力軸とプランジャとの連結部をスリーブ内に設定するようにした場合は、入力軸からスリーブに加わるモーメントが可及的に低減するので、より一層性能が安定する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るソレノイド内蔵のタンデム型気圧式倍力装置の葉部構造を示す断面図である。
【図2】本タンデム型気圧式倍力装置の、さらなる要部構造を示す断面図である。
【図3】本タンデム型気圧式倍力装置の全体的構造を示す断面図である。
【図4】従来のタンデム型気圧式倍力装置の全体的構造を示す断面図である。
【図5】従来のタンデム型気圧式倍力装置の要部構造を示す断面図である。
【符号の説明】
20 シェル本体
23 センターシェル
24,25 ダイアフラム
26,27 パワーピストン
28,29 定圧室
30,31 変圧室
32 バルブボデー
36 弁機構
37 ソレノイド
38 ソレノイドケース
41 鍔部
43 前側パワーピストンの内径筒部
48 ソレノイドケースの段付孔
48a 段付孔の小径孔部
48b 段付孔の大径孔部
48c 段付孔の段差面
49 スリーブ
49a スリーブの鍔部
50 大気用弁座部材
51 大気用弁座
53 プランジャ
54 反力調整機構
55 入力軸
70 リング部材
71 リアクションディスク
72 出力軸

Claims (3)

  1. シェル本体内をセンターシェルにより前・後2室に分割すると共に、この分割した前・後2室のそれぞれを、ダイアフラムを備えた前・後パワーピストンにより定圧室と変圧室とに分割し、少なくとも後側パワーピストンに支持されたバルブボデー内に、ブレーキペダルから延ばした入力軸に連結されたプランジャと、該プランジャと連動して前記定圧室と前記変圧室とに差圧を発生させる弁機構と、前記弁機構の作動を前記プランジャの動きとは独立に制御するソレノイドを内蔵する環状のソレノイドケースとを配設し、前記定圧室と前記変圧室とに発生する差圧により各パワーピストンを推進して、その推力を前記ソレノイドケースを介して出力軸に伝達し、かつその時の反力の一部を前記ソレノイドケースに保持させたリアクションディスクと前記プランジャとを経て入力軸に伝達するようにしたタンデム型気圧式倍力装置において、前記ソレノイドケースの内径を段付孔としてその後部側の小径孔部に、前記プランジャと前記弁機構を構成する弁座部材とのガイドとなるスリーブを設け、該スリーブの前端に設けた鍔部を前記ソレノイドケースの段付孔の前部側の大径孔部に位置させると共に、該大径孔部に前記リアクションディスクを配置し、該リアクションディスクから反力が伝わるとき、該反力により常時前記スリーブの鍔部を前記段付孔の段差面に押圧するようにしたことを特徴とするタンデム型気圧式倍力装置。
  2. シェル本体内をセンターシェルにより前・後2室に分割すると共に、この分割した前・後2室のそれぞれを、ダイアフラムを備えた前・後パワーピストンにより定圧室と変圧室とに分割し、少なくとも後側パワーピストンに支持されたバルブボデー内に、ブレーキペダルから延ばした入力軸に連結されたプランジャと、該プランジャと連動して前記定圧室と前記変圧室とに差圧を発生させる弁機構と、前記弁機構の作動を前記プランジャの動きとは独立に制御するソレノイドを内蔵する環状のソレノイドケースとを配設し、前記定圧室と前記変圧室とに発生する差圧により各パワーピストンを推進して、その推力を前記ソレノイドケースを介して出力軸に伝達し、かつその時の反力の一部を前記ソレノイドケースに保持させたリアクションディスクと前記プランジャとを経て入力軸に伝達するようにしたタンデム型気圧式倍力装置において、前記ソレノイドケースの内径を段付孔としてその後部側の小径孔部に、前記プランジャのガイドとなるスリーブを設け、該スリーブの前端に設けた鍔部を前記ソレノイドケースの段付孔の前部側の大径孔部に位置させると共に、前記プランジャの前記リアクションディスクへの当接部を前記鍔部よりも内径側に位置して設け、該大径孔部に前記リアクションディスクを配置し、該リアクションディスクから伝わる反力により前記スリーブの鍔部を前記段付孔の段差面に押圧するようにしたことを特徴とするタンデム型気圧式倍力装置。
  3. 入力軸とプランジャとの連結部をスリーブ内に設定したことを特徴とする請求項1または2に記載のタンデム型気圧式倍力装置。
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