JP3823280B2 - タンデム型気圧式倍力装置 - Google Patents

タンデム型気圧式倍力装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両のブレーキ系統に用いられるタンデム型気圧式倍力装置に係り、より詳しくはブレーキ補助機構としてのソレノイドを内蔵したタンデム型気圧式倍力装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ブレーキ補助機構は、車両を急停止または急減速させたい緊急状態であるか否かを、例えばブレーキペダルの踏込速度から判断し、緊急状態と判断した場合に入力軸の動きから独立して気圧式倍力装置の変圧室に作動流体を供給するようにしたもので、事故を回避する上で有用となるところから、近年、その利用が注目されている。
【0003】
このブレーキ補助機構としては、気圧式倍力装置から独立して作動流体源を設け、コントロール弁の作動に応じて該作動流体源から気圧式倍力装置の変圧室に作動流体を供給するようにしたものもあるが(例えば、特開昭61−268560号公報参照)、最近では、気圧式倍力装置を構成するバルブボデー内にソレノイドを組込み、このソレノイドを励磁して電磁気的にバルブボデー内の弁機構(大気弁)を作動させるようにした、いわゆるソレノイド内蔵型の気圧式倍力装置が主流となってきている(例えば、特表平7−503214号公報参照)。
【0004】
ところで、上記したように気圧式倍力装置をソレノイド内蔵型とした場合、ソレノイドを内蔵する分、バルブボデーの複雑、大型化(大径化)が避けられないようになる。一方、最近は、重量軽減並びにコスト低減の観点から、このバルブボデーを合成樹脂で製造してきているが、従来汎用の気圧式倍力装置では、このバルブボデーを介してパワーピストンの推力を取出すようにしているため、バルブボデーを樹脂製とした場合には強度保証の観点からバルブボデー自体を厚肉に形成せざるを得ないものとなっていた。特に前・後にパワーピストンを有するタンデム型の気圧式倍力装置においては、前・後のパワーピストンの推力を樹脂製バルブボデーで受ける構成となるため、バルブボデーのより一層の厚肉化が避けられないものとなっていた。
すなわち、樹脂製バルブボデーを有するタンデム型気圧式倍力装置をソレノイド内蔵型とする場合は、バルブボデーが著しく複雑、大型化し、その分、差圧を受けるパワーピストンの有効面積が減じて、最大出力が低下するという問題があった。
【0005】
そこで、米国特許第5493946号に開示のものでは、図3に示すように、弁機構1を内蔵するバルブボデー2を、前側パワーピストン3から切離して後側パワーピストン4のみに支持させ、前側パワーピストン3の内径部に、出力軸5の基端大径部を支承する有底筒状の係止部材6の開口端部を取付けると共に、この係止部材6の底部を、ソレノイド7を納めた環状のソレノイドハウジング8を介してバルブボデー2に作動連結するようにしている。なお、9は弁機構1を構成する大気用弁座部材10を支持するアーマチャで、ソレノイド7への通電に応じて大気用弁座部材10とともに軸方向に一体的に移動させられるようになっている。また、11は、シェル本体12内を前・後2室に分割するセンターシェル、13,14は、前・後のパワーピストン3,4により区画された定圧室、15,16は、同じく前・後のパワーピストン3,4により区画された変圧室、17はブレーキペダル(図示略)から延ばされた入力軸、18は、出力軸5の基端大径部とソレノイドハウジング8との間に介装されたリアクションディスク、19は出力軸5に作動連結されたマスタシリンダである。
【0006】
図3に示したタンデム型気圧式倍力装置によれば、通常の制動時は、入力軸17に押されて大気用弁座部材10が移動することにより弁機構1が作動し、前・後の変圧室15,16に大気が導入されて、負圧が導入されている定圧室13,14との間に差圧が発生し、この差圧により前・後のパワーピストン3,4が推進して、それらの推力が係止部材6を介して出力軸5に伝達される。一方、ブレーキペダルの踏込速度から緊急状態と判断されると、ソレノイド7に通電がなされ、アーマチャ9と大気用弁座部材10とが軸方向に移動し、弁機構1が入力軸17から独立して作動して、前・後の変圧室15,16に急激に大量の大気が導入され、この結果、前・後のパワーピストン3,4の推力が一気に高まり、それらの推力が、同じく係止部材6を介して出力軸5に伝達される。なお、前記出力作用時の反力の一部はリアクションディスク18を介して入力軸17に伝達される。
【0007】
しかるに、上記図示のタンデム型気圧式倍力装置においては、前側のパワーピストン3に取付けられ出力軸5を支承する係止部材6は、単にソレノイドハウジング7と突き当てられるだけの(直結されない)構成となっているため、前側のパワーピストン3の推力はバルブボデー2に及ぶことはなく、したがって、バルブボデー2に対する強度要求値が低減して、バルブボデー2を樹脂製としても、それほど大型(大径)に形成する必要はなくなる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記図示のタンデム型気圧式倍力装置によれば、有底筒状の係止部材6を別途製作し、これを前側パワーピストン3に取付けなければならないため、部品点数の増加や組立工数の増加によるコスト上昇が避けられない、という問題があった。また、該係止部材6がソレノイド7を納めたソレノイドハウジング8の前方空域を覆っているため、ソレノイド7の放熱性が悪化し、バルブボデー2を、熱容量、熱伝導性共に低い樹脂製とした場合には、周辺への放熱が期待できないこともあって、ソレノイド7の温度が上昇し、抵抗値上昇による作動不良やコイル皮膜の溶解による短絡などの不具合を起す可能性があった。
さらに、ソレノイドハウジング8は、後側パワーピストン4の推力をバルブボデー2を介して受ける推力受面Sをその背面に設定しているため(図3)、この推力受面Sに対するバルブボデー2のカップ部底(加圧部)に所定の肉厚を確保しなければならず、バルブボデー2の軸方向長さが延長するという問題があった。
【0009】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたもので、その第1の課題とするところは、部品点数の増加や放熱性の悪化を来すことなく前側パワーピストンからバルブボデーへの推力伝達を防ぐことにある。
また、第2の課題とするところは、上記第1の課題に加えて、バルブボデーの推力を受ける、ソレノイドハウジングの推力受面の位置を変更することにより、バルブボデーの軸方向長さを可及的に短縮することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記第1の課題を解決するため、第1の発明は、シェル本体内をセンターシェルにより前・後2室に分割すると共に、この分割した前・後2室のそれぞれを、ダイアフラムを備えた前・後パワーピストンにより定圧室と変圧室とに分割し、前記後側パワーピストンに支持されカップ部と筒状部とからなるバルブボデー内に、ブレーキペダルから延ばした入力軸と連動して前記定圧室と前記変圧室とに差圧を発生させる弁機構と、前記弁機構の作動を前記入力軸から独立して制御するソレノイドとを配設し、前記定圧室と前記変圧室とに発生する差圧により各パワーピストンを推進して、その推力を出力軸に伝達し、かつ反力の一部をリアクションディスクから前記入力軸に伝達するようにした気圧式倍力装置において、前記前側パワーピストンは前記差圧による前進方向の推力を前記バルブボデーに伝達しないように構成され、前記前側パワーピストンに、その内径部位から前記バルブボデーのカップ部内に挿入されて後方へ延びる内径筒部を一体に設け、該内径筒部に、前記ソレノイドを納めた環状のソレノイドハウジングを係止させて、前記前側パワーピストンの前進方向の推力を前記ソレノイドハウジングに伝えるように構成し、前記ソレノイドハウジングは、その外面に後側パワーピストンの推力を受ける推力受面を設けると共に、前記出力軸を支承することを特徴とする。
【0011】
このように構成したタンデム型気圧式倍力装置においては、前側パワーピストンに設けた内径筒部にソレノイドハウジングを係止させ、かつこのソレノイドハウジングに出力軸を支承させるようにしているので、前側パワーピストンの推力がバルブボデーに伝達されることはなくなる。また、出力軸を支承する特別の部材が不要になるので、ソレノイドハウジングの前方域が大きく開放され、ソレノイドの放熱性も良好となる。
【0012】
また、上記第2の課題を解決するための第2の発明は、上記構成の第1の発明において、ソレノイドハウジングの外周面に鍔部を設け、該鍔部の端面を推力受面として用いて、該鍔部にバルブボデーのカップ部内面に設けた段差面を係合させる構成としたことを特徴とする。
このように構成したタンデム型気圧式倍力装置においては、バルブボデーのカッブ部内面に設けた段差面がソレノイドハウジングとの当接面となるので、バルブボデーの加圧部の肉厚が実質的に拡大する。
また、この第2の発明においては、ソレノイドハウジングの外周面に設けた鍔部を、前記パワーピストンの内径筒部に対する係止部分として共用することができ、この場合は、組立が簡単となる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基いて説明する。
【0014】
図1および図2は、本発明の一つの実施の形態としての、ソレノイド内蔵のタンデム型気圧式倍力装置を示したものである。両図において、20は、フロントシェル21とリヤシェル22とからなるシェル本体で、このシェル本体20内は、センターシェル23により前・後2室に分割され、この前・後2室はさらに、ダイアフラム24,25を備えたパワーピストン26,27により定圧室28,29と変圧室30,31とに分割されている。各パワーピストン26,27には、大径のカップ部32aと小径の筒状部32bとを連設してなる樹脂製のバルブボデー32が支持されている。バルブボデー32は、そのカップ部32aがセンターシェル23を気密的にかつ摺動自在に挿通して延ばされると共に、その筒状部32bがリヤシェル22を気密的にかつ摺動自在に挿通してリヤシェル22の外部まで延ばされている。
【0015】
バルブボデー32には、2つの定圧室28と29とを連通しかつ各定圧室28,29をバルブボデー32の筒状部32b内に連通する定圧通路(負圧通路)33が設けられる他、2つの変圧室30と31とを連通しかつ各変圧室30,31をバルブボデー32の筒状部32b内に連通する大気通路34が設けられている。前側の定圧室28には、例えばエンジン負圧が導入されるようになっており、この負圧は、前記負圧通路33を通じて後側の定圧室29にも供給される。一方、バルブボデー32の筒状部32b内には、サイレンサ機能を有するフィルタユニット35を通じて大気が導入されるようになっており、この大気は、後述する弁機構36の作動により前記大気通路34を通じて2つの変圧室30と31に供給される。
【0016】
バルブボデー32のカップ部32a内には、ソレノイド37を納めた環状のソレノイドハウジング(以下、単にハウジングという)38が配設されている。このハウジング38は、前端面および内周面を確定する本体39と外周面および後端面を確定するカバー40とからなっており、両者は、本体39に対してカバー40をかしめ止めすることにより一体化されている。しかして、このハウジング38のカバー40の前端側外周面には鍔部41が設けられ、一方、前側パワーピストン26には、バルブボデー32のカップ部32aに挿入され、かつ前記鍔部41に係合可能な係止部42を内側に有する内径筒部43が一体に設けられている。ハウジング38は、その外周の鍔部41を前記内径筒部43の係止部42に着座させることで前側パワーピストン26に保持されると共に、その前端面とフロントシェル21との間に介装した戻しばね44により軸方向移動しないように押えられている。また、バルブボデー32のカップ部32aの内面には段差部45(段差面)が設けられており、この段差部45が前記内径筒部43の係止部42を介して前記ハウジング38の鍔部41に突き当てられている。
【0017】
ハウジング38を構成するカバー40の後端からは筒状部46が後方へ向けて延ばされており、ハウジング38は、この筒状部46をバルブボデー32のカップ部32a底に設けられた環状溝47に嵌入させている。ハウジング38の先端部は、前記した前側パワーピストン26の内径筒部43を介してバルブボデー32のカップ部32aに嵌合されており、これにより、ハウジング38は、バルブボデー32に対してその前後端部がそれぞれ半径方向に拘束された状態で組付けられている。
【0018】
本体37により確定されたハウジング38の内周は、段付孔48として構成されており、この段付孔48の小径部分には、スリーブ49が圧入固定されている。スリーブ49は、その一端に設けた鍔部49aを段付孔48の段差部48aに当接させるまで圧入され、その他端部はバルブボデー32の筒状部32b内まで延ばされている。ハウジング38の内周壁は後部側の途中で打切られており、この打切りにより生じた、スリーブ49の周りの空所には、スリーブ49に摺動可能に外嵌した筒状の弁座部材50の前部側が位置決めされている。弁座部材50は、その後端に大気用弁座51を有しており、常時は、スリーブ49の周りにハウジング38との間に配したばね52により後方へ付勢されている。
【0019】
一方、スリーブ49内には、プランジャ53と後述の反力調整機構54とが相互に作動連結して配設されている。プランジャ53の後端部には、ブレーキペダル(図示略)から延ばした入力軸55が連結されており、プランジャ53は、入力軸55と一体にスリーブ49内を進退動するようになっている。プランジャ53にはまた、前記大気通路34および前記スリーブ49に設けた開口を通してバルブボデー32内に半径方向から挿入されたストップキー56の中間部が連結されている。このストップキー56の両端部は、リヤシェル22の小径部内面に固設されたストッパ57に当接するようになっており、プランジャ53は、このストップキー56がストッパ57に当接する位置が後退端とされている。また、このストップキー56は、上記弁座部材50に形成した開口50aも挿通しており、弁座部材50は、その開口50aの前側内縁をストップキー56に当接させた位置が後退端とされている。
【0020】
バルブボデー32の小径の筒状部32b内に配設された弁機構36は、前記弁座部材50の後端に形成された大気用弁座51を含む他、前記筒状部32bの内面に負圧通路33を含むように形成された負圧用弁座60と、筒状部32bに押え部材61により基端部が固定され、入力軸55に一端が係止された弁ばね62により常時は前記大気用弁座51と負圧用弁座60とに着座する方向へ付勢されたポペット弁63とを備えている。なお、前記押え部材61には入力軸55を後退方向へ付勢する戻しばね64が保持されている。大気用弁座51は、通常動作時は、入力軸55と一体にプランジャ53が前進し、その動きがストップキー56を介して弁座部材50に伝えられて、該弁座部材50がばね52の付勢力に抗して前進することにより、大気用弁座に着座しているポペット弁63に対して離間し、弁機構36の大気弁が開かれる。また、この大気用弁座51は、緊急時は、ソレノイド37が励磁して弁座部材50がばね52の付勢力に抗して前進することによりポペット弁63に対して離間し、弁機構36の大気弁が開かれる。
【0021】
また、スリーブ49内に配設された反力調整機構54は、プランジャ53側に配置されたハット形状のばね受け65と、前端側に配置された反力受け66と、ばね受け65と反力受け66との間に介装された圧縮ばね67と、頭部をばね受け65内に位置させると共に軸部が反力受け66に圧入固定され、前記圧縮ばね67に所定のセット荷重を与えると共に反力受け66をプランジャ53側へ移動可能に支持するステム68とからなっている。そして、反力受け66とばね受け65との間には、常時は所定の間隙S2 が確保されている。なお、この間隙S2 は、反力受け66に対するステム68の圧入深さを調整することで変更可能となる。
【0022】
一方、ソレノイド37を内蔵するハウジング38内の段付孔48の大径部分には、リング状のプレート70と、ゴム製のリアクションディスク71と出力軸72の基端大径部とが収納されている。これにより、出力軸72はハウジング38に支承されている。前記プレート70の内径には、上記反力受け66の先端部が嵌入されており、非作動時には反力受け66の先端とリアクションディスク71との間に所定の間隙S1 が確保されるようになっている。なお、出力軸72は、フロントシェル21を気密的に挿通してその前方へ延ばされ、これにはマスタシリンダ(図示略)が作動連結されるようになる。出力軸72はハウジング38の前端部に嵌合されかつ戻しばね44を受ける薄板73により抜け止めされており、この薄板73とリアクションディスク71との間にはわずかの間隙S3 が確保されている。したがって、この間隙S3 の範囲内でプレート70の厚さを調整することで、間隙S1 を変更することができる。
【0023】
上記した気圧式倍力装置は、そのリヤシェル22の後面に植立した複数のスタッドボルト74を用いて車体に取付けられ、この取付状態で入力軸55に図示を略すブレーキペダルが連結される。そして、通常の制動時は、ブレーキペダルの踏込みに応じて入力軸55が前進し、プランジャ53が図の左方向へ移動し、その動きがストップキー56を介して弁座部材50に伝えられ、大気用弁座51がポペット弁63に対して離間し、弁機構36の大気弁を開く。この結果、フィルタ35を通じてバルブボデー32内に大気が流入し、この大気は大気通路34を通って二つの変圧室31,30に導入され、これにより、負圧が導入されている定圧室28,29と変圧室30,31との間に差圧が発生し、前・後のパワーピストン26,27が推進してその推力(出力)が、ソレノイドハウジング38を介して出力軸72に伝達され、倍力作用が行われる。
【0024】
この時、前側のパワーピストン26の推力は、その筒状部43の係止部42から鍔部41を介してソレノイドハウジング38に伝えられ、バルブボデー32には後側パワーピストン27の推力のみが伝達されることになる。したがって、バルブボデー32に対する強度要求値は低減し、バルブボデー32を樹脂製としても、それほど大型(大径)に形成する必要はなくなる。このことは、差圧を受けるパワーピストン26,27の有効面積を大きくとれることを意味し、これにより最大出力の低減は最小限に抑えられる。一方、後側パワーピストン27からバルブボデー32に伝えられた推力は、そのカップ部32a内周の段差部45から推力受面としての鍔部41を介してソレノイドハウジング38に伝達されるが、その推力伝達部は、バルブボデー32を軸方向にほぼまっすぐに圧縮する部位となっているため、強度的に有利となり、結果としてバルブボデー32の軸方向長さを短縮できる。
【0025】
ここで、倍力作用の開始当初は、反力受け66とリアクションディスク71との間隙S1 が解消されるまでは、入力に無関係に出力が増大する、いわゆるジャンプイン出力が生じ、マスタシリンダの無効入力を打消すに十分な出力が得られるようになる。ただし、このジャンプイン出力は、あまり大きいと不用意に制動が起こり、逆に、あまり小さいとブレーキの利き始めのブレーキペダルの踏力が大き過ぎることになり、したがって、前記間隙S1 を適当な範囲に設定する必要がある。この場合、上記したようにソレノイド37を始め、可動の弁座部材50や反力調整機構54をバルブボデー32内に内蔵するものでは、各要素の製作誤差や組付誤差により前記間隙S1 を所定の範囲内に収めることが困難になる。しかし、本実施の形態では、リアクションディスク71とソレノイドハウジング38との間にリング状プレート70を介装しているので、このプレート70の厚さを調整することにより、簡単に前記間隙S1 を調整することができ、極めて合理的な設計になっている。
【0026】
一方、上記倍力作用の開始により、出力反力の一部は、リアクションディスク71から反力調整機構54およびプランジャ53を介して入力軸55に伝達される。そして、入力軸55に加えられる踏力(入力)が小さい間、すなわち反力が反力調整機構54の圧縮ばね67のセット荷重より小さい間は、反力受け66とばね受け65とが突張っているので、リアクションディスク71に対する出力軸72と反力受け66との接触面積の比で決まる所定の倍力比で出力が増大することになる。その後、入力が増大して反力が反力調整機構54の圧縮ばね67のセット荷重を超えると、該圧縮ばね67が縮み始めて、いわゆる2次的なジャンプイン出力が生じ、倍力比が一段高まって、大きな減速度が得られるようになる。そして、この2次的なジャンプイン出力は、反力受け66とばね受け65との間隙S2 が解消されるまで続き、その間隙S2 が解消された後は、再び一定の倍力比で出力が増大する。
【0027】
しかして、ブレーキペダルまたは前・後パワーピストン26,27の動きがストロークセンサ(図示略)により監視されており、いま、該ストロークセンサからの信号に基づいて求めたブレーキペダルの踏込速度が所定値を超えると、図示を略すコントローラが緊急制動であると判断し、前記ソレノイド37に対する通電指令を出力する。これにより、ソレノイド37が励磁して、弁座部材50がばね52の付勢力に抗して前方へ移動し、入力軸55またはプランジャ53の動きとは無関係に大気用弁座51が大きく開く。この結果、変圧室30,31には大量の大気が急激に導入され、出力が一気に高まって、いわゆるフル制動が行われる。また、ソレノイド37への通電によりその温度が上昇するようになるが、このソレノイド37を内蔵するソレノイドハウジング38の前方領域は、前側定圧室28内に大きく開放されているばかりか、ハウジング38は前側パワーピストン26と当接され、このパワーピストンにも熱伝達されて大型の放熱板として機能するので、前記ソレノイド37の熱放散は円滑となり、ソレノイド37が機能障害を起こすことはなくなる。
【0028】
なお、ブレーキペダルから踏力がなくなると、入力軸55が戻しばね64の復元力によって右方向へ移動(後退)すると共に、プランジャ53も後退し、プランジャ53に係止されたストップキー56も後退し、バルブボデー32のストップキー貫通穴の後端に当接する。このとき、図示しないストップキー56に一体的に設けられたキースイッチの可動片もバルブボデー32に当接することで、スイッチが切り替わり、ソレノイド37への通電を解除することとなる。これによりソレノイド37の推力が消失し、ばね52の推力により大気用弁座51がポペット弁63を負圧用弁座60から持上げる。これにより変圧室30,31に定圧室28,29内の負圧が導入されて、上記した差圧が解消され、続いて、戻しばね44のばね力によりバルブボデー32が戻り方向へ移動し、パワーピストン26,27が元の位置(非作動状態)に復帰する。
【0029】
【発明の効果】
上記したように、本発明に係るソレノイド内蔵のタンデム型気圧式倍力装置よれば、前側パワーピストンに設けた内径筒部にソレノイドハウジングを係止させ、かつこのソレノイドハウジングに出力軸を支承させるようにしたので、前側パワーピストンの推力がバルブボデーに伝達されることはなくなり、その分、バルブボデーに対する強度要求値が低減し、バルブボデーを樹脂製としても、それほど大径に形成する必要はなくなる。また、出力軸を支承する特別の部材が不要になるので、部品点数および組付工数の削減が可能になって製造コストが低減し、その上、ソレノイドハウジングの前方域が大きく開放されているばかりか、前側パワーピストンにもソレノイドハウジングの熱が伝達する機構となって、前側パワーピストン自体が大型の放熱板として機能するので、ソレノイドの放熱性も良好となる。また、ソレノイドハウジングの外周面に鍔部を設け、該鍔部の端面を推力受面として用いて、該鍔部にバルブボデーのカップ部内面に設けた段差面を係合させる構成とした場合は、バルブボデーのカッブ部内面に設けた段差面がソレノイドハウジングとの当接面となるので強度的に有利となり、バルブボデーの軸方向長さを可及的に短縮できる。また、上記ソレノイドハウジングの外周面に鍔部を、パワーピストンの内径筒部に対する係止部として共用した場合は、組立が簡単となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るソレノイド内蔵のタンデム型気圧式倍力装置の全体構造を示す断面図である。
【図2】 図1に示したタンデム型気圧式倍力装置の要部構造を示す断面図である。
【図3】 従来のタンデム型気圧式倍力装置の要部構造を示す断面図である。
【符号の説明】
20 シェル本体
23 センターシェル
24,25 ダイアフラム
26,27 パワーピストン
28,29 定圧室
30,31 変圧室
32 バルブボデー
36 弁機構
37 ソレノイド
38 ソレノイドハウジング
41 鍔部
42 前側パワーピストンの内径筒部の係止部
43 前側パワーピストンの内径筒部
45 バルブボデーのカップ部内周面の段差部(段差面)
49 スリーブ
50 弁座部材
51 大気用弁座
53 プランジャ
54 反力調整機構
55 入力軸
70 リング状プレート
71 リアクションディスク
72 出力軸

Claims (3)

  1. シェル本体内をセンターシェルにより前・後2室に分割すると共に、この分割した前・後2室のそれぞれを、ダイアフラムを備えた前・後パワーピストンにより定圧室と変圧室とに分割し、前記後側パワーピストンに支持されカップ部と筒状部とからなるバルブボデー内に、ブレーキペダルから延ばした入力軸と連動して前記定圧室と前記変圧室とに差圧を発生させる弁機構と、前記弁機構の作動を前記入力軸から独立して制御するソレノイドとを配設し、前記定圧室と前記変圧室とに発生する差圧により各パワーピストンを推進して、その推力を出力軸に伝達し、かつ反力の一部をリアクションディスクから前記入力軸に伝達するようにした気圧式倍力装置において、前記前側パワーピストンは前記差圧による前進方向の推力を前記バルブボデーに伝達しないように構成され、前記前側パワーピストンに、その内径部位から前記バルブボデーのカップ部内に挿入されて後方へ延びる内径筒部を一体に設け、該内径筒部に、前記ソレノイドを納めた環状のソレノイドハウジングを係止させて、前記前側パワーピストンの前進方向の推力を前記ソレノイドハウジングに伝えるように構成し、前記ソレノイドハウジングは、その外面に後側パワーピストンの推力を受ける推力受面を設けると共に、前記出力軸を支承することを特徴とするタンデム型気圧式倍力装置。
  2. ソレノイドハウジングの外周面に鍔部を設け、該鍔部の端面を推力受面として用いて、該鍔部にバルブボデーのカップ部内面に設けた段差面を係合させたことを特徴する請求項1に記載のタンデム型気圧式倍力装置。
  3. ソレノイドハウジングの外周面に設けた鍔部を、前記パワーピストンの内径筒部に対する係止部分として共用したことを特徴する請求項2に記載のタンデム型気圧式倍力装置。
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