JP4479567B2 - 車両用旋回走行制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、安定した旋回走行を図る車両用旋回走行制御装置に関するものである。
車両の旋回速度や旋回半径が、旋回性能の限界を超えないように、制動力とエンジントルクを制御して自動減速を行い、安定した旋回走行を図るものがあった(特許文献1参照)。
特許第2600876号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載された従来例にあっては、自動減速によって制動力を増加させる際に、自車両の旋回状態が旋回性能の限界に近づいていることに運転者が気付き、即座にアクセル開度を全閉にすると、急なエンジンブレーキが作用するので、コーナリングフォースが低下し、オーバーステア等、車両挙動の乱れを誘発する虞がある。
そこで、本発明は上記問題に着目してなされたものであり、運転者のアクセル操作の戻し操作によって誘発される車両挙動の乱れを防止しつつ、車両の安定した旋回走行を確保することのできる車両用旋回走行制御装置の提供を課題としている。
上記課題を解決するために、本発明に係る車両用旋回走行制御装置は、自車両の旋回状態に応じて自車両を減速させるものであって、自車両を減速させる場合、運転者がアクセル戻し操作をするときに、コーナリングフォースの低下を抑制するために、タイヤのグリップ状態が旋回性能の限界に近いほど、自車両を減速させるときの減速度を制限することを特徴とする
本発明に関わる車両用旋回走行制御装置によれば、自車両を減速させる場合、運転者がアクセル戻し操作をするときに、コーナリングフォースの低下を抑制するため、タイヤのグリップ状態が旋回性能の限界に近いほど、自車両を減速させるときの減速度を制限することで、車両の急減速を回避することができる。したがって、タイヤのグリップ状態が旋回性能の限界に近い状態で、コーナリングフォースが低下することを抑制し、オーバーステア等、車両挙動の乱れを防止しつつ、車両の安定した旋回走行を確保することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の概略構成を示すブロック図である。各車輪の車輪速度Vwi(i=FL〜RR)を検出する電磁誘導式の車輪速センサ1と、ステアリングホイールの操舵角θを検出する光学式・非接触型の操舵角センサ2と、車体のヨーレイトφDを検出するヨーレイトセンサ3と、アクセルペダルのアクセル開度Accを検出するアクセルセンサ4と、がコントローラ5に接続される。
コントローラ5は、例えばマイクロコンピュータで構成されており、各センサからの検出信号に基づいて後述する旋回走行制御処理を実行し、エンジン出力制御装置6と制動力制御装置8とを駆動制御して車両の旋回状態に応じた自動減速を行う。
ここで、エンジン出力制御装置6は、エンジン7におけるスロットルバルブの開度、燃料噴射量、点火時期などを調整することによって、エンジン出力(回転数やエンジントルク)を制御するように構成されている。
また、制動力制御装置8は、図2に示すように、マスターシリンダ10と各ホイールシリンダ11FL〜11RRとの間に介装されている。
マスターシリンダ10は、運転者のペダル踏力に応じて2系統の液圧を作るタンデム式のもので、プライマリ側をフロント左・リア右のホイールシリンダ11FL・11RRに伝達し、セカンダリ側を右前輪・左後輪のホイールシリンダ11FR・11RLに伝達するダイアゴナルスプリット方式を採用している。
各ホイールシリンダ11FL〜11RRは、ディスクロータをブレーキパッドで挟圧して制動力を発生させるディスクブレーキや、ブレーキドラムの内周面にブレーキシューを押圧して制動力を発生させるドラムブレーキに内蔵されている。
制動力制御装置8は、アンチスキッド制御(ABS)、トラクション制御(TCS)、スタビリティ制御(VDC:Vehicle Dynamics Control)等に用いられる制動流体圧制御回路を利用したものであり、運転者のブレーキ操作に係らず各ホイールシリンダ11FL〜11RRの液圧を増圧・保持・減圧できるように構成されている。
プライマリ側は、マスターシリンダ10及びホイールシリンダ11FL(11RR)間の流路を閉鎖可能なノーマルオープン型の第1ゲートバルブ12Aと、第1ゲートバルブ12A及びホイールシリンダ11FL(11RR)間の流路を閉鎖可能なノーマルオープン型のインレットバルブ13FL(13RR)と、ホイールシリンダ11FL(11RR)及びインレットバルブ13FL(13RR)間に連通したアキュムレータ14と、ホイールシリンダ11FL(11RR)及びアキュムレータ14間の流路を開放可能なノーマルクローズ型のアウトレットバルブ15FL(15RR)と、マスターシリンダ10及び第1ゲートバルブ12A間とアキュムレータ14及びアウトレットバルブ15FL(15RR)間とを連通した流路を開放可能なノーマルクローズ型の第2ゲートバルブ16Aと、アキュムレータ14及びアウトレットバルブ15FL(15RR)間に吸入側を連通し、且つ第1ゲートバルブ12A及びインレットバルブ13FL(13RR)間に吐出側を連通したポンプ17と、を備えている。また、ポンプ17の吐出側には、吐出されたブレーキ液の脈動を抑制し、ペダル振動を弱めるダンパー室18が配設されている。
また、セカンダリ側も、プライマリ側と同様に、第1ゲートバルブ12Bと、インレットバルブ13FR(13RL)と、アキュムレータ14と、アウトレットバルブ15FR(15RL)と、第2ゲートバルブ16Bと、ポンプ17と、ダンパー室18と、を備えている。
第1ゲートバルブ12A・12Bと、インレットバルブ13FL〜13RRと、アウトレットバルブ15FL〜15RRと、第2ゲートバルブ16A・16Bとは、夫々、2ポート2ポジション切換・シングルソレノイド・スプリングオフセット式の電磁操作弁であって、第1ゲートバルブ12A・12B及びインレットバルブ13FL〜13RRは、非励磁のノーマル位置で流路を開放し、アウトレットバルブ15FL〜15RR及び第2ゲートバルブ16A・16Bは、非励磁のノーマル位置で流路を閉鎖するように構成されている。
また、アキュムレータ14は、シリンダのピストンに圧縮バネを対向させたバネ形のアキュムレータで構成されている。
また、ポンプ17は、負荷圧力に係りなく略一定の吐出量を確保できる歯車ポンプ、ピストンポンプ等、容積形のポンプで構成されている。
以上の構成により、プライマリ側を例に説明すると、第1ゲートバルブ12A、インレットバルブ13FL(13RR)、アウトレットバルブ15FL(15RR)、及び第2ゲートバルブ16Aが全て非励磁のノーマル位置にあるときに、マスターシリンダ2からの液圧がそのままホイールシリンダ11FL(11RR)に伝達され、通常ブレーキとなる。
また、ブレーキペダルが非操作状態であっても、インレットバルブ13FL(13RR)、及びアウトレットバルブ15FL(15RR)を非励磁のノーマル位置にしたまま、第1ゲートバルブ12Aを励磁して閉鎖すると共に、第2ゲートバルブ16Aを励磁して開放し、更にポンプ17を駆動することで、マスターシリンダ2の液圧を第2ゲートバルブ16Aを介して吸入し、吐出される液圧をインレットバルブ13FL(13RR)を介してホイールシリンダ11FL(11RR)に伝達し、増圧させることができる。
また、第1ゲートバルブ12A、アウトレットバルブ15FL(15RR)、及び第2ゲートバルブ16Aが非励磁のノーマル位置にあるときに、インレットバルブ13FL(13RR)を励磁して閉鎖すると、ホイールシリンダ11FL(11RR)からマスターシリンダ2及びアキュムレータ14への夫々の流路が遮断され、ホイールシリンダ11FL(11RR)の液圧が保持される。
さらに、第1ゲートバルブ12A及び第2ゲートバルブ16Aが非励磁のノーマル位置にあるときに、インレットバルブ13FL(13RR)を励磁して閉鎖すると共に、アウトレットバルブ15FL(15RR)を励磁して開放すると、ホイールシリンダ11FL(11RR)の液圧がアキュムレータ14に流入して減圧される。アキュムレータ14に流入した液圧は、ポンプ17によって吸入され、マスターシリンダ2に戻される。
セカンダリ側に関しても、通常ブレーキ・増圧・保持・減圧の動作は、上記プライマリ側の動作と同様であるため、その詳細説明は省略する。
したがって、コントローラ5は、第1ゲートバルブ12A・12Bと、インレットバルブ13FL〜13RRと、アウトレットバルブ15FL〜15RRと、第2ゲートバルブ16A・16Bと、ポンプ17とを駆動制御することによって、各ホイールシリンダ11FL〜11RRの液圧を増圧・保持・減圧する。
なお、本実施形態では、ブレーキ系統をフロント左・リア右とフロント右・リア左とで分割するダイアゴナルスプリット方式を採用しているが、これに限定されるものではなく、フロント左右とリア左右とで分割する前後スプリット方式を採用してもよい。
また、本実施形態では、バネ形のアキュムレータ14を採用しているが、これに限定されるものではなく、各ホイールシリンダ11FL〜11RRから抜いたブレーキ液を一時的に貯え、減圧を効率よく行うことができればよいので、重錘形、ガス圧縮直圧形、ピストン形、金属ベローズ形、ダイヤフラム形、ブラダ形、インライン形など、任意のタイプでよい。
また、本実施形態では、第1ゲートバルブ12A・12B及びインレットバルブ13FL〜13RRが、非励磁のノーマル位置で流路を開放し、アウトレットバルブ15FL〜15RR及び第2ゲートバルブ16A・16Bが、非励磁のノーマル位置で流路を閉鎖するように構成しているが、これに限定されるものではない。要は、各バルブの開閉を行うことができればよいので、第1ゲートバルブ12A・12B及びインレットバルブ13FL〜13RRが、励磁したオフセット位置で流路を開放し、アウトレットバルブ15FL〜15RR及び第2ゲートバルブ16A・16Bが、励磁したオフセット位置で流路を閉鎖するようにしてもよい。
次に、コントローラ5で実行する旋回走行制御処理を、図3のフローチャートに基づいて説明する。
この旋回走行制御処理は、所定時間(例えば10msec)毎のタイマ割込み処理として実行され、図3に示すように、先ずステップS1で、各車輪速Vwiと、操舵角θと、ヨーレイト検出値φDと、アクセル開度Accとを読込む。
続くステップS2では、各車輪速度Vwiに基づいて旋回速度Vを算出する。なお、本実施形態では、各車輪速度Vwiに基づいて旋回速度Vを算出しているが、これに限定されるものではなく、車体の前後加速度を加速度センサで検出し、この前後加速度を加味して旋回速度Vを算出してもよい。
続くステップS3では、図4のブロック図に従って車体のヨーレイトφを算出する。
先ず、図5に示すように、操舵角θと旋回速度Vとに応じてヨーレイト推定値φEを算出する。そして、下記(1)式に示すように、ヨーレイト検出値φDの絶対値とヨーレイト推定値φEの絶対値とのセレクトハイによって最終的なヨーレイトφを算出する。ここで、検出値φDと推定値φEとのセレクトハイを行うのは、例えば路面摩擦係数μの低い道路で操舵角θがあまり大きくないのにヨーレイトφが増加するスロースピンモードの場合には、減速制御をより早く介入させることができるためである。
φ= max[|φD|,|φE|] ………(1)
続くステップS4では、下記(2)式に示すように、現在の旋回状態に対する目標旋回速度V*を算出する。ここで、μは路面摩擦係数であり、スリップ率とブレーキ操作量(マスターシリンダ圧)とに基づいて推定したり、路面の画像データと気温とに基づいて推定したり、路面判別センサ(GVS:Grand View Censor)の検出結果に基づいて推定したり、更にはインフラストラクチャから取得したりする。また、YgLは限界横加速度であり、ここでは車両が安定して旋回走行できる所定値(例えば、0.45G)に設定するが、各車輪のスリップ率に応じて可変としてもよい。
*=μ×YgL/|φ| ………(2)
続くステップS5では、下記(3)式に示すように、目標減速度Xg*を算出する。ここで、ΔVは旋回速度Vと目標旋回速度V*との偏差(V−V*)であり、tは所定時間であり、kは係数である。
Xg*=k×ΔV/t ………(3)
なお、ここでは単に旋回速度Vと目標旋回速度V*との偏差ΔVに基づいて目標減速度Xg*を算出しているが、これに限定されるものではなく、下記(4)式に示すように、偏差ΔVの増加方向への変化速度(単位時間あたりの変化量)dΔVを加味して目標減速度Xg*を算出してもよい。ここで、k1及びk2は係数である。また、変化速度dΔVは演算周期毎の変化量でもよいし、所定時間内の平均変化量でもよい。
Xg*=(k1×ΔV+k2×dΔV)/t ………(4)
続くステップS6では、目標減速度Xg*が0より大きいか否かを判断する。この判定結果がXg*≦0であるときには、減速制御つまり自動減速は不要であると判断して後述するステップS17に移行する。一方、判定結果がXg*>0であるときには、減速制御が必要であると判断してステップS7に移行する。
ステップS7では、減速制御フラグFcを“1”にセットする。
続くステップS8では、目標減速度Xg*を達成するために必要となる目標制動力F*を算出し増加させる。但し、安定した車両挙動を維持できる程度に制動力が増加するよう、所定の変化速度で目標制動力F*を増加させる。
続くステップS9では、下記(5)式に示すように、1サンプリング前の目標エンジントルクT1* (n-1)から所定量Tdownを減じて目標エンジントルクT1*を算出する。但し、T1* (n-1)の初期値は、アクセル開度Accに応じたドライバ要求エンジントルクTdriverに設定される。
T1*=T1* (n-1)−Tdown ………(5)
続くステップS10では、目標エンジントルクT1*が下限値TMINより小さいか否かを判定する。この判定結果がT1*<TMINであるときには、目標エンジントルクT1*を絞り過ぎであると判断してステップS11に移行する。
ステップS11では、下記(6)式に示すように、目標エンジントルクT1*を下限値TMINに制限してからステップS12に移行する。
T1* ← TMIN ………(6)
一方、上記ステップS10の判定結果がT1*≧TMINであるときには、そのままステップS12に移行する。
ステップS12では、下記(7)式に示すように、目標エンジントルクT1*と、アクセル開度Accに応じたドライバ要求エンジントルクTdriverとのセレクトローによって最終的な目標エンジントルクT1*を算出する。これは、ドライバ要求エンジントルクTdriverが下限値TMIN未満となるまで減少したときに、このドライバ要求エンジントルクTdriverに目標エンジントルクT1*を追従させ、運転者の意思を反映させるためである。
T1*= min[T1* ,Tdriver] ………(7)
続くステップS13では、図中に示すような制御マップを参照し、車輪のスリップ率Sに応じてエンジントルク低減量ΔTを算出する。このスリップ率Sは、各車輪のスリップ率SFL〜SRRの最大値とする。ここで、制御マップは、横軸をスリップ率S、縦軸をエンジントルク低減量ΔTとし、スリップ率Sが高いほど、タイヤのグリップ状態が旋回性能の限界に近いと推定し、エンジントルク低減量ΔTが所定値ΔTdownから小さくなるように設定されている。
続くステップS14では、下記(8)式に示すように、1サンプリング前の目標エンジントルクT2* (n-1)からエンジントルク低減量ΔTを減じて目標エンジントルクT2*を算出する。但し、T2* (n-1)の初期値は、アクセル開度Accに応じたドライバ要求エンジントルクTdriverに設定される。
T2*=T2* (n-1)−ΔT ………(8)
続くステップS15では、下記(9)式に示すように、目標エンジントルクT1*と、目標エンジントルクT2*とのセレクトハイによって最終的な目標エンジントルクT*を算出する。
*= max[T1* ,T2*] ………(9)
続くステップS16では、目標エンジントルクT*に応じてエンジン出力制御装置6を駆動制御すると共に、目標制動力F*に応じて制動力制御装置8を駆動制御してから所定のメインプログラムに復帰する。
一方、前記ステップS6から移行するステップS17では、減速制御フラグFcが“1”にセットされているか否かを判定する。この判定結果がFc=0であるときには、減速制御つまり自動減速が開始されていない、又は既に終了していると判断して後述するステップS22に移行する。一方、判定結果がFc=1であるときには、減速制御が開始されていると判断してステップS18に移行する。
ステップS18では、前記ステップS8の処理で増加させた分だけ目標制動力F*を減少させる。但し、安定した車両挙動を維持できる程度に制動力が減少するよう、所定の変化速度で目標制動力F*を減少させる。
続くステップS19では、下記(10)式に示すように、1サンプリング前の目標エンジントルクT* (n-1)に所定量Tupを加算して目標エンジントルクT*を算出する。
*=T* (n-1)+Tup ………(10)
続くステップS20では、減速制御が終了したか否か、つまり上記ステップS18により目標制動力F*の増加分が解除され、且つステップS19の処理により目標エンジントルクT*が現時点でのドライバ要求エンジントルクTdriverに復帰したか否かを判定する。ここで、目標制動力F*の増加分が解除され、且つ目標エンジントルクT*がTdriverに復帰しているときには、減速制御が終了したと判断してステップS21に移行する。
ステップS21では、減速制御フラグFcを“0”にリセットしてから前記ステップS16に移行する。
一方、上記ステップS20で、目標制動力F*の増加分が解除されていない、又は目標エンジントルクT*がTdriverに復帰していないときには、減速制御が終了していないと判断してそのまま前記ステップS16に移行する。
一方、前記ステップS17から移行するステップS22では、自動減速に先立つ予圧制御が必要であるか否かを判断する。
本実施形態のようにポンプ17を圧力発生源とするポンプアップ式のアクチュエータでは、制動力制御装置8の駆動制御を開始してから、実際にホイールシリンダ11FL〜11RRの液圧が上昇して車両に制動力が発生するまでに無駄時間(例えば、300msec)がある。そこで、予圧制御では、制動力が発生するまでの無駄時間を考慮して、自動減速が開始される前に予めホイールシリンダ11FL〜11RRに予圧(例えば、3kgf/cm2)を発生させておくことで、自動減速を行うときの初期の応答性を向上させる。
したがって、このステップS22では、無駄時間に相当するΔt秒後の目標車速V*と旋回速度Vとを夫々の変化速度から算出し、Δt秒後に旋回速度Vが目標車速V*を上回ると推定したときに予圧制御が必要であると判断し、Δt秒後に旋回速度Vが目標車速V*を上回らないと推定したときに予圧制御が不要であると判断する。或いは、Δt秒後の目標車速V*の逆数をその変化速度から算出し、Δt秒後の目標車速V*の逆数が現時点の旋回速度Vの逆数より大きいときに予圧制御が必要であると判断し、Δt秒後の目標車速V*の逆数が現時点の旋回速度Vの逆数より小さいときに予圧制御が不要であると判断するようにしてもよい。何れにしても、予圧制御が不要であると判断されたときには、そのまま所定のメインプログラムに復帰し、予圧制御が必要であると判断されたときには、ステップS23に移行する。
ステップS23では、ポンプ17を起動状態にし、ホイールシリンダ11FL〜11RRに予圧(例えば、3kgf/cm2)を発生させてから、所定のメインプログラムに復帰する。
以上より、ステップS2、S3の処理が「旋回状態検出手段」に対応し、ステップS13の処理が「グリップ状態推定手段」に対応し、ステップS2、S3、S13を除く図3の旋回走行制御処理が「走行制御手段」に対応している。
次に、上記第1実施形態の動作や作用効果について説明する。
今、車両が旋回走行しているとする。このとき、目標減速度Xg*が0以下であるときには(ステップS6の判定が“No”)、安定した旋回走行が維持されているので、減速制御つまり自動減速の必要はないと判断する。そこで、運転者のアクセル操作に応じた通常のエンジントルクとなるようにエンジン出力制御装置6を非駆動状態にすると共に、運転者のブレーキ操作に応じた通常ブレーキとなるように制動力制御装置8を非駆動状態にする。
この状態から、運転者のステアリング操作量が増加する、或いは運転者のアクセル操作量が増加し、目標減速度Xg*が0より大きくなったときには(ステップS6の判定が“Yes”)、車両の旋回状態が旋回性能の限界に接近しているので、減速制御つまり自動減速を要すると判断する。
そこで、目標減速度Xg*を達成するために、制動力制御装置8を駆動制御して各ホイールシリンダ11FL〜11RRの液圧を増加させると共に、エンジン出力制御装置6を駆動制御してエンジントルクを減少させることによって、自動減速を行い、安定した旋回走行を図る(ステップS8、S9、S14)。
また、目標減速度Xg*が0より大きくなる直前に、予圧制御が実行されているので(ステップS23)、既にホイールシリンダ11FL〜11RRには予圧(例えば、3kgf/cm2)が掛けられており、制動力を発生させるときの初期の応答性を向上させることができる。
ところで、自動減速によって制動力を増加させる際、自車両の旋回状態が旋回性能の限界に近づいていることに運転者が気付き、即座にアクセル開度Accを全閉にすると、図6のタイムチャートに示すように、ドライバ要求エンジントルクTdriverが急激に減少することにより急なエンジンブレーキが作用するので、コーナリングフォースが低下し、オーバーステア等、車両挙動の乱れを誘発する虞がある。
そこで、本実施形態では、自車両を減速させる場合、運転者がアクセル戻し操作をするときに、タイヤのグリップ状態が旋回性能の限界に近いほど、自車両を緩やかに減速させる、つまり自車両を減速させるときの減速度を制限する。
具体的には、車輪のスリップ率Sに応じてタイヤのグリップ状態を推定し、スリップ率Sが高いほど、タイヤのグリップ状態が旋回性能の限界に近いと推定してエンジントルク低減量ΔTを小さくすることにより(ステップS13)、目標エンジントルクT2*の減少速度を低くする(ステップS14)。
これにより、図7のタイムチャートに示すように、運転者が一気にアクセル開度Accを全閉にするようなときに、ドライバ要求エンジントルクTdriverが急激に減少することで、目標エンジントルクT1*も急激に減少するが(ステップS12)、目標エンジントルクT1*とT2*とのセレクトハイによって、T2*が最終的な目標エンジントルクT*として選択されることになり(ステップS15)、車両の急減速を回避することができる。したがって、タイヤのグリップ状態が旋回性能の限界に近い状態で、コーナリングフォースが低下することを抑制し、オーバーステア等、車両挙動の乱れを防止しつつ、車両の安定した旋回走行を確保することができる。
一方、スリップ率Sが低く、タイヤのグリップ状態が旋回性能の限界に到達するまでにまだ余裕があると推定されるときには、エンジントルク低減量ΔTを大きくすることにより(最大でΔT=Tdown)、目標エンジントルクT2*の減少速度が高くなる。また、運転者がアクセル開度Accを維持するようなときには、ドライバ要求エンジントルクTdriverが減少しないので、目標エンジントルクT1*は演算周期毎に所定量Tdownずつ減少してゆく。この場合、目標エンジントルクT1*及びT2*のどちらが選択されても最終的な目標エンジントルクT*が速やかに減少してゆくので、本来の減速度を得ることができ、車両の安定した旋回走行を速やかに確保することができる。
このように、自動減速を行う際に、運転者のアクセル戻し操作という減速作用を発生させる不確定要素が入力されても、タイヤのグリップ状態を推定し、これに応じて自車両の減速度を調整することにより、適切な自動減速を行うことができる。
そして、制動力の増加とエンジントルクの減少とによる減速制御によって、目標減速度Xg*が0以下になり安定した旋回走行が可能な状態に復帰したら(ステップS6の判定が“No”)、減速制御によって増加させた分の制動力を徐々に減少させると共に、エンジントルクをドライバ要求エンジントルクTdriverまで徐々に増加させる(ステップS18、S19)。
その後、減速制御によって増加させた分の制動力が解除され、且つエンジントルクがドライバ要求エンジントルクTdriverまで復帰したときに(ステップS20の判定が“Yes”)、制動力制御装置8とエンジン出力制御装置6とを共に非駆動状態にして、減速制御を終了する。
以上のように、上記の第1実施形態では、自車両を減速させる場合、運転者がアクセル戻し操作をするときに、タイヤのグリップ状態が旋回性能の限界に近いほど、自車両を減速させるときの減速度を制限することで、車両の急減速を禁止することができる。すなわち、自車両を減速させる場合、運転者がアクセル戻し操作をするときに、タイヤのグリップ状態が旋回性能の限界に近づくほど、自車両を緩やかに減速させることができる。したがって、タイヤのグリップ状態が旋回性能の限界に近い状態で、コーナリングフォースが低下することを抑制し、オーバーステア等、車両挙動の乱れを防止しつつ、車両の安定した旋回走行を確保することができる。
また、エンジントルクの減少速度を低くすることにより、自車両を減速させるときの減速度を制限するので、上記の効果を容易に且つ確実に得ることができる。
また、車輪のスリップ率Sが高いほど、タイヤのグリップ状態が旋回性能の限界に近いと推定するので、上記の効果を正確に得ることができる。
なお、上記の第1実施形態では、ステップS13の処理で、エンジントルク低減量ΔTの最小値を0としているが、これに限定されるものではない。例えば、図8に示すような制御マップを参照し、1サンプリング前からのドライバ要求エンジントルクTdriverの減少量ΔTdriverに応じてエンジントルク低減量ΔTの最小値を可変とし、減少量ΔTdriverが大きいほど、ΔTの最小値が小さくなるようにしてもよい。
また、上記の第1実施形態では、ステップS13の処理で、スリップ率Sに応じてエンジントルク低減量ΔTを変化させているが、これに限定されるものではない。要は、車輪のスリップ傾向に応じてタイヤのグリップ状態を推定できればよいので、車輪の加速度やスリップ速度に応じてエンジントルク低減量ΔTを変化させてもよい。
また、上記の第1実施形態では、ステップS13の処理で、スリップ率Sに応じて連続的無段階にエンジントルク低減量ΔTを変化させているが、これに限定されるものではなく、スリップ率Sに応じてステップ状にエンジントルク低減量ΔTを変化させてもよく、それは1段階だけでもよい。更には、スリップ率Sに応じて曲線的にエンジントルク低減量ΔTを変化させているが、これに限定されるものではなく、スリップ率Sに応じて直線的にエンジントルク低減量ΔTを変化させてもよい。
また、上記の第1実施形態では、目標エンジントルクT1*に対する下限値TMINを固定値としているが、これに限定されるものではなく、旋回速度Vが高くなるほど下限値TMINを高くするようにしてもよい。これによれば、目標エンジントルクT1*が下限値TMINまで減少するときに、過大なトルクダウンを防止し、アクセル操作を行っていた運転者に無用な失速感を与えることがない。
また、上記の第1実施形態では、エンジントルクを減少させることで、車両の駆動トルクを減少させているが、これに限定されるものではなく、トランスミッションでの伝達トルクを制御することで、車両の駆動トルクを減少させるようにしてもよい。
また、上記の第1実施形態では、旋回速度Vと目標旋回速度V*との偏差ΔVに基づいて目標減速度Xg*を算出し、この目標減速度Xg*が0より大きくなるときに、減速制御つまり自動減速を行っているが、これに限定されるものではなく、旋回速度Vが目標旋回速度V*よりも大きくなったときに減速制御を行うようにしてもよい。また、旋回速度のみならず、旋回半径と目標旋回半径も算出し、旋回半径が目標旋回半径よりも小さくなったときに自動減速を行うようにしてもよく、要は、車両の旋回状態が、安定して旋回できる旋回性能の限界を超えないように減速制御を行うことができればよい。
また、上記の第1実施形態では、ブレーキをかける制動機構として、液圧を伝達媒体にしたハイドリックブレーキを採用しているが、これに限定されるものではなく、伝達媒体にケーブルやリンク、或いは空気圧を利用した他の如何なる制動機構を採用してもよい。更には、ディスクロータをブレーキパッドで挟圧する、或いはブレーキドラムの内周面にブレーキシューを押圧する等、摩擦抵抗によって制動力を発生する摩擦ブレーキでなくとも、磁力抵抗によって制動力を発生する電磁ブレーキ、空気抵抗によって制動力を発生する空力ブレーキ、発電によって制動力を発生する回生ブレーキ等、他の如何なる制動機構を採用してもよい。
次に、本発明の第2実施形態を図9に基づいて説明する。
この第2実施形態は、タイヤのグリップ状態を、アクセル開度Accの減少速度dAccに応じて推定するものである。
そこで、第2実施形態では、前述したステップS13の処理で参照する制御マップを、図9の制御マップに変更したことを除いては、第1実施形態と同様の処理を実行するため、同一部分については詳細説明を省略する。
図9に示すように、この制御マップは、横軸を減少速度dAcc、縦軸をエンジントルク低減量ΔTとし、減少速度dAccが高いほど、タイヤのグリップ状態が旋回性能の限界に近いと推定し、エンジントルク低減量ΔTが所定値ΔTdownから小さくなるように設定されている。この減少速度dAccは、アクセル開度Accの時間微分によって算出する。
ここで、図9の制御マップを参照してエンジントルク低減量ΔTを算出する処理が、「グリップ状態推定手段」に対応している。
車輪のスリップ率Sによれば、タイヤのグリップ状態を確実に推定できるが、タイヤのスリップ傾向が検出されるまではタイヤのグリップ状態が旋回性能の限界に近いことを推定することができない。一方、アクセル開度の減少速度dAccによれば、タイヤのスリップ傾向が検出されなくてもタイヤのグリップ状態が旋回性能の限界に近いことを推定することが可能である。
したがって、第2実施形態によれば、減少速度dAccが高くなるほど、エンジントルク低減量ΔTを小さくすることにより、第1実施形態のようにスリップ率Sに応じてタイヤのグリップ状態を推定するよりも早くタイヤのグリップ状態が旋回性能の限界に近いことを推定することができる。
なお、上記の第2実施形態では、アクセル開度の減少速度dAccに応じてエンジントルク低減量ΔTを算出しているが、これに限定されるものではなく、アクセル開度Accから導出されるドライバ要求エンジントルクTdriverの減少速度dTdriverに応じてエンジントルク低減量ΔTを算出してもよい。
その他の作用効果については前述した第1実施形態と同様である。
次に、本発明の第3実施形態を図10に基づいて説明する。
この第2実施形態は、タイヤのグリップ状態を、車両の横加速度Ygに応じて推定するものである。
そこで、第3実施形態では、前述したステップS13の処理で参照する制御マップを、図10の制御マップに変更したことを除いては、第1実施形態と同様の処理を実行するため、同一部分については詳細説明を省略する。
図10に示すように、この制御マップは、横軸を横加速度Yg、縦軸をエンジントルク低減量ΔTとし、横加速度Ygが高いほど、タイヤのグリップ状態が旋回性能の限界に近いと推定し、エンジントルク低減量ΔTが所定値ΔTdownから小さくなるように設定されている。この横加速度Ygは、加速度センサによって検出したり、旋回速度V、操舵角θ、ヨーレイトφ等に基づいて推定したりする。
ここで、図10の制御マップを参照してエンジントルク低減量ΔTを算出する処理が、「グリップ状態推定手段」に対応している。
車輪のスリップ率Sによれば、タイヤのグリップ状態を確実に推定できるが、タイヤのスリップ傾向が検出されるまではタイヤのグリップ状態が旋回性能の限界に近いことを推定することができない。一方、車両の横加速度Ygによれば、タイヤのスリップ傾向が検出されなくてもタイヤのグリップ状態が旋回性能の限界に近いことを推定することが可能である。
したがって、第3実施形態によれば、横加速度Ygが高くなるほど、エンジントルク低減量ΔTを小さくすることにより、第1実施形態のようにスリップ率Sに応じてタイヤのグリップ状態を推定するよりも早くタイヤのグリップ状態が旋回性能の限界に近いことを推定することができる。
その他の作用効果については前述した第1実施形態と同様である。
次に、本発明の第4実施形態を図11に基づいて説明する。
この第4実施形態は、タイヤのグリップ状態を、車輪のスリップ率S、アクセル開度の減少速度dAcc、及び車両の横加速度Ygに応じて推定するものである。
そこで、第4実施形態では、前述したステップS13の処理を、図11のブロック図に変更したことを除いては、第1〜第3実施形態と同様の処理を実行するため、同一部分については詳細説明を省略する。
図11に示すように、先ず、スリップ率Sに応じたエンジントルク低減量ΔT(S)と、減少速度dAccに応じたエンジントルク低減量ΔT(dAcc)と、横加速度Ygに応じたエンジントルク低減量ΔT(Yg)とを個別に算出する。
次いで、下記(11)式に示すように、各低減量のセレクトローによって最終的なエンジントルク低減量ΔTを算出する。
ΔT= min[ΔT(S),ΔT(dAcc),ΔT(Yg)] ………(11)
ここで、図11のブロック図に従ってエンジントルク低減量ΔTを算出する処理が、「グリップ状態推定手段」に対応している。
この第4実施形態によれば、ΔT(S)、ΔT(dAcc)、ΔT(Yg)のセレクトローによって最終的なエンジントルク低減量ΔTを算出することにより、スリップ率S、減少速度dAcc、横加速度Ygに応じて個別に推定されたグリップ状態のうち、最も旋回性能の限界に近いものを最終的なグリップ状態として選択したことになる。この処理は、エンジントルクを緩やかに減少させることになるので、車両挙動の乱れをより確実に防止することができる。
なお、上記の第4実施形態では、スリップ率S、減少速度dAcc、横加速度Ygに応じてタイヤのグリップ状態を推定する場合について説明しているが、これに限定されるものではなく、スリップ率S、減少速度dAcc、横加速度Ygの少なくとも2つに応じて推定する場合についても同様である。
その他の作用効果については前述した第1〜第3実施形態と同様である。
次に、本発明の第5実施形態を図12に基づいて説明する。
この第5実施形態は、第1実施形態において、目標制動力F*の増加速度を、タイヤのグリップ状態に応じて変化させるものである。
そこで、第5実施形態では、前述したステップS8の処理を、図12のブロック図に変更したことを除いては、第1実施形態と同様の処理を実行するため、同一部分については詳細説明を省略する。
図12に示すように、先ず、図中に示すような制御マップを参照し、車輪のスリップ率Sに応じて制動力増加量ΔFを算出する。ここで、制御マップは、横軸をスリップ率S、縦軸を制動力増加量ΔFとし、スリップ率Sが高いほど、タイヤのグリップ状態が旋回性能の限界に近いと推定し、制動力増加量ΔFが小さくなるように設定されている。
次いで、下記(12)式に示すように、1サンプリング前の目標制動力F* (n-1)に制動力増加量ΔFを加算して目標制動力F*を算出する。
*=F* (n-1)+ΔF ………(12)
ここで、図12のブロック図に従って制動力増加量ΔFを算出する処理が、「グリップ状態推定手段」に対応している。
この第5実施形態によれば、自車両を減速させる場合、運転者がアクセル戻し操作をするときに、タイヤのグリップ状態が旋回性能の限界に近いほど、自車両を緩やかに減速させる、つまり自車両を減速させるときの減速度を制限する。
すなわち、車輪のスリップ率Sに応じてタイヤのグリップ状態を推定し、スリップ率Sが高いほど、タイヤのグリップ状態が旋回性能の限界に近いと推定して制動力増加量ΔFを小さくすることにより、目標制動力F*の増加速度を低くする。
これにより、運転者が一気にアクセル開度Accを全閉にするようなときにも、車両の急減速を回避することができる。したがって、タイヤのグリップ状態が旋回性能の限界に近い状態で、コーナリングフォースが低下することを抑制し、オーバーステア等、車両挙動の乱れを防止しつつ、車両の安定した旋回走行を確保することができる。
このように、制動力の増加速度を低くすることにより、自車両を減速させるときの減速度を制限するので、上記の効果を容易に且つ確実に得ることができる。
その他の作用効果については前述した第1実施形態と同様である。
次に、本発明の第6実施形態を図13に基づいて説明する。
この第6実施形態は、前述した第5実施形態において、タイヤのグリップ状態を、アクセル開度Accの減少速度dAccに応じて推定するものである。
そこで、第6実施形態では、前述した図12中の制御マップを、図13の制御マップに変更したことを除いては、第5実施形態と同様の処理を実行するため、同一部分については詳細説明を省略する。
図13に示すように、この制御マップは、横軸を減少速度dAcc、縦軸を制動力増加量ΔFとし、減少速度dAccが高いほど、タイヤのグリップ状態が旋回性能の限界に近いと推定し、制動力増加量ΔFが小さくなるように設定されている。この減少速度dAccは、アクセル開度Accの時間微分によって算出する。
ここで、図13の制御マップを参照して制動力増加量ΔFを算出する処理が、「グリップ状態推定手段」に対応している。
車輪のスリップ率Sによれば、タイヤのグリップ状態を確実に推定できるが、タイヤのスリップ傾向が検出されるまではタイヤのグリップ状態が旋回性能の限界に近いことを推定することができない。一方、アクセル開度の減少速度dAccによれば、タイヤのスリップ傾向が検出されなくてもタイヤのグリップ状態が旋回性能の限界に近いことを推定することが可能である。
したがって、第6実施形態によれば、減少速度dAccが高くなるほど、制動力増加量ΔFを小さくすることにより、第5実施形態のようにスリップ率Sに応じてタイヤのグリップ状態を推定するよりも早くタイヤのグリップ状態が旋回性能の限界に近いことを推定することができる。
なお、上記の第5実施形態では、アクセル開度の減少速度dAccに応じて制動力増加量ΔFを算出しているが、これに限定されるものではなく、アクセル開度Accから導出されるドライバ要求エンジントルクTdriverの減少速度dTdriverに応じて制動力増加量ΔFを算出してもよい。
その他の作用効果については前述した第5実施形態と同様である。
次に、本発明の第7実施形態を図14に基づいて説明する。
この第7実施形態は、前述した第5実施形態において、タイヤのグリップ状態を、車両の横加速度Ygに応じて推定するものである。
そこで、第7実施形態では、前述した図12中の制御マップを、図14の制御マップに変更したことを除いては、第5実施形態と同様の処理を実行するため、同一部分については詳細説明を省略する。
図14に示すように、この制御マップは、横軸を横加速度Yg、縦軸を制動力増加量ΔFとし、横加速度Ygが高いほど、タイヤのグリップ状態が旋回性能の限界に近いと推定し、制動力増加量ΔFが小さくなるように設定されている。この横加速度Ygは、加速度センサによって検出したり、旋回速度V、操舵角θ、ヨーレイトφ等に基づいて推定したりする。
ここで、図14の制御マップを参照して制動力増加量ΔFを算出する処理が、「グリップ状態推定手段」に対応している。
車輪のスリップ率Sによれば、タイヤのグリップ状態を確実に推定できるが、タイヤのスリップ傾向が検出されるまではタイヤのグリップ状態が旋回性能の限界に近いことを推定することができない。一方、車両の横加速度Ygによれば、タイヤのスリップ傾向が検出されなくてもタイヤのグリップ状態が旋回性能の限界に近いことを推定することが可能である。
したがって、第7実施形態によれば、横加速度Ygが高くなるほど、制動力増加量ΔFを小さくすることにより、第5実施形態のようにスリップ率Sに応じてタイヤのグリップ状態を推定するよりも早くタイヤのグリップ状態が旋回性能の限界に近いことを推定することができる。
その他の作用効果については前述した第5実施形態と同様である。
次に、本発明の第8実施形態を図15に基づいて説明する。
この第8実施形態は、タイヤのグリップ状態を、車輪のスリップ率S、アクセル開度の減少速度dAcc、及び車両の横加速度Ygに応じて推定するものである。
そこで、第8実施形態では、前述した図12で制動力増加量ΔFを算出する処理を、図15のブロック図に変更したことを除いては、第5〜第7実施形態と同様の処理を実行するため、同一部分については詳細説明を省略する。
図15に示すように、先ず、スリップ率Sに応じた制動力増加量ΔF(S)と、減少速度dAccに応じた制動力増加量ΔF(dAcc)と、横加速度Ygに応じた制動力増加量ΔF(Yg)とを個別に算出する。
次いで、下記(13)式に示すように、各増加量のセレクトローによって最終的な制動力増加量ΔFを算出する。
ΔF= min[ΔF(S),ΔF(dAcc),ΔF(Yg)] ………(13)
ここで、図15のブロック図に従って制動力増加量ΔFを算出する処理が、「グリップ状態推定手段」に対応している。
この第8実施形態によれば、ΔF(S)、ΔF(dAcc)、ΔF(Yg)のセレクトローによって最終的な制動力増加量ΔFを算出することにより、スリップ率S、減少速度dAcc、横加速度Ygに応じて個別に推定されたグリップ状態のうち、最も旋回性能の限界に近いものを最終的なグリップ状態として選択したことになる。この処理は、制動力を緩やかに増加させることになるので、車両挙動の乱れをより確実に防止することができる。
なお、上記の第8実施形態では、スリップ率S、減少速度dAcc、横加速度Ygに応じてタイヤのグリップ状態を推定する場合について説明しているが、これに限定されるものではなく、スリップ率S、減少速度dAcc、横加速度Ygの少なくとも2つに応じて推定する場合についても同様である。
その他の作用効果については前述した第5〜第7実施形態と同様である。
なお、上記の第1〜4実施形態と第5〜第8実施形態とを任意に組み合わせてもよい。
本発明の概略構成を示すブロック図である。 制動力制御装置の油圧回路図である。 旋回走行制御処理を示すフローチャートである。 ヨーレイトの算出手順を示すブロック図である。 ヨーレイト推定値の演算式である。 従来技術の課題を説明するタイムチャートである。 第1実施形態の作用効果を説明するタイムチャートである。 エンジントルク低減量ΔTの算出に用いる制御マップの変形例である。 第2実施形態においてエンジントルク低減量ΔTの算出に用いる制御マップである。 第3実施形態においてエンジントルク低減量ΔTの算出に用いる制御マップである。 第4実施形態おいてエンジントルク低減量ΔTの算出に用いるブロック図である。 第5実施形態において制動力増加量ΔFの算出に用いるブロック図である。 第6実施形態において制動力増加量ΔFの算出に用いる制御マップである。 第7実施形態において制動力増加量ΔFの算出に用いる制御マップである。 第8実施形態において制動力増加量ΔFの算出に用いるブロック図である。
符号の説明
1 車輪速センサ
2 操舵角センサ
3 ヨーレイトセンサ
4 アクセルセンサ
5 コントローラ
6 エンジン出力制御装置
7 制動力制御装置
10 マスターシリンダ
11FL〜11RR ホイールシリンダ
12A・12B 第1ゲートバルブ
13FL〜13RR インレットバルブ
14 アキュムレータ
15FL〜15RR アウトレットバルブ
16A・16B 第2ゲートバルブ
17 ポンプ
18 ダンパー室

Claims (7)

  1. 自車両の旋回状態を検出する旋回状態検出手段と、該旋回状態検出手段で検出した自車両の旋回状態に応じて自車両を減速させる走行制御手段と、を備えた車両用旋回走行制御装置において、
    タイヤのグリップ状態を推定するグリップ状態推定手段を備え、
    前記走行制御手段は、
    自車両を減速させる場合、初回だけ運転者のアクセル操作に応じて決まるドライバ要求エンジントルクから所定量を減じて第一の目標エンジントルクを算出し、以後は演算周期毎に、前記第一の目標エンジントルクの前回値から前記所定量を減じた値と前記ドライバ要求エンジントルクとのセレクトローによって最終的な第一の目標エンジントルクを算出する第一の目標エンジントルク算出手段と、
    前記グリップ状態推定手段で推定したタイヤグリップ状態が旋回性能の限界に近いほど、所定値から小さくなるエンジントルク低減量を算出するエンジントルク低減量算出手段と、
    自車両を減速させる場合、初回だけ前記ドライバ要求エンジントルクから前記エンジントルク低減量算出手段が算出したエンジントルク低減量を減じて第二の目標エンジントルクを算出し、以後は演算周期毎に、前記第二の目標エンジントルクの前回値から前記エンジントルク低減量算出手段が算出したエンジントルク低減量を減じて最終的な第二の目標エンジントルクを算出する第二の目標エンジントルク算出手段と、
    前記第一の目標エンジントルク算出手段が算出した第一の目標エンジントルクと、前記第二の目標エンジントルク算出手段が算出した第二の目標エンジントルクとのセレクトハイによって最終的な目標エンジントルクを算出する目標エンジントルク算出手段と、
    前記目標エンジントルク算出手段で算出した目標エンジントルクに応じて車両の駆動力を制御する制御手段と、を備えることにより、
    自車両を減速させる場合、運転者がアクセル戻し操作をするときに、コーナリングフォースの低下を抑制するために、前記グリップ状態推定手段で推定したタイヤのグリップ状態が旋回性能の限界に近いほど、自車両を減速させるときの減速度を制限することを特徴とする車両用旋回走行制御装置。
  2. 前記走行制御手段は、車両の駆動力を減少させることにより車両を減速させると共に、当該駆動力の減少速度を低くすることにより自車両を減速させるときの減速度を制限することを特徴とする請求項に記載の車両用旋回走行制御装置。
  3. 前記走行制御手段は、車両の制動力を増加させることにより車両を減速させると共に、当該制動力の増加速度を低くすることにより自車両を減速させるときの減速度を制限することを特徴とする請求項1又は2の何れか一項に記載の車両用旋回走行制御装置。
  4. 前記グリップ状態推定手段は、車輪のスリップ傾向が高いほど、タイヤのグリップ状態が旋回性能の限界に近いと推定することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の車両用旋回走行制御装置。
  5. 前記グリップ状態推定手段は、アクセル開度の減少速度が高いほど、タイヤのグリップ状態が旋回性能の限界に近いと推定することを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の車両用旋回走行制御装置。
  6. 前記グリップ状態推定手段は、車両の横加速度が高いほど、タイヤのグリップ状態が旋回性能の限界に近いと推定することを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の車両用旋回走行制御装置。
  7. 前記グリップ状態推定手段は、車輪のスリップ傾向、アクセル開度、及び車両の横加速度の少なくとも2つに応じて個別にタイヤのグリップ状態を推定すると共に、推定された少なくとも2つのグリップ状態のうち、最も旋回性能の限界に近いものを最終的なグリップ状態として選択することを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の車両用旋回走行制御装置。
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