JP4475554B2 - 沸騰水型原子炉用燃料集合体及び燃料集合体組 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高燃焼度化を目的とした沸騰水型原子炉用燃料集合体及び燃料集合体組に関する。
【0002】
【従来の技術】
沸騰水型原子炉における燃料集合体の設計分野においては、平均濃縮度を増加し、反応度を増大させることで平均取出燃焼度を増大させることのできる、より経済性の高い燃料集合体の開発が進められている。
【0003】
燃料集合体の平均濃縮度を高めた場合、運転中においては反応度ミスマッチの増大等により、最大線出力密度や最小限界出力比の熱的運転余裕が小さくなり、また、低温時においては燃料集合体の反応度の増大により原子炉停止余裕が小さくなるといった問題が生じる。
【0004】
こうした問題を解決するために、現在のところ9×9格子または10×10格子の燃料集合体がその候補となっており、これらは、9行9列または10行10列燃料棒配列に複数の燃料棒領域に大口径の水ロッドを配した構成となっている。
【0005】
図10に経済性の高い燃料集合体の断面形状の例を示す。図10において、a図は対称格子における9×9燃料集合体の例、b図は非対称格子における9×9燃料集合体の例、c図は10×10燃料集合体の例である。これらの燃料集合体は、先行する8×8格子の燃料集合体に比べて燃料棒本数は約20〜約50%多く、また、燃料棒の延べ表面積を大きくできることから、燃料棒1本当たりの熱負荷が低減し、最大線出力密度と最小限界出力比の運転余裕向上に寄与する。また、大口径の水ロッドは、低温時において、いわば、中性子吸収体の役目をするため停止余裕の向上に寄与する。
【0006】
現在のところ燃料集合体の平均濃縮度は4.0wt%程度であり、高経済性を目的にさらに濃縮度を高めた場合、9×9燃料集合体であっても十分な熱的運転余裕や停止余裕を確保できず、高濃縮度化を望めない場合もある。
【0007】
特に、平均濃縮度の増加は、ボイドが発生しない低温時において顕著な反応度上昇をもたらすため、停止余裕の確保は重要な課題となる。停止余裕の改善のためには、低温時における中性子束分布が大きくなる軸方向上部側に着目し、ここに位置する断面の反応度を低減させることが有効である。
【0008】
核設計により停止余裕を改善させる代表的な従来技術としては、燃料集合体上部側において、
1)ガドリニアなどの可燃性毒物を増強する方法、
2)濃縮度を低減させる方法
等がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの従来技術をむやみに適用することは、高濃縮度化を目的とした場合、以下のような新たな問題が発生する。
1)については、上部側を広範囲に亘ってガドリニアの濃度を高めると、サイクル末期において、毒物効果の残留をもたらし、出力運転時の反応度が低下し経済性が悪化してしまう。
2)については、上部側を広範囲に亘って低濃縮度化すると、燃料集合体の平均濃縮度を十分高めることができない。これは、現状のように、製造工程における臨界管理上の観点から濃縮度に5wt%以下の制限がある場合、特に問題となる。
【0010】
これら2つの問題は、停止余裕を確保せんとするがために、出力運転中における反応度の低下をもたらし、本来の目的である経済性向上を十分満足できないものとなりかねない。これは、高濃縮度化を進めれば進めるほど深刻な問題となる。
【0011】
本発明の目的は、燃料経済性や熱的運転余裕の低下を招くことなく、停止余裕の向上を図ることのできる高燃焼度化に好適な沸騰水型原子炉用燃料集合体を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載された発明に係る沸騰水型原子炉用燃料集合体は、燃料棒の格子配列が9×9以上であると共に、半径方向断面の中央位置付近に複数本の燃料棒領域と置換された太径水ロッドが配置された沸騰水型原子炉用燃料集合体において、
上端部ブランケット部を除く燃料発熱部において、燃料集合体断面の平均濃縮度、又は可燃性毒物入り燃料棒の可燃性毒物の濃度によって、上部側より領域1、領域2、領域3と順次区分したとき、領域2と領域3の境界は、燃料発熱部下端から有効発熱部全長の15/24以上の高さに位置し、
前記各3領域の横断面で見たとき、
・断面平均濃縮度e(wt%)は実質的に e1<e2≦e3 を満たし、
・領域1から領域3の全領域中で、濃度が最高である可燃性毒物を含む領域の総領域数Nは、 N2>N3≧N1 であり、
・領域1及び領域2の個々の領域における可燃性毒物入り領域数の総数は互いに等しく、かつ、前記領域1と領域2との断面で、可燃性毒物入り燃料棒の本数を増加させていないるものである。
【0013】
請求項2に記載された発明に係る沸騰水型原子炉用燃料集合体は、請求項1に記載された燃料集合体において、e2−e1≧0.1wt%であるものである。
【0014】
請求項3に記載された発明に係る沸騰水型原子炉用燃料集合体は、請求項1に記載された燃料集合体において、N1=0であるものである。
【0015】
請求項4に記載された発明に係る沸騰水型原子炉用燃料集合体は、請求項1に記載された燃料集合体において、N3=0であるものである。
【0016】
請求項5に記載された発明に係る沸騰水型原子炉用燃料集合体は、請求項1〜4の何れかに記載された燃料集合体において、領域1よりも領域2の濃縮度が高い燃料棒が低い燃料棒の少なくとも一部が、最外周に配置されてなるものである。
【0017】
請求項6に記載された発明に係る沸騰水型原子炉用燃料集合体は、請求項1〜4の何れかに記載された燃料集合体において、領域1から領域3の中で、領域2における可燃性毒物濃度が最も高い可燃性毒物入り燃料棒の少なくとも一部が、最外周より一層内側の格子列に配置されてなるものである。
【0018】
請求項7に記載された発明に係る沸騰水型原子炉用燃料集合体は、請求項1〜6の何れかに記載された燃料集合体において、前記水ロッドは、燃料棒7本分以上の領域を占めるものである。
【0019】
請求項8に記載された発明に係る沸騰水型原子炉用燃料集合体は、請求項7に記載された燃料集合体において、前記水ロッドは、燃料棒9本分の領域を占める角管形状であるものである。
【0020】
請求項9に記載された発明に係る沸騰水型原子炉用燃料集合体組は、請求項1〜8の何れかに記載の燃料集合体であって、
燃料集合体構造及び集合体平均濃縮度が実質的に同じであり、尚且つ、可燃性毒物を有する燃料棒の集合体当たりの総本数が互いに異なる2種類の燃料集合体からなり、しかも、前記2種類の燃料集合体は取替燃料として同時に同じ炉心に装荷されるものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明においては、燃料棒の格子配列が9×9以上であると共に、半径方向断面の中央位置付近に複数本の燃料棒領域を占める水ロッドが配置された沸騰水型原子炉用燃料集合体において、
有効発熱部下端より略2/3より上方の領域のうち、上端の天然ウラン等のブランケット部を除く領域は、集合体断面における平均濃縮度、可燃性毒物入り燃料棒の本数または可燃性毒物の濃度によって、上部側より領域1及び領域2の二領域に区分され、
さらに、領域2の直下に位置し、平均濃縮度、可燃性毒物入り燃料棒の本数または可燃性毒物の濃度が異なるまでの領域を領域3とするとき、
前記各3領域の横断面で見たとき、
・断面平均濃縮度e(wt%)は実質的にe1<e2≦e3を満たし、
・領域1から領域3の全領域中で、濃度が最高である可燃性毒物を含む領域の総領域数Nは、
N2>N3≧N1であり、
・領域1及び領域2の個々の領域における可燃性毒物入り領域数の総数は互いに等しく、かつ、前記総数は燃料集合体中の上下端を除く全ての領域毎の断面における可燃性毒物入り領域数の総数の最小値であるものである。このため、燃料経済性や熱的運転余裕の低下を招くことなく、停止余裕の向上を図ることのできる高燃焼度化に好適な沸騰水型原子炉用燃料集合体を得ることができる。
【0022】
より詳しく説明するならば、図1は低温状態における原子炉内の燃料集合体の軸方向熱中性子束分布を示す説明図である。図1において、実線aは燃焼初期から中期、また、実線bは燃焼中期より末期にかけて平均化した制御棒引抜状態における熱中性子束分布の典型例であり、それぞれ規格化して、相対値で示してある。ここでいう、燃焼初期とは未燃焼の時点、中期とはガドリニア等の可燃性毒物の作用が消滅し、反応度がおよそ最大となる時点(典型的には10〜20GWd/t程度の範囲)、また、燃焼末期とはサイクル末期の炉心平均燃焼度時点、すなわち、無限増倍率が 1.0近傍となるあたりに相当する時点とした。
【0023】
図1より判る通り、低温時における熱中性子束は有効発熱部下端より約1/3より上方の領域で大きくなっている。また、燃焼が進んだ燃料集合体の方(実線b)が、より上部ピークとなっているのが判る。
【0024】
こうした燃焼の違いによる特性差は、燃焼中、すなわち、出力運転中における核分裂性物質の消費と生成のバランスが軸方向位置で異なることによる。つまり、出力運転中に発生するボイド率は、下部より上部で大きいため、一般に、運転中の出力分布は下部歪みとなっている。このため、燃料集合体中のウラン235 で代表される核分裂性物質は、上部よりも下部側の方が消費が早い。また、燃焼に伴うプルトニウム等の核分裂性物質の生成は、ボイド率が高く、中性子スペクトルの硬い上部側で促進される。この結果、燃焼が進めば進むほど、核分裂性物質の相対量は下部よりも上部で多くなる。低温時においては、ボイドが発生しないため軸方向の核分裂性物質の相対差は、反応度差、すなわち中性子束分布に直接影響を及ぼす。この結果、燃焼の進んだ燃料集合体では、低温時の熱中性子束分布はより上部に歪む。
【0025】
以上の特徴を考慮すると、燃焼初期から中期に対しては図1の実線a、燃焼中期以降に対しては実線bがそれぞれ最大となる軸方向位置に着目して反応度を低減させることができれば、最も有効に停止余裕を改善できることが判る。
【0026】
図2は本発明の燃料集合体における無限増倍率の燃焼変化を示す説明図である。図は、後述する第2の実施例である図7に示す燃料集合体の領域1から領域3に相当する集合体断面に対し、制御棒引き抜き状態での低温時における計算結果を領域1から領域3について示したものである。
【0027】
尚、前述の通り、領域1は有効発熱部下端より略2/3より上方の領域のうち、上端の天然ウラン等のブランケット部を除く領域のうち、集合体断面における平均濃縮度、可燃性毒物入り燃料棒の可燃性毒物の濃度によって分けられる最上部領域である。領域2は領域1の直下で有効発熱部下端より略2/3より上方の領域である。領域3は領域2の直下に位置し、平均濃縮度、可燃性毒物入り燃料棒の可燃性毒物の濃度が異なるまでの領域である。
【0028】
また、図3は図2を基に領域3を基準として、領域1及び領域2の反応度の低減量の燃焼変化を示したものである。図3より判る通り、燃焼初期から中期にかけては、主に領域2の反応度が低減し、また、燃焼中期以降は、領域1の反応度が低減する。図1に示した通り、領域2は燃焼初期から中期にかけて、また、領域1は燃焼中期から末期にかけて熱中性子束が大きくなりやすい軸方向位置の領域に対応していることから、各領域の反応度低下の燃焼度依存性は、停止余裕を最も有効に低減させることができる。以下、第1領域と第2領域の特徴と本発明との関係から導き出される作用効果について詳細に説明する。
【0029】
本発明では、領域1から3の全領域中で、濃度が最高である可燃性毒物を含む領域の総領域数を、 N2>N3≧N1 としている。まず、N2>N3とすることにより、高濃度の可燃性毒物がより多く添加された第2領域では、毒物効果は燃焼初期から中期にかけて高められている。この領域は前述のとおり、もともと燃焼初期から中期にかけて低温時の熱中性子束が高まる領域である。このため、低燃焼度の燃料集合体に対して、低温時の反応度低下が有効に図られ、停止余裕向上に寄与する。また、本発明ではN3≧N1としているが、特に、N3>N1とした場合には、出力運転時においてサイクル末期での毒作用の残留が低減し易い領域1における反応度ロスが少なくなり、経済性向上に寄与する。
【0030】
また、本発明では、断面平均濃縮度は実質的に e1<e2≦e3 としている。まず、e1<e2とすることにより濃縮度が低減した第1領域では、図3に示すとおり燃焼中期から末期にかけて低温時の反応度は低下する。この領域は前述のとおり、燃焼中期から末期にかけて低温時の熱中性子束が高まる領域である。このため、高燃焼度の燃料集合体に対して、低温時の反応度低下が有効に図られ、停止余裕向上に寄与する。この際、図3に示す特性、すなわちe2−e1=0.16wt%の濃縮度差で約1%△kの反応度低下が望め停止余裕が改善できることと、停止余裕の設計目標が1%△k以上であることとを勘案すると、e2−e1≧ 0.1wt%であれば十分な停止余裕の増大に寄与する。
【0031】
また、本発明では、e2≦e3としているが、e2=e3、すなわち領域2の平均濃縮度を低減することなく領域3に同じとした場合、燃料集合体平均濃縮度の増加ができる分、高燃焼度化ができ経済性向上に寄与する。なお、本発明においては、燃料集合体の高濃縮度化が阻害されない程度に領域2の平均濃縮度を領域3よりも低くすることもできる。
【0032】
さらに、本発明では、領域1及び領域2の個々の領域における可燃性毒物入り燃料棒位置の総数は互いに等しく、かつ、前記総数は燃料集合体中の上下端を除く領域毎の断面における可燃性毒物入り領域数の総数の最小値とする。つまり、領域1及び2の断面で、ガドリニア入り燃料棒の本数を増加させていない。このため、本発明によって、出力運転中に燃料集合体の出力分布が過度に下部側に歪むことはなく、最大線出力密度が大きくなるサイクル初期においても最大線出力密度の運転余裕を損なう等の不具合が生じることはない。
【0033】
ところで、最小限界出力比を決定づける沸騰遷移は、燃料集合体の上部側で起こることが知られている。高燃焼度化に伴う最小限界出力比の低減に対しては、領域1を低濃縮度化する際に、熱的に厳しい、すなわち沸騰遷移を起こしやすい半径方向位置の燃料棒を優先的に低濃縮度化すれば、これを回避できる。さらに、領域2に対しては、高濃度のガドリニア入り燃料棒を熱的に厳しい燃料棒に近接して配することで、熱的に厳しい燃料棒の出力ピーキングの抑制を図ることもできる。
【0034】
例えば、一般に平均濃縮度4.0wt%以上の高濃縮度燃料集合体において、熱的に厳しい燃料棒位置は最外周である。この場合、領域1では、最外周燃料棒を低濃縮度とし、領域2では、外周より第2層目のガドリニア入り燃料棒に対しガドリニア濃度を高めれば良い。
【0035】
尚、本発明は、低温時に反応度が高まる上部側の領域に対して適用しているため、これより下部側においては、いかなる核設計を施した場合であっても、本発明の効果が大きく損なわれることはない。
【0036】
更に、本発明では、燃料集合体構造及び集合体平均濃縮度は実質的に同じであり、可燃性毒物を有する燃料棒の集合体当たりの総本数が互いに異なる2種類の燃料集合体を取替燃料として同時に同じ炉心に装荷されることができる。以下、本発明による2種類の燃料集合体を燃料集合体組と呼ぶ。この燃料集合体組は、以下の作用がある。
【0037】
先に示した図3において燃焼初期における反応度の低減効果を見たとき、領域2での反応度低減効果は十分ではなく、また、領域1での反応度低下は大きいものの図1に示した熱中性子束分布で分かるとおり停止余裕改善への寄与を最大化することができない。この結果、特に、サイクル初期においては、停止余裕の十分な改善効果が期待できない場合も考えられる。
【0038】
一般に、炉心は最外周などの一部の燃料集合体を除いては、燃焼サイクル数、すなわち、燃焼度の異なる燃料集合体を、制御棒の周りに分散装荷して構成する。サイクル初期において、停止余裕が十分でない制御棒の周りには、本発明の燃料集合体組のうちガドリニア入り燃料棒本数の多い方を配置することで、サイクル初期における停止余裕を回復させることも可能である。
【0039】
【実施例】
(実施例1)
第1の実施例を図4及び図5に示す。本実施例は、図10(a)の燃料集合体構造に適用したものであり、図4は集合体当たりのガドリニア入り燃料棒の本数が少ない燃料集合体(以下、低Gd燃料集合体という。)、また、図5は本数が多い燃料集合体(以下、高Gd燃料集合体という。)であり、ともに集合体平均濃縮度は約4.06wt%である。
【0040】
尚、以下の図についても同様であるが、図4における平均濃縮度の記載は、本発明の構成をより分かり易くするため、ガドリニアの添加による燃料ペレット密度の変化を考慮しない単純平均での記載としている。各領域の平均濃縮度は、e1<e2≦e3を満足し、また、e2−e1=約0.17wt%であり、 0.1wt%以上の差を設けた。
【0041】
また、領域1から領域3の全領域中で、最高濃度のガドリニアは燃料タイプG1の領域2に位置し、その濃度は 5.5wt%である。この最高濃度のガドリニアを含む領域の相領域数Nは、N2=3,N3=N1=0であり、N2>N3≧N1の関係となっている。
【0042】
また、領域1及び領域2の各々の領域におけるガドリニア入り領域数の総数は、共に13本(低Gd燃料集合体のとき)、または、共に16本(高Gd燃料集合体のとき)であり、これは、燃料集合体中の上下端を除く全ての領域毎の断面における可燃性毒物入り領域数の総数に等しい。
【0043】
これらの燃料集合体を用いて平衡炉心設計を実施した結果について以下に示す。炉心設計の際、これら2種類の取替燃料集合体を同時に炉内に装荷し、サイクル初期において停止余裕が比較的小さい制御棒位置に対しては、高Gd燃料集合体を優先的に配置した。図6に平衡炉心特性を示す。図6(a)は最大線出力密度、図6(b)は最小限界出力比、図6(c)は停止余裕の燃焼変化である。本発明の燃料集合体は、最大線出力密度及び最小限界出力比といった熱的運転余裕を確保しつつ、停止余裕の目標値1%Δkを十分満足した炉心構成とすることができる。
【0044】
停止余裕の観点からは、従来技術を用いて、例えば、タイプ2の燃料棒の濃縮度分割位置を下げて、領域2の濃縮度を低減させるか、タイプG1の領域1において5.5wt%(5.5G)のガドリニアを用いても、本発明と同等な停止余裕とすることができる。しかしながら、これらの従来技術の場合、平均濃縮度の低下(集合体平均にして約0.03wt%の低下)や、サイクル末期におけるガドリニアの毒物効果の残留による反応度ロスのため、何れの場合も、平均取出燃焼度は約0.5GWd/t低下し、これは、燃料経済性を約1%低下させることに相当してしまう。
【0045】
本実施例の燃料集合体は、13ヶ月連続運転条件で平均取出燃焼度を約50GWd/tまで高めることができる。
【0046】
(実施例2)
図7は18ヶ月連続運転条件で平均取出燃焼度約50GWd/tを目指したものであり、燃料集合体の平均濃縮度は、約4.31wt%まで高めている。本実施例では、e1<e2を達成するための燃料棒を最外周に位置させ、また、N2>N3を達成するための燃料棒を最外周より一層内側の格子列に位置させることで最小限界出力の向上が図られている。
【0047】
(実施例3)
図8は、非対称格子炉心における実施例である。本燃料集合体は、18ヶ月連続運転条件で平均取出燃焼度約50GWd/tを目指したものであり、燃料集合体の平均濃縮度は、約4.35wt%まで高めている。本実施例では、タイプ4の限界出力特性のさらなる向上を図るため、タイプ4の燃料棒での低濃縮度部分を広くとっている。この結果、e2<e3となっているが、その差は高々0.02wt%程度であり、集合体平均濃縮度への影響は、僅か 0.003wt%であるため燃料経済性の低下はほとんどない。
【0048】
(実施例4)
図9は図10(c)の燃料集合体構造に適用したものである。本実施例では、燃料棒数の増加に伴う摩擦圧損の低減を主な目的として部分長燃料棒を用いている。この際、一部の部分長燃料棒は、停止余裕の改善を目的にウォータチャンネルに隣接して配置しているが、本発明は、部分長燃料棒がいかなる配置であっても停止余裕の向上を図ることができる。
【0049】
以上のように、本発明の燃料集合体または燃料集合体組は、燃料集合体の平均濃縮度を高めた場合であっても、最大線出力密度や最小限界出力比といった熱的運転余裕の低下を回避し、停止余裕の向上を図りつつ高燃焼度化を達成でき、原子力産業の安全性の向上と経済性の向上に多大に貢献する。
【0050】
【発明の効果】
本発明は以上説明した通り、燃料経済性や熱的運転余裕の低下を招くことなく、停止余裕の向上を図ることのできる高燃焼度化に好適な沸騰水型原子炉用燃料集合体を得ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】低温時における熱中性子束の軸方向分布を示す説明図である。
【図2】本発明の燃料集合体断面における冷温時の無限増倍率の燃焼度依存性を示す説明図である。
【図3】本発明の燃料集合体断面における冷温時の反応度の低減効果を示す説明図である。
【図4】本発明における第1実施例の低Gd燃料集合体の構成を示す説明図である。
【図5】本発明における第1実施例の高Gd燃料集合体の構成を示す説明図である。
【図6】本発明における第1実施例の運転特性を示す説明図である。
【図7】本発明における第2実施例の燃料集合体の構成を示す説明図である。
【図8】本発明における第3実施例の燃料集合体の構成を示す説明図である。
【図9】本発明における第4実施例の燃料集合体の構成を示す説明図である。
【図10】経済性の高い燃料集合体の断面構造を示す説明図である。
Claims (9)
- 燃料棒の格子配列が9×9以上であると共に、半径方向断面の中央位置付近に複数本の燃料棒領域と置換された太径水ロッドが配置された沸騰水型原子炉用燃料集合体において、
上端部ブランケット部を除く燃料発熱部において、燃料集合体断面の平均濃縮度、又は可燃性毒物入り燃料棒の可燃性毒物の濃度によって、上部側より領域1、領域2、領域3と順次区分したとき、領域2と領域3の境界は、燃料発熱部下端から有効発熱部全長の15/24以上の高さに位置し、
前記各3領域の横断面で見たとき、
・断面平均濃縮度e(wt%)は実質的に e1<e2≦e3 を満たし、
・領域1から領域3の全領域中で、濃度が最高である可燃性毒物を含む領域の総領域数Nは、 N2>N3≧N1 であり、
・領域1及び領域2の個々の領域における可燃性毒物入り領域数の総数は互いに等しく、かつ、前記領域1と領域2との断面で、可燃性毒物入り燃料棒の本数を増加させていない、
ことを特徴とする燃料集合体。 - e2−e1≧0.1wt%である請求項1記載の燃料集合体。
- N1=0である請求項1記載の燃料集合体。
- N3=0である請求項1記載の燃料集合体。
- 領域1よりも領域2の濃縮度が高い燃料棒の少なくとも一部が、最外周に配置されてなることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の燃料集合体。
- 領域1から領域3の中で、領域2における可燃性毒物濃度が最も高い可燃性毒物入り燃料棒の少なくとも一部が、最外周より一層内側の格子列に配置されてなることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の燃料集合体。
- 前記水ロッドは、燃料棒7本分以上の領域を占めることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の燃料集合体。
- 前記水ロッドは、燃料棒9本分の領域を占める角管形状であることを特徴とする請求項7記載の燃料集合体。
- 請求項1〜8の何れかに記載の燃料集合体であって、
燃料集合体構造及び集合体平均濃縮度が実質的に同じであり、尚且つ、可燃性毒物を有する燃料棒の集合体当たりの総本数が互いに異なる2種類の燃料集合体からなり、しかも、前記2種類の燃料集合体は取替燃料として同時に同じ炉心に装荷されることを特徴とする燃料集合体組。
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