JP3846810B2 - 沸騰水型原子炉用燃料集合体 - Google Patents

沸騰水型原子炉用燃料集合体 Download PDF

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    • Y02E30/30Nuclear fission reactors

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  • Monitoring And Testing Of Nuclear Reactors (AREA)

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、沸騰水型原子炉用燃料集合体に係り、特に、高燃焼度化に適した燃料集合体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、原子力発電の経済性向上のために、燃料の高燃焼度化が進められている。このような高燃焼度用燃料集合体の一例を図9に示す。燃料集合体1は、長尺燃料棒2,短尺燃料棒3および太径ウォータロッド6をスペーサ8で正方格子状に束ねて、これを上部タイプレート4および下部タイプレート5に固定して燃料棒束とし、この燃料棒束をチャンネルボックス7で包囲して構成されている。さらに、外部スプリング9が長尺燃料棒2と上部タイプレート4との間に介在されている。
【0003】
このように構成された高燃焼度用燃料集合体は例えば特開平2-296192号公報に開示されている従来の低燃焼度用燃料集合体と比較して以下のような特徴を有している。すなわち、高燃焼度化を達成するためには燃料の高濃縮度化が必要であるが、これはボイド分布に起因する軸方向出力ピーキングをより一層増大させる。また、炉内滞在期間が異なることにより多種の燃料が炉心に混在することになるため、径方向出力ピーキングも増大する。
【0004】
これらの結果、最大線出力密度や最小限界出力比などの熱的余裕が減少する。これを改善するために、図9の燃料集合体1では、燃料棒配列を従来燃料の8行8列から9行9列にして燃料棒本数を増加している。
【0005】
ところが、燃料棒本数が増加すると圧損が増大し、これによって原子炉の安定性が損なわれることになる。そこで図9の燃料集合体1では、一部の燃料棒の長さを長尺燃料棒2よりも短くした短尺燃料棒3を使用して、冷却材が二相流であるために圧損が大きい燃料上部の流路を拡大して、燃料棒本数の増加による圧損の増大を打ち消している。短尺燃料棒3の長さは長尺燃料棒2の約 2/3である。
【0006】
また、出力が過大になった場合、燃料棒から冷却材への熱伝達が効率のよい核沸騰から効率の悪い膜沸騰へ沸騰遷移するときの燃料集合体の出力が限界出力である。この沸騰遷移は燃料棒上部で発生する可能性が高いので、短尺燃料棒3は限界出力を向上させることができる。この目的のために、短尺燃料棒3の位置は燃料棒の冷却効率の悪い場所を選定しており、これにより最小限界出力比を増大させている。
【0007】
短尺燃料棒3はさらに、炉停止余裕を向上させる作用がある。原子炉停止時においては、炉心上端から全長の 1/4ないし 1/3だけ下の部位において中性子束がピークを形成する。原子炉停止時には冷却材は、温度が低く密度が高いため中性子吸収材として作用するので、軸方向上部において燃料棒本数を減らし冷却材量を増すことによって、炉停止余裕を向上させることができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このように長尺燃料棒2と短尺燃料棒3とから構成された燃料集合体1では、短尺燃料棒3が存在しない軸方向上部領域(図9(b)断面)と、短尺燃料棒3が存在する軸方向下部領域(図9(c)断面)とにおいて燃料棒の本数が異なるため、燃料集合体の上下で運転時の反応度特性が大きく異なる。
【0009】
すなわち、減速材対燃料比が大きい上部の方が核分裂によって発生した高エネルギー中性子が減速されやすいので、上部の無限増倍率が下部よりも大きくなる。沸騰水型原子炉ではもともと、出力運転中は軸方向のボイド分布のために下部に出力ピークを生じやすい。
【0010】
短尺燃料棒3を含む燃料集合体1を装荷した炉心では、燃料棒本数の相違による無限増倍率の上下差がこれを緩和し、燃焼の長期にわたって軸方向出力分布を平坦化するという好ましい効果を有する。
【0011】
ところが、運転サイクル初期においては、燃料棒本数の上下差は、逆に下部に生じる出力ピーキングを増大させるという問題がある。一般に沸騰水型原子炉に用いられる燃料集合体では、反応度制御のために一部の燃料棒にガドリニアなどの可燃性毒物が混入される。
【0012】
これにより燃焼初期の無限増倍率を低下させて、炉心の余剰反応度の燃焼変化を平坦にし、原子炉の運転性および安全性を高めている。ガドリニアによる燃焼初期の反応度制御量はガドリニア入り燃料棒本数にほぼ比例し、反応度制御が持続する期間はガドリニア濃度にほぼ比例する。
【0013】
しかしながら、図9に示す短尺燃料棒3を含む燃料集合体1では、各領域のガドリニア入り燃料棒本数が等しい場合であっても、燃焼初期における反応度制御量は、断面あたりの燃料棒本数が少なく減速材量が多い上部において下部または中央部よりも大きくなる。
【0014】
その結果、特に原子炉の運転サイクル初期において、上部の無限増倍率が下部または中央部よりも小さくなり、軸方向のボイド分布による効果と相まって、炉心下部の出力ピーキングが増大することになる。
【0015】
一例として、平均濃縮度が約4%でガドリニアを全く含まない場合の、図9の燃料集合体1のボイド率40%時の無限増倍率を図10に示す。曲線9が下部、曲線10が上部の無限増倍率である。図10中、Iで示した燃焼期間は1サイクル目の燃料集合体、IIで示した燃焼期間は2サイクル目の燃料集合体にほぼ相当し、以下では、Iを燃焼初期,燃焼中期,燃焼後期の3つに分けることにする。
【0016】
また、1サイクル目の燃料集合体の燃焼初期,中期,後期の3つの燃焼期間は、それぞれ、この燃料が装荷された平衡炉心における、運転サイクル初期,中期,後期の運転期間に対応している。
【0017】
なお、炉心におけるボイド率は、下部では40%よりも小さく、上部では40%よりも大きいので、上下各々のボイド率における無限増倍率を比較する方がより厳密である。しかしながら、ここでは、上下の無限増倍率の相対的な大小関係が重要であるから、同じボイド率で比較することにする。
【0018】
図10に示されているように無限増倍率は上部の方が下部よりも大きく、その差は燃焼初期で最大であり、燃焼とともに減少していく。一般に沸騰水型原子炉の軸方向出力分布は、運転サイクル初期で最も下方ピークであり、燃焼に伴い下部の燃焼が上部よりも進行するため、運転サイクル末期に向かって徐々に上方にシフトしている。図10に示された無限増倍率の上下差は、上述した出力分布の燃焼変化を是正し、運転サイクルを通じて平坦な軸方向出力分布を与えるのに好適である。
【0019】
これに対して、14本の長尺燃料棒2にその全長にわたって、可燃性毒物である濃度 3.5wt%(以下、%と略す)のガドリニアを添加した場合の無限増倍率の燃焼変化を図10に示す。ここで、曲線11が下部、曲線12が上部の無限増倍率である。上部の方が下部よりもガドリニアによる反応度制御能力が大きいため、燃焼初期で無限増倍率は上下逆転しており、運転サイクル初期の下方ピークを増大させることになる。
【0020】
このような燃料集合体を装荷した炉心の特性として、66本の長尺燃料棒2と8本の短尺燃料棒3で構成された第1の燃料集合体を装荷した炉心と、74本の長尺燃料棒2のみで構成された第2の燃料集合体を装荷した炉心について、図11(a)に軸方向出力ピーキングを、図11(b)に最大線出力密度を示す。
【0021】
いずれの燃料集合体においても、全ての長尺燃料棒2の上下端に天然ウラン領域が設けられており、14本の長尺燃料棒2には天然ウラン領域を除く内部全域に濃度 3.5%のガドリニアが添加されている。
【0022】
図11(a)および(b)において、第1および第2の燃料集合体の軸方向出力ピーキングが曲線13および曲線14で、最大線出力密度が曲線15および曲線16で示されている。
【0023】
第1の燃料集合体を装荷した炉心では、第2の燃料集合体を装荷した炉心に比べて、運転サイクル初期から中期にかけて軸方向出力分布が下方ピークとなるため軸方向出力ピーキングが増大しており、最大線出力密度が運転サイクル初期で最大0.6KW/ft増大している。
【0024】
一方、運転サイクル後期では、第1および第2の燃料集合体ともに軸方向出力分布が下方ピークとなるため、最大線出力密度が運転サイクル初期に次いで高くなっている。なお、運転サイクル中期から後期にかけては軸方向出力分布の相違は小さく、最大線出力密度は同程度となっている。
【0025】
ところで、以上述べてきた軸方向出力分布の特徴は経済性を向上させる作用があり、例えば特開平2-296192号公報に述べられている。すなわち、運転サイクル初期から中期にかけて下方ピークの出力分布で運転されることにより炉心の平均ボイド率が高まる。
【0026】
特に炉心上部において、中性子スペルトルが硬化する結果、プルトニウムの生成が促進され、運転サイクル末期では出力分布が上方ピークとなり上部に蓄積されたプルトニウムが効率的に燃焼される。このような作用はスペクトルシフト効果と呼ばれている。
【0027】
図9に示した燃料集合体1における図10の無限増倍率特性において、燃料棒本数の相違に起因する無限増倍率の上下差は、運転サイクル初期の下方ピークを是正し出力分布を平坦化するためスペクトルシフト効果を減少させる。一方、燃焼初期におけるガドリニアの反応度制御量の相違に起因する無限増倍率の上下差は、下方ピークをより一層強調するためスペクトルシフト効果を増大させる作用がある。
【0028】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、短尺燃料棒を有する燃料集合体において、運転サイクル初期および運転サイクル後期における最大線出力密度の増大を同時に抑制し、十分な熱的余裕を有する高燃焼度用燃料集合体を提供することにある。
【0029】
また、本発明は単に軸方向出力分布を平坦化するだけではスペクトルシフト効果が減少してしまうので、図11(b)に見られるように最大線出力密度が比較的低くなる運転サイクル中期においては、燃料棒本数およびガドリニアの反応度制御量の差に起因する無限増倍率特性を活用しスペルトルシフト効果を十分に発揮した経済性の高い高燃焼度用燃料集合体を提供することも目的としている。
【0030】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、複数個の燃料ペレットを被覆管内に充填し両端部を密封してなる複数本の燃料棒を格子に束ね、この燃料棒束をチャンネルボックスで包囲して構成された燃料集合体において、前記複数本の燃料棒は第1群の長尺燃料棒と、この第1群の長尺燃料棒よりも有効部分が短い第2群の短尺燃料棒とからなり、前記第2群の燃料棒の有効部分の上端より上の領域を上部とし、前記第2群の燃料棒の有効部分を中央部と下部に2分し、軸方向を上下端のブランケット領域を除いて上中下の3領域に分けた場合、少なくとも下部領域に可燃性毒物を含有する燃料棒の本数をx、少なくとも中央部領域に可燃性毒物を含有する燃料棒の本数をy、少なくとも上部領域に可燃性毒物を含有する燃料棒の本数をzとしたとき、x>y>zの関係が成立し、かつ可燃性毒物濃度は少なくとも2種類設定されてなり、下部領域の可燃性毒物濃度のみが最低濃度に設定される燃料棒の本数をvとしたとき、vは一本より多くかつ(x−v)<yの関係が成立するように設定されてなることを特徴とする。
【0031】
請求項2に係る発明は、複数個の燃料ペレットを被覆管内に充填し両端部を密封してなる複数本の燃料棒を格子に束ね、この燃料棒束をチャンネルボックスで包囲して構成された燃料集合体において、前記複数本の燃料棒は第1群の長尺燃料棒と、この第1群の長尺燃料棒よりも有効部分が短い第2群の短尺燃料棒とからなり、前記第2群の燃料棒の有効部分の上端より上の領域を上部とし、前記第2群の燃料棒の有効部分を中央部と下部に2分し、軸方向を上下端のブランケット領域を除いて上中下の3領域に分けた場合、少なくとも下部領域に可燃性毒物を含有する燃料棒の本数をx、少なくとも中央部領域に可燃性毒物を含有する燃料棒の本数をy、少なくとも上部領域に可燃性毒物を含有する燃料棒の本数をzとしたとき、x>zかつy>zの関係が成立し、かつ同一ボイド率における未燃焼時の可燃性毒物の全反応度価値が中央部領域より下部領域で高く、さらに、前記チャンネルボックス内の最外周位置に配置された燃料棒のうち下部領域のみに可燃性毒物を含有する燃料棒の本数をwとしたとき、wは一本より多くかつ(x−w)<yの関係が成立するように設定してなることを特徴とする。
【0032】
請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載の沸騰水型原子炉用燃料集合体において、前記中央部領域より下部領域で可燃性毒物濃度を高く設定する燃料棒を、1本以上有することを特徴とする。
【0033】
【作用】
以上のように構成された燃料集合体は、運転サイクルを通じて以下の作用がある。運転サイクル初期では、可燃性毒物入り燃料棒の本数が下部領域>中央部領域>上部領域の順に多いか、または、可燃性毒物入り燃料棒の本数が上部領域で最小でかつ未燃焼時の可燃性毒物の全反応度価値が中央部領域より下部領域で高く、軸方向平均濃縮度が一様である場合は、燃焼初期での各領域の同一ボイド率における無限増倍率が、下部領域<中央部領域<上部領域の順で大きくなる。
【0034】
したがって、運転サイクル初期においては、短尺燃料棒上端を境界としたガドリニアの反応度制御量の上下差と軸方向ボイド分布による各領域の無限増倍率の差に起因する軸方向出力分布の下方ピークを是正できる。その結果、図11(b)に見られるようは運転サイクル初期の最大線出力密度を低減でき、熱的余裕を十分確保することができる。
【0035】
また、運転サイクル中期では、最低濃度の可燃性毒物入り燃料棒、または、可燃性毒物の反応度価値が高く燃焼の進行が速い燃料集合体最外周位置の可燃性毒物入り燃料棒の可燃性毒物が焼失するので、下部領域の同一ボイド率履歴における無限増倍率が中央部領域の無限増倍率と同等かまたはより大きくなる。
【0036】
したがって、軸方向出力分布は下方ピークとなるので、スペクトルシフト効果の実現により経済性を高めることができるとともに、次の運転サイクル初期の下方ピークを小さくすることができる。
【0037】
すなわち、下方ピークで燃焼が進むと無限増倍率は次第に上部の方が下部よりも大きくなるので、運転サイクル初期においても、新燃料以外の燃料集合体では軸方向出力分布を平坦化する性質を有している。この効果は下方ピークの燃焼をより長く経験しているほど有効である。
【0038】
なお、運転サイクル中期においては、図11(a)の曲線17に示したように炉心の径方向ピーキングが小さくなるので、軸方向出力分布の下方ピークを強調しても、最大線出力密度に過度な増加を招くことはない。
【0039】
さらに、中央部領域より下部領域で可燃性毒物濃度が高い可燃性毒物入り燃料棒を含有させれば、運転サイクル後期において、下部領域の可燃性毒物が中央部領域に比べ多く燃え残っているため、下部領域の同一ボイド率履歴における無限増倍率が中央部領域の無限増倍率より小さくなる。したがって、運転サイクル後期の軸方向出力分布の下方ピークを抑制でき、最大線出力密度を低減することができる。
【0040】
以上の作用は、軸方向を3領域に分け各領域の可燃性毒物入り燃料棒の本数,濃度を調整したことにより可能となる。仮に、短尺燃料棒の有効部分の上端で軸方向を2分した軸方向上下2領域燃料では、運転サイクル初期の下方ピークは抑制できるが、運転中期のスペクトルシフト効果の実現と運転サイクル後期の下方ピークの抑制を同時に達成することはできない。
【0041】
すなわち、軸方向上下2領域燃料において、運転中期のスペクトルシフト効果を実現するためには、燃焼中期の無限増倍率の上下差を小さくする必要があるが、これは燃焼後期における無限増倍率の上下差も小さくすることになり、運転サイクル後期の下方ピークを抑制できない。
【0042】
また、逆に、運転サイクル後期の下方ピークを抑制するには、燃焼後期における無限増倍率の上下差を大きくする必要があるが、これは燃焼中期の無限増倍率の上下差を増加させ、運転中期のスペクトルシフト効果を低減させる。
【0043】
なお、本発明によれば、軸方向に一様の濃縮度の設計を採用しても運転サイクルを通じて最大線出力密度を低減できる。したがって、濃縮度の上限(燃料製造時の臨界管理の観点からは現在は 5.0%となっている)があり、かつ、取出燃焼度を可能なかぎり高めたい場合は、軸方向出力分布の平坦化のため軸方向濃縮度分布をつける従来技術に比べ、本発明の方が燃料集合体全体の平均濃縮度を高めることができるので有利である。
【0044】
【実施例】
本発明の第1の実施例である高燃焼度用燃料集合体を図1により説明する。本実施例は図9に示した燃料集合体を適用したもので、チャンネルボックス7内の燃料棒の配列は9行9列の正方格子配列であり、燃料棒束は番号4を除いた番号1から7で示す66本の長尺燃料棒2と、番号4で示す8本の短尺燃料棒3および2本の太径ウォータロッド6で構成されている。燃料ペレットが充填されている有効部分の長さは、長尺燃料棒2では約 370cm、短尺燃料棒3では約 220cmである。
【0045】
長尺燃料棒2の有効部分には、上端約30cmおよび下端約15cmの部分に天然ウランペレットが充填されているが、内部の約 325cmの部分の濃縮度は軸方向に一様であり、各燃料棒の内部に充填されている燃料ペレットの濃縮度はa>b>c>dの順に高い。
【0046】
番号4の短尺燃料棒3の濃縮度は集合体断面平均濃縮度に等しく 4.1%であり、従って上下端天然ウラン部を除いて集合体断面平均濃縮度は軸方向に一様である。軸方向一様濃縮度の燃料は製造工程を簡略化させるメリットがある。なお、上下端天然ウランブランケット部を含めた平均濃縮度は約 3.7%である。
【0047】
番号5の長尺燃料棒には下部領域に濃度 4.5%のガドリニアが、中央部および上部領域に濃度 3.5%のガドリニアが含有されている。また、番号6の長尺燃料棒は、中央部領域のみに濃度 3.5%のガドリニアが含まれ、番号7の長尺燃料棒は、下部領域のみに濃度1.0%のガドリニアが含まれている。
【0048】
図1(b)の右側には、各領域のガドリニア入り燃料棒本数を示し、特に、括弧内には最低濃度のガドリニア入り燃料棒、または、最外周位置に配置されたガドリニア入り燃料棒を除いた本数を記した。
すなわち、少なくとも下部領域に可燃性毒物を含有する燃料棒の数をx、
少なくとも中央部領域に可燃性毒物を含有する燃料棒の数をy、
少なくとも上部領域に可燃性毒物を含有する燃料棒の数をzとしたとき、
図1では
x=13(燃料棒番号▲5▼と▲7▼)
y=12(燃料棒番号▲5▼と▲6▼)
z=11(燃料棒番号▲5▼)であり、
x>y>zの関係となっている
また、下部領域が最低可燃性毒物濃度に設定される燃料棒の本数をvとしたとき、図1ではv=2(燃料棒番号▲7▼)であり、(x−v)<yの関係が成立するように設定される
【0049】
これによって、運転サイクル初期においては、各領域の同一ボイド率履歴における無限増倍率の値が、下部<中央部<上部の順となるので、軸方向出力分布の下方ピークが抑えられる。
【0050】
運転サイクル中期においては、番号7の燃料棒のガドリニアが焼失するので、下部領域と中央部および上部上領域の無限増倍率の差が縮まりスペクトルシフト効果が助長される。
【0051】
また、運転サイクル後期においては、番号5の燃料棒では濃度の高い下部のガドリニアが中央部に比べて燃え残っているので、下部の無限増倍率が中央部、上部より小さくなり軸方向出力分布の下方ピークが抑えられ最大線出力密度を低減できる。
【0052】
次に、本発明の第2の実施例である高燃焼度用燃料集合体を図2により説明する。本実施例は図1の燃料集合体形状とは異なり、上端の天然ウランブランケット部を下端と同じ長さとし、番号3と8の短尺燃料棒3の本数および位置を変更した場合である。上端の天然ウランブランケット部は燃料集合体の平均濃縮度を高めるために短くした。
【0053】
また、短尺燃料棒の位置を変更したのは、(2,2)位置と対称位置4本にガドリニア入り燃料棒を配置して燃料集合体周辺部の局所出力を抑えるためであり、短尺燃料棒の本数を8本から10本に増加させたのは、炉停止余裕を改善するためである。
【0054】
各燃料棒の内部に充填されている燃料ペレットの濃縮度はe>g>h>fの順に高くなっている。短尺燃料棒の濃縮度は集合体断面平均濃縮度より若干高く 4.9%であるが、上中下3領域の集合体断面平均濃縮度は約 4.7%で、ほぼ軸方向一様濃縮度と見なせる。なお、上下端天然ウランブランケット部を含めた平均濃縮度は約 4.4%である。
【0055】
番号4の長尺燃料棒には下部領域に濃度 3.5%のガドリニアが、中央部および上部領域に濃度 2.5%のガドリニアが含有されており、本発明における第1群の長尺燃料棒を形成している。また、番号5の長尺燃料棒は、下部および中央部領域に濃度 3.5%のガドリニアが含まれ、番号6の長尺燃料棒は、下部および中央部領域に濃度 2.5%のガドリニアが、上部領域に濃度 3.5%のガドリニアが含有されている。
【0056】
また、番号7の長尺燃料棒および番号8の短尺燃料棒には、下部領域の最低濃度である濃度 0.5%のガドリニアが計6本含有されており、さらに、番号7の長尺燃料棒の中央部および上部領域に濃度 3.5%のガドリニアが含まれている。
【0057】
図3に各領域の40%ボイド履歴での無限増倍率の燃焼変化を示す。また、図3に燃焼初期,燃焼中期,燃焼後期の燃焼範囲を模式的に示す。燃焼初期では各領域のガドリニア入り燃料棒本数は図2(a),(b)に示すように、下部領域(x)で26本,中央部領域(y)で22本,上部領域(z)で18本の順で小さくなっている。なお、下部領域が最低可燃性毒物濃度に設定される燃料棒の本数vは6となっており、(x−v)<yの関係が成立するように設定されている
【0058】
ただし、上部領域のガドリニアの反応度価値が高いため、無限増倍率は下部が最小で、中央部および上部は同程度となっている。これにより、運転サイクル初期の軸方向出力分布の下方ピークは抑えられる。
【0059】
また、燃焼中期では、番号7および8の燃料棒の 0.5%濃度のガドリニアは焼失し下部と中央部のガドリニア入り燃料棒の本数差が逆転するので下部と中央部の無限増倍率は同程度となる。上部領域はガドリニア反応度価値が高く燃焼が速く進むので、無限増倍率の勾配がやや大きくなる傾向にある。
【0060】
図3から明らかなように、燃焼中期においては3領域の無限増倍率はほぼ同等となり、軸方向にボイド率が異なる効果により、運転サイクル中期の軸方向出力分布は下方ピークが強調される。
【0061】
一方、燃焼後期では、番号4の燃料棒で濃度の高い下部のガドリニアが中央部に比べて燃え残っているので、下部の無限増倍率が中央部、上部より小さくなり軸方向出力分布の下方ピークが抑えられる。
【0062】
図2の燃料集合体が装荷された平衡炉心について、図4(a)に軸方向および径方向出力ピーキングを、図4(b)に最大出力密度を示す。ただし、従来例の比較対象として、図12に示すように、番号3および6で示す短尺燃料棒を境界とした上下2領域燃料を選び、同じ装荷パターン、シャッフリング・パターン、制御棒パターンで平衡炉心を作成した。
【0063】
図12の燃料集合体は、従来技術で構成されたもので、本発明に係る燃料集合体の比較対象とする。上部および下部領域のガドリニア入り燃料棒本数がそれぞれ18本,22本であり、上部および中央部領域のガドリニア入り燃料棒本数は、図2の燃料と同じである。
【0064】
ただし、図2の燃料で用いた(番号7,8の燃料棒)下部領域の最低濃度のガドリニア入り燃料棒は使用していない。図12の燃料棒の上下領域の40%ボイド履歴での無限増倍率の燃焼変化を図13に示す。運転サイクル初期および後期の軸方向出力分布の下方ピークを抑えるため、燃焼初期および後期で図2の燃料と比べ無限増倍率の上下差が多くつけてある。
【0065】
図4(b)(曲線20:図12の従来燃料,曲線21:図2の燃料)から、本発明により、運転サイクル初期の線出力密度が1KW/ft 程度、運転サイクル後期の線出力密度のピーク(8GWd/st時点)が0.5KW/ft程度低減でき、運転サイクルを通じての最大線出力密度が0.5KW/ft程度低減してきたことがわかる。
【0066】
これは、図4(a)に示したように、下部領域の最低濃度のガドリニア入り燃料棒の効果で、運転サイクル初期の軸方向ピーキング(曲線18:図12の従来燃料,曲線19:図2の燃料)抑えられたこと、最低濃度のガドリニア入り燃料棒のガドリニアが燃え尽きたあと、径方向のピーキング(曲線22:図2の燃料)の小さい運転サイクル中期で下方ピークが強調され新燃料の下部領域の燃焼が進み、従来例の8GWd/st時点での下方ピークが緩和されたことによる。
【0067】
従来の上下2領域燃料では、無限増倍率の上下差を多くつけているものの、運転サイクル中期での下部領域の燃焼が遅れるため、逆に、運転サイクル初期および後期の線出力密度が悪化している。なお、図4(a)の径方向ピーキングは、本発明による燃料であるが、従来燃料の場合も同じ装荷パターン・シャッフリング・パターンで平衡炉心を作成したので、ほとんど同じ値となる。
【0068】
次に、本発明の第3の実施例である高燃焼度用燃料集合体を図5により説明する。本実施例は図2と同じ燃料集合体形状を持ち、各燃料棒の内部に充填されている燃料ペレットの濃縮度はi>j>kの順に高くなっている。
【0069】
番号2の短尺燃料棒3の濃縮度は集合体断面平均濃縮度より若干高く 4.9%であるが、上中下3領域の集合体断面平均濃縮度は約 4.7%で、ほぼ軸方向一様濃縮度と見なせる。なお、上下端天然ウランブランケット部を含めた平均濃縮度は約 4.4%である。
【0070】
番号3の長尺燃料棒には下部領域に濃度 4.0%のガドリニアが、中央部および上部領域に濃度 3.0%のガドリニアが含有されている。番号4の長尺燃料棒には中央部領域のみに濃度 2.0%のガドリニアが含まれている。
【0071】
番号5の長尺燃料棒には上下ブランケット領域を除く内部全域に濃度 3.0%のガドリニアが含有されている。番号6の長尺燃料棒には下部領域に濃度 1.0%のガドリニアが含有され、燃料集合体最外周位置に計4本配置されている。
【0072】
燃料集合体コーナー位置4本のガドリニア入り燃料棒は、チャンネルボックス間の非沸騰水領域に面してガドリニアの燃焼速度が大きいので、図2の燃料では、 0.5%のガドリニアを用いていたが、ここでは 1.0%のガドリニアを用いた。なお、コーナー位置4本のガドリニア入り燃料棒は、(1,2)、(2,1)位置と対称位置8本の燃焼初期の局所出力を抑える効果がある。
【0073】
図6に各領域の40%ボイド履歴での無限増倍率の燃焼変化を示す。燃焼初期では、各領域のガドリニア入り燃料棒本数は図5(a),(b)に示すように下部領域(x)で22本,中央部領域(y)で22本,上部領域(z)で18本となっており、上部で最小、すなわちx>zかつy>zの関係が成立している
また、チャンネルボックス内の最外周位置に配置された燃料棒のうち少なくとも下部領域に可燃性毒物を含有する燃料棒の本数をwとしたとき、w=4(燃料棒番号6)であり、(x−w)<yの関係が成立している
燃料集合体コーナー位置4本のガドリニアの反応度価値が高いため、無限増倍率は下部で最小となっており、図2の燃料以上に無限増倍率の上下差がついている。また、中央部および上部の無限増倍率は同程度となっている。
【0074】
これにより、運転サイクル初期の軸方向出力分布の下部ピークはより抑制される。また、燃焼中期では、番号6の燃料棒の 1.0%濃度のガドリニアが焼失し下部と中央部のガドリニア入り燃料棒の本数差が逆転し、下部の無限増倍率が中央部を上回っている。
【0075】
したがって、図2の燃料よりもより下方ピークが強調される。一方、燃焼後期では、図2の燃料よりも下部のガドリニアが燃え残り下部の無限増倍率が中央部、上部より小さくなっているので、より下方ピークが抑えられる。
【0076】
図5の燃料集合体が装荷された平衡炉心について、図7(a)に軸方向(曲線23:図12の従来燃料、曲線24:図5の燃料)および径方向出力ピーキング(曲線27:図5の燃料),図7(b)に最大線出力密度(曲線25:図12の従来燃料,曲線26:図5の燃料)を示す。ただし、比較対象として、図12に示した従来の上下2領域燃料を選ぶ。
【0077】
図7(b)から、本発明により、運転サイクル初期の線出力密度が1.5KW/ft程度、運転サイクル後期の線出力密度のピークが1.0KW/ft程度低減でき、運転サイクルを通じての最大線出力密度が0.8KW/ft程度低減できた。
【0078】
これは、図4(a)に示したように、下部領域の最低濃度のガドリニア入り燃料棒の効果で運転サイクル初期の軸方向ピーキング係数が抑えられたこと、サイクル中期で新燃料の下部領域の燃焼が進み、サイクル後期(8GWd/st時)の下方ピークが緩和されたことによる。
【0079】
なお、コーナー位置4本のガドリニア濃度を図5から 0.5〜 1.0%程度高めれば、2GWd/st時の下方ピークを低減でき、最大線出力密度をさらに低減することができる。したがって、下部領域の最低濃度のガドリニア入り燃料棒のガドリニア濃度は、その本数,位置によって最大線出力密度をより低減できるように適切に選択する必要がある。
【0080】
最後に、本発明の第4の実施例である高燃焼度用燃料集合体を図8により説明する。本実施例は図1の燃料集合体形状とは異なり、短尺燃料棒3の位置を変更した場合である。番号3の短尺燃料棒の位置をウォータロッド6の周囲に集めたのは、低温時においてウォータロッド6およびその周囲に巨大な水の領域を作り、水の中性子吸収効果で炉停止余裕を改善するためである。
【0081】
各燃料棒の内部に充填されている燃料ペレットの濃縮度はl>n>o>mの順に低くなっており、番号3の短尺燃料棒3の濃縮度は集合体断面平均濃縮度より若干高く 4.9%であるが、上中下3領域の集合体断面平均濃縮度は約 4.7%で、ほぼ軸方向一様濃縮度と見なすことができる。なお、上下端天然ウランブランケット部を含めた平均濃縮度は約 4.2%である。
【0082】
番号4の長尺燃料棒には下部領域に濃度 4.0%のガドリニアが、中央部および上部領域に濃度 3.0%のガドリニアが含有されている。また、番号5の長尺燃料棒は、中央部領域のみに濃度 2.0%のガドリニアが含まれ、番号6および7の長尺燃料棒は、上下ブランケット領域を除く内部全域に濃度 3.0%のガドリニアが含有されている。
【0083】
なお、ウォータロッド6の2本間に隣接する番号7の燃料棒の濃縮度は、熱伝導度の低いガドリニア入り燃料棒の局所出力を燃焼後期に低減するため、番号6の燃料棒より下げている。また、番号8の長尺燃料棒には、下部領域の濃度である 2.0%のガドリニアが含有され、燃料集合体最外周位置に計2本配置されている。
【0084】
図5の燃料では、 1.0%のガドリニア入り燃料棒を燃料集合体コーナー位置に4本配置したが、ここでは本数を減らし濃度を 2.0%に高めている。
図8に示した燃料集合体において、x,y,z,wを上述の定義とすると、x= 20 ,y= 22 ,z= 18 ,w=2であり、x>z,y>zかつ(x−w)<yの関係が成立している
この燃料集合体では、運転サイクル初期においては、番号8の2本のコーナー位置のガドリニア反応度価値が番号5の4本の価値より高いため、各領域の同一ボイド率履歴における無限増倍率の値が、下部<中央部<上部の順となっており、軸方向出力分布の下方ピークが抑えられる。
【0085】
運転サイクル中期においては、番号8の燃料棒のガドリニアが焼失するので、下部領域と中央部および上部領域の無限増倍率の差が縮まりスペクトルシフト効果が増加する。また、運転サイクル後期においては、濃度の高い番号4の下部のガドリニアが中央部に比べて燃え残っているので、下部の無限増倍率が中央部、上部より小さくなり下方ピークが抑えられる。
【0086】
なお、軸方向の主力分布の平坦化には「軸方向各領域の平均濃縮度を調整し無限増倍率に上下差をつけること」も有効であり、本発明と組み合わせて用いてももよい。また、炉停止余裕を改善するために、特に、上部領域の濃縮度を下げてもよい。いずれの場合も、図3,図6に示したような無限増倍率を実現するように軸方向濃縮度分布,軸方向各領域の可燃性毒物入り燃料棒の本数,濃度を調整すればよい。
【0087】
また、本発明では、軸方向を上下端のブランケット領域を除く3領域に分割したが、4領域以上に分け各領域の可燃性毒物入り燃料棒の本数,濃度を調節しても同様な効果が得られる。しかしながら、3領域から4領域以上に軸方向領域を分けても、燃料が複雑となるだけで、軸方向出力分布の平坦化,スペクトルシフト効果を増大させる作用は少ない。
【0088】
なお、濃縮度の上限(燃料製造時の臨界管理、輸送時の放射線遮蔽の観点から、現在は 5.0Wt%となっている)があり、かつ、取出燃焼度を可能なかぎり高めたい場合には、軸方向濃縮度差をつけることは燃料集合体平均濃縮度を低下させるので望ましくない。
【0089】
この場合は、本発明のように、短尺燃料棒上端を境界とする無限増倍率の燃焼特性の違いおよび軸方向各領域の可燃性毒物入り燃料棒の本数、濃度の調整に頼らざるを得ない。また、燃料集合体平均濃縮度をより高めるために上下端のブランケット領域を除いて軸方向3領域燃料を構成してもよい。
【0090】
【発明の効果】
本発明によれば、長尺燃料棒と短尺燃料棒とで構成された高燃焼度用燃料集合体において、軸方向を上下端のブランケット領域を除く3領域に分け、各領域の可燃性毒物入り燃料棒の本数,濃度を調整する。これにより、運転サイクル初期および後期における最大線出力密度を同時に低減するとともに、運転サイクル中期のスペクトルシフト効果を助長する。
【0091】
よって、運転サイクルを通じて十分な熱的余裕を有し、しかも経済性に優れた高燃焼度用燃料集合体を提供することができる。また、軸方向一様濃縮度の設計も可能であるので、濃縮度の上限の範囲内で燃料集合体平均濃縮度をより高め、取出燃焼度を可能なかぎり高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明に係る燃料集合体の第1の実施例を示す横断面図、(b)は(a)における各燃料棒の濃縮度およびガドリニアの軸方向分布図。
【図2】(a)は本発明に係る燃料集合体の第2の実施例を示す横断面図、(b)は(a)における各燃料棒の濃縮度およびガドリニアの軸方向分布図。
【図3】図2における燃料集合体の各領域の無限増倍率の燃焼変化(ボイド率40%)を示す曲線図。
【図4】(a)は図2における燃料集合体と従来とを比較するための上下2領域燃料集合体を装荷した炉心における軸方向および径方向出力ピーキング特性図、(b)は同じく最大線出力密度特性図。
【図5】(a)は本発明に係る燃料集合体の第3の実施例を示す横断面図、(b)は(a)における各燃料棒の濃縮度およびガドリニアの軸方向分布図。
【図6】図5における燃料集合体の各領域の無限増倍率の燃焼変化を示す(ボイド率40%)特性図。
【図7】(a)は図5における燃料集合体の従来とを比較するための上下2領域燃料集合体を装荷した炉心における軸方向および径方向出力ピーキング特性図、(b)は同じく最大線出力密度を比較した特性図。
【図8】(a)は本発明に係る燃料集合体の第4の実施例を示す横断面図、(b)は(a)における各燃料棒の濃縮度およびガドリニアの軸方向分布図。
【図9】(a)は従来の高燃焼度用燃料集合体を一部断面で示す立面図、(b)は(a)のb−b矢視断面図、(c)は(a)のc−c矢視断面図。
【図10】平均濃縮度が約4%でガドリニアを含まない場合、および 3.5%のガドリニアを添加した燃料棒を14本配置した場合の無限増倍率の燃料変化(ボイド率40%)を示す特性図。
【図11】(a)は66本の長尺燃料棒2と8本の短尺燃料棒3で構成された従来の第1の燃料集合体または74本の長尺燃料棒2のみで構成された従来の第2の燃料集合体を装荷した炉心の出力ピーキングを示す特性図、(b)は同じく各々の最大線出力密度を示す特性図。
【図12】(a)は従来例の上下2領域燃料集合体を示す横断面図、(b)は各燃料棒の濃縮度およびガドリニアの軸方向分布図。
【図13】従来例の上下2領域燃料集合体の各領域の無限増倍率の燃焼変化(ボイド率40%)を示す特性図。
【符号の説明】
1…燃料集合体、2…長尺燃料棒、3…短尺燃料棒、4…上部タイプレート、5…下部タイプレート、6…太径ウォータロッド、7…チャンネルボックス、8…スペーサ、9…外部スプリング。

Claims (3)

  1. 複数個の燃料ペレットを被覆管内に充填し両端部を密封してなる複数本の燃料棒を格子に束ね、この燃料棒束をチャンネルボックスで包囲して構成された燃料集合体において、前記複数本の燃料棒は第1群の長尺燃料棒と、この第1群の長尺燃料棒よりも有効部分が短い第2群の短尺燃料棒とからなり、前記第2群の燃料棒の有効部分の上端より上の領域を上部とし、前記第2群の燃料棒の有効部分を中央部と下部に2分し、軸方向を上下端のブランケット領域を除いて上中下の3領域に分けた場合、少なくとも下部領域に可燃性毒物を含有する燃料棒の本数をx、少なくとも中央部領域に可燃性毒物を含有する燃料棒の本数をy、少なくとも上部領域に可燃性毒物を含有する燃料棒の本数をzとしたとき、x>y>zの関係が成立し、かつ可燃性毒物濃度は少なくとも2種類設定されてなり、下部領域の可燃性毒物濃度のみが最低濃度に設定される燃料棒の本数をvとしたとき、vは一本より多くかつ(x−v)<yの関係が成立するように設定されてなることを特徴とする沸騰水型原子炉用燃料集合体。
  2. 複数個の燃料ペレットを被覆管内に充填し両端部を密封してなる複数本の燃料棒を格子に束ね、この燃料棒束をチャンネルボックスで包囲して構成された燃料集合体において、前記複数本の燃料棒は第1群の長尺燃料棒と、この第1群の長尺燃料棒よりも有効部分が短い第2群の短尺燃料棒とからなり、前記第2群の燃料棒の有効部分の上端より上の領域を上部とし、前記第2群の燃料棒の有効部分を中央部と下部に2分し、軸方向を上下端のブランケット領域を除いて上中下の3領域に分けた場合、少なくとも下部領域に可燃性毒物を含有する燃料棒の本数をx、少なくとも中央部領域に可燃性毒物を含有する燃料棒の本数をy、少なくとも上部領域に可燃性毒物を含有する燃料棒の本数をzとしたとき、x>zかつy>zの関係が成立し、かつ同一ボイド率における未燃焼時の可燃性毒物の全反応度価値が中央部領域より下部領域で高く、さらに、前記チャンネルボックス内の最外周位置に配置された燃料棒のうち下部領域のみに可燃性毒物を含有する燃料棒の本数をwとしたとき、wは一本より多くかつ(x−w)<yの関係が成立するように設定してなることを特徴とする沸騰水型原子炉用燃料集合体。
  3. 前記中央部領域より下部領域で可燃性毒物濃度を高く設定する燃料棒を、1本以上有することを特徴とする請求項1または2に記載の沸騰水型原子炉用燃料集合体。
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