JP4368056B2 - 沸騰水型原子炉用燃料集合体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、沸騰水型原子炉用の燃料集合体に関するものであり、詳しくは正方格子状配列の束として燃料集合体を構成する燃料棒のうち、可燃性毒物を含む燃料棒の配置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
沸騰水型原子炉(以下、BWRと記す)では、経済性を高めるために、プラントの設備利用率(稼働率)の向上による経済効果をねらった運転サイクルの長期化と、燃料集合体1体当たりの取出しエネルギを大きくして経済性向上をねらった平均取出燃焼度増加が有効な手段として知られている。これら2つの目的に対しては、ウラン235で代表される核分裂性物質の平均濃縮度を高めることが、有効かつ不可欠な手段となっている。
【0003】
また、ガドリニアで代表される可燃性毒物の添加量を増加させる必要もある。これは、燃焼初期に対しては高濃縮度化による反応度上昇分を抑制するため、また、熱中性子に対して吸収断面積の大きなガドリニアの毒物価値が高濃縮度化に伴う中性子スペクトルの硬化により低下することを補償するために燃料集合体により多数のガドリニア入り燃料棒を準備する必要があること、また、ガドリニア濃度は燃焼サイクルに亘って適切に反応度制御が行えるよう決定され、一般には炉内の新燃料の毒作用が運転サイクル末期で丁度消滅する設計とすることが望ましく、運転サイクルの長期化を図るにはより長い燃焼期間に亘って反応度制御を行う必要があり、ガドリニアの毒物作用をより長い燃焼期間に亘って持続させるためである。
【0004】
このように、燃料ウランの高濃縮度化によって高燃焼度化と運転サイクル長期化を同時に達成する燃料集合体を得るためには、燃焼初期において充分な反応度低下を行うことと、毒物作用を長期間に亘って維持させることを同時に満足させる技術が必要となる。これを達成するには、燃料集合体内に配置される高濃度ガドリニア入り燃料棒の本数を多くする方法がある。
【0005】
しかし、一般に、ガドリニア入り燃料棒の本数が多くなると、燃料集合体の横断面半径方向で見たときに、燃料棒の相対出力分布は歪みやすく、最大線出力密度や最小限界出力比の運転余裕が小さくなってしまう。一方こうした運転余裕の低下を回復させるために、より複雑な核設計を施したり運転中に高頻度の制御棒操作を実施すると、それぞれ製造コストの上昇や運転稼働率の低下といった不具合が生じてしまう。
【0006】
また、高濃度のガドリニアの使用は、燃料ペレットの融点低下を招いたり熱伝導度が低下することにより燃料ペレットの温度は上昇し易くなり、その結果、核分裂生成ガスの放出が増え、燃料棒内圧の上昇を招くことから、熱機械設計の安全上の観点から好ましくない。
【0007】
以上のように、高燃焼度化と運転サイクル長期化を達成するためには、燃料棒においては熱機械的健全性を確保しつつ、燃料集合体においては運転が平易に行えるような適切な核特性を持たせると共に核設計を単純化させる具体的な方策を導入し、これを積極的に利用することが肝要となる。
【0008】
そこで、以上の問題点を部分的に解決することのできる核設計が従来から考えられている。例えば、燃料集合体の横断面内の半径方向に着目したとき、中性子スペクトルの硬い位置、即ち図8の配列模式図に示すような9×9正方格子状配列で中央部の燃料棒9本分相当を占める太径水ロッドが配置されたBWR用燃料集合体では、最外周配列から数えて第2周列目の燃料棒配列位置に、ガドリニア入り燃料棒Gを配置することによって長期間に亘る毒物作用の持続を図った設計が挙げられる。
【0009】
この最外から第二周列目という中性子スペクトルの硬い配列位置においては、ガドリニアの熱中性子吸収断面積が小さくなるため、その分、毒物作用も長く続く。また、このような第二周列目に配置されたガドリニア入り燃料棒Gに対してさらにガドリニア入り燃料棒Gを隣接配置すれば、さらに毒物作用の持続性を増すことができる。
【0010】
また、燃料集合体の横断面内の半径方向における中性子スペクトルの軟らかい配列位置、即ち図9の配列模式図に示すような9×9正方格子状配列で中央部の燃料棒9本分相当を占める太径水ロッドが配置されたBWR用燃料集合体においては最外周の配列位置にガドリニア入り燃料棒Gを配置することによって、燃焼初期の反応度抑制効果を大きくすることができるという設計も挙げられる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の最外から第二周列目の配列位置にガドリニア入り燃料棒Gを配置した設計においては、燃焼初期での反応度抑制効果が小さくなってしまうので、これを補償するためにはより多くのガドリニア入り燃料棒が必要となっり、前述の運転余裕の確保という問題を解決するのが困難となってしまう。
【0012】
一方、上記最外周の配列位置にガドリニア入り燃料棒Gを配置した設計においては、長期間に亘っての毒物作用の持続ができないため、より高濃度のガドリニアの添加が必要となり、前述の熱機械的健全性の問題を解決するのが困難となってしまう。
【0013】
そこで、これら従来技術を組み合わせれば、両技術の中間的な反応度燃焼特性が得られて少なからず高燃焼度化と運転サイクルの長期化に対して有効となる可能性が考えられる。
【0014】
しかしながら、単にガドリニア入り燃料棒を最外周と第二周列目の配列位置に配置する場合、最外周の配列位置に配置されたガドリニア入り燃料棒は毒物作用の消滅が早まる分、この燃料棒の出力は早い燃焼段階で大きくなり、一方、燃料集合体もしくは当該断面の無限倍増率は、第二周列目に配置されたガドリニア入り燃料棒の存在により最外周の配列位置に配置されたガドリニア入り燃料棒の毒物作用の消滅時期より遅い段階でピークを迎えてしまう。
【0015】
即ち、燃料集合体の出力が最大となった時点では、既に最外周の配列位置に配置されたガドリニア入り燃料棒の出力は高まった状態にあり、該燃料棒は核分裂生成ガスの放出が増大し易く燃料棒内圧の上昇を伴うため、燃料棒の熱機械的健全性を充分確保することが難しくなってしまう。
【0016】
これを回避するため最外周の配列位置に配意されたガドリニア入り燃料棒のガドリニア濃度を低減させると、毒物作用の持続が困難となり運転長期化の目的を達成できず、該燃料棒のウラン濃縮度の方を低減させると、燃料集合愛の平均濃縮度が高められず、目的とする高燃焼度化を達成できないかあるいは設計がより複雑になり製造コストの上昇を招くなどの不具合が生じる。
【0017】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、燃料集合体の製造コストの上昇を最小限に抑え、燃料棒の熱機械的健全性を確保しながらも運転中の熱的運転余裕を確保すると共に運転を平易にする適切な余剰反応度特性を有し、従来より運転サイクルの長期化と高燃焼度化を達成するに好適な沸騰水型原子炉用燃料集合体を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明に係る沸騰水型原子炉用燃料集合体は、被覆管内に予め定められた核燃料濃縮度の燃料ペレットが所定個数充填され密封された多数本の燃料棒が所定の正方格子状配列の束として上部タイプレートおよび下部タイプレートによって上下両端で支持されてなる沸騰水型原子炉用燃料集合体において、
前記多数本の燃料棒のうちの所定本数の可燃性毒物を含む燃料棒が、前記平方格子状配列の最外周配列位置と、最外周配列から二周列目の配列位置に配置されると共に、これら可燃性毒物を含む燃料棒は、それぞれ最外周配列位置に配置されたものと二周列目の配列位置に配置されたもの同士とで互いに隣接する組を複数形成し、
前記最外周配列位置に配置される可燃性毒物を含む燃料棒は、前記二周列目の配列位置に配置される可燃性毒物を含む燃料棒よりも、核燃料濃縮度及び/又は可燃性毒物濃度が低いものである。
【0020】
また、請求項2に記載の発明に係る沸騰水型原子炉用燃料集合体は、請求項1に記載の沸騰水型原子炉用燃料集合体において、前記多数本の燃料棒の正方格子状配列が9×9格子以上であると共に該配列のほぼ中央位置に燃料棒9本相当の領域を占める断面角型形状の水ロッドが配置されるものである。
【0021】
なお、本発明で云う「濃縮度」とは、ウランやプルトニウムといった核燃料物質の核分裂性物質濃度のことである。
【0022】
本発明においては、燃料集合体を構成する正方格子状に配列される燃料棒のうち、所定本数の可燃性毒物を含む燃料棒を、最外周配列位置と最外周から二周列目の配列位置に配置するものであり、それぞれ最外周配列位置に配置されたものと二周列目の配列位置に配置されたもの同士とで互いに隣接させて複数の可燃性毒物入り燃料棒の組を複数形成する構成とすることによって、可燃性毒物入り燃料棒を最外周配列位置に配置した場合の燃焼初期における反応度抑制効果が大きいという特性と、可燃性毒物入り燃料棒を最外周から二周列目の配列位置に配置した場合の長期間に亘る毒物作用の持続性という特性との両者の利点を生かし、運転サイクルの長期化と高燃焼度化を可能としたものである。
【0023】
即ち、前述の各燃料棒組において、最外周列に配置された可燃性毒物入り燃料棒は、非沸騰水に近接しているため、該燃料棒の非沸騰水側に面する半面領域では中性子スペクトルが軟らかくて燃焼初期での反応度抑制効果を高めることができる一方、非沸騰水に面しない半面領域では、前記二周列目に配置されている可燃性毒物入り燃料棒が隣接しているため中性子スペクトルが硬くなり、その分、毒物作用の持続性が長期化する。
【0024】
従って、この最外周の配列位置に配置された可燃性毒物入り燃料棒については、燃焼の早い段階、即ち燃料集合体の反応度が高く運転中の線出力密度が高い新燃料においても、運転サイクルを通じてその燃料棒の出力上昇を抑え、燃料棒内圧の上昇を緩和できるため、熱機械的健全性が増すという効果もある。
【0025】
また、最外周から二周列目の配列位置に配置された可燃性毒物入り燃料棒について見れば、中性子スペクトルの硬い配列位置に配置されていることに加え、最外周配列位置に配置されている可燃性毒物入り燃料棒が隣接配置されていることによって、毒物作用を長期間に亘って持続できるという効果が得られる。これらの特性によって、燃料集合体の反応度が燃焼初期から運転サイクル末期にかけて適切に制御されることとなり、炉心の余剰反応度の燃焼推移をより平坦にすることができる。
【0026】
以上のように、本発明の燃料集合体においては、最外周配列位置と最外周から二周列目の配列位置とに配置される可燃性毒物入り燃料棒同士を隣接させるという簡単な設計を基礎とすることによって、燃料棒相対出力分布の最適化などの設計自由度を拡大し、結果的に核設計を複雑にすることなく、高燃焼度化と運転サイクル長期化に適した反応度特性を得ることが可能となる。
【0027】
また、本発明においては、最外周の配列位置に配置される可燃性毒物入り燃料棒は、前述の如く従来困難であった毒物作用の持続の長期化が可能となったため、二周列目に配置される可燃性毒物入り燃料棒よりも核燃料濃縮度及び/又は可燃性毒物濃度を小さくすることができ、燃料棒内圧上昇はさらに抑制されて熱機械的安全性はより向上するだけでなく、核設計の自由度を拡大させることができる。
【0028】
よって、従来、高燃焼度化と高濃縮度化に伴ってガドリニア入り燃料棒の本数が多くなると燃料集合体の半径方向で見たとき燃料棒の相対出力分布が歪みやすく最大線出力密度や最小限界出力比の運転余裕が小さくなっていたのに対して、複雑な核設計を施したり運転中に高頻度で制御棒操作を実施するなどの製造コストの上昇や運転稼働率の低下を招く方法を採らなくても、本発明では簡単な設計調整で運転余裕の回復を図ることができる。
【0029】
なお、燃料集合体の軸方向位置において運転中の出力分担の大きい断面は下部側断面であるため、本発明の各可燃性毒物入り燃料棒内における毒物含有領域は、燃料棒軸方向において、燃料有効長の上方から約1/3相当の長さ位置より下方側に形成することが望ましい。これによって、実質的に、互いに隣接配置される最外周配列位置の可燃性毒物入り燃料棒と二周列目の可燃性毒物入り燃料棒とからなる燃料棒組は燃料集合体の下部側断面内に形成されることとなり、効果的に反応度を抑制することができる。
【0030】
また、本発明は、9×9以上の正方格子状配列で中央位置に燃料棒9本相当の領域を占める断面角型形状の水ロッドが配置される燃料集合体に適用すれば、高燃焼度化と運転サイクル長期化をより一層容易に実現できる。即ち、これら従来の8×8正方格子状配列の燃料集合体より燃料棒本数が多い燃料集合体では、燃料棒一本当たりの熱負荷を小さくできるため、局所ピーキングを高めた核設計であっても、熱的運転余裕を確保し易いためである。これは、核設計を複雑化することなく充分な運転余裕を維持できる燃料集合体の提供を可能とする。また、断面角型形状を持つ水ロッドは濃縮度の増加に伴う中性子スペクトルの硬化を最小限に抑えるため、中性子の減速不足を補い、反応度の向上に寄与する。
【0031】
なお、本発明における最外周列に配置される可燃性毒物入り燃料棒と二周列目に配置される可燃性毒物入り燃料棒とが互いに隣接配置されて形成する燃料棒組は、両配列一本ずつの構成に限定されるものではない。例えば、最外周列に配置された二本の可燃性毒物入り燃料棒が、二周列目に配置された一本の可燃性毒物入り燃料棒に隣接して共有状態となる構成などであっても良い。
【0032】
また、最外周列と二周列目とにそれぞれ互いに隣接状態で配置された可燃性毒物入り燃料棒で構成される燃料棒組に、さらに別の周列に配置された可燃性毒物入り燃料棒を隣接させる構成としても良い。
【0033】
例えば、燃料棒組を形成している二周列目に配置された可燃性毒物入り燃料棒に、最外周から三周列目に配置された可燃性毒物入り燃料棒を隣接させれば、毒物作用の持続性をより一層高めることができるため、燃料ウラン濃縮度を現行の取扱上限である5.0wt%よりも高い濃縮度に設計した燃料集合体としても、効果的に反応度制御ができ、後述の実施例で記載するように、24ヶ月連続運転下で平均取出燃焼度70GWd/tという極めて経済性に優れた燃料集合体を提供できる。
【0034】
【発明の実施の形態】
本発明の第1実施形態としてのBWR用燃料集合体を、9×9正方格子状配列を持つ燃料集合体を例に取って図示の実施態様と共に以下に説明する。本実施形態による燃料集合体は、図1の燃料棒配置の概略模式図に示すように、9×9正方格子状配列の燃料棒9本分相当を占める中央領域に断面角型形状の水ロッドWが配置されたものである。
【0035】
この燃料集合体においては、可燃性毒物であるガドリニア入り燃料棒Gが、最外周の配列位置に6本および最外周から二周列目の配列位置に6本で計12本配置されている。また、これら最外周列のガドリニア入り燃料棒AGと二周列目のガドリニア入り燃料棒BGとは互いに一本ずつ隣接配置されて燃料棒組を形成しており、燃料集合体で2本ずつの燃料棒組を6組もつ構成となっている。
【0036】
このような燃料棒配置構成を備えた本実施形態の燃料集合体について、運転中の炉心状態を仮定した場合の無限倍増率の燃焼変化を、図8に示した燃料棒配置(最外周から二周列目にのみガドリニア入り燃料棒を配置)をもつ従来タイプ1の燃料集合体と図9に示した燃料棒配置(最外周の配列位置にのみガドリニア入り燃料棒を配置)をもつ従来タイプ2の燃料集合体の場合を対照として図2の線図に示す。
【0037】
なお、ここでは特性比較をより明確にするため、各燃料集合体につき、ウラン濃縮度を全ての燃料棒毎に5wt%、ガドリニア濃度を全てのガドリニア入り燃料棒G毎に7wt%とした。また、図1および図8、図9の燃料棒配置模式図からわかるように、これら各燃料集合体でガドリニア入り燃料棒Gはそれぞれ12本ずつに統一してある。
【0038】
図2の線図において、本第1実施形態の燃料集合体の燃焼変化は実線cで、図8の従来タイプ1は破線aで、図9の従来タイプ2は一点鎖線bでそれぞれ示した。この図2よりわかるように、本第1実施形態による燃料集合体においては、無限倍増率の燃焼変化は二つの従来タイプの中間的なものとなる。
【0039】
また、本第1実施形態による燃料集合体における最外周の配列位置に配置されたガドリニア入り燃料棒AGについて、最大出力を与える燃料棒に対する出力の比(以下、相対出力比と記す。)の燃焼推移(実線e)を、上記従来タイプ2(破線d)を対照として図3の線図に示した。
【0040】
この図3からわかるように、本第1実施形態による燃料集合体においては、最外周の配列位置に配置されたガドリニア入り燃料棒AGの相対出力比は、燃料集合体断面の毒物作用が消滅するまでの期間において従来タイプのものより小さくなっている。
【0041】
次に、本発明の第2実施形態としてのBWR用燃料集合体を図4の燃料棒配置模式図で示す。本第2実施形態においても、正方格子状配列は9×9であり、燃料棒9本分相当を占める中央領域に断面角型形状の水ロッドWが配置されたものである。
【0042】
また、本第2実施形態においては、燃料集合体のガドリニア入り燃料棒Gの配置は、最外周の配列位置に12本および最外周から二周列目の配列位置に8本で計20本配置されている。なお、これら最外周の配列位置に配置されたガドリニア入り燃料棒AGのうち正方格子配列のコーナー付近に配置されたもの2本ずつに対して1本の二周列目の配列位置に配置されたガドリニア入り燃料棒BGが隣接配置されており、3本のガドリニア入り燃料棒からなる燃料棒組が4組形成されている。他の最外周の配列位置に配置されたガドリニア入り燃料棒AGは、一本に対して二周列目の配列位置に配置されたガドリニア入り燃料棒BGが1本隣接配置されて2本のガドリニア入り燃料棒からなる燃料棒組が4組形成されている。
【0043】
この第2実施形態における燃料棒配置は、最外周の配列位置に配置されたガドリニア入り燃料棒AGが、隣接する二周列目の配列位置に配置されたガドリニア入り燃料棒BGの存在により毒物作用の持続性が長期化することから、燃料集合体の高濃縮度化に伴うガドリニア入り燃料棒の本数の増加を、特に燃焼初期での反応度抑制効果を大きくすることのできる最外周列において実現できたものである。
【0044】
次に、本発明の第3の実施形態としてのBWR用燃料集合体を図5の核設計を含む燃料棒配置図に示す。実施形態の燃料集合体は、24ヶ月連続運転下で平均取出燃焼度70GWd/tを目指した設計例である。本実施形態においては、最外周の配列位置に配置されるガドリニア入り燃料棒AGと二周列目に配置されるガドリニア入り燃料棒BGとが互いに隣接配置されて成る燃料棒組が8組形成されるように設定されたものである。
【0045】
本実施形態では、各組に一本配置されている二周列目のガドリニア入り燃料棒BGについて見ると、それぞれ最外周列に配置されているガドリニア入り燃料棒AGの他に、最外周から三周列目に配置されているガドリニア入り燃料棒CGが一本ずつ隣接する構成とした。但し、この三周列目に配置されているガドリニア入り燃料棒CGは燃料集合体全体で4本配置されており、三周列目に配置されたガドリニア入り燃料棒CG1本につき二周列目に配置されているガドリニア入り燃料棒BGが2本隣接して共有状態となっている。
【0046】
燃料集合体の平均ウラン濃縮度は、濃縮部断面で約6.7wt%、燃料棒上下端の天然ウランを含めた集合体平均値は約6.2wt%である。ガドリニア入り燃料棒はそれぞれウラン濃縮度および毒物濃度の異なる二つのタイプ(G1,G2)を用いている。
【0047】
本実施形態の燃料集合体により平衡炉心を作成し、図7に示した従来タイプの燃料集合体を対照にして運転特性を比較検討した。その結果を図6に示す。図6(a)には余剰反応度特性(横軸:サイクル燃焼度GWd/t,縦軸:余剰反応度%Δk)を、図6(b)には最大線出力密度の燃焼推移(横軸:サイクル燃焼度GWd/t,縦軸:最大線出力密度kW/ft)を、図6(c)には最小限界出力比の燃焼推移(横軸:サイクル燃焼度GWd/t,縦軸:最大線出力密度)をそれぞれ示した。
【0048】
なお、図7に示した従来タイプの燃料集合体は、最外周から二周列目および三周列目にウラン濃縮度および毒物濃度の異なる二つのタイプのガドリニア入り燃料棒(G11,G12)を配置したものであり、図5の本実施形態による燃料集合体と同じ平均濃縮度となるように設計したものである。図6の線図には、本実施形態によるものを実線で、従来タイプを破線で表した。
【0049】
運転中は、反応度を炉心流量や制御棒で調整して臨界を維持して運転した。図6(a)からわかるように、余剰反応度は、本実施形態による燃料集合体を用いた場合、従来タイプよりも適度に低く、かつ平坦化することができた。従って、運転中の制御棒パターン調整が容易となり、運転員の負担の軽減や運転稼働率の向上を図ることができる。
【0050】
また、このように余剰反応度が平坦化し、運転中の制御棒パターンの調整が容易になると熱的運転余裕の確保も容易となることは、図6(b)(c)に示す最大線出力密度と最小限界出力比の燃焼推移の結果から明らかである。
【0051】
以上のように、本実施形態による燃料集合体では、従来タイプに比べて、運転し易く熱的運転余裕が大きいにもかかわらず、燃料集合体に用いる燃料棒の種類が六種類であって従来タイプより一種類少なくできており、燃料集合体の製造コストの上昇を最小限に抑えられることも確認できた。
【0052】
なお、以上の実施形態は、全て9×9正方格子状配列の燃料集合体について示したものであるが、本発明は、燃料棒本数がより多く、熱的運転余裕もより大きな10×10正方格子状配列の燃料集合体に対しても有効であることは明らかである。また、いずれの燃料集合体にしても、必要に応じて一部に部分長燃料棒を有する燃料集合体であれば、本発明の構成は、特に燃料棒本数が多く反応抑制効果を大きくできる燃料集合体下部側断面、即ち、部分長燃料棒の燃料有効部が存在する断面に適用することが望ましい。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明の沸騰水型原子炉用燃料集合体によれば、燃料集合体の製造コストの上昇を最小限に抑えながらも、燃料棒の熱機械的健全性と運転中の熱的運転余裕との双方を確保すると共に、運転を平易にする適切な余剰反応度特性を有し、運転サイクルの長期化と高燃焼度化の達成を可能にするという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態による沸騰水型原子炉用燃料集合体の構成を示す燃料棒配置図である。
【図2】図1の燃料集合体における無限倍増率の燃焼変化を従来タイプ(破線、一点鎖線)と比較して示す線図(横軸:燃焼度GWd/t,縦軸:無限倍増率)である。
【図3】図1の燃料集合体の最外周配列位置に配置されたガドリニア入り燃料棒の相対出力比を従来タイプ(破線)と比較して示す線図(横軸:燃焼度GWd/t,縦軸:相対出力比)である。
【図4】本発明の第2の実施形態による沸騰水型原子炉用燃料集合体の構成を示す燃料棒配置図である。
【図5】本発明の第3の実施形態による沸騰水型原子炉用燃料集合体の構成を示す核設計と燃料棒配置図である。
【図6】図5の燃料集合体からなる平衡炉心による運転特性を従来タイプ(破線)と比較して示した線図であり、(a)は余剰反応度特性(横軸:サイクル燃焼度GWd/t,縦軸:余剰反応度%Δk)、(b)は最大線出力密度の燃焼推移(横軸:サイクル燃焼度GWd/t,縦軸:最大線出力密度kW/ft)、(c)は最小限界出力比の燃焼推移(横軸:サイクル燃焼度GWd/t,縦軸:最大線出力密度)をそれぞれ示したものである。
【図7】従来タイプの沸騰水型原子炉用燃料集合体の構成を示す核設計と燃料棒配置図である。
【図8】従来タイプの沸騰水型原子炉用燃料集合体の構成を示す燃料棒配置図である。
【図9】従来タイプの沸騰水型原子炉用燃料集合体の構成を示す燃料棒配置図である。
【符号の説明】
G:ガドリニア入り燃料棒
AG:最外周の配列位置に配置されたガドリニア入り燃料棒
BG:最外周から二周列目に配置されたガドリニア入り燃料棒
CG:最外周から三周列目に配置されたガドリニア入り燃料棒
W:水ロッド
Claims (2)
- 被覆管内に予め定められた核燃料濃縮度の燃料ペレットが所定個数充填され密封された多数本の燃料棒が所定の正方格子状配列の束として上部タイプレートおよび下部タイプレートによって上下両端で支持されてなる沸騰水型原子炉用燃料集合体において、
前記多数本の燃料棒のうちの所定本数の可燃性毒物を含む燃料棒が、前記平方格子状配列の最外周配列位置と、最外周配列から二周列目の配列位置に配置されると共に、これら可燃性毒物を含む燃料棒は、それぞれ最外周配列位置に配置されたものと二周列目の配列位置に配置されたもの同士とで互いに隣接する組を複数形成し、
前記最外周配列位置に配置される可燃性毒物を含む燃料棒は、前記二周列目の配列位置に配置される可燃性毒物を含む燃料棒よりも、核燃料濃縮度及び/又は可燃性毒物濃度が低いことを特徴とする沸騰水型原子炉用燃料集合体。 - 前記多数本の燃料棒の正方格子状配列が9×9格子以上であると共に該配列のほぼ中央位置に燃料棒9本相当の領域を占める断面角型形状の水ロッドが配置されることを特徴とする請求項1に記載の沸騰水型原子炉用燃料集合体。
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