JP3792735B2 - 沸騰水型原子炉用燃料集合体およびその炉心 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は沸騰水型原子炉用燃料集合体およびその炉心に関する。
【0002】
【従来の技術】
沸騰水型原子炉(以下BWRと呼ぶ)の炉心、つまり初装荷炉心は、濃縮度の異なる複数種類の燃料集合体を装荷して、初装荷炉心の取り出し燃焼度の向上を図るものが実用化されている。しかして、運転サイクルを更新する毎に反応度の低下した燃料集合体を新しい燃料集合体と交換して運転を継続することにより、平衡サイクルへの移行を速やかに行うことができる。
【0003】
上記平衡サイクルとは下記のことを意味する。すなわち、初装荷炉心による運転を第1サイクルと呼ぶが、燃料集合体を前述のように部分的に交換しながら第2、第3…と運転サイクルを繰り返し、前記第1サイクルから相当の長期間を経て炉心全体の燃料成分が隣接するサイクル間でほとんど一定となったサイクルを平衡サイクルという。
【0004】
なお、この平衡サイクルに到達すると隣接するサイクルの熱的特性(最大線出力密度、最小限界出力比(MCPR)、径方向出力ピーキング等)、サイクル終了後の取り替え燃料集合体の数、炉心の燃料集合体装荷配置、サイクル運転中の制御棒パターン計画等がほぼ等しく安定している。
【0005】
前述したような炉心を有する原子炉では、第1サイクルの運転終了毎に原子炉を停止させ、最も反応度の低下した燃料集合体を新しいものと交換し、次の運転サイクルに入る。これを繰り返しながら原子炉の運転を継続するわけであるが、サイクル毎の熱的特性が悪かったり、あるいは目標とする燃焼度が達成されなかったりすれば、燃料集合体の健全性、原子炉炉心および燃料集合体の経済性上問題である。
【0006】
燃料集合体の健全性、原子炉炉心および燃料集合体の経済性の点からみて、第1サイクルから平衡サイクルに移行する過程の中間サイクル、換言すれば移行サイクルにおける熱的特性およびサイクル取得燃焼度が、平衡サイクルのそれらと同程度であるか、またはそれらに向かって速やかに収束するものであることが望ましい。
【0007】
このような移行サイクル中の熱的特性および取得燃焼度のサイクル毎の変動が少なく、燃焼経済性の優れた沸騰水型原子炉の先行技術が例えば特公平 3-45358号公報に開示されている。
【0008】
この中で、平衡炉心においてNサイクル分だけ炉内に滞在する燃料集合体を装荷する場合、初装荷炉心において平均濃縮度の異なるN種類の燃料集合体を装荷し、それら各燃料集合体の平均濃縮度を、平衡炉心内に滞在するNバッチ燃料集合体それぞれの平衡サイクル初期における可燃性毒物を含めない時の中性子無限増倍率とほぼ等しい中性子無限増倍率を与えるように設定することを提案している。
【0009】
尚、前記各燃料集合体の平均濃縮度は前記設定によって得られる値より±0.2 wt%の上下の変化幅をも許容している。
【0010】
ところで、濃縮度が複数種類の燃料集合体を用いた初装荷炉心の取り出し燃焼度は、炉心平均濃縮度を増加させる方法、炉心平均濃縮度は一定でも次に炉心内の濃縮度の分散パラメータを増加させる方法によっても増加できることが研究によって分かってきた。
【0011】
【数1】
ni:iタイプの燃料集合体の本数
ei:iタイプの燃料集合体の濃縮度
e :炉心平均濃縮度
(注)ここでは、濃縮度多種類の初装荷炉心において、高濃縮度燃料からタイプ1,タイプ2,タイプ3…と呼ぶことにする。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
最近の初装荷炉心は取り出し燃焼度を向上させて、燃料経済性の向上を図っている。そのため、初装荷炉心の平均濃縮度は従来の2.3%濃縮度から2.6%濃縮度程度まで増大してきており、第1サイクル末期においても、炉心の余剰反応はより高くなる傾向にある。
【0013】
一般に、炉心の余剰反応度が大きいと、制御棒による余剰反応度抑制量が大きくなって、径方向出力ピーキングが高くなり易い。また、径方向のピーキングの大きい燃料集合体の軸方向出力分布は、自身の冷却材チャンネル内の軸方向ボイド初期分布の影響で、下方ピークの傾向が強くなる。
【0014】
その結果、第2サイクル初期において、初装荷燃料の高濃縮度燃料集合体であるタイプ1燃料集合体の下部に最大線出力密度が発生し易く、運転制御値を満たしにくいという課題がある。
【0015】
また、最近は13ケ月運転の条件下でより取り出し燃焼度を挙げて燃焼経済性を向上する観点から、取り替え燃料集合体の濃縮度が、 3.2〜 3.6wt%に増加し、平衡サイクルにおける燃料集合体のバッチ数が従来約3バッチであったのが4バッチを越えるまでになってきている。
【0016】
その結果、第1サイクルから平衡サイクルまでの炉心の熱的特性、特に径方向出力ピーキングを熱的な制限(最大線出力密度、MCPR)を守って容易に運転するために、前記特許公報に記載された先行技術を土台にすると、初装荷燃料集合体の種類は4種類の濃縮度を用意するか、または3種類の濃縮度タイプの燃料を用意する。
【0017】
そして、従来の初装荷炉心よりも最低濃縮度の燃料集合体を炉心の中央領域に広く分散配置して、その初装荷炉心における体数割合を増加し、最高濃縮度燃料の体数割合を少なくする。
【0018】
これによって、高い濃縮度燃料集合体の第1サイクル中期から末期にかけての径方向出力ピーキングを抑制することが必要になってくる。これは、炉心平均濃縮度を上げて初装荷炉心の取り出し燃焼度を増加させる目的と逆行することになる。
【0019】
ところで、初装荷炉心では多数の燃料集合体に例えば濃縮度が3種類ある場合、タイプ1およびタイプ2燃料集合体に可燃性毒物含有燃料棒を組み込むが、タイプ1およびタイプ2燃料集合体の数がほぼ2/3 を占めるので、サイクル初期の余剰反応度の確保の点から、可燃性毒物含有燃料棒の本数は同じ濃縮度の取り替え燃料集合体を取り替え炉心に装荷する場合に比して少ない。
【0020】
その結果、可燃性毒物含有燃料棒同士の間の熱中性子束を低下させる干渉効果が少なく、速く燃えるので、サイクル末期近傍で可燃性毒物を燃え尽きさせる設計に必要な可燃性毒物、一般に沸騰水型原子炉で使用されるガドニリアの濃度は高くする必要がある。
【0021】
また、第1サイクルは取り替え炉心と異なり、原子炉の試運転中の運転期間を含むので第2サイクル以降よりも運転期間が長いという特長を有している。
【0022】
可燃性毒物のガドリニア入り燃料は一般的に二酸化ウラン(UO2 )粉末にガドリニア(Gd2 O3 )粉末を混合し、円柱状にペレットに圧粉成形したのち、焼結してガドリニア含有燃料ペレットとして形成される。
【0023】
このガドリニア含有燃料ペレットの熱伝導度は通常のUO2 燃料ペレットより低いので、燃料ペレット温度が高いこと、およびそれによる燃料ペレット中の核分裂生成ガスの放出率が高いこと等が知られている。
【0024】
これらの理由により燃料ペレット中のガドリニア濃度が増えると、それに応じて燃料ペレットのU235 濃縮度を下げている。この結果、燃料集合体の平均濃縮度が増加する抑制因子になっている。
【0025】
また、天然のガドリニウムは主にGd155 ,Gd156 ,Gd157 ,Gd158 ,Gd160 で構成され、中でもGd155 ,Gd157 の熱中性子吸収断面積が大きく、中性子毒物効果に主に寄与している。
【0026】
ところがGd156 の熱中性子吸収断面積は小さいので、可燃性毒物の寿命末期(ほぼ毒物効果が無くなった時)でも、Gd155 から核変換したものと最初から存在したGd156 の両方が残り、これがわずかであるが中性子を吸収して熱中性子吸収断面積の大きいGd157 に変換し毒物作用をする残留による反応度損失を生じるという影響がある。したがって、ガドリニアの添加濃度はできるだけ低減したほうがよいことになる。
【0027】
3タイプまたは4タイプ濃縮度燃料炉心の場合、コントロールセルにはそれぞれ高濃縮側から数えて3番目また4番目の燃料集合体を配置するのが普通である。これは、コントロールセルに配置される燃料集合体は、運転中に炉心の余剰反応度を抑制するために炉心にサイクル期間中長期に亘って挿入される制御棒によって燃焼度の進行が遅れ、かつ燃料集合体横断面の燃焼度も制御棒側の進行が遅れることになる効果を考えてのことである。
【0028】
初装荷炉心の平均濃縮度が 2.2wt%以上の場合、サイクル末期にコントロールセルの制御棒を引き抜いた時にこれらの効果により制御棒に隣接する燃料集合体にMLHGR(最大線出力密度)が生じないように燃料集合体の平均濃縮度を設定すると 1.2〜 1.4wt%の濃縮度以下であることが要請される。
【0029】
その結果、低濃縮度燃料がコントロールセルの数と径方向出力分布抑制用の数だけ必要となり、炉心の平均濃縮度が低下する。
【0030】
ところで、炉心平均濃縮度を高めることと、同一の炉心平均濃縮度なら前述の濃縮度分散のパラメータを大きくした方が取り出し燃焼度向上の点からはよいとすると、濃縮度の選定に当たっては最大濃縮度の燃料集合体の濃縮度はより高く、その体数はより多く、また最低濃縮度の燃料の濃縮度はより低く、燃料集合体の体数は炉心平均濃縮度を低下させないように少なく、できるならば第1サイクル後取り出される燃料集合体とほぼ同じ体数とし、燃料濃縮度の種類を少なくすることが要点である。
【0031】
その様な観点からは、4バッチを越えるような平衡サイクル取り替え燃料集合体と同じ濃縮度の最高濃縮度燃料集合体を初装荷炉心に使用する場合、濃縮度3タイプの方が取り出し燃焼度は向上するが、最高濃縮度燃料集合体の径方向ピーキングはより増加するので、その対策が必要になる。
【0032】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、平衡炉心において4バッチ程度またはそれ以上の取り替え燃料集合体となる 3.4wt%以上の濃縮度の燃料を初装荷炉心の最高濃縮度燃料集合体として使用する場合の、第1、第2サイクルの熱的特性を満足し、燃料経済性向上及び初装荷燃料集合体の製造コストの低減を同時に計ることができる沸騰水型原子炉用燃料集合体およびその炉心を提供することにある。
【0033】
特に、初装荷炉心に使用する最高濃縮度の燃料集合体が、平衡サイクル運用時には4バッチ以上に対応する場合においても、濃縮度を3タイプにして初装荷炉心の構成を単純化して、燃料集合体製造コスト低減のメリットと、燃料経済性、最小限界出力比(MCPR)および最大線出力密度を満たし、かつ良好な炉心性能を満たすことができる沸騰水型原子炉用燃料集合体およびその炉心を提供することにある。
【0034】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、長尺燃料棒と、この長尺燃料棒よりも有効部分が短い短尺燃料棒とを格子状に束ねて構成される燃料集合体において、可燃性毒物を含有する燃料棒として、前記長尺燃料棒の上下端の少なくとも一方のブランケット領域を除く燃料有効長内の領域に可燃性毒物が含有されている第1群の可燃性毒物含有燃料棒と、前記短尺燃料棒が存在する軸方向下部領域に相当する部位の少なくとも一部分に可燃性毒物が含有されている第2a群の長尺の可燃性毒物含有燃料棒とを具備し、且つ2本の前記第1群の可燃性毒物含有燃料棒と1本の前記第2a群の可燃性毒物含有燃料棒の3本がL字形に前記短尺燃料棒を囲むように隣接して配置された短尺燃料棒配置箇所を少なくとも1箇所有することを特徴とする。
【0035】
請求項2記載の発明は、長尺燃料棒と、この長尺燃料棒よりも有効部分が短い短尺燃料棒とを格子状に束ねて構成される燃料集合体において、可燃性毒物を含有する燃料棒として、前記長尺燃料棒の上下端の少なくとも一方のブランケット領域を除く燃料有効長内の領域に可燃性毒物が含有されている第1群の可燃性毒物含有燃料棒と、前記短尺燃料棒が存在する軸方向下部領域に相当する部位の少なくとも一部分に可燃性毒物が含有されている第2b群の短尺の可燃性毒物含有燃料棒とを具備し、且つ2本の前記第1群の可燃性毒物含有燃料棒と1本の前記第2b群の短尺の可燃性毒物含有燃料棒の3本がL字形に隣接して配置された箇所を少なくとも1箇所有するとともに、前記第1群の可燃性毒物含有燃料棒3本がL字形に前記短尺燃料棒を囲むように隣接して配置された短尺燃料棒配置箇所を少なくとも1箇所有することを特徴とする。
【0036】
請求項3記載の発明は、長尺燃料棒と、この長尺燃料棒よりも有効部分が短い短尺燃料棒とを格子状に束ねて構成される燃料集合体において、可燃性毒物を含有する燃料棒として、前記長尺燃料棒の上下端の少なくとも一方のブランケット領域を除く燃料有効長内の領域に可燃性毒物が含有されている第1群の可燃性毒物含有燃料棒と、前記短尺燃料棒が存在する軸方向下部領域に相当する部位の少なくとも一部分に可燃性毒物が含有されている第2a群の長尺の可燃性毒物含有燃料棒とを具備し、且つ前記第1群の可燃性毒物含有燃料棒4本が前記第2a群の長尺の可燃性毒物含有燃料棒を中心に十字形に隣接して配置している配置箇所を少なくとも1箇所有することを特徴とする燃料集合体。
【0037】
請求項4記載の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の燃料集合体において、前記ブランケット領域を除く燃料有効長内の領域である濃縮領域の上端から燃料有効長の1/12から1/6の長さの低可燃性毒物領域を有し、この低可燃性毒物領域の可燃性毒物量は、低可燃性毒物領域以外の濃縮領域の可燃性毒物量より少ないことを特徴とする。
【0039】
本発明に係る沸騰水型原子炉用炉心は下記構成を有することを特徴とする。◎平衡炉心において4バッチ程度またはそれ以上の取り替え燃料集合体となる 3.4wt%以上の濃縮度の燃料集合体を初装荷燃料集合体の最高濃縮度燃料として使用する場合の、濃縮度3種類の初装荷炉心において、高濃縮度の燃料集合体を可燃性毒物の量でさらに2種類に分け、その可燃性毒物含有燃料棒の本数差が1本以上であることによる。
【0040】
また、異なる平均濃縮度の燃料集合体を複数種類使用する沸騰水型原子炉の初装荷炉心において、燃料集合体を平均濃縮度の高い方から各々タイプ1、タイプ2、タイプ3燃料集合体とすると、タイプ3燃料集合体は可燃性毒物含有燃料棒を含まず、タイプ1、タイプ2燃料集合体は可燃性毒物含有燃料棒を含み、可燃性毒物含有燃料棒本数はタイプ1燃料集合体の方がタイプ2燃料集合体より多く、かつタイプ1燃料集合体は可燃性毒物含有燃料棒が1本以上差のある2種類を有する。
【0041】
前記タイプ1燃料集合体のうち可燃性毒物含有燃料棒の多いタイプ1B燃料集合体を炉心の中央領域に主に配置し、前記タイプ1燃料のうち可燃性毒物含有燃料棒の少ないタイプ1A燃料を炉心の最外周を含む周辺領域または最外周を含まない周辺領域に主に配置する。
【0042】
タイプ2燃料集合体は、炉心中央領域に主に配置し、タイプ3燃料はコントロールセル及び炉心中央領域に主に配置する。炉心最外周にはタイプ1A、タイプ2、タイプ3燃料のいずれを配置してもよい。さらにタイプ1A,2,3のうち任意の2種類の混合配置でもよい。前記タイプ1A及び1B燃料集合体は、上記(1)から(4)に記載したいずれかの可燃性毒物含有燃料棒を有している。
【0043】
【作用】
本発明では、可燃性毒物含有燃料棒の隣接配置を短尺燃料棒を囲むか、または含むようにし、前記第1群ないし第2a,第2b群の可燃性毒物含有燃料棒をL字形、または短尺燃料棒をはさむか、または含むようにし前記第1群ないし第2a、第2b群の可燃性毒物含有燃料棒を直線形に隣接して配置しているので、短尺燃料棒の有効部分とその上側の部分で大きく可燃性毒物の燃える速度を変化させることができる。
【0044】
つまり短尺燃料有効部分に位置する隣接した可燃性毒物含有燃料棒の領域は、上側の領域よりも減速材の量が少なく熱中性子の供給量が少なく、且つ水平断面でL字形に3本または直線的に2〜3本の可燃性毒物含有燃料棒領域が隣接しているので、熱中性子束吸収作用が干渉し合い、その結果、可燃性毒物の効果が小さくなり、長い期間に亘って毒物効果が持続する。
【0045】
これに対し、短尺燃料棒の有効部より上側では減速材の量が多いことによって多くの熱中性子が供給され、可燃性毒物の燃え方が速くなる。特に短尺燃料から上方の領域において、可燃性毒物含有燃料棒領域が横断面内で離散的配置を組み合わせると、熱中性子束吸収作用の干渉がなくなるので可燃性毒物の燃焼を速くできる。
【0046】
ところで、沸騰水型原子炉では冷却材は炉心入口ではサブクール状態で燃料集合体の冷却材チャンネルに流入し、燃料棒からの熱を除去する過程でサブクール沸騰から飽和沸騰に変わって、2相流となる。そして、燃料集合体軸方向に上方になるに従い、ボイド率が増加し、その結果、減速材の密度は上方の方が低く、中性子のエネルギースペクトルも上方程固くなる。
【0047】
このような場合、燃料棒中ウラン235 等の核分裂性物質も核分裂断面積が小さくなり燃焼が遅れるが、同時に可燃性毒物であるGdの熱中性子吸収断面積も小さくなり燃焼が遅くなる。
【0048】
したがって、燃料集合体の上部の燃え方が下部よりも遅くなり、サイクル末期にも上部で可燃性毒物の燃え残りが反応度ロスを招き、その結果、中性子経済を悪くしている。
【0049】
しかし、本発明のように可燃性毒物含有燃料棒の隣接配置を短尺燃料棒を囲むようにするか、または含むように、前記第1群ないし第2a,第2b群の可燃性毒物含有燃料棒をL字形、または短尺燃料棒をはさむか、または含むように前記第1群ないし第2a,第2b群の可燃性毒物含有燃料棒を直線形に隣接して配置することによって、短尺燃料棒の有効部から上部ではその下部と同一のガドリニア濃度でもより速くガドリニアが燃焼し、サイクル中期から燃料上部の反応度が増加し、軸方向出力分布の平坦化に役立つ。
【0050】
また、短尺燃料棒を囲むかまたは含んでL字形に3本の可燃性毒物含有燃料棒で隣接配置するか、または短尺燃料棒をはさんでまたは含んで直線的に3本の可燃性毒物含有燃料棒で隣接配置し、中央の1本の可燃性毒物含有燃料棒を短尺燃料棒の有効部分の領域の少なくとも1部にのみ可燃性毒物を含有する構成の場合は、さらに当該可燃性毒物含有領域のみ3本の可燃性毒物含有燃料棒が隣接して、互いに強く干渉しあい、可燃性毒物の燃焼速度が遅くなる。
【0051】
これに対し、短尺燃料棒の燃料有効部より上方では対角方向に2本のみまたは1本おいて可燃性毒物燃料棒が配置され、隣接干渉効果が弱く、さらに隣は短尺燃料棒の上方空間で減速材が十分供給されているので、熱中性子の供給が多く、その二つの効果で下部よりも可燃性毒物の燃える速度がさらに大きくできる。その結果、可燃性毒物の燃焼速度に上下で大きな差をつけることができ、サイクルの末期までに燃料集合体中上部の可燃性毒物を燃焼し尽くし易く出来る。
【0052】
そのため、燃料集合体下部は燃料集合体全体の反応度がピークを迎える(つまり径方向出力ピーキングが大きくなる)サイクル末期でも、従来技術で必要になる約9wt%よりも低いガドリニア濃度で、若干の可燃性毒物を残して、燃料集合体の軸方向出力分布が下方にピークになり易いのを、燃料集合体上方の反応度を高め、下部反応度を抑制して平坦化できる。
【0053】
例えば初装荷濃縮度3タイプ炉心において、最高濃縮度燃料集合体が例えば3.75wt%濃縮度の取り替え燃料と同じとすると、例えば濃縮度の3.75(タイプ1), 2.5(タイプ2),1.25(タイプ3)wt%のような濃縮度分布となる。
【0054】
これに対して、本発明によれば核燃料タイプの濃縮度は同じであるが、高濃縮度の3.75wt%(タイプ1)の燃料集合体に対しては可燃性毒物として添加するガドリニア入り燃料棒の本数が少ないもの(タイプ1A)と多いもの(タイプ1B)の2種類用意し、そのガドリニア入り燃料棒の本数差が1本以上とする。
【0055】
さらに燃料集合体の軸方向のガドリニア含有燃料棒の配置をタイプ1A燃料集合体において、第1群の長尺可燃性毒物含有燃料棒2本と第2群の可燃性毒物燃料棒1本を、前記短尺燃料棒の配置箇所で、L字形に前記短尺燃料棒を囲むようにまたは含むように隣接して配置された短尺燃料棒配置箇所を2箇所以上有するように配置する。
【0056】
これによりガドリニア含有燃料棒本数が少ない分燃料集合体の反応度ピークが高くなり易く且つ、燃料下部での出力ピーキングが発生し易い、高濃縮度燃料の低ガドリニア燃料(タイプ1A)を第1サイクルの末期及び第2サイクル初期において、最大線出力密度の運転基準を満たすことができる。
【0057】
しかも、高い濃縮度の初装荷燃料のガドリニア設計の異なる種類の間では、濃縮度所要量の設計は共通化させることによって、初装荷燃料に必要な濃縮ウラン粉末の濃縮度の種類を増加させずに対応できる。
【0058】
この結果、本発明の濃縮度3タイプ炉心では初装荷炉心の低濃縮度燃料(タイプ1)の体数を従来技術より減少することができ、その結果炉心平均濃縮度をより高めることによって初装荷炉心の取り出し燃焼度を増大できる。
【0059】
【実施例】
図面を参照しながら本発明に係る沸騰水型原子炉用燃料集合体およびその炉心の実施例を説明する。
【0060】
図1は本発明に係る沸騰水型原子炉用炉心の 1/4 90゜回転対称の初装荷炉心の燃料配置例を示している。本実施例に係る炉心では燃料集合体の平均濃縮度が異なる3種類の燃料集合体(高濃縮度燃料のタイプ1A,1B燃料集合体、中濃縮度燃料のタイプ2燃料集合体、低濃縮度燃料のタイプ3燃料集合体)を用いている。その燃料集合体の平均濃縮度と体数を下表に示す。
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】
本発明に係る炉心では、例えば取り替え燃料の平均濃縮度を3.75wt%とした場合、初装荷炉心の濃縮度のタイプを3.75(タイプ1A,タイプ1B), 2.5(タイプ2),1.25(タイプ3)wt%のような3種類にする。
【0064】
3.75wt%(タイプ1A,タイプ1B)の燃料に対しては可燃性毒物として添加するガドリニア入り燃料棒の本数が少ないもの(タイプ1A)と多いもの(タイプ1B)の2種類用意し、そのガドリニア入り燃料棒の本数差を1本以上とする。また、高い濃縮度の初装荷燃料のガドリニア設計の異なる燃料集合体の間では、濃縮度所要量の設計は共通化させると、さらに燃料製造上都合がよい。
【0065】
本実施例では炉心最外周にタイプ3燃料集合体3p(ここでは炉心の中央に配置されるタイプ3燃料と同一設計の場合でも第1サイクルから第2サイクルへの燃料交換、移動が分かりやすいように炉心最外周のタイプ3燃料に3pの符号を付した。)を配置する。
【0066】
また、炉心中央領域には、制御棒周囲4体をすべてタイプ3燃料集合体で構成されたコントロールセルC(出力運転中、反応度制御および出力分布制御を行うための専用の制御棒セルで、制御棒周囲の燃料集合体は低反応度の燃料集合体を配置する。)を配置する。
【0067】
最外周から第2層目、第3層目には最高濃縮度のタイプ1A燃料集合体のみを配置するか、または大半をタイプ1A燃料集合体とする。
【0068】
さらに炉心内側の領域ではタイプ1A、タイプ1B燃料集合体を原則としてタイプ2またはタイプ3燃料集合体に面するように分散配置する。例えば、コントロールセルCに面した制御棒セルは原則としてタイプ2またはタイプ3燃料集合体と、タイプ1A燃料集合体を交互にほぼチェカーボード状に配置する。
【0069】
コントロールセルCに面しない制御棒セルは原則としてタイプ2またはタイプ3燃料集合体と、タイプ1B燃料集合体を交互にほぼチェカーボード状に配置するか、または原則としてタイプ2とタイプ3燃料集合体の燃料集合体を3体とタイプ1B燃料集合体1体を配置する。
【0070】
このタイプ3燃料集合体の数は第1回取り替え燃料集合体の体数より多くする。特にこの例では、図を省略するが第2サイクルの炉心燃料配置は、最外周のタイプ3燃料集合体は第2サイクルも最外周に配置され、第1サイクルの最外周より内側に配置されたタイプ3燃料集合体のみが第1回取り替え燃料集合体と交換される。
【0071】
図2は上記初装荷炉心に配置されるタイプ1A,タイプ1B,タイプ2及びタイプ3の燃料集合体について軸方向濃縮分布、可燃性毒物の軸方向分布を模式的に図示した分布図である。
【0072】
図3は図2における各燃料集合体の構造の一例を示したものである。すなわち燃料集合体1は長尺燃料棒2、短尺燃料棒3及び太径ウォータロッド6をスペーサ8で9行9列の正方格子状に束ねて上部タイプレート4および下部タイプレート5に固定して燃料棒束とし、この燃料棒束をチャンネルボックス7で包囲して構成されている。なお、図3(A)は燃料集合体を示し、図3(B)は(A)のB−B断面図、図3(C)は(A)のC−C断面図である。
【0073】
図4(A)は図3における長尺燃料棒2を示し、同(B)は短尺燃料棒3の構成を示している。すなわち、これらの燃料棒2、3は共に複数個の燃料ペレット10が被覆管11内に装填され、被覆管11の両端は上部端栓 12および下部端栓13で封止され、被覆管11上部のプレナム14内にスプリング15を設けて燃料ペレット10を押圧している。なお、短尺燃料棒3は上部および下部にプレナム14が設けられている。
【0074】
短尺燃料棒3は、燃料集合体上部の冷却材流路を拡大して圧損を低減するとともに、炉停止余裕を向上させている。また、短尺燃料棒3の位置は沸騰遷移を起こし易い位置を選んで選定されており、限界出力の向上に寄与している。
【0075】
これらの初装荷炉心用燃料集合体は図2に示したように燃料有効長“L”の上下端にブランケット領域(天然ウラン、劣化ウランまたは再処理回収ウランを使用した燃料有効領域)を有し、その長さはそれぞれL/24〜L/12である。ここでは上部がL/12、下部がL/24の長さである。
【0076】
タイプ1A,1B,タイプ2燃料集合体濃縮領域“Le ”が濃縮度の軸方向分布を有し、タイプ3燃料集合体の濃縮領域“Le ”の濃縮度は軸方向に一様である。タイプ1A,タイプ1B燃料集合体およびタイプ2燃料集合体は燃料有効長“L”の下端から約 L/3〜 L/2の位置に濃縮度の区分境界a(図中aを括弧で囲んである)を有し、境界aの上下で上部の濃縮度の方が下部よりも約 0.1〜 0.2wt%程度高い。
【0077】
なお、ここでタイプ1(1A,1B)燃料集合体とタイプ2燃料集合体の境界aを軸方向にずらしてもよい。ずらす場合はタイプ2燃料集合体の境界aをタイプ1(1A,1B)燃料集合体のそれよりもL/12以上上方に設定する。
【0078】
また、タイプ1A,タイプ1B,タイプ2燃料集合体は可燃性毒物燃料棒を有し、その本数はタイプ2,タイプ1A,タイプ1Bの順に多くなる。可燃性毒物としてはここでは燃料ペレットにガドリニアを添加する形態を考える。
【0079】
可燃性毒物の軸方向分布設計は、燃料有効長“L”の内の濃縮領域“Le ”に可燃性毒物が添加されており、その領域“Le ”内で一様か分布を有する設計が考えられる。
【0080】
分布を有する例としては図2に示すように、その領域内で可燃性毒物添加燃料棒のガドリニア濃度は一様または濃縮度区分の境界aと同じ位置で可燃性毒物の量に差があり、燃料集合体全体のガドリニア軸方向設計として、図2の如く境界aの上側でガドリニア量が小さく下側で大きくなっている。
【0081】
さらにタイプ1(1A,1Bの両方)燃料集合体およびタイプ2の燃料集合体のいずれかまたは両方ともが、境界aより上方の濃縮領域“Le ”の上端から約L/12〜L/6 の長さの可燃性毒物量の少ない低可燃性毒物領域“LLG”を有する。
【0082】
なお、短尺燃料棒(図2中では“PLR”と記入)については、燃料有効部の上下端にブランケット部を設けず、単純設計のため、ここでは濃縮度の軸方向分布は設けない一様濃縮度設計としている。
【0083】
タイプ1(1A,1B)、タイプ2燃料集合体については、燃料集合体の有効部“L”の内、短尺燃料棒の有効部から上方の領域“Lv ”の燃料装荷量がそれより下方の領域よりも小さいことを考慮すると、燃料棒下部の燃料ウランの量が多い分、軸方向下部に出力ピーキングが発生しやすいのでより平坦化の対策が必要である。例えばaの境界は約L/3 の位置の方が軸方向出力が平坦化しやすい。また、境界aの上下の濃縮度差をより上に大きくすることも効果がある。
【0084】
可燃性毒物量を少なくする手段は、タイプ1燃料集合体についてはガドリニアの濃度を可燃性毒物領域“LLG”のすぐ下の領域より小さくする。例えばガドリニア濃度を 1.5〜5 wt%の低い濃度とする。または、ガドリニア添加燃料棒を1本減少するか、あるいはその両方とする等の手段がある。この例ではガドリニアの濃度を低下させている。
【0085】
また、タイプ1(1A,1B)燃料集合体は低可燃性毒物領域“LLG”に対応した部位の濃縮度を濃縮領域の中で最低の濃縮度とするか、または境界aの下側の濃縮度と同程度の濃縮度としてもよい。
【0086】
タイプ2燃料集合体についてもタイプ1燃料集合体と同様に低可燃性毒物領域“LLG”のガドリニア添加燃料棒を1〜3本減少するか、ガドリニア濃度を 1.5〜5 wt%の低い濃度とするか、またはその二つを組み合わせることが考えられる。また、低可燃性毒物領域“LLG”に対応した部位の濃縮度はその下方の濃縮度と同じとする。
【0087】
図5、図6、図7及び図8は本発明に係る燃料集合体について、タイプ1(1A,1B)燃料集合体、タイプ2燃料集合体、タイプ3燃料集合体の横断面および軸方向の燃料棒濃縮度を縦断面で示している。
【0088】
各図とも(a)は燃料集合体の水平断面で、それぞれ燃料棒タイプの配置を示し、(b)に各燃料棒タイプの軸方向濃縮度およびガドリニア分布を縦断面で示している。上下端はブランケット領域を示す。ガドリニア含有燃料棒のタイプにはGを付してある。
【0089】
ここでの濃縮度はA,B,C,D,………G,H,I,Kと濃縮度の高いほうから順に記号で示す。可燃性毒物としてガドリニアを使用する場合の濃度を、ガドリニア含有燃料棒の当該部分に数値で示す。図5はタイプ1A,図6はタイプ1B,図7はタイプ2、図8はタイプ3の燃料集合体である。図8のようにタイプ3燃料集合体はより簡単化した濃縮度分布とする。
【0090】
タイプ1(1A,1B)燃料集合体は図5及び図6に示すように、長尺燃料棒1〜7,G1〜2と、この長尺燃料棒1〜7,G1〜2よりも有効部分が短い短尺燃料棒Pとを格子状に束ねて構成される燃料集合体において、可燃性毒物を含有する燃料棒G1,G2として、前記長尺燃料棒のうちの複数本からなる。
【0091】
そして、その上端または下端または上下端のブランケット領域を除く軸方向中央部の大部分の領域に可燃性毒物が含有されている第1群の可燃性毒物含有燃料棒G1と、前記短尺燃料棒Pが存在する軸方向下部領域に相当する部位の少なくとも一部分だけに可燃性毒物が含まれている第2a群の前記長尺の可燃性毒物含有燃料棒G2とを有している。
【0092】
ここではタイプ1A燃料集合体は図5に示すように、第1群の可燃性毒物含有燃料棒G1が2本と第2a群の可燃性毒物燃料棒G2が1本の計3本前記短尺燃料棒Pの1配置箇所に対してL型に短尺燃料棒を囲むように隣接して配置された短尺燃料棒Pの配置箇所を2箇所有し、また第1群の前記可燃性毒物含有の長尺燃料棒G1の3本が前記短尺燃料棒Pの配置箇所に対してL字形に短尺燃料棒Pを囲むように隣接して配置された短尺燃料棒配置箇所を2箇所有している。
なお、図5(a)では、第1群の前記可燃性毒物含有の長尺燃料棒G1の3本が前記短尺燃料棒Pの配置箇所に対してL字形に短尺燃料棒Pを囲むように隣接して配置された短尺燃料棒配置箇所が3箇所となっているが、この内の1箇所において、可燃性毒物含有燃料棒をL字形に配置した3本の隣接配置の中心の第1群の前記可燃性毒物含有の長尺燃料棒G1は第2a群の前記可燃性毒物燃料棒G2である。したがって、図5においてG1をG2とすべき燃料棒は、(7,7)の位置の燃料棒である。これにより、第1群の可燃性毒物含有燃料棒G1が2本と第2a群の可燃性毒物燃料棒G2が1本の計3本前記短尺燃料棒Pの1配置箇所に対してL型に短尺燃料棒を囲むように隣接して配置された短尺燃料棒Pの配置箇所は2箇所となる。
【0093】
つまり、ロッド(燃料棒)の座標をX−Y軸にとれば、(2,2),(2,8),(8,2),(8,8)の位置の短尺燃料棒PはG1またはG2の可燃性毒物含有の燃料棒3本によってL字形に取り囲まれている。
【0094】
これに対し図6に示すように、第1群の長尺の可燃性毒物含有燃料棒本数の多いタイプ1B燃料集合体では、第1群の可燃性毒物含有燃料棒G1が2本と第2a群の可燃性毒物燃料棒G2が1本計3本が前記短尺燃料棒Pに対してL字形に短尺燃料棒Pを囲むように隣接して配置された短尺燃料棒Pの配置箇所を1箇所有し、第1群の前記可燃性毒物含有の長尺燃料棒G13本が、1本の短尺燃料棒Pに対してL字形に短尺燃料棒Pを囲むように隣接して配置された短尺燃料棒Pの配置箇所を3箇所所有している。
【0095】
さらに、この図6で示すように制御棒挿入位置を原点とした燃料棒座標(X,Y)表示で(7,6),(6,7)の位置の燃料棒には第1群の長尺可燃性毒物含有燃料棒G1が配置されている。
【0096】
つぎに、本発明の第1の実施例の作用を図9〜図13を用いて従来の濃縮度3タイプ炉心における高濃縮度燃料の特性との比較で説明する。
【0097】
図9は濃縮度3タイプ炉心の第1サイクルにおいてタイプ1(1A,1B)集合体、タイプ2集合体、タイプ3集合体の無限増倍率が変化する様子を示したものである。
【0098】
第1サイクル長さが起動試験等により相当長さ(2000〜3000MWd/st)取り替え炉心よりも長くなる(第1サイクル長さ約 11000MWd/st)ので、このタイプ1、タイプ2燃料集合体のガドリニア濃縮は取り替え燃料集合体よりも濃度の高いものとする。
【0099】
図9の無限増倍率のタイプ1、タイプ2燃料集合体の曲線は 7.5wt%のガドリニア添加濃度の場合の計算である。その結果、タイプ1燃料の集合体の無限増倍率の最大値は取り替え燃料集合体より小さく、ピーク位置も6000MWd/st程度後に生ずる。
【0100】
また、図10、図11に本発明の高濃縮度初装荷燃料集合体の可燃性毒物含有燃料棒の配置による無限増倍率の制御を簡単に示す。それぞれ実線(曲線a)と破線(曲線b)が本発明のような可燃性毒物配置の場合であり、一点鎖線(曲線a’)と点線(曲線b’)が可燃性毒物含有燃料棒が離散的に配置された場合の特性である。
【0101】
本発明に係る高濃縮度燃料タイプ1A、タイプ1Bは従来の高濃縮度燃料の設計と異なり、燃料集合体横断面で外周から2層目の隅部に位置する((2,2)位置およびその対象位置の)短尺燃料棒を囲むように3本の可燃性毒物含有燃料棒がL字形に隣接して配置されている。
【0102】
ガドリニア濃度が同じ 7.5wt%でも曲線a,bに示すように、従来の可燃性毒物含有燃料棒の離散的配置燃料の方が初期無限増倍率が低く、且つガドリニアが燃え尽きる時点が速く且つその時点の無限増倍率も高くなる。
【0103】
これに対して、本発明に係る高濃縮度燃料集合体は、可燃性毒物含有燃料棒が隣接配置しているため、干渉作用により毒物効果が小さくなり、燃焼初期の無限増倍率も高く、且つ燃え方が遅いので無限増倍率のピークも遅くなる。その結果、ピーク値を低く制御できる。
【0104】
これは本発明によれば、炉心の余剰反応度の観点からは、図12中、本発明は実線に示すように、従来例を点線で示した場合に比較して第1サイクル初期の余剰反応度を高くし、サイクル中期における余剰反応度の増加を抑制し、その結果、サイクル運転中に使用する制御棒の本数の変化を減少できる。
【0105】
また、第1サイクル末期の高い濃縮度燃料集合体の軸方向燃焼度分布と軸方向出力分布について図13中本発明を実線で示すように、特にタイプ1A燃料集合体では、2箇所で第2a群の可燃性毒物燃料棒を可燃性毒物含有燃料棒をL字形に配置した3本の隣接配置の中心に位置する構成としているので、タイプ1A燃料集合体では上部では可燃性毒物含有燃料棒が離散的に配置され比較的速く可燃性毒物が燃え、下部では干渉効果により遅く燃える。
【0106】
その結果、短尺燃料棒を含む燃料では下方ピークの軸方向分布になり易い第1サイクル末期において、第1群および第2a群の隣接L字形配置の可燃性毒物含有長尺燃料棒により下部のピーキングが押さえられ、且つ、上部の可燃性毒物の燃焼が速いことと、可燃性毒物燃料棒が少ないことにより無限増倍率が高く、軸方向出力分布を平坦化する。
【0107】
従来の離散的な可燃性毒物配置では、燃料集合体全体の出力ピーキング(径方向出力ピーキング)がサイクル初期から中期にかけてより小さくなるので、軸方向ボイド分布による上部の出力は低いことと相まって、上部の可燃性毒物の燃焼が遅く、第1サイクル末期にまで残留して燃料上部の無限増倍率抑制が効きすぎることと、燃料下部では可燃性毒物がほぼ燃えきって、無限増倍率の最大値を示すので両方の効果により下方ピークの出力分布が強調される。
【0108】
これに対し、本発明に係るタイプ1B燃料集合体では、第1群の可燃性毒物燃料棒をL字形に3本隣接配置する構成を3箇所としているので、タイプ1B燃料集合体では上部、下部とも干渉効果により遅く燃焼する。
【0109】
タイプ1B燃料集合体の短尺燃料棒を囲む隣接配置の第1群の可燃性毒物含有燃料棒の配置の場合、短尺燃料棒有効部上端を境界とした上下の可燃性毒物の燃え方の差は減速材の量の差であり、タイプ1A燃料集合体の場合の燃え方の差より小さい。
【0110】
しかし、タイプ1B燃料集合体は炉心中央領域で配置され、径方向出力ピーキングが大きくなり易い傾向にある。その点、隣接可燃性毒物燃料棒により、燃料集合体軸方向の大部分に亘って、反応度が抑制されるので、径方向出力ピーキングの低減に役立つ。特に従来から使用されている程度の(ここでは 7.7wt%)ガドリニアによって第1サイクルの末期近傍まで抑制される効果がある。
【0111】
この長期反応度抑制効果は、図6に示したタイプ1B燃料集合体の例では特に、(7,7)の位置に配置した前記第2a群の可燃性毒物含有燃料棒G2を第1群の可燃性毒物燃料棒G1を4本隣接して十字形の中心部に配置しているので、下部において特に大きくなっている。(7,7)配置の燃料棒G2の上部は可燃性毒物を含有していないので、隣接している4本の燃料棒G1は離散的に配置された4本の可燃性毒物燃料棒とほぼ同じ燃え方をする。
【0112】
従来の可燃性毒物含有燃料棒配置では、燃料集合体の下部において遅く可燃性毒物を燃やし、燃料集合体の上部では比較的速く可燃性毒物を燃やすためには、可燃性毒物を上下で従来の 7.5wt%以上の9〜10wt%濃度を用いて、例えば図20、図21に示すような可燃性毒物含有燃料棒の上下軸方向により複雑な設計が必要になり、また、従来技術ではガドリニア濃度をより高濃度にした結果、濃縮度をDからEに一段更に下げざるを得なくなる。
【0113】
これに対して本発明ではより単純な可燃性毒物燃料棒で製造でき、また、タイプ1A燃料集合体はタイプ1B燃料集合体よりも第1群の可燃性毒物含有燃料棒が少ないので、燃料の反応度も高く、この燃料集合体を第1サイクルの炉心最外周から2層目、3層目に配置することによって、第1サイクルの径方向出力ピーキングを平坦化できる。
【0114】
本発明の第1の実施例によれば、第1サイクルにおいて、濃縮度に最も低い且つ可燃性毒物を含有しないタイプ3燃料集合体は、炉心最外周および炉心中央領域のコントロールセルの位置に配置されることと、タイプ3燃料集合体の体数を最外周配置の数と第1回取り替え燃料集合体の数の合計以上とすることにより、第1回の燃料交換は炉心中央タイプ3燃料集合体のみとなる。この結果、濃縮度4タイプ炉心とすることなく簡単な濃縮度3タイプ炉心を構成できる。
【0115】
BWR取り替え炉心では、径方向出力分布を平坦にするには、無限増倍率の異なる燃料集合体を、分散して配置してサイクル燃料期間中、任意の最小配置の4体の平均無限増倍率がほぼ同じように配置することが重要なことがわかっている。更にインポータンスの高い炉心中央から外側に向かって徐々に平均の無限増倍率を増加させると炉心の径方向の出力分布が平坦化できることがわかっている。
【0116】
本発明の濃縮度多種類初装荷炉心において、第1サイクル初期に最大の反応度を有するタイプ2燃料集合体はそれより反応度の低いタイプ3燃料集合体、タイプ1燃料集合体に囲まれるので、タイプ2燃料集合体の径方向出力ピーキング抑制の働きをしてくれる。
【0117】
更に、初装荷炉心において高濃縮度燃料のタイプ1燃料集合体を可燃性毒物含有燃料棒の少ないタイプ1A燃料集合体と多いタイプ1B燃料集合体に分け、タイプ1B燃料集合体を炉心の中央領域内部に、タイプ1A燃料集合体を炉心の外周から2層目、3層目およびコントロールセルに面した位置に配置する。
【0118】
これにより、径方向出力ピーキングを平坦化し、更に、径方向ピーキングが大きくなり易い傾向にあるタイプ1A燃料集合体の軸方向設計において、下部に可燃性毒物含有部分を有する燃料棒をタイプ1B燃料集合体より多く設けることにより、タイプ1A燃料集合体の第1サイクル中期から第2サイクル初期にかけての燃料棒下部の線出力密度の増加を抑制する。
【0119】
この軸方向出力分布の制御を短尺燃料棒を有する燃料集合体において、短尺燃料棒隣接の効果を利用して、短尺燃料棒有効部より上部では可燃性毒物を下部より速く燃えるように工夫することにより、図20に示すような従来の隣接配置を使わない設計より、単純な可燃性毒物含有燃料棒の設計ができる。
【0120】
ちなみに従来例では、 7.5wt%以上より高濃度のガドリニアを使用するので、(4,4)、(6,6)位置の燃料棒はガドリニアが燃え尽きた時点における燃料棒の出力がウォーターロッドの効果により高いので、濃縮度を下げる必要がある。
【0121】
また、それを避けて従来例と同じガドリニア濃度とすると、図12に示したように第1サイクルにおける余剰反応度曲線の変化が大きいので、サイクル運転中に使用する制御棒の本数が増加し、これはコントロールセルをより多く用意する必要がある。
【0122】
さらに、径方向出力ピーキングを大きくする傾向にあり、図10および図11で示したように、ガドリニアが燃え尽きた時点の反応度も本発明より大きいので線出力密度を厳しくする傾向と重なり、一段と厳しくなる。本発明は、これを単純な可燃性毒物燃料設計により解決している。
【0123】
すなわち、各燃料タイプの軸方向の濃縮度分布、ガドリニア分布設計とすることによって、取り出し燃焼度が向上し、且つコントロールセル炉心において制御棒に隣接しないタイプ2、タイプ1燃料集合体の軸方向出力分布が燃料棒の軸方向反応度分布によって安定に制御でき、最大線出力密度、MCPR等の炉心の熱的制限を満足できる。
【0124】
特に、燃料有効部の下部から L/3〜L/2 の位置に濃縮度およびガドリニア量の分布境界aを設け、境界より下部の反応度を抑制することによりBWRの特徴であるボイド発生による下方ピーク出力分布を抑制し、平坦化できる。
【0125】
この境界がタイプ1燃料集合体とタイプ2燃料集合体で同じであると、境界のすぐ上部出力ピークを生じるので、反応度は低く下方出力ピーク特性の弱いタイプ2燃料集合体の前記境界aをL/12以上上方にずらすことにより、それを緩和することができる。
【0126】
また、濃縮領域の上端に低可燃性毒物領域を設け、サイクル末期における可燃性毒物の燃え残りを減じることにより燃料経済性が向上する。このときタイプ1燃料集合体については炉内装荷サイクル数が多いので、濃縮度も低減すると、移行サイクルにおける炉停止余裕の改善に寄与する。
【0127】
つぎに図14および図15により本発明に係る燃料集合体の第2の実施例を説明する。図5および図6に示した燃料集合体の第1の実施例では短尺燃料棒の有効部分にのみ可燃性毒物を含有する燃料棒は長尺燃料棒であったが、本実施例では短尺燃料棒を使っている点が異なる。つまり前記第2b群の可燃性毒物含有燃料棒PGを用いる例である。
【0128】
これにより、可燃性毒物含有燃料棒の隣接配置を確保しつつ、この燃料棒(図 14 、(2,2)(8,8)燃料棒)に隣接する最外周の燃料棒の局所出力ピーキングを軸方向出力ピークになり易い下部において抑制することができる。また、最高濃縮度の燃料棒本数をこの置き換えによって増加することができ、燃料集合体の平均濃縮度のより増加が図れる。
【0129】
つぎに、図16により本発明に係る炉心の第2の実施例における 1/4 90°回転対称の初装荷炉心の燃料配置例を説明する。本第2の実施例では燃料集合体の平均濃縮度が異なる3種類の燃料集合体(高濃縮度燃料のタイプ1A、1B燃料集合体、中濃縮度燃料のタイプ2燃料集合体、低濃縮度燃料のタイプ3燃料集合体)を用いている。その燃料集合体平均濃縮度と体数を次表に示す。
【0130】
【表3】
【0131】
【表4】
【0132】
第2の実施例では、例えば取り替え燃料集合体の平均濃縮度を3.75wt%とした場合、初装荷炉心の濃縮度のタイプを3.75(タイプ1A,タイプ1B), 2.5(タイプ2),1.25(タイプ3)wt%のような3種類にする。
【0133】
また、3.75wt%(タイプ1A,タイプ1B)の燃料集合体に対しては可燃性毒物として添加するガドリニア入り燃料棒の本数が少ないもの(タイプ1A)と多いもの(タイプ1B)の2種類用意し、そのガドリニア入り燃料棒の本数差を1本以上とする。しかも高い濃縮度の初装荷燃料集合体のガドリニア設計の異なる燃料集合体の間では、濃縮度所要量の設計は共通化させる。
【0134】
本実施例では炉心最外周に高反応度のタイプ1A燃料集合体を配置し、炉心中央領域に制御棒周囲の4体の燃料集合体をすべてタイプ3燃料集合体で構成されたコントロールセルC(出力運転中、反応度制御および出力分布制御を行うための専用の制御棒セルで制御棒周囲の燃料集合体は低反応度の燃料集合体を配置する。)を配置する。最外周から第2層目には最高濃縮度のタイプ1A燃料集合体のみを配置するか、または大半をタイプ1A燃料集合体とする。
【0135】
他の残りの位置ではタイプ1燃料集合体は原則としてタイプ2またはタイプ3燃料集合体に面するように分散配置する。例えば、コントロールセルCに面した制御棒セルは原則としてタイプ2またはタイプ3燃料集合体と、タイプ1Aまたはタイプ1B燃料集合体を交互にほぼチェカーボード状に配置する。
【0136】
コントロールセルCに面しない制御棒セルは原則としてタイプ2またはタイプ3燃料集合体と、タイプ1B燃料集合体を交互にほぼチェカーボード状に配置するか、タイプ2とタイプ3燃料集合体の燃料集合体3体とタイプ1B燃料集合体1体を配置する。
【0137】
本実施例で使用する燃料集合体の軸方向設計としては前述した図2と同様に可能であり、本実施例では最外周に高反応度のタイプ1A燃料集合体を配置しているので、径方向出力分布がより一層平坦化され、MCPRや最大線出力密度の特性が炉心の第1の実施例よりも向上できる。
【0138】
また、最外周配置のタイプ1A燃料集合体は炉心中央領域の燃料に比較して約50%程度の出力であり、第1サイクルにおける燃焼が進まないので、第2サイクルに持ち越される反応度が大きい。その結果、第2サイクルへの燃料交換体数を低減できる。また、初装荷炉心の平均濃縮度も増加するので初装荷炉心の取り出し燃焼度増加に寄与する。
【0139】
なお、これまでの実施例では最外周の燃料集合体はタイプ1燃料集合体かタイプ3燃料集合体を配置したが、本発明の変形例としてタイプ2燃料集合体を配置してもよいし、タイプ1とタイプ2燃料集合対を混合させても、タイプ1とタイプ3燃料集合体の混合配置、タイプ2燃料集合体とタイプ3燃料集合体の混合配置としてもよく、その特性は中間的な効果を得る。
【0140】
本発明の第1、第2の実施例の炉心を第2サイクルに移行するときはタイプ3燃料集合体の燃焼の進んだものから優先的に取り出して、コントロールセルCにはタイプ2燃料集合体の比較的燃焼の進んだ燃料集合体を配置する。
【0141】
この時、コントロールセルの数は第1サイクルより減らす。例えば本発明では第1サイクルに37個のコントロールセルを用いているが第2サイクルには21〜29個のコントロールセルに減じるか、または、炉心最外周には燃焼の進んだ反応度の低いタイプ3、タイプ2燃料集合体を配置する。
【0142】
第2サイクルのためにタイプ2燃料集合体は
コントロールセル用 84〜 116本
最外周用 92体の内タイプ3燃料集合体が足りない分
炉心中央径方向出力平坦化用 残り体数
が必要である。
【0143】
本発明によれば、第1回取り替え燃料集合体はほぼ 100体前後であり、タイプ2燃料集合体は第2サイクルにおいて炉心中央領域のコントロールセルではないところに配置しても上記要望に満足できる。
【0144】
したがって、容易に第2サイクルに移行して径方向出力分布の平坦化が実現でき、第2サイクルのコントロールセル炉心、低中性子漏洩炉心が構成できる。第2サイクル以降、低中性子漏洩炉心を組むことにより、更に初装荷炉心の取り出し燃焼度が向上する。
【0145】
つぎに、図17から図19により本発明の燃料集合体の第3の実施例を説明する。
【0146】
本実施例では図3に示す9×9燃料集合体の例における(2,2),(5,2)およびその対称位置にある短尺燃料棒隣接の2層目燃料棒を使った可燃性毒物含有燃料棒の隣接配置の利用である。この例では基本的に2本の可燃性毒物含有燃料棒G1の隣接配置とその2本の燃料棒G1の両隣が短尺燃料棒P1、PGになっている点が特徴である。
【0147】
例えば、図17の(3,2),(4,2)の第1群の可燃性毒物含有燃料棒G1は、短尺燃料棒P1の有効部分領域では減速材が少なく、両方の燃料棒が面する部分で遮蔽効果がある。しかし、短尺燃料棒有効部より上方の部分では(3,2),(4,2)の各燃料棒は隣接の短尺燃料棒P1上方の減速材領域からより多くの熱中性子が供給されるので、可燃性毒物が速く燃焼する。
【0148】
したがって、この場合も可燃性毒物含有燃料棒の配置による下部での遮蔽効果と上部における短尺燃料棒の上方空隙効果を第1の実施例同様に得て、燃焼初期の無限増倍率の増加、燃焼過程における下部よりも上部の方が速く燃焼することによる軸方向出力分布の長期に亘る平坦化が得られる。
【0149】
図18に示したように図17と同様に配置した短尺燃料棒の一部に可燃性毒物を含有した第2b群の可燃性毒物含有燃料棒PGを組み合わせることにより第1の燃料集合体の実施例と同様の効果が得られる。
【0150】
図19は図17における(2,6)の可燃性毒物燃料棒G1を(3,7)に、また(8,4)を(7,3)に配置換えしたことにある。また、第1の実施例の可燃性毒物含有燃料棒3本をL字形に隣接配置した例と第2の実施例の隣接配置を混合して使用してもよい。
【0151】
図17から図19に示す可燃性毒物含有燃料棒G1,G2の本数が多い例は、取り替え燃料集合体の場合に適する。取り替え炉心の場合、炉心全体の余剰反応度とバランスが取れる濃度は4〜6wt%のガドリニア濃度となる。
【0152】
これまでの実施例では初装荷炉心の燃料集合体の最大濃縮度を3.75wt%の例で説明してきたが、より高い濃縮度を使用した場合にも適用できる。また、燃料集合体の断面構造も濃縮度分布を具体的に例示した9×9燃料棒格子に限定されるものではない。
【0153】
さらに、濃縮度3タイプ炉心の例で示したが、濃縮度4タイプ炉心においてコントロールセルを最低濃縮度燃料とせず、より高い濃縮度 1.3wt%以上の濃縮度の燃料集合体をコントロールセルの燃料集合体とする場合にも応用できる。
【0154】
【発明の効果】
本発明によれば濃縮度多種類の初装荷炉心において、より高濃縮度の採用の場合でも、高濃縮度燃料を第1サイクルの末期および第2サイクル初期において、最大線出力密度の運転基準を満たすことができる。
【0155】
その過程で高濃縮度燃料のガドリニア含有燃料棒の軸方向設計を簡単化し、かつ従来例が必要とするよりも低濃度のガドリニアで、残留ガドリニア反応度ロスを低減しつつ実現できる。その結果、最高濃縮度燃料集合体の体数を減少することなく、対応が可能となり初装荷炉心の取り出し燃焼度向上が実現できる。
【0156】
また、取り替え燃料炉心においても、部分長の短尺燃料棒の利用により簡単なガドリニア含有燃料棒の軸方向設計により、軸方向出力分布制御ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る沸騰水型原子炉用炉心の第1の実施例における初装荷炉心を示す燃料配置図。
【図2】図1における初装荷炉心に配置する各燃料集合体の軸方向濃縮度、可燃性毒物の分布を説明するための分布図。
【図3】(A)は図1の初装荷炉心に配置する燃料集合体の一例を示す縦断面図、(B)は(A)におけるB−B矢視断面図、(C)は(A)のC−C矢視断面図。
【図4】(A)は図3における標準の長尺燃料棒を一部断面で示す立面図、(B)は同じく短尺燃料棒を一部断面で示す立面図。
【図5】(a)は本発明に係るタイプ1A燃料集合体の第1の例を示す横断面図、(b)は(a)における燃料棒の濃縮度状態を示す縦断面図。
【図6】(a)は本発明に係るタイプ1B燃料集合体の第2の例を示す横断面図、(b)は(a)における燃料棒の濃縮度状態を示す縦断面図。
【図7】(a)は本発明に係るタイプ2燃料集合体を示す横断面図、(b)は(a)における燃料棒の濃縮度状態を示す縦断面図。
【図8】(a)は本発明に係るタイプ3燃料集合体を示す横断面図、(b)は(a)における燃料棒の濃縮度状態を示す縦断面図。
【図9】本発明の初装荷炉心を構成する各燃料タイプの無限増倍率の燃焼推移例を示す特性図。
【図10】本発明に係るタイプ1A燃料集合体と従来の燃料集合体の無限増倍率の燃焼推移を比較して示す特性図。
【図11】本発明に係るタイプ1B燃料集合体と従来の燃料集合体の無限増倍率の燃焼推移を比較して示す特性図。
【図12】本発明と従来例における第1サイクルの余剰反応度の推移を示す特性図。
【図13】(a)は本発明に係る最高濃縮度の初装荷燃料集合体と従来例と第1サイクル末期における軸方向燃焼度分布を示す特性図、(b)は(a)と同じく相対出力分布を示す特性図。
【図14】(a)は本発明に係るタイプ1A燃料集合体の第2の例を示す横断面図、(b)は(a)における燃料棒の濃縮度状態を示す縦断面図。
【図15】(a)は本発明に係るタイプ1B燃料集合体の第2の例を示す横断面図、(b)は(a)における燃料棒の濃縮度状態を示す縦断面図。
【図16】本発明における初装荷炉心の第2の実施例を示す燃料配置図。
【図17】(a)は本発明に係る燃料集合体の第3の実施例における第1の例を示す横断面図、(b)は(a)における燃料棒の濃縮度状態を示す縦断面図。
【図18】(a)は図17において、第2の例を示す横断面図、(b)は(a)における燃料棒の濃縮状態を示す縦断面図。
【図19】(a)は図17において、第3の例を示す横断面図、(b)は(a)における燃料棒の濃縮状態を示す縦断面図。
【図20】(a)は従来の燃焼集合体の第1の例を示す横断面図、(b)は(a)における燃料棒の濃縮状態を示す縦断面図。
【図21】(a)は従来の燃焼集合体の第2の例を示す横断面図、(b)は(a)における燃料棒の濃縮状態を示す縦断面図。
【符号の説明】
2…長尺燃料棒、2…短尺燃料棒、10…燃料ペレット、11…被覆管、12…上部端線、13…下部端線、14…ガスプレナム、15…スプリング。
Claims (4)
- 長尺燃料棒と、この長尺燃料棒よりも有効部分が短い短尺燃料棒とを格子状に束ねて構成される燃料集合体において、可燃性毒物を含有する燃料棒として、前記長尺燃料棒の上下端の少なくとも一方のブランケット領域を除く燃料有効長内の領域に可燃性毒物が含有されている第1群の可燃性毒物含有燃料棒と、前記短尺燃料棒が存在する軸方向下部領域に相当する部位の少なくとも一部分に可燃性毒物が含有されている第2a群の長尺の可燃性毒物含有燃料棒とを具備し、且つ2本の前記第1群の可燃性毒物含有燃料棒と1本の前記第2a群の可燃性毒物含有燃料棒の3本がL字形に前記短尺燃料棒を囲むように隣接して配置された短尺燃料棒配置箇所を少なくとも1箇所有することを特徴とする燃料集合体。
- 長尺燃料棒と、この長尺燃料棒よりも有効部分が短い短尺燃料棒とを格子状に束ねて構成される燃料集合体において、可燃性毒物を含有する燃料棒として、前記長尺燃料棒の上下端の少なくとも一方のブランケット領域を除く燃料有効長内の領域に可燃性毒物が含有されている第1群の可燃性毒物含有燃料棒と、前記短尺燃料棒が存在する軸方向下部領域に相当する部位の少なくとも一部分に可燃性毒物が含有されている第2b群の短尺の可燃性毒物含有燃料棒とを具備し、且つ2本の前記第1群の可燃性毒物含有燃料棒と1本の前記第2b群の短尺の可燃性毒物含有燃料棒の3本がL字形に隣接して配置された箇所を少なくとも1箇所有するとともに、前記第1群の可燃性毒物含有燃料棒3本がL字形に前記短尺燃料棒を囲むように隣接して配置された短尺燃料棒配置箇所を少なくとも1箇所有することを特徴とする燃料集合体。
- 長尺燃料棒と、この長尺燃料棒よりも有効部分が短い短尺燃料棒とを格子状に束ねて構成される燃料集合体において、可燃性毒物を含有する燃料棒として、前記長尺燃料棒の上下端の少なくとも一方のブランケット領域を除く燃料有効長内の領域に可燃性毒物が含有されている第1群の可燃性毒物含有燃料棒と、前記短尺燃料棒が存在する軸方向下部領域に相当する部位の少なくとも一部分に可燃性毒物が含有されている第2a群の長尺の可燃性毒物含有燃料棒とを具備し、且つ前記第1群の可燃性毒物含有燃料棒4本が前記第2a群の長尺の可燃性毒物含有燃料棒を中心に十字形に隣接して配置している配置箇所を少なくとも1箇所有することを特徴とする燃料集合体。
- 前記ブランケット領域を除く燃料有効長内の領域である濃縮領域の上端から燃料有効長の1/12から1/6の長さの低可燃性毒物領域を有し、この低可燃性毒物領域の可燃性毒物量は、低可燃性毒物領域以外の濃縮領域の可燃性毒物量より少ないことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の燃料集合体。
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