JP4354621B2 - 沸騰水型原子炉用燃料集合体 - Google Patents

沸騰水型原子炉用燃料集合体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高燃焼度化を目的とした沸騰水型原子炉用燃料集合体に関する。
【0002】
【従来の技術】
沸騰水型原子炉には、チャンネルボックスの外側に位置する水ギャップの幅が制御棒側と反制御棒側とで異なる非対称格子炉心と、これらが互いに等しい対称格子炉心との2種類がある。このうち、非対称格子はD格子と呼ばれる。また、対称格子炉心の中には、チャンネルボックスの内寸が互いに異なるC格子及びS格子と呼ばれる2種類の炉心構造の原子炉がある。
【0003】
図7はC格子とS格子との関係を説明する説明図である。図に示すように、C格子はチャンネル内寸が約134mmと広く、S格子は約132mmと狭いが、この分、水ギャップはS格子の方が広くなっている。以上のような格子構造の違いによって、C格子とS格子では核熱水力学的な特性が異なっている。
【0004】
ところで燃料集合体の製造においては、燃料ペレットの共通運用の考えが一般化している。これは、使用する燃料ペレットの濃縮度の種類を予め定めておき、格子構造の異なる原子炉に対しても、これらのペレット種のみを用いることによってウラン原料の手配、輸送、再転換及びペレット製造までの工程を共有し、製造コストの低減を図り、燃料の設計と製造を行うものである。以下、この概念を「濃縮度のコモンユース」と呼ぶ。
【0005】
燃料集合体の核設計では、経済性や熱的運転余裕の確保などを目的に、燃料集合体の半径方向及び軸方向の濃縮度配列を決定することが主な作業であるが、従来技術における濃縮度のコモンユースにおいて濃縮度間隔は、その相対比を10%以上程度としている。この相対間隔は、製造上の濃縮度判別を容易にでき、また核設計において燃料棒出力を最適化するに充分な間隔として定められたものである。
【0006】
一般に、対称格子であるC格子及びS格子向けの燃料集合体では、軸方向及び半径方向におけるペレット濃縮度配列が同じ核設計を用いることが多く、これは製造上の作業効率の向上の観点からは極めて都合がよい。すなわち、燃料棒濃縮度のコモンユースのみならず、ペレットが充填される燃料棒についても共通運用ができるからである。以下、この概念を「燃料棒のコモンユース」と呼ぶ。
【0007】
従来の相対濃縮度間隔10%以上にて、燃料棒のコモンユースの運用ができた背景を説明すると、平均濃縮度で 4.0wt%以下程度、言い換えれば、平均取出燃焼度で45Gwd/tに相当する程度の燃料集合体であれば、熱的運転余裕が充分に確保できるため、C格子及びS格子間で核熱水力学的な特性差が多少異なり、運転余裕に差が出ても問題となることはなく目的とする経済性と熱的運転余裕を達成できたためである。
【0008】
しかしながら、こうした従来技術は、さらなる高燃焼度化を進め燃料集合体の経済性を高める上では以下の点に問題が生じてきている。すなわち、燃料集合体の経済性を高めるためには、燃料集合体の平均濃縮度を高めることが不可欠である。現在、製造工程における臨界管理上の観点からウランの使用最高濃縮度は5wt%の制約があるため、高濃縮度化のためには、燃料集合体内に高濃縮度のペレットを如何に多く充填できるかが課題となっている。
【0009】
この目的のために、燃料集合体中で出力の高い最外周において高い濃縮度の燃料ペレットを添加した場合でも、最大線出力密度や最小限界出力比(以下、「MCPR」という。)の熱的運転余裕を確保できるように、燃料集合体中の燃料棒本数を増加して燃料棒一本当たりの熱負荷を低減する燃料集合体が提案されている。現在のところ、燃料格子配列を従来の8×8配列から9×9配列や10×10配列とする案がある。しかしながら、こうした燃料集合体であっても、燃料集合体の平均濃縮度を高め、さらなる高燃焼度化を進めた場合、運転中充分な熱的運転余裕を維持することが困難となる場合がある。
【0010】
高燃焼度化を進めると炉心内の燃料集合体間での燃焼度の開きが大きくなり、燃料集合体間の反応度差は拡大する。この結果、炉心の半径方向出力ピーキングは増大し、運転中のMCPRは小さくなる。すなわち、高燃焼度化によってMCPRの運転余裕は小さくなる。このように、高燃焼度化を目的とした高濃縮度化の程度は運転余裕とのバランスによりその上限が決定しているといっても過言ではない。こうした状況下で、燃料集合体の核設計においては、C格子炉心とS格子炉心との僅かな特性差が運転余裕に及ぼす影響を適切に考慮しつつ、濃縮度及び燃料棒のコモンユースを図ることが肝要となるが、従来技術においては充分な検討がなされていない。
【0011】
以下、高燃焼度化燃料の従来技術について説明する。図8は従来技術における燃料集合体の断面図であり、燃料棒の濃縮度及びガドリニア分布を示している。本断面は 5.0wt%の濃縮度制限下で高燃焼度化を図った上部断面の設計例であり、a図はC格子向け、b図はS格子向け設計の例である。C格子向けとS格子向けとは濃縮度の種類が共通であり、コモンユースが図られている。この例の場合は、最高濃縮度(e1)とその次に高い濃縮度(e2)の相対差(R)は10.1%(=(4.9-4.4)/4.9×100)である。
【0012】
図8で最高濃縮度を用いていない燃料棒は、タイプ3(コーナ位置の4本)、タイプ2(C格子ではコーナの隣8本、S格子では更に隣を含め16本)及びタイプG1(2層目の4隅) の燃料棒のみである。このうち、水ギャップの影響を受け最も中性子が熱化し易く出力ピーキングが大きくなるコーナ位置のタイプ3は、最大線出力密度を許容範囲に留めるため等の理由により低濃縮度化している。また、タイプG1 は、特に燃焼中期までの出力を低減する目的で低濃縮度化している。つまり、この位置は、水ギャップや水ロッドに隣接していないもののスペクトルの比較的軟らかい位置であり、ガドリニアの毒物効果の減損が大きい分、本ガドリニア入り燃料棒の出力、即ち燃料温度が高まり、燃料棒内圧が上昇することを避けるためである。
【0013】
また,タイプ2は最大線出力密度と最小限界出力比を満足させるために低濃縮度化している。ここで、C格子とS格子では、タイプ2の濃縮度配列は異なったものとなっており、この結果、平均濃縮度はS格子の方が、C格子より0.05wt%だけ低くなっている。この原因はC格子とS格子での限界出力の特性差にある。すなわち、チャンネルボックス内寸が小さいS格子の場合、後述するように、MCPRを決定する限界出力特性はC格子と比べて低下する傾向がある。従来実施例においては、C格子の濃縮度配列をS格子に適用するとMCPR運転余裕を設計目標以下にすることができない。このため、S格子においては、限界出力の小さい(沸騰遷移の起こりやすい)位置に対して、局所ピーキング係数の低減を要求され、この位置の燃料棒を低濃縮度とせざるを得なくなり、結果として、S格子での平均濃縮度はC格子まで高められず、この分、目標とする高燃焼度化を達成できない設計となっている。
【0014】
この様子を図9に示す。図9はMCPR運転余裕と経済性について従来例を比較した図である。具体的には、以下の3ケースに対し、MCPR運転余裕と経済性とについて相対比較したものである。
ケースC :図8のa図に示すC格子の従来例の設計ケース(基準)
ケースS :図8のb図に示すS格子の従来例の設計ケース
ケースS' :図8のa図のC格子の従来例の設計を仮想的にS格子に適用したケース
【0015】
図より明らかなように、ケースSのMCPR運転余裕はケースCと同程度に確保できるが、C格子とS格子の間での燃料棒のコモンユースを達成できないばかりか、濃縮度低下により経済性が著しく劣ってしまう。また、濃縮度がケースCと同じケースS'では、コモンユースに問題はなく、経済性はC格子と同等とできるが、目標とするMCPR運転余裕を確保できないことが判る。尚、ここではMCPR運転余裕として、運転制限値の10%以上を確保することを想定した。
【0016】
以上のように、従来技術では、濃縮度のコモンユースを前提に高濃縮度化を進めたとき、限界出力特性が低下するS格子に対しては、C格子と比べて、高濃縮度化すなわち高燃焼度化を図れないか、MCPR運転余裕が確保できない、といった不具合が生じてきている。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、2種類の対称格子であるC格子及びS格子向け燃料集合体に対し、濃縮度及び燃料棒のコモンユースを図りつつ、最小限界出力比の運転余裕を維持し、高燃焼度化を達成するのに好適な燃料集合体の燃料棒配列を得ることを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載された発明に係る沸騰水型原子炉用燃料集合体は、C格子炉心及びS格子炉心向けの9×9以上の格子配列及び4.0 wt%以上の集合体平均濃縮度を有する高燃焼度化沸騰水型原子炉用燃料集合体であって、
C格子炉心向けとS格子炉心向けとで以下の条件、
(a) 前記格子配列の格子数Nが互いに同一である。
(b) 前記格子配列の軸方向及び径方向の燃料ペレット濃縮度配列が互いに同一である。
(c) C格子炉心向けの場合の燃料棒の等間隔配列ピッチPcとS格子炉心向けの場合の燃料棒の等間隔配列ピッチPsとの差ΔP=Pc−Psが次式の範囲にある。
×(Bc−Bs)/(N−1)≦ΔP≦f×(Bc−Bs)/(N−1)
但し、Bc>Bs、
Bc:C格子炉心向けの場合のチャンネルボックスの内寸、
Bs:S格子炉心向けの場合のチャンネルボックスの内寸、
N :格子配列の格子数(9×9のときN=9、10×10のときN=10)、
,f:0≦f≦f≦1の値を取る係数、
を満足するときに、
前記格子配列の最外周の燃料棒とチャンネルボックスとの間隙は四辺で互いに等しく、
前記格子配列の燃料棒有効長上部略1/3の領域における集合体横断面内の少なくとも一部には、核燃料物質の濃縮度が 4.9wt%以上5wt%以下の最高濃縮度(e1)からなる燃料ペレット1及びその次に高い濃縮度(e2)からなる燃料ペレット2を含み、
更に前記濃縮度e1とe2との相対差R=(e1−e2)/e1×100(%)が、
5(%)≦R<10(%)
の範囲内にあり、
前記f =0.25、f =0.75、5(%)≦R<8(%)であるものである。
【0021】
請求項に記載された発明に係る沸騰水型原子炉用燃料集合体は、請求項に記載の燃料ペレット1及び/又は2が可燃性毒物を含有しない可燃性毒物無添加燃料ペレットを含み、該可燃性毒物無添加燃料ペレットが前記集合体横断面内の最外周部に配置されているものである。
【0022】
請求項に記載された発明に係る沸騰水型原子炉用燃料集合体は、請求項1又は2に記載された燃料ペレット1が可燃性毒物を含有する可燃性毒物添加燃料ペレットを含むものである。
【0023】
請求項に記載された発明に係る沸騰水型原子炉用燃料集合体は、請求項1〜の何れかに記載された格子配列のほぼ中央位置における少なくとも燃料棒9本分に相当する領域が、角型の水ロッドによって置換えられているものである。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明の燃料集合体は、最高濃縮度とその次に高い濃縮度との相対差を、C格子プラントとS格子プラントの限界出力特性の差に基づき設定するものである。本発明の燃料集合体に用いる燃料ペレット及び燃料棒は、C格子とS格子との間のコモンユースを維持したまま、C格子及びS格子の双方に対して、平均濃縮度を高めることができると共に、最小限界出力比の運転余裕を改善できる。
【0025】
ここで、C格子炉心とS格子炉心とにおける核熱水力学的な特性差について詳細に説明する。MCPRを決定する限界出力特性の差は、主にC格子とS格子でのチャンネルボックスの内寸の差により生じる。
【0026】
以下の評価は、実規模模擬燃料集合体を用いた限界出力試験により得られた膨大な試験データの結果とサブチャンネル解析コードによる結果とに基づいている。この評価では、9×9格子形状及び10×10形状の燃料集合体に対して、燃料棒直径は各々約11mm及び約10mmと固定されている。また、燃料棒の相対出力は典型的な高燃焼度燃料の例として、全てのケースで最外周燃料棒で最大となる分布を用いた。尚、評価では、高燃焼度化に好適な燃料集合体として格子配列のほぼ中央位置に燃料棒9本分を占める角型の水ロッドが配置されたものを用いた。
【0027】
燃料棒の配置は、燃料棒ピッチ(P)を等間隔とし、燃料棒とチャンネルボックスとの間隙(CL)を各4面で等しくした場合に、チャンネルボックス内寸(B)については、C格子及びS格子について、各々以下の式(1) が成り立つ。
Bi=2×CLi+Pi×(N-1)+D …式(1)
ここで、
B :チャンネルボックス内寸
CL:燃料棒とチャンネルボックスの間隙
P :燃料棒ピッチ
N :燃料格子数(9×9格子配列のときN=9、10×10格子配列のときN=10)
D :燃料棒直径
i :格子タイプを示す添え字(C格子のときi=c、S格子のときi=s)
【0028】
ここで、C格子及びS格子で用いる燃料棒として同一のものを用いる(Dは変わらず)として、燃料棒ピッチの差△PをΔP=Pc−Psとすると式(1) より次の式(2) が成り立つ。尚、ΔP=0は、燃料棒ピッチがC格子とS格子とで等しいときに相当する。
ΔP={(Bc−Bs)−2×(CLc−CLs)}/(N-1) …式(2)
【0029】
また、燃料棒とチャンネルボックスとの間隙がC格子とS格子とで等しいとき、すなわち、CLc−CLs=0となるとき、ΔPは、式(2) から次の式(3) となる。
ΔP=(Bc−Bs)/(N-1) …式(3)
【0030】
図1はC格子を基準としたときのS格子における燃料棒ピッチ差と限界出力特性との相関関係を示した線図である。図に示す通り、C格子とS格子との燃料棒ピッチを変え、この差(△P)をパラメータとして評価した結果を示している。ここで、横軸はΔP、縦軸はC格子を基準としたときのS格子の限界出力の変化を示している。図中の実線は9×9格子配列の燃料集合体、点線は10×10格子配列の燃料集合体の結果である。
【0031】
点aは、C格子とS格子での燃料棒ピッチが等しい(ΔP=0)状態である。また、点b及びb'は、C格子とS格子で間隙CLが等しい(式(3) に相当する)状態であり、点bは9×9格子配列の燃料集合体、点b' は10×10格子配列の燃料集合体の場合である。
【0032】
図に示す通り、ΔPが点aに近づくほど、S格子の間隙CLはC格子よりも小さくなるため、最外周位置の燃料棒では、冷却効果が低下して限界出力は小さくなる。また、ΔPが点bに近づくほど、燃料棒ピッチが小さくなり、燃料棒間の相互作用が大きくなる分(燃料棒の見かけの出力が大きくなる)ため、限界出力は小さくなる。以上の2つの効果により点a及び点b(または点b' )の近傍においては、S格子の限界出力はC格子の場合と比較して約5%と著しく低下する。
【0033】
また、点a及び点b(または点b' )の中点当たりでは限界出力の低下は最小化し、中点よりaまたb(または点b' )へ25%から75%程度の変動範囲であれば、その低下は2〜2.5%程度である。
【0034】
上記の要因(これを第1の要因とする。)の他にも、S格子の限界出力は、C格子と比べ以下の2点からより厳しくなる。
【0035】
第2の要因は、S格子での局所ピーキング係数の増大である。一般に平均濃縮度 4.0wt%以上の燃料集合体を用いたとき、燃料棒相対出力の最大値は、最外周位置の燃料棒で発生する。ギャップ水の多いS格子では最外周の燃料棒において、中性子の熱化がC格子よりも活発であるため、S格子の場合にはC格子に比べ外周燃料棒の相対出力は、燃料集合体の濃縮度分布や燃焼度によらず約1〜2%増大する。これは、限界出力にして同じく約1〜2%の変化に相当する。
【0036】
第3の要因は沸騰遷移が燃料の上部側で起こることに伴うものである。すなわち、ギャップ水が多く、軸方向反応度差が小さいS格子炉心では、出力分布の下部歪みが小さくなり、出力重みは上部側に移行するため、C格子に比べて限界出力は低下する。この効果は比較的小さく約0.5〜1%程度である。
【0037】
以上、第1から第3の要因を統合すると、特に最外周燃料棒については、S格子の場合は、C格子に比べて、
0.25×(Bc−Bs)/(N-1)≦ΔP≦0.75×(Bc−Bs)/(N-1) …式(4)
のとき、限界出力は約3.5〜5.5%程度低下し、また、
0.0≦ΔP≦(Bc−Bs)/(N-1) …式(5)
のとき、限界出力は約3.5〜8%程度低下することが判った。
【0038】
先に示した従来例において、C格子とS格子との濃縮度配列が異なるのは、この理由による。
【0039】
次に、燃料棒の濃縮度と限界出力特性との関係について示す。図2は1本の燃料棒について、基準濃縮度から濃縮度を相対的に変化させたときの限界出力の変化を示した線図である。図に示す通り、両者は線形の関係があり、濃縮度が高いほど、燃料棒の相対出力は大きくなり、限界出力は低下する。この相対関係は、基準とする燃料棒の濃縮度や燃料棒位置にあまり依存しない。
【0040】
本発明の構成による燃料ペレットは、図2より、C格子とS格子との限界出力特性差による3.5〜8%程度を補償できるように定めたものであり、使用する燃料ペレットにおいて、最高濃縮度とその次に高い濃縮度の相対差を5%以上10%未満としている。本発明の構成を用いれば、断面平均濃縮度を高めて、しかも、C格子のみならず、限界出力が低下するS格子に対しても、目標とするMCPRの運転余裕を確保することができる燃料集合体を提供できる。また、C格子とS格子の燃料集合体の核設計は同一のままなので、前述のような製造上の利点も失われない。
【0041】
【実施例】
(第1の実施例)
図3は本発明の第1実施例である燃料集合体上部断面における濃縮度及びガドリニア配列を示す説明図である。本実施例では、最高濃縮度の次に濃縮度が高いペレットの濃縮度を 4.4wt%から4.65wt%とした。このとき、濃縮度相対差(R)は 5.1%(=(4.9-4.65)/4.9×100)であり、5%以上10%未満である。本実施例では、上記のタイプ2の濃縮度レベル以外は、図8(b) のS格子の従来例に同じである。平均濃縮度は、図8の従来例ではC格子で4.73wt%、S格子で4.68wt%であるのに対し、本実施例ではC格子、S格子共に4.75wt%であり、平均濃縮度は増加できている。
【0042】
本実施例の燃料棒毎の限界出力特性を従来例と比較して図4に示す。図4は従来例及び本実施例におけるC格子及びS格子の限界出力特性の相対関係を示した線図である。図4のa図は従来例であるC格子の濃縮度分布(図8のa図で示す)での結果である。図4のb図及び図4のc図は本発明によるC格子及びS格子の実施例による結果である。結果は、ガドリニアの毒物効果が消滅し、反応度が最も大きくなる 10GWd/tで代表して示している。図4のa図、c図に記載された各数値は、図4のa図で最も限界出力が厳しい燃料棒における限界出力を基準値(1.0) として相対比較したものである。ここでは、数値が小さいほど限界出力が大きく、MCPRが大きいことを示す。たとえば0.95であれば、基準よりも5%限界出力が改善していることを示す。
【0043】
図4に示す通り、従来例のC格子と比べて、本実施例の限界出力はC格子で5%向上し、S格子では同等となっている。この様子を図5に示す。図5はMCPRの運転余裕と経済性とについて従来例と実施例とを比較した図である。具体的には、図9に示した3ケースと、図3に示すケースCN及びSNとに対し、MCPR運転余裕と経済性について相対比較したものである。
ケースC :図8のa図に示すC格子の従来例の設計ケース(基準)
ケースS :図8のb図に示すS格子の従来例の設計ケース
ケースS' :図8のa図のC格子従来例の設計を仮想的にS格子に適用したケース
ケースCN:図3に示す実施例のC格子の結果
ケースSN:図3に示す実施例のS格子の結果
【0044】
このように、本実施例により、2種類の対称格子であるC格子及びS格子向け燃料集合体に対し、濃縮度及び燃料棒のコモンユースを図りつつ、C格子及びS格子双方に対して平均濃縮度を高め、経済性を向上させることができると共に、MCPRを設計目標値まで改善することができた。
【0045】
(第2の実施例)
図6に、本発明の第2の実施例である燃料集合体断面の濃縮度及びガドリニア配列を示す。本燃料集合体は、平均濃縮度は4.32wt%である。つまり、平均濃縮度は 4.0wt%以上となっており、高燃焼度燃料集合体である。本実施例では、上部断面のうち、特に沸騰遷移の起こりやすい軸方向ノードで18〜20ノードに位置する断面に着目した。この断面において最高濃縮度は燃料棒タイプ1の4.95wt%、その次に高い濃縮度は燃料棒タイプ2の4.60wt%とした。このとき、濃縮度相対差(R)は7.1%[=(4.95-4.60)/4.95×100]であり、5%以上10%未満である。
【0046】
また、本燃料集合体においては以下の配慮により、ガドリニア入り燃料棒を最高濃縮度とすることができ、高濃縮度化に寄与している。すなわち、最外周燃料棒に最高濃縮度を配して、ガドリニアの混入がない燃料棒の相対出力を高めていること、さらに、ガドリニア入り燃料棒は、相対出力が比較的小さい位置、つまり、ギャップ水や水ロッドといった非沸騰水に隣接しない位置に配することで、ガドリニア入り燃料棒の相対出力を低減させていること、の2つの効果により、最高濃縮度を有するガドリニア入り燃料棒であっても線出力密度を許容範囲内に抑えることができ、熱機械的健全性は確保される。
【0047】
本実施例の燃料集合体の燃料棒配列は、C格子及びS格子に対し軸方向及び半径方向において濃縮度配列は互いに同じであり、それぞれの格子でMCPR運転余裕を確保できる。この際、平均取出燃焼度は、18ヶ月連続運転の場合で約 50GWd/t、また、13ヶ月連続運転の場合で約 54GWd/tまで高めることができる。なお、本実施例は、18ヶ月運転での適用例であり、13ヶ月運転に適用するためにはガドリニア濃度を低減するなどの僅かな修正が必要となるが、本発明の作用効果が失われることはない。
【0048】
以上、本発明では、高燃焼度化に好適な燃料集合体として格子配列のほぼ中央位置に燃料棒9本分を占める水ロッドが配置されたものについて実施例を示した。本発明の構成は、高燃焼度燃料集合体において限界出力が小さくなりやすい最外周燃料棒において、C格子とS格子との間の限界出力の相対関係に着目したものである。このため、燃料棒の直径や水ロッドの構造、本数及び配置が本実施例と異なる燃料集合体であっても、本発明により同様な作用効果が得られる。
【0049】
本発明によれば、2種類の対称格子であるC格子及びS格子向けの燃料集合体に対し、濃縮度及び燃料棒のコモンユースを図りつつ、最小限界出力比の運転余裕を維持し、高燃焼度化を達成するのに好適な燃料集合体を提供できる。この結果、炉心の安全性は高まり、また、高燃焼度化による燃料サイクルコストの低減が可能となる。さらに、濃縮度ペレットの種類と量のみならず燃料棒をも共有化できることから、燃料製造コストが低減するなど本産業の発展に著しく貢献できる。
【0050】
【発明の効果】
本発明は以上説明した通り、2種類の対称格子であるC格子及びS格子向け燃料集合体に対し、濃縮度及び燃料棒のコモンユースを図りつつ、最小限界出力比の運転余裕を維持し、高燃焼度化を達成するのに好適な燃料集合体を得ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】C格子を基準としたときのS格子における燃料棒ピッチ差と限界出力特性との相関関係を示した線図である。
【図2】1本の燃料棒について、基準濃縮度から濃縮度を相対的に変化させたときの限界出力の変化を示した線図である。
【図3】本発明の第1の実施例である燃料集合体断面の濃縮度及びガドリニア配列を示す説明図である。
【図4】従来例及び本実施例におけるC格子及びS格子の限界出力特性の相対関係を示した線図である。
【図5】MCPRの運転余裕と経済性とについて従来例と実施例とを比較した図である。
【図6】本発明の第2の実施例である燃料集合体断面の濃縮度及びガドリニア配列を示す説明図である。
【図7】C格子とS格子との関係を説明する説明図である。
【図8】従来技術における燃料集合体の断面図であり、燃料棒の濃縮度及びガドリニア分布を示している。
【図9】MCPRの運転余裕と経済性について従来例を比較した図である。

Claims (4)

  1. C格子炉心及びS格子炉心向けの9×9以上の格子配列及び4.0 wt%以上の集合体平均濃縮度を有する高燃焼度化沸騰水型原子炉用燃料集合体であって、
    C格子炉心向けとS格子炉心向けとで以下の(a)〜(c)の条件、
    (a) 前記格子配列の格子数Nが互いに同一である。
    (b) 前記格子配列の軸方向及び径方向の燃料ペレット濃縮度配列が互いに同一である。
    (c) C格子炉心向けの場合の燃料棒の等間隔配列ピッチPcとS格子炉心向けの場合の燃料棒の等間隔配列ピッチPsとの差ΔP=Pc−Psが次式の範囲にある。
    ×(Bc−Bs)/(N−1)≦ΔP≦f×(Bc−Bs)/(N−1)
    但し、Bc>Bs、
    Bc:C格子炉心向けの場合のチャンネルボックスの内寸、
    Bs:S格子炉心向けの場合のチャンネルボックスの内寸、
    N :格子配列の格子数(9×9のときN=9、10×10のときN=10)、
    ,f:0≦f≦f≦1の値を取る係数、
    を満足するときに、
    前記格子配列の最外周の燃料棒とチャンネルボックスとの間隙は四辺で互いに等しく、
    前記格子配列の燃料棒有効長上部略1/3の領域における集合体横断面内の少なくとも一部には、核燃料物質の濃縮度が 4.9wt%以上5wt%以下の最高濃縮度(e1)からなる燃料ペレット1及びその次に高い濃縮度(e2)からなる燃料ペレット2を含み、
    更に前記濃縮度e1とe2との相対差R=(e1−e2)/e1×100(%)が、
    5(%)≦R<10(%)
    の範囲内にあり、
    前記f =0.25、f =0.75、5(%)≦R<8(%)である
    ことを特徴とする沸騰水型原子炉用燃料集合体。
  2. 前記燃料ペレット1及び/又は2が可燃性毒物を含有しない可燃性毒物無添加燃料ペレットを含み、該可燃性毒物無添加燃料ペレットが前記集合体横断面内の最外周部に配置されていることを特徴とする請求項に記載の沸騰水型原子炉用燃料集合体。
  3. 前記燃料ペレット1が可燃性毒物を含有する可燃性毒物添加燃料ペレットを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の沸騰水型原子炉用燃料集合体。
  4. 前記格子配列のほぼ中央位置における少なくとも燃料棒9本分に相当する領域が、角型の水ロッドによって置換えられていることを特徴とする請求項1〜の何れかに記載の沸騰水型原子炉用燃料集合体。
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