JP2014119287A - 沸騰水型原子炉用燃料集合体の組、及び沸騰水型原子炉炉心 - Google Patents

沸騰水型原子炉用燃料集合体の組、及び沸騰水型原子炉炉心 Download PDF

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Abstract

【課題】可燃性毒物含有燃料棒を比較的多く配置した燃料集合体の局所ピーキング係数を低減することができ、原子炉の安全性を更に向上させることが可能なBWR用燃料集合体の組等を提供する。
【解決手段】BWR炉心に同時に装荷され平均濃縮度が同一の燃料集合体の組であって、10行10列以上の正方格子配列に配置された第1及び第2の燃料集合体を備える。第2の燃料集合体は、可燃性毒物含有燃料棒の本数が、第1の燃料集合体における可燃性毒物含有燃料棒の本数よりも多く、また、第1の燃料集合体における燃料棒の配置に対して、正方格子配列における4つのコーナ部のうち互いに対向する2つのコーナ部を結ぶ仮想的な対角線上で、且つ、行列方向において水ロッドに隣接しない位置にのみ可燃性毒物含有燃料棒が付加された配置を有するものである。
【選択図】図3

Description

本発明は、沸騰水型原子炉用燃料集合体、特に、10行10列以上の正方格子配列を有する燃料集合体に関する。
近年、沸騰水型原子炉(BWR)では、燃料集合体の平均濃縮度が互いに同じで且つ可燃性毒物の量が互いに異なる2種類の取替燃料を用いて炉心を構成すること(以下、この概念を「2ストリーム」と呼ぶ)が一般的となっている。この場合の具体的な炉心構成としては、種々のものが想起されるが、通常、可燃性毒物を含有する(添加された)燃料棒(以下「可燃性毒物含有燃料棒」という)と可燃性毒物を含まない(未添加の)燃料棒(以下「「可燃性毒物不含燃料棒」という」の本数比率が異なる少なくとも2種類の燃料集合体が2ストリーム用の取替燃料として用いられる。こうすれば、所期の想定運転期間とは異なる操業運転を実施する際に、2種類の燃料集合体の装荷体数を適宜変化させることにより、例えば運転サイクル初期の余剰反応度特性や原子炉停止余裕の観点から、設計及び運転の柔軟性を好適に高めることが可能となる。
かかる2ストリーム用の取替燃料を構成する燃料集合体の組(組み合わせ)として、例えば特許文献1には、可燃性毒物の量が相対的に少ない第1の燃料集合体と可燃性毒物の量が相対的に多い第2の燃料集合体とからなり、第2の燃料集合体において、その中央部に配置された大口径の水ロッド(チャンネル)に隣接する可燃性毒物含有燃料棒の本数が、第1の燃料集合体における同燃料棒の本数よりも多くなるように構成された燃料集合体ペアが提案されている。この構成は、水ロッド近傍での毒物効果の消滅が比較的早いことに着目し、可燃性毒物含有燃料棒の本数が互いに異なる第1の燃料集合体と第2の燃料集合体とで、毒物効果の消滅時期を同一にすることを企図したものである。
また、日本国内の沸騰水型原子炉においては、現在、9行9列の正方格子配列を有する燃料集合体(以下「m行n列」を「m×n」のようにも記す)が使用されており、上記特許文献1に記載された燃料集合体ペアの如く、正方格子配列の中央部に位置する3行3列の燃料棒9本分を占める領域に角管形状の水ロッドを配置した構造は、燃料集合体構造の主流の一つである。この構造は、水対ウラン比の最適化に有利であり、且つ、水ロッドを燃料集合体の中央部に配置することにより、燃料棒出力分布を平坦化させる効果を有する。
特許第2958861号公報 特許第4078062号公報
一方、9×9よりも更に格子数を増やした燃料集合体として、10×10正方格子配列を有する燃料集合体の開発が進められている(例えば上記特許文献2参照)。10×10燃料集合体は、燃料集合体当たりの燃料棒本数が9×9燃料集合体よりも20%程度多くなるため、燃料棒の単位長さ当たりの発熱量が減る分、平均線出力密度が低下することにより、最大線出力密度の低減が期待できる。また、10×10燃料集合体では、9×9燃料集合体よりも燃料棒表面積を大きくすることが可能であり、これにより、沸騰遷移に至る限界出力の低減を図ることも可能となる。さらに、燃料集合体あたりの燃料棒本数が増加することにより、濃縮度配置及び可燃性毒物配置の自由度が高められるという利点もある。
ここで、10×10燃料集合体において、9×9燃料集合体で用いられている3×3の燃料棒9本分を占める角管形状の水ロッドを配置する場合、10×10正方格子配列の幾何学的構造上、水ロッドの中心を燃料集合体の中心からずれた位置に配置せざるを得ない。すなわち、この場合、水ロッドを、制御棒側又はその反対側(反制御棒側)に僅かに偏心させなければならない。もし、水ロッドを燃料集合体の中央位置に配置するには、水ロッドの断面積を、燃料棒9本分の領域に相当する面積よりも縮小又は拡大する必要がある。しかし、そうすると、適切な水対ウラン比を確保することが困難となってしまう。また、現状、水ロッドとして、丸管形状を有するものを複数本使用する構造も用いられているが、その場合であっても、10×10正方格子配列の幾何学的構造上、燃料集合体内における燃料棒の1/4対称は確保されない。
以上のことから、10×10燃料集合体においては、上述の燃料棒9本分を占める角型の水ロッドを配置した従来の9×9燃料集合体に比して、燃料集合体内の出力分布の非均質性が増大してしまい、その結果、局所ピーキング係数も増大する傾向にある。この局所ピーキング係数は、燃料集合体の断面における最大燃料棒出力と平均燃料棒出力との比であるから、局所ピーキング係数の増大は、原子炉の出力運転時における最大線出力密度と最小限界出力比に直接的に影響を及ぼし、熱的制限値に対する余裕(熱的余裕)を低下させてしまう。すなわち、格子数増加によって燃料棒本数が増えると熱的余裕も増大する一方、局所ピーキング係数が大きくなると、その燃料棒本数の増加による熱的余裕増大の効果が相殺されてしまい、格子数増加によって期待される利点を十分に享受することができない可能性がある。
また、原子炉起動時の制御棒操作において制御棒を誤って引き抜いてしまった場合、或いは、制御棒が落下して急激な反応度投入が引き起こされたと仮定した場合、制御棒に隣接する燃料集合体の出力上昇が比較的顕著となり得る。そうなると、燃料棒表面の冷却材(水)が沸騰遷移に至り、その部位における燃料棒内外の圧力差によって、場合によっては燃料棒の破損のおそれもある。さらに、燃料の燃焼が進み被覆管の延性が低下した燃料棒においては、急激なペレット膨張に起因して破損に至る可能性もある。このような反応度投入事象が生じた場合に燃料棒が破損する可能性、及び、破損した場合の破損燃料棒の割合は、一般的に、局所ピーキング係数の増大に応じて大きくなる傾向にある。燃料棒の破損は、環境への放射性物質の異常放出に直結するため、局所ピーキング係数は、原子炉の安全性に大きな影響を及ぼす極めて重要なパラメータと言える。
他方、燃料集合体に用いられる先述した可燃性毒物含有燃料棒は、可燃性毒物不含燃料棒に比して出力が小さいため、燃料集合体における可燃性毒物不含燃料棒の出力が相対的に高くなり、一般に、可燃性毒物含有燃料棒の本数比率が大きいほど、局所ピーキング係数がより大きくなる傾向にある。
そこで、可燃性毒物含有燃料棒の本数が異なる10×10以上の正方格子配列を有する燃料集合体の組において、可燃性毒物含有燃料棒を比較的多く配置した燃料集合体の局所ピーキング係数を低減することが強く望まれている。本発明は、かかる事情及び経緯に鑑みてなされたものであり、その要望に応えることが可能な沸騰水型原子炉用燃料集合体の組、及び、かかる燃料集合体の組が装荷された沸騰水型原子炉炉心を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明による沸騰水型原子炉用燃料集合体の組は、管状をなし且つ核燃料物質を含む複数本の燃料棒、及び、管状をなす水ロッドが、10行10列以上の正方格子配列に配置された複数の燃料集合体を備えるものであって、複数本の燃料棒は、可燃性毒物を含まない複数本の可燃性毒物不含燃料棒、及び、可燃性毒物を含む複数本の可燃性毒物含有燃料棒を有しており、複数の燃料集合体は、可燃性毒物不含燃料棒と可燃性毒物含有燃料棒との本数比率が互いに異なり、且つ、全体としての核燃料物質の平均濃縮度が互いに同一又は略同一である第1の燃料集合体及び第2の燃料集合体を含んでいる。
そして、第1の燃料集合体及び第2の燃料集合体は、いずれも、正方格子配列における最外周領域の全体に可燃性毒物不含燃料棒が配置されており(すなわち、その最外周領域に可燃性毒物含有燃料棒は配置されておらず)、且つ、行列方向において水ロッドに隣接する燃料棒のうち可燃性毒物含有燃料棒の本数の比率が1/3未満とされている。また、第2の燃料集合体は、可燃性毒物含有燃料棒の本数が、第1の燃料集合体における可燃性毒物含有燃料棒の本数よりも多くなるように構成されており、第1の燃料集合体における燃料棒の配置に対して、正方格子配列における4つのコーナ部のうち互いに対向する2つのコーナ部を結ぶ仮想的な対角線上で、且つ、行列方向において水ロッドに隣接しない位置にのみ可燃性毒物含有燃料棒が付加された配置を有するものである。
なお、「行列方向」とは、正方格子配列における行方向及び列方向を示す。その「行列方向」において「水ロッドに隣接する」とは、水ロッドが占有する行列領域と同じ行又は同じ列において水ロッドに対向して配置された状態を示す。例えば、角管形状を有する水ロッドの場合、その側壁面(矩形断面における縦横辺)に対向して配置された状態を示し、或いは、丸管形状を有する水ロッドの場合、それを角管形状の水ロッドと仮定したときに、その仮想的な側壁面(矩形断面における縦横辺)に対向して配置された状態を示す。
このように構成された沸騰水型原子炉用燃料集合体の組では、第2の燃料集合体に含まれる可燃性毒物含有燃料棒の本数が、第1の燃料集合体に含まれる可燃性毒物含有燃料棒の本数よりも多いので、本来的には、第2の燃料集合体の方が、第1の燃料集合体よりも局所ピーキング係数が比較的大きくなる傾向にある。これに対し、本発明者の知見によれば、かかる第2の燃料集合体として、第1の燃料集合体における燃料棒の配置に対して、10×10以上の正方格子配列における4つのコーナ部のうち互いに対向する2つのコーナ部を結ぶ仮想的な対角線上で、且つ、行列方向において水ロッドに隣接しない位置にのみ可燃性毒物含有燃料棒を付加した配置(厳密に言えば、その位置の可燃性毒物不含燃料棒を可燃性毒物含有燃料棒で置換した配置)を有するものを用いることにより、局所ピーキング係数の増大を有効に抑えることができることが確認された。
また、燃料集合体において、正方格子配列における4つのコーナ部のうち制御棒挿入位置に対応する特定のコーナ部が決定されている場合、第2の燃料集合体として、第1の燃料集合体における燃料棒の配置に対して、その特定のコーナ部とそれに対向するコーナ部とを結ぶ仮想的な対角線上に可燃性毒物含有燃料棒が付加された配置を有するものを用いても好適である。
さらに、水ロッドが、水平断面において、燃料棒9本分の領域を占めるものであってもよい。この場合の水ロッドの具体例としては、例えば角管形状(断面矩形)のいわゆるウォータチャンネル構造を有するものが挙げられる。なお、「水平断面」とは、燃料棒の管軸(長手軸、延在軸)に垂直な平面における断面を示す。
或いは、燃料集合体において、正方格子配列における4つのコーナ部のうち制御棒挿入位置に対応する特定のコーナ部が決定されている場合、水ロッドを2本備え、水平断面において、その2本の水ロッドで燃料棒8本分の領域を占めるもの(例えば2×2の燃料棒領域を占める水ロッドを2本備える構成)であり、且つ、特定のコーナ部の両隣のコーナ部(つまり特定のコーナ部に最も近い2つのコーナ部)を結ぶ仮想的な対角線上の中点が燃料棒集合体の重心となるように配置されたものであっても好適である。この場合の水ロッドの具体例としては、例えば丸管形状を有するものが挙げられる。
またさらに、第1の燃料集合体においては、可燃性毒物含有燃料棒のいずれも、行列方向に隣接しておらず、第2の燃料集合体においては、可燃性毒物含有燃料棒の少なくとも2本同士が、行列方向に互いに隣接しているように構成してもよい。
また、本発明による沸騰水型原子炉炉心は、上述した本発明による沸騰水型原子炉用燃料集合体の組を備えるものであり、すなわち、上述した第1の燃料集合体及び第2の燃料集合体が同時に装荷された炉心である。
本発明によれば、可燃性毒物含有燃料棒の本数が、第1の燃料集合体における可燃性毒物含有燃料棒の本数よりも多い第2の燃料集合体において、10×10以上の正方格子配列における4つのコーナ部のうち互いに対向する2つのコーナ部を結ぶ仮想的な対角線上にあり、且つ、行列方向において水ロッドに隣接しない位置にのみ可燃性毒物含有燃料棒を配置することにより、局所ピーキング係数の増大を有効に抑制することができる。これにより、格子数増加によってもたらされる熱的余裕の増大といった利点を十分に享受することができるとともに、反応度投入事象が生じた場合に燃料棒が破損する可能性、及び、万一破損した場合であっても破損燃料棒の割合を十分に低く抑えることが可能となり、原子炉の更なる安全性の向上に資することができる。
本発明による沸騰水型原子炉炉心に装荷される沸騰水型原子炉用燃料集合体の組の好適な一実施形態に備わる第1の燃料集合体の一例における燃料棒等の配置を模式的に示す水平断面図である。 従来の燃料集合体の一例における燃料棒等の配置を模式的に示す水平断面図である。 本発明による沸騰水型原子炉炉心に装荷される沸騰水型原子炉用燃料集合体の組の好適な一実施形態に備わる第2の燃料集合体の一例における燃料棒等の配置を模式的に示す水平断面図である。 本発明に係る第2の燃料集合体の他の例における燃料棒等の配置を模式的に示す水平断面図である。 ケース0(図1に示す集合体1)で算出された局所ピーキング係数に対するケース1〜3(図2に示す集合体100、図3に示す集合体2、及び図4に示す集合体3)のそれぞれで算出された局所ピーキング係数の増加率(%)の一例を示すグラフである。 実施例1に係る第1の燃料集合体における燃料棒等の配置を模式的に示す水平断面図である。 実施例1に係る第2の燃料集合体における燃料棒等の配置を模式的に示す水平断面図である。 実施例2に係る第1の燃料集合体における燃料棒等の配置を模式的に示す水平断面図である。 実施例2に係る第2の燃料集合体における燃料棒等の配置を模式的に示す水平断面図である。 実施例3及び4に係る第1の燃料集合体における燃料棒等の配置を模式的に示す水平断面図である。 実施例3に係る第2の燃料集合体における燃料棒等の配置を模式的に示す水平断面図である。 実施例4に係る第2の燃料集合体における燃料棒等の配置を模式的に示す水平断面図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。また、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。さらに、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施の形態のみに限定する趣旨ではない。またさらに、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変形が可能である。
(第1の燃料集合体)
本発明による沸騰水型原子炉(Boiling Water Reactor:以下「BWR」と記す)用燃料集合体の組は、BWR炉心に制御棒等とともに同時に装荷されるものであり、2種類の燃料集合体、すなわち「第1の燃料集合体」及び「第2の燃料集合体」を備えている。これらの燃料集合体はいずれも、複数本の燃料棒及び水ロッドが10×10以上の正方格子配列に配置された同等の幾何学的構成を有している。また、燃料棒は、被覆管内に所定の核燃料物質の濃縮度を有する燃料ペレットが複数充填されたものであり、本発明における燃料集合体には、可燃性毒物(Burnable Poison;以下「BP」と記す)が添加された燃料ペレットを含む「BP含有燃料棒」とBPが添加された燃料ペレットを含まない「BP不含燃料棒」の2種類の燃料棒が用いられる。さらに、第1の燃料集合体及び第2の燃料集合体は、それらのBP不含燃料棒とBP含有燃料棒との本数比率が互いに異なるものの、燃料集合体全体としての核燃料物質の平均濃縮度が互いに同一又は略同一となるように構成される。
図1は、本発明に係る第1の燃料集合体の一例における燃料棒等の配置を模式的に示す水平断面図である。同図に示す如く、第1の燃料集合体である集合体1は、複数本のBP不含燃料棒10及び複数本のBP含有燃料棒20、並びに、水ロッド30が、10×10正方格子配列に配置されたものである。なお、同図においては、集合体1が、断面十字型の制御棒Sに隣接し、その制御棒Sによって区画される4つの領域のうちの1つの領域に配置された状態を示す。また、図示においては、10×10正方格子配列を10行(第m1行〜第m10行)10列(第n1列〜第n10列)の桝目で示す。
さらに、各BP不含燃料棒10及び各BP含有燃料棒20は、断面円形をなす丸管形状を有し、水ロッド30は、例えば断面矩形をなす角管形状を有するが、図示においては、それらの詳細な実際の形状の記載を省略した。かかる表記については、他図においても同様とする。また、以下の説明において、10×10正方格子配列におけるBP不含燃料棒10、BP含有燃料棒20、及び、水ロッド30等の位置を、行列の要素(mi,nj)(ただし、添え字i及びjは1〜10の整数を示す)で表す場合がある。
この集合体1において、水ロッド30は、10×10正方格子配列の水平断面における略中央の燃料棒9本分(3×3)の領域を占めるように配置されている。この場合、先に述べたように、10×10正方格子配列の幾何学的構造上、水ロッド30の中心は、集合体1の中心とは一致しない。すなわち、水ロッド30の断面中心は、集合体1の4つのコーナ部である(m1,n1)、(m1,n10)、(m10,n1)、及び(m10,n10)に相当する部位のうち、制御棒Sの挿入位置に対応する特定のコーナ部である(m1,n1)とそれに対向するコーナ部である(m10,n10)を結ぶ仮想的な対角線T1、及び、コーナ部(m1,n10)とそれに対向するコーナ部(m10,n1)を結ぶ仮想的な対角線T2の交点Pからずれている。
また、集合体1における水ロッド30が配置された領域以外の部位に、複数の燃料棒が配設されている。より具体的には、10×10正方格子配列における最外周領域の全体(つまり、第m1行、第m10行、第n1列、及び第n10列の領域全部)にBP不含燃料棒10が配置されており、また、その最外周領域よりも1つ内側の領域(外から2層目の領域)の一部(図示において「G」と付記した領域)にBP含有燃料棒20が計12本配置されており、また、その残部にBP不含燃料棒10が配置されている。
さらに、集合体1においては、行列方向において水ロッド30に隣接する位置、つまり、(m4,n5〜n7)及び(m8,n5〜n7)、並びに、(m5〜m7,n4)及び(m5〜m7,n8)の12領域の全部にBP不含燃料棒10が配置されており、そこにはBP含有燃料棒20は配置されていない。すなわち、この集合体1においては、行列方向において水ロッド30に隣接する燃料棒のうちBP含有燃料棒20の本数の比率は0(よって1/3未満)とされている。
(第2の燃料集合体)
一方、第2の燃料集合体は、第1の燃料集合体である集合体1における燃料棒及び水ロッド30の構成に比して、相対的に多くの本数のBP含有燃料棒20を有するものである。図2は、比較参考例として、従来の燃料集合体の一例における燃料棒等の配置を模式的に示す水平断面図であり、図3及び図4は、それぞれ、本発明に係る第2の燃料集合体の一例における燃料棒等の配置を模式的に示す水平断面図である。
図2に示す従来の燃料集合体である集合体100、並びに、図3及び図4に示す第2の燃料集合体である集合体2及び集合体3は、図1に示す第1の燃料集合体である集合体1の構成に対して、3本のBP不含燃料棒10をBP含有燃料棒20で置換した構成を有する。つまり、図1に示す集合体1が12本のBP含有燃料棒20を備えるのに対し、従来の集合体100並びに本発明に係る集合体2及び集合体3は、15本のBP含有燃料棒20を備えるものである。
より具体的には、従来の集合体100(図2)においては、対角線T1上の(m4,n4)、対角線T2上の(m4,n7)及び(m7,n4)の領域に、それぞれBP含有燃料棒20が付加されている。すなわち、集合体100は、図1の集合体1の構成のうち、図2において白抜き丸印(○)を付した領域に配置されていたBP不含燃料棒10がBP含有燃料棒20で置換された構成を有する。このように、従来の集合体100では、行列方向において水ロッド30に隣接する位置である(m4,n7)及び(m7,n4)にBP含有燃料棒20が配置されている。
一方、本発明に係る集合体2(図3)においては、付加された3本のBP含有燃料棒20は全て対角線T1上に位置する(m3,n3)、(m4,n4)、及び(m8,n8)の領域に配置されている。すなわち、集合体2は、図1の集合体1の構成のうち、図3において白抜き丸印(○)を付した領域に配置されていたBP不含燃料棒10がBP含有燃料棒20で置換された構成を有する。このように、本発明に係る集合体2では、行列方向において水ロッド30に隣接しない位置にのみBP含有燃料棒20が配置されている。
さらに、本発明に係る集合体3(図4)においては、付加された3本のBP含有燃料棒20は、対角線T1上に位置する(m4,n4)並びに対角線T2上に位置する(m3,n8)及び(m8,n3)の領域に配置されている。すなわち、集合体3は、図1の集合体1の構成のうち、図4において白抜き丸印(○)を付した領域に配置されていたBP不含燃料棒10がBP含有燃料棒20で置換された構成を有する。このように、本発明に係る集合体3においても、行列方向において水ロッド30に隣接しない位置にのみBP含有燃料棒20が配置されている。
このように、集合体2,3においては、行列方向において水ロッド30に隣接する位置である(m4,n5〜n7)及び(m8,n5〜n7)、並びに、(m5〜m7,n4)及び(m5〜m7,n8)の12領域(図示斜線を付した部位)の全部にBP不含燃料棒10が配置されており、そこにはBP含有燃料棒20は配置されていない。すなわち、これらの集合体2,3においても、図1に示す集合体1と同様に、行列方向において水ロッド30に隣接する燃料棒のうちBP含有燃料棒20の本数の比率は0(よって1/3未満)とされている。
ここで、図1に示す集合体1、図2に示す従来の集合体100、並びに、図3及び図4に示す本発明に係る集合体2,3について、全ての燃料棒における核燃料物質の濃縮度を4.9wt%(重量%)とし、且つ、全てのBP含有燃料棒20におけるBP濃度を5.0wt%としたものを、それぞれ、ケース0(集合体1)、ケース1(集合体100)、ケース2(集合体2)、及びケース3(集合体3)とし、各ケースの局所ピーキング係数を、燃料集合体核特性計算コードにより算出した。
図5は、ケース0で算出された局所ピーキング係数に対するケース1〜3のそれぞれで算出された局所ピーキング係数の増加率(%)の一例を示すグラフである。図中、黒塗り丸印(●)は、出力運転時を想定した条件(ボイド率40%)における結果を示し、実線の折れ線L1はそれらのプロット点を結んだ目安線である。また、白抜き丸印(○)は、原子炉起動時(低温時)を想定した条件(燃料集合体温度20℃)における結果を示し、破線の折れ線L2はそれらのプロット点を結んだ目安線である。
図5から明らかなとおり、本発明における第2の燃料集合体であるケース2の集合体2、及び、ケース3の集合体3によれば、従来の第2の燃料集合体に該当するとも言えるケース1の集合体100に比して、局所ピーキング係数の増加率が、出力運転時及び原子炉起動時(低温時)のいずれの場合においても、有意に低減されることが確認された。かかる作用機序としては、例えば以下のとおり推察される(但し、以下に限定されない)。
すなわち、水ロッド30が配置された位置においては、中性子スペクトルが軟らかく、それにより、燃料集合体における他の部位に比してBP価値が相対的に大きくなるところ、ケース1の従来の集合体100では、上述の如く、行列方向において水ロッド30に隣接する位置にBP含有燃料棒20が配置されているため、水ロッド30に隣接配置された燃料棒の出力が他の位置に配置された燃料棒よりも相対的に低くなり、その結果、最外周領域で発生する局所ピーキング係数が顕著に増大する傾向となる。
一方、ケース2の集合体2及びケース3の集合体3では、上述の如く、行列方向において水ロッド30に隣接しない位置にBP含有燃料棒20が配置されているので、水ロッド30に隣接配置された燃料棒の出力は、従来の集合体100で水ロッド30に隣接配置された燃料棒程には低下しない。よって、これらの集合体2,3では、従来の集合体100に比して、局所ピーキング係数の増大が緩和され得る。それに加え、ケース2の集合体2及びケース3の集合体3では、燃料集合体内の対称性がある程度維持され、出力分布の非均質性の増大が抑えられるものと推定される。例えば、幾何学的な対称性に関して言えば、特に集合体2では、対角線T1に対するBP含有燃料棒20の配置対称性が従来の集合体100よりも高く、これが出力分布の非均質性の増大を抑制することができる一因と考えられる。
さらに、図5に示す結果から、対角線T1上のみにBP含有燃料棒20を付加したケース2の集合体2の方が、対角線T2上にもBP含有燃料棒20を付加したケース3の集合体3よりも、局所ピーキング係数の増加率が小さい(つまり効果が大きい)ことが判明した。これは、図1〜図4に示す態様においては、角管形状を有する水ロッド30が集合体の断面中心(交点P)に対して制御棒Sの反対側(反制御棒側)に偏心しているため、制御棒S側よりも反制御棒側の出力が高まり易いやすい傾向にあり、当該位置(例えば図3に示す集合体2における(m8,n8))にBP含有燃料棒20を付加することで局所ピーキング係数を効果的に抑制し得ることに拠るものと考えられる。
なお、後述の如く、丸管形状の水ロッドを2本配置する場合には、対角線T2上にそれらを配置することが多い傾向にある。この場合、対角線T1上にBP含有燃料棒20を付加する自由度の方が、対角線T2上にそれらを配置する自由度よりも大きくなる。したがって、この点において、丸管形状の水ロッドを2本配置する場合であっても、第2の燃料集合体ではBP含有燃料棒20を対角線T1上に付加することが有効である。
以上のことから、BP含有燃料棒20の本数が比較的少ない第1の燃料集合体にBP含有燃料棒20を付加した構成を有する第2の燃料集合体としては、互いに対向するコーナ部を結ぶ仮想的な対角線T1,T2上で、且つ、行列方向において水ロッド30に隣接しない位置にのみBP含有燃料棒20を付加したものが、局所ピーキング係数の増加抑制に大きな効果があることが理解される。この場合、より好ましくは、制御棒S近傍の特定のコーナ部である(m1,n1)とそれに対向するコーナ部である(m10,n10)を結ぶ仮想的な対角線T1上にのみBP含有燃料棒20を付加することにより、局所ピーキング係数の増加をより一層有効に抑制することができる。
また、上述した考察結果から、BP含有燃料棒20の本数が比較的少ない第1の燃料集合体(例えば図1に示す集合体1)においても、行列方向において水ロッド30に隣接する位置に配置するBP含有燃料棒20の本数を少なくすることが、局所ピーキング係数低減の観点から好ましいものと類推される。これに関し、本発明者の知見によれば、本発明に係る第1の燃料集合体及び第2の燃料集合体の如く、行列方向において水ロッド30に隣接する燃料棒のうちBP含有燃料棒20の本数の比率(割合)が1/3未満であれば、BP燃料棒20の配置の自由度を特段損ねることなく、局所ピーキング係数が十分に抑制された燃料集合体を提供することが可能である。
また、本発明に係る第1の燃料集合体及び第2の燃料集合体の如く、正方格子配列における最外周領域の全体にBP不含燃料棒10が配置されている、つまり、正方格子配列における最外周領域にBP含有燃料棒20が配置されていないと、制御棒価値の劣化や水ギャップに設けられる炉内計装系の感度劣化といった不都合の発生を防止することができるので好適である。
なお、一般的に、最大線出力密度は、燃料集合体の軸方向下部側で制限値に対して厳しくなる傾向にある。これは、出力運転中においては、ボイド率が燃料棒の軸方向上部よりも軸方向下部で小さく、よって、減速材密度が燃料棒の軸方向上部よりも軸方向下部で大きいため、出力分布においていわゆる下部歪みが生じる傾向があることに依る。また、反応度投入事象時における燃料エンタルピは、燃料集合体の軸方向上部側で判断基準に対して厳しくなる傾向にある。これは、出力運転中では、ボイド率が比較的大きい燃料棒の軸方向上部において、燃料ペレットに含まれるウラン238(U−238)の中性子吸収によってプルトニウム(Pu)が蓄積する一方、ボイドが発生しなくなる低温時では、燃料棒の軸方向上部の領域における反応度が高まることに依る。これらの事象を考慮すれば、燃料棒の軸方向の全領域に亘って、換言すれば、可能であれば軸方向のどの領域においても局所ピーキング係数を低減することが望ましい。したがって、本発明においては、軸方向の少なくとも一部の領域にBPを含む燃料棒を、BP含有燃料棒として一律に取り扱うものとする。
以下、実施例により本発明について更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、後述する図6〜図12において、正方格子配列の桝目に記載した数字(燃料棒番号)が同じものは、そこに配置されたBP不含燃料棒10の形状及び核燃料物質の濃縮度が同一であることを示し、また、正方格子配列の桝目に記載した数字付き符号(「G」+燃料棒番号)が同じものは、そこに配置されたBP含有燃料棒20の形状及び核燃料物質の濃縮度、並びにBP濃度が同一であることを示す。
(実施例1)
図6及び図7は、それぞれ、本発明によるBWR炉心に備わるBWR用燃料集合体の組の実施例1に係る第1の燃料集合体及び第2の燃料集合体における燃料棒等の配置を模式的に示す水平断面図である。図6に示す第1の燃料集合体である集合体E11、及び、図7に示す第2の燃料集合体である集合体E12は、ともに10×10正方格子配列を有しており、同一のBWR炉心に同時に装荷されるものである。また、水ロッド30としては、図1〜図4に示す燃料集合体におけるものと同等形状のものが同じ位置に配置されている。
これらの集合体E11,E12は、BP不含燃料棒10として、ウラン濃縮度が異なる5種類の燃料棒(ウラン濃縮度が高い順に燃料棒番号1〜5)、及び、燃料有効長が通常の燃料棒よりも短く且つウラン濃縮度が異なる2種類の部分長燃料棒(燃料棒番号6及び7)を備え、BP含有燃料棒20として、1種類(燃料棒番号G1)の燃料棒を備えている。また、集合体E11,E12に含まれるBP含有燃料棒20の本数は、それぞれ12本及び15本である。
さらに、集合体E12は、集合体E11の燃料棒配置に対して、対角線T1上の(m3,n3)、並びに、対角線T2上の(m3,n8)及び(m8,n3)に、BP含有燃料棒20をそれぞれ1本及び2本付加した配置構成を有しており、且つ、それらの付加されたBP含有燃料棒20はいずれも、行列方向において水ロッド30に隣接していない。すなわち、集合体E12は、図6の集合体1の構成のうち、図7において白抜き丸印(○)を付した領域に配置されていたBP不含燃料棒10がBP含有燃料棒20で置換された構成を有する。
これにより、集合体E11,E12のいずれにおいても、行列方向において水ロッド30に隣接する位置である(m4,n5〜n7)及び(m8,n5〜n7)、並びに、(m5〜m7,n4)及び(m5〜m7,n8)の12領域(図示斜線を付した部位)の全部にBP不含燃料棒10が配置されており、そこにはBP含有燃料棒20は配置されていない。このように、これらの集合体E11,E12においても、上述した集合体1,2,3と同様に、行列方向において水ロッド30に隣接する燃料棒のうちBP含有燃料棒20の本数の比率は0(よって1/3未満)とされている。
かかる構成を有する集合体E11,E12を含むBWR用燃料集合体の組、及び、それを備えるBWR炉心においても、前述したケース3の集合体3と同様に、BP含有燃料棒20を増加させたときの局所ピーキング係数の増大を小さく抑えることができる。
図8及び図9は、それぞれ、本発明によるBWR炉心に備わるBWR用燃料集合体の組の実施例2に係る第1の燃料集合体及び第2の燃料集合体における燃料棒等の配置を模式的に示す水平断面図である。図8に示す第1の燃料集合体である集合体E21、及び、図9に示す第2の燃料集合体であるE22は、BP不含燃料棒10として、ウラン濃縮度が異なる5種類の燃料棒(ウラン濃縮度が高い順に燃料棒番号11〜15)、及び、燃料有効長が通常の燃料棒よりも短く且つウラン濃縮度が異なる2種類の部分長燃料棒(燃料棒番号16及び17)を備えること、BP含有燃料棒20として1種類(燃料棒番号G2)の燃料棒を備えること、並びに、BP含有燃料棒20の本数がそれぞれ14本及び16本であること以外は、実施例1の集合体E11,E12と同様に構成されたものである。
また、集合体E22は、集合体E21の燃料棒配置に対して、対角線T1上の(m3,n3)及び(m8,n8)にBP含有燃料棒20を2本付加した配置構成を有しており、且つ、それらの付加されたBP含有燃料棒20はいずれも、行列方向において水ロッド30に隣接していない。すなわち、集合体E22は、図8の集合体E21の構成のうち、図9において白抜き丸印(○)を付した領域に配置されていたBP不含燃料棒10がBP含有燃料棒20で置換された構成を有する。
これにより、集合体E21,E22のいずれにおいても、行列方向において水ロッド30に隣接する位置である(m4,n5〜n7)及び(m8,n5〜n7)、並びに、(m5〜m7,n4)及び(m5〜m7,n8)の12領域(図示斜線を付した部位)のうち(m4,n7)及び(m7,n4)を除く10領域にBP不含燃料棒10が計10本配置されており、(m4,n7)及び(m7,n4)にBP含有燃料棒20が計2本配置されている。このように、これらの集合体E21,E22においては、行列方向において水ロッド30に隣接する燃料棒のうちBP含有燃料棒20の本数の比率は1/6(よって1/3未満)とされている。
かかる構成を有する集合体E21,E22を含むBWR用燃料集合体の組、及び、それを備えるBWR炉心においても、前述したケース2の集合体2と同様に、BP含有燃料棒20を増加させたときの局所ピーキング係数の増大を小さく抑えることができる。
図10及び図11は、それぞれ、本発明によるBWR炉心に備わるBWR用燃料集合体の組の実施例3に係る第1の燃料集合体及び第2の燃料集合体における燃料棒等の配置を模式的に示す水平断面図である。図10に示す第1の燃料集合体である集合体E31、及び、図11に示す第2の燃料集合体であるE32は、水ロッド30に代えて2×2の燃料棒領域を占める丸管形状の水ロッド40を2本(つまり2本の水ロッド40で燃料棒8本分の領域を占める)備えること、BP不含燃料棒10として、ウラン濃縮度が異なる4種類の燃料棒(ウラン濃縮度が高い順に燃料棒番号21〜24)、及び、燃料有効長が通常の燃料棒よりも短い1種類の部分長燃料棒(燃料棒番号25)を備えること、BP含有燃料棒20として1種類(燃料棒番号G3)の燃料棒を備えること、並びに、BP含有燃料棒20の本数がそれぞれ16本及び18本であること以外は、実施例1の集合体E11,E12と同様に構成されたものである。
また、具体的には、2つの丸管形状の水ロッド40,40の一方は、(m4,n6)、(m4,n7)、(m5,n6)、及び(m5,n7)の4領域を占有し、且つ、他方は、(m6,n4)、(m6,n5)、(m7,n4)、及び(m7,n5)の4領域を占有している。これにより、集合体E31,E32においては、制御棒Sの挿入位置に対応する(最も近い)特定のコーナ部(m1,n1)とそれに対向するコーナ部(m10,n10)を結ぶ仮想的な対角線T1上の中点が重心(対角線T1,T2の交点Pに合致)となっている。
さらに、集合体E32は、集合体E31の燃料棒配置に対して、BP含有燃料棒20を対角線T1上の(m4,n4)及び(m7,n7)に計2本付加した配置構成を有しており、且つ、それらの付加されたBP含有燃料棒20はいずれも、行列方向において水ロッド40,40に隣接していない。加えて、集合体E32では、実施例1及び2とは異なり、付加された2本のBP含有燃料棒20以外にも、その近傍において、BP不含燃料棒10とBP含有燃料棒20が入れ替えられている。すなわち、集合体E31と集合体E32とでは、図12において白抜き丸印(○)を付した領域に配置されていた燃料棒が異なるように構成されている。
これにより、集合体E31,E32のいずれにおいても、行列方向において水ロッド40,40に隣接する位置である14領域(図示において斜線を付した部位)のうち(m3,n7)、(m4,n8)、(m7,n3)、及び(m8,n4)を除く10領域にBP不含燃料棒10が計10本配置されており、(m3,n7)、(m4,n8)、(m7,n3)、及び(m8,n4)にBP含有燃料棒20が計4本配置されている。このように、集合体E31,E32においては、行列方向において水ロッド40,40に隣接する燃料棒のうちBP含有燃料棒20の本数の比率は2/7(よって1/3未満)とされている。
このような構成を有する集合体E31,E32を含むBWR用燃料集合体の組、及び、それを備えるBWR炉心においても、前述したケース2の集合体2と同様に、BP含有燃料棒20を増加させたときの局所ピーキング係数の増大を小さく抑えることができる。また、水ロッド40,40の配置によって、燃料集合体の全体的な幾何学的な対称性がより好適に維持されるので、出力分布の非均質性の増大を更に一層抑制することができる。
(実施例4)
図12は、本発明によるBWR炉心に備わるBWR用燃料集合体の組の実施例4に係る第2の燃料集合体における燃料棒等の配置を模式的に示す水平断面図である。なお、本実施例における第1の燃料集合体である集合体E41は、図10に示す集合体E31と同等の構成を有する。また、図12に示す第2の燃料集合体であるE42は、集合体E41の燃料棒配置に対して、BP含有燃料棒20を対角線T1上の(m3,n3)及び(m8,n8)に計2本付加した配置構成を有しており、且つ、それらの付加されたBP含有燃料棒20はいずれも、行列方向において水ロッド40,40に隣接していない。すなわち、集合体E42は、図10の集合体E41の構成のうち、図12において白抜き丸印(○)を付した領域に配置されていたBP不含燃料棒10がBP含有燃料棒20で置換された構成を有する。
これにより、集合体E41,E42のいずれにおいても、集合体E31,E32と同様に、行列方向において水ロッド40,40に隣接する位置である14領域(図示において斜線を付した部位)のうち(m3,n7)、(m4,n8)、(m7,n3)、及び(m8,n4)を除く10領域にBP不含燃料棒10が計10本配置されており、(m3,n7)、(m4,n8)、(m7,n3)、及び(m8,n4)にBP含有燃料棒20が計4本配置されている。このように、集合体E41,E42においても、行列方向において水ロッド40,40に隣接する燃料棒のうちBP含有燃料棒20の本数の比率は2/7(よって1/3未満)とされている。
このように構成された集合体E41,E42を含むBWR用燃料集合体の組、及び、それを備えるBWR炉心においても、前述したケース2の集合体2と同様に、BP含有燃料棒20を増加させたときの局所ピーキング係数の増大を小さく抑えることができる。また、集合体E31,E32と同様に、水ロッド40,40の配置によって、燃料集合体の全体的な幾何学的な対称性がより好適に維持されるので、出力分布の非均質性の増大を更に一層抑制することができる。
さらに、集合体E42においては、図12に示す如く、付加された2本のBP含有燃料棒20(白抜き丸印を付した(m3,n3)及び(m8,n8))を中心に、それに隣接するように複数のBP含有燃料棒20が十字形に配置されている。すなわち、本実施例では、第1の燃料集合体である集合体E41において、BP含有燃料棒20のいずれも、行列方向に隣接しておらず、第2の燃料集合体である集合体E42においては、BP含有燃料棒の少なくとも2本同士が、行列方向に互いに隣接している。かかる構成により、BPの毒物効果の持続期間を伸長させることができるという利点がある。
なお、上述したとおり、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を変更しない限度において様々な変形が可能である。例えば、第1の燃料集合体及び第2の燃料集合体の正方格子配列の格子数は10×10以上であれば特に制限されず、例えば、11×11、12×12等であってもよい。また、集合体1,2,3,E11,E12,E21,E22,E31,E32,E41,E42は、核燃料物質の濃縮度及び/又はBP濃度が異なる燃料棒を更に含んでいてもよい。さらに、第1の燃料集合体として集合体1,E11,E21,E31,E41を単独で又はそれらを2種以上組み合わせて用いてもよく、第2の燃料集合体として集合体2,3,E12,E22,E32,E42を単独で又はそれらを2種以上組み合わせて用いてもよい。またさらに、水ロッド30,40の配置は、図示の配置が望ましいものの、それらに限定されない。さらにまた、燃料棒としては、濃縮ウラン及び/又は再濃縮ウランに加えて、天然ウラン、劣化ウラン、回収ウラン(減損ウラン)を含むものでも構わず、さらに、MOX燃料であってもよい。
以上説明したとおり、本発明によるBWR用燃料集合体の組、及びそれを備えるBWR炉心は、10×10以上の正方格子配列を有する燃料集合体を用いつつ、局所ピーキング係数の増大を有効に抑制することができ、これにより、原子炉の更なる安全性の向上に資することができるので、特に2ストリームを採用するBWR及びそれを備える発電所、並びに、それらが関係する電機及び電力産業等の技術分野に広く利用することが可能である。
1,E11,E21,E31,E41:集合体(第1の燃料集合体)
2,3,E12,E22,E32,E42:集合体(第2の燃料集合体)
10:BP不含燃料棒
20:BP含有燃料棒
30,40:水ロッド
100:集合体(従来の燃料集合体)
G:BP含有燃料棒20
P:対角線T1,T2の交点
S:制御棒
T1:特定のコーナ部を通る仮想的な対角線
T2:対角線

Claims (6)

  1. 管状をなし且つ核燃料物質を含む複数本の燃料棒、及び、管状をなす水ロッドが、10行10列以上の正方格子配列に配置された複数の燃料集合体を備える沸騰水型原子炉用燃料集合体の組であって、
    前記複数本の燃料棒は、可燃性毒物を含まない複数本の可燃性毒物不含燃料棒、及び、可燃性毒物を含む複数本の可燃性毒物含有燃料棒を有しており、
    前記複数の燃料集合体は、前記可燃性毒物不含燃料棒と前記可燃性毒物含有燃料棒との本数比率が互いに異なり、且つ、全体としての前記核燃料物質の平均濃縮度が互いに同一又は略同一である第1の燃料集合体及び第2の燃料集合体を有しており、
    前記第1の燃料集合体及び前記第2の燃料集合体は、いずれも、前記正方格子配列における最外周領域の全体に前記可燃性毒物不含燃料棒が配置されており、且つ、行列方向において前記水ロッドに隣接する前記燃料棒のうち前記可燃性毒物含有燃料棒の本数の比率が1/3未満であり、
    前記第2の燃料集合体は、前記可燃性毒物含有燃料棒の本数が、前記第1の燃料集合体における前記可燃性毒物含有燃料棒の本数よりも多くなるように構成されており、前記第1の燃料集合体における前記燃料棒の配置に対して、前記正方格子配列における4つのコーナ部のうち互いに対向する2つのコーナ部を結ぶ仮想的な対角線上で、且つ、行列方向において前記水ロッドに隣接しない位置にのみ前記可燃性毒物含有燃料棒が付加された配置を有するものである、
    沸騰水型原子炉用燃料集合体の組。
  2. 前記燃料集合体においては、前記正方格子配列における4つのコーナ部のうち制御棒挿入位置に対応する特定のコーナ部が決定されており、
    前記第2の燃料集合体は、前記第1の燃料集合体における前記燃料棒の配置に対して、前記特定のコーナ部と該特定のコーナ部に対向するコーナ部とを結ぶ仮想的な対角線上に前記可燃性毒物含有燃料棒が付加された配置を有するものである、
    請求項1記載の沸騰水型原子炉用燃料集合体の組。
  3. 前記水ロッドは、水平断面において、前記燃料棒9本分の領域を占めるものである、
    請求項1又は2記載の沸騰水型原子炉用燃料集合体の組。
  4. 前記燃料集合体においては、前記正方格子配列における4つのコーナ部のうち制御棒挿入位置に対応する特定のコーナ部が決定されており、
    前記水ロッドは、水平断面において、2本で前記燃料棒8本分の領域を占めるものであり、且つ、前記特定のコーナ部の両隣のコーナ部を結ぶ仮想的な対角線上の中点が前記燃料棒集合体の重心となるように配置されたものである、
    請求項1又は2記載の沸騰水型原子炉用燃料集合体の組。
  5. 前記第1の燃料集合体においては、前記可燃性毒物含有燃料棒のいずれも、行列方向に隣接しておらず、
    前記第2の燃料集合体においては、前記可燃性毒物含有燃料棒の少なくとも2本同士が、行列方向に互いに隣接している、
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の沸騰水型原子炉用燃料集合体の組。
  6. 請求項1〜5の何れか1項記載の沸騰水型原子炉用燃料集合体の組を備える、
    沸騰水型原子炉炉心。
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