JP4474752B2 - ガスセンサ - Google Patents
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Description
【技術分野】
本発明は,例えば自動車用内燃機関等の排気系に設置して,排ガス中の酸素濃度等を測定することができるガスセンサに関する。
【0002】
【従来技術】
自動車用内燃機関では,排ガス中の酸素濃度等に基づいて燃焼制御を行うことが,燃費向上,効率よい排ガス浄化等に非常に有効である。
上記排ガス中の酸素濃度等を検出するガスセンサとして,積層型のセンサ素子(後述の図7参照)を有するものが挙げられる。
【0003】
このようなガスセンサは,センサ素子2が挿入固定されるハウジングと該ハウジングに設けた大気側カバー及びその内部に配設した,図15に示すごとき断面形状の端子収納穴930,931を有する絶縁碍子93とを有する。
【0004】
上記端子収納穴930,931には,図16に示すごとき,接続部941と弾性接触部940とを有する金属端子94が2本ずつ合計4本収納されている。なお,金属端子94の弾性接触部940は板バネとして構成されている。
そして,端子収納穴930の金属端子94と端子収納穴931の金属端子94との間の絶縁性は絶縁リブ91により確保されている。
【0005】
各金属端子94間に形成された素子収納穴92にセンサ素子2の基端側が収納される。センサ素子2を収納することにより,該センサ素子2が金属端子94の弾性接触部940に接触し,これを弾性変形させて,センサ素子2の各端子電極と各電極取出バネ94の弾性接触部940とを互いに当接させる。
上記接触と弾性変形によりセンサ素子2の端子電極と金属端子94との間の電気的導通が確実なものとなる。
【0006】
【解決しようとする課題】
ところで,内燃機関の排気系という限られたスペース内に設置するガスセンサとしては,体格が小型であるほうが好ましく,更に近年は排気系に何本もガスセンサを設け,これらを利用して燃焼制御を行なうこともあり,この点からも小型ガスセンサの需要が高まっている。
絶縁碍子93もガスセンサの小型化に伴って小さくなり,各金属端子94間の素子収納穴92もその分狭くなる。よって,図17(a)の模式図に示すごとく,センサ素子2の収納前には金属端子94同士が互いに接触状態となることもある。
【0007】
このような素子収納穴92にセンサ素子2を収納するためには,該センサ素子2を強い力で押し込んで,金属端子94の弾性接触部940を変形させつつ両者間に間隙を形成させてやる必要がある。
しかしながら,センサ素子2はセラミック等の脆い材料で構成されており,力を加えて収納すれば容易に折れや欠けが発生する。
【0008】
もちろんセンサ素子2を厚くして剛性を高めたり,また金属端子94間の距離を広げてセンサ素子2の収納容易性を高めることもできる。しかし,その場合にはガスセンサの体格が大きくなる。
また,金属端子94の弾性接触部のばね性を弱めれば,より弱い力でセンサ素子2を収納できるが,今度はセンサ素子2と弾性接触部940との間が接触不良となるおそれもある。
【0009】
このように従来構造のガスセンサではガスセンサの体格小型化とセンサ素子の収納容易性,センサ素子と金属端子との間の確実な当接という要求を並立させることが難しかった。
【0010】
本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので,収納時のセンサ素子の損傷が生じ難く,センサ素子の収納容易性に優れると共にセンサ素子と金属端子との間の電気的導通が充分確保され,体格が小型であるガスセンサを提供しようとするものである。
【0011】
【課題の解決手段】
請求項1に記載の発明は,基端側に表裏2つずつの端子電極を設けたセンサ素子と,該センサ素子が挿入固定されるハウジングと,該ハウジングの基端側に設けた大気側カバーと,該大気側カバー内部に配設した絶縁碍子と,上記端子電極と導通させる4つの金属端子とを有し,
上記絶縁碍子には,4つの端子収納穴と,該4つの端子収納穴に対し貫通され上記センサ素子の基端側を収納可能な素子収納穴が形成され,
該素子収納穴の内壁は,上記4つの端子収納穴の形成によって,互いに対向する一対のリブと,該一対のリブに直交して互いに対向する一対の絶縁リブとを有し,
上記一対のリブの厚みは,上記センサ素子において上記端子電極を設けた近傍の厚みより薄く構成され,
上記4つの金属端子は,それぞれ外部リード部と接続される接続部と,弾性変形可能に構成されると共に上記各端子収納穴内に配設される弾性接触部とを有し,該弾性接触部において上記センサ素子に対面する素子当接面には,上記端子電極に当接させる突部が設けてあり,
2つの上記金属端子における互いに向き合う上記素子当接面同士の間に,上記リブがそれぞれ配置されており,
上記互いに向き合う素子当接面における上記突部に上記センサ素子における上記端子電極が当接した状態において,当該互いに向き合う素子当接面と上記リブとの間に隙間が形成されていることを特徴とするガスセンサにある。
【0012】
本発明において最も注目すべきことは,絶縁碍子の素子収納穴の内壁にリブを設け,該リブを各端子収納穴内に配設した金属端子間に位置させて,金属端子間に隙間を構成したことにある。
【0013】
本発明の作用効果について説明する。
図17(b)に示すごとく,センサ素子2の基端側291は金属端子4,49とリブ321等との間に形成される素子収納穴320に収納される。また,金属端子4,49はリブ321と接触して,各金属端子4,49間に隙間が形成される。
【0014】
従来技術にかかる図15,図17(a)では,前述したごとく,センサ素子2を素子収納穴92に挿入して,金属端子94における弾性接触部940を弾性変形させる。なお,同図において矢線bはセンサ素子2の収納方向である。
本発明では,図17(b)に示すごとく,先端部の厚みがセンサ素子2の端子電極を設けた近傍,つまり基端側291の厚みより薄く構成されたリブ321により金属端子4,49間に隙間を形成した状態として,その上で素子収納穴320にセンサ素子2を挿入する。
【0015】
このため,センサ素子2を挿入する際にセンサ素子2と金属端子4,49との間に発生する最大摩擦力は本発明のほうが小さい。
従来にかかる図17(a)のガスセンサでは,センサ素子2が弾性接触部940,45を変形させ,両者を同図に示す矢線aの方向におしひろげる時に最大摩擦力が発生する。
【0016】
本発明にかかるガスセンサでは,リブ321を利用して金属端子4,49間に予め隙間を作っておき,ここにセンサ素子2を挿入することで摩擦力の低減を図る。従って,センサ素子2の挿入は本発明のほうがスムーズに実現でき,センサ素子2の損傷が生じがたい。
また,隙間が形成された金属端子4,49間にセンサ素子2を挿入するため,本発明にかかるガスセンサはセンサ素子2の収納容易性に優れている。
【0017】
また,図17(b)より明らかであるが,上記リブ321の厚みはセンサ素子2の厚みより薄い。そのため,金属端子4,49間に形成される隙間はセンサ素子2の厚みよりも薄い。
そのためセンサ素子2を挿入した際に,挿入圧で金属端子4,49が矢線aの方向へ変形され,センサ素子2の挿入後は矢線aと反対方向への復元力が金属端子4,49に発生する。この復元力がセンサ素子4と金属端子4,49との間を充分接触させるため,両者間に充分な電気的導通を確保することができる。
【0018】
また,本発明にかかる構成によれば,リブ321によって金属端子4,49間に隙間を形成するため,予め金属端子4,49間の距離が拡がるように,両金属端子4,49を離して配置する必要がない。つまり,絶縁碍子3の体格を大きくする必要がなく,本発明によればガスセンサの体格小型化を容易に実現できる。
【0019】
以上に示すごとく,本発明によれば,収納時のセンサ素子の損傷が生じがたく,センサ素子の収納容易性に優れると共にセンサ素子と金属端子との間の電気的導通が充分確保され,体格が小型であるガスセンサを提供することができる。
【0020】
上記センサ素子の端子電極としては,センサ素子の出力を取出す端子,また,センサ素子に一体化された発熱部等への電力供給端子,センサ素子に対する印加電圧を供給する端子等が挙げられる。
上記端子電極は金属端子を介して外部リード部に対し電気的導通が確保されるが,この外部リード部を通じてセンサ素子の出力が取出されたり,センサ素子に電圧を印加したり,センサ素子に一体化された発熱部等へ電力が供給される。
【0021】
上記金属端子はセンサ素子と外部リードとの電気的導通を仲立ちするために設けてあり,ここを介してセンサ素子からの出力が取出される。
そして,金属端子はその全体が絶縁碍子の内部にある必要はなく,少なくとも部分的に各端子収納穴内に配設されている。つまり,少なくともセンサ素子の端子電極と当接する部分が絶縁碍子内部にあればよい。
【0022】
次に,上記金属端子は外部リード部と接続される接続部と弾性変形可能に構成された弾性接触部とよりなり,該弾性接触部は,上記リブと上記素子収納穴の内壁に囲まれた空間内において,上記リブに対して接触し,この接触により弾性変形されるよう構成されている。
【0023】
本請求項にかかる構成では,金属端子に弾性変形可能な弾性接触部を設け,ここにおいてリブが接触する。この接触により弾性接触部は弾性変形する。
そのため,端子収納穴に金属端子を挿通配置する際にその幅を狭めながら行なうことができる。よって,より狭い端子収納穴に金属端子を挿通することができる。よって,ガスセンサの小型化を図ることができる。
【0024】
また,金属端子の弾性接触部を弾性変形させるリブの厚みよりもセンサ素子の厚みを厚く構成しているため,センサ素子を素子収納穴に収めることで,弾性接触部を更に弾性変形させることができる。これによって生じる弾性力が弾性接触部とセンサ素子との当接を一層確実とすることができる。
【0025】
更に,本請求項にかかる構成では,金属端子の弾性接触部を弾性変形させて,幅を縮めることで,金属端子を端子収納穴に挿通配置する際に,金属端子同士の干渉を防止することができる。
よって,これら金属端子の絶縁碍子に対する収納容易性を高めることができる。
【0026】
次に,上記金属端子には突部が設けてある。
これにより,金属端子と端子電極との間の電気的導通を一層確実に確保することができる。
また,上記突部の傾斜はセンサ素子を挿入する方向の傾斜が,その反対方向の傾斜よりもなだらかであることが好ましい(図6参照)。
これにより,センサ素子の収納容易性をより高めることができる。
【0027】
次に,上記絶縁碍子には,絶縁リブまたは位置決めリブのいずれか一方または双方が設けてある。
絶縁リブを設けることにより,金属端子間の絶縁性を確実に確保することができる。
また,位置決めリブを設けることにより,センサ素子を素子収納穴に収納する際の位置決めが一層容易となり,収納作業の効率を高めることができる。
【0028】
次に,請求項2に記載の発明のように,上記金属端子の接続部と弾性接触部との間の肩部は略直角に形成されていることが好ましい(図6参照)。
これにより上記金属端子を上記絶縁碍子に挿通配置する際の金属端子の搬送容易性を高めることができる。つまり,上記肩部が直角であるため,搬送に使用するフック類がこの肩部において確実に金属端子を保持することができ,搬送時の脱落等が防止できる。
また,直角とすることで,金属端子の全長をより短縮することができ,ガスセンサの小型化に寄与することができる。
【0029】
次に,請求項3に記載の発明のように,上記金属端子の接続部の中心線と弾性接触部の中心線とは同一線上に存在しないことが好ましい(図6(b)参照)。
これにより,後述する図4に示すごとく,二つの対称形状の金属端子を並べて端子収納穴に挿通配置することで,双方の接続部を絶縁碍子の中心軸によせて配置させることができ,絶縁碍子の体格小型化に寄与することができる。
【0030】
次に,請求項4に記載の発明のように,上記センサ素子の基端側にはテーパー部が設けてあることが好ましい(図9参照)。
これにより,基端側のセンサ素子の幅が狭くなり,センサ素子を素子収納穴に容易に収納させることができる。よって,収納時のセンサ素子の損傷を一層防止することができる。
【0031】
次に,上記絶縁碍子には断面が略四角形状の端子収納穴が4つ形成され,ある端子収納穴と隣接する端子収納穴との間にはリブが,他の隣接する端子収納穴との間には絶縁リブを設けることができる(図2参照)。
これにより,4つの接続端子を有するセンサ素子を内蔵したガスセンサを得ることができる。
【0032】
4つの接続端子を持つセンサ素子としては,実施形態例1に示すごとく,センサ素子の出力を取出す接続端子の他,通電による発熱部を内蔵し,該発熱部に対する電力供給用の接続端子を持つものが挙げられる。
このようなセンサ素子は発熱部が一体化されているため,外部にヒーター類を持つ必要がなく,ガスセンサの小型化に寄与することができる。
【0033】
次に,請求項5に記載の発明のように,上記絶縁碍子は上記大気側カバー内に対し固定されていることが好ましい。
これにより,ガスセンサ使用中に内燃機関の振動等で絶縁碍子が動くことによる金属端子を傷つけることを防止できる。
【0034】
なお,本発明は,酸素センサ,空燃比センサ,NOxセンサ,COセンサ,HCセンサ等のセンサ素子がセラミックなどの脆性材料により構成され,また設置場所の制限などから一層の小型化が要求されるガスセンサに適用することができる。また,これ以外の各種ガスセンサ類に適用することができる。
【0035】
【発明の実施の形態】
実施形態例1
本発明の実施形態例にかかるガスセンサにつき,図1〜図9,図17を用いて説明する。
本例のガスセンサ1は,図7に示すごとく,基端側291に4つ端子電極221,211(なお残り二つは図面より見えない位置にある)を設けたセンサ素子2と,図1に示すごとく,該センサ素子2が挿入固定されるハウジング10と,該ハウジング10の基端側101に設けた大気側カバー121と,該大気側カバー121内部に配設した絶縁碍子3とを有する。
【0036】
上記絶縁碍子3には,図2に示すごとく,4つの端子収納穴311〜314と,これら端子収納穴311〜314に対し貫通された,図3(b)に示すごとく,素子収納穴320が形成されている。
更に上記素子収納穴320の内壁には,図2等に示すごとく,上記センサ素子2の厚みより薄いリブ321〜324が形成されると共に上記素子収納穴320は上記センサ素子2が収納可能に構成されている。
【0037】
また,図3,図4に示すごとく,上記絶縁碍子3の上記端子収納穴311〜314内にそれぞれ配設された4つの金属端子4,49を有する。
更に上記金属端子4,49は,図6に示すごとく,外部リード部(後述する接続金具151,153,リード線161,163等)と接続される接続部41と,上記リブ321〜324と上記素子収納穴320の内壁に囲まれた空間内において,上記リブ321〜324に対して接触し,この接触により弾性変形されるよう構成された弾性接触部45とよりなる。
【0038】
また,上記センサ素子2の基端側291を上記素子収納穴320に収納することにより(図7参照),上記センサ素子2の基端側291の端子電極221,211と,該端子電極221,211に対応する上記金属端子4,49とが当接し,端子電極221,211が金属端子4,49を介して外部リード部との間に電気的導通が確保されるよう構成されている。
【0039】
以下,詳細に説明する。
図1に示すごとく,本例のガスセンサ1はハウジング10と該ハウジング10の基端側101に設けた大気側カバー121,122と,ハウジング10の先端側102に設けた2重の被測定ガス側カバー141,142とよりなる。
【0040】
ハウジング10にはセンサ素子2が挿入固定されており,図7に示すごとく,センサ素子2の基端側291には端子電極211,221が,先端側293には被測定ガス側電極21が設けてある。
センサ素子2の基端側291は上記大気側カバー121内の絶縁碍子3内に,先端側293は被測定ガス側カバー142内に位置する。
【0041】
図7に示すごとく,上記センサ素子2は,先端部293に設け,外部に露出する被測定ガス側電極21とセンサ素子2の内部に設けた大気室に対面する基準電極とを有し,両者はリード部210等によってそれぞれ端子電極211,221に対する電気的導通が確保されている。このため,両電極により得られたセンサ素子の出力は端子電極221,211から取出すことができる。
また,本例のセンサ素子2はセラミック製である。
【0042】
また,図7において,端子電極221,211が設けられた面とは反対側の面に図示を略した2個の端子電極がある。
この端子電極はセンサ素子2に内蔵された通電により発熱する発熱部に対する電気的導通が確保されている。このため,上記2つの端子電極に対し電力を供給することで発熱部が発熱する。
【0043】
図1に示すごとく,上記ハウジング10に対し,大気側カバー121が溶接固定されている。大気側カバー121の上部には撥水フィルタ125を介して別の大気側カバー122がかしめ固定されている。
上記ハウジング10の内部には筒状の下方絶縁碍子13が配置され,この内部にセンサ素子2の中央部292が挿通固定されている。センサ素子2の中央部292と下方絶縁碍子13との間はガラス封着材131により封止されている。
【0044】
図1に示すごとく,上記大気側カバー121の内部には絶縁碍子3が配置されている。
また,上記絶縁碍子3の上方にはゴムブッシュ129が配置されている。
上記ゴムブッシュ129には4つの端子収納穴が設けてあり,各端子収納穴にはリード線161,163と図示を略した他の2本のリード線が挿通配置されている。
図3に示すごとく,これら4本のリード線は接続金具151,153等により,4本の金属端子4,49にそれぞれ接続されている。
【0045】
上記絶縁碍子3について説明する。
図2(a)〜(c)に示すごとく,上記絶縁碍子3は断面が略四角形状の4つの端子収納穴311〜314を有し,またこれら4つの端子収納穴311〜314は絶縁碍子3の中心軸近傍において素子挿入穴320に貫通されている。
【0046】
また,図2(b)に示すごとく,上記端子収納穴311〜314は絶縁碍子3の基端側302において,より径細の上部端子収納穴331や333等に連結されている。なお,端子収納穴311〜314と上部端子収納穴331,333等との連結部にはテーパー部330が形成されている。
【0047】
端子収納穴311と端子収納穴313との間,端子収納穴312と端子収納穴314との間にリブ321,322が設けてある。端子収納穴311と端子収納穴312との間,端子収納穴313と端子収納穴314との間に絶縁リブ323,324が設けてある。
これらのリブ321,322,絶縁リブ323,324の基端側300の底面343,344等は絶縁碍子3の中心軸から外周に向かって傾斜したテーパー面となっている。
【0048】
上記金属端子4,49について説明する。
図6(a),(b)に示すごとく,上記金属端子4は接続部41と弾性接触部45とよりなり,両者の間は直角に曲折された肩部40がある。
上記弾性接触部45は端子収納穴311〜314に面する背面42,センサ素子2に面する素子当接面43と背面42側に折り返された折り返し部44とよりなる。
素子当接面43には突部430が設けてあり,突部430の傾斜はセンサ素子2を収納する方向,つまり図面下方の傾斜面431が,その反対方向の傾斜面432よりもなだらかとなるよう構成されている。
【0049】
また,金属端子4の接続部41の中心線410と弾性接触部45の中心線450は同一直線状になく,同図より知れるごとく,図面右方向に中心線450がずれている。
また,上記突部430は中心線450よりも図面左方向にずれた位置にある。
【0050】
金属端子49は金属端子4が左右反転した形状を有している。つまり,金属端子49においては,詳細な図示は省略するが,中心線450は中心線410に対し左方向にずれ,突部430も中心線450よりも右方向にずれた形状である。なお,左方向,右方向とは図6を基準とした表現である。
図4に示すごとく,このように互いが左右反転した形状の金属端子4,49が絶縁リブ324を挟んで端子収納穴313と314に配置されている。
また,端子収納穴311,312についても同様に金属端子49と4とがそれぞれ配置されている。
【0051】
図5に素子挿入穴320にセンサ素子2が挿入された状態を示す。
金属端子4a,49aがセンサ素子2に当接する面にはセンサ素子2の出力を取出す端子電極が設けてある。金属端子4a,49aを通じてセンサ素子2の出力が外部へ引き出されるのである。また,金属端子4b,49bがセンサ素子2に当接する面にはセンサ素子2に一体化された発熱部への電力印加用の端子電極が設けてある。金属端子4b,49bを通じて外部から発熱部に対し電力が印加されるのである。
ここに金属端子49b,4aは略同じ形状である。49a,4bについても同様である。
【0052】
次に,本例のガスセンサ1の組み立てについて説明する。
図8に示すごとく,ハウジング10に被測定ガス側カバー141,142をかしめ固定する。これがハウジングアッシーである。
筒状の下方絶縁碍子13にセンサ素子2を挿入し,両者の間をガラス封着材131により接着固定する。これがエレメントアッシーである。
ゴムブッシュ129に挿通した各リード線161等とこれに対応する各接続金具151等をかしめ固定し,ワイヤアッシーとなす。
なお,各リード線161の基端側はソケット199に接続されている。
【0053】
絶縁碍子3の端子収納穴331〜334に金属端子4,49を挿入する。金属端子4,49の接続部41を上記ワイヤアッシーにおける対応した各接続金具151等に溶接及びかしめ固定により接続する。
その後,絶縁碍子3の基端側近傍に皿バネ171を配置,更に大気側カバー121,ワイヤアッシーのブッシュ129を配置する。
これによりワイヤアッシーを得る。
【0054】
次いで,エレメントアッシーをワイヤアッシーに挿入固定する。
ハウジングアッシーのハウジング10内部に対しリング状のフロートパッキン172を配置,更にワイヤアッシーと一体化したエレメントアッシーを挿入し,ハウジング10の外側面と大気側カバー121の内側面とが重なる位置において,全周レーザー溶接固定(銅溶接)を行なう。
以上により,ガスセンサ1を得る。
【0055】
次に,本例の作用効果について説明する。
本例のガスセンサ1において,センサ素子2の基端側291は金属端子4,49とリブ321,322との間の素子収納穴320に収納される。
そして,リブ321,322の厚みW2よりもセンサ素子2の厚みW1を厚く構成し,更に弾性接触部45はリブ321,322と接触して,弾性変形した状態にある。
これにより,金属端子4,49における弾性接触部45間にはリブ321,322により隙間が形成され,センサ素子2はこの隙間を利用して素子収納穴320に対し収納することができる。
よって,本例のガスセンサ1は,センサ素子2の損傷が生じ難く,センサ素子2の収納が容易である。
【0056】
また,リブ321,322の厚みがセンサ素子2の厚みより薄いため,金属端子4,49間に形成される隙間はセンサ素子2の厚みよりも薄い。
その上,金属端子4,49がリブ321,322に接する部分は弾性接触部45となっている。
【0057】
そのためセンサ素子2を挿入した際に,挿入圧で金属端子4,49が弾性変形され,センサ素子2の挿入後は弾性変形に対する復元力が発生する。この復元力がセンサ素子4と金属端子4,49との間を充分接触させて,確実な電気的導通を確保することができる。
【0058】
また,本例では,リブ321,322によって金属端子4,49間に隙間を形成するため,予め金属端子4,49間の距離が拡がるように絶縁碍子3の体格を大きくする必要がない。
よって,ガスセンサ1の体格小型化を容易に実現できる。
【0059】
また,金属端子4,49の弾性接触部45がリブ321等に対し接触して弾性変形されているため,端子収納穴311〜314に対する挿通配置時に金属端子4,49の幅をより狭くすることができる。
よって,端子収納穴311〜314が狭くとも金属端子4,49とリブ321,322との間に確実に素子収納穴320を形成することができる。
【0060】
更に,金属端子4,49に弾性接触部45を設けてあり,端子収納穴311〜314に挿通配置する際には,弾性接触部45の持つ弾性を利用して,金属端子4,49同士の干渉を防止することができる。
よって,金属端子の端子収納穴311〜314に対する収納容易性を高めることができる。
【0061】
以上に示すごとく,本例によれば,収納時のセンサ素子の損傷が生じがたく,センサ素子の収納容易性に優れると共にセンサ素子と金属端子との間の電気的導通が充分確保され,体格が小型であるガスセンサを提供することができる。
【0062】
また,本例では,金属端子4,49に突部430を設けているため,金属端子4,49と端子電極211,221との間の電気的導通を一層確実に確保することができる。
また,上記突部320はセンサ素子2が収納される方向にある傾斜面431が傾斜面432よりなだらかであるため,センサ素子2の収納容易性がより高くなる。
更に,絶縁リブ323,324があるため,金属端子4,49間の絶縁性を確実に確保することができる。
【0063】
また,上記金属端子4,49の接続部41と弾性接触部45との間の肩部40は直角に形成されているため,金属端子4,49の搬送容易性を高めることができる。また,従来の図16に示した,肩部が直角でない金属端子94と比較して,全長をより短縮することができ,ガスセンサ1の小型化に寄与することができる。
【0064】
また,金属端子4,49の接続部41の中心線410と弾性接触部45の中心線450とは同一線上に存在しないため,図4に示すごとく,金属端子4,49の接続部41を絶縁碍子3の中心軸によせて配置することができ,絶縁碍子3の体格小型化に寄与することができる。
【0065】
なお,本例のセンサ素子2として,図9(a)や(b)に示すごとく,基端側291の側面にテーパー部299を設けたものを使用することができる。
テーパー部299とした分,基端側291が幅細となるため素子収納穴320へのセンサ素子2の収納を一層容易に行なうことができる。
【0066】
本願発明には含まれないが,参考の絶縁碍子3として,図10(a),図11(c)に示すごとく,端子収納穴やリブ321,322,絶縁リブ323,324を持ったものもある。
なお,図10(a)にかかるセンサ素子2は図10(b)に示すごとく,断面が菱形のものである。
また,本例の絶縁碍子3として,図11(a),(b)に示すごとく,種々の形状を有する端子収納穴やリブ321,322,絶縁リブ323,324を持ったものを使用することができる。
【0067】
実施形態例2
本例は2つの端子収納穴を有する絶縁碍子について説明する。
本願発明には含まれないが,参考として,図12(a)は2つの端子収納穴が並んだ位置にあり,この端子収納穴と隣接する位置にそれぞれリブ321,322が設けてある。両端子収納穴に配置した金属端子4,49と対面するようにセンサ素子2が配置される。
また,この構造においては,両端子収納穴の間に絶縁リブを設けることもできる(図示略)。
【0068】
また,本願発明には含まれないが,参考として,図12(b)は2つの端子収納穴が絶縁碍子3の中心軸を挟んだ対称位置にあり,両端子収納穴の間にリブ321,322が設けてある。そして両端子収納穴に配置した金属端子4の間にセンサ素子2が配置される。また,図示は略したがこの構造においては,金属端子4の形状を軸対称とすることができ,また,両端子収納穴に配置する金属端子を同形状のものとすることができる。
その他は実施形態例1と同様である。
【0069】
このような2つの端子収納穴を有する構造において,センサ素子2の基端側を金属端子4,49とリブ321,322との間の素子収納穴に収納し,金属端子4,49の弾性接触部45がリブ321,322と接触し,かつ弾性変形された状態となることで,実施形態例1と同様の作用効果を得ることができる。
【0070】
実施形態例3
本例は,図13,図14に示すごとく,コップ型のセンサ素子を有するガスセンサについて説明する。
図13に示すごとく,本例のガスセンサ1は,コップ型で,内部の大気室600に棒状のヒータ601を挿入したセンサ素子6を有し,ガスセンサ素子6の基端側は絶縁碍子7に収納され,図14(a)に示すごとく,絶縁碍子7の内部で金属端子49と電気的に導通している。なお,同図において符号62はセンサ素子6の電極と導通が取られたリード部である。
【0071】
また,図14(b)に示すごとく,金属端子49間はセンサ素子6が挿入される前は隙間が形成されている。
また,図14(c)に示すごとく,リブ711,713の間,リブ712,714との間の距離aはセンサ素子6の外径(直径)よりも小さく構成されている。
その他詳細は実施形態例1と同様であり,また同様の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態例1における,ガスセンサの断面説明図。
【図2】 実施形態例1における,絶縁碍子の(a)基端側平面図,(b)断面説明図,(c)先端側平面図。
【図3】 実施形態例1における,金属端子を挿通配置した状態での絶縁碍子の(a)断面説明図,(b)先端側平面図。
【図4】 実施形態例1における,金属端子を挿通配置した状態での絶縁碍子の断面説明図。
【図5】 実施形態例1における,センサ素子を収納した状態での絶縁碍子の先端側平面図。
【図6】 実施形態例1における,金属端子の(a)側面図,(b)正面図。
【図7】 実施形態例1における,センサ素子の斜視図。
【図8】 実施形態例1における,ガスセンサの展開説明図。
【図9】 実施形態例1における,基端側にテーパー部を設けたセンサ素子の斜視図。
【図10】 参考例における,(a)絶縁碍子の先端側平面図,(b)センサ素子の基端側の斜視図。
【図11】 実施形態例1又は参考例における,各種絶縁碍子の先端側平面図。
【図12】 参考例における,端子収納穴が二つある絶縁碍子の先端側平面図。
【図13】 実施形態例3における,コップ型のセンサ素子を持つガスセンサの説明図。
【図14】 実施形態例3における,(a)センサ素子の要部断面図(図14のA−A矢視断面図),(B)絶縁碍子と金属端子との説明図,(c)絶縁碍子の説明図。
【図15】 従来例にかかる,絶縁碍子の先端側平面図。
【図16】 従来例にかかる,金属端子の側面図。
【図17】 従来例及び本発明にかかる絶縁碍子の素子収納穴に素子を収納する際の説明図。
【符号の説明】
1...ガスセンサ,
10...ハウジング,
2...センサ素子,
291...基端側,
3...絶縁碍子,
321,322...リブ,
323,324...絶縁リブ,
4,49...金属端子,
Claims (5)
- 基端側に表裏2つずつの端子電極を設けたセンサ素子と,該センサ素子が挿入固定されるハウジングと,該ハウジングの基端側に設けた大気側カバーと,該大気側カバー内部に配設した絶縁碍子と,上記端子電極と導通させる4つの金属端子とを有し,
上記絶縁碍子には,4つの端子収納穴と,該4つの端子収納穴に対し貫通され上記センサ素子の基端側を収納可能な素子収納穴が形成され,
該素子収納穴の内壁は,上記4つの端子収納穴の形成によって,互いに対向する一対のリブと,該一対のリブに直交して互いに対向する一対の絶縁リブとを有し,
上記一対のリブの厚みは,上記センサ素子において上記端子電極を設けた近傍の厚みより薄く構成され,
上記4つの金属端子は,それぞれ外部リード部と接続される接続部と,弾性変形可能に構成されると共に上記各端子収納穴内に配設される弾性接触部とを有し,該弾性接触部において上記センサ素子に対面する素子当接面には,上記端子電極に当接させる突部が設けてあり,
2つの上記金属端子における互いに向き合う上記素子当接面同士の間に,上記リブがそれぞれ配置されており,
上記互いに向き合う素子当接面における上記突部に上記センサ素子における上記端子電極が当接した状態において,当該互いに向き合う素子当接面と上記リブとの間に隙間が形成されていることを特徴とするガスセンサ。 - 請求項1において,上記金属端子の接続部と弾性接触部との間の肩部は略直角に形成されていることを特徴とするガスセンサ。
- 請求項1又は2において,上記金属端子の接続部の中心線と弾性接触部の中心線とは同一線上に存在しないことを特徴とするガスセンサ。
- 請求項1〜3のいずれか一項において,上記センサ素子の基端側にはテーパー部が設けてあることを特徴とするガスセンサ。
- 請求項1〜4のいずれか一項において,上記絶縁碍子は上記大気側カバー内に対し固定されていることを特徴とするガスセンサ。
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