JP4474560B2 - 自動車用スタビライザ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車用スタビライザに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用のスタビライザは、直線部と、直線部の両側に一体に形成された湾曲部と、両湾曲部の先端に形成された偏平部とを備えたスタビライザ本体を主に構成される。このスタビライザ本体は、直線部が車体フレームに回動自在に取付けられ、偏平部が車輪側に固定されることで、車体フレームに組付けられている。
上述したスタビライザ本体は、車体の横方向へのずれを防止する必要があり、そのため、スタビライザ本体の直線部に位置決め体が固定され、この位置決め体によりスタビライザ本体の横方向へのずれを防止する構造が採られている。
【0003】
この直線部に固定される位置決め体は、スタビライザ本体に大きな横荷重が作用した際にも横方向にずれないようにする必要があるため、スタビライザ本体に充分な固定強度で固定されていることが好ましい。このため、位置決め体に金属製の位置決め体を使用し、その位置決め体を直線部にかしめ付けることにより充分な固定強度を得るようにした自動車用スタビライザが開発されている(特開平10−193944号)。
上記公報に記載された自動車用スタビライザでは、位置決め体に、スタビライザ本体の直線部及び湾曲部より少しだけ大きな径を有する挿通孔が設けられる。ここで、スタビライザ本体の偏平部は、湾曲部の両端を潰して偏平にしているため、その断面の長辺の長さは、位置決め体に形成された挿通孔の径よりも大きくなっている。そのため、位置決め体には、挿通孔の両側に偏平部を遊嵌する逃げ溝が設けられる。そして、位置決め体をスタビライザ本体の偏平部、湾曲部を通って直線部に嵌め、かしめ付けてスタビライザ本体に固定する。
このように上記公報に記載された技術では、位置決め体に逃げ溝を設けることで、挿通孔の径をスタビライザ本体の直線部の径と略同一にし、位置決め体をスタビライザ本体にかしめ付けている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記公報に記載された自動車用スタビライザでは、位置決め体に逃げ溝を形成する必要があるため、位置決め体の形状が複雑になるという問題があった。
本発明の目的は、単純な形状の部品を用いて充分な位置決め機能を有する自動車用スタビライザを提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段及び効果】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の自動車用スタビライザは、車体に取り付けられる直線部と、該直線部の両側に形成された湾曲部と、該両湾曲部の先端に形成された偏平部とを備えたスタビライザ本体を有し、該スタビライザ本体の直線部に、前記直線部、湾曲部、偏平部を遊嵌可能な略円形の挿通孔を有する金属製の位置決め体が、外周上に少なくとも1箇所以上突起部が形成された状態でかしめ付けられている。
ここで、上記「略円形の挿通孔」とは、位置決め体に形成された挿通孔に逃げ溝等が形成されておらず、その形が略円形であることを意味する。したがって、挿通孔の形は、必ずしも真円である必要は無く、例えば、楕円や、偏平した円等であっても良い。また、「略円形の挿通孔を有する」とは、位置決め体が直線部にかしめ付けられる前の段階で挿通孔が略円形であることを意味し、かしめ付けられた後の形状はどのような形状であっても良い。
【0006】
上記自動車用スタビライザでは、位置決め体にスタビライザ本体の偏平部、湾曲部、直線部を遊嵌可能な略円形の挿通孔が形成されているため、本体の偏平部、湾曲部を通って直線部に位置決め体を位置決めすることができる。
ここで、位置決め体に形成された挿通孔の径は、偏平部を遊嵌可能とされているため直線部の径に対して大きく形成されている。このため、位置決め体の全周を均等にかしめ付けて直線部に固定することは困難である。そこで、位置決め体をかしめ付ける際に、位置決め体の材料の一部を外側に逃し、その円周上に突起部を形成する。これにより、直線部の径に対して大きい挿通孔を有する位置決め体を、直線部にかしめ付けることができる。
上記自動車用スタビライザでは、位置決め体の挿通孔には溝等が形成されておらず略円形であるため、その形状を簡単にすることができる。
【0007】
また、上述した各自動車用スタビライザにおいては、前記突起部が複数形成されていることが好ましい(請求項2)。このような構成によれば、突起部が複数設けられることで、突起部の位置決め体外周から突出する長さを小さくすることができる。これにより、自動車用スタビライザと他の部品との干渉等を防止することができる。
【0008】
さらに、上述した各自動車用スタビライザにおいては、前記突起部の突出方向が、干渉部位との位置関係により調整されていることが好ましい(請求項3)。このような構成によれば、自動車用スタビライザと他の部品との干渉が防止され、自動車用スタビライザの機能が他の部品との干渉によって阻害されることが防止される。
【0009】
また、上記課題は請求項4に記載の自動車用スタビライザによっても解決することができる。
すなわち、請求項4に記載の自動車用スタビライザは、車体に取り付けられる直線部と、該直線部の両側に形成された湾曲部と、該両湾曲部の先端に形成された偏平部とを備えたスタビライザ本体を有し、該スタビライザ本体の直線部に、前記直線部、湾曲部、偏平部を遊嵌する挿通孔を形成可能なリング形状の金属製の位置決め体が、外周上に少なくとも1箇所以上突起部が形成された状態でかしめ付けられている。
ここで、「遊嵌する挿通孔を形成可能なリング形状」とは、リング形状の金属製位置決め体を変形等させることによって遊嵌可能な挿通孔を形成できる場合のみを意味するのではなく、変形等をさせない状態で遊嵌可能な挿通孔を有する場合をも含む意味である。
この自動車用スタビライザでは、リング形状の位置決め体を変形等することで、スタビライザ本体の直線部、湾曲部、偏平部を遊嵌可能な挿通孔が形成し、この挿通孔にスタビライザ本体を挿通する。その後、位置決め体をかしめ付けることで、位置決め体をスタビライザ本体に固定する。したがって、位置決め体を単純なリング形状としながら、スタビライザ本体の直線部にかしめ付けることができる。
【0010】
また、請求項4に記載の自動車用スタビライザにおいては、前記位置決め体は、偏平部の形状にあわせた形状に変形されてから、前記スタビライザ本体に挿通されかしめ付けられていることが好ましい(請求項5)。このような構成によれば、リング形状の位置決め体が偏平部の形状にあわせた形状に変形されてからスタビライザ本体が挿通するため、位置決め体が大きくなることを抑制することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態を図1乃至図4を用いて説明する。図1は本実施の形態に係る自動車用スタビライザの全体平面図であり、図2は図1に示す自動車用スタビライザの側面図であり、図3はかしめ付ける前の位置決め体を示す図面であり、図4はかしめ付けた後の位置決め体を示す図面である。
図1、2に示すように、自動車用スタビライザは、スタビライザ本体10と、スタビライザ本体10にかしめ付けられた位置決め体20とで構成される。
【0012】
スタビライザ本体10は、平面略コ字形をなし、図示しない車体フレームに取り付けられる直線部12と、直線部12の両側に一体に形成された湾曲部13と、湾曲部13の先端を潰して形成された偏平部14とからなる。この偏平部14には車輪側への取付孔15が形成される。
このスタビライザ本体10は、円形中実断面の主としてばね鋼からなる素材の端部を加工し、しかる後曲げ加工を施し、熱処理・表面処理(塗装)を施すことにより製造された周知のものである。
【0013】
位置決め体20は、図3に示すように、その内部に円形の挿通孔22を有するリング状の金属体である。挿通孔22の内径は、偏平部14の断面の長辺よりも長くなっており、偏平部14、直線部12及び湾曲部13を遊嵌可能となっている。
この位置決め体20は、スタビライザ本体10の素材の寸法、偏平部14の形状に併せて、所定の寸法のパイプ材を切断することにより製造することができる。なお、このような位置決め体20は、プレス加工により板材を打ち抜くことにより製作することもできる。
【0014】
上述したスタビライザ本体10と位置決め体20とを固定するためには、まず、位置決め体20を偏平部14、湾曲部13を通って直線部12の所定の位置まで動かして両者を位置決めする。次に、スタビライザ本体10と位置決め体20のセンター出しを行いながら、位置決め体20をスタビライザ本体10にかしめ付ける。
具体的には、位置決め体20の形状に併せて製作した上型・下型(図示を省略)を用いて、上下方向からプレス成形を施すことによりかしめ付ける。この際、既に説明したように、位置決め体20に形成された挿通孔22の直径は、直線部12の直径より大きくなっており、位置決め体20の全周を均一にかしめ付けることは困難である。そのため、本実施の形態では、上型・下型の境界部分(位置決め体20の左右両側)に位置決め体20の材料が流れ込む凹部(逃げる部分)が形成される。そして、位置決め体20がスタビライザ本体10にかしめ付けられた状態では、図4に示すように、位置決め体20の左右両側に突起部24が形成されるようにしている。これにより、位置決め体20がスタビライザ本体10にかしめ付けられる。
【0015】
このようにしてスタビライザ本体10の直線部12に固定された位置決め体20は図示しない車体フレームにブラケットを介して固定された取付部材b(ゴムまたは樹脂製)に、図1に示すように内側から当接し、スタビライザ本体10の車体に対する横方向のずれが防止される。
【0016】
上述した説明から明かなように、本実施の形態の自動車用スタビライザでは、位置決め体20に形成される挿通孔22が円形であるため、板材をプレス加工、又は、パイプ材を切断等することにより簡単に製作することができる。したがって、位置決め体の製作コストを低く押えることができ、結果として、自動車用スタビライザのコストを下げることができる。
また、本実施の形態では、位置決め体20に形成される挿通孔22が円形であって溝等が形成されないため、位置決め体20に応力集中が生じにくく、位置決め体20の寸法(リングの肉厚)を小さくすることができる。したがって、位置決め体20の円周方向の寸法が小さくなり、車体フレームに取付ける際のレイアウトの自由度が増大する。
また、本実施の形態の位置決め体20は、その形状が中心軸周りに対称であり、スタビライザ本体10にかしめ付ける際にその方向を考慮する必要がない。このため、スタビライザ本体10と位置決め体20の位置決め工程を容易に行うことができる。
また、スタビライザ本体10を製作した後の、最終工程でスタビライザ本体10に位置決め体20を固定するため、スタビライザ本体10を製作する工程(端部加工・曲げ加工・熱処理・これらの処理間の搬送等)において、位置決め体20が邪魔とならない。さらに、位置決め体20は、スタビライザ本体10を製作する際に施される熱処理等の影響を受けないため、これらの影響による変形や破損等が防止される。
【0017】
以上、本発明の好適な一実施の形態に係る自動車用スタビライザついて説明したが、本発明は上述した実施の形態に限られることなく、多くの変形例が本発明に包含される。
例えば、位置決め体20に形成される挿通孔22は、真円である必要は必ずしも無く、例えば、図5に示すように偏平した円形であっても良い。特に、偏平部14の長辺が直線部12や湾曲部13の径よりもかなり大きい場合には、偏平した円形を有する挿通孔22を形成することにより突起部24の突出する長さを短くすることができるため好ましい。
すなわち、偏平部14に位置決め体20を通すときは、図5に示すように偏平した形状の挿通孔の長径を偏平部14の長辺にあわせ、位置決め体20を湾曲部13及び直線部12に通すときは、位置決め体20の挿通孔22の形状を2点鎖線で示すような形状にする(偏平度を小さくする)。このようにすれば、位置決め体20の大きさを小さくすることができ、結果として、位置決め体20に形成される突起部24の大きさを小さくすることができる。
なお、図5に示す位置決め体20は、板材をプレス加工することにより製作することもできるし、パイプ材を切断した後、偏平させることにより製作することもできる。
【0018】
また、図5に示す例と異なり、位置決め体20をスタビライザ本体10の偏平部14及び湾曲部13(直線部12)の形状にあわせた形状としても良い(図6参照)。すなわち、図6に示すように、位置決め体20に、湾曲部13(直線部12)に対応する円形部20aと、偏平部14の形状に対応する突出部20bを形成する。位置決め体20をこのような形状とすると、図5に示す例に比較してより位置決め体20が小さくなる。したがって、位置決め体20をスタビライザ本体10にかしめ付けることで形成される突起部24の大きさがより小さくなる。また、位置決め体20の形状をスタビライザ本体10の形状に対応させると、スタビライザ本体10へのかしめ付けの際の位置決め体20の変形量が少なくなり、突起部24の大きさ・形状等が均一となる。
なお、図6に示す位置決め体20は、図5に示す例と同様、板材をプレス加工することにより製作することもできるし、パイプ材を切断した後、変形させることにより製作することもできる。
【0019】
また、上述した各実施の形態は、かしめ付けた後に突起部24が二つ形成される例であったが、かしめ付けた後に形成される突起部24の数は二つに限られず、位置決め体20の大きさに応じて適宜の数とすることができる。例えば、図7に示すように、位置決め体24の外周に4つの突起部24を形成するようにしても良い。このように突起部24の数を多くすると、一つ一つの突起部24の大きさが小さくなり、他の部品との干渉等が防止される。
なお、図7に示すように4つの突起部24を形成するためには、上述した例と同様に1回のプレス加工(例えば、上型・下型を二つに分割して計4つの型を用いて加工)により4つの突起部を形成しても良いし、あるいは、縦方向及び横方向にそれぞれプレス加工することにより4つの突起部24を形成するようにしても良い。
【0020】
また、上述した各実施の形態では、かしめ付けた後に形成される突起部24がスタビライザ本体10の中心に対して対象となるように突出する例であったが、突起部24の突出する方向はこのような形態にかぎられず、取り付けられる自動車の構造(干渉部位)に応じて適宜決定することができる。例えば、図8に示すように、突起部体24を図中斜め下方に突出するように形成しても良い。このような例によると、位置決め体20の上半分には何も突出しないため、この方向に存在する部品との干渉が防止される。
【0021】
なお、上述した各実施の形態においては、位置決め体20をスタビライザ本体10にかしめ付ける際に、位置決め体20を通電加熱しておくと、スタビライザ本体10に熱による悪影響を及ぼすことなく位置決め体20が加熱されて、冷却に伴う収縮によりさらに強固に固定することができる。
また、位置決め体20をスタビライザ本体10にかしめ付けた状態では、その突起部22から取付け部材b側にバリが生じないようにすることが好ましい。これにより、位置決め体20の突起部22から出るバリにより取付け部材bを痛めることを防止することができる。
【0022】
なお、スタビライザ本体10の素材は中実ではなく中空にしてもよい。
【0023】
以上、本発明のいくつかの実施の形態について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態に係る自動車用スタビライザの全体平面図。
【図2】 図1に示す自動車用スタビライザの側面図。
【図3】 かしめ付ける前の状態の位置決め体を示す図面。
【図4】 かしめ付けた後の位置決め体の状態を示す図面。
【図5】 位置決め体の形状が異なる変形例を説明するための図面。
【図6】 位置決め体の形状が異なる他の変形例を説明するための図面。
【図7】 位置決め体に形成される突起部の形状が異なる変形例を説明するための図面。
【図8】 位置決め体に形成される突起部の形状が異なる他の変形例を説明するための図面。
【符号の説明】
10・・スタビライザ本体
12・・直線部
13・・湾曲部
14・・偏平部
20・・位置決め体
22・・挿通孔
24・・突起部
Claims (5)
- 車体に取り付けられる直線部と、該直線部の両側に形成された湾曲部と、該両湾曲部の先端に形成された偏平部とを備えたスタビライザ本体を有し、該スタビライザ本体の直線部に、前記直線部、湾曲部、偏平部を遊嵌可能な略円形の挿通孔を有する金属製の位置決め体が、外周上に少なくとも1箇所以上突起部が形成された状態でかしめ付けられている自動車用スタビライザ。
- 前記突起部が複数形成されている請求項1に記載の自動車用スタビライザ。
- 前記突起部の突出方向が、干渉部位との位置関係により調整されている請求項1又は2に記載の自動車用スタビライザ。
- 車体に取り付けられる直線部と、該直線部の両側に形成された湾曲部と、該両湾曲部の先端に形成された偏平部とを備えたスタビライザ本体を有し、該スタビライザ本体の直線部に、前記直線部、湾曲部、偏平部を遊嵌する挿通孔を形成可能なリング形状の金属製の位置決め体が、外周上に少なくとも1箇所以上突起部が形成された状態でかしめ付けられている自動車用スタビライザ。
- 前記位置決め体は、偏平部の形状にあわせた形状に変形されてから、前記スタビライザ本体に挿通されかしめ付けられている請求項4に記載の自動車用スタビライザ。
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