JP4473437B2 - 皮膚化粧料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、皮膚角質層の正常なバリアー機能を維持し、バリアー機能の低下を回復させ補強する効果を有し、さらに角質層の水分保持力を高め、肌荒れ改善効果等に優れる皮膚化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】
角質層のバリアー機能、水分保持機能が種々の内的要因、あるいは外的要因により低下すると、肌荒れや老化を助長する等の様々な皮膚トラブルを起こす。例えば、アトピーはバリアー機能が著しく低下した症例であり、極度なかさつきやかゆみを伴うなど日常生活にも支障をきたす。このため、角質層のバリアー機能、水分保持機能の維持・補強は、人の健全な日常生活を行う上において大変重要である。
近年、セラミド、コレステロール、高級脂肪酸、コレステロールエステル等の角質層細胞間に存在する脂質が、角質層のバリアー機能、水分保持機能に関して特に重要な働きをしていることが見出された。中でも、角質層細胞間脂質の約半分量を占めるセラミドに高い肌荒れ改善効果があることが明らかとなり、単独もしくは他の角質層細胞間脂質と組み合わされて化粧品等への配合が試みられている。
しかしながら、セラミド又はプソイドセラミドは優れた皮膚バリアー能、優れた肌荒れ改善効果をもたらすものであるが、基剤に対する溶解性や安定性が必ずしも充分でないため、化粧料に配合する場合に配合性や配合安定性の点で充分満足できなかった。また、これらのセラミド又はプソイドセラミドの製造には、多段階の反応や複雑な培養プロセスを必要とし、必然的に製造コストが高くなった。このような理由から、現状では、セラミド又はプソイドセラミドを化粧料に実効濃度配合することは困難であった。
一方、角質層の水分保持機能の維持・補強のために、グリセリン等の多価アルコール、アミノ酸等の有機酸、植物エキスのような水との親和性が高い多くの水溶性保湿剤が開発され、肌荒れ改善の目的で使用されている。しかしながら、これら水溶性保湿剤の作用は皮膚角質層上にあって水分を供給するというもので、しかもその効果は一時的であるため、根本的に角質層自体の水分保持能力を改善し、肌荒れを本質的に予防、治療するものとは言えなかった。また、これら水溶性保湿剤は、角質層のバリアー機能の維持・補強にはあまり有効ではなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、角質層のバリアー機能及び水分保持機能を本質的に改善し、かつ配合性や配合安定性等が向上し、さらに効率的かつ安価に製造でき、角質層のバリアー機能及び水分保持機能を維持、補強し、肌荒れなどの皮膚トラブルを予防・改善する皮膚化粧料を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、次の成分(A)及び(B)を含有する皮膚化粧料:
(A)次の一般式(1)
【化2】
(式中、R1は、ヒドロキシ基又はアルコキシ基が置換していてもよい、炭素数1〜22の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を示し、R2は、炭素数1〜12の直鎖又は分岐鎖の二価の炭化水素基を示し、R3は、炭素数1〜42の直鎖又は分岐鎖の二価の炭化水素基を示す。)で表わされるジアミド化合物、
(B)次の(B1)及び/又は(B2)、
(B1)多価アルコール、有機酸もしくはその塩又はその誘導体及び植物エキスから選ばれる水溶性保湿剤、
(B2)角質細胞間脂質成分
を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明で使用する成分(A)の一般式(1)で表わされるジアミド化合物のR1は、ヒドロキシ基及び炭素数1〜6のアルコキシ基から選ばれる1〜3個が置換していてもよい炭素数1〜22の直鎖又は分岐鎖のアルキル基が好ましく、ヒドロキシ基とアルコキシ基が同時に置換していてもよい。また、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜18のモノ又はジ−ヒドロキシアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシが置換した炭素数1〜18のアルキル基及びヒドロキシと炭素数1〜6のアルコキシが置換した炭素数1〜18のアルキル基が好ましい。さらには、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜12のモノ−又はジ−ヒドロキシアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシが置換した炭素数2〜12のアルキル基、ヒドロキシと炭素数1〜6のアルコキシが置換した炭素数2〜12のアルキル基がより好ましい。具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、ドデシル基、2−メチルプロピル基、2−エチルヘキシル基、メチル分岐イソステアリル基、2−ヒドロキシエチル基、9−ヒドロキシノニル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、2−メトキシエチル基、2−ヒドロキシ−3−メトキシプロピル基、9−メトキシノニル基等が挙げられる。このうち、2−ヒドロキシエチル基、メチル基、ドデシル基、2−メトキシエチル基がより好ましい。
【0006】
R2は、炭素数1〜12の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基、さらには炭素数2〜6の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基が好ましい。具体的にはエチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、メチルメチレン基(エチリデン基)、1−メチルエチレン基、2−メチルエチレン基、1−メチルトリメチレン基、2−メチルトリメチレン基、1,1−ジメチルエチレン基、2−エチルトリメチレン基等が挙げられる。このうちエチレン基及びトリメチレン基がより好ましい。
【0007】
一般式(1)において、R3は、炭素数2〜34の直鎖又は分岐鎖の二価炭化水素基が好ましく、さらには炭素数2〜34の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基又は1〜4個の二重結合を有するアルケニレン基が好ましく、特に炭素数2〜24の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基又は1〜4個の二重結合を有するアルケニレン基が好ましい。具体例としては、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、トリデカメチレン基、テトラデカメチレン基、ヘキサデカメチレン基、オクタデカメチレン基、トリコサメチレン基、ヘキサコサメチレン基、トリアコンタメチレン基、1−メチルエチレン基、2−エチルトリメチレン基、1−メチルヘプタメチレン基、2−メチルヘプタメチレン基、1−ブチルヘキサメチレン基、2−メチル−5−エチルヘプタメチレン基、2,3,6−トリメチルヘプタメチレン基、6−エチルデカメチレン基、7−メチルテトラデカメチレン基、7−エチルヘキサデカメチレン基、7,12−ジメチルオクタデカメチレン基、8,11−ジメチルオクタデカメチレン基、7,10−ジメチル−7−エチルヘキサデカメチレン基、1−オクタデシルエチレン基、9,10−ジオクチルオクタデカメチレン基、8,9−ジノニルヘキサデカメチレン基、エテニレン基、1−オクタデセニルエチレン基、7,11−オクタデカジエニレン基、7−エテニル−9−ヘキサデカメチレン基、7,12−ジメチル−7,11−オクタデカジエニレン基、8,11−ジメチル−7,11−オクタデカジエニレン基、9,10−ジオクチル−7,11−オクタデカジエニレン基、8,9−ジノニル−6,10−ヘキサデカジエニレン基等が挙げられる。このうち、7,12−ジメチルオクタデカメチレン基、7,12−ジメチル−7,11−オクタデカジエニレン基、オクタデカメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、トリデカメチレン基がより好ましい。
【0008】
ジアミド化合物において、好ましい化合物は、一般式(1)中のR1、R2及びR3がそれぞれ上記のより好ましい範囲の基を組合せた化合物である。
本発明の外用剤組成物に用いるジアミド化合物において、特に好ましいのは、以下の化合物である。
【0009】
【化3】
【0010】
【化4】
【0011】
本発明の外用剤組成物に用いるジアミド化合物は、例えば、次の公知のアミド合成法によって製造することができる。
【0012】
【化5】
【0013】
(式中、R1、R2及びR3は前記と同様の意味を示す。)
すなわち、対応するジカルボン酸(2)又はその反応性誘導体(エステル、酸ハライド、酸無水物等)とアミン(3)を縮合させることにより、目的のジアミド化合物を効率的に得ることができる。
【0014】
成分(A)は、2種以上を併用してもよい。本発明の皮膚化粧料中における成分(A)の含有量は、0.01〜50重量%(以下単に%と記載する)、特に0.1〜20%であるのが好ましい。
【0015】
本発明で使用する成分(B)の(B1)は、多価アルコール、有機酸もしくはその塩又はその誘導体及び植物エキスから選ばれる水溶性保湿剤である。
多価アルコールとしては、例えばグリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン等のポリグリセリン、エチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、グルコース、マルトース、マルチトール、ショ糖、フラクトース、キシリトール、ソルビトール、マルトトリオース、スレイトール、エリスリトール、デンプン分解糖還元アルコール、ソルビット、ポリオキシアルキレンアルキルグルコシド等が挙げられる。これらのうち、特にグリセリン、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコールが好ましい。
【0016】
多価アルコールは、2種以上を併用してもよい。本発明の皮膚化粧料中における含有量は、0.001〜50%、好ましくは0.01〜40、特に0.1〜30%とすると、角質層の水分保持機能を相剰的に高め、肌荒れ改善効果をより高める点から好ましい。
【0017】
有機酸及び有機酸誘導体としては、グリコール酸、乳酸、クエン酸、2−ヒドロキシオクタン酸等の炭素数2〜28のオキシカルボン酸;コハク酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、1,3−プロパンジカルボン酸等の炭素数2〜12のジカルボン酸;アスパラギン酸、アスパラギン、グリシン、グルタミン酸、グルタミン、γ−アミノ酪酸、アルギニン、システイン、アラニン等のアミノ酸及びその誘導体;コハク酸オクチル、マレイン酸メチル等のジカルボン酸モノエステル及び一般式(4)
【0018】
【化6】
【0019】
で表わされるステリン誘導体が挙げられる。
【0020】
上記ステリン誘導体としては、一般式(4)中に、lが2〜5のものが、R6はヘキサデセニル、オクタデセニルが、R5はコレステリル、シトステリルが好ましい。
【0021】
またニコチン酸、ニコチン酸メチル、ニコチン酸エチル、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸アミド、クエン酸ニカメタート、ニコチン酸トコフェロール、キノリン酸、ピリジン−3,5−ジカルボン酸、ニコチン酸アミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)、ニコチン酸モノヌクレオチド、ニコチニルアルコール、酒石酸ニコチニルアルコール等のニコチン酸もしくはその塩又はその誘導体が挙げられる。
【0022】
かかる有機酸、有機酸誘導体としては、α−ヒドロキシカルボン酸、アミノ酸、ニコチン酸及びそれらの誘導体等が好ましく、グリコール酸、乳酸、クエン酸、コハク酸、アスパラギン酸、グリシン、アルギニン、ニコチン酸アミド、ニコチン酸トコフェロール、グリシンベタインが特に好ましい。
【0023】
また、有機酸の塩としては、例えば乳酸、クエン酸、コハク酸等のカリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、塩基性アミノ酸塩が挙げられ、有機酸が塩基性基を有する場合は、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の酸付加塩が挙げられる。
【0024】
有機酸もしくはその塩又はその誘導体は、2種以上を併用してもよい。本発明の皮膚化粧料中における含有量は、0.0001〜10%、特に0.001〜5%含有するのが好ましい。
【0025】
植物エキスとしては、例えば特開平9−165313号公報に記載されるものが挙げられる。これらのうち、特にユーカリ、ホップ、ショウガ、ガンビールノキ、ノイバラ、セイヨウトウキ、ユリ、ハトムギ、ガマ、ビワ、クチナシ、オタネニンジン、サボンソウ、シラカバ、アマチャ、チョウジ、ベニバナ、ワレモコウ、イリス、クララに由来する抽出物、水蒸気蒸留物もしくは圧搾物が好ましい。抽出溶剤としては水、エタノール、1,3−ブチレングリコール等が挙げられる。
植物エキスは、2種以上を併用してもよい。本発明の皮膚化粧料中における含有量は、乾燥固型分に換算して、0.0001〜10%、特に0.0001〜5%含有するのが好ましい。
【0026】
成分(B1)には、さらに抗炎症物質を組み合せて用いてもよい。
抗炎症物質としては、グリチルレチン酸及びその塩、アラントイン及びその塩、イプシロンアミノカプロン酸及びその塩、塩化リゾチーム、グアイアズレン、サリチル酸メチル、γ−オリザノール等が挙げられ、これらのうち、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルレチン酸ステアリル、アラントインが好ましい。
抗炎症物質は、2種以上を併用してもよい。この抗炎症物質は皮膚化粧料中に0.001〜5%、特に0.01〜2%含有するのが好ましい。
【0027】
本発明で使用する成分(B)の(B2)角質細胞間脂質成分は、表皮細胞が角質細胞となる過程で、細胞内から細胞間に放出される物質及びその類縁物質であって、セラミド類、プソイドセラミド、スフィンゴ糖脂質、スフィンゴリン脂質、スフィンゴシン及びその誘導体、スフィンガニン及びその誘導体、高級脂肪酸、コレステロール及びその誘導体等が挙げられる。
【0028】
これらの成分(B2)のうち、セラミド類、プソイドセラミド、スフィンゴ糖脂質、スフィンゴリン脂質(以下成分(B2−1)と記載することもある)が好ましい。さらには、これら成分(B2−1)から選ばれるものに、スフィンゴシン及びその誘導体、スフィンガニン及びその誘導体(これらはあわせてスフィンゴシン類と記載することもある)、高級脂肪酸又はコレステロール及びその誘導体と組み合せると、角質層の水分保持力がさらに高くなり、肌荒れ改善効果が一層優れたものになり好ましい。
【0029】
セラミド類には、脳や皮膚から抽出、精製された天然セラミドと微生物学的方法又は化学的方法によって合成された合成セラミドが含まれる。
天然セラミドとしては、タイプI〜タイプVIIのセラミド、N−オレオイルスフィンゴシン、N−(12−ヒドロキシオクタデカノイル)スフィンゴシン、N−(16−ヒドロキシヘキサデカノイル)スフィンゴシン、牛脳セラミド等が挙げられる。
合成セラミドの合成法としては、例えば特開昭59−7118号公報、特開平4−342553号公報、WO93/22281号公報等に記載された方法を用いることができる。
【0030】
一方、プソイドセラミドは、例えば特開昭62−228048号公報、特開昭63−216852号公報等に記載された方法に従って製造することができる。プソイドセラミドとして特に好ましいものとしては、次の式(5)で表わされる化合物が挙げられる。
【0031】
【化7】
【0032】
(式中、R7は炭素数9〜17のアルキル基を示し、R8は炭素数10〜18のアルキル基を示す)
【0033】
スフィンゴ糖脂質及びスフィンゴリン脂質としては、前述のセラミド類と同様に、天然由来のものと合成物とがある。スフィンゴ糖脂質は、例えば、構成糖がグルコース、マンノース、ガラクトース、グルクロン酸、グルコサミン等からなるものが挙げられ、セレブロシド及びその硫酸エステルも含まれる。スフィンゴリン脂質としては、スフィンゴミエリンが例示される。
【0034】
成分(B2−1)と併用するのが好ましいスフィンゴシン類としては、特開平5−85924号公報に開示されているスフィンゴシン類、特開平6−271446号公報で開示される一般式(4)で表わされる化合物、特開平5−194185号に開示される一般式(4′)で表わされる化合物が好ましい。
【0035】
特開平5−85924号公報に開示されているスフィンゴシン類は、スフィンゴシン(スフィンゲニン)、ジヒドロスフィンゴシン(スフィンガニン)、フィトスフィンゴシン、デヒドロスフィンゴシン、デヒドロフィトスフィンゴシン、スフィンガジエニン及びこれらのN−メチル体又はN,N−ジメチル体等が挙げられる。これらの化合物の炭化水素基の炭素数は12〜24が好ましく、直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和のいずれでもよい。
【0036】
また特開平6−271446号公報開示の化合物(4)は、
【0037】
【化8】
【0038】
(式中、R9は、炭素数1〜40の水酸基を有していてもよい炭化水素基を示し、Zは−CH2OH、−CO2H又は
【0039】
【化9】
【0040】
また特開平5−194185号公報開示の化合物(4′)は、
【0041】
【化10】
【0042】
(式中、R10は炭素数4〜40の直鎖、分岐鎖、又は環状の飽和若しくは不飽和の炭化水素基を示す。R11、R12、R13、R14及びR15はそれぞれ水素原子、又は1個若しくは2個以上の水酸基が置換していてもよい炭素数1〜10の炭化水素基を示す。)で表わされるものである。
【0043】
高級脂肪酸類としては、炭素数12以上のもの、特に12〜24のが好ましく、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトオレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、ベヘン酸等が挙げられる。また、それらの高級脂肪酸を豊富に含むモノグリセライド、ジグリセライド、トリグリセライドを配合してもよい。
【0044】
コレステロールエステルとしては、炭素数12以上の、特に12〜24の高級脂肪酸から成るものが好ましく、パルミチン酸コレステロール、イソステアリン酸コレステロール、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステロール、2−オクチルドデシル)、ラノリン脂肪酸コレステロール等が挙げられる。
【0045】
成分(B2)は、2種以上を併用してもよい。本発明の皮膚化粧料中における含有量は0.001〜20%、特に0.005〜10%含有するのが好ましい。
【0046】
成分(A)のジアミド化合物に、閉塞性の高い高分子化合物又は油剤を組み合せることにより、バリアー機能、水分保持機能をさらに向上させることができる。また本発明の成分(A)及び成分(B)と、これら閉塞性の高い高分子化合物又は油剤を併用してもよい。
【0047】
閉塞性の高い高分子化合物としては、特開平9−194342号公報に記載されるJISZ1503の方法に従い測定した透湿係数が7.5×10-10m3(STP)m/m2・sec・kPa以下の高分子化合物、特開平11−147808号公報に記載される分子量5000〜1,000,000(測定法:ゲルパーミエーションクロマトグラフィー、ポリスチレン換算)のパーフルオロ高分子化合物等が挙げられる。
【0048】
閉塞性の高い高分子化合物の好ましいものとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリオキシエチレン、コラーゲン、プルラン、キチン、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロアルキルメタクリレート・アルキルメタクリレート共重合体、フッ素変性シリコーン等が挙げられる。
【0049】
閉塞性の高い高分子化合物は、2種以上を併用してもよい。この閉塞性の高い高分子化合物は、皮膚化粧料中に0.01〜30%、特に0.1〜10%含有するのが好ましい。
【0050】
閉塞性の高い油剤としては、水分透過率が30%以下の油剤が好ましい。
水分透過率は、水蒸気を飽和させたデシケータ中にJISZ0208に適合した透湿カップを入れ、ろ紙の厚さの油膜を透過する水分量を測定し、その測定値と空試験値から水分透過率を求めた値である。
閉塞性の高い油剤としては、ワセリン、ラノリン、重質流動パラフィン、重質流動イソパラフィン、固体パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、セレシン、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、モクロウ、硬化牛脂、ライスワックス、ミツロウ、極度水添ホホバ等の硬化ホホバ油、ステアリルアルコール、セタノール等の高級アルコール、ジメチルステアリルポリシロキサン等のアルキル変性シリコーン、25℃の粘度が5000cSt以上の高重合メチルポリシロキサン、架橋型メチルポリシロキサン、シリコーン樹脂、シリコーンゴム等の固型・半固型油剤、パーフルオロポリエーテル、2−(パーフルオロヘキシル)エチル1,3−ジメチルブチルエーテル、パーフルオロオクチルエチルオクタノエート等のフッ素化合物、パーフルオロアルキルエーテルシリコーン等のフッ素変性シリコーン等のフッ素系油剤が好ましい。
【0051】
閉塞性の高い油剤は2種以上を併用してもよい。この閉塞性の高い油剤は、皮膚化粧料中に0.01〜30%、特に0.1〜10%含有するのが好ましい。
【0052】
本発明の皮膚化粧料には、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤等の界面活性剤等を含有させることができる。このうち、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、グリセリルエーテル等の非イオン界面活性剤が好ましい。その含有量は、組成物中0.01〜20%、特に0.1〜10%が好ましい。
【0053】
本発明の皮膚化粧料は、水溶液、エタノール溶液、エマルジョン、サスペンジョン、ゲル、固型、エアゾール、粉末等の剤型とすることができる。
【0054】
【実施例】
ジアミド化合物の製造例
化合物(A)の製造
攪拌装置、窒素導入管及び蒸留装置を備えたフラスコに、8,13−ジメチル−エイコサ二酸ジメチル(岡村製油製IPS−22MM)150g、ジグリコールアミン159g及びナトリウムメトキシド7.5gを仕込み、減圧下(2.6kPa)140℃で副生してくるメタノールを留去しながら、5時間攪拌した。反応終了後、過剰なジグリコールアミンを減圧留去し、続いて水洗を行なって標記化合物200g(収率98%)を得た。得られた化合物1(A)の物性は以下の通りである。
無色ペースト
1H-NMR(CDCl3,δ);0.67-0.91(m,6H), 0.93-1.58(m,26H),
1.59-1.76(m,4H), 2.17(t,J=7.2Hz,4H), 2.72-3.12(m,2H),
3.33-3.52(m,4H), 3.52-3.64(m,8H), 3.65-3.85(m,4H),
6.13-6.56(m,2H).
【0055】
実施例1〜13
表1及び表2に記載するO/Wエマルション皮膚化粧料を調製し、角質層のバリアー機能及び水分保持機能の維持・補強効果を測定し、その結果を表1及び表2に示す。
【0056】
(試験方法1)
冬期に頬部に肌荒れを起こしている20〜50才の女性10名を被験者とし、左右の頬に異なる皮膚化粧料を2週間塗布した。2週間の塗布が終了した翌日に次の項目につき試験を行った。
(1)皮膚コンダクタンス
37℃の温水にて洗顔後、温度20℃、湿度40%の部屋で20分間安静にした後、角質層の水分含有量を皮膚コンダクタンスメータ(IBS社製)にて測定した。
(2)肌荒れスコア
肌荒れを肉眼で観察し、下記基準により判定した。スコアは平均値で示した。
0:肌荒れを認めない。
1:かすかな肌荒れを認める。
2:肌荒れを認める。
3:ややひどい肌荒れを認める。
【0057】
(試験方法2)
必須脂肪酸を含まない飼料のみでウィスター(Wister)系雄性ラットを飼育し、必須脂肪酸欠乏症の症状を有するラットを本試験に用いた。これら必須脂肪酸欠乏症ラットの背部を丁寧に剃毛した後、評価皮膚化粧料を1日1回2週間塗布した。なお、それぞれの各皮膚化粧料に対して1群5匹ずつを本試験に供した。2週間後、下記の項目について試験を行った。
(1)経皮水分蒸散量
温水で試験ラットの背部を洗浄し、1時間静置(室温23℃、湿度45%)後、皮膚からの水分蒸散量をエバポリメーターにて測定した。なお、測定値は平均値で示した。
(2)経皮吸収量
37℃の温水でラットの背部を洗浄後、背部皮膚を切取り、経皮吸収用チャンバーに表皮側を上にして固定した。下部受器にはリン酸緩衝塩類溶液を満たし、表皮上部には37KBqの14C−サリチル酸を含むリン酸緩衝塩類溶液1mLを加え静置した。2時間後、下部受器から1mLのリン酸緩衝塩類溶液を抜取り、浸透してきた14C−サリチル酸の放射活性量を測定することにより評価した。なお、測定値は、平均値で示した。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
本発明のO/Wエマルション皮膚化粧料は、いずれも角質層の水分量を増加させる効果、肌荒れを改善する効果に優れていた。
【0061】
実施例14〜25
表3〜表5に記載するO/W型エマルションを調製し、実施例1と同様にして角質層のバリアー機能及び水分保持機能の維持・補強効果を測定し、その結果を表3〜表5に示す。
【0062】
【表3】
【0063】
【表4】
【0064】
【表5】
【0065】
本発明のO/Wエマルション皮膚化粧料は、いずれも角質層の水分量を増加させる効果、肌荒れ改善する効果に優れていた。
【0066】
実施例28
以下に示す組成のW/Oクリームを調製した。得られたW/Oクリームは皮膚角質層の正常なバリアー機能を維持し、バリアー機能の低下を回復させ補強する効果を有し、さらに角質層の水分保持力を高め、肌荒れ改善効果等に優れるものであった。
【0067】
実施例29
以下に示すサンスクリーン乳液を調製した。得られたサンスクリーン乳液は、角質層のバリアー機能及び水分保持機能を改善し、肌荒れ改善効果に優れていた。
【0068】
【発明の効果】
本発明の皮膚化粧料は、皮膚角質層の正常なバリアー機能を維持し、バリアー機能の低下を回復させ補強する効果を有し、さらに角質層の水分保持力を高め、肌荒れ改善効果等に優れる。
Claims (3)
- 次の成分(A)及び(B)を含有する皮膚化粧料:
(A)次の一般式(1)
(B)次の(B1)及び/又は(B2)、
(B1)多価アルコール、炭素数2〜28のオキシカルボン酸又はその塩、炭素数2〜12のジカルボン酸又はその塩、アミノ酸又はその塩、トリメチルグリシン、ジカルボン酸モノエステル、並びに、ニコチン酸、ニコチン酸メチル、ニコチン酸エチル、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸アミド、クエン酸ニカメタート、ニコチン酸トコフェロール、キノリン酸、ピリジン−3,5−ジカルボン酸、ニコチン酸アミドアデニンジヌクレオチドリン酸、ニコチン酸モノヌクレオチド、二コチニルアルコール及び酒石酸ニコチニルアルコールから選ばれるニコチン酸又はその誘導体、並びに、植物エキスから選ばれる水溶性保湿剤、
(B2)角質細胞間脂質成分。 - 成分(B)が成分(B2)であって、セラミド類、プソイドセラミド、スフィンゴ糖脂質、スフィンゴリン脂質から選ばれるものである請求項1記載の皮膚化粧料。
- さらに、スフィンゴシン(スフィンゲニン)、ジヒドロスフィンゴシン(スフィンガニン)、フィトスフィンゴシン、デヒドロスフィンゴシン、デヒドロフィトスフィンゴシン、スフィンガジエニン及びこれらのN−メチル体又はN,N−ジメチル体、一般式(6)
で表わされる化合物から選ばれるスフィンゴシン類、炭素数12〜24の高級脂肪酸類、コレステロール、並びに、炭素数12〜24の高級脂肪酸を有するコレステロールエステルから選ばれるものを含有する請求項2記載の皮膚化粧料。
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