JP3833945B2 - 角化改善剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、皮膚の正常な機能維持を可能にし、抗フケ効果や日焼け後の改善効果に優れる角化改善剤及びこれを含有する皮膚外用剤に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
近年、健康で美しい肌を保つことが、老若男女を問わず、重大な関心事となっている。ところが、肌は、温湿度、紫外線、化粧品、加齢、疾病、ストレス、食習慣等により微妙な影響を受け、そのため、肌の諸機能(生体からの水分等の損失を防ぎ、体温の恒常的維持を司どる機能、外界からの物理的・化学的刺激及び種々の細菌からの身体保護機能、皮膚の弾力性を保持し、表面形態を決定する機能等)の減退、肌の老化など、種々のトラブルが発生する。
【0003】
これらのうち、表皮における乾性、脂性肌、フケ症等の尋常性の皮膚トラブルは、外環境の変化(季節変化、紫外線等)や生理機能の変動(加齢や疾患に伴う)といった生体に作用する体内外の因子による皮膚組織の機能異常、これらにより誘起される皮膚肥厚や不全角化等により発生する。
このような皮膚トラブルを予防、改善する主たる試みとしては、合成あるいは天然の保湿成分の塗布により皮膚の乾燥を防ぎ皮膚の保湿能を高める方法、血行促進剤の塗布により血行促進を改善する方法等がなされてきた。
【0004】
しかし、これらの方法は種々の皮膚トラブルの予防、改善効果、その持続性、薬剤の安定性・安全性等の点で、種々の問題を有している。すなわち、これらの方法は、一般に、表皮、特に角層表面の水分を補給するもの又は保湿成分の一部を補うものであることから、その効能及び効果は一時的なものであり、永続的な皮膚の改善は期待できないものであった。
【0005】
そこで、皮膚の不全角化、表皮肥厚、脂質代謝異常等に対し顕著な抑制作用を有する物質の開発が望まれていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる実情に鑑み鋭意検討した結果、後述する特定のアミン誘導体が、角化改善に顕著な作用を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、下記一般式(1)又は(2):
【0008】
【化4】
【0009】
〔式中、R1 はヒドロキシ基を含んでいてもよい、炭素数1〜40の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を示し、R2 及びR3 はそれぞれ炭素数1〜3の2価の炭化水素基を示し、R4 は水素原子又は炭素数1〜3の炭化水素基を示し、R5 は水素原子、炭素数1〜3の炭化水素基又は
【0010】
【化5】
【0011】
を示し、R6は水素原子又は1若しくは2以上の水酸基を有していてもよい炭素数1〜10の炭化水素基を示し、R7及びR8はそれぞれ1〜3個の水酸基を有していてもよい炭素数1〜3の炭化水素基を示し、Yは水酸基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキルオキシ基、リン酸残基、カルボキシル基及びアルコキシカルボニル基からなる群より選ばれる1又は2以上の基を有する炭素数1〜10の炭化水素基を示す。
但し、式(1)において、R2とR3がともに−CH2−、R4とR5がともに水素原子、かつYが式(a):
【0012】
【化6】
【0013】
(式中、R9、R10、R11、R12はR6と同義である)
である場合を除く〕
で表わされるアミン誘導体からなる角化改善剤を提供するものである。
【0014】
本発明に使用されるアミン誘導体(1)及び(2)のうち、一部の化合物については既知の化合物であり、従来、そのN−アシル体であるアミド誘導体の製造中間体(特開昭63−216812号公報、特開昭63−227513号公報)、乳化剤(特開昭61−93822号公報、特開昭62−14934号公報)、化粧料(特開昭54−132242号公報)、プロテインキナーゼC阻害剤(特表平4−502149,ジャーナル オブ メディシナル ケミストリー〔J.Med.Chem.,)33巻,985頁(1990年)〕等として知られている。しかし、これらの化合物が角化改善に有効であることは全く知られていなかった。
【0015】
一般式(1)又は(2)中、R1で示される炭化水素基は飽和でも不飽和でもよく、好ましくは炭素数1〜25の直鎖、分岐鎖又は環状の炭化水素基であり、より好ましくは炭素数1〜25の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基であり、更に好ましくは炭素数1〜3又は炭素数14〜22の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基であり、特に好ましくは炭素数1〜3又は炭素数14〜22の直鎖又は分岐鎖のアルキル又はアルケニル基である。
【0016】
また、R1のヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、ケイ素原子、イオウ原子が挙げられるが、より好ましくは酸素原子及び/又は窒素原子であり、特に好ましくは酸素原子である。またR1のヘテロ原子は、1個以上のヘテロ原子を含む原子団として含まれるものであり、当該原子団としては例えばヒドロキシ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルカノイル基、アルカノイルアミノ基、アミノ基、モノ−、ジ−又はトリ−アルキルアミノ基、トリアルキルシリル基、アルキリデンジオキシ基等が挙げられる。当該原子団に含まれるアルキル基やアルカノイル基の炭素数はそれぞれ1〜6が好ましい。
【0017】
R1の特に好ましい具体例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、ドコシル、ドトリアコンチル、メチル分岐イソステアリル、2−エチルヘキシル、2−ヘプチルウンデシル、5,7,7−トリメチル−2−(1,3,3−トリメチルブチル)−オクチル、9−オクタデセニル、9,12−オクタデカジエニル、シクロヘキシル、フェニル、ベンジル、コレステリル、12−ヒドロキシオクタデシル、12−ヒドロキシドデシル、9−ヒドロキシノニル、9,10−ジヒドロキシオクタデシル、12−ヒドロキシ−9−オクタデセニル、12−メトキシオクタデシル、10−(2−エチルヘキシル)デシル、11−カルボキシウンデシル、11−ブトキシカルボニルウンデシル、11−(2−エチルヘキサノイルアミノ)ウンデシル、11−(ブチルジメチルシリル)ウンデシル、トコフェリル、9,10−イソプロピリデンジオキシオクタデシル等の基が挙げられる。このうち、特にメチル基、メチル分岐イソステアリル基、12−ヒドロキシオクタデシル基が好ましい。
【0018】
R2及びR3としては炭素数1〜3のアルキレン又はアルキリデン基が好ましく、具体的にはメチレン、エチレン、トリメチレン、プロピレン、エチリデン、イソプロピリデン等が挙げられる。
【0019】
R4としては水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、具体例としては水素原子、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル等が挙げられる。
【0020】
R5のうち炭化水素基としては炭素数1〜3のアルキル基又はアルケニル基が挙げられ、具体例としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ビニル基、アリル基が挙げられる。また、R5が示すことがある基
【0021】
【化7】
【0022】
はナトリウム、カリウム等と塩を形成していてもよい。これらのR5のうち、水素原子、メチル基が特に好ましい。
【0023】
R6、R9、R10、R11及びR12で示される炭化水素基としては1又は2以上の水酸基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル、アルケニル、アリール又はアラルキル基が好ましい。より好ましくは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル基等の炭素数1〜6のアルキル基;フェニル基、ベンジル基、ヒドロキシエチル、2,3−ジヒドロキシプロピル、2,3,4−トリヒドロキシブチル、2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチル、2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル基等の1〜6個の水酸基が置換した炭素数1〜6のアルキル基が挙げられる。
【0024】
R7及びR8で示される1〜3個の水酸基を有していてもよい炭化水素基としては炭素数1〜3のアルキル、アルケニル及びこれに1〜3個の水酸基が置換した基が挙げられる。具体例としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、アリル基、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基等が挙げられる。これらのR7及びR8のうち、メチル基、エチル基、n−プロピル基、2−ヒドロキシエチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0025】
Yで示される炭素数1〜10の炭化水素基としては、炭素数1〜10のアルキル、アルケニル、アリール又はアラルキル基が挙げられる。当該炭化水素基に置換し得るアルコキシ基としては炭素数1〜6のアルコキシ基が挙げられ;ヒドロキシアルキルオキシ基としては炭素数1〜4のヒドロキシアルキルオキシ基が挙げられ;アルコキシカルボニル基としては炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基が挙げられる。
【0026】
またYは下記式(a):
【0027】
【化8】
【0028】
(式中、R9、R10、R11及及びR12は前記と同じ)
で示される基となる場合がある。一般式(1)においては、Yがこの基であって、R2とR3がともにメチレンであり、R4とR5がともに水素原子である場合は除かれる。ここで、R9及びR10としては、水素原子、ヒドロキシメチル基、メチル基、エチル基、2−ヒドロキシエチル基が好ましく、特に水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基が好ましい。また、R11及びR12としては、水素原子、ヒドロキシメチル基、1,2,3,4−テトラヒドロキシブチル基が好ましく、特に水素原子が好ましい。
【0029】
Yの具体例としては、
【0030】
【化9】
【0031】
等の基が挙げられる。
【0032】
アミン誘導体(2)は四級アンモニウム構造を有しており、その対イオンとしては、塩素、硫酸、硝酸、リン酸等の無機イオン、又はコハク酸、フマル酸、乳酸、グリコール酸、クエン酸、酒石酸、安息香酸等の有機酸のイオン等が挙げられる。
【0033】
上記一般式(1)及び(2)のいずれの場合も、Yが式(a)である化合物が好ましい。このうち、R1がヘテロ原子を含んでいてもよい、炭素数1〜25の直鎖又は分岐鎖、環状の炭化水素基であり、R5は水素原子又は炭素数1〜3の炭化水素基であり、R6又はR7及びR8が水酸基を有してもよい炭素数1〜3の炭化水素基であり、R9、R10、R11及びR12が水素原子又は1若しくは2以上の水酸基を有してもよい炭素数1〜10の炭化水素基であるものがより好ましい。
更にR1が酸素原子を含んでいてもよい炭素数1〜22の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基であり、R5が水素原子又はメチル基であり、R6又はR7及びR8が炭素数1〜3の炭化水素であり、R9及びR10が水素原子又はメチル基、ヒドロキシメチル基であり、R11及びR12が水素原子であるものが好ましい。
更にまた、R1が12−ヒドロキシオクタデシル基であり、R5が水素原子であり、R6又はR7及びR8が炭素数1〜3の炭化水素基であり、R9及びR10が水素原子、メチル基又はヒドロキシメチル基であり、R11及びR12が水素原子であるものが好ましい。
【0034】
本発明に使用されるアミン誘導体(1)、(2)は、公知の種々の方法、例えば下記反応式I〜VIに従い製造できる。
【0035】
【化10】
【0036】
すなわち、エポキシド(2−A)にアミン(3−A)を付加させることにより(1−A)を得る。
【0037】
【化11】
【0038】
すなわち、アルコール(4−B)をp−トルエンスルホン酸エステルとした後、アミン(3−A)と反応させることにより(1−B)を得る。
【0039】
【化12】
【0040】
すなわち、アルコール(4−C)をp−トルエンスルホン酸エステルとし、アミン(3−A)と反応させることにより(1−C)を得る。
【0041】
【化13】
【0042】
すなわち、前記反応式I又はIII で得られたアミン誘導体(1′−D)をPOCl3、H3PO4等のリン酸化剤の存在下にリン酸化し、(1−D)を得る。
【0043】
【化14】
【0044】
(式中、Zは水酸基、アルコキシ基、ヒドロキシアルキルオキシ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基のうち1種又は2種以上を含有してもよい炭素数1〜10の炭化水素基を示し、他は前記と同義である。)
【0045】
すなわち、前記反応式I〜IVにより得られるアミン誘導体(1′−E)をPOCl3、P2O5等のリン酸化剤によりリン酸化し、(1−E)を得る。
【0046】
【化15】
【0047】
すなわち、前記反応式I〜Vで得られたアミン誘導体(1−F)をハロゲン化アルキル(6−F)により四級化し、(2)を得る。
【0048】
前記アミン誘導体(1)又は(2)は、表皮細胞DNA合成を抑制し、分化誘導を促進し、表皮肥厚を抑制する作用を有する。すなわち、皮膚の表皮細胞の異常角化を正常化する作用を有し、角化改善剤として使用できる。
また、前記アミン誘導体(1)又は(2)は、皮膚の角化を促す作用があることから、日焼けなどにより引き起こされる皮膚の色素沈着の原因物質であるメラニン代謝を早めることによって皮膚の色素沈着の改善効果(美白効果)を有し、美白剤として使用できる。
角化改善剤及び美白剤は、内服、外用その他いずれの方法によっても投与可能であり、また有効成分として、前記アミン誘導体(1)又は(2)の他に通常使用される抗炎症剤、ビタミン類等を必要に応じ適宜配合できる。
【0049】
本発明のアミン誘導体(1)又は(2)は皮膚外用剤に配合される。皮膚外用剤としては、薬用皮膚外用剤、化粧薬用皮膚外用剤、化粧料等の種々の使用形態をとることができる。
【0050】
薬用皮膚外用剤及び化粧薬用皮膚外用剤としては、例えば、薬効成分を含有する各種の軟膏剤が挙げられる。
軟膏剤としては、油性基剤をベースとするもの、油/水、水/油型の乳化系基剤をベースとするもののいずれであってもよい。上記油性基剤としては、特に制限はなく、例えば、植物油、動物油、合成油、脂肪酸、及び天然又は合成のグリセライド等が挙げられる。また、上記薬効成分としては、特に制限はなく、例えば、鎮痛消炎剤、鎮痛剤、殺菌消毒剤、収斂剤、皮膚軟化剤、ホルモン剤、ビタミン類等を必要に応じて適宜使用することができる。
【0051】
また、化粧料として使用する場合は、化粧料成分として一般に使用されている油分、保湿剤、紫外線吸収剤、美白剤、アルコール類、キレート剤、pH調整剤、防腐剤、増粘剤、色素、植物エキス、香料等を任意に組み合わせて配合することができる。
化粧料としては、種々の用途及び形態、例えば、水/油又は油/水型の乳化化粧料、クリーム、化粧乳液、化粧水、油性化粧料、口紅、ファンデーション、皮膚洗浄剤、ヘアートニック、整髪剤、養毛剤、育毛剤、入浴剤として用いることができる。本発明の皮膚外用剤は、常用の方法により上記種々の形態のものに調製することができる。
【0052】
ジアミン誘導体(1)又(2)の皮膚外用剤への配合量は、特に制限されないが、通常、乳化系又は油性の皮膚外用剤の場合にはそれぞれ全組成量の0.0001〜5重量%(以下、「%」で示す)、特に0.0001〜0.1%が好ましい。また、スクワラン等の液状炭化水素を基剤とする油性の皮膚外用剤の場合ではそれぞれ全組成量の0.0001〜10%、特に0.0001〜0.1%が好ましい。
【0053】
【発明の効果】
本発明の角化改善剤は、紫外線その他種々の因子の影響による不全角化、表皮肥厚、脂質代謝異常などに対し顕著な抑制作用を有しており、しかも、皮膚の正常な機能を回復させ、更に恒常性の維持に資するものであり、特に優れた抗フケ効果や日焼け後の肌の改善効果を有する。
また、本発明のアミン誘導体(1)又は(2)を含有する皮膚外用剤は、皮膚の角化を促す作用があることから、日焼けなどにより引き起こされる皮膚の色素沈着の原因物質であるメラニンの代謝を早めることによって、皮膚の色素沈着の改善効果(美白効果)を有する。
【0054】
【実施例】
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0055】
製造例1
1−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−2−メチル−3−テトラデシロキシ−2−プロパノール(1−a)の製造
【0056】
【化16】
【0057】
攪拌装置を備えた200mLフラスコに、テトラデカノール10g(46.6mmol)、ジメチルホルムアミド50mL、60%NaH2.86g(71.5mmol)及びメタリルクロリド5.96g(65.8mmol)を仕込み、60℃にて15時間攪拌した。反応終了後、水を加え、ヘキサンで抽出し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣を攪拌装置を備えた300mLのフラスコに仕込み、m−クロロ過安息香酸12.24g(70.9mmol)及びジクロロメタン200mLを加え、室温にて19時間攪拌し、生成してきた固体を濾別した。得られた溶液を減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して1,2−エポキシ−2−メチル−3−テトラデシロキシプロパン10.54g(収率79.4%)を中間体として得た。
次に攪拌装置及び滴下ロートを備えた100mLフラスコに、エタノールアミン16.8g(280mmol)及びエタノール15gを仕込み、80℃にて攪拌しながら1,2−エポキシ−2−メチル−3−テトラデシロキシプロパン5.00g(17.6mmol)のエタノール溶液を3時間かけて滴下し、更に2時間攪拌を続けた。減圧濃縮後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、表記化合物4.13g(収率68%)を得た。
【0058】
淡黄色固体
融点:49.1−50.2℃
IR(KBr,cm-1):
3324,2924,2856,1462,1378,1110,1058.1H−NMR(CDCl3,δ):
0.88(t,J=6.4Hz,3H),1.08−1.68(m,27H),3.34(s,2H),3.43(t,J=6.6Hz,2H),3.70(td,J=5.1Hz,1.2Hz,2H),3.99(brs,3H).
【0059】
製造例2
製造例1において、メタリルクロリドの代わりに、クロチルクロリド、プレニルクロリド及びp−トルエンスルホン酸 3−メチル−3−ブテニルを用いて、製造例1と同様に反応を行い、下記に示すアミン誘導体(1−b)〜(1−d)を得た。
【0060】
【化17】
【0061】
(1−b)淡黄色固体
融点:37.5−38.8℃
IR(KBr,cm-1):
3464,2920,2852,1466,1376,1102,1054.
1H−NMR(CDCl3,δ):
0.88(t,J=6.4Hz,3H),1.07(d,J=6.5Hz,3H),1.22−1.82(m,24H),2.60−3.15(m,6H),3.32−3.39(m,7H).
【0062】
(1−c)淡黄色油状物
IR(NaCl,cm-1):
3320,2924,2852,1462,1382,1108.
1H−NMR(CDCl3,δ):
0.88(t,J=6.4Hz,3H),1.10(s,3H),1.16(s,3H),1.18−1.70(m,24H),2.72−2.86(m,2H),2.92−3.35(m,3H),3.36−3.76(m,7H).
【0063】
(1−d)淡黄色油状物
IR(NaCl,cm-1):
3380,2928,2856,1462,1372,1112,1060.
1H−NMR(CDCl3,δ):
0.82−0.95(m,3H),1.11−1.42(m,21H),1.48−1.74(m,3H),1.87−2.03(m,1H),2.56(d,J=11.7Hz,1H),2.58(br,3H),2.62(d,J=11.7Hz,1H),2.77−2.85(m,2H),3.41(t,J=6.5Hz,2H),3.54−3.75(m,4H).
【0064】
製造例3
1−(3−ヒドロキシプロピルアミノ)−3−テトラデシロキシ−2−プロパノール(1−e)の製造
【0065】
【化18】
【0066】
攪拌装置及び滴下ロートを備えた300mLの2口フラスコに、3−アミノ−1−プロパノール25.1g(0.33mol)、エタノール6.00gを入れ、窒素雰囲気下80℃に加熱攪拌した。テトラデシルグリシジルエーテル9.00g(33mmol)を2時間かけて滴下した後、更に1時間攪拌した。氷水400mL中に注ぎ、1時間攪拌したのち、生成した結晶を濾別した。得られた結晶をメタノールから再結晶し、表記化合物(1−e)15.4g(収率92%)を得た。
【0067】
無色固体
融点:63.9−65.2℃
IR(KBr,cm-1):
3320,2920,2852,1462,1306,1116,1052.
1H−NMR(CDCl3,δ):
0.88(t,J=6.29Hz,3H),1.16−1.80(m,26H),2.46−3.50(m,11H),3.66−3.96(m,3H).
【0068】
製造例4
製造例3において、3−アミノ−1−プロパノールの代わりにそれぞれ5−アミノ−1−プロパノール、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、3−(3−アミノ−2−ヒドロキシプロピル)−1,2−プロパンジオール、3−アミノ−1−グルコピラノシルオキシ−2−プロパノールを用いて製造例3と同様に反応を行い、下記のアミン誘導体(1−f)〜(1−i)を製造した。
【0069】
【化19】
【0070】
(1−f)無色固体
融点:69.4−70.5℃
IR(KBr,cm-1):
3296,2920,2852,1462,1378,1116,1056.
1H−NMR(CDCl3,δ):
0.88(t,J=5.66Hz,3H),1.10−1.68(m,30H),2.50−2.76(m,4H),3.28−3.50(m,7H),3.56−3.68(m,2H),3.77−3.92(m,1H).
【0071】
(1−g)無色固体
融点:56.5−57.6℃
IR(KBr,cm-1):
3376,2920,2852,1466,1378,1126,1070.
1H−NMR(CDCl3,δ):
0.88(t,J=6.29Hz,3H),1.10−1.68(m,24H),2.50−2.88(m,4H),2.86−3.76(m,13H),3.80−3.98(m,1H).
【0072】
(1−h)無色固体
融点:111.8−113.0℃
IR(KBr,cm-1):
3440,2924,2856,1470,1124.
1H−NMR(CDCl3,δ):
0.86(t,J=6.40Hz,3H),1.20−1.41(m,28H),2.48−2.57(m,4H),3.23−3.60(m,15H),3.67−3.90(m,3H).
【0073】
(1−i)無色固体
IR(KBr,cm-1):
3368,2920,2852,1470,1120,1070,1032.
1H−NMR(CDCl3,δ):
0.85−1.70(m,31H),2.40−5.00(m,26H).
【0074】
製造例5
4−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−1−ドデシロキシ−2−メチル−2−ブタノール(1−j)の製造
【0075】
【化20】
【0076】
攪拌装置を備えた100mLフラスコに、1−ドデカノール11.18g(60mmol)、60%NaH 0.20g(5mmol)、及び1,2−エポキシ−2−メチル−3−(2−テトラヒドロピラニルオキシ)ブタン3.73g(20mmol)を仕込み、120℃で16時間攪拌し、過剰の1−ドデカノールを減圧留去した。得られた反応混合物に水を加え、イソプロピルエーテルで抽出し、減圧下に溶媒を留去した。この残渣にメタノール100mL、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム1.01g(4mmol)を加え、40℃で24時間攪拌し、NaHCO3水溶液で中和後、イソプロピルエーテルで抽出し、減圧濃縮した。
次に攪拌装置を備えた200mLフラスコに、上記残渣及びピリジン70mLを仕込み、塩化p−トルエンスルホニル3.82g(20mmol)を5℃で加え、6時間攪拌した。次いで反応混合物に水を加え、イソプロピルエーテルで抽出後、減圧濃縮した。得られた残渣を、攪拌装置を備えた200mLフラスコに仕込み、エタノールアミン24.4g(0.4mol)及びエタノール50mLを加え、80℃で18時間攪拌した。反応終了後、KOH水溶液を加え、クロロホルムで抽出し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、表記化合物(1−j)2.00g(収率30.2%)を得た。
【0077】
淡黄色ペースト状物
IR(NaCl,cm-1):
3380,2920,2852,1462,1378,1110.
1H−NMR(CDCl3,δ):
0.82−0.94(m,3H),1.14−1.41(m,21H),1.46−1.97(m,4H),2.83−2.94(m,2H),2.99(t,J=6.3Hz,2H),3.26(d,J=9.1Hz,1H),3.30(d,J=9.1Hz,1H),3.43(t,J=6.6Hz,2H),3.52−3.81(m,2H),4.46(br,3H).
【0078】
製造例6
(3−テトラデシロキシ−2−ヒドロキシプロピルアミノ)酢酸 塩酸塩〔(1k)塩酸塩〕の製造
【0079】
【化21】
【0080】
攪拌装置を備えた300mLフラスコに、グリシン7.51g(0.1mol)、48%NaOH8.3g(0.1mol)及びエタノール200mLを仕込み、80℃にて攪拌しながらテトラデシルグリシジルエーテル2.70g(10mmol)のエタノール溶液を加え、3時間攪拌した。エタノールを留去後、メタノール及び塩酸を加えて酸性とし、クロロホルムで抽出した。減圧濃縮後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して表記化合物〔(1−k)の塩酸塩〕1.17g(収率30.7%)を得た。
【0081】
無色固体
融点:180℃(分解)
IR(KBr,cm-1):
3340,3008,2916,2852,1750,1594,1468,1424,1364,1274,1224,1130.
1H−NMR(CDCl3;CD3OD=2:1,δ):
0.80−0.99(m,3H),1.09−1.74(m,24H),3.00−3.33(m,2H),3.40−3.62(m,4H),3.71−3.92(m,2H),3.98−4.20(m,1H).
【0082】
製造例7
製造例3において、3−アミノ−1−プロパノールの代わりに2−アミノブタン二酸ジメチルを用い、他は製造例3と同様に反応を行い、下記アミン誘導体(1−l)を合成し、更にこれをエタノール中で塩酸と反応させ、溶媒を減圧留去することにより、アミン誘導体(1−l)塩酸塩を製造した。
【0083】
【化22】
【0084】
無色固体
IR(KBr,cm-1):
3356,2920,2852,1734,1464,1254,1214,1138,1116.
1H−NMR(CDCl3;CD3OD,δ):
0.88(t,J=6.6Hz,3H),1.08−1.64(m,28H),2.35−2.75(m,3H),2.80−3.32(m,2H),3.34−3.62(m,2H),3.64−3.90(m,10H),4.04−4.22(m,1H).
【0085】
製造例8
2−(3−メチル分岐イソステアリルオキシ−2−メトキシプロピルアミノ)−1−エタノール(1−m)の製造
【0086】
【化23】
【0087】
攪拌装置を備えた100mLフラスコに、3−メチル分岐イソステアリルオキシ−2−メトキシ−1−プロパノール3.59g(10mmol)及びピリジン30mLを仕込み、塩化p−トルエンスルホニル3.82g(20mmol)を5℃にて加え、6時間攪拌した。反応混合物に水を加え、イソプロピルエーテルで抽出し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣を攪拌装置を備えた100mLフラスコに移し、エタノールアミン12.2g(0.2mol)及びエタノール50mLを加え、80℃で18時間攪拌した。反応終了後、KOH水溶液を加え、クロロホルムで抽出し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、表記化合物(1−m)2.58g(収率64.2%)を得た。
【0088】
淡黄色油状物
IR(NaCl,cm-1):
3316,2924,2856,1456,1114.
1H−NMR(CDCl3,δ):
0.75−0.98(m,6H),1.00−1.76(m,29H),2.52(brs,2H),2.62−2.88(m,4H),3.30−3.68(m,10H).
【0089】
製造例9
ヨウ化 N−(2−ヒドロキシエチル)−N,N−ジメチル−N−〔3−(メチル分岐イソステアリルオキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕アンモニウム(2−n)の製造
【0090】
【化24】
【0091】
製造例3と同様にしてメチル分岐イソステアリルグリシジルエーテルとN−メチルエタノールアミンより製造した3−(メチル分岐イソステアリル−1−〔N−メチル−N−2−(ヒドロキシエチル)アミノ〕−2−プロパノール5.05g(12.6mmol)及びジエチルエーテル100mLを攪拌装置を備えた300mLフラスコに仕込み、0℃で攪拌しながらヨードメタン9.13g(64.3mmol)を加え、更に室温にて14時間攪拌した。得られた反応混合物を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、表記化合物(2−n)3.01g(収率44%)を得た。
【0092】
黄色油状物
IR(NaCl,cm-1):
3360,2920,2856,1464,1368,1112,970.
1H−NMR(CDCl3,δ):
0.72−0.96(m,6H),0.98−1.80(m,29H),3.30−3.75(m,12H),3.80−4.25(m,6H),4.42−4.60(m,1H).
【0093】
製造例10
臭化 N−(2−ヒドロキシプロピル)−N,N−ジメチル−N−〔3−(メチル分岐イソステアリルオキシ)−2−メトキシプロピル〕アンモニウム(2−o)の製造
【0094】
【化25】
【0095】
製造例8で得たアミン誘導体(1−m)1.00g(2.5mmol)、臭化メチル2.33g(25mmol)及びエタノール30mLを100mLのオートクレーブに仕込み、50℃で72時間攪拌した。得られた反応混合物を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、表記化合物(2−o)0.78g(収率61%)を得た。
【0096】
黄色油状物
IR(NaCl,cm-1):
3304,2924,2856,1464,1374,1120,1076.
1H−NMR(CDCl3,δ):
0.75−0.96(m,6H),1.00−1.65(m,29H),3.05−4.25(m,20H),4.95−5.08(m,1H).
【0097】
製造例11
リン酸 2−(2−ヒドロキシ−3−テトラデシロキシプロピルアミノ)エチル モノナトリウム塩〔(1−p)のモノナトリウム塩〕の製造
【0098】
【化26】
【0099】
製造例3と同様にしてテトラデシルグリシジルエーテルとエタノールアミンより製造した3−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−1−テトラデヒロキシ−2−プロパノール5.13g(14.8mmol)を、攪拌装置を備えた300mLフラスコに仕込み、ここにテトラヒドロフラン70mL、85%リン酸1.95g(16.9mmol)及びP2O5 3.54g(30.7mmol)を加えて、65℃にて10時間攪拌した。室温まで冷却後、水0.56gを加え30分攪拌し、更に48%NaOH水溶液5.0gを加えた。減圧濃縮後、得られた残渣をソックスレー抽出器を用いてエタノールで抽出を行った。減圧濃縮後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製を行い、表記化合物(1−p)モノナトリウム塩2.32g(収率34.9%)得た。
【0100】
無色固体
IR(KBr,cm-1):
3408,2924,2860,1652,1470,1116,978.
1H−NMR(D2O,δ):
0.80−1.10(m,3H),1.26−1.95(m,24H),3.02−4.64(m,11H).
【0101】
製造例12
リン酸 3−〔N−メチル−N−(2−ホスホリルオキシエチル)アミノ〕−1−テトラデシロキシ−2−プロピル(1−q)の製造
【0102】
【化27】
【0103】
製造例3と同様にしてテトラデシルグリシジルエーテルとN−メチルエタノールアミンより製造した3−〔N−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アミノ〕−1−テトラデシロキシ−2−プロパノール2.94g(8.52mmol)のクロロホルム溶液を、攪拌装置を備えた100mLフラスコに仕込んだPOCl3 1.46g(9.52mmol)及びピリジン2.20g(25.6mmol)のクロロホルム30mL溶液に、−20℃で攪拌しながら5分間で滴下した。−20℃で更に30分攪拌し、水20mLを加え、クロロホルムで抽出した。得られたクロロホルム溶液を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、表記化合物(1−q)2.88g(収率66.9%)を得た。
【0104】
無色固体
IR(KBr,cm-1):
3464,2924,2852,1462,1072.
1H−NMR(CDCl3;CD3OD,δ):
0.82−1.03(m,3H),1.06−1.75(m,24H),2.20−3.04(m,7H),3.18−4.62(m,7H).
【0105】
製造例13
ヨウ化 N−(2−ヒドロキシエチル)−N,N−ジメチル−N−(3−メトキシ−2−ヒドロキシプロピル)アンモニウム(2−r)の製造
【0106】
【化28】
【0107】
まず、下記式で示すN−(3−メトキシ−2−ヒドロキシプロピル)−N−メチル−2−ヒドロキシエチルアミンを製造した。
【0108】
【化29】
【0109】
還流冷却管、攪拌装置を備えた100mLの2口フラスコに、メチルグリシジルエーテル8.8g(0.1mol)、2−(メチルアミノ)エタノール9.0g(0.12mol)及びエタノール1.8gを入れ、窒素雰囲気下80℃で3時間加熱攪拌した。反応終了後、蒸留により表記化合物14.5g(収率89%)を得た。
【0110】
無色油状物
IR(NaCl,cm-1):
3396,2892,1448,1324,1192,1030,874.
1H−NMR(CDCl3,δ):
2.33(s,3H),2.37−2.72(m,4H),3.32−3.47(m,2H),3.39(s,3H),3.64(t,2H,J=5.2Hz),3.84−3.96(m,1H).
【0111】
次に、攪拌装置を備えた100mLフラスコに、上記で得られたN−(3−メトキシ−2−ヒドロキシプロピル)−N−メチル−2−ヒドロキシエチルアミン1.00g(6.13mmol)及びジエチルエーテル10mLを仕込み、ヨウ化メチル0.45mLを加え、10時間攪拌した。減圧濃縮後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、表記化合物(2−r)1.31g(収率70%)を得た。
【0112】
無色油状物
IR(NaCl,cm-1):
3368,2932,2896,1480,1114,972.
1H−NMR(D2O,δ):
3.26(s,6H),3.41(s,3H),3.46−3.75(m,6H),4.00−4.15(m,2H),4.35−4.55(m,1H).
【0113】
製造例14
臭化 N−(2−ヒドロキシプロピル)−N,N−ジメチル−N−〔3−(12−ヒドロキシオクタデシル)−2−ヒドロキシプロピル〕アンモニウム(2−s)の製造
【0114】
【化30】
【0115】
まず、製造例13におけるN−(3−メトキシ−2−ヒドロキシプロピル)−N−メチル−2−ヒドロキシエチルアミンの製造と同様にして、12−ヒドロキシオクタデシルグリシジルエーテルとN−メチルエタノールアミンとから1−〔N−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アミノ〕−3−(12−ヒドロキシオクタデシル)−2−プロパノールを製造し、これを6.3g(15mmol)、ジエチルエーテル100mL、臭化メチル14.2g(0.15mol)を200mLのオートクレーブに仕込み、40℃で8時間攪拌した。次に反応液を減圧濃縮し、得られた残渣をメタノールに溶解し、ジエチルエーテルを加えて結晶を生成させ、この結晶を濾別し、表記化合物(2−s)6.9g(収率90%)を得た。
【0116】
無色結晶
IR(KBr,cm-1):
3320,2920,2852,1470,1122,598.
1H−NMR(CD3OD,δ):
0.90(t,3H,J=6.5Hz),1.20−1.58(m,30H),3.25(s,6H),3.33−4.29(m,12H).
【0117】
実施例1
表皮角化細胞のDNA合成に対するアミン誘導体の抑制効果
a)ヒト表皮角化細胞の培養
表皮角化細胞は、クラボウ(株)より発売されているヒト正常角化細胞(商品名:エピパック)を購入し使用した。なお、細胞の維持、継代には同社より発売されているヒト正常角化細胞用培地(商品名:K−GM)を用いた。
b)DNA合成(チミジン取り込み)の測定
24穴プレート中で増殖状態に培養された角化細胞を使用した。まず、各ウエルの培地を吸引除去し、脳下垂体抽出液を添加していないK−GMを450μl加え培地交換を行った。その後、前記製造例で得られたアミン誘導体(表1に示す)をそれぞれ添加した。更に、経時的に0.2μCi/mL〔3H〕チミジンを加え、4時間インキュベートした。その後、上清を吸引除去し、PBS(−)で3回洗浄後、500μlの2N NaOHを加えた。37℃で10分間インキュベートした後、同量の2N HClを加え中和し、氷冷した10%トリクロロ酢酸を4mL加え30分間静置した。
ガラスフィルターで沈澱物を回収した後、氷冷10%トリクロロ酢酸3mLで3回洗浄した。更に氷冷エタノール3mLで1回フィルターを洗浄したのち、ガラスフィルターを風乾し、液体シンチレーションカウンターでその放射活性を測定することにより細胞へのチミジンの取り込みを算定した。結果を合わせて表1に示す。
【0118】
【表1】
【0119】
表1に示す結果より明らかなように、チミジンの取り込みが上記アミン誘導体の添加により著しく減少すること、すなわち、ヒト表皮角化細胞のDNA合成が阻害されることが明らかとなった。また、同条件下で処理したヒト表皮角化細胞を4日目に観察したところ、ほとんどの細胞は不溶膜(コーニファイド エンベロープ)となり、角化していることがわかった。このことから、アミン誘導体(1)及び(2)は表皮の角化を促進する活性を有することがわかる。
【0120】
実施例2
表皮角化細胞のトランスグルタミナーゼ活性に対するアミン誘導体の効果
(1)トランスグルタミナーゼ活性の測定
6穴プレート中で増殖状態に培養された角化細胞を使用した。各ウエルの培地を吸引除去し、脳下垂体抽出液を添加していないK−GMを2mL加え培地交換を行った。そののち、アミン誘導体(2−n)を添加した。24時間後各ウエルをPBS(−)で3回洗浄したのちラバーポリスマンにより細胞を剥離回収した。得られた細胞懸濁液を2,500rpm、10分間遠心分離し沈渣を回収した。沈渣に緩衝液(a)〔10mM Tris−HCl緩衝液、10mM DTT、0.5mM EDTA;pH7.4〕200μlを加え、1分間、2回超音波によりソニケーションした。得られた懸濁液を25,000rpm 、30分間超遠心分離し、上澄を得た。この上澄を一定量ずつ分配したのち、それぞれに反応液〔300Mm Tris−HCl緩衝液、pH8.1、60mM CaCl2、100μl、30mM DTT 100μl、ジメチルカゼイン540μgを含む蒸留水100μl、12mMプトレシン50μl、2.5μCi〔14C〕プトレシン50μl、蒸留水100μlを混合した溶液〕を加え、37℃で1時間インキュベーションした。次に10%トリクロロ酢酸600μlを加え、30分間静置したのち、0.45μmニトロセルロースメンブランを用いて沈渣を回収した。このメンブランを5%濃度の氷冷トリクロロ酢酸15mL(1%プトレシン含有)で洗浄後、メンブラン上の放射活性を液体シンチレーションカウンターにより算定した。
【0121】
(2)結果
表2にアミン誘導体(2−n)を10μM添加したときのトランスグルタミナーゼ活性値(dpm)を示す。
【0122】
【表2】
【0123】
表2の結果から、アミン誘導体(1)及び(2)は、表皮角化細胞のトランスグルタミナーゼ活性を顕著に向上させる作用を有することがわかる。
【0124】
実施例3
以下に組成を示すW/Oクリームを下記製造方法により得た。
【0125】
【0126】
(製造方法)
(1)〜(7)を80℃に加温して溶解し、これに(8)〜(11)を加えて均一に混合し、W/Oクリームを調製した。
【0127】
実施例4
以下に組成を示すO/Wクリームを下記製造方法により得た。
【0128】
(表4)
(組成) (重量%)
(1)ポリオキシエチレン(10)硬化ヒマシ油 1.0
(2)モノステアリン酸ソルビタン 0.5
(3)ステアロイルメチルタウリンナトリウム 0.5
(4)セトステアリルアルコール 2.0
(5)ステアリン酸 1.8
(6)アミン誘導体(1−d) 0.001
(7)コレステロール 1.5
(8)コレステリルイソステアレート 1.0
(9)ジカプリン酸ネオペンチルグリコール 8.0
(10)メチルポリシロキサン 5.0
(11)グリセリン 5.0
(12)精製水 バランス
【0129】
(製造方法)
(1)〜(10)を80℃に加温して溶解し、これに(11)〜(12)を加えて均一に混合し、O/Wクリームを調製した。
【0130】
実施例5
以下に組成を示す保湿サンスクリーンクリームを下記製造方法により得た。
【0131】
(表5)
(組成) (重量%)
(1)アミン誘導体(1−q) 0.0005
(2)シリコン被覆酸化亜鉛 7.0
(3)p−メトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル 3.0
(4)コレステリルイソステアレート 1.0
(5)ポリエーテル変性シリコーン 2.0
(6)メチルポリシロキサン 5.0
(7)環状シリコーン 15.0
(8)硫酸マグネシウム 1.0
(9)グリセリン 5.0
(10)精製水 バランス
【0132】
(製造方法)
(1)〜(7)を80℃に加温して溶解し、これに(8)〜(10)を加えて均一に混合し、保湿サンスクリーンクリームを調製した。
【0133】
実施例6
以下に組成を示すパック剤を下記製造方法により得た。
【0134】
(表6)
(組成) (重量%)
(1)アミン誘導体(1−k)塩酸塩 0.05
(2)ポリビニルアルコール 15.0
(3)カルボキシメチルセルロースナトリウム 5.0
(4)プロピレングリコール 3.0
(5)エタノール 8.0
(6)精製水 バランス
(7)香料 0.5
(8)防腐剤、酸化剤 適量
【0135】
(製造方法)
(1)〜(8)を70℃に加温して溶解した後冷却し、パック剤を製造した。
【0136】
実施例7
以下に組成を示す軟膏を下記製造方法により得た。
【0137】
(表7)
(組成) (重量%)
(1)アミン誘導体(2−n) 0.005
(2)白色ワセリン バランス
(3)コレステリルイソステアレート 3.0
(4)流動パラフィン 10.0
(5)グリセリルエーテル 1.0
(6)グリセリン 10.0
【0138】
(製造方法)
(1)〜(6)を80℃に加温して溶解した後冷却し、軟膏を調製した。
【0139】
実施例3〜7で調製した本発明の外用剤は、不全角化、表皮肥厚、脂質代謝異常を抑制し、正常機能回復及び恒常性維持に優れるものであった。
Claims (1)
- 下記一般式(1)又は(2):
但し、式(1)において、R2 とR3 がともに−CH2− 、R4 とR5 がともに水素原子、かつYが式(a)
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