JP4472956B2 - モータのギヤハウジング - Google Patents

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Description

本発明は、モータのギヤハウジングに関するものである。
従来、車両ワイパ装置等に用いられるモータは、回転軸を回転駆動するモータ本体と、回転軸の回転を減速して出力する減速部とを備える。減速部は、モータ本体に固定されるギヤハウジングと、ギヤハウジングに収容される減速ギヤ(ウォーム及びウォームホイール)と、減速ギヤ(ウォームホイール)に連結され外部に突出する出力軸とを備える。そして、ギヤハウジングには軸心が傾かないように出力軸を支持すべく円筒状に突出する支持筒部が形成される。又、ギヤハウジングにおいて前記支持筒部の外周側には、放射状(法線方向)に延びる補強用リブが形成される(例えば、特許文献1参照)。このようなギヤハウジングでは、補強用リブにより支持筒部の強度が向上し、支持する出力軸に外力(負荷)が加わってもその軸心が傾くといったことが防止される。
特開2001−103705号公報(図1)
しかしながら、上記のようなギヤハウジングでは補強用リブが法線方向に延びるため、ギヤハウジングの鋳造時における硬化時に、(硬化時の収縮で)支持筒部に法線方向の張力が大きく作用してしまうことになる。よって、支持筒部の内周の真円度が大幅に低下してしまうという問題がある。尚、上記のように支持筒部の内周の真円度が低いと、その内周に固定される軸受けの軸心が傾いたり、すべり軸受けの潤滑油が漏れる等の虞があるため、前記真円度を高くすべく鋳造後に更に支持筒部の切削加工やサイジング加工が必要となってしまう。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、容易に支持筒部の内周における真円度を高くすることができるモータのギヤハウジングを提供することにある。
請求項1に記載の発明では、回転軸を回転駆動するモータ本体に固定され、前記回転軸と連結される減速ギヤを収容し、前記減速ギヤと連結される出力軸を支持すべく円筒状に突出する支持筒部を有するモータのギヤハウジングにおいて、前記支持筒部の外周側に、その法線から所定の角度を有して延びるとともに該支持筒部の厚みの範囲内における円の接線方向を含む略接線方向に延びる補強用リブを形成し、前記補強用リブの径方向外側端部と繋がり、前記支持筒部を囲うように円筒状に突出する大径筒部を形成し、前記補強用リブは、前記支持筒部と共に、前記大径筒部に1つの頂点を有する三角形を構成し、且つ該三角形が周方向に連続するように形成された。
作用)
請求項1に記載の発明によれば、支持筒部の外周側には、その法線から所定の角度を有して延びる補強用リブが形成される。よって、支持筒部の強度が向上し、支持する出力軸に外力(負荷)が加わってもその軸心が傾くといったことが防止される。しかも、補強用リブは、支持筒部の法線から所定の角度を有して延びるため、鋳造時における硬化時に、支持筒部に法線方向の張力が(法線方向に延びるリブに比べて)作用し難くなる。よって、支持筒部の内周における真円度の低下(局部的なヒケ)が低減される。
また、補強用リブの径方向外側端部と繋がり支持筒部を囲うように円筒状に突出する大径筒部が形成されるため、支持筒部の強度が更に向上し、支持する出力軸に外力(負荷)が加わってもその軸心が傾くといったことが更に防止される。
また、補強用リブは、支持筒部の略接線方向に延びるため、鋳造時における硬化時に、支持筒部に法線方向の張力が作用し難くなる。
また、補強用リブは、周方向に一定のパターンを繰り返して形成されるため、鋳造時における硬化時に、支持筒部に作用する補強用リブの張力が周方向に略均等となる。よって、支持筒部の内周における真円度が更に向上される。
本発明によれば、容易に支持筒部の内周における真円度を高くすることができるモータのギヤハウジングを提供することができる。
以下、本発明を具体化した一実施の形態を図1〜図3に従って説明する。図1に示すように、モータは、モータ本体1(図1中、一点鎖線で示す)と減速部2とを備える。モータ本体1は、ヨークと、ヨークの内周に固着されるマグネットと、ヨーク内に収容された回転子とを備え、回転子(回転軸を含む)を回転駆動する。減速部2は、ギヤハウジング3と、減速ギヤとしてのウォーム4及びウォームホイール5と、出力軸6とを備える。
ギヤハウジング3は、アルミ合金よりなる。ギヤハウジング3は、モータ本体1の回転軸の延長線上に延びるウォーム収容部3aと、ウォーム収容部3aの軸直交方向(図1中、右方向)に延びるホイール収容部3bとを有する。又、ギヤハウジング3は、ホイール収容部3bの延びる方向側端部(図1中、右側端部)における前記回転軸に沿った方向(図1中、上下方向)の両端部に、被固定部(例えば、車両ボディ等)に取り付けるための取付部3c,3dを有する。又、ギヤハウジング3は、ホイール収容部3bの中央に出力軸6を支持すべく円筒状に(図1中、紙面直交方向手前側に)突出する支持筒部3e(図3参照)を有する。
そして、ウォーム4は、ウォーム収容部3aに収容され、ウォームホイール5はウォーム4に歯合されるようにホイール収容部3bに収容される。尚、本実施の形態のウォーム4は、回転軸に一体形成され、ギヤハウジング3をモータ本体1に組み付ける際にギヤハウジング3内に収容される。又、ホイール収容部3bは、ウォームホイール5と対向する一方の面側(図1中、紙面直交方向奥側)が開口して形成され、その開口からウォームホイール5が収容され、その開口が図示しない閉塞部材にて閉塞されることになる。
そして、出力軸6は、ウォームホイール5と一体回転可能に設けられるとともに、前記支持筒部3eに回転可能に支持される。尚、本実施の形態では出力軸6は、支持筒部3eの内周面に固定されるすべり軸受け7を介して支持される。この出力軸6はギヤハウジング3の外部に突出して、被駆動部材(例えば、車両用ワイパアーム等)に連結される。
ここで、前記ギヤハウジング3において、支持筒部3eの外周側には、図2に示すように、その法線L1から所定の角度θ1を有して延びる補強用リブ11が形成されている。又、ギヤハウジング3には、補強用リブ11の径方向外側端部と繋がり、支持筒部3eを囲うように円筒状に突出する大径筒部12が形成されている。この大径筒部12の裏面(前記ホイール収容部3bの内面)には、図3に示すように、大径筒部12に沿った環状の溝部13が形成されている。
前記補強用リブ11は、支持筒部3eの略接線方向に延びるように形成されることで、法線L1から所定の角度θ1を有する。尚、本実施の形態では、補強用リブ11の幅(厚み)の中心線(直線L2)が、支持筒部3eの幅(厚み)の中心における接線方向(直線L3)と一致するように設定されている。
又、補強用リブ11は、周方向に一定のパターンを繰り返して形成されている。詳しくは、本実施の形態の補強用リブ11は、前記支持筒部3eと共に、前記大径筒部12に1つの頂点を有する三角形Zを構成するように、且つ前記三角形Zが周方向に連続して形成されるように設定されている。又、本実施の形態では、補強用リブ11が12個形成されることで、一対の補強用リブ11が周方向に一定のパターンで6対形成され、前記三角形Zが60度間隔に6つ形成されている。又、本実施の形態では、図3に示すように、補強用リブ11及び大径筒部12の高さが、支持筒部3eの高さの略半分に設定されている。
又、前記ギヤハウジング3において、大径筒部12の外周側には、図1に示すように、大径筒部12と連続して取付部3c,3dに向かって延びる取付補強用リブ14,15が形成されている。尚、本実施の形態の取付補強用リブ14,15は、取付部3c,3d毎に2つずつ設けられている。
次に、上記実施の形態の特徴的な作用効果を以下に記載する。
(1)支持筒部3eの外周側には、図2に示すように、その法線L1から所定の角度θ1を有して延びる補強用リブ11が形成される。詳しくは、本実施の形態の補強用リブ11は、支持筒部3eの略接線方向に延びるように形成されることで、法線L1から所定の角度θ1を有する。よって、支持筒部3eの強度が向上し、支持する出力軸6に外力(負荷)が加わってもその軸心が傾くといったことが防止される。しかも、補強用リブ11は、支持筒部3eの法線L1から所定の角度θ1を有して延びるため、鋳造時における硬化時に、支持筒部3eに法線L1方向の張力が(法線方向に延びる補強用リブに比べて)作用し難くなる。よって、支持筒部3eの内周における真円度の低下(局部的なヒケ)が低減される。その結果、支持筒部3eの内周における真円度を向上するための鋳造後の切削加工やサイジング加工を不要、若しくは軽微なものとすることができる。
(2)ギヤハウジング3には、補強用リブ11の径方向外側端部と繋がり、支持筒部3eを囲うように円筒状に突出する大径筒部12が形成されるため、支持筒部3eの強度が更に向上し、支持する出力軸6に外力(負荷)が加わってもその軸心が傾くといったことが更に防止される。
(3)大径筒部12の裏面(前記ホイール収容部3bの内面)には、図3に示すように、大径筒部12に沿った環状の溝部13が形成される。よって、鋳造時に溝部13には金型の環状凸部が存在される(言い換えると環状凸部により溝部13が形成される)ことにより、該環状凸部にて大径筒部12の内側(支持筒部3e含む)が大径筒部12の外側における硬化時の収縮の影響を受け難くなる。よって、支持筒部3eの内周における真円度が向上される。尚、溝部13は、大径筒部12の裏面に形成されることでギヤハウジング3の厚さが単純に薄くなることが防止され、該部分の強度が大径筒部12にて確保されることになる。
(4)補強用リブ11は、周方向に一定のパターンを繰り返して形成されるため、鋳造時における硬化時に、支持筒部3eに作用する補強用リブ11の張力が周方向に略均等となる。よって、支持筒部3eの内周における真円度が更に向上される。
(5)補強用リブ11は、支持筒部3eと共に、大径筒部12に1つの頂点を有する三角形Zを構成するように、且つ三角形Zが周方向に連続して形成されるように設定されている。このようにすると、補強用リブ11と共に支持筒部3eの強度が更に向上し、支持する出力軸6に外力(負荷)が加わってもその軸心が傾くといったことが更に防止される。
(6)ギヤハウジング3において、大径筒部12の外周側には、大径筒部12と連続して取付部3c,3dに向かって延びる取付補強用リブ14,15が形成されるため、取付部3c,3dの強度が向上し、被固定部(例えば、車両ボディ等)に強固に(がたつかないように)取り付けることができる。
上記実施の形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施の形態では、補強用リブ11は、支持筒部3eの略接線方向に延びるように形成されることで、法線L1から所定の角度θ1を有するとしたが、これに限定されず、所定の角度θ1は他の角度に(例えば補強用リブが略接線方向より法線L1寄りに延びるように)変更してもよい。尚、上記略接線方向とは、支持筒部3eの幅(厚み)の範囲内における円の接線方向を含む。
・上記実施の形態では、ギヤハウジング3に大径筒部12を形成したが、これに限定されず、大径筒部12が形成されていないギヤハウジングに変更してもよい。尚、この場合、取付補強用リブ14,15の形状等も適宜変更する必要がある。
・上記実施の形態では、ギヤハウジング3の大径筒部12の裏面に大径筒部12に沿った環状の溝部13を形成したが、これに限定されず、溝部13が形成されていないギヤハウジングに変更してもよい。
・上記実施の形態では、補強用リブ11は、支持筒部3eと共に、大径筒部12に1つの頂点を有する三角形Zを構成するように設定されているとしたが、これに限定されず、三角形Zを構成しない他の形状に設定してもよい。又、補強用リブ11の数等においても12個に限定されず、他の数等に変更してもよい。
・上記実施の形態では、ギヤハウジング3に取付補強用リブ14,15を形成したが、これに限定されず、取付補強用リブ14,15が形成されていないギヤハウジングに変更してもよい。
・上記実施の形態では、ギヤハウジング3はアルミ合金よりなるとしたが、樹脂材料よりなるギヤハウジングに形状(補強用リブ11等)を適用してもよい。
上記各実施の形態から把握できる技術的思想について、以下にその効果とともに記載する。
(イ)前記補強用リブは、前記支持筒部と共に、前記大径筒部に1つの頂点を有する三角形を構成するように、且つ前記三角形が周方向に連続して形成されるように設定されたことを特徴とする。このようにすると、補強用リブと共に支持筒部の強度が更に向上し、支持する出力軸に外力(負荷)が加わってもその軸心が傾くといったことが更に防止される。
本実施の形態におけるモータの正面図。 本実施の形態におけるギヤハウジングの要部を示す説明図。 図2のA−A断面図。
符号の説明
1…モータ本体、3…ギヤハウジング、3e…支持筒部、4…減速ギヤの一部を構成するウォーム、5…減速ギヤの一部を構成するウォームホイール、11…補強用リブ、12…大径筒部、13…溝部、L1…法線、θ1…所定の角度。

Claims (1)

  1. 回転軸を回転駆動するモータ本体に固定され、前記回転軸と連結される減速ギヤを収容し、前記減速ギヤと連結される出力軸を支持すべく円筒状に突出する支持筒部を有するモータのギヤハウジングにおいて、
    前記支持筒部の外周側に、その法線から所定の角度を有して延びるとともに該支持筒部の厚みの範囲内における円の接線方向を含む略接線方向に延びる補強用リブを形成し、
    前記補強用リブの径方向外側端部と繋がり、前記支持筒部を囲うように円筒状に突出する大径筒部を形成し、
    前記補強用リブは、前記支持筒部と共に、前記大径筒部に1つの頂点を有する三角形を構成し、且つ該三角形が周方向に連続するように形成されたことを特徴とするモータのギヤハウジング。
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