JP4471251B2 - 消音ストライク - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、錠箱のラッチボルトがストライクのラッチボルト孔に投入されるときの騒音を軽減することができる消音ストライクに係り、特に、既設のストライクに後付けで適用できる消音ストライクに関する。
【0002】
【従来の技術】
錠箱のラッチボルトは、閉扉時、その斜面と扉枠との間に生じる楔作用により一旦錠箱内に押込まれるが、扉が完全に閉ってラッチボルトとラッチボルト孔とが整合すると、その付勢力によって勢い良くラッチボルト孔に投入される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
その為、錠箱内のストッパーとラッチボルトとが衝突し、通常、錠箱内に騒音が発生する。
【0004】
この騒音は、例えば深夜にはかなり響き渡って他人に不愉快な思いをさせ、或いは、病院の病室の扉の場合には、患者の眠りを妨げたり、そうでなくても気弱になっている患者の神経を逆なでする。
【0005】
そこで、この発明は、扉が閉るときにラッチボルトが発生させる騒音を軽減すると共に、既設の扉口のストライクにも適用できる消音ストライクを提供し、以て上記した不都合を解消することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、この発明は、少なくともラッチボルト投入孔を開口させたストライクと、一面が開口した箱状体で、その開口をストライクの裏面に接合させるようにしてこれに結合されトロヨケと、このトロヨケ内に装着された消音ブロックとから成り、この消音ブロックは、有底の装着孔の内側に、装着孔と同軸の細い支軸を一体的に設けた第1ブロックと、全体の形状が略カップ状で、その底部を貫通するようにして上記支軸と嵌合する受け筒を一体に形成すると共に、その開口部を第1ブロックの装着孔に深く嵌合させた第2ブロックと、第1ブロックの支軸周りの空間にこれと同軸に固設されたn(n:1以上の正の整数)個の薄肉の第1作動筒と、第2ブロックの受け筒周りの空間にこれと同軸に、かつ一の第作動筒と他の作動筒との間に挿入されるようにして固設された(n−1)個の第2作動筒と、第2ブロックの内側に充填された粘液と、第2ブロックの外方に突出した受け筒の外側に巻装されたねじりコイルばねとを有し、上記第1及び第2ブロックの何れか一方を、支軸を垂直にした関係位置で、トロヨケ内に固定すると共に、他方に、水平に延在し、先端が上記ねじりコイルばねの弾力により外方に付勢されたアームを突設し、このアームの先端部をストライクのラッチボルト投入孔に内側から臨ませたことを特徴とする。
【0007】
【実施例】
以下、この発明の実施例を図面を参照して説明する。
図1及び図2において符号1は扉枠側に装着されたストライクを示し、このストライク1には、少なくともラッチボルト2を係止するためのラッチボルト投入孔3が開口している。
【0008】
なお、図示の実施例におけるストライク1は、上記ラッチボルト投入孔3とデッドボルト4を係止するためのデッドボルト投入孔を繋げて縦長の単一のボルト孔3としている。
【0009】
ストライク1の裏面側(図2で左側)には、一面が開口した箱状のトロヨケ5が、その開口をストライク1に接合させるようにして一体的に結合されている。
【0010】
なお、ストライク1とトロヨケ5の結合構造は従来から周知であるから、更に詳細な説明は省略する。
【0011】
このトロヨケ5の内側下方には、ラッチボルト2に対応して、全体を符号6で示す消音ブロックが装着されている。
【0012】
この消音ブロック6は、図1乃至図3に示すように、有底の装着孔7(図3参照)を形成した第1ブロック8と、全体の形状がカップ状の第2ブロック9とを有している。
【0013】
上記第1ブロック8は、図4に示すように、断面がL字形の土台に上記装着孔7を形成した膨出部11を一体に結合したもので、装着孔7の軸線を垂直にした状態で、トロヨケ5の底面にねじ止めされている。
【0014】
また、上記装着孔7の内側には、その中心軸線に沿って、細い支軸12が一体的に設けられている。この支軸12の先端部は、図3に示すように、装着孔7の開口を突き抜けて上方に延伸している。
【0015】
一方、上記第2ブロック9には、その底部を貫通するようにして、上記支軸12と嵌合する受け筒13が一体に形成されており、また、その開口部を第1ブロックの装着孔7に深く嵌合させている。
【0016】
ここで、深く嵌合させるとは、嵌合している部分の母線方向の寸法が大きいということで、後述するように、第2ブロックの内側に充填する粘液の封止度を高める為に深く嵌合させる。
【0017】
上記した構成の第1及び第2ブロック8、9を開口を相互に対向させた状態で深く嵌合させると、図3に示すように、第1及び第2ブロックの嵌合部、及び支軸12と受け筒13との嵌合部の間、すなわち受け筒13の周囲に、断面蛇の目状の気密の空間が形成される。
【0018】
この気密の空間内に、一端(図3において下端)を装着孔7に堅く嵌合させることにより第1ブロック8に一体に結合された薄肉の第1作動筒14が、支軸12と同軸に配設されている。
【0019】
そして、上記第1作動筒14の周囲の空間、換言すれば第2ブロック9の内側には、グリース等の粘液が充填されている。
【0020】
一方、図3に示すように、第2ブロックを突き抜けた受け筒13の上端開口、及び支軸12の上端面を覆うようにして、受け筒13より大径のフランジ板15が例えばねじ止めされている。
【0021】
また、図3及び図5に示すように、第2ブロック9の外周面の一部に、水平方向に延伸するアーム16が一体に突設されている。
【0022】
そして、上記第2ブロック9の上方に突出した受け筒13の外側に巻装された捩りコイルばね17の弾力により、アーム16は図5で反時計方向に、すなわち、図1でアーム16が外方に(手前側に)突出する方向に付勢されている。
【0023】
なお、アーム16に外力が作用しない常態におけるアームの角度位置を規定するため、図5に示すように、第2ブロック9の一部に係止片18を突設し、この係止片18を第1ブロック8の土台に弾接している。
【0024】
なお、後述するように第2ブロックのアーム16はラッチボルトと衝突するので、第2ブロックの材質は弾性の大きい合成樹脂を選定するとよい。
【0025】
上記のように構成されたこの発明の一実施例による消音ストライクは、ラッチボルト2がストライクのラッチボルト投入孔に投入されるとき、ラッチボルト2の先端がアーム16の先端に衝突するが(図6参照)、その勢いでアーム16及びこれと一体の第2ブロック9が図5及び図6で時計方向に駆動される。
【0026】
このとき、第2ブロック9は急激に回動するので、固定された第1ブロックの第1作動筒14の内側及び外側の粘液が第2ブロック9に従動して移動し、第1作動筒14との間に粘性抵抗が発生する。
【0027】
そのため、ラッチボルト2の運動エネルギーは、一部が捩りコイルばね17を撓めることにより、残部は粘性抵抗によって消費されるので、ラッチボルト2は著しく減速され、そのため錠箱内における騒音は殆ど無くなる。
【0028】
また、アーム16の材質を適切に選定すれば、アーム16とラッチボルト2との衝突音も著しく軽減される。
【0029】
開扉のためハンドルやノブを操作してラッチボルトを錠箱内に引っ込めると、アーム16及びこれと一体の第2ブロック9は図5に示す待機角度位置に復帰する。
【0030】
周知のように、粘性抵抗は速度に比例するので、捩りコイルばね17の弾力が小さくてもアーム16は元の待機角度位置に確実に復帰する。
【0031】
なお、この発明は図示の実施例に限定されることなく、種々に変形して実施することができる。
【0032】
例えば、図示の実施例では第1ブロック8をトロヨケに固定し、第2ブロック9を可動にしてこれにアーム16を形成するものとしたが、これとは逆に、第2ブロックを固定し、第1ブロック8を可動にしてこれにアームを形成する設計も可能である。
【0033】
また、図示の実施例では、粘性抵抗器の作動筒14を1個としたが、これは2個以上とし、その間に挿設される第2作動筒(図示せず)を第2ブロックに設けることもできる。
【0034】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、この発明は、トロヨケ内にラッチボルトの先端に駆動されて回動するアームを設け、このアームを粘性抵抗器に連結するようにしたので、ラッチボルト投入孔に投入されたラッチボルトの勢いが粘性抵抗器によって吸収され、ラッチボルトが減速される結果、ラッチボルトの作動音を殆ど吸収することができる。
【0035】
また、ストライクを取り外してトロヨケ底面にタップを立てれば、消音ブロックを簡単にねじ止めできるので、この発明を既設のストライクにも適用できる、等種々の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による消音ストライクの一部断面正面図。
【図2】その一部断面図。
【図3】消音ブロックの拡大断面図。
【図4】消音ブロックの拡大底面図。
【図5】消音ブロックの拡大平面図。
【図6】消音ストライクの作動を示すその横断面図。
【符号の説明】
1 ストライク
2 ラッチボルト
3 ラッチボルト投入孔
5 トロヨケ
6 消音ブロック
7 装着孔
8 第1ブロック
9 第2ブロック
12 支軸
13 受け筒
14 第1作動筒
16 アーム
17 捩りコイルばね

Claims (1)

  1. 少なくともラッチボルト投入孔を開口させたストライクと、一面が開口した箱状体で、その開口をストライクの裏面に接合させるようにしてこれに結合されトロヨケと、このトロヨケ内に装着された消音ブロックとから成り、この消音ブロックは、有底の装着孔の内側に、装着孔と同軸の細い支軸を一体的に設けた第1ブロックと、全体の形状が略カップ状で、その底部を貫通するようにして上記支軸と嵌合する受け筒を一体に形成すると共に、その開口部を第1ブロックの装着孔に深く嵌合させた第2ブロックと、第1ブロックの支軸周りの空間にこれと同軸に固設されたn(n:1以上の正の整数)個の薄肉の第1作動筒と、第2ブロックの受け筒周りの空間にこれと同軸に、かつ一の第作動筒と他の作動筒との間に挿入されるようにして固設された(n−1)個の第2作動筒と、第2ブロックの内側に充填された粘液と、第2ブロックの外方に突出した受け筒の外側に巻装されたねじりコイルばねとを有し、上記第1及び第2ブロックの何れか一方を、支軸を垂直にした関係位置で、トロヨケ内に固定すると共に、他方に、水平に延在し、先端が上記ねじりコイルばねの弾力により外方に付勢されたアームを突設し、このアームの先端部をストライクのラッチボルト投入孔に内側から臨ませたことを特徴とする消音ストライク。
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