JP4471088B2 - 有機酸可溶型ポリアミド樹脂組成物及び三次元射出成形回路部品の製造方法 - Google Patents

有機酸可溶型ポリアミド樹脂組成物及び三次元射出成形回路部品の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、新規な有機酸可溶型ポリアミド樹脂組成物に関する。本発明の有機酸可溶型ポリアミド樹脂組成物は、射出成形性、他の合成樹脂成形品に対する接着性、めっき処理液に対する耐性、有機酸に対する溶解性、回路パターン形成性に優れており、三次元射出成形回路部品を形成するためのレジスト樹脂として好適である。また、本願発明は、該有機酸可溶型ポリアミド樹脂組成物をレジスト樹脂として使用する工程を含む三次元射出成形回路部品の製造方法に関する。
電子機器の小型化、軽量化、高性能化に伴って、プリント配線基板のファインパターン化、多層化、機器内の合理化、省スペース化などが進められている。組立の自動化の観点からも、組立性の向上を目指した配線合理化技術が求められている。このような要求に応えるために、射出成形品の表面に立体的に配線(導体回路)を形成した三次元射出成形回路部品(Molded Interconnect Device; 以下、「MID」と略記)が提案されている。
MIDは、合成樹脂射出成形品と配線部品とを一体化した立体配線基板であって、自由な三次元性を持ち、配線の合理化のみならず、電子ディバイス部品などの小型化、表面実装を可能とするものである。例えば、MIDを機器内の隙間に配置することにより、集積密度を向上させることができる。MIDは、発光ダイオード(LED)等の半導体パッケージ、三次元プリント配線板、携帯電話のアンテナ部品等に応用されている。
従来のMIDの製造方法には、大別して「一回成形法」と「二回成形法」とがある。一回成形法では、めっきグレードの樹脂を用いて射出成形により成形品を成形し、該成形品の全面を粗面化した後、触媒を付与し、次いで、銅めっき膜を形成する。次に、銅めっき膜上にレジストを塗布し、フォトリソグラフィ技術により回路形成を行う。回路形成方法としては、エッチングレジストを用いたサブトラクティブ法、めっきレジストを用いたセミアディティブ法などがある。
この1回成形法では、レジスト膜への露光工程において、フィルムマスクやガラスマスクを用いて平行光により露光するため、垂直面には回路を形成することが困難である。マスクの形状を成形品の形状に合わせるように成形する方法を採用しても、成形可能なマスク形状に限界があり、しかも露光光線を均一に照射できるマスク形状に限定されるという問題がある。したがって、1回成形法は、導体回路形成の自由度が低い。さらに、1回成形法では、エッチングにより回路を形成するため、導体の厚さを厚くすることが困難である。
2回成形法は、易めっき性樹脂と難めっき性樹脂の2種類の樹脂を用いて、2回の成形により一体の成型品を成形し、フルアディティブ法により回路を形成する方法である。より具体的には、易めっき性樹脂を射出成形して一次成形品を成形し、その表面に触媒を付与するか、予め触媒を含有する易めっき性樹脂を射出成形して一次成形品を成形する。次に、一次成形品の回路を形成すべき部分以外の全面に難めっき性樹脂を射出成形して、難めっき性樹脂被覆層を有する二次成形品を形成する。難めっき性樹脂被覆層は、めっきの際のめっきレジストの役割を果すものである。最後に、フルアディティブ法により、一次成形品表面の回路を形成すべき部分にめっきを施す。
2回成形法によれば、垂直面にも容易に回路を形成することができるため、1回成形法では不可能または困難であった立体的な回路成形を容易に行うことができる。2回成形法では、導体の厚さも、フルアディティブ法のため、エッチングを用いる1回成形法に比べて厚くすることができ、許容電流が大きな回路部品とすることができる。
しかし、従来の2回成形法では、二次成形した難めっき性樹脂被覆層がそのまま製品に残ってしまうので、回路部品全体が厚くなり、薄型にしたり、小型化や軽量化を図るには限界がある。また、2回成形法では、難めっき性樹脂被覆層が製品に残ることから、難めっき性樹脂として耐熱性、電気絶縁性、機械的強度、耐薬品性等に優れた樹脂材料を用いる必要があるため、製造コストが高くなる。さらに、一次成形品を金型内にインサートして難めっき性樹脂を射出成形するため、難めっき性樹脂として高性能の樹脂材料を用いると、高圧で射出成形する必要が生じ、その結果、回路部の高さを高くしたり、回路部の幅を広くする必要が生じる。
従来、2回成形法において、二次成形した部分が製品に残らないように、工程の途中で溶出させる方法が提案されている(特許文献1参照)。具体的に、該文献には、(1)回路部品の外形形状に合致する形状のキャビティ内にめっきグレードの液晶ポリマーを射出して一次成形品を成形する工程、(2)一次成形品を表面粗化する工程、(3)一次成形品に形成すべき回路部分を除く全表面に空隙を有する形状のキャビティ内に、表面粗化した一次成形品をインサートして、キャビティ内にオキシアルキレン基含有ポリビニルアルコール系樹脂を射出して二次成形品を成形する工程、(4)二次成形品を成形後に、露出している回路部分にパラジウム、金などによる触媒を賦与する工程、(5)触媒賦与後の二次成形品を湯中にて加熱して、二次成形によって成形した部分を湯中に溶出させる工程、及び(6)触媒賦与部分をめっきして回路を形成する工程からなる成形回路部品(MID)の製造方法が開示されている。
しかし、上記文献に記載の方法では、水溶性のオキシアルキレン基含有ポリビニルアルコール系樹脂を用いて二次成形部分(被覆層)を形成しているため、触媒賦与工程や触媒活性化工程で使用する塩酸や硫酸などの無機酸を含有する処理液により、当該被覆層が膨潤したり、溶解が部分的に進行する。その結果、所望の導体回路パターンを精度良く形成することが困難である。特に、回路ピッチが微細になるほど、この傾向が顕著になるという問題があった。
また、2回成形法とフォトリソグラフィ技術とを組み合わせたMIDの製造方法が提案されている(特許文献2参照)。該文献には、凹凸の大きい険阻部となめらかに変化する平滑部とを有する合成樹脂射出成形品に導体回路を形成するMIDの製造方法において、(1)射出成形品を、無電解めっき用触媒を配合した易めっき性材料の一次射出成形と無電解めっき用触媒を配合していない難めっき性材料の二次射出成形とで形成し、かつ、(2)険阻部の表面に易めっき性材料を露出させて険阻部の導体回路パターンを形成すると共に、(3)平滑部の全面に易めっき性材料が露出するように一次及び二次射出成形した後、険阻部と平滑部の全面に無電解めっきを施し、しかる後、(4)険阻部と平滑部の全面にレジスト被膜を形成し、そのレジスト被膜にフォトリソグラフィを施して平滑部の全面の無電解めっき層に、険阻部の導体回路パターンと連なる平滑部の導体回路パターンを形成するMIDの製造方法が開示されている。
しかし、上記文献に記載の方法は、フォトリソグラフィ技術を適用するため、3次元導体回路形成の自由度が低く、しかも二次射出成形部分が製品に残ることになる。
特開平11−145583号公報 特開平7−283513号公報
本発明の課題は、射出成形性、合成樹脂成形品に対する接着性、めっき処理液に対する耐性、有機酸に対する溶解性、回路パターン形成性に優れた新規な有機酸可溶型ポリアミド樹脂組成物を提供することにある。
本発明の他の課題は、このような優れた特性を有する有機酸可溶型ポリアミド樹脂組成物をレジスト樹脂として使用する工程を含む三次元射出成形回路部品の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するために鋭意研究する過程で、ダイマー酸を含有するジカルボン酸成分と特定のジアミン成分とを重縮合して得られるポリアミド(A)と、ダイマー酸を含有するジカルボン酸成分とポリアルキレンポリアミンとを重縮合して得られるポリアミドポリアミン(B)とを、特定割合でアミド交換反応させることにより、射出成形が可能で、合成樹脂成形品に対する接着性、めっき処理液に対する耐性、有機酸に対する溶解性にすぐれた有機酸可溶型ポリアミド樹脂が得られることを見出した(特願2002−222476号)。
上記の有機酸可溶型ポリアミド樹脂は、三次元成形回路部品(MID)の製造工程において、射出成形によりパターン形状が良好な被覆層(レジスト層)を形成することができる。また、該有機酸可溶型ポリアミド樹脂は、ギ酸や酢酸などの有機酸の水溶液には良好な溶解性を示すものの、無機酸水溶液に対しては、膨潤または溶解し難いものである。しかも、該有機酸可溶型ポリアミド樹脂は、合成樹脂基板などの他の合成樹脂成形品に対して良好な接着性を示す。
しかし、前記の有機酸可溶型ポリアミド樹脂は、射出成形時の金型温度における引張抗張力及び弾性率が低いために、金型内のランナー部分で破断して樹脂が詰まり、連続成形が困難になることがある。また、該機酸可溶型ポリアミド樹脂は、MID製造工程において、一次成形品(合成樹脂基板)の回路を形成すべき部分を除く全表面に射出成形してパターン状の被覆層(非めっき部分;レジストパターン)を形成すると、金型から取り出す際に、被覆層のパターンが変形し、その結果、精度良く導体回路パターンを形成することが困難になることがある。このような傾向は、導体回路パターンのライン&スペース(L&S)が小さくなるほど現れ易い。
そこで、本発明者らは、さらに研究を継続した結果、ポリアミド(A)とポリアミドポリアミン(B)とのアミド交換反応生成物であるポリアミド樹脂に、特定の無機フィラーを特定割合で配合し、かつ、その有機酸に対する可溶性を制御した樹脂組成物に想到した。本発明の樹脂組成物は、射出成形性、合成樹脂成形品に対する接着性、めっき処理液に対する耐性、有機酸に対する溶解性、回路パターン形成性に優れている。しかも、本発明の樹脂組成物では、前記ポリアミド樹脂として、それ自体が有機酸可溶型のポリアミド樹脂だけではなく、特定の組成を有するものであれば、有機酸に対する溶解性が低いものであっても使用できることが判明した。
本発明の有機酸可溶型ポリアミド樹脂組成物は、MID製造のめっき工程でのレジスト樹脂として使用すると、めっき処理液によってレジスト樹脂被覆層が膨潤や溶解などの間題を引き起こすことがなく、しかもレジスト樹脂被覆層を有機酸水溶液に浸漬する方法により容易に除去することができる。したがって、本発明の有機酸可溶型ポリアミド樹脂組成物をレジスト樹脂として使用することにより、所望の回路パターンを精度良く形成することができる。本発明は、これらの知見に基づいて、完成するに至ったものである。
本発明によれば、ポリアミド(A)とポリアミドポリアミン(B)とのアミド交換反応生成物であるポリアミド樹脂25〜90重量%、並びに水酸化アルミニウム、シリカ、及び炭酸マグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも一種の無機フィラー10〜75重量%を含有する有機酸可溶型ポリアミド樹脂組成物であって、
(1)ポリアミド樹脂が、
a)二量体脂肪酸含有量が65重量%以上のダイマー酸またはそのアミド生成可能な誘導体(a-1)を全カルボキシル基の20当量%以上と、ダイマー酸以外のジカルボン酸化合物またはそのアミド生成可能な誘導体(a-2)を全カルボキシル基の80当量%以下とからなるジカルボン酸成分と、
b)下記式(I)
Figure 0004471088
〔式中、R1は、それぞれ独立に水素原子または炭素原子数1〜6のアルキル基であり、Yは、水素原子、RNH2またはROH(Rは、炭素原子数1〜6のアルキレン基)である。〕
で表されるピペラジン化合物、及び下記式(II)
Figure 0004471088
〔式中、R1は、それぞれ独立に水素原子または炭素原子数1〜6のアルキル基であり、R2は、二価の脂肪族炭化水素基であり、Yは、水素原子、RNH2またはROH(Rは、炭素原子数1〜6のアルキレン基)である。〕
で表されるジピペリジル化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の含窒素複素環化合物(b-1)を全アミノ基の20当量%以上と、該含窒素複素環化合物以外のジアミン化合物(b-2)を全アミノ基の80当量%以下とからなるジアミン成分とを、
全アミン当量の全カルボキシル当量に対する比が0.8:1〜1.3:1の範囲内で重縮合して得られるポリアミド(A)、及び
c)二量体脂肪酸含有量が65重量%以上のダイマー酸またはそのアミド生成可能な誘導体(c-1)を全カルボキシル基の20当量%以上と、ダイマー酸以外のジカルボン酸化合物またはそのアミド生成可能な誘導体(c-2)を全カルボキシル基の80当量%以下とからなるジカルボン酸成分と、
d)ポリアルキレンポリアミンとを、
全アミン当量の全カルボキシル当量に対する比が1.3:1〜3.0:1の範囲内で重縮合して得られるポリアミドポリアミン(B)
を重量比(A:B)98:2〜40:60の範囲内で溶融混合してアミド交換反応させてなるものであり、かつ、
(2)濃度30重量%の酢酸水溶液に80℃で30分間浸漬して測定した樹脂組成物の溶解速度が0.3mm/30min以上
であることを特徴とする有機酸可溶型ポリアミド樹脂組成物が提供される。
また、本発明によれば、下記工程1〜5:
(1)回路部品の基板を構成する一次成形品を合成樹脂の射出成形により形成する工程1、
(2)必要に応じて、一次成形品の表面を粗面化する工程2、
(3)一次成形品の回路を形成すべき部分を除く全表面に、前記の有機酸可溶型ポリアミド樹脂組成物を射出成形して、有機酸可溶型ポリアミド樹脂組成物の被覆層を有する二次成形品を成形する工程3、
(4)二次成形品の該被覆層部分を除く回路を形成すべき部分に、めっきにより導体回路層を形成する工程4、及び
(5)有機酸水溶液を用いて該被覆層を溶解除去する工程5
を含む三次元射出成形回路部品の製造方法が提供される。
さらに、本発明によれば、下記工程I〜VI:
(I)回路部品の基板を構成する一次成形品を合成樹脂の射出成形により形成する工程I、
(II)必要に応じて、一次成形品の表面を粗面化する工程II、
(III)一次成形品の回路を形成すべき部分を除く全表面に、前記の有機酸可溶型ポリアミド樹脂組成物を射出成形して、有機酸可溶型ポリアミド樹脂組成物の被覆層を有する二次成形品を成形する工程III、
(IV)二次成形品の有機酸可溶型ポリアミド樹脂組成物の被覆層部分を除く回路を形成すべき部分に、触媒を賦与する工程IV、
(V)有機酸水溶液を用いて有機酸可溶型ポリアミド樹脂被覆層を溶解除去する工程V、及び
(VI)触媒賦与部分にめっきして導体回路層を形成する工程VI
を含む三次元射出成形回路部品の製造方法が提供される。
本発明によれば、射出成形性、合成樹脂成形品に対する接着性、めっき処理液に対する耐性、有機酸に対する溶解性、回路パターン形成性に優れた新規な有機酸可溶型ポリアミド樹脂組成物が提供される。本発明の有機酸可溶型ポリアミド樹脂組成物は、三次元射出成形回路部品の製造工程において、レジスト樹脂として好適に使用することができる。本発明の有機酸可溶型ポリアミド樹脂組成物を用いると、三次元射出成形回路部品の製造工程において、射出成形により一次成形品(基板)上に精度良く導体回路パターンを形成することができる。
本発明で使用するポリアミド(A)は、二量体脂肪酸含有量が65重量%以上のダイマー酸またはそのアミド生成可能な誘導体(a-1)を全カルボキシル基の20当量%以上と、ダイマー酸以外のジカルボン酸化合物またはそのアミド生成可能な誘導体(a-2)を全カルボキシル基の80当量%以下とからなるジカルボン酸成分と、下記式(I)
Figure 0004471088
〔式中、R1は、それぞれ独立に水素原子または炭素原子数1〜6のアルキル基であり、Yは、水素原子、RNH2またはROH(Rは、炭素原子数1〜6のアルキレン基)である。〕
で表されるピペラジン化合物、及び下記式(II)
Figure 0004471088
〔式中、R1は、それぞれ独立に水素原子または炭素原子数1〜6のアルキル基であり、R2は、二価の脂肪族炭化水素基であり、Yは、水素原子、RNH2またはROH(Rは、炭素原子数1〜6のアルキレン基)である。〕
で表されるジピペリジル化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の含窒素複素環化合物(b-1)を全アミノ基の20当量%以上と、該含窒素複素環化合物以外のジアミン化合物(b-2)を全アミノ基の80当量%以下とからなるジアミン成分とを、全アミン当量の全カルボキシル当量に対する比が0.8:1〜1.3:1の範囲内で重縮合して得られるポリアミドである。本発明のポリアミド(A)は、例えば、特公昭45−6825号公報、特開昭48−14790号公報に記載されている製造方法により得ることができる。
本発明で使用するダイマー酸(Dimer acid)は、オレイン酸(C18342)、リノール酸(C18322)、リノレン酸(C18302)などの不飽和脂肪酸を粘土触媒により縮合させて二量体化した重合脂肪酸である。飽和脂肪酸を過酸化物触媒を用いて重合することによっても、ダイマー酸を得ることができる。ダイマー酸の主成分は二量体であり、その他に単量体や三量体などを含んでいる。ダイマー酸の代表的なものは、単量体(C18)、二量体(C36)及び三量体(C54)の混合物である。
ダイマー酸の製造方法は、米国特許第3157681号明細書に記載されている。トール油脂肪酸などのオレイン酸、リノール酸を主成分とする脂肪酸から製造された市販のダイマー酸は、一般に、C18単量体酸(単量体)5〜15重量%、C36二量体酸(二量体)60〜80重量%、及びC54以上の高次重合体酸(三量体)10〜35重量%の組成を有している。
この未分別ダイマー酸中の単量体、二量体及び三量体の比率は、原料及びその重合条件に依存する。単量体脂肪酸とは、未重合の単量体酸を意味し、二量体脂肪酸とは、二量体脂肪酸を意味し、三量体脂肪酸とは、主として三量体酸よりなり更に高次のものも含有する重合体を意味する。ダイマー酸とは、脂肪酸から得られる重合酸の総称で、単量体、二量体、三量体の混合物である。ダイマー酸の原料となる脂肪酸とは、飽和、エチレン系不飽和、アセチレン系不飽和の天然及び合成の脂肪酸族のカルボン酸で、炭素原子数8乃至24のものをいう。
飽和脂肪酸は、一般に、米国特許第3157681号明細書に記載の方法とは少し異なる方法で重合される。即ち、飽和脂肪酸は、中温で過酸化ジ−t−ブチルのような過酸化物触媒を用いて重合される。一般に、重合体の収率が低いのでこれらの原料は工業的に重要ではない。飽和脂肪酸としては、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、イソパルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、及びリグノセリン酸のような直鎖及び側鎖の酸が挙げられる。重合されるエチレン系及びアセチレン系不飽和脂肪酸とその重合法に関しては、米国特許第3157681号明細書に記載されている。
ダイマー酸中に存在する単量体、二量体、及び三量体脂肪酸の含量は、ガスクロマトグラフィーにより、対応するメチルエステルとして定量される。他の定量法は、ミクロ分子蒸留分析法、液体クロマトグラフィー等がある。
本発明では、二量体脂肪酸含有量が65重量%以上のダイマー酸またはそのアミド生成可能な誘導体(a-1)を使用する。二量体脂肪酸の含有量は、好ましくは80重量%以上、特に好ましくは90〜95重量%である。二量体脂肪酸の含有量を高めるには、ダイマー酸を分留するか、溶剤抽出法により単量体を除去するなどの方法を採用することができる。二量体脂肪酸の含有量が低すぎると、溶融成形性などに優れたポリアミドを得ることができない。
ダイマー酸は、酸の形で使用することができるが、この他、アミド生成可能な誘導体とすることもできる。アミド生成可能な誘導体とは、ジアミン成分と反応してアミド結合を生成することが可能な誘導体を意味する。このような誘導体としては、エステル、ハロゲン化物、及び酸無水物がある。エステルは、ダイマー酸をアルコールと反応させることにより得ることができる。エステル残基としては、炭素原子数1〜8のアルキル基またはアリール基が好ましい。これらの中でも、メチル基やエチル基などの炭素原子数1〜4のアルキル基が特に好ましい。ハロゲンとしては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子などがあるが、塩素原子が好ましい。
ジカルボン酸成分としては、ダイマー酸以外のジカルボン酸化合物またはそのアミド生成可能な誘導体(a-2)を使用することができる。このようなジカルボン酸化合物とその誘導体としては、下記式
3OOC−COOR3
または下記式
3OOC−R4−COOR3
で表される化合物を挙げることができる。これらの式において、R3は、炭素原子数1〜8のアルキル基またはアリール基であり、R4は、炭素原子数1〜20の二価の炭化水素の脂肪族、脂環式または芳香族基である。また、これらの酸の無水物、ハロゲン化物(塩化物など)も使用することができる。エステルは、炭素原子数1〜4のアルキルエステルが好ましい。
このようなジカルボン酸化合物の例としては、シュウ酸、マロン酸、アジピン酸、コハク酸、スベリン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ピメリン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタリンジカルボン酸、1,4−または1,3−シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられる。
ジカルボン酸成分は、二量体脂肪酸含有量が65重量%以上のダイマー酸またはそのアミド生成可能な誘導体(a-1)を全カルボキシル基の20当量%以上、好ましくは50当量%以上、より好ましくは50〜90当量%、最も好ましくは55〜85当量%と、ダイマー酸以外のジカルボン酸化合物またはそのアミド生成可能な誘導体(a-2)を全カルボキシル基の80当量%以下、好ましくは50当量%以下、より好ましくは10〜50当量%、最も好ましくは15〜45当量%とから構成される。ここで、全カルボキシル基は、カルボン酸のみならず、そのエステル、ハロゲン化物、酸無水物などに由来する官能基を意味する。溶融粘度調節等の目的で、モノカルボン酸化合物またはそのアミド形成可能な誘導体を少量成分として併用することができる。
ポリアミド(A)を形成するジアミン成分としては、前記式(I)で表されるピペラジン化合物と前記式(II)で表されるジピペリジル化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の含窒素複素環化合物(b-1)、及び該含窒素複素環化合物以外のジアミン化合物(b-2)を使用する。
含窒素複素環化合物(b-1)を使用することにより、ポリアミド(A)の接着性が向上し、さらには、合成樹脂成形品などに対して良好な接着性を示す有機酸可溶型ポリアミド樹脂を得ることができる。
含窒素複素環化合物(b-1)の具体例としては、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、2,5−ジエチルピペラジン、2−メチルピペラジン、2−エチルピペラジン、N−アミノエチル−ピペラジン、N−アミノプロピル−ピペラジン、1,3−ジ(4−ピペリジル)プロパン、1,2−ジ(4−ピペリジル)エタン、1,4−ジ(4−ピペリジル)ブタン、1−(N−ペンタヒドロキシエチル−4−ピペリジル)−3−(4−ピペリジル)プロパンなどが挙げられる。
該含窒素複素環化合物以外のジアミン化合物(b-2)は、下式
2NR5NH2
で表されるものである。式中、R5は、脂肪族、脂環式または芳香族の二価の炭化水素基で炭素原子数2ないし36のもの、あるいは、ポリオキシアルキレン基を持ったものである。このようなジアミン化合物の具体例は、エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノブタン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、オクタデカメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシレンジアミン、シクロへキシレンジアミン、ビス(アミノエチル)ベンゼン、シクロヘキシルビス(メチルアミン)、ジアミノ−ジシクロヘキシルメタン、メチレンジアニリン、ポリオキシプロピレンジアミン、ダイマージアミンなどが挙げられる。ジアミン化合物は、R5が炭素原子数2ないし6のアルキレン基であるものが好ましい。
ジアミン成分は、含窒素複素環化合物(b-1)を全アミノ基の20当量%以上、好ましくは20〜90当量%、より好ましくは25〜75当量%と、該含窒素複素環化合物以外のジアミン化合物(b-2)を全アミノ基の80当量%以下、好ましくは10〜80当量%、より好ましくは25〜75当量%とから構成される。含窒素複素環化合物の当量%が小さすぎると、接着性を十分に向上させることができない。
本発明で使用するポリアミド(A)は、前述のジカルボン酸成分とジアミン成分とを、全アミン当量の全カルボキシル当量に対する比が0.8:1〜1.3:1、好ましくは0.9:1〜1.2:1の範囲内で重縮合して得られるポリアミドである。両成分を上記比率(モル当量比)で重縮合させることにより、酸価及びアミン価が共に35mgKOH/g以下、好ましくは30mgKOH/g以下で安定したポリアミド(A)を得ることができる。
ポリアミド(A)は、ジカルボン酸成分とジアミン成分とを加熱して重縮合させることにより得ることができる。加熱条件としては、例えば、100〜300℃で3〜10時間程度加熱する方法が挙げられる。加熱は、減圧下に行ってもよい。
ポリアミド(A)は、軟化点100〜200℃、酸価0〜10mgKOH/g、アミン価5〜30mgKOH/g、及び210℃で測定した溶融粘度500〜100,000mPa・sの物性を有するものであることが望ましい。このポリアミド(A)の軟化点及び溶融粘度が低すぎると、それを用いて得られる有機酸可溶型ポリアミド樹脂の軟化点及び溶融粘度が低下し、溶融成形性やその他の特性が悪化する。ポリアミド(A)の軟化点は、好ましくは125〜190℃、より好ましくは140〜180℃である。ポリアミド(A)の210℃で測定した溶融粘度は、好ましくは1,000〜10,000mPa・s、より好ましくは1,500〜8,000mPa・sである。
本発明で使用するポリアミドポリアミン(B)は、二量体脂肪酸含有量が65重量%以上のダイマー酸またはそのアミド生成可能な誘導体(c-1)を全カルボキシル基の20当量%以上と、ダイマー酸以外のジカルボン酸化合物またはそのアミド生成可能な誘導体(c-2)を全カルボキシル基の80当量%以下とからなるジカルボン酸成分、及びポリアルキレンポリアミンとを、全アミン当量の全カルボキシル当量に対する比が1.3:1〜3.0:1の範囲内で重縮合して得られるポリアミドポリアミンである。
ダイマー酸またはそのアミド生成可能な誘導体(c-1)、及びダイマー酸以外のジカルボン酸化合物またはそのアミド生成可能な誘導体(c-2)としては、ポリアミド(A)を合成するのに使用したのと同じものを使用することができる。ダイマー酸またはそのアミド生成可能な誘導体(c-1)は、好ましくは全カルボキシル基の50当量%以上、より好ましくは60〜100当量%の割合で使用される。ダイマー酸以外のジカルボン酸化合物またはそのアミド生成可能な誘導体(c-2)は、好ましくは全カルボキシル基の50当量%以下、より好ましくは0〜40当量%の割合で使用される。溶融粘度調節等の目的で、モノカルボン酸化合物またはそのアミド形成可能な誘導体を少量成分として併用することができる。
ポリアルキレンポリアミンとしては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンなどが挙げられる。
ポリアミドポリアミン(B)は、ジカルボン酸成分とポリアルキレンポリアミンとを、全アミン当量の全カルボキシル当量に対する比が1.3:1〜3.0:1の範囲内で重縮合することにより合成されるアミン官能基を持ったポリアミドポリアミンである。ポリアミドポリアミン(B)は、例えば、特公昭37−18898号公報に記載されている合成法により製造することができる。
ポリアミドポリアミン(B)は、酸価0〜5mgKOH/g、アミン価50〜350mgKOH/g、及び200℃で測定した溶融粘度50〜3,000mPa・sの物性を有するものであることが望ましい。
アミド交換反応に使用するポリアミド(A)は、射出成形法による溶融成形が可能であり、他の合成樹脂成形品に対する優れた接着性が得られるが、有機酸水溶液に対する溶解性が不十分である。一方、アミド交換反応に使用するポリアミドポリアミン(B)は、有機酸水溶液に対する高い溶解性を示すが、軟化点を有していないため、射出成形することができない。また、ポリアミド(A)とポリアミドポリアミン(B)とを単に混合しただけでアミド交換反応させていない混合物である場合には、有機酸水溶液に対する溶解性が不十分である。
本発明で使用するポリアミド樹脂を製造するには、ポリアミド(A)とポリアミドポリアミン(B)とを重量比(A:B)98:2〜40:60、好ましくは97:3〜50:50の範囲内で溶融混合する。ポリアミド(A)の混合比率が低すぎると、生成するポリアミド樹脂の軟化点が低下して、射出成形時の固化に長時間を要したり、バリが発生し易くなる。ポリアミド(A)の混合比率が高すぎると、無機フィラーを含有させても、ポリアミド樹脂組成物の有機酸に対する溶解性が低下傾向を示す。
ポリアミド(A)とポリアミドポリアミン(B)は、通常150〜300℃、好ましくは200〜250℃の高温下で、通常1時間以上、好ましくは5時間以上、より好ましくは10時間以上、溶融混合することにより、アミド交換反応を起させる。アミド交換反応が生じていることは、溶融混合の結果、均一な物性を有するポリアミド樹脂の得られることにより明らかである。溶融混合時に、アミド交換反応に加えて、更なる重縮合反応が進むこともある。
本発明で使用するポリアミド樹脂は、アミド交換反応後に下記特性i〜iv:
(i)軟化点が80〜190℃、好ましくは120〜180℃、より好ましくは135〜170℃、
(ii)酸価が0〜5mgKOH/g、
(iii)アミン価が10〜100mgKOH/g、及び
(iv)200℃で測定した溶融粘度が350〜80,000mPa・s、好ましくは500〜10,000mPa・s、より好ましくは1,000〜8,000mPa・s
を有するものであることが望ましい。本発明で使用するポリアミド樹脂の軟化点及び溶融粘度が低すぎると、樹脂組成物の射出成形性が低下することがある。
本発明で使用するポリアミド樹脂は、濃度30重量%の酢酸水溶液に80℃で30分間浸漬して測定した溶解速度が0.02mm/30min以上を示すものであることが望ましい。溶解速度の測定法については、後に詳細に説明する。さらに、本発明で使用するポリアミド樹脂は、濃度30重量%の酢酸水溶液に80℃で30分間浸漬して測定した溶解速度が0.3mm/30min以上であり、それ自体で有機酸可溶型ポリアミド樹脂であってもよい。有機酸可溶型ポリアミド樹脂を得るには、ポリアミド(A)とポリアミドポリアミン(B)との重量比(A:B)を好ましくは95:5〜40:60、より好ましくは90:10〜50:50の範囲としてアミド交換反応させればよい。ポリアミド(A)とポリアミドポリアミン(B)との重量比(A:B)が95:5未満の場合には、得られるポリアミド樹脂の有機酸に対する溶解性が低下するが、無機フィラーを配合することにより、有機酸に対する溶解性に優れた樹脂組成物を得ることができる。ポリアミド(A)とポリアミドポリアミン(B)との重量比(A:B)の下限は、98:2であり、好ましくは97:3である。
本発明の有機酸可溶型ポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド(A)とポリアミドポリアミン(B)とのアミド交換反応生成物であるポリアミド樹脂25〜90重量%と、無機フィラー10〜75重量%とを含有する有機酸可溶型ポリアミド樹脂組成物であって、濃度30重量%の酢酸水溶液に80℃で30分間浸漬して測定した溶解速度が0.3mm/30min以上の有機酸に対する良好な溶解性を示すものである。
本発明の有機酸可溶型ポリアミド樹脂組成物は、ギ酸や酢酸などの有機酸に可溶性であることが必須であり、有機酸に対する可溶性が低すぎると、MID製造時にレジスト樹脂として使用した場合、有機酸水溶液により溶解除去することが困難になる。有機酸に対する可溶性は、ポリアミド樹脂組成物を用いて作製した試験片(10mm×10mm×1mm)を、濃度30重量%の酢酸水溶液に80℃で30分間浸漬して測定した溶解速度により評価することができる。この溶解速度の測定法は、有機酸可溶型ポリアミド樹脂組成物をレジスト樹脂としての用途に使用する際に、実用的な溶解性の指標となる。測定法の詳細は、後記の実施例において説明する。
本発明で使用する無機フィラーとしては、特に限定されず、単独もしくは2種以上を組み合わせて前記ポリアミド樹脂に配合することにより、濃度30重量%の酢酸水溶液に80℃で30分間浸漬して測定した溶解速度が0.3mm/30min以上の有機酸可溶型ポリアミド樹脂組成物を形成できるものであれば使用することができる。
本発明で使用するポリアミド樹脂が、それ自体で有機酸に対する溶解性に劣るものである場合はもとより、有機酸に対する溶解性に優れたもの(有機酸可溶型ポリアミド樹脂)である場合であっても、無機フィラーを充填すると、一般に、有機酸に対する溶解性が著しく低下することが多い。このような傾向は、酢酸水溶液に対する溶解性がある無機フィラーを用いた場合であっても同様である。他方、水酸化アルミニウム、シリカ、炭酸マグネシウムなど、酢酸水溶液に対する溶解性が極めて悪い無機フィラーであるにもかかわらず、これらをポリアミド樹脂に配合すると、有機酸に対する溶解性に優れたポリアミド樹脂組成物が得られることが判明した。
本発明で使用する無機フィラーとしては、水酸化アルミニウム、シリカ、炭酸マグネシウム、及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。また、無機フィラーとしては、ポリアミド樹脂に配合したとき、有機酸に対する溶解性を損なわないことに加えて、めっき液に対して膨潤や溶解を促進しないものであることが好ましいが、これらの無機フィラーは、これらの要求に応えることができるものである。
上記以外の無機フィラーであって、単独で使用した場合には有機酸に難溶性の樹脂組成物しか得られないものであっても、水酸化アルミニウム、シリカ、炭酸マグネシウムなどと併用することにより、有機酸可溶型ポリアミド樹脂組成物とすることができるものであれば、適宜・適量を併用することができる。無機フィラーの形状は、粉末状、粒状、偏平状など任意であるが、粉末状及び粒状であることが好ましい。
ポリアミド樹脂と無機フィラーとの配合割合は、ポリアミド樹脂が25〜90重量%、好ましくは30〜85重量%、より好ましくは40〜80重量%、特に好ましくは50〜80重量%であり、無機フィラーが10〜75重量%、好ましくは15〜70重量%、より好ましくは20〜60重量%、特に好ましくは20〜50重量%である。無機フィラーの配合割合が過大であると、樹脂組成物の溶融粘度が高くなりすぎて、射出成形性が低下する。無機フィラーの配合割合が過小であると、引張抗張力や弾性率の改善効果が不十分となり、射出成形性や微細な回路パターン形成性が低下する。また、無機フィラーの配合割合が過小であると、ポリアミド樹脂自体の有機酸に対する溶解性が低い場合、樹脂組成物の有機酸に対する溶解性が低下することがある。
本発明の有機酸可溶型ポリアミド樹脂組成物は、各成分を混合し、溶融混合することにより調製することができる。本発明の樹脂組成物には、所望により、他の添加剤を添加してもよい。本発明の有機酸可溶型ポリアミド樹脂組成物は、射出成形性、他の合成樹脂成形品に対する接着性、めっき処理液に対する耐性、有機酸に対する溶解性、回路パターン形成性に優れているため、MID製造用のレジスト樹脂として好適である。しかも、本発明の有機酸可溶型ポリアミド樹脂組成物は、レジスト樹脂として使用した後、有機酸水溶液により容易に溶解除去することができるため、レジスト樹脂被覆層が残存しないMIDの製造に好適である。
本発明の有機酸可溶型ポリアミド樹脂組成物をレジスト樹脂として用いるMID製造方法の好ましい具体例は、下記の一連の工程1〜5を有するものである。
(1)回路部品の基板を構成する一次成形品を合成樹脂(本発明で使用するポリアミド樹脂以外の合成樹脂)の射出成形により形成する工程1、
(2)必要に応じて、一次成形品の表面を粗面化する工程2、
(3)一次成形品の回路を形成すべき部分を除く全表面に、前記の有機酸可溶型ポリアミド樹脂組成物を射出成形して、有機酸可溶型ポリアミド樹脂組成物の被覆層を有する二次成形品を成形する工程3、
(4)二次成形品の該被覆層部分を除く回路を形成すべき部分に、めっきにより導体回路層を形成する工程4、及び
(5)有機酸水溶液を用いて該被覆層を溶解除去する工程5。
一次成形品(基板)に使用する合成樹脂としては、液晶ポリマー(LCP)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂等のスーパーエンジニアリングプラスチック;ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の熱可塑性ポリエステル樹脂;ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46、ポリアミド6T、ポリアミド9Tなどのポリアミド樹脂;などが挙げられる。これらの合成樹脂は、めっきグレードであることが望ましい。
これらの合成樹脂を射出成形して一次成形品を成形し、必要に応じて表面を粗化する。粗面化する方法としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ水溶液を50〜90℃に加熱し、その中に一次成形品を1〜60分間程度浸漬する方法が挙げられるが、その他の方法も適用することができる。合成樹脂には、所望により、めっき賦与のための触媒を添加しておくことができる。
一次成形品の回路を形成すべき部分を除く全表面に、前記の有機酸可溶型ポリアミド樹脂組成物を射出成形して、有機酸可溶型ポリアミド樹脂組成物の被覆層を有する二次成形品を成形するには、一次成形品を二次金型内にセットし、有機酸可溶型ポリアミド樹脂組成物を射出インサート成形により、回路としない部分に被覆する。
二次成形品の有機酸可溶型ポリアミド樹脂組成物による被覆層部分を除く回路を形成すべき部分に、めっきにより導体回路層を形成するが、その際、常法に従って、触媒賦与、触媒活性化などの前処理を行う。めっきは、無電解めっき、それに引き続く電解めっき等の方法により行い、それによって、導体回路層を形成する。
その後、有機酸水溶液を用いて、二次成形品上の有機酸可溶型ポリアミド樹脂組成物の被覆層を溶解除去する。具体的には、40〜60℃の温度に設定した有機酸(例えば、ギ酸、酢酸)の濃度5〜50重量%、好ましくは20〜40重量%水溶液に、めっきした二次成形品を1〜60分間、好ましくは5〜30分間浸漬する方法により、レジスト樹脂被覆層を容易に除去することができる。本発明で使用する有機酸可溶型ポリアミド樹脂組成物は、めっき処理工程で使用する無機酸を含有する各種処理液に対して安定であるため、所望の回路パターンを精度良く得ることができ、回路ピッチの微細化にも対応が可能となる。
また、本発明の有機酸可溶型ポリアミド樹脂組成物は、一次成形品用の各種合成樹脂に対する接着性に優れているので、一次成形品の表面を粗面化せずとも、二次金型にセットして該有機酸可溶型ポリアミド樹脂組成物を成形するだけで、一次成形品の表面にレジスト樹脂被覆層として接着させることができる。その後、二次成形品の一次成形品表面露出部を粗面化し、めっきを行えば、一次成形品とめっき層の密着強度が得られる。レジスト樹脂被覆層を除去すれば、非回路部は、粗面化処理されていないので、平滑性の非回路部を有する外観の優れたMIDを製造することができるという効果も得られる。
上記MIDの製造方法について、図1を参照しながらより具体的に説明する。図1において、合成樹脂を射出成形して一次成形品11を得る(工程1)。所望により、この一次成形品の表面を粗面化処理する(工程2)。次に、一次成形品の回路を形成すべき部分を除く全表面に、本発明の有機酸可溶型ポリアミド樹脂組成物を射出成形して、被覆層12を有する二次成形品を成形する(工程3)。なお、図1では、明確化のために、被覆層12を一次成形品11の垂直部分と平坦部分のみに形成しているように図示しているが、実際には、回路部分を除く全面を被覆している。
次に、回路部分にめっきを施して、めっき層13を形成する(工程4)が、その前に、必要に応じて、粗面化処理、触媒賦与処理などを行うことができる。最後に、有機酸水溶液を用いて、被覆層12を溶解除去する(工程5)。
本発明の有機酸可溶型ポリアミド樹脂組成物をレジスト樹脂としてMIDを製造する他の方法は、以下の各工程I〜VIを含む製造方法である。
(I)回路部品の基板を構成する一次成形品を合成樹脂の射出成形により形成する工程I、
(II)必要に応じて、一次成形品の表面を粗面化する工程II、
(III)一次成形品の回路を形成すべき部分を除く全表面に、前記の有機酸可溶型ポリアミド樹脂組成物を射出成形して、有機酸可溶型ポリアミド樹脂組成物の被覆層を有する二次成形品を成形する工程III、
(IV)二次成形品の有機酸可溶型ポリアミド樹脂組成物の被覆層部分を除く回路を形成すべき部分に、触媒を賦与する工程IV、
(V)有機酸水溶液を用いて有機酸可溶型ポリアミド樹脂被覆層を溶解除去する工程V、及び
(VI)触媒賦与部分にめっきして導体回路層を形成する工程VI。
この製造方法では、回路形成部分に触媒を付与した後、レジスト樹脂被覆層を溶解除去し、しかる後、触媒を賦与した回路形成部分にめっきを施す。この製造方法によっても、所望の回路パターンを精度良く得ることができ、回路ピッチの微細化にも対応が可能となる。
以下に、合成例、試験例、参考例、実施例及び比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。物性及び特性の測定法は、次のとおりである。
(1)軟化点:
軟化点は、JIS K6863−1994に記載されているホットメルト接着剤の軟化点試験方法に準拠して測定した。
(2)酸価:
酸価は、フェノールフタレインを指示薬とし、水酸化カリウム水溶液を滴定液とする中和滴定法により測定した。
(3)アミン価:
アミン価は、ブロムクレゾールグリーンを指示薬とし、塩酸水溶液を滴定液とする中和滴定法により測定した。
(4)溶融粘度:
溶融粘度は、JIS K6862−1984に記載されているホットメルト接着剤の溶融粘度試験方法のB法に準拠して測定した。
(5)有機酸に対する溶解性:
ポリアミド樹脂またはポリアミド樹脂組成物を用いて、縦×横×厚み=10mm×10mm×1mmの試験片を作製した。この試験片を濃度30重量%の酢酸水溶液50mlに80℃で30分間浸漬した後、取り出し、80℃で24時間乾燥させた。乾燥後の試験片の厚みを測定した。浸漬前の試験片の厚みをKmmとし、浸漬・乾燥後の試験片の厚みをLmmとすると、式「溶解速度=K−L(mm/30min)」により溶解速度が算出される。この溶解速度を有機酸に対する溶解性の指標とした。
<めっき工程>
めっき工程は、以下の手順により行った。すなわち、下記(1)〜(5)に示した処方にて無電解銅めっきを行い、厚み2μmの銅めっき層を形成し、引き続いて、(6)の手順で電気銅めっきを行い、めっき層の合計厚みを15μmとした。
(1)脱脂処理:
一次成形品を超音波洗浄機で5分間洗浄した後、イオン交換水で洗浄する。
(2)プレディップ:
塩化ナトリウム(180g/L)、塩酸(80ml/L)、及びOS−1505〔シプレイ・ファーイースト(株)製、商品名〕(20ml/L)をこれらの比率で混合して処理液を調製し、この処理液を45℃の温度に設定して、その中に試料を3分間浸漬する。
(3)触媒付与:
塩化ナトリウム(180g/L)、塩酸(100ml/L)、OS−1505〔シプレイ・ファーイースト(株)製、商品名〕(20ml/L)、及びOS−1558〔シプレイ・ファーイースト(株)製、商品名〕(20ml/L)をこれらの比率で混合して処理液を調製し、この処理液を30℃の温度に設定して、その中に試料を8分間浸漬する。浸漬後、試料をイオン交換水で洗浄する。
(4)触媒活性化:
OS−1560〔シプレイ・ファーイースト(株)製、商品名〕(濃度=20ml/L)からなる処理液を30℃の温度に設定し、この処理液中に試料を2分間浸漬する。浸漬後、試料をイオン交換水で洗浄する。
(5)無電解銅めっき:
OS−1598M(48ml/L)、OS−1598A(10ml/L)、OS−1598R(2ml/L)、OS−1120SR(2.1ml/L)、CupZ(23ml/L)、及びCupY(12ml/L)〔それぞれシプレイ・ファーイースト(株)製、商品名〕をこれら比率で混合してめっき液を調製し、次いで、めっき液を45℃の温度に設定して、その中に試料を15分浸漬する。浸漬後、試料をイオン交換水で洗浄する。
(6)電気銅めっき:
硫酸銅(220g/L)と硫酸(60g/L)をこれらの比率で混合してめっき液を調製し、次いで、めっき液を25℃の温度に設定して、その中に試料を浸漬し、2A/dm2の電流密度で20分間通電することにより、厚み約15μmのめっき層を形成する。
[合成例1]ポリアミド樹脂(1)の合成
ダイマー酸(0.65当量)、セバシン酸(0.35当量)、エチレンジアミン(0.53当量)、及びピペラジン(0.53当量)を重縮合して、ポリアミド(A)を合成した。このポリアミド(A)は、軟化点160℃、酸価1.0mgKOH/g、アミン価10.0mgKOH/g、溶融粘度3,000mPa・s(210℃)であった。
他方、ダイマー酸(1.0当量)及びジエチレントリアミン(1.5当量)を重縮合してポリアミドポリアミン(B)を合成した。このポリアミドポリアミン(B)は、酸価1.0mgKOH/g、アミン価100.0mgKOH/g、溶融粘度100mPa・s(200℃)であった。
上記のポリアミド(A)とポリアミドポリアミン(B)とを、A:B=85/15の重量比で混合し、230℃で12時間溶融混合し、アミド交換反応させることにより、ポリアミド樹脂(1)を合成した。ポリアミド樹脂(1)は、軟化点125℃、酸価1.1mgKOH/g、アミン価20mgKOH/g、溶融粘度3,000mPa・s(200℃)、有機酸に対する溶解速度0.9mm/30minであった。
[合成例2]ポリアミド樹脂(2)の合成
合成例1で合成したポリアミド(A)とポリアミドポリアミン(B)とを、A:B=97/3の重量比で混合し、230℃で12時間溶融混合し、アミド交換反応させることにより、ポリアミド樹脂(2)を合成した。ポリアミド樹脂(2)は、軟化点157℃、酸価1.5mgKOH/g、アミン価10mgKOH/g、溶融粘度3,000mPa・s(200℃)、有機酸に対する溶解速度0.03mm/30minであった。
[合成例3]ポリアミド樹脂(3)の合成
合成例1で合成したポリアミド(A)とポリアミドポリアミン(B)とを、A:B=80/20の重量比で混合し、230℃で12時間溶融混合し、アミド交換反応させることにより、ポリアミド樹脂(3)を合成した。ポリアミド樹脂(3)は、軟化点150℃、酸価1.0mgKOH/g、アミン価25.0mgKOH/g、溶融粘度3,000mPa・s(200℃)、有機酸に対する溶解速度1.0mm/30minであった。
[試験例1]
無機フィラーとして、水酸化アルミニウム(商品名「ハイジライトH32」、昭和電工製)、シリカ(商品名「アエロジル200V」、日本アエロジル製)、水酸化マグネシウム(商品名「キスマ5」、協和化学製)、炭酸カルシウム(商品名「白艶華CC」、白石工業製)、リン酸カルシウム(第三リン酸カルシウム、太平化学製)、及び炭酸マグネシウム(神島化学製)について、下記の試験法により無機フィラー単独での有機酸に対する溶解性試験を行った。
<試験法>
無機フィラー粉末3.0gを50mlの酢酸水溶液(濃度30重量%)に温度80℃で1時間浸漬した。浸漬中、1Hzでストローク30mmの条件で揺動させた。浸漬後、無機フィラーを濾過により取り出し、80℃で24時間乾燥させて、乾燥後の重量を測定した。試験に用いた無機フィラーの重量と浸漬試験後の乾燥重量に基づいて、重量減少率を算出した。溶解速度は、1時間当たりの重量減少率(%/時間)により算出した。結果を表1に示す。
Figure 0004471088
表1の結果から明らかなように、試験を行った無機フィラーの酢酸水溶液に対する溶解性は著しく低いものであった。ただし、水酸化マグネシウムや炭酸カルシウムなどは、酢酸水溶液に対して僅かに溶解性を示している。
[試験例2]
合成例1で合成したポリアミド樹脂(1)〔ポリアミド(A):ポリアミドポリアミン(B)=85:15重量比〕に、試験例1で用いたのと同じ種々の無機フィラーを40重量%の割合で溶融混合してポリアミド樹脂組成物を調製した。各ポリアミド樹脂組成物を押出成形して厚み1mmの樹脂シートを作製し、この樹脂シートを裁断して、縦×横×厚み=10mm×10mm×1mmの試験片を作製した。この試験片を濃度30重量%の酢酸水溶液に80℃で30分間浸漬し、前述の試験法に従って溶解速度を測定した。浸漬試験中の揺動条件は、1Hzでストローク30mmであった。結果を表2に示す。
Figure 0004471088
水酸化アルミニウムを混合した樹脂組成物の溶解速度が最も速く、ポリアミド樹脂(1)単独の場合より速い溶解速度を示した。シリカを混合した樹脂組成物と炭酸マグネシウムを混合した樹脂組成物の溶解速度は、いずれも0.3mm/30分min以上であり、有機酸に対する溶解性が良好であった。
[試験例3]
無機フィラーを混合したポリアミド樹脂組成物のめっき液に対する溶解性及び膨潤性の評価を行った。ポリアミド樹脂に混合したとき最も速い溶解速度を示す水酸化アルミニウムを混合した有機酸可溶型ポリアミド樹脂組成物を用いた。
<試験法>
合成例1で合成したポリアミド樹脂(1)〔ポリアミド(A):ポリアミドポリアミン(B)=85:15重量比〕に、試験例1で用いたのと同じ水酸化アルミニウムを混合して、有機酸可溶型ポリアミド樹脂組成物を調製した。この有機酸可溶型ポリアミド樹脂組成物を用いて作製した厚み1mmの樹脂シートを裁断し、縦×横×厚み=10mm×10mm×1mmの試験片を作製した。この試験片をめっき液(前記したもの)50mlに45℃で1時間浸漬後、取り出し、80℃で24時間乾燥させた。浸漬中の揺動条件は、1Hzでストローク30mmであった。試験に用いた試験片の重量と浸漬試験後の試験片の重量を測定し、1時間当りの重量変化率(%/時間)を算出した。水酸化アルミニウムの配合割合は、20、40及び70重量%とした。重量変化率が10%/時間以下、好ましくは5%/時間以下の樹脂組成物は、耐めっき液性が良好であると判断される。結果を表3に示す。
Figure 0004471088
水酸化アルミニウムを混合した有機酸可溶型ポリアミド樹脂組成物の重量変化率は、いずれも+1.0〜2.0%/時間の範囲内であり、有機酸可溶型ポリアミド樹脂(1)単独の場合で、+1.5%/時間であった。
[試験例4]
合成例2で合成したポリアミド樹脂(2)〔ポリアミド(A):ポリアミドポリアミン(B)=97/3重量比〕に、試験例1で用いたのと同じ水酸化アルミニウムを表4に示す各配合割合で溶融混合してポリアミド樹脂組成物を調製した。各ポリアミド樹脂組成物を押出成形して厚み1mmの樹脂シートを作製し、この樹脂シートを裁断して、縦×横×厚み=10mm×10mm×1mmの試験片を作製した。この試験片を濃度30重量%の酢酸水溶液に80℃で30分間浸漬し、前述の試験法に従って溶解速度を測定した。浸漬試験中の揺動条件は、1Hzでストローク30mmであった。結果を表4に示す。
Figure 0004471088
合成例2で合成したポリアミド樹脂(2)〔ポリアミド(A):ポリアミドポリアミン(B)=97/3重量比〕は、単独の場合、溶解速度は0.03mm/30分minと極めて低いものであった。これに対して、水酸化アルミニウムの配合割合を増大させるにつれて、溶解速度は上昇し、50重量%混合で1.0mm/30minの水準となった。
[実施例1]
液晶ポリエステル樹脂(LCP)〔ベクトラC810、ポリプラスチック(株)製、商品名〕を、射出成形機(型締力=100トン、スクリュー径=45mmφ)を用いて、射出圧50kg/cm2、保圧時間10秒間、金型温度60℃の条件にて射出成形することにより、図2に示す形状の一次成形品21を成形した。得られた一次成形品をエタノールで洗浄した後、80℃に設定した45%の水酸化ナトリウム水溶液中に5分間浸漬し、次いで、3%の塩酸で中和する方法により粗面化した。粗面化した一次成形品を二次金型内にセットし、レジスト樹脂を射出成形して、一次成形品の回路を形成すべき部分を除く全表面にレジスト樹脂被覆層を形成した(二次成形品の成形)。
レジスト樹脂としては、合成例3で合成したポリアミド樹脂(3)〔ポリアミド(A):ポリアミドポリアミン(B)=80/20重量比〕を用い、該ポリアミド樹脂(3)に水酸化アルミニウム(ハイジライトH32)を40重量%の割合で溶融混合して有機酸可溶型ポリアミド樹脂組成物を調製した。溶融混合には、2軸混合機を使用した。得られた二次成形品に、前記手順で無電解めっき及び電解めっき処理を行った後、60℃の濃度30重量%酢酸水溶液中に30分間浸漬して、レジスト樹脂被覆層を溶解除去して、導体回路22を有する三次元射出成形回路部品を得た。得られた回路部品は、図2に示すように、回路幅100μm、回路ピッチ200μmの回路(L&S=100/100μm)が形成されており、所望のパターンの導体回路層を高精度で形成することが可能であった。
[実施例2]
ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)〔UBE PBT 3000 宇部興産(株)製、商品名〕100重量部に炭酸カルシウム20重量部を添加した樹脂組成物を、射出成形機(型締力100トン、スクリュー径45mmφ)を用いて、射出圧50kg/cm2、保圧時間10秒間、金型温度60℃の条件にて射出成形することにより、図2に示す形状の一次成形品21を成形した。この一次成形品をエタノールで洗浄した後、80℃に設定した濃度45重量%の水酸化ナトリウム水溶液中に5分間浸漬し、次いで、3%の塩酸で中和する方法で粗面化した。
粗面化した一次成形品を二次金型内にセットし、レジスト樹脂として実施例1で使用したのと同じ有機酸可溶型ポリアミド樹脂組成物を用いて、インサート射出成形により二次成形品を得た。得られた二次成形品に、前記手順で無電解めっき及び電解めっき処理を行った後、60℃の濃度30重量%酢酸水溶液中に30分間浸漬する方法で、レジスト樹脂被覆層を溶解除去し、導体回路22付き三次元射出成形回路部品を得た。得られた回路部品は、回路幅100μm、回路ピッチ200μmの回路を描くことができ、所望のパターンの導体回路層を高精度で形成することが可能であった。
[実施例3]
レジスト樹脂として、合成例3で合成したポリアミド樹脂(3)〔ポリアミド(A):ポリアミドポリアミン(B)=80/20重量比〕)にシリカ(アエロジル200V)を20重量%の割合で溶融混合して調製した有機酸可溶型ポリアミド樹脂組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして三次元射出成形回路部品を作製した。得られた回路部品は、回路幅100μm、回路ピッチ200μmの回路を描くことができ、所望のパターンの導体回路層を高精度で形成することが可能であった。
[実施例4]
レジスト樹脂として、合成例2で調製したポリアミド樹脂(2)〔ポリアミド(A):ポリアミドポリアミン(B)=97/3重量比〕)に水酸化アルミニウム(ハイジライトH42)を50重量%の割合で溶融混合して調製した有機酸可溶型ポリアミド樹脂組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして三次元射出成形回路部品を作製した。得られた回路部品は、回路幅100μm、回路ピッチ200μmの回路を描くことができ、所望のパターンの導体回路層を高精度で形成することが可能であった。
[参考例1]
レジスト樹脂として、合成例3で調製したポリアミド樹脂(3)〔ポリアミド(A):ポリアミドポリアミン(B)=80/20重量比〕)を単独で用いたこと以外は、実施例1と同様にして三次元射出成形回路部品を作製した。得られた回路部品は、回路幅300μm、回路ピッチ600μmの回路を描くことができた(L&S=300/300μm)。しかし、回路幅を100μm、回路ピッチを200μmに変更すると(L&S=100/100μm)、金型内のランナー部分で破断して樹脂が詰まったり、金型から取り出す際に、被覆層(レジスト樹脂層)のパターンが変形することがあった。
[比較例1]
実施例1で作製したのと同じ一次成形品を使用し、二次成形用のレジスト樹脂として、オキシアルキレン基含有ポリビニルアルコール系樹脂〔エコマティAX2000、日本合成化学(株)製、商品名〕を使用し、図2に対応する形状を有する二次成形品の作製を試みた。しかし、粗面化工程において、レジスト樹脂の膨潤が見られ、回路幅300μm、回路ピッチ600μmのパターンの導体回路層を形成することができなかった。
[比較例2]
レジスト樹脂として、合成例3で調製したポリアミド樹脂(3)〔ポリアミド(A):ポリアミドポリアミン(B)=80/20重量比〕)に水酸化アルミニウム(ハイジライトH32)を80重量%の割合で溶融混合して調製したポリアミド樹脂組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして三次元射出成形回路部品の作製を試みた。しかし、このポリアミド樹脂組成物は、溶融粘度が高いため、二次成形品にショートが発生し、回路幅300μm、回路ピッチ600μmのパターンの導体回路層の形成ができなかった。
[比較例3]
レジスト樹脂として、合成例3で調製したポリアミド樹脂(3)〔ポリアミド(A):ポリアミドポリアミン(B)=80/20重量比〕)に水酸化マグネシウム(キスマ5)を40重量%の割合で溶融混合して調製したポリアミド樹脂組成物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして三次元射出成形回路部品の作製を試みた。しかし、めっき処理後、このポリアミド樹脂組成物から形成した被覆層(レジスト樹脂層)は、濃度30重量%の酢酸水溶液による除去ができなかった。
Figure 0004471088
(脚注)
(1)回路パターン形成性の評価:
○:射出成形性に優れ、金型内のランナー部分で破断して樹脂が詰まったり、金型から取り出す際に、被覆層(レジスト樹脂層)のパターンが変形することなく、微細な回路パターンを精密に形成することができる、
△:回路パターンを微細化すると、金型内のランナー部分で破断して樹脂が詰まったり、金型から取り出す際に、被覆層(レジスト樹脂層)のパターンが変形することがある、
×:所望の回路パターンを形成することが極めて困難か、不可能である。
(2)*1:粗面化工程でレジスト樹脂層が膨潤した。
*2:射出成形によりレジスト樹脂層の形成ができなかった。
*3:酢酸水溶液によりレジスト樹脂層を除去することができなかった。
本発明によれば、射出成形性、合成樹脂成形品に対する接着性、めっき処理液に対する耐性、有機酸に対する溶解性、回路パターン形成性に優れた有機酸可溶型ポリアミド樹脂組成物が提供される。本発明によれば、このような優れた特性を有する有機酸可溶型ポリアミド樹脂組成物をレジスト樹脂として使用する工程を含む三次元射出成形回路部品の製造方法が提供される。本発明は、微細なピッチの導体回路層を有する三次元射出成形回路部品の製造技術分野に好適に適用することができる。
本発明のMID製造方法の一例に従って、工程(a)から工程(e)を経て、MIDが製造されることを示す工程図である。 本発明の製造方法の一例に従って得られるMIDの一例を示す略図であり、斜視図(A)、正面図(B)、及び側面図(C)を示す。
符号の説明
11:一次成形品、
12:レジスト樹脂層、
13:めっき層(導体回路層)、
21:一次成形品、
22:めっき層(導体回路層)。

Claims (5)

  1. ポリアミド(A)とポリアミドポリアミン(B)とのアミド交換反応生成物であるポリアミド樹脂25〜90重量%、並びに水酸化アルミニウム、シリカ、及び炭酸マグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも一種の無機フィラー10〜75重量%を含有する有機酸可溶型ポリアミド樹脂組成物であって、
    (1)ポリアミド樹脂が、
    a)二量体脂肪酸含有量が65重量%以上のダイマー酸またはそのアミド生成可能な誘導体(a-1)を全カルボキシル基の20当量%以上と、ダイマー酸以外のジカルボン酸化合物またはそのアミド生成可能な誘導体(a-2)を全カルボキシル基の80当量%以下とからなるジカルボン酸成分と、
    b)下記式(I)
    Figure 0004471088
    〔式中、R1は、それぞれ独立に水素原子または炭素原子数1〜6のアルキル基であり、Yは、水素原子、RNH2またはROH(Rは、炭素原子数1〜6のアルキレン基)である。〕
    で表されるピペラジン化合物、及び下記式(II)
    Figure 0004471088
    〔式中、R1は、それぞれ独立に水素原子または炭素原子数1〜6のアルキル基であり、R2は、二価の脂肪族炭化水素基であり、Yは、水素原子、RNH2またはROH(Rは、炭素原子数1〜6のアルキレン基)である。〕
    で表されるジピペリジル化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の含窒素複素環化合物(b-1)を全アミノ基の20当量%以上と、該含窒素複素環化合物以外のジアミン化合物(b-2)を全アミノ基の80当量%以下とからなるジアミン成分とを、
    全アミン当量の全カルボキシル当量に対する比が0.8:1〜1.3:1の範囲内で重縮合して得られるポリアミド(A)、及び
    c)二量体脂肪酸含有量が65重量%以上のダイマー酸またはそのアミド生成可能な誘導体(c-1)を全カルボキシル基の20当量%以上と、ダイマー酸以外のジカルボン酸化合物またはそのアミド生成可能な誘導体(c-2)を全カルボキシル基の80当量%以下とからなるジカルボン酸成分と、
    d)ポリアルキレンポリアミンとを、
    全アミン当量の全カルボキシル当量に対する比が1.3:1〜3.0:1の範囲内で重縮合して得られるポリアミドポリアミン(B)
    を重量比(A:B)98:2〜40:60の範囲内で溶融混合してアミド交換反応させてなるものであり、かつ、
    (2)濃度30重量%の酢酸水溶液に80℃で30分間浸漬して測定した樹脂組成物の溶解速度が0.3mm/30min以上
    であることを特徴とする有機酸可溶型ポリアミド樹脂組成物。
  2. ポリアミド樹脂が、下記特性i〜iv:
    (i)軟化点が80〜190℃、
    (ii)酸価が0〜5mgKOH/g、
    (iii)アミン価が10〜100mgKOH/g、及び
    (iv)200℃で測定した溶融粘度が350〜80,000mPa・s
    を有するものである請求項1記載の樹脂組成物。
  3. ポリアミド樹脂が、下記特性v
    (v)濃度30重量%の酢酸水溶液に80℃で30分間浸漬して測定した溶解速度が0.02mm/30min以上
    を有するものである請求項1または2記載の樹脂組成物。
  4. 下記工程1〜5:
    (1)回路部品の基板を構成する一次成形品を合成樹脂の射出成形により形成する工程1、
    (2)必要に応じて、一次成形品の表面を粗面化する工程2、
    (3)一次成形品の回路を形成すべき部分を除く全表面に、請求項1乃至のいずれか1項に記載の有機酸可溶型ポリアミド樹脂組成物を射出成形して、有機酸可溶型ポリアミド樹脂組成物の被覆層を有する二次成形品を成形する工程3、
    (4)二次成形品の該被覆層部分を除く回路を形成すべき部分に、めっきにより導体回路層を形成する工程4、及び
    (5)有機酸水溶液を用いて該被覆層を溶解除去する工程5
    を含む三次元射出成形回路部品の製造方法。
  5. 下記工程I〜VI:
    (I)回路部品の基板を構成する一次成形品を合成樹脂の射出成形により形成する工程I、
    (II)必要に応じて、一次成形品の表面を粗面化する工程II、
    (III)一次成形品の回路を形成すべき部分を除く全表面に、請求項1乃至のいずれか1項に記載の有機酸可溶型ポリアミド樹脂組成物を射出成形して、有機酸可溶型ポリアミド樹脂組成物の被覆層を有する二次成形品を成形する工程III、
    (IV)二次成形品の有機酸可溶型ポリアミド樹脂組成物の被覆層部分を除く回路を形成すべき部分に、触媒を賦与する工程IV、
    (V)有機酸水溶液を用いて有機酸可溶型ポリアミド樹脂被覆層を溶解除去する工程V、及び
    (VI)触媒賦与部分にめっきして導体回路層を形成する工程VI
    を含む三次元射出成形回路部品の製造方法。
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