JP4501442B2 - 三次元射出成形回路部品の製造方法 - Google Patents

三次元射出成形回路部品の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、三次元射出成形回路部品の製造方法に関し、さらに詳しくは、有機溶媒に可溶性の熱可塑性ポリアミド樹脂をレジスト樹脂として使用する工程を含む三次元射出成形回路部品の製造方法に関する。
電子機器の小型化、軽量化、高性能化に伴って、プリント配線基板のファインパターン化、多層化、機器内の合理化、省スペース化などが進められている。組立の自動化の観点からも、組立性の向上を目指した配線合理化技術が求められている。このような要求に応えるために、射出成形品の表面に立体的に配線(導体回路)を形成した三次元射出成形回路部品(Molded Interconnect Device; 以下、「MID」と略記)が提案されている。
MIDは、合成樹脂射出成形品と配線部品とを一体化した立体配線基板であって、自由な三次元性を持ち、配線の合理化のみならず、電子ディバイス部品などの小型化、表面実装を可能とするものである。例えば、MIDを機器内の隙間に配置することにより、集積密度を向上させることができる。MIDは、発光ダイオード(LED)等の半導体パッケージ、三次元プリント配線板、携帯電話のアンテナ部品等に応用されている。
従来のMIDの製造方法には、大別して「一回成形法」と「二回成形法」とがある。一回成形法では、めっきグレードの樹脂を用いて射出成形により成形品を成形し、該成形品の全面を粗面化した後、触媒を付与し、次いで、銅めっき膜を形成する。次に、銅めっき膜上にレジストを塗布し、フォトリソグラフィ技術により回路形成を行う。回路形成方法としては、エッチングレジストを用いたサブトラクティブ法、めっきレジストを用いたセミアディティブ法などがある。
この1回成形法では、レジスト膜への露光工程において、フィルムマスクやガラスマスクを用いて平行光により露光するため、垂直面には回路を形成することが困難である。マスクの形状を成形品の形状に合わせるように成形する方法を採用しても、成形可能なマスク形状に限界があり、しかも露光光線を均一に照射できるマスク形状に限定されるという問題がある。したがって、1回成形法は、導体回路形成の自由度が低い。さらに、1回成形法では、エッチングにより回路を形成するため、導体の厚さを厚くすることが困難である。
2回成形法は、易めっき性樹脂と難めっき性樹脂の2種類の樹脂を用いて、2回の成形により一体の成型品を成形し、フルアディティブ法により回路を形成する方法である。より具体的には、易めっき性樹脂を射出成形して一次成形品を成形し、その表面に触媒を付与するか、予め触媒を含有する易めっき性樹脂を射出成形して一次成形品を成形する。次に、一次成形品の回路を形成すべき部分以外の全面に難めっき性樹脂を射出成形して、難めっき性樹脂被覆層を有する二次成形品を形成する。難めっき性樹脂被覆層は、めっきの際のめっきレジストの役割を果すものである。最後に、フルアディティブ法により、一次成形品表面の回路を形成すべき部分にめっきを施す。
2回成形法によれば、垂直面にも容易に回路を形成することができるため、1回成形法では不可能または困難であった立体的な回路成形を容易に行うことができる。2回成形法では、導体の厚さも、フルアディティブ法のため、エッチングを用いる1回成形法に比べて厚くすることができ、許容電流が大きな回路部品とすることができる。
しかし、従来の2回成形法では、二次成形した難めっき性樹脂被覆層がそのまま製品に残ってしまうので、回路部品全体が厚くなり、薄型にしたり、小型化や軽量化を図るには限界がある。また、2回成形法では、難めっき性樹脂被覆層が製品に残ることから、難めっき性樹脂として耐熱性、電気絶縁性、機械的強度、耐薬品性等に優れた樹脂材料を用いる必要があるため、製造コストが高くなる。さらに、一次成形品を金型内にインサートして難めっき性樹脂を射出成形するため、難めっき性樹脂として高性能の樹脂材料を用いると、高圧で射出成形する必要が生じ、その結果、回路部の高さを高くしたり、回路部の幅を広くする必要が生じる。
従来、2回成形法において、二次成形した部分が製品に残らないように、工程の途中で溶出させる方法が提案されている(特許文献1参照)。具体的に、該文献には、(1)回路部品の外形形状に合致する形状のキャビティ内にめっきグレードの液晶ポリマーを射出して一次成形品を成形する工程、(2)一次成形品を表面粗化する工程、(3)一次成形品に形成すべき回路部分を除く全表面に空隙を有する形状のキャビティ内に、表面粗化した一次成形品をインサートして、キャビティ内にオキシアルキレン基含有ポリビニルアルコール系樹脂を射出して二次成形品を成形する工程、(4)二次成形品を成形後に、露出している回路部分にパラジウム、金などによる触媒を賦与する工程、(5)触媒賦与後の二次成形品を湯中にて加熱して、二次成形によって成形した部分を湯中に溶出させる工程、及び(6)触媒賦与部分をめっきして回路を形成する工程からなる成形回路部品(MID)の製造方法が開示されている。
しかし、上記文献に記載の方法では、水溶性のオキシアルキレン基含有ポリビニルアルコール系樹脂を用いて二次成形部分(被覆層)を形成しているため、触媒賦与工程や触媒活性化工程で使用する塩酸や硫酸などの無機酸を含有する処理液により、当該被覆層が膨潤したり、溶解が部分的に進行する。その結果、所望の導体回路パターンを精度良く形成することが困難である。特に、回路ピッチが微細になるほど、この傾向が顕著になるという問題があった。
また、2回成形法とフォトリソグラフィ技術とを組み合わせたMIDの製造方法が提案されている(特許文献2参照)。該文献には、凹凸の大きい険阻部となめらかに変化する平滑部とを有する合成樹脂射出成形品に導体回路を形成するMIDの製造方法において、(1)射出成形品を、無電解めっき用触媒を配合した易めっき性材料の一次射出成形と無電解めっき用触媒を配合していない難めっき性材料の二次射出成形とで形成し、かつ、(2)険阻部の表面に易めっき性材料を露出させて険阻部の導体回路パターンを形成すると共に、(3)平滑部の全面に易めっき性材料が露出するように一次及び二次射出成形した後、険阻部と平滑部の全面に無電解めっきを施し、しかる後、(4)険阻部と平滑部の全面にレジスト被膜を形成し、そのレジスト被膜にフォトリソグラフィを施して平滑部の全面の無電解めっき層に、険阻部の導体回路パターンと連なる平滑部の導体回路パターンを形成するMIDの製造方法が開示されている。
しかし、上記文献に記載の方法は、フォトリソグラフィ技術を適用するため、3次元導体回路形成の自由度が低く、しかも二次射出成形部分が製品に残ることになる。
特開平11−145583号公報 特開平7−283513号公報
本発明の課題は、2回成形法により三次元射出成形回路部品を製造する方法において、基板となる一次成形品の表面に所望の回路パターンを精度良く形成することができ、しかも二次成形した被覆層を容易に除去することができる三次元射出成形回路部品の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、特定の物性を有する熱可塑性ポリアミド樹脂が射出成形性、一次成形品に対する接着性、めっき処理液に対する耐性、有機溶媒に対する溶解性に優れた高分子材料であり、めっき処理時に一次成形品の上に射出成形によってパターン状の被覆層を形成するための高分子材料として好適であることを見出した。二次成形による被覆層は、めっき処理時のレジストとして機能するため、被覆層の形成に使用する高分子材料をレジスト樹脂と呼び、被覆層をレジスト樹脂被覆層と呼ぶ。本発明は、これらの知見に基づいて、完成するに至ったものである。
本発明によれば、回路部品の基板を構成する一次成形品を合成樹脂の射出成形により形成する工程、所望により一次成形品の表面を粗面化する工程、一次成形品の回路を形成すべき部分を除く全表面にレジスト樹脂を射出成形して、レジスト樹脂被覆層を有する二次成形品を形成する工程、及び二次成形品をめっき処理して、レジスト樹脂が被覆されていない回路を形成すべき部分に導体回路層を形成する工程を含む三次元射出成形回路部品の製造方法において、
(1)レジスト樹脂として、軟化点が100〜230℃、200℃で測定した溶融粘度が300〜80000mPa・sの熱可塑性ポリアミド樹脂を使用し、かつ、
(2)めっき処理時のめっき触媒付与後またはめっきによる導体回路層の形成後に、有機溶媒を用いてレジスト樹脂被覆層を溶解除去する工程を配置する
ことを特徴とする三次元射出成形回路部品の製造方法が提供される。
本発明によれば、射出成形性、一次成形品に対する接着性、めっき処理液に対する耐性、有機溶媒に対する溶解性に優れた熱可塑性ポリアミド樹脂をレジスト樹脂として使用することにより、めっき処理液に溶解または膨潤することなく、一次成形品(基板)上に精度良く導体回路パターンを形成することができる。
本発明の三次元射出成形回路部品(MID)の製造方法について、図1を参照しながら説明する。図1において、合成樹脂を射出成形して、基板を構成する一次成形品11を得る。所望により、この一次成形品の表面を粗面化処理する。次に、一次成形品の回路を形成すべき部分を除く全表面に、レジスト樹脂を射出成形して、レジスト樹脂被覆層12を有する二次成形品を成形する。なお、図1では、明確化のために、レジスト樹脂被覆層12を一次成形品11の垂直部分と平坦部分のみに形成しているように図示しているが、実際には、回路部分を除く全面をパターン状に被覆している。
次に、回路部分にめっきを施して、めっき層13を形成するが、その前に、必要に応じて、粗面化処理、触媒賦与処理などを行うことができる。最後に、有機溶媒を用いて、レジスト樹脂被覆層12を溶解除去する。他の方法としては、回路形成部分にめっき触媒を付与した後、レジスト樹脂被覆層を溶解除去し、しかる後、めっき触媒を賦与した回路形成部分にめっきを施す方法がある。
基板となる一次成形品に使用する合成樹脂としては、例えば、液晶ポリマー(LCP)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂等のスーパーエンジニアリングプラスチック;ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の熱可塑性ポリエステル樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン6T、ナイロン9Tなどのナイロン樹脂;などが挙げられる。
基板となる一次成形品を構成する合成樹脂は、射出成形性、耐熱性、耐溶剤性、電気絶縁性などに優れたものであることが望ましい。これらの合成樹脂の中でも、LCP及びPBTが特に好ましい。また、合成樹脂は、めっきグレードであることが望ましい。
これらの合成樹脂を射出成形して一次成形品を成形し、必要に応じて表面を粗化する。粗面化する方法としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ水溶液を50〜90℃に加熱し、その中に一次成形品を1〜60分間程度浸漬する方法が挙げられるが、その他の方法も適用することができる。合成樹脂には、所望により、めっき賦与のためのめっき触媒を添加しておくことができる。
一次成形品の回路を形成すべき部分を除く全表面に、レジスト樹脂を射出成形して、レジスト樹脂被覆層を有する二次成形品を成形するには、一般に、一次成形品を二次金型内にセットし、レジスト樹脂を射出インサート成形する。レジスト被覆層は、一次成形品の回路としない部分にパターン状に被覆する。つまり、基板である一次成形品の回路パターンを形成する部分以外の全表面にレジスト樹脂を射出成形して被覆する。
二次成形品のレジスト樹脂被覆層部分を除く回路を形成すべき部分に、めっきにより導体回路層を形成するが、その際、常法に従って、めっき触媒賦与、触媒活性化などの前処理を行う。めっきは、無電解めっき、それに引き続く電解めっき等の方法により行い、それによって、導体回路層を形成する。その後、本発明では、有機溶媒を用いて、二次成形品上のレジスト樹脂被覆層を溶解除去する。また、前述したとおり、めっき触媒付与後、有機溶媒を用いて二次成形品上のレジスト樹脂被覆層を溶解除去し、一次成形品上にパターン状に残存するめっき触媒を利用して、無電解めっき、それに引き続く電解めっきにより、導体回路を形成することもできる。
本発明の製造方法では、レジスト樹脂として、軟化点が100〜230℃で、200℃で測定した溶融粘度が300〜80000mPa・sの熱可塑性ポリアミド樹脂を使用し、かつ、めっき処理時のめっき触媒付与後またはめっきによる導体回路層の形成後に、有機溶媒を用いてレジスト樹脂被覆層を溶解除去する。
本発明においてレジスト樹脂として使用する熱可塑性ポリアミド樹脂は、軟化点が100〜230℃、好ましくは110〜220℃の範囲内にある。熱可塑性樹脂の軟化点が高すぎると、二次成形時の溶融樹脂温度が高くなりすぎて、一次成形品の表面を溶融するおそれがある。この軟化点が低すぎると、射出成形性が低下する傾向にある。
また、熱可塑性ポリアミド樹脂は、200℃で測定した溶融粘度が300〜80000mPa・s、好ましくは500〜10000mPa・s、より好ましくは1000〜10000mPa・sである。熱可塑性ポリアミド樹脂の溶融粘度が低すぎると、射出成形性が低下し、バリの発生などの問題が生じ易くなる。熱可塑性樹脂の溶融粘度が高すぎると、有機溶媒に対する溶解性が低下する傾向にある。
本発明で使用する熱可塑性ポリアミド樹脂は、射出成形が可能であり、他の合成樹脂からなる一次成形品に対する接着性に優れ、めっき処理液に対する耐性があり、しかもアルコール類などの有機溶媒に可溶性のものである。このような熱可塑性ポリアミド樹脂としては、例えば、(1)ダイマー酸ベースの熱可塑性ポリアミド樹脂、及び(2)ダイマー酸ベースのアミド交換反応型ポリアミド樹脂が挙げられる。
ダイマー酸ベースの熱可塑性ポリアミド樹脂とは、ダイマー酸またはそのアミド生成可能な誘導体を含むジカルボン酸成分とジアミン成分とを重縮合してなる熱可塑性ポリアミド樹脂である。
ダイマー酸ベースの熱可塑性ポリアミド樹脂は、
a)二量体脂肪酸含有量が65重量%以上のダイマー酸またはそのアミド生成可能な誘導体(a-1)を全カルボキシル基の20当量%以上と、ダイマー酸以外のジカルボン酸化合物またはそのアミド生成可能な誘導体(a-2)を全カルボキシル基の80当量%以下とからなるジカルボン酸成分と、
b)ジアミン成分とを、
全アミン当量の全カルボキシル当量に対する比が0.8:1〜1.3:1の範囲内で重縮合して得られる熱可塑性ポリアミド樹脂であることが好ましい。
ジアミン成分としては、特に限定されず、例えば、下式
2NR5NH2
で表されるジアミン化合物(b-2)を挙げることができる。式中、R5は、脂肪族、脂環式または芳香族の二価の炭化水素基で炭素原子数2ないし36のもの、あるいは、ポリオキシアルキレン基を持ったものである。このようなジアミン化合物の具体例は、エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノブタン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、オクタデカメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシレンジアミン、シクロへキシレンジアミン、ビス(アミノエチル)ベンゼン、シクロヘキシルビス(メチルアミン)、ジアミノ−ジシクロヘキシルメタン、メチレンジアニリン、ポリオキシプロピレンジアミン、ダイマージアミンなどが挙げられる。ジアミン化合物は、R5が炭素原子数2ないし6のアルキレン基であるものが好ましい。
ジアミン成分としては、上記のもの以外に、下記式(I)
Figure 0004501442
〔式中、R1は、それぞれ独立に水素原子または炭素原子数1〜6のアルキル基であり、Yは、水素原子、RNH2またはROH(Rは、炭素原子数1〜6のアルキレン基)である。〕
で表されるピペラジン化合物、及び下記式(II)
Figure 0004501442
〔式中、R1は、それぞれ独立に水素原子または炭素原子数1〜6のアルキル基であり、R2は、二価の脂肪族炭化水素基であり、Yは、水素原子、RNH2またはROH(Rは、炭素原子数1〜6のアルキレン基)である。〕
で表されるジピペリジル化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の含窒素複素環化合物(b-1)を使用することができる。
また、ジアミン成分として、含窒素複素環化合物(b-1)を全アミノ基の20当量%以上と、該含窒素複素環化合物以外のジアミン化合物(b-2)を全アミノ基の80当量%以下とからなるジアミン成分を用いることも好ましい。
ダイマー酸ベースの熱可塑性ポリアミド樹脂としては、市販品の中から軟化点及び溶融粘度が前記範囲内にあるものを選択して用いることができる。市販品としては、例えば、ヘンケルジャパン社製の登録商標名「マクロメルト」シリーズの中から適したものを選択することができる。
もちろん、ダイマー酸ベースの熱可塑性ポリアミド樹脂は、独自に合成したものを使用することができる。この点で、ダイマー酸ベースの熱可塑性ポリアミド樹脂は、下記に詳述するダイマー酸ベースのアミド交換反応型ポリアミド樹脂の製造に使用するポリアミド樹脂(A)と使用する成分や物性などが共通していることが多い。そこで、以下、主としてダイマー酸ベースのアミド交換反応型ポリアミド樹脂と、それを形成するのに使用するポリアミド樹脂(A)及びポリアミドポリアミン樹脂(B)について詳述するが、ポリアミド樹脂(A)についての説明は、前記のダイマー酸ベースの熱可塑性ポリアミド樹脂に援用することができる。
ダイマー酸ベースのアミド交換反応型ポリアミド樹脂としては、ダイマー酸またはそのアミド生成可能な誘導体を含むジカルボン酸成分とジアミン成分とを重縮合してなるダイマー酸ベースのポリアミド樹脂とポリアミドポリアミン樹脂とをアミド交換反応させて得られるアミド交換反応型ポリアミド樹脂を挙げることができる。
このアミド交換反応型ポリアミド樹脂は、
a)二量体脂肪酸含有量が65重量%以上のダイマー酸またはそのアミド生成可能な誘導体(a-1)を全カルボキシル基の20当量%以上と、ダイマー酸以外のジカルボン酸化合物またはそのアミド生成可能な誘導体(a-2)を全カルボキシル基の80当量%以下とからなるジカルボン酸成分と、
b)前記式(I)で表されるピペラジン化合物、及び前記式(II)で表されるジピペリジル化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の含窒素複素環化合物(b-1)を全アミノ基の20当量%以上と、該含窒素複素環化合物以外のジアミン化合物(b-2)を全アミノ基の80当量%以下とからなるジアミン成分とを、
全アミン当量の全カルボキシル当量に対する比が0.8:1〜1.3:1の範囲内で重縮合して得られるポリアミド樹脂(A)、及び
c)二量体脂肪酸含有量が65重量%以上のダイマー酸またはそのアミド生成可能な誘導体(c-1)を全カルボキシル基の20当量%以上と、ダイマー酸以外のジカルボン酸化合物またはそのアミド生成可能な誘導体(c-2)を全カルボキシル基の80当量%以下とからなるジカルボン酸成分と、
d)ポリアルキレンポリアミンとを、
全アミン当量の全カルボキシル当量に対する比が1.3:1〜3.0:1の範囲内で重縮合して得られるポリアミドポリアミン樹脂(B)
を重量比(A:B)99.9:0.1〜40:60の範囲内で溶融混合してアミド交換反応させてなるものであることが好ましい。
さらに、アミド交換反応型ポリアミド樹脂として、前記ポリアミド樹脂(A)とポリアミドポリアミン樹脂(B)とを重量比(A:B)95:5〜40:60の範囲内で溶融混合してアミド交換反応させてなるものであることがより好ましい。
ポリアミドポリアミン樹脂(B)とのアミド交換反応に使用するポリアミド樹脂(A)は、例えば、特公昭45−6825号公報や特開昭48−14790号公報に記載されている製造方法により得ることができる。
本発明で使用するダイマー酸(Dimer acid)は、オレイン酸(C18342)、リノール酸(C18322)、リノレン酸(C18302)などの不飽和脂肪酸を粘土触媒により縮合させて二量体化した重合脂肪酸である。飽和脂肪酸を過酸化物触媒を用いて重合することによっても、ダイマー酸を得ることができる。ダイマー酸の主成分は二量体であり、その他に単量体や三量体などを含んでいる。ダイマー酸の代表的なものは、単量体(C18)、二量体(C36)及び三量体(C54)の混合物である。
ダイマー酸の製法は、米国特許第3157681号明細書に記載されている。トール油脂肪酸などのオレイン酸、リノール酸を主成分とする脂肪酸から製造された市販のダイマー酸は、一般に、C18単量体酸(単量体)5〜15重量%、C36二量体酸(二量体)60〜80重量%、及びC54以上の高次重合体酸(三量体)10〜35重量%の組成を有している。
この未分別ダイマー酸中の単量体、二量体及び三量体の比率は、原料及びその重合条件に依存する。単量体脂肪酸とは、未重合の単量体酸を意味し、二量体脂肪酸とは、二量体脂肪酸を意味し、三量体脂肪酸とは、主として三量体酸よりなり更に高次のものも含有する重合体を意味する。ダイマー酸とは、脂肪酸から得られる重合酸の総称で、単量体、二量体、三量体の混合物である。ダイマー酸の原料となる脂肪酸とは、飽和、エチレン系不飽和、アセチレン系不飽和の天然及び合成の脂肪酸族のカルボン酸で、炭素原子数8乃至24のものをいう。
飽和脂肪酸は、一般に、米国特許第3157681号明細書に記載の方法とは少し異なる方法で重合される。即ち、飽和脂肪酸は、中温で過酸化ジ−t−ブチルのような過酸化物触媒を用いて重合される。一般に、重合体の収率が低いのでこれらの原料は工業的に重要ではない。飽和脂肪酸としては、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、イソパルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、及びリグノセリン酸のような直鎖及び側鎖の酸が挙げられる。重合されるエチレン系及びアセチレン系不飽和脂肪酸とその重合法に関しては、米国特許第3157681号明細書に記載されている。
ダイマー酸中に存在する単量体、二量体、及び三量体脂肪酸の含量は、ガスクロマトグラフィーにより、対応するメチルエステルとして定量される。他の定量法は、ミクロ分子蒸留分析法、液体クロマトグラフィー等がある。
本発明では、二量体脂肪酸含有量が65重量%以上のダイマー酸またはそのアミド生成可能な誘導体(a-1)を使用する。二量体脂肪酸の含有量は、好ましくは80重量%以上、特に好ましくは90〜95重量%である。二量体脂肪酸の含有量を高めるには、ダイマー酸を分留するか、溶剤抽出法により単量体を除去するなどの方法を採用することができる。二量体脂肪酸の含有量が低すぎると、溶融成形性などに優れたポリアミドを得ることができない。
ダイマー酸は、酸の形で使用することができるが、この他、アミド生成可能な誘導体とすることもできる。アミド生成可能な誘導体とは、ジアミン成分と反応してアミド結合を生成することが可能な誘導体を意味する。このような誘導体としては、エステル、ハロゲン化物、及び酸無水物がある。エステルは、ダイマー酸をアルコールと反応させることにより得ることができる。エステル残基としては、炭素原子数1〜8のアルキル基またはアリール基が好ましい。これらの中でも、メチル基やエチル基などの炭素原子数1〜4のアルキル基が特に好ましい。ハロゲンとしては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子などがあるが、塩素原子が好ましい。
ジカルボン酸成分としては、ダイマー酸以外のジカルボン酸化合物またはそのアミド生成可能な誘導体(a-2)を使用することができる。このようなジカルボン酸化合物とその誘導体としては、下記式
3OOC−COOR3
または下記式
3OOC−R4−COOR3
で表される化合物を挙げることができる。これらの式において、R3は、炭素原子数1〜8のアルキル基またはアリール基であり、R4は、炭素原子数1〜20の二価の炭化水素の脂肪族、脂環式または芳香族基である。また、これらの酸の無水物、ハロゲン化物(塩化物など)も使用することができる。エステルは、炭素原子数1〜4のアルキルエステルが好ましい。
このようなジカルボン酸化合物の例としては、シュウ酸、マロン酸、アジピン酸、コハク酸、スベリン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ピメリン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタリンジカルボン酸、1,4−または1,3−シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられる。
ジカルボン酸成分は、二量体脂肪酸含有量が65重量%以上のダイマー酸またはそのアミド生成可能な誘導体(a-1)を全カルボキシル基の20当量%以上、好ましくは50当量%以上、より好ましくは50〜90当量%、最も好ましくは55〜85当量%と、ダイマー酸以外のジカルボン酸化合物またはそのアミド生成可能な誘導体(a-2)を全カルボキシル基の80当量%以下、好ましくは50当量%以下、より好ましくは10〜50当量%、最も好ましくは15〜45当量%とから構成される。ここで、全カルボキシル基は、カルボン酸のみならず、そのエステル、ハロゲン化物、酸無水物などに由来する官能基を意味する。溶融粘度調節等の目的で、モノカルボン酸化合物またはそのアミド形成可能な誘導体を少量成分として併用することができる。
ポリアミド樹脂(A)を形成するジアミン成分としては、前記式(I)で表されるピペラジン化合物と前記式(II)で表されるジピペリジル化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の含窒素複素環化合物(b-1)、及び該含窒素複素環化合物以外のジアミン化合物(b-2)を使用することが好ましい。
含窒素複素環化合物(b-1)を使用することにより、ポリアミド樹脂(A)の接着性が向上し、さらには、合成樹脂成形品などに対して良好な接着性を示すアミド交換反応型ポリアミド樹脂を得ることができる。
含窒素複素環化合物(b-1)の具体例としては、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、2,5−ジエチルピペラジン、2−メチルピペラジン、2−エチルピペラジン、N−アミノエチル−ピペラジン、N−アミノプロピル−ピペラジン、1,3−ジ(4−ピペリジル)プロパン、1,2−ジ(4−ピペリジル)エタン、1,4−ジ(4−ピペリジル)ブタン、1−(N−ペンタヒドロキシエチル−4−ピペリジル)−3−(4−ピペリジル)プロパンなどが挙げられる。該含窒素複素環化合物以外のジアミン化合物(b-2)としては、前記式H2NR5NH2で表されるものを挙げることができる。
ジアミン成分は、含窒素複素環化合物(b-1)を全アミノ基の20当量%以上、好ましくは20〜90当量%、より好ましくは25〜75当量%と、該含窒素複素環化合物以外のジアミン化合物(b-2)を全アミノ基の80当量%以下、好ましくは10〜80当量%、より好ましくは25〜75当量%とから構成される。含窒素複素環化合物の当量%が小さすぎると、接着性を十分に向上させることができない。
本発明で使用するポリアミド樹脂(A)は、前述のジカルボン酸成分とジアミン成分とを、全アミン当量の全カルボキシル当量に対する比が0.8:1〜1.3:1、好ましくは0.9:1〜1.2:1の範囲内で重縮合して得られるポリアミドである。両成分を上記比率(モル当量比)で重縮合させることにより、酸価及びアミン価が共に好ましくは35mgKOH/g以下、より好ましくは30mgKOH/g以下で安定したポリアミド樹脂(A)を得ることができる。
ポリアミド樹脂(A)は、ジカルボン酸成分とジアミン成分とを加熱して重縮合させることにより得ることができる。加熱条件としては、例えば、100〜300℃で3〜10時間程度加熱する方法が挙げられる。加熱は、減圧下に行ってもよい。
ポリアミド樹脂(A)は、軟化点100〜230℃、酸価0〜10mgKOH/g、アミン価5〜30mgKOH/g、及び200℃で測定した溶融粘度300〜80000mPa・sの物性を有するものであることが望ましい。ポリアミド樹脂(A)の軟化点及び溶融粘度が低すぎると、それを用いて得られるアミド交換反応型ポリアミド樹脂の軟化点及び溶融粘度が低下し、溶融成形性やその他の特性が悪化する。ポリアミド樹脂(A)の軟化点は、好ましくは110〜220℃、より好ましくは125〜190℃である。ポリアミド樹脂(A)の200℃で測定した溶融粘度は、好ましくは500〜10000mPa・s、より好ましくは1000〜8000mPa・sである。
本発明でアミド交換反応に使用するポリアミドポリアミン樹脂(B)は、二量体脂肪酸含有量が65重量%以上のダイマー酸またはそのアミド生成可能な誘導体(c-1)を全カルボキシル基の20当量%以上と、ダイマー酸以外のジカルボン酸化合物またはそのアミド生成可能な誘導体(c-2)を全カルボキシル基の80当量%以下とからなるジカルボン酸成分、及びポリアルキレンポリアミンとを、全アミン当量の全カルボキシル当量に対する比が1.3:1〜3.0:1の範囲内で重縮合して得られるポリアミドポリアミン樹脂である。
ダイマー酸またはそのアミド生成可能な誘導体(c-1)、及びダイマー酸以外のジカルボン酸化合物またはそのアミド生成可能な誘導体(c-2)としては、ポリアミド樹脂(A)を合成するのに使用したのと同じものを使用することができる。ダイマー酸またはそのアミド生成可能な誘導体(c-1)は、好ましくは全カルボキシル基の50当量%以上、より好ましくは60〜100当量%の割合で使用される。ダイマー酸以外のジカルボン酸化合物またはそのアミド生成可能な誘導体(c-2)は、好ましくは全カルボキシル基の50当量%以下、より好ましくは0〜40当量%の割合で使用される。溶融粘度調節等の目的で、モノカルボン酸化合物またはそのアミド形成可能な誘導体を少量成分として併用することができる。
ポリアルキレンポリアミンとしては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンなどが挙げられる。
ポリアミドポリアミン樹脂(B)は、ジカルボン酸成分とポリアルキレンポリアミンとを、全アミン当量の全カルボキシル当量に対する比が1.3:1〜3.0:1の範囲内で重縮合することにより合成されるアミン官能基を持ったポリアミドポリアミン樹脂である。ポリアミドポリアミン樹脂は、例えば、特公昭37−18898号公報に記載されている合成法により製造することができる。
ポリアミドポリアミン樹脂(B)は、酸価0〜5mgKOH/g、アミン価50〜350mgKOH/g、及び200℃で測定した溶融粘度50〜3000mPa・sの物性を有するものであることが望ましい。
アミド交換反応型ポリアミド樹脂を製造するには、ポリアミド樹脂(A)とポリアミドポリアミン樹脂(B)とを重量比(A:B)で通常99.9:0.1〜40:60、好ましくは95:5〜40:60、より好ましくは90:10〜50:50で溶融混合する。ポリアミドポリアミン樹脂(B)の混合比率が高すぎると、生成するアミド交換反応型ポリアミド樹脂の軟化点が低下しすぎて、射出成形時の固化に長時間を要したり、バリが発生し易くなる。
ポリアミド樹脂(A)とポリアミドポリアミン樹脂(B)は、通常150〜300℃、好ましくは200〜250℃の高温下で、通常1時間以上、好ましくは5時間以上、より好ましくは10時間以上、溶融混合することにより、アミド交換反応を起させる。アミド交換反応が生じていることは、溶融混合の結果、均一な物性を有するアミド交換反応型ポリアミド樹脂の得られることにより明らかである。溶融混合時に、アミド交換反応に加えて、更なる重縮合反応が進むこともある。
本発明で使用するアミド交換反応型ポリアミド樹脂は、アミド交換反応後に下記物性
i)軟化点が100〜230℃、好ましくは110〜210℃、より好ましくは120〜180℃、
ii)酸価が0〜5mgKOH/g、
iii)アミン価が10〜100mgKOH/g、
iv)200℃で測定した溶融粘度が300〜80000mPa・s、好ましくは500〜10000mPa・s、より好ましくは1000〜8000mPa・s
を有するものである。
アミド交換反応型ポリアミド樹脂の軟化点及び溶融粘度が低すぎると、射出成形性が低下し、その他の物性も悪化することがある。
ポリアミド樹脂(A)単独でも、ダイマー酸ベースの熱可塑性ポリアミド樹脂として、射出成形法による溶融成形が可能であり、他の合成樹脂成形品に対する優れた接着性が得られる。一方、ポリアミドポリアミン樹脂(B)単独では、軟化点を有していないため、射出成形法等の溶融成形法を適用することが困難である。
レジスト樹脂として使用する熱可塑性樹脂の中でも、ダイマー酸ベースの熱可塑性ポリアミド樹脂及びダイマー酸ベースのアミド交換反応型ポリアミド樹脂などの熱可塑性ポリアミド樹脂は、射出成形性などの溶融成形性、他の合成樹脂成形品に対する接着性、めっき処理液に対する耐性、アルコール類などの有機溶媒に対する溶解性などに優れているため、MID製造時のレジスト樹脂として好適である。しかも、熱可塑性ポリアミド樹脂は、レジスト樹脂として使用した後、有機溶媒により容易に溶解除去することができるため、レジスト樹脂被覆層が残存しないMIDの製造に好適である。
前記特性を有する熱可塑性ポリアミド樹脂をレジスト樹脂として使用するMIDの製造方法は、好ましくは、下記の一連の工程i〜vを有するものである。
(i)回路部品の基板を構成する一次成形品を合成樹脂の射出成形により形成する工程i、
(ii)必要に応じて、一次成形品の表面を粗面化する工程ii、
(iii)一次成形品の回路を形成すべき部分を除く全表面にレジスト樹脂を射出成形して、レジスト樹脂被覆層を有する二次成形品を形成する工程iii、
(iv)二次成形品のレジスト樹脂が被覆されていない回路を形成すべき部分に、めっきにより導体回路層を形成する工程iv、及び
(v)有機溶媒を用いてレジスト樹脂被覆層を溶解除去する工程v。
熱可塑性樹脂をレジスト樹脂としてMIDを製造する他の方法として、以下の各工程I〜VIを含む製造方法が挙げられる。
(I)回路部品の基板を構成する一次成形品を合成樹脂の射出成形により形成する工程I、
(II)必要に応じて、一次成形品の表面を粗面化する工程II、
(III)一次成形品の回路を形成すべき部分を除く全表面にレジスト樹脂を射出成形して、レジスト樹脂被覆層を有する二次成形品を形成する工程III、
(IV)二次成形品のレジスト樹脂が被覆されていない回路を形成すべき部分に、めっき触媒を賦与する工程IV、
(V)有機溶媒を用いてレジスト樹脂被覆層を溶解除去する工程V、及び
(VI)めっき触媒賦与部分にめっきして導体回路層を形成する工程VI。
レジスト樹脂として使用した熱可塑性ポリアミド樹脂の被覆層を溶解除去するために、本発明では、アルコール類などの有機溶媒を使用する。レジスト樹脂被覆層の溶解除去に適した有機溶剤としては、基板を構成する合成樹脂一次成形品を侵さないものであること、熱可塑性ポリアミド樹脂に対する溶解性に優れていること、適度の温度に加熱して使用することができること、安価であること、環境汚染が少ないことなどが求められる。
有機溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール(すなわち、イソプロピルアルコール;IPA)、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−2−プロパノール、2−メチル−1−プロパノール、アミルアルコール、シクロヘキサノールなどのアルコール類が好ましい。アルコール類としては、一価の低級アルコール類がより好ましいが、前記特性を有する熱可塑性樹脂に対する溶解性や100℃以下の適度の温度に加熱して使用可能である点で、エタノール及び2−プロパノールが特に好ましい。
その他の有機溶媒としては、特に限定されないが、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどのアミド系有機溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、シクロへプタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類;などが好ましい。
有機溶媒としては、前記のアルコール類、芳香族炭化水素類、アミド系有機溶媒、ケトン類などをそれぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて混合溶媒として使用することができる。混合溶媒での各成分の混合比率は、熱可塑性ポリアミド樹脂に対する溶解性に優れている範囲内で任意に選ぶことができるが、多くの場合、アルコール類が好ましくは30〜99容量%、より好ましくは40〜90容量%と、他の有機溶媒が好ましくは1〜70容量%、より好ましくは10〜60容量%の範囲内から選ばれる。アルコール類に混合する有機溶媒として、トルエンなどの芳香族炭化水素類、N−メチル−2−ピロリドンなどのアミド系有機溶媒を用いると、レジスト樹脂被覆層の溶解性を高めることができる。
有機溶媒は、通常0〜100℃、好ましくは20〜90℃、より好ましくは30〜85℃の温度で使用することが望ましい。有機溶媒として、エタノールや2−プロパノールを用いる場合には、好ましくは40〜85℃、より好ましくは50〜80℃の高温で使用することが、レジスト樹脂被覆層の溶解除去効率を高める上で特に好ましい。
熱可塑性ポリアミド樹脂からなるレジスト樹脂被覆層を溶解除去するには、めっき触媒付与後または導体回路形成後の二次成形品を有機溶媒中に浸漬する方法を採用することが好ましい。浸漬法によれば、有機溶媒の温度調整が容易で、しかもレジスト樹脂被覆層の全体を溶解除去するのが容易である。有機溶媒を吹き付ける方法や刷毛塗りする方法など、必要に応じて他の方法を採用したり、併用することができる。
浸漬法では、温度調整した有機溶媒中に二次成形品を1〜60分間、好ましくは5〜40分間浸漬する方法により、レジスト樹脂被覆層を容易に除去することができる。本発明で使用する熱可塑性ポリアミド樹脂は、めっき処理工程で使用する無機酸を含有する各種処理液に対して安定であるため、所望の回路パターンを精度良く得ることができ、回路ピッチの微細化にも対応が可能となる。
また、本発明で使用する熱可塑性ポリアミド樹脂は、一次成形品用の各種合成樹脂に対する接着性に優れているので、一次成形品の表面を粗面化せずとも、二次金型にセットして熱可塑性樹脂を成形するだけで、一次成形品の表面にレジスト樹脂被覆層として接着させることができる。その後、二次成形品の一次成形品表面露出部を粗面化し、めっきを行えば、一次成形品とめっき層の密着強度が得られる。レジスト樹脂被覆層を除去すれば、非回路部は、粗面化処理されていないので、平滑性の非回路部を有する外観の優れたMIDを製造することができるという効果も得られる。
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。物性及び特性の測定法は、次のとおりである。
(1)軟化点:
軟化点は、JIS K6863−1994に記載されているホットメルト接着剤の軟化点試験方法に準拠して測定した。
(2)酸価:
酸価は、フェノールフタレインを指示薬とし、水酸化カリウム水溶液を滴定液とする中和滴定法により測定した。
(3)アミン価:
アミン価は、ブロムクレゾールグリーンを指示薬とし、塩酸水溶液を滴定液とする中和滴定法により測定した。
(4)溶融粘度:
溶融粘度は、JIS K6862−1984に記載されているホットメルト接着剤の溶融粘度試験方法のB法に準拠して、測定温度200℃で測定した。
<めっき工程>
めっき工程は、以下の手順により行った。すなわち、下記(1)〜(5)に示した処方にて無電解銅めっきを行い、厚み2μmの銅めっき層を形成し、引き続いて、(6)の手順で電気銅めっきを行い、めっき層の合計厚みを15μmとした。
(1)脱脂処理:
一次成形品を超音波洗浄機で5分間洗浄した後、イオン交換水で洗浄する。
(2)プレディップ:
塩化ナトリウム(180g/L)、塩酸(80ml/L)、及びOS−1505〔シプレイ・ファーイースト(株)製、商品名〕(20ml/L)をこれらの比率で混合して処理液を調製し、この処理液を45℃の温度に設定して、その中に試料を3分間浸漬する。
(3)触媒付与:
塩化ナトリウム(180g/L)、塩酸(100ml/L)、OS−1505〔シプレイ・ファーイースト(株)製、商品名〕(20ml/L)、及びOS−1558〔シプレイ・ファーイースト(株)製、商品名〕(20ml/L)をこれらの比率で混合して処理液を調製し、この処理液を30℃の温度に設定して、その中に試料を8分間浸漬する。浸漬後、試料をイオン交換水で洗浄する。
(4)触媒活性化:
OS−1560〔シプレイ・ファーイースト(株)製、商品名〕(濃度=20ml/L)からなる処理液を30℃の温度に設定し、この処理液中に試料を2分間浸漬する。浸漬後、試料をイオン交換水で洗浄する。
(5)無電解銅めっき:
OS−1598M(48ml/L)、OS−1598A(10ml/L)、OS−1598R(2ml/L)、OS−1120SR(2.1ml/L)、CupZ(23ml/L)、及びCupY(12ml/L)〔それぞれシプレイ・ファーイースト(株)製、商品名〕をこれらの比率で混合してめっき液を調製し、次いで、めっき液を45℃の温度に設定して、その中に試料を15分浸漬する。浸漬後、試料をイオン交換水で洗浄する。
(6)電気銅めっき:
硫酸銅(220g/L)と硫酸(60g/L)をこれらの比率で混合してめっき液を調製し、次いで、めっき液を25℃の温度に設定して、その中に試料を浸漬し、2A/dm2の電流密度で20分間通電することにより、厚み約15μmのめっき層を形成する。
[実施例1]
液晶ポリエステル樹脂(LCP)〔ベクトラC810、ポリプラスチック(株)製、商品名〕を、射出成形機(型締力=100トン、スクリュー径=45mmφ)を用いて、射出圧50kg/cm2、保圧時間10秒間、金型温度60℃の条件にて射出成形することにより、図2に示す形状の一次成形品21を成形した。得られた一次成形品をエタノールで洗浄した後、80℃に設定した45%の水酸化ナトリウム水溶液中に5分間浸漬し、次いで、3%の塩酸で中和する方法により粗面化した。粗面化した一次成形品を二次金型内にセットし、レジスト樹脂を射出成形して、一次成形品の回路を形成すべき部分を除く全表面にレジスト樹脂被覆層を形成した(二次成形品の成形)。
レジスト樹脂としては、ダイマー酸ベースの熱可塑性ポリアミド樹脂であるマクロメルトJP175(ヘンケルジャパン製;軟化点175℃、200℃での溶融粘度3000mPa・s)を使用した。
得られた二次成形品に、前記手順で無電解めっき及び電解めっき処理を行った後、80℃の2−プロパノール中に30分間浸漬して、レジスト樹脂被覆層を溶解除去して、導体回路22を有する三次元射出成形回路部品を得た。得られた回路部品は、図2に示すように、回路幅300μm、回路ピッチ600μmの回路(L&S=300/300μm)が形成されており、所望のパターンの導体回路層を高精度で形成することが可能であった。
[実施例2]
ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)〔UBE PBT 3000 宇部興産(株)製、商品名〕100重量部に炭酸カルシウム20重量部を添加した樹脂組成物を、射出成形機(型締力100トン、スクリュー径45mmφ)を用いて、射出圧50kg/cm2、保圧時間10秒間、金型温度60℃の条件にて射出成形することにより、図2に示す形状の一次成形品21を成形した。この一次成形品をエタノールで洗浄した後、80℃に設定した濃度45重量%水酸化ナトリウム水溶液中に5分間浸漬し、次いで、3%の塩酸で中和する方法で粗面化した。粗面化した一次成形品を二次金型内にセットし、レジスト樹脂をインサート射出成形して二次成形品を得た。
レジスト樹脂としては、ダイマー酸ベースの熱可塑性ポリアミド樹脂であるマクロメルトOM673(ヘンケルジャパン製;軟化点185℃、200℃での溶融粘度3000mPa・s)を使用した。
得られた二次成形品に、前記手順で無電解めっき及び電解めっき処理を行った後、80℃の2−プロパノール中に30分間浸漬して、レジスト樹脂被覆層を溶解除去して、導体回路22を有する三次元射出成形回路部品を得た。得られた回路部品は、図2に示すように、回路幅300μm、回路ピッチ600μmの回路(L&S=300/300μm)が形成されており、所望のパターンの導体回路層を高精度で形成することが可能であった。
[実施例3]
実施例1で作製したのと同じ一次成形品を使用し、二次成形用のレジスト樹脂として、ダイマー酸(0.65当量)、セバシン酸(0.35当量)、エチレンジアミン(0.53当量)、及びピペラジン(0.53当量)を重縮合して得られた、軟化点160℃、酸価1.0mgKOH/g、アミン価10.0mgKOH/g、溶融粘度3000mPa・s(210℃)のポリアミド樹脂(A)と、ダイマー酸(1.0当量)及びジエチレントリアミン(1.5当量)を重縮合して得られた、酸価1.0mgKOH/g、アミン価100.0mgKOH/g、溶融粘度100mPa・s(200℃)のポリアミドポリアミン樹脂(B)とを、A:B=80/20の重量比で配合し、230℃で12時間溶融混合、アミド交換反応させて得られた、軟化点150℃、酸価1.0mgKOH/g、アミン価25.0mgKOH/g、溶融粘度3000mPa・s(200℃)のアミド交換反応型ポリアミド樹脂を使用した。
得られた二次成形品に、前記手順で無電解めっき及び電解めっき処理を行った後、80℃の2−プロパノール中に30分間浸漬して、レジスト樹脂被覆層を溶解除去して、導体回路22を有する三次元射出成形回路部品を得た。得られた回路部品は、図2に示すように、回路幅300μm、回路ピッチ600μmの回路(L&S=300/300μm)が形成されており、所望のパターンの導体回路層を高精度で形成することが可能であった。
[実施例4]
実施例1で作製したのと同じLCP製の一次成形品を使用し、二次成形用のレジスト樹脂として、ダイマー酸ベースの熱可塑性ポリアミド樹脂であるマクロメルトOM673(ヘンケルジャパン製;軟化点185℃、200℃での溶融粘度3000mPa・s)を使用した。
得られた二次成形品に、前記手順で無電解めっき及び電解めっき処理を行った後、80℃の2−プロパノールとトルエンとの1:1混合溶媒中に15分間浸漬して、レジスト樹脂被覆層を溶解除去して、導体回路22を有する三次元射出成形回路部品を得た。得られた回路部品は、図2に示すように、回路幅300μm、回路ピッチ600μmの回路(L&S=300/300μm)が形成されており、所望のパターンの導体回路層を高精度で形成することが可能であった。
[比較例1]
実施例1で作製したのと同じLCP製の一次成形品を使用し、二次成形用のレジスト樹脂として、オキシアルキレン基含有ポリビニルアルコール系樹脂〔エコマティAX2000、日本合成化学(株)製、商品名〕を使用し、図2に対応する形状を有する二次成形品を得た。しかし、粗面化工程において、レジスト樹脂被覆層の膨潤が見られ、所望の回路幅300μm、回路ピッチ600μmのパターンの導体回路層を形成することができなかった。
[比較例2]
実施例1で作製したのと同じLCP製の一次成形品を使用し、二次成形用のレジスト樹脂として、ダイマー酸ベースの熱可塑性ポリアミド樹脂であるマクロメルト6900(ヘンケルジャパン製;軟化点140℃、200℃での溶融粘度10mPa・s)を使用した。しかし、レジスト樹脂の射出成形工程でバリ(一次成形品と金型のクリアランスに樹脂が入り込む現象)が発生したため、所望の回路幅300μm、回路ピッチ600μmのパターンの導体回路層の形成ができなかった。
[比較例3]
実施例1で作製したのと同じLCP製の一次成形品を使用し、二次成形用のレジスト樹脂として、実施例3でアミド交換反応に使用したポリアミドポリアミン樹脂(B)を使用したこと以外は、実施例1と同様にして導体回路の形成を行った。しかし、レジスト樹脂の射出成形工程で、バリが発生したため、所望の回路幅300μm、回路ピッチ600μmのパターンの導体回路層の形成ができなかった。
Figure 0004501442
(脚注)
(*1)二次成形性:
○:バリの発生がなく、二次成形性が良好である、
×:バリが発生する。
(*2)めっき液耐性:
○:めっき液で溶解または膨潤しない、
×:めっき液で溶解または膨潤する。
(*3)溶解性:
○:有機溶媒に対する溶解性が良好である、
×:有機溶媒に対する溶解性が悪い。
(*4)回路パターン形成性:
○:ライン&スペース=300/300μmの回路パターンを精度良く形成することができる、
×:回路パターンを形成できないか、その精度に劣る。
本発明によれば、2回成形法により三次元射出成形回路部品を製造する方法において、基板となる一次成形品の表面に所望の回路パターンを精度良く形成することができ、しかも二次成形した被覆層を容易に除去することができる三次元射出成形回路部品の製造方法が提供される。本発明の方法により得られた三次元射出成形回路部品は、エレクトロニクス実装技術分野などにおいて好適に用いることができる。
本発明のMID製造方法の一例に従って、工程(a)から工程(e)を経て、MIDが製造されることを示す工程図である。 本発明の製造方法の一例に従って得られるMIDの一例を示す略図であり、斜視図(A)、正面図(B)、及び側面図(C)を示す。
符号の説明
11:一次成形品、
12:レジスト樹脂層、
13:めっき層(導体回路層)、
21:一次成形品、
22:めっき層(導体回路層)。

Claims (11)

  1. 回路部品の基板を構成する一次成形品を合成樹脂の射出成形により形成する工程、所望により一次成形品の表面を粗面化する工程、一次成形品の回路を形成すべき部分を除く全表面にレジスト樹脂を射出成形して、レジスト樹脂被覆層を有する二次成形品を形成する工程、及び二次成形品をめっき処理して、レジスト樹脂が被覆されていない回路を形成すべき部分に導体回路層を形成する工程を含む三次元射出成形回路部品の製造方法において、
    (1)レジスト樹脂として、軟化点が100〜230℃、200℃で測定した溶融粘度が300〜80000mPa・sの熱可塑性ポリアミド樹脂を使用し、かつ、
    (2)めっき処理時のめっき触媒付与後またはめっきによる導体回路層の形成後に、有機溶媒を用いてレジスト樹脂被覆層を溶解除去する工程を配置する
    ことを特徴とする三次元射出成形回路部品の製造方法。
  2. レジスト樹脂として使用する熱可塑性ポリアミド樹脂が、ダイマー酸またはそのアミド生成可能な誘導体を含むジカルボン酸成分とジアミン成分とを重縮合してなるダイマー酸ベースの熱可塑性ポリアミド樹脂である請求項1記載の製造方法。
  3. ダイマー酸ベースの熱可塑性ポリアミド樹脂が、
    a)二量体脂肪酸含有量が65重量%以上のダイマー酸またはそのアミド生成可能な誘導体(a-1)を全カルボキシル基の20当量%以上と、ダイマー酸以外のジカルボン酸化合物またはそのアミド生成可能な誘導体(a-2)を全カルボキシル基の80当量%以下とからなるジカルボン酸成分と、
    b)ジアミン成分とを、
    全アミン当量の全カルボキシル当量に対する比が0.8:1〜1.3:1の範囲内で重縮合して得られる熱可塑性ポリアミド樹脂である請求項2記載の製造方法。
  4. ジアミン成分が、下記式(I)
    Figure 0004501442
    〔式中、R1は、それぞれ独立に水素原子または炭素原子数1〜6のアルキル基であり、Yは、水素原子、RNH2またはROH(Rは、炭素原子数1〜6のアルキレン基)である。〕
    で表されるピペラジン化合物、及び下記式(II)
    Figure 0004501442
    〔式中、R1は、それぞれ独立に水素原子または炭素原子数1〜6のアルキル基であり、R2は、二価の脂肪族炭化水素基であり、Yは、水素原子、RNH2またはROH(Rは、炭素原子数1〜6のアルキレン基)である。〕
    で表されるジピペリジル化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の含窒素複素環化合物(b-1)を全アミノ基の20当量%以上と、該含窒素複素環化合物以外のジアミン化合物(b-2)を全アミノ基の80当量%以下とからなるジアミン成分である請求項3記載の製造方法。
  5. レジスト樹脂として使用する熱可塑性ポリアミド樹脂が、ダイマー酸またはそのアミド生成可能な誘導体を含むジカルボン酸成分とジアミン成分とを重縮合してなるダイマー酸ベースのポリアミド樹脂と、ポリアミドポリアミン樹脂とをアミド交換反応させて得られるアミド交換反応型ポリアミド樹脂である請求項1記載の製造方法。
  6. アミド交換反応型ポリアミド樹脂が、
    a)二量体脂肪酸含有量が65重量%以上のダイマー酸またはそのアミド生成可能な誘導体(a-1)を全カルボキシル基の20当量%以上と、ダイマー酸以外のジカルボン酸化合物またはそのアミド生成可能な誘導体(a-2)を全カルボキシル基の80当量%以下とからなるジカルボン酸成分と、
    b)下記式(I)
    Figure 0004501442
    〔式中、R1は、それぞれ独立に水素原子または炭素原子数1〜6のアルキル基であり、Yは、水素原子、RNH2またはROH(Rは、炭素原子数1〜6のアルキレン基)である。〕
    で表されるピペラジン化合物、及び下記式(II)
    Figure 0004501442
    〔式中、R1は、それぞれ独立に水素原子または炭素原子数1〜6のアルキル基であり、R2は、二価の脂肪族炭化水素基であり、Yは、水素原子、RNH2またはROH(Rは、炭素原子数1〜6のアルキレン基)である。〕
    で表されるジピペリジル化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の含窒素複素環化合物(b-1)を全アミノ基の20当量%以上と、該含窒素複素環化合物以外のジアミン化合物(b-2)を全アミノ基の80当量%以下とからなるジアミン成分とを、
    全アミン当量の全カルボキシル当量に対する比が0.8:1〜1.3:1の範囲内で重縮合して得られるポリアミド樹脂(A)、及び
    c)二量体脂肪酸含有量が65重量%以上のダイマー酸またはそのアミド生成可能な誘導体(c-1)を全カルボキシル基の20当量%以上と、ダイマー酸以外のジカルボン酸化合物またはそのアミド生成可能な誘導体(c-2)を全カルボキシル基の80当量%以下とからなるジカルボン酸成分と、
    d)ポリアルキレンポリアミンとを、
    全アミン当量の全カルボキシル当量に対する比が1.3:1〜3.0:1の範囲内で重縮合して得られるポリアミドポリアミン樹脂(B)
    を重量比(A:B)99.9:0.1〜40:60の範囲内で溶融混合してアミド交換反応させてなるものである請求項5記載の製造方法。
  7. アミド交換反応型ポリアミド樹脂が、ポリアミド樹脂(A)とポリアミドポリアミン樹脂(B)とを重量比(A:B)95:5〜40:60の範囲内で溶融混合してアミド交換反応させてなるものである請求項6記載の製造方法。
  8. レジスト樹脂被覆層を溶解除去するのに使用する有機溶媒が、アルコール類またはアルコール類と他の有機溶媒との混合溶媒である請求項1記載の製造方法。
  9. アルコール類が、エタノールまたは2−プロパノールである請求項8記載の製造方法。
  10. 下記工程i〜v:
    (i)回路部品の基板を構成する一次成形品を合成樹脂の射出成形により形成する工程i、
    (ii)必要に応じて、一次成形品の表面を粗面化する工程ii、
    (iii)一次成形品の回路を形成すべき部分を除く全表面にレジスト樹脂を射出成形して、レジスト樹脂被覆層を有する二次成形品を形成する工程iii、
    (iv)二次成形品のレジスト樹脂が被覆されていない回路を形成すべき部分に、めっきにより導体回路層を形成する工程iv、及び
    (v)有機溶媒を用いてレジスト樹脂被覆層を溶解除去する工程v
    を含む請求項1乃至のいずれか1項に記載の製造方法。
  11. 下記工程I〜VI:
    (I)回路部品の基板を構成する一次成形品を合成樹脂の射出成形により形成する工程I、
    (II)必要に応じて、一次成形品の表面を粗面化する工程II、
    (III)一次成形品の回路を形成すべき部分を除く全表面にレジスト樹脂を射出成形して、レジスト樹脂被覆層を有する二次成形品を形成する工程III、
    (IV)二次成形品のレジスト樹脂が被覆されていない回路を形成すべき部分に、めっき触媒を賦与する工程IV、
    (V)有機溶媒を用いてレジスト樹脂被覆層を溶解除去する工程V、及び
    (VI)めっき触媒賦与部分にめっきして導体回路層を形成する工程VI
    を含む請求項1乃至10のいずれか1項に記載の製造方法。
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