JP4471074B2 - ギア装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ギアとギアを回転自在に保持するシャフトとを備えたギア装置に係り、とくに、潤滑油の存在下で互いに摺動接触する部分に耐スカッフ性及び耐摩耗性を保持させたギア装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ギアとギアを回転自在に保持するシャフトとを備えたギア装置には、様々なものがあり、その一例としては、自動車のデファレンシャル機構を構成する差動ピニオンとメートシャフトとの組み合わせが挙げられる。自動車のデファレンシャル機構は、周知のように、デファレンシャルケースに、左右のサイドギアとサイドギア間に係合する複数の差動ピニオンを収容すると共に、差動ピニオンをメートシャフトで回転自在に保持した構造を有している。
【0003】
そして、従来の差動ピニオン及びメートシャフトとしては、例えば構造用鋼鋼材(JIS G4052)を材料としており、互いの摺動接触部分の耐摩耗性等を高めるために、差動ピニオンの内周面に摺動接触するメートシャフトの外周面に、軟窒化処理又はニッケル−リンめっきを施したものがあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記したようなデファレンシャル機構の差動ピニオン及びメートシャフトでは、互いの摺動接触面すなわち差動ピニオンの内周面及びメートシャフトの外周面に高い面圧が加わって大きなフリクションが発生し、これにより摺動接触面の凝着や剥離が生じる恐れがある。そこで、この種のギア装置では、摺動接触部分のフリクションを低減するために、従来から様々な対策が成されていたが、依然として充分なものではなく、摺動接触部分におけるフリクションの低減を図るためにさらなる改善が要望されていた。
【0005】
【発明の目的】
本発明は、上記従来の状況に鑑みて成されたものであって、ギアとギアを回転自在に保持するシャフトを備えたギア装置において、ギアとシャフトの摺動接触部分における耐スカッフ性及び耐摩耗性を向上させることができると共に、大幅なフリクションの低減を実現することができるギア装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のギア装置は、潤滑油の存在下で、ギアと、ギアを回転自在に保持するシャフトとが摺動接触するギア装置であって、ギア及びシャフトの少なくとも一方の摺動接触面に硬質炭素薄膜を形成し、潤滑油が、脂肪酸エステル系無灰摩擦調整剤及び/又は脂肪族アミン系無灰摩擦調整剤を含有していると共に、組成物全量基準且つリン元素換算量で、0.1%以下のジチオリン酸亜鉛を含有していることを特徴としており、これにより、ギア及びシャフトの少なくとも一方の摺動接触面の硬度を充分に高いものにして、耐スカッフ性及び耐摩耗性の向上を実現する。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、更に詳細に説明する。なお、本明細書において「%」は、特記しない限り質量百分率を示すものとする。
【0008】
図1は、本発明のギア装置の一例を含む自動車のデファレンシャル機構を示す図である。デファレンシャル機構は、デファレンシャルケース1内に、左右一対のサイドギア2,2と、両サイドギア2間に係合する複数の差動ピニオン3が収容してある。各サイドギア2は、左右の車軸側となるサイドフランジ4,4に連結してあり、差動ピニオン3は、デファレンシャルケース1に設けたメートシャフト(又はピニオンシャフト5)により回転自在に保持してある。すなわち、差動ピニオン3が本発明のギア装置におけるギアに相当し、メートシャフト5が本発明のギア装置におけるシャフトに相当する。
【0009】
また、デファレンシャルケース1には、サイドフランジ4と同軸状にリングギア6が固定してあり、リングギア6には、エンジンの出力軸又はプロペラシャフトである駆動軸7に連結した駆動ピニオン8が係合している。デファレンシャルケース1及び各歯車2,3,6,8は、ハウジング11に収容してある。
【0010】
上記のデファレンシャル機構は、車両の走行時すなわち駆動軸7の回転を駆動ピニオン8及びリングギア6を介して車軸側に伝達しているときには、リングギア6とともにデファレンシャルケース1が回転しており、車両が旋回する際には、デファレンシャルケース1が前進方向に回転するのに対して、左右のサイドギア2,2が共通の差動ピニオン3の係合により互いに逆回転する関係にあるので、これにより左右の両輪の回転速度を変化させる。
【0011】
ここで、上記デファレンシャル機構に含まれる本発明のギア装置、すなわち差動ピニオン3及びメートシャフト5は、上記の如く駆動する際に、潤滑油の存在下において互いに摺動接触する。このとき、差動ピニオン3では、図2に示すように軸穴13の内周面が摺動接触面13aであり、メートシャフト5では、図3に示すように、2箇所の差動ピニオン3の装着部15の外周面が摺動接触面15aである。そして、本発明に係わるギア装置では、差動ピニオン3の摺動接触面13a及びメーンシャフト5の摺動接触面15aの少なくとも一方の摺動接触面に、硬質炭素薄膜20を形成している。
【0012】
これにより、差動ピニオン3とメーンシャフト5との摺動接触部分において、摺動接触面13a,15aの硬度を充分に高いものにして、耐スカッフ性及び耐摩耗性を向上させ、フリクションの大幅な低減を実現している。また、上記ギア装置を含むデファレンシャル機構としては、ギア装置における摺動接触部分のフリクションを大幅に低減することにより、左右両輪へのトルク伝達が均等なものになり、車両の直進安定性を高めることができる。
【0013】
硬質炭素薄膜は、各種PVD法、具体的には、アーク式イオンプレーティング法により形成したDLC薄膜(ダイヤモンドライクカーボン薄膜)であることが望ましい。このDLC薄膜は、炭素元素を主として構成された非晶質のものであり、具体的には、炭素元素だけから成るa−C(アモルファスカーボン)、水素を含有するa−C:H(水素アモルファスカーボン)、及びチタン(Ti)やモリブデン(Mo)等の金属元素を一部に含むMeC(メタルカーボン又は金属炭化物)が挙げられるが、大幅な摩擦低減効果を発揮させる観点から、水素含有量が少ないものほど好ましく、水素原子の含有量が10.0原子%以下、より好ましくは水素原子の含有量が1.0原子%以下、さらには水素を含まないa−C系(アモルファスカーボン系)材料を好適に用いることができ、さらには、膜厚を0.3〜1.5μmとするのが好ましい。
【0014】
ここで、鉄から成るするギア(差動ピニオン3)及びシャフト(メーンシャフト5)において、その基材の表面粗さ、すなわち硬質炭素薄膜の被覆前における摺動接触面の表面粗さがRaで0.08μmを超えると、硬質炭素薄膜表面の粗さに起因する突起部が摺動相手との局所的な接触面積を増大させて皮膜の割れを誘発してしまうことから、硬質炭素薄膜の被覆前における摺動接触面の表面粗さをRaで0.08μm以下とすることが好ましく、より好ましくは硬質炭素薄膜の被覆前における摺動接触面の表面粗さをRaで0.03μm以下とする。また、硬質炭素薄膜が未形成である摺動相手の摺動接触面の表面粗さをRaで0.08μm以下とすることも、上記した皮膜の割れを防止するうえで有効である。
【0015】
次に、本発明に用いる潤滑油組成物について詳細に説明する。この潤滑油組成物は、潤滑油基油に、脂肪酸エステル系無灰摩擦調整剤及び/又は脂肪族アミン系無灰摩擦調整剤を含有させて成る。
【0016】
上記潤滑油基油としては特に限定されるものではなく、鉱油、合成油、油脂及びこれらの混合物など、潤滑油組成物の基油として通常使用されるものであれば、種類を問わず使用することができる。
【0017】
鉱油として、具体的には、原油を常圧蒸留及び減圧蒸留して得られた潤滑油留分を溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理等の精製処理等を適宜組み合わせて精製したパラフィン系又はナフテン系等の油やノルマルパラフィン等が使用でき、溶剤精製、水素化精製処理したものが一般的であるが、芳香族分をより低減することが可能な高度水素化分解プロセスやGTL Wax(ガス・トウー・リキッド・ワックス)を異性化した手法で製造したものを用いることがより好ましい。
【0018】
合成油としては、具体的には、ポリ−α−オレフィン(例えば、1−オクテンオリゴマー、1−デセンオリゴマー、エチレン−プロピレンオリゴマー等)、ポリ−α−オレフィンの水素化物、イソブテンオリゴマー、イソブテンオリゴマーの水素化物、イソパラフィン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、ジエステル(例えば、ジトリデシルグルタレート、ジオクチルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジオクチルセバケート等)、ポリオールエステル(例えば、トリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴネート、トリメチロールプロパンイソステアリネート等のトリメチロールプロパンエステル;ペンタエリスリトール2−エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールペラルゴネート等のペンタエリスリトールエステル)、ポリオキシアルキレングリコール、ジアルキルジフェニルエーテル、ポリフェニルエーテル等が挙げられる。中でも、1−オクテンオリゴマー、1−デセンオリゴマー等のポリ−α−オレフイン又はその水素化物が好ましい例として挙げられる。
【0019】
本発明に用いる潤滑油組成物の基油は、鉱油系基油又は合成系基油を単独又は混合して用いる以外に、2種類以上の鉱油系基油又は2種類以上の合成系基油の混合物であっても差し支えない。また、上記混合物における2種類以上の基油の混合比も特に限定されず任意に選ぶことができる。
【0020】
潤滑油基油中の硫黄分について、特に制限はないが、基油全量基準で、0.2%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1%以下、さらには0.05%以下であることが好ましい。特に、水素化精製鉱油や合成系基油の硫黄分は、0.005%以下、あるいは実質的に硫黄分を含有していない(5ppm以下)ことから、これらを基油として用いることが好ましい。
【0021】
また、潤滑油基油中の芳香含有量についても、特に制限はないが、ギア装置用(又はデファレンシャル機構用)潤滑油組成物として長期間低摩擦特性を維持するためには、全芳香族含有量が15%以下であることが好ましく、より好ましくは10%以下、さらには5%以下であることが好ましい。即ち、潤滑油基油の全芳香族含有量が15%を超える場合には、酸化安定性が劣るため好ましくない。
【0022】
なお、ここで言う全芳香族含有量とは、ASTM D2549に規定される方法に準拠して測定される芳香族留分(aromatics fraction)含有量を意味している。
【0023】
潤滑油基油の動粘度にも、特に制限はないが、ギア装置用(又はデファレンシャル機構用)潤滑油組成物として使用する場合には、100℃における動粘度が2mm2/s以上であることが好ましく、より好ましくは3mm2/s以上である。一方、その動粘度は、20mm2/s以下であることが好ましく、10mm2/s以下、特に8mm2/s以下であることが好ましい。100℃における潤滑油基油の動粘度が2mm2/s未満である場合には、充分な耐摩耗性が得られないのに加えて、蒸発特性が劣る可能性があるため好ましくない。一方、100℃における潤滑油基油の動粘度が20mm2/sを超える場合には、低摩擦性能を発揮しにくく、低温性能が悪くなる可能性があるため好ましくない。本発明においては、上記基油の中から選ばれる2種以上の基油を任意に混合した混合物等が使用でき、100℃における動粘度が上記の好ましい範囲内に入る限りにおいては、基油単独の動粘度が上記以外のものであっても使用可能である。
【0024】
また、潤滑油基油の粘度指数にも、特別な制限はないが、80以上であることが好ましく、100以上であることがさらに好ましく、特にギア装置用(又はデファレンシャル機構用)潤滑油組成物として使用する場合には、120以上であることが好ましい。潤滑油基油の粘度指数を高めることでよりオイル消費が少なく、低温粘度特性等に優れたギア装置用(又はデファレンシャル機構用)潤滑油組成物を得ることができる。
【0025】
上記脂肪酸エステル系無灰摩擦調整剤及び/又は脂肪族アミン系無灰摩擦調整剤としては、炭素数6〜30、好ましくは炭素数8〜24、特に好ましくは炭素数10〜20の直鎖状又は分枝状炭化水素基を有する脂肪酸エステル、脂肪酸アミン化合物、及びこれらの任意混合物を挙げることができる。炭素数が6〜30の範囲外のときは、摩擦低減効果が充分に得られない可能性がある。
【0026】
炭素数6〜30の直鎖状又は分枝状炭化水素基としては、具体的には、へキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基、ヘキサコシル基、ヘプタコシル基、オクタコシル基、ノナコシル基、トリアコンチル基等のアルキル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、イコセニル基、ヘンイコセニル基、ドコセニル基、トリコセニル基、テトラコセニル基、ペンタコセニル基、ヘキサコセニル基、ヘプタコセニル基、オクタコセニル基、ノナコセニル基、トリアコンテニル基等のアルケニル基などを挙げることができる。なお、上記アルキル基及びアルケニル基には、考えられる全ての直鎖状構造及び分枝状構造が含まれ、また、アルケニル基における二重結合の位置は任意である。
【0027】
また、上記脂肪酸エステルとしては、かかる炭素数6〜30の炭化水素基を有する脂肪酸と脂肪族1価アルコール又は脂肪族多価アルコールとのエステルなどを例示でき、具体的には、グリセリンモノオレート、グリセリンジオレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタンジオレートなどを特に好ましい例として挙げることができる。
【0028】
上記脂肪族アミン化合物としては、脂肪族モノアミン又はそのアルキレンオキシド付加物、脂肪族ポリアミン、イミダゾリン化合物等、及びこれらの誘導体等を例示できる。具体的には、ラウリルアミン、ラウリルジエチルアミン、ラウリルジエタノールアミン、ドデシルジプロパノールアミン、パルミチルアミン、ステアリルアミン、ステアリルテトラエチレンペンタミン、オレイルアミン、オレイルプロピレンジアミン、オレイルジエタノールアミン、N−ヒドロキシエチルオレイルイミダゾリン等の脂肪族アミン化合物や、これら脂肪族アミン化合物のN,N−ジポリオキシアルキレン−N−アルキル(又はアルケニル)(炭素数6〜28)等のアミンアルキレンオキシド付加物、これら脂肪族アミン化合物に炭素数2〜30のモノカルボン酸(脂肪酸等)や、シュウ酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の炭素数2〜30のポリカルボン酸を作用させて、残存するアミノ基及び/又はイミノ基の一部又は全部を中和したりアミド化した、いわゆる酸変性化合物等が挙げられる。好適な例としては、N,N−ジポリオキシエチレン−N−オレイルアミン等が挙げられる。
【0029】
また、本発明に用いる潤滑油組成物に含まれる脂肪酸エステル系無灰摩擦調整剤及び/又は脂肪族アミン系無灰摩擦調整剤の含有量は、潤滑油組成物全量基準で、0.05〜3.0%であることが好ましく、更に好ましくは0.1〜2.0%、特に好ましくは0.5〜1.4%であることがよい。上記含有量が0.05%未満であると摩擦低減効果が小さくなり易く、3.0%を超えると潤滑油への溶解性や貯蔵安定性が著しく悪化し、沈殿物が発生し易いので、好ましくない。
【0030】
一方、本発明に用いる潤滑油組成物は、ポリブテニルコハク酸イミド及び/又はその誘導体を含有することが好適であり、上記ポリブテニルコハク酸イミドとしては、次の一般式(1)及び(2)で表される化合物が挙げられる。
【0031】
【化1】
【0032】
【化2】
【0033】
これら一般式におけるPIBは、ポリブテニル基を示し、高純度イソブテン又は1−ブテンとイソブテンの混合物をフッ化ホウ素系触媒又は塩化アルミニウム系触媒で重合させて得られる数平均分子量が900〜3500、望ましくは1000〜2000のポリブテンから得られる。上記数平均分子量が900未満の場合は清浄性効果が劣り易く、3500を超える場合は低温流動性に劣り易いため、望ましくない。
【0034】
また、上記一般式におけるnは、清浄性に優れる点から1〜5の整数、より望ましくは2〜4の整数であることがよい。更に、上記ポリブテンは、製造過程の触媒に起因して残留する微量のフッ素分や塩素分を吸着法や充分な水洗等の適切な方法により、50ppm以下、より望ましくは10ppm以下、特に望ましくは1ppm以下まで除去してから用いることもよい。
【0035】
更に、上記ポリブテニルコハク酸イミドの製造方法としては、特に限定はないが、例えば、上記ポリブテンの塩素化物又は塩素やフッ素が充分除去されたポリブテンと無水マレイン酸とを100〜200℃で反応させて得られるポリブテニルコハク酸を、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等のポリアミンと反応させることにより得ることができる。
【0036】
一方、上記ポリブテニルコハク酸イミドの誘導体としては、上記一般式(1)又は(2)で表される化合物に、ホウ素化合物や含酸素有機化合物を作用させて、残存するアミノ基及び/又はイミノ基の一部又は全部を中和したり、アミド化した、いわゆるホウ素変性又は酸変性化合物を例示できる。その中でもホウ素含有ポリブテニルコハク酸イミド、特にホウ素含有ビスポリブテニルコハク酸イミドが最も好ましいものとして挙げられる。
【0037】
上記ホウ素化合物としては、ホウ酸、ホウ酸塩、ホウ酸エステル等が挙げられる。具体的には、上記ホウ酸として、オルトホウ酸、メタホウ酸及びテトラホウ酸などが挙げられる。また、上記ホウ酸塩としては、アンモニウム塩等、具体的には、例えばメタホウ酸アンモニウム、四ホウ酸アンモニウム、五ホウ酸アンモニウム、八ホウ酸アンモニウム等のホウ酸アンモニウムが好適例として挙げられる。また、ホウ酸エステルとしては、ホウ酸と好ましくは炭素数1〜6のアルキルアルコールとのエステル、より具体的には例えば、ホウ酸モノメチル、ホウ酸ジメチル、ホウ酸トリメチル、ホウ酸モノエチル、ホウ酸ジエチル、ホウ酸トリエチル、ホウ酸モノプロピル、ホウ酸ジプロピル、ホウ酸トリププロピル、ホウ酸モノブチル、ホウ酸ジブチル、ホウ酸トリブチル等が好適例として挙げられる。なお、ホウ素含有ポリブテニルコハク酸イミドにおけるホウ素含有量Bと窒素含有量Nとの質量比「B/N」は、通常0.1〜3であり、好ましくは、0.2〜1である。
【0038】
また、上記含酸素有機化合物としては、具体的には、例えばぎ酸、酢酸、グリコール酸、プロピオン酸、乳酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ノナデカン酸、エイコサン酸等の炭素数1〜30のモノカルボン酸や、シュウ酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の炭素数2〜30のポリカルポン酸並びにこれらの無水物、又はエステル化合物、炭素数2〜6のアルキレンオキサイド、ヒドロキシ(ポリ)オキシアルキレンカーボネート等が挙げられる
【0039】
なお、本発明に用いる潤滑油組成物において、ポリブテニルコハク酸イミド及び/又はその誘導体の含有量は、0.1〜15%が望ましく、より望ましくは1.0〜12%であることが好ましい。0.1%未満では清浄性効果に乏しくなることがあり、15%を超えると含有量に見合う清浄性効果が得られにくく、抗乳化性が悪化し易い。
【0040】
更にまた、本発明に用いる潤滑油組成物は、次の一般式(3)で表されるジチオリン酸亜鉛を含有することが好適である。
【0041】
【化3】
【0042】
上記式(3)中のR4、R5、R6及びR7は、それぞれ別個に炭素数1〜24の炭化水素基を示す。これら炭化水素基としては、炭素数1〜24の直鎖状又は分枝状のアルキル基、炭素数3〜24の直鎖状又は分枝状のアルケニル基、炭素数5〜13のシクロアルキル基又は直鎖状若しくは分枝状のアルキルシクロアルキル基、炭素数6〜18のアリール基又は直鎖状若しくは分枝状のアルキルアリール基、炭素数7〜19のアリールアルキル基等のいずれかであることが望ましい。また、アルキル基やアルケニル基は、第1級、第2級及び第3級のいずれであってもよい。
【0043】
上記R4、R5、R6及びR7としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、へキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基等のアルキル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ブタジエニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オレイル基等のオクタデセニル基、ノナデセニル基、イコセニル基、ヘンイコセニル基、ドコセニル基、トリコセニル基、テトラコセニル基等のアルケニル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基、メチルシクロペンチル基、ジメチルシクロペンチル基、エチルシクロペンチル基、プロピルシクロペンチル基、エチルメチルシクロペンチル基、トリメチルシクロペンチル基、ジエチルシクロペンチル基、エチルジメチルシクロペンチル基、プロピルメチルシクロペンチル基、プロピルエチルシクロペンチル基、ジ−プロピルシクロペンチル基、プロピルエチルメチルシクロペンチル基、メチルシクロへキシル基、ジメチルシクロへキシル基、エチルシクロへキシル基、プロピルシクロへキシル基、エチルメチルシクロへキシル基、トリメチルシクロへキシル基、ジエチルシクロヘキシル基、エチルジメチルシクロヘキシル基、プロピルメチルシクロヘキシル基、プロピルエチルシクロヘキシル基、ジ−プロピルシクロへキシル基、プロピルエチルメチルシクロヘキシル基、メチルシクロヘプチル基、ジメチルシクロヘプチル基、エチルシクロヘプチル基、プロピルシクロヘプチル基、エチルメチルシクロヘプチル基、トリメチルシクロヘプチル基、ジエチルシクロヘプチル基、エチルジメチルシクロヘプチル基、プロピルメチルシクロヘプチル基、プロピルエチルシクロヘプチル基、ジ−プロピルシクロヘプチル基、プロピルエチルメチルシクロヘプチル基等のアルキルシクロアルキル基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、トリル基、キシリル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、エチルメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、ブチルフェニル基、プロピルメチルフェニル基、ジエチルフェニル基、エチルジメチルフェニル基、テトラメチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシルフェニル基、ドデシルフェニル基等のアルキルアリール基、ベンジル基、メチルベンジル基、ジメチルベンジル基、フェネチル基、メチルフェネチル基、ジメチルフェネチル基等のアリールアルキル基、等が例示できる。
【0044】
なお、R4、R5、R6及びR7がとり得る上記炭化水素基には、考えられる全ての直鎖状構造及び分枝状構造をが含まれ、また、アルケニル基の二重結合の位置、アルキル基のシクロアルキル基への結合位置、アルキル基のアリール基への結合位置、及びアリール基のアルキル基への結合位置は任意である。また、上記炭化水素基の中でも、その炭化水素基が、直鎖状又は分柱状の炭素数1〜18のアルキル基である場合若しくは炭素数6〜18のアリール基、又は直鎖状若しくは分枝状アルキルアリール基である場合が特に好ましい。
【0045】
上記ジチオリン酸亜鉛の好適な具体例としては、例えば、ジイソプロピルジチオリン酸亜鉛、ジイソブチルジチオリン酸亜鉛、ジ−sec−ブチルジチオリン酸亜鉛、ジ−sec−ペンチルジチオリン酸亜鉛、ジ−n−ヘキシルジチオリン酸亜鉛、ジ−sec−ヘキシルジチオリン酸亜鉛、ジ−オクチルジチオリン酸亜鉛、ジ−2−エチルヘキシルジチオリン酸亜鉛、ジ−n−デシルジチオリン酸亜鉛、ジ−n−ドデシルジチオリン酸亜鉛、ジイソトリデシルジチオリン酸亜鉛、及びこれらの任意の組合せに係る混合物等が挙げられる。
【0046】
また、上記ジチオリン酸亜鉛の含有量は、より高い摩擦低減効果を発揮させる観点から、潤滑油組成物全量基準且つリン元素換算量で、0.1%以下であることが好ましく、また0.06%以下であることがより好ましく、更にはジチオリン酸亜鉛が含有されないことが特に好ましい。ジチオリン酸亜鉛の含有量がリン元素換算量で0.1%を超えると、DLC部材と鉄基部材との摺動面における上記脂肪酸エステル系無灰摩擦調整剤や上記脂肪族アミン系無灰摩擦調整剤の優れた摩擦低減効果が阻害されるおそれがある。
【0047】
上記ジチオリン酸亜鉛の製造方法としては、従来方法を任意に採用することができ、特に制限されないが、具体的には、例えば、上記R4、R5、R6及びR7に対応する炭化水素基を持つアルコール又はフェノールを五二硫化りんと反応させてジチオリン酸とし、これを酸化亜鉛で中和させることにより合成することができる。なお、上記ジチオリン酸亜鉛の構造は、使用する原料アルコールによって異なることは言うまでもない。
【0048】
本発明においては、上記一般式(3)に包含される2種以上のジチオリン酸亜鉛を任意の割合で混合して使用することもできる。
【0049】
上述のように、本発明のギア装置において、潤滑油組成物は、硬質炭素薄膜で被覆した摺動接触面、すなわちギア(差動ピニオン)及びシャフト(メートシャフト)の少なくとも一方の摺動接触面に用いた場合に、極めて優れた低摩擦特性を示すものであるが、特にギア装置用(又はデファレンシャル機構用)潤滑油組成物として必要な性能を高める目的で、金属系清浄剤、酸化防止剤、粘度指数向上剤、他の無灰摩擦調整剤、他の無灰分散剤、磨耗防止剤若しくは極圧剤、防錆剤、非イオン系界面活性剤、抗乳化剤、金属不活性化剤、消泡剤等を単独で又は複数種を組合せて配合し、必要な性能を高めることができる。
【0050】
上記金属系清浄剤としては、潤滑油用の金属系清浄剤として通常用いられる任意の化合物が使用できる。例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のスルホネート、フェネート、サリシレートナフテネート等を単独で又は複数種を組合せて使用できる。ここで、上記アルカリ金属としてはナトリウム(Na)やカリウム(K)等、上記アルカリ土類金属としてはカルシウム(Ca)やマグネシウム(Mg)等が例示できる。また、具体的な好適例としては、Ca又はMgのスルフォネート、フェネート及びサリシレートが挙げられる。
【0051】
なお、これら金属系清浄剤の全塩基価及び添加量は、要求される潤滑油の性能に応じて任意に選択できる。通常、全塩基価は、過塩素酸法で0〜500mgKOH/g、望ましくは150〜400mgKOH/gであり、その添加量は潤滑油組成物全量基準で、通常0.1〜10%である。
【0052】
また、上記酸化防止剤としては、潤滑油用の酸化防止剤として通常用いられる任意の化合物を使用できる。例えば、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のフェノール系酸化防止剤、フェニル−α−ナフチルアミン、アルキルフェニル−α−ナフチルアミン、アルキルジフェニルアミン等のアミン系酸化防止剤、並びにこれらの任意の組合せに係る混合物等が挙げられる。また、かかる酸化防止剤の添加量は、潤滑油組成物全量基準で、通常0.01〜5%である。
【0053】
更に、上記粘度指数向上剤としては、具体的には、各種メタクリル酸エステルから選ばれる1種又は2種以上のモノマーの共重合体やその水添物等のいわゆる非分散型粘度指数向上剤、及び更に窒素化合物を含む各種メタクリル酸エステルを共重合させたいわゆる分散型粘度指数向上剤等が例示できる。また、他の粘度指数向上剤の具体例としては、非分散型又は分散型エチレン−α−オレフィン共重合体(α−オレフィンとしては、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン等)及びその水素化物、ポリイソブチレン及びその水添物、スチレン−ジエン水素化共重合体、スチレン−無水マレイン酸エステル共重合体、並びにポリアルキルスチレン等も例示できる。
【0054】
これら粘度指数向上剤の分子量は、せん断安定性を考慮して選定することが必要である。具体的には、粘度指数向上剤の数平均分子量は、例えば分散型及び非分散型ポリメタクリレートでは5000〜1000000、好ましくは100000〜800000がよく、ポリイソブチレン又はその水素化物では800〜5000、エチレン−α−オレフィン共重合体又はその水素化物では800〜300000、好ましくは10000〜200000がよい。また、かかる粘度指数向上剤は、単独で又は複数種を任意に組合せて含有させることができるが、通常その含有量は、潤滑油組成物基準で0.1〜40.0%であることが望ましい。
【0055】
更にまた、他の無灰摩擦調整剤としては、ホウ酸エステル、高級アルコール、脂肪族エーテル等の無灰摩擦調整剤、ジチオリン酸モリブデン、ジチオカルバミン酸モリブデン、二硫化モリブデン等の金属系摩擦調整剤等が挙げられ、他の無灰分散剤としては、数平均分子量が900〜3500のポリブテニル基を有するポリブテニルベンジルアミン、ポリブテニルアミン、数平均分子量が900未満のポリブテニル基を有するポリブテニルコハク酸イミド等及びそれらの誘導体等が挙げられる。
【0056】
更にまた、上記磨耗防止剤又は極圧剤としては、ジスルフィド、硫化油脂、硫化オレフィン、炭素数2〜20の炭化水素基を1〜3個含有するリン酸エステル、チオリン酸エステル、亜リン酸エステル、チオ亜リン酸エステル及びこれらのアミン塩等が挙げられる。
【0057】
更にまた、上記防錆剤としては、アルキルベンゼンスルフォネート、ジノニルナフタレンスルフォネート、アルケニルコハク酸エステル、多価アルコールエステル等が挙げられ、上記非イオン系界面活性剤及び抗乳化剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルナフチルエーテル等のポリアルキレングリコール系非イオン系界面活性剤等が挙げられる。
【0058】
更にまた、上記金属不活性化剤としては、イミダゾリン、ピリミジン誘導体、チアジアゾール、ベンゾトリアゾール、チアジアゾール等が挙げられ、上記消泡剤としては、シリコーン、フルオロシリコーン、フルオロアルキルエーテル等が挙げられる。
【0059】
なお、これら添加剤を本発明の潤滑油組成物に含有させる場合には、その含有量は、潤滑油組成物全量基準で、他の摩擦調整剤、他の無灰分散剤、磨耗防止剤又は極圧剤、防錆剤、及び抗乳化剤については0.01〜5%、金属不活性剤については0.005〜1%、消泡剤については0.0005〜1%の範囲から適宜選択できる。
【0060】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例により更に具体的に説明するが、本発明は、これら実施例のみに限定されるものではない。
【0061】
実施例1〜10及び比較例1〜3では、図4に示すように、ギア(差動ピニオン)に相当する一対のピン状試料30,30と、その摺動相手部材であるシャフト(メートシャフト)に相当するシャフト状摺動相手試料40を用意した。一対のピン状試料30は、摺動相手試料40を間にして、互いに同軸上に対向配置してあると共に、先端にV字状の切欠部30aを有しており、この切欠部40aの内側が摺動相手試料40との摺動接触面となる。なお、摺動相手試料40の摺動接触面は試料自体の外周面である。
【0062】
また、実施例1〜10及び比較例1〜3では、これらの基材の表面処理、表面処理の膜厚及び摺動接触面の面粗度を異ならせ、さらに、実施例1〜11では、DLC薄膜の水素含有量を異ならせた。
【0063】
ここで、実施例1〜10及び比較例1〜3に用いた潤滑油の組成は表1に示す通りである。
潤滑油A : 実施例1〜3,6,9及び比較例1〜3
潤滑油B : 実施例4,7,8,10
潤滑油C : 実施例5
【0064】
【表1】
【0065】
そして、ASTM D3233に準処して、上記試料30と摺動相手試料40を用いたファレックス試験を行った。この試験は、摺動相手材料40に一対の試料30,30を一定荷重で押付けると共に、摺動相手試料40を軸線回りに定速度で回転させて焼付いた際の荷重を測定するものである。そして、測定した各例の焼付き荷重から、比較例1を『1.00』として実施例1〜11及び比較例2〜6の焼付き荷重上昇比を求めた。その結果を表2に示す。
【0066】
【表2】
【0067】
表2に示すように、実施例1〜10については、DLC薄膜の形成により、比較例1〜3のいずれに対しても焼付き荷重上昇比が明らかに大きく、とくに、試料30及び相手摺動部材40の両方にDLC薄膜を形成した実施例1及び2については、焼付き荷重上昇比がより大きいことを確認した。すなわち、実施例1〜10は、試料30及び摺動相手試料40の少なくとも一方の摺動接触面に形成したDLC薄膜によってフリクションが大幅に低減されたことを示している。
【0068】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明のギア装置によれば、脂肪酸エステル系無灰摩擦調整剤及び/又は脂肪族アミン系無灰摩擦調整剤、並びに組成物全量基準且つリン元素換算量で、0.1%以下のジチオリン酸亜鉛を含有する潤滑油と、硬質炭素薄膜との組み合わせにより、上記調整剤の摩擦低減効果を損なうことなく優れた低摩擦特性が得られることとなり、ギアとシャフトとの摺動接触部分において、耐スカッフ性及び耐摩耗性を高めてフリクションを大幅に低減することができる。また、当該ギア装置は、自動車のデファレンシャル機構における差動ピニオンとメートシャフトとの組み合わせに好適であり、この場合には、上記したフリクションの大幅な低減により、左右両輪への均等なトルク伝達を可能にして、車両の直進安定性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わるギア装置の一実施形態を含むデファレンシャル機構を説明する断面図である。
【図2】ギアである差動ピニオンの断面図ある。
【図3】シャフトであるメートワッシャの側面図(a)、図aに対して90度異なる方向の側面図(b)、及び図a中のX−X線に基づく断面図(c)である。
【図4】ファレックス試験における試料と摺動相手試料を説明する斜視図である。
【符号の説明】
3 差動ピニオン(ギア)
5 メートシャフト(シャフト)
13a 摺動接触面
15a 摺動接触面
20 硬質炭素薄膜
Claims (12)
- 潤滑油の存在下で、ギアと、ギアを回転自在に保持するシャフトとが摺動接触するギア装置において、ギア及びシャフトの少なくとも一方の摺動接触面に硬質炭素薄膜を形成し、潤滑油が、脂肪酸エステル系無灰摩擦調整剤及び/又は脂肪族アミン系無灰摩擦調整剤を含有していると共に、組成物全量基準且つリン元素換算量で、0.1%以下のジチオリン酸亜鉛を含有していることを特徴とするギア装置。
- 硬質炭素薄膜の膜厚が、0.3〜1.5μmであることを特徴とする請求項1に記載のギア装置。
- 硬質炭素薄膜の被覆前における摺動接触面の表面粗さが、Raで0.08μm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のギア装置。
- 硬質炭素薄膜の被覆前における摺動接触面の表面粗さが、Raで0.03μm以下であることを特徴とする請求項3に記載のギア装置。
- 脂肪酸エステル系無灰摩擦調整剤及び/又は脂肪族アミン系無灰摩擦調整剤が、炭素数6〜30の炭化水素基を有し、潤滑油中に組成物全量基準で0.05〜3.0%含有されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のギア装置。
- 潤滑油が、ポリブテニルコハク酸イミド及び/又はその誘導体を含有していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のギア装置。
- 潤滑油におけるポリブテニルコハク酸イミド及び/又はその誘導体の含有量が、潤滑油組成物全量基準で0.1〜15%であることを特徴とする請求項6に記載のギア装置。
- 硬質炭素薄膜に含まれる水素原子の量が10.0原子%以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のギア装置。
- 硬質炭素薄膜に含まれる水素原子の量が1.0原子%以下であることを特徴とする請求項8に記載のギア装置。
- 硬質炭素薄膜が未形成である摺動相手の摺動接触面の表面粗さが、Raで0.08μm以下であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のギア装置。
- 硬質炭素薄膜が、PVD法により成膜したDLC薄膜であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のギア装置。
- ギアが、自動車のデファレンシャル機構を構成する差動ピニオンであると共に、ギアを回転自在に保持するシャフトが、差動ピニオンを保持するメートシャフトであることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のギア装置。
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