JP4471058B2 - 磁気記録媒体の非磁性下地層用複合非磁性粒子粉末及びその製造法並びに磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体の非磁性下地層用複合非磁性粒子粉末及びその製造法並びに磁気記録媒体 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、強度及び表面平滑性に優れるとともに、光透過率の低い磁気記録媒体の非磁性下地層用非磁性粒子粉末として好適な複合非磁性粒子粉末を提供する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ビデオ用、オーディオ用磁気記録再生用機器の長時間記録化、小型軽量化が進むにつれて、磁気テープ、磁気ディスク等の磁気記録媒体に対する高性能化、即ち、高密度記録化、高出力特性、殊に周波数特性の向上、低ノイズ化の要求が益々強まっている。
【0003】
殊に、近時におけるビデオテープの高画像高画質化に対する要求は益々強まっており、従来のビデオテープに比べ、記録されるキャリアー信号の周波数が短波長領域に移行しており、その結果、磁気テープの表面からの磁化深度が著しく浅くなっている。
【0004】
短波長信号に対して、磁気記録媒体の高出力特性、殊に、S/N比を向上させるためには、磁気記録層の薄層化が強く要求されている。
【0005】
磁気記録層の薄層化に伴って磁気記録媒体自体の耐久性が低下することとなるため、磁気記録媒体自体の耐久性を向上させることが強く要求されている。
【0006】
この事実は、特開平5−298679号公報の「・・・近年、磁気記録の発展と共に高画質、高音質の要求がますます高まっており、電磁変換特性の改良、特に強磁性粉末の微粒子化、高密度化が進められ、更に磁気テープの表面を平滑化することでノイズを下げ、C/Nを上げることが要求されている。・・・しかしながら、磁気テープの走行中において磁性層と装置系との接触の摩擦係数が増大する結果、短時間の使用で磁気記録媒体の磁性層が損傷を受け、あるいは磁性層が剥離する傾向がある。特にビデオテープではビデオヘッドと磁気記録媒体が高速で接触しながら走行するため、磁性層から強磁性粉末が脱落しやすく、磁気ヘッドの目詰まりの原因ともなる。従って、磁気記録媒体の磁性層の走行耐久性の向上が望まれている。・・・」なる記載から明らかである。
【0007】
また、磁気記録層を薄層化するためには、磁気記録層を平滑にし、且つ、厚みむらを少なくする必要がある。そのためには、ベースフィルムの表面もまた平滑でなければならない。
【0008】
磁気記録層の薄層化が進む中で、ベースフィルム等の非磁性支持体上に針状へマタイト粒子粉末等の非磁性粒子粉末を結合剤樹脂中に分散させてなる下地層(以下、「非磁性下地層」という。)を少なくとも一層設けることにより、磁気記録層の表面性の悪化や電磁変換特性を劣化させる等の問題を解決することが提案され、実用化されている(特公平6−93297号公報、特開昭62−159338号公報、特開昭63−187418号公報、特開平4−167225号公報、特開平4−325915公報、特開平5−73882号公報、特開平5−182177号公報)。
【0009】
しかしながら、非磁性下地層上に磁気記録層を設けた磁気記録媒体は、表面平滑性は改善されるが、耐久性が悪いという問題があった。
【0010】
この事実は、特開平5−182177号公報の「・・・支持体表面の非磁性の厚い下塗層を設けてから磁性層を上層として設けるようにすれば前記の支持体の表面粗さの影響は解消することができるが、ヘッド摩耗や耐久性が改善されないという問題があった。これは、従来、非磁性下層として熱硬化系樹脂を結合剤として用いるので、下層が硬化し、磁性層とヘッドとの摩擦や他の部材との接触が無緩衝状態で行われることや、このような下層を有する磁気記録媒体がやや可撓性に乏しい等のことに起因していると考えられる。・・・」なる記載の通りである。
【0011】
ところで、現在、特にビデオテープ等の磁気記録媒体の磁気テープ終端の判定は、磁気記録媒体の光透過率の大きい部分をビデオデッキによって検知することにより行われている。磁気記録媒体の薄層化に伴って、磁気記録層全体の光透過率が大きくなると、ビデオデッキによる検知が困難となるため、磁気記録層にカーボンブラック微粒子粉末等を添加して光透過率を小さくすることが行われており、現行のビデオテープにおいては磁気記録層へのカーボンブラック微粒子粉末等の添加は必須となっている。
【0012】
しかしながら、非磁性のカーボンブラック微粒子粉末等を多量に添加することは、高密度記録化を阻害するばかりでなく、薄層化をも阻害する原因となる。磁気テープの表面からの磁化深度を浅くして、磁気テープの薄層化をより進めるためには、磁気記録層に添加するカーボンブラック微粒子粉末等の非磁性粒子粉末をできるだけ少なくすることが強く要求されている。
【0013】
そこで、磁気記録層に添加するカーボンブラック微粒子粉末量を少なくしても光透過率が小さい磁気記録媒体が強く要求されている。
【0014】
従来、非磁性粒子粉末の諸特性改善のために種々の試みがなされており、非磁性粒子粉末の粒子表面をSi化合物又はAl化合物からなる表面被覆層によって被覆したもの(特開平5−182177号公報、特開平5−347017号公報、特開平6−60362号公報、特開平10−21532号公報、特開平10−320753号公報等)や非磁性粒子粉末の粒子表面にAl化合物又はSi化合物の微粒子粉末を付着させたもの(特開平7−192248号公報等)が知られている。
【0015】
また、磁気記録層中に添加するカーボンブラック微粒子粉末量を少なくしつつ磁気記録媒体の光透過率を小さくするために、非磁性下地層用の非磁性粒子粉末として針状ヘマタイト粒子粉末又は針状含水酸化鉄粒子粉末の粒子表面に、当該粒子粉末100重量部に対して1〜20重量部のカーボンブラックが付着されている針状非磁性粒子粉末を使用することも知られている(特開平11−242812号公報)。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
耐久性及び表面平滑性が優れるとともに、光透過率の低い磁気記録媒体が得られる非磁性下地層用非磁性粒子粉末は、現在最も要求されているところであるが、未だ得られていない。
【0017】
即ち、前出特開平5−182177号公報、特開平5−347017号公報、特開平6−60362号公報、特開平7−192248号公報、特開平10−21532号公報、特開平10−320753号公報に記載されている方法で得られた非磁性粒子粉末は、分散性の点では改善されているが、非磁性下地層用非磁性粒子粉末として用いた場合、得られる磁気記録媒体の光透過率の低減及び耐久性が十分とは言い難いものである。
【0018】
また、特開平11−242812号公報に記載されている方法で得られた非磁性粒子粉末は、粒子表面にカーボンブラックが付着されているため、光透過率及び分散性の点では改善されているが、樹脂吸着強度が不十分であるため、非磁性下地層用非磁性粒子粉末として用いた場合、得られる磁気記録媒体の耐久性が十分とは言い難いものである。
【0019】
そこで、本発明は、優れた分散性を有するとともに、非磁性粒子粉末と非磁性下地層中に用いられている樹脂との吸着強度が改善された磁気記録媒体の非磁性下地層用非磁性粒子粉末を得ることを技術的課題とする。
【0020】
【課題を解決する為の手段】
前記技術的課題は、次の通りの本発明によって達成できる。
【0021】
即ち、本発明は、針状ヘマタイト粒子粉末又は針状含水酸化鉄粒子粉末の粒子表面にアルコキシシランから生成するオルガノシラン化合物又はポリシロキサンが被覆されており、該被覆の少なくとも一部にフタロシアニン系顔料が付着している平均長軸径0.01〜0.3μmの複合非磁性粒子粉末からなり、前記フタロシアニン系顔料の付着量が前記針状ヘマタイト粒子粉末又は針状含水酸化鉄粒子粉末100重量部に対して1〜100重量部であることを特徴とする磁気記録媒体の非磁性下地層用複合非磁性粒子粉末である(本発明1)。
【0022】
また、本発明は、本発明1の針状ヘマタイト粒子粉末又は針状含水酸化鉄粒子粉末の粒子表面が、あらかじめアルミニウムの水酸化物、アルミニウムの酸化物、ケイ素の水酸化物及びケイ素の酸化物から選ばれる少なくとも一種からなる中間被覆物によって被覆されていることを特徴とする磁気記録媒体の非磁性下地層用複合非磁性粒子粉末である(本発明2)。
【0023】
また、本発明は、針状ヘマタイト粒子粉末又は針状含水酸化鉄粒子粉末の粒子表面にアルコキシシランから生成するオルガノシラン化合物又はポリシロキサンが被覆され、該被覆にカーボンブラックが付着されており、更に、該カーボンブラック上にアルコキシシランから生成するオルガノシラン化合物又はポリシロキサンが被覆され、該被覆の少なくとも一部にフタロシアニン系顔料が付着している平均長軸径0.01〜0.3μmの複合非磁性粒子粉末からなり、前記フタロシアニン系顔料の付着量が前記針状ヘマタイト粒子粉末又は針状含水酸化鉄粒子粉末100重量部に対して1〜100重量部であることを特徴とする磁気記録媒体の非磁性下地層用複合非磁性粒子粉末である(本発明3)。
【0024】
また、本発明は、本発明3の針状ヘマタイト粒子粉末又は針状含水酸化鉄粒子粉末の粒子表面が、あらかじめアルミニウムの水酸化物、アルミニウムの酸化物、ケイ素の水酸化物及びケイ素の酸化物より選ばれる少なくとも一種からなる中間被覆物によって被覆されていることを特徴とする磁気記録媒体の非磁性下地層用複合非磁性粒子粉末である(本発明4)。
【0025】
また、本発明は、非磁性支持体、該非磁性支持体上に形成される非磁性粒子粉末と結合剤樹脂とを含む非磁性下地層及び該非磁性下地層の上に形成される磁性粒子粉末と結合剤樹脂とを含む磁気記録層からなる磁気記録媒体において、前記非磁性粒子粉末が本発明1乃至本発明4のいずれかの非磁性下地層用複合非磁性粒子粉末であることを特徴とする磁気記録媒体である。
【0026】
次に、本発明の構成をより詳しく説明すれば次の通りである。
【0027】
先ず、本発明に係る複合非磁性粒子粉末について述べる。
【0028】
本発明に係る複合非磁性粒子粉末は、芯粒子である針状ヘマタイト粒子又は針状含水酸化鉄粒子の粒子表面に、アルコキシシランから生成するオルガノシラン化合物又はポリシロキサンが被覆されており、該被覆の少なくとも一部にフタロシアニン系顔料が付着している平均長軸径0.01〜0.3μmの複合非磁性粒子からなる。
【0029】
針状ヘマタイト粒子粉末は、通常、赤色を呈しており、針状含水酸化鉄粒子粉末は、通常、黄色を呈しているが、黒色度の優れた複合非磁性粒子粉末を得るためには、黒褐色針状ヘマタイト粒子粉末又は黒褐色針状含水酸化鉄粒子粉末に対して5〜40重量%のマンガンを含有する黒褐色針状ヘマタイト粒子粉末又は黒褐色針状含水酸化鉄粒子粉末及び針状ヘマタイト粒子粉末又は針状含水酸化鉄粒子粉末の粒子表面が、アルコキシシランから生成するオルガノシラン化合物又はポリシロキサンで被覆されているとともに、該被覆にカーボンブラックが付着している黒色針状ヘマタイト粒子粉末又は黒色針状含水酸化鉄粒子粉末等が好ましい。
【0030】
針状ヘマタイト粒子粉末又は針状含水酸化鉄粒子粉末の粒子表面にアルコキシシランから生成するオルガノシラン化合物又はポリシロキサンを介してカーボンブラックを付着させた黒色針状ヘマタイト粒子粉末又は黒色針状含水酸化鉄粒子粉末のオルガノシラン化合物又はポリシロキサンの被覆量は、オルガノシラン化合物被覆針状ヘマタイト粒子粉末、オルガノシラン化合物被覆針状含水酸化鉄粒子粉末、ポリシロキサン被覆針状ヘマタイト粒子粉末、又は、ポリシロキサン被覆針状含水酸化鉄粒子粉末に対してSi換算で0.02〜5.0重量%が好ましく、カーボンブラックの付着量は、該針状ヘマタイト粒子粉末又は針状含水酸化鉄粒子粉末100重量部に対して1〜20重量部が好ましい。
【0031】
付着しているカーボンブラックは、カーボンブラックの層を形成しても、部分的に付着していてもどちらでも良く、一部アルコキシシランから生成するオルガノシラン化合物又はポリシロキサンが露出していてもフタロシアニン系顔料の付着処理を行うことができる。
【0032】
芯粒子の粒子形状は、針状である。ここで「針状」とは、文字通りの針状はもちろん、紡錘状や米粒状などを含む意味である。
【0033】
芯粒子粉末の平均長軸径は0.01〜0.30μm、好ましくは0.02〜0.25μm、より好ましくは0.03〜0.20μmである。
【0034】
平均長軸径が0.3μmを超える場合には、得られる複合非磁性粒子もまた粗大粒子となり、これを用いて非磁性下地層を形成した場合には、塗膜の表面平滑性が損なわれやすい。平均長軸径が0.01μm未満の場合には、粒子の微細化による分子間力の増大により凝集を起こしやすいため、芯粒子粉末の粒子表面へのアルコキシシラン又はポリシロキサンによる均一な被覆処理及びフタロシアニン系顔料による均一な付着処理が困難となる。
【0035】
また、芯粒子粉末の軸比(平均長軸径と平均短軸径の比)(以下、「軸比」という。)は2.0〜20.0が好ましく、より好ましくは2.5〜18.0、最も好ましくは3.0〜15.0である。
【0036】
軸比が20.0を超える場合には、粒子同士の絡み合いが多くなり、芯粒子粉末の粒子表面へのアルコキシシラン又はポリシロキサンによる均一な被覆処理及びフタロシアニン系顔料による均一な付着処理が困難となる。軸比が2.0未満の場合には、得られる非磁性下地層の塗膜強度が小さくなる。
【0037】
芯粒子粉末の長軸径の幾何標準偏差値は1.50以下が好ましく、より好ましくは1.48以下、最も好ましくは1.45以下である。幾何標準偏差値が1.50を超える場合には、存在する粗大粒子によって均一な分散が阻害されるため、芯粒子粉末の粒子表面へのアルコキシシラン又はポリシロキサンによる均一な被覆処理及びフタロシアニン系顔料による均一な付着処理が困難となる。長軸径の幾何標準偏差値の下限値は1.01であり、1.01未満のものは工業的に得られ難い。
【0038】
芯粒子粉末のBET比表面積値は35〜250m/gが好ましく、より好ましくは38〜200m/g、最も好ましくは40〜180m/gである。BET比表面積値が35m/g未満の場合には、芯粒子粉末が粗大であったり、粒子相互間で焼結が生じた粒子となっており、得られる複合非磁性粒子粉末もまた粗大粒子となり、これを用いて磁気記録層を形成した場合には、塗膜の表面平滑性が損なわれやすい。BET比表面積値が250m/gを超える場合には、粒子の微細化による分子間力の増大により凝集を起こしやすいため、芯粒子粉末の粒子表面へのアルコキシシラン又はポリシロキサンによる均一な被覆処理及びフタロシアニン系顔料による均一な付着処理が困難となる。
【0039】
芯粒子粉末の黒色度は、マンガンを含有していない針状ヘマタイト粒子粉末の場合、通常L値の下限値が9.5を超え、上限値は33.0が好ましく、より好ましくは32.0であり、マンガンを含有している黒褐色針状ヘマタイト粒子粉末の場合、通常L値の下限値が9.5を超え、上限値は23.0が好ましく、より好ましくは22.0である。マンガンを含有していない針状含水酸化鉄粒子粉末の場合、通常L値の下限値が9.5を超え、上限値は36.0が好ましく、より好ましくは35.0であり、マンガンを含有している黒褐色針状含水酸化鉄粒子粉末の場合、通常L値の下限値が9.5を超え、上限値は26.0が好ましく、より好ましくは24.0である。カーボンブラックが付着している黒色針状ヘマタイト粒子粉末及び黒色針状含水酸化鉄粒子粉末の場合、通常L値の下限値が2.7を超え、上限値は14.5が好ましく、より好ましくは14.0である。
【0040】
値が上記上限値を超える場合には、黒色度に優れた複合非磁性粒子粉末を得ることが困難となる。
【0041】
本発明における芯粒子粉末の体積固有抵抗値は、通常1.0×10Ω・cm以上であり、カーボンブラックが付着している黒色針状ヘマタイト粒子粉末及び黒色針状含水酸化鉄粒子粉末の場合は、1.0×103Ω・cm以上、1.0×10Ω・cm未満である。
【0042】
本発明における芯粒子粉末の樹脂吸着強度は、通常60%以下であり、カーボンブラックが付着している黒色針状ヘマタイト粒子粉末及び黒色針状含水酸化鉄粒子粉末の場合は、通常70%未満である。
【0043】
本発明における被覆物は、化1で表わされるアルコキシシランから生成されるオルガノシラン化合物(以下、「オルガノシラン化合物」という。)、並びに、化2で表わされるポリシロキサン、化3で表わされる変成ポリシロキサン、化4で表わされる末端変成ポリシロキサン又はこれらの混合物である。
【0044】
【化1】
Figure 0004471058
【0045】
アルコキシシランとしては、具体的には、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0046】
フタロシアニン系顔料の付着効果及び脱離率を考慮すると、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランから生成するオルガノシラン化合物が好ましく、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランから生成するオルガノシラン化合物がより好ましい。
【0047】
【化2】
Figure 0004471058
【0048】
【化3】
Figure 0004471058
【0049】
【化4】
Figure 0004471058
【0050】
フタロシアニン系顔料の付着効果及び脱離率を考慮すると、メチルハイドロジェンシロキサン単位を有するポリシロキサン、ポリエーテル変成ポリシロキサン及び末端がカルボン酸で変成された末端カルボン酸変成ポリシロキサンが好ましい。
【0051】
オルガノシラン化合物又はポリシロキサンの被覆量は、オルガノシラン化合物被覆芯粒子粉末、又は、ポリシロキサン被覆芯粒子粉末に対してSi換算で0.02〜5.0重量%であることが好ましく、より好ましくは0.03〜4.0重量%、最も好ましくは0.05〜3.0重量%である。
【0052】
0.02重量%未満の場合には、芯粒子粉末100重量部に対して1重量部以上のフタロシアニン系顔料を付着させることが困難である。5.0重量%を超える場合には、芯粒子粉末100重量部に対してフタロシアニン系顔料を1〜100重量部付着させることができるため、必要以上に被覆する意味がない。
【0053】
本発明におけるフタロシアニン系顔料は、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー(銅フタロシアニン)、ファストスカイブルー(スルホン化銅フタロシアニン)等の有機青色顔料及びフタロシアニングリーン等の有機緑色顔料であり、得られる複合非磁性粒子粉末の黒色度を考慮した場合、有機青色顔料を用いることが好ましく、より好ましくはフタロシアニンブルーである。
【0054】
フタロシアニン系顔料の付着量は、芯粒子粉末100重量部に対して1〜100重量部であり、好ましくは1.5〜90重量部、より好ましくは2〜80重量部である。
【0055】
1重量部未満の場合には、フタロシアニン系顔料の付着量が不十分であるため、十分な黒色度及び樹脂吸着強度を有する複合非磁性粒子粉末を得ることが困難である。100重量部を超える場合には、得られる複合非磁性粒子粉末は十分な樹脂吸着強度を有しているが、フタロシアニン系顔料の付着量が多いため、フタロシアニン系顔料が脱離しやすくなり、その結果、非磁性塗料の製造時におけるビヒクル中への分散性が低下する場合がある。
【0056】
本発明に係る複合非磁性粒子粉末の粒子形状や粒子サイズは、芯粒子粉末である非磁性粒子粉末の粒子形状や粒子サイズに大きく依存し、芯粒子に相似する粒子形態を有している。
【0057】
本発明に係る複合非磁性粒子粉末の平均長軸径は0.01〜0.3μm、好ましくは0.02〜0.25μm、より好ましくは0.03〜0.20μmである。
【0058】
平均長軸径が0.3μmを超える場合には、複合非磁性粒子粉末が大粒子となり、これを用いて非磁性下地層を形成した場合には、塗膜の表面平滑性が損なわれやすい。平均長軸径が0.01μm未満の場合には、粒子の微細化による分子間力の増大により凝集を起こしやすいため、非磁性塗料の製造時におけるビヒクル中への分散性が低下する。
【0059】
本発明に係る複合非磁性粒子粉末の軸比は2.0〜20.0が好ましく、より好ましくは2.5〜18.0、最も好ましくは3.0〜15.0である。
【0060】
軸比が20.0を超える場合には、粒子の絡み合いが多くなり、非磁性塗料の製造時におけるビヒクル中への分散性が悪くなったり粘度が増加する場合がある。軸比が2.0未満の場合には、得られる非磁性下地層の塗膜強度が小さくなる。
【0061】
複合非磁性粒子粉末の長軸径の幾何標準偏差値は、1.50以下であることが好ましい。1.50を超える場合には、存在する粗大粒子が塗膜の表面平滑性に悪影響を与えるために好ましくない。塗膜の表面平滑性を考慮すれば、より好ましくは1.48以下、最も好ましくは1.45以下である。工業的な生産性を考慮すれば、複合非磁性粒子粉末の長軸径の幾何標準偏差値の下限値は1.01であり、1.01未満のものは工業的に得られ難い。
【0062】
複合非磁性粒子粉末のBET比表面積値は35〜250m/gが好ましく、より好ましくは38〜200m/g、最も好ましくは40〜180m/gである。BET比表面積値が35m/g未満の場合には、複合非磁性粒子粉末が粗大であったり、粒子相互間で焼結が生じた粒子となっており、これを用いて非磁性下地層を形成した場合には、塗膜の表面平滑性が損なわれやすい。BET比表面積値が250m/gを超える場合には、粒子の微細化による分子間力の増大により凝集を起こしやすいため、非磁性塗料の製造時におけるビヒクル中への分散性が低下する。
【0063】
複合非磁性粒子粉末のフタロシアニン系顔料の脱離率は15%以下が好ましく、より好ましくは12%以下である。フタロシアニン系顔料の脱離率が15%を超える場合には、非磁性下地層の製造時において、脱離したフタロシアニン系顔料により均一な分散が阻害される場合があるとともに、得られた磁気記録媒体は十分な耐久性を有さない。
【0064】
複合非磁性粒子粉末の黒色度は、上限値がL値で20.0が好ましい。L値が20.0を超える場合には、明度が高くなり、黒色度が十分とは言えず、これを用いて得られる磁気記録媒体用基体の光透過率を十分に低減することが困難となる。黒色度のより好ましい上限値はL値が19.0であり、下限値はL値が4.0程度である。芯粒子としてマンガンを含有している黒褐色針状ヘマタイト粒子及びマンガンを含有している黒褐色針状含水酸化鉄粒子を用いて得られた複合非磁性粒子粉末の黒色度は、上限値がL値で18.0が好ましく、より好ましくは17.0であり、下限値はL値が4.0程度である。芯粒子としてカーボンブラックが付着している黒色針状ヘマタイト粒子粉末及び黒色針状含水酸化鉄粒子粉末を用いて得られた複合非磁性粒子粉末の黒色度は、上限値がL値で12.5が好ましく、より好ましくは11.0であり、下限値はL値が2.0程度である。
【0065】
本発明に係る複合非磁性粒子粉末の体積固有抵抗値は、通常、1.0×10Ω・cm以下が好ましく、より好ましくは7.5×10Ω・cm以下、最も好ましくは5.0×10Ω・cm以下である。
【0066】
本発明に係る複合非磁性粒子粉末の樹脂吸着強度は、72%以上が好ましく、より好ましくは73%以上、最も好ましくは74%以上である。
【0067】
本発明に係る複合非磁性粒子粉末は、必要により、針状ヘマタイト粒子粉末又は針状含水酸化鉄粒子粉末の粒子表面をあらかじめ、アルミニウムの水酸化物、アルミニウムの酸化物、ケイ素の水酸化物及びケイ素の酸化物から選ばれた1種又は2種以上の中間被覆物で被覆しておいてもよく、中間被覆物で被覆しない場合に比べ、芯粒子粉末の粒子表面からのフタロシアニン系顔料の脱離率をより低減することができる。
【0068】
中間被覆物による被覆量は、中間被覆物が被覆された芯粒子粉末に対してAl換算、SiO換算又はAl換算量とSiO換算量との総和で0.01〜20重量%が好ましい。
【0069】
0.01重量%未満である場合には、フタロシアニン系顔料の脱離率の改良効果が得られない。0.01〜20重量%の被覆量により、フタロシアニン系顔料の脱離率改良効果が十分に得られるので、20重量%を超えて必要以上に被覆する意味がない。
【0070】
中間被覆物で被覆されている本発明に係る複合非磁性粒子粉末は、中間被覆物で被覆されていない本発明に係る複合非磁性粒子粉末の場合とほぼ同程度の粒子サイズ、幾何標準偏差値、BET比表面積値、体積固有抵抗値、樹脂吸着強度及び黒色度を有している。また、フタロシアニン系顔料の脱離率は中間被覆物による被覆によって向上し、脱離率は12%以下が好ましく、より好ましくは10%以下である。
【0071】
次に、本発明に係る磁気記録媒体について述べる。
【0072】
本発明に係る磁気記録媒体は、非磁性支持体、該非磁性支持体上に形成された非磁性下地層及び該非磁性下地層上に形成された磁気記録層とからなる。
【0073】
本発明における非磁性支持体としては、磁気記録媒体に汎用されているポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド等の合成樹脂フィルム、アルミニウム、ステンレス等金属の箔や板及び各種の紙を使用することができ、その厚みは、その材質により種々異なるが、通常1.0〜300μm、好ましくは2.0〜200μmである。
【0074】
磁気ディスクの場合、通常ポリエチレンテレフタレートが用いられ、その厚みは、通常50〜300μm、好ましくは60〜200μmである。磁気テープの場合、ポリエチレンテレフタレートを用いるときには、その厚みは、通常3〜100μm、好ましくは4〜20μmであり、ポリエチレンナフタレートを用いるときには、その厚みは、通常3〜50μm、好ましくは4〜20μmであり、ポリアミドを用いるときには、その厚みは、通常2〜10μm、好ましくは3〜7μmである。
【0075】
本発明における非磁性下地層は、本発明に係る複合非磁性粒子粉末又は本発明に係る中間被覆物で被覆されている複合非磁性粒子粉末と結合剤樹脂とからなる。
【0076】
結合剤樹脂としては、磁気記録媒体の製造にあたって汎用されている塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ウレタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、ウレタンエラストマー、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリビニルブチラール、ニトロセルロース等セルロース誘導体、ポリエステル樹脂、ポリブタジエン等の合成ゴム系樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイソシアネート、電子線硬化型アクリルウレタン樹脂等とその混合物を使用することができる。
【0077】
また、前記各結合剤樹脂には−OH、−COOH、−SOM、−OPO、−NH等の極性基(但し、MはH、Na、Kである。)が含まれていてもよい。非磁性塗料製造時における複合非磁性粒子粉末のビヒクル中への分散性を考慮すれば、極性基として−COOH、−SOMを含有している結合剤樹脂が好ましい。
【0078】
本発明に係る複合非磁性粒子粉末と結合剤樹脂との配合割合は、結合剤樹脂100重量部に対して複合非磁性粒子粉末が5〜2000重量部が好ましく、より好ましくは100〜1000重量部である。
【0079】
非磁性支持体上に形成された非磁性下地層の塗膜厚さは、0.2〜10μmが好ましい。0.2μm未満の場合には、非磁性支持体の表面粗さを改善することが困難となり、強度も不十分となりやすい。磁気記録媒体の薄層化及び塗膜の強度を考慮すれば、塗膜厚さはより好ましくは0.5〜5μmである。
【0080】
なお、非磁性下地層に、磁気記録媒体の製造に通常用いられている潤滑剤、研磨剤、帯電防止剤等を添加してもよい。
【0081】
粒子表面が前記中間被覆物によって被覆されていない本発明に係る複合非磁性粒子粉末を用いた非磁性下地層は、塗膜の光沢度176〜300%が好ましく、より好ましくは180〜300%、最も好ましくは184〜300%であり、塗膜の表面粗度Ra0.5〜11.0nmが好ましく、より好ましくは0.5〜10.5nmであり、塗膜の強度は、ヤング率(相対値)126〜160が好ましく、より好ましくは128〜160であり、塗膜の線吸収係数1.20〜5.0μm-1が好ましく、より好ましくは1.25〜5.0μm-1であり、表面電気抵抗値1.0×10〜5.0×1012Ω/cmが好ましく、より好ましくは1.0×10〜2.5×1012Ω/cm、最も好ましくは1.0×10〜1.0×1012Ω/cmである。
【0082】
粒子表面が前記中間被覆物によって被覆されている本発明に係る複合非磁性粒子粉末を用いた非磁性下地層は、塗膜の光沢度180〜300%が好ましく、より好ましくは184〜300%、最も好ましくは188〜300%であり、塗膜の表面粗度Ra0.5〜10.5nmが好ましく、より好ましくは0.5〜10.0nmであり、塗膜の強度は、ヤング率(相対値)128〜160が好ましく、より好ましくは130〜160であり、塗膜の線吸収係数1.20〜5.0μm-1が好ましく、より好ましくは、1.25〜5.0μm-1であり、表面電気抵抗値1.0×10〜5.0×1012Ω/cmが好ましく、より好ましくは1.0×10〜2.5×1012Ω/cm、最も好ましくは1.0×10〜1.0×1012Ω/cmである。
【0083】
本発明における磁気記録層は、磁性粒子粉末と結合剤樹脂とからなる。
【0084】
磁性粒子粉末としては、マグヘマイト粒子粉末(γ−Fe)やマグネタイト粒子粉末(FeO ・Fe、0<x≦1)等の磁性酸化鉄粒子粉末にCo又はCo及びFeを被着させたCo被着型磁性酸化鉄粒子粉末、前記Co被着型磁性酸化鉄粒子粉末にFe以外のCo、Al、Ni、P、Zn、Si、B、希土類金属等の異種元素を含有させたCo被着型磁性酸化鉄粒子粉末、鉄を主成分とする針状金属磁性粒子粉末、鉄以外のCo、Al、Ni、P、Zn、Si、B、希土類金属等を含有する針状鉄合金磁性粒子粉末、Ba、Sr、又はBa−Srを含有するマグネトプランバイト型板状フェライト粒子粉末並びにこれらにCo、Ni、Zn、Mn、Mg、Ti、Sn、Zr、Nb、Cu、Mo等の2価及び4価の金属から選ばれた保磁力低減剤の1種又は2種以上を含有させた板状マグネトプランバイト型フェライト粒子粉末等のいずれをも用いることができる。
【0085】
なお、近年の短波長記録、高密度記録を考慮すれば、鉄を主成分とする針状金属磁性粒子粉末、鉄以外のCo、Al、Ni、P、Zn、Si、B、希土類金属等を含有する針状鉄合金磁性粒子粉末等が好ましい。
【0086】
磁性粒子粉末は、平均長軸径(板状粒子の場合は平均粒子径)0.01〜0.5μmが好ましく、より好ましくは0.03〜0.3μmである。該磁性粒子粉末の粒子の形状は針状もしくは板状が好ましい。ここで「針状」とは、文字通りの針状はもちろん、紡錘状や米粒状などを含む意味である。
【0087】
また、磁性粒子粉末の粒子形状が針状の場合、軸比は3.0以上が好ましく、より好ましくは5.0以上であり、ビヒクル中における分散性を考慮すれば、その上限値は15.0が好ましく、より好ましくは10.0である。
【0088】
磁性粒子粉末の粒子形状が板状の場合、板状比(粒子の平均粒子径と粒子の平均厚みの比)(以下、「板状比」という。)は2.0以上が好ましく、より好ましくは3.0以上であり、ビヒクル中における分散性を考慮すれば、その上限値は20.0が好ましく、より好ましくは15.0である。
【0089】
磁性粒子粉末の磁気特性は、保磁力値39.8〜318.3kA/m(500〜4000Oe)が好ましく、より好ましくは43.8〜318.3kA/m(550〜4000Oe)であり、飽和磁化値50〜170Am/kg(50〜170emu/g)が好ましく、より好ましくは60〜170Am/kg(60〜170emu/g)である。
【0090】
高密度記録化等を考慮して、磁性粒子粉末として鉄を主成分とする針状金属磁性粒子粉末又は針状鉄合金磁性粒子粉末を用いた場合の磁気特性は、保磁力値63.7〜278.5kA/m(800〜3500Oe)が好ましく、より好ましくは71.6〜278.5kA/m(900〜3500Oe)であり、飽和磁化値が90〜170Am/kg(90〜170emu/g)が好ましく、より好ましくは90〜170Am/kg(100〜170emu/g)である。
【0091】
結合剤樹脂としては、前記非磁性下地層を形成するために用いた結合剤樹脂を使用することができる。
【0092】
非磁性下地層上に設けられた磁気記録層の塗膜厚さは、0.01〜5μmの範囲が好ましく、より好ましくは0.05〜1μmである。。0.01μm未満の場合には、均一な塗布が困難であり、塗りむら等の現象が出やすくなるため好ましくない。5μmを超える場合には、反磁界の影響のため、所望の電磁変換特性が得られにくくなる。
【0093】
磁性粒子粉末と結合剤樹脂との配合割合は、結合剤樹脂100重量部に対して磁性粒子粉末が200〜2000重量部が好ましく、より好ましくは300〜1500重量部である。
【0094】
磁気記録層中には、通常用いられている潤滑剤、研磨剤、帯電防止剤等を添加してもよい。
【0095】
本発明に係る磁気記録媒体は、磁性粒子粉末として前記磁性粒子粉末を用い、非磁性下地層用非磁性粒子粉末として中間被覆物によって被覆されていない本発明に係る複合非磁性粒子粉末を用いた場合には、保磁力値39.8〜318.3kA/m(500〜4000Oe)が好ましく、より好ましくは43.8〜318.3kA/m(550〜4000Oe)であり、角形比(残留磁束密度Br/飽和磁束密度Bm)(以下、「角型比」という。)0.85〜0.95が好ましく、より好ましくは0.86〜0.95であり、塗膜の光沢度170〜300%が好ましく、より好ましくは175〜300%であり、塗膜の表面粗度Ra11.5nm以下が好ましく、より好ましくは2.0〜11.0nm、最も好ましくは2.0〜10.5nmであり、ヤング率128〜160が好ましく、より好ましくは130〜160であり、塗膜の線吸収係数1.20〜5.00μm-1が好ましく、より好ましくは1.25〜5.00μm-1であり、表面電気抵抗値5.0×1010Ω/cm以下が好ましく、より好ましくは2.5×1010Ω/cm2以下、最も好ましくは1.0×1010Ω/cm2以下である。走行耐久性22分以上が好ましく、より好ましくは24分以上であり、すり傷特性は後出の評価法によるA又はBが好ましく、より好ましくはAである。
【0096】
本発明に係る磁気記録媒体は、磁性粒子粉末として前記磁性粒子粉末を用い、非磁性下地層用非磁性粒子粉末として中間被覆物によって被覆されている本発明に係る複合非磁性粒子粉末を用いた場合には、保磁力値39.8〜318.3kA/m(500〜4000Oe)が好ましく、より好ましくは43.8〜318.3kA/m(550〜4000Oe)であり、角形比0.85〜0.95が好ましく、より好ましくは0.86〜0.95であり、塗膜の光沢度175〜300%が好ましく、より好ましくは180〜300%であり、塗膜の表面粗度Ra11.0nm以下が好ましく、より好ましくは2.0〜10.5nm、最も好ましくは2.0〜10.0nmであり、ヤング率130〜160が好ましく、より好ましくは132〜160であり、塗膜の線吸収係数1.20〜5.00μm-1が好ましく、より好ましくは1.25〜5.00μm-1であり、表面電気抵抗値5.0×1010Ω/cm以下が好ましく、より好ましくは2.5×1010Ω/cm2以下、最も好ましくは1.0×1010Ω/cm2以下である。走行耐久性23分以上が好ましく、より好ましくは25分以上であり、すり傷特性は後出の評価法によるA又はBが好ましく、より好ましくはAである。
【0097】
高密度記録等を考慮して、磁性粒子粉末として鉄を主成分とする針状金属磁性粒子粉末又は針状鉄合金磁性粒子粉末を用い、非磁性下地層用非磁性粒子粉末として中間被覆物によって被覆されていない本発明に係る複合非磁性粒子粉末を用いた場合には、保磁力値63.7〜278.5kA/m(800〜3500Oe)が好ましく、より好ましくは71.6〜278.5kA/m(900〜3500Oe)であり、角形比0.87〜0.95が好ましく、より好ましくは0.88〜0.95であり、塗膜の光沢度195〜300%が好ましく、より好ましくは200〜300%であり、塗膜の表面粗度Ra9.0nm以下が好ましく、より好ましくは2.0〜8.5nm、最も好ましくは2.0〜8.0nmであり、ヤング率130〜160が好ましく、より好ましくは132〜160であり、塗膜の線吸収係数1.20〜5.00μm-1が好ましく、より好ましくは1.25〜5.00μm-1であり、表面電気抵抗値5.0×1010Ω/cm以下が好ましく、より好ましくは2.5×1010Ω/cm2以下、最も好ましくは1.0×1010Ω/cm2以下である。走行耐久性24分以上が好ましく、より好ましくは26分以上であり、すり傷特性は後出の評価法によるA又はBが好ましく、より好ましくはAである。
【0098】
磁性粒子粉末として鉄を主成分とする針状金属磁性粒子粉末又は針状鉄合金磁性粒子粉末を用い、非磁性下地層用非磁性粒子粉末として中間被覆物によって被覆されている本発明に係る非磁性粒子粉末を用いた場合には、保磁力値63.7〜278.5kA/m(800〜3500Oe)が好ましく、より好ましくは71.6〜278.5kA/m(900〜3500Oe)であり、角形比0.87〜0.95が好ましく、より好ましくは0.88〜0.95であり、塗膜の光沢度200〜300%が好ましく、より好ましくは205〜300%であり、塗膜表面粗度Ra8.5nm以下が好ましく、より好ましくは2.0〜8.0nm、最も好ましくは2.0〜7.5nmであり、ヤング率132〜160が好ましく、より好ましくは134〜160であり、塗膜の線吸収係数1.20〜5.00μm-1が好ましく、より好ましくは1.25〜5.00μm-1であり、表面電気抵抗値5.0×1010Ω/cm以下が好ましく、より好ましくは2.5×1010Ω/cm2以下、最も好ましくは1.0×1010Ω/cm2以下である。走行耐久性25分以上が好ましく、より好ましくは27分以上であり、すり傷特性は後出の評価法によるA又はBが好ましく、より好ましくはAである。
【0099】
次に、本発明に係る複合非磁性粒子粉末の製造法について述べる。
【0100】
本発明における芯粒子粉末であるカーボンブラックが付着した黒色針状ヘマタイト粒子粉末又は黒色針状含水酸化鉄粒子粉末は、針状ヘマタイト粒子粉末又は針状含水酸化鉄粒子粉末とアルコキシシラン又はポリシロキサンを混合し、針状ヘマタイト粒子粉末又は針状含水酸化鉄粒子粉末の粒子表面をアルコキシシラン又はポリシロキサンによって被覆し、次いで、アルコキシシラン又はポリシロキサンによって被覆された針状ヘマタイト粒子粉末又は針状含水酸化鉄粒子粉末とカーボンブラック微粒子粉末を混合することによって得ることができる。
【0101】
芯粒子粉末の粒子表面へのアルコキシシラン又はポリシロキサンによる被覆は、芯粒子粉末とアルコキシシラン溶液又はポリシロキサンとを機械的に混合攪拌したり、芯粒子粉末にアルコキシシラン溶液又はポリシロキサンを噴霧しながら機械的に混合攪拌すればよい。添加したアルコキシシラン又はポリシロキサンは、ほぼ全量が芯粒子粉末の粒子表面に被覆される。
【0102】
なお、被覆されたアルコキシシランは、その一部が被覆工程を経ることによって生成する、アルコキシシランから生成するオルガノシラン化合物として被覆されていてもよい。この場合においてもその後のフタロシアニン系顔料の付着に影響することはない。
【0103】
なお、アルコキシシラン又はポリシロキサンを均一に芯粒子粉末の粒子表面に被覆するためには、芯粒子粉末の凝集をあらかじめ粉砕機を用いて解きほぐしておくことが好ましい。
【0104】
芯粒子粉末とアルコキシシラン又はポリシロキサンとの混合攪拌、フタロシアニン系顔料と粒子表面にアルコキシシラン又はポリシロキサンが被覆されている芯粒子粉末との混合攪拌をするための機器としては、粉体層にせん断力を加えることのできる装置が好ましく、殊に、せん断、へらなで及び圧縮が同時に行える装置、例えば、ホイール型混練機、ボール型混練機、ブレード型混練機、ロール型混練機を用いることができる。本発明の実施にあたっては、ホイール型混練機がより効果的に使用できる。
【0105】
上記ホイール型混練機としては、具体的に、エッジランナー(「ミックスマラー」、「シンプソンミル」、「サンドミル」と同義語である)、マルチマル、ストッツミル、ウエットパンミル、コナーミル、リングマラー等があり、好ましくはエッジランナー、マルチマル、ストッツミル、ウエットパンミル、リングマラーであり、より好ましくはエッジランナーである。上記ボール型混練機としては、具体的に、振動ミル等がある。上記ブレード型混練機としては、具体的に、ヘンシェルミキサー、プラネタリーミキサー、ナウタミキサー等がある。上記ロール型混練機としては、具体的に、エクストルーダー等がある。
【0106】
芯粒子粉末とアルコキシシラン又はポリシロキサンとの混合攪拌時における処理条件は、芯粒子粉末の粒子表面にアルコキシシラン又はポリシロキサンができるだけ均一に被覆されるように適宜調整すればよく、線荷重は19.6〜1960N/cm(2〜200Kg/cm)が好ましく、より好ましくは98〜1470N/cm(10〜150Kg/cm)、最も好ましくは147〜980N/cm(15〜100Kg/cm)であり、処理時間は5〜120分が好ましく、より好ましくは10〜90分の範囲である。なお、撹拌速度は2〜2000rpmが好ましく、より好ましくは5〜1000rpm、最も好ましくは10〜800rpmの範囲で適宜調整すればよい。
【0107】
アルコキシシラン又はポリシロキサンの添加量は、芯粒子粉末100重量部に対して0.15〜45重量部が好ましい。0.15〜45重量部の添加量により、芯粒子粉末100重量部に対してフタロシアニン系顔料を1〜100重量部付着させることができる。
【0108】
芯粒子粉末の粒子表面にアルコキシシラン又はポリシロキサンを被覆した後、フタロシアニン系顔料を添加し、混合攪拌してアルコキシシラン被覆又はポリシロキサン被覆にフタロシアニン系顔料を付着させる。必要により更に、乾燥乃至加熱処理を行ってもよい。
【0109】
フタロシアニン系顔料は、少量ずつを時間をかけながら、殊に5〜60分程度をかけて添加するのが好ましい。
【0110】
混合攪拌時における処理条件は、フタロシアニン系顔料が均一に付着するように適宜調整すればよく、線荷重は19.6〜1960N/cm(2〜200Kg/cm)が好ましく、より好ましくは98〜1470N/cm(10〜150Kg/cm)、最も好ましくは147〜980N/cm(15〜100Kg/cm)であり、処理時間は5〜120分が好ましく、より好ましくは10〜90分の範囲である。なお、撹拌速度は2〜2000rpmが好ましく、より好ましくは5〜1000rpm、最も好ましくは10〜800rpmの範囲で適宜調整すればよい。
【0111】
フタロシアニン系顔料の添加量は、芯粒子粉末100重量部に対して1〜100重量部である。フタロシアニン系顔料の添加量が上記範囲外の場合には、目的とする複合非磁性粒子粉末が得られない。
【0112】
乾燥乃至加熱処理を行う場合の加熱温度は、通常40〜150℃が好ましく、より好ましくは60〜120℃であり、加熱時間は10分〜12時間が好ましく、より好ましくは30分〜3時間である。
【0113】
得られた複合非磁性粒子粉末の被覆に用いられたアルコキシシランは、これらの工程を経ることにより、最終的にはアルコキシシランから生成するオルガノシラン化合物となって被覆されている。
【0114】
針状ヘマタイト粒子粉末又は針状含水酸化鉄粒子粉末は、必要により、アルコキシシラン又はポリシロキサンを被覆させるのに先立って、あらかじめ、アルミニウムの水酸化物、アルミニウムの酸化物、ケイ素の水酸化物及びケイ素の酸化物から選ばれる一種又は二種以上の中間被覆物で被覆しておいてもよい。
【0115】
中間被覆物による被覆は、針状ヘマタイト粒子粉末又は針状含水酸化鉄粒子粉末を分散して得られる水懸濁液に、アルミニウム化合物、ケイ素化合物又は当該両化合物を添加して混合攪拌することにより、又は、必要により、混合攪拌後にpH値を調整することにより、前記針状ヘマタイト粒子粉末又は針状含水酸化鉄粒子粉末の粒子表面を、アルミニウムの水酸化物、アルミニウムの酸化物、ケイ素の水酸化物及びケイ素の酸化物から選ばれる一種又は二種以上の化合物で被覆し、次いで、濾別、水洗、乾燥、粉砕する。必要により、更に、脱気・圧密処理等を施してもよい。
【0116】
アルミニウム化合物としては、酢酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム等のアルミニウム塩や、アルミン酸ナトリウム等のアルミン酸アルカリ塩等が使用できる。
【0117】
ケイ素化合物としては、3号水ガラス、オルトケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム等が使用できる。
【0118】
次に、本発明における磁気記録媒体の製造法について述べる。
【0119】
前記非磁性下地層及び前記磁気記録層の形成に当って用いる溶剤としては、磁気記録媒体に汎用されているメチルエチルケトン、トルエン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン及びその混合物等を使用することができる。
【0120】
溶剤の使用量は、粒子粉末100重量部に対してその総量で65〜1000重量部が好ましい。65重量部未満では塗料とした場合に粘度が高くなりすぎ塗布が困難となる。1000重量部を超える場合には、塗膜を形成する際の溶剤の揮発量が多くなりすぎ工業的に不利となる。
【0121】
【発明の実施の形態】
粒子の平均長軸径、平均短軸径は、電子顕微鏡写真(×30,000)を縦方向及び横方向にそれぞれ4倍に拡大した写真に示される粒子約350個について長軸径、短軸径をそれぞれ測定し、その平均値で示した。
【0122】
軸比は平均長軸径と平均短軸径との比で示し、板状比は平均粒子径と平均厚みの比で示した。
【0123】
粒子の長軸径の粒度分布は、下記の方法により求めた幾何標準偏差値で示した。
【0124】
即ち、上記拡大写真に示される粒子の長軸径を測定した値を、その測定値から計算して求めた粒子の実際の長軸径と個数から統計学的手法に従って対数正規確率紙上に横軸に長軸径を、縦軸に所定の粒子径区間のそれぞれに属する粒子の累積個数(積算フルイ下)を百分率でプロットする。そして、このグラフから粒子の個数が50%及び84.13%のそれぞれに相当する長軸径の値を読みとり、幾何標準偏差値=積算フルイ下84.13%における長軸径/積算フルイ下50%における長軸径(幾何平均径)に従って算出した値で示した。幾何標準偏差値が1に近いほど、粒子の長軸径の粒度分布が優れていることを意味する。
【0125】
比表面積値はBET法により測定した値で示した。
【0126】
針状ヘマタイト粒子粉末及び針状含水酸化鉄粒子粉末の粒子内部や粒子表面に存在するMn量、Al量及びSi量並びにアルコキシシランから生成するオルガノシラン化合物又はポリシロキサンに含有されているSi量のそれぞれは、「蛍光X線分析装置3063M型」(理学電機工業株式会社製)を使用し、JIS K0119の「けい光X線分析通則」に従って測定した。また、Co被着マグネタイト粒子粉末及びCo被着マグヘマイト粒子粉末のCo量は、上記測定装置及び測定方法と同様にして測定した。
【0127】
なお、針状ヘマタイト粒子粉末及び針状含水酸化鉄粒子粉末の粒子表面に被覆、存在しているケイ素の酸化物、ケイ素の水酸化物及びアルコキシシランから生成するオルガノシラン化合物又はポリシロキサンのそれぞれに含有される各Si量は、処理工程後の各段階でSi量を測定し、その測定値から処理工程前の段階で測定したSi量を差し引いた値で示した。
【0128】
黒色ヘマタイト粒子粉末又は黒色含水酸化鉄粒子粉末に付着しているカーボンブラック及び複合非磁性粒子粉末に付着しているフタロシアニン系顔料の付着量は、「堀場金属炭素・硫黄分析装置EMIA−2200型」(株式会社堀場製作所製)を用いて炭素量を測定することにより求めた。
【0129】
芯粒子粉末、フタロシアニン系顔料及び複合非磁性粒子粉末の黒色度は、試料0.5gとヒマシ油1.5mlとをフーバー式マーラーで練ってペースト状とし、このペーストにクリアラッカー4.5gを加え、混練、塗料化してキャストコート紙上に150μm(6mil)のアプリケーターを用いて塗布した塗布片(塗膜厚み:約30μm)を作製し、該塗料片について、「ポータブル分光色彩計カラーガイド45/0」(ビックケミー・ジャパン株式会社製)を用いて測定し、JIS Z 8729に定めるところに従って表色指数L値で示した。
【0130】
ここで、L値は明度を表わし、L値が小さいほど黒色度が高いことを示す。
【0131】
芯粒子粉末及び複合非磁性粒子粉末の各粒子の体積固有抵抗値は、まず、被測定粒子粉末0.5gを測り取り、KBr錠剤成形器(株式会社島津製作所)を用いて、1.372×10Pa(140Kg/cm)の圧力で加圧成形を行い、円柱状の被測定試料を作製した。
【0132】
次いで、被測定試料を温度25℃、相対湿度60%環境下に12時間以上暴露した後、この被測定試料をステンレス電極の間にセットし、ホイートストンブリッジ(TYPE2768 横河北辰電気株式会社製)で15Vの電圧を印加して抵抗値R(Ω)を測定した。
【0133】
次いで、被測定(円柱状)試料の上面の面積A(cm)と厚みt(cm)を測定し、下記数1にそれぞれの測定値を挿入して、体積固有抵抗値(Ω・cm)を求めた。
【0134】
【数1】
体積固有抵抗値(Ω・cm)=R×(A/t)
【0135】
複合非磁性粒子粉末に付着しているフタロシアニン系顔料の脱離率(%)は、下記の方法により求めた値で示した。フタロシアニン系顔料の脱離率が0%に近いほど、複合非磁性粒子粉末の粒子表面からのフタロシアニン系顔料の脱離量が少ないことを示す。
【0136】
複合非磁性粒子粉末3gとエタノール40mlを50mlの沈降管に入れ、20分間超音波分散を行った後、120分静置し、沈降速度によって複合非磁性粒子粉末と脱離したフタロシアニン系顔料とを分離した。次いで、この複合非磁性粒子粉末に再度エタノール40mlを加え、更に20分間超音波分散を行った後120分静置し、複合非磁性粒子粉末と脱離したフタロシアニン系顔料を分離した。この複合非磁性粒子粉末を80℃で1時間乾燥させ、フタロシアニン系顔料の量を測定し、下記数2に従って求めた値をフタロシアニン系顔料の脱離率(%)とした。
【0137】
【数2】
フタロシアニン系顔料の脱離率(%)={(Wa−We)/Wa}×100
Wa:複合非磁性粒子粉末のフタロシアニン系顔料付着量
We:脱離テスト後の複合非磁性粒子粉末のフタロシアニン系顔料付着量
【0138】
樹脂吸着強度は、樹脂が粒子粉末に吸着される程度を示すものであり、下記の方法により求めた樹脂吸着強度が100%に近いほど、樹脂が粒子表面に強く吸着されていることを示す。
【0139】
先ず、樹脂吸着量Yaを求める。
【0140】
被測定粒子粉末20gとスルホン酸ナトリウム基を有するポリウレタン樹脂2gを溶解させた混合溶剤(メチルエチルケトン27.0g、トルエン16.2g、シクロヘキサノン10.8g)56gとを3mmφスチールビーズ120gとともに100mlポリビンに入れ、60分間ペイントシェーカーで混合分散する。
【0141】
次に、この塗料組成物50gを取り出し50mlの沈降管に入れ回転数10000rpmで15分間遠心分離を行い、固形部分と溶剤部分とを分離する。そして、溶剤部分に含まれる樹脂固形分濃度を重量法によって定量し、仕込みの樹脂量との差し引きにより、固形部分に存在する樹脂量を求め、これを粒子粉末に対する樹脂吸着量Ya(mg/g)とする。
【0142】
次に、先に分離した固形部分のみを100mlトールビーカーに全量取り出し、これに混合溶剤(メチルエチルケトン25.0g、トルエン15.0g、シクロヘキサノン10.0g)50gを加え、15分間超音波分散を行って懸濁状態とした後、50ml沈降管に入れ回転数10000rpmで15分間遠心分離を行い、固形部分と溶剤部分とを分離する。そして、溶剤部分の樹脂固形分濃度を測定することによって、粒子表面に吸着していた樹脂のうち溶剤相に抽出された樹脂量を定量する。
【0143】
更に、上記固形部分のみの100mlトールビーカーへの全量取り出しから溶剤相に溶け出した樹脂量の定量までの操作を2回繰り返し、合計3回の溶剤相中における樹脂の抽出量の総和Ye(mg/g)を求め、下記数3に従って求めた値を樹脂吸着強度(%)とした。
【0144】
【数3】
樹脂吸着強度(%)=〔(Ya−Ye)/Ya〕×100
【0145】
磁性粒子粉末の磁気特性は、「振動試料型磁力計VSM−3S−15」(東英工業株式会社製)を用いて外部磁場795.8kA/m(10kOe)(但し、Co被着型磁性酸化鉄粒子粉末を用いた場合には39.79kA/m(5kOe))の下で測定した値であり、磁気テープの諸特性は外部磁場795.8kA/m(10kOe)(但し、Co被着型磁性酸化鉄粒子粉末を磁性粒子粉末として用いた場合には39.79kA/m(5kOe))の下で測定した結果である。
【0146】
塗料粘度は、得られた塗料の25℃における塗料粘度を、「E型粘度計EMD−R」(株式会社東京計器製)を用いて測定し、ずり速度D=1.92sec−1における値で示した。
【0147】
塗膜の表面光沢は、グロスメーター 「UGV−5D」(スガ試験機株式会社製)を用いて入射角45°で測定した値であり、標準板光沢を86.3%とした時の値を%で示したものである。
【0148】
表面粗度Raは、「Surfcom−575A」(東京精密株式会社製)を用いて塗膜の中心線平均粗さを測定した。
【0149】
光透過の程度は、「自記光電分光光度計UV−2100」(株式会社島津製作所製)を用いて磁気記録媒体用基体及び磁気記録媒体について測定した光透過率の値を下記数4に挿入して算出した線吸収係数で示した。線吸収係数は、その値が大きいほど光を透しにくいことを示す。
【0150】
なお、光透過率の値を測定するにあたっては、上記磁気記録媒体用基体及び磁気記録媒体に用いた非磁性支持体と同一の非磁性支持体をブランクとして用いた。
【0151】
【数4】
線吸収係数(μm−1)=〔ln(1/t)〕/FT
t:λ=900nmにおける光透過率(−)
FT:測定に用いたフィルムの塗布層(非磁性下地層の膜厚もしくは非磁性下地層の膜厚と磁気記録層の膜厚との総和)の厚み(μm)
【0152】
塗膜の表面電気抵抗値は、被測定塗膜を温度25℃、相対湿度60%環境下に12時間以上暴露した後、幅6.5mmの金属製の電極に、幅6mmにスリットした塗膜を塗布面が金属製電極に接触するように置き、その両端に各170gのおもりを付け、電極に塗膜を密着させた後、電極間に500Vの直流電圧をかけて表面電気抵抗値を測定した。
【0153】
塗膜の強度は、「オートグラフ」(株式会社島津製作所製)を用いて塗膜のヤング率を測定して求めた。ヤング率は市販ビデオテープ「AV T−120」(日本ビクター株式会社製)との相対値で表した。相対値が高いほど塗膜の強度が良好であることを示す。
【0154】
磁気記録媒体の走行耐久性は、「Media Durability Tester MDT−3000」(Steinberg Associates社製)を用いて、負荷1.96N(200gw)、ヘッドとテープとの相対速度16m/sにおける実可動時間で評価した。実可動時間が長いほど走行耐久性が良いことを示す。
【0155】
すり傷特性は、走行後のテープの表面を顕微鏡で観察し、すり傷の有無を目視で評価し、下記の4段階の評価を行った。
A:すり傷なし
B:すり傷若干有り
C:すり傷有り
D:ひどいすり傷有り
【0156】
磁気記録媒体を構成する非磁性支持体、非磁性下地層及び磁気記録層の各層の厚みは、下記のようにして測定した。
【0157】
デジタル電子マイクロメーターK351C(安立電気株式会社製)を用いて、先ず、非磁性支持体の膜厚(A)を測定する。次に、非磁性支持体と該非磁性支持体上に形成された非磁性下地層との厚み(B)(非磁性支持体の厚みと非磁性下地層の厚みとの総和)を同様にして測定する。
【0158】
更に、非磁性下地層上に磁気記録層を形成することにより得られた磁気記録媒体の厚み(C)(非磁性支持体の厚みと非磁性下地層の厚みと磁気記録層の厚みとの総和)を同様にして測定する。そして、非磁性下地層の厚みは(B)−(A)で示し、磁気記録層の厚みは(C)−(B)で示した。
【0159】
<複合非磁性粒子粉末の製造>
黒褐色針状ヘマタイト粒子粉末(平均長軸径0.162μm、平均短軸径0.0225μm、軸比7.2、幾何標準偏差値1.38、BET比表面積値48.6m/g、Mn含有量13.7重量%、黒色度L値19.3、体積固有抵抗値6.2×10Ω・cm、樹脂吸着強度57.1%)20kgを、凝集を解きほぐすために、純水150lに攪拌機を用いて邂逅し、更に、「TKパイプラインホモミクサー」(製品名、特殊機化工業株式会社製)を3回通して黒褐色針状ヘマタイト粒子粉末を含むスラリーを得た。
【0160】
続いて、この黒褐色針状ヘマタイト粒子粉末を含むスラリーを横型サンドグラインダー「マイティーミルMHG−1.5L」(製品名、井上製作所株式会社製)を用いて、軸回転数2000rpmにおいて5回パスさせて、黒褐色針状ヘマタイト粒子粉末を含む分散スラリーを得た。
【0161】
得られた分散スラリーは、325mesh(目開き44μm)における篩残分は0%であった。この分散スラリーを濾別、水洗して、黒褐色針状ヘマタイト粒子粉末のケーキを得た。この黒褐色針状ヘマタイト粒子粉末のケーキを120℃で乾燥した後、乾燥粉末11.0kgをエッジランナー「MPUV−2型」(製品名、株式会社松本鋳造鉄工所製)に投入して、392N/cm(40Kg/cm)で20分間混合攪拌を行い、粒子の凝集を軽く解きほぐした。
【0162】
次に、メチルトリエトキシシラン(商品名:TSL8123:GE東芝シリコーン株式会社製)220gを200mlのエタノールで混合希釈して得られるメチルトリエトキシシラン溶液をエッジランナーを稼動させながら粒子の凝集を解きほぐした上記黒褐色針状ヘマタイト粒子粉末に添加し、392N/cm(40Kg/cm)の線荷重で30分間混合攪拌を行った。なお、このときの撹拌速度は22rpmであった。
【0163】
次に、フタロシアニン系顔料A(種類:フタロシアニンブルー、粒子形状:粒状、粒子径0.06μm、BET比表面積値680m/g、黒色度L値5.2)1100gを、エッジランナーを稼動させながら10分間かけて添加し、更に392N/cm(40Kg/cm)の線荷重で30分間、混合攪拌を行い、メチルトリエトキシシラン被覆にフタロシアニン系顔料Aを付着させた後、乾燥機を用いて105℃で60分間加熱処理を行い、複合非磁性粒子粉末を得た。なお、このときの撹拌速度は22rpmであった。
【0164】
得られた複合非磁性粒子粉末は、平均長軸径が0.163μm、平均短軸径が0.0228μm、軸比が7.1であった。幾何標準偏差値は1.38であり、BET比表面積値は50.5m/g、黒色度L値は11.1、体積固有抵抗値は5.3×10Ω・cm、樹脂吸着強度は79.2%、フタロシアニン系顔料の脱離率は6.7%であり、メチルトリエトキシシランから生成するオルガノシラン化合物の被覆量はSi換算で0.30重量%、付着しているフタロシアニン系顔料の量はC換算で6.00重量%(黒褐色針状ヘマタイト粒子粉末100重量部に対して10重量部に相当する)であった。電子顕微鏡観察の結果、フタロシアニン系顔料がほとんど認められないことから、フタロシアニン系顔料のほぼ全量がメチルトリエトキシシラン被覆層に付着していることが認められた。
【0165】
<非磁性下地層の製造>
前記複合非磁性粒子粉末12gと結合剤樹脂溶液(スルホン酸ナトリウム基を有する塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂30重量%とシクロヘキサノン70重量%)及びシクロヘキサノンとを混合して混合物(固形分率72%)を得、この混合物を更にプラストミルで30分間混練して混練物を得た。
【0166】
この混練物を1.5mmφガラスビーズ95g、追加の結合剤樹脂溶液(スルホン酸ナトリウム基を有するポリウレタン樹脂30重量%、溶剤(メチルエチルケトン:トルエン=1:1)70重量%)、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン及びトルエンとともに140mlガラス瓶に添加し、ペイントシェーカーで6時間混合・分散を行って塗料組成物を得た。
【0167】
得られた非磁性塗料の組成は、下記の通りであった。
【0168】
Figure 0004471058
【0169】
得られた非磁性塗料の塗料粘度は377cPであった。
【0170】
次いで、上記非磁性塗料を厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上にアプリケーターを用いて55μmの厚さに塗布し、次いで、乾燥させることにより非磁性下地層を形成した。非磁性下地層の厚みは3.3μmであった。
【0171】
得られた非磁性下地層は、光沢度が195%、表面粗度Raが6.3nmであった。基体は、ヤング率(相対値)が134、塗膜の線吸収係数が1.26μm−1、表面電気抵抗値が3.7×1010Ω/cmであった。
【0172】
<磁気記録媒体の製造>
鉄を主成分とする針状金属磁性粒子粉末(平均長軸径0.115μm、平均短軸径0.0182μm、軸比6.3、保磁力値152.0kA/m(1,910Oe)、飽和磁化値131Am/kg(131emu/g))12g、研磨剤(商品名:AKP−30、住友化学株式会社製)1.2g、カーボンブラック微粒子粉末(商品名:#3250B、三菱化成株式会社製)0.12g、結合剤樹脂溶液(スルホン酸ナトリウム基を有する塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂30重量%とシクロヘキサノン70重量%)及びシクロヘキサノンとを混合して混合物(固形分率78%)を得、この混合物を更にプラストミルで30分間混練して混練物を得た。
【0173】
この混練物を1.5mmφガラスビーズ95g、追加結合剤樹脂溶液(スルホン酸ナトリウム基を有するポリウレタン樹脂30重量%、溶剤(メチルエチルケトン:トルエン=1:1)70重量%)、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン及びトルエンとともに140mlガラス瓶に添加し、ペイントシェーカーで6時間混合・分散を行って磁性塗料を得た。その後、潤滑剤及び硬化剤を加え、更に、ペイントシェーカーで15分間混合・分散した。
【0174】
得られた磁性塗料の組成は下記の通りであった。
Figure 0004471058
【0175】
磁性塗料を前記非磁性下地層の上にアプリケーターを用いて15μmの厚さに塗布した後、磁場中において配向・乾燥し、次いで、常法によりカレンダー処理を行って表面平滑化した後、1.27cm(1/2インチ)の幅に裁断した。得られた磁気テープを60℃の硬化炉で24時間静置させ、十分に硬化させて、磁気テープを得た。磁気記録層の厚みは1.0μmであった。
【0176】
得られた磁気テープは、保磁力値が161.4kA/m(2,028Oe)、角型比(Br/Bm)が0.88、光沢度が218%、表面粗度Raが6.1nm、ヤング率(相対値)が134、線吸収係数が1.72cm−1、表面電気抵抗値が9.3×10Ω/cm、耐久性のうち、走行耐久性が28.7分、すり傷特性がAであった。
【0177】
【作用】
本発明においては最も重要な点は、針状ヘマタイト粒子粉末又は針状含水酸化鉄粒子粉末の粒子表面がアルコキシシランから生成するオルガノシラン化合物又はポリシロキサンによって被覆されていると共に、該被覆にフタロシアニン系顔料が付着している複合非磁性粒子粉末は樹脂吸着強度が高く、分散性に優れるという事実である。
【0178】
本発明に係る複合非磁性粒子粉末の樹脂吸着強度が高い理由について、本発明者は、針状ヘマタイト粒子粉末又は針状含水酸化鉄粒子粉末の粒子表面にオルガノシラン化合物又はポリシロキサンを介してフタロシアニン系顔料を付着させているので、複合非磁性粒子粉末の粒子表面にベンゼン環を有するフタロシアニン系顔料が存在するため、樹脂、殊に、非磁性下地層に通常用いられているポリウレタン樹脂との相溶性が向上したことによるものと考えている。
【0179】
また、本発明に係る複合非磁性粒子粉末が分散性に優れる理由について、本発明者は、複合非磁性粒子粉末の粒子表面から脱離するフタロシアニン系顔料が少ないことに起因して、フタロシアニン系顔料によって系内の分散が阻害されないとともに、針状ヘマタイト粒子粉末又は針状含水酸化鉄粒子粉末の粒子表面にフタロシアニン系顔料が付着していることにより粒子表面に凹凸が生じ、粒子相互間の接触が抑制されるためと考えている。
【0180】
本発明に係る複合非磁性粒子粉末を用いた非磁性下地層を有する磁気記録媒体は、耐久性に優れ、且つ、十分な表面平滑性を有している。耐久性に優れる理由としては、前述したように複合非磁性粒子粉末の樹脂吸着強度が向上したことで、磁気記録媒体に用いられる樹脂との相溶性が向上したことによるものと考えている。また、表面平滑性に優れる理由としては、フタロシアニン系顔料が付着しているオルガノシラン化合物又はポリシロキサンが針状ヘマタイト粒子粉末又は針状含水酸化鉄粒子粉末の粒子表面に強固に結合することに起因して、複合非磁性粒子粉末の粒子表面から脱離するフタロシアニン系顔料が減少し、その結果、複合非磁性粒子粉末のビヒクル中での分散が阻害されないこと及び複合非磁性粒子粉末自体の分散性が向上したことによって非磁性下地層の表面平滑性が向上したことによるものと本発明者は考えている。
【0181】
【実施例】
次に、実施例及び比較例を示す。
【0182】
芯粒子1〜6
各種の針状ヘマタイト粒子粉末及び針状ゲータイト粒子粉末を準備し、上記発明の実施の形態と同様にして凝集が解きほぐされた芯粒子粉末を得た。
【0183】
得られた芯粒子粉末の諸特性を表1に示す。
【0184】
【表1】
Figure 0004471058
【0185】
芯粒子7
芯粒子1の凝集が解きほぐされた黒褐色針状ヘマタイト粒子粉末20kgと水150lとを用いて、前記発明の実施の形態と同様にして黒褐色針状ヘマタイト粒子粉末を含むスラリーを得た。得られた黒褐色針状ヘマタイト粒子粉末を含む再分散スラリーのpH値を10.5とした。次に、該スラリーに水を加えスラリー濃度を98g/lに調整した。このスラリー150lを加熱して60℃とし、このスラリー中に1.0mol/lのNaAlO溶液5444ml(黒褐色針状ヘマタイト粒子粉末に対してAl換算で1.0重量%に相当する)を加え、30分間保持した後、酢酸を用いてpH値を7.5に調整した。この状態で30分間保持した後、濾過、水洗、乾燥、粉砕して粒子表面がアルミニウムの水酸化物により被覆されている黒褐色針状ヘマタイト粒子粉末を得た。
【0186】
得られた粒子表面がアルミニウムの水酸化物により被覆されている黒褐色針状ヘマタイト粒子粉末の諸特性を表3に示す。
【0187】
芯粒子8〜11
芯粒子の種類、表面処理工程における添加物の種類及び量を種々変えた以外は芯粒子7と同様にして表面処理済芯粒子粉末を得た。
【0188】
このときの処理条件を表2に、得られた表面処理済芯粒子粉末の諸特性を表3に示す。
【0189】
【表2】
Figure 0004471058
【0190】
【表3】
Figure 0004471058
【0191】
フタロシアニン系顔料A〜C:
フタロシアニン系顔料として表4に示す諸特性を有するフタロシアニン系顔料を用意した。
【0192】
【表4】
Figure 0004471058
【0193】
実施例1〜11、比較例1〜4
芯粒子の種類、アルコキシシラン及びポリシロキサンによる被覆工程における添加物の種類及び添加量、エッジランナー処理条件、フタロシアニン系顔料の付着工程におけるフタロシアニン系顔料の種類及び添加量、エッジランナーによる処理条件を種々変えた以外は、前記発明の実施の形態と同様にして複合非磁性粒子粉末を得た。
【0194】
このときの処理条件を表5に、得られた複合非磁性粒子粉末の諸特性を表6に示す。実施例1〜11の各実施例で得られた複合非磁性粒子粉末は、電子顕微鏡観察の結果、フタロシアニン系顔料がほとんど認められないことから、フタロシアニン系顔料のほぼ全量がアルコキシシランから生成するオルガノシラン化合物又はポリシロキサン被覆に付着していることが確認された。
【0195】
【表5】
Figure 0004471058
【0196】
【表6】
Figure 0004471058
【0197】
<非磁性下地層の製造>
実施例12〜22及び比較例5〜14
実施例1〜11、芯粒子1〜6及び比較例1〜4の各非磁性粒子粉末を用いて前記発明の実施の形態と同様にして非磁性下地層を得た。
【0198】
このときの製造条件及び得られた非磁性下地層の諸特性を表7及び表8に示す。
【0199】
【表7】
Figure 0004471058
【0200】
【表8】
Figure 0004471058
【0201】
<磁気記録媒体の製造>
実施例23〜33及び比較例15〜24
非磁性下地層の種類及び磁性粒子粉末の種類を種々変化させた以外は、前記発明の実施の形態と同様にして磁気記録媒体を製造した。
【0202】
なお、使用した磁性粒子(1)乃至(4)の諸特性を表9に示す。
【0203】
【表9】
Figure 0004471058
【0204】
このときの製造条件を表10に、得られた磁気記録媒体の諸特性を表11及び表12に示す。
【0205】
【表10】
Figure 0004471058
【0206】
【表11】
Figure 0004471058
【0207】
【表12】
Figure 0004471058
【0208】
【発明の効果】
本発明に係る複合非磁性粒子粉末は、磁気記録媒体の非磁性下地層用非磁性粒子粉末として用いた場合、耐久性及び表面平滑性に優れた磁気記録媒体が得られることから、高密度磁気記録媒体用材料として好適である。
【0209】
本発明に係る磁気記録媒体は、非磁性下地層用非磁性粒子粉末として上記複合非磁性粒子粉末を用いることにより表面平滑性及び耐久性に優れているので、高密度磁気記録媒体として好適である。

Claims (5)

  1. 針状ヘマタイト粒子粉末又は針状含水酸化鉄粒子粉末の粒子表面にアルコキシシランから生成するオルガノシラン化合物又はポリシロキサンが被覆されており、該被覆の少なくとも一部にフタロシアニン系顔料が付着している平均長軸径0.01〜0.3μmの複合非磁性粒子粉末からなり、前記フタロシアニン系顔料の付着量が前記針状ヘマタイト粒子粉末又は針状含水酸化鉄粒子粉末100重量部に対して1〜100重量部であることを特徴とする磁気記録媒体の非磁性下地層用複合非磁性粒子粉末。
  2. 請求項1記載の針状ヘマタイト粒子粉末又は針状含水酸化鉄粒子粉末の粒子表面が、あらかじめアルミニウムの水酸化物、アルミニウムの酸化物、ケイ素の水酸化物及びケイ素の酸化物から選ばれる少なくとも一種からなる中間被覆物によって被覆されていることを特徴とする磁気記録媒体の非磁性下地層用複合非磁性粒子粉末。
  3. 針状ヘマタイト粒子粉末又は針状含水酸化鉄粒子粉末の粒子表面にアルコキシシランから生成するオルガノシラン化合物又はポリシロキサンが被覆され、該被覆にカーボンブラックが付着されており、更に、該カーボンブラック上にアルコキシシランから生成するオルガノシラン化合物又はポリシロキサンが被覆され、該被覆の少なくとも一部にフタロシアニン系顔料が付着している平均長軸径0.01〜0.3μmの複合非磁性粒子粉末からなり、前記フタロシアニン系顔料の付着量が前記針状ヘマタイト粒子粉末又は針状含水酸化鉄粒子粉末100重量部に対して1〜100重量部であることを特徴とする磁気記録媒体の非磁性下地層用複合非磁性粒子粉末。
  4. 請求項3記載の針状ヘマタイト粒子粉末又は針状含水酸化鉄粒子粉末の粒子表面が、あらかじめアルミニウムの水酸化物、アルミニウムの酸化物、ケイ素の水酸化物及びケイ素の酸化物より選ばれる少なくとも一種からなる中間被覆物によって被覆されていることを特徴とする磁気記録媒体の非磁性下地層用複合非磁性粒子粉末。
  5. 非磁性支持体、該非磁性支持体上に形成される非磁性粒子粉末と結合剤樹脂とを含む非磁性下地層及び該非磁性下地層の上に形成される磁性粒子粉末と結合剤樹脂とを含む磁気記録層からなる磁気記録媒体において、前記非磁性粒子粉末が請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の非磁性下地層用複合非磁性粒子粉末であることを特徴とする磁気記録媒体。
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