JP2005004817A - 磁気記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、磁気記録媒体を薄層化した場合においても十分に低い表面電気抵抗値を有すると共に、表面平滑性及び強度に優れ、ドロップアウトが低減した磁気記録媒体に関するものである。
【解決手段】非磁性支持体、該非磁性支持体上に形成された非磁性下地層及び該非磁性下地層上に形成された磁気記録層及び前記非磁性支持体の他方の面に形成されるバックコート層からなる磁気記録媒体において、前記バックコート層に、白色無機粒子粉末の粒子表面にカーボンブラックが付着している黒色複合粒子粉末であって前記複合粒子粉末の平均一次粒子径が0.005〜0.5μmである磁気記録媒体用フィラー材を含有する磁気記録媒体である。
【選択図】 なし
【解決手段】非磁性支持体、該非磁性支持体上に形成された非磁性下地層及び該非磁性下地層上に形成された磁気記録層及び前記非磁性支持体の他方の面に形成されるバックコート層からなる磁気記録媒体において、前記バックコート層に、白色無機粒子粉末の粒子表面にカーボンブラックが付着している黒色複合粒子粉末であって前記複合粒子粉末の平均一次粒子径が0.005〜0.5μmである磁気記録媒体用フィラー材を含有する磁気記録媒体である。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、磁気記録媒体を薄層化した場合においても十分に低い表面電気抵抗値を有すると共に、表面平滑性及び強度に優れ、ドロップアウトが低減した磁気記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、オーディオ用、ビデオ用、コンピューター用の磁気記録再生用機器の小型軽量化、長時間記録化、高密度記録化、及び記録容量の増大化が求められており、以前と比べ、記録されるキャリアー信号の周波数が短波長領域に移行し、磁気テープの表面からの磁化深度が著しく浅くなると共に、磁気記録媒体の高出力特性、殊に、S/N比を向上させるために、磁気記録層を薄層化する傾向にある。
【0003】
また、オーディオテープやビデオテープの更なる長時間記録化及びパーソナルコンピュータやオフィスコンピュータの普及から外部記憶媒体としてデータを記録するための磁気テープ(バックアップテープ)のより一層の記録容量向上が強く要求されているが、テープ1巻当たりの大きさが規定されているオーディオ、ビデオテープ及びバックアップテープの場合、長時間記録化や高記録容量化のためには、テープ全厚を薄くして1巻当たりのテープ長さを長くする必要がある。そのため、磁気記録媒体を構成する磁気記録層、非磁性下地層、バックコート層及び非磁性支持体等の各層において、薄層化することが要求されている。
【0004】
バックコート層は、一般に、磁気記録層の平滑化による巻き乱れ、走行性の低下を防止すると共に、磁気記録媒体全体の薄層化による塗膜強度の低下を抑止することを目的に、非磁性支持体の磁気記録層とは反対の面に設けられており、帯電防止、摩擦係数低減及び走行安定性のためにカーボンブラックや無機顔料粉体等のフィラー材を添加することが知られている。しかしながら、バックコート層を薄層化した場合、これらフィラー材の分散レベルが磁気記録媒体の表面平滑性及び走行性に大きく影響し、従来の膜厚では問題とならなかったフィラー材の分散粒子径であっても、薄層化することにより磁気記録媒体の表面平滑性が悪くなり、塗膜の強度低下やドロップアウトが発生しやすくなる。
【0005】
従来、バックコート層に添加されるフィラー材の諸特性改善のために種々の試みがなされており、フィラー材として板状ヘマタイト粒子粉末の粒子表面に、当該粒子粉末100重量部に対して1〜30重量部のカーボンブラックが付着されている板状非磁性複合粒子粉末を使用すること(特許文献1)が知られている。
【0006】
また、ゴム組成物の機械的強度を向上させるため、シリカ粒子粉末の粒子表面に、当該粒子粉末100重量部に対して1〜1000重量部のカーボンブラックが付着されている黒色複合充填剤(特許文献2)が知られている。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−331928号公報
【特許文献2】
特開2002−338846号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
磁気記録層を薄層化しても、十分に低い表面電気抵抗値を有すると共に、表面平滑性及び強度に優れた、ドロップアウトの少ない磁気記録媒体は、現在最も要求されているところであるが、未だ得られていない。
【0009】
即ち、前出特許文献1には板状ヘマタイト粒子粉末の粒子表面にカーボンブラックが付着された非磁性粒子粉末が記載されているが、単にカーボンブラックを付着させただけでは挙動粒子径を小さくすることができず、従来の厚さのバックコート層であれば使えるレベルであるが、薄層化した場合には、十分に表面平滑性を低減することができないため、ドロップアウトを改善することができない。
【0010】
特許文献2には、シリカ粒子粉末の粒子表面にカーボンブラックが付着された黒色複合充填剤が記載されているが、上記と同様、単にカーボンブラックを付着させただけでは挙動粒子径を小さくすることは困難である。また、該黒色複合充填剤はゴム組成物の機械的強度の向上を目的としたものであり、磁気記録媒体の表面平滑性を向上させると共に、ドロップアウトを低減させるための技術とは異なるものである。
【0011】
【課題を解決する為の手段】
前記技術的課題は、次の通りの本発明によって達成できる。
【0012】
即ち、本発明は、非磁性支持体、該非磁性支持体上に形成された非磁性下地層及び該非磁性下地層上に形成された磁気記録層及び前記非磁性支持体の他方の面に形成されるバックコート層からなる磁気記録媒体において、前記バックコート層に、白色無機粒子粉末の粒子表面にカーボンブラックが付着している黒色複合粒子粉末からなり、前記複合粒子粉末の平均一次粒子径が0.005〜0.5μmであることを特徴とする磁気記録媒体用フィラー材を含有することを特徴とする磁気記録媒体である(本発明1)。
【0013】
また、本発明は、前記本発明1記載の磁気記録媒体において、磁気記録媒体用フィラー材が、白色無機粒子粉末の粒子表面にカーボンブラックが付着している黒色複合粒子粉末からなり、黒色複合粒子粉末の体積平均粒子径(D50)が2.00μm以下、体積粒子径の幾何標準偏差値(D84/D50)が2.2以下であることを特徴とする磁気記録媒体である(本発明2)。
【0014】
また、本発明は、前記本発明1記載の磁気記録媒体において、磁気記録媒体用フィラー材が、白色無機粒子粉末の粒子表面が表面改質剤によって被覆されていると共に該表面改質剤被覆粒子表面にカーボンブラックが付着している黒色複合粒子粉末からなり、黒色複合粒子粉末の体積平均粒子径(D50)が2.00μm以下、体積粒子径の幾何標準偏差値(D84/D50)が2.2以下であることを特徴とする磁気記録媒体である(本発明3)。
【0015】
次に、本発明の構成をより詳しく説明すれば次の通りである。
【0016】
先ず、本発明における磁気記録媒体用フィラー材(以下、「黒色複合粒子粉末」という。)について述べる。
【0017】
本発明における磁気記録媒体用フィラー材は、芯粒子である白色無機粒子の粒子表面に、カーボンブラックが付着している黒色複合粒子粉末からなる。
【0018】
本発明における白色無機粒子としては、二酸化チタン、酸化ジルコニウム及び酸化亜鉛等の白色顔料、シリカ微粒子(シリカ粉、ホワイトカーボン、微粉ケイ酸、珪藻土等)、クレー、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、タルク及び透明性酸化チタン等の体質顔料等の白色無機顔料が挙げられる。これらは、単独で用いても、混合して用いてもよい。
【0019】
本発明における芯粒子の粒子形状は、針状、紡錘状、米粒状、球状、粒状、多面体状、フレーク状、鱗片状及び板状等のいずれの形状であってもよい。ビヒクル中における分散性を考慮すれば、球形度(平均粒子径/平均最短径)(以下、「球形度」という。)が1.0以上2.0未満の球状粒子又は粒状粒子が好ましい。
【0020】
本発明における芯粒子粉末の平均一次粒子径は0.005〜0.50μmが好ましい。平均一次粒子径が0.005μm未満の場合には、粒子の微細化による分子間力の増大により凝集を起こしやすいため、芯粒子表面への表面改質剤及び/又はカーボンブラックによる均一な付着処理が困難となる。平均一次粒子径が0.50μmを超える場合には、得られる黒色複合粒子もまた粗大粒子となるため、塗膜の表面平滑性が損なわれやすい。より好ましくは0.01〜0.45μm、更により好ましくは0.01〜0.40μmである。
【0021】
本発明における芯粒子粉末のBET比表面積値は1〜500m2/gが好ましい。BET比表面積値が1m2/g未満の場合には、芯粒子粉末が粗大であり、得られる黒色複合粒子もまた粗大粒子となるため、塗膜の表面平滑性が損なわれやすい。BET比表面積値が500m2/gを超える場合には、粒子の微細化による分子間力の増大により凝集を起こしやすいため、芯粒子表面への表面改質剤及び/又はカーボンブラックによる均一な付着処理が困難となる。より好ましくは3〜400m2/g、更により好ましくは5〜300m2/gである。
【0022】
体積平均粒子径(D50)が低い黒色複合粒子粉末を得るためには、本発明における芯粒子粉末の体積平均粒子径(D50)もまた可能な限り低いものが好ましく、その上限は好ましくは5.00μmであり、より好ましくは4.50μm、更により好ましくは4.00μmである。
【0023】
体積平均粒子径D84が低い黒色複合粒子粉末を得るためには、本発明における芯粒子粉末の体積平均粒子径D84もまた可能な限り低いものが好ましく、その上限値は、好ましくは9.00μmであり、より好ましくは8.50μm、更により好ましくは8.00μmである。
【0024】
本発明における芯粒子粉末の体積平均粒子径D99は、通常下限値が10.00μmを超える値を有している。
【0025】
本発明における芯粒子粉末の体積粒子径の幾何標準偏差値(D84/D50)は、通常下限値が2.5を超える値を有している。
【0026】
本発明における芯粒子粉末の体積固有抵抗値は、通常、1.0×108Ω・cm程度である。
【0027】
本発明における芯粒子粉末の色相は、L*値が70.00以上であり、より好ましくは75.00以上であり、C*値が18.00以下、好ましくは15.00以下、より好ましくは12.00以下である。
【0028】
本発明に用いられる芯粒子の粒子表面は、カーボンブラックを付着しやすく、且つ、付着が溶剤の存在下で安定になるために、表面改質剤によって被覆されていることが好ましい。この目的に用いられる表面処理剤としては、アルコキシシラン、フルオロアルキルシラン、シラン系カップリング剤及びオルガノポリシロキサン等の有機ケイ素化合物、チタネート系、アルミネート系及びジルコネート系などのカップリング剤、低分子あるいは高分子界面活性剤等が好適に用いられる。
【0029】
有機ケイ素化合物としては、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン及びデシルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、トルフルオロプロピルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシラン及びトリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン等のフルオロアルキルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ―アミノプロピルトリエトキシシラン、γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ―メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ―メタクロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等のシラン系カップリング剤、ポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、変性ポリシロキサン等のオルガノポリシロキサン等が挙げられる。
【0030】
チタネート系カップリング剤としては、イソプロピルトリステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル・アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスフェートチタネート、テトラ(2,2ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスフェートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート等が挙げられる。
【0031】
アルミネート系カップリング剤としては、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムジイソプロポキシモノエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート等が挙げられる。
【0032】
ジルコネート系カップリング剤としては、ジルコニウムテトラキスアセチルアセトネート、ジルコニウムジブトキシビスアセチルアセトネート、ジルコニウムテトラキスエチルアセトアセテート、ジルコニウムトリボトキシモノエチルアセトアセテート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネート等が挙げられる。
【0033】
低分子系界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ジオクチルスルホンコハク酸塩、アルキルアミン酢酸塩、アルキル脂肪酸塩等が挙げられる。高分子系界面活性剤としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、カルボキシメチルセルロース、アクリル酸−マレイン酸塩コポリマー、オレフィン−マレイン酸塩コポリマー等が挙げられる。
【0034】
表面改質剤の被覆量は、白色無機粒子粉末に対してC換算で0.01〜15.0重量%が好ましい。0.01重量%未満の場合には、白色無機粒子粉末100重量部に対して1重量部以上のカーボンブラックを付着させることが困難である。0.01〜15.0重量%の被覆によって、白色無機粒子粉末100重量部に対してカーボンブラックを0.1〜500重量部付着させることができるため、必要以上に被覆する意味がない。より好ましくは0.02〜12.5重量%、更に好ましくは0.03重量%〜10.0重量%である。
【0035】
カーボンブラックは、ファーネスブラック、チャンネルブラック及びアセチレンブラック等のカーボンブラック粒子粉末を用いることができる。
【0036】
本発明におけるカーボンブラックの付着量は、芯粒子粉末100重量部に対して0.1〜500重量部が好ましい。0.1重量部未満の場合には、芯粒子の粒子表面を被覆するカーボンブラックが少なすぎるため、本発明の目的とする複合粒子粉末を得ることが困難となる。0.1〜500重量部の付着によって、本発明の目的とする効果が十分に得られるので、500重量部を超えて必要以上に付着させる意味がない。より好ましくは0.5〜450重量部、更により好ましくは1〜400重量部である。
【0037】
本発明における黒色複合粒子の粒子形状は、芯粒子である白色無機粒子の粒子形状に大きく依存し、芯粒子に相似する粒子形態を有している。
【0038】
即ち、本発明における黒色複合粒子粉末の平均一次粒子径は0.005〜0.50μmである。平均一次粒子径が0.005μm未満の場合には、粒子の微細化による分子間力の増大により凝集を起こしやすく、その結果、粗大粒子が生成し塗料製造時におけるビヒクル中への均一な分散が困難となる。平均一次粒子径が0.50μmを超える場合には、黒色複合粒子が大粒子となるため、塗膜の表面平滑性が損なわれやすい。好ましくは0.01〜0.45μm、より好ましくは0.01〜0.40μmである。
【0039】
本発明における黒色複合粒子の粒子形状は、針状、紡錘状、米粒状、球状、粒状、多面体状、フレーク状、鱗片状及び板状等のいずれの形状であってもよい。ビヒクル中における分散性を考慮すれば、球形度が1.0以上2.0未満の球状粒子又は粒状粒子が好ましい。
【0040】
本発明における複合粒子粉末のBET比表面積値は1〜500m2/gが好ましい。BET比表面積値が1m2/g未満の場合には、黒色複合粒子粉末が粗大であるため、塗膜の表面平滑性が損なわれやすい。BET比表面積値が500m2/gを超える場合には、粒子の微細化による分子間力の増大により凝集を起こしやすいため、塗料製造時におけるビヒクル中への分散性が低下する。より好ましくは3〜400m2/g、更により好ましくは5〜300m2/gである。
【0041】
本発明における黒色複合粒子粉末の体積平均粒子径(D50)は2.00μm以下が好ましい。体積平均粒子径(D50)が2.00μmを超える場合には、磁気記録媒体を構成する各層を薄層化した場合に、得られる磁気記録媒体の表面性が低下し、ドロップアウトが増加するため好ましくない。より好ましくは1.60μm以下、更により好ましくは1.20μm以下である。体積平均粒子径(D50)の下限値は0.01μm程度である。
【0042】
本発明における黒色複合粒子粉末の体積粒子径D84は0.01〜3.00μmが好ましい。体積粒子径D84が3.00μmを超える場合には、磁気記録媒体を構成する各層を薄層化した場合に、得られる磁気記録媒体の表面性が低下し、ドロップアウトが増加するため好ましくない。より好ましくは0.01〜2.50μm、更により好ましくは0.01〜2.00μmである。
【0043】
本発明における黒色複合粒子粉末の体積粒子径D99は0.01〜6.00μmが好ましい。体積粒子径D99が6.00μmを超える場合には、磁気記録媒体を構成する各層を薄層化した場合に、得られる磁気記録媒体の表面性が低下し、ドロップアウトが増加するため好ましくない。より好ましくは0.01〜5.00μm、更により好ましくは0.01〜4.00μmである。
【0044】
本発明における黒色複合粒子粉末の体積粒子径の幾何標準偏差値(D84/D50)は2.2以下であることが好ましい。体積粒子径の幾何標準偏差値(D84/D50)が2.2を超える場合には、存在する粗大粒子によって塗料製造時におけるビヒクル中への均一な分散が困難となる。より好ましくは2.0以下であり、更により好ましくは1.8以下である。
【0045】
本発明における黒色複合粒子粉末の体積固有抵抗値は1.0×107Ω・cm未満であることが好ましい。体積固有抵抗値が1.0×107Ω・cm以上の場合は、得られる磁気記録媒体の表面電気抵抗値を十分に低減することが困難となる。より好ましくは1.0×101〜5.0×106Ω・cm、更により好ましくは1.0×101〜1.0×106Ω・cmである。
【0046】
本発明における黒色複合粒子粉末の黒色度はL*値が45.0以下であることが好ましい。L*値が45.0を超える場合には、明度が高くなり、黒色度が十分とは言えず、これを用いて得られる磁気記録媒体の光透過率を十分に低減することが困難となる。黒色度のより好ましい上限値はL*値が40.0であり、更により好ましくは35.0以下である。
【0047】
本発明における黒色複合粒子粉末のカーボンブラックの脱離率は15%以下が好ましい。黒色複合粒子粉末のカーボンブラックの脱離率が15%を超える場合には、塗料の製造時において、脱離したカーボンブラックにより均一な分散が阻害される場合があると共に、得られる磁気記録媒体の表面性が低下する。より好ましくは12%以下、更により好ましくは10%以下である。
【0048】
次に、本発明に係る磁気記録媒体について述べる。
【0049】
本発明に係る磁気記録媒体は、非磁性支持体、該非磁性支持体上に形成された非磁性下地層及び該非磁性下地層上に形成された磁気記録層及び非磁性支持体の一方の面に形成される磁気記録層に対し、非磁性支持体の他方の面に形成されたバックコート層からなる。
【0050】
本発明における非磁性支持体としては、現在、磁気記録媒体に汎用されているポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、芳香族ポリアミド、芳香族ポリイミド、芳香族ポリアミドイミド、ポリスルフォン、セルローストリアセテート、ポリベンゾオキサゾール等の合成樹脂フィルム、アルミニウム、ステンレス等金属の箔や板及び各種の紙を使用することができる。得られる磁気記録媒体の強度を考慮すれば、ポリエステル類、ポリアミド又は芳香族ポリアミドが好ましい。
【0051】
非磁性支持体の厚みは、その材質及び用途により種々異なるが、通常好ましくは1.0〜300μm、より好ましくは2.0〜200μmである。殊に、記録容量を上げるために薄層化する傾向にあるコンピュータ記録用のバックアップテープの場合、その厚みは、通常1.0〜7.0μmが好ましく、より好ましくは2.0〜6.0μmである。
【0052】
本発明における非磁性下地層は、非磁性粒子粉末及び結合剤樹脂を含んでいる。
【0053】
非磁性下地層用非磁性粒子粉末としては、通常、磁気記録媒体用非磁性下地層に用いられる非磁性無機質粒子粉末を使用することができる。具体的には、ヘマタイト、含水酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化タングステン、二酸化ケイ素、α−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、酸化クロム、酸化セリウム、炭化ケイ素、チタンカーバイト、窒化ケイ素、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二硫化モリブデン、チタン酸バリウム等を単独又は組み合わせて用いることができ、殊に、ヘマタイト、含水酸化鉄、酸化チタン等が好ましい。
【0054】
なお、非磁性塗料製造時におけるビヒクル中での分散性改善のため、必要により、これら非磁性粒子粉末の粒子表面をアルミニウムの水酸化物、アルミニウムの酸化物、ケイ素の水酸化物、ケイ素の酸化物等で表面処理してもよく、また、得られる磁気記録媒体の光透過率、表面電気抵抗値、機械的強度、表面平滑性、耐久性等の諸特性改善のため、必要により、粒子内部にAl、Ti、Zr、Mn、Sn、Sb等を含有させてもよい。
【0055】
非磁性粒子粉末には各種形状の粒子があり、球状、粒状、八面体状、六面体状、多面体状等の粒状粒子粉末、針状、紡錘状、米粒状等の針状粒子粉末及び板状粒子粉末等がある。得られる磁気記録媒体の表面平滑性を考慮すれば、非磁性粒子粉末の粒子形状は針状が好ましい。
【0056】
非磁性粒子粉末の粒子サイズは、粒子形状が粒状の場合、平均一次粒子径が0.01〜0.3μm、好ましくは0.015〜0.25μm、より好ましくは0.02〜0.2μmであり、粒子形状が針状の場合、平均一次長軸径が0.01〜0.3μm、好ましくは0.015〜0.25μm、より好ましくは0.02〜0.2μmであり、粒子形状が板状の場合、平均一次粒子径が0.01〜0.3μm、好ましくは0.015〜0.25μm、より好ましくは0.02〜0.2μmである。
【0057】
また、粒子形状が針状の場合、軸比が2〜20、好ましくは2.5〜15、より好ましくは3〜10であり、粒子形状が板状の場合、板状比が2〜50、好ましくは2.5〜20、より好ましくは3〜10である。
【0058】
結合剤樹脂としては、磁気記録媒体の製造にあたって汎用されている熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化型樹脂等を単独又は組み合わせて用いることができる。具体的には、熱可塑性樹脂としては、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、アクリル酸エステル−スチレン共重合体、メタクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、メタクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステル−スチレン共重合体、ウレタンエラストマー、ナイロン−シリコーン系樹脂、ニトロセルロース−ポリアニド樹脂、ポリフッ化ビニル、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、ニトロセルロース等セルロース誘導体、スチレン−ブタジエン共重合体、(飽和)ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、クロロビニルエーテル−アクリル酸共重合体、アミノ樹脂、ポリブタジエン等の合成ゴム系樹脂を用いることができる。熱硬化性樹脂及び電子線硬化型樹脂としては、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、(不飽和)ポリエステル樹脂、ポリウレタンカーボネート樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、シリコン樹脂、ポリイソシアネート、電子線硬化型アクリルウレタン樹脂等を用いることができる。また、各結合剤樹脂には極性基として、−COOM、−SO3M及び−OPO2M2(但し、MはH、アルカリ金属、アルカリ土類金属又は炭化水素基である。)等の酸性基、リン酸エステル類及びアルキルベタイン型の両性類基、−OH、−NH2等が含まれていてもよい。粒子粉末のビヒクル中における分散性を考慮すれば、極性基として−COOM、−SO3M又はアルキルベタイン型両性類基が含まれている結合剤樹脂が好ましい。
【0059】
非磁性粒子粉末と結合剤樹脂との配合割合は、非磁性粒子粉末100重量部に対して結着剤樹脂が5〜100重量部、好ましくは10〜75重量部である。
【0060】
尚、非磁性下地層に、磁気記録媒体の製造に通常用いられている潤滑剤、研磨材、帯電防止剤等を添加してもよい。
【0061】
非磁性支持体上に形成された非磁性下地層のカレンダー処理後の塗膜厚さは、0.1〜5.0μmが好ましく、より好ましくは0.3〜4.0μmであり、更により好ましくは0.5〜3.0μmである。殊に、記録容量を上げるために薄層化する傾向にあるコンピュータデータ記録用のバックアップテープの場合、その厚みは、通常0.1〜3.0μmが好ましく、より好ましくは0.3〜2.5μm、更により好ましくは0.5〜2.0μmである。0.1μm未満の場合には、非磁性支持体の表面粗さを改善することが困難となると共に、得られる磁気記録媒体の強度も不十分となりやすい。5.0μmを超える場合には、磁気記録媒体の薄層化が困難となるため好ましくない。
【0062】
本発明における磁気記録層は、磁性粒子粉末及び結合剤樹脂を含んでいる。
【0063】
磁性粒子粉末としては、マグヘマイト粒子粉末(γ−Fe2O3)やマグネタイト粒子粉末(FeO x・Fe2O3、0<x≦1)等の磁性酸化鉄粒子粉末にCo又はCo及びFeを被着させたCo被着型磁性酸化鉄粒子粉末、前記Co被着型磁性酸化鉄粒子粉末にFe以外のCo、Al、Ni、P、Zn、Si、B、希土類金属等の異種元素を含有させたCo被着型磁性酸化鉄粒子粉末、鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末、鉄以外のCo、Al、Ni、P、Zn、Si、B、希土類金属等を含有する鉄合金磁性粒子粉末、Ba、Sr、又はBa−Srを含有する板状マグネトプランバイト型フェライト粒子粉末並びにこれらにCo、Ni、Zn、Mn、Mg、Ti、Sn、Zr、Nb、Cu、Mo等の2価及び4価の金属から選ばれた保磁力低減剤の一種又は二種以上を含有させた板状マグネトプランバイト型フェライト粒子粉末等のいずれをも用いることができる。
【0064】
尚、近年の短波長記録、高密度記録を考慮すれば、鉄を主成分とする針状金属磁性粒子粉末、鉄以外のCo、Al、Ni、P、Zn、Si、B、希土類金属等を含有する針状鉄合金磁性粒子粉末、板状マグネトプランバイト型フェライト粒子粉末等が好ましい。
【0065】
磁性粒子粉末は、平均一次長軸径(板状粒子の場合は平均一次粒子径)が0.01〜0.50μmであることが好ましく、より好ましくは0.03〜0.30μmである。該磁性粒子粉末の粒子の形状は針状もしくは板状が好ましい。ここで「針状」とは、文字通りの針状はもちろん、紡錘状や米粒状等を含む意味である。
【0066】
また、磁性粒子粉末の粒子形状が針状の場合、軸比は3.0以上が好ましく、より好ましくは5.0以上であり、ビヒクル中における分散性を考慮すれば、その上限値は15.0が好ましく、より好ましくは10.0である。
【0067】
磁性粒子粉末の粒子形状が板状の場合、板状比(粒子の平均一次粒子径と粒子の平均一次厚みの比)(以下、「板状比」という。)は2.0以上であることが好ましく、より好ましくは3.0以上であり、ビヒクル中における分散性を考慮すれば、その上限値は20.0が好ましく、より好ましくは15.0である。
【0068】
磁性粒子粉末の磁気特性は、保磁力値が39.8〜318.3kA/m(500〜4000Oe)、好ましくは43.8〜318.3kA/m(550〜4000Oe)であって、飽和磁化値が40〜200Am2/kg(40〜200emu/g)、好ましくは50〜180Am2/kg(50〜180emu/g)である。
【0069】
高密度記録化等を考慮して、磁性粒子粉末として鉄を主成分とする針状金属磁性粒子粉末又は針状鉄合金磁性粒子粉末を用いた場合の磁気特性は、保磁力値が63.7〜278.5kA/m(800〜3500Oe)、好ましくは71.6〜278.5kA/m(900〜3500Oe)、飽和磁化値が90〜200Am2/kg(90〜200emu/g)、好ましくは90〜180Am2/kg(100〜180emu/g)である。
【0070】
結合剤樹脂としては、前記非磁性下地層を形成するために用いた結合剤樹脂を使用することができる。
【0071】
磁性粒子粉末と結合剤樹脂との配合割合は、磁性粒子粉末100重量部に対して結合剤樹脂が5〜100重量部、好ましくは10〜75重量部である。
【0072】
尚、磁気記録層に、磁気記録媒体の製造に通常用いられている潤滑剤、研磨材等を添加してもよい。
【0073】
非磁性下地層上に設けられた磁気記録層のカレンダー処理後の塗膜厚さは、0.01〜2.0μmが好ましく、より好ましくは0.02〜1.5μmであり、更により好ましくは0.02〜1.0μmである。殊に、記録容量を上げるために薄層化する傾向にあるコンピュータデータ記録用のバックアップテープの場合、その厚みは、通常0.01〜0.30μmが好ましく、より好ましくは0.02〜0.20μmである。0.01μm未満の場合には、均一な塗布が困難であり、塗りむら等の現象が出やすくなるため好ましくない。2.0μmを超える場合には、反磁界の影響により再生出力が小さくなるため好ましくない。
【0074】
本発明におけるバックコート層は、結合剤樹脂本発明に係る磁気記録媒体用フィラー材及び帯電防止剤を含んでいる。また、必要に応じて、通常の磁気記録媒体の製造に用いられる潤滑剤、研磨剤等が含まれていてもよい。
【0075】
結合剤樹脂としては、前記非磁性下地層を形成するために用いた結合剤樹脂を使用することができる。
【0076】
帯電防止剤としては、カーボンブラック、グラファイト、酸化スズ、酸化チタン−酸化スズ−酸化アンチモン等の導電性粉末及び界面活性剤等を用いることができる。
【0077】
コンピュータデータ記録用のバックアップテープの中でも、高記録容量化のために記録トラック幅を狭くした場合には、オフトラックによる再生出力の低下が問題となるため、トラックサーボが必要となる。トラックサーボ方式には磁気記録層又はバックコート層にサーボトラックバンドを形成し、それを磁気的に読み取ってサーボトラッキングする磁気サーボ方式とバックコート層に凹部アレイからなるサーボトラックバンドをレーザー照射等で形成し、それを光学的に読み取ってサーボトラッキングする光学サーボ方式がある。
【0078】
殊に、バックコート層にサーボトラックバンドを形成する磁気サーボ方式の場合には、無機粒子粉末に加えて、磁性粒子粉末を含有させることが必須となる。磁性粒子粉末としては、前記磁性層に用いた磁性粒子粉末を使用することができる。
【0079】
帯電防止剤と前記無機粉末の合計量と結合剤樹脂との配合割合は、結合剤樹脂100重量部に対して帯電防止剤と前記無機粉末の合計量として40〜250重量部、好ましくは50〜200重量部である。
【0080】
バックコート層のカレンダー処理後の塗膜厚さは、0.1〜4.0μmが好ましく、より好ましくは0.2〜2.0μmであり、更により好ましくは0.2〜1.5μmである。0.1μm未満の場合には、バックコート層の強度が不十分となり、また、塗りむら等の現象が出やすくなるため好ましくない。4.0μmを超える場合には、バックコート層の膜厚が厚すぎるため、テープ全厚が厚くなり、高記録容量化が困難となる。
【0081】
本発明に係る磁気記録媒体は、保磁力値は39.8〜318.3kA/m(500〜4000Oe)が好ましく、より好ましくは43.8〜318.3kA/m(550〜4000Oe)、角型比Br/Bmは0.70〜0.95が好ましく、より好ましくは0.74〜0.95、塗膜の光沢度は170〜300%が好ましく、より好ましくは175〜300%、塗膜の表面粗度Raは11.0nm以下が好ましく、より好ましくは2.0〜10.5nm、更に好ましくは2.0〜10.0nm、ヤング率は128〜160が好ましく、より好ましくは130〜160、表面電気抵抗値は5.0×1010Ω/cm2以下が好ましく、より好ましくは2.5×1010Ω/cm2以下、更に好ましくは1.0×1010Ω/cm2以下、耐久性のうち走行耐久性は20分以上、好ましくは22分以上、すり傷特性はA又はB、好ましくはAであり、ドロップアウト(D/O)は20個/msec以下が好ましく、より好ましくは18個/msec以下である。
【0082】
高記録容量化を考慮して、磁性粒子粉末として鉄を主成分とする針状金属磁性粒子粉末、針状鉄合金磁性粒子粉末又は板状マグネトプランバイト型フェライト粒子粉末を用いた場合には、保磁力値は63.7〜〜318.3kA/m(800〜4000Oe)が好ましく、より好ましくは71.6〜318.3kA/m(900〜4000Oe)、角型比は0.72〜0.95が好ましく、より好ましくは0.76〜0.95、塗膜の光沢度は190〜300%が好ましく、より好ましくは195〜300%、塗膜の表面粗度Raは9.0nm以下が好ましく、より好ましくは2.0〜8.5nm、更に好ましくは2.0〜8.0nm、ヤング率は128〜160が好ましく、より好ましくは130〜160、表面電気抵抗値は5.0×1010Ω/cm2以下が好ましく、より好ましくは2.5×1010Ω/cm2以下、更に好ましくは1.0×1010Ω/cm2以下、耐久性のうち走行耐久性は20分以上、好ましくは22分以上、すり傷特性はA又はB、好ましくはAであり、ドロップアウト(D/O)は20個/msec以下が好ましく、より好ましくは18個/msec以下である。
【0083】
次に、本発明における黒色複合粒子粉末の製造法について述べる。
【0084】
本発明における黒色複合粒子粉末は、芯粒子粉末と表面改質剤とを混合し、芯粒子粉末の粒子表面を表面改質剤によって被覆し、次いで、表面改質剤によって被覆された芯粒子粉末とカーボンブラックとを混合した後、粉砕・分級することによって得ることができる。
【0085】
芯粒子の粒子表面への表面改質剤による被覆は、芯粒子粉末と表面改質剤とを機械的に混合攪拌したり、芯粒子粉末に表面改質剤を噴霧しながら機械的に混合攪拌すればよい。添加した表面改質剤は、ほぼ全量が芯粒子の粒子表面に被覆される。
【0086】
尚、表面改質剤としてアルコキシシラン又はフルオロアルキルシランを用いた場合、被覆されたアルコキシシラン又はフルオロアルキルシランは、その一部が被覆工程を経ることによって生成する、アルコキシシランから生成するオルガノシラン化合物又はフルオロアルキルシランから生成するフッ素含有オルガノシラン化合物として被覆されていてもよい。この場合においてもその後のカーボンブラックの付着に影響することはない。
【0087】
尚、表面改質剤を均一に芯粒子の粒子表面に被覆するためには、芯粒子粉末の凝集をあらかじめ粉砕機を用いて解きほぐしておくことが好ましい。
【0088】
芯粒子粉末と表面改質剤との混合攪拌、カーボンブラックと粒子表面に表面改質剤が被覆されている芯粒子粉末との混合攪拌をするための機器としては、粉体層にせん断力を加えることのできる装置が好ましく、せん断、へらなで及び圧縮が同時に行える装置、例えば、ホイール形混練機、ボール型混練機、ブレード型混練機、ロール型混練機を用いることができる。本発明の実施にあたっては、ホイール型混練機がより効果的に使用できる。
【0089】
上記ホイール型混練機としては、具体的に、エッジランナー(「ミックスマラー」、「シンプソンミル」、「サンドミル」と同義語である)、マルチマル、ストッツミル、ウエットパンミル、コナーミル、リングマラー等があり、好ましくはエッジランナー、マルチマル、ストッツミル、ウエットパンミル、リングマラーであり、より好ましくはエッジランナーである。上記ボール型混練機としては、具体的に、振動ミル等がある。前記ブレード型混練機としては、具体的に、ヘンシェルミキサー、プラネタリーミキサー、ナウタミキサー等がある。前記ロール型混練機としては、具体的に、エクストルーダー等がある。
【0090】
芯粒子粉末と表面改質剤との混合攪拌時における条件は、芯粒子の粒子表面に表面改質剤ができるだけ均一に被覆されるように、線荷重は19.6〜1960N/cm(2〜200Kg/cm)、好ましくは98〜1470N/cm(10〜150Kg/cm)、より好ましくは147〜980N/cm(15〜100Kg/cm)、処理時間は5分〜24時間が好ましく、より好ましくは10分〜20時間の範囲で処理条件を適宜調整すればよい。尚、撹拌速度は2〜2000rpm、好ましくは5〜1000rpm、より好ましくは10〜800rpmの範囲で処理条件を適宜調整すればよい。
【0091】
表面改質剤の添加量は、芯粒子粉末100重量部に対して0.15〜45重量部が好ましい。0.15〜45重量部の添加量により、芯粒子粉末100重量部に対してカーボンブラックを0.1〜50重量部付着させることができる。
【0092】
芯粒子粉末の粒子表面に表面改質剤を被覆した後、カーボンブラックを添加し、混合攪拌して該表面改質剤被覆にカーボンブラックを付着させる。必要により更に、乾燥乃至加熱処理を行ってもよい。
【0093】
カーボンブラックは、少量ずつを時間をかけながら、殊に5〜24時間程度をかけて添加するか、もしくは芯粒子粉末100重量部に対して5〜25重量部のカーボンラックを所望の量となるまで分割して添加することが好ましい。
【0094】
混合攪拌時における条件は、カーボンブラックが均一に付着するように処理条件を適宣選択すればよく、線荷重は19.6〜1960N/cm(2〜200Kg/cm)が好ましく、より好ましくは98〜1470N/cm(10〜150Kg/cm)、最も好ましくは147〜980N/cm(15〜100Kg/cm)であり、処理時間は5〜24時間が好ましく、より好ましくは10〜20時間の範囲であり、撹拌速度は2〜2000rpmが好ましく、より好ましくは5〜1000rpm、最も好ましくは10〜800rpmの範囲で処理条件を適宜調整すればよい。
【0095】
カーボンブラックの添加量は、芯粒子粉末100重量部に対して0.1〜500重量部である。
【0096】
得られた黒色複合粒子粉末を粉砕するための機器としては、微粉砕機もしくは超微粉砕機を用いることが好ましく、例えば、ローラミル、衝撃式粉砕機、ボールミル、攪拌ミル、ジェット粉砕機等を用いることが好ましい。ジェット粉砕機及び衝撃式粉砕機がより効果的に使用できる。
【0097】
前記ジェット粉砕機としては、旋回流型ジェットミル、流動層型ジェットミル等があり、好ましくは流動層型ジェットミルである。衝撃式粉砕機としては、ハンマミル、ピンミル、スクリーンミル、ターボ型ミル、遠心分級型ミル等があり、好ましくはピンミルである。ローラミルとしては、リングローラミル、遠心ローラミル等がある。ボールミルとしては、転動ボールミル、振動ボールミル、遊星ミル等がある。攪拌ミルとしては、攪拌槽型ミル、流通管型ミル、アニュラミル等がある。
【0098】
粉砕後の黒色複合粒子粉末を分級するための機器としては、乾式分級機を用いることが好ましく、例えば、重力分級機、慣性分級機、遠心分級機等を用いることが好ましい。遠心分級機がより効果的に使用できる。
【0099】
前記遠心分級機としては、サイクロン、クラシクロン、スターテバント型、ミクロンセパレータ、ターボプレックス、タボクラシファイヤ、スーパセパレータ、ディスパージョンセパレータ等があり、好ましくはターボプレックス、ミクロンセパレータである。重力分級機としては、水平流型、垂直流型、傾斜流型がある。慣性分級機としては、直線型、曲線型、傾斜型等がある。
【0100】
粉砕・分級における条件は、目的とする体積平均粒子径が得られるように処理条件を適宜選択すればよい。
【0101】
乾燥乃至加熱処理を行う場合の加熱温度は、通常40〜150℃が好ましく、より好ましくは60〜120℃であり、加熱時間は、10分〜12時間が好ましく、30分〜3時間がより好ましい。
【0102】
尚、表面改質剤としてアルコキシシラン又はフルオロアルキルシランを用いた場合には、これらの工程を経ることにより、最終的にはアルコキシシランから生成するオルガノシラン化合物又はフルオロアルキルシランから生成するフッ素含有オルガノシラン化合物となって被覆されている。
【0103】
次に、本発明に係る磁気記録媒体の製造法について述べる。
【0104】
前記非磁性下地層、前記磁気記録層及び前記バックコート層の形成にあたって用いる溶剤としては、磁気記録媒体に汎用されているアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン及びテトラヒドロフラン等のケトン類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブチルアルコール及びイソプロピルアルコール等のアルコール類、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル及び酢酸グリコール等のエステル類、グリコールジメチルエーテル、グリコールモノエチルエーテル及びジオキサン等のグリコールエーテル類及びその混合物等を使用することができる。
【0105】
溶剤の使用量は、粒子粉末100重量部に対してその総量で65〜1000重量部である。65重量部未満では塗料とした場合に粘度が高くなりすぎ塗布が困難となる。1000重量部を超える場合には、塗膜を形成する際の溶剤の揮発量が多くなりすぎ工業的に不利となる。
【0106】
非磁性下地層、磁気記録層、バックコート層は、各層を構成する成分及び溶剤を一般に使用される混練機及び分散機により混練・分散処理を行い、各塗料を作製する。該各塗料を用いて、非磁性支持体上の一面に非磁性下地層、磁気記録層の順に塗布し乾燥する。次いで、非磁性下地層及び磁気記録層とは反対面の非磁性支持体上にバックコート層用塗料を塗布・乾燥後、カレンダー処理を行う。その際の塗布方法としては、磁性層と非磁性層をほぼ同時に塗布するWet onWet法でも、非磁性下地層を塗布・乾燥後、その上に磁気記録層を塗布するWet on Dry法のどちらでもよい。
【0107】
【発明の実施の形態】
粒子の平均一次長軸径、平均一次短軸径、平均一次厚み及び平均一次粒子径は、粒子のサイズにより電子顕微鏡写真(×30,000)又は(×50,000)を選択し、該写真を縦方向及び横方向にそれぞれ4倍に拡大した写真に示される粒子約350個について一次長軸径、一次短軸径又は一次粒子径をそれぞれ測定し、その平均値で示した。
【0108】
軸比は平均一次長軸径と平均一次短軸径との比で示し、板状比は平均一次粒子径と平均一次厚みの比で示した。
【0109】
比表面積値はBET法により測定した値で示した。
【0110】
板状マグネトプランバイト型フェライト粒子粉末のTi量、Ni量及びFe量は、「蛍光X線分析装置3063M型」(理学電機工業株式会社製)を使用し、JIS K0119の「けい光X線分析通則」に従って測定した。
【0111】
芯粒子粉末の粒子表面に被覆されている表面改質剤の被覆量及び芯粒子粉末に付着しているカーボンブラックの付着量は、「堀場金属炭素・硫黄分析装置EMIA−2200型」(株式会社堀場製作所製)を用いて炭素量を測定することにより求めた。
【0112】
芯粒子粉末及び黒色複合粒子粉末の体積平均粒子径(D50)、体積粒子径D84及び体積粒子径D99は、「レーザー回折式粒度分布測定装置 modelHELOS LA/KA」(SYMPATEC社製)の乾式分散ユニットを用いて、分散圧0.1MPa(1bar)にて測定した。なお、D50は粒子粉末の全体積を100%として粒子径に対する累積割合を求めたときの累積割合が50%となる粒子径であり、D84は粒子粉末の全体積を100%として粒子径に対する累積割合を求めたときの累積割合が84%となる粒子径であり、D99は粒子粉末の全体積を100%として粒子径に対する累積割合を求めたときの累積割合が99%となる粒子径である。
【0113】
芯粒子粉末及び黒色複合粒子粉末の体積粒子径の幾何標準偏差値(D84/D50)は、上記「レーザー回折式粒度分布測定装置 model HELOSLA/KA」(SYMPATEC社製)を用いて得られた体積平均粒子径(D50)と体積粒子径D84を用い、下記数1に従って求めた。体積粒子径の幾何標準偏差値が1に近いほど、挙動粒子径の粒度分布が優れていることを意味する。
【0114】
【数1】
体積粒子径の幾何標準偏差値(D84/D50)=体積粒子径D84/体積平均粒子径(D50)
【0115】
芯粒子粉末の色相、カーボンブラック及び黒色複合粒子粉末の黒色度は、試料0.5gとヒマシ油1.5mlとをフーバー式マーラーで練ってペースト状とし、このペーストにクリアラッカー4.5gを加え、混練、塗料化してキャストコート紙上に150μm(6mil)のアプリケーターを用いて塗布した塗布片(塗膜厚み:約30μm)を作製し、該塗料片について、「分光測色計CM−3610d」(ミノルタ株式会社製)を用いて、JIS Z 8722に定めるところに従って測定を行い、表色指数で示した。ここでL*値は、明度を表わし、L*値が小さいほど黒色度が高いことを示す。なお、C*値は彩度を表し、下記数2に従って求めることができる。
【0116】
【数2】
C*値=((a*値)2+(b*値)2)1/2
(株式会社堀場製作所製)を用いて炭素量を測定することにより求めた。
【0117】
芯粒子粉末及び複合粒子粉末の各粒子の体積固有抵抗値は、まず、被測定粒子粉末0.5gを測り取り、KBr錠剤成形器(株式会社島津製作所)を用いて、13.72MPa(140Kg/cm2)の圧力で加圧成形を行い、円柱状の被測定試料を作製した。
【0118】
次いで、被測定試料を温度25℃、相対湿度60%環境下に12時間以上暴露した後、この被測定試料をステンレス電極の間にセットし、ホイートストンブリッジ(TYPE2768 横河北辰電気株式会社製)で15Vの電圧を印加して抵抗値R(Ω)を測定した。
【0119】
次いで、被測定(円柱状)試料の上面の面積A(cm2)と厚みt(cm)を測定し、下記数3にそれぞれの測定値を挿入して、体積固有抵抗値(Ω・cm)を求めた。
【0120】
【数3】
体積固有抵抗値(Ω・cm)=R×(A/t)
【0121】
黒色複合粒子粉末に付着しているカーボンブラックの脱離率(%)は、下記の方法により求めた値で示した。カーボンブラックの脱離率が0%に近いほど、黒色複合粒子粉末の粒子表面からのカーボンブラックの脱離量が少ないことを示す。
【0122】
黒色複合粒子粉末3gとエタノール40mlを50mlの沈降管に入れ、20分間超音波分散を行った後、120分静置し、比重差によって黒色複合粒子粉末と脱離したカーボンブラックとを分離した。次いで、この複合粒子粉末に再度エタノール40mlを加え、更に20分間超音波分散を行った後120分静置し、黒色複合粒子粉末と脱離したカーボンブラックを分離した。この複合粒子粉末を80℃で1時間乾燥させ、カーボンブラックの量を測定し、下記数4に従って求めた値をカーボンブラックの脱離率(%)とした。
【0123】
【数4】
カーボンブラックの脱離率(%)={(Wa−We)/Wa}×100
Wa:黒色複合粒子粉末のカーボンブラック付着量
We:脱離テスト後の黒色複合粒子粉末のカーボンブラック付着量
【0124】
磁性粒子粉末の磁気特性は、「振動試料型磁力計VSM−3S−15」(東英工業株式会社製)を用いて外部磁場795.8kA/m(10kOe)の下で測定した値であり、磁気テープの諸特性は外部磁場795.8kA/m(10kOe)の下で測定した結果である。
【0125】
塗膜の表面光沢は、「グロスメーター UGV−5D」(スガ試験機株式会社製)を用いて入射角45°で測定した値であり、標準板光沢を86.3%とした時の値を%で示したものである。
【0126】
表面粗度Raは、「Surfcom−575A」(東京精密株式会社製)を用いて塗膜の中心線平均粗さを測定した。
【0127】
塗膜の強度は、「オートグラフ」(株式会社島津製作所製)を用いて塗膜のヤング率を測定して求めた。ヤング率は市販ビデオテープ「AV T−120」(日本ビクター株式会社製)との相対値で表した。相対値が高いほど塗膜の強度が良好であることを示す。
【0128】
塗膜の表面電気抵抗値は、被測定塗膜を温度25℃、相対湿度60%環境下に12時間以上暴露した後、幅6.5mmの金属製の電極に、幅6mmにスリットした塗膜を塗布面が金属製電極に接触するように置き、その両端に各170gのおもりを付け、電極に塗膜を密着させた後、電極間に500Vの直流電圧をかけて表面電気抵抗値を測定した。
【0129】
磁気記録媒体の走行耐久性は、「Media Durability Tester MDT−3000」(Steinberg Associates社製)を用いて、負荷1.96N(200gw)、ヘッドとテープとの相対速度16m/sにおける実可動時間で評価した。実可動時間が長いほど走行耐久性が良いことを示す。
【0130】
すり傷特性は、走行後のテープの表面を顕微鏡で観察し、すり傷の有無を目視で評価し、下記の4段階の評価を行った。
A:すり傷なし
B:すり傷若干有り
C:すり傷有り
D:ひどいすり傷有り
【0131】
磁気記録媒体のドロップアウトは、磁気テープを「ドラムテスターBX−3168」(ベルデックス社製)にかけ、相対速度2.5m/secにおいて得られるエンベロープより、単位時間当たりのドロップアウトの個数をカウントすることにより求めた。
【0132】
磁気記録媒体を構成する非磁性支持体、非磁性下地層及び磁気記録層の各層の厚みは、下記のようにして測定した。
【0133】
「デジタル電子マイクロメーター K351C」(安立電気株式会社製)を用いて、先ず、非磁性支持体の膜厚(A)を測定する。次に、非磁性支持体と該非磁性支持体上に形成された非磁性下地層との厚み(B)(非磁性支持体の厚みと非磁性下地層の厚みとの総和)を同様にして測定する。更に、非磁性下地層上に磁気記録層を形成することにより得られた磁気記録媒体の厚み(C)(非磁性支持体の厚みと非磁性下地層の厚みと磁気記録層の厚みとの総和)を同様にして測定する。更に、磁気記録層とは反対の非磁性支持体面に設けたバックコート層との厚み(D)(非磁性支持体の厚みと非磁性下地層の厚みと磁気記録層の厚みとバックコート層の厚みとの総和)を同様にして測定する。そして、非磁性下地層の厚みは(B)−(A)で示し、磁気記録層の厚みは(C)−(B)で示し、バックコート層の厚みは(D)−(C)で示した。
【0134】
<黒色複合粒子粉末の製造>
アルミナ粒子粉末(粒子形状:粒状、平均一次粒子径0.201μm、BET比表面積値12.7m2/g、体積平均粒子径(D50)1.44μm、体積粒子径D84:5.79μm、体積粒子径の幾何標準偏差値(D84/D50)4.02、体積粒子径D99:16.10μm、体積固有抵抗値:5.6×107Ω・cm、L*値94.14、C*値1.13)7.0kgに、メチルハイドロジェンポリシロキサン(商品名:TSF484:GE東芝シリコーン株式会社製)70gを、エッジランナーを稼動させながら粒子の凝集を解きほぐした上記ヘマタイト粒子粉末に添加し、588N/cm(60Kg/cm)の線荷重で30分間混合攪拌を行った。尚、このときの撹拌速度は22rpmであった。
【0135】
次に、カーボンブラック(種類:ファーネスブラック、粒子形状:粒状、平均粒子径0.020μm、BET比表面積値202.3m2/g、L*値26.1)700gを、エッジランナーを稼動させながら10分間かけて添加し、更に588N/cm(60Kg/cm)の線荷重で30分間、混合攪拌を行い、メチルハイドロジェンポリシロキサン被覆にカーボンブラックを付着させた。次いで、流動層型ジェットミル及び遠心分級機を用いて、粉砕・分級を行った後、乾燥機を用いて120℃で60分間乾燥を行い、黒色複合粒子粉末を得た。なお、このときの撹拌速度は22rpmであった。
【0136】
得られた黒色複合粒子粉末の粒子形状は粒状であり、平均一次粒子径は0.203μmであった。BET比表面積値は16.2m2/g、体積平均粒子径(D50)は0.99μm、体積粒子径D84は1.59μm、体積粒子径の幾何標準偏差値(D84/D50)は1.61、体積粒子径D99は2.48μm、黒色度L*値は32.2、体積固有抵抗値は3.1×105Ω・cm、カーボンブラックの脱離率は5.2%であった。メチルハイドロジェンポリシロキサンの被覆量はC換算で0.79重量%、付着しているカーボンブラックの量はC換算で9.15重量%(芯粒子粉末100重量部に対して約10重量部に相当する)であった。電子顕微鏡観察の結果、カーボンブラックがほとんど認められないことから、カーボンブラックのほぼ全量がメチルハイドロジェンポリシロキサン被覆層に付着していることが認められた。
【0137】
<非磁性下地層形成用非磁性塗料の製造>
ヘマタイト粒子粉末(粒子形状:紡錘状、平均一次長軸径0.105μm、平均一次短軸径0.0172μm、軸比6.1、BET比表面積値52.3m2/g)12gとカーボンブラック(商品名:#3250B、三菱化成株式会社製)1.2g、結合剤樹脂溶液(スルホン酸ナトリウム基を有する塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂30重量%とシクロヘキサノン70重量%)及びシクロヘキサノンとを混合して混合物(固形分率72%)を得、この混合物を更にプラストミルで30分間混練して混練物を得た。
【0138】
この混練物を1.5mmφガラスビーズ95g、追加の結合剤樹脂溶液(スルホン酸ナトリウム基を有するポリウレタン樹脂30重量%、溶剤(メチルエチルケトン:トルエン=1:1)70重量%)、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン及びトルエンと共に140mlガラス瓶に添加し、ペイントシェーカーで6時間混合・分散を行って塗料組成物を得た。その後、潤滑剤及び硬化剤を加え、更に、ペイントシェーカーで15分間混合・分散した後、3μmの平均孔径を有するフィルターを用いてろ過し、非磁性下地層用非磁性塗料を調整した。
【0139】
得られた非磁性下地層用非磁性塗料の組成は、下記の通りであった。
【0140】
【0141】
<磁気記録層形成用磁性塗料の製造>
鉄を主成分とする針状金属磁性粒子粉末(平均長軸径0.073μm、平均短軸径0.0118μm、軸比6.2、保磁力値190.2kA/m(2,390Oe)、飽和磁化値131.2Am2/kg(131.2emu/g))12g、カーボンブラック(商品名:#3250B、三菱化成株式会社製)0.6g、研磨剤(商品名:AKP−30、住友化学株式会社製)1.2g、結合剤樹脂溶液(スルホン酸ナトリウム基を有する塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂30重量%とシクロヘキサノン70重量%)及びシクロヘキサノンとを混合して混合物(固形分率78%)を得、この混合物を更にプラストミルで30分間混練して混練物を得た。
【0142】
この混練物を1.5mmφガラスビーズ95g、追加結合剤樹脂溶液(スルホン酸ナトリウム基を有するポリウレタン樹脂30重量%、溶剤(メチルエチルケトン:トルエン=1:1)70重量%)、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン及びトルエンと共に140mlガラス瓶に添加し、ペイントシェーカーで6時間混合・分散を行って磁性塗料を得た。その後、潤滑剤及び硬化剤を加え、更に、ペイントシェーカーで15分間混合・分散した後、3μmの平均孔径を有するフィルターを用いてろ過し、磁気記録層用塗料を調整した。
【0143】
得られた磁気記録層用塗料の組成は下記の通りであった。
鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末 100.0重量部、
スルホン酸ナトリウム基を有する
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂 10.0重量部、
スルホン酸ナトリウム基を有するポリウレタン樹脂 10.0重量部、
カーボンブラック(#3250B) 10.0重量部、
研磨剤(商品名:AKP−30、住友化学株式会社製) 10.0重量部、
潤滑剤(ミリスチン酸:ステアリン酸ブチル=1:2) 3.0重量部、
硬化剤(ポリイソシアネート) 5.0重量部、
シクロヘキサノン 65.8重量部、
メチルエチルケトン 164.5重量部、
トルエン 98.7重量部。
【0144】
<バックコート層形成用塗料の製造>
カーボンブラック(平均一次粒子径:25nm)12.0g、カーボンブラック(平均一次粒子径:370nm)1.8g、前記黒色複合粒子粉末1.8g、結合剤樹脂溶液(ニトロセルロース30重量%とシクロヘキサノン70重量%)及びシクロヘキサノンとを混合して混合物(固形分率78%)を得、この混合物を更にプラストミルで30分間混練して混練物を得た。
【0145】
この混練物を1.5mmφガラスビーズ95g、追加結合剤樹脂溶液(スルホン酸ナトリウム基を有するポリウレタン樹脂30重量%、溶剤(メチルエチルケトン:トルエン=1:1)70重量%)、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン及びトルエンと共に140mlガラス瓶に添加し、ペイントシェーカーで6時間混合・分散を行ってバックコート塗料を得た。その後、潤滑剤及び硬化剤を加え、更に、ペイントシェーカーで15分間混合・分散した後、3μmの平均孔径を有するフィルターを用いてろ過し、バックコート層用塗料を調整した。
【0146】
得られたバックコート層用塗料の組成は下記の通りであった。
カーボンブラック(一次平均粒子径 25nm) 100.0重量部、
カーボンブラック(一次平均粒子径 250nm) 15.0重量部、
黒色複合粒子粉末 15.0重量部、
ニトロセルロース樹脂 55.0重量部、
スルホン酸ナトリウム基を有するポリウレタン樹脂 35.0重量部、
硬化剤(ポリイソシアネート) 18.0重量部、
シクロヘキサノン 325.0重量部、
メチルエチルケトン 655.0重量部、
トルエン 325.0重量部。
【0147】
<磁気記録媒体の製造>
前記非磁性下地層形成用非磁性塗料を厚さ4.5μmの芳香族ポリアミドフィルム上に塗布し、次いで、乾燥させることにより非磁性下地層を形成した後、該非磁性下地層の上に前記磁気記録層形成用磁性塗料を塗布し、磁場中において配向・乾燥し、磁気記録層を形成した。なお、非磁性下地層の膜厚を測定するために、非磁性下地層を塗布後、得られた塗布片の半分に対してカレンダー処理を行った後、60℃で24時間硬化反応を行った。
【0148】
次いで、上記で得られたバックコート層形成用塗料を磁気記録層とは反対面の非磁性支持体上に塗布し、乾燥・カレンダー処理を行った後、60℃で24時間硬化反応を行い、0.5インチ幅にスリットして磁気テープを得た。
【0149】
得られた磁気テープは、非磁性下地層の膜厚が2.3μm、磁気記録層の膜厚が0.2μm、バックコート層の膜厚が0.5μmであった。磁気テープの保磁力値は190.7kA/m(2,396Oe)、角型比(Br/Bm)は0.82、光沢度は210%、表面粗度Raは6.3nm、ヤング率(相対値)は134、表面電気抵抗値は5.6×109Ω/cm2、走行耐久性は30分以上、すり傷特性はAであり、D/Oは13個/msecであった。
【0150】
【作用】
本発明において最も重要な点は、粒子表面にカーボンブラックが付着している白色無機粒子粉末に対して粉砕・分級を行った黒色複合粒子粉末をバックコート層用フィラー材として用いることにより、磁気記録媒体を薄層化しても、十分に低い表面電気抵抗値を有すると共に、表面平滑性及び強度に優れた、ドロップアウトの少ない磁気記録媒体が得られるという事実である。
【0151】
本発明に係る磁気記録媒体が、磁気記録媒体を薄層化しても表面平滑性が優れると共に、ドロップアウトが少なくなる理由として、本発明者は、バックコート層に添加するフィラー材として、挙動粒子径である体積平均粒子径(D50)、体積粒子径D84及び体積粒子径D99の小さい本発明に係る黒色複合粒子粉末を用いることにより、磁気記録媒体を薄層化してもバックコート層の表面上に突出する二次凝集粒子塊を低減することができたことによるものと考えている。
【0152】
【実施例】
次に、実施例及び比較例を示す。
【0153】
芯粒子1〜6:
各種の芯粒子粉末を準備した。
【0154】
得られた芯粒子粉末の諸特性を表1に示す。
【0155】
【表1】
【0156】
カーボンブラック1〜3:
カーボンブラックとして表2に示す諸特性を有するカーボンブラックを用意した。
【0157】
【表2】
【0158】
フィラー材1〜8:
芯粒子の種類、表面改質剤による被覆工程における添加物の種類及び添加量、エッジランナー処理の荷重及び時間、カーボンブラックの種類及び添加量、カーボンブラックの付着工程におけるエッジランナーによる処理の荷重及び時間、粉砕・分級工程の有無を種々変えた以外は、前記発明の実施の形態と同様にして複合粒子粉末を得た。
【0159】
このときの製造条件を表3に、得られた黒色複合粒子粉末の諸特性を表4に示す。
【0160】
【表3】
【0161】
【表4】
【0162】
フィラー材1〜6で得られた黒色複合粒子粉末は、電子顕微鏡観察の結果、カーボンブラックがほとんど認められないことから、カーボンブラックのほぼ全量が芯粒子表面に付着していることが確認された。
【0163】
<磁気記録媒体の製造>
実施例1〜6及び比較例1〜4:
磁気記録層の磁性粒子粉末の種類及びバックコート層のフィラー材の種類を種々変化させた以外は、前記発明の実施の形態と同様にして磁気記録媒体を製造した。
【0164】
尚、使用した磁性粒子1乃至3の諸特性を表5に示す。
【0165】
【表5】
【0166】
このときの製造条件及び得られた磁気記録媒体の諸特性を表6に示す。
【0167】
【表6】
【0168】
【発明の効果】
本発明に係る磁気記録媒体は、バックコート層に添加するフィラー材として、挙動粒子径が小さく、挙動粒子径の粒度分布がシャープである黒色複合粒子粉末を用いることにより、十分に表面電気抵抗値を低減できると共に、表面平滑性及び耐久性に優れたドロップアウトの少ない磁気記録媒体を得ることができるので、高密度磁気記録媒体として好適である。
【産業上の利用分野】
本発明は、磁気記録媒体を薄層化した場合においても十分に低い表面電気抵抗値を有すると共に、表面平滑性及び強度に優れ、ドロップアウトが低減した磁気記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、オーディオ用、ビデオ用、コンピューター用の磁気記録再生用機器の小型軽量化、長時間記録化、高密度記録化、及び記録容量の増大化が求められており、以前と比べ、記録されるキャリアー信号の周波数が短波長領域に移行し、磁気テープの表面からの磁化深度が著しく浅くなると共に、磁気記録媒体の高出力特性、殊に、S/N比を向上させるために、磁気記録層を薄層化する傾向にある。
【0003】
また、オーディオテープやビデオテープの更なる長時間記録化及びパーソナルコンピュータやオフィスコンピュータの普及から外部記憶媒体としてデータを記録するための磁気テープ(バックアップテープ)のより一層の記録容量向上が強く要求されているが、テープ1巻当たりの大きさが規定されているオーディオ、ビデオテープ及びバックアップテープの場合、長時間記録化や高記録容量化のためには、テープ全厚を薄くして1巻当たりのテープ長さを長くする必要がある。そのため、磁気記録媒体を構成する磁気記録層、非磁性下地層、バックコート層及び非磁性支持体等の各層において、薄層化することが要求されている。
【0004】
バックコート層は、一般に、磁気記録層の平滑化による巻き乱れ、走行性の低下を防止すると共に、磁気記録媒体全体の薄層化による塗膜強度の低下を抑止することを目的に、非磁性支持体の磁気記録層とは反対の面に設けられており、帯電防止、摩擦係数低減及び走行安定性のためにカーボンブラックや無機顔料粉体等のフィラー材を添加することが知られている。しかしながら、バックコート層を薄層化した場合、これらフィラー材の分散レベルが磁気記録媒体の表面平滑性及び走行性に大きく影響し、従来の膜厚では問題とならなかったフィラー材の分散粒子径であっても、薄層化することにより磁気記録媒体の表面平滑性が悪くなり、塗膜の強度低下やドロップアウトが発生しやすくなる。
【0005】
従来、バックコート層に添加されるフィラー材の諸特性改善のために種々の試みがなされており、フィラー材として板状ヘマタイト粒子粉末の粒子表面に、当該粒子粉末100重量部に対して1〜30重量部のカーボンブラックが付着されている板状非磁性複合粒子粉末を使用すること(特許文献1)が知られている。
【0006】
また、ゴム組成物の機械的強度を向上させるため、シリカ粒子粉末の粒子表面に、当該粒子粉末100重量部に対して1〜1000重量部のカーボンブラックが付着されている黒色複合充填剤(特許文献2)が知られている。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−331928号公報
【特許文献2】
特開2002−338846号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
磁気記録層を薄層化しても、十分に低い表面電気抵抗値を有すると共に、表面平滑性及び強度に優れた、ドロップアウトの少ない磁気記録媒体は、現在最も要求されているところであるが、未だ得られていない。
【0009】
即ち、前出特許文献1には板状ヘマタイト粒子粉末の粒子表面にカーボンブラックが付着された非磁性粒子粉末が記載されているが、単にカーボンブラックを付着させただけでは挙動粒子径を小さくすることができず、従来の厚さのバックコート層であれば使えるレベルであるが、薄層化した場合には、十分に表面平滑性を低減することができないため、ドロップアウトを改善することができない。
【0010】
特許文献2には、シリカ粒子粉末の粒子表面にカーボンブラックが付着された黒色複合充填剤が記載されているが、上記と同様、単にカーボンブラックを付着させただけでは挙動粒子径を小さくすることは困難である。また、該黒色複合充填剤はゴム組成物の機械的強度の向上を目的としたものであり、磁気記録媒体の表面平滑性を向上させると共に、ドロップアウトを低減させるための技術とは異なるものである。
【0011】
【課題を解決する為の手段】
前記技術的課題は、次の通りの本発明によって達成できる。
【0012】
即ち、本発明は、非磁性支持体、該非磁性支持体上に形成された非磁性下地層及び該非磁性下地層上に形成された磁気記録層及び前記非磁性支持体の他方の面に形成されるバックコート層からなる磁気記録媒体において、前記バックコート層に、白色無機粒子粉末の粒子表面にカーボンブラックが付着している黒色複合粒子粉末からなり、前記複合粒子粉末の平均一次粒子径が0.005〜0.5μmであることを特徴とする磁気記録媒体用フィラー材を含有することを特徴とする磁気記録媒体である(本発明1)。
【0013】
また、本発明は、前記本発明1記載の磁気記録媒体において、磁気記録媒体用フィラー材が、白色無機粒子粉末の粒子表面にカーボンブラックが付着している黒色複合粒子粉末からなり、黒色複合粒子粉末の体積平均粒子径(D50)が2.00μm以下、体積粒子径の幾何標準偏差値(D84/D50)が2.2以下であることを特徴とする磁気記録媒体である(本発明2)。
【0014】
また、本発明は、前記本発明1記載の磁気記録媒体において、磁気記録媒体用フィラー材が、白色無機粒子粉末の粒子表面が表面改質剤によって被覆されていると共に該表面改質剤被覆粒子表面にカーボンブラックが付着している黒色複合粒子粉末からなり、黒色複合粒子粉末の体積平均粒子径(D50)が2.00μm以下、体積粒子径の幾何標準偏差値(D84/D50)が2.2以下であることを特徴とする磁気記録媒体である(本発明3)。
【0015】
次に、本発明の構成をより詳しく説明すれば次の通りである。
【0016】
先ず、本発明における磁気記録媒体用フィラー材(以下、「黒色複合粒子粉末」という。)について述べる。
【0017】
本発明における磁気記録媒体用フィラー材は、芯粒子である白色無機粒子の粒子表面に、カーボンブラックが付着している黒色複合粒子粉末からなる。
【0018】
本発明における白色無機粒子としては、二酸化チタン、酸化ジルコニウム及び酸化亜鉛等の白色顔料、シリカ微粒子(シリカ粉、ホワイトカーボン、微粉ケイ酸、珪藻土等)、クレー、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、タルク及び透明性酸化チタン等の体質顔料等の白色無機顔料が挙げられる。これらは、単独で用いても、混合して用いてもよい。
【0019】
本発明における芯粒子の粒子形状は、針状、紡錘状、米粒状、球状、粒状、多面体状、フレーク状、鱗片状及び板状等のいずれの形状であってもよい。ビヒクル中における分散性を考慮すれば、球形度(平均粒子径/平均最短径)(以下、「球形度」という。)が1.0以上2.0未満の球状粒子又は粒状粒子が好ましい。
【0020】
本発明における芯粒子粉末の平均一次粒子径は0.005〜0.50μmが好ましい。平均一次粒子径が0.005μm未満の場合には、粒子の微細化による分子間力の増大により凝集を起こしやすいため、芯粒子表面への表面改質剤及び/又はカーボンブラックによる均一な付着処理が困難となる。平均一次粒子径が0.50μmを超える場合には、得られる黒色複合粒子もまた粗大粒子となるため、塗膜の表面平滑性が損なわれやすい。より好ましくは0.01〜0.45μm、更により好ましくは0.01〜0.40μmである。
【0021】
本発明における芯粒子粉末のBET比表面積値は1〜500m2/gが好ましい。BET比表面積値が1m2/g未満の場合には、芯粒子粉末が粗大であり、得られる黒色複合粒子もまた粗大粒子となるため、塗膜の表面平滑性が損なわれやすい。BET比表面積値が500m2/gを超える場合には、粒子の微細化による分子間力の増大により凝集を起こしやすいため、芯粒子表面への表面改質剤及び/又はカーボンブラックによる均一な付着処理が困難となる。より好ましくは3〜400m2/g、更により好ましくは5〜300m2/gである。
【0022】
体積平均粒子径(D50)が低い黒色複合粒子粉末を得るためには、本発明における芯粒子粉末の体積平均粒子径(D50)もまた可能な限り低いものが好ましく、その上限は好ましくは5.00μmであり、より好ましくは4.50μm、更により好ましくは4.00μmである。
【0023】
体積平均粒子径D84が低い黒色複合粒子粉末を得るためには、本発明における芯粒子粉末の体積平均粒子径D84もまた可能な限り低いものが好ましく、その上限値は、好ましくは9.00μmであり、より好ましくは8.50μm、更により好ましくは8.00μmである。
【0024】
本発明における芯粒子粉末の体積平均粒子径D99は、通常下限値が10.00μmを超える値を有している。
【0025】
本発明における芯粒子粉末の体積粒子径の幾何標準偏差値(D84/D50)は、通常下限値が2.5を超える値を有している。
【0026】
本発明における芯粒子粉末の体積固有抵抗値は、通常、1.0×108Ω・cm程度である。
【0027】
本発明における芯粒子粉末の色相は、L*値が70.00以上であり、より好ましくは75.00以上であり、C*値が18.00以下、好ましくは15.00以下、より好ましくは12.00以下である。
【0028】
本発明に用いられる芯粒子の粒子表面は、カーボンブラックを付着しやすく、且つ、付着が溶剤の存在下で安定になるために、表面改質剤によって被覆されていることが好ましい。この目的に用いられる表面処理剤としては、アルコキシシラン、フルオロアルキルシラン、シラン系カップリング剤及びオルガノポリシロキサン等の有機ケイ素化合物、チタネート系、アルミネート系及びジルコネート系などのカップリング剤、低分子あるいは高分子界面活性剤等が好適に用いられる。
【0029】
有機ケイ素化合物としては、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン及びデシルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、トルフルオロプロピルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシラン及びトリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン等のフルオロアルキルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ―アミノプロピルトリエトキシシラン、γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ―メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ―メタクロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等のシラン系カップリング剤、ポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、変性ポリシロキサン等のオルガノポリシロキサン等が挙げられる。
【0030】
チタネート系カップリング剤としては、イソプロピルトリステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル・アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスフェートチタネート、テトラ(2,2ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスフェートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート等が挙げられる。
【0031】
アルミネート系カップリング剤としては、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムジイソプロポキシモノエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート等が挙げられる。
【0032】
ジルコネート系カップリング剤としては、ジルコニウムテトラキスアセチルアセトネート、ジルコニウムジブトキシビスアセチルアセトネート、ジルコニウムテトラキスエチルアセトアセテート、ジルコニウムトリボトキシモノエチルアセトアセテート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネート等が挙げられる。
【0033】
低分子系界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ジオクチルスルホンコハク酸塩、アルキルアミン酢酸塩、アルキル脂肪酸塩等が挙げられる。高分子系界面活性剤としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、カルボキシメチルセルロース、アクリル酸−マレイン酸塩コポリマー、オレフィン−マレイン酸塩コポリマー等が挙げられる。
【0034】
表面改質剤の被覆量は、白色無機粒子粉末に対してC換算で0.01〜15.0重量%が好ましい。0.01重量%未満の場合には、白色無機粒子粉末100重量部に対して1重量部以上のカーボンブラックを付着させることが困難である。0.01〜15.0重量%の被覆によって、白色無機粒子粉末100重量部に対してカーボンブラックを0.1〜500重量部付着させることができるため、必要以上に被覆する意味がない。より好ましくは0.02〜12.5重量%、更に好ましくは0.03重量%〜10.0重量%である。
【0035】
カーボンブラックは、ファーネスブラック、チャンネルブラック及びアセチレンブラック等のカーボンブラック粒子粉末を用いることができる。
【0036】
本発明におけるカーボンブラックの付着量は、芯粒子粉末100重量部に対して0.1〜500重量部が好ましい。0.1重量部未満の場合には、芯粒子の粒子表面を被覆するカーボンブラックが少なすぎるため、本発明の目的とする複合粒子粉末を得ることが困難となる。0.1〜500重量部の付着によって、本発明の目的とする効果が十分に得られるので、500重量部を超えて必要以上に付着させる意味がない。より好ましくは0.5〜450重量部、更により好ましくは1〜400重量部である。
【0037】
本発明における黒色複合粒子の粒子形状は、芯粒子である白色無機粒子の粒子形状に大きく依存し、芯粒子に相似する粒子形態を有している。
【0038】
即ち、本発明における黒色複合粒子粉末の平均一次粒子径は0.005〜0.50μmである。平均一次粒子径が0.005μm未満の場合には、粒子の微細化による分子間力の増大により凝集を起こしやすく、その結果、粗大粒子が生成し塗料製造時におけるビヒクル中への均一な分散が困難となる。平均一次粒子径が0.50μmを超える場合には、黒色複合粒子が大粒子となるため、塗膜の表面平滑性が損なわれやすい。好ましくは0.01〜0.45μm、より好ましくは0.01〜0.40μmである。
【0039】
本発明における黒色複合粒子の粒子形状は、針状、紡錘状、米粒状、球状、粒状、多面体状、フレーク状、鱗片状及び板状等のいずれの形状であってもよい。ビヒクル中における分散性を考慮すれば、球形度が1.0以上2.0未満の球状粒子又は粒状粒子が好ましい。
【0040】
本発明における複合粒子粉末のBET比表面積値は1〜500m2/gが好ましい。BET比表面積値が1m2/g未満の場合には、黒色複合粒子粉末が粗大であるため、塗膜の表面平滑性が損なわれやすい。BET比表面積値が500m2/gを超える場合には、粒子の微細化による分子間力の増大により凝集を起こしやすいため、塗料製造時におけるビヒクル中への分散性が低下する。より好ましくは3〜400m2/g、更により好ましくは5〜300m2/gである。
【0041】
本発明における黒色複合粒子粉末の体積平均粒子径(D50)は2.00μm以下が好ましい。体積平均粒子径(D50)が2.00μmを超える場合には、磁気記録媒体を構成する各層を薄層化した場合に、得られる磁気記録媒体の表面性が低下し、ドロップアウトが増加するため好ましくない。より好ましくは1.60μm以下、更により好ましくは1.20μm以下である。体積平均粒子径(D50)の下限値は0.01μm程度である。
【0042】
本発明における黒色複合粒子粉末の体積粒子径D84は0.01〜3.00μmが好ましい。体積粒子径D84が3.00μmを超える場合には、磁気記録媒体を構成する各層を薄層化した場合に、得られる磁気記録媒体の表面性が低下し、ドロップアウトが増加するため好ましくない。より好ましくは0.01〜2.50μm、更により好ましくは0.01〜2.00μmである。
【0043】
本発明における黒色複合粒子粉末の体積粒子径D99は0.01〜6.00μmが好ましい。体積粒子径D99が6.00μmを超える場合には、磁気記録媒体を構成する各層を薄層化した場合に、得られる磁気記録媒体の表面性が低下し、ドロップアウトが増加するため好ましくない。より好ましくは0.01〜5.00μm、更により好ましくは0.01〜4.00μmである。
【0044】
本発明における黒色複合粒子粉末の体積粒子径の幾何標準偏差値(D84/D50)は2.2以下であることが好ましい。体積粒子径の幾何標準偏差値(D84/D50)が2.2を超える場合には、存在する粗大粒子によって塗料製造時におけるビヒクル中への均一な分散が困難となる。より好ましくは2.0以下であり、更により好ましくは1.8以下である。
【0045】
本発明における黒色複合粒子粉末の体積固有抵抗値は1.0×107Ω・cm未満であることが好ましい。体積固有抵抗値が1.0×107Ω・cm以上の場合は、得られる磁気記録媒体の表面電気抵抗値を十分に低減することが困難となる。より好ましくは1.0×101〜5.0×106Ω・cm、更により好ましくは1.0×101〜1.0×106Ω・cmである。
【0046】
本発明における黒色複合粒子粉末の黒色度はL*値が45.0以下であることが好ましい。L*値が45.0を超える場合には、明度が高くなり、黒色度が十分とは言えず、これを用いて得られる磁気記録媒体の光透過率を十分に低減することが困難となる。黒色度のより好ましい上限値はL*値が40.0であり、更により好ましくは35.0以下である。
【0047】
本発明における黒色複合粒子粉末のカーボンブラックの脱離率は15%以下が好ましい。黒色複合粒子粉末のカーボンブラックの脱離率が15%を超える場合には、塗料の製造時において、脱離したカーボンブラックにより均一な分散が阻害される場合があると共に、得られる磁気記録媒体の表面性が低下する。より好ましくは12%以下、更により好ましくは10%以下である。
【0048】
次に、本発明に係る磁気記録媒体について述べる。
【0049】
本発明に係る磁気記録媒体は、非磁性支持体、該非磁性支持体上に形成された非磁性下地層及び該非磁性下地層上に形成された磁気記録層及び非磁性支持体の一方の面に形成される磁気記録層に対し、非磁性支持体の他方の面に形成されたバックコート層からなる。
【0050】
本発明における非磁性支持体としては、現在、磁気記録媒体に汎用されているポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、芳香族ポリアミド、芳香族ポリイミド、芳香族ポリアミドイミド、ポリスルフォン、セルローストリアセテート、ポリベンゾオキサゾール等の合成樹脂フィルム、アルミニウム、ステンレス等金属の箔や板及び各種の紙を使用することができる。得られる磁気記録媒体の強度を考慮すれば、ポリエステル類、ポリアミド又は芳香族ポリアミドが好ましい。
【0051】
非磁性支持体の厚みは、その材質及び用途により種々異なるが、通常好ましくは1.0〜300μm、より好ましくは2.0〜200μmである。殊に、記録容量を上げるために薄層化する傾向にあるコンピュータ記録用のバックアップテープの場合、その厚みは、通常1.0〜7.0μmが好ましく、より好ましくは2.0〜6.0μmである。
【0052】
本発明における非磁性下地層は、非磁性粒子粉末及び結合剤樹脂を含んでいる。
【0053】
非磁性下地層用非磁性粒子粉末としては、通常、磁気記録媒体用非磁性下地層に用いられる非磁性無機質粒子粉末を使用することができる。具体的には、ヘマタイト、含水酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化タングステン、二酸化ケイ素、α−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、酸化クロム、酸化セリウム、炭化ケイ素、チタンカーバイト、窒化ケイ素、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二硫化モリブデン、チタン酸バリウム等を単独又は組み合わせて用いることができ、殊に、ヘマタイト、含水酸化鉄、酸化チタン等が好ましい。
【0054】
なお、非磁性塗料製造時におけるビヒクル中での分散性改善のため、必要により、これら非磁性粒子粉末の粒子表面をアルミニウムの水酸化物、アルミニウムの酸化物、ケイ素の水酸化物、ケイ素の酸化物等で表面処理してもよく、また、得られる磁気記録媒体の光透過率、表面電気抵抗値、機械的強度、表面平滑性、耐久性等の諸特性改善のため、必要により、粒子内部にAl、Ti、Zr、Mn、Sn、Sb等を含有させてもよい。
【0055】
非磁性粒子粉末には各種形状の粒子があり、球状、粒状、八面体状、六面体状、多面体状等の粒状粒子粉末、針状、紡錘状、米粒状等の針状粒子粉末及び板状粒子粉末等がある。得られる磁気記録媒体の表面平滑性を考慮すれば、非磁性粒子粉末の粒子形状は針状が好ましい。
【0056】
非磁性粒子粉末の粒子サイズは、粒子形状が粒状の場合、平均一次粒子径が0.01〜0.3μm、好ましくは0.015〜0.25μm、より好ましくは0.02〜0.2μmであり、粒子形状が針状の場合、平均一次長軸径が0.01〜0.3μm、好ましくは0.015〜0.25μm、より好ましくは0.02〜0.2μmであり、粒子形状が板状の場合、平均一次粒子径が0.01〜0.3μm、好ましくは0.015〜0.25μm、より好ましくは0.02〜0.2μmである。
【0057】
また、粒子形状が針状の場合、軸比が2〜20、好ましくは2.5〜15、より好ましくは3〜10であり、粒子形状が板状の場合、板状比が2〜50、好ましくは2.5〜20、より好ましくは3〜10である。
【0058】
結合剤樹脂としては、磁気記録媒体の製造にあたって汎用されている熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化型樹脂等を単独又は組み合わせて用いることができる。具体的には、熱可塑性樹脂としては、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、アクリル酸エステル−スチレン共重合体、メタクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、メタクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステル−スチレン共重合体、ウレタンエラストマー、ナイロン−シリコーン系樹脂、ニトロセルロース−ポリアニド樹脂、ポリフッ化ビニル、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、ニトロセルロース等セルロース誘導体、スチレン−ブタジエン共重合体、(飽和)ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、クロロビニルエーテル−アクリル酸共重合体、アミノ樹脂、ポリブタジエン等の合成ゴム系樹脂を用いることができる。熱硬化性樹脂及び電子線硬化型樹脂としては、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、(不飽和)ポリエステル樹脂、ポリウレタンカーボネート樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、シリコン樹脂、ポリイソシアネート、電子線硬化型アクリルウレタン樹脂等を用いることができる。また、各結合剤樹脂には極性基として、−COOM、−SO3M及び−OPO2M2(但し、MはH、アルカリ金属、アルカリ土類金属又は炭化水素基である。)等の酸性基、リン酸エステル類及びアルキルベタイン型の両性類基、−OH、−NH2等が含まれていてもよい。粒子粉末のビヒクル中における分散性を考慮すれば、極性基として−COOM、−SO3M又はアルキルベタイン型両性類基が含まれている結合剤樹脂が好ましい。
【0059】
非磁性粒子粉末と結合剤樹脂との配合割合は、非磁性粒子粉末100重量部に対して結着剤樹脂が5〜100重量部、好ましくは10〜75重量部である。
【0060】
尚、非磁性下地層に、磁気記録媒体の製造に通常用いられている潤滑剤、研磨材、帯電防止剤等を添加してもよい。
【0061】
非磁性支持体上に形成された非磁性下地層のカレンダー処理後の塗膜厚さは、0.1〜5.0μmが好ましく、より好ましくは0.3〜4.0μmであり、更により好ましくは0.5〜3.0μmである。殊に、記録容量を上げるために薄層化する傾向にあるコンピュータデータ記録用のバックアップテープの場合、その厚みは、通常0.1〜3.0μmが好ましく、より好ましくは0.3〜2.5μm、更により好ましくは0.5〜2.0μmである。0.1μm未満の場合には、非磁性支持体の表面粗さを改善することが困難となると共に、得られる磁気記録媒体の強度も不十分となりやすい。5.0μmを超える場合には、磁気記録媒体の薄層化が困難となるため好ましくない。
【0062】
本発明における磁気記録層は、磁性粒子粉末及び結合剤樹脂を含んでいる。
【0063】
磁性粒子粉末としては、マグヘマイト粒子粉末(γ−Fe2O3)やマグネタイト粒子粉末(FeO x・Fe2O3、0<x≦1)等の磁性酸化鉄粒子粉末にCo又はCo及びFeを被着させたCo被着型磁性酸化鉄粒子粉末、前記Co被着型磁性酸化鉄粒子粉末にFe以外のCo、Al、Ni、P、Zn、Si、B、希土類金属等の異種元素を含有させたCo被着型磁性酸化鉄粒子粉末、鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末、鉄以外のCo、Al、Ni、P、Zn、Si、B、希土類金属等を含有する鉄合金磁性粒子粉末、Ba、Sr、又はBa−Srを含有する板状マグネトプランバイト型フェライト粒子粉末並びにこれらにCo、Ni、Zn、Mn、Mg、Ti、Sn、Zr、Nb、Cu、Mo等の2価及び4価の金属から選ばれた保磁力低減剤の一種又は二種以上を含有させた板状マグネトプランバイト型フェライト粒子粉末等のいずれをも用いることができる。
【0064】
尚、近年の短波長記録、高密度記録を考慮すれば、鉄を主成分とする針状金属磁性粒子粉末、鉄以外のCo、Al、Ni、P、Zn、Si、B、希土類金属等を含有する針状鉄合金磁性粒子粉末、板状マグネトプランバイト型フェライト粒子粉末等が好ましい。
【0065】
磁性粒子粉末は、平均一次長軸径(板状粒子の場合は平均一次粒子径)が0.01〜0.50μmであることが好ましく、より好ましくは0.03〜0.30μmである。該磁性粒子粉末の粒子の形状は針状もしくは板状が好ましい。ここで「針状」とは、文字通りの針状はもちろん、紡錘状や米粒状等を含む意味である。
【0066】
また、磁性粒子粉末の粒子形状が針状の場合、軸比は3.0以上が好ましく、より好ましくは5.0以上であり、ビヒクル中における分散性を考慮すれば、その上限値は15.0が好ましく、より好ましくは10.0である。
【0067】
磁性粒子粉末の粒子形状が板状の場合、板状比(粒子の平均一次粒子径と粒子の平均一次厚みの比)(以下、「板状比」という。)は2.0以上であることが好ましく、より好ましくは3.0以上であり、ビヒクル中における分散性を考慮すれば、その上限値は20.0が好ましく、より好ましくは15.0である。
【0068】
磁性粒子粉末の磁気特性は、保磁力値が39.8〜318.3kA/m(500〜4000Oe)、好ましくは43.8〜318.3kA/m(550〜4000Oe)であって、飽和磁化値が40〜200Am2/kg(40〜200emu/g)、好ましくは50〜180Am2/kg(50〜180emu/g)である。
【0069】
高密度記録化等を考慮して、磁性粒子粉末として鉄を主成分とする針状金属磁性粒子粉末又は針状鉄合金磁性粒子粉末を用いた場合の磁気特性は、保磁力値が63.7〜278.5kA/m(800〜3500Oe)、好ましくは71.6〜278.5kA/m(900〜3500Oe)、飽和磁化値が90〜200Am2/kg(90〜200emu/g)、好ましくは90〜180Am2/kg(100〜180emu/g)である。
【0070】
結合剤樹脂としては、前記非磁性下地層を形成するために用いた結合剤樹脂を使用することができる。
【0071】
磁性粒子粉末と結合剤樹脂との配合割合は、磁性粒子粉末100重量部に対して結合剤樹脂が5〜100重量部、好ましくは10〜75重量部である。
【0072】
尚、磁気記録層に、磁気記録媒体の製造に通常用いられている潤滑剤、研磨材等を添加してもよい。
【0073】
非磁性下地層上に設けられた磁気記録層のカレンダー処理後の塗膜厚さは、0.01〜2.0μmが好ましく、より好ましくは0.02〜1.5μmであり、更により好ましくは0.02〜1.0μmである。殊に、記録容量を上げるために薄層化する傾向にあるコンピュータデータ記録用のバックアップテープの場合、その厚みは、通常0.01〜0.30μmが好ましく、より好ましくは0.02〜0.20μmである。0.01μm未満の場合には、均一な塗布が困難であり、塗りむら等の現象が出やすくなるため好ましくない。2.0μmを超える場合には、反磁界の影響により再生出力が小さくなるため好ましくない。
【0074】
本発明におけるバックコート層は、結合剤樹脂本発明に係る磁気記録媒体用フィラー材及び帯電防止剤を含んでいる。また、必要に応じて、通常の磁気記録媒体の製造に用いられる潤滑剤、研磨剤等が含まれていてもよい。
【0075】
結合剤樹脂としては、前記非磁性下地層を形成するために用いた結合剤樹脂を使用することができる。
【0076】
帯電防止剤としては、カーボンブラック、グラファイト、酸化スズ、酸化チタン−酸化スズ−酸化アンチモン等の導電性粉末及び界面活性剤等を用いることができる。
【0077】
コンピュータデータ記録用のバックアップテープの中でも、高記録容量化のために記録トラック幅を狭くした場合には、オフトラックによる再生出力の低下が問題となるため、トラックサーボが必要となる。トラックサーボ方式には磁気記録層又はバックコート層にサーボトラックバンドを形成し、それを磁気的に読み取ってサーボトラッキングする磁気サーボ方式とバックコート層に凹部アレイからなるサーボトラックバンドをレーザー照射等で形成し、それを光学的に読み取ってサーボトラッキングする光学サーボ方式がある。
【0078】
殊に、バックコート層にサーボトラックバンドを形成する磁気サーボ方式の場合には、無機粒子粉末に加えて、磁性粒子粉末を含有させることが必須となる。磁性粒子粉末としては、前記磁性層に用いた磁性粒子粉末を使用することができる。
【0079】
帯電防止剤と前記無機粉末の合計量と結合剤樹脂との配合割合は、結合剤樹脂100重量部に対して帯電防止剤と前記無機粉末の合計量として40〜250重量部、好ましくは50〜200重量部である。
【0080】
バックコート層のカレンダー処理後の塗膜厚さは、0.1〜4.0μmが好ましく、より好ましくは0.2〜2.0μmであり、更により好ましくは0.2〜1.5μmである。0.1μm未満の場合には、バックコート層の強度が不十分となり、また、塗りむら等の現象が出やすくなるため好ましくない。4.0μmを超える場合には、バックコート層の膜厚が厚すぎるため、テープ全厚が厚くなり、高記録容量化が困難となる。
【0081】
本発明に係る磁気記録媒体は、保磁力値は39.8〜318.3kA/m(500〜4000Oe)が好ましく、より好ましくは43.8〜318.3kA/m(550〜4000Oe)、角型比Br/Bmは0.70〜0.95が好ましく、より好ましくは0.74〜0.95、塗膜の光沢度は170〜300%が好ましく、より好ましくは175〜300%、塗膜の表面粗度Raは11.0nm以下が好ましく、より好ましくは2.0〜10.5nm、更に好ましくは2.0〜10.0nm、ヤング率は128〜160が好ましく、より好ましくは130〜160、表面電気抵抗値は5.0×1010Ω/cm2以下が好ましく、より好ましくは2.5×1010Ω/cm2以下、更に好ましくは1.0×1010Ω/cm2以下、耐久性のうち走行耐久性は20分以上、好ましくは22分以上、すり傷特性はA又はB、好ましくはAであり、ドロップアウト(D/O)は20個/msec以下が好ましく、より好ましくは18個/msec以下である。
【0082】
高記録容量化を考慮して、磁性粒子粉末として鉄を主成分とする針状金属磁性粒子粉末、針状鉄合金磁性粒子粉末又は板状マグネトプランバイト型フェライト粒子粉末を用いた場合には、保磁力値は63.7〜〜318.3kA/m(800〜4000Oe)が好ましく、より好ましくは71.6〜318.3kA/m(900〜4000Oe)、角型比は0.72〜0.95が好ましく、より好ましくは0.76〜0.95、塗膜の光沢度は190〜300%が好ましく、より好ましくは195〜300%、塗膜の表面粗度Raは9.0nm以下が好ましく、より好ましくは2.0〜8.5nm、更に好ましくは2.0〜8.0nm、ヤング率は128〜160が好ましく、より好ましくは130〜160、表面電気抵抗値は5.0×1010Ω/cm2以下が好ましく、より好ましくは2.5×1010Ω/cm2以下、更に好ましくは1.0×1010Ω/cm2以下、耐久性のうち走行耐久性は20分以上、好ましくは22分以上、すり傷特性はA又はB、好ましくはAであり、ドロップアウト(D/O)は20個/msec以下が好ましく、より好ましくは18個/msec以下である。
【0083】
次に、本発明における黒色複合粒子粉末の製造法について述べる。
【0084】
本発明における黒色複合粒子粉末は、芯粒子粉末と表面改質剤とを混合し、芯粒子粉末の粒子表面を表面改質剤によって被覆し、次いで、表面改質剤によって被覆された芯粒子粉末とカーボンブラックとを混合した後、粉砕・分級することによって得ることができる。
【0085】
芯粒子の粒子表面への表面改質剤による被覆は、芯粒子粉末と表面改質剤とを機械的に混合攪拌したり、芯粒子粉末に表面改質剤を噴霧しながら機械的に混合攪拌すればよい。添加した表面改質剤は、ほぼ全量が芯粒子の粒子表面に被覆される。
【0086】
尚、表面改質剤としてアルコキシシラン又はフルオロアルキルシランを用いた場合、被覆されたアルコキシシラン又はフルオロアルキルシランは、その一部が被覆工程を経ることによって生成する、アルコキシシランから生成するオルガノシラン化合物又はフルオロアルキルシランから生成するフッ素含有オルガノシラン化合物として被覆されていてもよい。この場合においてもその後のカーボンブラックの付着に影響することはない。
【0087】
尚、表面改質剤を均一に芯粒子の粒子表面に被覆するためには、芯粒子粉末の凝集をあらかじめ粉砕機を用いて解きほぐしておくことが好ましい。
【0088】
芯粒子粉末と表面改質剤との混合攪拌、カーボンブラックと粒子表面に表面改質剤が被覆されている芯粒子粉末との混合攪拌をするための機器としては、粉体層にせん断力を加えることのできる装置が好ましく、せん断、へらなで及び圧縮が同時に行える装置、例えば、ホイール形混練機、ボール型混練機、ブレード型混練機、ロール型混練機を用いることができる。本発明の実施にあたっては、ホイール型混練機がより効果的に使用できる。
【0089】
上記ホイール型混練機としては、具体的に、エッジランナー(「ミックスマラー」、「シンプソンミル」、「サンドミル」と同義語である)、マルチマル、ストッツミル、ウエットパンミル、コナーミル、リングマラー等があり、好ましくはエッジランナー、マルチマル、ストッツミル、ウエットパンミル、リングマラーであり、より好ましくはエッジランナーである。上記ボール型混練機としては、具体的に、振動ミル等がある。前記ブレード型混練機としては、具体的に、ヘンシェルミキサー、プラネタリーミキサー、ナウタミキサー等がある。前記ロール型混練機としては、具体的に、エクストルーダー等がある。
【0090】
芯粒子粉末と表面改質剤との混合攪拌時における条件は、芯粒子の粒子表面に表面改質剤ができるだけ均一に被覆されるように、線荷重は19.6〜1960N/cm(2〜200Kg/cm)、好ましくは98〜1470N/cm(10〜150Kg/cm)、より好ましくは147〜980N/cm(15〜100Kg/cm)、処理時間は5分〜24時間が好ましく、より好ましくは10分〜20時間の範囲で処理条件を適宜調整すればよい。尚、撹拌速度は2〜2000rpm、好ましくは5〜1000rpm、より好ましくは10〜800rpmの範囲で処理条件を適宜調整すればよい。
【0091】
表面改質剤の添加量は、芯粒子粉末100重量部に対して0.15〜45重量部が好ましい。0.15〜45重量部の添加量により、芯粒子粉末100重量部に対してカーボンブラックを0.1〜50重量部付着させることができる。
【0092】
芯粒子粉末の粒子表面に表面改質剤を被覆した後、カーボンブラックを添加し、混合攪拌して該表面改質剤被覆にカーボンブラックを付着させる。必要により更に、乾燥乃至加熱処理を行ってもよい。
【0093】
カーボンブラックは、少量ずつを時間をかけながら、殊に5〜24時間程度をかけて添加するか、もしくは芯粒子粉末100重量部に対して5〜25重量部のカーボンラックを所望の量となるまで分割して添加することが好ましい。
【0094】
混合攪拌時における条件は、カーボンブラックが均一に付着するように処理条件を適宣選択すればよく、線荷重は19.6〜1960N/cm(2〜200Kg/cm)が好ましく、より好ましくは98〜1470N/cm(10〜150Kg/cm)、最も好ましくは147〜980N/cm(15〜100Kg/cm)であり、処理時間は5〜24時間が好ましく、より好ましくは10〜20時間の範囲であり、撹拌速度は2〜2000rpmが好ましく、より好ましくは5〜1000rpm、最も好ましくは10〜800rpmの範囲で処理条件を適宜調整すればよい。
【0095】
カーボンブラックの添加量は、芯粒子粉末100重量部に対して0.1〜500重量部である。
【0096】
得られた黒色複合粒子粉末を粉砕するための機器としては、微粉砕機もしくは超微粉砕機を用いることが好ましく、例えば、ローラミル、衝撃式粉砕機、ボールミル、攪拌ミル、ジェット粉砕機等を用いることが好ましい。ジェット粉砕機及び衝撃式粉砕機がより効果的に使用できる。
【0097】
前記ジェット粉砕機としては、旋回流型ジェットミル、流動層型ジェットミル等があり、好ましくは流動層型ジェットミルである。衝撃式粉砕機としては、ハンマミル、ピンミル、スクリーンミル、ターボ型ミル、遠心分級型ミル等があり、好ましくはピンミルである。ローラミルとしては、リングローラミル、遠心ローラミル等がある。ボールミルとしては、転動ボールミル、振動ボールミル、遊星ミル等がある。攪拌ミルとしては、攪拌槽型ミル、流通管型ミル、アニュラミル等がある。
【0098】
粉砕後の黒色複合粒子粉末を分級するための機器としては、乾式分級機を用いることが好ましく、例えば、重力分級機、慣性分級機、遠心分級機等を用いることが好ましい。遠心分級機がより効果的に使用できる。
【0099】
前記遠心分級機としては、サイクロン、クラシクロン、スターテバント型、ミクロンセパレータ、ターボプレックス、タボクラシファイヤ、スーパセパレータ、ディスパージョンセパレータ等があり、好ましくはターボプレックス、ミクロンセパレータである。重力分級機としては、水平流型、垂直流型、傾斜流型がある。慣性分級機としては、直線型、曲線型、傾斜型等がある。
【0100】
粉砕・分級における条件は、目的とする体積平均粒子径が得られるように処理条件を適宜選択すればよい。
【0101】
乾燥乃至加熱処理を行う場合の加熱温度は、通常40〜150℃が好ましく、より好ましくは60〜120℃であり、加熱時間は、10分〜12時間が好ましく、30分〜3時間がより好ましい。
【0102】
尚、表面改質剤としてアルコキシシラン又はフルオロアルキルシランを用いた場合には、これらの工程を経ることにより、最終的にはアルコキシシランから生成するオルガノシラン化合物又はフルオロアルキルシランから生成するフッ素含有オルガノシラン化合物となって被覆されている。
【0103】
次に、本発明に係る磁気記録媒体の製造法について述べる。
【0104】
前記非磁性下地層、前記磁気記録層及び前記バックコート層の形成にあたって用いる溶剤としては、磁気記録媒体に汎用されているアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン及びテトラヒドロフラン等のケトン類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブチルアルコール及びイソプロピルアルコール等のアルコール類、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル及び酢酸グリコール等のエステル類、グリコールジメチルエーテル、グリコールモノエチルエーテル及びジオキサン等のグリコールエーテル類及びその混合物等を使用することができる。
【0105】
溶剤の使用量は、粒子粉末100重量部に対してその総量で65〜1000重量部である。65重量部未満では塗料とした場合に粘度が高くなりすぎ塗布が困難となる。1000重量部を超える場合には、塗膜を形成する際の溶剤の揮発量が多くなりすぎ工業的に不利となる。
【0106】
非磁性下地層、磁気記録層、バックコート層は、各層を構成する成分及び溶剤を一般に使用される混練機及び分散機により混練・分散処理を行い、各塗料を作製する。該各塗料を用いて、非磁性支持体上の一面に非磁性下地層、磁気記録層の順に塗布し乾燥する。次いで、非磁性下地層及び磁気記録層とは反対面の非磁性支持体上にバックコート層用塗料を塗布・乾燥後、カレンダー処理を行う。その際の塗布方法としては、磁性層と非磁性層をほぼ同時に塗布するWet onWet法でも、非磁性下地層を塗布・乾燥後、その上に磁気記録層を塗布するWet on Dry法のどちらでもよい。
【0107】
【発明の実施の形態】
粒子の平均一次長軸径、平均一次短軸径、平均一次厚み及び平均一次粒子径は、粒子のサイズにより電子顕微鏡写真(×30,000)又は(×50,000)を選択し、該写真を縦方向及び横方向にそれぞれ4倍に拡大した写真に示される粒子約350個について一次長軸径、一次短軸径又は一次粒子径をそれぞれ測定し、その平均値で示した。
【0108】
軸比は平均一次長軸径と平均一次短軸径との比で示し、板状比は平均一次粒子径と平均一次厚みの比で示した。
【0109】
比表面積値はBET法により測定した値で示した。
【0110】
板状マグネトプランバイト型フェライト粒子粉末のTi量、Ni量及びFe量は、「蛍光X線分析装置3063M型」(理学電機工業株式会社製)を使用し、JIS K0119の「けい光X線分析通則」に従って測定した。
【0111】
芯粒子粉末の粒子表面に被覆されている表面改質剤の被覆量及び芯粒子粉末に付着しているカーボンブラックの付着量は、「堀場金属炭素・硫黄分析装置EMIA−2200型」(株式会社堀場製作所製)を用いて炭素量を測定することにより求めた。
【0112】
芯粒子粉末及び黒色複合粒子粉末の体積平均粒子径(D50)、体積粒子径D84及び体積粒子径D99は、「レーザー回折式粒度分布測定装置 modelHELOS LA/KA」(SYMPATEC社製)の乾式分散ユニットを用いて、分散圧0.1MPa(1bar)にて測定した。なお、D50は粒子粉末の全体積を100%として粒子径に対する累積割合を求めたときの累積割合が50%となる粒子径であり、D84は粒子粉末の全体積を100%として粒子径に対する累積割合を求めたときの累積割合が84%となる粒子径であり、D99は粒子粉末の全体積を100%として粒子径に対する累積割合を求めたときの累積割合が99%となる粒子径である。
【0113】
芯粒子粉末及び黒色複合粒子粉末の体積粒子径の幾何標準偏差値(D84/D50)は、上記「レーザー回折式粒度分布測定装置 model HELOSLA/KA」(SYMPATEC社製)を用いて得られた体積平均粒子径(D50)と体積粒子径D84を用い、下記数1に従って求めた。体積粒子径の幾何標準偏差値が1に近いほど、挙動粒子径の粒度分布が優れていることを意味する。
【0114】
【数1】
体積粒子径の幾何標準偏差値(D84/D50)=体積粒子径D84/体積平均粒子径(D50)
【0115】
芯粒子粉末の色相、カーボンブラック及び黒色複合粒子粉末の黒色度は、試料0.5gとヒマシ油1.5mlとをフーバー式マーラーで練ってペースト状とし、このペーストにクリアラッカー4.5gを加え、混練、塗料化してキャストコート紙上に150μm(6mil)のアプリケーターを用いて塗布した塗布片(塗膜厚み:約30μm)を作製し、該塗料片について、「分光測色計CM−3610d」(ミノルタ株式会社製)を用いて、JIS Z 8722に定めるところに従って測定を行い、表色指数で示した。ここでL*値は、明度を表わし、L*値が小さいほど黒色度が高いことを示す。なお、C*値は彩度を表し、下記数2に従って求めることができる。
【0116】
【数2】
C*値=((a*値)2+(b*値)2)1/2
(株式会社堀場製作所製)を用いて炭素量を測定することにより求めた。
【0117】
芯粒子粉末及び複合粒子粉末の各粒子の体積固有抵抗値は、まず、被測定粒子粉末0.5gを測り取り、KBr錠剤成形器(株式会社島津製作所)を用いて、13.72MPa(140Kg/cm2)の圧力で加圧成形を行い、円柱状の被測定試料を作製した。
【0118】
次いで、被測定試料を温度25℃、相対湿度60%環境下に12時間以上暴露した後、この被測定試料をステンレス電極の間にセットし、ホイートストンブリッジ(TYPE2768 横河北辰電気株式会社製)で15Vの電圧を印加して抵抗値R(Ω)を測定した。
【0119】
次いで、被測定(円柱状)試料の上面の面積A(cm2)と厚みt(cm)を測定し、下記数3にそれぞれの測定値を挿入して、体積固有抵抗値(Ω・cm)を求めた。
【0120】
【数3】
体積固有抵抗値(Ω・cm)=R×(A/t)
【0121】
黒色複合粒子粉末に付着しているカーボンブラックの脱離率(%)は、下記の方法により求めた値で示した。カーボンブラックの脱離率が0%に近いほど、黒色複合粒子粉末の粒子表面からのカーボンブラックの脱離量が少ないことを示す。
【0122】
黒色複合粒子粉末3gとエタノール40mlを50mlの沈降管に入れ、20分間超音波分散を行った後、120分静置し、比重差によって黒色複合粒子粉末と脱離したカーボンブラックとを分離した。次いで、この複合粒子粉末に再度エタノール40mlを加え、更に20分間超音波分散を行った後120分静置し、黒色複合粒子粉末と脱離したカーボンブラックを分離した。この複合粒子粉末を80℃で1時間乾燥させ、カーボンブラックの量を測定し、下記数4に従って求めた値をカーボンブラックの脱離率(%)とした。
【0123】
【数4】
カーボンブラックの脱離率(%)={(Wa−We)/Wa}×100
Wa:黒色複合粒子粉末のカーボンブラック付着量
We:脱離テスト後の黒色複合粒子粉末のカーボンブラック付着量
【0124】
磁性粒子粉末の磁気特性は、「振動試料型磁力計VSM−3S−15」(東英工業株式会社製)を用いて外部磁場795.8kA/m(10kOe)の下で測定した値であり、磁気テープの諸特性は外部磁場795.8kA/m(10kOe)の下で測定した結果である。
【0125】
塗膜の表面光沢は、「グロスメーター UGV−5D」(スガ試験機株式会社製)を用いて入射角45°で測定した値であり、標準板光沢を86.3%とした時の値を%で示したものである。
【0126】
表面粗度Raは、「Surfcom−575A」(東京精密株式会社製)を用いて塗膜の中心線平均粗さを測定した。
【0127】
塗膜の強度は、「オートグラフ」(株式会社島津製作所製)を用いて塗膜のヤング率を測定して求めた。ヤング率は市販ビデオテープ「AV T−120」(日本ビクター株式会社製)との相対値で表した。相対値が高いほど塗膜の強度が良好であることを示す。
【0128】
塗膜の表面電気抵抗値は、被測定塗膜を温度25℃、相対湿度60%環境下に12時間以上暴露した後、幅6.5mmの金属製の電極に、幅6mmにスリットした塗膜を塗布面が金属製電極に接触するように置き、その両端に各170gのおもりを付け、電極に塗膜を密着させた後、電極間に500Vの直流電圧をかけて表面電気抵抗値を測定した。
【0129】
磁気記録媒体の走行耐久性は、「Media Durability Tester MDT−3000」(Steinberg Associates社製)を用いて、負荷1.96N(200gw)、ヘッドとテープとの相対速度16m/sにおける実可動時間で評価した。実可動時間が長いほど走行耐久性が良いことを示す。
【0130】
すり傷特性は、走行後のテープの表面を顕微鏡で観察し、すり傷の有無を目視で評価し、下記の4段階の評価を行った。
A:すり傷なし
B:すり傷若干有り
C:すり傷有り
D:ひどいすり傷有り
【0131】
磁気記録媒体のドロップアウトは、磁気テープを「ドラムテスターBX−3168」(ベルデックス社製)にかけ、相対速度2.5m/secにおいて得られるエンベロープより、単位時間当たりのドロップアウトの個数をカウントすることにより求めた。
【0132】
磁気記録媒体を構成する非磁性支持体、非磁性下地層及び磁気記録層の各層の厚みは、下記のようにして測定した。
【0133】
「デジタル電子マイクロメーター K351C」(安立電気株式会社製)を用いて、先ず、非磁性支持体の膜厚(A)を測定する。次に、非磁性支持体と該非磁性支持体上に形成された非磁性下地層との厚み(B)(非磁性支持体の厚みと非磁性下地層の厚みとの総和)を同様にして測定する。更に、非磁性下地層上に磁気記録層を形成することにより得られた磁気記録媒体の厚み(C)(非磁性支持体の厚みと非磁性下地層の厚みと磁気記録層の厚みとの総和)を同様にして測定する。更に、磁気記録層とは反対の非磁性支持体面に設けたバックコート層との厚み(D)(非磁性支持体の厚みと非磁性下地層の厚みと磁気記録層の厚みとバックコート層の厚みとの総和)を同様にして測定する。そして、非磁性下地層の厚みは(B)−(A)で示し、磁気記録層の厚みは(C)−(B)で示し、バックコート層の厚みは(D)−(C)で示した。
【0134】
<黒色複合粒子粉末の製造>
アルミナ粒子粉末(粒子形状:粒状、平均一次粒子径0.201μm、BET比表面積値12.7m2/g、体積平均粒子径(D50)1.44μm、体積粒子径D84:5.79μm、体積粒子径の幾何標準偏差値(D84/D50)4.02、体積粒子径D99:16.10μm、体積固有抵抗値:5.6×107Ω・cm、L*値94.14、C*値1.13)7.0kgに、メチルハイドロジェンポリシロキサン(商品名:TSF484:GE東芝シリコーン株式会社製)70gを、エッジランナーを稼動させながら粒子の凝集を解きほぐした上記ヘマタイト粒子粉末に添加し、588N/cm(60Kg/cm)の線荷重で30分間混合攪拌を行った。尚、このときの撹拌速度は22rpmであった。
【0135】
次に、カーボンブラック(種類:ファーネスブラック、粒子形状:粒状、平均粒子径0.020μm、BET比表面積値202.3m2/g、L*値26.1)700gを、エッジランナーを稼動させながら10分間かけて添加し、更に588N/cm(60Kg/cm)の線荷重で30分間、混合攪拌を行い、メチルハイドロジェンポリシロキサン被覆にカーボンブラックを付着させた。次いで、流動層型ジェットミル及び遠心分級機を用いて、粉砕・分級を行った後、乾燥機を用いて120℃で60分間乾燥を行い、黒色複合粒子粉末を得た。なお、このときの撹拌速度は22rpmであった。
【0136】
得られた黒色複合粒子粉末の粒子形状は粒状であり、平均一次粒子径は0.203μmであった。BET比表面積値は16.2m2/g、体積平均粒子径(D50)は0.99μm、体積粒子径D84は1.59μm、体積粒子径の幾何標準偏差値(D84/D50)は1.61、体積粒子径D99は2.48μm、黒色度L*値は32.2、体積固有抵抗値は3.1×105Ω・cm、カーボンブラックの脱離率は5.2%であった。メチルハイドロジェンポリシロキサンの被覆量はC換算で0.79重量%、付着しているカーボンブラックの量はC換算で9.15重量%(芯粒子粉末100重量部に対して約10重量部に相当する)であった。電子顕微鏡観察の結果、カーボンブラックがほとんど認められないことから、カーボンブラックのほぼ全量がメチルハイドロジェンポリシロキサン被覆層に付着していることが認められた。
【0137】
<非磁性下地層形成用非磁性塗料の製造>
ヘマタイト粒子粉末(粒子形状:紡錘状、平均一次長軸径0.105μm、平均一次短軸径0.0172μm、軸比6.1、BET比表面積値52.3m2/g)12gとカーボンブラック(商品名:#3250B、三菱化成株式会社製)1.2g、結合剤樹脂溶液(スルホン酸ナトリウム基を有する塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂30重量%とシクロヘキサノン70重量%)及びシクロヘキサノンとを混合して混合物(固形分率72%)を得、この混合物を更にプラストミルで30分間混練して混練物を得た。
【0138】
この混練物を1.5mmφガラスビーズ95g、追加の結合剤樹脂溶液(スルホン酸ナトリウム基を有するポリウレタン樹脂30重量%、溶剤(メチルエチルケトン:トルエン=1:1)70重量%)、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン及びトルエンと共に140mlガラス瓶に添加し、ペイントシェーカーで6時間混合・分散を行って塗料組成物を得た。その後、潤滑剤及び硬化剤を加え、更に、ペイントシェーカーで15分間混合・分散した後、3μmの平均孔径を有するフィルターを用いてろ過し、非磁性下地層用非磁性塗料を調整した。
【0139】
得られた非磁性下地層用非磁性塗料の組成は、下記の通りであった。
【0140】
【0141】
<磁気記録層形成用磁性塗料の製造>
鉄を主成分とする針状金属磁性粒子粉末(平均長軸径0.073μm、平均短軸径0.0118μm、軸比6.2、保磁力値190.2kA/m(2,390Oe)、飽和磁化値131.2Am2/kg(131.2emu/g))12g、カーボンブラック(商品名:#3250B、三菱化成株式会社製)0.6g、研磨剤(商品名:AKP−30、住友化学株式会社製)1.2g、結合剤樹脂溶液(スルホン酸ナトリウム基を有する塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂30重量%とシクロヘキサノン70重量%)及びシクロヘキサノンとを混合して混合物(固形分率78%)を得、この混合物を更にプラストミルで30分間混練して混練物を得た。
【0142】
この混練物を1.5mmφガラスビーズ95g、追加結合剤樹脂溶液(スルホン酸ナトリウム基を有するポリウレタン樹脂30重量%、溶剤(メチルエチルケトン:トルエン=1:1)70重量%)、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン及びトルエンと共に140mlガラス瓶に添加し、ペイントシェーカーで6時間混合・分散を行って磁性塗料を得た。その後、潤滑剤及び硬化剤を加え、更に、ペイントシェーカーで15分間混合・分散した後、3μmの平均孔径を有するフィルターを用いてろ過し、磁気記録層用塗料を調整した。
【0143】
得られた磁気記録層用塗料の組成は下記の通りであった。
鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末 100.0重量部、
スルホン酸ナトリウム基を有する
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂 10.0重量部、
スルホン酸ナトリウム基を有するポリウレタン樹脂 10.0重量部、
カーボンブラック(#3250B) 10.0重量部、
研磨剤(商品名:AKP−30、住友化学株式会社製) 10.0重量部、
潤滑剤(ミリスチン酸:ステアリン酸ブチル=1:2) 3.0重量部、
硬化剤(ポリイソシアネート) 5.0重量部、
シクロヘキサノン 65.8重量部、
メチルエチルケトン 164.5重量部、
トルエン 98.7重量部。
【0144】
<バックコート層形成用塗料の製造>
カーボンブラック(平均一次粒子径:25nm)12.0g、カーボンブラック(平均一次粒子径:370nm)1.8g、前記黒色複合粒子粉末1.8g、結合剤樹脂溶液(ニトロセルロース30重量%とシクロヘキサノン70重量%)及びシクロヘキサノンとを混合して混合物(固形分率78%)を得、この混合物を更にプラストミルで30分間混練して混練物を得た。
【0145】
この混練物を1.5mmφガラスビーズ95g、追加結合剤樹脂溶液(スルホン酸ナトリウム基を有するポリウレタン樹脂30重量%、溶剤(メチルエチルケトン:トルエン=1:1)70重量%)、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン及びトルエンと共に140mlガラス瓶に添加し、ペイントシェーカーで6時間混合・分散を行ってバックコート塗料を得た。その後、潤滑剤及び硬化剤を加え、更に、ペイントシェーカーで15分間混合・分散した後、3μmの平均孔径を有するフィルターを用いてろ過し、バックコート層用塗料を調整した。
【0146】
得られたバックコート層用塗料の組成は下記の通りであった。
カーボンブラック(一次平均粒子径 25nm) 100.0重量部、
カーボンブラック(一次平均粒子径 250nm) 15.0重量部、
黒色複合粒子粉末 15.0重量部、
ニトロセルロース樹脂 55.0重量部、
スルホン酸ナトリウム基を有するポリウレタン樹脂 35.0重量部、
硬化剤(ポリイソシアネート) 18.0重量部、
シクロヘキサノン 325.0重量部、
メチルエチルケトン 655.0重量部、
トルエン 325.0重量部。
【0147】
<磁気記録媒体の製造>
前記非磁性下地層形成用非磁性塗料を厚さ4.5μmの芳香族ポリアミドフィルム上に塗布し、次いで、乾燥させることにより非磁性下地層を形成した後、該非磁性下地層の上に前記磁気記録層形成用磁性塗料を塗布し、磁場中において配向・乾燥し、磁気記録層を形成した。なお、非磁性下地層の膜厚を測定するために、非磁性下地層を塗布後、得られた塗布片の半分に対してカレンダー処理を行った後、60℃で24時間硬化反応を行った。
【0148】
次いで、上記で得られたバックコート層形成用塗料を磁気記録層とは反対面の非磁性支持体上に塗布し、乾燥・カレンダー処理を行った後、60℃で24時間硬化反応を行い、0.5インチ幅にスリットして磁気テープを得た。
【0149】
得られた磁気テープは、非磁性下地層の膜厚が2.3μm、磁気記録層の膜厚が0.2μm、バックコート層の膜厚が0.5μmであった。磁気テープの保磁力値は190.7kA/m(2,396Oe)、角型比(Br/Bm)は0.82、光沢度は210%、表面粗度Raは6.3nm、ヤング率(相対値)は134、表面電気抵抗値は5.6×109Ω/cm2、走行耐久性は30分以上、すり傷特性はAであり、D/Oは13個/msecであった。
【0150】
【作用】
本発明において最も重要な点は、粒子表面にカーボンブラックが付着している白色無機粒子粉末に対して粉砕・分級を行った黒色複合粒子粉末をバックコート層用フィラー材として用いることにより、磁気記録媒体を薄層化しても、十分に低い表面電気抵抗値を有すると共に、表面平滑性及び強度に優れた、ドロップアウトの少ない磁気記録媒体が得られるという事実である。
【0151】
本発明に係る磁気記録媒体が、磁気記録媒体を薄層化しても表面平滑性が優れると共に、ドロップアウトが少なくなる理由として、本発明者は、バックコート層に添加するフィラー材として、挙動粒子径である体積平均粒子径(D50)、体積粒子径D84及び体積粒子径D99の小さい本発明に係る黒色複合粒子粉末を用いることにより、磁気記録媒体を薄層化してもバックコート層の表面上に突出する二次凝集粒子塊を低減することができたことによるものと考えている。
【0152】
【実施例】
次に、実施例及び比較例を示す。
【0153】
芯粒子1〜6:
各種の芯粒子粉末を準備した。
【0154】
得られた芯粒子粉末の諸特性を表1に示す。
【0155】
【表1】
【0156】
カーボンブラック1〜3:
カーボンブラックとして表2に示す諸特性を有するカーボンブラックを用意した。
【0157】
【表2】
【0158】
フィラー材1〜8:
芯粒子の種類、表面改質剤による被覆工程における添加物の種類及び添加量、エッジランナー処理の荷重及び時間、カーボンブラックの種類及び添加量、カーボンブラックの付着工程におけるエッジランナーによる処理の荷重及び時間、粉砕・分級工程の有無を種々変えた以外は、前記発明の実施の形態と同様にして複合粒子粉末を得た。
【0159】
このときの製造条件を表3に、得られた黒色複合粒子粉末の諸特性を表4に示す。
【0160】
【表3】
【0161】
【表4】
【0162】
フィラー材1〜6で得られた黒色複合粒子粉末は、電子顕微鏡観察の結果、カーボンブラックがほとんど認められないことから、カーボンブラックのほぼ全量が芯粒子表面に付着していることが確認された。
【0163】
<磁気記録媒体の製造>
実施例1〜6及び比較例1〜4:
磁気記録層の磁性粒子粉末の種類及びバックコート層のフィラー材の種類を種々変化させた以外は、前記発明の実施の形態と同様にして磁気記録媒体を製造した。
【0164】
尚、使用した磁性粒子1乃至3の諸特性を表5に示す。
【0165】
【表5】
【0166】
このときの製造条件及び得られた磁気記録媒体の諸特性を表6に示す。
【0167】
【表6】
【0168】
【発明の効果】
本発明に係る磁気記録媒体は、バックコート層に添加するフィラー材として、挙動粒子径が小さく、挙動粒子径の粒度分布がシャープである黒色複合粒子粉末を用いることにより、十分に表面電気抵抗値を低減できると共に、表面平滑性及び耐久性に優れたドロップアウトの少ない磁気記録媒体を得ることができるので、高密度磁気記録媒体として好適である。
Claims (3)
- 非磁性支持体、該非磁性支持体上に形成された非磁性下地層及び該非磁性下地層上に形成された磁気記録層及び前記非磁性支持体の他方の面に形成されるバックコート層からなる磁気記録媒体において、前記バックコート層に、白色無機粒子粉末の粒子表面にカーボンブラックが付着している黒色複合粒子粉末であって前記複合粒子粉末の平均一次粒子径が0.005〜0.5μmである磁気記録媒体用フィラー材を含有することを特徴とする磁気記録媒体。
- 請求項1記載の磁気記録媒体において、磁気記録媒体用フィラー材が、白色無機粒子粉末の粒子表面にカーボンブラックが付着している黒色複合粒子粉末からなり、黒色複合粒子粉末の体積平均粒子径(D50)が2.00μm以下、体積粒子径の幾何標準偏差値(D84/D50)が2.2以下であることを特徴とする磁気記録媒体。
- 前記請求項1記載の磁気記録媒体において、磁気記録媒体用フィラー材が、白色無機粒子粉末の粒子表面が表面改質剤によって被覆されていると共に該表面改質剤被覆粒子表面にカーボンブラックが付着している黒色複合粒子粉末からなり、黒色複合粒子粉末の体積平均粒子径(D50)が2.00μm以下、体積粒子径の幾何標準偏差値(D84/D50)が2.2以下であることを特徴とする磁気記録媒体。
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