JP2006147040A - 磁気記録媒体用フィラー材及び磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体用フィラー材及び磁気記録媒体 Download PDF

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一之 林
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Abstract

【課題】 本発明は、挙動粒子径(体積平均粒子径(D50)、体積粒子径(D84)、体積粒子径(D99))が小さく、ビヒクル中における分散性に優れた磁気記録媒体用フィラー材及び、磁気記録層を薄層化した場合においても表面平滑性、走行耐久性及びヘッドクリーニング性に優れた磁気記録媒体に関するものである。
【解決手段】 モース硬度7以上の無機粒子粉末の粒子表面が表面改質剤によって被覆されていると共に該表面改質剤被覆粒子表面に顔料誘導体が付着している複合粒子粉末からなる磁気記録媒体用フィラー材である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、挙動粒子径(体積平均粒子径(D50)、体積粒子径(D84)、体積粒子径(D99))が小さく、ビヒクル中における分散性に優れた磁気記録媒体用フィラー材及び、磁気記録層を薄層化した場合においても表面平滑性、走行耐久性及びヘッドクリーニング性に優れた磁気記録媒体に関するものである。
従来、オーディオ用、ビデオ用、コンピューター用の磁気記録再生用機器の小型軽量化、長時間記録化、高密度記録化、及び記録容量の増大化が求められており、以前と比べ、記録されるキャリアー信号の周波数が短波長領域に移行し、磁気テープの表面からの磁化深度が著しく浅くなると共に、磁気記録媒体の高出力特性、殊に、S/N比を向上させるために、磁気記録層を薄層化する傾向にある。
近年、オーディオテープやビデオテープの更なる長時間記録化及びパーソナルコンピュータやオフィスコンピュータの普及から外部記憶媒体としてデータを記録するための磁気テープ(バックアップテープ)のより一層の記録容量向上が強く要求されているが、テープ1巻当たりの大きさが規定されているオーディオ、ビデオテープ及びバックアップテープの場合、長時間記録化や高記録容量化のためには、テープ全厚を薄くして1巻当たりのテープ長さを長くする必要がある。そのため、磁気記録層の膜厚は従来1μm前後であったものが、近年では0.1〜0.3μmまで薄層化してきている。更に、以前と比べ、記録されるキャリアー信号の周波数が短波長領域に移行し、磁気テープの表面からの磁化深度が著しく浅くなると共に、磁気記録媒体の高出力特性、殊に、S/N比を向上させるために、磁気記録層はより薄層化する傾向にある。
しかしながら、上記磁気記録層が薄層化することによって、磁気記録層の表面平滑化が困難になること及び塗膜強度の低下が問題となってきている。殊に、磁気記録層を薄層化した場合、磁気記録層に添加されるフィラー材の分散レベルが磁気記録媒体の表面平滑性に大きく影響し、従来の膜厚では問題とならなかったフィラー材の分散粒子径であっても、薄層化することにより磁気記録層表面上に巨大な突起を生じ、磁性層面の表面平滑性が悪くなり、ドロップアウトが発生しやすくなる。
また、オーディオテープ、ビデオテープ及びコンピュータのバックアップテープは高速で繰り返し使用されるため、磁気記録層を薄層化した場合でも、テープの走行耐久性が従来並みに維持できることが要求されている。
従来、磁気記録層に添加されるフィラー材の諸特性改善のために種々の試みがなされており、フィラー材をシランカップリング剤や脂肪族化合物で表面処理することが知られている(特許文献1乃至4)。
また、非磁性下地層に添加される非磁性粒子粉末の諸特性改善を目的として、非磁性粒子粉末としてヘマタイト粒子粉末又は含水酸化鉄粒子粉末の粒子表面にあらかじめ顔料誘導体によって処理されたカーボンブラックが付着している複合非磁性粒子粉末を使用すること(特許文献5)が知られている。
また、バックコート層用塗料の分散性改善を目的として、平板状無機粉体表面にカーボンブラックが付着した粒子粉末を用いると共に、分散剤として有機色素誘導体を用いること(特許文献6)が知られている。
特開昭61−77136号公報 特開昭64−49119号公報 特公平4−59690号公報 特開2000−11357号公報 特開2004−288325号公報 特開2003−168208号公報
磁気記録層を薄層化しても、表面平滑性及び強度に優れると共に、ドロップアウトが少なくヘッドクリーニング性に優れた磁気記録媒体が得られる磁気記録媒体用フィラー材は、現在最も要求されているところであるが、未だ得られていない。
即ち、前出特許文献1乃至4には、磁気記録層に添加されるフィラー材をシランカップリング剤や脂肪族化合物で表面処理することが記載されているが、後出比較例に示す通り、シランカップリング剤や脂肪族化合物で表面処理するだけでは十分な分散性が得られないと共に、挙動粒子径を小さくすることができず、従来の厚さの磁気記録層であれば使えるレベルであるが、薄層化した場合には、十分に表面平滑性を低減することができないため、ヘッドクリーニング性及びドロップアウトを改善することができない。
特許文献5には、非磁性粒子粉末としてヘマタイト粒子粉末又は含水酸化鉄粒子粉末の粒子表面にあらかじめ顔料誘導体によって処理されたカーボンブラックが付着している複合非磁性粒子粉末の使用が記載されているが、被処理粒子がモース硬度6のヘマタイト粒子粉末であることから、十分なヘッドクリーニング性が得られない。また、顔料誘導体処理はカーボンブラックになされており、分散性に寄与する顔料誘導体の官能基は芯粒子表面への吸着に働いているため、顔料誘導体を処理したことによる分散性向上は期待できない。
特許文献6には、バックコート層用の平板状無機粉体表面にカーボンブラックが付着した粒子粉末を用いると共に、分散剤として有機色素誘導体を用いることが記載されているが、後出比較例に示す通り、分散剤としてビヒクル中に単に添加しただけでは、十分な分散性及び表面平滑性を得ることは困難である。
前記技術的課題は、次の通りの本発明によって達成できる。
即ち、本発明は、モース硬度7以上の無機粒子粉末の粒子表面に顔料誘導体が付着している複合粒子粉末からなることを特徴とする磁気記録媒体用フィラー材である(本発明1)。
また、本発明は、モース硬度7以上の無機粒子粉末の粒子表面が表面改質剤によって被覆されていると共に該表面改質剤被覆粒子表面に顔料誘導体が付着している複合粒子粉末からなることを特徴とする本発明1記載の磁気記録媒体用フィラー材である(本発明2)。
また、本発明は、複合粒子粉末の体積平均粒子径(D50)が2.20μm以下、体積粒子径の幾何標準偏差値(D84/D50)が2.2以下であることを特徴とする本発明1又は2記載の磁気記録媒体用フィラー材である(本発明3)。
また、本発明は、非磁性支持体上に磁性粒子粉末、フィラー材及び結合剤樹脂とを含む磁気記録層が形成されてなる磁気記録媒体において、前記フィラー材が請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の磁気記録媒体用フィラー材である(本発明4)。
本発明に係る磁気記録層用フィラー材は、磁気記録層のフィラー材として用いた場合、磁気記録層を薄層化しても表面平滑性及び走行耐久性に優れると共に、ドロップアウトが少なくヘッドクリーニング性に優れた磁気記録媒体を得ることができることから、高密度磁気記録媒体の磁気記録層用フィラー材として好適である。
本発明に係る磁気記録媒体は、磁気記録層用フィラー材として上記複合粒子粉末を用いることにより、表面平滑性及び走行耐久性に優れると共に、ドロップアウトが少なくヘッドクリーニング性に優れた磁気記録媒体が得られるので、高密度磁気記録媒体として好適である。
本発明の構成をより詳しく説明すれば次の通りである。
先ず、本発明に係る磁気記録媒体用フィラー材(以下、「複合粒子粉末」という。)について述べる。
本発明に係る磁気記録媒体用フィラー材は、芯粒子であるモース硬度7以上の無機粒子の粒子表面に、顔料誘導体が付着している複合粒子粉末からなる。
本発明における芯粒子としては、モース硬度7以上の無機粒子を用いることができる。具体的には、α−アルミナ、β−アルミナ、酸化セリウム、酸化チタン(ルチル型)、炭化ケイ素、炭化チタン、窒化ケイ素、窒化ホウ素、酸化ジルコニウム等が挙げられる。得られる磁気記録媒体の走行耐久性及びヘッドクリーニング性を考慮すれば、好ましくはα−アルミナ、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素等の無機粒子を用いることが好ましい。
本発明における芯粒子の粒子形状は、針状、紡錘状、米粒状、球状、粒状、多面体状、フレーク状、鱗片状及び板状等のいずれの形状であってもよい。
本発明における芯粒子粉末の平均一次粒子径は、0.60μm以下であり、磁気記録層の厚み以下であることが好ましい。具体的には、0.01〜0.60μmであることが好ましく、更により好ましくは0.02〜0.50μmである。平均一次粒子径が0.01μm未満の場合には、粒子の微細化による分子間力の増大により凝集を起こしやすいため、芯粒子表面への表面改質剤及び/又は顔料誘導体による均一な付着処理が困難となる。平均一次粒子径が0.60μmを超える場合には、得られる複合粒子もまた粗大粒子となり、磁気記録層の膜厚よりも大きくなるため、塗膜の表面平滑性が損なわれやすい。
本発明における芯粒子粉末のBET比表面積値は1〜150m/gが好ましい。BET比表面積値が1m/g未満の場合には、芯粒子粉末が粗大であり、得られる複合粒子もまた粗大粒子となり、磁気記録層の膜厚よりも大きくなるため、塗膜の表面平滑性が損なわれやすい。より好ましくは3〜120m/g、更により好ましくは5〜100m/gである。
体積平均粒子径(D50)が低い複合粒子粉末を得るためには、本発明における芯粒子粉末の体積平均粒子径(D50)もまた可能な限り低いものが好ましく、その上限は5.00μmが好ましく、より好ましくは4.50μm、更により好ましくは4.00μmである。
体積粒子径(D84)が低い複合粒子粉末を得るためには、本発明における芯粒子粉末の体積粒子径(D84)もまた可能な限り低いものが好ましく、その上限値は、好ましくは9.00μmであり、より好ましくは8.50μm、更により好ましくは8.00μmである。
本発明における芯粒子粉末の体積粒子径(D99)は、通常下限値が10.00μmを超える値を有している。
本発明における芯粒子粉末の体積粒子径の幾何標準偏差値(D84/D50)は、通常下限値が2.5を超える値を有している。
本発明における芯粒子粉末は、後述する評価方法により、通常3.0cmを超える沈降体積を有している。
本発明に用いられる芯粒子の粒子表面は、顔料誘導体を付着しやすく、且つ、付着が溶剤の存在下で安定になるために、表面改質剤によって被覆されていることが好ましい。この目的に用いられる表面処理剤としては、アルコキシシラン、フルオロアルキルシラン、シラン系カップリング剤及びオルガノポリシロキサン等の有機ケイ素化合物、チタネート系、アルミネート系及びジルコネート系などのカップリング剤、低分子あるいは高分子界面活性剤等が好適に用いられる。
一般に、無機粒子の粒子表面には水酸基が多く存在するため、これら水酸基と結合もしくは加水分解する反応性基を有するもの用いることが効果的であり、この観点から、アルコキシシラン、フルオロアルキルシラン等のアルコキシ基を有する有機ケイ素化合物、メチルハイドロジェンポリシロキサン、シラン系、チタネート系、アルミネート系及びジルコネート系の各種カップリング剤がより好適に用いられる。
有機ケイ素化合物としては、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン及びデシルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、トルフルオロプロピルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシラン及びトリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン等のフルオロアルキルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ―アミノプロピルトリエトキシシラン、γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ―メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ―メタクロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等のシラン系カップリング剤、ポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、変性ポリシロキサン等のオルガノポリシロキサン等が挙げられる。
チタネート系カップリング剤としては、イソプロピルトリステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル・アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスフェートチタネート、テトラ(2,2ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスフェートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート等が挙げられる。
アルミネート系カップリング剤としては、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムジイソプロポキシモノエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート等が挙げられる。
ジルコネート系カップリング剤としては、ジルコニウムテトラキスアセチルアセトネート、ジルコニウムジブトキシビスアセチルアセトネート、ジルコニウムテトラキスエチルアセトアセテート、ジルコニウムトリボトキシモノエチルアセトアセテート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネート等が挙げられる。
低分子系界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ジオクチルスルホンコハク酸塩、アルキルアミン酢酸塩、アルキル脂肪酸塩等が挙げられる。高分子系界面活性剤としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、カルボキシメチルセルロース、アクリル酸−マレイン酸塩コポリマー、オレフィン−マレイン酸塩コポリマー等が挙げられる。
表面改質剤の被覆量は、芯粒子粉末に対してC換算で0.01〜15.0重量%が好ましい。0.01重量%未満の場合には、芯粒子100重量部に対して1重量部以上の顔料誘導体を付着させることが困難である。0.01〜15.0重量%の被覆によって、芯粒子100重量部に対して顔料誘導体を0.1〜50重量部付着させることができるため、必要以上に被覆する意味がない。より好ましくは0.02〜12.5重量%、更に好ましくは0.03重量%〜10.0重量%である。
本発明における顔料誘導体としては、有機顔料の顔料骨格中に置換基を導入して得られた化合物を用いることができる。
主骨格となる有機顔料としては、フタロシアニン系顔料、キクリドン系、アントラキノン系、ペリレン系、ペリノン系、インジゴ系、ジオキサジン系、キノフタロン系、イソインドリノン系、イソインドリン系、ジケトピロロピロール系等の縮合多環系顔料及びアゾ系顔料等が挙げられる。
顔料誘導体の置換基としては、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、アルキルアミノ基、フタルイミド基等が挙げられる。具体的には、−SOM、−OSOM、−COOM、−P=O(OM)(式中、Mは水素原子あるいはリチウム、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属を示す)、−NR、−NR の末端基を有する側鎖型アミン、>NR で表される主鎖型アミン(式中、R、R、Rは水素原子あるいは炭化水素基を表し、Xはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン元素イオンあるいは無機・有機イオンを表す)等である。
具体的には、フタロシアニン系誘導体及びアゾ系顔料誘導体である、Solsperse 5000(商品名)、Solsperse 12000(商品名)、Solsperse 22000(商品名)(以上、アビシア株式会社製)、EFKA 6745(商品名)、EFKA 6750(商品名)(以上、エフカ アディティブズ製)等の市販品を好適に使用することができる。
本発明における顔料誘導体の付着量は、芯粒子粉末の表面積によっても異なるが、芯粒子粉末100重量部に対して顔料誘導体として0.05〜50重量部であり、好ましくは0.1〜40重量部、より好ましくは0.2〜30重量部である。0.05重量部未満の場合には、芯粒子の粒子表面を被覆する顔料誘導体が少なすぎるため、本発明の目的とする複合粒子粉末を得ることが困難となる。0.05〜50重量部の付着によって、本発明の目的とする効果が十分に得られるので、50重量部を超えて必要以上に付着させる意味がない。
本発明に係る複合粒子の粒子形状は、芯粒子である無機粒子の粒子形状に大きく依存し、芯粒子に相似する粒子形態を有している。
即ち、本発明に係る複合粒子粉末の平均一次粒子径は0.60μm以下が好ましく、磁気記録層の厚み以下であることが好ましい。具体的には、0.01〜0.60μmであることが好ましく、更により好ましくは0.02〜0.50μmである。平均一次粒子径が0.01μm未満の場合には、粒子の微細化による分子間力の増大により凝集を起こしやすく、その結果、粗大粒子が生成し塗料製造時におけるビヒクル中への均一な分散が困難となる。平均一次粒子径が0.60μmを超える場合には、複合粒子が大粒子となり、磁気記録層の膜厚よりも大きくなるため、塗膜の表面平滑性が損なわれやすい。
本発明に係る複合粒子の粒子形状は、針状、紡錘状、米粒状、球状、粒状、多面体状、フレーク状、鱗片状及び板状等のいずれの形状であってもよい。
本発明に係る複合粒子粉末のBET比表面積値は1〜150m/gが好ましい。BET比表面積値が1m/g未満の場合には、複合粒子粉末が粗大であり、磁気記録層の膜厚よりも大きくなるため、塗膜の表面平滑性が損なわれやすい。より好ましくは3〜120m/g、更により好ましくは5〜100m/gである。
本発明に係る複合粒子粉末の体積平均粒子径(D50)は2.00μm以下が好ましい。体積平均粒子径(D50)が2.00μmを超える場合には、磁気記録層を薄層化した場合に、得られた磁気記録媒体の表面性が低下し、ドロップアウトが増加するため好ましくない。より好ましくは1.60μm以下、更により好ましくは1.20μm以下である。体積平均粒子径(D50)の下限値は0.01μm程度である。
本発明に係る複合粒子粉末の体積粒子径(D84)は0.01〜3.00μmが好ましい。体積粒子径(D84)が3.00μmを超える場合には、磁気記録層を薄層化した場合に、得られた磁気記録媒体の表面性が低下し、ドロップアウトが増加するため好ましくない。より好ましくは0.01〜2.50μm、更により好ましくは0.01〜2.00μmである。
本発明に係る複合粒子粉末の体積粒子径(D99)は0.01〜6.00μmが好ましい。体積粒子径(D99)が6.00μmを超える場合には、磁気記録層を薄層化した場合に、得られた磁気記録媒体の表面性が低下し、ドロップアウトが増加するため好ましくない。より好ましくは0.01〜5.00μm、更により好ましくは0.01〜4.00μmである。
本発明に係る複合粒子粉末の体積粒子径の幾何標準偏差値(D84/D50)は2.2以下であることが好ましい。体積粒子径の幾何標準偏差値(D84/D50)が2.2を超える場合には、存在する粗大粒子によって磁性塗料製造時におけるビヒクル中への均一な分散が困難となる。より好ましくは2.0以下であり、更により好ましくは1.8以下である。
本発明に係る複合粒子粉末の沈降体積は、3.0cm以下であることが好ましく、より好ましくは2.9cm以下、更により好ましくは2.8cm以下である。沈降体積が3.0cmを超える場合には、ビヒクル中における分散が十分ではないため、これを用いて得られた磁気記録媒体の表面平滑性が低下する。
次に、本発明に係る磁気記録媒体について述べる。
本発明に係る磁気記録媒体は、非磁性支持体上に磁性粒子粉末、フィラー材及び結合剤樹脂とを含む磁気記録層が形成されてなる。必要に応じて、非磁性支持体と磁気記録層との間に非磁性粒子粉末と結合剤樹脂とを含む非磁性下地層及び/又は非磁性支持体の一方の面に形成される磁気記録層に対し、非磁性支持体の他方の面にバックコート層を形成させてもよい。殊に、コンピュータ記録用のバックアップテープの場合には、巻き乱れの防止や走行耐久性向上の点から、非磁性支持体と磁気記録層との間に非磁性粒子粉末と結合剤樹脂とを含む非磁性下地層を設けることが好ましく、更に、バックコート層を設けることがより好ましい。
本発明における非磁性支持体としては、現在、磁気記録媒体に汎用されているポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、芳香族ポリアミド、芳香族ポリイミド、芳香族ポリアミドイミド、ポリスルフォン、セルローストリアセテート、ポリベンゾオキサゾール等の合成樹脂フィルム、アルミニウム、ステンレス等金属の箔や板及び各種の紙を使用することができる。得られる磁気記録媒体の強度を考慮すれば、ポリエステル類、ポリアミド又は芳香族ポリアミドが好ましい。
非磁性支持体の厚みは、その材質及び用途により種々異なるが、通常好ましくは1.0〜300μm、より好ましくは2.0〜200μmである。殊に、記録容量を上げるために薄層化する傾向にあるコンピュータ記録用のバックアップテープの場合、その厚みは、通常1.0〜7.0μmが好ましく、より好ましくは2.0〜6.0μmである。
磁性粒子粉末としては、マグヘマイト粒子粉末(γ−Fe)やマグネタイト粒子粉末(FeO ・Fe、0<x≦1)等の磁性酸化鉄粒子粉末にCo又はCo及びFeを被着させたCo被着型磁性酸化鉄粒子粉末、前記Co被着型磁性酸化鉄粒子粉末にFe以外のCo、Al、Ni、P、Zn、Si、B、希土類金属等の異種元素を含有させたCo被着型磁性酸化鉄粒子粉末、鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末、鉄以外のCo、Al、Ni、P、Zn、Si、B、希土類金属等を含有する鉄合金磁性粒子粉末、Ba、Sr、又はBa−Srを含有する板状マグネトプランバイト型フェライト粒子粉末並びにこれらにCo、Ni、Zn、Mn、Mg、Ti、Sn、Zr、Nb、Cu、Mo等の2価及び4価の金属から選ばれた保磁力低減剤の一種又は二種以上を含有させた板状マグネトプランバイト型フェライト粒子粉末等のいずれをも用いることができる。
尚、近年の短波長記録、高密度記録を考慮すれば、鉄を主成分とする針状金属磁性粒子粉末、鉄以外のCo、Al、Ni、P、Zn、Si、B、希土類金属等を含有する針状鉄合金磁性粒子粉末、板状マグネトプランバイト型フェライト粒子粉末等が好ましい。
磁性粒子粉末は、平均一次長軸径(板状粒子の場合は平均一次粒子径)が0.01〜0.50μmであることが好ましく、より好ましくは0.03〜0.30μmである。該磁性粒子粉末の粒子の形状は針状もしくは板状が好ましい。ここで「針状」とは、文字通りの針状はもちろん、紡錘状や米粒状等を含む意味である。
また、磁性粒子粉末の粒子形状が針状の場合、軸比は3.0以上が好ましく、より好ましくは5.0以上であり、ビヒクル中における分散性を考慮すれば、その上限値は15.0が好ましく、より好ましくは10.0である。
磁性粒子粉末の粒子形状が板状の場合、板状比(粒子の平均一次粒子径と粒子の平均一次厚みの比)(以下、「板状比」という。)は2.0以上であることが好ましく、より好ましくは3.0以上であり、ビヒクル中における分散性を考慮すれば、その上限値は20.0が好ましく、より好ましくは15.0である。
磁性粒子粉末の磁気特性は、保磁力値が39.8〜318.3kA/m、好ましくは43.8〜318.3kA/mであって、飽和磁化値が40〜200Am/kg、好ましくは50〜180Am/kgである。
高密度記録化等を考慮して、磁性粒子粉末として鉄を主成分とする針状金属磁性粒子粉末又は針状鉄合金磁性粒子粉末を用いた場合の磁気特性は、保磁力値が63.7〜278.5kA/m、好ましくは71.6〜278.5kA/m、飽和磁化値が90〜200Am/kg、好ましくは90〜180Am/kgである。
結合剤樹脂としては、磁気記録媒体の製造にあたって汎用されている熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化型樹脂等を単独又は組み合わせて用いることができる。具体的には、熱可塑性樹脂としては、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、アクリル酸エステル−スチレン共重合体、メタクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、メタクリル酸エステル−塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステル−スチレン共重合体、ウレタンエラストマー、ナイロン−シリコーン系樹脂、ニトロセルロース−ポリアニド樹脂、ポリフッ化ビニル、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、ニトロセルロース等セルロース誘導体、スチレン−ブタジエン共重合体、(飽和)ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、クロロビニルエーテル−アクリル酸共重合体、アミノ樹脂、ポリブタジエン等の合成ゴム系樹脂を用いることができる。熱硬化性樹脂及び電子線硬化型樹脂としては、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、(不飽和)ポリエステル樹脂、ポリウレタンカーボネート樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、シリコン樹脂、ポリイソシアネート、電子線硬化型アクリルウレタン樹脂等を用いることができる。また、各結合剤樹脂には極性基として、−COOM、−SOM及び−OPO(但し、MはH、アルカリ金属、アルカリ土類金属又は炭化水素基である。)等の酸性基、リン酸エステル類及びアルキルベタイン型の両性類基、−OH、−NH等が含まれていてもよい。粒子粉末のビヒクル中における分散性を考慮すれば、極性基として−COOM、−SOM又はアルキルベタイン型両性類基が含まれている結合剤樹脂が好ましい。
磁気記録層のカレンダー処理後の塗膜厚さは、0.01〜2.0μmが好ましく、より好ましくは0.02〜1.5μmであり、更により好ましくは0.02〜1.0μmである。殊に、記録容量を上げるために薄層化する傾向にあるコンピュータデータ記録用のバックアップテープの場合、その厚みは、通常0.01〜0.50μmが好ましく、より好ましくは0.02〜0.40μm、更により好ましくは0.03〜0.30μmである。0.01μm未満の場合には、均一な塗布が困難であり、塗りむら等の現象が出やすくなるため好ましくない。2.0μmを超える場合には、反磁界の影響により再生出力が小さくなるため好ましくない。
磁性粒子粉末と結合剤樹脂との配合割合は、磁性粒子粉末100重量部に対して結着剤樹脂が5〜100重量部、好ましくは10〜75重量部である。
磁気記録層中の磁性粒子粉末と本発明に係る磁気記録媒体用フィラー材との配合割合は、磁性粒子粉末100重量部に対して本発明に係る磁気記録媒体用フィラー材が1〜30重量部、好ましくは3〜25重量部、更により好ましくは5〜20重量部である。
本発明に係る磁気記録媒体用フィラー材が1重量部未満の場合には、磁気記録層中に含有される磁気記録媒体用フィラー材が少なすぎるため、磁気記録媒体の走行耐久性及びヘッドクリーニング性が不十分となる。磁気記録媒体用フィラー材が30重量部を超える場合には、磁気記録媒体に十分な走行耐久性及びヘッドクリーニング性を付与することができるが、磁気記録層中に非磁性成分が増加することになり、磁気記録媒体の高密度記録化に不利となる。
磁気記録層中には、通常用いられている潤滑剤、帯電防止剤等を添加してもよい。
帯電防止剤としては、カーボンブラック、グラファイト、酸化スズ、酸化チタン−酸化スズ−酸化アンチモン等の導電性粉末及び界面活性剤等を用いることができる。殊に、カーボンブラックは、帯電防止の他に、光透過率及び摩擦係数低減、磁気記録媒体の強度向上といった効果が期待できることから、帯電防止剤としては、カーボンブラックを用いることが好ましい。
本発明における非磁性下地層は、非磁性支持体と磁気記録層との間に形成され、非磁性粒子粉末及び結合剤樹脂を含んでいる。
非磁性下地層用非磁性粒子粉末としては、通常、磁気記録媒体用非磁性下地層に用いられる非磁性無機質粒子粉末を使用することができる。具体的には、ヘマタイト、含水酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化タングステン、二酸化ケイ素、α−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、酸化クロム、酸化セリウム、炭化ケイ素、チタンカーバイト、窒化ケイ素、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二硫化モリブデン、チタン酸バリウム等を単独又は組み合わせて用いることができ、殊に、ヘマタイト、含水酸化鉄、酸化チタン等が好ましい。
尚、非磁性塗料製造時におけるビヒクル中での分散性改善のため、必要により、これら非磁性粒子粉末の粒子表面をアルミニウムの水酸化物、アルミニウムの酸化物、ケイ素の水酸化物、ケイ素の酸化物等で表面処理してもよく、また、得られる磁気記録媒体の光透過率、表面電気抵抗値、機械的強度、表面平滑性、耐久性等の諸特性改善のため、必要により、粒子内部にAl、Ti、Zr、Mn、Sn、Sb等を含有させてもよい。
非磁性粒子粉末には各種形状の粒子があり、球状、粒状、八面体状、六面体状、多面体状等の粒状粒子粉末、針状、紡錘状、米粒状等の針状粒子粉末及び板状粒子粉末等がある。
非磁性粒子粉末の粒子サイズは、粒子形状が粒状の場合、平均一次粒子径が0.01〜0.3μm、好ましくは0.015〜0.25μm、より好ましくは0.02〜0.2μmであり、粒子形状が針状の場合、平均一次長軸径が0.01〜0.3μm、好ましくは0.015〜0.25μm、より好ましくは0.02〜0.2μmであり、粒子形状が板状の場合、平均一次粒子径が0.01〜0.3μm、好ましくは0.015〜0.25μm、より好ましくは0.02〜0.2μmである。
また、粒子形状が針状の場合、軸比が2〜20、好ましくは2.5〜15、より好ましくは3〜10であり、粒子形状が板状の場合、板状比が2〜50、好ましくは2.5〜20、より好ましくは3〜10である。
結合剤樹脂としては、前記磁気記録層を形成するために用いた結合剤樹脂を使用することができる。
非磁性粒子粉末と結合剤樹脂との配合割合は、非磁性粒子粉末100重量部に対して結着剤樹脂が5〜100重量部、好ましくは10〜75重量部である。
非磁性支持体上に形成された非磁性下地層のカレンダー処理後の塗膜厚さは、0.1〜5.0μmが好ましく、より好ましくは0.3〜4.0μmであり、更により好ましくは0.5〜3.0μmである。殊に、記録容量を上げるために薄層化する傾向にあるコンピュータデータ記録用のバックアップテープの場合、その厚みは、通常0.1〜3.0μmが好ましく、より好ましくは0.2〜2.5μm、更により好ましくは0.3〜2.0μmである。0.1μm未満の場合には、非磁性支持体の表面粗さを改善することが困難となると共に、得られる磁気記録媒体の強度も不十分となりやすい。5.0μmを超える場合には、磁気記録媒体の薄層化が困難となるため好ましくない。
尚、非磁性下地層に、磁気記録媒体の製造に通常用いられている潤滑剤、研磨材、帯電防止剤等を添加してもよい。
帯電防止剤としては、カーボンブラック、グラファイト、酸化スズ、酸化チタン−酸化スズ−酸化アンチモン等の導電性粉末及び界面活性剤等を用いることができるが、前記磁気記録層を形成する場合と同様の理由から、カーボンブラックを用いることが好ましい。
また、研磨材を添加する場合には、一般に磁気記録媒体に用いられているモース硬度6以上の無機粒子粉末を使用することができるが、磁気記録媒体の強度向上といった効果が期待できることから、本発明に係る磁気記録媒体用フィラー材を用いることが好ましい。
本発明におけるバックコート層は、非磁性支持体の一方の面に形成される磁気記録層に対し、非磁性支持体の他方の面に形成され、結合剤樹脂と共に、バックコート層の表面電気抵抗値低減、並びに強度向上を目的として、帯電防止剤及び無機粒子粉末を含有させることが好ましい。また、必要に応じて、通常の磁気記録媒体の製造に用いられる潤滑剤、研磨剤等が含まれていてもよい。
結合剤樹脂としては、前記磁気記録層を形成するために用いた結合剤樹脂を使用することができる。
帯電防止剤としては、カーボンブラック、グラファイト、酸化スズ、酸化チタン−酸化スズ−酸化アンチモン等の導電性粉末及び界面活性剤等を用いることができるが、前記磁気記録層及び非磁性下地層を形成する場合と同様の理由から、カーボンブラックを用いることが好ましい。
無機粉末としては、ヘマタイト、アルミナ、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、酸化セリウム、二酸化チタン、シリカ、酸化亜鉛、窒化ホウ素及び硫酸バリウム等から選ばれる一種又は二種以上を用いることができる。
コンピュータデータ記録用のバックアップテープの中でも、高記録容量化のために記録トラック幅を狭くした場合には、オフトラックによる再生出力の低下が問題となるため、トラックサーボが必要となる。トラックサーボ方式には磁気記録層又はバックコート層にサーボトラックバンドを形成し、それを磁気的に読み取ってサーボトラッキングする磁気サーボ方式とバックコート層に凹部アレイからなるサーボトラックバンドをレーザー照射等で形成し、それを光学的に読み取ってサーボトラッキングする光学サーボ方式がある。
殊に、バックコート層にサーボトラックバンドを形成する磁気サーボ方式の場合には、帯電防止剤及び無機粒子粉末に加えて、磁性粒子粉末を含有させることが必須となる。磁性粒子粉末としては、前記磁性層に用いた磁性粒子粉末を使用することができる。
非磁性支持体の一方の面に形成される磁気記録層に対し、非磁性支持体の他方の面に設けられたバックコート層のカレンダー処理後の塗膜厚さは、0.1〜4.0μmが好ましく、より好ましくは0.2〜2.0μmであり、更により好ましくは0.2〜1.5μmである。0.1μm未満の場合には、バックコート層の強度が不十分となり、また、塗りむら等の現象が出やすくなるため好ましくない。4.0μmを超える場合には、バックコート層の膜厚が厚すぎるため、テープ全厚が厚くなり、高記録容量化が困難となる。
カーボンブラックと前記無機粉末の合計量と結合剤樹脂との配合割合は、結合剤樹脂100重量部に対してカーボンブラックと前記無機粉末の合計量として40〜250重量部、好ましくは50〜200重量部である。
本発明に係る磁気記録媒体は、高記録容量化を考慮して、磁性粒子粉末として鉄を主成分とする針状金属磁性粒子粉末、針状鉄合金磁性粒子粉末又は板状マグネトプランバイト型フェライト粒子粉末を用いた場合には、保磁力値は63.7〜318.3kA/mが好ましく、より好ましくは71.6〜318.3kA/m、塗膜の光沢度は190〜300%が好ましく、より好ましくは195〜300%、更により好ましくは200〜300%、塗膜の表面粗度Raは9.0nm以下が好ましく、より好ましくは2.0〜8.5nm、更に好ましくは2.0〜8.0nm、ヤング率は128〜160が好ましく、より好ましくは130〜160、走行耐久性は22分以上、好ましくは24分以上、ヘッドクリーニング性はA又はB、好ましくはAであり、ドロップアウト(D/O)は20個/msec以下が好ましく、より好ましくは18個/msec以下である。
次に、本発明に係る複合粒子粉末の製造法について述べる。
本発明1に係る磁気記録媒体用フィラー材は、芯粒子の粒子表面に顔料誘導体を付着させることによって得ることができる。
芯粒子の粒子表面に顔料誘導体を付着させる方法としては、本発明の目的とする特性を満たすものであれば特に限定するものではなく、例えば、湿式処理、メカノケミカル処理等によって得ることができる。
本発明2に係る複合粒子粉末は、芯粒子粉末と表面改質剤とを混合し、芯粒子粉末の粒子表面を表面改質剤によって被覆し、次いで表面改質剤によって被覆された芯粒子粉末と顔料誘導体とを混合することによって得ることができる。
芯粒子の粒子表面への表面改質剤による被覆は、芯粒子粉末と表面改質剤とを機械的に混合攪拌したり、芯粒子粉末に表面改質剤を噴霧しながら機械的に混合攪拌すればよい。添加した表面改質剤は、ほぼ全量が芯粒子の粒子表面に被覆される。
尚、表面改質剤としてアルコキシシラン又はフルオロアルキルシランを用いた場合、被覆されたアルコキシシラン又はフルオロアルキルシランは、その一部が被覆工程を経ることによって生成する、アルコキシシランから生成するオルガノシラン化合物又はフルオロアルキルシランから生成するフッ素含有オルガノシラン化合物として被覆されていてもよい。この場合においてもその後の顔料誘導体の付着に影響することはない。
尚、表面改質剤を均一に芯粒子の粒子表面に被覆するためには、芯粒子粉末の凝集をあらかじめ粉砕機を用いて解きほぐしておくことが好ましい。
芯粒子粉末と表面改質剤との混合攪拌、顔料誘導体と粒子表面に表面改質剤が被覆されている芯粒子粉末との混合攪拌をするための機器としては、粉体層にせん断力を加えることのできる装置が好ましく、せん断、へらなで及び圧縮が同時に行える装置、例えば、ホイール形混練機、ボール型混練機、ブレード型混練機、ロール型混練機を用いることができる。本発明の実施にあたっては、ホイール型混練機がより効果的に使用できる。
上記ホイール型混練機としては、具体的に、エッジランナー(「ミックスマラー」、「シンプソンミル」、「サンドミル」と同義語である)、マルチマル、ストッツミル、ウエットパンミル、コナーミル、リングマラー等があり、好ましくはエッジランナー、マルチマル、ストッツミル、ウエットパンミル、リングマラーであり、より好ましくはエッジランナーである。上記ボール型混練機としては、具体的に、振動ミル等がある。前記ブレード型混練機としては、具体的に、ヘンシェルミキサー、プラネタリーミキサー、ナウタミキサー等がある。前記ロール型混練機としては、具体的に、エクストルーダー等がある。
芯粒子粉末と表面改質剤との混合攪拌時における条件は、芯粒子の粒子表面に表面改質剤ができるだけ均一に被覆されるように、線荷重は19.6〜1960N/cm、好ましくは98〜1470N/cm、より好ましくは147〜980N/cm、処理時間は5分〜24時間が好ましく、より好ましくは10分〜20時間の範囲で処理条件を適宜調整すればよい。尚、撹拌速度は2〜2000rpm、好ましくは5〜1000rpm、より好ましくは10〜800rpmの範囲で処理条件を適宜調整すればよい。
表面改質剤の添加量は、芯粒子粉末100重量部に対して0.15〜45重量部が好ましい。0.15〜45重量部の添加量により、芯粒子粉末100重量部に対して顔料誘導体を0.05〜50重量部付着させることができる。
芯粒子粉末の粒子表面に表面改質剤を被覆した後、顔料誘導体を添加し、混合攪拌して該表面改質剤被覆粒子の粒子表面に顔料誘導体を付着させる。必要により更に、乾燥乃至加熱処理を行ってもよい。
顔料誘導体は、少量ずつを時間をかけながら、殊に5〜24時間程度をかけて添加するか、もしくは芯粒子粉末100重量部に対して5〜25重量部の顔料誘導体を所望の量となるまで分割して添加することが好ましい。
混合攪拌時における条件は、顔料誘導体が均一に付着するように処理条件を適宣選択すればよく、線荷重は19.6〜1960N/cmが好ましく、より好ましくは98〜1470N/cm、最も好ましくは147〜980N/cmであり、処理時間は5〜24時間が好ましく、より好ましくは10〜20時間の範囲であり、撹拌速度は2〜2000rpmが好ましく、より好ましくは5〜1000rpm、最も好ましくは10〜800rpmの範囲で処理条件を適宜調整すればよい。
顔料誘導体の添加量は、芯粒子粉末100重量部に対して0.05〜50重量部である。
得られた複合粒子粉末を粉砕するための機器としては、微粉砕機もしくは超微粉砕機を用いることが好ましく、例えば、ローラミル、衝撃式粉砕機、ボールミル、攪拌ミル、ジェット粉砕機等を用いることが好ましい。ジェット粉砕機及び衝撃式粉砕機がより効果的に使用できる。
前記ジェット粉砕機としては、旋回流型ジェットミル、流動層型ジェットミル等があり、好ましくは流動層型ジェットミルである。衝撃式粉砕機としては、ハンマミル、ピンミル、スクリーンミル、ターボ型ミル、遠心分級型ミル等があり、好ましくはピンミルである。ローラミルとしては、リングローラミル、遠心ローラミル等がある。ボールミルとしては、転動ボールミル、振動ボールミル、遊星ミル等がある。攪拌ミルとしては、攪拌槽型ミル、流通管型ミル、アニュラミル等がある。
粉砕後の複合粒子粉末を分級するための機器としては、乾式分級機を用いることが好ましく、例えば、重力分級機、慣性分級機、遠心分級機等を用いることが好ましい。遠心分級機がより効果的に使用できる。
前記遠心分級機としては、サイクロン、クラシクロン、スターテバント型、ミクロンセパレータ、ターボプレックス、タボクラシファイヤ、スーパセパレータ、ディスパージョンセパレータ等があり、好ましくはターボプレックス、ミクロンセパレータである。重力分級機としては、水平流型、垂直流型、傾斜流型がある。慣性分級機としては、直線型、曲線型、傾斜型等がある。
粉砕・分級における条件は、目的とする体積平均粒子径が得られるように処理条件を適宜選択すればよい。
乾燥乃至加熱処理を行う場合の加熱温度は、通常40〜150℃が好ましく、より好ましくは60〜120℃であり、加熱時間は、10分〜12時間が好ましく、30分〜3時間がより好ましい。
尚、表面改質剤としてアルコキシシラン又はフルオロアルキルシランを用いた場合には、これらの工程を経ることにより、最終的にはアルコキシシランから生成するオルガノシラン化合物又はフルオロアルキルシランから生成するフッ素含有オルガノシラン化合物となって被覆されている。
次に、本発明に係る磁気記録媒体の製造法について述べる。
前記磁気記録層、前記非磁性下地層及び前記バックコート層の形成にあたって用いる溶剤としては、磁気記録媒体に汎用されているアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン及びテトラヒドロフラン等のケトン類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブチルアルコール及びイソプロピルアルコール等のアルコール類、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル及び酢酸グリコール等のエステル類、グリコールジメチルエーテル、グリコールモノエチルエーテル及びジオキサン等のグリコールエーテル類及びその混合物等を使用することができる。
溶剤の使用量は、粒子粉末100重量部に対してその総量で65〜1000重量部である。65重量部未満では塗料とした場合に粘度が高くなりすぎ塗布が困難となる。1000重量部を超える場合には、塗膜を形成する際の溶剤の揮発量が多くなりすぎ工業的に不利となる。
磁気記録層、非磁性下地層、バックコート層は、各層を構成する成分及び溶剤を一般に使用される混練機及び分散機により混練・分散処理を行い、各塗料を作製する。該各塗料を用いて、非磁性支持体上の一面に磁気記録層を塗布、乾燥後、カレンダー処理を行う。必要により、非磁性下地層を設ける場合には、非磁性支持体上の一面に非磁性下地層、磁気記録層の順に塗布、乾燥後、カレンダー処理を行う。その際の塗布方法としては、磁性層と非磁性層をほぼ同時に塗布するWet on Wet法でも、非磁性下地層を塗布・乾燥後、その上に磁気記録層を塗布するWet on Dry法のどちらでもよい。また、必要により、バックコート層を設ける場合には、非磁性下地層及び/又は磁気記録層とは反対面の非磁性支持体上にバックコート層用塗料を塗布、乾燥後、カレンダー処理を行い、磁気記録媒体を得る。
<作用>
本発明において最も重要な点は、粒子表面に顔料誘導体が付着しているモース硬度7以上の無機粒子粉末に対して粉砕・分級を行った複合粒子粉末は、ビヒクル中における分散性に優れると共に、該複合粒子粉末を用いることにより、磁気記録層を薄層化しても、表面平滑性、走行耐久性及びヘッドクリーニング性が優れると共に、ドロップアウトが少ない磁気記録媒体が得られるという事実である。
本発明に係る複合粒子粉末の分散性が優れている理由について、本発明者は次のように考えている。一般に、顔料誘導体は非水系における有機顔料の分散性改善のために分散剤もしくは表面処理剤として用いられており、処理をする有機顔料と似た構造を有することにより、被処理粒子である有機顔料と強い親和性を保っている。一方、アルミナ等の無機粒子粉末は、有機化合物である顔料誘導体とは骨格成分が全く異なるため、骨格による強い親和性は期待できない。本発明では、アルミナ等の無機粒子粉末の粒子表面を表面改質剤で被覆することにより、顔料誘導体との親和性を向上させ、アルミナなどの無機粒子粉末の粒子表面に顔料誘導体を強固に付着させることができたため、アルミナなどの無機粒子粉末の粒子表面に極性基を導入することができたこと、及び、顔料誘導体の立体障害効果などにより、ビヒクル中における分散性が改善できたのではないかと推定している。更に、粉砕・分級を行い、粗大粒子を除去し、粒度分布をシャープにすることによって、挙動粒子径(体積平均粒子径(D50)、体積粒子径(D84)、体積粒子径(D99))を小さくできたことも、分散性向上の一因ではないかと考えている。
本発明に係る磁気記録媒体が、磁気記録層を薄層化しても表面平滑性及びヘッドクリーニング性が優れると共に、ドロップアウトが少なくなる理由として、本発明者は、磁気記録層に添加するフィラー材として、ビヒクル中における分散性に優れるとともに、挙動粒子径である体積平均粒子径(D50)、体積粒子径(D84)及び体積粒子径(D99)の小さい本発明に係る複合粒子粉末を用いることにより、磁気記録層が薄層化しても表面上に突出する二次凝集粒子塊を低減することができたことによるものと考えている。
以下、本発明における実施例を示し、本発明を具体的に説明する。
粒子の平均一次長軸径、平均一次短軸径、平均一次厚み及び平均一次粒子径は、粒子のサイズにより電子顕微鏡写真(×30,000)又は(×50,000)を選択し、該写真を縦方向及び横方向にそれぞれ4倍に拡大した写真に示される粒子約350個について一次長軸径、一次短軸径又は一次粒子径をそれぞれ測定し、その平均値で示した。
軸比は平均一次長軸径と平均一次短軸径との比で示し、板状比は平均一次粒子径と平均一次厚みの比で示した。
比表面積値はBET法により測定した値で示した。
板状マグネトプランバイト型フェライト粒子粉末のTi量、Ni量及びFe量は、「蛍光X線分析装置3063M型」(理学電機工業株式会社製)を使用し、JIS K0119の「けい光X線分析通則」に従って測定した。
芯粒子粉末の粒子表面に被覆されている表面改質剤の被覆量及び芯粒子粉末に付着している顔料誘導体の付着量は、「堀場金属炭素・硫黄分析装置EMIA−2200型」(株式会社堀場製作所製)を用いて炭素量を測定することにより求めた。
芯粒子粉末及び複合粒子粉末の体積平均粒子径(D50)、体積粒子径(D84)及び体積粒子径(D99)は、「レーザー回折式粒度分布測定装置 model HELOS LA/KA」(SYMPATEC社製)の乾式分散ユニットを用いて、分散圧0.1MPa(1bar)にて測定した。尚、体積平均粒子径(D50)は粒子粉末の全体積を100%として粒子径に対する累積割合を求めたときの累積割合が50%となる粒子径であり、体積粒子径(D84)は粒子粉末の全体積を100%として粒子径に対する累積割合を求めたときの累積割合が84%となる粒子径であり、体積粒子径(D99)は粒子粉末の全体積を100%として粒子径に対する累積割合を求めたときの累積割合が99%となる粒子径である。
芯粒子粉末及び複合粒子粉末の体積粒子径の幾何標準偏差値(D84/D50)は、上記「レーザー回折式粒度分布測定装置 model HELOSLA/KA」(SYMPATEC社製)を用いて得られた体積平均粒子径(D50)と体積粒子径(D84)を用い、下記数1に従って求めた。体積粒子径の幾何標準偏差値(D84/D50)が1に近いほど、挙動粒子径の粒度分布が優れていることを意味する。
<数1>
体積粒子径の幾何標準偏差値(D84/D50)=体積粒子径(D84)/体積平均粒子径(D50
沈降体積は、ビヒクル中における粒子の分散性を示すものであり、下記の方法により求めた沈降体積が小さいほど、ビヒクル中における分散性が良好であることを示す。
被測定粒子粉末5.0gと混合溶剤(メチルエチルケトン10.0g、トルエン6.0g、シクロヘキサノン4.0g)20.0gとを50mlの三角フラスコに入れ、栓をして超音波分散機を用いて2時間分散させた後、25mlのメスシリンダーに入れる。メスシリンダーを室温で1週間静置させ、沈降した粉の部分の体積を求め、沈降体積とする。
磁性粒子粉末の磁気特性は、「振動試料型磁力計VSM−3S−15」(東英工業株式会社製)を用いて外部磁場795.8kA/mの下で測定した値であり、磁気テープの諸特性は外部磁場795.8kA/mの下で測定した結果である。
塗膜の表面光沢は、「グロスメーター UGV−5D」(スガ試験機株式会社製)を用いて入射角45°で測定した値であり、標準板光沢を86.3%とした時の値を%で示したものである。
表面粗度Raは、「Surfcom−575A」(東京精密株式会社製)を用いて塗膜の中心線平均粗さを測定した。
塗膜の強度は、「オートグラフ」(株式会社島津製作所製)を用いて塗膜のヤング率を測定して求めた。ヤング率は市販ビデオテープ「AV T−120」(日本ビクター株式会社製)との相対値で表した。相対値が高いほど塗膜の強度が良好であることを示す。
磁気記録媒体の走行耐久性は、「Media Durability Tester MDT−3000」(Steinberg Associates社製)を用いて、負荷1.96N(200gw)、ヘッドとテープとの相対速度16m/sにおける実可動時間で評価した。実可動時間が長いほど走行耐久性が良いことを示す。
ヘッドクリーニング性は、「Media Durability Tester MDT−3000」(Steinberg Associates社製)を用いて、負荷1.96N(200gw)、ヘッドとテープとの相対速度16m/sにおいて、30分間走行させた後のヘッド汚れを目視で観察し、下記の4段階で評価した。Aが最もヘッドの汚れが少ないことを示す。
A:汚れなし
B:汚れ若干有り
C:汚れ有り
D:ひどい汚れ有り
磁気記録媒体のドロップアウトは、磁気テープを「ドラムテスターBX−3168」(ベルデックス社製)にかけ、相対速度2.5m/secにおいて得られるエンベロープより、単位時間当たりのドロップアウトの個数をカウントすることにより求めた。
磁気記録媒体を構成する非磁性支持体、非磁性下地層、磁気記録層及びバックコート層の各層の厚みは、下記のようにして測定した。
「デジタル電子マイクロメーター K351C」(安立電気株式会社製)を用いて、先ず、非磁性支持体の膜厚(A)を測定する。次に、非磁性支持体と該非磁性支持体上に形成された非磁性下地層との厚み(B)(非磁性支持体の厚みと非磁性下地層の厚みとの総和)を同様にして測定する。更に、非磁性下地層上に磁気記録層を形成することにより得られた磁気記録媒体の厚み(C)(非磁性支持体の厚みと非磁性下地層の厚みと磁気記録層の厚みとの総和)を同様にして測定する。更に、磁気記録層とは反対の非磁性支持体面に設けたバックコート層との厚み(D)(非磁性支持体の厚みと非磁性下地層の厚みと磁気記録層の厚みとバックコート層の厚みとの総和)を同様にして測定する。そして、非磁性下地層の厚みは(B)−(A)で示し、磁気記録層の厚みは(C)−(B)で示し、バックコート層の厚みは(D)−(C)で示した。
<実施例1−1:複合粒子粉末の製造>
アルミナ粒子粉末(粒子形状:粒状、平均一次粒子径:0.098μm、BET比表面積値:41.3m/g、体積平均粒子径(D50):1.56μm、体積粒子径(D84):6.09μm、体積粒子径の幾何標準偏差値(D84/D50):3.90、体積粒子径(D99):13.84μm、沈降体積:4.1cm)7.0kgに、メチルハイドロジェンポリシロキサン(商品名:TSF484:GE東芝シリコーン株式会社製)35gを、エッジランナーを稼動させながら粒子の凝集を解きほぐした上記アルミナ粒子粉末に添加し、588N/cmの線荷重で30分間混合攪拌を行った。尚、このときの撹拌速度は22rpmであった。
次に、顔料誘導体A(種類:フタロシアニン誘導体、官能基:スルホン酸基)350gを、エッジランナーを稼動させながら10分間かけて添加し、更に588N/cmの線荷重で30分間、混合攪拌を行い、メチルハイドロジェンポリシロキサン被覆に顔料誘導体Aを付着させた。次いで、流動層型ジェットミル及び遠心分級機を用いて、粉砕・分級を行った後、乾燥機を用いて120℃で60分間乾燥を行い、複合粒子粉末を得た。尚、このときの撹拌速度は22rpmであった。
得られた複合粒子粉末の粒子形状は粒状であり、平均一次粒子径は0.098μmであった。BET比表面積値は38.8m/g、体積平均粒子径(D50)は0.92μm、体積粒子径(D84)は1.52μm、体積粒子径の幾何標準偏差値(D84/D50)は1.65、体積粒子径(D99)は2.26μm、沈降体積は2.5cmであった。メチルハイドロジェンポリシロキサンの被覆量はC換算で0.14重量%、付着している顔料誘導体Aの量はC換算で3.25重量%(芯粒子粉末100重量部に対して約5重量部に相当する)であった。電子顕微鏡観察の結果、顔料誘導体Aがほとんど認められないことから、顔料誘導体Aのほぼ全量がメチルハイドロジェンポリシロキサン被覆層に付着していることが認められた。
<非磁性下地層形成用非磁性塗料の製造>
ヘマタイト粒子粉末(粒子形状:紡錘状、平均一次長軸径0.105μm、平均一次短軸径0.0172μm、軸比6.1、BET比表面積値52.3m/g)12gとカーボンブラック(商品名:#3250B、三菱化成株式会社製)0.6g、結合剤樹脂溶液(スルホン酸ナトリウム基を有する塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂30重量%とシクロヘキサノン70重量%)及びシクロヘキサノンとを混合して混合物(固形分率72%)を得、この混合物を更にプラストミルで30分間混練して混練物を得た。
この混練物を1.5mmφガラスビーズ95g、追加の結合剤樹脂溶液(スルホン酸ナトリウム基を有するポリウレタン樹脂30重量%、溶剤(メチルエチルケトン:トルエン=1:1)70重量%)、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン及びトルエンと共に140mlガラス瓶に添加し、ペイントシェーカーで6時間混合・分散を行って塗料組成物を得た。その後、潤滑剤及び硬化剤を加え、更に、ペイントシェーカーで15分間混合・分散した後、3μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、非磁性下地層用非磁性塗料を調整した。
得られた非磁性下地層用非磁性塗料の組成は、下記の通りであった。
ヘマタイト粒子粉末 100.0重量部、
スルホン酸ナトリウム基を有する
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂 10.0重量部、
スルホン酸ナトリウム基を有するポリウレタン樹脂 10.0重量部、
カーボンブラック(#3250B) 20.0重量部、
シクロヘキサノン 44.6重量部、
メチルエチルケトン 111.4重量部、
トルエン 66.9重量部、
硬化剤(ポリイソシアネート) 3.0重量部、
潤滑剤(ブチルステアレート) 1.0重量部。
<磁気記録層形成用磁性塗料の製造>
前記複合粒子粉末1.2g、鉄を主成分とする針状金属磁性粒子粉末(平均長軸径0.073μm、平均短軸径0.0118μm、軸比6.2、保磁力値190.2kA/m(2,390Oe)、飽和磁化値131.2Am/kg(131.2emu/g))12g、カーボンブラック(商品名:#3250B、三菱化成株式会社製)、結合剤樹脂溶液(スルホン酸ナトリウム基を有する塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂30重量%とシクロヘキサノン70重量%)及びシクロヘキサノンとを混合して混合物(固形分率78%)を得、この混合物を更にプラストミルで30分間混練して混練物を得た。
この混練物を1.5mmφガラスビーズ95g、追加結合剤樹脂溶液(スルホン酸ナトリウム基を有するポリウレタン樹脂30重量%、溶剤(メチルエチルケトン:トルエン=1:1)70重量%)、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン及びトルエンと共に140mlガラス瓶に添加し、ペイントシェーカーで6時間混合・分散を行って磁性塗料を得た。その後、潤滑剤及び硬化剤を加え、更に、ペイントシェーカーで15分間混合・分散した後、3μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、磁気記録層用塗料を調整した。
得られた磁気記録層用塗料の組成は下記の通りであった。
鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末 100.0重量部、
スルホン酸ナトリウム基を有する
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂 10.0重量部、
スルホン酸ナトリウム基を有するポリウレタン樹脂 10.0重量部、
複合粒子粉末 10.0重量部、
カーボンブラック(#3250B) 3.0重量部、
潤滑剤(ミリスチン酸:ステアリン酸ブチル=1:2) 3.0重量部、
硬化剤(ポリイソシアネート) 5.0重量部、
シクロヘキサノン 65.8重量部、
メチルエチルケトン 164.5重量部、
トルエン 98.7重量部。
<バックコート層形成用塗料の製造>
カーボンブラック(平均一次粒子径:25nm)12.0g、カーボンブラック(平均一次粒子径:370nm)1.8g、酸化鉄1.8g、結合剤樹脂溶液(ニトロセルロース30重量%とシクロヘキサノン70重量%)及びシクロヘキサノンとを混合して混合物(固形分率78%)を得、この混合物を更にプラストミルで30分間混練して混練物を得た。
この混練物を1.5mmφガラスビーズ95g、追加結合剤樹脂溶液(スルホン酸ナトリウム基を有するポリウレタン樹脂30重量%、溶剤(メチルエチルケトン:トルエン=1:1)70重量%)、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン及びトルエンと共に140mlガラス瓶に添加し、ペイントシェーカーで6時間混合・分散を行ってバックコート塗料を得た。その後、潤滑剤及び硬化剤を加え、更に、ペイントシェーカーで15分間混合・分散した後、3μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、バックコート層用塗料を調整した。
得られたバックコート層用塗料の組成は下記の通りであった。
カーボンブラック(一次平均粒子径 25nm) 100.0重量部、
カーボンブラック(一次平均粒子径 370nm) 15.0重量部、
酸化鉄 15.0重量部、
ニトロセルロース樹脂 55.0重量部、
スルホン酸ナトリウム基を有するポリウレタン樹脂 35.0重量部、
硬化剤(ポリイソシアネート) 18.0重量部、
シクロヘキサノン 325.0重量部、
メチルエチルケトン 655.0重量部、
トルエン 325.0重量部。
<実施例2−1:磁気記録媒体の製造>
前記非磁性下地層形成用非磁性塗料を厚さ4.5μmの芳香族ポリアミドフィルム上に塗布し、次いで、乾燥させることにより非磁性下地層を形成した後、該非磁性下地層の上に前記磁気記録層形成用磁性塗料を塗布し、磁場中において配向・乾燥し、磁気記録層を形成した。尚、非磁性下地層の膜厚を測定するために、非磁性下地層を塗布後、得られた塗布片の半分に対してカレンダー処理を行った後、60℃で24時間硬化反応を行った。
次いで、上記で得られたバックコート層形成用塗料を磁気記録層とは反対面の非磁性支持体上に塗布し、乾燥・カレンダー処理を行った後、60℃で24時間硬化反応を行い、0.5インチ幅にスリットして磁気テープを得た。
得られた磁気テープは、非磁性下地層の膜厚が2.3μm、磁気記録層の膜厚が0.2μm、バックコート層の膜厚が0.5μmであった。磁気テープの保磁力値は153.1kA/m、光沢度は218%、表面粗度Raは5.6nm、ヤング率(相対値)は135、ヘッドクリーニング性はA、走行耐久性は30分以上であり、D/Oは6個/msecであった。
前記実施例1−1及び2−1に従って複合粒子粉末及び磁気記録媒体を作製した。各製造条件及び得られた複合粒子粉末及び磁気記録媒体の諸特性を示す。
芯粒子1〜4:
各種の芯粒子粉末を準備した。得られた芯粒子粉末の諸特性を表1に示す。
Figure 2006147040
顔料誘導体A〜D:
顔料誘導体として表2に示す諸特性を有する顔料誘導体を用意した。
Figure 2006147040
実施例1−2〜1−4、比較例1−1〜1−3:
芯粒子の種類、表面改質剤による被覆工程における添加物の種類及び添加量、エッジランナー処理の荷重及び時間、顔料誘導体の種類及び添加量、顔料誘導体の付着工程におけるエッジランナーによる処理の荷重及び時間、粉砕・分級工程の有無を種々変えた以外は、前記発明の実施の形態と同様にして複合粒子粉末を得た。
このときの製造条件を表3に、得られた複合粒子粉末の諸特性を表4に示す。
Figure 2006147040
Figure 2006147040
実施例1−2〜1−4の各実施例で得られた複合粒子粉末は、電子顕微鏡観察の結果、顔料誘導体がほとんど認められないことから、顔料誘導体のほぼ全量が芯粒子表面に付着していることが確認された。
比較例1−4(特公平4−59690号公報 実施例1 追試実験)
アルミナ粒子粉末(芯粒子1、平均一次粒子径:0.098μm)100gを水に分散し、次いで、該アルミナ粒子粉末の水分散液にミリスチン酸の5重量%エタノール溶液500mlを加え、攪拌した後濾過を行い、脂肪酸で表面処理されたアルミナ粒子粉末を得た。ミリスチン酸の被着量は5mg/gであった。
得られた表面処理粒子粉末の諸特性を表4に示す。
比較例1−5(特開昭64−49119号公報 実施例2 追試実験)
アルミナ粒子粉末(芯粒子1、平均一次粒子径:0.098μm)100gをo−キシレン300ml中に分散し、o−キシレンの沸点(144℃)にて1時間還流した。次に、上記混合物にブチルトリエトキシシランをアルミナ粒子粉末に対して2重量%添加し、更に2時間還流を行った後濾過を行い、ヘキサンで洗浄した後、乾燥して表面処理されたアルミナ粒子粉末を得た。
得られた表面処理粒子粉末の諸特性を表4に示す。
<磁気記録媒体の製造>
実施例2−2〜2−4及び比較例2−1〜2−7:
磁性粒子粉末の種類及び複合粒子粉末の種類を種々変化させた以外は、前記実施例2−1と同様にして磁気記録媒体を製造した。
使用した磁性粒子1乃至3の諸特性を表5に示す。
Figure 2006147040
このときの製造条件及び得られた磁気記録媒体の諸特性を表6に示す。
尚、比較例2−7は、実施例2−1の磁性塗料において、フィラー材として実施例1−1の複合粒子粉末に変えて芯粒子1を用い、分散剤として顔料誘導体Aを磁性粒子粉末100重量部に対して0.5重量部添加したものである。得られた磁気記録媒体の諸特性を表6に示す。
Figure 2006147040

Claims (4)

  1. モース硬度7以上の無機粒子粉末の粒子表面に顔料誘導体が付着している複合粒子粉末からなることを特徴とする磁気記録媒体用フィラー材。
  2. モース硬度7以上の無機粒子粉末の粒子表面が表面改質剤によって被覆されていると共に該表面改質剤被覆粒子表面に顔料誘導体が付着している複合粒子粉末からなることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体用フィラー材。
  3. 複合粒子粉末の体積平均粒子径(D50)が2.20μm以下、体積粒子径の幾何標準偏差値(D84/D50)が2.2以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の磁気記録媒体用フィラー材。
  4. 非磁性支持体上に磁性粒子粉末、フィラー材及び結合剤樹脂とを含む磁気記録層が形成されてなる磁気記録媒体において、前記フィラー材が請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の磁気記録媒体用フィラー材であることを特徴とする磁気記録媒体。
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