JP4470419B2 - 薄膜パターン化用マスクおよびこれを用いた液晶表示装置用カラーフィルタ基板の製造方法 - Google Patents

薄膜パターン化用マスクおよびこれを用いた液晶表示装置用カラーフィルタ基板の製造方法 Download PDF

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本発明は、基板にパターンを形成するための薄膜パターン化用マスクに関する。さらに述べるならば、本発明は、例えば液晶表示装置(LCD)などに利用されるカラーフィルタ上に透明導電膜をパターン化して成膜する際に好ましく用いられる薄膜パターン化用マスクに関する。
カラーフィルタの製造工程は、ガラス等の透明基板上に真空成膜法等を用いてクロムを成膜した後、フォトレジストを塗布し、フォトマスクを配置して露光、現像、クロムエッチング、フォトレジスト剥離を行い、パターン状のブラック遮光層を形成する。特に最近では地球環境への影響を考慮して、有害なクロムを使用せず、遮光性樹脂をブラック遮光層として使用する樹脂ブラックマトリックス(BM)が開発・生産されている。また、ブラック遮光層を設けず、着色層を重ね合わせて遮光層を形成するタイプのカラーフィルタも開発・生産されている。次にブラック遮光層の上から、1色目の着色層用有機高分子材料を塗布した後、フォトマスクを配置して露光し、その後現像を行い、1色目のカラーパターンを形成し、同様にして2色目以降のカラーパターンを形成する。最後に液晶駆動用の電極として用いられる透明な導電性薄膜をカラーパターン上に形成する工程を経てカラーフィルタが完成する。この時、必要に応じてカラーパターンと透明導電膜の間に、画素の保護やカラーパターンの平坦化を目的として透明有機高分子材料からなるオーバーコート層を形成する場合もある。この透明導電膜には高い光線透過率と低い抵抗値が必要とされており、これらの点から好適な材料として酸化錫を添加した酸化インジウム(ITO)が広く利用されている。ITOの成膜方法としてはスパッタリング法、イオンプレーティング法、真空蒸着法などの各種成膜方法が知られているが、いずれも真空に近い減圧雰囲気下で基板を加熱することが必要であり、最近では比較的低温で高い光線透過率と低い抵抗値が得られるスパッタリング法によることが多い。
導電膜をパターン化する方法としては、成膜後にフォトリソ加工などを用いてパターン化するエッチング法や、成膜時にパターン形成部が開口部となっているマスクを使用して膜形成・パターン化を行うマスク成膜法が知られている。しかし前者のエッチング法ではフォトリソ工程を必要とするため工程が長く、コストが高くなるため、TFT用のカラーフィルタには使用しづらい欠点がある。そのため、一般的には後者の金属マスクを使用するマスク成膜法が採用されている。
マスク成膜では、マスクと基板との間に隙間が生じるとこの隙間に導電膜が回り込んで成膜されるため、パターンの周辺部がボケてしまう。このボケはパターン精度を劣化させる要素であり、さらにパターンエッジがボケて視認しにくくなるために、パターンの精度、寸法の測定が困難になり、ひいてはパターン精度の管理が困難になる問題を発生させる。またこの回り込みによりパターン外に導電膜が形成されるため絶縁不良などの電気的な問題も発生する。これら問題を解決するためには、マスクと基板との隙間を無くす、すなわちマスクと基板とを密着させることが重要になる。しかし基板とマスクとを隙間無く完全に密着させた場合、前記導電膜のパターンボケは完全に防止することができるものの、マスクと基板とが接触した箇所において、マスクと基板との擦れによるキズが発生する。特にマスクの開口部端はカラーフィルタのブラックマトリックスの額縁部と重なり合うため、マスクの微妙なズレや摩擦によりブラックマトリックスへキズを生じやすく、ブラックマトリックス部の白ヌケ欠点を発生させカラーフィルタの品質低下を引き起こす。この問題を解決するため、マスクの基板と接する面側の開口部端に樹脂製のスペーサを設ける、もしくは開口部端に樹脂を塗布することによりマスクとブラックマトリックスとの接触を防止する方法が提案されている(例えば特許文献1、特許文献2参照)。しかしながら前者の樹脂製スペーサを設ける方法では、マスクの開口部端の外側にまで樹脂が形成されるため、成膜する膜のパターン形状が樹脂膜の形状に依存してしまう。またシート状樹脂を使用する場合は、シートとマスクとの密着力を高めることが難しく部分的にシートに浮きが生じボケが発生する問題がある。一方後者のマスクの開口部端に樹脂を塗布する方法では、開口部端に樹脂を均一に塗布することが難しく、部分的に樹脂が開口部側へとはみ出し、樹脂がはみ出した箇所は膜形成時の影となるため、パターンの加工精度が安定しない問題がある。さらに両者に共通する問題点として樹脂からの脱ガスの影響がある。樹脂膜は、金属マスクと比較し成膜時の加熱や真空引きによりガスを発生しやすく、その発生したガスが成膜する薄膜中に取り込まれ、膜の品質に悪影響を与える。特に開口部端に樹脂層が存在する場合、開口部端近傍つまり膜のパターン境界部の膜特性が膜のパターン中央部と大きく異なる問題が発生する。
一方、ブラックマトリックスとマスクとが接触する箇所のマスクをハーフエッチングしブラックマトリックスとマスクとの接触を最小限にする方法が提案されている(例えば特許文献1、特許文献3参照)。しかしこの方法はマスクの開口部端付近で発生するキズについては抑制できるものの、開口部端以外の箇所つまりマスクに完全に覆われている箇所についてはマスクと基板とが直接接触しているため、基板の脱着・搬送時や成膜時の基板への加熱によるマスクおよび基板の熱膨張時など、マスクと基板との接触に起因するキズが必ず発生する問題がある。
特に近年の液晶表示装置のますますの高性能化・高詳細化が進むにつれ額縁外の微少なキズや汚れも表示不良の原因となる問題が発生してきた。中でも携帯電話やPDAなどのモバイル機器用の中小型液晶表示装置においては、表示部以外の箇所を狭くすることが、モバイル機器自体の小型化につながるため、可能な限り表示部近くに駆動回路を形成する傾向がある。しかしこの駆動回路は一般的に半導体により形成されているため光が当たると、光電作用により回路が誤動作を引き起こす。そのためカラーフィルタ側には光を遮光するための遮光膜が必要となり、結果的に表示部以外の箇所つまり駆動回路を形成する箇所にも遮光層を形成する必要が出てきた。その結果、従来のカラーフィルタではマスクと基板とが接触する箇所(導電膜を形成しない箇所)はカラーフィルタを形成する有機高分子層は形成されておらず、キズの発生しにくいガラスの状態であったのに対し、近年、画素外の導電膜を形成しない箇所にも画素内と同様に遮光層や着色層、オーバーコート層が形成されるようになってきた。
このようにマスクが接触する箇所が、堅くてキズの入りにくいガラス基板から、柔らかくキズの発生しやすいカラーフィルタを構成する有機高分子樹脂膜へと変化するのに伴い画素外でのキズの発生量も増加してきている。またこれら有機高分子樹脂膜へキズが発生した場合、キズにより剥離した有機高分子片がカラーフィルタの画素上に再付着し、その再付着が突起異物や汚れとなり液晶表示装置の表示不良・歩留まりの低下を引き起こす問題が増加してきている。さらに前記したよう表示部近傍に駆動回路が設けられた液晶表示装置の場合、マスクにより駆動回路上に位置する遮光層にキズが入ると、入射する光から駆動回路を隠蔽できず、回路の誤動作を招く問題が発生する。
これら問題点を解決するために、筆者らは基板と接触する側の面に凹凸を形成して基板とマスクとの接触面積を最小化する方法を提案している(特許文献4、参照)。この方法によりマスクと基板との接触面積をより少なく、キズが入りにくいように最適化することが可能であるが、前述したような近年のより一層のマスクと樹脂膜との接触増加に対して、さらにキズ発生を防止することが望まれていた。
特開平10−39289号公報 特開平9−143677号公報 特開平7−159982号公報 特開2002−38254号公報
本発明の目的は、上記欠点を解消するために、マスクと基板とが接触する箇所、中でもマスクと有機高分子層が接触する箇所でのキズの発生を防止し、液晶表示装置の表示不良・歩留まりの低下を防止することができる導電膜パターン化用マスクおよびこれを用いた液晶表示装置用カラーフィルタ基板の製造方法を提供することである。
上記の目的を達成するために本発明は、以下の構成をとる。すなわち
(1)少なくとも有機高分子層を形成した基板上に薄膜をパターン形成するための開口部を有する薄膜パターン化用マスクにおいて、マスクの有機高分子層と接触する側の面に凹凸形成され、かつ少なくとも凹凸境界部分に樹脂膜コーティングされており、さらにマスクの開口部端から0.3mm以内の範囲には樹脂膜が形成されていないことを特徴とする薄膜パターン化用マスク。
(2)樹脂膜の厚さが5μm〜250μmの間であることを特徴とする(1)記載の薄膜パターン化用マスク。
(3)樹脂膜が少なくともポリイミド樹脂を含有することを特徴とする(1)または(2)記載の薄膜パターン化用マスク。
)マスクの有機高分子層と接触する側の面に凹凸を形成する際に、少なくともマスクの開口部端は有機高分子層と接触しない凹部とし、かつ少なくとも開口部端から0.5mm〜3mmの範囲内に凹凸境界部分形成され、さらにその境界部上に前記樹脂膜コーティングされていることを特徴とする(1)〜()のいずれかに記載の薄膜パターン化用マスク。
)(1)〜()のいずれかに記載の薄膜パターン化用マスクを用いて透明導電膜を成膜することを特徴とする液晶表示装置用カラーフィルタ基板の製造方法。
本発明によれば、有機高分子層を形成した基板上に薄膜をマスク成膜によりパターン形成する際に、マスクと基板との接触による有機高分子層へのキズや汚れの発生を防止することができる
本発明は基板にパターンを形成するためのマスクであって、マスクの有機高分子層と接触する面の表層に凹凸を形成し、かつ有機高分子層と接する凹凸境界部分に樹脂膜をコーティングしたことを特徴とする薄膜パターン化用マスクである。
本発明のマスクが好適に使用される少なくとも有機高分子層を形成した基板の有機高分子層の材質は特に限定されず、180℃以上のアニール処理でも軟化、分解、着色を生じない材料を用いることができ、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、尿素樹脂、アクリル樹脂、ポリビニールアルコール樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、テトラフルオロエチレン樹脂、シリコーン樹脂およびこれらの混合物などが好ましく用いられる。中でもカラーフィルタとして使用する場合には耐熱性、密着性に優れているポリイミド樹脂、アクリル樹脂が好ましい。
本発明のマスクが好適に使用される基板は、特に限定されず、光線透過率が高く、機械的強度、寸法安定性が優れたガラスが最適であるが、他にポリイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂などのプラスチック板も使用できる。
本発明のマスクを構成する材質は、特に限定されないが、基板と同一材質、すなわちガラスやプラスチック板が好ましい。また、取扱性、耐久性、加工性および熱膨張係数を配慮した金属も好ましく、タングステン、モリブデン、鉄、クロム、ニッケル、チタン、ステンレス、アルミニウム、42アロイなどの多くの金属もしくは合金の板から選定することができる。
本発明のマスクの厚みは特に限定はされないが、0.05mm〜3mmの範囲が好ましく、より好ましくは0.2〜0.7mmの範囲である。0.05mm未満では取り扱いが難しく生産性が悪くなるのに加え、マスクの強度が著しく低いため凹凸の形成が難しく、またマスクが歪みやすいため基板とマスクとの密着力も悪くなりボケが発生しやすくなるため好ましくない。一方、3mmを越えた場合はマスクの加工が難しく、マスクの製作コストが高くなるため好ましくない。
本発明のマスクは、薄膜をパターン化して成膜するためのマスクとして使用できる。薄膜の材質は特に限定はされないが、例えば有機高分子層よりなるカラーフィルタ上に形成する導電性薄膜としては、酸化インジウム、酸化スズ、酸化インジウムと酸化スズの混合物(以下、ITOと称する)、金、銀、銅、アルミニウム、パラジウム、白金、クロムなどの単体もしくは混合物、もしくは積層体からなり、厚みは10〜5000オングストロームのものが好適に使用される。
本発明においては、マスクの少なくとも前記有機高分子層と接触する側の面に凹凸を形成し、かつ少なくとも凹凸境界部分に樹脂膜のコーティングを実施する。凹凸を形成することで、カラーフィルタとマスクとの接触面積を少なくし、かつ、前記凹凸境界部分が直接基板と接触することによるキズ発生を完全に防止するため凹凸境界部分に樹脂膜をコーティングする。ここで、凹凸境界部分とは、マスクに形成した凹凸の凹部から凸部もしくは凸部から凹部へと変化する段差が形成されている境界部分を言う。より詳しく述べると、マスクの基板と接触する側の面に凹凸を形成し、マスク上に基板をセットした際、マスクと基板との接触部分(凸部)から非接触部分(凹部)へと変化する箇所、もしくは逆に非接触部分から接触部分へと変化する箇所であり、基板に傷などの損傷を与える恐れのある部分を凹凸境界部分と言う。本発明の樹脂膜をコーティングする場合、マスクと基板との接触部分(凸部)は、マスクと基板との接触部分(凸部)と非接触部分(凹部)の境をなす箇所を起点として、好ましくは0.2(より好ましくは0.5、更に好ましくは1)mmまでは、凹凸境界部分の範囲内とするべきである。また、凹凸境界部分が基板から十分な距離で離れているならば基板に接触して傷つける恐れがないので、そのような範囲は、本発明で言う凹凸境界部分から除外しても良い。しかし、基板からの距離が、マスク厚みの3分の1(更に好ましくは2分の1)以内の範囲は凹凸境界部分と見なすべきである。即ち、凹凸境界部分とは、接触部分(凸部)および非接触部分(凹部)に挟まれた段差部分(側壁部)と、接触部分(凸部)とが接する境界部分の近傍、つまり、接触部分(凸部)外縁の近傍とも言える。また、マスクの有機高分子層と接触する可能性のない領域等は、本発明の凹凸境界部分と見なさず、樹脂膜のコーティングが形成されていなくても良い。
コーティングする樹脂膜の材質は特に限定されず、薄膜形成時の加熱による劣化を防ぐために180℃以上の耐熱性を有し、かつ真空中での成膜時に樹脂からの放出ガスの影響で薄膜の膜質が変化することを防止するため、脱ガスの少ない材料を選択することが好ましい。これらの点から、ポリイミド樹脂、テトラフルオロエチレン樹脂、またはシリコーン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などが好ましく用いられる。なかでもポリイミド樹脂もしくはポリイミド樹脂の混合物が耐熱性の点から最も好ましい。
塗布する樹脂膜の厚みは特に限定されないが、キズおよび放出ガス(脱ガス)の影響の防止の点から、5〜250μmの範囲が好ましく、10〜100μmが最も好ましい。5μmより薄いと十分にキズの発生を防止することができず、250μmよりも厚いと樹脂からの放出ガスの影響で膜質が悪化するのに加え、基板とマスクとの間の隙間が広くなり、パターン周辺部がボケてしまうため好ましくない。樹脂のコーティング方法も特に限定されず、例えばスクリーン印刷法、転写法、インクジェット法などにより凹凸境界部分に樹脂をコーティングした後、加熱により樹脂を硬化させる方法などが好適に用いられる。
本発明において、凹凸境界部分以外の部分は、特に限定はされないが、マスク材質と基板とが直接接することを防止するために、任意の形状の樹脂膜をコーティングすることができる(図1参照)。極端な場合、開口部あるいは端部以外には実質上境界部分がなく、他の領域は、樹脂膜のコーティングにより凹凸が形成されていても良い。コーティングする樹脂としては凹凸境界部分にコーティングした樹脂と同一の樹脂を使用するのが、生産性・経済性の面で好ましいが、もちろん異なる樹脂を使用しても良い。コーティングする樹脂のパターンは特に限定はされず、全面塗布、ストライプ状、メッシュ状、ドット状、その他マスクパターンに合わせて任意の形状でコーティングすることができる。但し、マスクの開口部以外の箇所の面積に対する、基板に接触する樹脂膜の総面積の比率は、好ましくは5〜80(より好ましくは10〜50、更に好ましくは20〜40)%である。前記数値範囲の下限値を下回るとマスクと基板との接触を完全に防止することができず、接触した箇所でキズが発生する恐れがある。一方、上限値を上回ると樹脂膜からの脱ガス量が増加し、成膜する膜の膜質に影響を及ぼす恐れがあり、いずれも好ましくないからである。
また、本発明においては、樹脂膜をマスクの開口部端から0.3mm以内の範囲にはコーティングしないことが好ましい。これは前記したように成膜時の樹脂膜からの脱ガスが、成膜する薄膜の品質に影響するのを防止するためである。例えば加熱や真空中での成膜方法で薄膜を形成する場合、樹脂膜からの脱ガスが成膜する薄膜中に取り込まれると、膜質が大幅に変化する。また開口部端近傍に樹脂をコーティングした場合、樹脂が部分的に開口部中へはみ出し、作成する薄膜パターンの形状に影響を及ぼす可能性がある。そのため本発明においては、樹脂膜は開口部端から0.3mmまでの範囲にはコーティングしないことが好ましく、より好ましくは0.5mmである。ここでマスクの開口部端とは、マスクの開口部分と、マスクの非開口部分との、境界部分のことを言う。
本発明においては、マスクの開口部端は基板と直接接触しない凹部とすることがキズの発生を防止するためには好ましい。かつ少なくとも開口部端から0.5mm〜3mmの範囲内に凹部から凸部へと変化する凹凸境界部分を形成し、さらにこの凹凸境界部分上に樹脂膜をコーティングすることで、より一層キズの発生を防止することができる。凹凸境界部分を開口部端から0.5mm以内に形成した場合、上部に形成する樹脂膜が開口部端から0.3mm以内の範囲に入りやすく、前記のように樹脂膜からの脱ガスにより成膜する薄膜の特性が著しく劣化するため好ましくない。一方凹凸境界部分を開口部端から3mm以内に形成しなかった場合、開口部端が基板側へと垂れ下がり基板に接触してキズを発生させる問題や、もしくは開口部端が基板とは反対側に反りパターンのボケが発生する問題が生じるため好ましくない。
本発明におけるマスクの凹凸の形成方法は特に限定されず、例えばサンドブラスト法やレーザー加工などの物理的な方法や、エッチング法など化学的な方法いずれの方法も好ましく利用することができる。もちろん、平坦なマスク上に後付で凸状のスペーサを取り付けることもできる。凹凸の形成量も特に限定されないが、キズの発生をより防止するためにはマスクの開口部以外の箇所の面積の5〜70%が基板との接触箇所(凹凸の凸部)になるように凹凸を形成する事が好ましく、より好ましくは20〜50%の範囲がである。
凹部と凸部の段差も特に限定はされず、使用するマスクの厚み、凹凸の形状により任意の値を選択することができる。例えば厚さ0.5mmのマスクの場合、マスク厚みの5%〜50%を凹凸段差にすることが好ましく、より好ましくは10〜20%である。5%未満の場合は凹部も基板と接触する可能性があり、凹凸の効果を十分に発揮できない。また50%を越えた場合はマスクの強度が著しく低下し、マスクに歪みや反りが発生するため好ましくない。
本発明における薄膜の成膜方法も、特に限定はされず、マスクによるパターン化が可能な方法であればよく、真空蒸着法、CVD法、スパッタリング法、イオンプレーティング法など物理的・化学的な各種成膜方法が使用できる。またパターン化の際に基板とマスクを密着させる方法も限定されず、クリップ、スプリング、テープ、磁石による密着方法など任意の方法が採用できる。
次に説明図を用い、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。
図1に示すように、厚み0.7mmの無アルカリガラス基板2(日本電気硝子製 OA−10 400mm×500mm)に樹脂系遮光剤によるブラックマトリックス50を加工し、その上にレッド51・グリーン52・ブルー53の3色のペーストをパターン化して積層し、さらにその上にアクリル製の保護膜であるオーバーコート層4を形成し、カラーフィルタ機能をもった有機高分子層よりなる積層複合基板を形成した。この基板2上にDCマグネトロンスパッタリング装置を用いてITOよりなる透明導電性薄膜3を成膜した。ITO膜はITOパターンの形状部分が開口部となっているマスク1(42アロイ製、400mm×500mm×厚みa=0.5mm)を基板全面に取り付けるマスク成膜法によりパターン化を行った。
このとき図1に示すようにマスク1の開口部端をハーフエッチングにより凹部(b=3.0mm、c=0.05mm)とし、額縁部のブラックマトリックスとマスク開口部の端部が接触しないようにした。次にマスク1の基板と接触する側の凹凸境界部分上ににポリイミド樹脂6(東レ製 トレニース3000)をスクリーン印刷法により形成した。この樹脂膜は凹凸境界部分の凸部上の水平方向の長さi(基板と樹脂膜とが接触する距離)が1mmとなるように、コーティングをおこなった。またマスクの凸部にはマスクと基板が直接接することが無いようにφ2mmの突起を同様にポリイミド樹脂6にて形成した。この時のポリイミド樹脂膜の厚みdは25μmであり、開口部端から樹脂までの距離hは1.5mmとした。このときの、マスクの開口部以外の場所に対する、基板に接触する樹脂膜の総面積の比率は25%となった。
このマスクを基板の表面に重ね合わせた後、基板裏側に磁石(φ4mm×2mm、サマリウム・コバルト磁石)を内部に100個を入れた基板と同サイズのプレート(400×500×厚み10mm アルミニウム製 図示せず)を設置し、プレート内に設置した磁石の磁力によりマスクを基板側へと吸着しマスクと基板とを密着させたのち、ITO膜の成膜を行った。成膜条件は成膜時の基板温度210℃、酸素濃度0.5%、真空度0.4Paで行った。このようにして得た透明導電膜の膜厚eは1400オングストロームであり、透過率(λ=400〜700nmのY値)96%、表面電気抵抗値15Ω/□であった。この時、成膜した透明導電膜はパターン境界部、面内ともに同じ特性であった。次にこのITO成膜後のカラーフィルタの外観検査を行ったところブラックマトリックス部へのキズ、汚れの発生が無いのに加え、マスクと基板とが接触している箇所についてもキズ、汚れの発生は観察されず保護膜の剥離も全く発生しなかった。
実施例1と同様のカラーフィルタ機能をもった積層複合基板2に、スパッタリングにてITO透明導電膜をパターン形成するマスク成膜において厚み0.25mmのSUS430製のマスク1を使用して実施例1と同様の方法でカラーフィルタ上へのITO膜の成膜をおこなった。このとき図2に示すように、マスクとブラックマトリックスとの接触によるキズの発生を防止するため、ハーフエッチングによりマスク開口部の端部に段差(b=2.0mm、c=0.075mm)を設け、額縁部のブラックマトリックスと接触しないようにした。さらにマスクの裏面全面にもハーフエッチングにより円柱状の突起を凸部として形成することでマトリックス状の凹凸を形成した。この時ハーフエッジ量(円柱状突起の高さ)はマスク開口部と同じ0.075mmとし、円柱部の円の直径fは2mm、円柱部のピッチgも2mmとした。このときの基板とマスクとの接触面積は、マスクの開口部を除く部分の面積の40%となった。次にマスク1の円柱の凹凸境界部分に実施例1と同様にスクリーン印刷法を用いてポリイミド樹脂のコーティングを行った。ポリイミド樹脂は凹凸境界部分とその周辺部にのみ形成し、そのときの厚みdは50μm、開口部端から樹脂までの距離hは1.5mmとし、樹脂と基板との接触長さiは0.5mmであった。このときの、マスクの開口部以外の場所に対する、基板に接触する樹脂膜の総面積の比率は30%であった。このマスクを基板の表面に重ね合わせてクリップで止めスパッタリング装置を用いて基板温度210℃、膜厚e=140nmのITO膜のスパッタリングを行ったところ前記実施例1と同じ特性の、面内バラツキのないITO膜が得られた。この基板の外観検査を行ったところブラックマトリックス部へのキズ、汚れの発生が無いのに加え、マスクと基板とが接触している箇所についてもキズ、汚れの発生は観察されず、保護膜の剥離も全く発生しなかった。
比較例1
マスクへのポリイミドコーティングを行わなかったこと以外は、実施例1と同じ装置・条件によりカラーフィルタ基板へのITO膜のマスク成膜を行った。このITO成膜後のカラーフィルタの外観検査を行ったところ、額縁部のハーフエッジを形成した箇所にはキズの発生もなく良好なITOパターンが形成されたが、マスクの凹凸境界部分に位置する箇所でマスクと基板との擦れに起因する直径約50μmのキズや汚れが多発しオーバーコート層4の剥離が観察された。このカラーフィルタを使用して液晶表示装置を製作したところ剥離片が高さ15μm程度の突起となってカラーフィルタ画素上に付着したことに起因する点状の表示欠点が発生し、液晶表示装置の歩留まり低下に大きな影響を与えた。
比較例2
実施例1と同様にマスクにポリイミド樹脂を形成する際、図3に示すように、マスクの凹凸境界部分にはポリイミド樹脂が形成されないようなパターンで印刷を行った。このマスクを用いて、実施例1と同様にITO膜の成膜を実施したところ、比較例1と同様にマスクの凹凸境界部分に当たる箇所でカラーフィルタにキズが発生した。
本発明は、基板にパターンを形成するための薄膜パターン化用マスクについて利用可能である。さらに述べるならば、本発明は、例えば液晶表示装置(LCD)などに利用されるカラーフィルタ上に透明導電膜をパターン化して成膜する際に好ましく用いられる薄膜パターン化用マスクについて利用可能である。
本発明の一実施態様を示す基板およびマスクの断面説明図である。 本発明の一実施態様を示す基板およびマスクの断面説明図である。 比較例の一実施態様を示す基板およびマスクの断面説明図である。
符号の説明
1 マスク
2 ガラス基板
3 透明導電膜
4 オーバーコート層
50 ブラックマトリックス
51,52,53 RGB各画素
6 ポリイミドコーティング層

Claims (5)

  1. 少なくとも有機高分子層を形成した基板上に薄膜をパターン形成するための開口部を有する薄膜パターン化用マスクにおいて、マスクの有機高分子層と接触する側の面に凹凸形成され、かつ少なくとも凹凸境界部分に樹脂膜コーティングされており、さらにマスクの開口部端から0.3mm以内の範囲には樹脂膜が形成されていないことを特徴とする薄膜パターン化用マスク。
  2. 樹脂膜の厚さが5μm〜250μmの間であることを特徴とする請求項1記載の薄膜パターン化用マスク。
  3. 樹脂膜が少なくともポリイミド樹脂を含有することを特徴とする請求項1または2記載の薄膜パターン化用マスク。
  4. マスクの有機高分子層と接触する側の面に凹凸を形成する際に、少なくともマスクの開口部端は有機高分子層と接触しない凹部とし、かつ少なくとも開口部端から0.5mm〜3mmの範囲内に凹凸境界部分形成され、さらにその境界部上に前記樹脂膜コーティングされていることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の薄膜パターン化用マスク。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載の薄膜パターン化用マスクを用いて透明導電膜を成膜することを特徴とする液晶表示装置用カラーフィルタ基板の製造方法。
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