JP4114785B2 - モノクロ液晶表示装置用基板 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、モノクロ液晶表示装置に用いるモノクロ液晶表示装置用基板に関し、特に詳しくは、表示特性の低下を防止するモノクロ液晶表示装置用基板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、液晶表示装置は、モノクロ型及びカラー型のいずれを問わず、多方面で、情報の表示手段として活用されている。
【0003】
例えば、モノクロ液晶表示装置は、基板と、上記基板上にパターン状に形成されたブラックマトリクスと、上記ブラックマトリクスを保護し、基板表面の平坦性を確保するために設けられる保護層とを有するモノクロ表示装置用基板、上記モノクロ表示装置用基板に対向する対向基板およびこれらモノクロ表示装置用基板および対向基板に狭持された液晶層を少なくとも有する構造とされている。
【0004】
そして、近年モノクロ液晶表示装置用基板と対向基板との間隙を一定に保つための間隙材(スペーサ)として、従来用いられてきたプラスチックビーズに代わり、柱状のスペーサが用いるようになってきている。すなわち、プラスチックビーズ周辺の光漏れによるコントラストの低下、および散布むらに起因する表示むらを解消するために、いずれかの基板側に柱状のスペーサを形成し、このスペーサにより2枚の基板の間隙を一定に保つことが行なわれている。
【0005】
例えば、特許文献1には、液晶表示装置の表示領域および表示領域外とでは柱状スペーサ自体の高さにばらつきが生じることを防止するために、一層からなる大径スペーサと2層以上からなる小径スペーサとからなる柱状スペーサを用いた技術が開示されている。さらに、特許文献2には、液晶表示装置の組み立て時における高温高圧下の影響から柱状スペーサが変化することを防止するために、柱状スペーサを、高温高圧化での変形量の小さい低変形部と、低温での液晶の収縮に追従可能な高弾性部とからなる2層構造とし、柱状スペーサの形状を一定に保つ技術が開示されている。また、特許文献3には、柱状スペーサを所定の位置から1〜4μmの範囲内で突出させ、2枚の基板の間隙を一定に保持する技術が開示されている。
【0006】
このような柱状スペーサを用いた場合の従来のモノクロ液晶表示用基板の一例は、図2に示すように、モノクロ液晶表示装置用基板の基板1上に、画素間を区切るブラックマトリクスがパターン状に形成されている。このようなブラックマトリクスは、モノクロ液晶表示装置の表示領域である画素部Aに形成された画素ブラックマトリクス2aと、表示領域の外側である外周部Bに形成されている外周ブラックマトリクス2bとを有するものであり、画素ブラックマトリクス2aは、表示領域の開口率を低下させないために、その線幅が狭く形成されており、外周ブラックマトリクス2bは、バックライト等の光源からの光を効果的に遮蔽するため、線幅が広く形成されている。
【0007】
さらに、ブラックマトリクス等の部材を保護し、モノクロ液晶表示装置用基板の基板1表面に平坦性を付与するため、ブラックマトリクス表面を被覆するように、保護層3が形成されている。このような保護層3において、画素部Aおよび外周部Bでは、膜厚に差が生じる。これは、画素部Aに位置する画素ブラックマトリクス2aは線幅が狭く形成されているために、その上面に保護層3が積層されにくく、積層される保護層3の膜厚は薄くなる傾向にあるからであり、一方、外周部Bに設けられている外周ブラックマトリクス2bは十分な線幅を有して形成されているため、保護層3の膜厚は画素部Aのものと比較し厚くなるからである。このような保護層3上に、柱状スペーサ4を形成すると、上述した保護層3自体の膜厚の差により、モノクロ液晶表示装置用基板の基板1の表面から柱状スペーサ4の上面までの高さは、外周部Bの方が画素部Aより高くなる。
【0008】
このような高さの違いは、基板間の間隙の違いとなって表れ、この間隙の領域における相違は、特にIPS型のモノクロ液晶表示装置では、表示特性に大きな影響を与える。また、このような状態でモノクロ液晶表示層用基板上に柱状スペーサ4を介して対向基板5を配置させると、対向基板5にゆがみが発生する。このようなゆがみは、対向基板5の周辺部分から光が漏れるといった不都合を引き起こし、これにより画面周辺が明るくなるといった問題が生じる。
【0009】
【特許文献1】
特開平11−109366号公報
【特許文献2】
特開2002−148426号公報
【特許文献3】
特開平11−2717号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、モノクロ液晶表示装置用基板および対向基板の間隙の均一性に優れ、明度にムラがなく良好な画質の表示が達成できるモノクロ液晶表示装置用基板を提供することを主目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、請求項1に記載するように、基板と、基板上にパターン状に形成されており、モノクロ液晶表示装置の表示領域である画素部に位置する画素ブラックマトリクスおよび上記画素部の周囲の部分である外周部に位置する外周ブラックマトリクスを有するブラックマトリクスと、上記ブラックマトリクスを覆うように基板上に成膜された保護層と、上記保護層のうちブラックマトリクスが形成されている領域上に形成され、上記基板および対向する基板の間隙を調整する柱状スペーサとを有するモノクロ液晶表示装置用基板において、上記柱状スペーサは、上記画素ブラックマトリクスが形成されている領域上に設けられている画素スペーサと、上記外周ブラックマトリクスが形成されている領域上に設けられている外周スペーサとを有し、上記外周部における単位面積あたりの外周スペーサの上面が占める面積が、上記画素部における単位面積当りの画素スペーサの上面が占める面積に比較して小さいことを特徴とするモノクロ液晶表示装置用基板を提供する。
【0012】
このように、上記外周部における外周スペーサの上面が占める単位面積あたりの面積を、上記画素部における画素スペーサの上面が占める単位面積当りの面積に比較して小さくすることにより、対向基板を貼り合せた際に、外周スペーサに加わる圧力が、画素スペーサに加わる圧力より大きくなるので、外周スペーサの方がより大きく圧縮される。この状態で固定することにより、対向基板は外周部に向って間隙が広がるようなゆがみが生じること無く固定することができ、これにより、対向基板周辺から光が漏れるといった不都合が解消され、モノクロ液晶表示装置において不自然に画面周辺が明るくなるといった問題を解決することができる。
【0013】
上記請求項1に記載された発明においては、請求項2に記載するように、上記外周部における単位面積あたりの外周スペーサの個数が、上記画素部における単位面積当りの画素スペーサの個数と比較して少なく形成されていることが好ましく、上記請求項1または請求項2に記載された発明においては、請求項3に記載するように、上記外周部における外周スペーサの1個当りの上面の面積が、上記画素部における画素スペーサの1個当りの上面の面積と比較して小さく形成されていてもよい。外周スペーサ上面の単位面積当りの面積を小さくする方法としては、上述した二つの方法およびこれらの組合せにより行われる。
【0014】
上記請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載された発明においては、請求項4に記載するように、上記外周部における単位面積あたりの外周スペーサの上面が占める面積が、上記画素部における単位面積当りの画素スペーサの上面が占める面積に対して、25%以下とすることが好ましい。通常の液晶表示装置においては、上述した範囲とすることにより、対向基板を外周部に向って間隙が広がるようなゆがみが生じること無く固定することができるからである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のモノクロ表示装置用基板について図面を用いて説明する。図1は、本発明のモノクロ表示装置用基板の一例を示した概略断面図である。
【0016】
図1に示すように、モノクロ液晶装置用基板の基板1上には、画素間を区分するブラックマトリクスがパターン状に形成されている。このようなブラックマトリクスは、上記図2で説明したものと同様に、モノクロ液晶表示装置の表示領域である画素部Aに形成された画素ブラックマトリクス2aと表示領域外である外周部Bに形成された外周ブラックマトリクス2bとを有し、両者は線幅が異なるように設けられている。具体的に画素ブラックマトリクス2aは、表示領域の開口率の低下を防止するために線幅が狭く形成され、一方、外周ブラックマトリクス2bは、光源からの光を遮蔽するために、線幅が広く形成されている。
【0017】
このようなブラックマトリクスが形成されているモノクロ液晶表示装置用基板の基板1上には、ブラックマトリクス等の部材を保護し、基板1表面に平坦性を付与するために、ブラックマトリクス表面を覆うように保護層3が形成されている。このような保護層3においては、画素ブラックマトリクス2aと外周ブラックマトリクス2bとにおける線幅の違いを要因として、各ブラックマトリクス上での膜厚に差が生じる。すなわち、画素ブラックマトリクス2aは線幅が狭いため、そのような画素ブラックマトリクス2a上面に積層される保護層3の膜厚は薄くなる傾向にある。一方、外周ブラックマトリクス2bは、保護層3が積層されるのに十分な線幅を有して形成されているため、その上面に積層される保護層3の膜厚は画素ブラックマトリクス2a上面の保護層3の膜厚よりも厚くなるからである。
【0018】
このような保護層3のブラックマトリクスが形成されている領域上に柱状スペーサ4a、4bが設けられている。画素部Aに設けられた柱状スペーサを画素スペーサ4aとし、外周部Bに設けられた柱状スペーサを外周スペーサ4bとすると、本発明においては、この外周スペーサ4bの上面が占める単位面積あたりの面積が、上記画素部における画素スペーサ4aの上面が占める単位面積当りの面積に比較して小さくなるように形成されている点に特徴を有するものである。
【0019】
具体的には、上記外周スペーサ4bの単位面積当りの個数を画素スペーサ4aより少なくしたり、外周スペーサ4bの上面の面積を画素スペーサ4aより小さくしたりすることにより行うのであるが、図1に示す例では特に外周スペーサ4bの形状を変更することなく、個数を減らした状態を概略示したものである。
【0020】
このように、外周スペーサ4bの単位面積当りの個数を画素スペーサ4aの単位面積当りの個数と比較して少なくすることにより、図1に示すように、実際に対向基板5を配置して所定の圧力をかけた後、シール材にて固定した場合、外周スペーサ4bが受ける圧力は、画素スペーサ4aが受ける圧力より高くなる。これにより、外周スペーサ4bは圧縮されて高さが低くなる。このように外周スペーサ4bの高さが結果として低くなることから、上述した保護層3の膜厚の差を吸収し、対向基板5に不都合なゆがみが生じることがなく、光源からの光が対向基板5周辺等から漏れるおそれがないため、表示画面の周辺が不自然に明るくなるといった問題を解消することができる。
【0021】
なお、ここでいう「画素部」とは、本発明のモノクロ液晶表示装置用基板を用いてモノクロ液晶表示装置とした際に、実際にモノクロ表示が行われる表示領域となる部分を意味する。さらに、「外周部」とは、当該画素部の周囲に位置し、前述した表示領域外に該当する部分を意味する。
【0022】
以下、このような利点を有する本発明のモノクロ表示装置用基板を構成する各部材について説明する。
【0023】
(1)柱状スペーサ
本発明における柱状スペーサとは、内部に液晶層を挟持する2枚の基板間に配され、当該2枚の基板間の間隙を一定に保持するために設けられるものである。
【0024】
このような柱状スペーサにおいて、モノクロ液晶表示装置の表示領域に該当する画素部に配置された柱状スペーサを画素スペーサとし、表示領域外に該当する外周部に配置された柱状スペーサを外周スペーサとすると、本発明は、上述したように外周スペーサの上面が占める単位面積あたりの面積が、上記画素部における画素スペーサの上面が占める単位面積当りの面積に比較して小さくなるように形成されている点に大きな特徴を有するものである。
【0025】
通常、モノクロ液晶表示装置用基板に対向基板を貼り合せる場合、上記外周スペーサの外側に配置された外周部シール材を用いてモノクロ液晶表示装置用基板と対向基板とを固定するのであるが、この際、モノクロ液晶表示用基材と対向基材とを両者が密着する方向に一定の力を加えた状態とした後、上記外周部シール材を加熱して硬化させて固定する。
【0026】
本発明においては、上記両者を密着させる方向に一定の力が加わった際、上記外周部における単位面積あたりの外周スペーサの上面が占める面積が、上記画素部における単位面積当りの画素スペーサの上面が占める面積に比較して小さいことから、外周スペーサの上面に加わる圧力が、画素スペーサの上面に加わる圧力より大きくなる。ここで、通常、上記外周スペーサと画素スペーサとは同一の材料で形成されているため、加わる圧力の相違により、外周スペーサは画素スペーサより大きな圧縮変形を受ける。
【0027】
本発明は、この圧縮変形の大きさの差を利用することにより、上述した画素ブラックマトリクスおよび外周ブラックマトリクス上の保護層の膜厚の差に起因するモノクロ液晶表示装置用基板の基板表面から画素スペーサおよび外周スペーサの上端面までの高さの差を解消し、モノクロ液晶表示装置としての表示特性を向上させるようにしたのである。
【0028】
本発明において、上記外周部における外周スペーサの上面が占める単位面積あたりの面積を、上記画素部における画素スペーサの上面が占める単位面積当りの面積に対して、どの程度小さくするかは、モノクロ液晶表示装置用基板と対向基板に加えられる圧力の大きさ、柱状スペーサの材料等により大きく異なるものである。
【0029】
したがって、実際に製造する条件下で、外周部における単位面積あたりの外周スペーサの上面が占める面積を変化させた実験等を予め行い、その結果として得られた値を用いて、外周部における外周スペーサの上面が占める単位面積あたりの面積を決定するようにする。
【0030】
本発明においては、特に限定されるものではないが、一般的に用いられる条件下で測定した結果、上記外周部における外周スペーサの上面が占める単位面積あたりの面積が、上記画素部における画素スペーサの上面が占める単位面積当りの面積に対して、25%以下とすることが好ましく、特に2.7%〜24.7%の範囲内とすることが好ましい。
【0031】
これは、後述する実施例において詳述するが、一般的に柱状スペーサとして用いられている材料を用い、外周部における外周スペーサの上面が占める単位面積あたりの面積を変化させた種々のモノクロ液晶表示装置用基板を、従来の製造条件により製造し、これを従来と同様にして対向基板と固定する実験を行い、モノクロ液晶表示装置用基板の基板表面から画素スペーサ上端面までの高さが、基板表面から外周スペーサ上端面までの高さより、0μm〜0.8μmの範囲内で高くなる範囲として決定したものである。
【0032】
このように、上記外周部における単位面積あたりの外周スペーサの上面が占める面積が、上記画素部における単位面積当りの画素スペーサの上面が占める面積より小さく形成する方法として、具体的には、外周部における外周スペーサの形成数を少なくする、すなわち外周部における単位面積あたりの外周スペーサ数を少なくする方法、外周スペーサの上面の面積を小さくする方法、およびこれらを組み合わせる方法等を挙げることができる。
【0033】
本発明においては、特に限定されるものではないが、製造工程の簡略化、およびコスト低減のため、上記外周スペーサと画素スペーサとは1回の柱状スペーサ形成工程において製造されることが好ましい。したがって、一般的には、外周スペーサおよび画素スペーサ自体の材料、および高さは同一のものとされる。
【0034】
このような、柱状スペーサの高さは、一般的なモノクロ液晶表示装置において用いられている高さであれば特に限定はされず、具体的には、2.5μm〜5.5μmの範囲内であることが好ましい。
【0035】
このような柱状スペーサを形成する方法としては、ブラックマトリクスが形成されている保護層の領域上に精度良くパターン状に形成することが可能な方法であれば特に限定はされない。具体的には、フォトリソグラフィー法等を挙げることができる。
【0036】
さらに、本発明における柱状スペーサの形状としては、2枚の基板間の間隙を一定に保つことを可能とする形状であれば特に限定はされない。具体的には、円柱形状、角柱形状または截頭錐体形状等を挙げることができる。また、このような柱状スペーサを形成する材料としては、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレンビニル共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ABS樹脂、ポリメタクリル酸樹脂、エチレンメタクリル酸樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩素化塩化ビニル、ポリビニルアルコール、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリビニルブチラール、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミック酸樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂等、および、重合可能なモノマーであるメチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、sec−ブチルアクリレート、sec−ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−ペンチルアクリレート、n−ペンチルメタクリレート、n−ヘキシルアクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルアクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−デシルアクリレート、n−デシルメタクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、N−ビニル−2−ピロリドン、グリシジル(メタ)アクリレートの一種以上と、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸の2量体(例えば東亜合成化学(株)製M−5600)、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、これらの酸無水物等の一種以上からなるポリマーまたはコポリマー等の樹脂を1種または2種以上混合したものを挙げることができる。その中でも、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等を用いた感光性樹脂組成物であることが好ましい。塑性変形量が少なく2枚の基板間の間隙を一定に保つ機能に優れているからである。
【0037】
(2)ブラックマトリクス
本発明において用いられるブラックマトリックスとは、液晶分子の配向に応じてモノクロ表示が行われる画素を区分するために設けられるものである。このようなブラックマトリックスを製造する方法は、特に限定されるものではなく、例えばスパッタリング法、真空蒸着法等により、厚み1000Å〜2000Å程度のクロム等の金属薄膜を形成し、この薄膜をパターニングすることにより形成する方法等を挙げることができる。
【0038】
このようなブラックマトリクスは、上述したように画素ブラックマトリクスと外周ブラックマトリクスとを有するものであり、上記画素ブラックマトリクスでは、表示領域の開口率を高めるために線幅を狭く形成する。一方、外周ブラックマトリクスでは、バックライト等の光源からの光を効果的に遮蔽するため、画素ブラックマトリクスよりも幅広に設けられる。具体的に画素ブラックマトリクスの線幅は、6μm〜20μmの範囲内とすることが好ましく、一方、外周ブラックマトリクスの線幅は、2mm〜10mmの範囲内であることが好ましい。
【0039】
また、上記ブラックマトリックスとしては、樹脂バインダ中にカーボン微粒子、金属酸化物、無機顔料、有機顔料等の遮光性粒子を含有させてもよく、用いられる樹脂バインダとしては、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ゼラチン、カゼイン、セルロース等の樹脂を1種または2種以上混合したものや、感光性樹脂、さらにはO/Wエマルジョン型の樹脂組成物、例えば、反応性シリコーンをエマルジョン化したもの等を用いることができる。このような樹脂性ブラックマトリックスのパターニングの方法は、フォトリソ法、印刷法等一般的に用いられている方法を用いることができる。
【0040】
(3)保護層
本発明における保護層とは、上述したブラックマトリクス等が形成された基板において、これらの部材を保護し、かつモノクロ液晶表示装置用基板の基板表面に平坦性を付与するために設けられるものである。
【0041】
このような保護層を形成する材料としては、アクリル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレンビニル共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ABS樹脂、ポリメタクリル酸樹脂、エチレンメタクリル酸樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩素化塩化ビニル、ポリビニルアルコール、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリビニルブチラール、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミック酸樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂等、および、重合可能なモノマーであるメチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、sec−ブチルアクリレート、sec−ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−ペンチルアクリレート、n−ペンチルメタクリレート、n−ヘキシルアクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−オクチルアクリレート、n−オクチルメタクリレート、n−デシルアクリレート、n−デシルメタクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、N−ビニル−2−ピロリドン、グリシジル(メタ)アクリレートの一種以上と、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸の2量体(例えば東亜合成化学(株)製M−5600)、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、これらの酸無水物等の一種以上からなるポリマーまたはコポリマー等を1種若しくは2種以上含む感光性樹脂組成物が挙げられる。その中でも、保護層として要求される平坦性の観点からアクリル樹脂を用いた感光性樹脂組成物であることが好ましい。
【0042】
また、保護層の膜厚としては、基板上に平坦性を付与することが可能な膜厚であれば特に限定はされないが、具体的には、0.3μm〜10μmの範囲内、その中でも、0.7μm〜2μmの範囲内であることが好ましい。
【0043】
このような保護層を形成する方法としては、公知の塗布方法により形成することが可能でありスピンコーティング法、キャスティング法、ディッピング法、バーコート法、ブレードコート法、ロールコート法、グラビアコート法、フレキソ印刷法、スプレーコート法等の塗布方法を挙げることができる。
【0044】
なお、ブラックマトリクスの画素部および外周部における線幅の違いにより生じる各部における保護層の膜厚の差は、実際に形成されたブラックマトリクスの線幅の違いや、保護層を形成する材料によって異なるものであるため一概に規定することは困難であるが、一般的には、0μm〜0.5μmの範囲内であることが多い。
【0045】
(4)モノクロ液晶表示装置用基板の基板および対向基板
本発明におけるモノクロ液晶表示装置用基板の基板および対向基板は、他の構成部材を実装するためのものであり、これらの基板としては、例えばガラス基板、ガラスフィルム、合成樹脂基板、合成樹脂フィルム等を用いることができ、透光性に優れたものであることが好ましい。
【0046】
(5)モノクロ液晶表示装置
本発明のモノクロ液晶表示装置用基板が用いられるモノクロ液晶表示装置としては、公知の液晶表示装置であれば特に限定はされない。具体的には、IPS(In-Plane Switching)型、STN(Super Twisted Nematic)型、強誘電性型、反強誘電性型等を挙げることができる。本発明においては、その中でもIPS型のモノクロ液晶表示装置であることが好ましい。IPS型は、特に2枚の基板間の間隙において高精度な調整が要求されるものであり、本発明のモノクロ液晶表示装置用基板の効果を十分に活かすことができるからである。
【0047】
このようなモノクロ液晶表示装置の用途としては、モノクロ表示が好適に選択される液晶表示装置が考えられ、例えば、レントゲン等の医療画像読影用等が挙げられる。
【0048】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0049】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明をさらに説明する。
【0050】
[実施例]
ガラス基板上に、下記組成からなる柱状スペーサ形成用塗工液をスピンコート法により塗布し、表1に示すような形状となるように、所定のフォトマスクを用いて露光し、現像、焼成を行って柱状スペーサ(JSR(株)製オプトマーNNシリーズ)をガラス基板上に形成した。
【0051】
【表1】
Figure 0004114785
【0052】
次いで、このように形成された柱状スペーサの個々に対して、表2に示すような荷重を加え、各柱状スペーサにおける塑性変形量を求めた。
【0053】
【表2】
Figure 0004114785
【0054】
なお、ここで1cmあたりの荷重として4853mNとしたのは、従来の製造方法において加えられる荷重は、4.91N/cmであるため、これに近い荷重としたものである。
【0055】
また、ここでいう塑性変形量とは、上記荷重を加えて10分間保持し、次いで荷重を除去した直後の変形量を示すものである。これは、一般的なモノクロ液晶表示装置の製造に際しては、モノクロ液晶表示装置用基板と対向基板とが密着する方向に外圧を加え、この状態で外周シール材を加熱して硬化させ、その後外圧を除去して製品とするものであり、この外圧を除去して製品とした状態が、上記本発明でいう塑性変形量に近似できると考えられるからである。
【0056】
このようにして得られた単位面積あたりの柱状スペーサの上面の総面積に対する塑性変形量をグラフにしたのが、図3である。
【0057】
図3に示すように、柱状スペーサの上面総面積(x)と塑性変形量(y)との間には、下記の関係が成り立つ。
【0058】
y=−0.3622 ln(x)+4.8095
そして、画素ブラックマトリックス上における保護層の膜厚と外周ブラックマトリックス上における保護層の膜厚との差が一般的に0.5μm、外周ブラックマトリックスの方が厚くなっており、これをモノクロ液晶表示装置としての許容範囲である0μm〜0.8μmの範囲で外周スペーサ上面の高さが低いという範囲とするためには、0.5μm〜1.3μmの範囲内で外周スペーサの方がより多い塑性変形量となる必要がある。
【0059】
上記実験例においては、実験例1が一般的な画素スペーサの塑性変形量であるとすることができるので、これに上記変形量の差をプラスした1.051〜1.851μmの範囲が最適な外周スペーサの塑性変形量の範囲である。
【0060】
図3より、このような塑性変形量となるのは、単位面積あたりの柱状スペーサ上面総面積が、3527μm〜32108μmの範囲である。
【0061】
したがって、画素スペーサの上面総面積である実験例1の上面総面積が、129950μmであるので、画素スペーサの上面総面積に対して、2.7%〜24.7%が好ましい範囲であるといえる。
【0062】
【発明の効果】
本発明によれば、上記外周部における単位面積あたりの外周スペーサの上面が占める面積が、上記画素部における単位面積当りの画素スペーサの上面が占める面積に比較して小さくすることにより、対向基板を貼り合せた際に、外周スペーサに加わる圧力が、画素スペーサに加わる圧力より大きくなるので、外周スペーサの方がより大きく圧縮される。この状態で固定することにより、対向基板は外周部に向って間隙が広がるようなゆがみが生じること無く固定することができ、これにより、対向基板周辺から光が漏れるといった不都合が解消され、モノクロ液晶表示装置において不自然に画面周辺が明るくなるといった問題を解決することができるという効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のモノクロ液晶表示装置用基板の一例を示す概略断面図である。
【図2】従来のモノクロ液晶表示装置用基板の一例を示す概略断面図である。
【図3】実施例における柱状スペーサの塑性変形量と単位面積あたりの柱状スペーサの上面総面積との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 … 基板
2a … 画素ブラックマトリクス
2b … 外周ブラックマトリクス
3 … 保護層
4a … 画素スペーサ
4b … 外周スペーサ
5 … 対向基板
A … 画素部
B … 外周部

Claims (4)

  1. 基板と、基板上にパターン状に形成されており、モノクロ液晶表示装置の表示領域である画素部に位置する画素ブラックマトリクスおよび前記画素部の周囲の部分である外周部に位置する外周ブラックマトリクスを有するブラックマトリクスと、前記ブラックマトリクスを覆うように基板上に成膜された保護層と、前記保護層のうちブラックマトリクスが形成されている領域上に形成され、前記基板および対向する基板の間隙を調整する柱状スペーサとを有するモノクロ液晶表示装置用基板において、
    前記柱状スペーサは、前記画素ブラックマトリクスが形成されている領域上に設けられている画素スペーサと、前記外周ブラックマトリクスが形成されている領域上に設けられている外周スペーサとを有し、
    前記外周部における単位面積あたりの外周スペーサの上面が占める面積が、前記画素部における単位面積当りの画素スペーサの上面が占める面積に比較して小さいことを特徴とするモノクロ液晶表示装置用基板。
  2. 前記外周部における単位面積あたりの外周スペーサの個数が、前記画素部における単位面積当りの画素スペーサの個数と比較して少なく形成されていることを特徴とする請求項1に記載のモノクロ液晶表示装置用基板。
  3. 前記外周部における外周スペーサの1個当りの上面の面積が、前記画素部における画素スペーサの1個当りの上面の面積と比較して小さく形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のモノクロ液晶表示装置用基板。
  4. 前記外周部における単位面積あたりの外周スペーサの上面が占める面積が、前記画素部における単位面積当りの画素スペーサの上面が占める面積に対して、25%以下とすることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載のモノクロ液晶表示装置用基板。
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