JP4159370B2 - モノクロ液晶表示装置用基板 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、モノクロ液晶表示装置に用いるモノクロ液晶表示装置用基板に関し、特に詳しくは、表示特性の低下を防止するモノクロ液晶表示装置用基板に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来より、液晶表示装置は、モノクロ型及びカラー型のいずれを問わず、多方面で、情報の表示手段として活用されている。
【０００３】
例えば、モノクロ液晶表示装置は、基板と、上記基板上にパターン状に形成されたブラックマトリクスと、上記ブラックマトリクスを保護し、基板表面の平坦性を確保するために設けられる保護層とを有するモノクロ表示装置用基板、上記モノクロ表示装置用基板に対向する対向基板およびこれらモノクロ表示装置用基板および対向基板に狭持された液晶層を少なくとも有する構造とされている。
【０００４】
そして、近年モノクロ液晶表示装置用基板と対向基板との間隙を一定に保つための間隙材（スペーサ）として、従来用いられてきたプラスチックビーズに代わり、柱状のスペーサが用いるようになってきている。すなわち、プラスチックビーズ周辺の光漏れによるコントラストの低下、および散布むらに起因する表示むらを解消するために、いずれかの基板側に柱状のスペーサを形成し、このスペーサにより２枚の基板の間隙を一定に保つことが行なわれている。
【０００５】
例えば、特許文献１には、液晶表示装置の表示領域および表示領域外とでは柱状スペーサ自体の高さにばらつきが生じることを防止するために、一層からなる大径スペーサと２層以上からなる小径スペーサとからなる柱状スペーサを用いた技術が開示されている。さらに、特許文献２には、液晶表示装置の組み立て時における高温高圧下の影響から柱状スペーサが変化することを防止するために、柱状スペーサを、高温高圧化での変形量の小さい低変形部と、低温での液晶の収縮に追従可能な高弾性部とからなる２層構造とし、柱状スペーサの形状を一定に保つ技術が開示されている。また、特許文献３には、柱状スペーサを所定の位置から１〜４μｍの範囲内で突出させ、２枚の基板の間隙を一定に保持する技術が開示されている。
【０００６】
このような柱状スペーサを用いた場合の従来のモノクロ液晶表示用基板の一例は、図３に示すように、モノクロ液晶表示装置用基板の基板１上に、画素間を区切るブラックマトリクス２がパターン状に形成されている。このようなブラックマトリクス２は、表示領域である画素部Ａに位置する部分において、表示領域の開口率を低下させないために、その線幅が狭く形成されている。一方、表示領域外である外周部Ｂに形成されているブラックマトリクス２は、バックライト等の光源からの光を効果的に遮蔽するため、線幅が広く形成されている。
【０００７】
さらに、ブラックマトリクス２等の部材を保護し、モノクロ液晶表示装置用基板の基板１表面に平坦性を付与するため、ブラックマトリクス２表面を被覆するように、保護層３が形成されている。このような保護層３において、画素部Ａおよび外周部Ｂでは、膜厚に差が生じる。これは、画素部Ａに位置するブラックマトリクス２は線幅が狭く形成されているために、その上面に保護層３が積層しにくく、積層される保護層３の膜厚は薄くなる傾向にあるからであり、一方、外周部Ｂに設けられているブラックマトリクス２は十分な線幅を有して形成されているため、保護層３の膜厚は画素部Ａのものと比較し厚くなるからである。このような保護層３上に、柱状スペーサ４を形成すると、上述した保護層３自体の膜厚の差により、モノクロ液晶表示装置用基板の基板１の表面から柱状スペーサ４の上端面までの高さは、外周部Ｂの方が画素部Ａより高くなる。
【０００８】
このような高さの違いは、基板間の間隙の違いとなって表れ、この間隙の領域における相違は、特にＩＰＳ型のモノクロ液晶表示装置では、表示特性に大きな影響を与える。また、このような状態でモノクロ液晶表示層用基板上に柱状スペーサ４を介して対向基板５を配置させると、対向基板５にゆがみが発生する。このようなゆがみは、対向基板５の周辺部分から光が漏れるといった不都合を引き起こし、これにより画面周辺が明るくなるといった問題が生じる。
【０００９】
【特許文献１】
特開平１１−１０９３６６号公報
【特許文献２】
特開２００２−１４８４２６号公報
【特許文献３】
特開平１１−２７１７号公報
【００１０】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、モノクロ液晶表示装置用基板および対向基板の間隙の均一性に優れ、明度にムラがなく良好な画質の表示が達成できるモノクロ液晶表示装置用基板を提供することを主目的とするものである。
【００１１】
上記目的を達成するために、本発明は、基板と、基板上にパターン状に形成されており、モノクロ液晶表示装置の表示領域である画素部に位置する画素ブラックマトリクスおよび上記画素部の周囲の部分である外周部に位置する外周ブラックマトリクスを有するブラックマトリクスと、上記画素ブラックマトリクス上に形成されており、上記外周ブラックマトリクス上に形成されていない台座と、上記ブラックマトリクスおよび台座を覆うように基板上に成膜された保護層と、上記保護層のうち上記外周ブラックマトリクスが形成されている領域上および上記台座が形成されている領域上に形成され、上記基板および対向する基板の間隙を調整する柱状スペーサとを有することを特徴とするモノクロ液晶表示装置用基板を提供する。
【００１２】
本発明においては、画素部および外周部における保護層の膜厚の差による影響を回避するために、画素ブラックマトリクス上に台座を設けることにより、画素ブラックマトリクス上における保護層の膜厚の薄さが補われ、モノクロ液晶表示装置用基板に形成される柱状スペーサの上端面に良好な高さの均一性が確保される。従って、このようなモノクロ液晶表示装置用基板上に対向基板を配置させると、対向基板に外周部に向って間隙が広がるようなゆがみが生じることが抑制され、これにより対向基板がこのようにゆがむことにより生じていた対向基板周辺から光が漏れるといった不都合がなくなり、モノクロ液晶表示装置において不自然に画面周辺が明るくなるといった問題を解決することができる。
【００１３】
本発明においてはまた、基板と、基板上にパターン状に形成されており、モノクロ液晶表示装置の表示領域である画素部に位置する画素ブラックマトリクスおよび上記画素部の周囲の部分である外周部に位置する外周ブラックマトリクスを有するブラックマトリクスと、上記ブラックマトリクスを覆うように基板上に成膜された保護層と、上記保護層のうち上記画素ブラックマトリクスが形成されている領域上に設けられており、上記外周ブラックマトリクスが形成されている領域上に設けられていない台座と、上記保護層のうち上記外周ブラックマトリクスが形成されている領域上および上記台座上に形成され、上記基板および対向する基板の間隙を調整する柱状スペーサとを有することを特徴とするモノクロ液晶装置用基板を提供する。
【００１４】
本発明においては、保護層のうち画素ブラックマトリクスが形成されている領域上に台座を設けることにより、請求項１と同様に、画素ブラックマトリクス上および外周ブラックマトリクス上における保護層の膜厚の差による影響を回避することができるため、対向基板をゆがみが発生することなく、モノクロ液晶表示用基板上に配置することができる。
【００１５】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のモノクロ表示装置用基板について説明する。
【００１６】
本発明のモノクロ液晶表示装置用基板は、所定の位置に台座を形成することにより、最終的に得られるモノクロ液晶表示装置用基板において、モノクロ液晶表示装置用基板に形成される柱状スペーサの上端面に対し良好な高さの均一性を確保する。従来、ブラックマトリクス上に成膜される保護層においては、ブラックマトリクスの画素部および外周部における線幅の違いを要因として、外周部よりも画素部の方が保護層の膜厚が薄くなる問題があったが、本発明においては、保護層の膜厚が薄くなる画素ブラックマトリクス上に、台座を設けることにより、その膜厚の薄さを補い、上述した問題を解決するものである。従って、保護層の画素ブラックマトリクス上および外周ブラックマトリクス上における膜厚の違いがこの保護層上に形成される柱状スペーサの上端面の高さの違いに表れることを阻止することができ、このような本発明のモノクロ液晶表示装置用基板上に配置される対向基板においては、外周部に向って２枚の基板間の間隙が広がるようにゆがむといった問題を最小限とすることができる。
【００１７】
このような本発明のモノクロ液晶表示装置用基板表面において、モノクロ液晶表示装置用基板の基板表面から画素部および外周部における柱状スペーサの上端面までの高さの差に関しては、対向基板が上述したようにゆがむことがない程度であれば特に限定はされない。具体的には、モノクロ液晶表示装置用基板の基板表面から当該基板の画素部に設けられている柱状スペーサ上端面までの高さが、同様の基板表面から当該基板の画素部周辺の領域である外周部に設けられた柱状スペーサ上端面までの高さより、０μｍ〜０．８μｍの範囲内で高いことが好ましく、その中でも０．２μｍ〜０．６μｍの範囲内で高いことが好ましい。上記範囲内であれば、当該モノクロ液晶表示装置用基板上に対向基板を配置した際に、外周部に向って間隙が広がるように対向基板がゆがむことがなく、これにより最終的に得られるモノクロ液晶表示装置の表示品質を大幅に向上させることができるのである。また、２枚の基板間に液晶を注入し液晶層を形成する際に効率良く液晶を注入することができる。
【００１８】
このような本発明のモノクロ液晶表示装置用基板においては、台座を設ける位置により二つの実施態様に分けることができる。以下、二つの実施態様に分けて本発明のモノクロ液晶表示装置用基板について説明する。
【００１９】
なお、ここでいう「画素部」とは、本発明のモノクロ液晶表示装置用基板を用いてモノクロ液晶表示装置とした際に、実際にモノクロ表示が行われる表示領域の部分を意味する。さらに、「外周部」とは、当該画素部の周囲に位置し、前述した表示領域外に該当する部分を意味する。
【００２０】
１．第１実施態様
本発明における第１実施態様は、基板と、基板上にパターン状に形成されており、モノクロ液晶表示装置の表示領域である画素部に位置する画素ブラックマトリクスおよび前記画素部の周囲の部分である外周部に位置する外周ブラックマトリクスを有するブラックマトリクスと、前記画素ブラックマトリクス上に形成された台座と、前記ブラックマトリクスおよび台座を覆うように基板上に成膜された保護層と、前記保護層のうち前記外周ブラックマトリクスが形成されている領域上および前記台座が形成されている領域上に形成され、前記基板および対向する基板の間隙を調整する柱状スペーサとを有することを特徴とするものである。
【００２１】
本実施態様では、台座を画素部に位置する画素ブラックマトリクス上に設けている。これにより、画素ブラックマトリクス上および外周ブラックマトリクス上における保護層の膜厚の差による影響が、この保護層上に形成される柱状スペーサの上端面の高さの違いに表れることを回避している。従って、このような本発明のモノクロ液晶表示装置用基板上に対向基板を配置させると、対向基板に外周部に向って間隙が広がるようなゆがみが生じることが抑制され、対向基板周辺から光が漏れることがなくなり、モノクロ液晶表示装置において不自然に画面周辺が明るくなるといった問題を解決することができる。
【００２２】
このような本実施態様におけるモノクロ表示装置用基板について図面を用いて説明する。
【００２３】
図１は、本実施態様のモノクロ液晶表示装置用基板の一例を示した概略断面図である。図１に示すように、モノクロ液晶装置用基板の基板１上には、画素間を区分するブラックマトリクス２がパターン状に形成されている。このようなブラックマトリクス２は、モノクロ液晶表示装置の表示領域である画素部Ａに位置する画素ブラックマトリクス２ａおよび表示領域外である外周部Ｂに位置する外周ブラックマトリクス２ｂとからなり、両者は線幅が異なるように設けられている。具体的に画素ブラックマトリクス２ａでは、表示領域の開口率の低下を防止するために線幅が狭く形成され、一方、外周ブラックマトリクス２ｂでは、光源からの光を遮蔽するために、線幅が広く形成されている。
【００２４】
このようなブラックマトリクス２において、本実施態様においては、画素部Ａに位置する画素ブラックマトリクス２ａ上に台座６を設けている。さらに、ブラックマトリクス２および台座６が形成されているモノクロ液晶表示装置用基板の基板１上には、ブラックマトリクス２および台座６等の部材を保護し、基板１表面に平坦性を付与するために、ブラックマトリクス２および台座６表面を覆うように保護層３が形成されている。本実施態様においては、上述したように、台座６を設けていることにより、画素ブラックマトリクス上２ａおよび外周ブラックマトリクス２ｂ上の保護層３の膜厚の差が、保護層３の表面の高さの違いに及ぶことが回避される。
【００２５】
次いで、保護層３のうち外周ブラックマトリクス２ｂが形成されている領域上および台座６が形成されている領域上に柱状スペーサ４が設けられている。さらに、当該柱状スペーサ４を介して、モノクロ液晶表示装置用基板上に対向基板５が配置されている。本実施態様においては、台座６を画素部Ａに位置する画素ブラックマトリクス２ａ上に設けているため、保護層３の画素ブラックマトリクス２ａ上における膜厚の薄さを台座６により補うことができ、保護層３上に形成された柱状スペーサ４の上端面の高さが均一なモノクロ液晶表示装置用基板とすることができる。従って、このようなモノクロ液晶表示装置用基板上に配置された対向基板５においては、外周部Ｂに向って２枚の基板１、５間の間隙が広がるようにゆがむことがなく、光源からの光が対向基板５周辺等から漏れないため、表示画面の周辺が不自然に明るくなるといった問題を解決することができる。
【００２６】
以下、このような利点を有する本実施態様のモノクロ表示装置用基板を構成する各部材について説明する。
【００２７】
（１）台座
本実施態様における台座とは、画素ブラックマトリクスおよび外周ブラックマトリクスにおける線幅の違いを要因として生じる各ブラックマトリクス上の保護層の膜厚の差を補い、このような保護層の膜厚の差がモノクロ液晶表示装置用基板全体に与える影響を回避するために設けられるものである。
【００２８】
このような本実施態様における台座は、画素部に位置する画素ブラックマトリクス上に形成されている。通常、ブラックマトリクス上の保護層の膜厚は、外周部と比較し画素部で薄くなるため、画素ブラックマトリクス上に予め台座を設けることにより、保護層の画素部における膜厚の薄さを補っているのである。
【００２９】
本発明における台座の膜厚は、保護層の外周ブラックマトリクス上および画素ブラックマトリクス上における膜厚の差を調整し、モノクロ液晶表示層用基板上に配置される対向基板に不都合なゆがみが生じることを防止できる膜厚であれば特に限定はされない。しかしながら、一般的に生じうる画素ブラックマトリクス上および外周ブラックマトリクス上における保護層の膜厚の差を基準として、具体的に台座の膜厚を規定すると、１．１μｍ〜２．５μｍの範囲内であることが好ましく、その中でも、１．５μｍ〜２．１μｍの範囲内であることが好ましい。後述する実施例より台座の膜厚を上記範囲内とすると、台座の線幅の選択範囲が広くなるからである。また、上記範囲よりも膜厚を厚くすると、保護層の平坦性が得られにくく、柱状スペーサを所望の形状に形成することが困難となるからである。一方、上記範囲よりも膜厚を薄くすると、外周ブラックマトリクス上の保護層の膜厚の薄さを十分に補うことができないため好ましくない。
【００３０】
なお、保護層の外周ブラックマトリクス上および画素ブラックマトリクス上における膜厚の差は、保護層を形成する材料や、各ブラックマトリクスの線幅の違い等により変化するため、このような保護層の膜厚の差を基準に規定される台座の膜厚は、上記範囲と異なる場合がある。
【００３１】
さらに、本実施態様における台座の線幅は、台座上に保護層を介して柱状スペーサを良好に形成させることができる線幅であれば特に限定はされない。具体的には、２０μｍ〜９０μｍの範囲内であることが好ましく、その中でも、２０μｍ〜６０μｍの範囲内であることが好ましい。一般的に、柱状スペーサの上底の線幅は１０μｍ程度とする場合が多く、この場合柱状スペーサの下底の線幅は１４μｍ程度となる。上記範囲よりも台座の線幅を狭くすると、このような柱状スペーサを保護層を介して台座上に形成することが困難であり、さらに、柱状スペーサを形成する際の柱状スペーサと台座との位置合せが難しくなるからである。一方、上記範囲よりも線幅を広くすると、ブラックマトリクスの線幅を超えてしまうため好ましくない。
【００３２】
さらに、本実施態様における台座を形成する材料としては、台座としての機能を発揮することが可能な材料であれば特に限定はされない。具体的には、ブラックマトリクス、保護層、または、カラーの液晶表示装置を製造する場合に用いる着色層等の各々の部材を形成する材料を用いることができる。このようにモノクロ液晶表示装置用基板を構成する他の部材と同様の材料により形成することにより、効率よく台座を形成することができ、さらに、コスト面においても有利となるからである。
【００３３】
また、台座を形成する方法としては、画素部に位置する画素ブラックマトリクス上に精度良く形成することが可能な方法であれば特に限定はされない。具体的には、感光性樹脂を成膜しフォトリソグラフィー法によりパターニングする方法等を挙げることができる。
【００３４】
（２）柱状スペーサ
本発明における柱状スペーサとは、内部に液晶層を挟持する２枚の基板間に配され、当該２枚の基板間の間隙を一定に保持するために設けられるものである。
【００３５】
このような柱状スペーサの高さは、一般的にモノクロ液晶表示装置において用いられている高さであれば特に限定はされない。具体的には、２．５μｍ〜５．５μｍの範囲内であることが好ましい。上記範囲内であれば、液晶層の応答速度を低下させることがないからである。
【００３６】
また、柱状スペーサを形成する方法としては、所望の領域に精度良く形成することが可能な方法であれば特に限定はされない。例えば、感光性樹脂を成膜しフォトリソグラフィー法によりパターニングする方法等を挙げることができる。
【００３７】
さらに、本発明における柱状スペーサの形状としては、２枚の基板間の間隙を一定に保つことを可能とする形状であれば特に限定はされない。具体的には、円柱形状、角柱形状または截頭錐体形状等を挙げることができる。また、このような柱状スペーサを形成する材料としては、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレンビニル共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ＡＢＳ樹脂、ポリメタクリル酸樹脂、エチレンメタクリル酸樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩素化塩化ビニル、ポリビニルアルコール、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ナイロン６、ナイロン６６、ナイロン１２、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリビニルブチラール、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミック酸樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂等、および、重合可能なモノマーであるメチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ｎ−プロピルアクリレート、ｎ−プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、sec−ブチルアクリレート、sec−ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、ｎ−ペンチルアクリレート、ｎ−ペンチルメタクリレート、ｎ−ヘキシルアクリレート、ｎ−ヘキシルメタクリレート、２−エチルヘキシルアクリレート、２−エチルヘキシルメタクリレート、ｎ−オクチルアクリレート、ｎ−オクチルメタクリレート、ｎ−デシルアクリレート、ｎ−デシルメタクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、Ｎ−ビニル−２−ピロリドン、グリシジル（メタ）アクリレートの一種以上と、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸の２量体（例えば東亜合成化学（株）製Ｍ−５６００）、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、これらの酸無水物等の一種以上からなるポリマーまたはコポリマー等の樹脂を１種または２種以上混合したものを挙げることができる。その中でも、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等を用いた感光性樹脂組成物であることが好ましい。塑性変形量が少なく２枚の基板間の間隙を一定に保つ機能に優れているからである。
【００３８】
（３）ブラックマトリクス
本発明において用いられるブラックマトリックスとは、液晶分子の配向に応じてモノクロ表示が行われる画素を区分するために設けられるものである。また、本発明においては、画素部に位置するブラックマトリクスを画素ブラックマトリクスとし、外周部に位置するブラックマトリクスを外周ブラックマトリクスとしている。両者は、各々が位置する部分に応じて要求される線幅が異なり、画素ブラックマトリクスよりも外周ブラックマトリクスのほうが線幅が広く形成されている。
【００３９】
このようなブラックマトリックスを製造する方法は、特に限定されるものではなく、例えばスパッタリング法、真空蒸着法等により、厚み１０００Å〜２０００Å程度のクロム等の金属薄膜を形成し、この薄膜をパターニングすることにより形成する方法等を挙げることができる。
【００４０】
このようなブラックマトリクスにおいて画素ブラックマトリクスは、表示領域の開口率を高めるために線幅を狭く形成する。一方、外周ブラックマトリクスは、バックライト等の光源からの光を効果的に遮蔽するため、画素ブラックマトリクスよりも幅広に設けられる。具体的に画素ブラックマトリクスの線幅は、一般的には、６μｍ〜２０μｍの範囲内であり、一方、外周ブラックマトリクスの線幅は、２ｍｍ〜１０ｍｍの範囲内である。
【００４１】
また、ブラックマトリックスとしては、樹脂バインダ中にカーボン微粒子、金属酸化物、無機顔料、有機顔料等の遮光性粒子を含有させてもよく、用いられる樹脂バインダとしては、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ゼラチン、カゼイン、セルロース等の樹脂を１種または２種以上混合したものや、感光性樹脂、さらにはＯ／Ｗエマルジョン型の樹脂組成物、例えば、反応性シリコーンをエマルジョン化したもの等を用いることができる。このような樹脂性ブラックマトリックスのパターニングの方法は、フォトリソ法、印刷法等一般的に用いられている方法を用いることができる。
【００４２】
（４）保護層
本発明における保護層とは、上述したブラックマトリクス等が形成された基板において、これらの部材を保護し、かつモノクロ液晶表示装置用基板の基板表面に平坦性を付与するために設けられるものである。
【００４３】
このような保護層を形成する材料としては、アクリル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレンビニル共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ＡＢＳ樹脂、ポリメタクリル酸樹脂、エチレンメタクリル酸樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩素化塩化ビニル、ポリビニルアルコール、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ナイロン６、ナイロン６６、ナイロン１２、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリビニルブチラール、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミック酸樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂等、および、重合可能なモノマーであるメチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ｎ−プロピルアクリレート、ｎ−プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、sec−ブチルアクリレート、sec−ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、ｎ−ペンチルアクリレート、ｎ−ペンチルメタクリレート、ｎ−ヘキシルアクリレート、ｎ−ヘキシルメタクリレート、２−エチルヘキシルアクリレート、２−エチルヘキシルメタクリレート、ｎ−オクチルアクリレート、ｎ−オクチルメタクリレート、ｎ−デシルアクリレート、ｎ−デシルメタクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、Ｎ−ビニル−２−ピロリドン、グリシジル（メタ）アクリレートの一種以上と、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸の２量体（例えば東亜合成化学（株）製Ｍ−５６００）、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、これらの酸無水物等の一種以上からなるポリマーまたはコポリマー等を１種若しくは複数含む感光性樹脂組成物が挙げられる。その中でも、保護層として要求される平坦性の観点からアクリル樹脂を用いた感光性樹脂組成物であることが好ましい。
【００４４】
また、保護層の膜厚としては、基板上に平坦性を付与することが可能な膜厚であれば特に限定はされないが、具体的には、０．３μｍ〜１０μｍの範囲内、その中でも、０．７μｍ〜２μｍの範囲内であることが好ましい。
【００４５】
このような保護層を形成する方法としては、公知の塗布方法により形成することが可能でありスピンコーティング法、キャスティング法、ディッピング法、バーコート法、ブレードコート法、ロールコート法、グラビアコート法、フレキソ印刷法、スプレーコート法等の塗布方法を挙げることができる。
【００４６】
なお、画素ブラックマトリクス上および外周ブラックマトリクス上における保護層の膜厚の差は、実際の各ブラックマトリクスの線幅の違いや、保護層を形成する材料によって異なるものであるため一概に規定することは困難であるが、一般的には、０μｍ〜０．５μｍの範囲内であることが多い。
【００４７】
（５）モノクロ液晶表示装置用基板の基板および対向基板
本発明におけるモノクロ液晶表示装置用基板の基板および対向基板は、他の構成部材を実装するためのものであり、これらの基板としては、例えばガラス基板、ガラスフィルム、合成樹脂基板、合成樹脂フィルム等を用いることができ、透光性に優れたものであることが好ましい。
【００４８】
（６）モノクロ液晶表示装置
本発明のモノクロ液晶表示装置用基板が用いられるモノクロ液晶表示装置としては、公知の液晶表示装置であれば特に限定はされない。具体的には、ＩＰＳ（In-Plane Switching）型、ＳＴＮ（Super Twisted Nematic）型、強誘電性型、反強誘電性型等を挙げることができる。本発明においては、その中でもＩＰＳ型のモノクロ液晶表示装置であることが好ましい。ＩＰＳ型は、特に２枚の基板間の間隙において高精度な調整が要求されるものであり、本発明のモノクロ液晶表示装置用基板の効果を十分に活かすことができるからである。
【００４９】
このようなモノクロ液晶表示装置の用途としては、モノクロ表示が好適に選択される液晶表示装置が考えられ、例えば、レントゲン等の医療画像読影用等が挙げられる。
【００５０】
２．第２実施態様
本発明における第２実施態様は、基板と、基板上にパターン状に形成されており、モノクロ液晶表示装置の表示領域である画素部に位置する画素ブラックマトリクスおよび前記画素部の周囲の部分である外周部に位置する外周ブラックマトリクスを有するブラックマトリクスと、前記ブラックマトリクスを覆うように基板上に成膜された保護層と、前記保護層のうち前記画素ブラックマトリクスが形成されている領域上に設けられた台座と、前記保護層のうち前記外周ブラックマトリクスが形成されている領域上および前記台座上に形成され、前記基板および対向する基板の間隙を調整する柱状スペーサとを有することを特徴とするものである。
【００５１】
本実施態様は、上述した第１実施態様と異なり、台座が画素ブラックマトリクスが形成されている保護層上に形成されている。これにより第１実施態様と同様に保護層の外周部および画素部における膜厚の差を補っている。このような本実施態様について図面を用いて具体的に説明する。
【００５２】
図２は、本実施態様におけるモノクロ液晶表示装置用基板の一例を図示した概略断面図である。図２に示すように、モノクロ液晶装置用基板の基板１上には、画素間を区分するブラックマトリクス２がパターン状に形成されている。このようなブラックマトリクス２は、モノクロ液晶表示装置の表示領域である画素部Ａに位置する画素ブラックマトリクス２ａおよび表示領域外である外周部Ｂに位置する外周ブラックマトリクス２ｂとからなり、両者は線幅が異なるように設けられている。具体的に画素ブラックマトリクス２ａでは、表示領域の開口率の低下を防止するために線幅が狭く形成され、一方、外周ブラックマトリクス２ｂでは、光源からの光を遮蔽するために、線幅が広く形成されている。
【００５３】
このようなブラックマトリクス２が形成されているモノクロ液晶表示装置用基板の基板１上には、ブラックマトリクス２等の部材を保護し、基板１表面に平坦性を付与するために、ブラックマトリクス２の表面を覆うように保護層３が成膜されている。このような保護層３において、画素ブラックマトリクス２ａ上および外周ブラックマトリクス２ｂ上では、保護層３の膜厚に差が生じる。これは、画素ブラックマトリクス２ａは線幅が狭く形成されているために、その上面に保護層３が積層しにくく、積層される保護層３の膜厚は薄くなる傾向にあるからであり、一方、外周ブラックマトリクス２ｂは十分な線幅を有して形成されているため、保護層３の膜厚は画素ブラックマトリクス２ａ上の膜厚と比較し厚くなるからである。
【００５４】
本実施態様においては、この画素ブラックマトリクス２ａ上および外周ブラックマトリクス２ｂ上における保護層３の膜厚の差による影響を回避すべく、画素ブラックマトリクス２が形成されている領域の保護層３上に台座６を形成している。これにより、画素ブラックマトリクス２ａ上における保護層３の膜厚の薄さが補われ、外周部Ｂにおける保護層３表面の高さと、台座６上面の高さは、対向基板５にゆがみを生じさせない程度に均一となる。
【００５５】
次いで、このような基板１において、画素部Ａでは台座６上に、外周部Ｂでは保護層３上のうち外周ブラックマトリクス２ｂが形成されている領域上に、それぞれ柱状スペーサ４が設けられている。これにより本実施態様におけるモノクロ液晶表示装置用基板となる。
【００５６】
さらに、当該柱状スペーサ４を介して、このモノクロ液晶表示装置用基板上に対向基板５が配されている。本実施態様においては、各ブラックマトリクス２ａ、２ｂ上の保護層３の膜厚の違いがモノクロ液晶表示装置用基板に形成される柱状スペーサ４の上端面の高さの違いに及ぼす影響を台座６により解消することによって、柱状スペーサ４の上端面の高さに良好な均一性が確保されたモノクロ液晶表示装置用基板とすることができる。従って、本実施態様のモノクロ液晶表示装置用基板上に配置された対向基板５に不都合なゆがみが生じるおそれなく、光源からの光が対向基板５周辺等から漏れないため、表示画面の周辺が不自然に明るくなるといった問題を解決することができる。
【００５７】
このような本実施態様におけるモノクロ液晶表示装置用基板において、基板、ブラックマトリクス、保護層および柱状スペーサ等に関することは、上述した第１実施態様に記載したものと同様なのでここでの説明は省略する。
【００５８】
（台座）
本実施態様における台座は、上述した第１実施態様における台座と同様の部材であるが、設けられている位置が第１実施態様と異なり、保護層のうち画素ブラックマトリクスが形成されている領域上に設けられている。このような位置に台座を形成することにより、最終的に得られるモノクロ液晶表示装置用基板において、これに形成される柱状スペーサの上端面の高さを均一とすることができる。従って、このようなモノクロ液晶表示装置用基板上に配置される対向基板においては、外周部に向って２枚の基板間の間隙が広がるようにゆがむことが防止され、一定の間隙を容易に保持することができるのである。
【００５９】
このような本実施態様における台座に関して、その他形成材料、形状および形成方法等に関することは上述した第１実施態様に記載したものと同様なのでここでの説明は省略する。
【００６０】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【００６１】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明をさらに説明する。
【００６２】
［実施例］
カラーフィルタ用の基板として３００ｍｍ×４００ｍｍ、厚さ０．７ｍｍのガラス基板（コーニング社製1737ガラス）を準備した。この基板を定法に従って洗浄した後、基板の片側に下記組成の台座用組成物を塗布し、所定のマスクを介して露光後、現像、焼成を行い台座を下記表１のように形成した。
【００６３】
（台座用組成物）
・PB15:6/PV23 ３．９重量部
・感光性樹脂組成物 １６．１重量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート ８０重量部
（感光性樹脂組成物）
・メタクリル酸メチル−スチレン−アクリル酸共重合体 ４２重量部
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート ３２重量部
・エピコート180S70（三菱油化シェル（株）製） １８重量部
・イルガキュア907（チバ・スペシャリティ・ケミカルズ（株）製） ８重量部
【００６４】
【表１】
【００６５】
さらに、上記表１に示した各台座上および基板上に直接、柱状スペーサ用感光性材料（JSR（株）製オプトマーNNシリーズ）を塗布し、所定のマスクで露光、現像、焼成を行い柱状スペーサを形成した。
【００６６】
この際の台座と柱状スペーサとを併せた高さおよび基板上に直接柱状スペーサを形成した場合の柱状スペーサの高さを下記表２に記す。
【００６７】
【表２】
【００６８】
基板表面から各台座上に形成された柱状スペーサの上端面までの高さと、基板表面から台座を介さずに形成した柱状スペーサの上端面までの高さの差を下記表３に記す。
【００６９】
【表３】
【００７０】
（評価）
図３に示した従来のモノクロ液晶表示装置用基板においては、画素部Ａおよび外周部Ｂにおける柱状スペーサ４の上端面の高さの差は、一般的に０．５μｍ程度であることが多い。そこで、このような０．５μｍの差を台座により補い、かつモノクロ液晶表示装置用基板において、画素部における柱状スペーサの上端面の高さの方が、外周部における柱状スペーサの上端面の高さよりも、０μｍ〜０．８μｍの範囲内で高くするためには、上記表３に記した結果が、０．５μｍ〜１．３μｍの範囲内にあることが好ましい。
【００７１】
上記表３に示す結果がこのような範囲内にあるのは、台座の膜厚が１．１μｍの場合は、線幅が６０μｍ〜９０μｍの範囲内、膜厚が１．５μｍの場合は線幅が４０μｍ〜９０μｍの範囲内、膜厚が２．１μｍの場合は線幅が２０μｍ〜６０μｍの範囲内、膜厚が２．７μｍの場合は線幅が１０μｍ〜４０μｍの範囲内、膜厚が３．９μｍの場合は線幅が１０μｍおよび２０μｍの場合であった。
【００７２】
上記表１から表３に示す結果から、台座の線幅の選択範囲が広く、台座上に精度良く柱状スペーサを形成することが可能であるといったことを考慮すると、台座の膜厚は１．１μｍ〜２．５μｍの範囲内であることが好ましいことが示唆される。
【００７３】
【発明の効果】
本発明によれば、画素部および外周部における保護層の膜厚の差による影響を回避するために、画素ブラックマトリクス上に台座を設けることにより、画素ブラックマトリクス上における保護層の膜厚の薄さが補われ、モノクロ液晶表示装置用基板に形成される柱状スペーサの上端面に良好な高さの均一性が確保される。従って、このようなモノクロ液晶表示装置用基板上に対向基板を配置させると、対向基板に外周部に向って間隙が広がるようなゆがみが生じることが抑制され、これにより対向基板がこのようにゆがむことにより生じていた対向基板周辺から光が漏れるといった不都合がなくなり、モノクロ液晶表示装置において不自然に画面周辺が明るくなるといった問題を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明のモノクロ液晶表示装置用基板の一例を示す概略断面図である。
【図２】本発明のモノクロ液晶表示装置用基板の他の例を示す概略断面図である。
【図３】従来のモノクロ液晶表示装置用基板の一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
１ … 基板
２ … ブラックマトリクス
２ａ … 画素ブラックマトリクス
２ｂ … 外周ブラックマトリクス
３ … 保護層
４ … 柱状スペーサ
５ … 対向基板
６ … 台座
Ａ … 画素部
Ｂ … 外周部
【発明の属する技術分野】
本発明は、モノクロ液晶表示装置に用いるモノクロ液晶表示装置用基板に関し、特に詳しくは、表示特性の低下を防止するモノクロ液晶表示装置用基板に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来より、液晶表示装置は、モノクロ型及びカラー型のいずれを問わず、多方面で、情報の表示手段として活用されている。
【０００３】
例えば、モノクロ液晶表示装置は、基板と、上記基板上にパターン状に形成されたブラックマトリクスと、上記ブラックマトリクスを保護し、基板表面の平坦性を確保するために設けられる保護層とを有するモノクロ表示装置用基板、上記モノクロ表示装置用基板に対向する対向基板およびこれらモノクロ表示装置用基板および対向基板に狭持された液晶層を少なくとも有する構造とされている。
【０００４】
そして、近年モノクロ液晶表示装置用基板と対向基板との間隙を一定に保つための間隙材（スペーサ）として、従来用いられてきたプラスチックビーズに代わり、柱状のスペーサが用いるようになってきている。すなわち、プラスチックビーズ周辺の光漏れによるコントラストの低下、および散布むらに起因する表示むらを解消するために、いずれかの基板側に柱状のスペーサを形成し、このスペーサにより２枚の基板の間隙を一定に保つことが行なわれている。
【０００５】
例えば、特許文献１には、液晶表示装置の表示領域および表示領域外とでは柱状スペーサ自体の高さにばらつきが生じることを防止するために、一層からなる大径スペーサと２層以上からなる小径スペーサとからなる柱状スペーサを用いた技術が開示されている。さらに、特許文献２には、液晶表示装置の組み立て時における高温高圧下の影響から柱状スペーサが変化することを防止するために、柱状スペーサを、高温高圧化での変形量の小さい低変形部と、低温での液晶の収縮に追従可能な高弾性部とからなる２層構造とし、柱状スペーサの形状を一定に保つ技術が開示されている。また、特許文献３には、柱状スペーサを所定の位置から１〜４μｍの範囲内で突出させ、２枚の基板の間隙を一定に保持する技術が開示されている。
【０００６】
このような柱状スペーサを用いた場合の従来のモノクロ液晶表示用基板の一例は、図３に示すように、モノクロ液晶表示装置用基板の基板１上に、画素間を区切るブラックマトリクス２がパターン状に形成されている。このようなブラックマトリクス２は、表示領域である画素部Ａに位置する部分において、表示領域の開口率を低下させないために、その線幅が狭く形成されている。一方、表示領域外である外周部Ｂに形成されているブラックマトリクス２は、バックライト等の光源からの光を効果的に遮蔽するため、線幅が広く形成されている。
【０００７】
さらに、ブラックマトリクス２等の部材を保護し、モノクロ液晶表示装置用基板の基板１表面に平坦性を付与するため、ブラックマトリクス２表面を被覆するように、保護層３が形成されている。このような保護層３において、画素部Ａおよび外周部Ｂでは、膜厚に差が生じる。これは、画素部Ａに位置するブラックマトリクス２は線幅が狭く形成されているために、その上面に保護層３が積層しにくく、積層される保護層３の膜厚は薄くなる傾向にあるからであり、一方、外周部Ｂに設けられているブラックマトリクス２は十分な線幅を有して形成されているため、保護層３の膜厚は画素部Ａのものと比較し厚くなるからである。このような保護層３上に、柱状スペーサ４を形成すると、上述した保護層３自体の膜厚の差により、モノクロ液晶表示装置用基板の基板１の表面から柱状スペーサ４の上端面までの高さは、外周部Ｂの方が画素部Ａより高くなる。
【０００８】
このような高さの違いは、基板間の間隙の違いとなって表れ、この間隙の領域における相違は、特にＩＰＳ型のモノクロ液晶表示装置では、表示特性に大きな影響を与える。また、このような状態でモノクロ液晶表示層用基板上に柱状スペーサ４を介して対向基板５を配置させると、対向基板５にゆがみが発生する。このようなゆがみは、対向基板５の周辺部分から光が漏れるといった不都合を引き起こし、これにより画面周辺が明るくなるといった問題が生じる。
【０００９】
【特許文献１】
特開平１１−１０９３６６号公報
【特許文献２】
特開２００２−１４８４２６号公報
【特許文献３】
特開平１１−２７１７号公報
【００１０】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、モノクロ液晶表示装置用基板および対向基板の間隙の均一性に優れ、明度にムラがなく良好な画質の表示が達成できるモノクロ液晶表示装置用基板を提供することを主目的とするものである。
【００１１】
上記目的を達成するために、本発明は、基板と、基板上にパターン状に形成されており、モノクロ液晶表示装置の表示領域である画素部に位置する画素ブラックマトリクスおよび上記画素部の周囲の部分である外周部に位置する外周ブラックマトリクスを有するブラックマトリクスと、上記画素ブラックマトリクス上に形成されており、上記外周ブラックマトリクス上に形成されていない台座と、上記ブラックマトリクスおよび台座を覆うように基板上に成膜された保護層と、上記保護層のうち上記外周ブラックマトリクスが形成されている領域上および上記台座が形成されている領域上に形成され、上記基板および対向する基板の間隙を調整する柱状スペーサとを有することを特徴とするモノクロ液晶表示装置用基板を提供する。
【００１２】
本発明においては、画素部および外周部における保護層の膜厚の差による影響を回避するために、画素ブラックマトリクス上に台座を設けることにより、画素ブラックマトリクス上における保護層の膜厚の薄さが補われ、モノクロ液晶表示装置用基板に形成される柱状スペーサの上端面に良好な高さの均一性が確保される。従って、このようなモノクロ液晶表示装置用基板上に対向基板を配置させると、対向基板に外周部に向って間隙が広がるようなゆがみが生じることが抑制され、これにより対向基板がこのようにゆがむことにより生じていた対向基板周辺から光が漏れるといった不都合がなくなり、モノクロ液晶表示装置において不自然に画面周辺が明るくなるといった問題を解決することができる。
【００１３】
本発明においてはまた、基板と、基板上にパターン状に形成されており、モノクロ液晶表示装置の表示領域である画素部に位置する画素ブラックマトリクスおよび上記画素部の周囲の部分である外周部に位置する外周ブラックマトリクスを有するブラックマトリクスと、上記ブラックマトリクスを覆うように基板上に成膜された保護層と、上記保護層のうち上記画素ブラックマトリクスが形成されている領域上に設けられており、上記外周ブラックマトリクスが形成されている領域上に設けられていない台座と、上記保護層のうち上記外周ブラックマトリクスが形成されている領域上および上記台座上に形成され、上記基板および対向する基板の間隙を調整する柱状スペーサとを有することを特徴とするモノクロ液晶装置用基板を提供する。
【００１４】
本発明においては、保護層のうち画素ブラックマトリクスが形成されている領域上に台座を設けることにより、請求項１と同様に、画素ブラックマトリクス上および外周ブラックマトリクス上における保護層の膜厚の差による影響を回避することができるため、対向基板をゆがみが発生することなく、モノクロ液晶表示用基板上に配置することができる。
【００１５】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のモノクロ表示装置用基板について説明する。
【００１６】
本発明のモノクロ液晶表示装置用基板は、所定の位置に台座を形成することにより、最終的に得られるモノクロ液晶表示装置用基板において、モノクロ液晶表示装置用基板に形成される柱状スペーサの上端面に対し良好な高さの均一性を確保する。従来、ブラックマトリクス上に成膜される保護層においては、ブラックマトリクスの画素部および外周部における線幅の違いを要因として、外周部よりも画素部の方が保護層の膜厚が薄くなる問題があったが、本発明においては、保護層の膜厚が薄くなる画素ブラックマトリクス上に、台座を設けることにより、その膜厚の薄さを補い、上述した問題を解決するものである。従って、保護層の画素ブラックマトリクス上および外周ブラックマトリクス上における膜厚の違いがこの保護層上に形成される柱状スペーサの上端面の高さの違いに表れることを阻止することができ、このような本発明のモノクロ液晶表示装置用基板上に配置される対向基板においては、外周部に向って２枚の基板間の間隙が広がるようにゆがむといった問題を最小限とすることができる。
【００１７】
このような本発明のモノクロ液晶表示装置用基板表面において、モノクロ液晶表示装置用基板の基板表面から画素部および外周部における柱状スペーサの上端面までの高さの差に関しては、対向基板が上述したようにゆがむことがない程度であれば特に限定はされない。具体的には、モノクロ液晶表示装置用基板の基板表面から当該基板の画素部に設けられている柱状スペーサ上端面までの高さが、同様の基板表面から当該基板の画素部周辺の領域である外周部に設けられた柱状スペーサ上端面までの高さより、０μｍ〜０．８μｍの範囲内で高いことが好ましく、その中でも０．２μｍ〜０．６μｍの範囲内で高いことが好ましい。上記範囲内であれば、当該モノクロ液晶表示装置用基板上に対向基板を配置した際に、外周部に向って間隙が広がるように対向基板がゆがむことがなく、これにより最終的に得られるモノクロ液晶表示装置の表示品質を大幅に向上させることができるのである。また、２枚の基板間に液晶を注入し液晶層を形成する際に効率良く液晶を注入することができる。
【００１８】
このような本発明のモノクロ液晶表示装置用基板においては、台座を設ける位置により二つの実施態様に分けることができる。以下、二つの実施態様に分けて本発明のモノクロ液晶表示装置用基板について説明する。
【００１９】
なお、ここでいう「画素部」とは、本発明のモノクロ液晶表示装置用基板を用いてモノクロ液晶表示装置とした際に、実際にモノクロ表示が行われる表示領域の部分を意味する。さらに、「外周部」とは、当該画素部の周囲に位置し、前述した表示領域外に該当する部分を意味する。
【００２０】
１．第１実施態様
本発明における第１実施態様は、基板と、基板上にパターン状に形成されており、モノクロ液晶表示装置の表示領域である画素部に位置する画素ブラックマトリクスおよび前記画素部の周囲の部分である外周部に位置する外周ブラックマトリクスを有するブラックマトリクスと、前記画素ブラックマトリクス上に形成された台座と、前記ブラックマトリクスおよび台座を覆うように基板上に成膜された保護層と、前記保護層のうち前記外周ブラックマトリクスが形成されている領域上および前記台座が形成されている領域上に形成され、前記基板および対向する基板の間隙を調整する柱状スペーサとを有することを特徴とするものである。
【００２１】
本実施態様では、台座を画素部に位置する画素ブラックマトリクス上に設けている。これにより、画素ブラックマトリクス上および外周ブラックマトリクス上における保護層の膜厚の差による影響が、この保護層上に形成される柱状スペーサの上端面の高さの違いに表れることを回避している。従って、このような本発明のモノクロ液晶表示装置用基板上に対向基板を配置させると、対向基板に外周部に向って間隙が広がるようなゆがみが生じることが抑制され、対向基板周辺から光が漏れることがなくなり、モノクロ液晶表示装置において不自然に画面周辺が明るくなるといった問題を解決することができる。
【００２２】
このような本実施態様におけるモノクロ表示装置用基板について図面を用いて説明する。
【００２３】
図１は、本実施態様のモノクロ液晶表示装置用基板の一例を示した概略断面図である。図１に示すように、モノクロ液晶装置用基板の基板１上には、画素間を区分するブラックマトリクス２がパターン状に形成されている。このようなブラックマトリクス２は、モノクロ液晶表示装置の表示領域である画素部Ａに位置する画素ブラックマトリクス２ａおよび表示領域外である外周部Ｂに位置する外周ブラックマトリクス２ｂとからなり、両者は線幅が異なるように設けられている。具体的に画素ブラックマトリクス２ａでは、表示領域の開口率の低下を防止するために線幅が狭く形成され、一方、外周ブラックマトリクス２ｂでは、光源からの光を遮蔽するために、線幅が広く形成されている。
【００２４】
このようなブラックマトリクス２において、本実施態様においては、画素部Ａに位置する画素ブラックマトリクス２ａ上に台座６を設けている。さらに、ブラックマトリクス２および台座６が形成されているモノクロ液晶表示装置用基板の基板１上には、ブラックマトリクス２および台座６等の部材を保護し、基板１表面に平坦性を付与するために、ブラックマトリクス２および台座６表面を覆うように保護層３が形成されている。本実施態様においては、上述したように、台座６を設けていることにより、画素ブラックマトリクス上２ａおよび外周ブラックマトリクス２ｂ上の保護層３の膜厚の差が、保護層３の表面の高さの違いに及ぶことが回避される。
【００２５】
次いで、保護層３のうち外周ブラックマトリクス２ｂが形成されている領域上および台座６が形成されている領域上に柱状スペーサ４が設けられている。さらに、当該柱状スペーサ４を介して、モノクロ液晶表示装置用基板上に対向基板５が配置されている。本実施態様においては、台座６を画素部Ａに位置する画素ブラックマトリクス２ａ上に設けているため、保護層３の画素ブラックマトリクス２ａ上における膜厚の薄さを台座６により補うことができ、保護層３上に形成された柱状スペーサ４の上端面の高さが均一なモノクロ液晶表示装置用基板とすることができる。従って、このようなモノクロ液晶表示装置用基板上に配置された対向基板５においては、外周部Ｂに向って２枚の基板１、５間の間隙が広がるようにゆがむことがなく、光源からの光が対向基板５周辺等から漏れないため、表示画面の周辺が不自然に明るくなるといった問題を解決することができる。
【００２６】
以下、このような利点を有する本実施態様のモノクロ表示装置用基板を構成する各部材について説明する。
【００２７】
（１）台座
本実施態様における台座とは、画素ブラックマトリクスおよび外周ブラックマトリクスにおける線幅の違いを要因として生じる各ブラックマトリクス上の保護層の膜厚の差を補い、このような保護層の膜厚の差がモノクロ液晶表示装置用基板全体に与える影響を回避するために設けられるものである。
【００２８】
このような本実施態様における台座は、画素部に位置する画素ブラックマトリクス上に形成されている。通常、ブラックマトリクス上の保護層の膜厚は、外周部と比較し画素部で薄くなるため、画素ブラックマトリクス上に予め台座を設けることにより、保護層の画素部における膜厚の薄さを補っているのである。
【００２９】
本発明における台座の膜厚は、保護層の外周ブラックマトリクス上および画素ブラックマトリクス上における膜厚の差を調整し、モノクロ液晶表示層用基板上に配置される対向基板に不都合なゆがみが生じることを防止できる膜厚であれば特に限定はされない。しかしながら、一般的に生じうる画素ブラックマトリクス上および外周ブラックマトリクス上における保護層の膜厚の差を基準として、具体的に台座の膜厚を規定すると、１．１μｍ〜２．５μｍの範囲内であることが好ましく、その中でも、１．５μｍ〜２．１μｍの範囲内であることが好ましい。後述する実施例より台座の膜厚を上記範囲内とすると、台座の線幅の選択範囲が広くなるからである。また、上記範囲よりも膜厚を厚くすると、保護層の平坦性が得られにくく、柱状スペーサを所望の形状に形成することが困難となるからである。一方、上記範囲よりも膜厚を薄くすると、外周ブラックマトリクス上の保護層の膜厚の薄さを十分に補うことができないため好ましくない。
【００３０】
なお、保護層の外周ブラックマトリクス上および画素ブラックマトリクス上における膜厚の差は、保護層を形成する材料や、各ブラックマトリクスの線幅の違い等により変化するため、このような保護層の膜厚の差を基準に規定される台座の膜厚は、上記範囲と異なる場合がある。
【００３１】
さらに、本実施態様における台座の線幅は、台座上に保護層を介して柱状スペーサを良好に形成させることができる線幅であれば特に限定はされない。具体的には、２０μｍ〜９０μｍの範囲内であることが好ましく、その中でも、２０μｍ〜６０μｍの範囲内であることが好ましい。一般的に、柱状スペーサの上底の線幅は１０μｍ程度とする場合が多く、この場合柱状スペーサの下底の線幅は１４μｍ程度となる。上記範囲よりも台座の線幅を狭くすると、このような柱状スペーサを保護層を介して台座上に形成することが困難であり、さらに、柱状スペーサを形成する際の柱状スペーサと台座との位置合せが難しくなるからである。一方、上記範囲よりも線幅を広くすると、ブラックマトリクスの線幅を超えてしまうため好ましくない。
【００３２】
さらに、本実施態様における台座を形成する材料としては、台座としての機能を発揮することが可能な材料であれば特に限定はされない。具体的には、ブラックマトリクス、保護層、または、カラーの液晶表示装置を製造する場合に用いる着色層等の各々の部材を形成する材料を用いることができる。このようにモノクロ液晶表示装置用基板を構成する他の部材と同様の材料により形成することにより、効率よく台座を形成することができ、さらに、コスト面においても有利となるからである。
【００３３】
また、台座を形成する方法としては、画素部に位置する画素ブラックマトリクス上に精度良く形成することが可能な方法であれば特に限定はされない。具体的には、感光性樹脂を成膜しフォトリソグラフィー法によりパターニングする方法等を挙げることができる。
【００３４】
（２）柱状スペーサ
本発明における柱状スペーサとは、内部に液晶層を挟持する２枚の基板間に配され、当該２枚の基板間の間隙を一定に保持するために設けられるものである。
【００３５】
このような柱状スペーサの高さは、一般的にモノクロ液晶表示装置において用いられている高さであれば特に限定はされない。具体的には、２．５μｍ〜５．５μｍの範囲内であることが好ましい。上記範囲内であれば、液晶層の応答速度を低下させることがないからである。
【００３６】
また、柱状スペーサを形成する方法としては、所望の領域に精度良く形成することが可能な方法であれば特に限定はされない。例えば、感光性樹脂を成膜しフォトリソグラフィー法によりパターニングする方法等を挙げることができる。
【００３７】
さらに、本発明における柱状スペーサの形状としては、２枚の基板間の間隙を一定に保つことを可能とする形状であれば特に限定はされない。具体的には、円柱形状、角柱形状または截頭錐体形状等を挙げることができる。また、このような柱状スペーサを形成する材料としては、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレンビニル共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ＡＢＳ樹脂、ポリメタクリル酸樹脂、エチレンメタクリル酸樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩素化塩化ビニル、ポリビニルアルコール、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ナイロン６、ナイロン６６、ナイロン１２、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリビニルブチラール、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミック酸樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂等、および、重合可能なモノマーであるメチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ｎ−プロピルアクリレート、ｎ−プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、sec−ブチルアクリレート、sec−ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、ｎ−ペンチルアクリレート、ｎ−ペンチルメタクリレート、ｎ−ヘキシルアクリレート、ｎ−ヘキシルメタクリレート、２−エチルヘキシルアクリレート、２−エチルヘキシルメタクリレート、ｎ−オクチルアクリレート、ｎ−オクチルメタクリレート、ｎ−デシルアクリレート、ｎ−デシルメタクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、Ｎ−ビニル−２−ピロリドン、グリシジル（メタ）アクリレートの一種以上と、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸の２量体（例えば東亜合成化学（株）製Ｍ−５６００）、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、これらの酸無水物等の一種以上からなるポリマーまたはコポリマー等の樹脂を１種または２種以上混合したものを挙げることができる。その中でも、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等を用いた感光性樹脂組成物であることが好ましい。塑性変形量が少なく２枚の基板間の間隙を一定に保つ機能に優れているからである。
【００３８】
（３）ブラックマトリクス
本発明において用いられるブラックマトリックスとは、液晶分子の配向に応じてモノクロ表示が行われる画素を区分するために設けられるものである。また、本発明においては、画素部に位置するブラックマトリクスを画素ブラックマトリクスとし、外周部に位置するブラックマトリクスを外周ブラックマトリクスとしている。両者は、各々が位置する部分に応じて要求される線幅が異なり、画素ブラックマトリクスよりも外周ブラックマトリクスのほうが線幅が広く形成されている。
【００３９】
このようなブラックマトリックスを製造する方法は、特に限定されるものではなく、例えばスパッタリング法、真空蒸着法等により、厚み１０００Å〜２０００Å程度のクロム等の金属薄膜を形成し、この薄膜をパターニングすることにより形成する方法等を挙げることができる。
【００４０】
このようなブラックマトリクスにおいて画素ブラックマトリクスは、表示領域の開口率を高めるために線幅を狭く形成する。一方、外周ブラックマトリクスは、バックライト等の光源からの光を効果的に遮蔽するため、画素ブラックマトリクスよりも幅広に設けられる。具体的に画素ブラックマトリクスの線幅は、一般的には、６μｍ〜２０μｍの範囲内であり、一方、外周ブラックマトリクスの線幅は、２ｍｍ〜１０ｍｍの範囲内である。
【００４１】
また、ブラックマトリックスとしては、樹脂バインダ中にカーボン微粒子、金属酸化物、無機顔料、有機顔料等の遮光性粒子を含有させてもよく、用いられる樹脂バインダとしては、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ゼラチン、カゼイン、セルロース等の樹脂を１種または２種以上混合したものや、感光性樹脂、さらにはＯ／Ｗエマルジョン型の樹脂組成物、例えば、反応性シリコーンをエマルジョン化したもの等を用いることができる。このような樹脂性ブラックマトリックスのパターニングの方法は、フォトリソ法、印刷法等一般的に用いられている方法を用いることができる。
【００４２】
（４）保護層
本発明における保護層とは、上述したブラックマトリクス等が形成された基板において、これらの部材を保護し、かつモノクロ液晶表示装置用基板の基板表面に平坦性を付与するために設けられるものである。
【００４３】
このような保護層を形成する材料としては、アクリル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレンビニル共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ＡＢＳ樹脂、ポリメタクリル酸樹脂、エチレンメタクリル酸樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩素化塩化ビニル、ポリビニルアルコール、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ナイロン６、ナイロン６６、ナイロン１２、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリビニルブチラール、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミック酸樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂等、および、重合可能なモノマーであるメチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ｎ−プロピルアクリレート、ｎ−プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、sec−ブチルアクリレート、sec−ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、ｎ−ペンチルアクリレート、ｎ−ペンチルメタクリレート、ｎ−ヘキシルアクリレート、ｎ−ヘキシルメタクリレート、２−エチルヘキシルアクリレート、２−エチルヘキシルメタクリレート、ｎ−オクチルアクリレート、ｎ−オクチルメタクリレート、ｎ−デシルアクリレート、ｎ−デシルメタクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、Ｎ−ビニル−２−ピロリドン、グリシジル（メタ）アクリレートの一種以上と、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸の２量体（例えば東亜合成化学（株）製Ｍ−５６００）、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、これらの酸無水物等の一種以上からなるポリマーまたはコポリマー等を１種若しくは複数含む感光性樹脂組成物が挙げられる。その中でも、保護層として要求される平坦性の観点からアクリル樹脂を用いた感光性樹脂組成物であることが好ましい。
【００４４】
また、保護層の膜厚としては、基板上に平坦性を付与することが可能な膜厚であれば特に限定はされないが、具体的には、０．３μｍ〜１０μｍの範囲内、その中でも、０．７μｍ〜２μｍの範囲内であることが好ましい。
【００４５】
このような保護層を形成する方法としては、公知の塗布方法により形成することが可能でありスピンコーティング法、キャスティング法、ディッピング法、バーコート法、ブレードコート法、ロールコート法、グラビアコート法、フレキソ印刷法、スプレーコート法等の塗布方法を挙げることができる。
【００４６】
なお、画素ブラックマトリクス上および外周ブラックマトリクス上における保護層の膜厚の差は、実際の各ブラックマトリクスの線幅の違いや、保護層を形成する材料によって異なるものであるため一概に規定することは困難であるが、一般的には、０μｍ〜０．５μｍの範囲内であることが多い。
【００４７】
（５）モノクロ液晶表示装置用基板の基板および対向基板
本発明におけるモノクロ液晶表示装置用基板の基板および対向基板は、他の構成部材を実装するためのものであり、これらの基板としては、例えばガラス基板、ガラスフィルム、合成樹脂基板、合成樹脂フィルム等を用いることができ、透光性に優れたものであることが好ましい。
【００４８】
（６）モノクロ液晶表示装置
本発明のモノクロ液晶表示装置用基板が用いられるモノクロ液晶表示装置としては、公知の液晶表示装置であれば特に限定はされない。具体的には、ＩＰＳ（In-Plane Switching）型、ＳＴＮ（Super Twisted Nematic）型、強誘電性型、反強誘電性型等を挙げることができる。本発明においては、その中でもＩＰＳ型のモノクロ液晶表示装置であることが好ましい。ＩＰＳ型は、特に２枚の基板間の間隙において高精度な調整が要求されるものであり、本発明のモノクロ液晶表示装置用基板の効果を十分に活かすことができるからである。
【００４９】
このようなモノクロ液晶表示装置の用途としては、モノクロ表示が好適に選択される液晶表示装置が考えられ、例えば、レントゲン等の医療画像読影用等が挙げられる。
【００５０】
２．第２実施態様
本発明における第２実施態様は、基板と、基板上にパターン状に形成されており、モノクロ液晶表示装置の表示領域である画素部に位置する画素ブラックマトリクスおよび前記画素部の周囲の部分である外周部に位置する外周ブラックマトリクスを有するブラックマトリクスと、前記ブラックマトリクスを覆うように基板上に成膜された保護層と、前記保護層のうち前記画素ブラックマトリクスが形成されている領域上に設けられた台座と、前記保護層のうち前記外周ブラックマトリクスが形成されている領域上および前記台座上に形成され、前記基板および対向する基板の間隙を調整する柱状スペーサとを有することを特徴とするものである。
【００５１】
本実施態様は、上述した第１実施態様と異なり、台座が画素ブラックマトリクスが形成されている保護層上に形成されている。これにより第１実施態様と同様に保護層の外周部および画素部における膜厚の差を補っている。このような本実施態様について図面を用いて具体的に説明する。
【００５２】
図２は、本実施態様におけるモノクロ液晶表示装置用基板の一例を図示した概略断面図である。図２に示すように、モノクロ液晶装置用基板の基板１上には、画素間を区分するブラックマトリクス２がパターン状に形成されている。このようなブラックマトリクス２は、モノクロ液晶表示装置の表示領域である画素部Ａに位置する画素ブラックマトリクス２ａおよび表示領域外である外周部Ｂに位置する外周ブラックマトリクス２ｂとからなり、両者は線幅が異なるように設けられている。具体的に画素ブラックマトリクス２ａでは、表示領域の開口率の低下を防止するために線幅が狭く形成され、一方、外周ブラックマトリクス２ｂでは、光源からの光を遮蔽するために、線幅が広く形成されている。
【００５３】
このようなブラックマトリクス２が形成されているモノクロ液晶表示装置用基板の基板１上には、ブラックマトリクス２等の部材を保護し、基板１表面に平坦性を付与するために、ブラックマトリクス２の表面を覆うように保護層３が成膜されている。このような保護層３において、画素ブラックマトリクス２ａ上および外周ブラックマトリクス２ｂ上では、保護層３の膜厚に差が生じる。これは、画素ブラックマトリクス２ａは線幅が狭く形成されているために、その上面に保護層３が積層しにくく、積層される保護層３の膜厚は薄くなる傾向にあるからであり、一方、外周ブラックマトリクス２ｂは十分な線幅を有して形成されているため、保護層３の膜厚は画素ブラックマトリクス２ａ上の膜厚と比較し厚くなるからである。
【００５４】
本実施態様においては、この画素ブラックマトリクス２ａ上および外周ブラックマトリクス２ｂ上における保護層３の膜厚の差による影響を回避すべく、画素ブラックマトリクス２が形成されている領域の保護層３上に台座６を形成している。これにより、画素ブラックマトリクス２ａ上における保護層３の膜厚の薄さが補われ、外周部Ｂにおける保護層３表面の高さと、台座６上面の高さは、対向基板５にゆがみを生じさせない程度に均一となる。
【００５５】
次いで、このような基板１において、画素部Ａでは台座６上に、外周部Ｂでは保護層３上のうち外周ブラックマトリクス２ｂが形成されている領域上に、それぞれ柱状スペーサ４が設けられている。これにより本実施態様におけるモノクロ液晶表示装置用基板となる。
【００５６】
さらに、当該柱状スペーサ４を介して、このモノクロ液晶表示装置用基板上に対向基板５が配されている。本実施態様においては、各ブラックマトリクス２ａ、２ｂ上の保護層３の膜厚の違いがモノクロ液晶表示装置用基板に形成される柱状スペーサ４の上端面の高さの違いに及ぼす影響を台座６により解消することによって、柱状スペーサ４の上端面の高さに良好な均一性が確保されたモノクロ液晶表示装置用基板とすることができる。従って、本実施態様のモノクロ液晶表示装置用基板上に配置された対向基板５に不都合なゆがみが生じるおそれなく、光源からの光が対向基板５周辺等から漏れないため、表示画面の周辺が不自然に明るくなるといった問題を解決することができる。
【００５７】
このような本実施態様におけるモノクロ液晶表示装置用基板において、基板、ブラックマトリクス、保護層および柱状スペーサ等に関することは、上述した第１実施態様に記載したものと同様なのでここでの説明は省略する。
【００５８】
（台座）
本実施態様における台座は、上述した第１実施態様における台座と同様の部材であるが、設けられている位置が第１実施態様と異なり、保護層のうち画素ブラックマトリクスが形成されている領域上に設けられている。このような位置に台座を形成することにより、最終的に得られるモノクロ液晶表示装置用基板において、これに形成される柱状スペーサの上端面の高さを均一とすることができる。従って、このようなモノクロ液晶表示装置用基板上に配置される対向基板においては、外周部に向って２枚の基板間の間隙が広がるようにゆがむことが防止され、一定の間隙を容易に保持することができるのである。
【００５９】
このような本実施態様における台座に関して、その他形成材料、形状および形成方法等に関することは上述した第１実施態様に記載したものと同様なのでここでの説明は省略する。
【００６０】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【００６１】
【実施例】
以下に実施例を示し、本発明をさらに説明する。
【００６２】
［実施例］
カラーフィルタ用の基板として３００ｍｍ×４００ｍｍ、厚さ０．７ｍｍのガラス基板（コーニング社製1737ガラス）を準備した。この基板を定法に従って洗浄した後、基板の片側に下記組成の台座用組成物を塗布し、所定のマスクを介して露光後、現像、焼成を行い台座を下記表１のように形成した。
【００６３】
（台座用組成物）
・PB15:6/PV23 ３．９重量部
・感光性樹脂組成物 １６．１重量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート ８０重量部
（感光性樹脂組成物）
・メタクリル酸メチル−スチレン−アクリル酸共重合体 ４２重量部
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート ３２重量部
・エピコート180S70（三菱油化シェル（株）製） １８重量部
・イルガキュア907（チバ・スペシャリティ・ケミカルズ（株）製） ８重量部
【００６４】
【表１】
さらに、上記表１に示した各台座上および基板上に直接、柱状スペーサ用感光性材料（JSR（株）製オプトマーNNシリーズ）を塗布し、所定のマスクで露光、現像、焼成を行い柱状スペーサを形成した。
【００６６】
この際の台座と柱状スペーサとを併せた高さおよび基板上に直接柱状スペーサを形成した場合の柱状スペーサの高さを下記表２に記す。
【００６７】
【表２】
基板表面から各台座上に形成された柱状スペーサの上端面までの高さと、基板表面から台座を介さずに形成した柱状スペーサの上端面までの高さの差を下記表３に記す。
【００６９】
【表３】
（評価）
図３に示した従来のモノクロ液晶表示装置用基板においては、画素部Ａおよび外周部Ｂにおける柱状スペーサ４の上端面の高さの差は、一般的に０．５μｍ程度であることが多い。そこで、このような０．５μｍの差を台座により補い、かつモノクロ液晶表示装置用基板において、画素部における柱状スペーサの上端面の高さの方が、外周部における柱状スペーサの上端面の高さよりも、０μｍ〜０．８μｍの範囲内で高くするためには、上記表３に記した結果が、０．５μｍ〜１．３μｍの範囲内にあることが好ましい。
【００７１】
上記表３に示す結果がこのような範囲内にあるのは、台座の膜厚が１．１μｍの場合は、線幅が６０μｍ〜９０μｍの範囲内、膜厚が１．５μｍの場合は線幅が４０μｍ〜９０μｍの範囲内、膜厚が２．１μｍの場合は線幅が２０μｍ〜６０μｍの範囲内、膜厚が２．７μｍの場合は線幅が１０μｍ〜４０μｍの範囲内、膜厚が３．９μｍの場合は線幅が１０μｍおよび２０μｍの場合であった。
【００７２】
上記表１から表３に示す結果から、台座の線幅の選択範囲が広く、台座上に精度良く柱状スペーサを形成することが可能であるといったことを考慮すると、台座の膜厚は１．１μｍ〜２．５μｍの範囲内であることが好ましいことが示唆される。
【００７３】
【発明の効果】
本発明によれば、画素部および外周部における保護層の膜厚の差による影響を回避するために、画素ブラックマトリクス上に台座を設けることにより、画素ブラックマトリクス上における保護層の膜厚の薄さが補われ、モノクロ液晶表示装置用基板に形成される柱状スペーサの上端面に良好な高さの均一性が確保される。従って、このようなモノクロ液晶表示装置用基板上に対向基板を配置させると、対向基板に外周部に向って間隙が広がるようなゆがみが生じることが抑制され、これにより対向基板がこのようにゆがむことにより生じていた対向基板周辺から光が漏れるといった不都合がなくなり、モノクロ液晶表示装置において不自然に画面周辺が明るくなるといった問題を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明のモノクロ液晶表示装置用基板の一例を示す概略断面図である。
【図２】本発明のモノクロ液晶表示装置用基板の他の例を示す概略断面図である。
【図３】従来のモノクロ液晶表示装置用基板の一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
１ … 基板
２ … ブラックマトリクス
２ａ … 画素ブラックマトリクス
２ｂ … 外周ブラックマトリクス
３ … 保護層
４ … 柱状スペーサ
５ … 対向基板
６ … 台座
Ａ … 画素部
Ｂ … 外周部
Claims (2)
- 基板と、
基板上にパターン状に形成されており、モノクロ液晶表示装置の表示領域である画素部に位置する画素ブラックマトリクスおよび前記画素部の周囲の部分である外周部に位置する外周ブラックマトリクスを有するブラックマトリクスと、
前記画素ブラックマトリクス上に形成されており、前記外周ブラックマトリクス上に形成されていない台座と、
前記ブラックマトリクスおよび台座を覆うように基板上に成膜された保護層と、
前記保護層のうち前記外周ブラックマトリクスが形成されている領域上および前記台座が形成されている領域上に形成され、前記基板および対向する基板の間隙を調整する柱状スペーサとを有することを特徴とするモノクロ液晶表示装置用基板。 - 基板と、
基板上にパターン状に形成されており、モノクロ液晶表示装置の表示領域である画素部に位置する画素ブラックマトリクスおよび前記画素部の周囲の部分である外周部に位置する外周ブラックマトリクスを有するブラックマトリクスと、
前記ブラックマトリクスを覆うように基板上に成膜された保護層と、
前記保護層のうち前記画素ブラックマトリクスが形成されている領域上に設けられており、前記外周ブラックマトリクスが形成されている領域上に設けられていない台座と、
前記保護層のうち前記外周ブラックマトリクスが形成されている領域上および前記台座上に形成され、前記基板および対向する基板の間隙を調整する柱状スペーサとを有することを特徴とするモノクロ液晶装置用基板。
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