JP2005120406A - 薄膜パターン形成用マスク - Google Patents
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Abstract
【課題】基板へのキズの発生を抑制し、保護膜の剥離、ブラックマトリックス層の白ヌケを防止することで、液晶表示装置の表示不良発生を防止することができ、かつ均一の膜特性を得ることができる薄膜パターン形成用マスクを提供する。
【解決手段】薄膜パターンの形成部分が開口部となっているマスクであって、該マスクを基板に接触させた状態で該マスクの開口部を介して薄膜のパターン化をおこなう薄膜パターン形成用マスクにおいて、該マスクの基板と接触する面のマスク開口部端から200μm以内の範囲には樹脂膜をパターンコーティグしないことを特徴とする薄膜パターン形成用マスク。
【選択図】図1
【解決手段】薄膜パターンの形成部分が開口部となっているマスクであって、該マスクを基板に接触させた状態で該マスクの開口部を介して薄膜のパターン化をおこなう薄膜パターン形成用マスクにおいて、該マスクの基板と接触する面のマスク開口部端から200μm以内の範囲には樹脂膜をパターンコーティグしないことを特徴とする薄膜パターン形成用マスク。
【選択図】図1
Description
本発明は、基板にパターンを形成するための薄膜パターン形成用マスクに関する。さらに述べるならば、本発明は、例えば液晶表示素子(LCD)などに利用されるカラーフィルタ上の透明薄膜をパターン化して成膜する際に好ましく用いられる薄膜パターン形成用マスクに関する。
カラーフィルタの製造工程は、ガラス等の透明基板上に真空成膜法等を用いてクロムを成膜した後、フォトレジストを塗布し、フォトマスクを配置して露光、現像、クロムエッチング、フォトレジスト剥離を行い、パターン状のブラック遮光層を形成する。特に最近では地球環境への影響を考慮して、有害なクロムを使用せず、遮光性樹脂をブラック遮光層として使用する樹脂ブラックマトリックス(BM)が開発・生産されている。また、ブラック遮光層を設けず、着色層を重ね合わせて遮光層を形成するタイプのカラーフィルタも開発・生産されている。次にブラック遮光層の上から、1色目の着色用有機高分子材料を塗布した後、フォトマスクを配置して露光し、その後現像を行い、1色目のカラーパターンを形成し、同様にして2色目以降のカラーパターンを形成する。最後に液晶駆動用の電極として用いられる透明薄膜層をカラーパターン上に形成する工程を経てカラーフィルタが完成する(必要に応じてカラーパターンと透明薄膜層の間に、画素の保護やカラーパターンの平坦化を目的とした有機高分子材料からなるオーバーコート層を形成する場合もある)。この透明薄膜には高い光線透過率と低い抵抗値が必要とされており、これらの点から好適な材料として酸化錫を添加した酸化インジウム(ITO)が広く利用されている。ITOの成膜方法としてはスパッタリング法、イオンプレーティング法、真空蒸着法などの各種成膜方法が知られているが、いずれも真空に近い減圧雰囲気下で基板を加熱することが必要であり、最近では比較的低温で高い光線透過率と低い抵抗値が得られるスパッタリング法によることが多い。
薄膜をパターン化する方法としては、成膜後にフォトリソ加工などを用いてパターン化するエッチング法や、成膜時にパターン形成部が開口部となっているマスクを使用して膜形成・パターン化を行うマスク成膜法が知られている。しかし前者のエッチング法ではフォトリソ工程を必要とするため工程が長く、コストが高くなるため、TFT用のカラーフィルタには使用しづらい欠点がある。そのため、一般的には後者の金属マスクを使用するマスク成膜法が採用されている。
マスク成膜では、基板と接する部分とは反対の部分(以下マスク表面と呼ぶ)にも薄膜が成膜されるため、マスクを繰り返し使用していくにつれマスク表面に薄膜が積層され、その積層膜が厚くなりすぎると膜剥がれが生じ、その剥がれた膜がパーティクルとなる欠点が存在する。そのため、マスク成膜では、定期的に新品マスクや積層した薄膜を薬品洗浄等により剥離したマスク(再生マスク)に交換する作業が必要である。
またマスク成膜を実施する場合、マスクと基板との間の段差が大きいと、この段差に薄膜が回り込んで成膜されるため、パターンの周辺部がボケてしまう。このボケはパターン精度を劣化させる要因であり、さらにパターンエッジがボケて視認しにくくなるために、パターンの精度、寸法の測定が困難になり、ひいてはパターン精度の管理が困難になる問題を発生させる。またこの回り込みによりパターン外に薄膜が形成されるため絶縁不良などの電気的な問題も発生する。これら問題を解決するためには、マスクと基板との段差を無くす、すなわちマスクと基板とを密着させることが重要になる。しかし基板とマスクとを段差無く完全に密着させた場合、前記薄膜のパターンボケは完全に防止することができるものの、マスクと基板とが接触した箇所において、マスクと基板との擦れによるキズが発生する。特にマスクの開口部周辺はカラーフィルタのブラックマトリックスの額縁部と重なり合うため、マスクの微妙なズレや摩擦によりブラックマトリックスへキズを生じやすく、ブラックマトリックス部の白ヌケ欠点を発生させカラーフィルタの品質低下を引き起こす。そのため従来、マスクの基板と接する面側(以下マスク裏面)の開口部近傍にスペーサを設けマスクとブラックマトリックスとの接触を防止したり、ブラックマトリックスとマスクとが接触する箇所のマスクをハーフエッチングしブラックマトリックスとマスクとの接触を最小限にするなどの対策がとられている。(例えば、特許文献1、特許文献2,特許文献3参照)
しかしながら近年の液晶表示装置のますますの高性能化・高精細化が進むにつれ額縁外の微少なキズや汚れも表示不良の原因となる問題が発生してきた。前記改善策によりマスクの開口部付近で発生するキズについてはある程度の抑制効果はあるものの、開口部以外の箇所つまりマスクにより完全に覆われている箇所についてはマスクと基板とが直接接触しているため、基板の脱着・搬送時や成膜時の基板への加熱によるマスクおよび基板の熱膨張時など、マスクと基板との接触または静電気に起因するキズが発生する。また従来のカラーフィルタにおいては、マスクと基板とが接触する箇所(薄膜を形成しない箇所)がキズの発生しにくいガラスであるカラーフィルタでは問題ないが、近年、液晶表示装置の高性能化・狭ギャップ化が進むにつれカラーフィルタにもより一層の平坦性が求められるようになり、従来ガラスであった画素外の薄膜を形成しない箇所にも画素内と同様にダミー画素としてブラックマトリックスや着色層、オーバーコート層の形成が要求されてきた。その結果マスクが接触する箇所も、堅くてキズの入りにくいガラス基板から、硬度の低い柔らかなキズの発生しやすい有機高分子膜へと変化し、それに伴い画素外でのキズの発生量も増加してきている。特にこれら有機高分子層へキズが発生した場合、キズにより剥離した有機高分子片がカラーフィルタの画素上に再付着しやすく、その再付着が突起異物や汚れとなり液晶表示装置の表示不良・歩留まりの低下を引き起こす問題が発生してきている。
しかしながら近年の液晶表示装置のますますの高性能化・高精細化が進むにつれ額縁外の微少なキズや汚れも表示不良の原因となる問題が発生してきた。前記改善策によりマスクの開口部付近で発生するキズについてはある程度の抑制効果はあるものの、開口部以外の箇所つまりマスクにより完全に覆われている箇所についてはマスクと基板とが直接接触しているため、基板の脱着・搬送時や成膜時の基板への加熱によるマスクおよび基板の熱膨張時など、マスクと基板との接触または静電気に起因するキズが発生する。また従来のカラーフィルタにおいては、マスクと基板とが接触する箇所(薄膜を形成しない箇所)がキズの発生しにくいガラスであるカラーフィルタでは問題ないが、近年、液晶表示装置の高性能化・狭ギャップ化が進むにつれカラーフィルタにもより一層の平坦性が求められるようになり、従来ガラスであった画素外の薄膜を形成しない箇所にも画素内と同様にダミー画素としてブラックマトリックスや着色層、オーバーコート層の形成が要求されてきた。その結果マスクが接触する箇所も、堅くてキズの入りにくいガラス基板から、硬度の低い柔らかなキズの発生しやすい有機高分子膜へと変化し、それに伴い画素外でのキズの発生量も増加してきている。特にこれら有機高分子層へキズが発生した場合、キズにより剥離した有機高分子片がカラーフィルタの画素上に再付着しやすく、その再付着が突起異物や汚れとなり液晶表示装置の表示不良・歩留まりの低下を引き起こす問題が発生してきている。
この問題を解決するため、マスクの基板と接する面側にマスク作製時のフォトレジストをそのまま残す、もしくは開口部に樹脂製のスペーサを設ける、もしくは開口部端に樹脂を塗布することによりマスクとブラックマトリックスとの接触を防止する方法が提案されている(例えば特許文献3、特許文献4参照)。しかしながらこの方法では、開口部端が樹脂で形成されており、成膜する膜のパターン形状が樹脂膜の形状に依存するため、成膜した薄膜のパターン形状が不均一になる問題がある。また後者のシート状樹脂を使用する場合は、シートとマスクとの密着力を高めることが難しく部分的にシートに浮きが生じボケが発生する問題がある。さらにマスクの開口部端に樹脂が塗布される場合は、開口部端に樹脂を均一に塗布することが難しく、部分的に樹脂が開口部側へとはみ出し、樹脂がはみ出した箇所は膜形成時の影となるため、同様にパターンの加工精度が安定しない問題がある。さらに両者に共通する問題点として樹脂からの脱ガスの影響がある。樹脂膜は、金属マスクと比較し成膜時の加熱や真空引きによりガスを発生しやすく、その発生したガスが成膜する薄膜中に取り込まれ、膜の品質に悪影響を与える。特に開口部端に樹脂層が存在する場合、開口部近傍つまり膜のパターン境界部の膜特性が膜のパターン中央部と大きく異なり、膜質の均一性が損なわれる問題が発生する。
一方、筆者らは基板と接触する側の面に凹凸を形成して基板とマスクとの接触面積を最小化する方法を提案している(特許文献5、参照)。この方法によりマスクと基板との接触面積をより少なく、キズが入りにくいように最適化することが可能であるが、前述したような近年のより一層のマスクと樹脂膜との接触増加に対して、完全にキズ発生を防止できるまでには至っていない。
特開平7−159982号公報
特開平5−11789号公報
特開平10−39289号公報
特開平9−143677号公報
特開2002−38254号公報
本発明の目的は、上記欠点を解消するために、マスクと基板とが接触する箇所、特にマスクと有機高分子層が接触する箇所でのキズの発生を防止し、液晶表示装置の表示不良・歩留まりの低下を防止することができる薄膜パターン形成用マスクを生産性、経済性を損なうことなく提供することである。
上記の目的を達成するために本発明は、以下の構成からなる。
1)基板上に薄膜をパターン形成するために用いる、前記基板と接触する面側に樹脂膜が形成された薄膜パターン形成用マスクであって、前記樹脂膜は、マスクの開口部端から200μm以内の範囲には形成されていないことを特徴とする薄膜パターン形成用マスク。
2)薄膜パターン形成用マスクのマスク開口部周辺は基板と接触しないように段差が形成されており、該段差部分には樹脂膜が形成されていることを特徴とする(1)に記載の薄膜パターン形成用マスク。
3)樹脂膜が、パターン状に形成されていることを特徴とする(1)または(2)の何れかに記載の薄膜パターン形成用マスク。
4)樹脂膜のパターンがストライプ状、格子状、またはドットマトリックス状であることを特徴とする(3)に記載の薄膜パターン形成用マスク。
5)樹脂膜が、スクリーン印刷法により形成されたものであることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の薄膜パターン形成用マスク。
6)樹脂膜が、少なくともポリイミド樹脂を含有することを特徴とする(1)〜(5)の何れかに記載の薄膜パターン形成用マスク。
7)樹脂膜の厚さが、10μm〜250μmであることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の薄膜パターン形成用マスク。
8)基板が、カラーフィルタ基板であることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の薄膜パターン形成用マスク。
1)基板上に薄膜をパターン形成するために用いる、前記基板と接触する面側に樹脂膜が形成された薄膜パターン形成用マスクであって、前記樹脂膜は、マスクの開口部端から200μm以内の範囲には形成されていないことを特徴とする薄膜パターン形成用マスク。
2)薄膜パターン形成用マスクのマスク開口部周辺は基板と接触しないように段差が形成されており、該段差部分には樹脂膜が形成されていることを特徴とする(1)に記載の薄膜パターン形成用マスク。
3)樹脂膜が、パターン状に形成されていることを特徴とする(1)または(2)の何れかに記載の薄膜パターン形成用マスク。
4)樹脂膜のパターンがストライプ状、格子状、またはドットマトリックス状であることを特徴とする(3)に記載の薄膜パターン形成用マスク。
5)樹脂膜が、スクリーン印刷法により形成されたものであることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の薄膜パターン形成用マスク。
6)樹脂膜が、少なくともポリイミド樹脂を含有することを特徴とする(1)〜(5)の何れかに記載の薄膜パターン形成用マスク。
7)樹脂膜の厚さが、10μm〜250μmであることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の薄膜パターン形成用マスク。
8)基板が、カラーフィルタ基板であることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の薄膜パターン形成用マスク。
本発明によれば、マスクと基板との接触によるキズ、汚れの発生を抑制し、カラーフィルタの保護膜の剥離に起因する液晶表示装置の表示不良の発生を防止し、かつ成膜する薄膜のパターン境界部での特性変化を防止し均一な膜特性を得られるという、優れた効果を得ることができる。
本発明で使用する基板は特に限定されないが、好ましくは、有機高分子膜が形成された基板が好ましく使用できる。有機高分子膜の材質は特に限定されず、180℃以上のアニール処理でも軟化、分解、着色を生じない材料を用いることができ、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、尿素樹脂、アクリル樹脂、ポリビニールアルコール樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、テトラフルオロエチレン樹脂、シリコーン樹脂およびこれらの混合物などが好ましく用いられる。これらの中でも耐熱性、密着性に優れているポリイミド樹脂、テトラフルオロエチレン樹脂またはシリコーン樹脂のいずれか、もしくはこれらの混合物よりなる樹脂膜が最も好ましい。具体的には、カラーフィルタ基板上に形成されたオーバーコートである。
本発明で使用する基板は、特に限定されず、光線透過率が高く、機械的強度、寸法安定性が優れたガラスが最適であるが、他にポリイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂などのプラスチック板も使用できる。
本発明で使用するマスクの材質は、特に限定されないが、基板と同一材質、すなわちガラスやプラスチック板が好ましい。また、取扱性、耐久性、加工性および熱膨張係数を配慮した金属も好ましく、タングステン、モリブデン、鉄、クロム、ニッケル、チタン、ステンレス、アルミニウム、42アロイなどの多くの金属もしくは合金の板から選定することができる。
本発明のマスクは、薄膜なかでも導電性の薄膜をパターン化して成膜するためのマスクとして使用できる。導電性の薄膜は、例えば酸化インジウム、酸化スズ、酸化インジウムと酸化スズの混合物(以下、ITOと称する)、金、銀、銅、アルミニウム、パラジウム、白金などの単体もしくは混合物、もしくは積層体からなり、厚みは10〜5000オングストロームのものが好ましい。
マスク成膜法においては、薄膜パターンの形成部分が開口部となっているマスクを基板に密着させマスク上より薄膜を成膜し薄膜のパターン化をおこなう。そのためマスクと基板とは密着させることが重要である。しかしカラーフィルタ上へ薄膜を成膜する場合、マスクの開口部周辺はカラーフィルタのブラックマトリックスの額縁部と重なり合うため、完全に密着させるとマスクの微妙なズレや摩擦によりブラックマトリックスへキズを生じ、白ヌケ欠点を発生させる原因となってしまう。そのため一般的にブラックマトリックス近傍に樹脂製のスペーサを設けたり、ブラックマトリックスとマスクとが接触する開口部端のマスクに段差を設け、ブラックマトリックスとマスクとの接触を最小限にするなどの対策がとられている。
しかしながら、液晶表示装置のますますの高性能化・高詳細化が進むにつれ額縁外の部分についてのキズや汚れも表示不良につながるようになってきた。特にカラーフィルタ上へ画素の保護およびカラーフィルタの平坦化などを目的としたオーバーコート層を形成した場合、基板の脱着や搬送時および成膜時の基板の加熱によるマスク・基板の熱膨張時にマスクと基板と擦れが発生し、その結果マスクと接触した額縁外のオーバーコート層の擦れにより多数のキズが入り、この削れたオーバーコート材が表示領域内へと付着し異物欠点となり、カラーフィルタおよび液晶表示装置製造工程における歩留まり低下に少なからずの影響を与えるという問題点が発生した。
これら問題点を解決するため本発明においては、マスクの基板と接する面側に樹脂層を形成する。この際、マスク成膜のパターン精度を確保するため、また樹脂膜からの脱ガスによる膜特性の変化を防止するため、さらにマスク開口部端より樹脂膜がはみ出すなどの不具合を避ける意味からも、本発明においてはマスクの開口部端から200μm以内には樹脂膜をコーティングしない。
この場合の樹脂膜は、特に限定はされないが透明薄膜形成時の加熱による劣化を防ぐために180℃以上の耐熱性を有することが好ましく、かつ真空中での成膜時に樹脂からの放出ガスの影響で光線透過率が低下したり抵抗値が悪くなったりする事を防止するため真空中での加熱においても脱ガスの少ない材料を選択することが好ましい。これらの点から、本発明に用いる樹脂としてはポリイミド樹脂、テトラフルオトエチレン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂またはシリコーン樹脂が好ましく用いられる。なかでも、使用温度が400℃と高く、真空中での加熱においても脱ガスの少ないポリイミド樹脂が特に好ましい。
樹脂膜の厚みは特に限定されないが、キズおよび放出ガスの防止の点から、5〜500μmの範囲が好ましく、10〜250μmが最も好ましい。5μmより薄いと十分にキズの発生を防止することができず、500μmよりも厚いと樹脂からの放出ガスの影響で光線透過率が低下したり、抵抗値が悪化したりするのに加え、基板とマスクとの間の段差が広くなり、パターン周辺部がボケてしまうため好ましくない。
樹脂のコーティング方法は特に限定されないが、樹脂膜のコーティング厚みが5〜500μmと厚く、コーティング位置精度は±50μmと高精度を要求しないため、コストが安くパターン加工がやりやすいスクリーン印刷法が最適である。スクリーン印刷法でマスク開口部端から200μm以内にはコーティングしない以外はマスク全面もしくは部分的にポリイミド樹脂をコーティングした後、加熱により硬化させる方法などが好適に用いられる。
マスク開口部端にカラーフィルタと接触しない段差のある形状を有する場合、その段差部分には樹脂膜をコーティングすることが好ましい。ただし、その場合でもマスクの開口部端から200μm以内には樹脂膜をコーティングしないことが好ましい。
またマスクの基板と接触する段差以外の部分にはマスク平面に対して凹凸を形成した樹脂層のパターンであり、例えばストライプ状または格子状またはドットマトリックス状に樹脂膜をコーティングすることで基板とマスクとの接触を最小限にすることもキズ防止のために必要である。また樹脂膜をパターン化し使用する樹脂量を最小限にすることも、樹脂膜からの脱ガスによる膜質への影響を最小限にするためにも好ましい。
薄膜の成膜方法も、特に限定はされず、マスクによるパターン化が可能な方法であればよく、真空蒸着法、CVD法、スパッタリング法など物理的・化学的な各種成膜方法が使用できる。またパターン化の際に基板とマスクを密着させる方法も限定されず、クリップ、スプリング、テープ、磁石による密着方法など任意の方法が採用できる。
次に説明図を用い、実施例に基づいて本発明を具体的に説明する。
実施例1
図1に示すように、厚み0.7mmの無アルカリガラス基板2(日本電気硝子製 OA−10 400mm×500mm)に樹脂系遮光剤によるブラックマトリックス50を加工し、その上にレッド51・グリーン52・ブルー53の3色のペーストをパターン化して積層し、さらにその上にアクリル製の保護膜であるオーバーコート層4をつけ、カラーフィルタ機能をもった積層複合基板を形成した。この基板2上にDCマグネトロンスパッタリング装置を用いてITO透明薄膜3を成膜した。ITO膜はITOパターンの形状部分が開口部となっているマスク1(42アロイ製、400mm×500mm×厚みa=0.25mmt)を基板全面に取り付けるマスク成膜法によりパターン化を行った。
実施例1
図1に示すように、厚み0.7mmの無アルカリガラス基板2(日本電気硝子製 OA−10 400mm×500mm)に樹脂系遮光剤によるブラックマトリックス50を加工し、その上にレッド51・グリーン52・ブルー53の3色のペーストをパターン化して積層し、さらにその上にアクリル製の保護膜であるオーバーコート層4をつけ、カラーフィルタ機能をもった積層複合基板を形成した。この基板2上にDCマグネトロンスパッタリング装置を用いてITO透明薄膜3を成膜した。ITO膜はITOパターンの形状部分が開口部となっているマスク1(42アロイ製、400mm×500mm×厚みa=0.25mmt)を基板全面に取り付けるマスク成膜法によりパターン化を行った。
このときマスク1の開口部エッジでは接触によるキズが発生しやすいためハーフエッチングによりマスク開口部の端部に段差(b=3.0mm、c=0.05mm)を設け、額縁部のブラックマトリックスとマスク開口部の端部が接触しないようにした。さらにマスク1の基板と接触する側の面に開口部端から1mm(g)の部分までポリイミド樹脂6(日立化成工業製 HL−P800)をスクリーン印刷法によりストライプ状に形成した。この時のポリイミド樹脂膜の厚み(d)は50μmであった。
このマスクを基板の表面に重ね合わせた後、基板裏側に内部に磁石(φ4mm×2mm、サマリウム・コバルト磁石)100個を入れた基板と同サイズのプレート(400×500×厚み5mm アルミニウム製 図示せず)を設置し、プレート内に設置した磁石の磁力によりマスクを基板側へと吸着しマスクと基板とを密着させたのち、ITO膜の成膜を行った。成膜条件は成膜時の基板温度240℃、酸素濃度0.5%、真空度0.4Paで行った。このようにして得た透明薄膜は透過率(λ=400〜700nmのY値)96%、表面電気抵抗値15Ω/□であった。次にこのITO成膜後のカラーフィルタの外観検査を行ったところ、マスク開口端部の段差部分にポリイミド樹脂膜が形成されているためブラックマトリックス部へのキズ、汚れの発生は無いのに加え、その他のポリイミド樹脂をストライブ状に形成したマスクと基板とが接触している箇所についてもキズ、汚れの発生は観察されず保護膜の剥離も全く発生しなかった。
実施例2
実施例1と同様のカラーフィルタ機能をもった積層複合基板2に、スパッタリングにてITO透明薄膜をパターン形成するマスク成膜において厚み0.25mmのSUS430製のマスク1を使用して実施例1と同様の方法でカラーフィルタ上へのITO膜の成膜をおこなった。このとき図2に示すように、マスクとブラックマトリックスとの接触によるキズの発生を防止するため、ハーフエッチングによりマスク開口部の端部に段差(b=3.0mm、c=0.05mm)を設け、額縁部のブラックマトリックスと接触しないようにした。さらにマスクの裏面全面にもハーフエッチングにより球状の突起を凸部として形成することで凹凸を形成した。この時ハーフエッジ量(柱状突起の高さ)はマスク開口部と同じ0.05mmとし、球部の円の直径は2mm、ピッチも2mmとした。これにより基板とマスクとの接触面積は、マスクの開口部を除く部分の面積の20%となった。次にマスク1の基板と接触する側の面に開口部端から0.3mm(g)までの部分以外と、マスク1の球状突起上(ドットマトリックス状)に実施例1と同様にスクリーン印刷法を用いてポリイミド樹脂のコーティングを行った。
実施例1と同様のカラーフィルタ機能をもった積層複合基板2に、スパッタリングにてITO透明薄膜をパターン形成するマスク成膜において厚み0.25mmのSUS430製のマスク1を使用して実施例1と同様の方法でカラーフィルタ上へのITO膜の成膜をおこなった。このとき図2に示すように、マスクとブラックマトリックスとの接触によるキズの発生を防止するため、ハーフエッチングによりマスク開口部の端部に段差(b=3.0mm、c=0.05mm)を設け、額縁部のブラックマトリックスと接触しないようにした。さらにマスクの裏面全面にもハーフエッチングにより球状の突起を凸部として形成することで凹凸を形成した。この時ハーフエッジ量(柱状突起の高さ)はマスク開口部と同じ0.05mmとし、球部の円の直径は2mm、ピッチも2mmとした。これにより基板とマスクとの接触面積は、マスクの開口部を除く部分の面積の20%となった。次にマスク1の基板と接触する側の面に開口部端から0.3mm(g)までの部分以外と、マスク1の球状突起上(ドットマトリックス状)に実施例1と同様にスクリーン印刷法を用いてポリイミド樹脂のコーティングを行った。
ポリイミド樹脂は基板と接触する凸部とその周辺部分にのみ形成し、そのときの厚み(d)は75μmであった。このマスクを基板の表面に重ね合わせてクリップで止めスパッタリング装置を用いて基板温度240℃、膜厚1400オングストロームのITO膜のスパッタリングを行ったところ前記実施例1と同じ特性のITO膜が得られた。この基板の外観検査を行ったところブラックマトリックス部へのキズ、汚れの発生が無いのに加え、マスクと基板とが接触している箇所についてもキズ、汚れの発生は観察されず、保護膜の剥離も全く発生しなかった。
比較例1
マスクの基板と接触する側の面、全面へポリイミドコーティングを行ったこと以外は、実施例1と同じ装置・条件によりカラーフィルタ基板へのITO膜のマスク成膜を行った。このITO成膜後のカラーフィルタの外観検査を行ったところ、額縁部のハーフエッジを形成した箇所にはキズの発生もなく良好なITOパターンが形成されたが、パターン境界部に樹脂がはみ出たことに起因するパターンの歪みが発生した。またこの時のITO膜の特性は、パターン中央部では実施例1と同様に透過率(λ=400〜700nmのY値)96%、表面電気抵抗値15Ω/□であったのに対し、パターン境界部近傍では透過率91%、電機抵抗値23Ω/□と特性が大幅に低下していた。
マスクの基板と接触する側の面、全面へポリイミドコーティングを行ったこと以外は、実施例1と同じ装置・条件によりカラーフィルタ基板へのITO膜のマスク成膜を行った。このITO成膜後のカラーフィルタの外観検査を行ったところ、額縁部のハーフエッジを形成した箇所にはキズの発生もなく良好なITOパターンが形成されたが、パターン境界部に樹脂がはみ出たことに起因するパターンの歪みが発生した。またこの時のITO膜の特性は、パターン中央部では実施例1と同様に透過率(λ=400〜700nmのY値)96%、表面電気抵抗値15Ω/□であったのに対し、パターン境界部近傍では透過率91%、電機抵抗値23Ω/□と特性が大幅に低下していた。
比較例2
マスクにポリイミドコーティングを行わなかったこと以外は、実施例2と同じカラーフィルタ基板およびマスクを用いてITO成膜を行った。このカラーフィルタの外観検査を行ったところ、ハーフエッチングにより球状の突起を凸部として形成することで凹凸を形成した凹部の箇所の外観は良好であったのに対し、ハーフエッチングを実施していない球状の突起の凸部の個所では、ガラスとマスクとの熱膨張の違いに起因すると思われるオーバーコートの剥がれや、その下に形成したブラックマトリックス層のピンホールが発生した。このカラーフィルタを用いて液晶表示装置を製作したところ、ブラックマトリックス層のピンホールに起因する光漏れ、動作不良などの表示欠点が発生した。
マスクにポリイミドコーティングを行わなかったこと以外は、実施例2と同じカラーフィルタ基板およびマスクを用いてITO成膜を行った。このカラーフィルタの外観検査を行ったところ、ハーフエッチングにより球状の突起を凸部として形成することで凹凸を形成した凹部の箇所の外観は良好であったのに対し、ハーフエッチングを実施していない球状の突起の凸部の個所では、ガラスとマスクとの熱膨張の違いに起因すると思われるオーバーコートの剥がれや、その下に形成したブラックマトリックス層のピンホールが発生した。このカラーフィルタを用いて液晶表示装置を製作したところ、ブラックマトリックス層のピンホールに起因する光漏れ、動作不良などの表示欠点が発生した。
比較例3
図2に示すマスクの基板と接触する側の面に開口端部から0.15mm(g)までの部分以外の部分にポリイミド樹脂コーティングを行った以外は、実施例2と同じ装置・条件によりカラーフィルタ基板へのITO膜のマスク成膜を行った。このITO成膜後のカラーフィルタの外観検査を行ったところ、ブラックマトリックス部へのキズ、汚れの発生が無いのに加え、マスクと基板とが接触している箇所についてもキズ、汚れの発生はは観察されず、保護膜の剥離も全く発生しなかった。しかし、この時のITO膜の特性は、パターン中央部では実施例1と同様に透過率(λ=400〜700nmのY値)96%、表面抵抗値15Ω/□であったのに対し、パターン境界部近傍では開口端部から0.15mm(g)の部分までポリイミド樹脂コーティングを行ったことによる樹脂からの脱ガスの悪影響を受け、透過率93%、電気抵抗値20Ω/□と特性が低下していた。
図2に示すマスクの基板と接触する側の面に開口端部から0.15mm(g)までの部分以外の部分にポリイミド樹脂コーティングを行った以外は、実施例2と同じ装置・条件によりカラーフィルタ基板へのITO膜のマスク成膜を行った。このITO成膜後のカラーフィルタの外観検査を行ったところ、ブラックマトリックス部へのキズ、汚れの発生が無いのに加え、マスクと基板とが接触している箇所についてもキズ、汚れの発生はは観察されず、保護膜の剥離も全く発生しなかった。しかし、この時のITO膜の特性は、パターン中央部では実施例1と同様に透過率(λ=400〜700nmのY値)96%、表面抵抗値15Ω/□であったのに対し、パターン境界部近傍では開口端部から0.15mm(g)の部分までポリイミド樹脂コーティングを行ったことによる樹脂からの脱ガスの悪影響を受け、透過率93%、電気抵抗値20Ω/□と特性が低下していた。
1:マスク
2:ガラス基板
3:透明導電薄膜
4:オーバーコート層
50:ブラックマトリックス
51,52,53:RGB各画素
6:ポリイミドコーティング層
a:マスク厚み
b:マスク開口端部にハーフエッチングで設けた段差の距離
c:マスク開口端部にハーフエッチングで設けた段差の高さ
d:ポリイミドコーティング層の厚み
e:透明導電膜の厚み
g:ポリイミドコーティング層のマスク開口端部からの距離
2:ガラス基板
3:透明導電薄膜
4:オーバーコート層
50:ブラックマトリックス
51,52,53:RGB各画素
6:ポリイミドコーティング層
a:マスク厚み
b:マスク開口端部にハーフエッチングで設けた段差の距離
c:マスク開口端部にハーフエッチングで設けた段差の高さ
d:ポリイミドコーティング層の厚み
e:透明導電膜の厚み
g:ポリイミドコーティング層のマスク開口端部からの距離
Claims (8)
- 基板上に薄膜をパターン形成するために用いる、前記基板と接触する面側に樹脂膜が形成された薄膜パターン形成用マスクであって、前記樹脂膜は、マスクの開口部端から200μm以内の範囲には形成されていないことを特徴とする薄膜パターン形成用マスク。
- 薄膜パターン形成用マスクのマスク開口部周辺は基板と接触しないように段差が形成されており、該段差部分には樹脂膜が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の薄膜パターン形成用マスク。
- 樹脂膜が、パターン状に形成されていることを特徴とする請求項1または2の何れかに記載の薄膜パターン形成用マスク。
- 樹脂膜のパターンが、ストライプ状、格子状、またはドットマトリックス状であることを特徴とする請求項3に記載の薄膜パターン形成用マスク。
- 樹脂膜が、スクリーン印刷法により形成されたものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の薄膜パターン形成用マスク。
- 樹脂膜が、少なくともポリイミド樹脂を含有することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の薄膜パターン形成用マスク。
- 樹脂膜の厚さが、10μm〜250μmであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の薄膜パターン形成用マスク。
- 基板が、カラーフィルタ基板であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の薄膜パターン形成用マスク。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003354875A JP2005120406A (ja) | 2003-10-15 | 2003-10-15 | 薄膜パターン形成用マスク |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003354875A JP2005120406A (ja) | 2003-10-15 | 2003-10-15 | 薄膜パターン形成用マスク |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005120406A true JP2005120406A (ja) | 2005-05-12 |
Family
ID=34612661
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2003354875A Pending JP2005120406A (ja) | 2003-10-15 | 2003-10-15 | 薄膜パターン形成用マスク |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005120406A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012097346A (ja) * | 2010-11-05 | 2012-05-24 | Achilles Corp | マスク治具 |
JP2014047379A (ja) * | 2012-08-30 | 2014-03-17 | Ulvac Japan Ltd | 成膜装置及び成膜用マスク |
-
2003
- 2003-10-15 JP JP2003354875A patent/JP2005120406A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2012097346A (ja) * | 2010-11-05 | 2012-05-24 | Achilles Corp | マスク治具 |
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