JP4468606B2 - 凹球面の加工装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、凹球面を創成する加工装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開平11−333702号公報には、レンズ等の被加工物に対して凹球面を加工する従来の装置が記載されている。図14、図15はこの加工装置を示す。
【0003】
図14に示すように、加工を施す側の工具軸部140が上方に、加工を施される側のワーク軸部141が下方に配置されている。工具軸部140は、図示を省略する架台上部に取り付けられたガイド121に沿って上下移動自在となっているとともに、この移動が定位置で固定されるようになっている。工具軸部140は、コントローラ120によって出カが制御される超音波発振器101と、超音波発振器101の下端に一体に設けられた軸体102と、軸体102の下端に固定されたホーン103とを備えており、ホーン103下端部には、鋼球からなる球状の工具104が配置される。
【0004】
ワーク軸部141は、被加工物であるレンズ105が接着によって固定される載置台106と、載置台106を支持するシリンダ107とを有する。シリンダ107は、工具104とレンズ105とが当接した状態で載置台106を上方に押圧して、工具軸部140方向に荷重をかけるようになっている。
【0005】
載置台106の上面には、マイクロメータ108が当接しており、レンズ105の球面創成加工に伴い、載置台106が上下方向に変位する変位量を測定する。
また、砥粒111としてダイヤモンド・パウダを水に分散させた加工液109を、工具104とレンズ105との当接部に滴下して供給するディスペンサ110が設けられている。
【0006】
図15に示すように、ホーン103の下端には、球状の工具104の形状を同じ曲率で反転した凹球面状の保持部103aが、ホーン103の軸心と同軸となるように形成されており、この保持部103a内に工具104が配置されることによって、工具104は転動自在に保持される。ホーン103は、下端に向かって先細りするテーパ状に形成されているため、超音波発振器101で発生した超音波を増幅して工具104に伝達することができる。また、ホーン103の保持部103aが工具104を同じ曲率で反転した形状になっているので、球状工具104の曲率中心とホーン103の軸心とが一致し、精度の良い加工が可能となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
図14〜図18は、以上の加工装置の問題点を示すものであり、図16は加工位置がずれた状態、図17は加工の進行方向が傾いた状態、図18(a)はレンズ105に創成された凹球面105aがずれた状態、図18(b)はレンズ105に創成された凹球面105aが楕円状に変形した状態を示す。
【0008】
図14に示すように、工具軸部140では、ガイド121に取り付けられた超音波発振器101と、球状工具104を保持するホーン103との間は軸体102を介して離れている。したがって、工具軸部140が撓んで、ホーン103がガイド121に取り付けられた超音波発振器101に対して、横方向に数十μm程度ずれることが可能である。このようにホーン103がずれた状態でレンズ105の球面創成加工を行うと、図16に示すように、創成された凹球面105aは所望の位置から数十μm程度ずれて形成される問題がある。図16において、鎖線が目的の位置であり、実際には実線で示すようにずれて加工が行われる。
【0009】
また、同一のホーン103を用いて複数回の球面創成加工を繰り返すと、凹球面状の保持部103aが摩耗していく。これにより、図17に示すように、凹球面状の保持部103aと球状工具104との間で曲率に差が生じ、工具104の横方向への移動規制が弱まる。この状態でレンズ105への球面創成加工を行うと、工具軸部140およびワーク軸部141の軸心に対して傾いて加工が進行する。すなわち、図17に示すように球状工具104による加工は、鎖線位置から実線位置に向かう矢印N方向に進行する。
【0010】
これにより、図18(a)に示すように、創成された凹球面105aが所望の位置からずれて形成されたり、図18(b)に示すように、凹球面105aの断面形状が楕円状になる問題がある。図18において、鎖線が目的の加工位置であり、実際の加工位置は実線のようにずれることとなる。
【0011】
以上のように工具軸部140が撓むまたはホーン103の保持部103aが摩耗するなどの理由で、ホーン103に保持された工具104が横方向に移動しやすい状態になると、レンズ105の球面創成加工中、工具104が横方向に大きく振動しながら凹球面105aの縁部に当接し、凹球面105aの縁部にバリ、カケなどの欠落が生じる問題がある。
【0012】
これに加えて、上述のように、レンズ105に創成された凹球面105aの位置が目的の位置からずれて形成された場合、レンズ105の完成品で凹球面105aの位置が目的位置となるように、後工程にてレンズ105の外周を研削加工する必要がある。このような外周研削加工を行う場合には、レンズ素材のうち研削代として廃棄される分が多くなり、また、工程が増えることによって手間、労力、時間などの各種コストが増える問題がある。
【0013】
本発明は、このような従来の問題点を鑑みてなされたものであり、凹球面の球面創成加工を行う際、凹球面が形成される位置がずれることを防止し、また、凹球面の断面形状が円形以外に形成されることを防止し、さらに凹球面の縁部にバリやカケなどの欠落が生じることを防止することが可能な凹球面の球面加工装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明の加工装置は、超音波振動する球状工具を被加工物に当接させて、球状工具を転写した凹球面を被加工物に創成する凹球面の加工装置において、前記球状工具に当接して加工中に球状工具が水平方向に移動することを制限する移動制限手段を有し、前記移動制限手段は、前記球状工具の側方に対して少なくとも3方から当接する当接面を有した移動制限部材であることを特徴とする。
【0015】
この発明では、移動制限手段である移動制限部材が、球状工具の側方に対して少なくとも3方から当接面を当接させて加工中における球状工具が水平方向に移動することを制限するため、球状工具が被加工物に対して位置ずれすることなく、加工が進行する。このため、球状工具を正確に転写した凹球面を被加工物に創成することができる。
【0016】
請求項2の発明は、超音波振動する球状工具を被加工物に当接させて、球状工具を転写した凹球面を被加工物に創成する凹球面の加工装置において、前記球状工具に当接して加工中に球状工具が水平方向に移動することを制限する移動制限手段を有し、前記移動制限手段は、前記球状工具が挿入されて該球状工具の水平方向への移動を制限する規制孔を上部に有し、前記被加工物を保持するワーク保持部材に取り付けられる略円筒状の移動制限治具であることを特徴とする。
【0017】
この発明では、移動制限治具の規制孔が球状工具の水平方向への移動を制限するため、球状工具が被加工物に対して位置ずれすることがなく、高精度の凹球面を被加工物に創成することができる。また、移動制限治具は被加工物を保持するワーク保持部材に取り付けることにより、移動制限治具を介して球状工具と被加工物との相対的な位置決めが行われる。このため、被加工物に対する球状工具の位置決めを簡単に行うことができる。
【0020】
請求項の発明は、請求項記載の凹球面の加工装置であって、前記移動規制治具に、被加工物の加工部位に加工液を供給する供給孔が形成されていることを特徴とする。
【0021】
この発明では、移動制限治具の供給孔から加工液を加工部位に供給するため、加工液の供給を確実に行うことができ、加工が円滑に進行する。
【0022】
請求項の発明は、請求項1〜のいずれかに記載の凹球面の加工装置であって、前記球状工具に超音波振動を伝達するホーンが当接しており、このホーンの当接面が平面状となっていることを特徴とする。
【0023】
このように、ホーンの当接面を平面状とすることにより、任意の位置でホーンが球状工具と当接することができると共に、ホーンの加工が簡単となる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示する実施の形態により具体的に説明する。なお、各実施の形態において、同一の部材には同一符号を付して対応させてある。
【0027】
(実施の形態1)
図1〜図5は本発明の実施の形態1であり、図1は加工装置の正面図、図2はその側面図、図3は加工部位の断面図、図4はその平面図、図5は球面創成加工の様子を示す断面図である。
【0028】
図1および図2に示すように、この加工装置では、ワーク軸部30が下方に、工具軸部31が上方に配置されて対向している。
【0029】
ワーク軸部30は、被加工物であるレンズ1を保持して固定するレンズ保持台10と、レンズ保持台10を支持する加圧シリンダ11とを有する。レンズ保持台10はワーク保持部材として機能するものである。加圧シリンダ11は、レンズ1と球状工具2とが当接した状態でレンズ保持台10を上方に押圧して、工具軸部31方向に荷重をかける加圧手段として作用する。
【0030】
レンズ保持台10の上面には、マイクロメータ12の測定軸部12aが当接しており、レンズ1の球面創成加工に伴い、レンズ保持台10が上下方向に変位する変位量を測定できるようになっている。このマイクロメータ12は、レンズ保持台10の変位量を測定する測定手段として作用する。
【0031】
工具軸部31は、図示を省略する架台上部に上下方向を向いて取り付けられたガイド20に沿って上下移動自在になっているとともに、この移動が定位置で固定されるようになっている。工具軸部31は、コントローラ21によって出力が制御される超音波発振器22と、超音波発振器22の下端に一体に設けられた軸体23とを備えている。
【0032】
軸体23の下端には、ホーン3が固定されている。ホーン3は、下端に向かって先細りするテーパ状に形成されており、これにより、超音波発振器22で発生した超音波を増幅して球状工具2に伝達することができる。ホーン3の下端部には、球状工具2を同じ曲率で反転させた凹球面状の保持部3aが形成されており、球状工具2は保持部3a内に配置されることによって、転動自在に保持される。
【0033】
また、図2に示すように、工具軸部31側には、砥粒としてのダイヤモンド・パウダを水に分散させた加工液6を、レンズ1と球状工具2との当接部に滴下して供給するディスペンサ7が設けられている。このディスぺンサ7は加工液6を供給する加工液供給手段として作用する。
【0034】
この実施の形態では、水平に且つ、ワーク軸部30および工具軸部31の中心軸に対する放射方向に向かって3本のガイド5が図示を省略する架台に対し、取り付けられている。それぞれのガイド5には、移動制限棒4が進退移動可能及び定位置で停止するように設けられている。それぞれのガイド5に設けられることにより、移動制限棒4はワーク軸部30および工具軸部31の中心軸に対する放射方向に配置されている。
【0035】
図3及び図4に示すように、3本の移動制限棒4は先端面が当接面4aとなっており、この当接面4aがレンズ1に当接した球状工具2の側方に対して3方から当接する。この当接によって、移動制限棒4は球状工具2を側方から挟み込み、これにより球状工具2の水平方向位置を決定する。従って、移動制限棒4は球状工具2の水平方向への移動を制限する移動制限部材(移動制限手段)を構成する。
【0036】
球状工具2が3本の移動制限棒4に挟み込まれた状態では、球状工具2と移動制限棒4との間に2μm程度の隙間を設け、球状工具2が転動自在に保持される。移動制限棒4が球状工具2の位置決めを行うと、工具軸部31はわずかに変形して、ホーン3の保持部3aの位置を球状工具2の位置に合わせる。
【0037】
上記構成によって球面創成加工を行う場合、レンズ1と球状工具2とを当接させた状態で、ディスペンサ7を通してその当接部に加工液6を供給する。また、球状工具2を側方から移動制限棒4で挟み込む。これによって、球状工具2はレンズ1上面の中心位置から半径3μm以内に位置決めされる。
【0038】
次に、加圧シリンダ11によってレンズ1を球状工具2に押圧するとともに、コントローラ21によって超音波発振器22を作動させ、軸体23とホーン3を介して、超音波振動を球状工具2に伝播させる。この超音波振動によって、球状工具2は微視的、瞬間的にレンズ1やホーン3との当接および離脱を繰り返し、介在する加工液6に含まれる砥粒がレンズ1を研削していく。
【0039】
この研削の際に、球状工具2は、ホーン3と移動制限棒4によって転動自在に保持されるとともに、レンズ1との間に介在する粘度の低い加工液6によって転動自在のため、超音波振動によって転動する。これらの挙動によって、図5に示すように球状工具2の形状を転写した凹球面1aがレンズ1に創成されていく。
【0040】
レンズ1の凹球面1aが創成されるのに伴い、加圧シリンダ11によって所定の荷重が負荷されているレンズ保持台10は上方へ変位する。マイクロメータ12でこの変位量を読み取り、所望の研削量に達したところで超音波発振器22からの超音波振動と加圧シリンダ11による荷重付加を停止させ、加工を終了する。
【0041】
その後、移動制限棒4を球状工具2から離れた位置へ待避させ、工具軸部31を上方へ待避させ、加工されたレンズ1をレンズ保持台10から取り外す。凹球面1aはレンズ1上面の中心から半径3μm以内の位置に創成され、凹球面の真球度が2μm以下に形成される。
【0042】
なお、球状工具2も加工液6の砥粒および超音波振動の働きで摩耗するが、転動することで各部の摩耗量が均一となる。したがって、球状工具2の曲率半径は変化していくものの、真球度が悪化することはない。
【0043】
このような実施の形態では、移動制限棒4によって球状工具2の水平方向位置が決められるので、レンズ1に創成される凹球面1aの水平方向の位置決めが高精度に行うことができる。また、これに伴い、凹球面1aの位置を所望位置に合わせることを目的として、後工程でレンズ1の外周研削加工を行う必要がなく、手間や労力などの各種コストを削減できる。
【0044】
また、移動制限棒4によって球状工具2の水平方向位置が決められるので、レンズ1に創成される凹球面1aの真球度を良好に保つことができる。また、レンズ1の凹球面1aの外周部にバリやカケなどの欠落が生じにくい効果がある。
【0045】
(実施の形態2)
図6及び図7は、実施の形態2であり、図6は加工装置の正面図、図7は加工部位の平面図を示す。
【0046】
この実施の形態では、移動制限部材(移動制限手段)として、3本の移動制限棒4に代えて、第1移動制限板50と第2移動制限板51を用いるものである。これらの第1移動制限板50と第2移動制限板51は、図7に示すように、ホーン3に保持され且つレンズ1に当接した球状工具2の側方に配置されている。
【0047】
図6に示すように、ガイド52とガイド53はそれぞれ、図示を省略する架台に水平に、ワーク軸部30および工具軸部31の中心軸に対する放射方向に、かつ、同一線上に取り付けられている。第1移動制限板50と第2移動制限板51はそれぞれ、ガイド52とガイド53に沿って進退移動自在であり、これらの移動が定位置で固定されるようになっている。
【0048】
図6に示すように、第1移動制限板50は、V字状に形成された2つの平面からなる第1当接面50aと第2当接面50bとを端部に有する。第2移動制限板51は、1つの平面である当接面51aを端部に有する。第1移動制限板50の第1当接面50a、第2当接面50b、第2移動制限板51の当接面51aによって球状工具2を側方から挟み込むことにより、球状工具2の水平方向位置が決定される。
【0049】
球状工具2が第1移動制限板50と第2移動制限板51とに挟み込まれた状態では、球状工具2と第1移動制限板50、第2移動制限板51との間に2μm程度の隙間を設け、球状工具2が転動自在に保持される。
【0050】
上記構成によって球面創成加工を行う場合、レンズ1と球状工具2とを当接させた状態で、ディスペンサ7を通してその当接部に加工液6を供給する。また、球状工具2を側方から第1移動制限板50と第2移動制限板51とで挟み込む。これによって、球状工具2はレンズ1上面の中心位置から半径3μm以内に位置決めされる。
【0051】
次に、加圧シリンダ11によってレンズ1を球状工具2に押圧するとともに、コントローラ21によって超音波発振器22を作動させ、軸体23とホーン3を介して、超音波振動を球状工具2に伝播させる。この超音波振動によって、球状工具2は微視的、瞬間的にレンズ1やホーン3との当接および離脱を繰り返し、介在する加工液6に含まれる砥粒がレンズ1を研削していく。また、球状工具2は、ホーン3、第1移動制限板50、第2移動制限板51によって転動自在に保持されるとともに、レンズ1との間に介在する粘度の低い加工液6によって転動自在なため、超音波振動によって転動する。これらの挙動によって、球状工具2の形状を転写した凹球面1aがレンズ1に創成されていく。
【0052】
レンズ1の凹球面1aが創成されるのに伴い、加圧シリンダ11によって所定の荷重が負荷されているレンズ保持台10は上方へ変位する。マイクロメータ12でこの変位量を読み取り、所望の研削量に達したところで超音波発振器22からの超音波振動と加圧シリンダ11による荷重付加を停止させ、加工を終了する。
【0053】
その後、第1移動制限板50と第2移動制限板51を球状工具2から離れた位置へ待避させ、工具軸部31を上方へ待避させ、加工されたレンズ1をレンズ保持台10から取り外す。レンズ1の凹球面1aはレンズ1上面の中心から半径3μm以内の位置に創成され、凹球面1aの真球度が2μm以下に形成される。
【0054】
なお、球状工具2も加工液6の砥粒および超音波振動の働きで摩耗するが、転動することで各部の摩耗量が均一となる。したがって、球状工具2の曲率半径は変化していくものの、真球度が悪化することはない。
【0055】
このような実施の形態では、球状工具2の移動を制限する移動制限手段において、位置を制御するべき対象が3本の移動制限棒から2つの移動制限板50,51に減少する。このため、球状工具の水平方向の位置決めをより簡易に行うことができる効果がある。その他の効果は実施の形態1と同様である。
【0056】
(実施の形態3)
図8及び図9は、本発明の実施の形態3であり、図8はその加工装置の正面図、図9は移動制限治具60の斜視図を示す。この実施の形態では、移動制限手段として、図9に示す移動制限治具60を用いるものである。
【0057】
図8に示すように、ワーク保持部材としてのワーク軸部30のレンズ保持台10は、上面中心部でレンズ1を保持して固定する。また、レンズ保持台10はその外側に同心円状の段部10a及び段部10aより低くなっているフランジ部10bを有し、この段部10a及びフランジ部10bによって移動制限治具60を保持し、固定する。
【0058】
移動制限治具60は略円筒状となっており、大径孔60aが下部に、小径孔60bが上部に形成されている。移動制限治具60の大径孔60aの直径は、レンズ保持台10の段部10aの直径より3μm程度大きいだけであり、これらを嵌合させることによって、移動制限治具60はレンズ保持台10上に固定される。このとき、レンズ保持台10上に保持されて固定されたレンズ1は、移動制限治具60の大径孔60aの内方に収まる。
【0059】
移動制限治具60の小径孔60bには、球状工具2が挿入され、この挿入によって球状工具2はレンズ1に当接する。この場合、小径孔60bの直径は、球状工具2の直径より3μm程度大きいだけであり、小径孔60bに球状工具2を挿入することにより、球状工具2は水平方向への移動が制限される。移動制限治具60の小径孔60b内に挿入された球状工具2は、小径孔60b内で転動自在であるものの、小径孔60bによって水平方向への移動を規制される。このため、小径孔60bは球状工具2の移動方向を制限する規制孔となっている。
【0060】
以上に加えて、移動制限治具60には、加工液の供給孔60cが形成されている。この供給孔60cは、小径孔60b側の底面から大径孔60a内へ貫通するように形成されるものであり、これにより、ディスペンサ7の先端部分が移動制限治具60の内部に進入可能となっている。ディスペンサ7は、図示を省略するガイド手段に沿って進退移動自在であり、移動制限治具60の供給孔60c内を通り、その先端部分がレンズ1と球状工具2との当接部である加工部位に接近することができる。
【0061】
上方に配置された工具軸部31のホーン3の下端部には、実施の形態1と同様に、球状工具2を同じ曲率で反転させた凹球面状の保持部3aが形成されている。球状工具2は、保持部3a内に配置されることによって、転動自在に保持される。
【0062】
上記構成によって球面創成加工を行う場合、レンズ1を保持し固定するレンズ保持台10に移動制限治具60を固定する。次に、球状工具2を移動制限治具60の小径孔60b内に挿入し、レンズ1に当接させる。これによって、球状工具2はレンズ1上面の中心位置から半径3μm以内に位置決めされる。
【0063】
次に、ディスぺンサ7を移動させ、移動制限治具60の供給孔60c内を通して、レンズ1と球状工具2との当接部に接近させ、この当接部(加工部位)に加工液6を供給する。
【0064】
その後、工具軸部31を移動させ、ホーン3の保持部3aを球状工具2に当接させる。次に、加圧シリンダ11によってレンズ1を球状工具2に押圧するとともに、コントローラ21によって超音波発振器22を作動させ、軸体23とホーン3を介して、超音波振動を球状工具2に伝播させる。この超音波振動によって、球状工具2は微視的、瞬間的にレンズ1やホーン3との当接および離脱を繰り返し、介在する加工液6に含まれる砥粒がレンズ1を研削していく。 球状工具2は、ホーン3、移動制限治具60によって転動自在に保持されるとともに、レンズ1との間に介在する粘度の低い加工液6によって転動自在なので、超音波振動によって転動する。これらの挙動によって、球状工具2の形状を転写した凹球面1aがレンズ1に創成されていく。
【0065】
レンズ1の凹球面1aが創成されるのに伴い、加圧シリンダ11によって所定の荷重負荷されているレンズ保持台10は上方へ変位する。マイクロメータ12でこの変位量を読み取り、所望の研削量に達したところで超音波発振器22からの超音波振動と加圧シリンダ11による荷重付加を停止させ、加工を終了する。その後、工具軸部31を上方へ待避させ、移動制限治具60を取り外し、加工されたレンズ1をレンズ保持台10から取り外す。
【0066】
凹球面1aはレンズ1上面の中心から半径3μm以内の位置に創成され、凹球面の真球度が2μm以下に形成される。なお、球状工具2も加工液6の砥粒および超音波振動の働きで磨耗するが、転動することで各部の摩耗量が均一となる。したがって、球状工具2の曲率半経は変化していくものの、真球度が悪化することはない。
【0067】
この実施の形態では、球状工具2の移動制限手段として、レンズ保持台10に固定される移動制限治具60を用いたため、移動制限棒4や移動制限板50,51のように位置を制御する必要がなく、球状工具2の水平方向の位置決めをより簡易に行うことができる。その他の効果は実施の形態1と同様である。
【0068】
(実施の形態4)
図10及び図11は、実施の形態4であり、図10は加工装置の正面図、図11は移動制限治具60を取り付けたレンズ保持皿70の断面図である。レンズ保持皿70は、移動制限治具60を保持するワーク保持部材となるものであり、図10に示すように、レンズ保持台71に取り付けられる。
【0069】
図11に示すように、レンズ保持皿70の上面中心部には窪み状の保持部70aが形成され、この保持部70aにレンズ1が接着によって固定される。窪み状の保持部70a外周部には、段部70bが同心円状に形成されている。この段部70bの直径は、移動制限治具60の大径部60aの直径より3μm程度小さい。また、レンズ保持皿70の下部には、保持部70a及び段部70bと同軸の略円柱状の胴部70cが形成されており、後述するように、この胴部70cがワーク保持台71に嵌合することによりワーク保持皿70がワーク保持台71に取り付けられる。
【0070】
レンズ保持皿70の段部70bには、移動制限治具60を配置し、さらに、球状工具2を移動制限治具60の小径孔(規制孔)60bに挿入し、レンズ1に当接させる。これによって、球状工具2はレンズ保持皿70上において水平方向の移動が規制される。
【0071】
図11に示すように、下方に位置するワーク軸部30は、レンズ保持皿70を保持し固定するワーク保持台71と、ワーク保持台71を支持する加圧シリンダ11とを有する。ワーク保持台71上面には、レンズ保持皿70の胴部70cと嵌合する直径の保持孔71aが形成され、保持孔71aにレンズ保持皿70が保持されて固定される。このとき、ワーク保持皿70の外周側のフランジ部70dはワーク保持台71の上面に支持される。
【0072】
レンズ保持皿70上にあるレンズ1及び移動制限治具60に保持された球状工具2に対し、上方から工具軸部31のホーン3を当接させる。加圧シリンダ11は、レンズ1と球状工具2とが当接した状態でワーク保持台71を上方に押圧して、工具軸部31方向に荷重をかけるように作用する。
【0073】
ワーク保持台71の上面には、図2と同様にマイクロメータ12が当接しており、レンズ1の球面創成加工に伴い、ワーク保持台71が上下方向に変位する変位量を測定できるようになっている。
【0074】
上記構成によって球面創成加工を行う場合、レンズ1を保持し固定するレンズ保持皿70に移動制限治具60を固定し、さらに、球状工具2を移動制限治具60の小径孔(規制孔)60b内に挿入し、レンズ1に当接させる。これによって、球状工具2は、レンズ保持皿70上において、レンズ1上面の中心位置から半径3μm以内に位置決めされる。次に、レンズ1、移動制限治具60、球状工具2が取り付けられたレンズ保持皿70をワーク保持台71上に配置する。
【0075】
その後、ディスペンサ7を移動させ、移動制限治具60の供給孔60c内を通して、レンズ1と球状工具2との当接部に接近させ、この当接部(加工部位)に加工液6を供給する。
【0076】
次に、工具軸部31を移動させ、ホーン3の保持部3aを球状工具2に当接させる。加圧シリンダ11によってレンズ1を球状工具2に押圧するとともに、コントローラ21によって超音波発振器22を作動させ、軸体23とホーン3を介して、超音波振動を球状工具2に伝播させる。この超音波振動によって、球状工具2は微視的、瞬間的にレンズ1やホーン3との当接および離脱を繰り返し、介在する加工液6に含まれる砥粒がレンズ1を研削していく。
【0077】
また、球状工具2は、ホーン3、移動制限治具60によって転動自在に保持されるとともに、レンズ1との間に介在する粘度の低い加工液6によって転動自在なので、超音波振動によって転動する。これらの挙動によって、球状工具2の形状を転写した凹球面1aがレンズ1に創成されていく。
【0078】
レンズ1の凹球面1aが創成されるのに伴い、加圧シリンダ11によって所定の荷重が負荷されているワーク保持台71は上方へ変位する。マイクロメータ12でこの変位量を読み取り、所望の研削量に達したところで超音波発振器22からの超音波振動と加圧シリンダ11による荷重付加を停止させ、加工を終了する。
【0079】
工具軸部31を上方へ待避させ、レンズ保持皿70を取り外す。さらに、レンズ保持皿70から移動制限治具60を取り外す。レンズ1は、レンズ保持皿70に固定されたまま、後工程で研磨加工などが施される。
【0080】
凹球面1aはレンズ1上面の中心から半径3μm以内の位置に創成され、凹球面の真球度が2μm以下に形成される。
【0081】
この実施の形態では、球状工具2の移動制限手段として、レンズを固定し保持するレンズ保持部材としてのレンズ保持皿70に移動制限治具60と球状工具2を取り付けるため、これらを取り付ける作業を加工装置の外で行うことができ、被加工物であるレンズ1が加工装置内に滞留する時間を削減することができる。
【0082】
また、レンズ1がレンズ保持皿70に固定・保持された状態で加工を行うため、作業者や加工装置の把持具などが直接、レンズ1に接触する必要がなく、レンズ1の破損を防ぐことができる。また、レンズ1が小型である場合にも、レンズ単体を扱うことによって、レンズの紛失を防ぐことができる。さらにレンズ1を固定するレンズ保持皿70が移動制限治具60を保持する構造のため、移動制限棒や移動制限板のように位置を制御する必要がなく、球状工具2の水平方向の位置決めをより簡易に行うことができる。その他の効果は実施の形態3と同様である。
【0083】
(実施の形態5)
図12は実施の形態5の断面図を示す。
【0084】
図12に示すように、被加工物であるレンズ1は、下方に配置されたワーク軸部30のレンズ保持台10に保持されることにより固定されている。工具軸部31のホーン80の下端面には、平面状の当接面80aとなっており、この当接面80aが球状工具2に当接している。
【0085】
レンズ1とホーン80とに当接した球状工具2の側方には、図4と同様に、ワーク軸部30および工具軸部の中心軸に対する放射方向に進退移動自在の3本の移動制限棒4が当接し、球状工具2の水平方向位置を決定している。球状工具2が3本の移動制限棒4に挟み込まれた状態では、球状工具2と移動制限棒4との間に2μm程度の隙間を設け、球状工具2が転動自在に保持される。移動制限棒4は球状工具2の水平方向への移動制限手段として作用する。
【0086】
この構成では、加圧シリンダ11によってレンズ1を球状工具2に押圧するとともに、コントローラ21によって超音波発振器22を作動させ、軸体23とホーン80を介して、超音波振動を球状工具2に伝播させる。この超音波振動によって、球状工具2は微視的、瞬間的にレンズ1やホーン3との当接および離脱を繰り返し、介在する加工液6に含まれる砥粒がレンズ1を研削していく。
【0087】
また、球状工具2は、ホーン80と移動制限棒4によって転動自在に保持されるとともに、レンズ1との間に介在する粘度の低い加工液6によって転動自在となっているため、超音波振動によって転動する。これらの挙動によって、球状工具2の形状を転写した凹球面1aがレンズ1に創成されていく。
【0088】
この実施の形態では、球状工具2に当接するホーン80下端部の当接面80aが平面状となっており、これにより、加工当初において、球状工具2と当接面80aが点接触で接触する。そして、レンズ1の加工と同時に、ホーン80の当接面80aの球面創成加工も進行して凹球面が形成される。この場合、同じホーン80を用いて複数回の加工を行う場合は、ホーン80の当接面80aに創成された凹球面が、レンズ1の凹球面1aの所望位置に対して偏心していないことと、ホーン80の当接面80aに創成された凹球面が深すぎないことが条件となる。
【0089】
このような実施の形態では、ホーン80の当接面80aに球状工具2を反転した凹球面形状を形成することがないので、ホーン80の製作に要する手間や労力を低減することができる。また、これに伴い、ホーンを多数個準備して、ホーンの交換頻度を増やすことが容易となる。
【0090】
凹球面状の保持部を有するホーンでは、ホーンに保持された球状工具の水平方向位置が移動制限手段によって決められるので、ホーンを有する工具軸部と球状工具とで水平方向位置が異なる場合、工具軸部に変形が生じる可能性がある。これに対し、この実施の形態では、球状工具2に当接するホーン80の当接面80aが平面状となっていることにより、ホーン80が球状工具2の水平方向の位置決め機能を持たないため、工具軸部の変形を防ぐことができる。また、球状工具2はホーン80の当接面80aに対し、任意の位置で当接可能であるため、ホーン80を有する工具軸部31は高い精度で位置決めをする必要がなくなる。その他の効果は実施の形態1と同様である。
【0091】
(実施の形態6)
図13は、本発明の実施の形態6の加工装置の正面図を示す。
【0092】
図13に示すように、被加工物であるレンズ1は、下方に配置されたワーク軸部30のレンズ保持台10に保持されて固定されている。レンズ保持台10は図示を省略する架台に固定されている。
【0093】
上方に配置された工具軸部31のホーン3の下端部には、図3に示すように、球状工具2を同じ曲率で反転させた凹球面状の保持部3aが形成されている。球状工具2は、この保持部3a内に配置されることによって、転動自在に保持される。
【0094】
ホーン3に保持され、かつ、レンズ1に当接した球状工具2の側方には、図4に示すように、ワーク軸部30および工具軸部の中心軸に対する放射方向に進退移動自在の3本の移動制限棒4が当接し、球状工具2の水平方向位置を決定している。球状工具2が3本の移動制限棒4に挟み込まれた状態では、球状工具2と移動制限棒4との間に2μm程度の隙間を設け、球状工具2が転動自在に保持される。移動制限棒4は実施の形態1と同様に、球状工具2の水平方向への移動制限手投として作用する。
【0095】
工具軸部31は、図示を省略する架台上部に取り付けられたガイド20に沿って上下移動自在になっている。また、工具軸部31は、架台上部に取り付けられたモータ90の駆動軸90aに接続したボールネジ91と螺合している。従って、モータ90が駆動することにより、工具軸部31の全体が上下方向に移動するようになっている。なお、この実施の形態では、工具軸部31の超音波発振器22の上部がボールネジ91と螺合するものである。
【0096】
モータ90はモータコントローラ92によって駆動が制御されており、モータコントローラ92がモータ90を制御することによって工具軸部31の移動量、すなわち下方向へ付加する荷重を設定することができる。従って、モータ90は、レンズ1と球状工具2とが当接した状態でホーン3を下方に押圧して、ワーク軸部30方向に荷重をかける加圧手段として作用する。これに加えて、モータ90およびモータコントローラ92は、工具軸部31の変位量を測定する測定手段としても作用する。
【0097】
工具軸部31は、モータコントローラ21によって出力が制御される超音波発振器22と、超音波発振器22の下端に一体に設けられた軸体23とを備え、ホーン3が軸体23の下端に固定されている。ホーン103は、下端に向かって先細りするテーパ状に形成されており、これにより、超音波発振器22で発生した超音波を増幅して球状工具2に伝達することができる。
【0098】
この実施の形態においても、実施の形態1と同様に、3本のガイド5及び3本の移動制限帽4が配置されている。3本のガイド5はそれぞれ、図示を省略する架台に水平に、かつ、ワーク軸部30および工具軸部の中心軸に対する放射方向に取り付けられている。3本の移動制限棒4はそれぞれ、球状工具2の側方に位置し、ガイド5に沿って進退移動自在であると共に、この移動が定位置で固定されるようになっている。これらの移動制限棒4は球状工具2を側方から挟み込むことができ、球状工具2が水平方向に移動することを規制する移動制限手段として作用する。
【0099】
なお、図示を省略するが、ディスペンサ7が設けられており、砥粒としてダイヤモンド・パウダを水に分散させた加工液6をレンズ1と球状工具2との当接部に滴下して供給するようになっている。
【0100】
上記構成によって凹球面の創成加工を行う場合、レンズ1と球状工具2とを当接させた状態で、ディスペンサ7を通してその当接部位に加工液6を供給する。また、球状工具2を側方から移動制限棒4で挟み込む。これによって、球状工具2はレンズ1上面の中心位置から半径3μm以内に位置決めされる。
【0101】
次に、モータコントローラ92によってモータ90を作動させ、ホーン3が保持する球状工具2をレンズ1に押圧するとともに、コントローラ21によって超音波発振器22を作動させ、軸体23とホーン3を介して、超音波振動を球状工具2に伝播させる。
【0102】
この超音波振動によって、球状工具2は微視的、瞬間的にレンズ1やホーン3との当接および離脱を繰り返し、介在する加工液6に含まれる砥粒がレンズ1を研削していく。また、球状工具2は、ホーン3と移動制限棒4によって転動自在に保持されるとともに、レンズ1との間に介在する粘度の低い加工液6によって転動自在となっているため、超音波振動によって転動する。これらの挙動によって、球状工具2の形状を転写した凹球面1aがレンズ1に創成されていく。
【0103】
レンズ1の凹球面1aが創成されるのに伴い、モータ90によって所定の荷重が負荷されている工具軸部31は下方へ変位する。モータコントローラ92はこの変位量を計測しており、所望の研削量に達した時点で超音波発振器22からの超音波振動と加圧シリンダ11による荷重付加を停止させ、加工を終了する。
【0104】
その後、移動制限棒4を球状工具2から離れた位置へ待避させ、工具軸部31を上方へ待避させ、加工されたレンズ1をレンズ保持台10から取り外す。凹球面1aはレンズ1上面の中心から半径3μm以内の位置に創成され、凹球面の真球度が2μm以下に形成される。
【0105】
なお、球状工具2も加工液6の砥粒および超音波振動の作用で摩耗するが、転動することにより各部の摩耗量が均一となる。従って、球状工具2の曲率半径は変化していくものの、真球度が悪化することはない。
【0106】
このような実施の形態では、加工の上下方向位置を設定する際、ワーク軸部30と工具軸部31の双方を変位させる方式ではなく、工具軸部31のみを変位する方式としているため、加工時における操作対象が少なくなり、操作が容易となる効果がある。その他の効果は実施の形態1と同様である。
【0107】
本発明は以上の実施の形態に限定されることなく、種々変形が可能である。例えば、発明の実施の形態1〜6において、被加工物は円柱状のレンズ1を用いているが、凹球面が創成される他の形状或いは他の材料であっても良い。
【0108】
実施の形態1〜6において、移動制限手段が球状工具2の側面に3点で当接、または円周状に当接しているが、水平方向への移動を規制しながら保持できる構造であれば、その他の構成としても良い。
【0109】
実施の形態1〜6において、円柱状のレンズ1の上面中心に凹球面を創成しているが、移動制限手段による球状工具2の位置設定を変えることにより、レンズ上面の任意の位置に凹球面を創成することができる。
【0110】
実施の形態1〜5において、加圧手段として、ワーク軸部の加圧シリンダを用いたが、加工中に所定の荷重を付加できるものであれば、他の手段を用いても良い。
【0111】
実施の形態6において、工具軸部31の加圧手段として、モータ90を用いたが、加工中に所定の荷重を付加できるものであれば、シリンダ等の他の手段を用いても良い。
【0112】
発明の実施の形態1〜5において、加工量の測定手段としてマイクロメータ12を用いたが、高精度に加工量を測定できるものであれば、他の手段を用いても良い。
【0113】
さらに、以上の実施の形態1〜6で示された複数の構成要素を組み合わせても良い。
【0114】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、移動制限手段が加工中における球状工具に3方から当接して水平方向の移動を制限するため、球状工具が被加工物に対して位置ずれすることなく、加工が進行する。このため、球状工具を正確に転写した凹球面を被加工物に高精度に創成することができる。また、移動制限手段が球状工具の水平方向位置を決定するため、ワーク軸部と工具軸部との水平方向の相対位置を高精度に設定する必要がなくなる。さらに、凹球面を所望の位置に創成することができるため、凹球面の位置を所望位置に合わせるための後工程での被加工物の外周研削加工を行う必要がなく、手間や労力などを削減することができる。さらに、また、加工中、移動制限手段が所望の方向以外への球状工具の移動を規制するため、被加工物に創成される凹球面の真球度を良好に保つことができ、また、さらに被加工物の凹球面外周部にバリやカケなどの欠落が生じにくくなる。
【0115】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明と同様な効果を有するのに加えて、移動制限治具の規制孔が球状工具の水平方向への移動を制限するため、高精度の凹球面を被加工物に創成することができ、また、移動制限治具が被加工物を保持するワーク保持部材に取り付けられるため、被加工物に対する球状工具の位置決めを簡単に行うことができる。
【0116】
請求項3の発明によれば、請求項1の発明と同様な効果を有するのに加えて、移動制限治具の規制孔が球状工具の進行方向を制限するため、高精度の凹球面を被加工物に創成することができ、また、移動制限治具が被加工物を保持するワーク保持部材に取り付けられるため、被加工物に対する球状工具の位置決めを簡単に行うことができる。
【0117】
請求項の発明によれば、請求項の発明と同様な効果を有するのに加えて、移動制限治具の供給孔から加工液を加工部位に供給できるため、加工液が確実に供給され、加工が円滑に進行する。
【0118】
請求項の発明によれば、請求項1〜の発明と同様な効果を有するのに加えて、ホーンの当接面が平面状となっているため、任意の位置でホーンが球状工具と当接することができ、しかも、ホーンの加工が簡単となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1の加工装置の正面図である。
【図2】実施の形態1の加工装置の側面図である。
【図3】実施の形態1における加工部位の断面図である。
【図4】実施の形態1における加工部位の平面図である。
【図5】実施の形態1における加工時の断面図である。
【図6】実施の形態2の加工装置の正面図である。
【図7】実施の形態2における加工部位の平面図である。
【図8】実施の形態3の加工装置の正面図である。
【図9】実施の形態3における移動制限治具の斜視図である。
【図10】実施の形態4の加工装置の正面図である。
【図11】実施の形態4における移動制限治具の取り付け状態の断面図である。
【図12】実施の形態5の加工部位の断面図である。
【図13】実施の形態6の加工装置の正面図である。
【図14】従来の加工装置の正面図である。
【図15】従来の加工装置の加工部位の断面図である。
【図16】従来の加工によって加工位置がずれた状態を示す断面図である。
【図17】従来の加工によって進行方向が傾いた状態を示す断面図である。
【図18】(a)及び(b)は、従来の加工によって、凹球面が変形した状態を示す平面図である。
【符号の説明】
1 レンズ
1a 凹球面
2 球状工具
3 ホーン
4 移動制限棒
4a 当接面
50 第1移動制限板
51 第2移動制限板
50a、50b、51a 当接面
60 移動制限治具
60b 規制孔
60c 供給孔

Claims (4)

  1. 超音波振動する球状工具を被加工物に当接させて、球状工具を転写した凹球面を被加工物に創成する凹球面の加工装置において、
    前記球状工具に当接して加工中に球状工具が水平方向に移動することを制限する移動制限手段を有し
    前記移動制限手段は、前記球状工具の側方に対して少なくとも3方から当接する当接面を有した移動制限部材であることを特徴とする、凹球面の加工装置。
  2. 超音波振動する球状工具を被加工物に当接させて、球状工具を転写した凹球面を被加工物に創成する凹球面の加工装置において、
    前記球状工具に当接して加工中に球状工具が水平方向に移動することを制限する移動制限手段を有し、
    前記移動制限手段は、前記球状工具が挿入されて該球状工具の水平方向への移動を制限する規制孔を上部に有し、前記被加工物を保持するワーク保持部材に取り付けられる略円筒状の移動制限治具であることを特徴とする、凹球面の加工装置。
  3. 前記移動制限治具に、被加工物の加工部位に加工液を供給する供給孔が形成されていることを特徴とする、請求項記載の凹球面の加工装置。
  4. 前記球状工具に超音波振動を伝達するホーンが当接しており、このホーンの当接面が平面状となっていることを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載の凹球面の加工装置。
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