JP4466460B2 - ケガキ治具 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真感光体用基体のケガキ治具に関する。
電子写真技術は、即時性、高品質かつ保存性の高い画像が得られることなどから、近年では複写機の分野にとどまらず、各種プリンターやファクシミリの分野でも広く使われ、大きな広がりをみせている。この電子写真プロセスは基本的に、電子写真感光体(以下適宜、単に「感光体」という)の帯電、像露光による静電潜像の形成、該潜像のトナーによる現像、該トナー像の紙への転写(中間に転写体を経由する場合もある)および定着による画像形成プロセスから成り立っている。
電子写真技術の中核となる感光体は、通常、アルミニウム等の導体で形成された円筒形状の感光体(円筒基体)に電荷発生層、電荷輸送層等の感光層を形成すると共に、その両端にフランジを装着して用いられている。また、感光層で発生した電荷が円筒基体に抜けて画像不良が生じる現象を防止するため、感光体の表面には、陽極酸化してアルマイト処理層を形成したり、塗料を塗布したりして絶縁層が形成され、これにより、感光体は不導体化して用いられている。
しかし、円筒基体の陽極酸化は円筒基体を電解槽に浸漬して行なわれるため、円筒基体の外周面のみならず内周面にもアルマイト処理層が形成される。このため、円筒基体にフランジを取り付けて円筒基体とフランジとを電気的に接続することで円筒基体を設置させようとしても、円筒基体とフランジとの間がアルマイト処理層により絶縁されて円筒基体が接地できず、浮動状態となって、感光層の帯電化の不良、露光時の電荷の輸送不良が生じ、鮮明な画像が得られなくなることがあった。また、塗料を塗布してバリヤー層を形成する場合においても、浸漬法によるときは円筒体内周面が不導体化されることがあった。
このため、従来は、円筒基体の少なくとも一端の内周側のフランジ装着部付近のアルマイト処理層を除去し、円筒基体と装着されるフランジとを電気的に接続したり、円筒基体の両端に装着されるフランジの少なくとも一方にフランジの外周に突出する金属片(アース板)を取り付けて、フランジの装着時にアルマイト処理層を破って円筒基体とフランジとを電気的に接続することが行なわれていた(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、アース板付きのフランジは、コスト高となってしまうため、近年はアース板をつけない導電性材料を用いたフランジを使用して、円筒基体とフランジとを電気的に接続することが多くなってきている。
導電性材料を用いたフランジを使用するためには、円筒基体内側面のアルマイト処理層を除去する必要があり、それを実現する方法として、化学的にアルマイト処理層を除去する方法(例えば、特許文献2参照)や、レーザーによりアルマイト処理層を除去する方法(例えば、特許文献3参照)が提案されていた。また、金属針等でアルマイト処理層を傷つけてフランジとの接地をしやすくする方法も提案されていた。
実開昭51−73042号公報 特開平4−57060号公報 特開平6−124053号公報
しかし、特許文献2や特許文献3に記載の方法では、設備投資がかかり、また、設備も大掛かりにならざるをえないため、メンテナンス等の諸費用も含めてコスト高となっていた。
一方、金属針等でアルマイト処理層を傷つけてフランジとの接地をしやすくする方法は、非常に単純で簡便であるが、感光体の下端側に傷をつけようとした場合には感光体を上下逆さにしてから傷をつけるしかないため、生産性を大幅に低下せしめていた。
本発明は上記の課題に鑑みて創案されたもので、コストを抑制しつつ生産性を高めることが可能な、電子写真感光体用基体用のケガキ治具を提供することを目的とする。
本発明の発明者は、上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、電子写真感光体用基体の軸方向一端に当接して電子写真感光体用基体を軸方向に支持しうる端部支持部と、電子写真感光体用基体の側面に形成された絶縁層の少なくとも一部を削り取りうる削り部とを備え、端部支持部と削り部との軸方向への相対位置が可変となっているケガキ治具を用いることにより、高価な装置を用いることなく、安定的、経済的、かつ高い生産性で、電子写真感光体用基体の表面の絶縁層を除去することができることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明の要旨は、表面を絶縁層で覆われた、導体からなる筒状の電子写真感光体用基体の上記絶縁層の少なくとも一部を除去するためのケガキ治具であって、上記電子写真感光体用基体の軸方向一端に当接して上記電子写真感光体用基体を軸方向に支持しうる端部支持部と、上記電子写真感光体用基体の側面に形成された絶縁層の少なくとも一部を削り取りうる削り部とを備え、該端部支持部と該削り部との、上記電子写真感光体用基体の軸方向への相対位置が可変となっているとともに、該削り部は、上記電子写真感光体用基体に内嵌して上記電子写真感光体用基体の内側面の絶縁層を除去しうることを特徴とする、ケガキ治具に存する(請求項1)。
このとき、該削り部は、該内側面の絶縁層を上記電子写真感光体用基体の軸方向に沿って削り取るように設けられていることが好ましい(請求項2)。
さらに、該端部支持部は、上記電子写真感光体用基体の軸方向へ可動に設けられていることが好ましい(請求項3)。
また、上記のケガキ治具は、該端部支持部を、上記電子写真感光体用基体の軸方向へ弾性的に支持する弾性支持部を備えることが好ましい(請求項4)。
さらに、上記のケガキ治具は、上記電子写真感光体用基体に内嵌して上記電子写真感光体用基体を径方向に支持しうる内嵌支持部を備えることが好ましい(請求項5)。
本発明のケガキ治具によれば、表面の絶縁層の少なくとも一部を除去した電子写真感光体用基体を、コストを抑制しつつ生産性を高めて製造することが可能となる。
以下、本発明の一実施形態について説明するが、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変形して実施することができる。なお、以下の説明において、適宜、電子写真感光体を「感光体」といい、電子写真感光体用基体を「感光体用基体」という。
[1.感光体用基体]
先ず、本実施形態のケガキ治具を用いてケガキ処理を行なう対象である感光体用基体について説明する。
感光体用基体は、導体により形成され、その表面は絶縁層で覆われている。感光体用基体を形成する導体に制限は無いが、例えば、金属単体や合金などが挙げられる。中でも、通常は、アルミニウムや、JIS H4100−1999に記載されるA1050、A3003、A6063等のアルミニウムの合金が用いられる。
また、感光体表面に形成された絶縁層にも制限は無い。例えば、導体で形成された感光体用基体の表面がアルマイト処理されることによって形成されたアルマイト処理層、絶縁性の材料で形成された下引き層、或いは、これらのアルマイト処理層及び下引き層を組み合わせた層などにより絶縁層は形成される。なお、通常、絶縁層の厚みは2μm〜20μmの範囲で形成される。
以下、上記のアルマイト処理層及び下引き層について、それぞれ説明する。
アルマイト処理層は、通常、感光体用基体の表面に陽極酸化処理を施すことにより形成される。また、陽極酸化処理を施した場合、通常は、公知の方法により感光体用基体には封孔処理が施される。したがって、アルマイト処理層は、通常、感光体用基体の表面にアルマイト処理として陽極酸化処理と封孔処理とを施されることにより形成される。
陽極酸化処理では、例えば、クロム酸、硫酸、シュウ酸、ホウ酸、スルファミン酸等の酸性浴中で、陽極酸化処理をすることにより感光体用基体表面に陽極酸化被膜が形成されるが、硫酸中での陽極酸化処理がより良好な結果を与える。硫酸中での陽極酸化の場合、硫酸濃度は100〜300g/L、溶存アルミニウム濃度は2〜15g/L、液温は15〜30℃、電解電圧は10〜20V、電流密度は0.5〜2A/dm2の範囲内に設定されるのが好ましいが、前記条件に限定されるものではない。
このようにして形成された陽極酸化被膜をそのままアルマイト処理層として用いてもよいが、上記の陽極酸化被膜に対して、通常は、封孔処理を行なうようにする。封孔処理は、公知の方法で行なえば良いが、例えば、主成分としてフッ化ニッケルを含有する水溶液中に浸漬させる低温封孔処理、あるいは主成分として酢酸ニッケルを含有する水溶液中に浸漬させる高温封孔処理を施すのが好ましい。
上記低温封孔処理の場合に使用されるフッ化ニッケル水溶液濃度は、適宜選べるが、3〜6g/Lの範囲で使用された場合、より好ましい結果が得られる。また、封孔処理をスムーズに進めるために、処理温度としては、通常25℃以上、好ましくは30℃以上、また、通常40℃以下、好ましくは35℃以下の範囲で、また、フッ化ニッケル水溶液pHは、通常4.5以上、好ましくは5.5以上、また、通常6.5以下、好ましくは6.0以下の範囲で処理するのがよい。pH調節剤としては、シュウ酸、ホウ酸、ギ酸、酢酸、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム、アンモニア水等を用いることができる。さらに、処理時間は、被膜の膜厚1μmあたり1〜3分の範囲で処理することが好ましい。なお、被膜物性を更に改良するためにフッ化コバルト、酢酸コバルト、硫酸ニッケル、界面活性剤等をフッ化ニッケル水溶液に含有させておいてもよい。次いで水洗、乾燥して低温封孔処理を終える。
一方、前記高温封孔処理の場合の封孔剤としては、酢酸ニッケル、酢酸コバルト、酢酸鉛、酢酸ニッケル−コバルト、硝酸バリウム等の金属塩水溶液を用いることができるが、特に酢酸ニッケルを用いるのが好ましい。酢酸ニッケル水溶液を用いる場合の濃度は5〜20g/Lの範囲内で使用するのが好ましい。処理温度は通常80℃以上、好ましくは90℃以上、また、通常100℃以下、好ましくは98℃以下の範囲で、また、酢酸ニッケル水溶液のpHは5.0〜6.0の範囲で処理するのが好ましい。ここでpH調節剤としてはアンモニア水、酢酸ナトリウム等を用いることができる。さらに、処理時間は10分以上、好ましくは15分以上処理するのが好ましい。なお、この場合も被膜物性を改良するために酢酸ナトリウム、有機カルボン酸、アニオン系、ノニオン系界面活性剤等を酢酸ニッケル水溶液に含有させておいてもよい。更に、塩類を含まない高温水や高温水蒸気等により処理しても良い。次いで水洗、乾燥して高温封孔処理を終える。
ところで、平均膜厚が厚い場合には、封孔液の高濃度化、高温・長時間処理により強い封孔条件を必要とする。従って生産性が悪くなると共に、被膜表面にシミ、汚れ、粉ふきといった表面欠陥を生じやすくなる虞がある。このような点から、陽極酸化被膜の平均膜厚は通常20μm以下、好ましくは15μm以下、特に好ましくは7μm以下で形成されることが望ましい。
また、下引き層は、導電性支持体と感光層との間に、接着性・ブロッキング性等の改善のために設けられる層である。下引き層としては、樹脂、樹脂に金属酸化物等の粒子を分散したものなどが用いられる。この際、下引き層を電気絶縁性の材料により形成している場合には、この下引き層も絶縁層として機能する。
下引き層に用いる金属酸化物粒子の例としては、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄等の1種の金属元素を含む金属酸化物粒子、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等の複数の金属元素を含む金属酸化物粒子が挙げられる。一種類の粒子のみを用いても良いし複数の種類の粒子を混合して用いても良い。これらの金属酸化物粒子の中で、酸化チタン及び酸化アルミニウムが好ましく、特に酸化チタンが好ましい。酸化チタン粒子は、その表面に、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム、酸化珪素等の無機物、又はステアリン酸、ポリオール、シリコーン等の有機物による処理を施されていても良い。酸化チタン粒子の結晶型としては、ルチル、アナターゼ、ブルッカイト、アモルファスの何れも用いることができる。複数の結晶状態のものが含まれていても良い。
また、金属酸化物粒子の粒径としては、種々のものが利用できるが、中でも特性及び液の安定性の面から、平均一次粒径として通常1nm以上、特に10nm以上、また、通常100nm以下、特に50nm以下の範囲が好ましい。
さらに、下引き層は、金属酸化物粒子をバインダー樹脂に分散した形で形成するのが望ましい。下引き層に用いられるバインダー樹脂としては、フェノキシ、エポキシ、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸、セルロース類、ゼラチン、デンプン、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミド等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二以上を任意の組み合わせで用いてもよい。また、硬化剤とともに硬化した形で使用してもよい。中でも、アルコール可溶性の共重合ポリアミド、変性ポリアミド等は、良好な分散性・塗布性を示すので好ましい。
下引き層に用いられるバインダー樹脂に対する無機粒子の添加比は任意に選択すれば良いが、通常は10重量%以上、500重量%以下の範囲で使用することが、分散液の安定性、塗布性の面で好ましい。
下引き層の膜厚は任意に選ぶことができるが、感光体特性及び塗布性を向上させる観点から、通常は0.1μm以上、15μm以下の範囲が好ましい。また、下引き層には、公知の酸化防止剤等を含有させても良い。
本実施形態では、絶縁層として表面にアルマイト処理層が形成された、アルミニウム製の感光体用基体を用いるものとして説明を行なう。
また、感光体用基体の形状は、本発明の効果を損なわない限り任意であるが、通常は筒状に形成されたものが用いられる。なかでも、円筒形状の感光体用基体が広く用いられる。本実施形態においても、円筒形状の感光体用基体のケガキ処理を行なうものとする。
[2.ケガキ治具]
図1〜図4は本発明の一実施形態としてのケガキ治具について説明するもので、図1は本実施形態のケガキ治具の要部を模式的に示す斜視図であり、図2は本実施形態のケガキ治具の要部を模式的に示す上視図であり、図3は本実施形態のケガキ刃の模式的な縦断面図であり、図4(a),(b)は本実施形態のケガキ治具の使用方法を説明するため、ケガキ治具の要部を模式的に示す正面図である。
図1に示すように、本実施形態のケガキ治具1は、台座2と、支柱3と、内嵌支持部としてのピン4と、弾性支持部としてのコイルバネ5と、装着台6と、端部支持部としての端部支持部材7と、ストッパ部材8と、削り部としてのケガキ刃9とを備えている。
台座2は、ケガキ治具1の基部となる部分である。この台座2は、ケガキ治具1を固定して感光体用基体のケガキ処理を行なう場合には、ケガキ治具1が容易には動かないように、所定以上の重さとなるように形成することが好ましい。本実施形態においては、ケガキ治具1がケガキ処理中に動くことが無いよう、台座2は、十分な重さと大きさを有するように形成されているものとする。
支柱3は、ピン4、ストッパ部材8、ケガキ刃9などを支持する支柱であり、台座2に立設されている。また、本実施形態では、支柱3は、台座2の上面中央部に立設され、さらに、弾性支持部を形成するコイルバネ5に適合するよう、円柱形状に形成されているものとする。
なお、支柱3が延在する方向(支柱3の軸方向)は、ピン4が延在する方向(ピン4の軸方向)に一致し、また、ピン4に感光体用基体を嵌め込んだ場合に感光体用基体が延在する方向(感光体用基体の軸方向)に一致する。以下適宜、この方向を、単に「軸方向」という。また、同様に、ピン4の径方向は、ピン4に感光体用基体を嵌め込んだ場合の感光体用基体の径方向に一致する。以下適宜、この方向を、単に「径方向」という。
ピン4は、感光体用基体を支持するためのもので、支柱3の上に立設された円柱状の柱部であり、感光体用基体に内嵌して感光体用基体を径方向に支持できるようになっている。また、ピン4は、図中上側の先端部が次第に細くなるように形成されていて、これにより、感光体用基体をピン4に嵌める際に、ピン4を容易に感光体用基体に嵌め込むことができるようになっている。
感光体用基体を確実に支持するため、ピン4は、その長さを、感光体用基体を確実に支持するのに十分な長さで形成することが好ましい。
また、ピン4を感光体用基体に円滑に内嵌及び抜き取りできるよう、ピン4の径は感光体用基体の内径よりも小さく形成されているものとする。これにより、ピン4に感光体用基体を嵌め込んだ場合に、ピン4と感光体用基体との間に隙間が形成され、感光体用基体をピン4に対して嵌め込んだり抜き取ったりする作業を円滑に行なうことができるようになっている。
ただし、ピン4の径を感光体用基体の内径よりもあまりに小さく形成すると、ピン4で支持しているにもかかわらず感光体用基体が径方向にずれたり、ケガキ刃9によりケガキ処理を行なえなくなったりする虞があるため、ピン4の径は感光体基体の内径よりも、上記の虞が無い程度に小さく形成するようにすべきである。
また、ピン4は、感光体用基体を傷つけない程度にやわらかい材料で形成することが好ましい。具体的には、感光体基体よりも硬度が低い材料で形成することが好ましい。本実施形態においては、ピン4は、合成樹脂により形成されているものとする。
コイルバネ5は、装着台6及び端部支持部材7を軸方向に弾性的に支持するための弾性支持部である。この弾性支持部は、弾性的な支持が可能であればどのような部材で形成してもよいが、本実施形態においては支柱3に沿って支柱3を取り巻くように形成されたコイルバネ5によって形成されている。
また、コイルバネ5は装着台6を直接に支持していて、この装着台6を介して端部支持部材7を支持するようになっている。
さらに、コイルバネ5は、伸方向へ付勢され、装着台6及び端部支持部材7を図中上方に持ち上げるように支持しているものとする。なお、コイルバネ5には、ケガキ治具1に感光体用基体を装着した場合(即ち、端部支持部材7上に感光体用基体が載せられた場合)であっても、ケガキ刃9が感光体用基体に接触しない位置に感光体用基体が位置するよう、具体的には、装着台6や端部支持部材7が位置しうる最も高い位置に位置するよう、装着台6、端部支持部材7及び感光体用基体を重力に抗して持ち上げるのに十分な力が付勢されているものとする。
装着台6は、端部支持部材7を取り付けるために設けられた円盤状の台である。装着台6の中央部には、支柱3が通る程度の大きさに形成された、表裏を貫通する孔(図示省略)が形成されている。さらに、この孔には支柱3が通されていて、装着台6は、支柱3に沿って図中上下方向に可動となっている。
また、装着台6はコイルバネ5の上に載っており、コイルバネ5によって図中上方向へ弾性的に支持されている。
さらに、装着台6は、ストッパ部材8に図中下側から当接するようになっていて、装着台6がストッパ部材8に当接することにより係止された位置が装着台6が位置する最も高い位置となるようになっている。なお、外部から力が加えられていない場合には装着台6はこの最も高い位置に位置し、装着台6に対して図中下向きの力が加えられた場合に装着台は図中下方向(即ち、装着台6の高さが低くなる方向)に移動するようになっている。
一方、装着台6が位置する最も低い位置は、コイルバネ5が縮みきった時に位置する位置である。ただし、感光体用基体のケガキ処理を行なう際には、通常、弾性支持部であるコイルバネ5が縮みきることは無いようになっているため、装着台6はこの最も低い位置には位置しないようになっている。これにより、ケガキ処理時においてコイルバネ5が縮みきって衝撃が生じ、感光体用基体に意図しない損傷を与えることが無いようになっている。
端部支持部材7は、軸方向に可動となるよう、装着台6の上に立設された部材であり、ケガキ処理時に感光体用基体を感光体用基体の軸方向に支持するものである。本実施形態では、端部支持部材7の上面は平面状に形成されていて、この上面において端部支持部材7は感光体用基体の下端に当接し、これにより、感光体用基体を軸方向に支持できるようになっている。
また、端部支持部材7は装着台6に対して固定されているため、装着台6が移動することに伴い、端部支持部材7も同様に移動できるようになっている。
したがって、端部支持部材7は、外部から力が加えられていない場合には、装着台6がストッパ部材8に係止された状態となる最も高い位置(以下適宜、「初期位置」という)に位置するようになっていて、さらに、例えば端部支持部材7が感光体用基体を支持している際に感光体用基体が端部支持部材7を図中下向きに押さえた場合等のように、図中下向きの力が加えられると、端部支持部材7は装着台6とともに、コイルバネ5に付勢された力に抗して図中下向きに移動するようになっている。
ただし、感光体用基体で端部支持部材7を押さえた場合には、感光体用基体がストッパ部材8によって係止されるため、端部支持部材7はストッパ部材8よりも図中下に移動することは無い。なお、感光体用基体がストッパ部材8に係止された場合の位置、即ち、端部支持部材7の上面とストッパ部材8の上面とが軸方向に対して同じ位置となるときの端部支持部材7の位置を、以下適宜、「ケガキ位置」という。
また、端部支持部材7は、感光体用基体を感光体用基体の周方向にバランスよく支持できるよう、ピン4の周方向に対して複数、均等に設けられることが好ましい。これにより、感光体用基体が傾くことを防止し、装着台6及び端部支持部材7の上下移動を円滑に行なえるようになる。
なお、本実施形態においては、図2に示すように、端部支持部材7は装着台6上に4個形成されていて、各端部支持部材7はピン4の周方向に対して均等に設けられているものとする。
さらに、装着台6及び端部支持部材7の上下移動を円滑に行なえるようにする観点から、端部支持部材7はピン4とは離れて形成されているものとする。
ストッパ部材8は、装着台6及び感光体用基体を係止するため、ピン4の図中下側に、ピン4の表面よりもピン4の径方向に突出して形成された部材である。
ストッパ部材8の図中上面は、感光体用基体に当接し、感光体用基体を係止する面である。端部支持部材7が図中下向きに力を加えられていない状態では、上記のストッパ部材8の上面が端部支持部材7の上面よりも低い位置となるようになっている。具体的には、ストッパ部材8の軸方向長さは端部支持部材7の軸方向長さよりも小さく形成されている。なお、このストッパ部材8の軸方向長さと端部支持部材7の軸方向長さとの差は、上記の初期位置とケガキ位置との間で端部支持部材7が移動する距離であり、したがって、この差があまりに小さいと感光体用基体に形成されるケガキの長さが小さくなりすぎる虞があるため、形成しようとするケガキの長さに応じて上記の差は適切な寸法に設定してあるものとする。
また、ストッパ部材8の図中下面は、上述したように装着台6を係止する面である。
さらに、ストッパ部材8は、装着台6や感光体用基体を、装着台6や感光体用基体の周方向にバランスよく支持できるよう、ピン4の周方向に対して複数、均等に設けられることが好ましい。これにより、装着台6や感光体用基体が傾くことを防止することができるようになる。
なお、本実施形態においては、ストッパ部材8はピン4の周方向に4個形成されていて、図2に示すように、各ストッパ部材8はピン4の周方向に対して均等に設けられているものとする。また、ストッパ部材8はそれぞれ、各端部支持部材7の間に形成されていて、これにより、端部支持部材7とストッパ部材8とはピン4の周方向に対して交互に設けられるようになっている。
さらに、装着台6及び端部支持部材7の上下移動を円滑に行なえるようにする観点から、ストッパ部材8は端部支持部材7とは離れて形成されているものとする。
ケガキ刃9は、感光体用基体に内嵌して感光体用基体の内側面に形成された絶縁層の少なくとも一部を削り取り、除去するために設けられた削り部であり、ピン4の表面よりも径方向に突出して形成されている。
このケガキ刃9は、感光体用基体の側面の絶縁層を削り取るものであるため、通常は、感光体用基体の絶縁層よりも硬度が高い材料によって形成することが望ましい。
さらに、感光体用基体の内部の導体を露出させるためには、ケガキ刃9は、絶縁層の厚みよりも深く感光体用基体を傷つけることができる大きさに形成することが好ましい。
また、端部支持部材7が感光体用基体によって押さえられて端部支持部材7が図中下方向に移動した場合には、端部支持部材7とケガキ刃9との軸方向への相対位置が変化し、これにより、ケガキ刃9は、感光体用基体の内部に入り込むことができるようになっている。即ち、端部支持部材7とケガキ刃9との軸方向への相対位置が可変となっていて、ケガキ刃9が感光体用基体に内嵌できるようになっているのである。
具体的には、感光体用基体によって端部支持部材7が図中下向きに押さえられ、端部支持部材7が図中下向きに移動してケガキ位置に位置するまでの間に、ケガキ刃9は、感光体用基体の内部に入り込み、感光体用基体の内側面の絶縁層(本実施形態ではアルマイト処理層)を削り取ることができるようになっている。なお、感光体用基体のアルマイト処理層が削り取られた部分では、感光体用基体内の導体が露出したケガキが形成されることになる。
さらに、ケガキ刃9は、軸方向において、外部から力が加えられていない場合に、ストッパ部材8の直ぐ上から端部支持部材7の図中上面にかけて形成されている。したがって、端部支持部材7が感光体用基体によって押し込まれていない場合、即ち、端部支持部材7が初期位置にある場合には、ケガキ刃9は感光体用基体に接触しないようになっているため、ケガキ刃9が感光体用基体の絶縁層を削り取ることが無いようになっている。
さらに、ケガキ刃9は、ピン4の周方向において、端部支持部材7の軸方向への移動を妨げない位置であればどの位置に形成するようにしてもよく、また、その数も任意である。ただし、ケガキ処理の際に感光体用基体が傾くことを防止するために、感光体用基体に周方向に対して均等に力を加えるようにする観点、及び、ケガキを複数形成して感光体用基体内の導体を確実に露出させる観点からは、ケガキ刃9は、ピン4の周方向に対して複数、均等に設けられることが好ましい。
また、図3に示すように、ケガキ刃9は、その相対的な進行方向(即ち、軸方向)に対して、刃の形状が傾斜して形成されていることが好ましい。詳しくは、ケガキ処理時に感光体用基体に対してより早く接触する側が、より遅く接触する側に比べて、感光体用基体のより深い位置まで絶縁層を削り取ることができるように、ケガキ刃9の刃の縁部形状が傾斜して形成されることが好ましい。これにより、びびり振動が起こりにくく、付着物が生じにくいため、より確実に絶縁層を削り取ることができるという利点を得ることができる。
さらに、この際、上記のケガキ刃9の傾斜の程度に制限は無いが、ケガキ刃9の相対的な進行方向とケガキ刃9の縁部との間の角度の大きさθは、通常1°以上、好ましくは2°以上、また、通常15°以下、好ましくは10°以下とすることが望ましい。なお、図3において、一点鎖線は軸方向を示し、θは上記のケガキ刃9の相対的な進行方向とケガキ刃9の縁部との間の角度を表わす。また、図3において、ケガキ刃9は図中上側に相対的に進行するようになっているものとする。
本実施形態においては、図2に示すように、ケガキ刃9は4個形成されていて、それぞれ、ストッパ部材8の上部に周方向に均等に形成されているものとする。さらに、ケガキ刃9は、軸方向に対して上記のように傾斜した形状に形成されている。なお、図1〜図4においてはケガキ刃9は大きく図示したが、実際にはピン4の表面からアルマイト処理層の大きさよりわずかに大きい程度に突出する刃として形成されているものとする。また、図1,2,4においては、ケガキ刃9の傾斜は図示を省略してある。
[3.ケガキ処理]
本実施形態のケガキ治具1は上記のように構成されている。したがって、使用時には、図4(a)に示すように、感光体用基体10をピン4に装着し、ピン4を感光体用基体10に内嵌させる。なお、図4(a),(b)において、感光体用基体10は2点鎖線で示す。
ここで、ケガキ処理を行なう対象となる感光体用基体10は、感光体用基体10の外側面に感光層を形成する前であっても形成した後であってもよいが、ケガキ処理により剥離したアルマイト処理層の剥離かす等で感光層を汚さないようにするためには、感光層を形成する前の感光体用基体10に対してケガキ処理を行なうようにすることが好ましい。本実施形態においても、感光層形成前の感光体用基体10に対してケガキ処理を行なっているものとする。
感光体用基体10をケガキ治具1に装着させるには、具体的には、感光体用基体10を縦にし、ピン4の図中上部からピン4にはめ込むようにすれば良い。ピン4の径が感光体用基体10の内径よりも小さく形成されているため、特に大きな力を加えなくとも感光体用基体10をピン4に容易にはめ込むことができる。また、ピン4の先端が次第に細くなるように形成されているため、感光体用基体10を厳密にピン4の真上に位置合わせしなくとも、感光体用基体10をピン4にはめ込むことができる。
なお、本実施形態では、感光体用基体10の図中上方端部をアーム(図示省略)によって把持し、そのまま感光体用基体10をピン4に外嵌しているものとする。この際、感光体用基体10は、ピン4によって径方向に支持されるために、傾くことは無い。
装着された感光体用基体10は、端部支持部材7の上面に当接する。図4(a)に示すように、この場合には端部支持部材7は初期位置にあるため、未だケガキ刃9はアルマイト処理層を削り取っていない。なお、この際、仮にアームによる把持を外したとしても、端部支持部材7が感光体用基体10を軸方向に支持するため、感光体用基体10は端部支持部材7の上に載った状態となり、ケガキ治具1から外れることは無い。
装着後、アームにより感光体用基体10を、図中下向きに押し込む。この際、感光体用基体10を押し込む力は、コイルバネ5に付勢された力に抗しうるだけの大きさとする。感光体用基体10が押し込まれることにより、コイルバネ5が縮み、装着台6や端部支持部材7も図中下方向に降りていく。
感光体用基体10は、図中下方に押し込まれると、図4(b)に示すように端部支持部材7がケガキ位置に到着するまで、即ち、感光体用基体10の図中下端がストッパ部材8の上面に当たるまで、下向きに降りていく。下向きに降りていく過程において、感光体用基体10はケガキ刃9が形成されている位置を通過し、通過する際に、ケガキ刃9が感光体用基体10の内側面に形成されたアルマイト処理層を軸方向に沿って削り取り、除去する。即ち、端部支持部材7とケガキ刃9との軸方向への相対位置が変化して、ケガキ刃9が感光体用基体10の内側面に接するために、上記の相対位置の変化に伴ってケガキ刃9が感光体用基体10のアルマイト処理層を削り取り、剥離させることになる。
初期位置からケガキ位置までの間で端部支持部材7が移動する距離は、本実施形態の場合、ストッパ部材8の軸方向長さと端部支持部材7の軸方向長さとの差に等しくなる。また、これと同じ距離だけ、感光体用基体10は図中下向きに降りていく。ここで、本実施形態のケガキ治具1においては、外部から力が加えられていない場合のケガキ刃9の軸方向上端は、端部支持部材7の図中上面と同じ軸方向位置になるように形成されており、このため、上記の差の大きさ分だけ感光体用基体10のアルマイト処理層がケガキ刃9によって削り取られる。したがって、形成されるケガキの軸方向の大きさは、上記の差に等しくなるため、ストッパ部材8及び端部支持部材7の軸方向の寸法は、ケガキの大きさに応じて適切に設定しておくことが好ましい。
また、本実施形態においてはケガキ刃9を複数設けてあるため、感光体用基体10の複数個所を一回の処理によりケガくことができる。
さらに、ケガキ治具1の端部支持部材7、ストッパ部材8及びケガキ刃9を、ピン4の周方向に均一に複数配設したため、ケガキを安定して形成することができる。即ち、ピン4の周方向は、使用時には、感光体用基体10の周方向に一致するため、端部支持部材7、ストッパ部材8及びケガキ刃9は感光体用基体10の周方向に均一に配設されていることになり、したがって、端部支持部材7を初期位置からケガキ位置に下ろす過程で感光体用基体10のアルマイト処理層を削り取る際に、感光体用基体10が傾くことを防止することができる。感光体用基体10が傾くと形成されるケガキの長さや深さが変動して感光体用基体10内の導体を完全に露出させることができなかったりケガキを各感光体用基体で一定に形成したりすることができなくなる虞があるが、傾きを防止することにより、ケガキ刃9が形成するケガキの大きさ、深さ、位置などが同一の感光体用基体では変動しないようにすることができるとともに、各ケガキ刃9が形成するケガキを感光体用基体間でバラツキの無い均一なものにすることが可能となる。
さて、ケガキを形成したら、次に、アームが感光体用基体10を押し込んでいた力を弱める。これにより、コイルバネ5の力によって感光体用基体10は装着台6や端部支持部材7とともに図中上方に上がり、ケガキ刃9は感光体用基体10の内側面から離れる。この際、コイルバネ5の力を利用したことにより、ケガキ刃9を感光体用基体10の内側面から離れさせる操作は非常に容易となる。
そして、ケガキ刃9から離れた感光体用基体10を、アームにより図中上方に持ち上げ、感光体用基体10をケガキ治具1から取り外す。この際、先にコイルバネ5によって感光体用基体10をケガキ刃9から外してあったため、容易に感光体用基体10をピン4に沿ってケガキ治具1から取り出すことができ、速やかに、次の感光体用基体10のケガキ処理を行なうことができる。
本実施形態のケガキ治具1を用いれば、以上のようにして感光体用基体10にケガキを形成し、感光体用基体10の表面の絶縁層(アルマイト処理層)を削り取って感光体用基体10内の導体(アルミニウム)を露出させることができる。これにより、この感光体用基体10を用いて感光体を形成した場合に、感光体用基体10内の導体を画像形成装置等に設けられた外部の部材と電気的に導通させることが可能となる。
また、この際、大掛かりな装置を用いずに、簡単に感光体用基体10の表面の絶縁層を除去することができるため、ケガキを形成した感光体用基体10を、コストを抑制しつつ生産性を高めて製造することが可能となる。
さらに、ケガキ刃9が、感光体用基体10の内部に入り込み、感光体用基体10の内側面の絶縁層を削り取ることができるように構成したため、内側面にケガキを形成した感光体用基体10を得ることができる。内側面にケガキを形成した感光体用基体は広く用いられていることから、本実施形態により製造した感光体用基体10は、より広い用途への適用することが可能である。
また、本実施形態のケガキ治具1では、端部支持部材7が軸方向へ可動に設けられているため、感光体用基体10を動かしながらケガキ処理を行なう場合に、より簡単にケガキ処理を行なうことが可能となる。また、上記実施形態のように、感光体用基体10を動かしてケガキ処理を行ない、ケガキ処理の間はケガキ治具1を固定するようにしておくことは、ケガキ治具1の動作を安定に行なわせ、ケガキ治具1の故障やケガキ処理が適切に行なえないことなどを防止することが可能となるため、好ましい。
さらに、本実施形態のように感光体用基体10を縦にして、その下端部にケガキを形成するようにすることは、生産性をより高めることにつながるため、好ましい。通常、ケガキ処理は、感光体用基体10の表面に絶縁層を形成するアルマイト処理などの工程に続いて行なわれるが、このアルマイト処理などの工程では感光体用基体10を縦にし、その上端部をアームにより把持して取り扱うことが一般的である。その場合、感光体用基体10の上端部はアームが把持しているため、ケガキを形成するにはその下端部が好ましい。従来は、アームに把持されていない下端部にケガキを形成しようとした場合、一旦、感光体用基体10を上下ひっくり返し上下を逆にしてからケガキ処理を行なうようにしていたが、本実施形態のケガキ治具1を用いれば感光体用基体10の上下を逆にする操作が不要であるため、生産性を向上させることが可能となる。
また、上記のケガキ治具1は、コイルバネ5により感光体用基体10をケガキ刃9から離させるようにしたため、生産工程を単純にし、より生産性を向上させることができる。
さらに、ケガキ治具1は、ピン4により感光体用基体10を支持しながらケガキ処理を行なうようにしたため、ケガキ処理を通じて感光体用基体10が傾くことを防止し、ケガキを安定して形成できるようにすることが可能となる。
[4.その他]
以上、本発明の一実施形態としてのケガキ治具について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変形して実施することができる。
例えば、上記の実施形態においては感光体用基体10の下側端部の内側面のアルマイト処理層を除去してケガキを形成するようにしたが、感光体用基体の上側端部の内側面のアルマイト処理層を除去するようにしてもよい。また、ケガキ治具1を、ピン4が横(水平方向)を向くように配置し、感光体用基体10を横向きにしてケガキの形成を行なうようにしても良い。
さらに、上記の実施形態では端部支持部材7を可動にしケガキ刃9を固定するようにしたが、端部支持部材7とケガキ刃9とが、ケガキ処理時に感光体用基体10の軸方向に相対位置を変えてケガキ刃9により感光体用基体10の表面のアルマイト処理層を除去することが可能であれば、端部支持部材7を固定してケガキ刃9を可動に構成してもよく、さらに、端部支持部材7及びケガキ刃9をいずれも可動に構成しても良い。
また、上記の実施形態においては、ケガキ刃9が感光体用基体10の内側面のアルマイト処理層を削り取るように構成したが、ケガキ刃9が感光体用基体10の外側面のアルマイト処理層を削り取るように構成しても良い。
さらに、感光体用基体10の形状は、筒状であれば円筒形状に限定されるものではなくてもよい。ただし、その場合、ピン4の形状は、感光体用基体10の形状に合わせて形成するようにすることが望ましい。
また、上述した以外の構成部材をケガキ治具1に設けても良い。例えば、装着台6が周方向に回転することを防止するため、装着台6の回転を防止する係止柱を台座2に立設し、その係止柱が装着台6を係止するための切欠等を装着台6に設けるようにしても良い。
さらに、台座2、支柱3、内嵌支持部としてのピン4、弾性支持部としてのコイルバネ5、装着台6、端部支持部としての端部支持部材7、ストッパ部材8、削り部としてのケガキ刃9など、ケガキ治具1を構成する各部は、本発明の効果を著しく損なわない範囲において任意に組み合わせて実施することができる。
[5.用途]
本発明のケガキ治具を用いて表面の絶縁層の少なくとも一部を削り取った感光体用基体は、電子写真感光体に用いられる。以下、感光体用基体に感光層を形成して感光体を製造する方法について説明する。ただし、感光体の製造方法については以下の説明に限定されるものではなく、公知の任意の方法を適用することができる。
感光体用基体に感光層を形成する場合には、通常、感光体用基体の外周面に感光体材料の塗布液によって感光塗膜を形成する。
塗布液は、感光体材料と溶媒(以下適宜、「塗布溶媒」という)とから成る従来公知の各種のものを使用することが出来る。また、感光体材料としては、電荷発生物質、電荷輸送物質などを用いる。なお、これらの感光体材料や塗布溶媒などの塗布液に含有される各成分は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
電荷発生物質としては、例えば、スーダンレッド、ダイアンブルー、ジエナスグリーンB等のアゾ顔料、ジスアゾ顔料、アルゴールイエロー、ピレンキノン等のキノン顔料、キノシアニン顔料、ペリレン顔料、インジゴ顔料、インドフアーストオレンジトナー等のビスベンゾイミダゾール顔料、無金属フタロシアニン、チタニルフタロシアニン、オキシチタニルフタロシアニン、銅フタロシアニン等のフタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、ピリリウム塩、アズレニウム塩が挙げられる。
また、電荷輸送物質としては、例えば、主鎖または側鎖にアントラセン、ピレン、フエナントレン、コロネン等の多芳香族化合物またはインドール、カルバゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イミダゾール、ピラゾール、オキサジアゾール、ピラゾリン、チアジアゾール、トリアゾール等の含窒素環式化合物の骨格を有する化合物、その他、トリアリルアミン骨格を有する化合物、ヒドラゾン化合物など正孔輸送物質が挙げられる。
さらに、感光塗膜を形成するためには、塗布液に結着剤樹脂を含有させる。結着剤樹脂としては、例えば、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスチレン、ポリメタクリル酸エステル類、スチレン−メタクリル酸メチルコポリマー、ポリエステル、スチレン−アクリロニトリルコポリマー、ポリサルホン等、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリロニトリル、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、セルロースエステル類などが挙げられる。
塗布溶媒としては、揮発性が高く且つその蒸気の密度が空気よりも大きい溶剤が好適に用いられる。例えば、n−ブチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、イソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、4−メトキシ−4−メチルペンタノン−2、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、2,4−ペンタジオン、アニソール、3−オキソブタン酸メチル、モノクロルベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、メチルセルソルブアセテート等が挙げられる。
単層型電子写真感光体を製造する場合の感光体材料の塗布液は、通常、前記の電荷発生物質、電荷輸送物質、結着剤樹脂および塗布溶媒を混合して調製される。一方、積層型電子写真感光体を製造する場合の感光体材料の塗布液は、通常、前記の電荷発生物質、結着剤樹脂および塗布溶媒からなる電荷発生層用の塗布液と、前記の電荷輸送物質、結着剤樹脂および塗布溶媒からなる電荷輸送層用の塗布液とを別々に調製する。
塗布液中の各成分の濃度は、公知の方法に従って適宜選択される。そして、固形分の濃度は、主として、形成すべき層の膜厚に応じて決定されるが、単層型電子写真感光体を製造する際の塗布液の場合および積層型電子写真感光体を製造する際の電荷輸送層用の塗布液の場合には、通常10重量%以上、また、通常40重量%以下、好ましくは35重量%以下に調整される。また、これらの塗布液の場合、その粘度は、50〜500cps、乾燥膜厚は、10〜40μmとするのが好ましい。
上記の塗布は、通常、浸漬塗布、すなわち、塗布液がオーバーフローしている浸漬槽中に感光体用基体を垂直に降下させて塗布液に浸漬した後、感光体用基体を垂直に上昇させて引き上げる方法によって行われる。この際、感光体用基体の上側開口部を閉塞しながらと塗布液に浸漬するようにすれば、筒状の感光体用基体の内部には塗布液は浸入せず、感光体用基体の内側面に感光塗膜を形成しないようにすることができる。
さらに、感光体用基体に感光層を形成した感光体には、通常は、その両端にそれぞれフランジを装着する。フランジの少なくとも一方は、導電性を有する樹脂で構成されたフランジを使用することなどにより導電性を備えさせるようにし、また、このフランジは、上記のケガキ治具により絶縁層を削り取った側の端部に装着するようにする。なお、フランジと感光体用基体とは、接着剤により装着されてもよく、感光体用基体の内面の内径よりもフランジの外径を大きく設計して圧入により装着されてもよい。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変形して実施することができる。
[実施例1]
表面に厚さ6μmのアルマイト処理層を有する、外径30mm、内径28.5mm、長さ246mmの円筒形状のアルミニウム合金製の感光体用基体を用意した。上記実施形態と同様のケガキ治具を用いて、この感光体用基体の下端部側をケガキ処理したところ、2000本/hの感光体用基体にケガキを形成することができた。
該感光体用基体を用いて、外周面に感光層を塗布後、下端側(ケガキを形成した側)に導電性樹脂フランジを接着して感光体ドラムを構成させた。この感光体ドラムの導通確認を行なったところ、いずれも感光体用基体と導電性樹脂フランジとの間の抵抗値は1キロオーム以下で良好であった。
また、得られた感光体ドラムを沖データ社製プリンタ/マイクロライン5100に装着して印字確認を行ったところ、印字濃度は1.40で良好であった。
[比較例1]
先のとがった金属棒を用いて実施例1と同様の感光体用基体の上端側を1箇所ケガいた後、上下端を入れ替える作業を行なったところ、700本/hの感光体用基体にケガキを形成することができた。
該感光体用基体について、実施例1と同様にして感光体ドラムを構成し、この感光体ドラムの導通確認を行なったところ、700本中の698本は感光体用基体と導電性樹脂フランジとの間の抵抗値が1キロオーム以下と良好であったが、700本中の2本は感光体用基体と導電性樹脂フランジとの間の抵抗値が10キロオーム以上であった。これは、ケガキの箇所が1箇所しかないため、導電性樹脂フランジとの装着の具合により導通が不安定であることが原因であると考えられる。
また、上記抵抗値が10キロオーム以上であった感光体ドラムを実施例1と同様に、プリンタに装着して、印字濃度を確認したところ、印字濃度は1.00と大きく低下していた。
[比較例2]
ケガキを4箇所に形成するようにしたほかは比較例1と同様にして感光体用基体にケガキを形成した後、感光体用基体の上下端を入れ替える作業を行ったところ、400本/hの感光体用基体しか処理することが出来なかった。
[まとめ]
実施例1及び比較例1,2から分かるように、実施例1のように本発明にかかるケガキ治具を用いてケガキを形成するようにすれば、比較例1,2のような従来の技術を用いた場合に比べ、単位時間あたりにより多くの感光体用基体にケガキを形成することができ、さらに、感光体用基体と導電性樹脂フランジとの間の電気的な導通を確実にとることができるため、これを用いて構成した画像形成装置の画像の質を改善することができる。
本発明は、画像形成装置等に用いられる電子写真感光体を構成する電子写真感光体用基体の製造に用いて好適である。
本発明の一実施形態としてのケガキ治具の要部を模式的に示す斜視図である。 本発明の一実施形態としてのケガキ治具の要部を模式液に示す上視図である。 本発明の一実施形態について示すもので、ケガキ刃の模式的な縦断面図である。 (a),(b)はいずれも、本発明の一実施形態としてのケガキ治具の使用方法を説明するため、ケガキ治具の要部を模式的に示す正面図である。
符号の説明
1 ケガキ治具
2 台座
3 支柱
4 ピン(内嵌支持部)
5 コイルバネ(弾性支持部)
6 装着台
7 端部支持部材(端部支持部)
8 ストッパ部材
9 ケガキ刃(削り部)
10 電子写真感光体用基体

Claims (5)

  1. 表面を絶縁層で覆われた、導体からなる筒状の電子写真感光体用基体の上記絶縁層の少なくとも一部を除去するためのケガキ治具であって、
    上記電子写真感光体用基体の軸方向一端に当接して上記電子写真感光体用基体を軸方向に支持しうる端部支持部と、
    上記電子写真感光体用基体の側面に形成された絶縁層の少なくとも一部を削り取りうる削り部とを備え、
    該端部支持部と該削り部との、上記電子写真感光体用基体の軸方向への相対位置が可変となっているとともに、
    該削り部が、上記電子写真感光体用基体に内嵌して上記電子写真感光体用基体の内側面の絶縁層を削り取りうる
    ことを特徴とする、ケガキ治具。
  2. 該削り部が、該内側面の絶縁層を上記電子写真感光体用基体の軸方向に沿って削り取るように設けられている
    ことを特徴とする、請求項1に記載のケガキ治具。
  3. 該端部支持部が、上記電子写真感光体用基体の軸方向へ可動に設けられた
    ことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のケガキ治具。
  4. 該端部支持部を、上記電子写真感光体用基体の軸方向へ弾性的に支持する弾性支持部を備える
    ことを特徴とする、請求項3記載のケガキ治具。
  5. 上記電子写真感光体用基体に内嵌して上記電子写真感光体用基体を径方向に支持しうる内嵌支持部を備える
    ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のケガキ治具。
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