JP4463841B2 - 洗浄除去用溶剤 - Google Patents
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当該感光性樹脂組成物は塗布液の形で、半導体基板や、ガラス基板等の基板上に塗布され、適宜乾燥処理を施して被膜を形成し、これに選択的露光を行い、次いで現像処理を行うことでパターン化された感光性樹脂被膜が形成される。
感光性樹脂組成物の基板への塗布方法としては、回転式塗布方法が一般的であるが、特に大型化が進む液晶表示素子製造の分野においては、コートアンドスピン方式、ノンスピン方式等の塗布手段が提案されてきている。
特に顔料が分散された材料、例えばカラーフィルターやブラックマトリックスパターンを形成するための顔料分散型感光性樹脂組成物は、洗浄除去が困難であり、洗浄性に優れた洗浄除去液の実現が求められていた。
なお、顔料分散型感光性樹脂組成物に対する洗浄除去液としては、たとえば特許文献1、2に記載のものが知られている。
本発明は、このような感光性樹脂組成物の洗浄用として好適な、特にカラーフィルターやブラックマトリックスパターンを形成するための顔料分散型感光性樹脂組成物の洗浄用として優れた洗浄除去用溶剤を提供することを目的とする。
本発明は、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、及び芳香族系溶剤を含有し、前記芳香族系溶剤が、トルエン、キシレン、およびエチルベンゼン、並びにアルコキシ基を有する芳香族系溶剤の中から選ばれる少なくとも1種であり、ハンセン(Hansen)溶解パラメータにおける水素結合力パラメータ(δH)が5〜10であることを特徴とする、顔料分散型感光性樹脂組成物の洗浄除去用溶剤を提供する。
≪感光性樹脂組成物≫
本発明で洗浄対象とする感光性樹脂組成物は特に限定は無く、これまで半導体用、液晶用、カラーフィルター用等で用いられてきたポジ型、ネガ型、化学増幅型、非化学増幅型のあらゆる感光性樹脂組成物が用いられる。
感光性樹脂組成物は、基本的に樹脂成分、および光重合開始剤等の感光成分を必須成分として含有する。それ以外に、モノマー成分、界面活性剤、酸成分、含窒素有機化合物、顔料、溶剤等を含有する場合もある。
本発明は、ハンセン(Hansen)溶解パラメータにおける水素結合力パラメータ(δH)が5〜10であることを特徴とする洗浄除去用溶剤を提供する。
ハンセン溶解パラメータとは、溶剤の溶解パラメータを定義する方法の1種であり、例えば「INDUSTRIAL SOLVENTSHANDBOOK」(pp.35−68、Marcel Dekker, Inc.、1996年発行)や、「DIRECTORYOF SOLVENTS」(pp.22−29、Blackie Academic
& Professional、1996年発行)などに記載され、定義されているパラメータである。
水素結合力パラメータが上記範囲の下限値より小さいと、感光性樹脂組成物中における樹脂成分、モノマー成分、及び光重合開始剤等の有機成分の除去性が悪く、また上記範囲の上限値を超えると、顔料等の感光性樹脂組成物中に溶解せず分散している成分が凝集等を起こし易く、洗浄後に残る場合がある。
混合溶剤の場合は、混合後の水素結合力パラメータが上記の範囲内となればよい。例えば、該水素結合力パラメータ(δH)が上記範囲内にあるものどうしを混合してもよく、該範囲内のものと範囲外のものとを混合してもよい。
水素結合力パラメータ(δH)=A×a+B×b+C×c+・・・・・・(式中、A、B、Cは、混合に用いる各溶剤の水素結合力パラメータ、a、b、cは混合溶媒の全体の質量を「1」とするときの、各溶剤の含有割合(質量基準)を示す。)
例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの水素結合力パラメータは6.6、プロピレングリコールモノメチルエーテルは13.6、キシレンは2.5であるので、これらを質量比6:2:2で混合した混合溶剤の水素結合力パラメータは、水素結合力パラメータ=6.6×0.6+13.6×0.2+2.5×0.2=7.18となる。
なお、各溶剤の水素結合力パラメータは、「INDUSTRIAL SOLVENTS
HANDBOOK」(pp.35−68、MarcelDekker, Inc.、1996年発行)に記載されている値を用いることができる。
プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテートとしては、例えば炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有するものが挙げられ、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)(水素結合力パラメータ=6.6)が最も好ましい。
カーボン粒子を凝集させず、効率良く分散させるためには、アルキル基を有する芳香族系溶剤を用いることが有利であり、例えばモノアルキルベンゼン、ジアルキルベンゼン、トリアルキルベンゼンなどが好ましい。
特にジアルキルベンゼンとトリアルキルベンゼンの両方を含有する芳香族系溶剤が好ましい。これらを先のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノアルキルエーテルと適宜組合せ、混合溶剤の水素結合力パラメータが5〜10となるように調整して用いることが好ましい。
ジアルキルベンゼンとトリアルキルベンゼンの両方を含有する芳香族系溶剤としては、市販されているソルベッソ100、ソルベッソ150、ソルベッソ200(以上商品名、エクソン化学社製)などが利用できる。
なお、芳香族系溶剤としては、アニソール(メトキシベンゼン)(水素結合力パラメータ=6.7)等を用いても良い。
ここでいう樹脂成分は、カラーフィルター形成用感光性樹脂組成物およびブラックマトリックスパターン形成用感光性樹脂組成物の構成成分として知られている上記で挙げた樹脂成分を指す。特に洗浄対象の感光性樹脂組成物に含まれる樹脂成分が予めわかっている場合は、該感光性樹脂組成物に含まれる溶剤を含むことが好ましい。
本発明の洗浄除去用溶剤には、界面活性剤を配合することが好ましい。なお、本発明の洗浄除去用溶剤は、いわゆる溶剤(単種の溶剤または混合溶剤)のほかに、溶剤と、それ以外の成分を含んだ洗浄除去用組成物(例えば洗浄液の概念)をも包含するものとする。
上記界面活性剤としては、カラーフィルター形成用感光性樹脂組成物およびブラックマトリックスパターン形成用感光性樹脂組成物の構成成分として知られている界面活性剤を使用できるが、洗浄対象の感光性樹脂組成物に含まれる界面活性剤が予めわかっている場合は、それと同種の界面活性剤が好ましい。
またフッ素含有量が10〜25質量%であり、かつケイ素含有量が3〜10質量%の界面活性剤成分(E−2)も好ましい。具体例としてはX−70−090、X−70−091、X−70−092、X−70−093(製品名、信越化学工業社製)等が挙げられる。
また特定のシロキサン骨格を有するポリエステル変性ポリジアルキルシロキサン系界面活性剤(E−3)も好ましい。具体例としてはBYK−310、BYK−315、(製品、ビックケミー社製)等が挙げられる。
上記(E−1)〜(E−3)以外の界面活性剤の具体例として、フロラードFC−430、FC431(製品名、住友3M社製)、エフトップEF122A、EF122B、EF122C、EF126(製品名、トーケムプロダクツ社製)等のフッ素系界面活性剤が挙げられる。
界面活性剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤の配合量が上記範囲の下限値以上であれば、界面活性剤の添加効果が得られる。また上記範囲の上限値以下とすることにより、洗浄後に残留している洗浄液と感光性樹脂組成物とが接触したときに、感光性樹脂組成物中の界面活性剤濃度が必要以上に増大するのが防止される。感光性樹脂組成物中の界面活性剤濃度が高すぎると、泡が発生し易く、かえって塗布ムラが生じ易くなり、更には塗膜にピンホールが発生する場合もある。
また洗浄対象の感光性樹脂組成物に含まれている界面活性剤の濃度が予めわかっている場合には、該濃度と洗浄除去用溶剤おける界面活性剤濃度を同程度にすることが表面自由エネルギーの均衡の観点から好ましい。
本発明の洗浄除去用溶剤は、特にカラーフィルターやブラックマトリックスパターンを形成するための顔料分散型感光性樹脂組成物に対して優れた洗浄性を有する。
一方、感光性樹脂組成物の樹脂成分に対する良溶媒を含有する洗浄除去用溶剤によれば、該溶剤によって洗浄除去された感光性樹脂組成物中に分散していたカーボン等の顔料粒子の凝集が抑えられ、洗浄除去用溶剤中に顔料が効率良く分散される。すなわち、洗浄除去用溶剤中における顔料の分散性が悪いと、一旦洗浄除去された顔料粒子が凝集して被洗浄面に沈降し易くなるが、これを防止して洗浄残りをなくすことできる。
これは、芳香環のπ電子がカーボンとの親和性に寄与し、アルキル基および/またはアルコキシ基が、感光性樹脂組成物の樹脂成分に対する良溶媒との親和性に寄与し、その結果、洗浄除去用溶剤とカーボンとの良好な親和性が得られるためと考えられる。
したがって、特にブラックマトリックスパターン形成用の黒色顔料(特に、カーボン)分散型の感光性樹脂組成物に対して有効である。
本発明によれば、乾燥性(速乾性)に優れた洗浄除去用溶剤を提供することができ、これによって、感光性樹脂組成物への洗浄液の溶け込みを抑制することができる。特にプロピレングリコールモノアルキルエーテルを含有させると、乾燥性の向上に有効である。
さらに、界面活性剤を含有する洗浄除去用溶剤によれば、感光性樹脂組成物に残留していた洗浄液が溶け込んでも、感光性樹脂組成物中における界面活性剤濃度の低下を抑えることができ、塗布ムラの発生を防止することができる。
(乾燥性評価)
PGMEAとの相対比較時間で表した。具体的には、気温23±1℃、湿度45±5%、760±10mmHgの空調された室内で、3inchシリコンウエハーの表面中央部にポリエチレン製のスポイトで試料(洗浄液)1gを滴下し、スピンコーターで毎分2000回転して試料(洗浄液)が乾燥するまでを目視で観測する方法で得られた乾燥時間(X秒)を、試料としてPGMEAを用いた場合の乾燥時間(Y秒)で割って得られた値で示した。
ガラス製の1ミリリットルピペット内にブラックマトリックスパターン形成用感光性樹脂組成物である「CFPR BK−5005SL」(東京応化製)を付着させた。次いで当該ピペット内を1ミリリットルの洗浄除去用溶剤で10回、洗浄処理を行い、その後の洗浄具合を目視にて確認した。洗浄残りが全く無かったものは○、わずかに洗浄残りが見られたが実用上問題のなかったものは△、洗浄残りが多く実用上問題のあったものは×として評価した。
直径12mm、長さ1000mmのチューブ状ガラス容器に、CFPR−BK5005SL/洗浄液=1/9(質量比)の混合液を注入し、縦に静置したときに上層部と下層部をそれぞれ10mlずつ抜き取り、これをガラス基板上に塗布し、顔料の凝集の有無を目視と顕微鏡にて確認した。凝集や沈降が多く確認され実用上問題のあったものは×、やや確認されたものの実用上問題のなかったものは△、確認されなかったものは〇として評価した。
上記顔料の沈降性評価と同様の方法で抜き取った上層部と下層部のそれぞれ10mlの試料を、基板上に回転塗布し、塗布ムラを目視にて確認した。塗布ムラがなかったものは○、塗布ムラがやや確認されたものの実用上問題のなかったものは△、確認され実用上問題のあったものは×として評価した。
PGMEA(水素結合力パラメータ=6.6)からなる洗浄液を調製した。
[実施例2](参考例)
PGMEA:PGME=7:3(質量比)の混合洗浄液(水素結合力パラメータ=8.7)を調製した。
[実施例3](参考例)
PGMEA:PGME:ソルベッソ100=6:2:2(質量比)の混合洗浄液(水素結合力パラメータ=7.1)を調製した。
実施例3の洗浄液に界面活性剤(Additol XL 121(ソルーシア社製))50ppmを配合して、洗浄液を調製した。
[実施例5]
アニソール:トルエン:PGMEA:PGME=2:1:5:2(質量比)の混合洗浄液(水素結合力パラメータ=7.56)を調製した。
[実施例6]
実施例5の洗浄液に界面活性剤(Additol XL 121(ソルーシア社製))50ppmを配合して、洗浄液を調製した。
ソルベッソ100(水素結合力パラメータ=2)を洗浄液として用いた。
[比較例2]
N,N−ジメチルアセトアミド(水素結合力パラメータ=10.2)を洗浄液として用いた。
[比較例3]PGME(水素結合力パラメータ=13.6)を洗浄液として用いた。
特に芳香族系溶剤を含有する実施例3〜6は、顔料の凝集沈降性がなく良好であった。
また、界面活性剤が配合された実施例4、6は、塗布むらがなく良好であった。
Claims (7)
- プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、及び芳香族系溶剤を含有し、
前記芳香族系溶剤が、トルエン、キシレン、およびエチルベンゼン、並びにアルコキシ基を有する芳香族系溶剤の中から選ばれる少なくとも1種であり、
ハンセン(Hansen)溶解パラメータにおける水素結合力パラメータ(δH)が5〜10であることを特徴とする、顔料分散型感光性樹脂組成物の洗浄除去用溶剤。 - プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート:プロピレングリコールモノアルキルエーテル:芳香族系溶剤=1〜9:0.1〜3:1(質量比)であることを特徴とする請求項1記載の洗浄除去用溶剤。
- アルコキシ基を有する芳香族系溶剤が、アニソールであることを特徴とする請求項1または2に記載の洗浄除去用溶剤。
- 芳香族系溶剤が、トルエン、キシレン、およびエチルベンゼンの中から選ばれる少なくとも1種と、アニソールを含有するものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の洗浄除去用溶剤。
- 感光性樹脂組成物が赤(R)、緑(G)、青(B)のいずれかのカラーフィルターを形成するためのカラーフィルター形成用感光性樹脂組成物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の洗浄除去用溶剤。
- 感光性樹脂組成物がブラックマトリックスパターンを形成するためのブラックマトリックスパターン形成用感光性樹脂組成物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の洗浄除去用溶剤。
- 界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の洗浄除去用溶剤。
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