JP4463334B2 - 単一層ゲート不揮発性メモリ素子 - Google Patents

単一層ゲート不揮発性メモリ素子 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般的に、メモリ素子に関し、更に特定すれば、不揮発性メモリ素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電気的消去可能プログラム可能リード・オンリ・メモリ(EEPROM:Electrically Erasable Programmable Read Only Memory )は、当該メモリへの電力が除去されても、格納したデータを保持可能である。EEPROMセルは、電界効果トランジスタ(FET)の電気的に分離されたフローティング・ゲートに電荷を蓄積することによって、データを格納する。蓄積された電荷は、FETのスレシホルドを制御することによって、EEPROMセルのメモリ状態を制御する。
【0003】
EEPROMセルには、二重ポリ構造(double poly structure) および単一ポリ構造(single poly structure) という2つの一般的な構造がある。二重ポリ構造は、2つの多結晶シリコン層を用いて、従来より製造されている。単一ポリ構造は、1つの多結晶シリコン層のみがあればよいので、二重ポリ構造より簡単であり、製造も経済的である。しかしながら、単一ポリ構造は、通常、二重ポリ構造よりも多くのシリコン面積を必要とする。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
EEPROMセルからデータを読み出すには、従来よりセンス・アンプを用いてFET内を流れる電流を検出し、これによってEEPROMセルのメモリ状態を判定していた。しかしながら、センス・アンプは、回路の複雑化、シリコン面積の増大、EEPROMセルの製造コスト上昇を招く。加えて、センス・アンプは、EEPROMセルからデータを読み出すプロセスの間大量の電流を消費するため、電力効率が悪い。
【0005】
したがって、不揮発性メモリ素子およびこの不揮発性メモリ素子にアクセスする方法を有することができれば有利であろう。この不揮発性メモリ素子は、簡単で安価に製造できることが望ましい。また、このアクセス方法はエネルギ効率が高いことが望ましい。更に、不揮発性メモリは信頼性が高ければ、一層有利であろう。
【0006】
【課題を解決するための手段】
概して言えば、本発明は、不揮発性メモリ(NVM)素子およびこのNVM素子にアクセスする方法を提供する。NVM素子は、反転器内においてプル・アップ・トランジスタおよびプル・ダウン・トランジスタが互いに結合されているように、互いに結合された2つのフローティング・ゲート・トランジスタを含む。また、NVM素子は、フローティング・ゲートに結合された、消去コンデンサおよびプログラミング・コンデンサを含む。本発明によれば、プログラミングおよび消去プロセスの間NVMセルに印加される電圧に対して、トランジスタのブレークダウン電圧によって強いられる制限は、従来技術の単一レベル・ゲートNVMセルにおける制限よりも少ない。NVM素子からデータを読み出すプロセスの間、フローティング・ゲート内に蓄積された電荷に応じて、NVM素子内のプル・アップ・トランジスタおよびプル・ダウン・トランジスタの一方のみが、支配的に導通状態となる。反転器の出力端子における電圧は、第1論理値、例えば、論理1を表す論理ハイ電圧レベルに引き上げられるか、あるいは、第2論理値、例えば、論理0を表す論理ロー電圧レベルに引き下げられる。このようにして、センス・アンプを用いることなく、NVM素子からデータを読み出す。
【0007】
【発明の実施の形態】
これより図面を参照しながら本発明の実施例を説明するが、図面では、同一参照番号を用いて、同様の構造および機能の素子を表すことを注記しておく。
【0008】
図1は、本発明の第1実施例による、単一レベル・ゲート不揮発性メモリ素子、例えば、NVMセル10の構成図である。NVMセル10は、フローティング・ゲートが互いに結合された、2つのフローティング・ゲート・トランジスタ12,14を含む。更に具体的には、トランジスタ12はp−チャネル絶縁ゲート電界効果トランジスタ(FET)であり、トランジスタ14はn−チャネル絶縁ゲートFETである。FET12,14は、フローティング・ゲート15を共有する。FET12のソース電極およびFET14のソース電極は、それぞれ、NVMセル10の第1ソース端子16および第2ソース端子18として機能する。FET12のドレイン電極およびFET14のドレイン電極は、共に結合され、NVMセル10の出力端子21を形成する。FET12の基板電極およびFET14の基板電極は、それぞれ、NVMセル10の第1基板端子22および第2基板端子24として機能する。また、NVMセル10は、消去コンデンサ26も含み、その第1電極はフローティング・ゲート15に接続され、第2電極はNVMセル10の消去端子27として機能する。加えて、NVMセル10は、プログラミング・コンデンサ28も含み、その第1電極はフローティング・ゲート15に接続され、第2電極はNVMセル10のプログラミング端子29として機能する。
【0009】
消去コンデンサ26およびプログラミング・コンデンサ28は、FET12,14がNVMセル10の消去およびプログラミングのプロセスの間にブレーク・ダウンする確率を最低に抑える。好ましくは、消去コンデンサ26のキャパシタンスは、FET12のゲート・キャパシタンスおよびFET14のゲート・キャパシタンス双方よりも小さいものとする。更に、プログラミング・コンデンサ28のキャパシタンスは、FET12のゲート・キャパシタンス,FET14のゲート・キャパシタンス,および消去コンデンサ26のキャパシタンスの和よりも大きいことが好ましい。尚、プログラミング・コンデンサ28は、NVMセル10ではオプションであることを注記しておく。また、FET12,14は、他のタイプのトランジスタ、例えば、絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ,高電子移動度トランジスタ(HEMT:high electron mobility transistor )等と置換可能であることも注記しておく。当業者には周知であるが、FETのソース電極およびドレイン電極は、トランジスタの電流導通電極として機能する。
【0010】
図2は、図1に概略的に示したNVMセル10の断面図である。NVMセル10は、半導体物質の本体を用いて製造する。一例として、半導体物質の本体は、主面36を有するp導電型のシリコン基板35である。基板35は、例えば、約1x1012原子/立方センチメートル(原子/cm3 )および約1x1016原子/cm3 の間の初期ドーパント濃度を、主面36付近に有する。n導電型のウエル42,46,48を基板35内に形成する。基板35上には、例えば、フィールド酸化物領域49のような分離構造を、当業者には既知の技法を用いて形成する。好ましくは、フィールド酸化物領域49を形成する前に、イオン注入を行い、フィールド酸化物領域49の下にドープ領域(図示せず)を形成する。このドープ領域(図示せず)は、フィールド酸化物領域49の下に形成されるFETの不用意なターン・オンを防止する。
【0011】
例えば、約5ナノメートル(nm)および約50nmの間の厚さを有する二酸化シリコン層51のような誘電体層を、基板35の主面36上に配置する。誘電体層51にパターニングを行い、互いに分離された4つの部分を形成する。誘電体層51の第1部分はウエル42の上に位置し、FET12のゲート誘電体層52として機能する。誘電体層51の第2部分は、FET14のゲート誘電体層54として機能する。誘電体層51の第3部分はウエル46の上に位置し、消去コンデンサ26の誘電体層56として機能する。誘電体層51の第4部分はウエル48の上に位置し、プログラミング・コンデンサ28の誘電体層58として機能する。
【0012】
誘電体層51上に導電層61を堆積し、FET12のゲート誘電体層52,FET14のゲート誘電体層54,消去コンデンサ26の誘電体層56,およびプログラミング・コンデンサ28の誘電体層58を覆うようにパターニングを行う。一例として、導電層61は、約150nmおよび約500nmの間の厚さを有する多結晶シリコン層である。ゲート誘電体層52,54,および誘電体層56,58を覆う多結晶シリコン層61の部分は、共に接続され、FET12,14のフローティング・ゲート15(図1に示した),ならびに消去コンデンサ26およびプログラミング・コンデンサ28の第1電極を形成する。導電層61の異なる部分を共に結合する接続部は、図2には示されていないことを注記しておく。好ましくは、多結晶シリコン層61には、堆積プロセスの間または後続のドーピング工程においてドープする。
【0013】
ゲート誘電体層52およびその上の導電層61の部分は、FET12のゲート構造を形成する。ゲート誘電体層54およびその上の導電層61の部分は、FET14のゲート構造を形成する。誘電体層56,その上の導電層61の部分,およびウエル46は、協同して消去コンデンサ26を形成し、この場合ウエル46は消去コンデンサ26の導体として機能する。誘電体層58,その上の導電層61の部分,およびウエル48は、協同してプログラミング・コンデンサ28を形成し、この場合ウエル48はプログラミング・コンデンサ28の導体として機能する。
【0014】
導電層61上全体、ならびに導電層61および誘電体層51の側壁上に、絶縁層76を形成する。好ましくは、絶縁層76にパターニングを行い、FET12のゲート構造,FET14のゲート構造,消去コンデンサ26,およびプログラミング・コンデンサ28を封止する(cap) 。更に、絶縁層76は、導電層61の異なる部分を共に電気的に結合する接続部も封止することが好ましい。絶縁層76は、二酸化シリコン層およびその上面上の窒化シリコン層から成る酸化物−窒化物スタック,上側の二酸化シリコン層および下側の二酸化シリコン層ならびにその間にある窒化シリコン層から成る酸化物−窒化物−酸化物スタック,シリコン酸窒化物層等とすることができる。NVMセル10の動作の間、絶縁層76は、フローティング・ゲート15(図1に示した)からの電荷の漏れを最少に抑えることにより、NVMセル10のデータ保持レートおよび信頼性を改善する。絶縁層76は、形成することが好ましいが、NVMセル10ではオプションの構造であることは理解されよう。
【0015】
p導電型のイオン、例えば、硼素イオンまたはフッ化硼素イオンを基板35に注入し、p−チャネルFET12のソース領域62およびドレイン領域63,ならびにFET14の基板接触領域74を形成する。また、このイオン注入プロセスによって、ウエル46内に誘電体層56に隣接してp導電型ドープ領域66,およびウエル48内に誘電体層58に隣接してp導電型ドープ領域68も形成する。ソース領域62およびドレイン領域63は、それらの間およびゲート誘電体層52の下に、チャネル領域73を規定する。言い換えると、FET12のチャネル領域73は、ソース領域62をドレイン領域63から分離する。一例として、ソース領域62およびドレイン領域63は、約1x1015原子/cm3 および約5x1022原子/cm3 の間のドーパント濃度を有する。
【0016】
n導電型のイオン、例えば、燐イオンまたは砒素イオンを基板35に注入し、n−チャネルFET14のソース領域64およびドレイン領域65,ならびにFET12の基板接触領域72を形成する。また、このイオン注入プロセスによって、ウエル46内にp導電型ドープ領域66に隣接してn導電型ドープ領域67,およびウエル48内にp導電型ドープ領域68に隣接してn導電型ドープ領域69も形成する。ソース領域64およびドレイン領域65は、それらの間およびゲート誘電体層54の下に、チャネル領域75を規定する。言い換えると、FET14のチャネル領域75は、ソース領域64をドレイン領域65から分離する。一例として、ソース領域64およびドレイン領域65は、約1x1015原子/cm3 および約5x1022原子/cm3 の間のドーパント濃度を有する。p導電型のドープ領域66およびn導電型のドープ領域67は、消去コンデンサ26の接触領域を形成する。同様に、p導電型のドープ領域68およびn導電型のドープ領域69は、プログラミング・コンデンサ28の接触領域を形成する。
【0017】
基板35上に絶縁層78を配し、平面化する。一例として、絶縁層78は二酸化シリコンであり、その厚さは約300nmないし約1500nmの範囲である。絶縁層78は、NVMセル10および基板35上に作成され得る他の素子(図示せず)間に電気的分離を備える。絶縁層78内にメタライゼーション領域を形成し、NVMセル10の電極を形成する。メタライゼーション領域81は、FET12のドレイン領域63およびFET14のドレイン領域65に接続され、NVMセル10の出力端子21として機能する。メタライゼーション領域82は、FET12の基板接触領域72に接続され、NVMセル10の第1基板端子22として機能する。メタライゼーション領域84は、FET14の基板接触領域74に接続され、NVMセル10の第2基板端子24として機能する。メタライゼーション領域86は、FET12のソース領域62に接続され、NVMセル10の第1ソース端子16として機能する。メタライゼーション領域88は、FET14のソース領域64に接続され、NVMセル10の第2ソース端子18として機能する。メタライゼーション領域87は、ウエル46内のドープ領域66,67によって形成された接触領域に接続され、NVMセル10の消去端子27として機能する。メタライゼーション領域89は、ウエル48内のドープ領域68,69によって形成された接触領域に接続され、NVMセル10のプログラミング端子29として機能する。
【0018】
図2を参照して既に説明したように、NVMセル10は、単一の導電層61を含む。したがって、NVMセル10は、単一レベル・ゲート不揮発性メモリ・セルまたは単一ポリ不揮発性メモリ・セルとも呼ばれる。NVMセル10は、当技術では既知の相補型金属酸化物半導体(CMOS)技術を用いて製造することができる。
【0019】
尚、NVMセル10の構造および製造プロセスは、図2を参照して先に説明したものには限定されないことは理解されよう。例えば、ゲート誘電体層52,54および誘電体層56,58は、単一の誘電体層51からパターニングすることには限定されない。これらは、異なる誘電体層の成長,堆積,および/またはパターニング・プロセスにおいて形成することも可能である。したがって、ゲート誘電体層52,54および誘電体層56,58の各々の厚さを個々に調節し、NVMセル10の性能を最適化することが可能である。加えて、ゲート誘電体層52,54および誘電体層56,58上の導電層61の部分を互いに分離し、絶縁層78内に形成するメタライゼーション領域(図示せず)を通じて、互いに電気的に結合することも可能である。
【0020】
NVMセル10を電気的にプログラムするには、例えば、接地電圧レベルのような基準電圧レベルに、ソース端子16と18,基板端子22と24,および消去端子27を結合する。出力端子21を印加電圧レベルから分離する。言い換えると、出力端子21をフローティング状態に放置する。プログラミング電圧は、例えば、約10ボルト(V)および約20Vの間であり、プログラミング端子29に印加する。プログラミング電圧は、誘電体層51の厚さに応じて変動する。通常、厚い誘電体層51では、プログラミング・プロセスを効率的に行うために、高いプログラミング電圧が必要となる。
【0021】
プログラミング電圧は、プログラミング・コンデンサ28、ならびにFET12のゲート・コンデンサ,FET14のゲート・コンデンサ,および消去コンデンサ26の並列結合を含む等価コンデンサ間で、容量的に分割される。これらの各キャパシタンス値のために、FET12のゲート誘電体層52,FET14のゲート誘電体層54,および消去コンデンサ26の誘電体層56間にかかるプログラミング電圧の部分は、プログラミング・コンデンサ28の誘電体層58間にかかるプログラミング電圧の部分よりも大きくなる。FET12,14の各ゲート誘電体層52,54の下および消去コンデンサ26の誘電体層56の下にある電荷キャリア、例えば、電子は、フローティング・ゲート15における高電圧によって引き寄せられる。ファウラー−ノルトハイム(Fowler-Nordheim) トンネリング・プロセスにおいて、電荷キャリアは、ゲート誘電体層52,ゲート誘電体層54,および誘電体層56を横切って、導電層61の対応する部分に注入される。フローティング・ゲート15は、負に荷電されるようになる。プログラミング電圧がNVMセル10から除去された後、注入されたキャリアは導電層61に残り、フローティング・ゲート15は負に荷電されたままとなる。したがって、第1論理値、例えば、論理1がNVMセル10に格納される。即ち、NVMセル10はプログラムされる。
【0022】
本発明の別の実施例では、NVMセル10をプログラムする際、ソース端子16,18および基板端子22,24を、例えば、接地電圧レベルのような基準電圧レベルに結合する。出力端子21は印加電圧レベルから分離される。プログラミング電圧は、プログラミング端子29および消去端子27双方に印加する。この実施例では、プログラミング電圧は、2つの等価なコンデンサ間で容量的に分割される。第1の等価コンデンサは、並列に結合されたプログラミング・コンデンサ28および消去コンデンサ26を含み、第2の等価コンデンサは、並列に結合されたFET12のゲート・コンデンサおよびFET14のゲート・コンデンサを含む。電荷キャリアは、FET12,14のゲート誘電体層52,54をそれぞれ介して、フローティング・ゲート15に注入される。
【0023】
プログラミング・プロセスの間、FET12,14のドレインは、フローティング状態に放置され、FET12,14のソースおよび基板は同じ電圧レベルに接続される。したがって、プログラミング・プロセスの間にFET12,14がブレーク・ダウンする確率は最少に抑えられ、FET12,14のブレークダウン電圧は、もはやNVMセル10に印加されるプログラミング電圧に制限を強いることはない。このために、従来技術の単一ポリ・フローティング・ゲート不揮発性メモリ素子よりも、高いプログラミング電圧,厚いゲート誘電体層52,54,および/または小さいFET12,14が可能となる。プログラミング電圧を高くすると、プログラミング・プロセスの時間効率が高くなる。厚いゲート誘電体層は、NVMセル10の信頼性を向上させる。加えて、厚いゲート誘電体層を有するFET12,14を製造するプロセスは、既存のCMOS製造プロセスと容易に適合させることができ、スケール・ダウンした素子を用いる新たなプロセスにおいて容易に実施される。小さなFET12,14は、NVMセル10のシリコン面積効率を高める。
【0024】
NVMセル10は、トンネリング・プロセスによってプログラムされることに限定される訳ではないことは理解されよう。例えば、NVMセル10は、ホット・キャリア注入プロセス(hot carrier injection process) によるプログラミングも可能である。ホット・キャリア注入プロセスによってNVMセル10をプログラムする実施例では、ソース端子16,基板端子22と24,および出力端子21を、例えば、接地電圧のような基準電圧に接続し、プログラミング電圧をプログラミング端子29に印加し、例えば、約1Vおよび約10Vの間のソース電圧をソース端子18に印加する。消去端子27は、プログラミング電圧に接続することができ、基準電圧に接続することができ、あるいはフローティング状態に放置することができる。好ましくは、ソース電圧は、出力端子21に印加する基準電圧よりも高くする。プログラミング・プロセスの間、ソース領域64はFET14のドレインとして機能し、ドレイン領域65はFET14のソースとして機能する。即ち、FET14は逆モードで動作する。ドレイン領域65から発生する電荷キャリア、例えば、電子は、ホット・キャリア注入プロセスにおいて、フローティング・ゲート15の下のチャネル領域75において加速され、ソース領域64に隣接するフローティング・ゲート15に注入される。
【0025】
NVMセル10を電気的に消去するには、ソース端子16と18,基板端子22と24,およびプログラミング端子29を、例えば、接地電圧レベルのような基準電圧レベルに結合する。出力端子21は、印加する電圧レベルから分離される。言い換えると、出力端子21はフローティング状態に放置される。例えば、約10Vおよび約20Vの間の消去電圧を、消去端子27に印加する。
【0026】
消去電圧は、消去コンデンサ26、ならびにFET12のゲート・コンデンサ,FET14のゲート・コンデンサ,およびプログラミング・コンデンサ28の並列結合を含む等価コンデンサの間で容量的に分割される。これらの各キャパシタンス値のために、消去コンデンサ26の誘電体層56間にかかる消去電圧の部分は、FET12のゲート誘電体層52,FET14のゲート誘電体層54,およびプログラミング・コンデンサ28のゲート誘電体層58間よりも大きくなる。フローティング・ゲート15上の電荷キャリア、例えば、電子は、消去端子27における高電圧に引き寄せられる。ファウラー−ノルトハイム・トンネリング・プロセスにおいて、電荷キャリアは、消去コンデンサ26の誘電体層56を横切ってウエル46に注入される。好ましくは、フローティング・ゲート15がほぼ中性になるか、あるいは正に荷電されるまで、消去プロセスを継続する。消去電圧をNVMセル10から除去した後、フローティング・ゲート15はほぼ中性または正に荷電されたままとなっている。第2論理値、例えば、論理0がNVMセル10に格納される。即ち、NVMセル10は消去される。
【0027】
消去プロセスの間、FET12,14のドレインは、フローティング状態に放置され、FET12,14のソースおよび基板は同じ電圧レベルに結合される。したがって、FET12,14は消去プロセスの間ブレーク・ダウンせず、FET12,14のブレークダウン電圧は、もはやNVMセル10に印加する消去電圧に制限を強いることはない。これによって、従来技術の単一ポリ・フローティング・ゲート不揮発性メモリ素子よりも、高い消去電圧,厚いゲート誘電体層52と54,および/または小さいFET12と14が可能となる。高い消去電圧は、消去プロセスの時間効率を高める。
【0028】
NVMセル10からデータを読み出すには、ソース端子16および基板端子22を、例えば、供給電圧レベルVDDのような論理ハイ電圧レベルに結合する。一例として、供給電圧レベルVDDは、約0.9Vから約5Vの範囲である。ソース端子18および基板端子24は、例えば、接地電圧レベルのような論理ロー電圧レベルに結合する。例えば、約−5Vおよび+5Vの間の読み出し電圧を、プログラミング端子29に印加する。消去端子27は、読み出し電圧に接続することができ、接地に接続することができ、あるいはフローティング状態に放置することができる。フローティング・ゲート15は、ソース端子16と18,基板端子22と24,消去端子27,およびプログラミング端子29に容量的に結合されているので、これらの端子に印加される電圧およびフローティング・ゲート15に蓄積される電荷が、フローティング・ゲート15の電圧レベルを決定する。
【0029】
NVMセル10がプログラムされている場合、フローティング・ゲート15は負に荷電され、FET12,14の有効スレシホルド電圧は、フローティング・ゲート15がほぼ中性である場合のそれらの各内因性スレシホルド電圧よりも高くなる。言い換えると、FET12,14の有効スレシホルド電圧は、NVMセル10がプログラムされている場合、それらの各内因性スレシホルド電圧よりも正側に大きくなるか、あるいは負側に小さくなる。NVMセル10が消去されている場合、フローティング・ゲート15はほぼ中性または正に荷電されており、FET12,14の有効スレシホルド電圧は、それらの各内因性スレシホルド電圧にほぼ等しいかそれより低くなる。好ましくは、読み出しプロセスの間NVMセル10にバイアスをかけ、フローティング・ゲート15の電圧レベルがNVMセル10がプログラムされている場合のFET12,14の有効スレシホルド電圧よりも低くなるようにする。更に、フローティング・ゲート15の電圧レベルは、NVMセル10が消去されている場合のFET12,14の有効スレシホルド電圧よりも高いことが好ましい。したがって、プログラムされているNVMセル10からデータを読み出す際、p−チャネルFET12は導通状態となり、n−チャネルFET14は非導通状態となる。出力端子21における電圧レベルは、ソース端子16における論理ハイ電圧にほぼ引き上げられる。この電圧レベルは、第1論理値、例えば、論理1を表す。一方、消去されたNVMセル10からデータを読み出す際、p−チャネルFET12は非導通状態となり、n−チャネルFET14は導通状態となる。出力端子21における電圧レベルは、ソース端子18における論理ロー電圧レベルまでほぼ引き下げられる。この電圧レベルは、第2論理値、例えば、論理0を表す。
【0030】
読み出しプロセスの間、出力端子21における電圧レベルは、NVMセル10がプログラムされている場合には論理ハイ電圧レベルに引き上げられ、あるいはNVMセル10が消去されている場合には論理ロー電圧レベルに引き下げられる。したがって、NVMセル10からデータを読み出すために、センス・アンプは不要となる。センス・アンプを含むメモリ素子と比較すると、NVMセル10は簡単であり、製造が容易であり、シリコン面積の効率が高い。加えて、NVMセル10はCMOS反転器のように動作する。即ち、読み出しプロセスの間、FET12,14の一方のみが導通状態となる。NVMセル10の出力端子29が容量性負荷、例えば、絶縁ゲートFETのゲートに接続されている場合、NVMセル10の直流(DC)の消費は、読み出しプロセスの間はほぼゼロである。したがって、NVMセル10は、電力効率が高く、低電力用途に適している。
【0031】
図3は、本発明の第2実施例によるメモリ素子、例えば、NVMセル90の構成図である。図1に示したNVMセル10と同様、NVMセル90は、p−チャネル・フローティング・ゲートFET12,n−チャネル・フローティング・ゲートFET14,消去コンデンサ26,およびプログラミング・コンデンサ28を含む。NVMセル90の構造は、図1に示したNVMセル10のそれと類似している。NVMセル90とNVMセル10との相違は、NVMセル90では、プログラミング・コンデンサ28の第2電極がFET12の基板電極に接続されていることである。したがって、NVMセル90は、図1に示したNVMセル10の基板端子22のような、FET12の基板電極に接続され、かつプログラミング・コンデンサ28の第2電極から分離された基板端子を有さない。
【0032】
図4は、図3に概略的に示したNVMセル90の断面図である。図2に示したNVMセル10と同様、NVMセル90は、例えば、シリコン基板35のような半導体物質の本体上に作成する。NVMセル90の構造は、図2に示したNVMセル10のそれと類似している。NVMセル90とNVMセル10との構造の相違は、NVMセル90では、プログラミング・コンデンサ28をp−チャネルFET12と同じウエル、即ち、ウエル42内に形成していることである。したがって、NVMセル90は、n−導電性のウエルを2つ、即ち、ウエル42,46を含む。FET12およびプログラミング・コンデンサ28を同じウエル内に形成することによって、図2に示したNVMセル10のシリコン面積と比較して、NVMセル90のシリコン面積は減少する。しかしながら、FET12とプログラミング・コンデンサ28との分離性を高めるには、異なるウエル内にこれらを形成する。
【0033】
図4に示すように、NVMセル90は、単一の導電層61を含む。したがって、NVMセル90は、単一レベル・ゲート不揮発性メモリ・セルまたは単一ポリ不揮発性メモリ・セルとも呼ばれる。NVMセル90は、当技術では既知のCMOS技術を用いて製造することができる。
【0034】
NVMセル90のプログラミング,消去,および読み出しのプロセスは、NVMセル10のプログラミング,消去,および読み出しのプロセスとそれぞれ同様である。トンネリング・プロセスによってNVMセル90をプログラムする実施例では、プログラミング電圧をプログラミング端子29に印加する。したがって、NVMセル90をプログラムする場合、FET12の基板もプログラミング電圧に接続される。NVMセル90をプログラムする代替実施例では、プログラミング端子29および消去端子27の双方にプログラミング電圧を印加する。NVMセル90をプログラムする別の代替実施例では、プログラミング端子29およびソース端子16の双方にプログラミング電圧を印加する。NVMセル90をプログラムする更に別の代替実施例では、プログラミング端子29,消去端子27,およびソース端子16にプログラミング電圧を印加する。図1および図2に示したNVMセル10と同様、NVMセル90も、FET14を逆モードで動作させることにより、ホット・キャリア・プロセスによってプログラムすることが可能である。
【0035】
図5は、本発明の第3実施例による、メモリ素子、例えば、NVMセル100の構成図である。図1に示したNVMセル10と同様、NVMセル100は、p−チャネル・フローティング・ゲートFET12,n−チャネル・フローティング・ゲートFET14,および消去コンデンサ26を含む。NVMセル100は、更に、2つのプログラミング・コンデンサ122,124を含む。プログラミング・コンデンサ122の第1電極およびプログラミング・コンデンサ124の第1電極は、フローティング・ゲート15に接続されている。プログラミング・コンデンサ122の第2電極は、NVMセル100の行プログラミング端子121として機能する。プログラミング・コンデンサ124の第2電極は、NVMセル100の列プログラミング端子123として機能する。プログラミング・コンデンサ122,124は、図1に示したNVMセル10におけるプログラミング・コンデンサ28と同様の機能を行う。好ましくは、プログラミング・コンデンサ122,124のキャパシタンス値は、FET12のゲート・キャパシタンス,FET14のゲート・キャパシタンス,および消去コンデンサ26のキャパシタンスの和よりも遥かに大きい値とする。更に、これらは、互いにほぼ等しいことが好ましい。
【0036】
図6は、図5に概略的に示したNVMセル100の断面図である。図2に示したNVMセル10と同様、NVMセル100は、例えば、シリコン基板35のような半導体物質の本体上に作成する。NVMセル100の構造は、図2に示したNVMセル10と類似している。NVMセル100とNVMセル10との構造上の相違は、NVMセル100は、n導電型の2つのウエル142,144内に作成された2つのプログラミング・コンデンサ122,124を有する点にある。プログラミング・コンデンサ122は、主面36上に、ウエル142の上に位置する誘電体層152を有する。p導電型のドープ領域162およびn導電型のドープ領域163が、プログラミング・コンデンサ122の接触領域を形成する。プログラミング・コンデンサ124は、主面36上に、ウエル144の上に位置する誘電体層154を有する。p導電型のドープ領域164およびn導電型のドープ領域165が、プログラミング・コンデンサ124の接触領域を形成する。一実施例では、誘電体層152,154は、FET12,14の各ゲート誘電体層52,54を形成するのと同じプロセス工程を用いて、誘電体層51から形成する。他の実施例では、誘電体層152,154は、誘電体層51とは異なる誘電体層(図示せず)を用いて形成する。p導電型のドープ領域162,164は、好ましくは、FET12のソース領域62およびドレイン領域63と同じプロセス工程を用いて形成する。同様に、n導電型のドープ領域163,165は、好ましくは、FET14のソース領域64およびドレイン領域65と同じプロセスを用いて形成する。FET12,14のフローティング・ゲート15(図5に示す)を形成する導電層61も、誘電体層152,154の上に位置する。好ましくは、絶縁層76は、誘電体層152およびその上にある導電層61の部分によって形成されるプログラミング・コンデンサ122の構造,誘電体層154およびその上にある導電層61の部分によって形成されるプログラミング・コンデンサ124の構造の双方を封止する。絶縁層78内のメタライゼーション領域171は、ウエル142内の接触領域を電気的に結合し、プログラミング・コンデンサ122の第2電極として機能する。メタライゼーション領域171は、行プログラミング端子121に結合されている。絶縁層78内のメタライゼーション領域173は、ウエル144内の接触領域を電気的に結合し、プログラミング・コンデンサ124の第2電極として機能する。メタライゼーション領域173は、列プログラミング端子123に結合されている。
【0037】
図6に示すように、NVMセル100は単一の導電層61を含む。したがって、NVMセル100は、単一レベル・ゲート不揮発性メモリ・セルまたは単一ポリ不揮発性メモリ・セルとも呼ばれる。NVMセル100は、当技術では既知のCMOS技術を用いて製造することができる。NVMセル100の消去および読み出しを行うプロセスは、既に説明した図1および図2のNVMセル10の消去および読み出しをそれぞれ行うプロセスと同様である。NVMセル100をプログラムするプロセスは、ハーフ・セレクト機構(half-select mechanism) と呼ばれる機構を用いて実施する。これについては、以下で説明する。
【0038】
図7は、本発明の第4実施例によるNVMセル200のブロック図である。NVM素子200は、行と列に配列されたNVMセルのアレイを含む。好ましくは、NVM素子200内のNVMセルは、図5および図6に示したNVMセル100と構造的に同一とする。図7は、3行および3列に配列した9つのNVMセルを有するNVM素子200を示す。しかしながら、これは、本発明の限定ではない。本発明によれば、NVM素子200は、あらゆる数の行およびあらゆる数の列に配列したNVMセルのアレイでも含むことが可能である。
【0039】
NVM素子200内のNVMセルは、それらの位置、例えば、アレイ内におけるそれらの行番号および列番号によってアドレスされる。第1行には、NVMセル110,120,130が、第1,第2,および第3列にそれぞれ配置されている。第2行には、NVMセル210,220,230が、第1,第2,および第3列にそれぞれ配置されている。第3行には、NVMセル310,320,330が、第1,第2,および第3列にそれぞれ配置されている。
【0040】
NVM素子200のプログラムは、行プログラミング・ライン201,203,205および列プログラミング・ライン202,204,206を通じて行われる。行プログラミング・ライン201は、第1行内のNVMセル110,120,130の行プログラミング端子に接続されている。行プログラミング・ライン203は、第2行内のNVMセル210,220,230の行プログラミング端子に接続されている。行プログラミング・ライン205は、第3行内のNVMセル310,320,330の行プログラミング端子に接続されている。列プログラミング・ライン202は、第1列内のNVMセル110,210,310の列プログラミング端子に接続されている。列プログラミング・ライン204は、第2列内のNVMセル120,220,320の列プログラミング端子に接続されている。列プログラミング・ライン206は、第3列内のNVMセル130,230,330の列プログラミング・端子に接続されている。
【0041】
アレイ内のメモリ・セル、例えば、NVMセル220を電気的にプログラムするには、行プログラミング・ライン201,205および列プログラミング・ライン202,206を基準電圧レベル、例えば、接地電圧レベルに結合する。アレイ内の各NVMセルの消去端子,基板端子,およびソース端子も、接地に結合する。行プログラミング・ライン203および列プログラミング・ライン204にプログラミング電圧を印加する。
【0042】
プログラミング・プロセスの間、NVMセル110,130,310,330の行プログラミング端子および列プログラミング端子は、接地電圧レベルにある。したがって、NVMセル110,130,310,330は、NVMセル220をプログラムするプロセスには関与しない。
【0043】
NVMセル220と同じ行内にある、NVMセル210,230は、それらの行プログラミング端子がプログラミング電圧レベルにあり、それらの列プログラミング端子が接地電圧レベルにある。NVMセル210,230の各々では、プログラミング電圧は、プログラミング・コンデンサ122(図5に示した),ならびにプログラミング・コンデンサ124,FET12のゲート・コンデンサ,FET14のゲート・コンデンサ,および消去コンデンサ26(図5に示した)の並列結合を含む等価コンデンサの間で容量的に分割される。これらの各キャパシタンス値のために、FET12のゲート誘電体層52,FET14のゲート誘電体層54,および消去コンデンサ26(図6に示した)の誘電体層56の間の電圧は、プログラミング電圧よりも大幅に低くなっている。例えば、FET12のゲート誘電体層52,FET14のゲート誘電体層54,および消去コンデンサ26(図6に示した)の誘電体層56の間の電圧は、プログラミング電圧の半分にほぼ等しい場合もある。好ましくは、重大なトンネリングが発生しないように、この電圧を十分に低くする。したがって、NVMセル210,230は、NVM素子200内のNVMセル220をプログラムするプロセスには関与しない。
【0044】
NVMセル220と同じ列にある、NVMセル120,320は、それらの行プログラミング端子が接地電圧レベルにあり、それらの列プログラミング端子がプログラミング電圧レベルにある。NVMセル120,320の各々では、プログラミング電圧は、プログラミング・コンデンサ124(図5に示した),ならびにプログラミング・コンデンサ122,FET12のゲート・コンデンサ,FET14のゲート・コンデンサ,および消去コンデンサ26(図5に示した)の並列結合を含む等価コンデンサの間で容量的に分割される。これらの各キャパシタンス値のために、FET12のゲート誘電体層52,FET14のゲート誘電体層54,および消去コンデンサ26(図6に示した)の誘電体層56の間の電圧は、プログラミング電圧よりも大幅に低くなっている。例えば、FET12のゲート誘電体層52,FET14のゲート誘電体層54,および消去コンデンサ26(図6に示した)の誘電体層56の間の電圧は、プログラミング電圧の半分にほぼ等しい場合もある。好ましくは、重大なトンネリングが発生しないように、この電圧を十分に低くする。したがって、NVMセル120,320は、NVM素子200内のNVMセル220をプログラムするプロセスには関与しない。NVMセル220では、プログラミング電圧は2つの等価なコンデンサ間で容量的に分割される。第1の等価コンデンサは、並列に結合されたプログラミング・コンデンサ122,124(図5に示した)を含み、第2の等価コンデンサは、並列に結合された、FET12のゲート・コンデンサ,FET14のゲート・コンデンサ,および消去コンデンサ26(図5に示した)を含む。これらの各キャパシタンス値のために、FET12の誘電体層52,FET14のゲート誘電体層54,および消去コンデンサ26(図6に示した)の誘電体層56にかかるプログラミング電圧の部分は、プログラミング・コンデンサ122の誘電体層152およびプログラミング・コンデンサ124(図6に示した)の誘電体層154にかかるプログラミング電圧の部分よりも大きい。FET12,14の各ゲート誘電体層52,54の下、および消去コンデンサ26の誘電体層56の下にある電荷キャリア、例えば、電子は、フローティング・ゲート15における高電圧によって引き寄せられる。ファウラー−ノルトハイム・トンネリング・プロセスにおいて、電荷キャリアは、ゲート誘電体層52,ゲート誘電体層54,および誘電体層56を横切って、導電層61の対応する部分に注入される。フローティング・ゲート15は負に荷電される。プログラミング電圧がNVM素子200から除去された後、注入されたキャリアは導電層61に残り、フローティング・ゲート15は負に荷電されたままとなる。したがって、第1論理値、例えば、論理1がNVMセル220に格納される。即ち、NVMセル220はプログラムされる。
【0045】
尚、NVM素子200内のNVMセルは、ホット・キャリア注入プロセスによってプログラムすることも可能であることは理解されよう。ホット・キャリア注入プロセスによってNVM素子200内のNVMセルをプログラムする際、NVMセル内のn−チャネルFETは逆モードで動作する。図1および図2に示したNVMセル10を参照しながら先に説明したホット・キャリア注入プロセスと同様、n−チャネルFETのチャネル領域から、NVM素子200内のNVMセルのフローティング・ゲートに、キャリア、例えば、電子が注入される。
【0046】
以上の説明から、電気的消去可能およびプログラム可能NVM素子ならびに当該NVM素子にアクセスする方法が提供されたことが認められよう。このNVM素子は、共通のフローティング・ゲートを共有する、2つのフローティング・ゲートFETを含む。また、NVM素子は、フローティング・ゲートに結合された、プログラミング・コンデンサおよび消去コンデンサも含む。このNVM素子の製造プロセスは、既存のCMOS製造プロセスと適合性があり、スケール・ダウンしたFETを用いる新しいプロセスにおいて容易に実施することができる。NVM素子は、電荷をフローティング・ゲートに向けて移動させる、あるいはフローティング・ゲートから遠ざけるように移動させることによって、そのプログラムおよび消去を行う。本発明によれば、FETのブレークダウン電圧は、プログラミング・プロセスおよび消去プロセスの間、バイアス電圧には殆ど制限を強いない。したがって、従来技術のNVM素子と比較して、NVM素子の信頼性およびシリコン面積の効率が向上する。また、プログラミング・プロセスおよび消去プロセスの時間効率も改善される。NVM素子からデータを読み出す場合、NVM素子はCMOS反転器のように動作し、反転器の出力における電圧は、論理ハイ電圧レベルに引き上げられるか、あるいは論理ロー電圧レベルに引き下げられる。したがって、センス・アンプを用いることなく、NVM素子からデータが読み出される。センス・アンプを含む従来技術のメモリ素子と比較すると、本発明のNVM素子は、簡単であり、製造が容易であり、シリコン面積効率が高い。加えて、本発明のNVM素子は、電力効率も高く、低電力用途に適している。
【0047】
以上、本発明の特定実施例について示しかつ説明したが、更に別の変更や改良も当業者には想起されよう。例えば、トレンチ,高濃度にドープしたシンカ(sinker),および/または高濃度にドープした埋め込み層を用いて、NVM素子の個々の素子間に信号分離を設けることが可能である。更に、NVM素子は、n導電性の半導体基板を用いて製造することも可能である。また、NVM素子は、エピタキシャル成長させた半導体層または絶縁物上シリコン(SOI)基板を用いて製造することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例によるメモリ素子を示す図。
【図2】本発明の第1実施例によるメモリ素子を示す図。
【図3】本発明の第2実施例によるメモリ素子を示す図。
【図4】本発明の第2実施例によるメモリ素子を示す図。
【図5】本発明の第3実施例によるメモリ素子を示す図。
【図6】本発明の第3実施例によるメモリ素子を示す図。
【図7】本発明の第4実施例によるメモリ素子を示す図。
【符号の説明】
10 NVMセル
12,14 フローティング・ゲート・トランジスタ
15 フローティング・ゲート
16 第1ソース端子
18 第2ソース端子
22 第1基板端子
24 第2基板端子
26 消去コンデンサ
27 消去端子
28 プログラミング・コンデンサ
29 プログラミング端子
35 シリコン基板
36 主面
42,46,48 n導電型ウエル
49 フィールド酸化物領域
51 二酸化シリコン層
52,54 ゲート誘電体層
56,58 誘電体層
61 導電層
62 ソース領域
63,65 ドレイン領域
64 ソース領域
66,68 p導電型ドープ領域
67,69 n導電型ドープ領域
72,74 基板接触領域
73,75 チャネル領域
76,78 絶縁層
81〜89 メタライゼーション領域
90 NVMセル
100 NVMセル
110,120,130 NVMセル
122,124 プログラミング・コンデンサ
142,144 ウエル
152,154 誘電体層
162,164 p導電型ドープ領域
163,165 n導電型ドープ領域
173 メタライゼーション領域
200 NVMセル
210,220,230 NVMセル
310,320,330 NVMセル
201,203,205 行プログラミング・ライン
202,204,206 列プログラミング・ライン

Claims (4)

  1. 半導体基板上に形成された単一層ゲート不揮発性メモリ素子であって:
    フローティング・ゲート,第1電流導通電極に結合されたソース領域,および第2電流導通電極に結合されたドレイン領域を有する第1フローティング・ゲート・トランジスタ;
    前記第1フローティング・ゲート・トランジスタの前記フローティング・ゲートに結合されているフローティング・ゲート,第3電流導通電極に結合されたソース領域,および前記第2電流導通電極に結合されたドレイン領域を有する第2フローティング・ゲート・トランジスタ;
    前記第1フローティング・ゲート・トランジスタの前記フローティング・ゲートに結合されている第1の電極と、前記半導体基板内の第1ウエルにより形成された第2の電極とを有するプログラミング・コンデンサ;および
    前記第1フローティング・ゲート・トランジスタの前記フローティング・ゲートに結合されている第3の電極と、前記半導体基板内の第2ウエルにより形成された第4の電極とを有する消去コンデンサ;
    から成り、前記消去コンデンサのキャパシタンスは第1及び第2のフローティング・ゲート・トランジスタのゲート・キャパシタンスよりも小さく、前記プログラミング・コンデンサのキャパシタンスは前記第1及び第2のフローティング・ゲート・トランジスタのゲート・キャパシタンスの和と前記消去コンデンサのキャパシタンスとの和よりも大きいことを特徴とする単一層ゲート不揮発性メモリ素子。
  2. 単一層ゲート不揮発性メモリ素子であって:
    主面を有する半導体物質の本体;
    前記半導体物質の本体内にある第1導電型の第1ウエル;
    前記半導体物質の本体内にある第1導電型の第2ウエル;
    前記半導体物質の本体内にある第1導電型の第3ウエル;
    ここで、前記半導体物質は第2導電型を有し、
    前記第1ウエル内にある第2導電型の第1ソース領域;
    前記第1ウエル内にある第2導電型の第1ドレイン領域;
    前記第1ウエル内にあり、前記第1ドレイン領域から前記第1ソース領域を分離する第1チャネル領域;
    前記第1チャネル領域の上に位置する第1ゲート誘電体層;
    前記第1ウエル、前記第2ウエル、および前記第3ウエルの外側の、前記半導体物質の本体の部分にある、第1導電型の第2ソース領域;
    前記半導体物質の本体の前記部分内にあり、前記第1ドレイン領域に電気的に結合されている第1導電型の第2ドレイン領域;
    前記半導体物質の本体の前記部分内にあり、前記第2ドレイン領域から前記第2ソース領域を分離する第2チャネル領域;
    前記第2チャネル領域の上に位置する第2ゲート誘電体層;
    前記第2ウエルの上に位置する第1誘電体層;
    前記第2ウエル内にある第1コンタクト領域;
    前記第3ウエルの上に位置する第2誘電体層;
    前記第3ウエル内にある第2コンタクト領域;および
    前記半導体の本体上にある導電層であって、該導電層の第1部分は前記第1ゲート誘電体層の上に位置し、前記導電層の第2部分は前記第2ゲート誘電体層の上に位置し前記導電層の前記第1部分に電気的に結合され、前記導電層の第3部分は前記第1誘電体層の上に位置し前記導電層の前記第1部分に電気的に結合され、前記導電層の第4部分は前記第2誘電体層の上に位置し前記導電層の前記第1部分に電気的に結合されている、導電層;
    から成り、前記第1ソース領域,前記第1チャネル領域,前記第1ドレイン領域,前記第1ゲート誘電体層,および前記導電層の前記第1部分は、第1フローティング・ゲート電界効果トランジスタを形成し、前記第2ソース領域,前記第2チャネル領域,前記第2ドレイン領域,前記第2ゲート誘電体層,および前記導電層の前記第2部分は、第2フローティング・ゲート電界効果トランジスタを形成し、前記第1コンタクト領域,前記第2ウエル,前記第1誘電体層,および前記導電層の前記第3部分は、消去コンデンサを形成し、前記第2コンタクト領域,前記第3ウエル,前記第2誘電体層,および前記導電層の前記第4部分は、プログラミング・コンデンサを形成し、前記消去コンデンサのキャパシタンスは第1及び第2のフローティング・ゲート・トランジスタのゲート・キャパシタンスよりも小さく、前記プログラミング・コンデンサのキャパシタンスは前記第1及び第2のフローティング・ゲート・トランジスタのゲート・キャパシタンスの和と前記消去コンデンサのキャパシタンスとの和よりも大きいことを特徴とする単一層ゲート不揮発性メモリ素子。
  3. 前記第1ウエルと前記第3ウエルとが結合されていることを特徴とする、請求項2記載の単一層ゲート不揮発性メモリ素子
  4. 前記半導体物質の本体内にある、第1導電型の第4ウエル;
    前記第4ウエルの上に位置する第3誘電体;および
    前記第4ウエル内にある第3コンタクト領域
    を更に含み、前記導電層の第5部分は前記第3誘電体層の上に位置し、前記導電層の前記第1部分に電気的に結合されており、前記第3コンタクト領域,前記第4ウエル,前記第3誘電体層,および前記導電層の前記第5部分は第2プログラミング・コンデンサを形成することを特徴とする請求項記載の単一層ゲート不揮発性メモリ素子。
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