JP4460864B2 - ハロゲン化銀カラー写真感光材料およびシアニン化合物 - Google Patents

ハロゲン化銀カラー写真感光材料およびシアニン化合物 Download PDF

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Description

本発明は、シアニン化合物およびハロゲン化銀カラー写真感光材料に関するものであり、詳しくは迅速処理に適し、高感度で処理液変動による階調の変化やカブリの増大が少ないシアニン化合物および該シアニン化合物を用いたハロゲン化銀カラー写真感光材料に関する。
カラー写真は、色素形成カプラーとハロゲン化銀乳剤を支持体上に有する感光材料を、芳香族第一級アミン系発色現像主薬で現像処理することによって、生成する現像主薬の酸化体と色素形成カプラーとの反応により色素形成画像を得る方法で、高画質なカラープリントが得られることはよく知られているところである。
しかし、近年、他のカラープリント方式として、インクジェット方式、昇華型方式、カラーゼログラフィー等も技術がそれぞれ進歩し、写真画質を謳うなど、カラープリント方式として認知されつつある。それゆえ、このハロゲン化銀カラー写真方式としては、最大の特徴である、高画質、高生産性、そして画像の高堅牢性をさらに向上させ、より高生産でより高品質の写真をより簡単にしかもより安価に提供することが熱望されている。
現在の高塩化銀乳剤を含有する感光材料は、発色現像時間45秒で処理し、トータル処理時間を約4分とする処理が通常行われている。(例えば富士写真フイルム(株)製カラー処理CP-45X等)。上記に示した他のカラープリント方式の処理時間と比べれば高塩化銀カラープリント材料の処理システムは満足のいく迅速性とは言い難い。処理の迅速化は、生産性向上にもつながり、高塩化銀カラープリント材料のトータル処理時間の更なる迅速化(超迅速処理化)が望まれ、多くの検討がされてきた。
分光増感のために用いられる増感色素においては、構造上の僅かな違いが、感度・被り・保存安定性・処理後の残存着色(残色)などの写真性能に大きな影響を与えるため、ハロゲン化銀粒子を高感度に、かつ被りや残色等の悪影響を生じさせずに分光増感できる増感色素の開発が上記の高塩化銀カラープリント材料には必須である。
ところが近年の高感度化の強い要求から来る色素添加量の増大の一方で、上記のような写真処理の迅速化、環境問題に対応するための処理廃液の低減にも対応しなければならず、従来の色素ではこのような要求に応えられなくなってきている。
従来と異なる塩基性核を有するシアニン化合物を増感色素として使用した例としては下記のものがある。
(1)チエノチアゾールまたはチエノセレナゾール核を有するモノメチンシアニン色素と実質的に塩化銀であるハロゲン化銀粒子を含有するハロゲン化銀乳剤層を含むハロゲン化銀写真感光材料(特許文献1参照)。
(2)5員または6員の複素環が縮合したアゾール母核を有するメチン色素とアスペクト比2.0以上の平板状ハロゲン化銀粒子または平均粒径3.0μm以下の正常晶ハロゲン化銀を含有するハロゲン化銀乳剤(特許文献2参照)。
(3)特定のヘテロ環が縮合したアゾール核を有する増感色素を含有するハロゲン化銀写真感光材料(特許文献3参照)。
しかしこれらに記載の増感色素を用いるだけでは、カラープリント材料に要求される迅速処理適性と感度の両立の点で不十分な性能しか得られず、さらに乳剤側の改良が必要であった。
乳剤側での迅速処理への対応としては、小サイズ高塩化銀粒子を用いて現像速度を速めることが有効であるが、同時に感度も低下してしまうことは、当業界ではよく知られている。その対策として高塩化銀乳剤にヨウ化物を導入して高感化する技術が、近年多数開示されている(例えば特許文献4,5参照)。しかしこれらの特許文献記載の技術のみでは迅速処理において、感度、カブリ、階調などで十分満足な性能が得られていない。
先述の特定のヘテロ環が縮合したアゾール核を有するメチン色素とヨウ塩化銀立方体乳剤の組み合わせも既に開示されているが(特許文献6参照)、ここではヨウ化物イオン、臭化物イオンの導入位置や乳剤粒子サイズの大小が写真性能に与える影響に関する議論は行われておらず、ここに詳細な検討を加えることにより、今回の発明を構成するに到った。
特許第2791499号明細書 特開2000−63690号公報 特開2002−23295号公報 米国特許第5,726,005号明細書 米国特許第5,736,310号明細書 特開2001−343722号公報
本発明の課題は、レーザー走査露光の様なデジタル露光においても現像進行性が速く、迅速処理においても高感度で残色が少なく、処理要因変動による階調変化やカブリの増大が少ないハロゲン化銀カラー感光材料を提供することにある。
本発明の課題は鋭意研究を行なった結果、下記の<1>〜<14>によって達成することができた。すなわち、
<1> 支持体上にイエロー発色青感光性ハロゲン化銀乳剤層を少なくとも1層有するハロゲン化銀カラー写真感光材料において、該イエロー発色青感性ハロゲン化銀乳剤層中のハロゲン化銀粒子が塩化銀含有率90%以上で、0.05〜1.00モル%のヨウ化銀を含有し、ヨウ化銀含有相が粒子の内側から測って粒子体積の85%から100%の位置のいずれかに形成されている、立方体辺長として0.6μm以下の{100}面を持つ立方体または14面体の結晶粒子から成り、かつ、下記一般式(II)または一般式(III)で表される色素の少なくとも一種によって分光増感されていることを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料。
一般式(II)
Figure 0004460864
一般式(II)中、R3およびR4の一方はカルボキシメチル基またはメタンスルホニルカルバモイルメチル基を表し、他方は2−スルホエチル基、3−スルホプロピル基、4−スルホブチル基または3−スルホブチル基を表す。V1は水素原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基またはハロゲン原子を表し、V2は水素原子を表す。M1は対イオンを表し、m1は分子中の電荷を中和させるために必要な0以上の数を表す。
一般式(III)
Figure 0004460864
一般式(III)中、R5およびR6の一方はカルボキシメチル基またはメタンスルホニルカルバモイルメチル基を表し、他方は2−スルホエチル基、3−スルホプロピル基、4−スルホブチル基または3−スルホブチル基を表す。V3は水素原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基またはハロゲン原子を表し、V4は水素原子を表す。M2は対イオンを表し、m2は分子中の電荷を中和させるために必要な0以上の数を表す。
<2> 前記V1またはV3がハロゲン原子であることを特徴とする<1>に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
> 前記一般式(II)または(III)で表される色素が、前記一般式(II)で表される色素であることを特徴とする<1>または<2>に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
> 前記イエロー発色青感性ハロゲン化銀乳剤層中の前記ハロゲン化銀粒子が0.1〜7モル%の臭化銀を含有し、臭化銀含有相が粒子の内側から測って粒子体積の50%から100%で、前記ヨウ化銀含有相よりも内側の位置のいずれかに形成されていることを特徴とする<1>〜<>のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
> 前記イエロー発色青感性ハロゲン化銀乳剤層中の前記ハロゲン化銀粒子がイリジウム錯体を含有していることを特徴とする<1>〜<>のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
> 前記イリジウム錯体が、有機配位子として、5員環または6員環の複素環化合物を有することを特徴とする<>に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
> 前記イエロー発色青感性ハロゲン化銀乳剤層中の前記ハロゲン化銀乳剤が金増感されていることを特徴とする<1>〜<>のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
> 前記ハロゲン化銀カラー写真感光材料の塗布銀量が、0.2g/m〜0.45g/mであることを特徴とする<1>〜<>のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
> 前記イエロー発色青感性ハロゲン化銀乳剤層中に、下記一般式(IV)で表される化合物を含有することを特徴とする<1>〜<>のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
一般式(IV)
Figure 0004460864
一般式(IV)中、Chは酸素原子、硫黄原子、セレン原子またはテルル原子を表す。Aは2個以上のベンゼン環および/または複素環が縮合した芳香族環を形成する原子群を表す。Zは水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、または分子全体としてシアニン色素を構成するのに必要な残基を表す。R7は置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表す。M7は対イオンを表し、m7は分子中の電荷を中和させるために必要な0以上の数を表す。
10記一般式(IV)で表される化合物が下記一般式(V)で表されることを特徴とする<>に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
一般式(V)
Figure 0004460864
一般式(V)中、Z8は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、または分子全体としてモノメチンシアニン色素を構成するのに必要な残基を表す。R8は置換または無置換のアルキル基を表す。M8は対イオンを表し、m8は分子中の電荷を中和させるために必要な0以上の数を表す
11> 下記一般式(II)または一般式(III)で表されるシアニン化合物。
一般式(II)
Figure 0004460864
一般式(II)中、R3およびR4の一方はカルボキシメチル基またはメタンスルホニルカルバモイルメチル基を表し、他方は2−スルホエチル基、3−スルホプロピル基、4−スルホブチル基または3−スルホブチル基を表す。V1は水素原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基またはハロゲン原子を表し、V2は水素原子を表す。M1は対イオンを表し、m1は分子中の電荷を中和させるために必要な0以上の数を表す。
一般式(III)
Figure 0004460864
一般式(III)中、R5およびR6の一方はカルボキシメチル基またはメタンスルホニルカルバモイルメチル基を表し、他方は2−スルホエチル基、3−スルホプロピル基、4−スルホブチル基または3−スルホブチル基を表す。V3は水素原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基またはハロゲン原子を表し、V4は水素原子を表す。M2は対イオンを表し、m2は分子中の電荷を中和させるために必要な0以上の数を表す。
12> 前記V1またはV3がハロゲン原子であることを特徴とする<11>に記載のシアニン化合物。
13> 前記シアニン化合物が前記一般式(II)で表されることを特徴とする<11>または<12>に記載のシアニン化合物。
14> 前記シアニン化合物が前記一般式(III)で表されることを特徴とする<11>または<12>に記載のシアニン化合物。
本発明によれば、レーザー走査露光の様なデジタル露光においても現像進行性が速く、迅速処理においても高感度で残色が少なく、処理要因変動に優れたハロゲン化銀カラー感光材料が得られる。特にカラープリントに適したハロゲン化銀カラー写真感光材料が得られる。
まず、本発明に用いられる基などについて、詳細に説明する。
本発明において、特定の部分を「基」と称した場合には、当該部分はそれ自体が置換されていなくても、一種以上の(可能な最多数までの)置換基で置換されていてもよいことを意味する。例えば、「アルキル基」とは置換または無置換のアルキル基を意味する。また、本発明における化合物に使用できる置換基は、どのような置換基でもよい。
このような置換基をWとすると、Wで示される置換基としては、いかなるものでも良く、特に制限は無いが、例えば、ハロゲン原子、アルキル基[(環状アルキル基を含む)、また、アルケニル基(環状アルケニル基を含む)、アルキニル基、も含むこととする]、アリール基、複素環基(ヘテロ環基と言ってもよい)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アニリノ基等を含む)、アンモニオ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキルおよびアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキルおよびアリールスルフィニル基、アルキルおよびアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリールおよびヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、ホスフォ基(またはホスホノ基とも呼ぶ)、シリル基、ヒドラジノ基、ウレイド基、ボロン酸基、ホスファト基、スルファト基、その他の公知の置換基、が例として挙げられる。
さらに詳しくは、Wは、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基[[直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルキル基を表す。それらは、アルキル基(好ましくは炭素数1から30のアルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、エイコシル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、2−エチルヘキシル)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3から30の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシル)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5から30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5から30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ〔1.2.2〕ヘプタン−2−イル、ビシクロ〔2.2.2〕オクタン−3−イル)、さらに環構造が多いトリシクロ構造なども包含するものである。以下に説明する置換基の中のアルキル基(例えばアルキルチオ基のアルキル基)はこのような概念のアルキル基を表すが、さらにアルケニル基、アルキニル基も含むこととする。]、アルケニル基[直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルケニル基を表す。それらは、アルケニル基(好ましくは炭素数2から30の置換または無置換のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3から30の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3から30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル)、ビシクロアルケニル基(置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5から30の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ〔2.2.2〕オクト−2−エン−4−イル)を包含するものである。]、アルキニル基(好ましくは、炭素数2から30の置換または無置換のアルキニル基、例えば、エチニル、プロパルギル、トリメチルシリルエチニル基)]、アリール基(好ましくは炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリール基、例えばフェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル)、複素環基(好ましくは5または6員の置換もしくは無置換の、芳香族もしくは非芳香族の複素環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、さらに好ましくは、炭素数3から30の5もしくは6員の芳香族の複素環基である。例えば、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル、なお、1−メチル−2−ピリジニオ、1−メチル−2−キノリニオのようなカチオン性の複素環基でもよい。)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、n−オクチルオキシ、2−メトキシエトキシ)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ)、シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3から20のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテトラゾールー5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2から30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、ピバロイルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ、N−n−オクチルカルバモイルオキシ)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、n−オクチルカルボニルオキシ)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ)、アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールアミノ基、炭素数2から30の置換もしくは無置換のヘテロ環アミノ基、例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、N−メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ)、アンモニオ基(好ましくはアンモニオ基、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキル、アリール、ヘテロ環が置換したアンモニオ基、例えば、トリメチルアンモニオ、トリエチルアンモニオ、ジフェニルメチルアンモニオ)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ、例えば、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ、m−(n−オクチルオキシ)フェノキシカルボニルアミノ)、スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0から30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ)、アルキルおよびアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルカンスルホニルアミノ、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ、例えば、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ、p−メチルフェニルスルホニルアミノ)、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ、エチルチオ、n−ヘキサデシルチオ)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールチオ、例えば、フェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、m−メトキシフェニルチオ)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2から30の置換または無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0から30の置換もしくは無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−アセチルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル)、スルホ基、アルキルおよびアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1から30の置換または無置換のアルキルスルフィニル基、6から30の置換または無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、p−メチルフェニルスルフィニル)、アルキルおよびアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数1から30の置換または無置換のアルカンスルホニル基、6から30の置換または無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−メチルフェニルスルホニル)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2から30の置換または無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、炭素数4から30の置換もしくは無置換の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基、例えば、アセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル、2−ピリジルカルボニル、2−フリルカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−t−ブチルフェノキシカルボニル)、アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル)、カルバモイル基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のカルバモイル、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイル)、アリールおよびヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールアゾ基、炭素数3から30の置換もしくは無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ、p−クロロフェニルアゾ、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ)、イミド基(好ましくは、N−スクシンイミド、N−フタルイミド)、ホスフィノ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ、ジフェニルホスフィノ、メチルフェノキシホスフィノ)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル、ジオクチルオキシホスフィニル、ジエトキシホスフィニル)、ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ、ジメチルアミノホスフィニルアミノ)、ホスフォ基、シリル基(好ましくは、炭素数3から30の置換もしくは無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル)、ヒドラジノ基(好ましくは炭素数0から30の置換もしくは無置換のヒドラジノ基、例えば、トリメチルヒドラジノ)、ウレイド基(好ましくは炭素数0から30の置換もしくは無置換のウレイド基、例えばN,N−ジメチルウレイド)、を表わす。
また、2つのWが共同して環(芳香族、または非芳香族の炭化水素環、または複素環。これらは、さらに組み合わされて多環縮合環を形成することができる。例えばベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、キノリン環、フェナントレン環、フルオレン環、トリフェニレン環、ナフタセン環、ビフェニル環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、インドリジン環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、イソベンゾフラン環、キノリジン環、イソキノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、キノキサリン環、キノキサゾリン環、カルバゾール環、フェナントリジン環、アクリジン環、フェナントロリン環、チアントレン環、クロメン環、キサンテン環、フェノキサチイン環、フェノチアジン環、フェナジン環、が挙げられる。)が縮合した構造をとることもできる。
上記の置換基Wの中で、水素原子を有するものは、これを取り去りさらに上記の基で置換されていてもよい。そのような置換基の例としては、−CONHSO2−基(スルホニルカルバモイル基、カルボニルスルファモイル基)、−CONHCO−基(カルボニルカルバモイル基)、−SO2NHSO2−基(スルフォニルスルファモイル基)、が挙げられる。
より具体的には、アルキルカルボニルアミノスルホニル基(例えば、アセチルアミノスルホニル)、アリールカルボニルアミノスルホニル基(例えば、ベンゾイルアミノスルホニル基)、アルカンスルホニルアミノカルボニル基(例えば、メチルスルホニルアミノカルボニル)、アリールスルホニルアミノカルボニル基(例えば、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル)が挙げられる。
本発明の一般式(II)または(III)で表される色素を説明する前に、下記一般式(I)で表されるメチン色素について詳しく説明する。
Figure 0004460864
一般式(I)中、Yは置換基を有していてもよいチオフェン環、フラン環、またはピロール環を表し、Yが縮環している2つの炭素原子の間の結合は、1重結合であっても2重結合であってもよい。Vは置換基を表し、nは0以上4以下の数を表す。R 1 およびR 2 は置換または無置換のアルキル基、アリール基または複素環基を表す。Mは対イオンを表し、mは分子中の電荷を中和させるために必要な0以上の数を表す。
Yはチオフェン環、フラン環、またはピロール環であるが、好ましくはチオフェン環である。Yで表される環とチアゾール環との縮合様式は3通りあるが、例えばチオフェン縮環の場合、チエノ[2,3−d]チアゾール環またはチエノ[3,2−d]チアゾール環を形成する場合が好ましく、この場合は縮環している2つの炭素原子の間の結合は2重結合である。このうちチエノ[2,3−d]チアゾール環を形成することがより好ましい。
Yの置換基としてはいずれでもよいが、例えば前述のWが挙げられる。好ましい置換基は、アルキル基(例えばメチル)、アルコキシ基(例えばメトキシ)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ)、シアノ基、アシル基(例えばアセチル)、アルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル)、ハロゲン原子(例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素)であり、より好ましくはメチル基、メトキシ基、シアノ基、ハロゲン原子であり、さらに好ましくはハロゲン原子であり、特に好ましくはフッ素、塩素、臭素原子であるが、置換基を持たないことが残色性能や分光吸収特性の点で最も好ましい。
Vで表される置換基としてはいずれでもよいが、例えば前述のWが挙げられる。好ましい置換基は、アルコキシ基(例えばメトキシ)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ)、シアノ基、アシル基(例えばアセチル)、アルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル)、ヒドロキシ基、カルボキシル基、ハロゲン原子(例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素)であり、より好ましくはメトキシ基、シアノ基、ハロゲン原子であり、さらに好ましくはハロゲン原子(特に塩素、臭素原子)であり、最も好ましいのは臭素原子である。
nは0以上4以下の数を表し、0または1が好ましく、1がより好ましい。
一般式(I)のR1およびR2で表されるアルキル基は無置換でも置換されていてもよく、炭素原子1から18、好ましくは1から7、特に好ましくは1から4の無置換アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ヘキシル、オクチル、ドデシル、オクタデシル)、炭素原子1から18、好ましくは1から7、特に好ましくは1から4の置換アルキル基{置換基として例えば炭素数6から12のアリール基(例えばフェニル、p−クロロフェニル、p−トリル)、炭素数2から6の不飽和炭化水素基(例えばビニル)、カルボキシ基、スルホ基、スルファト基、シアノ基、ハロゲン原子(例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、ヒドロキシ基、メルカプト基、炭素数1から7のアルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、ベンジルオキシ)、炭素数6から12のアリーロキシ基(例えばフェノキシ、1−ナフトキシ)、炭素数1から7のアルキルチオ基(例えばメチルチオ)、炭素数6から12のアリールチオ基(例えばフェニルチオ、1−ナフチルチオ)、炭素数1から7のアシル基(例えばアセチル、ベンゾイル)、炭素数2から8のアルコキシカルボニル基(例えばエトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル)、炭素数7から13のアリーロキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル)、炭素数1から8のアシルオキシ基(例えばアセチルオキシ)、カルバモイル基(例えばモルホリノカルボニル)、スルファモイル基(例えばN,N−ジメチルスルファモイル)、複素環基(例えばテトラヒドロフリル)、アルカンスルホニルカルバモイル基(例えばメタンスルホニルカルバモイル)、アシルカルバモイル基(例えばアセチルカルバモイル)、アシルスルファモイル基(例えばアセチルスルファモイル)、アルカンスルホニルスルファモイル基(例えばメタンスルホニルスルファモイル)など}が挙げられる。
一般式(I)のR1およびR2で表されるアリール基は無置換でも置換されていてもよく、炭素数6から26、好ましくは炭素数6から21、さらに好ましくは炭素数6から16の置換もしくは無置換のアリール基{置換基としては、前記置換アルキル基の説明中で述べた各置換基(アリール基、不飽和炭化水素基、カルボキシ基、スルホ基、スルファト基、シアノ基、ハロゲン原子(例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、ヒドロキシ基、メルカプト基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、スルファモイル基、複素環基、アルカンスルホニルカルバモイル基、アシルカルバモイル基、アシルスルファモイル基、アルカンスルホニルスルファモイル基など)またはアルキル基(置換されてよい)が挙げられ、例えばフェニル、1−ナフチルなど}であり、好ましくはフェニル基である。
一般式(I)のR1およびR2で表される複素環基は無置換でも置換されていてもよく、炭素数1から26、好ましくは炭素数1から21、さらに好ましくは炭素数1から16の置換もしくは無置換の複素環基{置換基としては、前記置換アルキル基の説明中で述べた各置換基(アリール基、不飽和炭化水素基、カルボキシ基、スルホ基、スルファト基、シアノ基、ハロゲン原子(例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、ヒドロキシ基、メルカプト基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、スルファモイル基、複素環基、アルカンスルホニルカルバモイル基、アシルカルバモイル基、アシルスルファモイル基、アルカンスルホニルスルファモイル基など)またはアルキル基(置換されてよい)が挙げられ、例えばピロール、フラン、チオフェンなど}である。
一般式(I)のR1およびR2は、好ましくは炭素数18以下の置換または無置換のアルキル基であり、より好ましくは両者ともに酸基で置換されたアルキル基である。さらに好ましくは、R1およびR2の一方はスルホ基以外の酸基で置換されたアルキル基を表し、他方はスルホ基で置換されたアルキル基を表す。
ここで、酸基について説明する。酸基とは、解離性プロトンを有する基である。
具体的には、例えばスルホ基、カルボキシル基、スルファト基、−CONHSO2−基(スルホニルカルバモイル基、カルボニルスルファモイル基)、−CONHCO−基(カルボニルカルバモイル基)、−SO2NHSO2−基(スルフォニルスルファモイル基)、スルホンアミド基、スルファモイル基、ホスファト基、ホスホノ基、ボロン酸基、フェノール性水酸基、など、これらのpKaと周りのpHによっては、プロトンが解離する基が挙げられる。例えばpH5〜11の間で90%以上解離することが可能なプロトン解離性酸性基が好ましい。
一般式(I)で表されるシアニン化合物において、R1またはR2で表される「酸基で置換されたアルキル基」として好ましいものを、式の形で表すと下記のように表現できる。
Figure 0004460864
Qaはアルキル基を形成するのに必要な連結基(好ましくは2価の連結基)を表す。Ra、Rb、RcおよびRdは各々、アルキル基、アリール基、複素環基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ヘテロシクリルオキシ基、またはアミノ基を表わす。
Qaは上記の要件を満たすものであればいかなる連結基でもよいが、好ましくは炭素原子、窒素原子、硫黄原子、酸素原子のうち、少なくとも1種を含む原子または原子団からなる。好ましくはアルキレン基(例えばメチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、メチルトリメチレン)、アルケニレン基(例えば、エテニレン、プロペニレン)、アルキニレン基(例えば、エチニレン、プロピニレン)、アミド基、エステル基、スルホアミド基、スルホン酸エステル基、ウレイド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオエーテル基、エーテル基、カルボニル基、−N(Wa)−(Waは水素原子、または1価の置換基を表わす。1価の置換基としては前述のWが挙げられる。)、を1つまたはそれ以上組み合わせて構成される炭素数0以上10以下、好ましくは炭素数1以上8以下、さらに好ましくは炭素数1以上5以下の連結基を表す。
上記の連結基は、さらに前述のWで表わされる置換基を有しても良く、また、環(芳香族、または非芳香族の炭化水素環、または複素環)を含有してもよい。
但し、これらの連結基において、ヘテロ原子を含まない場合がより好ましい。また、前述のWで表わされる置換基で置換されていない場合がより好ましい。
さらに好ましくはQaは炭素数1以上5以下のアルキレン基(例えばメチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、メチルトリメチレン)、炭素数2以上5以下のアルケニレン基(例えば、エテニレン、プロペニレン)、炭素数2以上5以下のアルキニレン基(例えば、エチニレン、プロピニレン)を1つまたはそれ以上組み合わせて構成される炭素数1以上5以下の2価の連結基である。特に好ましくは、炭素数1以上5以下のアルキレン基(好ましくはメチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン)である。
1がスルホ基の場合は、Qaとしてさらに好ましくはエチレン、トリメチレン、テトラメチレン、メチルトリメチレンであり、特に好ましくはトリメチレンである。Xaがカルボキシル基の場合は、Qaとしてさらに好ましくはメチレン、エチレン、トリメチレンであり、特に好ましくはメチレンである。
1が−CONHSO2Ra、SO2NHCORb、CONHCORc、SO2NHSO2Rdの場合は、Qaとしてさらに好ましくはメチレン、エチレン、トリメチレンであり、特に好ましくはメチレンである。
Ra、Rb、Rc、Rdはアルキル基、アリール基、複素環基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ヘテロシクリルオキシ基、またはアミノ基を表わすが、好ましく次のものが挙げられる。
例えば、炭素数1から18、好ましくは炭素数1から10、さらに好ましくは炭素数1から5の無置換アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル)、炭素数1から18、好ましくは炭素数1から10、さらに好ましくは炭素数1から5の置換アルキル基[ヒドロキシメチル、トリフルオロメチル、ベンジル、カルボキシエチル、エトキシカルボニルメチル、アセチルアミノメチル、また、ここでは好ましくは炭素数2から18、さらに好ましくは炭素数3から10、特に好ましくは炭素数3から5の不飽和炭化水素基(例えばビニル基、エチニル基、1−シクロヘキセニル基、ベンジリジン基、ベンジリデン基)も置換アルキル基に含まれることにする]、炭素数6から20、好ましくは炭素数6から15、さらに好ましくは炭素数6から10の置換または無置換のアリール基(例えばフェニル、ナフチル、p−カルボキシフェニル、p−ニトロフェニル、3、5−ジクロロフェニル、p−シアノフェニル、m−フルオロフェニル、p−トリル)、炭素数1から20、好ましくは炭素数2から10、さらに好ましくは炭素数4から6の置換されてもよいヘテロ環基(例えばピリジル、5−メチルピリジル、チエニル、フリル、モルホリノ、テトラヒドロフルフリル)、炭素数1から10、好ましくは炭素数1から8のアルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、2−ヒドロキシエトキシ、2−フェニルエトキシ)、炭素数6から20、好ましくは炭素数6から12、さらに好ましくは炭素数6から10のアリールオキシ基(例えばフェノキシ、p−メチルフェノキシ、p−クロロフェノキシ、ナフトキシ)、炭素数1から20、好ましくは炭素数3から12、さらに好ましくは炭素数3から10のヘテロシクリルオキシ基(複素環基で置換されたオキシ基を意味する。例えば2−チエニルオキシ、2−モルホリノオキシ)、アミノ基としては炭素0から20、好ましくは炭素数0から12、さらに好ましくは炭素数0から8のアミノ基(例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ、ヒドロキシエチルアミノ、ベンジルアミノ、アニリノ、ジフェニルアミノ、環を形成したモルホリノ、ピロリジノ)が挙げられる。さらに、これらに、前述のWが置換していてもよい。
さらに好ましくは、メチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基であり、特に好ましくはメチル基である。
なお、酸基において、例えばカルボキシル基、解離性の窒素原子などは、解離していない形(COOH,NH)で表記しても、解離した形(COO-,N-)で表記してもどちらでもよい。実際には、色素の置かれたpHなどの環境により解離状態になったり、非解離状態になったりする。
対イオンとして陽イオンが存在する場合、例えば(COO-Na+)、(N- Na+)と表記してもよい。非解離状態では(COOH)、(NH)と表記するが、対イオンのカチオン化合物がプロトンと考えれば、(COO-+)、(N- +)と表記することも可能である。
一般式(I)で表されるシアニン化合物において、R1およびR2の一方はスルホ基以外の酸基で置換されたアルキル基であり、他方はスルホ基で置換されたアルキル基であることが特に好ましいが、上記でスルホ基を持つアルキル基として好ましくは、3−スルホプロピル基、4−スルホブチル基、3−スルホブチル基、2−スルホエチル基であり、さらに好ましくは3−スルホプロピル基である。スルホ基以外の酸基が置換したアルキル基として好ましくは、カルボキシル基、−CONHSO2−基、−SO2NHCO−基、−CONHCO−基、−SO2NHSO2−基が置換したアルキル基であり、特に好ましくはカルボキシメチル基、メタンスルホニルカルバモイルメチル基である。
一般式(I)で表されるシアニン化合物において、Mは対イオンを表し、色素のイオン電荷を中性にするために必要であるとき、陽イオンまたは陰イオンの存在を示すために式の中に含められている。ある色素が陽イオン、陰イオンであるか、あるいは正味のイオン電荷を持つかどうかは、その置換基および溶液中の環境(pHなど)に依存する。典型的な無機陽イオンとしては水素イオン(H+)、アルカリ金属イオン(例えばナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン)、アルカリ土類金属イオン(例えばカルシウムイオン)、アンモニウムイオンなど、有機陽イオンとしてはテトラメチルアンモニウムカチオン、テトラブチルアンモニウムカチオン、ベンジルトリメチルアンモニウムカチオン、オクタデシルトリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、N,N−ジイソプロピルエチルアンモニウムカチオン、トリス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムカチオン、ピリジニウムカチオン、エチルピリジニウムカチオン、キノリニウムカチオン、2,4−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウムカチオン、1,1,3,3−テトラメチルグアニジニウムカチオン、N−メチルモルホリニウムカチオンなどが挙げられる。陰イオンは無機陰イオンあるいは有機陰イオンのいずれであってもよく、ハロゲン化物陰イオン(例えばフッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン)、置換アリ−ルスルホン酸イオン(例えばp−トルエンスルホン酸イオン、p−クロルベンゼンスルホン酸イオン)、アリ−ルジスルホン酸イオン(例えば1,3−ベンゼンスルホン酸イオン、1,5−ナフタレンジスルホン酸イオン、2,6−ナフタレンジスルホン酸イオン)、アルキル硫酸イオン(例えばメチル硫酸イオン)、硫酸イオン、チオシアン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ピクリン酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオンが挙げられる。さらに、イオン性ポリマーまたは色素と逆電荷を有する他の色素を用いてもよい。
Mとしては、陽イオンであることが好ましく、特に有機陽イオンが好ましい。好ましい陽イオンは、トリエチルアンモニウムカチオン、N,N−ジイソプロピルエチルアンモニウムカチオン、トリス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムカチオン、ピリジニウムカチオン、エチルピリジニウムカチオン、メチルピリジニウムカチオン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウムカチオン、1,1,3,3−テトラメチルグアニジニウムカチオン、N−メチルモルホリニウムカチオンである。
mは電荷を均衡させるのに必要な0以上の数を表し、分子内塩を形成する場合は0である。好ましくは0または1である。
次に本発明の一般式(II)および一般式(III)で表されるメチン色素について詳しく説明する。
一般式(II)および一般式(III)で表されるシアニン化合物において、R3およびR4(R5およびR6)の一方はカルボキシメチル基またはメタンスルホニルカルバモイルメチル基を表し、他方は2−スルホエチル基、3−スルホプロピル基、4−スルホブチル基または3−スルホブチル基を表す。
3とR4(R5とR6)の組み合わせとして好ましいのは、一方がカルボキシメチル基またはメタンスルホニルカルバモイルメチル基であり、他方が3−スルホプロピル基である場合である。最も好ましいのはR3(R5)がカルボキシメチル基またはメタンスルホニルカルバモイルメチル基であり、R4(R6)が3−スルホプロピル基である場合である。
一般式(II)および一般式(III)で表されるシアニン化合物において、V1 およびV 3 は各々水素原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基またはハロゲン原子を表す。V 2 およびV 4 は各々水素原子を表す。V 1 およびV 3 におけるアルコキシ基としては、例えばメトキシ、アルキルチオ基としては、例えばメチルチオ、アシル基としては、例えばアセチル、アルコキシカルボニル基としては、例えばメトキシカルボニル、ハロゲン原子としては、例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられ、より好ましくはメトキシ基、シアノ基、ハロゲン原子であり、さらに好ましくはハロゲン原子であり、特に好ましくは塩素原子または臭素原子であり、最も好ましくは臭素原子である。
一般式(II)および一般式(III)で表されるシアニン化合物において、M1 (M2)は各々対イオンを表し、m1(m2)は各々電荷を均衡させるのに必要な0以上の数を表し、分子内塩を形成する場合は0である。好ましくは0または1であり、特に0が好ましい。
1(m2)が1以上の場合のM1(M2)としては、陽イオン、特に有機陽イオンが好ましく、トリエチルアンモニウムカチオン、N,N−ジイソプロピルエチルアンモニウムカチオン、トリス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムカチオン、ピリジニウムカチオン、エチルピリジニウムカチオン、メチルピリジニウムカチオン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウムカチオン、1,1,3,3−テトラメチルグアニジニウムカチオン、N−メチルモルホリニウムカチオンが挙げられる。
以下に本発明の一般式(II)および一般式(III)で表されるシアニン化合物の具体例を示すが、これにより本発明が制限されるものではない
Figure 0004460864
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前記一般式(I)で表されるシアニン化合物、および本発明の一般式(II)並びに一般式(III)で表されるシアニン化合物は、以下の文献に記載の方法に基づいて合成することができる。
a)F.M.Hamer著「ヘテロサイクリック・コンパウンズ−シアニン・ダイズ・アンド・リレーテッドコンパウンズ(Heterocyclic Compounds-Cyanine dyes and related compounds)」(John Wiley & Sons社−ニューヨーク、ロンドン、1964年刊)、
b)D.M.Sturmer著「ヘテロサイクリック・コンパウンズ−スペシャル・トピックス・イン・ヘテロサイクリック・ケミストリー(Heterocyclic Compounds−Special topics in heterocyclic chemistry)」、第8章、第4節、482〜515頁(John Wiley & Sons社−ニューヨーク、ロンドン、1977年刊)、
c)「ロッズ・ケミストリー・オブ・カーボン・コンパウンズ(Rodd's Chemistry of Carbon Compounds)」、第2版、第4巻、パートB、第15章、369〜422頁(Elsevier Science Publishing Company Inc.社−ニューヨーク、1977年刊)
また前記一般式(I)で表されるシアニン化合物、および本発明の一般式(II)並びに一般式(III)で表されるシアニン化合物の原料となるヘテロ環の合成については例えば「ビュレタン・デ・ラ・ソシェテ・シミク・デ・フランス(Bulletin de la Societe Chimique de France)」、II−150頁(1980年)や「ジャーナル・オブ・ヘテロサイクリック・ケミストリー(Journal of Heterocyclic Chemistry)」、16巻1563頁(1979年)などの文献の記載を参考にすることができる。さらに本発明者らが特開平2002−145886号明細書で開示している合成方法が特に有効に利用できる。
本発明の一般式(II)および一般式(III)で表されるシアニン化合物を本発明のハロゲン化銀乳剤中に含有せしめるには、それらを直接乳剤中に分散してもよいし、あるいは水、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、メチルセルソルブ、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、3−メトキシ−1−プロパノール、3−メトキシ−1−ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、N,N−ジメチルホルムアミド等の溶媒の単独もしくは混合溶媒に溶解して乳剤に添加してもよい。
また、米国特許第3,469,987号明細書等に記載のように、色素を揮発性の有機溶剤に溶解し、該溶液を水または親水性コロイド中に分散し、この分散物を乳剤中へ添加する方法、特公昭46−24185号等に記載のように、水不溶性色素を溶解することなしに水溶性溶剤中に分散させ、この分散物を乳剤中へ添加する方法、特公昭44−23389号、同44−27555号、同57−22091号等に記載されているように、色素を酸に溶解し、該溶液を乳剤中へ添加したり、酸または塩基を共存させて水溶液とし乳剤中へ添加する方法、米国特許第3,822,135号、同第4,006,026号明細書等に記載のように、界面活性剤を共存させて水溶液あるいはコロイド分散物としたものを乳剤中へ添加する方法、特開昭53−102733号、同58−105141号に記載のように、親水性コロイド中に色素を直接分散させ、その分散物を乳剤中へ添加する方法、特開昭51−74624号に記載のように、レッドシフトさせる化合物を用いて色素を溶解し、該溶液を乳剤中へ添加する方法等を用いることもできる。
本発明のシアニン化合物が対イオンを持たない場合、水、メタノール、または両者の混合溶媒等にシアニン化合物を溶解させる際には塩基を添加するが、pKaが6.6以上9.0以下、より好ましくはpKaが7.0以上8.0以下の塩基を添加することが好ましい。具体的な塩基の例(カッコ内はpKa値)を挙げると以下の通りである。
トリエタノールアミン(7.76)、3−シアノプロピルアミン(7.80)、1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン(8.30)、イミダゾール(6.99)、1−メチルイミダゾール(6.95)、2,4−ジメチルイミダゾール(8.36)、モルホリン(8.50)、N−メチルモルホリン(7.38)、N−エチルモルホリン(7.67)、2,4−ジメチルピリジン(6.99)、2,4,6−トリメチルピリジン(7.43)
溶解の際には溶媒の沸点までの温度で加熱することもできるが、好ましくは60℃以下(好ましくは0℃以上)、より好ましくは50℃以下で溶解する。また溶解時に超音波照射を行うことは、溶解を速やかに行うために有効な手段である。
好ましい溶解方法としては、水、メタノール、または水とメタノールの混合溶媒に色素を添加し、さらに色素と等モル〜小過剰のトリエタノールアミン溶液を添加する方法を挙げることができる。
色素を溶解した溶液はすぐに乳剤に添加することが好ましいが、溶液を保存する場合には、使用時まで30℃以下、好ましくは20℃以下に保つようにする。この際冷却により色素の溶解度が低下して析出が起こる可能性があるので、溶液濃度は保存時の温度における色素の飽和溶解度以下にする必要がある。好ましい溶液中の色素濃度は0.2〜10質量%、より好ましくは0.4〜5質量%である。
本発明の一般式(II)および一般式(III)で表されるシアニン化合物を本発明のハロゲン化銀乳剤中に添加する時期は、これまで有用であることが認められている乳剤調製のいかなる工程中であってもよい。例えば、米国特許第2,735,766号、同第3,628,960号、同第4,183,756号、同第4,225,666号、特開昭58−184142号、同60−196749号等の明細書に開示されているように、ハロゲン化銀の粒子形成工程および/または脱塩前の時期、脱塩工程中および/または脱塩後から化学熟成の開始前までの時期、特開昭58−113920号等の明細書に開示されているように、化学熟成の直前または工程中の時期、化学熟成後塗布までの時期の乳剤が塗布される前ならいかなる時期、工程において添加されてもよい。また、米国特許第4,225,666号、特開昭58−7629号等の明細書に開示されているように、同一化合物を単独で、または異種構造の化合物と組み合わせて、例えば、粒子形成工程中と化学熟成工程中または化学熟成完了後とに分けたり、化学熟成の前または工程中と完了後とに分けるなどして分割して添加しても良く、分割して添加する化合物および化合物の組み合わせの種類を変えて添加されてもよい。
本発明の一般式(II)および一般式(III)で表されるシアニン化合物の使用量は、ハロゲン化銀粒子の形状、サイズにより異なるが、ハロゲン化銀1モルあたり0.05ないし4ミリモルが好ましく、より好ましくは0.1ないし2.5ミリモルであり、さらに他の増感色素と併用してもよい。
本発明において、一般式(II)および一般式(III)で表されるシアニン化合物以外にも他の増感色素を用いてもよい。増感色素として、好ましくはシアニン色素、メロシアニン色素、ロダシアニン色素、3核メロシアニン色素、4核メロシアニン色素、アロポーラー色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素などが挙げられる。さらに好ましくはシアニン色素、メロシアニン色素、ロダシアニン色素であり、特に好ましくはシアニン色素である。これらの色素の詳細については、エフ・エム・ハーマー(F.M.Harmer)著「ヘテロサイクリック・コンパウンズーシアニンダイズ・アンド・リレィティド・コンパウンズ(Heterocyclic Compounds-Cyanine Dyes and Related Compounds)」、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)社ーニューヨーク、ロンドン、1964年刊、デー・エム・スターマー(D.M.Sturmer)著「ヘテロサイクリック・コンパウンズースペシャル・トピックス・イン・ヘテロサイクリック・ケミストリー(Heterocyclic Compounds-Special topics in heterocyclic chemistry)」、第18章、第14節、第482から515頁、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)社−ニューヨーク、ロンドン、1977年刊、「ロッズ・ケミストリー・オブ・カーボン・コンパウンズ(Rodd's Chemistry of Carbon Compounds)」2nd.Ed.vol.IV,partB,1977刊、第15章、第369から422頁、エルセビア・サイエンス・パブリック・カンパニー・インク(Elsevier Science Publishing Company Inc.)社刊、ニューヨーク、などに記載されている。
さらに説明を加えると、RD17643の23〜24頁、RD18716の648頁右欄〜649頁右欄、RD308119の996頁右欄〜998頁右欄、欧州特許第0565096A1号の第65頁7〜10行、に記載されているものを好ましく用いることができる。また、米国特許第5,747,236号(特に第30〜39頁)、米国特許第5、340、694号(特に第21〜60頁、但し、(XI)、(XII)、(XIII)に示されている増感色素において、n12、n 15、n17、n18の数は限定せず、0以上の整数(好ましくは4以下)とする。)に記載されている、一般式および具体例で示された増感色素も好ましく用いることができる。
また特開2002−23295号および特開2001−343722号明細書に記載の増感色素も好ましく用いることができる。
増感色素の組み合わせは特に強色増感の目的でしばしば用いられる。その代表例は米国特許第2,688,545号、同第2,977,229号、同第3,397,060号、同第3,522,052号、同第3,527,641号、同第3,617,293号、同第3,628,964号、同第3,666,480号、同第3,672,898号、同第3,679,428号、同第3,703,377号、同第3,769,301号、同第3,814,609号、同第3,837,862号、同第4,026,707号、英国特許第1,344,281号、同第1,507,803号、特公昭43−4936号、同53−12375号、特開昭52−110618号、同52−109925号に記載されている。
次に本発明の一般式(IV)で表される化合物について詳しく説明する。
一般式(IV)で表される化合物において、Chは酸素原子、硫黄原子、セレン原子またはテルル原子を表し、好ましくは酸素原子または硫黄原子、より好ましくは硫黄原子である。
Aは2個以上のベンゼン環および/または複素環が縮合した芳香族環を形式する原子群を表し、代表的な環の例としてはナフタレン環系、アントラセン環系、フェナントレン環系、ナフタセン環系、ピレン環系、インドール環系、イソインドール環系、ベンゾ[b]フラン環系、ベンゾ[b]チオフェン環系、キノリン環系、イソキノリン環系、キナゾリン環系、キノキサリン環系、フタラジン環系、カルバゾール環系、アクリジン環系、フェナントリジン環系、フェナントロリン環系、フェナジン環系、フェノキサジン環系、フェノチアジン環系などを挙げることができる。好ましくはベンゼン環のみからなる環系であり、特に好ましくはナフタレン環系である。
ZおよびR7で表される置換または無置換のアルキル基、アリール基、ヘテロ環基としては、一般式(I)のR1およびR2の好ましい例として挙げたものと同様のアルキル基、アリール基、ヘテロ環基を挙げることができる。またZが奇数個のメチン基を介して連結された塩基性核(例えば3−アルキルベンゾチアゾリン−2−イリデンメチル)を表すことにより一般式(IV)の化合物が分子全体としてシアニン色素を表すこともできる。好ましくはZは水素原子、アルキル基、またはシアニン色素残基であり、R7はアルキル基である。
一般式(IV)で表される化合物においてM7は対イオンを表し、一般式(I)におけるMと同様なものが挙げられる。M7として好ましい陽イオンは、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン等の無機カチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、ピリジニウムカチオン、エチルピリジニウムカチオン等の有機カチオンが挙げられる。陰イオンとしては塩化物アニオン、臭化物アニオン、ヨウ化物アニオン、過塩素酸アニオン、トシラートアニオン、メシラートアニオンなどが挙げられる。m7は電荷を均衡させるのに必要な0以上の数を表し、分子内塩を形成する場合は0である。好ましくは0または1である。
一般式(IV)の化合物のうち、特に好ましいのは一般式(V)で表される化合物である。
式(V)中、Z8は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、または分子全体としてモノメチンシアニン色素を構成するのに必要な残基を表し、好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、モノメチンシアニン色素残基であり、特に好ましくは置換基を有していてもよい3−アルキルベンゾチアゾリン−2−イリデンメチル基である。
8は置換または無置換のアルキル基を表し、好ましくはメチル基、エチル基、スルホアルキル基(例えばスルホプロピル)、カルボキシアルキル基(例えばカルボキシメチル基)である。
8は対イオンを表し、Z8が水素原子、置換または無置換のアルキル基の場合には陰イオンが、Z8がモノメチンシアニン色素残基の場合には陽イオンが好ましい。好ましいイオン種としてはM7の例として挙げたイオンが挙げられる。m8は分子中の電荷を中和させるために必要な0以上の数を表し、分子内塩を形成する場合は0である。好ましくは0または1である。
さらに一般式(V)の化合物のうち、特に好ましいのは一般式(VI)で表されるモノメチンシアニン化合物である。
式(VI)中、Ch9は酸素原子または硫黄原子を表し、好ましくは硫黄原子である。
9およびR10は置換または無置換のアルキル基を表し、好ましくは炭素数8以下の置換または無置換のアルキル基であり、より好ましくは両者ともに一般式(I)のR1およびR2の説明中で定義した酸基で置換されたアルキル基である。特に好ましくはスルホアルキル基(例えば3−スルホプロピル、4−スルホブチル、3−スルホブチル、2−スルホエチル)、カルボキシアルキル基(例えばカルボキシメチル)や−CONHSO2−基、−SO2NHCO−基、−CONHCO−基、−SO2NHSO2−基が置換したアルキル基(例えばメタンスルホニルカルバモイルメチル)である。R9はスルホプロピル基であることが最も好ましい。R10はスルホプロピル基、カルボキシメチル基、メタンスルホニルカルバモイルメチル基から選ばれることが最も好ましい。
式(IV)で表されるシアニン化合物において、V9およびV10は水素原子または1価の置換基を表し、1価の置換基としては前述のWが挙げられるが、好ましくはヒドロキシ基、カルボキシル基、アルコキシ基(例えばメトキシ)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ)、シアノ基、アシル基(例えばアセチル)、アルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル)、ハロゲン原子(例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素)であり、より好ましくはメトキシ基、シアノ基、ハロゲン原子であり、さらに好ましくはハロゲン原子であり、特に好ましくは塩素原子または臭素原子であり、最も好ましくは塩素原子である。V10は水素原子が好ましい。
9は対イオンを表し、陽イオンが好ましい。好ましいイオン種としてはトリエチルアンモニウムカチオン等の有機陽イオンが挙げられる。m9は分子中の電荷を中和させるために必要な0以上の数を表し、分子内塩を形成する場合は0である。好ましくは0または1である。
以下に本発明の一般式(IV)、一般式(V)および一般式(VI)で表される化合物の具体例を示すが、これにより本発明が制限されるものではない。
Figure 0004460864
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本発明に用いられる一般式(IV)で表されるシアニン化合物は、一般式(I)、一般式(II)および一般式(III)の化合物と同様に文献に記載の方法に基づいて合成することができる。
本発明の一般式(IV)、一般式(V)および一般式(VI)で表される化合物を本発明のハロゲン化銀乳剤中に含有せしめるには、それらを直接乳剤中に分散してもよいし、あるいは水、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド等の溶媒の単独もしくは混合溶媒に溶解して乳剤に添加してもよい。また一般式(II)および一般式(III)の化合物と同様に分散物として乳剤に添加することもできる。
好ましい溶解方法としては、水、メタノール、または水とメタノールの混合溶媒に化合物を添加する方法を挙げることができる。溶液はすぐに乳剤に添加することが好ましいが、溶液を保存する場合には、使用時まで30℃以下、好ましくは20℃以下に保つようにする。この際冷却により化合物の溶解度が低下して析出が起こる可能性があるので、溶液濃度は保存時の温度における化合物の飽和溶解度以下にする必要がある。好ましい溶液中の化合物濃度は0.2〜10質量%、より好ましくは0.4〜5質量%である。
本発明の一般式(IV)、一般式(V)および一般式(VI)で表される化合物を本発明のハロゲン化銀乳剤中に添加する時期は、これまで有用であることが認められている乳剤調製のいかなる工程中であってもよいが、一般式(II)および一般式(III)で表されるシアニン化合物を乳剤に添加した後で添加することが好ましい。本発明の一般式(IV)、一般式(V)および一般式(VI)で表される化合物の使用量は、ハロゲン化銀粒子の形状、サイズにより異なるが、ハロゲン化銀1モルあたり0.005ないし0.4ミリモルが好ましく、より好ましくは0.01ないし0.25ミリモルである。
以下、ハロゲン化銀乳剤について詳細に説明する。
本発明において、感材層中のイエロー色素形成カプラー含有ハロゲン化銀乳剤は、特定のハロゲン化銀粒子を含む。粒子形状は、実質的に{100}面を持つ立方体、あるいは14面体の結晶粒子(これらは粒子頂点が丸みを帯び、さらに高次の面を有していてもよい)が必要である。実質的に{100}面を持つ立方体粒子とは6つの{100}結晶面に境界が定められているもので、粒子のコーナーとエッジは、熟成のために多少の丸みを示しても良く、6つの{100}結晶面以外には確認できる結晶面を示さないものを指す。また14面体の結晶粒子とは、立方体粒子の相対方向および間隔を満足し{100}結晶面により少なくとも部分的に境界が定められている粒子を指し、熟成の為に粒子のコーナーとエッジは多少の丸みを示しても良く、例えば3対の等間隔な平行{100}結晶面と8つの{111}結晶面を有するものを指す。粒子サイズは立方体換算辺長で0.6μm以下(好ましくは0.1μm以上0.6μm以下)であることが必要で、0.15μm以上0.55μm以下であることがさらに好ましく、0.2μm以上0.5μm以下であることが最も好ましい。
他のハロゲン化銀乳剤層(マゼンタ色素形成カプラー含有ハロゲン化銀乳剤層やシアン色素形成カプラー含有ハロゲン化銀乳剤層)のハロゲン化銀乳剤は粒子形状については特に制限はないが、実質的に{100}面を持つ立方体、あるいは14面体の結晶粒子(これらは粒子頂点が丸みを帯び、さらに高次の面を有していてもよい)、8面体の結晶格子、主平面が{100}面または{111}面からなるアスペクト比2以上の平板粒子からなることが好ましい。アスペクト比とは、投影面積に相当する円の直径を粒子の厚さで割った値である。主表面が{100}面または{111}面からなる平板粒子については、特開2000−352794の33欄(P7)〜P840欄(P8)を参考にすることができる。粒子サイズは立方体換算辺長で0.15μm以上0.55μm以下であることが好ましく、0.2μm以上0.5μm以下であることがさらに好ましい。
立方体辺長とは、個々の粒子の体積と等しい体積を立方体に換算したときの一辺の長さで表し、本明細書では立方体換算辺長も同じ意味を指す。本発明の乳剤は粒子サイズ分布が単分散な粒子からなることが好ましい。本発明の全粒子の立方体換算辺長の変動系数は20%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましく、10%以下であることがさらに好ましい。立方体換算辺長の変動係数とは、個々の粒子の立方体換算辺長の一辺の長さの標準偏差を、辺長の平均に対する百分率で表される。このとき、広いラチチュードを得る目的で上記の単分散乳剤を同一層にブレンドして使用することや、重層塗布することも好ましく行われる。
本発明のハロゲン化銀乳剤には、本発明で定義されるハロゲン化銀乳剤に含まれるハロゲン化銀粒子(即ち、特定のハロゲン化銀粒子)以外のハロゲン化銀粒子を含んでよい。しかしながら、本発明で定義されるハロゲン化銀乳剤は、全粒子の全投影面積の50%以上が本発明で定義されるハロゲン化銀粒子であることが必要で、80%以上であることが好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。
本発明に用いるハロゲン化銀乳剤としては、特定のハロゲン化銀含有率を有するハロゲン化銀粒子を含む乳剤が用いられ、特に、イエロー色素形成カプラー含有青感性ハロゲン化銀乳剤層の場合、塩化銀含有率は90モル%以上である必要があり、迅速処理性の観点からは、塩化銀含有率は93モル%以上が好ましく、95モル%以上がさらに好ましい。臭化銀含有率は硬調で潜像安定性に優れることから、0.1〜7モル%であることが好ましく、0.5〜5.0モル%であることが特に好ましい。ヨウ化銀含有率は高照度露光で高感度かつ硬調であることから0.05〜1.00モル%が必要であり、0.07〜0.70モル%が好ましく、0.10〜0.50モル%が特に好ましい。本発明の特定のハロゲン化銀粒子は、ヨウ臭塩化銀粒子が好ましく、上記のハロゲン組成(好ましくは、各含有率の好ましいもの、特に好ましいものの組み合わせ)のヨウ臭塩化銀粒子がさらに好ましい。
本発明のハロゲン化銀乳剤における特定のハロゲン化銀粒子は、臭化銀含有相および/またはヨウ化銀含有相を有することが好ましい。ここで、臭化銀あるいはヨウ化銀含有相とは周囲よりも臭化銀あるいはヨウ化銀の濃度が高い部位を意味する。臭化銀含有相あるいはヨウ化銀含有相とその周囲とのハロゲン組成は連続的に変化してもよく、また急峻に変化してもよい。このような臭化銀あるいはヨウ化銀含有相は、粒子内のある部分で濃度がほぼ一定の幅をもった層を形成してもよく、広がりをもたない極大点であってもよい。臭化銀含有相の局所的臭化銀含有率は、5モル%以上であることが好ましく、10〜80モル%であることがさらに好ましく、15〜50モル%であることが最も好ましい。ヨウ化銀含有相の局所的ヨウ化銀含有率は、0.3モル%以上であることが好ましく、0.5〜8モル%であることがさらに好ましく、1〜5モル%であることが最も好ましい。また、このような臭化銀あるいはヨウ化銀含有相は、それぞれ粒子内に層状に複数個あってもよく、それぞれの臭化銀あるいはヨウ化銀含有率が異なってよいが、それぞれ最低1個の含有相を有する必要がある。
本発明のハロゲン化銀乳剤の臭化銀含有相あるいはヨウ化銀含有相は、それぞれ粒子を取り囲むように層状にあることが重要である。粒子を取り囲むように層状に形成された臭化銀含有相あるいはヨウ化銀含有相は、それぞれの相の中で粒子の周回方向に均一な濃度分布を有することが一つの好ましい態様である。しかし、粒子を取り囲むように層状にある臭化銀含有相あるいはヨウ化銀含有相の中は、臭化銀あるいはヨウ化銀濃度の極大点または極小点が粒子の周回方向に存在し、濃度分布を有していてもよい。例えば、粒子表面近傍に粒子を取り囲むように層状に臭化銀含有相あるいはヨウ化銀含有相を有する場合、粒子コーナーまたはエッジの臭化銀あるいはヨウ化銀濃度は、主表面と異なる濃度になる場合がある。また、粒子を取り囲むように層状にある臭化銀含有相とヨウ化銀含有相とは別に、粒子の表面の特定部に完全に孤立して存在し、粒子を取り囲んでいない臭化銀含有相あるいはヨウ化銀含有相があってもよい。
本発明のハロゲン化銀乳剤が臭化銀含有相を含有する場合、その臭化銀含有相は粒子の内部に臭化銀濃度極大を有するように層状に形成されていることが好ましい。また、本発明のハロゲン化銀乳剤がヨウ化銀含有相を含有する場合、そのヨウ化銀含有相は粒子の表面にヨウ化銀濃度極大を有するように層状に形成されていることが好ましい。このような臭化銀含有相あるいはヨウ化銀含有相は、より少ない臭化銀あるいはヨウ化銀含有量で局所濃度を上げる意味から、粒子体積の3%以上30%以下の銀量で構成されていることが好ましく、3%以上15%以下の銀量で構成されていることがさらに好ましい。
本発明のハロゲン化銀乳剤は、臭化銀含有相およびヨウ化銀含有相を両方含むことが好ましい。その場合、臭化銀含有相とヨウ化銀含有相は粒子の同一個所にあっても、異なる場所にあってもよいが、異なる場所にあるほうが粒子形成の制御を容易にする点で好ましい。また、臭化銀含有相にヨウ化銀を含有していてもよく、逆にヨウ化銀含有相に臭化銀を含有していてもよい。一般に、高塩化銀粒子形成中に添加するヨウ化物は臭化物よりも粒子表面にしみだしやすいためにヨウ化銀含有相は粒子表面の近傍に形成されやすい。従って、臭化銀含有相とヨウ化銀含有相が粒子内の異なる場所にある場合、臭化銀含有相はヨウ化銀含有相より内側に形成することが好ましい。このような場合、粒子表面近傍のヨウ化銀含有相よりもさらに外側に、別の臭化銀含有相を設けてもよい。
高感度化や硬調化などの本発明の効果を発現させるために必要な臭化銀含有量あるいはヨウ化銀含有量は、臭化銀含有相あるいはヨウ化銀含有相を粒子内部に形成するほど増加してしまい、必要以上に塩化銀含有量を落として迅速処理性を損なってしまう恐れがある。従って、写真作用を制御するこれらの機能を粒子内の表面近くに集約するために、臭化銀含有相とヨウ化銀含有相は隣接していることが好ましい。これらの点から、本発明では粒子の内側から測って臭化銀含有相は粒子体積の50%から100%の位置のいずれかに形成され、ヨウ化銀含有相は粒子体積の85%から100%の位置のいずれかに形成されていることが好ましい。また、臭化銀含有相は粒子体積の70%から95%の位置のいずれかに形成され、ヨウ化銀含有相は粒子体積の90%から100%の位置のいずれかに形成されることがさらに好ましい。
このようにヨウ化銀含有相を粒子表面近傍に局在させることは、増感色素の吸着性向上の点でも好ましく、特に本発明の一般式(II)および一般式(III)のシアニン化合物は、乳剤のハロゲン分布がこのような場合に初めて好ましい写真性能を発揮する。
本発明のハロゲン化銀乳剤に臭化銀あるいはヨウ化銀を含有させるための臭化物あるいはヨウ化物イオンの導入は、臭化物塩あるいはヨウ化物塩の溶液を単独で添加させるか、或いは銀塩溶液と高塩化物塩溶液の添加と併せて臭化物塩あるいはヨウ化物塩溶液を添加してもよい。後者の場合は、臭化物塩あるいはヨウ化物塩溶液と高塩化物塩溶液を別々に、または臭化物塩あるいはヨウ化物塩と高塩化物塩の混合溶液として添加してもよい。臭化物塩あるいはヨウ化物塩は、アルカリもしくはアルカリ土類臭化物塩あるいはヨウ化物塩のような溶解性塩の形で添加する。或いは米国特許第5,389,508号明細書に記載される有機分子から臭化物イオンあるいはヨウ化物イオンを開裂させることで導入することもできる。また別の臭化物あるいはヨウ化物イオン源として、微小臭化銀粒子あるいは微小ヨウ化銀粒子を用いることもできる。
臭化物塩あるいはヨウ化物塩溶液の添加は、粒子形成の一時期に集中して行ってもよく、またある一定期間かけて行ってもよい。高塩化物乳剤へのヨウ化物イオンの導入位置は、高感度で低被りな乳剤を得る上で制限される。ヨウ化物イオンの導入は、乳剤粒子のより内部に行うほど感度の増加が小さい。故にヨウ化物塩溶液の添加は、粒子体積の85%より外側から行うのがよい。またヨウ化物塩溶液の添加は、好ましくは粒子体積の98%より内側で、最も好ましくは96%より内側で終了するのがよい。ヨウ化物塩溶液の添加は、粒子表面から少し内側で終了することで、より高感度で低被りな乳剤を得ることができる。
一方、臭化物塩溶液の添加は、粒子体積の50%より外側が好ましく、より好ましくは70%より外側から行うのがよい。
本発明のハロゲン化銀乳剤のハロゲン化銀結晶粒子は、イリジウム化合物(錯体)を含有することが好ましい。イリジウム化合物としては、6個のリガンドを有しイリジウムを中心金属とする6配位錯体が、ハロゲン化銀結晶中に均一に取り込ませるために好ましい。本発明で用いられるイリジウム化合物の一つの好ましい態様として、Cl、BrまたはIを配位子として有するイリジウムを中心金属とする6配位錯体が好ましく、6個全ての配位子がCl、BrまたはIからなるイリジウムを中心金属とする6配位錯体がさらに好ましい。この場合、6配位錯体中にCl、BrまたはIが混在していてもよい。Cl、BrまたはIを配位子として有するイリジウムを中心金属とする6配位錯体は、臭化銀含有相に含まれることが、高照度露光で硬調な階調を得るために特に好ましい。
イリジウム錯体はCl、Br、I以外の配位子を含んでもよく、無機配位子としてはシアン化物イオン、ハロゲン化物イオン、チオシアン、水酸化物イオン、過酸化物イオン、アジ化物イオン、亜硝酸イオン、水、アンモニア、ニトロシルイオン、または、チオニトロシルイオンを用いることが好ましく、また好ましい有機配位子としては主鎖の炭素数が5以下の鎖状化合物および/または5員環あるいは6員環の複素環化合物を挙げることができる。さらに好ましい有機化合物は分子内に窒素原子、リン原子、酸素原子、または、硫黄原子を金属への配位原子として有する化合物であり、特に好ましくはフラン、チオフェン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、フラザン、ピラン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジンであり、さらにこれらの化合物を基本骨格としそれらに置換基を導入した配位子もまた好ましい。
上記のイリジウム錯体が陽イオンと塩を形成した時にはその対陽イオンとして水に溶解しやすいものが好ましい。具体的には、ナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオンおよびリチウムイオン等のアルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、アルキルアンモニウムイオンが好ましい。これらの金属錯体は、水のほかに水と混合し得る適当な有機溶媒(例えば、アルコール類、エーテル類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド類等)との混合溶媒に溶かして使うことができる。これらのイリジウム錯体は、粒子形成中に銀1モルあたり1×10-10モル〜1×10-3モル添加することが好ましく、1×10-8モル〜1×10-5モル添加することが最も好ましい。
好ましいイリジウム錯体としてはK2[IrCl6]やK2[Ir(5-methylthiazole)Cl5]が挙げられる。
本発明において上記のイリジウム錯体は、ハロゲン化銀粒子形成時に反応溶液中に直接添加するか、ハロゲン化銀粒子を形成するためのハロゲン化物水溶液中、あるいはそれ以外の溶液中に添加し、粒子形成反応溶液に添加することにより、ハロゲン化銀粒子内に組み込むのが好ましい。また、あらかじめイリジウム錯体を粒子内に組み込んだ微粒子で物理熟成してハロゲン化銀粒子に組み込むことも好ましい。さらにこれらの方法を組み合わせてハロゲン化銀粒子内へ含有させることもできる。
これらの錯体をハロゲン化銀粒子に組み込む場合、粒子内部に均一に存在させることも行われるが、特開平4−208936号、特開平2−125245号、特開平3−188437号各公報に開示されている様に、粒子表面層のみに存在させることも好ましく、粒子内部のみに錯体を存在させ粒子表面には錯体を含有しない層を付加することも好ましい。また、米国特許第5,252,451号および同第5,256,530号明細書に開示されているように、錯体を粒子内に組み込んだ微粒子で物理熟成して粒子表面相を改質することも好ましい。さらに、これらの方法を組み合わせて用いることもでき、複数種の錯体を1つのハロゲン化銀粒子内に組み込んでもよい。上記の錯体を含有させる位置のハロゲン組成には特に制限はないが、6個全ての配位子がCl、BrまたはIからなるイリジウムを中心金属とする6配位錯体は、臭化銀濃度極大部に含有させることが好ましい。
本発明においては、イリジウム以外に他の金属イオンをハロゲン化銀粒子の内部および/または表面にドープすることができる。用いる金属イオンとしては遷移金属イオンが好ましく、なかでも、鉄、ルテニウム、オスミウム、鉛、カドミウム、または、亜鉛であることが好ましい。さらにこれらの金属イオンは配位子を伴い6配位八面体型錯体として用いることがより好ましい。配位子は前記イリジウム錯体と同様のものが好ましく、上記の鉄、ルテニウム、オスミウム、鉛、カドミウム、または、亜鉛のいずれの金属イオンに配位させて用いることも好ましく、複数種の配位子を1つの錯体分子中に用いることも好ましい。
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤は、当業界に知られる金増感を施したものであることが好ましい。金増感を施すことにより、乳剤を高感度化でき、レーザー光等によって走査露光したときの写真性能の変動を小さくすることができるからである。金増感を施すには、種々の無機金化合物や無機配位子を有する金(I)錯体および有機配位子を有する金(I)化合物を利用することができる。無機金化合物としては、例えば塩化金酸もしくはその塩、無機配位子を有する金(I)錯体としては、例えばジチオシアン酸金(I)カリウム等のジチオシアン酸金化合物やジチオ硫酸金(I)3ナトリウム等のジチオ硫酸金化合物等の化合物を用いることができる。
これらの化合物の添加量は場合に応じて広範囲に変わり得るがハロゲン化銀1モルあたり5×10-7〜5×10-3モル、好ましくは5×10-6〜5×10-4モルである。
また、コロイド状硫化金を用いることも可能であり、その製造方法は「リサーチ・ディスクロージャー(Research Disclosure)」,37154、「ソリッド・ステート・イオニクス(Solid State Ionics)」第79巻、60〜66頁、1995年刊、「コーント・ラーンジュ・エブドマデール・デ・セアーンス・デ・ラカデミー・デ・シャーンス・セリ・ベ(Comptes Rendus hebdomadaire des Seances de l'Academie des Sciences, Serie B)」、第263巻、1328頁、1966年刊等に記載されている。上記「リサーチ・ディスクロージャー」には、コロイド状硫化金の製造の際、チオシアナートイオンを用いる方法が記載されているが、代わりにメチオニンやチオジエタノールなどのチオエーテル化合物を用いることができる。
コロイド状硫化金として様々なサイズのものを利用でき、平均粒径50nm以下のものを用いることが好ましく、平均粒径10nm以下がより好ましく、平均粒径3nm以下がさらに好ましい。また、コロイド状硫化金の組成は、Au21でもよく、Au21〜Au22の様な硫黄過剰な組成のものであってもよく、硫黄過剰な組成が好ましい。Au21.1〜Au21.8がさらに好ましい。 硫化金の添加量は場合に応じて広範囲に変わり得るがハロゲン化銀1モルあたり金原子として5×10-7〜5×10-3モル、好ましくは5×10-6〜5×10-4モルである。
本発明においては、上記の金増感をさらに他の増感法、例えば硫黄増感、セレン増感、テルル増感、還元増感あるいは金化合物以外を用いた貴金属増感等と組み合わせてもよい。特に、硫黄増感、セレン増感と組み合わせることが好ましい。
本発明のハロゲン化銀乳剤には、感光材料の製造工程、保存中あるいは写真処理中のかぶりを防止する、あるいは写真性能を安定化させる目的で種々の化合物あるいはそれ等の前駆体を添加することができる。これらの化合物の具体例は、特開昭62−215272号公報の第39頁〜第72頁に記載のものが好ましく用いられる。さらに欧州特許EP0447647号明細書に記載された5−アリールアミノ−1,2,3,4−チアトリアゾール化合物(該アリール残基には少なくとも一つの電子吸引性基を持つ)も好ましく用いられる。
また、本発明において、ハロゲン化銀乳剤の保存性を高めるため、特開平11−109576号公報に記載のヒドロキサム酸誘導体、特開平11−327094号公報に記載のカルボニル基に隣接して両端がアミノ基若しくはヒドロキシル基が置換した二重結合を有す環状ケトン類(特に一般式(S1)で表されるもので、段落番号0036〜0071は本願の明細書に取り込むことができる。)、特開平11−143011号公報に記載のスルホ置換のカテコールやハイドロキノン類(例えば、4,5−ジヒドロキシ−1,3−ベンゼンジスルホン酸、2,5−ジヒドロキシ−1,4−ベンゼンジスルホン酸、3,4−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸、2,3−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸、2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸、3,4,5−トリヒドロキシベンゼンスルホン酸およびこれらの塩など)、米国特許第5,556,741号明細書の一般式(A)で表されるヒドロキシルアミン類(米国特許第5,556,741号明細書の第4欄の第56行〜第11欄の第22行の記載は本願においても好ましく適用され、本願の明細書の一部として取り込まれる)、特開平11−102045号公報の一般式(I)〜(III)で表される水溶性還元剤は、本発明においても好ましく使用される。
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料は、支持体上にイエロー色素形成カプラーを含有する青感性ハロゲン化銀乳剤層を少なくとも一層有するハロゲン化銀カラー写真感光材料において、前記ハロゲン化銀乳剤層のうち少なくとも一層が、本発明の色素(シアニン化合物)で分光増感されたハロゲン化銀乳剤を含有することを特徴とする。本発明において、前記イエロー色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層はイエロー発色層として機能する。本発明の感光材料は、前記イエロー発色層以外にも、所望によりマゼンタ発色層、シアン発色層や後述する親水性コロイド層、アンチハレーション層、中間層および着色層を有していてもよい。
本発明の感光材料には、従来公知の写真用素材や添加剤を使用できる。
例えば、写真用支持体としては、透過型支持体や反射型支持体を用いることができる。透過型支持体としては、セルロースナイトレートフィルムやポリエチレンテレフタレートなどの透明フィルム、さらには、2,6−ナフタレンジカルボン酸(NDCA)とエチレングリコール(EG)とのポリエステルやNDCAとテレフタル酸とEGとのポリエステル等に磁性層などの情報記録層を設けたものが好ましく用いられる。反射型支持体としては、特に複数のポリエチレン層やポリエステル層でラミネートされ、このような耐水性樹脂層(ラミネート層)の少なくとも一層に酸化チタン等の白色顔料を含有する反射支持体が好ましい。
さらに前記の耐水性樹脂層中には蛍光増白剤を含有するのが好ましい。また、前記蛍光増白剤を分散含有する親水性コロイド層を、別途形成してもよい。前記蛍光増白剤として、好ましくは、ベンゾオキサゾール系、クマリン系、ピラゾリン系を用いることができ、さらに好ましくは、ベンゾオキサゾリルナフタレン系およびベンゾオキサゾリルスチルベン系の蛍光増白剤である。使用量は、特に限定されていないが、好ましくは1〜100mg/m2である。耐水性樹脂に混合する場合の混合比は、好ましくは樹脂に対して0.0005〜3質量%であり、さらに好ましくは0.001〜0.5質量%である。
本発明の感光材料には、画像のシャープネス等を向上させる目的で親水性コロイド層に、欧州特許EP0,337,490A2号明細書の第27〜76頁に記載の、処理により脱色可能な染料(中でもオキソノール系染料)を感光材料の680nmにおける光学反射濃度が0.70以上になるように添加したり、支持体の耐水性樹脂層中に2〜4価のアルコール類(例えばトリメチロールエタン)等で表面処理された酸化チタンを12質量%以上(より好ましくは14質量%以上)含有させるのが好ましい。
本発明の感光材料には、イラジエーションやハレーションを防止したり、セーフライト安全性等を向上させる目的で親水性コロイド層に、欧州特許EP0337490A2号明細書の第27〜76頁に記載の、処理により脱色可能な染料(中でもオキソノール染料、シアニン染料)を添加することが好ましい。さらに、欧州特許EP0819977号明細書に記載の染料も本発明に好ましく添加される。これらの水溶性染料の中には使用量を増やすと色分離やセーフライト安全性を悪化するものもある。色分離を悪化させないで使用できる染料としては、特開平5−127324号公報、同5−127325号公報、同5−216185号公報に記載された水溶性染料が好ましい。
また、水溶性染料の代わり、あるいは水溶性染料と併用しての処理で脱色可能な着色層も用いられる。処理で脱色可能な着色層は、乳剤層に直かに接してもよく、ゼラチンやハイドロキノンなどの処理混色防止剤を含む中間層を介して接するように配置されていてもよい。この着色層は、着色された色と同種の原色に発色する乳剤層の下層(支持体側)に設置されることが好ましい。各原色毎に対応する着色層を全て個々に設置することも、このうちに一部のみを任意に選んで設置することも可能である。また複数の原色域に対応する着色を行った着色層を設置することも可能である。着色層の光学反射濃度は、露光に使用する波長域(通常のプリンター露光においては400nm〜700nmの可視光領域、走査露光の場合には使用する走査露光光源の波長)において最も光学濃度の高い波長における光学濃度値が0.2以上3.0以下であることが好ましい。さらに好ましくは0.5以上2.5以下、特に0.8以上2.0以下が好ましい。
本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、カラーネガフィルム、カラーポジフィルム、カラー反転フィルム、カラー反転印画紙、カラー印画紙等に用いられるが、中でもカラー印画紙として用いるのが好ましい。カラー印画紙は、イエロー発色性ハロゲン化銀乳剤層、マゼンタ発色性ハロゲン化銀乳剤層およびシアン発色性ハロゲン化銀乳剤層をそれぞれ少なくとも1層ずつ有してなることが好ましく、一般には、これらのハロゲン化銀乳剤層は支持体から近い順にイエロー発色性ハロゲン化銀乳剤層、マゼンタ発色性ハロゲン化銀乳剤層、シアン発色性ハロゲン化銀乳剤層である。しかしながら、これとは異なった層構成を取っても構わない。上記のイエロー発色性ハロゲン化銀乳剤層が本発明のイエロー発色青感性ハロゲン化銀乳剤層であることが好ましい。
本発明において適用されるハロゲン化銀乳剤やその他の素材(添加剤など)および写真構成層(層配置など)、ならびにこの感光材料を処理するために適用される処理法や処理用添加剤としては、特開昭62−215272号公報、特開平2−33144号公報、欧州特許EP0,355,660A2号明細書に記載されているもの、特に欧州特許EP0,355,660A2号明細書に記載されているものが好ましく用いられる。さらには、特開平5−34889号公報、同4−359249号公報、同4−313753号公報、同4−270344号公報、同5−66527号公報、同4−34548号公報、同4−145433号公報、同2−854号公報、同1−158431号公報、同2−90145号公報、同3−194539号公報、同2−93641号公報、欧州特許公開第0520457A2号明細書等に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料やその処理方法も好ましい。
特に、本発明においては、前記の反射型支持体やハロゲン化銀乳剤、さらにはハロゲン化銀粒子中にドープされる異種金属イオン種、ハロゲン化銀乳剤の保存安定剤またはカブリ防止剤、化学増感法(増感剤)、分光増感法(分光増感剤)、シアン、マゼンタ、イエローカプラーおよびその乳化分散法、色像保存性改良剤(ステイン防止剤や褪色防止剤)、染料(着色層)、ゼラチン種、感光材料の層構成や感光材料の被膜pHなどについては、下記表1に示す特許の各箇所に記載のものが特に好ましく適用できる。
Figure 0004460864
本発明において用いられるシアン、マゼンタおよびイエローカプラーとしては、その他、特開昭62−215272号公報の第91頁右上欄4行目〜121頁左上欄6行目、特開平2−33144号公報の第3頁右上欄14行目〜18頁左上欄末行目と第30頁右上欄6行目〜35頁右下欄11行目やEP0355,660A2号明細書の第4頁15行目〜27行目、5頁30行目〜28頁末行目、45頁29行目〜31行目、47頁23行目〜63頁50行目に記載のカプラーも有用である。
また、本発明は国際公開WO−98/33760号の一般式(II)および(III)、特開平10−221825号公報の一般式(D)で表される化合物を添加してもよく、好ましい。
シアン色素形成カプラーとしては、ピロロトリアゾール系カプラーが好ましく用いられ、特開平5−313324号公報の一般式(I)または(II)で表されるカプラーおよび特開平6−347960号公報の一般式(I)で表されるカプラーならびにこれらの特許に記載されている例示カプラーが特に好ましい。また、フェノール系、ナフトール系のシアンカプラーも好ましく、例えば、特開平10−333297号公報に記載の一般式(ADF)で表されるシアンカプラーが好ましい。上記以外のシアンカプラーとしては、欧州特許EP0488248号明細書および欧州特許EP0491197A1号明細書に記載のピロロアゾール型シアンカプラー、米国特許第5,888,716号明細書に記載の2,5−ジアシルアミノフェノールカプラー、米国特許第4,873,183号明細書、同第4,916,051号明細書に記載の6位に電子吸引性基、水素結合基を有するピラゾロアゾール型シアンカプラー、特に、特開平8−171185号公報、同8−311360号公報、同8−339060号公報に記載の6位にカルバモイル基を有するピラゾロアゾール型シアンカプラーも好ましい。
また、特開平2−33144号公報に記載のジフェニルイミダゾール系シアンカプラーの他に、欧州特許EP0333185A2号明細書に記載の3−ヒドロキシピリジン系シアンカプラー(中でも具体例として列挙されたカプラー(42)の4当量カプラーに塩素離脱基をもたせて2当量化したものや、カプラー(6)や(9)が特に好ましい)や特開昭64−32260号公報に記載された環状活性メチレン系シアンカプラー(中でも具体例として列挙されたカプラー例3、8、34が特に好ましい)、欧州特許EP0456226A1号明細書に記載のピロロピラゾール型シアンカプラー、欧州特許EP0484909号明細書に記載のピロロイミダゾール型シアンカプラーを使用することもできる。
なお、これらのシアンカプラーのうち、特開平11−282138号公報に記載の一般式(I)で表されるピロロアゾール系シアンカプラーが特に好ましく、該特許の段落番号0012〜0059の記載は例示シアンカプラー(1)〜(47)が好ましいものとして挙げられる。
マゼンタ色素形成カプラーとしては、前記の表の公知文献に記載されたような5−ピラゾロン系マゼンタカプラーやピラゾロアゾール系マゼンタカプラーが用いられるが、中でも色相や画像安定性、発色性等の点で特開昭61−65245号公報に記載されたような2級または3級アルキル基がピラゾロトリアゾール環の2、3または6位に直結したピラゾロトリアゾールカプラー、特開昭61−65246号公報に記載されたような分子内にスルホンアミド基を含んだピラゾロアゾールカプラー、特開昭61−147254号公報に記載されたようなアルコキシフェニルスルホンアミドバラスト基を持つピラゾロアゾールカプラーや欧州特許第226,849A号明細書や同第294,785A号明細書に記載されたような6位にアルコキシ基やアリールオキシ基をもつピラゾロアゾールカプラーの使用が好ましい。特に、マゼンタカプラーとしては特開平8−122984号公報に記載の一般式(M−I)で表されるピラゾロアゾールカプラーが好ましく、該特許の段落番号0009〜0026が好ましいものとして挙げられる。これに加えて、欧州特許第854384号明細書、同第884640号明細書に記載の3位と6位の両方に立体障害基を有するピラゾロアゾールカプラーも好ましく用いられる。
また、イエロー色素形成カプラーとしては、前記表中に記載の化合物の他に、欧州特許EP0447969A1号明細書に記載のアシル基に3〜5員の環状構造を有するアシルアセトアミド型イエローカプラー、欧州特許EP0482552A1号明細書に記載の環状構造を有するマロンジアニリド型イエローカプラー、欧州公開特許第953870A1号明細書、同第953871A1号明細書、同第953872A1号明細書、同第953873A1号明細書、同第953874A1号明細書、同第953875A1号明細書等に記載のピロール−2または3−イル若しくはインドール−2または3−イルカルボニル酢酸アニリド系カプラー、米国特許第5,118,599号明細書に記載されたジオキサン構造を有するアシルアセトアミド型イエローカプラーが好ましく用いられる。その中でも、アシル基が1−アルキルシクロプロパン−1−カルボニル基であるアシルアセトアミド型イエローカプラー、アニリドの一方がインドリン環を構成するマロンジアニリド型イエローカプラーの使用が特に好ましい。また下記一般式(S)で表される化合物を好ましく用いることができる。
Figure 0004460864
一般式(S)において、R11、R12およびR13は各々独立に置換基を表す。n1は0以上5以下の整数を表し、n1が2以上のとき複数のR12はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。n2は0以上4以下の整数を表し、n2が2以上のとき複数のR13はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。Xは水素原子または現像主薬酸化体とのカップリング反応により離脱可能な基を表す。
一般式(S)において、R11は水素原子以外の置換基を表す。この置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アルキルアミノ基、アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキルまたはアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキルおよびアリールスルフィニル基、アルキルまたはアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリールまたはヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基が挙げられる。
12は水素原子以外の置換基を表す。この置換基の例としては前述のR11の置換基の例として挙げたものが挙げられる。好ましくはR12はハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子)、アルキル基(例えばメチル、イソプロピル)、アリール基(たとえばフェニル、ナフチル)、アルコキシ基(例えばメトキシ、イソプロピルオキシ)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ)、アシルオキシ基(例えばアセチルオキシ)、アミノ基(例えばジメチルアミノ、モルホリノ)、アシルアミノ基(例えばアセトアミド)、スルホンアミド基(例えばメタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド)、アルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル)、カルバモイル基(例えば、N−メチルカルバモイル、N,N−ジエチルカルバモイル)、スルファモイル基(例えばN−メチルスルファモイル、N,N−ジエチルスルファモイル)、アルキルスルホニル基(例えばメタンスルホニル)、アリールスルホニル基(例えばベンゼンスルホニル)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ、ドデシルチオ)、アリールチオ基(例えばフェニルチオ、ナフチルチオ)、シアノ基、カルボキシル基、スルホ基である。なお、少なくとも一つのR12が−CONH−基に対してオルト位に位置するものが好ましく、該オルト位のR12としては好ましくはハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキル基、アルキルチオ基またはアリールチオ基であり、より好ましくはアルキルチオ基またはアリールチオ基であり、さらに好ましくはアルキルチオ基(好ましくは一級アルキルチオ基または第三級アルキルチオ基であり、より好ましくは一級アルキルチオ基であり、さらに好ましくはβ位で分岐した一級アルキルチオ基であり、最も好ましくは2−エチルヘキシルチオ基)である。さらに少なくとも一つのR2は前記の−CONH−基に対してオルト位にあり、該オルト位のパラ位にさらにもう一つのR12を有したものが好ましく、該パラ位のR12がアルキル基(好ましくは第三級アルキル基、より好ましくは、t−ブチル基)であるものがさらに好ましい。最も好ましくは、R12が−CONH−基に対して2位が2−エチルヘキシルチオ基でかつ5位がt−ブチル基である。
12の総炭素数は0以上60以下が好ましく、0以上50以下がより好ましく、0以上40以下がさらに好ましい。
1は0以上5以下の整数を表し、n1が2以上のとき複数のR12はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。好ましくはn1が1以上3以下であり、さらに好ましくは1以上2以下、最も好ましくは2である。
13は水素原子以外の置換基を表す。この置換基の例としては前述のR11の置換基の例として挙げたものが挙げられる。好ましくはR13はハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子)、アルキル基(例えばメチル、イソプロピル)、アリール基(たとえばフェニル、ナフチル)、アルコキシ基(例えばメトキシ、イソプロピルオキシ)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ)、アシルオキシ基(例えばアセチルオキシ)、アミノ基(例えばジメチルアミノ、モルホリノ)、アシルアミノ基(例えばアセトアミド)、スルホンアミド基(例えばメタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド)、アルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(例えばフェノキシカルボニル)、カルバモイル基(例えば、N−メチルカルバモイル、N,N−ジエチルカルバモイル)、スルファモイル基(例えばN−メチルスルファモイル、N,N−ジエチルスルファモイル)、アルキルスルホニル基(例えばメタンスルホニル)、アリールスルホニル基(例えばベンゼンスルホニル)、シアノ基、カルボキシル基、スルホ基である。
2は0以上4以下の整数を表し、n2が2以上のとき複数のR13はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。
Xは水素原子または現像主薬酸化体とのカップリング反応により離脱可能な基を表す。本発明においては、Xは現像主薬酸化体とのカップリング反応により離脱可能な基である場合が好ましい。
Xが現像主薬酸化体とのカップリング反応により離脱可能な基である場合の例としては窒素原子で離脱する基、酸素原子で離脱する基、イオウ原子で離脱する基、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子)などが挙げられる。
窒素原子で離脱する基としては、ヘテロ環基(好ましくは5〜7員の置換もしくは無置換、飽和もしくは不飽和、芳香族(本明細書では4n+2個の環状共役電子を有するものを意味する)もしくは非芳香族、単環もしくは縮合環のヘテロ環基であり、より好ましくは、環構成原子が炭素原子、酸素原子、窒素原子および硫黄原子から選択され、かつ窒素原子、酸素原子および硫黄原子のいずれかのヘテロ原子を少なくとも一個有する5もしくは6員のヘテロ環基であり、例えばスクシンイミド、マレインイミド、フタルイミド、ジグリコールイミド、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、テトラゾール、インドール、ベンゾピラゾール、ベンツイミダゾール、ベンゾトリアゾール、イミダゾリジン−2,4−ジオン、オキサゾリジン−2,4−ジオン、チアゾリジン−2−オン、ベンツイミダゾリン−2−オン、ベンゾオキサゾリン−2−オン、ベンゾチアゾリン−2−オン、2−ピロリン−5−オン、2−イミダゾリン−5−オン、インドリン−2,3−ジオン、2,6−ジオキシプリン、パラバン酸、1,2,4−トリアゾリジ+ン−3,5−ジオン、2−ピリドン、4−ピリドン、2−ピリミドン、6−ピリダゾン、2−ピラゾン、2−アミノ−1,3,4−チアゾリジン−4−オン)、カルボナミド基(例えばアセタミド、トリフルオロアセタミド)、スルホンアミド基(例えばメタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド)、アリールアゾ基(例えばフェニルアゾ、ナフチルアゾ)、カルバモイルアミノ基(例えばN−メチルカルバモイルアミノ)などが挙げられる。
窒素原子で離脱する基のうち、好ましいものはヘテロ環基であり、さらに好ましいものは、環構成原子として窒素原子を1、2、3または4個有する芳香族ヘテロ環基、または下記一般式(L)で表されるヘテロ環基である。
Figure 0004460864
式中、Lは−NC(=O)−と共に5〜6員環の含窒素ヘテロ環を形成する残基を表す。
これらの例示は上記ヘテロ環基の説明の中で挙げており、これらがさらに好ましい。なかでも、Lは5員環の含窒素ヘテロ環を形成する残基が好ましい。
窒素原子で離脱する基のうち、より好ましくは置換基を有しても良いイミダゾリジン−2,4−ジオン、オキサゾリジン−2,4−ジオン、イミダゾール、ピラゾールである。最も好ましくは、5,5−ジメチルオキサゾリジン−2,4−ジオン−3−イル基である。
酸素原子で離脱する基としては、アリールオキシ基(例えばフェノキシ、1−ナフトキシ)、ヘテロ環オキシ基(例えばピリジルオキシ、ピラゾリルオキシ)、アシルオキシ基(例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシ)、アルコキシ基(例えばメトキシ、ドデシルオキシ)、カルバモイルオキシ基(例えばN,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルバモイルオキシ)、アリールオキシカルボニルオキシ基(例えばフェノキシカルボニルオキシ)、アルコキシカルボニルオキシ基(例えばメトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ)、アルキルスルホニルオキシ基(例えばメタンスルホニルオキシ)、アリールスルホニルオキシ基(例えばベンゼンスルホニルオキシ、トルエンスルホニルオキシ)などが挙げられる。
酸素原子で離脱する基のうち、好ましいものはアリールオキシ基、アシルオキシ基、ヘテロ環オキシ基である。
イオウ原子で離脱する基としては、アリールチオ基(例えばフェニルチオ、ナフチルチオ)、ヘテロ環チオ基(例えばテトラゾリルチオ、1,3,4−チアジアゾリルチオ、1,3,4−オキサゾリルチオ、ベンツイミダゾリルチオ)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ、オクチルチオ、ヘキサデシルチオ)、アルキルスルフィニル基(例えばメタンスルフィニル)、アリールスルフィニル基(例えばベンゼンスルフィニル)、アリールスルホニル基(例えばベンゼンスルホニル)、アルキルスルホニル基(例えばメタンスルホニル)などが挙げられる。
イオウ原子で離脱する基のうち、好ましいものはアリールチオ基、ヘテロ環チオ基であり、ヘテロ環チオ基がより好ましい。
Xは置換基により置換されていてもよく、Xを置換する置換基の例としては前述のR11の置換基の例として挙げたものが挙げられる。
Xは、好ましくは窒素原子で離脱する基、酸素原子で離脱する基、イオウ原子で離脱する基であり、より好ましくは窒素原子で離脱する基であり、さらに好ましくは、窒素原子で離脱する基で述べた好ましい基の順に好ましい。
またXは写真性有用基であってもよい。この写真性有用基としては、現像抑制剤、脱銀促進剤、レドックス化合物、色素、カプラー等、あるいはこれらの前駆体が挙げられる。
これらのカプラーは、単独で使用あるいは併用することができる。
本発明においては公知の混色防止剤を用いることができるが、その中でも以下に挙げる特許に記載のものが好ましい。
例えば、特開平5−333501号公報に記載の高分子量のレドックス化合物、国際公開WO98/33760号明細書、米国特許第4,923,787号明細書等に記載のフェニドンやヒドラジン系化合物、特開平5−249637号公報、特開平10−282615号公報および独国特許第19629142A1号明細書等に記載のホワイトカプラーを用いることができる。また、特に現像液のpHを上げ、現像の迅速化を行う場合には独国特許第19618786A1号明細書、欧州特許第839623A1号明細書、欧州特許第842975A1号明細書、独国特許19806846A1号明細書および仏国特許第2760460A1号明細書等に記載のレドックス化合物を用いることも好ましい。
本発明においては、紫外線吸収剤としてモル吸光係数の高いトリアジン骨核を有する化合物を用いることが好ましく、例えば、以下の特許に記載の化合物を用いることができる。これらは、感光性層または/および非感光性に好ましく添加される。例えば、特開昭46−3335号公報、同55−152776号公報、特開平5−197074号公報、同5−232630号公報、同5−307232号公報、同6−211813号公報、同8−53427号公報、同8−234364号公報、同8−239368号公報、同9−31067号公報、同10−115898号公報、同10−147577号公報、同10−182621号公報、独国特許第19739797A号明細書、欧州特許第711804A号明細書および特表平8−501291号公報等に記載されている化合物を使用できる。
本発明の感光材料に用いることのできる結合剤または保護コロイドとしては、ゼラチンを用いることが有利であるが、それ以外の親水性コロイドを単独であるいはゼラチンとともに用いることができる。好ましいゼラチンとしては、鉄、銅、亜鉛、マンガン等の不純物として含有される重金属は、好ましくは5ppm以下、さらに好ましくは3ppm以下である。また、感光材料中に含まれるカルシウム量は、好ましくは20mg/m2以下、さらに好ましくは10mg/m2以下、最も好ましくは5mg/m2以下である。
本発明においては、親水性コロイド層中に繁殖して画像を劣化させる各種の黴や細菌を防ぐために、特開昭63−271247号公報に記載のような防菌・防黴剤を添加するのが好ましい。さらに、感光材料の被膜pHは4.0〜7.0が好ましく、より好ましくは4.0〜6.5である。
本発明における写真構成層構成層中の総塗設ゼラチン量は3g/m2以上6g/m2以下であることが好ましく、3g/m2以上5g/m2以下であることがさらに好ましい。また、超迅速処理した場合でも、現像進行性、および定着漂白性、残色を満足するために、写真構成層全体の膜厚が3μm〜7.5μmであることが好ましく、さらに3μm〜6.5μmであることが好ましい。本発明において、現像進行性と乾燥速度を上げることを両立するために、膨潤膜厚が8μm〜19μmであることが好ましく、さらに9μm〜18μmであることが好ましい。
本発明における塗布銀量は、0.2g/m2〜0.5g/m2であることが好ましく、0.2g/m2〜0.45g/m2であることがさらに好ましく、0.2g/m2〜0.40g/m2であることが最も好ましい。
本発明においては、感光材料の塗布安定性向上、静電気発生防止、帯電量調節等の点から界面活性剤を感光材料に添加することができる。界面活性剤としてはアニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ベタイン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤があり、例えば特開平5−333492号公報に記載のものが挙げられる。本発明に用いる界面活性剤としては、フッ素原子含有の界面活性剤が好ましい。特に、フッ素原子含有界面活性剤を好ましく用いることができる。これらのフッ素原子含有界面活性剤は単独で用いても、従来公知の他の界面活性剤と併用しても構わないが、好ましくは従来公知の他の界面活性剤との併用である。これらの界面活性剤の感光材料への添加量は特に限定されるものではないが、一般的には、1×10-5〜1g/m2、好ましくは1×10-4〜1×10-1g/m2、さらに好ましくは1×10-3〜1×10-2g/m2である。
本発明の感光材料は、画像情報に応じて光を照射される露光工程と、前記光照射された感光材料を現像する現像工程とにより、画像を形成することができる。
本発明の感光材料は、通常のネガプリンターを用いたプリントシステムに使用される以外に、陰極線(CRT)を用いた走査露光方式にも適している。陰極線管露光装置は、レーザーを用いた装置に比べて、簡便でかつコンパクトであり、低コストになる。また、光軸や色の調整も容易である。
感光材料が異なる分光感度分布を有する複数の感光性層を持ち、陰極性管も複数のスペクトル領域の発光を示す蛍光体を有する場合には、複数の色を一度に露光、即ち陰極線管に複数の色の画像信号を入力して管面から発光させてもよい。各色ごとの画像信号を順次入力して各色の発光を順次行わせ、その色以外の色をカットするフィルムを通して露光する方法(面順次露光)を採ってもよく、一般には、面順次露光の方が、高解像度の陰極線管を用いることができるため、高画質化のためには好ましい。
本発明の感光材料は、ガスレーザー、発光ダイオード、半導体レーザー、半導体レーザーあるいは半導体レーザーを励起光源に用いた固体レーザーと非線形光学結晶を組合わせた第二高調波発光光源(SHG)等の単色高密度光を用いたデジタル走査露光方式が好ましく使用される。システムをコンパクトで、安価なものにするために半導体レーザー、半導体レーザーあるいは固体レーザーと非線形光学結晶を組合わせた第二高調波発生光源(SHG)を使用することが好ましい。特にコンパクトで、安価、さらに寿命が長く安定性が高い装置を設計するためには半導体レーザーの使用が好ましく、露光光源の少なくとも一つは半導体レーザーを使用することが好ましい。
このような走査露光における露光時間は、画素密度を400dpiとした場合の画素サイズを露光する時間として定義すると、好ましい露光時間としては10-4秒以下、さらに好ましくは10-6秒以下である。
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料は、発光波長420nm〜460nmの青色レーザーのコヒーレント光により像様露光することが好ましい。青色レーザーの中でも、青色半導体レーザーを用いることが特に好ましい。
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料は、以下の公知資料に記載の露光、現像システムと組み合わせることで好ましく用いることができる。前記現像システムとしては、特開平10−333253号公報に記載の自動プリントならびに現像システム、特開2000−10206号公報に記載の感光材料搬送装置、特開平11−215312号公報に記載の画像読取装置を含む記録システム、特開平11−88619号公報ならびに特開平10−202950号公報に記載のカラー画像記録方式からなる露光システム、特開平10−210206号公報に記載の遠隔診断方式を含むデジタルフォトプリントシステム、および特願平10−159187号公報に記載の画像記録装置を含むフォトプリントシステムが挙げられる。
本発明の感光材料の処理には、特開平2−207250号公報の第26頁右下欄1行目〜34頁右上欄9行目、および特開平4−97355号公報の第5頁左上欄17行目〜18頁右下欄20行目に記載の処理素材や処理方法が好ましく適用できる。また、この現像液に使用する保恒剤としては、前記の表に掲示した特許に記載の化合物が好ましく用いられる。
本発明は迅速処理適性を有する感光材料として適用される。発色現像時間は28秒以下、好ましくは6秒以上25秒以下、より好ましくは6秒以上20秒以下である。同様に、漂白定着時間は好ましくは30秒以下、さらに好ましくは6秒以上25秒以下、より好ましくは6秒以上20秒以下である。また、水洗または安定化時間は、好ましくは60秒以下、さらに好ましくは6秒以上40秒以下である。
なお、発色現像時間とは、感光材料が発色現像液中に入ってから次の処理工程の漂白定着液に入るまでの時間をいう。例えば、自動現像機などで処理される場合には、感光材料が発色現像液中に浸漬されている時間(いわゆる液中時間)と、感光材料が発色現像液を離れ次の処理工程の漂白定着浴に向けて空気中を搬送されている時間(いわゆる空中時間)との両者の合計を発色現像時間という。同様に、漂白定着時間とは、感光材料が漂白定着液中に入ってから次の水洗または安定浴に入るまでの時間をいう。また、水洗または安定化時間とは、感光材料が水洗または安定化液中に入ってから乾燥工程に向けて液中にある時間(いわゆる液中時間)をいう。
本発明の感光材料を露光後、現像する方法としては、従来のアルカリ剤と現像主薬を含む現像液で現像する方法、現像主薬を感光材料に内蔵し、現像主薬を含まないアルカリ液などのアクチベーター液で現像する方法などの湿式方式のほか、処理液を用いない熱現像方式などを用いることができる。
また、感光材料の塗布銀量を低減し、過酸化水素を用いた画像増幅処理(補力処理)する現像方法も好ましく用いられる。特に、この方法をアクチベーター方法に用いることは好ましい。具体的には、特開平8−297354号公報、同9−152695号公報に記載された過酸化水素を含むアクチベーター液を用いた画像形成方法が好ましく用いられる。
本発明で用いられるアクチベーター液、脱銀液(漂白/定着液)、水洗および安定化液の処理素材や処理方法は公知のものを用いることができる。好ましくは、「リサーチ・ディスクロージャー」Item 36544(1994年9月)第536頁〜第541頁、特開平8−234388号公報に記載されたものを用いることができる。
本発明の感光材料の処理としては、前述の迅速処理のほかに、特開平2−207250号の第26頁右下欄1行目〜34頁右上欄9行目、および特開平4−97355号の第5頁左上欄17行目〜18頁右下欄20行目に記載の処理素材や処理方法にも好ましく適用することができる。また、この現像液に使用する保恒剤としては、下記表1に掲示した特許に記載の化合物が好ましく用いられる。
代表的には、富士写真フイルム社製ミニラボ「PP350」、処理剤としてCP48Sケミカルを用い、感光材料試料に平均濃度のネガフイルムから像様露光を行い発色現像補充液の容量が発色現像タンク容量の2倍になるまで連続処理を行った処理液にて処理を行うものがある。
処理剤のケミカルとしては、富士写真フイルム社製CP45X、CP47L、イーストマンコダック社製RA−100、RA−4等でも構わない。
[実施例]
以下に、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[化合物の合成]
(化合物II-2の合成)
2−メチルチエノ[2,3−d]チアゾールは、特開2002−145886号明細書の実施例3の記載に従い合成した。
2−メチルチエノ[2,3−d]チアゾール18.6gとブロモ酢酸25.0g、m−クレゾール20mlを混合し、120℃で4時間加熱撹拌した。80℃に下げてアセトン100mlを加え1時間還流し、冷却後に白色沈殿を濾別、アセトンで洗浄し、3−カルボキシメチル−2−メチルチエノ[2,3−d]チアゾリウムブロミドの粉末26.2gを得た。
上記化合物5.9gと3−(5−ブロモ−2−スルホプロピルチオ−3−ベンゾチアゾリオ)プロパンスルホナート14.7g、アセトニトリル120mlを加え、60℃で加熱撹拌した。トリエチルアミン22.4mlを添加し、1時間加熱すると黄色沈殿を生じた。氷冷して沈殿を濾別し、アセトニトリルで洗浄して黄色粉末12.5gを得た。メタノール120ml、水20mlの混合溶媒に溶解し、トリエチルアミン50mlを加えると沈殿が生じ、これを濾別した。さらにこの沈殿をメタノール110ml、水110mlの混合溶媒に溶解し、酢酸11mlを加えると沈殿が生じ、これを濾別しアセトン洗浄することによりII-2の黄色粉末9.3gを得た。1H−NMR、FAB−MSにより構造を確認した。λmax(MeOH)=440.0nm(ε6.87×104)。
(化合物III-1の合成)
2−メチルチエノ[3,2−d]チアゾールは、3−アセチルアミノ−2−ブロモチオフェンをトルエン中五硫化リンとともに加熱還流することにより合成した。
2−メチルチエノ[3,2−d]チアゾール18.6gとブロモ酢酸25.0g、m−クレゾール20mlを混合し、120℃で4時間加熱撹拌した。80℃に下げてアセトン100mlを加え1時間還流し、冷却後に白色沈殿を濾別、アセトンで洗浄し、3−カルボキシメチル−2−メチルチエノ[3,2−d]チアゾリウムブロミドの粉末23.5gを得た。
上記化合物5.9gと3−(5−ブロモ−2−スルホプロピルチオ−3−ベンゾチアゾリオ)プロパンスルホナート14.7g、アセトニトリル120mlを加え、60℃で加熱撹拌した。トリエチルアミン22.4mlを添加し、1時間加熱すると黄色沈殿を生じた。氷冷して沈殿を濾別し、アセトニトリルで洗浄して黄色粉末10.3gを得た。メタノール100ml、水15mlの混合溶媒に溶解し、トリエチルアミン35mlを加えると沈殿が生じ、これを濾別した。さらにこの沈殿をメタノール90ml、水90mlの混合溶媒に溶解し、酢酸9mlを加えると沈殿が生じ、これを濾別しアセトン洗浄することによりIII-1の黄色粉末8.2gを得た。1H−NMR、FAB−MSにより構造を確認した。λmax(MeOH)=432.0nm(ε6.15×104)。
[乳剤の調製]
(乳剤B−10〜16の調製)比較例:塩臭化銀立方体 0.46μm
撹拌したゼラチン水溶液に、硝酸銀と塩化ナトリウムを同時添加して混合する定法で、高塩化銀立方体粒子を調製した。ただし、硝酸銀の添加が80%の時点から90%の時点にかけて、臭化カリウムをでき上がりのハロゲン化銀1モルあたり2モル%になる量を添加し、硝酸銀の添加が80%の時点から90%の時点にかけて、K4[Ru(CN)6]を添加した。また硝酸銀の添加が83%の時点から88%の時点にかけてK2[IrCl6]を添加し、硝酸銀の添加が90%の時点から95%の時点にかけてK2[Ir(5-methylthiazole)Cl5]を添加した。得られた乳剤に脱塩処理を施した後、ゼラチンを加え再分散した。得られた粒子は、6つの平行な{100}面で囲まれた立方体辺長0.46μm、変動係数9.5%の立方体乳剤であった。
この乳剤を40℃で溶解し、増感色素Dye−1をハロゲン化銀1モルあたり4×10-4モルおよびベンゼンチオスルホン酸ナトリウムをハロゲン化銀1モルあたり2×10-5モルを添加し、硫黄増感剤としてチオ硫酸ナトリウム5水和物と金増感剤としてビス(1,4,5−トリメチル−1,2,4−トリアゾリウム−3−チオラート)オーレート(I)テトラフルオロボレートを用い最適になるように熟成した。さらに、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾールをハロゲン化銀1モルあたり2.7×10-4モルと1−(5−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールをハロゲン化銀1モルあたり2.7×10-4モル添加し、臭化カリウムをハロゲン化銀1モルあたり2.7×10-3モル添加した。このようにして得られた乳剤を乳剤B−11とした。
Figure 0004460864
さらに乳剤B−11とは、後熟時に添加した増感色素Dye−1を表2に示した増感色素に変更したことのみ異なる乳剤をそれぞれ乳剤B−12〜B−16とした。また増感色素を添加しなかった乳剤を乳剤B−10とした。
(乳剤B−20〜26の調製)比較例:ヨウ臭塩化銀立方体 0.62μm
撹拌したゼラチン水溶液に、硝酸銀と塩化ナトリウムを同時添加して混合する定法で、高塩化銀立方体粒子を調製した。ただし、硝酸銀の添加が80%の時点から90%の時点にかけて、臭化カリウムをでき上がりのハロゲン化銀1モルあたり2モル%になる量を添加し、硝酸銀の添加が80%の時点から90%の時点にかけて、K4[Ru(CN)6]を添加した。また硝酸銀の添加が83%の時点から88%の時点にかけてK2[IrCl6]を添加し、硝酸銀の添加が90%終了した時点でヨウ化カリウム水溶液を、でき上がりのハロゲン化銀1モルあたりI量が0.24モル%になる量を激しく混合しながら添加し、硝酸銀の添加が90%の時点から95%の時点にかけてK2[Ir(5-methylthiazole)Cl5]を添加した。
得られた乳剤に脱塩処理を施した後、ゼラチンを加え再分散した。得られた粒子は、6つの平行な{100}面で囲まれた立方体辺長0.62μm、変動係数8.9%の立方体乳剤であった。
この乳剤を40℃で溶解し、増感色素Dye−1をハロゲン化銀1モルあたり4×10-4モルおよびベンゼンチオスルホン酸ナトリウムをハロゲン化銀1モルあたり2×10-5モルを添加し、硫黄増感剤としてチオ硫酸ナトリウム5水和物と金増感剤としてビス(1,4,5−トリメチル−1,2,4−トリアゾリウム−3−チオラート)オーレート(I)テトラフルオロボレートを用い最適になるように熟成した。さらに、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾールをハロゲン化銀1モルあたり2.7×10-4モルと1−(5−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールハロゲン化銀1モルあたり2.7×10-4モル添加し、臭化カリウムをハロゲン化銀1モルあたり2.7×10-3モル添加した。このようにして得られた乳剤を乳剤B−21とした。
さらに乳剤B−21とは、後熟時に添加した増感色素Dye−1を表2に示した増感色素に変更したことのみ異なる乳剤をそれぞれ乳剤B−22〜B−26とした。また増感色素を添加しなかった乳剤を乳剤B−20とした。
(乳剤B−30〜39の調製) ヨウ臭塩化銀立方体 0.46μm
乳剤B−11とは、硝酸銀の添加が90%終了した時点でヨウ化カリウム水溶液を、でき上がりのハロゲン化銀1モルあたりI量が0.24モル%になる量を激しく混合しながら添加したこと以外は乳剤B−11と同様に乳剤を調製した。得られた粒子は、6つの平行な{100}面で囲まれた立方体辺長0.46μm、変動係数9.5%の立方体塩ヨウ臭化銀乳剤で、このようにして得られた乳剤を乳剤B−31とした。また深さ方向へのヨウ化物イオン濃度の分布は、エッチング/TOF−SIMS法によると、ヨウ化物イオンは粒子表面に向けてしみ出し、最表面に緩やか濃度極大を有し、内側に向けて濃度が減衰していた。
さらに乳剤B−31とは、後熟時に添加した増感色素Dye−1を表2に示した増感色素に変更したことのみ異なる乳剤をそれぞれ乳剤B−32〜B−39とした。また増感色素を添加しなかった乳剤を乳剤B−30とした。
(乳剤B−40〜46の調製)比較例: ヨウ臭塩化銀立方体 0.46μm
乳剤B−11とは、硝酸銀の添加が70%終了した時点でヨウ化カリウム水溶液を、でき上がりのハロゲン化銀1モルあたりI量が0.24モル%になる量を激しく混合しながら添加したこと以外は乳剤B−11と同様に乳剤を調製した。得られた粒子は、6つの平行な{100}面で囲まれた立方体辺長0.46μm、変動係数9.5%の立方体塩ヨウ臭化銀乳剤で、このようにして得られた乳剤を乳剤B−41とした。
さらに乳剤B−41とは、後熟時に添加した増感色素Dye−1を表2に示した増感色素に変更したことのみ異なる乳剤をそれぞれ乳剤B−42〜B−46とした。また増感色素を添加しなかった乳剤を乳剤B−40とした。
(乳剤B−50〜56の調製) 比較例:{100}ヨウ臭塩化銀平板 0.46μm
27℃に恒温し、撹拌したゼラチン水溶液中に硝酸銀と塩化ナトリウムを激しく撹拌しながら同時添加し、さらに、臭化カリウムをでき上がりのハロゲン化銀1モルあたり0.46モル%になる量を激しく混合しながら添加した。さらに硝酸銀と塩化ナトリウムを同時添加した。75℃に昇温、最適に熟成し、さらに成長工程として硝酸銀と塩化ナトリウムを添加し、所望の粒子サイズ成長させた。このとき硝酸銀の添加が90%終了した時点で、ヨウ化カリウム水溶液をでき上がりのハロゲン化銀1モルあたりI量が0.24モル%になる量を、激しく混合しながら添加し、硝酸銀の添加が80%の時点から90%の時点にかけて、臭化カリウムをでき上がりのハロゲン化銀1モルあたり2モル%になる量を激しく混合しながら添加した。
また硝酸銀の添加が80%の時点から90%の時点にかけて、K4[Ru(CN)6]を添加し、硝酸銀の添加が83%の時点から88%の時点にかけてK2[IrCl 6]を添加した。さらに硝酸銀の添加が90%の時点から95%の時点にかけてK2[Ir(5-methylthiazole)Cl5]を添加した。その後、得られた乳剤に脱塩処理を施した後、ゼラチンを加え再分散した。
そして乳剤の一部を採取し、粒子のレプリカの電子顕微鏡写真像(TEM像)を観察した。それによると、全ハロゲン化銀粒子の投影面積計の95.1%が主平面が{100}面の平板状粒子であり、その平均粒径0.90μm、平均粒子厚0.150μm、平均アスペクト比6.1、平均隣接辺比率1.12、立方体換算辺長0.46μmの粒子であった。
この乳剤を40℃で溶解し、増感色素Dye−1をハロゲン化銀1モルあたり4×10-4モルおよびベンゼンチオスルホン酸ナトリウムをハロゲン化銀1モルあたり2×10-5モルを添加し、硫黄増感剤としてチオ硫酸ナトリウム5水和物と金増感剤としてビス(1,4,5−トリメチル−1,2,4−トリアゾリウム−3−チオラート)オーレート(I)テトラフルオロボレートを用い最適になるように熟成した。さらに、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾールをハロゲン化銀1モルあたり2.7×10-4モルと1−(5−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールハロゲン化銀1モルあたり2.7×10-4モル添加し、臭化カリウムをハロゲン化銀1モルあたり2.7×10-3モル添加した。このようにして得られた乳剤を乳剤B−51とした。
さらに乳剤B−51とは、後熟時に添加した増感色素Dye−1を表2に示した増感色素に変更したことのみ異なる乳剤をそれぞれ乳剤B−52〜B−56とした。また増感色素を添加しなかった乳剤を乳剤B−50とした。
(乳剤G−1の調製)
攪拌したゼラチン水溶液中に、硝酸銀と塩化ナトリウムを同時添加して混合する定法で、球相当径0.35μm、変動係数10%の立方体高塩化銀乳剤を調製した。但し、硝酸銀の添加が80%の時点から90%の時点にかけて、K4[Ru(CN)6]を添加した。硝酸銀の添加が80%の時点から100%の時点にかけて、臭化カリウム(でき上がりのハロゲン化銀1モルあたり4モル%)を添加した。硝酸銀の添加が90%終了した時点でヨウ化カリウム(でき上がりのハロゲン化銀1モルあたり0.2モル%)を添加した。硝酸銀の添加が92%の時点から95%の時点にかけて、K2[Ir(5-methylthiazole)Cl5]を添加した。さらに硝酸銀の添加が92%の時点から98%の時点にかけて、K2[Ir(H2O)Cl5]を添加した。得られた乳剤に脱塩処理を施した後、ゼラチンを加え再分散した。この乳剤にベンゼンチオスルホン酸ナトリウムをハロゲン化銀1モルあたり2×10-5モル添加し、硫黄増感剤としてチオ硫酸ナトリウム5水和物と金増感剤としてビス(1,4,5−トリメチル−1,2,4−トリアゾリウム−3−チオラート)オーレート(I)テトラフルオロボレートを用い最適になるように熟成した。さらに増感色素Dye−2をハロゲン化銀1モルあたり6×10-4モル、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾールをハロゲン化銀1モルあたり2×10-4モル、1−(5−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールをハロゲン化銀1モルあたり8×10-4モルおよび臭化カリウムをハロゲン化銀1モルあたり7×10-3モル添加した。このようにして得られた乳剤を、乳剤G−1とした。
Figure 0004460864
(乳剤R−1の調製)
攪拌したゼラチン水溶液中に、硝酸銀と塩化ナトリウムを同時添加して混合する定法で、球相当径0.35μm、変動係数10%の立方体高塩化銀乳剤を調製した。但し、硝酸銀の添加が80%の時点から90%の時点にかけて、K4[Ru(CN)6]を添加した。硝酸銀の添加が80%の時点から100%の時点にかけて、臭化カリウム(でき上がりのハロゲン化銀1モルあたり4.3モル%)を添加した。硝酸銀の添加が90%終了した時点でヨウ化カリウム(でき上がりのハロゲン化銀1モルあたり0.15モル%)を添加した。硝酸銀の添加が92%の時点から95%の時点にかけて、K2[Ir(5-methylthiazole)Cl5]を添加した。
さらに硝酸銀の添加が92%の時点から98%の時点にかけて、K2[Ir(H2O)Cl5]を添加した。得られた乳剤に脱塩処理を施した後、ゼラチンを加え再分散した。この乳剤にベンゼンチオスルホン酸ナトリウムをハロゲン化銀1モルあたり2×10-5モル添加し、硫黄増感剤としてチオ硫酸ナトリウム5水和物と金増感剤としてビス(1,4,5−トリメチル−1,2,4−トリアゾリウム−3−チオラート)オーレート(I)テトラフルオロボレートを用い最適になるように熟成した。さらに増感色素Dye−6をハロゲン化銀1モルあたり2×10-4モル、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾールハロゲン化銀1モルあたり2×10-4モル、1−(5−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールをハロゲン化銀1モルあたり8×10-4モル、化合物−1をハロゲン化銀1モルあたり1×10-3モルおよび臭化カリウムをハロゲン化銀1モルあたり7×10-3モル添加した。このようにして得られた乳剤を、乳剤R−1とした。
Figure 0004460864
[ハロゲン化銀カラー写真感光材料の作製]
紙の両面をポリエチレン樹脂で被覆してなる支持体の表面に、コロナ放電処理を施した後、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含むゼラチン下塗層を設け、さらに第一層〜第七層の写真構成層を順次塗設して、以下に示す層構成のハロゲン化銀カラー写真感光材料の試料を作製した。各写真構成層用の塗布液は、以下のようにして調製した。
第一層塗布液調製
イエローカプラー(ExY−1)57g、色像安定剤(Cpd−1)7g、色像安定剤(Cpd−2)4g、色像安定剤(Cpd−3)7g、色像安定剤(Cpd−8)2gを溶媒(Solv−1)21gおよび酢酸エチル80mlに溶解し、この液を4gのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含む23.5質量%ゼラチン水溶液220g中に高速攪拌乳化機(ディゾルバー)で乳化分散し、水を加えて900gの乳化分散物Aを調製した。
一方、前記乳化分散物Aと乳剤B−11を混合溶解し、後記組成となるように第一層塗布液を調製した。乳剤塗布量は、銀量換算塗布量を示す。
第二層〜第七層用の塗布液も第一層塗布液と同様の方法で調製した。各層のゼラチン硬化剤としては、1−オキシ−3,5−ジクロロ−s−トリアジンナトリウム塩H−1、H−2、H−3を用いた。また、各層にAb−1、Ab−2、Ab−3、およびAb−4をそれぞれ全量が15.0mg/m2、60.0mg/m2、5.0mg/m2および10.0mg/m2となるように添加した。
Figure 0004460864
Figure 0004460864
また、緑感性乳剤層および赤感性乳剤層に対し、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾールを、それぞれハロゲン化銀1モル当り1.0×10-3モルおよび5.9×10-4モル添加した。さらに、第二層、第四層および第六層にも1−フェニル−5−メルカプトテトラゾールを、それぞれ0.2mg/m2、0.2mg/m2および0.6mg/m2となるように添加した。
赤感性乳剤層にメタクリル酸とアクリル酸ブチルの共重合体ラテックス(質量比1:1、平均分子量200000〜400000)を0.05g/m2添加した。また、第二層、第四層および第六層にカテコール−3,5−ジスルホン酸二ナトリウムをそれぞれ6mg/m2、6mg/m2、18mg/m2となるように添加した。また、イラジエーション防止のために、以下の染料(カッコ内は塗布量を表す)を添加した。
Figure 0004460864
(層構成)
以下に、各層の構成を示す。数字は塗布量(g/m2)を表す。ハロゲン化銀乳剤は、銀換算塗布量を表す。
支持体
ポリエチレン樹脂ラミネート紙
[第一層側のポリエチレン樹脂に白色顔料(TiO2;含有率16質量%、ZnO;含有率4質量%)と蛍光増白剤(4,4’−ビス(5−メチルベンゾオキサゾリル)スチルベン。含有率0.03質量%)、青味染料(群青)を含む]
第一層(青感性乳剤層)
乳剤B−11 0.19
ゼラチン 1.00
イエローカプラー(ExY−1) 0.46
色像安定剤(Cpd−1) 0.06
色像安定剤(Cpd−2) 0.03
色像安定剤(Cpd−3) 0.06
色像安定剤(Cpd−8) 0.02
溶媒(Solv−1) 0.17
第二層(混色防止層)
ゼラチン 0.50
混色防止剤(Cpd−4) 0.05
色像安定剤(Cpd−5) 0.01
色像安定剤(Cpd−6) 0.06
色像安定剤(Cpd−7) 0.01
溶媒(Solv−1) 0.03
溶媒(Solv−2) 0.11
第三層(緑感性乳剤層)
乳剤G−1 0.12
ゼラチン 1.36
マゼンタカプラー(ExM−1) 0.15
紫外線吸収剤(UV−A) 0.14
色像安定剤(Cpd−2) 0.02
色像安定剤(Cpd−4) 0.002
色像安定剤(Cpd−6) 0.09
色像安定剤(Cpd−8) 0.02
色像安定剤(Cpd−9) 0.03
色像安定剤(Cpd−10) 0.01
色像安定剤(Cpd−11) 0.0001
溶媒(Solv−3) 0.11
溶媒(Solv−4) 0.22
溶媒(Solv−5) 0.20
第四層(混色防止層)
ゼラチン 0.36
混色防止層(Cpd−4) 0.03
色像安定剤(Cpd−5) 0.006
色像安定剤(Cpd−6) 0.05
色像安定剤(Cpd−7) 0.004
溶媒(Solv−1) 0.02
溶媒(Solv−2) 0.08
第五層(赤感性乳剤層)
乳剤R−1 0.10
ゼラチン 1.11
シアンカプラー(ExC−1) 0.13
シアンカプラー(ExC−2) 0.016
シアンカプラー(ExC−3) 0.008
シアンカプラー(ExC−4) 0.006
色像安定剤(Cpd−1) 0.05
色像安定剤(Cpd−6) 0.06
色像安定剤(Cpd−7) 0.02
色像安定剤(Cpd−9) 0.04
色像安定剤(Cpd−10) 0.01
色像安定剤(Cpd−14) 0.01
色像安定剤(Cpd−15) 0.12
色像安定剤(Cpd−16) 0.03
色像安定剤(Cpd−17) 0.09
色像安定剤(Cpd−18) 0.07
溶媒(Solv−5) 0.15
溶媒(Solv−8) 0.05
第六層(紫外線吸収層)
ゼラチン 0.46
紫外線吸収剤(UV−B) 0.45
化合物(S1−4) 0.0015
溶媒(Solv−7) 0.25
第七層(保護層)
ゼラチン 1.00
ポリビニルアルコールのアクリル変性共重合体
(変性度17%) 0.04
流動パラフィン 0.02
界面活性剤(Cpd−13) 0.01
Figure 0004460864
Figure 0004460864
Figure 0004460864
Figure 0004460864
Figure 0004460864
Figure 0004460864
Figure 0004460864
Figure 0004460864
Figure 0004460864
Figure 0004460864
以上のようにして得られた試料を、試料S(11)とした。試料S(11)とは青感性乳剤層の乳剤をそれぞれ表2のように替えた試料も同様に作製し試料S(10)〜試料S(56)とした。
Figure 0004460864
(評価1:感度と残色)
これらの試料の写真特性を調べるために以下のような実験を行った。
各塗布試料を25℃30%RHの雰囲気下に十分放置して、その環境のまま、高照度露光用感光計(山下電装(株)製HIE型)を用いて、グレー発色のセンシトメトリー用の10-6秒高照度階調露光を与えた。露光した試料は、露光してから10秒後に以下に示す[発色現像処理a]を行った。
以下に処理工程を示す。
[発色現像処理a]
上記感光材料の試料を127mm幅のロール状に加工し、富士写真フイルム(株)製ミニラボプリンタープロセッサーPP350を改造した実験処理装置を用いて感光材料試料に平均濃度のネガティブフイルムから像様露光を行い、下記処理工程にて使用した発色現像補充液の容量が発色現像タンク容量の0.5倍となるまで連続処理(ランニングテスト)を行った。
処理工程 温度 時間 補充量*
発色現像 45.0℃ 16秒 45ml
漂白定着 40.0℃ 16秒 35ml
リンス1 40.0℃ 8秒 −
リンス2 40.0℃ 8秒 −
リンス3 ** 40.0℃ 8秒 −
リンス4 38.0℃ 8秒 121ml
乾燥 80.0℃ 16秒
(注)*感光材料1m2あたりの補充量
**富士写真フイルム(株)製リンスクリーニングシステムRC50Dをリンス(3)に装着し、リンス(3)からリンス液を取り出してポンプにより逆浸透モジュール(RC50D)へ送る。同槽で送られた透過水はリンスに供給し、濃縮液はリンス(3)に戻す。逆浸透モジュールへの透過水量は50〜300ml/分を維持するようにポンプ圧を調整し、1日10時間温調循環させた。リンスは(1)から(4)への4タンク向流方式とした。
各処理液の組成は以下の通りである。
[発色現像液] [タンク液] [補充液]
水 800ml 600ml
蛍光増白剤(FL−1) 5.0g 8.5g
トリイソプロパノールアミン 8.8g 8.8g
p−トルエンスルホン酸ナトリウム 20.0g 20.0g
エチレンジアミン4酢酸 4.0g 4.0g
亜硫酸ナトリウム 0.10g 0.50g
塩化カリウム 10.0g −
4,5−ジヒドロキシベンゼン−
1,3−ジスルホン酸ナトリウム 0.50g 0.50g
ジナトリウム−N,N−ビス(スルホナート
エチル)ヒドロキシルアミン 8.5g 14.5g
4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−
(β−メタンスルホンアミドエチル)アニリン
・3/2硫酸塩・モノハイドレード 10.0g 22.0g
炭酸カリウム 26.3g 26.3g
水を加えて全量 1000ml 1000ml
pH(25℃、硫酸とKOHで調整)10.35 12.6
[漂白定着液] [タンク液] [補充液]
水 800ml 800ml
チオ硫酸アンモニウム(750g/ml)
107ml 214ml
コハク酸 29.5g 59.0g
エチレンジアミン4酢酸鉄(III)アンモニウム
47.0g 94.0g
エチレンジアミン4酢酸 1.4g 2.8g
硝酸(67%) 17.5g 35.0g
イミダゾール 14.6g 29.2g
亜硫酸アンモニウム 16.0g 32.0g
メタ重亜硫酸カリウム 23.1g 46.2g
水を加えて全量 1000ml 1000ml
pH(25℃、硝酸とアンモニア水で調整)6.00 6.00
[リンス液] [タンク液] [補充液]
塩素化イソシアヌール酸ナトリウム 0.02g 0.02g
脱イオン水(電導度5μS/cm以下) 1000ml 1000ml
pH(25℃) 6.5 6.5
Figure 0004460864
処理後の各試料のイエロー発色濃度を測定し、10-6秒高照度露光の特性曲線を得た。感度は、最低発色濃度より1.0高い発色濃度を与える露光量の逆数をもって定義した。
試料S(11)を25℃30%RH雰囲気下で露光し、[発色現像処理a]で処理した場合の感度を100とし、それぞれの相対感度を表3に示した。
上記の評価1で作成した試料S(11)〜S(56)の処理後の未露光部の最低イエロー発色濃度から、それぞれの色素ブランク試料S(10)、S(20)、S(30)、S(40)、S(50)の処理後の未露光部の最低イエロー発色濃度を差し引くことにより、増感色素の残色を評価した。結果を表3に示した。値が小さいほど増感色素の残色が少ないことを示す。
(評価2:処理液変動安定性)
さらに、処理液変動の安定性を調べるために、[発色現像処理a]に対して、発色現像液の補充量のみを±15%した[発色現像処理b]および[発色現像処理c]を行った。
まず、25℃30%RH雰囲気下に十分放置した試料をその環境のまま、高照度露光用感光計(山下電装(株)製HIE型)を用いて、グレー発色のセンシトメトリー用の10-6秒高照度階調露光を与えた。次に露光した試料は下記に示す[発色現像処理b]および[発色現像処理c]を行った。
[発色現像処理b]とは、[発色現像処理a]に対して発色現像の補充量を1
5%増やしたことのみ異なる処理処方で、以下に処理処方を示す。
処理工程 温度 時間 補充量*
発色現像 45.0℃ 16秒 51.8ml
漂白定着 40.0℃ 16秒 35ml
リンス1 40.0℃ 8秒 −
リンス2 40.0℃ 8秒 −
リンス3 ** 40.0℃ 8秒 −
リンス4 38.0℃ 8秒 121ml
乾燥 80.0℃ 16秒
[発色現像処理c]とは、[発色現像処理a]に対して発色現像の補充量を1
5%減らしたことのみ異なる処理処方とした。以下に処理処方を示す。
処理工程 温度 時間 補充量*
発色現像 45.0℃ 16秒 38.3ml
漂白定着 40.0℃ 16秒 35ml
リンス1 40.0℃ 8秒 −
リンス2 40.0℃ 8秒 −
リンス3 ** 40.0℃ 8秒 −
リンス4 38.0℃ 8秒 121ml
乾燥 80.0℃ 16秒
各処理後の各試料のイエロー発色濃度を測定して、特性曲線を得た。ここで階調(γ)を最低発色濃度+1.4の発色濃度を与える点と最低発色濃度+2.0の発色濃度を与える点の露光量の逆数の差を対数で表したものと定義した。発色現像処理bで処理した場合の階調(γ)と、発色現像処理cで処理した場合の階調(γ)との階調変動率Δγ=(γ(b)(c))を表3に示す。Δγの値が1.0に近いほど処理変動における影響が少ないことを示す。
Figure 0004460864
表3の結果から明らかなように、塩臭化銀乳剤の試料S(11)〜S(16)とヨウ化銀相が粒子内部に形成されたS(41)〜S(46)は色素吸着が弱いこともあり、極めて低感度である。ヨウ化銀含有相が内側から90%の位置に形成されたヨウ臭塩化銀乳剤の試料はいずれも高感度であるが、大サイズ粒子S(21)〜S(26)および平板状粒子のS(51)〜S(56)は処理液変動に対する階調の変化が大きすぎる。本発明の試料S(32)〜S(37)および比較試料のS(38)およびS(39)は、比較例の色素Dye−1を用いた試料S(31)よりも高感度で残色が少なく、しかも処理液変動においても階調の変動が少なく、安定なプリント濃度が得られる。
た一般式(I)のシアニン化合物の中でも、本発明の一般式(II)および一般式(III)で表されるシアニン化合物が最も優秀な性能を示した(試料S(32)〜S(37))。
試料S(11)〜S(56)を用いて、レーザー走査露光によって画像形成を行った。
レーザー光源としては、半導体レーザーGaAlAs(発振波長808.5nm)を励起光源としたYAG固体レーザー(発振波長946nm)を反転ドメイン構造を有するLiNbO3のSHG結晶により波長変換して取り出した473nmと、半導体レーザーGaAlAs(発振波長808.7nm)を励起光源としたYVO4固体レーザー(発振波長1064nm)を反転ドメイン構造を有するLiNbO3のSHG結晶により波長変換して取り出した532nmと、AlGaInP(発振波長約680nm:松下電産製タイプNo.LN9R20)とを用いた。3色のそれぞれのレーザー光はポリゴンミラーにより走査方向に対して垂直方向に移動し、試料上に、順次走査露光できるようにした。半導体レーザーの温度による光量変動は、ペルチェ素子を利用して温度が一定に保たれることで抑えられている。実効的なビーム径は、80μmで、走査ピッチは42.3μm(600dpi)であり、1画素あたりの平均露光時間は、1.7×10-7秒であった。
塗布試料S(11)〜S(56)は、感光計を上記レーザー走査露光に置き換え実施例1と同様な評価を行ったところ、実施例1の結果と同様、本発明の試料は高感度な乳剤であり、残色が少なく、処理液の変動に対して依存性が少なく、レーザー走査露光を用いた画像形成にも適していることが分かった。
(青感層乳剤B−H1の調製)
攪拌した脱イオンゼラチンを含む脱イオン蒸留水に、硝酸銀と塩化ナトリウム同時添加して混合する方法で、高塩化銀立方体粒子を調製した。この調製の過程において、硝酸銀の添加が85%の時点から95%の時点にかけて、臭化カリウムを出来上がりのハロゲン化銀1モル当たり1.5モル%になる量を添加し、硝酸銀の添加が80%の時点から90%の時点にかけてK4[Fe(CN)6]を4×10-6モル/銀モル、K4[Ru(CN)6]を6×10-6モル/銀モル、K2[Ir(5-methylthiazole)Cl5]を5×10-8モル/銀モル、K2[RhBr5(H2O)]を3×10-9モル/銀モルおよびK2[OsCl5(NO)]を4×10-9モル/銀モルずつ添加した。さらに、硝酸銀の添加が92%から98%の時点にかけて、K2[IrCl 5(H2O)]を8×10-6モル/銀モルおよびK[IrCl5(H2O)2]を1×10-6モル/銀モル添加した。さらに、硝酸銀の添加が90%終了した時点でヨウ化カリウム溶液を出来上がりのハロゲン化銀1モル当たりヨード量が0.27モル%となるように激しく攪拌しながら添加した。得られた乳剤粒子は、辺長0.54μm、変動係数8.5%の単分散立方体ヨウ臭塩化銀粒子であった。この乳剤に沈降脱塩処理を施した後、ゼラチンと、化合物Ab−1、Ab−2、Ab−3および硝酸カルシウムを添加し再分散を行った。
再分散した乳剤を40℃で溶解し、ベンゼンチオスルホン酸ナトリウムを2×10-5モル/銀モル、硫黄増感剤としてトリエチルチオ尿素を2×10-6モル/銀モル、金増感剤として化合物−2を3×10-5モル/銀モル添加し、後熟が最適になるように熟成した。その後、1−(5−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールを2×10-4モル/銀モル、化合物−3を8×10-6モル/銀モル、化合物−4を1×10-5モル/銀モル、臭化カリウムを2×10-3モル/銀モル添加した。さらに乳剤調製工程の途中で増感色素として、本発明の増感色素II−2を6×10-4モル/銀モル添加することにより分光増感を行った。こうして得られた乳剤を乳剤B−H1とした。
Figure 0004460864
(青感層乳剤B−L1の調製)
乳剤B−H1の調製において、硝酸銀と塩化ナトリウムを同時添加して混合する工程の温度および添加速度を変え、硝酸銀と塩化ナトリウムの添加の途中に添加される各種金属錯体の量を変更する以外は同様にして乳剤粒子を得た。この乳剤粒子は辺長0.34μm、変動係数9.5%の単分散立方体ヨウ臭塩化銀粒子であった。この乳剤を再分散後、添加される各種化合物の量をB−H1から変更する以外は同様にして乳剤B−L1を調製した。
(青感層乳剤B−H2、B−L2の調製)
乳剤B−H1とB−L1の調製において、ヨウ化カリウム溶液を出来上がりのハロゲン化銀1モル当たりヨード量が0.10モル%となるように添加した以外は同様にして乳剤B−H2と乳剤B−L2を調製した。
(青感層乳剤B−H3、B−L3の調製)
乳剤B−H1とB−L1の調製において、ヨウ化カリウム溶液を出来上がりのハロゲン化銀1モル当たりヨード量が0.45モル%となるように添加した以外は同様にして乳剤B−H3と乳剤B−L3を調製した。
(緑感層乳剤G−Hの調製)
前記、青感光性乳剤の調製と同様の方法を用いて乳剤粒子を調製した。この乳剤粒子は辺長0.48μm、変動係数8.0%の単分散立方体ヨウ臭塩化銀粒子であった。この乳剤に沈降脱塩処理および再分散を施した。
Figure 0004460864
この乳剤を40℃で溶解し、ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム、p−グルタルアミドフェニルジスルフィド、硫黄増感剤としてチオ硫酸ナトリウム5水和物および金増感剤として(ビス(1,4,5−トリメチル−1,2,4−トリアゾリウム−3−チオラート)オーレート(I)テトラフルオロボレート)を添加し、後熟が最適になるように熟成した。その後、1−(3−アセトアミドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール、1−(5−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール、化合物−2、化合物−3および臭化カリウムを添加した。さらに乳剤調製工程の途中で増感色素として、Dye−2〜Dye−5を添加することにより分光増感を行った。こうして得られた乳剤を乳剤G−Hとした。
(緑感層乳剤G−Lの調製)
乳剤G−Hの調製において、硝酸銀と塩化ナトリウムを同時添加して混合する工程の温度および添加速度を変え、硝酸銀と塩化ナトリウムの添加の途中に添加される各種金属錯体の量を変更する以外は同様にして乳剤粒子を得た。この乳剤粒子は辺長0.25μm、変動係数9.8%の単分散立方体ヨウ臭塩化銀粒子であった。この乳剤を再分散後、添加される各種化合物の量を乳剤G−Hから変更する以外は同様にして乳剤G−Lを調製した。
(赤感層用乳剤R−Hの調製)
攪拌した脱イオンゼラチンを含む脱イオン蒸留水に、硝酸銀と塩化ナトリウム同時添加して混合する方法で、高塩化銀立方体粒子を調製した。この調製の過程において、硝酸銀の添加が65%の時点から90%の時点にかけて、臭化カリウムを出来上がりのハロゲン化銀1モル当たり2.5モル%になる量を添加し、硝酸銀の添加が70%の時点から85%の時点にかけてK4[Fe(CN)6]、K4[Ru(CN)6]、K2[Ir(5-methylthiazole)Cl5]、K3[RhBr6]およびK2[RuCl5(NO)]を添加した。さらに、硝酸銀の添加が85%から98%の時点にか
けて、K2[IrCl5(H2O)]を添加した。さらに、硝酸銀の添加が88%終了した時点でヨウ化カリウム溶液を出来上がりのハロゲン化銀1モル当たりヨード量が0.15モル%となるように激しく攪拌しながら添加した。得られた乳剤粒子は立方体辺長0.39μm、変動係数10%の単分散立方体ヨウ臭塩化銀乳剤粒子であった。得られた乳剤に前記と同様にして沈降脱塩処理および再分散を行った。
この乳剤を40℃で溶解し、増感色素Dye−6、化合物−1、硫黄増感剤としてトリエチルチオ尿素および金増感剤として化合物−2を添加し、後熟が最適になるように熟成した。その後、1−(3−アセトアミドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール、1−(5−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール、化合物−3、化合物−4を添加した。こうして得られた乳剤を乳剤R−Hとした。
(赤感層用乳剤R−Lの調製)
乳剤R−Hの調製において、硝酸銀と塩化ナトリウムを同時添加して混合する工程の温度および添加速度を変え、硝酸銀と塩化ナトリウムの添加の途中に添加される各種金属錯体の量を変更する以外は同様にして乳剤粒子を得た。この乳剤粒子は辺長0.29μm、変動係数9.9%の単分散立方体ヨウ臭塩化銀粒子であった。この乳剤を沈降脱塩処理および再分散後、添加される各種化合物の量を乳剤R−Hから変更する以外は同様にして乳剤R−Lを調製した。
第一層塗布液調製
イエローカプラー(ExY−2)34.0g、色像安定剤(Cpd−1)1.0g、色像安定剤(Cpd−2)1.0g、色像安定剤(Cpd−8)8.0g、色像安定剤(Cpd−18)1.0g、色像安定剤(Cpd−19)2.0g、色像安定剤(Cpd−20)15.0g、色像安定剤(Cpd−21)1.0g、色像安定剤(Cpd−23)15g、添加剤(ExC−5)0.1g、色像安定剤(UV−3)1.0gを溶媒(Solv−4)23g、溶媒(Solv−6)4g、溶媒(Solv−13)23gおよび酢酸エチル60mlに溶解し、この液を4gのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含む20質量%ゼラチン水溶液270g中に高速攪拌乳化機(ディゾルバー)で乳化分散し、水を加えて900gの乳化分散物Aを調製した。
一方、前記乳化分散物Aと前記乳剤B−H1、B−L1を混合溶解し、後記組成となるように第一層塗布液を調製した。乳剤塗布量は、銀量換算塗布量を示す。
第二層〜第七層用の塗布液も第一層塗布液と同様の方法で調製した。各層のゼラチン硬化剤としては、1−オキシ−3,5−ジクロロ−s−トリアジンナトリウム塩(H−1)、(H−2)、(H−3)を用いた。また、各層にAb−1、Ab−2、およびAb−3をそれぞれ全量が15.0mg/m2、60.0mg/m2および5.0mg/m2となるように添加した。
また、1−(3−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールを、第二層、第四層、および第六層にそれぞれ0.25mg/m2、0.15mg/m2、0.6mg/m2となるように添加した。
また、青感性乳剤層、緑感性乳剤層および赤感性乳剤層に対し、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデンを、それぞれハロゲン化銀1モル当たり、1×10-4モル、2×10-4、5×10-5モル添加した。
また、赤感性乳剤層にメタクリル酸とアクリル酸ブチルの共重合体ラテックス(質量比1:1、平均分子量200000〜400000)を0.05g/m2を添加した。
さらに第二層、第四層および第六層にカテコール−3,5−ジスルホン酸二ナトリウムをそれぞれ6mg/m2、6mg/m2、18mg/m2となるように添加した。
また、各層にポリスチレンスルホン酸ナトリウムを必要に応じて加え塗布液の粘度を調節した。
また、イラジエーション防止のために、以下の染料を下記の塗布量になるよう添加した。
染料(D−1) 2mg/m2
染料(D−2) 2mg/m2
染料(D−3) 24mg/m2
染料(D−4) 3mg/m2
(層構成)
以下に、各層の構成を示す。数字は塗布量(g/m2)を表す。ハロゲン化銀乳剤は、銀換算塗布量を表す。
支持体
ポリエチレン樹脂ラミネート紙
[第一層側のポリエチレン樹脂に白色顔料(TiO2;含有率16質量%、ZnO;含有率4質量%)と蛍光増白剤(4,4′−ビス(5−メチルベンゾオキサゾリル)スチルベン。含有率0.03質量%)、青味染料(群青、含有率0.30質量%)を含む。ポリエチレン樹脂の量は29.2g/m2
第一層(青感性乳剤層)
ヨウ臭塩化銀乳剤(金硫黄増感された立方体、大サイズ乳剤B−H1と小サイズ乳剤B−L1との6:4混合物(銀モル比)。)
0.16
ゼラチン 1.32
イエローカプラー(ExY−2) 0.34
色像安定剤(Cpd−1) 0.01
色像安定剤(Cpd−2) 0.01
色像安定剤(Cpd−8) 0.08
色像安定剤(Cpd−18) 0.01
色像安定剤(Cpd−19) 0.02
色像安定剤(Cpd−20) 0.15
色像安定剤(Cpd−21) 0.01
添加剤(ExC−5) 0.001
色像安定剤(UV−3) 0.01
溶媒(Solv−4) 0.23
溶媒(Solv−6) 0.04
溶媒(Solv−13) 0.23
第二層(混色防止層)
ゼラチン 0.78
混色防止剤(Cpd−24) 0.05
色像安定剤(Cpd−5) 0.006
色像安定剤(Cpd−6) 0.05
色像安定剤(Cpd−7) 0.006
色像安定剤(Cpd−12) 0.01
色像安定剤(UV−C) 0.06
溶媒(Solv−1) 0.06
溶媒(Solv−10) 0.06
溶媒(Solv−5) 0.07
溶媒(Solv−12) 0.07
第三層(緑感性乳剤層)
ヨウ臭塩化銀乳剤(金硫黄増感された立方体、大サイズ乳剤G−Hと小サイズ乳剤G−Lとの7:3混合物(銀モル比)。)
0.12
ゼラチン 0.95
マゼンタカプラー(ExM−2) 0.12
紫外線吸収剤(UV−C) 0.03
色像安定剤(Cpd−2) 0.01
色像安定剤(Cpd−6) 0.08
色像安定剤(Cpd−7) 0.005
色像安定剤(Cpd−8) 0.01
色像安定剤(Cpd−9) 0.01
色像安定剤(Cpd−10) 0.005
色像安定剤(Cpd−11) 0.0001
色像安定剤(Cpd−20) 0.01
溶媒(Solv−3) 0.06
溶媒(Solv−4) 0.12
溶媒(Solv−6) 0.05
溶媒(Solv−13) 0.16
第四層(混色防止層)
ゼラチン 0.65
混色防止剤(Cpd−24) 0.045
色像安定剤(Cpd−5) 0.005
色像安定剤(Cpd−6) 0.04
色像安定剤(Cpd−7) 0.005
色像安定剤(Cpd−12) 0.008
色像安定剤(UV−C) 0.05
溶媒(Solv−1) 0.05
溶媒(Solv−10) 0.05
溶媒(Solv−5) 0.06
溶媒(Solv−12) 0.06
第五層(赤感性乳剤層)
ヨウ臭塩化銀乳剤(金硫黄増感された立方体、大サイズ乳剤R−Hと小サイズ乳剤R−Lとの3:7混合物(銀モル比)。)
0.10
ゼラチン 1.11
シアンカプラー(ExC−5) 0.11
シアンカプラー(ExC−2) 0.01
シアンカプラー(ExC−4) 0.04
色像安定剤(Cpd−1) 0.03
色像安定剤(Cpd−7) 0.01
色像安定剤(Cpd−9) 0.04
色像安定剤(Cpd−10) 0.001
色像安定剤(Cpd−14) 0.001
色像安定剤(Cpd−15) 0.18
色像安定剤(Cpd−16) 0.002
色像安定剤(Cpd−17) 0.001
色像安定剤(Cpd−18) 0.05
色像安定剤(Cpd−19) 0.04
色像安定剤(UV−9) 0.10
溶媒(Solv−5) 0.19
第六層(紫外線吸収層)
ゼラチン 0.34
紫外線吸収剤(UV−D) 0.24
化合物(S1−4) 0.0015
溶媒(Solv−11) 0.11
第七層(保護層)
ゼラチン 0.82
添加剤(Cpd−22) 0.03
流動パラフィン 0.02
界面活性剤(Cpd−25) 0.02
Figure 0004460864
Figure 0004460864
Figure 0004460864
Figure 0004460864
Figure 0004460864
Figure 0004460864
Figure 0004460864
Figure 0004460864
Figure 0004460864
以上のようにして塗布試料101を作製した。試料101に対して第一層中の乳剤B−H1およびB−L1の調製工程において、増感色素II-2を添加する代わりに表4に示す化合物を各々表4の量添加する以外は同様にして試料102〜124を作製した。
また試料101に対して第一層中の乳剤B−H1およびB−L1の代わりにB−H2とB−L2、B−H3とB−L3を用い、増感色素II-2を添加する代わりに表4に示す化合物を各々表4の量添加する以外は同様にして試料201、202、301、302を作製した。
各試料は感光材料を塗布後25℃60%相対湿度条件で7日保存後に以下の評価を行った。
上記の感光材料101を127mm幅のロール状に加工し、デジタルミニラボ フロンティア350(富士写真フイルム社製)を改造した実験処理装置を用いて感光材料に標準的な写真画像を露光した。その後下記処理工程にて使用した発色現像補充液の容量が発色現像タンク容量の1.5倍となるまで連続処理(ランニングテスト)を行った。
処理工程D
以下のランニング処理液を用いた処理を処理Dとした。
処理工程 温度 時間 補充量*
発色現像 38.5℃ 45秒 45ml
漂白定着 38.0℃ 45秒 35ml
リンス1 38.0℃ 20秒 −
リンス2 38.0℃ 20秒 −
リンス3** 38.0℃ 20秒 −
リンス4** 38.0℃ 20秒 121ml
乾燥 80℃
(注)
* 感光材料1m2あたりの補充量
** 富士写真フイルム(株)製リンスクリーニングシステムRC50Dをリンス3に装着し、リンス3からリンス液を取り出してポンプにより逆浸透モジュール(RC50D)へ送る。同槽で送られた透過水はリンス4に供給し、濃縮液はリンス3に戻す。逆浸透モジュールへの透過水量は50〜300ml/分を維持するようにポンプ圧を調整し、1日10時間温調循環させた。リンスは1から4への4タンク向流方式とした。各処理工程のタンク容量は400mlであり、1日かけて発色現像補充液がタンク容量の0.5倍となるように連続処理を行った。
各処理液の組成は以下の通りである。
[発色現像液] [タンク液] [補充液]
水 800ml 800ml
蛍光増白剤(FL−2) 2.2g 5.1g
蛍光増白剤(FL−3) 0.35g 1.75g
トリイソプロパノールアミン 8.8g 8.8g
ポリエチレングリコール平均分子量300 10.0g 10.0g
エチレンジアミン4酢酸 4.0g 4.0g
亜硫酸ナトリウム 0.10g 0.20g
塩化カリウム 10.0g −
4,5−ジヒドロキシベンゼン−
1,3−ジスルホン酸ナトリウム 0.50g 0.50g
ジナトリウム−N,N−ビス(スルホナート
エチル)ヒドロキシルアミン 8.5g 14.0g
4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−
(β−メタンスルホンアミドエチル)アニリン
・3/2硫酸塩・モノハイドレード 4.8g 14.0g
炭酸カリウム 26.3g 26.3g
水を加えて全量 1000ml 1000ml
pH(25℃、硫酸とKOHで調整) 10.15 12.40
[漂白定着液] [タンク液] [補充液]
水 800ml 800ml
チオ硫酸アンモニウム(750g/L) 107ml 214ml
m−カルボキシベンゼンスルフィン酸 8.3g 16.5g
エチレンジアミン4酢酸鉄(III)アンモニウム 47.0g 94.0g
エチレンジアミン4酢酸 1.4g 2.8g
硝酸(67%) 16.5g 33.0g
イミダゾール 14.6g 29.2g
亜硫酸アンモニウム 16.0g 32.0g
メタ重亜硫酸カリウム 23.1g 46.2g
水を加えて全量 1000ml 1000ml
pH(25℃、硝酸とアンモニア水で調整) 6.5 6.5
[リンス液] [タンク液] [補充液]
塩素化イソシアヌール酸ナトリウム 0.02g 0.02g
脱イオン水(電導度5μS/cm以下) 1000ml 1000ml
pH(25℃) 6.5 6.5
Figure 0004460864
さらに現像時間の変動が写真性能に与える影響を調べるために、処理工程Dの発色現像のみを45秒から90秒に延長した処理を処理工程Eとした。
試料101に対し、前述のデジタルミニラボ フロンティア350(富士写真フイルム社製)を改造した実験処理装置により青色光で階調露光を与え、上記連続処理した処理液を用いて処理工程Dを行った。処理後の試料101のイエロー濃度を測定し、青感性層に対応する特性曲線を得た。特性曲線の未露光部の濃度(Dmin(Y))を求め、Dmin+1.5の濃度を与える露光量(E)を求めた。また、処理済みの試料101に対して40℃の流水中で1時間追加水洗後乾燥した試料のDmin(Y)’を測定した。
試料101の代わりに試料102〜124、201、202、301、302を用いる以外は上記と同様にして、未露光部の濃度(Dmin(Y))、露光量(E)およびDmin(Y)’を得た。
各試料の感度を比較するために、試料101の1/Eの値を100としたときの各試料の1/Eの値の相対値を感度とした。感度が100より大きければ試料101より高感であり、100より小さければ低感であることを表す。Dmin(Y)は値が小さいほど白地の着色が少ないことを示す。また、試料の残色を評価するためにDmin(Y)−Dmin(Y)’の値を求めΔDminとした。ΔDminが小さいほど残色が少ないことを表す。
さらに各試料について、処理工程Eでも同様の評価を行った。
各試料第一層中の乳剤と添加した化合物ならびに実験結果を下記表4に示す。
Figure 0004460864
表4より明らかなように、試料101は通常の45秒現像においては良好な性能を示すが、現像時間が長くなると未露光部の濃度が著しく上昇した。この現象は本発明の一般式(II)または(III)で表される化合物を使用したいずれの試料(試料118、121、124)でも発生し、試料301のように乳剤中のヨウ化銀の含有量が大きいほど顕著である。
これに対して本発明の一般式(II)または(III)で表される化合物に本発明の一般式(IV)の化合物を少量併用することにより、感度や残色への悪影響を与えることなく現像による白地着色が改善されることがわかる。

Claims (14)

  1. 支持体上にイエロー発色青感光性ハロゲン化銀乳剤層を少なくとも1層有するハロゲン化銀カラー写真感光材料において、該イエロー発色青感性ハロゲン化銀乳剤層中のハロゲン化銀粒子が塩化銀含有率90%以上で、0.05〜1.00モル%のヨウ化銀を含有し、ヨウ化銀含有相が粒子の内側から測って粒子体積の85%から100%の位置のいずれかに形成されている、立方体辺長として0.6μm以下の{100}面を持つ立方体または14面体の結晶粒子から成り、かつ、下記一般式(II)または一般式(III)で表される色素の少なくとも一種によって分光増感されていることを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料。
    一般式(II)
    Figure 0004460864
    一般式(II)中、R3およびR4の一方はカルボキシメチル基またはメタンスルホニルカルバモイルメチル基を表し、他方は2−スルホエチル基、3−スルホプロピル基、4−スルホブチル基または3−スルホブチル基を表す。V1は水素原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基またはハロゲン原子を表し、V2は水素原子を表す。M1は対イオンを表し、m1は分子中の電荷を中和させるために必要な0以上の数を表す。
    一般式(III)
    Figure 0004460864
    一般式(III)中、R5およびR6の一方はカルボキシメチル基またはメタンスルホニルカルバモイルメチル基を表し、他方は2−スルホエチル基、3−スルホプロピル基、4−スルホブチル基または3−スルホブチル基を表す。V3は水素原子、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基またはハロゲン原子を表し、V4は水素原子を表す。M2は対イオンを表し、m2は分子中の電荷を中和させるために必要な0以上の数を表す。
  2. 前記V1またはV3がハロゲン原子であることを特徴とする請求項1に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
  3. 前記一般式(II)または(III)で表される色素が、前記一般式(II)で表される色素であることを特徴とする請求項1または2に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
  4. 前記イエロー発色青感性ハロゲン化銀乳剤層中の前記ハロゲン化銀粒子が0.1〜7モル%の臭化銀を含有し、臭化銀含有相が粒子の内側から測って粒子体積の50%から100%で、前記ヨウ化銀含有相よりも内側の位置のいずれかに形成されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
  5. 前記イエロー発色青感性ハロゲン化銀乳剤層中の前記ハロゲン化銀粒子がイリジウム錯体を含有していることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
  6. 前記イリジウム錯体が、有機配位子として、5員環または6員環の複素環化合物を有することを特徴とする請求項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
  7. 前記イエロー発色青感性ハロゲン化銀乳剤層中の前記ハロゲン化銀乳剤が金増感されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
  8. 前記ハロゲン化銀カラー写真感光材料の塗布銀量が、0.2g/m〜0.45g/mであることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
  9. 前記イエロー発色青感性ハロゲン化銀乳剤層中に、下記一般式(IV)で表される化合物を含有することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
    一般式(IV)
    Figure 0004460864
    一般式(IV)中、Chは酸素原子、硫黄原子、セレン原子またはテルル原子を表す。Aは2個以上のベンゼン環および/または複素環が縮合した芳香族環を形成する原子群を表す。Zは水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、または分子全体としてシアニン色素を構成するのに必要な残基を表す。R7は置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表す。M7は対イオンを表し、m7は分子中の電荷を中和させるために必要な0以上の数を表す。
  10. 前記一般式(IV)で表される化合物が、下記一般式(V)で表されることを特徴とする請求項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
    一般式(V)
    Figure 0004460864
    一般式(V)中、Z8は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、または分子全体としてモノメチンシアニン色素を構成するのに必要な残基を表す。R8は置換または無置換のアルキル基を表す。M8は対イオンを表し、m8は分子中の電荷を中和させるために必要な0以上の数を表す。
  11. 下記一般式(II)または一般式(III)で表されるシアニン化合物。
    一般式(II)
    Figure 0004460864
    一般式(II)中、R3およびR4の一方はカルボキシメチル基またはメタンスルホニルカルバモイルメチル基を表し、他方は2−スルホエチル基、3−スルホプロピル基、4−スルホブチル基または3−スルホブチル基を表す。V1は水素原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基またはハロゲン原子を表し、V2は水素原子を表す。M1は対イオンを表し、m1は分子中の電荷を中和させるために必要な0以上の数を表す。
    一般式(III)
    Figure 0004460864
    一般式(III)中、R5およびR6の一方はカルボキシメチル基またはメタンスルホニルカルバモイルメチル基を表し、他方は2−スルホエチル基、3−スルホプロピル基、4−スルホブチル基または3−スルホブチル基を表す。V3は水素原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基またはハロゲン原子を表し、V4は水素原子を表す。M2は対イオンを表し、m2は分子中の電荷を中和させるために必要な0以上の数を表す。
  12. 前記V1またはV3がハロゲン原子であることを特徴とする請求項11に記載のシアニン化合物。
  13. 前記シアニン化合物が前記一般式(II)で表されることを特徴とする請求項11または12に記載のシアニン化合物。
  14. 前記シアニン化合物が前記一般式(III)で表されることを特徴とする請求項11または12に記載のシアニン化合物。
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