JP4460864B2 - ハロゲン化銀カラー写真感光材料およびシアニン化合物 - Google Patents
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Description
しかし、近年、他のカラープリント方式として、インクジェット方式、昇華型方式、カラーゼログラフィー等も技術がそれぞれ進歩し、写真画質を謳うなど、カラープリント方式として認知されつつある。それゆえ、このハロゲン化銀カラー写真方式としては、最大の特徴である、高画質、高生産性、そして画像の高堅牢性をさらに向上させ、より高生産でより高品質の写真をより簡単にしかもより安価に提供することが熱望されている。
現在の高塩化銀乳剤を含有する感光材料は、発色現像時間45秒で処理し、トータル処理時間を約4分とする処理が通常行われている。(例えば富士写真フイルム(株)製カラー処理CP-45X等)。上記に示した他のカラープリント方式の処理時間と比べれば高塩化銀カラープリント材料の処理システムは満足のいく迅速性とは言い難い。処理の迅速化は、生産性向上にもつながり、高塩化銀カラープリント材料のトータル処理時間の更なる迅速化(超迅速処理化)が望まれ、多くの検討がされてきた。
ところが近年の高感度化の強い要求から来る色素添加量の増大の一方で、上記のような写真処理の迅速化、環境問題に対応するための処理廃液の低減にも対応しなければならず、従来の色素ではこのような要求に応えられなくなってきている。
(1)チエノチアゾールまたはチエノセレナゾール核を有するモノメチンシアニン色素と実質的に塩化銀であるハロゲン化銀粒子を含有するハロゲン化銀乳剤層を含むハロゲン化銀写真感光材料(特許文献1参照)。
(2)5員または6員の複素環が縮合したアゾール母核を有するメチン色素とアスペクト比2.0以上の平板状ハロゲン化銀粒子または平均粒径3.0μm以下の正常晶ハロゲン化銀を含有するハロゲン化銀乳剤(特許文献2参照)。
(3)特定のヘテロ環が縮合したアゾール核を有する増感色素を含有するハロゲン化銀写真感光材料(特許文献3参照)。
しかしこれらに記載の増感色素を用いるだけでは、カラープリント材料に要求される迅速処理適性と感度の両立の点で不十分な性能しか得られず、さらに乳剤側の改良が必要であった。
一般式(II)
一般式(III)
<2> 前記V1またはV3がハロゲン原子であることを特徴とする<1>に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
<3> 前記一般式(II)または(III)で表される色素が、前記一般式(II)で表される色素であることを特徴とする<1>または<2>に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
<4> 前記イエロー発色青感性ハロゲン化銀乳剤層中の前記ハロゲン化銀粒子が0.1〜7モル%の臭化銀を含有し、臭化銀含有相が粒子の内側から測って粒子体積の50%から100%で、前記ヨウ化銀含有相よりも内側の位置のいずれかに形成されていることを特徴とする<1>〜<3>のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
<6> 前記イリジウム錯体が、有機配位子として、5員環または6員環の複素環化合物を有することを特徴とする<5>に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
<8> 前記ハロゲン化銀カラー写真感光材料の塗布銀量が、0.2g/m2〜0.45g/m2であることを特徴とする<1>〜<7>のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
一般式(IV)
一般式(V)
一般式(II)
一般式(III)
<13> 前記シアニン化合物が前記一般式(II)で表されることを特徴とする<11>または<12>に記載のシアニン化合物。
<14> 前記シアニン化合物が前記一般式(III)で表されることを特徴とする<11>または<12>に記載のシアニン化合物。
より具体的には、アルキルカルボニルアミノスルホニル基(例えば、アセチルアミノスルホニル)、アリールカルボニルアミノスルホニル基(例えば、ベンゾイルアミノスルホニル基)、アルカンスルホニルアミノカルボニル基(例えば、メチルスルホニルアミノカルボニル)、アリールスルホニルアミノカルボニル基(例えば、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル)が挙げられる。
Yはチオフェン環、フラン環、またはピロール環であるが、好ましくはチオフェン環である。Yで表される環とチアゾール環との縮合様式は3通りあるが、例えばチオフェン縮環の場合、チエノ[2,3−d]チアゾール環またはチエノ[3,2−d]チアゾール環を形成する場合が好ましく、この場合は縮環している2つの炭素原子の間の結合は2重結合である。このうちチエノ[2,3−d]チアゾール環を形成することがより好ましい。
Yの置換基としてはいずれでもよいが、例えば前述のWが挙げられる。好ましい置換基は、アルキル基(例えばメチル)、アルコキシ基(例えばメトキシ)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ)、シアノ基、アシル基(例えばアセチル)、アルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル)、ハロゲン原子(例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素)であり、より好ましくはメチル基、メトキシ基、シアノ基、ハロゲン原子であり、さらに好ましくはハロゲン原子であり、特に好ましくはフッ素、塩素、臭素原子であるが、置換基を持たないことが残色性能や分光吸収特性の点で最も好ましい。
nは0以上4以下の数を表し、0または1が好ましく、1がより好ましい。
具体的には、例えばスルホ基、カルボキシル基、スルファト基、−CONHSO2−基(スルホニルカルバモイル基、カルボニルスルファモイル基)、−CONHCO−基(カルボニルカルバモイル基)、−SO2NHSO2−基(スルフォニルスルファモイル基)、スルホンアミド基、スルファモイル基、ホスファト基、ホスホノ基、ボロン酸基、フェノール性水酸基、など、これらのpKaと周りのpHによっては、プロトンが解離する基が挙げられる。例えばpH5〜11の間で90%以上解離することが可能なプロトン解離性酸性基が好ましい。
一般式(I)で表されるシアニン化合物において、R1またはR2で表される「酸基で置換されたアルキル基」として好ましいものを、式の形で表すと下記のように表現できる。
但し、これらの連結基において、ヘテロ原子を含まない場合がより好ましい。また、前述のWで表わされる置換基で置換されていない場合がより好ましい。
T1が−CONHSO2Ra、SO2NHCORb、CONHCORc、SO2NHSO2Rdの場合は、Qaとしてさらに好ましくはメチレン、エチレン、トリメチレンであり、特に好ましくはメチレンである。
例えば、炭素数1から18、好ましくは炭素数1から10、さらに好ましくは炭素数1から5の無置換アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル)、炭素数1から18、好ましくは炭素数1から10、さらに好ましくは炭素数1から5の置換アルキル基[ヒドロキシメチル、トリフルオロメチル、ベンジル、カルボキシエチル、エトキシカルボニルメチル、アセチルアミノメチル、また、ここでは好ましくは炭素数2から18、さらに好ましくは炭素数3から10、特に好ましくは炭素数3から5の不飽和炭化水素基(例えばビニル基、エチニル基、1−シクロヘキセニル基、ベンジリジン基、ベンジリデン基)も置換アルキル基に含まれることにする]、炭素数6から20、好ましくは炭素数6から15、さらに好ましくは炭素数6から10の置換または無置換のアリール基(例えばフェニル、ナフチル、p−カルボキシフェニル、p−ニトロフェニル、3、5−ジクロロフェニル、p−シアノフェニル、m−フルオロフェニル、p−トリル)、炭素数1から20、好ましくは炭素数2から10、さらに好ましくは炭素数4から6の置換されてもよいヘテロ環基(例えばピリジル、5−メチルピリジル、チエニル、フリル、モルホリノ、テトラヒドロフルフリル)、炭素数1から10、好ましくは炭素数1から8のアルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、2−ヒドロキシエトキシ、2−フェニルエトキシ)、炭素数6から20、好ましくは炭素数6から12、さらに好ましくは炭素数6から10のアリールオキシ基(例えばフェノキシ、p−メチルフェノキシ、p−クロロフェノキシ、ナフトキシ)、炭素数1から20、好ましくは炭素数3から12、さらに好ましくは炭素数3から10のヘテロシクリルオキシ基(複素環基で置換されたオキシ基を意味する。例えば2−チエニルオキシ、2−モルホリノオキシ)、アミノ基としては炭素0から20、好ましくは炭素数0から12、さらに好ましくは炭素数0から8のアミノ基(例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ、ヒドロキシエチルアミノ、ベンジルアミノ、アニリノ、ジフェニルアミノ、環を形成したモルホリノ、ピロリジノ)が挙げられる。さらに、これらに、前述のWが置換していてもよい。
さらに好ましくは、メチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基であり、特に好ましくはメチル基である。
対イオンとして陽イオンが存在する場合、例えば(COO-Na+)、(N- Na+)と表記してもよい。非解離状態では(COOH)、(NH)と表記するが、対イオンのカチオン化合物がプロトンと考えれば、(COO-H+)、(N- H+)と表記することも可能である。
mは電荷を均衡させるのに必要な0以上の数を表し、分子内塩を形成する場合は0である。好ましくは0または1である。
一般式(II)および一般式(III)で表されるシアニン化合物において、R3およびR4(R5およびR6)の一方はカルボキシメチル基またはメタンスルホニルカルバモイルメチル基を表し、他方は2−スルホエチル基、3−スルホプロピル基、4−スルホブチル基または3−スルホブチル基を表す。
m1(m2)が1以上の場合のM1(M2)としては、陽イオン、特に有機陽イオンが好ましく、トリエチルアンモニウムカチオン、N,N−ジイソプロピルエチルアンモニウムカチオン、トリス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムカチオン、ピリジニウムカチオン、エチルピリジニウムカチオン、メチルピリジニウムカチオン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウムカチオン、1,1,3,3−テトラメチルグアニジニウムカチオン、N−メチルモルホリニウムカチオンが挙げられる。
a)F.M.Hamer著「ヘテロサイクリック・コンパウンズ−シアニン・ダイズ・アンド・リレーテッドコンパウンズ(Heterocyclic Compounds-Cyanine dyes and related compounds)」(John Wiley & Sons社−ニューヨーク、ロンドン、1964年刊)、
b)D.M.Sturmer著「ヘテロサイクリック・コンパウンズ−スペシャル・トピックス・イン・ヘテロサイクリック・ケミストリー(Heterocyclic Compounds−Special topics in heterocyclic chemistry)」、第8章、第4節、482〜515頁(John Wiley & Sons社−ニューヨーク、ロンドン、1977年刊)、
c)「ロッズ・ケミストリー・オブ・カーボン・コンパウンズ(Rodd's Chemistry of Carbon Compounds)」、第2版、第4巻、パートB、第15章、369〜422頁(Elsevier Science Publishing Company Inc.社−ニューヨーク、1977年刊)
好ましい溶解方法としては、水、メタノール、または水とメタノールの混合溶媒に色素を添加し、さらに色素と等モル〜小過剰のトリエタノールアミン溶液を添加する方法を挙げることができる。
色素を溶解した溶液はすぐに乳剤に添加することが好ましいが、溶液を保存する場合には、使用時まで30℃以下、好ましくは20℃以下に保つようにする。この際冷却により色素の溶解度が低下して析出が起こる可能性があるので、溶液濃度は保存時の温度における色素の飽和溶解度以下にする必要がある。好ましい溶液中の色素濃度は0.2〜10質量%、より好ましくは0.4〜5質量%である。
また特開2002−23295号および特開2001−343722号明細書に記載の増感色素も好ましく用いることができる。
一般式(IV)で表される化合物において、Chは酸素原子、硫黄原子、セレン原子またはテルル原子を表し、好ましくは酸素原子または硫黄原子、より好ましくは硫黄原子である。
Aは2個以上のベンゼン環および/または複素環が縮合した芳香族環を形式する原子群を表し、代表的な環の例としてはナフタレン環系、アントラセン環系、フェナントレン環系、ナフタセン環系、ピレン環系、インドール環系、イソインドール環系、ベンゾ[b]フラン環系、ベンゾ[b]チオフェン環系、キノリン環系、イソキノリン環系、キナゾリン環系、キノキサリン環系、フタラジン環系、カルバゾール環系、アクリジン環系、フェナントリジン環系、フェナントロリン環系、フェナジン環系、フェノキサジン環系、フェノチアジン環系などを挙げることができる。好ましくはベンゼン環のみからなる環系であり、特に好ましくはナフタレン環系である。
一般式(IV)で表される化合物においてM7は対イオンを表し、一般式(I)におけるMと同様なものが挙げられる。M7として好ましい陽イオンは、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン等の無機カチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、ピリジニウムカチオン、エチルピリジニウムカチオン等の有機カチオンが挙げられる。陰イオンとしては塩化物アニオン、臭化物アニオン、ヨウ化物アニオン、過塩素酸アニオン、トシラートアニオン、メシラートアニオンなどが挙げられる。m7は電荷を均衡させるのに必要な0以上の数を表し、分子内塩を形成する場合は0である。好ましくは0または1である。
式(V)中、Z8は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、または分子全体としてモノメチンシアニン色素を構成するのに必要な残基を表し、好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、モノメチンシアニン色素残基であり、特に好ましくは置換基を有していてもよい3−アルキルベンゾチアゾリン−2−イリデンメチル基である。
R8は置換または無置換のアルキル基を表し、好ましくはメチル基、エチル基、スルホアルキル基(例えばスルホプロピル)、カルボキシアルキル基(例えばカルボキシメチル基)である。
M8は対イオンを表し、Z8が水素原子、置換または無置換のアルキル基の場合には陰イオンが、Z8がモノメチンシアニン色素残基の場合には陽イオンが好ましい。好ましいイオン種としてはM7の例として挙げたイオンが挙げられる。m8は分子中の電荷を中和させるために必要な0以上の数を表し、分子内塩を形成する場合は0である。好ましくは0または1である。
式(VI)中、Ch9は酸素原子または硫黄原子を表し、好ましくは硫黄原子である。
R9およびR10は置換または無置換のアルキル基を表し、好ましくは炭素数8以下の置換または無置換のアルキル基であり、より好ましくは両者ともに一般式(I)のR1およびR2の説明中で定義した酸基で置換されたアルキル基である。特に好ましくはスルホアルキル基(例えば3−スルホプロピル、4−スルホブチル、3−スルホブチル、2−スルホエチル)、カルボキシアルキル基(例えばカルボキシメチル)や−CONHSO2−基、−SO2NHCO−基、−CONHCO−基、−SO2NHSO2−基が置換したアルキル基(例えばメタンスルホニルカルバモイルメチル)である。R9はスルホプロピル基であることが最も好ましい。R10はスルホプロピル基、カルボキシメチル基、メタンスルホニルカルバモイルメチル基から選ばれることが最も好ましい。
式(IV)で表されるシアニン化合物において、V9およびV10は水素原子または1価の置換基を表し、1価の置換基としては前述のWが挙げられるが、好ましくはヒドロキシ基、カルボキシル基、アルコキシ基(例えばメトキシ)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ)、シアノ基、アシル基(例えばアセチル)、アルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル)、ハロゲン原子(例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素)であり、より好ましくはメトキシ基、シアノ基、ハロゲン原子であり、さらに好ましくはハロゲン原子であり、特に好ましくは塩素原子または臭素原子であり、最も好ましくは塩素原子である。V10は水素原子が好ましい。
M9は対イオンを表し、陽イオンが好ましい。好ましいイオン種としてはトリエチルアンモニウムカチオン等の有機陽イオンが挙げられる。m9は分子中の電荷を中和させるために必要な0以上の数を表し、分子内塩を形成する場合は0である。好ましくは0または1である。
本発明の一般式(IV)、一般式(V)および一般式(VI)で表される化合物を本発明のハロゲン化銀乳剤中に含有せしめるには、それらを直接乳剤中に分散してもよいし、あるいは水、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド等の溶媒の単独もしくは混合溶媒に溶解して乳剤に添加してもよい。また一般式(II)および一般式(III)の化合物と同様に分散物として乳剤に添加することもできる。
好ましい溶解方法としては、水、メタノール、または水とメタノールの混合溶媒に化合物を添加する方法を挙げることができる。溶液はすぐに乳剤に添加することが好ましいが、溶液を保存する場合には、使用時まで30℃以下、好ましくは20℃以下に保つようにする。この際冷却により化合物の溶解度が低下して析出が起こる可能性があるので、溶液濃度は保存時の温度における化合物の飽和溶解度以下にする必要がある。好ましい溶液中の化合物濃度は0.2〜10質量%、より好ましくは0.4〜5質量%である。
本発明において、感材層中のイエロー色素形成カプラー含有ハロゲン化銀乳剤は、特定のハロゲン化銀粒子を含む。粒子形状は、実質的に{100}面を持つ立方体、あるいは14面体の結晶粒子(これらは粒子頂点が丸みを帯び、さらに高次の面を有していてもよい)が必要である。実質的に{100}面を持つ立方体粒子とは6つの{100}結晶面に境界が定められているもので、粒子のコーナーとエッジは、熟成のために多少の丸みを示しても良く、6つの{100}結晶面以外には確認できる結晶面を示さないものを指す。また14面体の結晶粒子とは、立方体粒子の相対方向および間隔を満足し{100}結晶面により少なくとも部分的に境界が定められている粒子を指し、熟成の為に粒子のコーナーとエッジは多少の丸みを示しても良く、例えば3対の等間隔な平行{100}結晶面と8つの{111}結晶面を有するものを指す。粒子サイズは立方体換算辺長で0.6μm以下(好ましくは0.1μm以上0.6μm以下)であることが必要で、0.15μm以上0.55μm以下であることがさらに好ましく、0.2μm以上0.5μm以下であることが最も好ましい。
このようにヨウ化銀含有相を粒子表面近傍に局在させることは、増感色素の吸着性向上の点でも好ましく、特に本発明の一般式(II)および一般式(III)のシアニン化合物は、乳剤のハロゲン分布がこのような場合に初めて好ましい写真性能を発揮する。
一方、臭化物塩溶液の添加は、粒子体積の50%より外側が好ましく、より好ましくは70%より外側から行うのがよい。
イリジウム錯体はCl、Br、I以外の配位子を含んでもよく、無機配位子としてはシアン化物イオン、ハロゲン化物イオン、チオシアン、水酸化物イオン、過酸化物イオン、アジ化物イオン、亜硝酸イオン、水、アンモニア、ニトロシルイオン、または、チオニトロシルイオンを用いることが好ましく、また好ましい有機配位子としては主鎖の炭素数が5以下の鎖状化合物および/または5員環あるいは6員環の複素環化合物を挙げることができる。さらに好ましい有機化合物は分子内に窒素原子、リン原子、酸素原子、または、硫黄原子を金属への配位原子として有する化合物であり、特に好ましくはフラン、チオフェン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、フラザン、ピラン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジンであり、さらにこれらの化合物を基本骨格としそれらに置換基を導入した配位子もまた好ましい。
好ましいイリジウム錯体としてはK2[IrCl6]やK2[Ir(5-methylthiazole)Cl5]が挙げられる。
これらの化合物の添加量は場合に応じて広範囲に変わり得るがハロゲン化銀1モルあたり5×10-7〜5×10-3モル、好ましくは5×10-6〜5×10-4モルである。
コロイド状硫化金として様々なサイズのものを利用でき、平均粒径50nm以下のものを用いることが好ましく、平均粒径10nm以下がより好ましく、平均粒径3nm以下がさらに好ましい。また、コロイド状硫化金の組成は、Au2S1でもよく、Au2S1〜Au2S2の様な硫黄過剰な組成のものであってもよく、硫黄過剰な組成が好ましい。Au2S1.1〜Au2S1.8がさらに好ましい。 硫化金の添加量は場合に応じて広範囲に変わり得るがハロゲン化銀1モルあたり金原子として5×10-7〜5×10-3モル、好ましくは5×10-6〜5×10-4モルである。
例えば、写真用支持体としては、透過型支持体や反射型支持体を用いることができる。透過型支持体としては、セルロースナイトレートフィルムやポリエチレンテレフタレートなどの透明フィルム、さらには、2,6−ナフタレンジカルボン酸(NDCA)とエチレングリコール(EG)とのポリエステルやNDCAとテレフタル酸とEGとのポリエステル等に磁性層などの情報記録層を設けたものが好ましく用いられる。反射型支持体としては、特に複数のポリエチレン層やポリエステル層でラミネートされ、このような耐水性樹脂層(ラミネート層)の少なくとも一層に酸化チタン等の白色顔料を含有する反射支持体が好ましい。
また、水溶性染料の代わり、あるいは水溶性染料と併用しての処理で脱色可能な着色層も用いられる。処理で脱色可能な着色層は、乳剤層に直かに接してもよく、ゼラチンやハイドロキノンなどの処理混色防止剤を含む中間層を介して接するように配置されていてもよい。この着色層は、着色された色と同種の原色に発色する乳剤層の下層(支持体側)に設置されることが好ましい。各原色毎に対応する着色層を全て個々に設置することも、このうちに一部のみを任意に選んで設置することも可能である。また複数の原色域に対応する着色を行った着色層を設置することも可能である。着色層の光学反射濃度は、露光に使用する波長域(通常のプリンター露光においては400nm〜700nmの可視光領域、走査露光の場合には使用する走査露光光源の波長)において最も光学濃度の高い波長における光学濃度値が0.2以上3.0以下であることが好ましい。さらに好ましくは0.5以上2.5以下、特に0.8以上2.0以下が好ましい。
また、本発明は国際公開WO−98/33760号の一般式(II)および(III)、特開平10−221825号公報の一般式(D)で表される化合物を添加してもよく、好ましい。
また、特開平2−33144号公報に記載のジフェニルイミダゾール系シアンカプラーの他に、欧州特許EP0333185A2号明細書に記載の3−ヒドロキシピリジン系シアンカプラー(中でも具体例として列挙されたカプラー(42)の4当量カプラーに塩素離脱基をもたせて2当量化したものや、カプラー(6)や(9)が特に好ましい)や特開昭64−32260号公報に記載された環状活性メチレン系シアンカプラー(中でも具体例として列挙されたカプラー例3、8、34が特に好ましい)、欧州特許EP0456226A1号明細書に記載のピロロピラゾール型シアンカプラー、欧州特許EP0484909号明細書に記載のピロロイミダゾール型シアンカプラーを使用することもできる。
なお、これらのシアンカプラーのうち、特開平11−282138号公報に記載の一般式(I)で表されるピロロアゾール系シアンカプラーが特に好ましく、該特許の段落番号0012〜0059の記載は例示シアンカプラー(1)〜(47)が好ましいものとして挙げられる。
R12の総炭素数は0以上60以下が好ましく、0以上50以下がより好ましく、0以上40以下がさらに好ましい。
n2は0以上4以下の整数を表し、n2が2以上のとき複数のR13はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、互いに結合して環を形成してもよい。
Xが現像主薬酸化体とのカップリング反応により離脱可能な基である場合の例としては窒素原子で離脱する基、酸素原子で離脱する基、イオウ原子で離脱する基、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子)などが挙げられる。
窒素原子で離脱する基としては、ヘテロ環基(好ましくは5〜7員の置換もしくは無置換、飽和もしくは不飽和、芳香族(本明細書では4n+2個の環状共役電子を有するものを意味する)もしくは非芳香族、単環もしくは縮合環のヘテロ環基であり、より好ましくは、環構成原子が炭素原子、酸素原子、窒素原子および硫黄原子から選択され、かつ窒素原子、酸素原子および硫黄原子のいずれかのヘテロ原子を少なくとも一個有する5もしくは6員のヘテロ環基であり、例えばスクシンイミド、マレインイミド、フタルイミド、ジグリコールイミド、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、テトラゾール、インドール、ベンゾピラゾール、ベンツイミダゾール、ベンゾトリアゾール、イミダゾリジン−2,4−ジオン、オキサゾリジン−2,4−ジオン、チアゾリジン−2−オン、ベンツイミダゾリン−2−オン、ベンゾオキサゾリン−2−オン、ベンゾチアゾリン−2−オン、2−ピロリン−5−オン、2−イミダゾリン−5−オン、インドリン−2,3−ジオン、2,6−ジオキシプリン、パラバン酸、1,2,4−トリアゾリジ+ン−3,5−ジオン、2−ピリドン、4−ピリドン、2−ピリミドン、6−ピリダゾン、2−ピラゾン、2−アミノ−1,3,4−チアゾリジン−4−オン)、カルボナミド基(例えばアセタミド、トリフルオロアセタミド)、スルホンアミド基(例えばメタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド)、アリールアゾ基(例えばフェニルアゾ、ナフチルアゾ)、カルバモイルアミノ基(例えばN−メチルカルバモイルアミノ)などが挙げられる。
これらの例示は上記ヘテロ環基の説明の中で挙げており、これらがさらに好ましい。なかでも、Lは5員環の含窒素ヘテロ環を形成する残基が好ましい。
酸素原子で離脱する基のうち、好ましいものはアリールオキシ基、アシルオキシ基、ヘテロ環オキシ基である。
イオウ原子で離脱する基のうち、好ましいものはアリールチオ基、ヘテロ環チオ基であり、ヘテロ環チオ基がより好ましい。
Xは、好ましくは窒素原子で離脱する基、酸素原子で離脱する基、イオウ原子で離脱する基であり、より好ましくは窒素原子で離脱する基であり、さらに好ましくは、窒素原子で離脱する基で述べた好ましい基の順に好ましい。
またXは写真性有用基であってもよい。この写真性有用基としては、現像抑制剤、脱銀促進剤、レドックス化合物、色素、カプラー等、あるいはこれらの前駆体が挙げられる。
これらのカプラーは、単独で使用あるいは併用することができる。
例えば、特開平5−333501号公報に記載の高分子量のレドックス化合物、国際公開WO98/33760号明細書、米国特許第4,923,787号明細書等に記載のフェニドンやヒドラジン系化合物、特開平5−249637号公報、特開平10−282615号公報および独国特許第19629142A1号明細書等に記載のホワイトカプラーを用いることができる。また、特に現像液のpHを上げ、現像の迅速化を行う場合には独国特許第19618786A1号明細書、欧州特許第839623A1号明細書、欧州特許第842975A1号明細書、独国特許19806846A1号明細書および仏国特許第2760460A1号明細書等に記載のレドックス化合物を用いることも好ましい。
本発明における塗布銀量は、0.2g/m2〜0.5g/m2であることが好ましく、0.2g/m2〜0.45g/m2であることがさらに好ましく、0.2g/m2〜0.40g/m2であることが最も好ましい。
本発明の感光材料は、通常のネガプリンターを用いたプリントシステムに使用される以外に、陰極線(CRT)を用いた走査露光方式にも適している。陰極線管露光装置は、レーザーを用いた装置に比べて、簡便でかつコンパクトであり、低コストになる。また、光軸や色の調整も容易である。
このような走査露光における露光時間は、画素密度を400dpiとした場合の画素サイズを露光する時間として定義すると、好ましい露光時間としては10-4秒以下、さらに好ましくは10-6秒以下である。
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料は、発光波長420nm〜460nmの青色レーザーのコヒーレント光により像様露光することが好ましい。青色レーザーの中でも、青色半導体レーザーを用いることが特に好ましい。
なお、発色現像時間とは、感光材料が発色現像液中に入ってから次の処理工程の漂白定着液に入るまでの時間をいう。例えば、自動現像機などで処理される場合には、感光材料が発色現像液中に浸漬されている時間(いわゆる液中時間)と、感光材料が発色現像液を離れ次の処理工程の漂白定着浴に向けて空気中を搬送されている時間(いわゆる空中時間)との両者の合計を発色現像時間という。同様に、漂白定着時間とは、感光材料が漂白定着液中に入ってから次の水洗または安定浴に入るまでの時間をいう。また、水洗または安定化時間とは、感光材料が水洗または安定化液中に入ってから乾燥工程に向けて液中にある時間(いわゆる液中時間)をいう。
以下に、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(化合物II-2の合成)
2−メチルチエノ[2,3−d]チアゾールは、特開2002−145886号明細書の実施例3の記載に従い合成した。
2−メチルチエノ[2,3−d]チアゾール18.6gとブロモ酢酸25.0g、m−クレゾール20mlを混合し、120℃で4時間加熱撹拌した。80℃に下げてアセトン100mlを加え1時間還流し、冷却後に白色沈殿を濾別、アセトンで洗浄し、3−カルボキシメチル−2−メチルチエノ[2,3−d]チアゾリウムブロミドの粉末26.2gを得た。
上記化合物5.9gと3−(5−ブロモ−2−スルホプロピルチオ−3−ベンゾチアゾリオ)プロパンスルホナート14.7g、アセトニトリル120mlを加え、60℃で加熱撹拌した。トリエチルアミン22.4mlを添加し、1時間加熱すると黄色沈殿を生じた。氷冷して沈殿を濾別し、アセトニトリルで洗浄して黄色粉末12.5gを得た。メタノール120ml、水20mlの混合溶媒に溶解し、トリエチルアミン50mlを加えると沈殿が生じ、これを濾別した。さらにこの沈殿をメタノール110ml、水110mlの混合溶媒に溶解し、酢酸11mlを加えると沈殿が生じ、これを濾別しアセトン洗浄することによりII-2の黄色粉末9.3gを得た。1H−NMR、FAB−MSにより構造を確認した。λmax(MeOH)=440.0nm(ε6.87×104)。
2−メチルチエノ[3,2−d]チアゾールは、3−アセチルアミノ−2−ブロモチオフェンをトルエン中五硫化リンとともに加熱還流することにより合成した。
2−メチルチエノ[3,2−d]チアゾール18.6gとブロモ酢酸25.0g、m−クレゾール20mlを混合し、120℃で4時間加熱撹拌した。80℃に下げてアセトン100mlを加え1時間還流し、冷却後に白色沈殿を濾別、アセトンで洗浄し、3−カルボキシメチル−2−メチルチエノ[3,2−d]チアゾリウムブロミドの粉末23.5gを得た。
上記化合物5.9gと3−(5−ブロモ−2−スルホプロピルチオ−3−ベンゾチアゾリオ)プロパンスルホナート14.7g、アセトニトリル120mlを加え、60℃で加熱撹拌した。トリエチルアミン22.4mlを添加し、1時間加熱すると黄色沈殿を生じた。氷冷して沈殿を濾別し、アセトニトリルで洗浄して黄色粉末10.3gを得た。メタノール100ml、水15mlの混合溶媒に溶解し、トリエチルアミン35mlを加えると沈殿が生じ、これを濾別した。さらにこの沈殿をメタノール90ml、水90mlの混合溶媒に溶解し、酢酸9mlを加えると沈殿が生じ、これを濾別しアセトン洗浄することによりIII-1の黄色粉末8.2gを得た。1H−NMR、FAB−MSにより構造を確認した。λmax(MeOH)=432.0nm(ε6.15×104)。
(乳剤B−10〜16の調製)比較例:塩臭化銀立方体 0.46μm
撹拌したゼラチン水溶液に、硝酸銀と塩化ナトリウムを同時添加して混合する定法で、高塩化銀立方体粒子を調製した。ただし、硝酸銀の添加が80%の時点から90%の時点にかけて、臭化カリウムをでき上がりのハロゲン化銀1モルあたり2モル%になる量を添加し、硝酸銀の添加が80%の時点から90%の時点にかけて、K4[Ru(CN)6]を添加した。また硝酸銀の添加が83%の時点から88%の時点にかけてK2[IrCl6]を添加し、硝酸銀の添加が90%の時点から95%の時点にかけてK2[Ir(5-methylthiazole)Cl5]を添加した。得られた乳剤に脱塩処理を施した後、ゼラチンを加え再分散した。得られた粒子は、6つの平行な{100}面で囲まれた立方体辺長0.46μm、変動係数9.5%の立方体乳剤であった。
(乳剤B−20〜26の調製)比較例:ヨウ臭塩化銀立方体 0.62μm
撹拌したゼラチン水溶液に、硝酸銀と塩化ナトリウムを同時添加して混合する定法で、高塩化銀立方体粒子を調製した。ただし、硝酸銀の添加が80%の時点から90%の時点にかけて、臭化カリウムをでき上がりのハロゲン化銀1モルあたり2モル%になる量を添加し、硝酸銀の添加が80%の時点から90%の時点にかけて、K4[Ru(CN)6]を添加した。また硝酸銀の添加が83%の時点から88%の時点にかけてK2[IrCl6]を添加し、硝酸銀の添加が90%終了した時点でヨウ化カリウム水溶液を、でき上がりのハロゲン化銀1モルあたりI量が0.24モル%になる量を激しく混合しながら添加し、硝酸銀の添加が90%の時点から95%の時点にかけてK2[Ir(5-methylthiazole)Cl5]を添加した。
得られた乳剤に脱塩処理を施した後、ゼラチンを加え再分散した。得られた粒子は、6つの平行な{100}面で囲まれた立方体辺長0.62μm、変動係数8.9%の立方体乳剤であった。
乳剤B−11とは、硝酸銀の添加が90%終了した時点でヨウ化カリウム水溶液を、でき上がりのハロゲン化銀1モルあたりI量が0.24モル%になる量を激しく混合しながら添加したこと以外は乳剤B−11と同様に乳剤を調製した。得られた粒子は、6つの平行な{100}面で囲まれた立方体辺長0.46μm、変動係数9.5%の立方体塩ヨウ臭化銀乳剤で、このようにして得られた乳剤を乳剤B−31とした。また深さ方向へのヨウ化物イオン濃度の分布は、エッチング/TOF−SIMS法によると、ヨウ化物イオンは粒子表面に向けてしみ出し、最表面に緩やか濃度極大を有し、内側に向けて濃度が減衰していた。
(乳剤B−40〜46の調製)比較例: ヨウ臭塩化銀立方体 0.46μm
乳剤B−11とは、硝酸銀の添加が70%終了した時点でヨウ化カリウム水溶液を、でき上がりのハロゲン化銀1モルあたりI量が0.24モル%になる量を激しく混合しながら添加したこと以外は乳剤B−11と同様に乳剤を調製した。得られた粒子は、6つの平行な{100}面で囲まれた立方体辺長0.46μm、変動係数9.5%の立方体塩ヨウ臭化銀乳剤で、このようにして得られた乳剤を乳剤B−41とした。
27℃に恒温し、撹拌したゼラチン水溶液中に硝酸銀と塩化ナトリウムを激しく撹拌しながら同時添加し、さらに、臭化カリウムをでき上がりのハロゲン化銀1モルあたり0.46モル%になる量を激しく混合しながら添加した。さらに硝酸銀と塩化ナトリウムを同時添加した。75℃に昇温、最適に熟成し、さらに成長工程として硝酸銀と塩化ナトリウムを添加し、所望の粒子サイズ成長させた。このとき硝酸銀の添加が90%終了した時点で、ヨウ化カリウム水溶液をでき上がりのハロゲン化銀1モルあたりI量が0.24モル%になる量を、激しく混合しながら添加し、硝酸銀の添加が80%の時点から90%の時点にかけて、臭化カリウムをでき上がりのハロゲン化銀1モルあたり2モル%になる量を激しく混合しながら添加した。
また硝酸銀の添加が80%の時点から90%の時点にかけて、K4[Ru(CN)6]を添加し、硝酸銀の添加が83%の時点から88%の時点にかけてK2[IrCl 6]を添加した。さらに硝酸銀の添加が90%の時点から95%の時点にかけてK2[Ir(5-methylthiazole)Cl5]を添加した。その後、得られた乳剤に脱塩処理を施した後、ゼラチンを加え再分散した。
攪拌したゼラチン水溶液中に、硝酸銀と塩化ナトリウムを同時添加して混合する定法で、球相当径0.35μm、変動係数10%の立方体高塩化銀乳剤を調製した。但し、硝酸銀の添加が80%の時点から90%の時点にかけて、K4[Ru(CN)6]を添加した。硝酸銀の添加が80%の時点から100%の時点にかけて、臭化カリウム(でき上がりのハロゲン化銀1モルあたり4モル%)を添加した。硝酸銀の添加が90%終了した時点でヨウ化カリウム(でき上がりのハロゲン化銀1モルあたり0.2モル%)を添加した。硝酸銀の添加が92%の時点から95%の時点にかけて、K2[Ir(5-methylthiazole)Cl5]を添加した。さらに硝酸銀の添加が92%の時点から98%の時点にかけて、K2[Ir(H2O)Cl5]を添加した。得られた乳剤に脱塩処理を施した後、ゼラチンを加え再分散した。この乳剤にベンゼンチオスルホン酸ナトリウムをハロゲン化銀1モルあたり2×10-5モル添加し、硫黄増感剤としてチオ硫酸ナトリウム5水和物と金増感剤としてビス(1,4,5−トリメチル−1,2,4−トリアゾリウム−3−チオラート)オーレート(I)テトラフルオロボレートを用い最適になるように熟成した。さらに増感色素Dye−2をハロゲン化銀1モルあたり6×10-4モル、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾールをハロゲン化銀1モルあたり2×10-4モル、1−(5−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールをハロゲン化銀1モルあたり8×10-4モルおよび臭化カリウムをハロゲン化銀1モルあたり7×10-3モル添加した。このようにして得られた乳剤を、乳剤G−1とした。
攪拌したゼラチン水溶液中に、硝酸銀と塩化ナトリウムを同時添加して混合する定法で、球相当径0.35μm、変動係数10%の立方体高塩化銀乳剤を調製した。但し、硝酸銀の添加が80%の時点から90%の時点にかけて、K4[Ru(CN)6]を添加した。硝酸銀の添加が80%の時点から100%の時点にかけて、臭化カリウム(でき上がりのハロゲン化銀1モルあたり4.3モル%)を添加した。硝酸銀の添加が90%終了した時点でヨウ化カリウム(でき上がりのハロゲン化銀1モルあたり0.15モル%)を添加した。硝酸銀の添加が92%の時点から95%の時点にかけて、K2[Ir(5-methylthiazole)Cl5]を添加した。
さらに硝酸銀の添加が92%の時点から98%の時点にかけて、K2[Ir(H2O)Cl5]を添加した。得られた乳剤に脱塩処理を施した後、ゼラチンを加え再分散した。この乳剤にベンゼンチオスルホン酸ナトリウムをハロゲン化銀1モルあたり2×10-5モル添加し、硫黄増感剤としてチオ硫酸ナトリウム5水和物と金増感剤としてビス(1,4,5−トリメチル−1,2,4−トリアゾリウム−3−チオラート)オーレート(I)テトラフルオロボレートを用い最適になるように熟成した。さらに増感色素Dye−6をハロゲン化銀1モルあたり2×10-4モル、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾールハロゲン化銀1モルあたり2×10-4モル、1−(5−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールをハロゲン化銀1モルあたり8×10-4モル、化合物−1をハロゲン化銀1モルあたり1×10-3モルおよび臭化カリウムをハロゲン化銀1モルあたり7×10-3モル添加した。このようにして得られた乳剤を、乳剤R−1とした。
紙の両面をポリエチレン樹脂で被覆してなる支持体の表面に、コロナ放電処理を施した後、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含むゼラチン下塗層を設け、さらに第一層〜第七層の写真構成層を順次塗設して、以下に示す層構成のハロゲン化銀カラー写真感光材料の試料を作製した。各写真構成層用の塗布液は、以下のようにして調製した。
イエローカプラー(ExY−1)57g、色像安定剤(Cpd−1)7g、色像安定剤(Cpd−2)4g、色像安定剤(Cpd−3)7g、色像安定剤(Cpd−8)2gを溶媒(Solv−1)21gおよび酢酸エチル80mlに溶解し、この液を4gのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含む23.5質量%ゼラチン水溶液220g中に高速攪拌乳化機(ディゾルバー)で乳化分散し、水を加えて900gの乳化分散物Aを調製した。
一方、前記乳化分散物Aと乳剤B−11を混合溶解し、後記組成となるように第一層塗布液を調製した。乳剤塗布量は、銀量換算塗布量を示す。
赤感性乳剤層にメタクリル酸とアクリル酸ブチルの共重合体ラテックス(質量比1:1、平均分子量200000〜400000)を0.05g/m2添加した。また、第二層、第四層および第六層にカテコール−3,5−ジスルホン酸二ナトリウムをそれぞれ6mg/m2、6mg/m2、18mg/m2となるように添加した。また、イラジエーション防止のために、以下の染料(カッコ内は塗布量を表す)を添加した。
以下に、各層の構成を示す。数字は塗布量(g/m2)を表す。ハロゲン化銀乳剤は、銀換算塗布量を表す。
支持体
ポリエチレン樹脂ラミネート紙
[第一層側のポリエチレン樹脂に白色顔料(TiO2;含有率16質量%、ZnO;含有率4質量%)と蛍光増白剤(4,4’−ビス(5−メチルベンゾオキサゾリル)スチルベン。含有率0.03質量%)、青味染料(群青)を含む]
第一層(青感性乳剤層)
乳剤B−11 0.19
ゼラチン 1.00
イエローカプラー(ExY−1) 0.46
色像安定剤(Cpd−1) 0.06
色像安定剤(Cpd−2) 0.03
色像安定剤(Cpd−3) 0.06
色像安定剤(Cpd−8) 0.02
溶媒(Solv−1) 0.17
ゼラチン 0.50
混色防止剤(Cpd−4) 0.05
色像安定剤(Cpd−5) 0.01
色像安定剤(Cpd−6) 0.06
色像安定剤(Cpd−7) 0.01
溶媒(Solv−1) 0.03
溶媒(Solv−2) 0.11
乳剤G−1 0.12
ゼラチン 1.36
マゼンタカプラー(ExM−1) 0.15
紫外線吸収剤(UV−A) 0.14
色像安定剤(Cpd−2) 0.02
色像安定剤(Cpd−4) 0.002
色像安定剤(Cpd−6) 0.09
色像安定剤(Cpd−8) 0.02
色像安定剤(Cpd−9) 0.03
色像安定剤(Cpd−10) 0.01
色像安定剤(Cpd−11) 0.0001
溶媒(Solv−3) 0.11
溶媒(Solv−4) 0.22
溶媒(Solv−5) 0.20
ゼラチン 0.36
混色防止層(Cpd−4) 0.03
色像安定剤(Cpd−5) 0.006
色像安定剤(Cpd−6) 0.05
色像安定剤(Cpd−7) 0.004
溶媒(Solv−1) 0.02
溶媒(Solv−2) 0.08
乳剤R−1 0.10
ゼラチン 1.11
シアンカプラー(ExC−1) 0.13
シアンカプラー(ExC−2) 0.016
シアンカプラー(ExC−3) 0.008
シアンカプラー(ExC−4) 0.006
色像安定剤(Cpd−1) 0.05
色像安定剤(Cpd−6) 0.06
色像安定剤(Cpd−7) 0.02
色像安定剤(Cpd−9) 0.04
色像安定剤(Cpd−10) 0.01
色像安定剤(Cpd−14) 0.01
色像安定剤(Cpd−15) 0.12
色像安定剤(Cpd−16) 0.03
色像安定剤(Cpd−17) 0.09
色像安定剤(Cpd−18) 0.07
溶媒(Solv−5) 0.15
溶媒(Solv−8) 0.05
ゼラチン 0.46
紫外線吸収剤(UV−B) 0.45
化合物(S1−4) 0.0015
溶媒(Solv−7) 0.25
第七層(保護層)
ゼラチン 1.00
ポリビニルアルコールのアクリル変性共重合体
(変性度17%) 0.04
流動パラフィン 0.02
界面活性剤(Cpd−13) 0.01
これらの試料の写真特性を調べるために以下のような実験を行った。
各塗布試料を25℃30%RHの雰囲気下に十分放置して、その環境のまま、高照度露光用感光計(山下電装(株)製HIE型)を用いて、グレー発色のセンシトメトリー用の10-6秒高照度階調露光を与えた。露光した試料は、露光してから10秒後に以下に示す[発色現像処理a]を行った。
[発色現像処理a]
上記感光材料の試料を127mm幅のロール状に加工し、富士写真フイルム(株)製ミニラボプリンタープロセッサーPP350を改造した実験処理装置を用いて感光材料試料に平均濃度のネガティブフイルムから像様露光を行い、下記処理工程にて使用した発色現像補充液の容量が発色現像タンク容量の0.5倍となるまで連続処理(ランニングテスト)を行った。
発色現像 45.0℃ 16秒 45ml
漂白定着 40.0℃ 16秒 35ml
リンス1 40.0℃ 8秒 −
リンス2 40.0℃ 8秒 −
リンス3 ** 40.0℃ 8秒 −
リンス4 38.0℃ 8秒 121ml
乾燥 80.0℃ 16秒
(注)*感光材料1m2あたりの補充量
**富士写真フイルム(株)製リンスクリーニングシステムRC50Dをリンス(3)に装着し、リンス(3)からリンス液を取り出してポンプにより逆浸透モジュール(RC50D)へ送る。同槽で送られた透過水はリンスに供給し、濃縮液はリンス(3)に戻す。逆浸透モジュールへの透過水量は50〜300ml/分を維持するようにポンプ圧を調整し、1日10時間温調循環させた。リンスは(1)から(4)への4タンク向流方式とした。
[発色現像液] [タンク液] [補充液]
水 800ml 600ml
蛍光増白剤(FL−1) 5.0g 8.5g
トリイソプロパノールアミン 8.8g 8.8g
p−トルエンスルホン酸ナトリウム 20.0g 20.0g
エチレンジアミン4酢酸 4.0g 4.0g
亜硫酸ナトリウム 0.10g 0.50g
塩化カリウム 10.0g −
4,5−ジヒドロキシベンゼン−
1,3−ジスルホン酸ナトリウム 0.50g 0.50g
ジナトリウム−N,N−ビス(スルホナート
エチル)ヒドロキシルアミン 8.5g 14.5g
4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−
(β−メタンスルホンアミドエチル)アニリン
・3/2硫酸塩・モノハイドレード 10.0g 22.0g
炭酸カリウム 26.3g 26.3g
水を加えて全量 1000ml 1000ml
pH(25℃、硫酸とKOHで調整)10.35 12.6
水 800ml 800ml
チオ硫酸アンモニウム(750g/ml)
107ml 214ml
コハク酸 29.5g 59.0g
エチレンジアミン4酢酸鉄(III)アンモニウム
47.0g 94.0g
エチレンジアミン4酢酸 1.4g 2.8g
硝酸(67%) 17.5g 35.0g
イミダゾール 14.6g 29.2g
亜硫酸アンモニウム 16.0g 32.0g
メタ重亜硫酸カリウム 23.1g 46.2g
水を加えて全量 1000ml 1000ml
pH(25℃、硝酸とアンモニア水で調整)6.00 6.00
塩素化イソシアヌール酸ナトリウム 0.02g 0.02g
脱イオン水(電導度5μS/cm以下) 1000ml 1000ml
pH(25℃) 6.5 6.5
試料S(11)を25℃30%RH雰囲気下で露光し、[発色現像処理a]で処理した場合の感度を100とし、それぞれの相対感度を表3に示した。
さらに、処理液変動の安定性を調べるために、[発色現像処理a]に対して、発色現像液の補充量のみを±15%した[発色現像処理b]および[発色現像処理c]を行った。
まず、25℃30%RH雰囲気下に十分放置した試料をその環境のまま、高照度露光用感光計(山下電装(株)製HIE型)を用いて、グレー発色のセンシトメトリー用の10-6秒高照度階調露光を与えた。次に露光した試料は下記に示す[発色現像処理b]および[発色現像処理c]を行った。
5%増やしたことのみ異なる処理処方で、以下に処理処方を示す。
処理工程 温度 時間 補充量*
発色現像 45.0℃ 16秒 51.8ml
漂白定着 40.0℃ 16秒 35ml
リンス1 40.0℃ 8秒 −
リンス2 40.0℃ 8秒 −
リンス3 ** 40.0℃ 8秒 −
リンス4 38.0℃ 8秒 121ml
乾燥 80.0℃ 16秒
5%減らしたことのみ異なる処理処方とした。以下に処理処方を示す。
処理工程 温度 時間 補充量*
発色現像 45.0℃ 16秒 38.3ml
漂白定着 40.0℃ 16秒 35ml
リンス1 40.0℃ 8秒 −
リンス2 40.0℃ 8秒 −
リンス3 ** 40.0℃ 8秒 −
リンス4 38.0℃ 8秒 121ml
乾燥 80.0℃ 16秒
また一般式(I)のシアニン化合物の中でも、本発明の一般式(II)および一般式(III)で表されるシアニン化合物が最も優秀な性能を示した(試料S(32)〜S(37))。
レーザー光源としては、半導体レーザーGaAlAs(発振波長808.5nm)を励起光源としたYAG固体レーザー(発振波長946nm)を反転ドメイン構造を有するLiNbO3のSHG結晶により波長変換して取り出した473nmと、半導体レーザーGaAlAs(発振波長808.7nm)を励起光源としたYVO4固体レーザー(発振波長1064nm)を反転ドメイン構造を有するLiNbO3のSHG結晶により波長変換して取り出した532nmと、AlGaInP(発振波長約680nm:松下電産製タイプNo.LN9R20)とを用いた。3色のそれぞれのレーザー光はポリゴンミラーにより走査方向に対して垂直方向に移動し、試料上に、順次走査露光できるようにした。半導体レーザーの温度による光量変動は、ペルチェ素子を利用して温度が一定に保たれることで抑えられている。実効的なビーム径は、80μmで、走査ピッチは42.3μm(600dpi)であり、1画素あたりの平均露光時間は、1.7×10-7秒であった。
塗布試料S(11)〜S(56)は、感光計を上記レーザー走査露光に置き換え実施例1と同様な評価を行ったところ、実施例1の結果と同様、本発明の試料は高感度な乳剤であり、残色が少なく、処理液の変動に対して依存性が少なく、レーザー走査露光を用いた画像形成にも適していることが分かった。
攪拌した脱イオンゼラチンを含む脱イオン蒸留水に、硝酸銀と塩化ナトリウム同時添加して混合する方法で、高塩化銀立方体粒子を調製した。この調製の過程において、硝酸銀の添加が85%の時点から95%の時点にかけて、臭化カリウムを出来上がりのハロゲン化銀1モル当たり1.5モル%になる量を添加し、硝酸銀の添加が80%の時点から90%の時点にかけてK4[Fe(CN)6]を4×10-6モル/銀モル、K4[Ru(CN)6]を6×10-6モル/銀モル、K2[Ir(5-methylthiazole)Cl5]を5×10-8モル/銀モル、K2[RhBr5(H2O)]を3×10-9モル/銀モルおよびK2[OsCl5(NO)]を4×10-9モル/銀モルずつ添加した。さらに、硝酸銀の添加が92%から98%の時点にかけて、K2[IrCl 5(H2O)]を8×10-6モル/銀モルおよびK[IrCl5(H2O)2]を1×10-6モル/銀モル添加した。さらに、硝酸銀の添加が90%終了した時点でヨウ化カリウム溶液を出来上がりのハロゲン化銀1モル当たりヨード量が0.27モル%となるように激しく攪拌しながら添加した。得られた乳剤粒子は、辺長0.54μm、変動係数8.5%の単分散立方体ヨウ臭塩化銀粒子であった。この乳剤に沈降脱塩処理を施した後、ゼラチンと、化合物Ab−1、Ab−2、Ab−3および硝酸カルシウムを添加し再分散を行った。
乳剤B−H1の調製において、硝酸銀と塩化ナトリウムを同時添加して混合する工程の温度および添加速度を変え、硝酸銀と塩化ナトリウムの添加の途中に添加される各種金属錯体の量を変更する以外は同様にして乳剤粒子を得た。この乳剤粒子は辺長0.34μm、変動係数9.5%の単分散立方体ヨウ臭塩化銀粒子であった。この乳剤を再分散後、添加される各種化合物の量をB−H1から変更する以外は同様にして乳剤B−L1を調製した。
乳剤B−H1とB−L1の調製において、ヨウ化カリウム溶液を出来上がりのハロゲン化銀1モル当たりヨード量が0.10モル%となるように添加した以外は同様にして乳剤B−H2と乳剤B−L2を調製した。
乳剤B−H1とB−L1の調製において、ヨウ化カリウム溶液を出来上がりのハロゲン化銀1モル当たりヨード量が0.45モル%となるように添加した以外は同様にして乳剤B−H3と乳剤B−L3を調製した。
前記、青感光性乳剤の調製と同様の方法を用いて乳剤粒子を調製した。この乳剤粒子は辺長0.48μm、変動係数8.0%の単分散立方体ヨウ臭塩化銀粒子であった。この乳剤に沈降脱塩処理および再分散を施した。
乳剤G−Hの調製において、硝酸銀と塩化ナトリウムを同時添加して混合する工程の温度および添加速度を変え、硝酸銀と塩化ナトリウムの添加の途中に添加される各種金属錯体の量を変更する以外は同様にして乳剤粒子を得た。この乳剤粒子は辺長0.25μm、変動係数9.8%の単分散立方体ヨウ臭塩化銀粒子であった。この乳剤を再分散後、添加される各種化合物の量を乳剤G−Hから変更する以外は同様にして乳剤G−Lを調製した。
攪拌した脱イオンゼラチンを含む脱イオン蒸留水に、硝酸銀と塩化ナトリウム同時添加して混合する方法で、高塩化銀立方体粒子を調製した。この調製の過程において、硝酸銀の添加が65%の時点から90%の時点にかけて、臭化カリウムを出来上がりのハロゲン化銀1モル当たり2.5モル%になる量を添加し、硝酸銀の添加が70%の時点から85%の時点にかけてK4[Fe(CN)6]、K4[Ru(CN)6]、K2[Ir(5-methylthiazole)Cl5]、K3[RhBr6]およびK2[RuCl5(NO)]を添加した。さらに、硝酸銀の添加が85%から98%の時点にか
けて、K2[IrCl5(H2O)]を添加した。さらに、硝酸銀の添加が88%終了した時点でヨウ化カリウム溶液を出来上がりのハロゲン化銀1モル当たりヨード量が0.15モル%となるように激しく攪拌しながら添加した。得られた乳剤粒子は立方体辺長0.39μm、変動係数10%の単分散立方体ヨウ臭塩化銀乳剤粒子であった。得られた乳剤に前記と同様にして沈降脱塩処理および再分散を行った。
乳剤R−Hの調製において、硝酸銀と塩化ナトリウムを同時添加して混合する工程の温度および添加速度を変え、硝酸銀と塩化ナトリウムの添加の途中に添加される各種金属錯体の量を変更する以外は同様にして乳剤粒子を得た。この乳剤粒子は辺長0.29μm、変動係数9.9%の単分散立方体ヨウ臭塩化銀粒子であった。この乳剤を沈降脱塩処理および再分散後、添加される各種化合物の量を乳剤R−Hから変更する以外は同様にして乳剤R−Lを調製した。
イエローカプラー(ExY−2)34.0g、色像安定剤(Cpd−1)1.0g、色像安定剤(Cpd−2)1.0g、色像安定剤(Cpd−8)8.0g、色像安定剤(Cpd−18)1.0g、色像安定剤(Cpd−19)2.0g、色像安定剤(Cpd−20)15.0g、色像安定剤(Cpd−21)1.0g、色像安定剤(Cpd−23)15g、添加剤(ExC−5)0.1g、色像安定剤(UV−3)1.0gを溶媒(Solv−4)23g、溶媒(Solv−6)4g、溶媒(Solv−13)23gおよび酢酸エチル60mlに溶解し、この液を4gのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含む20質量%ゼラチン水溶液270g中に高速攪拌乳化機(ディゾルバー)で乳化分散し、水を加えて900gの乳化分散物Aを調製した。
一方、前記乳化分散物Aと前記乳剤B−H1、B−L1を混合溶解し、後記組成となるように第一層塗布液を調製した。乳剤塗布量は、銀量換算塗布量を示す。
また、青感性乳剤層、緑感性乳剤層および赤感性乳剤層に対し、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデンを、それぞれハロゲン化銀1モル当たり、1×10-4モル、2×10-4、5×10-5モル添加した。
また、赤感性乳剤層にメタクリル酸とアクリル酸ブチルの共重合体ラテックス(質量比1:1、平均分子量200000〜400000)を0.05g/m2を添加した。
さらに第二層、第四層および第六層にカテコール−3,5−ジスルホン酸二ナトリウムをそれぞれ6mg/m2、6mg/m2、18mg/m2となるように添加した。
また、各層にポリスチレンスルホン酸ナトリウムを必要に応じて加え塗布液の粘度を調節した。
また、イラジエーション防止のために、以下の染料を下記の塗布量になるよう添加した。
染料(D−2) 2mg/m2
染料(D−3) 24mg/m2
染料(D−4) 3mg/m2
以下に、各層の構成を示す。数字は塗布量(g/m2)を表す。ハロゲン化銀乳剤は、銀換算塗布量を表す。
支持体
ポリエチレン樹脂ラミネート紙
[第一層側のポリエチレン樹脂に白色顔料(TiO2;含有率16質量%、ZnO;含有率4質量%)と蛍光増白剤(4,4′−ビス(5−メチルベンゾオキサゾリル)スチルベン。含有率0.03質量%)、青味染料(群青、含有率0.30質量%)を含む。ポリエチレン樹脂の量は29.2g/m2]
第一層(青感性乳剤層)
ヨウ臭塩化銀乳剤(金硫黄増感された立方体、大サイズ乳剤B−H1と小サイズ乳剤B−L1との6:4混合物(銀モル比)。)
0.16
ゼラチン 1.32
イエローカプラー(ExY−2) 0.34
色像安定剤(Cpd−1) 0.01
色像安定剤(Cpd−2) 0.01
色像安定剤(Cpd−8) 0.08
色像安定剤(Cpd−18) 0.01
色像安定剤(Cpd−19) 0.02
色像安定剤(Cpd−20) 0.15
色像安定剤(Cpd−21) 0.01
添加剤(ExC−5) 0.001
色像安定剤(UV−3) 0.01
溶媒(Solv−4) 0.23
溶媒(Solv−6) 0.04
溶媒(Solv−13) 0.23
ゼラチン 0.78
混色防止剤(Cpd−24) 0.05
色像安定剤(Cpd−5) 0.006
色像安定剤(Cpd−6) 0.05
色像安定剤(Cpd−7) 0.006
色像安定剤(Cpd−12) 0.01
色像安定剤(UV−C) 0.06
溶媒(Solv−1) 0.06
溶媒(Solv−10) 0.06
溶媒(Solv−5) 0.07
溶媒(Solv−12) 0.07
ヨウ臭塩化銀乳剤(金硫黄増感された立方体、大サイズ乳剤G−Hと小サイズ乳剤G−Lとの7:3混合物(銀モル比)。)
0.12
ゼラチン 0.95
マゼンタカプラー(ExM−2) 0.12
紫外線吸収剤(UV−C) 0.03
色像安定剤(Cpd−2) 0.01
色像安定剤(Cpd−6) 0.08
色像安定剤(Cpd−7) 0.005
色像安定剤(Cpd−8) 0.01
色像安定剤(Cpd−9) 0.01
色像安定剤(Cpd−10) 0.005
色像安定剤(Cpd−11) 0.0001
色像安定剤(Cpd−20) 0.01
溶媒(Solv−3) 0.06
溶媒(Solv−4) 0.12
溶媒(Solv−6) 0.05
溶媒(Solv−13) 0.16
ゼラチン 0.65
混色防止剤(Cpd−24) 0.045
色像安定剤(Cpd−5) 0.005
色像安定剤(Cpd−6) 0.04
色像安定剤(Cpd−7) 0.005
色像安定剤(Cpd−12) 0.008
色像安定剤(UV−C) 0.05
溶媒(Solv−1) 0.05
溶媒(Solv−10) 0.05
溶媒(Solv−5) 0.06
溶媒(Solv−12) 0.06
ヨウ臭塩化銀乳剤(金硫黄増感された立方体、大サイズ乳剤R−Hと小サイズ乳剤R−Lとの3:7混合物(銀モル比)。)
0.10
ゼラチン 1.11
シアンカプラー(ExC−5) 0.11
シアンカプラー(ExC−2) 0.01
シアンカプラー(ExC−4) 0.04
色像安定剤(Cpd−1) 0.03
色像安定剤(Cpd−7) 0.01
色像安定剤(Cpd−9) 0.04
色像安定剤(Cpd−10) 0.001
色像安定剤(Cpd−14) 0.001
色像安定剤(Cpd−15) 0.18
色像安定剤(Cpd−16) 0.002
色像安定剤(Cpd−17) 0.001
色像安定剤(Cpd−18) 0.05
色像安定剤(Cpd−19) 0.04
色像安定剤(UV−9) 0.10
溶媒(Solv−5) 0.19
ゼラチン 0.34
紫外線吸収剤(UV−D) 0.24
化合物(S1−4) 0.0015
溶媒(Solv−11) 0.11
第七層(保護層)
ゼラチン 0.82
添加剤(Cpd−22) 0.03
流動パラフィン 0.02
界面活性剤(Cpd−25) 0.02
また試料101に対して第一層中の乳剤B−H1およびB−L1の代わりにB−H2とB−L2、B−H3とB−L3を用い、増感色素II-2を添加する代わりに表4に示す化合物を各々表4の量添加する以外は同様にして試料201、202、301、302を作製した。
各試料は感光材料を塗布後25℃60%相対湿度条件で7日保存後に以下の評価を行った。
以下のランニング処理液を用いた処理を処理Dとした。
発色現像 38.5℃ 45秒 45ml
漂白定着 38.0℃ 45秒 35ml
リンス1 38.0℃ 20秒 −
リンス2 38.0℃ 20秒 −
リンス3** 38.0℃ 20秒 −
リンス4** 38.0℃ 20秒 121ml
乾燥 80℃
(注)
* 感光材料1m2あたりの補充量
** 富士写真フイルム(株)製リンスクリーニングシステムRC50Dをリンス3に装着し、リンス3からリンス液を取り出してポンプにより逆浸透モジュール(RC50D)へ送る。同槽で送られた透過水はリンス4に供給し、濃縮液はリンス3に戻す。逆浸透モジュールへの透過水量は50〜300ml/分を維持するようにポンプ圧を調整し、1日10時間温調循環させた。リンスは1から4への4タンク向流方式とした。各処理工程のタンク容量は400mlであり、1日かけて発色現像補充液がタンク容量の0.5倍となるように連続処理を行った。
[発色現像液] [タンク液] [補充液]
水 800ml 800ml
蛍光増白剤(FL−2) 2.2g 5.1g
蛍光増白剤(FL−3) 0.35g 1.75g
トリイソプロパノールアミン 8.8g 8.8g
ポリエチレングリコール平均分子量300 10.0g 10.0g
エチレンジアミン4酢酸 4.0g 4.0g
亜硫酸ナトリウム 0.10g 0.20g
塩化カリウム 10.0g −
4,5−ジヒドロキシベンゼン−
1,3−ジスルホン酸ナトリウム 0.50g 0.50g
ジナトリウム−N,N−ビス(スルホナート
エチル)ヒドロキシルアミン 8.5g 14.0g
4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−
(β−メタンスルホンアミドエチル)アニリン
・3/2硫酸塩・モノハイドレード 4.8g 14.0g
炭酸カリウム 26.3g 26.3g
水を加えて全量 1000ml 1000ml
pH(25℃、硫酸とKOHで調整) 10.15 12.40
水 800ml 800ml
チオ硫酸アンモニウム(750g/L) 107ml 214ml
m−カルボキシベンゼンスルフィン酸 8.3g 16.5g
エチレンジアミン4酢酸鉄(III)アンモニウム 47.0g 94.0g
エチレンジアミン4酢酸 1.4g 2.8g
硝酸(67%) 16.5g 33.0g
イミダゾール 14.6g 29.2g
亜硫酸アンモニウム 16.0g 32.0g
メタ重亜硫酸カリウム 23.1g 46.2g
水を加えて全量 1000ml 1000ml
pH(25℃、硝酸とアンモニア水で調整) 6.5 6.5
塩素化イソシアヌール酸ナトリウム 0.02g 0.02g
脱イオン水(電導度5μS/cm以下) 1000ml 1000ml
pH(25℃) 6.5 6.5
試料101の代わりに試料102〜124、201、202、301、302を用いる以外は上記と同様にして、未露光部の濃度(Dmin(Y))、露光量(E)およびDmin(Y)’を得た。
各試料の感度を比較するために、試料101の1/Eの値を100としたときの各試料の1/Eの値の相対値を感度とした。感度が100より大きければ試料101より高感であり、100より小さければ低感であることを表す。Dmin(Y)は値が小さいほど白地の着色が少ないことを示す。また、試料の残色を評価するためにDmin(Y)−Dmin(Y)’の値を求めΔDminとした。ΔDminが小さいほど残色が少ないことを表す。
さらに各試料について、処理工程Eでも同様の評価を行った。
各試料第一層中の乳剤と添加した化合物ならびに実験結果を下記表4に示す。
これに対して本発明の一般式(II)または(III)で表される化合物に本発明の一般式(IV)の化合物を少量併用することにより、感度や残色への悪影響を与えることなく現像による白地着色が改善されることがわかる。
Claims (14)
- 支持体上にイエロー発色青感光性ハロゲン化銀乳剤層を少なくとも1層有するハロゲン化銀カラー写真感光材料において、該イエロー発色青感性ハロゲン化銀乳剤層中のハロゲン化銀粒子が塩化銀含有率90%以上で、0.05〜1.00モル%のヨウ化銀を含有し、ヨウ化銀含有相が粒子の内側から測って粒子体積の85%から100%の位置のいずれかに形成されている、立方体辺長として0.6μm以下の{100}面を持つ立方体または14面体の結晶粒子から成り、かつ、下記一般式(II)または一般式(III)で表される色素の少なくとも一種によって分光増感されていることを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料。
一般式(II)
一般式(III)
- 前記V1またはV3がハロゲン原子であることを特徴とする請求項1に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
- 前記一般式(II)または(III)で表される色素が、前記一般式(II)で表される色素であることを特徴とする請求項1または2に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
- 前記イエロー発色青感性ハロゲン化銀乳剤層中の前記ハロゲン化銀粒子が0.1〜7モル%の臭化銀を含有し、臭化銀含有相が粒子の内側から測って粒子体積の50%から100%で、前記ヨウ化銀含有相よりも内側の位置のいずれかに形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
- 前記イエロー発色青感性ハロゲン化銀乳剤層中の前記ハロゲン化銀粒子がイリジウム錯体を含有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
- 前記イリジウム錯体が、有機配位子として、5員環または6員環の複素環化合物を有することを特徴とする請求項5に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
- 前記イエロー発色青感性ハロゲン化銀乳剤層中の前記ハロゲン化銀乳剤が金増感されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
- 前記ハロゲン化銀カラー写真感光材料の塗布銀量が、0.2g/m2〜0.45g/m2であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
- 前記イエロー発色青感性ハロゲン化銀乳剤層中に、下記一般式(IV)で表される化合物を含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
一般式(IV)
- 下記一般式(II)または一般式(III)で表されるシアニン化合物。
一般式(II)
一般式(III)
- 前記V1またはV3がハロゲン原子であることを特徴とする請求項11に記載のシアニン化合物。
- 前記シアニン化合物が前記一般式(II)で表されることを特徴とする請求項11または12に記載のシアニン化合物。
- 前記シアニン化合物が前記一般式(III)で表されることを特徴とする請求項11または12に記載のシアニン化合物。
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