JP4166529B2 - ハロゲン化銀写真感光材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハロゲン化銀写真感光材料に関するものである。さらに詳しくは、高感度で処理後の残色の少なく、連続処理後の写真性変動が小さいハロゲン化銀写真感光材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ハロゲン化銀写真感光材料の高感度化、及び処理後の残色低減のために、多大の努力がなされてきた。分光増感のために用いられる増感色素は、ハロゲン化銀写真感光材料の性能に大きな影響を与えることが知られている。増感色素においては、構造上の僅かな違いが、感度・被り・保存安定性・処理後の残存着色(残色)などの写真性能に大きな影響を与え、また増感色素を2種以上併用することによっても写真性能に大きな影響を与えるが、その効果を事前に予測するのは困難であり、従来から多くの研究者は数多くの増感色素を合成し、また数多くの増感色素の併用を検討してその写真性能を調べる努力をしてきた。しかし、依然として写真性能を予想することができないのが現状である。
以上の理由から、ハロゲン化銀粒子を高感度に、かつ被りや残色等の悪影響を生じさせずに分光増感する技術が求められていた。
【0003】
これまでに増感色素の吸収極大を長波長にシフトさせたい場合にはベンゾアゾール核にさらにベンゼン環を縮合させたナフトアゾール核を用いることが広く用いられてきている。ところが近年の高感度化の強い要求から来る色素添加量の増大の一方で、写真処理の迅速化、環境問題に対応するための処理廃液の低減にも対応しなければならず、ナフトアゾール核を有するような疎水性の高い色素ではこのような要求に応えられなくなってきている。
本発明者らは特願平2000-124612において、特定のヘテロ環が縮合したアゾール核をナフトアゾール核の代わりに用いた増感色素が、ナフトアゾール型色素よりも高感度で、しかも残色が少ないことを開示している。ところがこのような色素は原理的に処理後の処理液中に色素が多く蓄積するため、疲労した処理液においては写真性が変動しやすいという問題が明らかになってきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、高感度で処理後の残色の少なく、連続処理後の写真性変動が小さいハロゲン化銀感光材料を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の課題は鋭意研究を行なった結果、下記の手段によって達成することができた。すなわち、
【0006】
(1) 支持体上にシアンカプラーを含有するハロゲン化銀写真乳剤層、マゼンタカプラーを含有するハロゲン化銀写真乳剤層およびイエローカプラーを含有するハロゲン化銀写真乳剤層を有するハロゲン化銀写真感光材料において、該シアンカプラーが下記一般式( XX )で表されるカプラーであり、かついずれかのハロゲン化銀写真乳剤層に下記一般式(I)で表されるメチン色素を少なくとも1種含有することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
一般式(I)
【0007】
【化4】
【0008】
一般式(I)中、X1およびX2は酸素原子、硫黄原子、セレン原子、テルル原子、窒素原子、炭素原子を表す。Y1は他の5〜6員の炭素環または複素環と縮合していても置換基を有していてもよいフラン環またはピロール環、あるいはチオフェン環を表す。Y2はベンゼン環または5〜6員の不飽和複素環を形成するのに必要な原子群を表し、さらに他の5〜6員の炭素環または複素環と縮合していても置換基を有していてもよい。なお、Y1およびY2が縮環している2つの炭素原子の間の結合は、1重結合であっても2重結合であってもよい。R1およびR2は置換もしくは無置換の、アルキル基、アリール基、または複素環基を表す。L1、L2およびL3はそれぞれメチン基を表し、n1は0または1を表す。M1は対イオンを表し、m1は分子中の電荷を中和させるために必要な0以上の数を表す。
一般式( XX )
【0012】
【化6】
【0013】
一般式(XX)中、Q5は塩素原子が1または2個で置換されたフェニル基、Q6は1位にアリールスルホニル基が置換したアルキル基を表す。Q7は水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、またはアルキル基を表す。Xは現像主薬の酸化体との反応で離脱する基を表す。
【0014】
(2) 前記一般式(I)で表されるメチン色素が下記一般式(II)、(III)、(IV)または(V)で表されることを特徴とする上記(1)に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
一般式(II)
【0015】
【化7】
【0016】
一般式(II)中、Y11は酸素原子、硫黄原子またはN−R13を表し、R13は水素原子またはアルキル基を表す。V15およびV16は水素原子または1価の置換基を表す。X11およびX12は酸素原子または硫黄原子を表す。R11およびR12は酸基で置換されたアルキル基を表す。V11、V12、V13およびV14は水素原子または1価の置換基を表す。M11は対イオンを表し、m11は分子中の電荷を中和させるために必要な0以上の数を表す。
一般式(III)
【0017】
【化8】
【0018】
一般式(III)中、Y21は酸素原子、硫黄原子またはN−R23を表し、R23は水素原子またはアルキル基を表す。V25およびV26は水素原子または1価の置換基を表す。X21およびX22は酸素原子または硫黄原子を表す。R21およびR22は酸基で置換されたアルキル基を表す。V21、V22、V23およびV24は水素原子または1価の置換基を表す。M21は対イオンを表し、m21は分子中の電荷を中和させるために必要な0以上の数を表す。
一般式(IV)
【0019】
【化9】
【0020】
一般式(IV)中、Y31は酸素原子、硫黄原子またはN−R33を表し、R33は水素原子またはアルキル基を表す。V35およびV36は水素原子または1価の置換基を表す。X31およびX32は酸素原子または硫黄原子を表す。R31およびR32は酸基で置換されたアルキル基を表す。A31はメチル基、エチル基またはプロピル基を表し、V31、V32、V33およびV34は水素原子または1価の置換基を表す。M31は対イオンを表し、m31は分子中の電荷を中和させるために必要な0以上の数を表す。
一般式(V)
【0021】
【化10】
【0022】
一般式(V)中、Y41は酸素原子、硫黄原子またはN−R43を表し、R43は水素原子またはアルキル基を表す。V45およびV46は水素原子または1価の置換基を表す。X41およびX42は酸素原子または硫黄原子を表す。R41およびR42は酸基で置換されたアルキル基を表す。A41はメチル基、エチル基またはプロピル基を表し、V41、V42、V43およびV44は水素原子または1価の置換基を表す。M41は対イオンを表し、m41は分子中の電荷を中和させるために必要な0以上の数を表す。
【0032】
(3) 前記一般式(II)、(III)、(IV)または(V)で表されるメチン色素の(R11、R21、R31またはR41)と(R12、R22、R32またはR42)の一方が、カルボキシル基、−CONHSO2−基、−SO2NHCO−基、−CONHCO−基、−SO2NHSO2−基が置換したアルキル基であり、他方が、スルホ基で置換されたアルキル基であることを特徴とする上記(2)に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
(4) 前記一般式( II )、( III )、( IV )または(V)で表されるメチン色素の(R 11 、R 21 、R 31 またはR 41 )が、カルボキシル基で置換されたアルキル基であることを特徴とする上記(3)に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
(5) 前記カルボキシル基で置換されたアルキル基が、カルボキシルメチル基であることを特徴とする上記(4)に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
(6) 前記一般式(I)で表されるメチン色素が、前記一般式( II )で表されるメチン色素であることを特徴とする上記(2)〜(5)のいずれか1項に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
(7) 前記R 11 が、カルボキシル基で置換されたアルキル基であることを特徴とする上記(6)に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
(8) 前記R 11 が、カルボキシルメチル基であることを特徴とする上記(6)に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
(9) 前記一般式( XX )において、Q 6 がアルコキシ基で置換されたアリールスルホニル基が置換したアルキル基を表すことを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれか1項に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について詳細に説明する。
まず、本発明に用いられる基などについて、詳細に説明する。
【0034】
本発明において、特定の部分を「基」と称した場合には、当該部分はそれ自体が置換されていなくても、一種以上の(可能な最多数までの)置換基で置換されていてもよいことを意味する。例えば、「アルキル基」とは置換または無置換のアルキル基を意味する。また、本発明における化合物に使用できる置換基は、置換の有無にかかわらず、どのような置換基でも含まれる。
【0035】
このような置換基をWとすると、Wで示される置換基としては、いかなるものでも良く、特に制限は無いが、例えば、ハロゲン原子、アルキル基[(環状アルキル基を含む)、また、アルケニル基(環状アルケニル基を含む)、アルキニル基、も含むこととする。]、アリール基、複素環基(ヘテロ環基と言ってもよい)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アニリノ基を含む)、アンモニオ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキルおよびアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキルおよびアリールスルフィニル基、アルキルおよびアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリールおよびヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、ホスフォ基(またはホスホノ基とも呼ぶ)、シリル基、ヒドラジノ基、ウレイド基、ボロン酸基、ホスファト基、スルファト基、その他の公知の置換基、が例として挙げられる。
【0036】
さらに詳しくは、Wは、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基[[直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルキル基を表す。それらは、アルキル基(好ましくは炭素数1から30のアルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、エイコシル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、2−エチルヘキシル)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3から30の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシル)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5から30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5から30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ〔1.2.2〕ヘプタン−2−イル、ビシクロ〔2.2.2〕オクタン−3−イル)、さらに環構造が多いトリシクロ構造なども包含するものである。以下に説明する置換基の中のアルキル基(例えばアルキルチオ基のアルキル基)はこのような概念のアルキル基を表すが、さらにアルケニル基、アルキニル基も含むこととする。]、アルケニル基[直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルケニル基を表す。それらは、アルケニル基(好ましくは炭素数2から30の置換または無置換のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3から30の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3から30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル)、ビシクロアルケニル基(置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5から30の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ〔2.2.2〕オクト−2−エン−4−イル)を包含するものである。]、アルキニル基(好ましくは、炭素数2から30の置換または無置換のアルキニル基、例えば、エチニル、プロパルギル、トリメチルシリルエチニル基)]、アリール基(好ましくは炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリール基、例えばフェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル)、複素環基(好ましくは5または6員の置換もしくは無置換の、芳香族もしくは非芳香族の複素環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、さらに好ましくは、炭素数3から30の5もしくは6員の芳香族の複素環基である。例えば、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル、なお、1−メチル−2−ピリジニオ、1−メチル−2−キノリニオのようなカチオン性の複素環基でもよい。)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、n−オクチルオキシ、2−メトキシエトキシ)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ)、シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3から20のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテトラゾールー5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2から30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、ピバロイルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ、N−n−オクチルカルバモイルオキシ)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、n−オクチルカルボニルオキシ)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ)、アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアニリノ基、例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、N−メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ)、アンモニオ基(好ましくはアンモニオ基、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキル、アリール、ヘテロ環が置換したアンモニオ基、例えば、トリメチルアンモニオ、トリエチルアンモニオ、ジフェニルメチルアンモニオ)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ、例えば、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ、m−(n−オクチルオキシ)フェノキシカルボニルアミノ)、スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0から30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ)、アルキルおよびアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルカンスルホニルアミノ、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ、例えば、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ、p−メチルフェニルスルホニルアミノ)、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ、エチルチオ、n−ヘキサデシルチオ)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールチオ、例えば、フェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、m−メトキシフェニルチオ)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2から30の置換または無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0から30の置換もしくは無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−アセチルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル)、スルホ基、アルキルおよびアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1から30の置換または無置換のアルキルスルフィニル基、6から30の置換または無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、p−メチルフェニルスルフィニル)、アルキルおよびアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数1から30の置換または無置換のアルカンスルホニル基、6から30の置換または無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−メチルフェニルスルホニル)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2から30の置換または無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、炭素数4から30の置換もしくは無置換の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基、例えば、アセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル、2−ピリジルカルボニル、2−フリルカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−t−ブチルフェノキシカルボニル)、アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル)、カルバモイル基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のカルバモイル、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイル)、アリールおよびヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールアゾ基、炭素数3から30の置換もしくは無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ、p−クロロフェニルアゾ、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ)、イミド基(好ましくは、N−スクシンイミド、N−フタルイミド)、ホスフィノ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ、ジフェニルホスフィノ、メチルフェノキシホスフィノ)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル、ジオクチルオキシホスフィニル、ジエトキシホスフィニル)、ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ、ジメチルアミノホスフィニルアミノ)、ホスフォ基、シリル基(好ましくは、炭素数3から30の置換もしくは無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル)、ヒドラジノ基(好ましくは炭素数0から30の置換もしくは無置換のヒドラジノ基、例えば、トリメチルヒドラジノ)、ウレイド基(好ましくは炭素数0から30の置換もしくは無置換のウレイド基、例えばN,N−ジメチルウレイド)、を表わす。
【0037】
また、2つのWが共同して環(芳香族、または非芳香族の炭化水素環、または複素環。これらは、さらに組み合わされて多環縮合環を形成することができる。例えばベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、キノリン環、フェナントレン環、フルオレン環、トリフェニレン環、ナフタセン環、ビフェニル環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、インドリジン環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、イソベンゾフラン環、キノリジン環、イソキノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、キノキサリン環、キノキサゾリン環、カルバゾール環、フェナントリジン環、アクリジン環、フェナントロリン環、チアントレン環、クロメン環、キサンテン環、フェノキサチイン環、フェノチアジン環、フェナジン環、が挙げられる。)が縮合した構造をとることもできる。
【0038】
上記の置換基Wの中で、水素原子を有するものは、これを取り去りさらに上記の基で置換されていてもよい。そのような置換基の例としては、−CONHSO2−基(スルホニルカルバモイル基、カルボニルスルファモイル基)、−CONHCO−基(カルボニルカルバモイル基)、−SO2NHSO2−基(スルフォニルスルファモイル基)、が挙げられる。
より具体的には、アルキルカルボニルアミノスルホニル基(例えば、アセチルアミノスルホニル)、アリールカルボニルアミノスルホニル基(例えば、ベンゾイルアミノスルホニル基)、アルカンスルホニルアミノカルボニル基(例えば、メチルスルホニルアミノカルボニル)、アリールスルホニルアミノカルボニル基(例えば、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル)が挙げられる。
【0039】
次に本発明の一般式(I)で表されるメチン色素について詳しく説明する。
【0040】
X1およびX2は酸素原子、硫黄原子、セレン原子、テルル原子、窒素原子、炭素原子を表す。窒素原子は好ましくは−N(Rx)−、炭素原子は好ましくは−C(Ry)(Rz)−で表すことができ、Rx、RyおよびRzは水素原子、または1価の置換基(例えば、前述のW)であり、好ましくはRと同様なアルキル基、アリール基、または複素環基であり、さらに好ましくはアルキル基である。X1およびX2として、好ましくは酸素原子、硫黄原子、窒素原子であり、さらに好ましくは酸素原子、硫黄原子である。
【0041】
Y1は他の5〜6員の炭素環または複素環と縮合していても置換基を有していてもよいフラン環またはピロール環、あるいはチオフェン環を表す。なお、Y1が縮環している2つの炭素原子の間の結合は、1重結合であっても2重結合であってもよいが、好ましくは2重結合である。Y1はさらに他の5〜6員の炭素環または複素環と縮合環を形成することもできるが、第3の縮合環は存在しないことが好ましい。Y1は好ましくはチオフェン環である。Y1の置換基としてはいずれでもよいが、例えば前述のWが挙げられる。好ましくは、アルキル基(例えばメチル)、アリール基(例えばフェニル)、芳香族複素環基(例えば1−ピロリル)、アルコキシ基(例えばメトキシ)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ)、シアノ基、アシル基(例えばアセチル)、アルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル)、ハロゲン原子(例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素)であり、さらに好ましくはメチル基、メトキシ基、シアノ基、ハロゲン原子であり、さらに好ましくはハロゲン原子であり、特に好ましくはフッ素、塩素、臭素原子であり、最も好ましくは塩素原子である。特にY1がチオフェン環の場合はハロゲン置換基を有していることが好ましく、置換基は好ましくは塩素または臭素原子であり、最も好ましくは塩素原子である。
【0042】
Y2はベンゼン環または5〜6員の不飽和複素環を形成するのに必要な原子群を表し、さらに他の5〜6員の炭素環または複素環と縮合していても置換基を有していてもよい。なお、Y2が縮環している2つの炭素原子の間の結合は、1重結合であっても2重結合であってもよいが、好ましくは2重結合である。Y2で形成される5員不飽和複素環としてはピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、フラン環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チオフェン環、チアゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、セレノフェン環、セレナゾール環、イソセレナゾール環、テルロフェン環、テルラゾール環、イソテルラゾール環等を、6員不飽和複素環としてはピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピラン環、チオピラン環等を挙げることができ、さらに他の5〜6員の炭素環または複素環と縮合して、例えばインドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、チエノチオフェン環を形成することもできるが、第3の縮合環は存在しないことが好ましい。Y2は好ましくはベンゼン環、ピロール環、フラン環、チオフェン環であり、特に好ましくはベンゼン環、フラン環、ピロール環であり、最も好ましくはベンゼン環である。Y2の置換基としてはいずれでもよいが、例えば前述のWが挙げられる。好ましくは、アルキル基(例えばメチル)、アリール基(例えばフェニル)、芳香族複素環基(例えば1−ピロリル)、アルコキシ基(例えばメトキシ)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ)、シアノ基、アシル基(例えばアセチル)、アルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル)、ハロゲン原子(例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素)であり、さらに好ましくはメチル基、メトキシ基、シアノ基、ハロゲン原子であり、さらに好ましくはハロゲン原子であり、特に好ましくはフッ素、塩素、臭素原子であり、最も好ましくは塩素原子である。
【0043】
R1およびR2は置換もしくは無置換の、アルキル基、アリール基、または複素環基を表す。R1およびR2として、少なくとも一方が酸基が置換したアルキル基である場合が好ましく、さらに好ましくはR1およびR2の両方とも酸基が置換したアルキル基である場合である。
【0044】
ここで、酸基について説明する。酸基とは、解離性プロトンを有する基である。
具体的には、例えばスルホ基、カルボキシル基、スルファト基、−CONHSO2−基(スルホニルカルバモイル基、カルボニルスルファモイル基)、−CONHCO−基(カルボニルカルバモイル基)、−SO2NHSO2−基(スルフォニルスルファモイル基)、スルホンアミド基、スルファモイル基、ホスファト基、ホスホノ基、ボロン酸基、フェノール性水酸基、など、これらのpKaと周りのpHによっては、プロトンが解離する基が挙げられる。例えばpH5〜11の間で90%以上解離することが可能なプロトン解離性酸性基が好ましい。
一般式(I)で表されるメチン色素において、R1またはR2で表される「酸基で置換されたアルキル基」として好ましいものを、式の形で表すと下記のように表現できる。
【0045】
【化13】
【0046】
Qaはアルキル基を形成するのに必要な連結基(好ましくは2価の連結基)を表す。Ra、Rb、RcおよびRdは各々、アルキル基、アリール基、複素環基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ヘテロシクリルオキシ基、アミノ基を表わす。
【0047】
Qaは上記の要件を満たすものであればいかなる連結基でもよいが、好ましくは炭素原子、窒素原子、硫黄原子、酸素原子のうち、少なくとも1種を含む原子または原子団からなる。好ましくはアルキレン基(例えばメチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、メチルトリメチレン)、アルケニレン基(例えば、エテニレン、プロペニレン)、アルキニレン基(例えば、エチニレン、プロピニレン)、アミド基、エステル基、スルホアミド基、スルホン酸エステル基、ウレイド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオエーテル基、エーテル基、カルボニル基、−N(Wa)−(Waは水素原子、または1価の置換基を表わす。1価の置換基としては前述のWが挙げられる。)、を1つまたはそれ以上組み合わせて構成される炭素数0以上10以下、好ましくは炭素数1以上8以下、さらに好ましくは炭素数1以上5以下の連結基を表す。
【0048】
上記の連結基は、さらに前述のWで表わされる置換基を有しても良く、また、環(芳香族、または非芳香族の炭化水素環、または複素環)を含有してもよい。但し、これらの連結基において、ヘテロ原子を含まない場合がより好ましい。また、前述のWで表わされる置換基で置換されていない場合がより好ましい。
【0049】
さらに好ましくはQaは炭素数1以上5以下のアルキレン基(例えばメチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、メチルトリメチレン)、炭素数2以上5以下のアルケニレン基(例えば、エテニレン、プロペニレン)、炭素数2以上5以下のアルキニレン基(例えば、エチニレン、プロピニレン)を1つまたはそれ以上組み合わせて構成される炭素数1以上5以下の2価の連結基である。特に好ましくは、炭素数1以上5以下のアルキレン基(好ましくはメチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン)である。
【0050】
T1がスルホ基の場合は、Qaとしてさらに好ましくはエチレン、トリメチレン、テトラメチレン、メチルトリメチレンであり、特に好ましくはトリメチレンである。Xaがカルボキシル基の場合は、Qaとしてさらに好ましくはメチレン、エチレン、トリメチレンであり、特に好ましくはメチレンである。
T1が−CONHSO2Ra、SO2NHCORb、CONHCORc、SO2NHSO2Rdの場合は、Qaとしてさらに好ましくはメチレン、エチレン、トリメチレンであり、特に好ましくはメチレンである。
【0051】
Ra、Rb、Rc、Rdはアルキル基、アリール基、複素環基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ヘテロシクリルオキシ基、またはアミノ基を表わすが、好ましく次のものが挙げられる。
例えば、炭素数1から18、好ましくは炭素数1から10、さらに好ましくは炭素数1から5の無置換アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル)、炭素数1から18、好ましくは炭素数1から10、さらに好ましくは炭素数1から5の置換アルキル基(ヒドロキシメチル、トリフルオロメチル、ベンジル、カルボキシエチル、エトキシカルボニルメチル、アセチルアミノメチル、また、ここでは好ましくは炭素数2から18、さらに好ましくは炭素数3から10、特に好ましくは炭素数3から5の不飽和炭化水素基(例えばビニル基、エチニル基、1−シクロヘキセニル基、ベンジリジン基、ベンジリデン基)も置換アルキル基に含まれることにする。)、炭素数6から20、好ましくは炭素数6から15、さらに好ましくは炭素数6から10の置換または無置換のアリール基(例えばフェニル、ナフチル、p−カルボキシフェニル、p−ニトロフェニル、3、5−ジクロロフェニル、p−シアノフェニル、m−フルオロフェニル、p−トリル)、炭素数1から20、好ましくは炭素数2から10、さらに好ましくは炭素数4から6の置換されてもよいヘテロ環基(例えばピリジル、5−メチルピリジル、チエニル、フリル、モルホリノ、テトラヒドロフルフリル)、炭素数1から10、好ましくは炭素数1から8のアルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、2−ヒドロキシエトキシ、2−フェニルエトキシ)、炭素数6から20、好ましくは炭素数6から12、さらに好ましくは炭素数6から10のアリールオキシ基(例えばフェノキシ、p−メチルフェノキシ、p−クロロフェノキシ、ナフトキシ)、炭素数1から20、好ましくは炭素数3から12、さらに好ましくは炭素数3から10のヘテロシクリルオキシ基(複素環基で置換されたオキシ基を意味する。例えば2−チエニルオキシ、2−モルホリノオキシ)、アミノ基としては炭素0から20、好ましくは炭素数0から12、さらに好ましくは炭素数0から8のアミノ基(例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ、ヒドロキシエチルアミノ、ベンジルアミノ、アニリノ、ジフェニルアミノ、環を形成したモルホリノ、ピロリジノ)が挙げられる。さらに、これらに、前述のWが置換していてもよい。
さらに好ましくは、メチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基であり、特に好ましくはメチル基である。
【0052】
なお、酸基において、例えばカルボキシル基、解離性の窒素原子などは、解離していない形(COOH,NH)で表記しても、解離した形(COO-,N-)で表記してもどちらでもよい。実際には、色素の置かれたpHなどの環境により解離状態になったり、非解離状態になったりする。
対イオンとして陽イオンが存在する場合、例えば(COO-Na+)、(N- Na+)と表記してもよい。非解離状態では(COOH)、(NH)と表記するが、対イオンのカチオン化合物がプロトンと考えれば、(COO-H+)、(N-H+)と表記することも可能である。
【0053】
一般式(I)で表されるメチン色素において、特に好ましくはR1およびR2 の少なくとも一方はスルホ基以外の酸基で置換されたアルキル基である場合であり、最も好ましくはR1およびR2の一方はスルホ基以外の酸基で置換されたアルキル基であり、他方はスルホ基で置換されたアルキル基である場合である。
上記で、スルホ基を持つアルキル基として好ましくは、3−スルホプロピル基、4−スルホブチル基、3−スルホブチル基、2−スルホエチル基であり、さらに好ましくは3−スルホプロピル基である。
このときのスルホ基以外の酸基が置換したアルキル基として好ましくは、カルボキシル基、−CONHSO2−基、−SO2NHCO−基、−CONHCO−基、−SO2NHSO2−基が置換したアルキル基であり、特に好ましくはカルボキシメチル基、メタンスルホニルカルバモイルメチル基である。
【0054】
R1 とR2 の組み合わせとして好ましいのは、一方がカルボキシメチル基、またはメタンスルホニルカルバモイルメチル基であり、他方が3−スルホプロピル基、4−スルホブチル基、3−スルホブチル基、2−スルホエチル基である場合であり、さらに好ましくは一方がカルボキシメチル基、またはメタンスルホニルカルバモイルメチル基であり、他方が3−スルホプロピル基である場合である。
【0055】
L1、L2およびL3はそれぞれメチン基を表し、無置換であっても置換基(例えば前述のW)が置換していてもよいが、好ましい置換基としてはアリール基、不飽和炭化水素基、カルボキシ基、スルホ基、スルファト基、シアノ基、ハロゲン原子(例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、ヒドロキシ基、メルカプト基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、スルファモイル基、複素環基、アルカンスルホニルカルバモイル基、アシルカルバモイル基、アシルスルファモイル基、アルカンスルホニルスルファモイル基などが挙げられる。
n1は0または1を表す。n1が0のとき、L1として好ましくは無置換のメチン基であり、n1が1のとき、L1、L3として好ましくは無置換のメチン基であり、L2として好ましくは無置換アルキル基(例えばメチル、エチル、プロピル)が置換したメチン基であり、L2としてさらに好ましくはエチル基が置換したメチン基である。
【0056】
M1は対イオンを表し、色素のイオン電荷を中性にするために必要であるとき、陽イオンまたは陰イオンの存在を示すために式の中に含められている。ある色素が陽イオン、陰イオンであるか、あるいは正味のイオン電荷を持つかどうかは、その置換基および溶液中の環境(pHなど)に依存する。典型的な陽イオンとしては水素イオン(H+)、アルカリ金属イオン(例えばナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン)、アルカリ土類金属イオン(例えばカルシウムイオン)などの無機陽イオン、アンモニウムイオン(例えば、アンモニウムイオン、テトラアルキルアンモニウムイオン、トリエチルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン、エチルピリジニウムイオン、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセニウムイオン)などの有機イオンが挙げられる。陰イオンは無機陰イオンあるいは有機陰イオンのいずれであってもよく、ハロゲン化物陰イオン(例えばフッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン)、置換アリ−ルスルホン酸イオン(例えばp−トルエンスルホン酸イオン、p−クロルベンゼンスルホン酸イオン)、アリ−ルジスルホン酸イオン(例えば1,3−ベンゼンスルホン酸イオン、1,5−ナフタレンジスルホン酸イオン、2,6−ナフタレンジスルホン酸イオン)、アルキル硫酸イオン(例えばメチル硫酸イオン)、硫酸イオン、チオシアン酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ピクリン酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオンが挙げられる。さらに、イオン性ポリマーまたは色素と逆電荷を有する他の色素を用いてもよい。
好ましい陽イオンは、ナトリウムイオン、カリウムイオン、トリエチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン、エチルピリジニウムイオン、メチルピリジニウムイオンである。好ましい陰イオンは過塩素酸イオン、ヨウ化物イオン、臭化物イオン、置換アリールスルホン酸イオン(例えばp−トルエンスルホン酸イオン)である。
m1は電荷を均衡させるのに必要な0以上の数を表し、分子内塩を形成する場合は0である。好ましくは0以上4以下の数である。
【0057】
上記の一般式(I)で表されるメチン色素は、より好ましくは一般式(II)、(III)、(IV)または(V)で表される。
【0058】
一般式(II)中、Y11は酸素原子、硫黄原子またはN−R13を表し、R13は水素原子、無置換のアルキル基、または置換アルキル基(例えば前述のWが置換したアルキル基)である。置換アルキル基の置換基として好ましくは、ヨウ素原子よりも親水性の高い置換基であり、さらに好ましくは塩素原子と同じか、さらに親水性の高い置換基であり、特に好ましくはフッ素原子と同じか、さらに親水性の高い置換基で置換されたアルキル基である。R13として、さらに好ましくは、水素原子、または無置換アルキル基であり、特に好ましくは水素原子、またはメチル基である。Y11は特に硫黄原子であることが好ましい。
X11およびX12は酸素原子または硫黄原子を表し、少なくとも一方が硫黄原子であることが好ましく、両方が硫黄原子であることが好ましい。
【0059】
V11、V12、V13、V14、V15およびV16は水素原子または1価の置換基を表し、V11、V12、V13およびV14のうち隣接する2つの置換基またはV15とV16が互いに連結して飽和または不飽和の縮合環を形成してもよいが、縮合環は形成しない方が好ましい。1価の置換基としては前述のWが挙げられるが、好ましくはアルキル基(例えばメチル)、アリール基(例えばフェニル)、芳香族複素環基(例えば1−ピロリル)、アルコキシ基(例えばメトキシ)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ)、シアノ基、アシル基(例えばアセチル)、アルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル)、ハロゲン原子(例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素)であり、さらに好ましくはメチル基、メトキシ基、シアノ基、ハロゲン原子であり、さらに好ましくはハロゲン原子であり、特に好ましくはフッ素、塩素、臭素原子であり、最も好ましくは塩素原子である。V11、V12とV14は水素原子が好ましい。
Y11が硫黄原子の場合はV15とV16の少なくとも一方がハロゲン原子(例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素)であることが好ましく、さらに好ましくはV16が水素原子、V15はフッ素、塩素、臭素原子、特に好ましくは塩素原子である。
【0060】
R11およびR12は酸基で置換されたアルキル基を表すが、好ましくは前述のR1と同様に酸基が置換したアルキル基であるR11およびR12のうち、少なくとも一方はスルホ基以外の酸基で置換されたアルキル基である場合であり、より好ましくはR11およびR12の一方はスルホ基以外(好ましくはカルボキシル基またはアルカンスルホニルカルバモイル基)で置換されたアルキル基であり、他方はスルホ基で置換されたアルキル基である場合である。また、これらの酸基で置換されたアルキル基の具体例や好ましい組み合わせは前述のR1で説明したものと同様である。さらに好ましくは、R11およびR12の一方がカルボキシメチル基またはメタンスルホニルカルバモイルメチル基である場合であり、特に好ましくは、R11がカルボキシメチル基またはメタンスルホニルカルバモイルメチル基である場合であり、R12が3−スルホプロピル基である場合である。
M11は対イオンを表し、m11は分子中の電荷を中和させるために必要な0以上の数を表すが、前述のM1、m1と同様なものが挙げられる。M11としては、特に陽イオンであることが好ましく、好ましい陽イオンはナトリウム、カリウム、トリエチルアンモニウム、ピリジニウム、N−エチルピリジニウムである。
【0061】
一般式(III)中、Y21は酸素原子、硫黄原子またはN−R23を表し、R23は水素原子、無置換のアルキル基、または置換アルキル基(例えば前述のWが置換したアルキル基)である。置換アルキル基の置換基として好ましくは、ヨウ素原子よりも親水性の高い置換基であり、さらに好ましくは塩素原子と同じか、さらに親水性の高い置換基であり、特に好ましくはフッ素原子と同じか、さらに親水性の高い置換基で置換されたアルキル基である。R23として、さらに好ましくは、水素原子、または無置換アルキル基であり、特に好ましくは水素原子、またはメチル基である。Y21は特に硫黄原子であることが好ましい。
X21およびX22は酸素原子または硫黄原子を表し、少なくとも一方が硫黄原子であることが好ましく、両方が硫黄原子であることが好ましい。
【0062】
V21、V22、V23、V24、V25およびV26は水素原子または1価の置換基を表し、V21、V22、V23およびV24のうち隣接する2つの置換基またはV25とV26が互いに連結して飽和または不飽和の縮合環を形成してもよいが、縮合環は形成しない方が好ましい。1価の置換基としては前述のWが挙げられるが、好ましくはアルキル基(例えばメチル)、アリール基(例えばフェニル)、芳香族複素環基(例えば1−ピロリル)、アルコキシ基(例えばメトキシ)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ)、シアノ基、アシル基(例えばアセチル)、アルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル)、ハロゲン原子(例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素)であり、さらに好ましくはメチル基、メトキシ基、シアノ基、ハロゲン原子であり、さらに好ましくはハロゲン原子であり、特に好ましくはフッ素、塩素、臭素原子であり、最も好ましくは塩素原子である。V21、V22とV24は水素原子が好ましい。
Y21が硫黄原子の場合はV25とV26の少なくとも一方がハロゲン原子(例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素)であることが好ましく、さらに好ましくはV26が水素原子、V25はフッ素、塩素、臭素原子、特に好ましくは塩素原子である。
【0063】
R21およびR22は酸基で置換されたアルキル基を表すが、好ましくは前述のR1と同様に酸基が置換したアルキル基であるR21およびR22のうち、少なくとも一方はスルホ基以外の酸基で置換されたアルキル基である場合であり、より好ましくはR21およびR22の一方はスルホ基以外(好ましくはカルボキシル基またはアルカンスルホニルカルバモイル基)で置換されたアルキル基であり、他方はスルホ基で置換されたアルキル基である場合である。また、これらの酸基で置換されたアルキル基の具体例や好ましい組み合わせは前述のR1で説明したものと同様である。さらに好ましくは、R21およびR22の一方がカルボキシメチル基またはメタンスルホニルカルバモイルメチル基である場合であり、特に好ましくは、R21がカルボキシメチル基またはメタンスルホニルカルバモイルメチル基である場合であり、R22が3−スルホプロピル基である場合である。
M21は対イオンを表し、m21は分子中の電荷を中和させるために必要な0以上の数を表すが、前述のM1、m1と同様なものが挙げられる。M21としては、特に陽イオンであることが好ましく、好ましい陽イオンはナトリウム、カリウム、トリエチルアンモニウム、ピリジニウム、N−エチルピリジニウムである。
【0064】
一般式(IV)中、Y31は酸素原子、硫黄原子またはN−R33を表し、R33は水素原子、無置換のアルキル基、または置換アルキル基(例えば前述のWが置換したアルキル基)である。置換アルキル基の置換基として好ましくは、ヨウ素原子よりも親水性の高い置換基であり、さらに好ましくは塩素原子と同じか、さらに親水性の高い置換基であり、特に好ましくはフッ素原子と同じか、さらに親水性の高い置換基で置換されたアルキル基である。R33として、さらに好ましくは、水素原子、または無置換アルキル基であり、特に好ましくは水素原子、またはメチル基である。Y31は特に硫黄原子であることが好ましい。
X31およびX32は酸素原子または硫黄原子を表し、少なくとも一方が硫黄原子であることが好ましく、両方が硫黄原子であることが好ましい。
【0065】
V31、V32、V33、V34、V35およびV36は水素原子または1価の置換基を表し、V31、V32、V33およびV34のうち隣接する2つの置換基またはV35とV36が互いに連結して飽和または不飽和の縮合環を形成してもよいが、縮合環は形成しない方が好ましい。1価の置換基としては前述のWが挙げられるが、好ましくはアルキル基(例えばメチル)、アリール基(例えばフェニル)、芳香族複素環基(例えば1−ピロリル)、アルコキシ基(例えばメトキシ)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ)、シアノ基、アシル基(例えばアセチル)、アルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル)、ハロゲン原子(例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素)であり、さらに好ましくはメチル基、メトキシ基、シアノ基、ハロゲン原子であり、さらに好ましくはハロゲン原子であり、特に好ましくはフッ素、塩素、臭素原子であり、最も好ましくは塩素原子である。V31、V32とV34は水素原子が好ましい。
Y31が硫黄原子の場合はV35とV36の少なくとも一方がハロゲン原子(例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素)であることが好ましく、さらに好ましくはV36が水素原子、V35はフッ素、塩素、臭素原子、特に好ましくは塩素原子である。
【0066】
R31およびR32は酸基で置換されたアルキル基を表すが、好ましくは前述のR1と同様に酸基が置換したアルキル基であるR31およびR32のうち、少なくとも一方はスルホ基以外の酸基で置換されたアルキル基である場合であり、より好ましくはR31およびR32の一方はスルホ基以外(好ましくはカルボキシル基またはアルカンスルホニルカルバモイル基)で置換されたアルキル基であり、他方はスルホ基で置換されたアルキル基である場合である。また、これらの酸基で置換されたアルキル基の具体例や好ましい組み合わせは前述のR1で説明したものと同様である。さらに好ましくは、R31およびR32の一方がカルボキシメチル基またはメタンスルホニルカルバモイルメチル基である場合であり、特に好ましくは、R31がカルボキシメチル基またはメタンスルホニルカルバモイルメチル基である場合であり、R32が3−スルホプロピル基である場合である。
M31は対イオンを表し、m31は分子中の電荷を中和させるために必要な0以上の数を表すが、前述のM1、m1と同様なものが挙げられる。M31としては、特に陽イオンであることが好ましく、好ましい陽イオンはナトリウム、カリウム、トリエチルアンモニウム、ピリジニウム、N−エチルピリジニウムである。
【0067】
一般式(V)中、Y41は酸素原子、硫黄原子またはN−R43を表し、R43は水素原子、無置換のアルキル基、または置換アルキル基(例えば前述のWが置換したアルキル基)である。置換アルキル基の置換基として好ましくは、ヨウ素原子よりも親水性の高い置換基であり、さらに好ましくは塩素原子と同じか、さらに親水性の高い置換基であり、特に好ましくはフッ素原子と同じか、さらに親水性の高い置換基で置換されたアルキル基である。R43として、さらに好ましくは、水素原子、または無置換アルキル基であり、特に好ましくは水素原子、またはメチル基である。Y41は特に硫黄原子であることが好ましい。
X41およびX42は酸素原子または硫黄原子を表し、少なくとも一方が硫黄原子であることが好ましく、両方が硫黄原子であることが好ましい。
【0068】
V41、V42、V43、V44、V45およびV46は水素原子または1価の置換基を表し、V41、V42、V43およびV44のうち隣接する2つの置換基またはV45とV46が互いに連結して飽和または不飽和の縮合環を形成してもよいが、縮合環は形成しない方が好ましい。1価の置換基としては前述のWが挙げられるが、好ましくはアルキル基(例えばメチル)、アリール基(例えばフェニル)、芳香族複素環基(例えば1−ピロリル)、アルコキシ基(例えばメトキシ)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ)、シアノ基、アシル基(例えばアセチル)、アルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル)、ハロゲン原子(例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素)であり、さらに好ましくはメチル基、メトキシ基、シアノ基、ハロゲン原子であり、さらに好ましくはハロゲン原子であり、特に好ましくはフッ素、塩素、臭素原子であり、最も好ましくは塩素原子である。V41、V42とV44は水素原子が好ましい。
Y41が硫黄原子の場合はV45とV46の少なくとも一方がハロゲン原子(例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素)であることが好ましく、さらに好ましくはV46が水素原子、V45はフッ素、塩素、臭素原子、特に好ましくは塩素原子である。
【0069】
R41およびR42は酸基で置換されたアルキル基を表すが、好ましくは前述のR1と同様に酸基が置換したアルキル基であるR41およびR42のうち、少なくとも一方はスルホ基以外の酸基で置換されたアルキル基である場合であり、より好ましくはR41およびR42の一方はスルホ基以外(好ましくはカルボキシル基またはアルカンスルホニルカルバモイル基)で置換されたアルキル基であり、他方はスルホ基で置換されたアルキル基である場合である。また、これらの酸基で置換されたアルキル基の具体例や好ましい組み合わせは前述のR1で説明したものと同様である。さらに好ましくは、R41およびR42の一方がカルボキシメチル基またはメタンスルホニルカルバモイルメチル基である場合であり、特に好ましくは、R41がカルボキシメチル基またはメタンスルホニルカルバモイルメチル基である場合であり、R42が3−スルホプロピル基である場合である。
M41は対イオンを表し、m41は分子中の電荷を中和させるために必要な0以上の数を表すが、前述のM1、m1と同様なものが挙げられる。M41としては、特に陽イオンであることが好ましく、好ましい陽イオンはナトリウム、カリウム、トリエチルアンモニウム、ピリジニウム、N−エチルピリジニウムである。
【0070】
一般式(I)の色素を青感性乳剤層で使用する場合は、一般式(II)または(III)より選ばれ、一般式(II)の色素がより好ましい。
X11、X12とY11(X21、X22とY21)はともに硫黄原子であり、V15(V25)は塩素原子または臭素原子、V16(V26)は水素原子であることが好ましい。V11、V12、V14(V21、V22、V24)は水素原子であり、V13(V23)はアルキル基(例えばメチル)、アルコキシ基(例えばメトキシ)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ)、シアノ基、アシル基(例えばアセチル)、アルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル)、ハロゲン原子(例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素)であることが好ましく、より好ましくはメチル基、メトキシ基、シアノ基、アセチル基、メトキシカルボニル基、ハロゲン原子であり、特に好ましくはハロゲン原子であり、最も好ましくはフッ素原子、塩素原子である。
R11とR12(R21とR22)の一方がカルボキシメチル基またはメタンスルホニルカルバモイルメチル基であり、もう一方が3−スルホプロピル基であることが好ましく、特に好ましいのはR11(R21)がカルボキシメチル基またはメタンスルホニルカルバモイルメチル基、R12(R22)が3−スルホプロピル基である場合である。
M11(M21)は有機または無機の1価の陽イオンであり、m11(m21)は0または1であることが好ましい。
【0071】
一般式(I)の色素を緑感性乳剤層で使用する場合は、一般式(IV)または(V)(A31(A41)として好ましくはエチル基)より選ばれ、一般式(IV)の色素がより好ましい。
Y31(Y41)は硫黄原子であり、X31とX32(X41とX42)はともに酸素原子であり、V35(V45)は塩素原子または臭素原子、V36(V46)は水素原子であることが好ましい。V31、V32、V34(V41、V42、V44)は水素原子であり、V33(V43)はアルキル基(例えばメチル)、アルコキシ基(例えばメトキシ)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ)、シアノ基、アシル基(例えばアセチル)、アルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル)、ハロゲン原子(例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素)であることが好ましく、より好ましくはメチル基、メトキシ基、シアノ基、アセチル基、メトキシカルボニル基、ハロゲン原子であり、特に好ましくはハロゲン原子であり、最も好ましくはフッ素原子、塩素原子である。
R31とR32(R41とR42)の一方がカルボキシメチル基またはメタンスルホニルカルバモイルメチル基であり、もう一方が3−スルホプロピル基であることが好ましく、特に好ましいのはR31(R41)がカルボキシメチル基またはメタンスルホニルカルバモイルメチル基、R32(R42)が3−スルホプロピル基である場合である。
M31(M41)は有機または無機の1価の陽イオンであり、m31(m41)は0または1であることが好ましい。
【0072】
一般式(I)の色素を赤感性乳剤層で使用する場合は、一般式(IV)または(V)(A31(A41)として好ましくはエチル基)より選ばれ、一般式(IV)の色素がより好ましい。
Y31(Y41)は硫黄原子であり、X31とX32(X41とX42)は一方が酸素原子、他方が硫黄原子であり、V35(V45)は塩素原子または臭素原子、V36(V46)は水素原子であることが好ましい。V31、V32、V34(V41、V42、V44)は水素原子であり、V33(V43)はアルキル基(例えばメチル)、アルコキシ基(例えばメトキシ)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ)、シアノ基、アシル基(例えばアセチル)、アルコキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル)、ハロゲン原子(例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素)であることが好ましく、より好ましくはメチル基、メトキシ基、シアノ基、アセチル基、メトキシカルボニル基、ハロゲン原子であり、特に好ましくはハロゲン原子であり、最も好ましくはフッ素原子、塩素原子である。
R31とR32(R41とR42)の一方がカルボキシメチル基またはメタンスルホニルカルバモイルメチル基であり、もう一方が3−スルホプロピル基であることが好ましく、特に好ましいのはR31(R41)がカルボキシメチル基またはメタンスルホニルカルバモイルメチル基、R32(R42)が3−スルホプロピル基である場合である。
M31(M41)は有機または無機の1価の陽イオンであり、m31(m41)は0または1であることが好ましい。
【0073】
以下に本発明の一般式(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)で表されるメチン色素の具体例を示すが、これにより本発明が制限されるものではない。
【0074】
【化14】
【0075】
【化15】
【0076】
【化16】
【0077】
【化17】
【0078】
【化18】
【0079】
【化19】
【0080】
【化20】
【0081】
【化21】
【0082】
【化22】
【0083】
【化23】
【0084】
【化24】
【0085】
【化25】
【0086】
【化26】
【0087】
本発明に用いられる一般式(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)のメチン色素は、以下の文献に記載の方法に基づいて合成することができる。
a)F.M.Hamer著「Heterocyclic Compounds-Cyanine dyes and related compounds」(John Wiley & Sons社−ニューヨーク、ロンドン、1964年刊)、
b)D.M.Sturmer著「Heterocyclic Compounds-Special topics in heterocyclicchemistry 」、第8章、第4節、482〜515頁(John Wiley & Sons社−ニューヨーク、ロンドン、1977年刊)、
c)「Rodd's Chemistry of Carbon Compounds」、第2版、第4巻、パートB、第15章、369〜422頁(Elsevier Science Publishing Company Inc.社−ニューヨーク、1977年刊)
【0088】
また本発明の一般式(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)で表されるメチン色素の原料となるヘテロ環の合成については例えばBulletin de la Societe Chimique de France 、II−150頁(1980年)やJournal of Heterocyclic Chemistry 、16巻1563頁(1979年)などの文献の記載を参考にすることができる。
【0089】
本発明の一般式(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)で表されるメチン色素を本発明のハロゲン化銀乳剤中に含有せしめるには、それらを直接乳剤中に分散してもよいし、あるいは水、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、メチルセルソルブ、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、3−メトキシ−1−プロパノール、3−メトキシ−1−ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、N,N−ジメチルホルムアミド等の溶媒の単独もしくは混合溶媒に溶解して乳剤に添加してもよい。
【0090】
また、米国特許第3,469,987号明細書等に記載のように、色素を揮発性の有機溶剤に溶解し、該溶液を水または親水性コロイド中に分散し、この分散物を乳剤中へ添加する方法、特公昭46−24185号等に記載のように、水不溶性色素を溶解することなしに水溶性溶剤中に分散させ、この分散物を乳剤中へ添加する方法、特公昭44−23389号、同44−27555号、同57−22091号等に記載されているように、色素を酸に溶解し、該溶液を乳剤中へ添加したり、酸または塩基を共存させて水溶液とし乳剤中へ添加する方法、米国特許第3,822,135号、同第4,006,026号明細書等に記載のように、界面活性剤を共存させて水溶液あるいはコロイド分散物としたものを乳剤中へ添加する方法、特開昭53−102733号、同58−105141号に記載のように、親水性コロイド中に色素を直接分散させ、その分散物を乳剤中へ添加する方法、特開昭51−74624号に記載のように、レッドシフトさせる化合物を用いて色素を溶解し、該溶液を乳剤中へ添加する方法等を用いる事もできる。また、溶解に超音波を使用することもできる。
【0091】
本発明の一般式(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)で表されるメチン色素を本発明のハロゲン化銀乳剤中に添加する時期は、これまで有用である事が認められている乳剤調製のいかなる工程中であってもよい。例えば、米国特許第2,735,766号、同第3,628,960号、同第4,183,756号、同第4,225,666号、特開昭58−184142号、同60−196749号等の明細書に開示されているように、ハロゲン化銀の粒子形成工程および/または脱塩前の時期、脱塩工程中および/または脱塩後から化学熟成の開始前までの時期、特開昭58−113920号等の明細書に開示されているように、化学熟成の直前または工程中の時期、化学熟成後塗布までの時期の乳剤が塗布される前ならいかなる時期、工程において添加されてもよい。また、米国特許第4,225,666号、特開昭58−7629号等の明細書に開示されているように、同一化合物を単独で、または異種構造の化合物と組み合わせて、例えば、粒子形成工程中と化学熟成工程中または化学熟成完了後とに分けたり、化学熟成の前または工程中と完了後とに分けるなどして分割して添加しても良く、分割して添加する化合物及び化合物の組み合わせの種類を変えて添加されてもよい。
【0092】
本発明の一般式(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)で表されるメチン色素の使用量は、ハロゲン化銀粒子の形状、サイズにより異なるが、ハロゲン化銀1モルあたり0.1ないし4ミリモルが好ましく、より好ましくは0.2ないし2.5ミリモルであり、さらに他の増感色素と併用してもよい。
【0093】
本発明において、一般式(I)、(II)、(III)、(IV)および(V)で表されるメチン色素以外にも他の増感色素を用いてもよい。増感色素の組み合わせは特に強色増感の目的でしばしば用いられる。その代表例は米国特許第2,688,545号、同第2,977,229号、同第3,397,060号、同第3,522,052号、同第3,527,641号、同第3,617,293号、同第3,628,964号、同第3,666,480号、同第3,672,898号、同第3,679,428号、同第3,703,377号、同第3,769,301号、同第3,814,609号、同第3,837,862号、同第4,026,707号、英国特許第1,344,281号、同第1,507,803号、特公昭43−4936号、同53−12375号、特開昭52−110618号、同52−109925号に記載されている。
【0117】
以下に一般式(XX)で表されるカプラーについて詳しく説明する。
【0118】
一般式(XX)で表されるカプラーにおいて、Q5 は塩素原子1個または2個で置換されたフェニル基を表す。
Q6 は1位にアリールスルホニル基が置換したアルキル基を表す。
Q7は水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、またはアルキル基を表し、好ましくは水素原子である。
【0119】
Xは、現像主薬の酸化体との反応で離脱する基を表し、該基としては、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素等)、アルコキシ基(エトキシ、メトキシカルボニルメトキシ、カルボキシプロピルオキシ、メタンスルホニルエトキシ、パーフルオロプロポキシ等)、アリールオキシ基(4−カルボキシフェノキシ、4−(4−ヒドロキシフェニルスルホニル)フェノキシ、4−メタンスルホニル−3−カルボキシフェノキシ、2−メタンスルホニル−4−アセチルスルファモイルフェノキシ等)、アシルオキシ基(アセトキシ、ベンゾイルオキシ等)、スルホニルオキシ基(メタンスルホニルオキシ、ベンゼンスルホニルオキシ等)、アシルアミノ基(ヘプタフルオロブチリルアミノ等)、スルホンアミド基(メタンスルホンアミド等)、アルコキシカルボニルオキシ基(エトキシカルボニルオキシ等)、カルバモイルオキシ基(ジエチルカルバモイルオキシ、ピペリジノカルボニルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、ジアリルカルバモイルオキシ、ビスジシアノエチルカルバモイルオキシ、等)、アルキルチオ基(2−カルボキシエチルチオ等)、アリールチオ基(2−オクチルオキシ−5−t−オクチルフェニルチオ、2−(2,4−ジ−t−アミルフェノキシ)ブチリルアミノフェニルチオ等)、複素環チオ基(1−フェニルテトラゾリルチオ、2−ベンズイミダゾリルチオ等)、複素環オキシ基(2−ピリジルオキシ、5−ニトロ−2−ピリジルオキシ等)、5員もしくは6員の含窒素複素環基(1−トリアゾリル、1−イミダゾリル、1−ピラゾリル、5−クロロ−1−テトラゾリル、1−ベンゾトリアゾリル、2−フェニルカルバモイル−1−イミダゾリル、5,5−ジメチルヒダントイン−3−イル、1−ベンジルヒダントイン−3−イル、5,5−ジメチルオキサゾリジン−2,4−ジオン−3−イル、プリン等)、アゾ基(4−メトキシフェニルアゾ、4−ピバロイルアミノフェニルアゾ等)等を挙げることができる。
【0120】
一般式(XX)において、置換基Xとして好ましくは、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基であり、特に好ましくはハロゲン原子であり、中でも塩素原子である。
【0121】
前記一般式(XX)で表されるカプラーは、Q5、Q6、Q7を介して二量体以上の多量体を形成してもよく、また、高分子鎖に結合していてもよい。
【0122】
以下に一般式(XX)で表される、本発明に好ましく使用されるカプラーの具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0123】
【化36】
【0125】
一般式(XX)で表されるカプラーの添加量は、2×10-5〜5×10-3モル/m2が適当であり、好ましい添加量は2×10-4〜3×10-3モル/m2である。一般式(XX)のカプラーはシアンカプラーとして使用される。該シアンカプラーと併用またはマゼンタカプラー含有感光材料に使用できるシアンカプラーとしては、特開平2−33144号公報に記載のジフェニルイミダゾール系シアンカプラー、EP0333185A2号明細書に記載の3−ヒドロキシピリジン系シアンカプラー(中でも具体例として列挙されたカプラー(42)の4当量カプラーに塩素脱離基を持たせて2当量化したものや、カプラー(6)や(9)が特に好ましい)や特開昭64−32260号公報に記載された環状活性メチレン系シアンカプラー(中でも具体例として列挙されたカプラー例3,8,34が特に好ましい)、EP0456226A1号明細書に記載のピロロピラゾール型シアンカプラー、EP0484904号に記載のピロロイミダゾール型シアンカプラーが挙げられる。
【0126】
イエローカプラーとしては後記表中に記載の化合物の他に、EP0447969A1号明細書に記載のアシル基に3〜5員の環状構造を有するアシルアセトアミド型イエローカプラー、EP0482552A1号明細書に記載の環状構造を有するマロンジアニリド型イエローカプラー、米国特許第5,118,599号明細書に記載のジオキサン構造を有するアシルアセトアミド型イエローカプラーが好ましく用いられる。その中でも、アシル基が1−アルキルシクロプロパン−1−カルボニル基であるアシルアセトアミド型イエローカプラー、アニリドの一方がインドリン環を構成するマロンジアニリド型イエローカプラーの使用が特に好ましい。これらのカプラーは単独あるいは併用で使用することができる。
【0127】
シアン、マゼンタまたはイエローカプラーは、後記表中記載の高沸点有機溶媒の存在下で(または不存在下で)ローラブルラテックスポリマー(例えば米国特許第4,203,716号)に含浸させて、または水不溶性かつ有機溶媒可溶性のポリマーとともに溶解して親水性コロイド水溶液に乳化分散させることが好ましい。
好ましく用いることができる水不溶性かつ有機溶媒可溶性のポリマーは、米国特許第4,857,449号明細書の第12頁〜30頁に記載の単独重合体または共重合体が挙げられる。より好ましくはメタクリレート系あるいはアクリルアミド系ポリマー、特にアクリルアミド系ポリマーの使用が色像安定性等の上で好ましい。
【0128】
本発明に関わる感光材料には、カプラーとともにEP0277589A2号明細書に記載のような色像保存性改良化合物を使用することが好ましい。特にピラゾロアゾールカプラーやピロロトリアゾールカプラーとの併用が好ましい。
すなわち、発色現像処理後に残存する芳香族アミン系現像主薬と化学結合して、化学的に不活性でかつ実質的に無色の化合物を生成する前記特許明細書中の化合物および/または発色現像処理後に残存する芳香族アミン系発色現像主薬の酸化体と化学結合して、化学的に不活性でかつ実質的に無色の化合物を生成する前記特許明細書中の化合物を単独または同時に用いることが、例えば処理後の保存における膜中残存発色現像主薬ないしその酸化体とカプラーとの反応による発色色素生成によるステイン発生その他の副作用を防止する上で好ましい。
【0129】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料においては、ハロゲン化銀粒子としては塩化銀、臭化銀、塩臭化銀、ヨウ臭化銀、ヨウ塩化銀、塩ヨウ臭化銀等のいずれも用いることができるが、例えばカラー印画紙用途であれば、処理の迅速化、簡易化の目的のために塩臭化銀乳剤が好ましい。これら塩臭化銀乳剤としては、95モル%以上が塩化銀である塩化銀、塩臭化銀、または塩ヨウ臭化銀を好ましく用いることができる。
【0130】
本発明に用いるハロゲン化銀乳剤に含まれるハロゲン化銀粒子の平均粒子サイズ(粒子の投影面積と等価な円の直径を以て粒子サイズとし、その数平均をとったもの)は0.1〜2μmが好ましい。
またそれらの粒子サイズ分布は変動係数(粒子サイズ分布の標準偏差を平均粒子サイズで除したもの)20%以下、好ましくは15%以下、さらに好ましくは10%以下のいわゆる単分散なものが好ましい。このとき広いラチチュードを得る目的で、上記の単分散乳剤を同一層にブレンドして使用することや、重層塗布することも好ましく行われる。
【0131】
写真乳剤に含まれるハロゲン化銀粒子の形状は、立方体、八面体、あるいは十四面体のような規則的な結晶形を有するもの、球状、板状などのような変則的な結晶形を有するもの、あるいはこれらの混合したものからなっていてもよい。本発明においては、これらの中でも上記規則的な結晶形を有する粒子を50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上含有するのがよい。
またこれ以外にも平均アスペクト比(円換算直径/厚み)が5以上、好ましくは8以上の平板状粒子が投影面積として全粒子の50%を越えるような乳剤も好ましく用いることができる。
【0132】
本発明に用いる乳剤は、P.Glafkides著「Chimie et Phisique Photographique」(Paul Montel 社刊、1967年)、G.F.Duffin著「Photographic Emulsion Chemistry」(Focal Press 社刊、1966年)、V.L.Zelikman et al著「Making and coating Photographic Emulsion」(Focal Press社刊、1964年)などに記載された方法を用いて調製することができる。すなわち、酸性法、中性法、アンモニア法等のいずれの方法でもよく、また可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩を反応させる方式としては、片側混合法、同時混合法、およびそれらの組み合わせなどのいずれの方法を用いてもよい。粒子を銀イオン過剰の雰囲気の下において形成させる方法(いわゆる逆混合法)を用いることもできる。同時混合法の一つの形式としてハロゲン化銀の生成する液相中のpAgを一定に保つ方法、すなわちいわゆるコントロールド・ダブルジェット法を用いることもできる。この方法によると、結晶形が規則的で粒子サイズが均一に近いハロゲン化銀乳剤を得ることができる。
【0133】
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤は、通常化学増感を施される。化学増感法については、カルコゲン増感剤を用いた化学増感(具体的には不安定硫黄化合物の添加に代表される硫黄増感、あるいはセレン化合物によるセレン増感、テルル化合物によるテルル増感が挙げられる)、金増感に代表される貴金属増感、あるいは還元増感などを単独もしくは併用して用いることができる。化学増感に用いられる化合物については、特開昭62−215272号公報の第18頁右下欄〜第22頁右上欄に記載のものが好ましく用いられる。
【0134】
本発明に用いるハロゲン化銀乳剤には、感光材料の製造工程、保存中あるいは写真処理中のかぶりを防止する、あるいは写真性能を安定化させる目的で種々の化合物あるいはそれらの前駆体を添加することができる。これらの化合物の具体例は前出の特開昭62−215272号公報明細書の第39頁〜第72頁に記載のものが好ましく用いられる。さらにEP0447647号に記載された5−アリールアミノ−1,2,3,4−チアトリアゾール化合物(該アリール残基には少なくとも一つの電子求引性基を持つ)も好ましく用いられる。
【0135】
本発明により調製されたハロゲン化銀乳剤はカラー写真感光材料及び黒白写真感光材料のいずれにも用いることができる。カラー写真感光材料としては特にカラーペーパー、カラー撮影用フィルム、カラーリバーサルフィルム、黒白写真感光材料としてはX−レイ用フィルム、一般撮影用フィルム、印刷感材用フィルム等を挙げることができる。
【0136】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料に用いることのできる種々の技術や無機・有機の素材については一般にはリサーチ・ディスクロージャーNo.308119(1989年)、同37038(1995年)に記載されたものを用いることができる。
【0137】
これに加えて、より具体的には、例えば、本発明のハロゲン化銀写真乳剤が適用できるカラー写真感光材料に用いることができる技術および無機・有機素材については、欧州特許第436938A2号の下記の箇所及び下記に引用の特許に記載されている。
【0138】
【0139】
本発明に関わる感光材料では、イラジエーションやハレーションを防止する、セーフライト安全性等を向上させる目的で親水性コロイド層を着色することも好ましく行われる。このような着色物質として使用できる水溶性染料としては、EP0337490A号明細書の第27〜76頁に記載の、処理により脱色可能な染料(中でもオキソノール染料、シアニン染料)が挙げられる。
このような着色は、着色物質の添加位置に関わらず着色物質が拡散し、感光材料構成層全体にわたる。
【0140】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、これに限定されるものではない。
【0141】
実施例1
(試料の作成)
紙の両面をポリエチレン樹脂で被覆してなる支持体の両面に、コロナ放電処理を施した後、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含むゼラチン下塗層を設け、さらに第一層〜第七層の写真構成層を順次塗設して、以下に示す層構成のハロゲン化銀カラー写真感光材料の試料101を作成した。各写真構成層用の塗布液は、以下のようにして調製した。
【0142】
第五層塗布液調製
シアンカプラー(ExC)300g、色像安定剤(Cpd−1)250g、色像安定剤(Cpd−9)10g、色像安定剤(Cpd−10)10g、色像安定剤(Cpd−12)20g、紫外線吸収剤(UV−1)14g、紫外線吸収剤(UV−2)50g、紫外線吸収剤(UV−3)40gおよび紫外線吸収剤(UV−4)60gを、溶媒(Solv−6)230gおよび酢酸エチル350mlに溶解し、この液を10%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム200mlを含む10%ゼラチン水溶液6500gに乳化分散させて乳化分散物Cを調製した。一方、塩臭化銀乳剤C(立方体、平均粒子サイズ0.50μmの大サイズ乳剤Cと0.41μmの小サイズ乳剤Cとの1:4混合物(銀モル比)。粒子サイズ分布の変動係数は、それぞれ0.09と0.11。各サイズ乳剤とも臭化銀0.5モル%を、塩化銀を基体とする粒子表面の一部に局在含有させた)を調製した。
この乳剤には下記に示す赤感性増感色素GおよびHが、銀1モルあたり、大サイズ乳剤Cに対してはそれぞれ6.0×10-5モル、また小サイズ乳剤Cに対してはそれぞれ9.0×10-5モル添加されている。また、この乳剤の化学熟成は硫黄増感剤と金増感剤を添加して最適に行われた。
前記乳化分散物Cとこの塩臭化銀乳剤Cとを混合溶解し、後記組成となるように第五層塗布液を調製した。乳剤塗布量は銀量換算塗布量を示す。
【0143】
第一層〜第四層および第六層〜第七層用の塗布液も第五層塗布液と同様の方法で調製した。各層のゼラチン硬化剤としては、1−オキシ−3,5−ジクロロ−s−トリアジンナトリウム塩を用いた。
また、各層にAb−1、Ab−2、Ab−3およびAb−4をそれぞれ全量が15.0mg/m2、60.0mg/m2、5.0mg/m2および10.0mg/m2となるように添加した。
【0144】
【化38】
【0145】
各感光性乳剤層の塩臭化銀乳剤には以下の分光増感色素をそれぞれ用いた。
青感性乳剤層
【0146】
【化39】
【0147】
(増感色素A、BおよびCをハロゲン化銀1モル当たり、大サイズ乳剤に対してはそれぞれ1.4×10-4モル、小サイズ乳剤に対してはそれぞれ1.7×10-4モル添加した。)
緑感性乳剤層
【0148】
【化40】
【0149】
(増感色素Dをハロゲン化銀1モル当たり、大サイズ乳剤に対しては3.0×10-4モル、小サイズ乳剤に対しては3.6×10-4モル、また増感色素Eをハロゲン化銀1モル当たり、大サイズ乳剤に対しては4.0×10-5モル、小サイズ乳剤に対しては7.0×10-5モル、また増感色素Fをハロゲン化銀1モル当たり、大サイズ乳剤に対しては2.0×10-4モル、小サイズ乳剤に対しては2.8×10-4モル添加した。)
赤感性乳剤層
【0150】
【化41】
【0151】
(増感色素GおよびHをハロゲン化銀1モル当たり、大サイズ乳剤に対しては〔それぞれ〕6.0×10-5〕モル、小サイズ乳剤に対してはそれぞれ9.0×10-5モル添加した。)
さらに、以下の化合物Iを赤感性乳剤層にハロゲン化銀1モル当たり、2.6×10-3モル添加した。
【0152】
【化42】
【0153】
また、青感性乳剤層、緑感性乳剤層および赤感性乳剤層に対し、1−(3−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールを、それぞれハロゲン化銀1モル当たり3.3×10-4モル、1.0×10-3モルおよび5.9×10-4モル添加した。
さらに、第二層、第四層、第六層および第七層にも、それぞれ0.2mg/m2、0.2mg/m2、0.6mg/m2、0.1mg/m2となるように添加した。
また、青感性乳剤層および緑感性乳剤層に対し、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデンを、それぞれハロゲン化銀1モル当たり1×10-4モル、2×10-4モル添加した。
また、赤感性乳剤層にメタクリル酸とアクリル酸ブチルの共重合体(質量比1:1、平均分子量200000〜400000)を0.05g/m2添加した。また、第二層、第四層および第六層にカテコール−3,5−ジスルホン酸二ナトリウムをそれぞれ6mg/m2、6mg/m2、6mg/m2となるように添加した。
また、イラジエーション防止のために、乳剤層に以下の染料(カッコ内は塗布量を表す)を添加した。
【0154】
【化43】
【0155】
(層構成)
以下に、各層の構成を示す。数字は塗布量(g/m2)を表す。ハロゲン化銀乳剤は、銀換算塗布量を表す。
支持体
ポリエチレン樹脂ラミネート紙
[第一層側のポリエチレン樹脂に白色顔料(TiO2 ;含有率16質量%、ZnO;含有率4質量%)と蛍光増白剤(4,4' −ビス(ベンゾオキサゾリル)スチルベンと4,4' −ビス(5−メチルベンゾオキサゾリル)スチルベンの8:2混合物:含有率0.05質量%)、青味染料(群青)を含む]
【0156】
第一層(青感性乳剤層)
【0157】
第二層(混色防止層)
ゼラチン 0.99
混色防止剤(Cpd−4) 0.09
色像安定剤(Cpd−5) 0.018
色像安定剤(Cpd−6) 0.13
色像安定剤(Cpd−7) 0.01
溶媒(Solv−1) 0.06
溶媒(Solv−2) 0.22
【0158】
第三層(緑感性乳剤層)
【0159】
第四層(混色防止層)
ゼラチン 0.71
混色防止剤(Cpd−4) 0.06
色像安定剤(Cpd−5) 0.013
色像安定剤(Cpd−6) 0.10
色像安定剤(Cpd−7) 0.007
溶媒(Solv−1) 0.04
溶媒(Solv−2) 0.16
【0160】
第五層(赤感性乳剤層)
【0161】
第六層(紫外線吸収層)
ゼラチン 0.66
紫外線吸収剤(UV−1) 0.19
紫外線吸収剤(UV−2) 0.06
紫外線吸収剤(UV−3) 0.06
紫外線吸収剤(UV−4) 0.05
紫外線吸収剤(UV−5) 0.09
溶媒(Solv−7) 0.25
【0162】
第七層(保護層)
ゼラチン 1.00
ポリビニルアルコールのアクリル変性共重合体(変性度17%)0.04
流動パラフィン 0.02
界面活性剤(Cpd−13) 0.01
【0163】
【化44】
【0164】
【化45】
【0165】
【化46】
【0166】
【化47】
【0167】
【化48】
【0168】
【化49】
【0169】
【化50】
【0170】
さらに、以上のように作成したハロゲン化銀カラー写真感光材料101に対して第一層(青感性乳剤層)に用いている増感色素Aを表1に示す増感色素で等モル置き換えした試料102〜109を作成した。各試料は127mm巾のロール状に加工した。
【0171】
以下に、処理液工程と各処理液組成を示す。
【0172】
処理工程 温 度 時 間 補充量*
カラー現像 38.5℃ 45秒 45ミリリットル
漂白定着 38.0℃ 45秒 35ミリリットル
リンス(1) 38.0℃ 20秒 −
リンス(2) 38.0℃ 20秒 −
リンス(3) **38.0℃ 20秒 −
リンス(4) **38.0℃ 30秒 121ミリリットル
*感光材料1m2当たりの補充量
**富士写真フイルム社製 リンスクリーニングシステムRC50Dをリンス(3)に装置し、リンス(3)からリンス液を取り出し、ポンプにより逆浸透膜モジュール(RC50D)に送る。同槽で得られた透過水はリンス(4)に供給し、濃縮水はリンス(3)に戻す。逆浸透モジュールへの透過水量は50〜300ミリリットル/分を維持するようにポンプ圧を調製し、1日10時間温調循環させた。
(リンスは(1)から(4)へのタンク向流方式とした。)
【0173】
各処理液の組成は以下の通りである。
【0174】
【0175】
【0177】
【表1】
【0245】
さらに上記で作成した試料101〜109のそれぞれの第五層のシアンカプラーExCを表6に示すカプラーで最大発色濃度が同じになるように置き換えた以外は同様にして試料901〜909を作成した。各試料は127mm巾のロール状に加工した。
【0246】
(色素の残色評価)
作成した試料100〜109、901〜909について、別々のカラー現像液を用いて白色露光によるかぶらせサンプル25%、未露光サンプル75%の割合で、上記の処理工程にてカラー現像タンク容量の2倍補充するまで、連続処理(ランニングテスト)を行った(ランニング処理液100〜109、901〜909)。
【0247】
感光計を使用し、色分解フィルターと階調ウェッジを介して1/100秒間、試料100〜109、901〜909、1001〜1009を露光した後、それぞれ対応するランニング処理液で現像処理を行い、センシトメトリーを行った。また得られたサンプルの未露光部のイエロー濃度(Dy)を測定した。試料100におけるイエロー濃度(Dy0)との濃度差は、用いた増感色素の残色である
。この濃度差が小さいほど残色が小さいことを意味する。
【0248】
【表6】
【0249】
表6から明らかなように、本発明の一般式(I)のメチン色素を一般式(XX) のカプラーと併用した試料は高感度で、しかも処理後の残色が低レベルに押さえられていることが分かる。
【0250】
(処理依存性の評価)
作成した試料101〜109、901〜909のそれぞれについて、別々の現像液を用いて白色露光によるかぶらせサンプル25%、未露光サンプル75%の割合で残色評価と同じ条件で連続処理を行ってそれぞれのランニング処理液を得た。
連続処理の前後において、それぞれの連続処理に用いた試料と同じ番号の試料を用いて以下のセンシトメトリーを行った。感光計を使用し、色分解フィルターと階調ウェッジを介して1/100秒間、各試料を露光した後、フレッシュ現像液およびそれぞれ対応するランニング処理液で現像処理を行った。
この連続処理する前のフレッシュ現像液を用いて処理したときのそれぞれのサンプルのシアン濃度2.0を与える露光量において、それぞれのランニング処理液を用いて現像処理を行った時のシアン濃度(Dc)を測定した。この濃度変化(ΔDc =Dc −2.0) を求め、この値が負で大きいほど連続処理による写真性変動が大きいことを意味する。
【0251】
表6から明らかなように、本発明の一般式(I) のメチン色素を用いたときの連続処理後のシアン発色濃度の写真性変動が、本発明の一般式(XX) のシアンカプラーと併用することにより小さく抑えられている。
【0252】
【発明の効果】
本発明の構成により、高感度で残色の少なく、さらに連続処理後の写真性変動が小さいハロゲン化銀写真感光材料が得られる。
Claims (9)
- 支持体上にシアンカプラーを含有するハロゲン化銀写真乳剤層、マゼンタカプラーを含有するハロゲン化銀写真乳剤層およびイエローカプラーを含有するハロゲン化銀写真乳剤層を有するハロゲン化銀写真感光材料において、該シアンカプラーが下記一般式(XX)で表されるカプラーであり、かついずれかのハロゲン化銀写真乳剤層に下記一般式(I)で表されるメチン色素を少なくとも1種含有することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
一般式(I)
一般式(XX)
- 前記一般式(I)で表されるメチン色素が下記一般式(II)、(III)、(IV)または(V)で表されることを特徴とする請求項1に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
一般式(II)
一般式(III)
一般式(IV)
一般式(V)
- 前記一般式(II)、(III)、(IV)または(V)で表されるメチン色素の(R11、R21、R31またはR41)と(R12、R22、R32またはR42)の一方が、カルボキシル基、−CONHSO2−基、−SO2NHCO−基、−CONHCO−基、−SO2NHSO2−基が置換したアルキル基であり、他方が、スルホ基で置換されたアルキル基であることを特徴とする請求項2に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
- 前記一般式(II)、(III)、(IV)または(V)で表されるメチン色素の(R11、R21、R31またはR41)が、カルボキシル基で置換されたアルキル基であることを特徴とする請求項3に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
- 前記カルボキシル基で置換されたアルキル基が、カルボキシルメチル基であることを特徴とする請求項4に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
- 前記一般式(I)で表されるメチン色素が、前記一般式(II)で表されるメチン色素であることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
- 前記R11が、カルボキシル基で置換されたアルキル基であることを特徴とする請求項6に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
- 前記R11が、カルボキシルメチル基であることを特徴とする請求項6に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
- 前記一般式(XX)において、Q6がアルコキシ基で置換されたアリールスルホニル基が置換したアルキル基を表すことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
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