JP4267838B2 - 色素形成カプラー、ハロゲン化銀写真感光材料およびアゾメチン色素化合物 - Google Patents
色素形成カプラー、ハロゲン化銀写真感光材料およびアゾメチン色素化合物 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、現像主薬の酸化体とのカップリング反応によりアゾメチン色素を形成する色素形成カプラーおよび該カプラーを含有するハロゲン化銀写真感光材料に関するものである。更には、上記反応により製造できるアゾメチン色素化合物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
減色法によるハロゲン化銀写真感光材料(以下、単に「感光材料」という場合がある。)においては、イエロー、マゼンタおよびシアンの3原色の色素によって色画像が形成される。現行のp−フェニレンジアミン系カラー現像主薬を使用するカラー写真法においては、イエローカプラーとして、アシル酢酸アニリド系化合物が使用されている。しかし、これらのカプラーから得られるイエロー色素の色相は、吸収の長波側すそ切れが悪いため赤味を帯び、純度の高いイエローの色相を得るのが困難であり、また、該色素の分子吸光係数が小さく、所望の発色濃度を得るために多量のカプラーやハロゲン化銀を必要とし、感光材料の膜厚が厚くなって得られる色像の鮮鋭性が低下する場合があるといった問題を有していた。さらに、前記色素は高温高湿条件下、あるいは光照射条件下で分解し易く、現像処理後の画像保存性に問題があり改良が望まれている。
【0003】
これらの問題を解決するためにアシル基およびアニリド基の改良が行われ、最近になって、従来のアシル酢酸アニリド系を改良したカプラーとして、特開平4−218042号公報に記載の1−アルキルシクロプロパンカルボニル酢酸アニリド系化合物や特開平5−11416号公報に記載の環状マロンジアミド型カプラー、欧州公開特許第953870A1号、同第953871A1号、同第953872A1号、同第953873A1号、同第953874A1号、同第953875A1号等に記載のピロール−2または3−イルもしくはインドール−2または3−イルカルボニル酢酸アニリド系カプラー等が提案された。これらのカプラーから生成する色素は、従来のものより色相、分子吸光係数において改良されたが、画像保存性の点で未だ十分ではなく、また、構造が複雑になった分、合成ルートが長く、カプラーコストが高くなり、実用的には問題があった。
一方、米国特許第5455149号等にN−アルキル−4−ピリミドンが結合した酢酸アニリド系カプラーが提案されているが、色相、特に長波側すそ切れの点でまだ不十分であり、また光堅牢性も不十分であって、これらの改良が望まれていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、色相、特に長波側すそ切れが優れ、分子吸光係数が大きく、保存安定性、特に光堅牢性が良好な色素を与え、しかも短工程にて低コストで製造できる色素形成カプラーを提供し、またこれを感光材料中に添加することによって、色再現性および鮮鋭性に優れ、色像堅牢性が良好なハロゲン化銀カラー写真感光材料を提供することにある。更に、分子吸光係数が大きく、色相と保存安定性に優れたアゾメチン色素化合物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討した結果、下記一般式(I)および下記一般式(II)で表される化合物により、前記課題が解決されることを見出した。すなわち本発明は、
(1) 下記一般式(I)で表される色素形成カプラーである。
【0006】
【化4】
【0007】
式中、Qは−N−C=N−部と共に4―ピリミドン環を形成する残基を表す。R1はメチレン基、メチン基または炭素原子を表す。rは1以上30以下の整数を表す。rが2以上のとき複数のR1はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。R4は水素原子以外の置換基を表す。mは1以上30以下の整数を表す。mが2以上のとき複数のR4はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、互いに合わさって多重結合を形成してもよく、また互いに結合して環を形成してもよい。Xはアリール基を表す。Yは水素原子または現像主薬酸化体とのカップリング反応により離脱可能な基を表す。ただし、−(R1)r−(R4)mが直鎖アルキル基であることはない。
(2) 前記一般式(I)で表される色素形成カプラーにおいて、Qが4―ピリミドン環を形成する残基であって、かつ−C(−R2)=C(−R3)−CO−で表される(R2、R3は互いに結合して−C=C−部とともに5〜7員環を形成する基、もしくはそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す)ことを特徴とする(1)項に記載の色素形成カプラーである。
(3) 前記一般式(I)で表される色素形成カプラーにおいて、Qが4―ピリミドン環を形成する残基であって、かつ−C(−R2)=C(−R3)−CO−で表され、R2、R3は互いに結合して−C=C−部と共にベンゼン環を形成する基であることを特徴とする(1)項に記載の色素形成カプラーである。
(4) 前記一般式(I)で表される色素形成カプラーにおいて、R4がアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基、アシルアミノ基、アルキルおよびアリールスルホニルアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、アシル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、シアノ基、アルコキシ基もしくはアリールオキシ基の中から選ばれる基であることを特徴とする(1)〜(3)項のいずれか1項に記載の色素形成カプラーである。
(5) 前記一般式(I)で表される色素形成カプラーにおいて、R4がアリール基、アルコキシ基もしくはアリールオキシ基の中から選ばれる基であることを特徴とする(1)〜(3)項のいずれか1項に記載の色素形成カプラーである。
(6) 前記一般式(I)で表される色素形成カプラーにおいて、rが1から6の整数であることを特徴とする(1)〜(5)項のいずれか1項に記載の色素形成カプラー。
(7) 前記一般式(I)で表される色素形成カプラーにおいて、R4の少なくとも一つが(R1)rのα位〜δ位の炭素原子に置換していることを特徴とする(1)〜(6)項のいずれか1項に記載の色素形成カプラー。
(8) 下記一般式(I)で表される色素形成カプラーの少なくとも1種を含有することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料である。
【0008】
【化5】
【0009】
式中、Qは−N−C=N−部と共に4―ピリミドン環を形成する残基を表す。R1はメチレン基、メチン基または炭素原子を表す。rは1以上30以下の整数を表す。rが2以上のとき複数のR1はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。R4は水素原子以外の置換基を表す。mは1以上30以下の整数を表す。mが2以上のとき複数のR4はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、互いに合わさって多重結合を形成してもよく、また互いに結合して環を形成してもよい。Xはアリール基を表す。Yは水素原子または現像主薬酸化体とのカップリング反応により離脱可能な基を表す。ただし、−(R1)r−(R4)mが直鎖アルキル基であることはない。
(9) 前記一般式(I)で表される色素形成カプラーにおいて、Qが4―ピリミドン環を形成する残基であって、かつ−C(−R2)=C(−R3)−CO−で表される(R2、R3は互いに結合して−C=C−部とともに5〜7員環を形成する基、もしくはそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す)ことを特徴とする(8)項に記載のハロゲン化銀写真感光材料である。
(10) 前記一般式(I)で表される色素形成カプラーにおいて、Qが4―ピリミドン環を形成する残基であって、かつ−C(−R2)=C(−R3)−CO−で表され、R2、R3は互いに結合して−C=C−部と共にベンゼン環を形成する基であることを特徴とする(8)項に記載のハロゲン化銀写真感光材料である。
(11) 前記一般式(I)で表される色素形成カプラーにおいて、R4がアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基、アシルアミノ基、アルキルおよびアリールスルホニルアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、アシル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、シアノ基、アルコキシ基もしくはアリールオキシ基の中から選ばれる基であることを特徴とする(8)〜(10)項のいずれか1項に記載のハロゲン化銀写真感光材料である。
(12) 前記一般式(I)で表される色素形成カプラーにおいて、R4がアリール基、アルコキシ基もしくはアリールオキシ基の中から選ばれる基であることを特徴とする(8)〜(10)項のいずれか1項に記載のハロゲン化銀写真感光材料である。
(13) 前記一般式(I)で表される色素形成カプラーにおいて、rが1から6の整数であることを特徴とする(8)〜(12)項のいずれか1項に記載のハロゲン化銀写真感光材料である。
(14) 前記一般式(I)で表される色素形成カプラーにおいて、R4の少なくとも一つが(R1)rのα位〜δ位の炭素原子に置換していることを特徴とする(8)〜(13)項のいずれか1項に記載のハロゲン化銀写真感光材料である。
(15) 下記一般式(II)で表されるアゾメチン色素化合物である。
【0010】
【化6】
【0011】
式中、Qは−N−C=N−部と共に4―ピリミドン環を形成する残基を表す。R1はメチレン基、メチン基または炭素原子を表す。rは1以上30以下の整数を表す。rが2以上のとき複数のR1はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。R4は水素原子以外の置換基を表す。mは1以上30以下の整数を表す。mが2以上のとき複数のR4はそれぞれ同じでも異なっていてもよく、互いに合わさって多重結合を形成してもよく、また互いに結合して環を形成してもよい。Xはアリール基を表す。ただし、−(R1)r−(R4)mが直鎖アルキル基であることはない。R5、R6は水素原子または置換基を表す。R7は水素原子または置換基を表し、nは0または1から4の整数を表す。nが0以外のとき、R7はそれぞれ同じであっても異なっていてもよく、これらは互いに結合し、縮環していてもよい。またR7は、R5もしくはR6と互いに結合し、縮環していてもよい。
(16) 前記一般式(II)で表されるアゾメチン色素化合物において、Qが4―ピリミドン環を形成する残基であって、かつ−C(−R2)=C(−R3)−CO−で表される(R2、R3は互いに結合して−C=C−部とともに5〜7員環を形成する基、もしくはそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す)ことを特徴とする(15)項に記載のアゾメチン色素化合物である。
(17) 前記一般式(II)で表されるアゾメチン色素化合物において、Qが4―ピリミドン環を形成する残基であって、かつ−C(−R2)=C(−R3)−CO−で表され、R2、R3は互いに結合して−C=C−部と共にベンゼン環を形成する基であることを特徴とする(15)項に記載のアゾメチン色素化合物である。
(18) 前記一般式(II)で表されるアゾメチン色素化合物において、R4がアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基、アシルアミノ基、アルキルおよびアリールスルホニルアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、アシル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、シアノ基、アルコキシ基もしくはアリールオキシ基の中から選ばれる基であることを特徴とする(15)〜(17)項のいずれか1項に記載のアゾメチン色素化合物である。
(19) 前記一般式(II)で表されるアゾメチン色素化合物において、R4がアリール基、アルコキシ基もしくはアリールオキシ基の中から選ばれる基であることを特徴とする(15)〜(17)項のいずれか1項に記載のアゾメチン色素化合物である。
(20) 前記一般式(II)で表されるアゾメチン色素化合物において、rが1から6の整数であることを特徴とする(15)〜(19)項のいずれか1項に記載のアゾメチン色素化合物である。
(21) 前記一般式(II)で表されるアゾメチン色素化合物において、R4の少なくとも一つが(R1)rのα位〜δ位の炭素原子に置換していることを特徴とする(15)〜(20)項に記載のアゾメチン色素化合物である。
(8)項以下は、好ましい実施態様である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
(色素形成カプラー)
本発明の一般式(I)で表される化合物(本願では色素形成カプラーとも称す)を詳細に説明する。
本発明の一般式(I)で表される化合物は含窒素へテロ環アセトアニリド化合物における含窒素ヘテロ環に特徴があり、該ヘテロ環を構成する窒素原子に嵩高い置換基を導入し、本願の目的を達成したものである。なお、該基の導入は色素構造の制御に作用しているものと思われ、嵩高さの程度が大きすぎると写真性能を満足に得にくくなる傾向にあり、また少なすぎると本願の目的を達成できない。
【0013】
【化7】
【0014】
式中、R1はメチレン基(−CH2−)、メチン基(−CH(−)−)または炭素原子(−C(−)(−)−)を表す。
rは1以上30以下の整数を表す。rが2以上のとき複数のR1はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。好ましくはrは1以上10以下であり、より好ましくは1以上7以下であり、さらに好ましくは1以上6以下である。最も好ましくは1以上3以下である。
【0015】
R4は水素原子以外の置換基を表す。この置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基を含む)、アルケニル基(シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む)、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アルキルアミノ基、アニリノ基を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール及びヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基が挙げられる。
【0016】
mは1以上30以下の整数を表す。mは好ましくは1以上6以下であり、より好ましくは1以上3以下であり、さらに好ましくは1である。
なお、上述の置換基はさらに置換基で置換されていてもよく、該置換基としては上述の基が挙げられる。
【0017】
以下にR4の置換基の例を更に説明する。
これらの置換基としては、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基(直鎖または分岐の置換もしくは無置換のアルキル基で、好ましくは炭素数1〜30のアルキル基であり、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、エイコシル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、2−エチルヘキシル)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシルが挙げられ、多シクロアルキル基、例えば、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基で、例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)やトリシクロアルキル基等の多環構造の基が挙げられる。好ましくは単環のシクロアルキル基、ビシクロアルキル基であり、単環のシクロアルキル基が得に好ましい。)、
【0018】
アルケニル基[直鎖または分岐の置換もしくは無置換のアルケニル基で、好ましくは炭素数2〜30のアルケニル基であり、例えば、ビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基で、例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル)が挙げられ、多シクロアルケニル基、例えば、ビシクロアルケニル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基で、例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)]、やトリシクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基であり、単環のシクロアルケニル基が得に好ましい。)アルキニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキニル基、例えば、エチニル、プロパルギル、トリメチルシリルエチニル基)、
【0019】
アリール基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基で、例えばフェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル)、ヘテロ環基(好ましくは5〜7員の置換もしくは無置換、飽和もしくは不飽和、芳香族もしくは非芳香族、単環もしくは縮環のヘテロ環基であり、より好ましくは、環構成原子が炭素原子、窒素原子および硫黄原子から選択され、かつ窒素原子、酸素原子および硫黄原子のいずれかのヘテロ原子を少なくとも一個有するヘテロ環基であり、更に好ましくは、炭素数3〜30の5もしくは6員の芳香族のヘテロ環基である。例えば、2−フリル、2−チエニル、2−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、
【0020】
アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルコキシ基で、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、n−オクチルオキシ、2−メトキシエトキシ)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基で、例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、2,4−ジ−t−アミルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ)、シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3〜20のシリルオキシ基で、例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基で、ヘテロ環部は前述のヘテロ環基で説明されたヘテロ環部が好ましく、例えば、1−フェニルテトラゾールー5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、
【0021】
アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基であり、例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、ピバロイルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基で、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ、N−n−オクチルカルバモイルオキシ)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基で、例えばメトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、n−オクチルカルボニルオキシ)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基で、例えば、フェノキシカルボニルオキシ、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ)、
【0022】
アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールアミノ基、炭素数0〜30のヘテロ環アミノ基であり、例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、N−メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ、N−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基であり、例えば、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ基、例えば、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基で、例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ)、
【0023】
アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基で、例えば、フェノキシカルボニルアミノ、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ)、スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基で、例えば、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ)、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ基であり、例えば、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ、p−メチルフェニルスルホニルアミノ)、メルカプト基、
【0024】
アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基で、例えばメチルチオ、エチルチオ、n−ヘキサデシルチオ)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールチオ基で、例えば、フェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、m−メトキシフェニルチオ)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2〜30の置換または無置換のヘテロ環チオ基で、ヘテロ環部は前述のヘテロ環基で説明されたヘテロ環部が好ましく、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイル基で、例えば、N−エチルスルファモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−アセチルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル)、スルホ基、
【0025】
アルキル及びアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルフィニル基、6〜30の置換または無置換のアリールスルフィニル基であり、例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、p−メチルフェニルスルフィニル)、アルキル及びアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルホニル基、6〜30の置換または無置換のアリールスルホニル基であり、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−メチルフェニルスルホニル)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基であり、例えば、アセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基で、例えば、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−t−ブチルフェノキシカルボニル)、
【0026】
アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基で、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル)、カルバモイル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイル、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイル)、アリール及びヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールアゾ基、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環アゾ基(ヘテロ環部は前述のヘテロ環基で説明されたヘテロ環部が好ましい)、例えば、フェニルアゾ、p−クロロフェニルアゾ、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ)、イミド基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のイミド基で、例えばN−スクシンイミド、N−フタルイミド)、ホスフィノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ、ジフェニルホスフィノ、メチルフェノキシホスフィノ)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニル基で、例えば、ホスフィニル、ジオクチルオキシホスフィニル、ジエトキシホスフィニル)、
【0027】
ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基で、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基で、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ、ジメチルアミノホスフィニルアミノ)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシリル基で、例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル)が挙げられる。
【0028】
上記のR4がさらに有していてもよい置換基の中で、水素原子を有するものは、これを取り去り更に上記の基で置換されていてもよい。そのようなR4がさらに有していてもよい置換基の例としては、アルキルカルボニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノスルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基が挙げられ、具体的には、メチルスルホニルアミノカルボニル、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル、アセチルアミノスルホニル、ベンゾイルアミノスルホニル、ドデシルカルボニルアミノスルホニル基、p−クロルフェニルカルボニルアミノスルホニル基、ドデカンスルホニルアミノカルボニル基、p−トルエンスルホニルアミノカルボニル基、p−ドデシルオキシベンゼンスルホニルアミノカルボニル基、が挙げられる。
【0029】
ここで、mが2以上の場合、複数のR4は互いに同じであっても異なっていてもよく、また置換基が互いに結合して環、好ましくは5〜7員の飽和または不飽和環を形成してもよい。該環は脂環、芳香環、ヘテロ環であってもよく、例えば、ベンゼン環、フラン環、チオフェン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環が挙げられる。
【0030】
これらの各置換基や複数の置換基が互いに結合して形成した環は、更に置換基(前述のR4の置換基として例示した基が挙げられる)で置換されてもよい。
【0031】
また、複数のR4が互いに合わさって多重結合を形成してもよい。具体的には、―(R1)r−(R4)mが、アルケニル基、もしくはアルキニル基であってもよい。ただし、−(R1)r−(R4)mが直鎖アルキル基であることはない。
【0032】
R4の置換基が(R1)rに置換する位置は、少なくとも一つ(好ましくは全てのR4)がα〜δ位の炭素原子(Qによって構成されるヘテロ環上の窒素原子へ結合する炭素原子がα位、その隣がβ位、更にその隣がγ位、更にその隣がδ位)が好ましい。更には、R4がアルキル基のみのからなる場合、少なくとも一つのアルキル基がαまたはβ位の炭素原子に、R4の少なくとも一つがアリール基の場合、該アリール基の一つはαまたはβ位の炭素原子に結合するのがより好ましい。R4がアリール基を含まず、かつアルキル基のみでない置換基の場合、β、γまたはδ位(より好ましくはβまたはγ位)の炭素原子に結合するのがより好ましい。
なお、rが8〜30である場合、R4の置換基位置はどこでも構わないが、好ましくは上記の通りである。ただし、rの好ましい範囲は前述の通りである。
また、R4の置換基の炭素数の総和は2〜50が好ましく、より好ましくは7〜45、更に好ましくは10〜40、最も好ましくは15〜40である。
【0033】
これらのR4のうち、好ましいものは、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基、アシルアミノ基、アルキルおよびアリールスルホニルアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、アシル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、シアノ基、アルコキシ基もしくはアリールオキシ基である。
より好ましくはアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アミノ基、カルボキシル基、スルホ基、、アシルアミノ基、アルキルおよびアリールスルホニルアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、アシル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、シアノ基、アルコキシ基もしくはアリールオキシ基である。
さらに好ましくはアリール基、アルコキシ基もしくはアリールオキシ基である。
【0034】
本発明の一般式(I)で表される色素形成カプラーのうち、−(R1)r−(R4)mに着目し、上記のより好ましいR4を説明すると、以下のグループにまとめることができる。
すなわち、
グループ1
−(R1)r−(R4)mが無置換の分岐アルキル基である場合
(R1)rと(R4)mの炭素数の総和は8以上、好ましくは8〜40、更に好ましくは10〜30である。R4が(R1)rに結合する位置はαまたはβ位が好ましい。
なお、上記の炭素数の総和が7以下であっても、R4が(R1)rに結合する位置がα位のものは、色素近傍の嵩高さをより増すことから、上記に次いで好ましい。
【0035】
グループ2
R4の少なくとも一つがアルコキシ基またはアリールオキシ基である場合
該アルコキシ基またはアリールオキシ基の炭素原子数の総和が8以上、好ましくは8〜40、更に好ましくは10〜30である。該アルコキシ基またはアリールオキシ基が(R1)rに結合する位置はβ、γまたはδ位(より好ましくはβまたはγ位)が好ましい。
【0036】
グループ3
R4の少なくとも一つがアリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アミノ基、カルボキシル基、スルホ基、アシルアミノ基、アルキルおよびアリールスルホニルアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、アシル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、シアノ基である場合
該基がアリール基の場合、(R1)rに置換する位置はαまたはβ位、特にα位が好ましく、R4にアリール基を含まず、かつR4がヘテロ環基、ハロゲン原子、アミノ基、カルボキシル基、スルホ基、アシルアミノ基、アルキルおよびアリールスルホニルアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、アシル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、シアノ基の少なくとも一つはβまたはγ位で結合するのが好ましい。
これらの基のうち、R4の少なくとも一つがアリール基である場合がより好ましく、mが1であるアリール基が更に好ましく、−(R1)r−(R4)mとして、−(R1)r も含めてみた場合、ベンジル基が最も好ましい。
【0037】
一般式(I)において、Qは−N−C=N−部と共に4―ピリミドン環を形成する残基を表す。4―ピリミドン環を形成する残基は、好ましくは、炭素数2〜30の、4―ピリミドン環である。Qが−N−C=N−部と共に形成する4―ピリミドン環は置換基を有していてもよく、この置換基の例としては、前述のR4の置換基として挙げた例が挙げられる。
また、互いに隣接する置換基が結合して環を形成してもよく、好ましくは5員〜7員の飽和または不飽和環であり、該環は脂環、芳香環、ヘテロ環であってもよく、例えば、ベンゼン環、フラン環、チオフェン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環が挙げられる。
【0038】
これらの各置換基や複数の置換基が互いに結合して形成した環は、更に置換基(前述のR4の置換基として例示した基が挙げられる)で置換されてもよい。
また、置換基の炭素数の総和は2〜50が好ましく、より好ましくは8〜45、更に好ましくは15〜40が好ましい。
これらの置換基のうち、好ましいものは、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、シアノ基、アシルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルキルアミノ基またはアリールアミノ基である。
【0039】
Qは4―ピリミドン環を形成する残基であり、好ましくはQは−C(−R2)=C(−R3)−CO−で表される。R2、R3は互いに結合して−C=C−部とともに5〜7員環を形成する基、もしくはそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。R2、R3が互いに結合して−C=C−部とともに形成する環としては、好ましくは5〜7員の脂環、芳香環、もしくはヘテロ環で、例えば、ベンゼン環、ピラゾール環、フラン環、チオフェン環、シクロペンテン環、シクロヘキセン環が挙げられる。より好ましくは、該環は6員の芳香環であり、最も好ましくはベンゼン環である。
R2、R3が置換基を表す時、これらは同じであっても異なっていてもよく、置換基の例としては前述のR4の置換基の例として挙げたものが挙げられる。
【0040】
一般式(I)においてXはアリール基を表す。アリール基としては好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基で、例えばフェニル、ナフチルが挙げられる。Xは置換基を有していてもよく、置換基の例としては前述のR4の置換基の例として挙げたものが挙げられる。Xが有する置換基の好ましい例としては、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、シアノ基、アシルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルキルアミノ基またはアリールアミノ基である。
好ましくはアリール基上のアミド部が結合した位置の隣接位にハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子)、アルキル基(例えばメチル基)、アルコキシ基(例えばメトキシ基、イソプロピルオキシ基、ドデシルオキシ基)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ基)を有することが好ましい。より好ましくはハロゲン原子、アルコキシ基を有することが好ましく、さらに好ましくはアルコキシ基を有することが好ましい。
本発明のカプラーにおいてXはフェニル基が好ましく、フェニル基のアミド部に結合する位置を1位として、少なくとも2位に前記の置換基を有するものが好ましく、2及び5位に前記の置換基を有するものがより好ましい。
【0041】
一般式(I)においてYは水素原子または現像主薬酸化体とのカップリング反応により離脱可能な基を表す。Yの例としては窒素原子で離脱する基、酸素原子で離脱する基、イオウ原子で離脱する基、ハロゲン原子(例えば塩素原子、臭素原子)などが挙げられる。
窒素原子で離脱する基としては、ヘテロ環基(好ましくは5〜7員の置換もしくは無置換、飽和もしくは不飽和、芳香族(本願では4n+2個の環状共役電子を有するものを意味する)もしくは非芳香族、単環もしくは縮合環のヘテロ環基であり、より好ましくは、環構成原子が炭素原子、窒素原子および硫黄原子から選択され、かつ窒素原子、酸素原子および硫黄原子のいずれかのヘテロ原子を少なくとも一個有する5もしくは6員のヘテロ環基であり、例えばスクシンイミド、マレインイミド、フタルイミド、ジグリコールイミド、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、1,2,4−トリアゾール、テトラゾール、インドール、ベンゾピラゾール、ベンツイミダゾール、ベンゾトリアゾール、イミダゾリン−2,4−ジオン、オキサゾリジン−2,4−ジオン、チアゾリジン−2−オン、ベンツイミダゾリン−2−オン、ベンゾオキサゾリン−2−オン、ベンゾチアゾリン−2−オン、2−ピロリン−5−オン、2−イミダゾリン−5−オン、インドリン−2,3−ジオン、2,6−ジオキシプリンパラバン酸、1,2,4−トリアゾリジン−3,5−ジオン、2−ピリドン、4−ピリドン、2−ピリミドン、6−ピリダゾン、2−ピラゾン、2−アミノ−1,3,4−チアゾリジン−4−オン)、カルボナミド基(例えばアセタミド、トリフルオロアセタミド)、スルホンアミド基(例えばメタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド)、アリールアゾ基(例えばフェニルアゾ、ナフチルアゾ)、カルバモイルアミノ基(例えばN−メチルカルバモイルアゾ)などが挙げられる。
【0042】
窒素原子で離脱する基のうち、好ましいものはヘテロ環基であり、さらに好ましいものは、環構成原子として窒素原子を1、2または4個有する芳香族ヘテロ環基、または下記一般式(L)で表されるヘテロ環基である。更に好ましくは一般式(L)で表されるヘテロ環基である。
【0043】
【化8】
【0044】
式中、Lは−NC(=O)−と共に5〜6員環の含窒素ヘテロ環を形成する残基を表す。
これらの例示は上記ヘテロ環基の説明の中で挙げており、これらが更に好ましい。
なかでも、Lは5員環の含窒素ヘテロ環を形成する残基が好ましい。
【0045】
酸素原子で離脱する基としては、アリールオキシ基(例えばフェノキシ、1−ナフトキシ)、ヘテロ環オキシ基(例えばピリジルオキシ、ピラゾリルオキシ)、アシルオキシ基(例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシ)、アルコキシ基(例えばメトキシ、ドデシルオキシ)、カルバモイルオキシ基(例えばN,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルバモイルオキシ)、アリールオキシカルボニルオキシ基(例えばフェノキシカルボニルオキシ)、アルコキシカルボニルオキシ基(例えばメトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ)、アルキルスルホニルオキシ基(例えばメタンスルホニルオキシ)、アリールスルホニルオキシ基(例えばベンゼンスルホニルオキシ、トルエンスルホニルオキシ)などが挙げられる。
酸素原子で離脱する基のうち、好ましいものはアリールオキシ基、アシルオキシ基、ヘテロ環オキシ基である。
【0046】
イオウ原子で離脱する基としては、アリールチオ基(例えばフェニルチオ、ナフチルチオ)、ヘテロ環チオ基(例えばテトラゾリルチオ、1,3,4−チアジアゾリルチオ、1,3,4−オキサゾリルチオ、ベンツイミダゾリルチオ)、アルキルチオ基(例えばメチルチオ、オクチルチオ、ヘキサデシルチオ)、アルキルスルフィニル基(例えばメタンスルフィニル)、アリールスルフィニル基(例えばベンゼンスルフィニル)、アリールスルホニル基(例えばベンゼンスルホニル)、アルキルスルホニル基(例えばメタンスルホニル)などが挙げられる。
イオウ原子で離脱する基のうち、好ましいものはアリールチオ基、ヘテロ環チオ基であり、ヘテロ環チオ基がより好ましい。
【0047】
Yは置換基により置換されていてもよく、Yを置換する置換基の例としては前述のR4の置換基の例として挙げたものが挙げられる。
Yは、好ましくは窒素原子で離脱する基、酸素原子で離脱する基、イオウ原子で離脱する基であり、より好ましくは窒素原子で離脱する基であり、更に好ましくは、窒素原子で離脱する基で述べた好ましい基の順に好ましい。Yの好ましい基を更に説明すると、環構成原子として窒素原子を1、2または4個有する芳香族ヘテロ環基、または前記一般式(L)で表されるヘテロ環基(特に好ましくは前記一般式(L)で表されるヘテロ環基)、酸素原子で離脱する基(特に好ましくはアリールオキシ基、アシルオキシ基、ヘテロ環オキシ基)、イオウ原子で離脱する基(好ましくはアリールチオ基、ヘテロ環チオ基であり、特に好ましくはヘテロ環チオ基)である。
【0048】
またYは好ましくは写真性有用基であってもよい。この写真性有用基としては、現像抑制剤、脱銀促進剤、レドックス化合物、色素、カプラ−等、あるいはこれらの前駆体が挙げられる。さらに好ましくは、Yは現像抑制剤およびその前駆体であり、その例としては、特開2000−17195において現像抑制剤およびその前駆体として挙げられているものが挙げられ、好ましい例もその中で好ましいと記載されているものと同様である。
【0049】
カプラーを感光材料中で不動化するために、Q、R1、R4、XあるいはYの少なくとも1つは置換基を含めた総炭素数が8以上50以下であることが好ましく、より好ましくは総炭素数が10以上40以下である。
【0050】
本発明において一般式(I)で表されるカプラーのうち、好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお水素原子がカルボニル基や含窒素6員環上に移動した互変異性体も本発明に含まれることとする。
【0051】
【化9】
【0052】
【化10】
【0053】
【化11】
【0054】
【化12】
【0055】
【化13】
【0056】
【化14】
【0057】
【化15】
【0058】
【化16】
【0059】
なお、以降の説明において、以上に示された例示化合物(色素形成カプラーとも称す)を引用する場合、それぞれの例示化合物に付された括弧書きの番号(X)を用いて、「カプラー(X)」と表示することとする。
【0060】
以下に上記一般式(I)で表される化合物の具体的な合成例を示す。
【0061】
合成例1:カプラー(10)合成
カプラー(10)は、下記に示すルートにより合成した。
【0062】
【化17】
【0063】
無水イサト酸48.9gのアセトニトリル溶液200mlに、ベンジルアミン32.2gを滴下し撹拌した。系の温度を60℃まで昇温させ、さらに10分間撹拌した。酢酸エチル、水を加えて分液し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、エーテル、ヘキサン混合溶媒から晶析して54.6gの化合物(A−1)を得た。
【0064】
化合物(A−1)24.9g、イミノエーテルの塩酸塩21.6g、パラトルエンスルホン酸一水和物10.5gのエチルアルコール溶液200mlを加熱還流下3時間撹拌した。冷却後、イミノエーテルの塩酸塩21.6gを加え加熱還流下さらに1時間撹拌した。酢酸エチル、水を加えて分液し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、エーテル、ヘキサン混合溶媒から晶析して33.6gの化合物(A−2)を得た。
【0065】
化合物(A−2)6.5g、2−クロロ−5−ドデシルオキシカルボニルアニリン6.5gのp−キシレン溶液50mlを加熱還流下2時間撹拌した。さらにp−トルエンスルホン酸1水和物0.2gを添加し、加熱還流下4時間撹拌した。酢酸エチル、水を加えて分液し、有機層を1規定塩酸水、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、酢酸エチル、ヘキサン混合溶媒から晶析して6.7gのカプラー(10)を得た。
【0066】
合成例2:カプラー(1)の合成
カプラー(1)は、下記に示すルートにより合成した。
【0067】
【化18】
【0068】
カプラー(10) 5.5gの塩化メチレン溶液70mlに、氷冷下、臭素0.48mlの塩化メチレン溶液15mlを滴下した。室温にて30分撹拌した後、塩化メチレン、水を加えて分液し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、化合物(A−3)の粗製物を得た。
【0069】
5,5−ジメチルオキサゾリジン−2,4−ジオン3.5g、トリエチルアミン3.8mlをN,N−ジメチルアセトアミド50mlに溶解し、これに室温下、先に合成した化合物(A−3)の粗製物すべてをN,N−ジメチルアセトアミド50mlに溶解したものを10分間で滴下し、室温にて1時間撹拌した。酢酸エチル、水を加えて分液し、有機層を1規定炭酸カリウム水溶液、1規定塩酸水、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより、酢酸エチル、ヘキサン混合溶媒を溶離液として用いて精製し、アモルファス状態のカプラー(1)4.0gを得た。
【0070】
合成例3:カプラー(11)の合成
カプラー(11)は、下記に示すルートにより合成した。
【0071】
【化19】
【0072】
無水イサト酸34.3gのアセトニトリル溶液200mlに、3−(2,4−ジ−t−アミル−フェノキシ)−プロピルアミン58.3gを加え撹拌した。系の温度を40℃まで昇温させ、15分間撹拌した。酢酸エチル、水を加えて分液し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去することにより、81.3gの油状の化合物(B−1)を得た。
【0073】
化合物(B−1)41.1g、イミノエーテルの塩酸塩39.1gのエチルアルコール溶液200mlを30℃にて1時間撹拌した。パラトルエンスルホン酸一水和物8.6gを加え、加熱還流下2時間撹拌した。酢酸エチル、水を加えて分液し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、メタノール溶媒から晶析して31.8gの化合物(B−2)を得た。
【0074】
化合物(B−2)10.1g 、2−メトキシ−5−エトキシカルボニルアニリン3.9gのp−キシレン溶液20mlを加熱還流下4時間撹拌した。酢酸エチル、水を加えて分液し、有機層を1規定塩酸水、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、酢酸エチル、ヘキサン混合溶媒から晶析して6.3gのカプラー(11)を得た。
【0075】
合成例4:カプラー(2)の合成
カプラー(2)は、下記に示すルートにより合成した。
【0076】
【化20】
【0077】
カプラー(11)5.9gの塩化メチレン溶液120mlに、氷冷下、臭素0.56mlの塩化メチレン溶液20mlを滴下した。室温にて30分撹拌した後、塩化メチレン、水を加えて分液し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、化合物(B−3)の粗製物を得た。
【0078】
5,5−ジメチルオキサゾリジン−2,4−ジオン4.3g、トリエチルアミン4.6mlをN,N−ジメチルアセトアミド50mlに溶解し、これに室温下、先に合成した化合物(B−3)の粗製物すべてをN,N−ジメチルアセトアミド50mlに溶解したものを10分間で滴下し、室温にて1時間撹拌した。酢酸エチル、水を加えて分液し、有機層を1規定炭酸カリウム水溶液、1規定塩酸水、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより、酢酸エチル、ヘキサン混合溶媒を溶離液として用いて精製し、メタノールから晶析して4.1gのカプラー(2)を得た。
【0079】
(ハロゲン化銀写真感光材料)
本発明の感光材料は、支持体上に少なくとも一層の感光層を形成してなるハロゲン化銀写真感光材料であって、少なくとも該感光層の一層に、前記一般式(I)で表される化合物である色素形成カプラーを含有するものであり、該カプラーは通常のゼラチンバインダーから成る親水性コロイド層に含有される。一般的な感光材料は、支持体上に青感性ハロゲン化銀乳剤層、緑感性ハロゲン化銀乳剤層および赤感性ハロゲン化銀乳剤層の各感光性乳剤層(感光層)を少なくとも一層ずつ塗設して構成することができるが、その順序はいかなる順でもよい。また、赤外感光性ハロゲン化銀乳剤層を前記感光性乳剤層の一つの替わりに用いることもできる。これらの感光性乳剤層には、それぞれの波長域に感度を有するハロゲン化銀乳剤と、感光する光と補色の関係にある色素を形成するカプラーを含有させることで減色法の色再現を行うことができる。ただし、感光性乳剤層とカプラーの発色色相とは上記のような対応を持たない構成であってもよい。
【0080】
前記一般式(I)で表される色素形成カプラーは、いずれの感光性乳剤層(好ましくは、青感性ハロゲン化銀乳剤層または緑感性ハロゲン化銀乳剤層であり、特に好ましくは青感性ハロゲン化銀乳剤層である)にも含有させることができる。
前記一般式(I)で表される色素形成カプラーは、p−フェニレンジアミン類の発色現像主薬と組み合された場合に、主にイエローカプラーもしくはマゼンタカプラーとして有用であり、特にイエローカプラーとして有用である。従って、本発明のハロゲン化銀写真感光材料が、発色現像主薬としてp−フェニレンジアミン類を使用する場合には、前記一般式(I)で表される色素形成カプラーは、イエローカプラーまたはマゼンタカプラー発色用の層に含有させるのが好ましく、イエロー発色用の層に含有させるのが特に好ましい。また、前記一般式(I)で表される色素形成カプラーは、p−フェニレンジアミン類以外の発色現像主薬を用いる系においても種々の色相の色素を与える色素形成カプラーとして有用である。
【0081】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料において、前記カプラーは、ハロゲン化銀1モル当たり1×10-3〜1モル添加するのが好ましく、2×10-3〜3×10-1モル添加するのがより好ましい。
【0082】
前記カプラーは、種々の公知分散方法により感光材料に導入でき、高沸点有機溶媒(必要に応じて低沸点有機溶媒を併用)に溶解し、ゼラチン水溶液に乳化分散してハロゲン化銀乳剤に添加する水中油滴分散法が好ましい。水中油滴分散法に用いられる高沸点溶媒の例は,特開平5−313327号、同5−323539号、同5−323541号、同6−258803号、同8−262662号、米国特許第2,322,027号などに記載されている。また、ポリマー分散法の1つとしてのラテックス分散法の工程、効果、含浸用のラテックスの具体例は、米国特許第4,199,363号、西独特許出願第(OLS)2,541,274号、同2,541,230号、特公昭53−41091号及び欧州特許公開第029104号等に記載されており、また有機溶媒可溶性ポリマーによる分散についてPCT国際公開第WO88/00723号及び特開平5−150420号等に記載されている。メタクリレート系あるいはアクリルアミド系ポリマーが好ましく、特に画像堅牢性の点でアクリルアミド系ポリマーが好ましい。
【0083】
ここで、高沸点とは常圧で175℃以上の沸点をいう。
本発明において使用される高沸点溶媒の例は、米国特許第2,322,027号等に記載されている。常圧での沸点が175℃以上の高沸点有機溶媒の具体例としては、フタル酸エステル類〔例えば、ジブチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、デシルフタレート、ビス(2,4−ジ−tert−アミルフェニル)フタレート、ビス(2,4−ジ−tert−アミルフェニル)イソフタレート、ビス(1,1−ジエチルプロピル)フタレート〕、リン酸又はホスホン酸のエステル類(例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、トリキクロヘキシルホスフェート、トリ−2−エチルヘキシルホスフェート、トリドデシルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリクロロプロピルホスフェート、ジ−2−エチルヘキシルフェニルホスホネート)、安息香酸エステル類(例えば、2−エチルヘキシルベンゾエート、ドデシルベンゾエート、2−エチルヘキシル−p−ヒドロキシベンゾエート)、アミド類(例えば、N,N−ジエチルドデカンアミド、N,N−ジエチルラウリルアミド、N−テトラデシルピロリドン)、スルホンアミド類(例えば、N−ブチルベンゼンスルホンアミド)、アルコール類又はフェノール類(イソステアリルアルコール、2,4−ジ−tert−アミルフェノール)、脂肪族カルボン酸エステル類(例えば、ビス(2−エチルヘキシル)セバケート、ジオクチルアゼレート、グリセロールトリブチレート、イソステアリルラクテート、トリオクチルシトレート)、アニリン誘導体(N,N−ジブチル−2−ブトキシ−5−tert−オクチルアニリン等)、炭化水素類(例えば、パラフィン、ドデシルベンゼン、ジイソプロピルナフタレン)、塩素化パラフィン類等が挙げられる。特にリン酸エステル類や特開平6−258803号、同8−262662号に記載の水素供与性化合物が色相の点で優れており、好ましく用いることができる。
【0084】
なお、環境に対する負荷を軽減するため、フタル酸エステル類に代えて、欧州特許EP−969320A1号、同EP−969321A1号を使用することは好ましく、これら以外にも、クエン酸トリブチル、ペンタグリセリントリエステルなどが挙げられる。
高沸点有機溶媒の誘電率は目的によって異なるが、好ましくは2.0〜7.0、更に好ましくは3.0〜6.0である。
高沸点有機溶媒はカプラーに対して、質量比で0〜10倍量、好ましくは0〜4倍量、用いるのが好ましい。
【0085】
また補助溶媒としては、沸点が30℃以上、好ましくは50℃以上約160℃以下の有機溶剤等が使用でき、典型例としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−エトキシエチルアセテート、ジメチルホルムアミドが挙げられる。
【0086】
なお、乳化分散物状態での保存時の経時安定性改良、乳剤と混合した塗布用最終組成物での写真性能変化抑制・経時安定性改良等の観点から必要に応じて乳化分散物から、減圧蒸留、ヌードル水洗あるいは限外ろ過などの方法により補助溶媒の全て又は一部を除去することができる。
この様にして得られる親油性微粒子分散物の平均粒子サイズは、0.001〜1.0μmが好ましく、更に好ましくは0.05〜0.30μmであり、最も好ましくは0.08〜0.20μmである。平均粒子サイズは、コールターサブミクロン粒子アナライザーmodelN4(商品名、コールターエレクトロニクス社)等を用いて測定できる。親油性微粒子分散物の平均粒子サイズが大きいとカプラーの発色効率が低下したり、感光材料の表面の光沢性が悪化するなどの問題を起こしやすく、サイズが小さすぎると分散物の粘度が上昇し,製造時に取扱いにくくなる。
【0087】
本発明のカプラーからなる親油性微粒子分散物の分散媒体に対する使用量は、好ましくは質量比で分散媒体1に対して2〜0.1、更に好ましくは、1.0〜0.2の範囲である。ここで分散媒体としては、例えばゼラチンが代表的であり、ポリビニルアルコール等の親水性ポリマーが挙げられる。親油性微粒子分散物は、本発明のカプラーとともに、目的に応じて種々の化合物を含有することができる。
【0088】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料には、その他従来公知の写真用素材や添加剤を使用できる。
例えば写真用支持体としては、透過型支持体や反射型支持体を用いることができる。透過型支持体としては、セルロースナイトレートフィルムやポリエチレンテレフタレートなどの透明フィルム、更には2,6−ナフタレンジカルボン酸(NDCA)とエチレングリコール(EG)とのポリエステルやNDCAとテレフタル酸とEGとのポリエステル等に磁性層などの情報記録層を設けたものが好ましく用いられる。反射型支持体としては特に複数のポリエチレン層やポリエステル層でラミネートされ、このような耐水性樹脂層(ラミネート層)の少なくとも一層に酸化チタン等の白色顔料を含有する反射支持体が好ましい。
【0089】
本発明においてさらに好ましい反射支持体としては、ハロゲン化銀乳剤層を設ける側の紙基体上に微小空孔を有するポリオレフィン層を有していることが挙げられる。ポリオレフィン層は多層から成っていてもよく、その場合、好ましくはハロゲン化銀乳剤層側のゼラチン層に隣接するポリオレフィン層は微小空孔を有さず(例えばポリプロピレン、ポリエチレン)、紙基体上に近い側に微小空孔を有するポリオレフィン(例えばポリプロピレン、ポリエチレン)から成るものがより好ましい。紙基体および写真構成層の間に位置するこれら多層もしくは一層のポリオレフィン層の密度は0.40〜1.0g/mlであることが好ましく、0.50〜0.70g/mlがより好ましい。また、紙基体および写真構成層の間に位置するこれら多層もしくは一層のポリオレフィン層の厚さは10〜100μmが好ましく、15〜70μmがさらに好ましい。また、ポリオレフィン層と紙基体の厚さの比は0.05〜0.2が好ましく、0.1〜0.5がさらに好ましい。
【0090】
また、上記紙基体の写真構成層とは逆側(裏面)にポリオレフィン層を設けることも、反射支持体の剛性を高める点から好ましく、この場合、裏面のポリオレフィン層は表面が艶消しされたポリエチレンまたはポリプロピレンが好ましく、ポリプロピレンがより好ましい。裏面のポリオレフィン層は5〜50μmが好ましく、10〜30μmがより好ましく、さらに密度が0.7〜1.1g/mlであることが好ましい。本発明の反射支持体において、紙基体上に設けるポリオレフィン層に関する好ましい態様については、特開平10−333277号、同10−333278号、同11−52513号、同11−65024号、EP0880065号、およびEP0880066号に記載されている例が挙げられる。
【0091】
更に前記の耐水性樹脂層中には蛍光増白剤を含有するのが好ましい。また、蛍光増白剤は感光材料の親水性コロイド層中に分散してもよい。蛍光増白剤として、好ましくは、ベンゾオキサゾール系、クマリン系、ピラゾリン系が用いることができ、更に好ましくは、ベンゾオキサゾリルナフタレン系及びベンゾオキサゾリルスチルベン系の蛍光増白剤である。使用量は、特に限定されていが、好ましくは1〜100mg/m2である。耐水性樹脂に混合する場合の混合比は、好ましくは樹脂に対して0.0005〜3質量%であり、更に好ましくは0.001〜0.5質量%である。
反射型支持体としては、透過型支持体、または上記のような反射型支持体上に、白色顔料を含有する親水性コロイド層を塗設したものでもよい。
また、反射型支持体は、鏡面反射性または第2種拡散反射性の金属表面をもつ支持体であってもよい。
【0092】
また、本発明に係わる感光材料に用いられる支持体としては、ディスプレイ用に白色ポリエステル系支持体又は白色顔料を含む層がハロゲン化銀乳剤層を有する側の支持体上に設けられた支持体を用いてもよい。更に鮮鋭性を改良するために、アンチハレーション層を支持体のハロゲン化銀乳剤層塗布側又は裏面に塗設するのが好ましい。特に反射光でも透過光でもディスプレイが観賞できるように、支持体の透過濃度を0.35〜0.8の範囲に設定するのが好ましい。
【0093】
本発明に係わる感光材料には、画像のシャープネス等を向上させる目的で親水性コロイド層に、欧州特許EP0,337,490A2号の第27〜76頁に記載の、処理により脱色可能な染料(なかでもオキソノール系染料)を感光材料の680nmに於ける光学反射濃度が0.70以上になるように添加したり、支持体の耐水性樹脂層中に2〜4価のアルコール類(例えばトリメチロールエタン)等で表面処理された酸化チタンを12質量%以上(より好ましくは14質量%以上)含有させるのが好ましい。
【0094】
本発明に係わる感光材料には、イラジエーションやハレーションを防止したり、セーフライト安全性等を向上させる目的で親水性コロイド層に、欧州特許EP0337490A2号明細書の第27〜76頁に記載の、処理により脱色可能な染料(中でもオキソノール染料、シアニン染料)を添加することが好ましい。さらに、欧州特許EP0819977号明細書に記載の染料も本発明に好ましく添加される。
これらの水溶性染料の中には使用量を増やすと色分離やセーフライト安全性を悪化するものもある。色分離を悪化させないで使用できる染料としては、特開平5−127324号、同5−127325号、同5−216185号に記載された水溶性染料が好ましい。
【0095】
本発明においては、水溶性染料の代わりあるいは水溶性染料と併用して処理で脱色可能な着色層が用いられる。用いられる処理で脱色可能な着色層は、乳剤層に直かに接してもよく、ゼラチンやハイドロキノンなどの処理混色防止剤を含む中間層を介して接するように配置されていても良い。この着色層は、着色された色と同種の原色に発色する乳剤層の下層(支持体側)に設置されることが好ましい。各原色毎に対応する着色層を全て個々に設置することも、このうちに一部のみを任意に選んで設置することも可能である。また複数の原色域に対応する着色を行った着色層を設置することも可能である。着色層の光学反射濃度は、露光に使用する波長域(通常のプリンター露光においては400nm〜700nmの可視光領域、走査露光の場合には使用する走査露光光源の波長)において最も光学濃度の高い波長における光学濃度値が0.2以上3.0以下であることが好ましい。さらに好ましくは0.5以上2.5以下、特に0.8以上2.0以下が好ましい。
【0096】
着色層を形成するためには、従来公知の方法が適用できる。例えば、特開平2−282244号3頁右上欄から8頁に記載された染料や、特開平3−7931号3頁右上欄から11頁左下欄に記載された染料のように固体微粒子分散体の状態で親水性コロイド層に含有させる方法、アニオン性色素をカチオンポリマーに媒染する方法、色素をハロゲン化銀等の微粒子に吸着させて層中に固定する方法、特開平1−239544号に記載されているようなコロイド銀を使用する方法などである。色素の微粉末を固体状で分散する方法としては、たとえば、少なくともpH6以下では実質的に水不溶性であるが、少なくともpH8以上では実質的に水溶性である微粉末染料を含有させる方法が特開平2−308244号の第4〜13頁に記載されている。また、例えば、アニオン性色素をカチオンポリマーに媒染する方法としては、特開平2−84637号の第18〜26頁に記載されている。光吸収剤としてのコロイド銀の調製法については米国特許第2,688,601号、同3,459,563号に示されている。これらの方法のなかで微粉末染料を含有させる方法、コロイド銀を使用する方法などが好ましい。
【0097】
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤中のハロゲン化銀粒子は、好ましくは実質的に{100}面を持つ立方体または14面体の結晶粒子(これらは粒子頂点が丸みを帯び、さらに高次の面を有していてもよい)または8面体の結晶粒子、または全投影面積の50%以上が{100}面または{111}面からなるアスペクト比2以上の平板状粒子が好ましい。アスペクト比とは、投影面積に相当する円の直径を粒子の厚さで割った値である。本発明では、立方体または{100}面を主平面とする平板状粒子または{111}面を主平面とする平板状粒子が好ましく適用される。
【0098】
本発明に用いるハロゲン化銀乳剤としては、塩化銀、臭化銀、沃臭化銀、塩(沃)臭化銀乳剤等が用いられるが、迅速処理性の観点からは、塩化銀含有率が95モル%以上の塩化銀または塩臭化銀乳剤が好ましく、更には塩化銀含有率が98モル%以上のハロゲン化銀乳剤が好ましい。このようなハロゲン化銀乳剤の中でも、塩化銀粒子の表面に臭化銀局在相を有するものが、高感度が得られ、しかも写真性能の安定化が図れることから特に好ましい。
【0099】
臭化銀局在相は、臭化銀局在相中の全臭化銀含有率において、少なくとも10モル%以上の局在相をエピタキシャル成長させてつくることが好ましい。臭化銀局在相の臭化銀含有率は、10〜60モル%の範囲が好ましく、20〜50モル%の範囲が最も好ましい。臭化銀局在相は、本発明におけるハロゲン化銀粒子を構成する全銀量の0.1〜5モル%の銀から構成されていることが好ましく、0.3〜4モル%の銀から構成されていることが更に好ましい。臭化銀局在相中には、塩化第1イリジウム(III)、臭化第1イリジウム(III)、塩化第2イリジウム(IV)、ヘキサクロロイリジウム(III)酸ナトリウム、ヘキサクロロイリジウム(IV)酸カリウム、ヘキサアンミンイリジウム(IV)塩、トリオキザラトイリジウム(III)塩、トリオキザラトイリジウム(IV)塩等の第VIII族金属錯イオンを含有させることが好ましい。これらの化合物の添加量は目的に応じて広範囲にわたるが、ハロゲン化銀1モルに対して10-9〜10-2モルが好ましい。
【0100】
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤は、乳剤粒子形成もしくは物理熟成の過程において、イリジウム以外にも種々の多価金属イオン不純物を導入することができる。使用する化合物の例としては、鉄、ルテニウム、オスミウム、レニウム、ロジウム、カドミウム、亜鉛、鉛、銅、タリウム等の周期律表第VIII族金属の塩、もしくは錯塩を併用して用いることができる。本発明においては、少なくとも4つのシアノ配位子を有する鉄、ルテニウム、オスミウム、レニウム等の金属化合物が高照度感度を更に高め、潜像増感も抑制する点で、特に好ましい。なお、イリジウム化合物は高照度露光適性付与に対し、絶大な効果をもたらす。これらの化合物の添加量は目的に応じて広範囲にわたるが、ハロゲン化銀1モルに対して10-9〜10-2モルが好ましい。
【0101】
本発明に用いるハロゲン化銀乳剤に含まれるハロゲン化銀粒子の平均粒子サイズ(粒子の投影面積と等価な円の直径を以て粒子サイズとし、その数平均をとったもの)は、0.1μm〜2μmが好ましい。
また、それらの粒子サイズ分布は変動係数(粒子サイズ分布の標準偏差を平均粒子サイズで除したもの)20%以下、望ましくは15%以下、更に好ましくは10%以下の所謂単分散なものが好ましい。このとき、広いラチチュードを得る目的で上記の単分散乳剤を同一層にブレンドして使用することや、重層塗布することも好ましく行われる。
【0102】
本発明に用いるハロゲン化銀乳剤には、感光材料の製造工程、保存中あるいは写真処理中のかぶりを防止する、あるいは写真性能を安定化させる目的で種々の化合物あるいはそれ等の前駆体を添加することができる。これらの化合物の具体例は前出の特開昭62−215272号公報明細書の第39頁〜第72頁に記載のものが好ましく用いられる。更にEP0447647号に記載された5−アリールアミノ−1,2,3,4−チアトリアゾール化合物(該アリール残基には少なくとも一つの電子吸引性基を持つ)も好ましく用いられる。
【0103】
また、本発明において、ハロゲン化銀乳剤の保存性を高めるため、特開平11−109576号に記載のヒドロキサム酸誘導体、特開平11−327094号に記載のカルボニル基に隣接して、両端がアミノ基もしくはヒドロキシル基が置換した二重結合を有す環状ケトン類(特に一般式(S1)で表されるもので、段落番号0036〜0071は本願の明細書に取り込むことができる。)、特開平11−143011号に記載のスルホ置換のカテコールやハイドロキノン類(例えば、4,5−ジヒドロキシ−1,3−ベンゼンジスルホン酸、2,5−ジヒドロキシ−1,4−ベンゼンジスルホン酸、3,4−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸、2,3−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸、2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸、3,4,5−トリヒドロキシベンゼンスルホン酸およびこれらの塩など)、特開平11−102045号の一般式(I)〜(III)で表される水溶性還元剤、米国特許第5,556,741号の一般式(A)で表されるヒドロキシルアミン類(米国特許第5,556,741号の第4欄の第56行〜第11欄の第22行の記載は本願においても好ましく適用され、本願の明細書の一部として取り込まれる)等は本発明においても好ましく使用される。
【0104】
分光増感は、本発明の感光材料における各層の乳剤に対して所望の光波長域に分光感度を付与する目的で行われる。
本発明の感光材料において、青、緑、赤領域の分光増感に用いられる分光増感色素としては例えば、F.M.Harmer著Heterocyclic compounds-Cyanine dyes and related compounds (John Wiley & Sons [New York,London]社刊1964年)に記載されているものを挙げることができる。具体的な化合物の例ならびに分光増感法は、前出の特開昭62−215272号公報の第22頁右上欄〜第38頁に記載のものが好ましく用いられる。また、特に塩化銀含有率の高いハロゲン化銀乳剤粒子の赤感光性分光増感色素としては特開平3−123340号に記載された分光増感色素が安定性、吸着の強さ、露光の温度依存性等の観点から非常に好ましい。
【0105】
これらの分光増感色素の添加量は場合に応じて広範囲にわたり、ハロゲン化銀1モルあたり0.5×10-6モル〜1.0×10-2モルの範囲が好ましい。更に好ましくは、1.0×10-6モル〜5.0×10-3モルの範囲である。
【0106】
本発明に用いるハロゲン化銀乳剤は、通常化学増感を施される。化学増感法については、不安定硫黄化合物の添加に代表される硫黄増感、金増感に代表される貴金属増感、あるいは還元増感等を単独もしくは併用して用いることができる。化学増感に用いられる化合物については、特開昭62−215272号の第18頁右下欄から第22頁右上欄に記載のものが好ましく用いられる。このうち、特に、金増感を施したものであることが好ましい。金増感を施すことにより、レーザー光等によって走査露光したときの写真性能の変動を更に小さくすることができるからである。金増感を施すには、塩化金酸もしくはその塩、チオシアン酸金類、チオ硫酸金類または硫化金コロイド等の化合物を用いることができる。これらの化合物の添加量は場合に応じて広範囲に変わり得るがハロゲン化銀1モルあたり5×10-7〜5×10-3モル、好ましくは1×10-6〜1×10-4モルである。本発明においては、金増感を他の増感法、例えば硫黄増感、セレン増感、テルル増感、還元増感あるいは金化合物以外を用いた貴金属増感等と組み合わせてもよい。
【0107】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料は、カラーネガフィルム、カラーポジフィルム、カラー反転フィルム、カラー反転印画紙、カラー印画紙等に用いられるが、中でもカラー印画紙として用いるのが好ましい。
カラー印画紙は、イエロー発色性ハロゲン化銀乳剤層、マゼンタ発色性ハロゲン化銀乳剤層およびシアン発色性ハロゲン化銀乳剤層をそれぞれ少なくとも1層ずつ有してなることが好ましく、一般には、これらのハロゲン化銀乳剤層は支持体から近い順にイエロー発色性ハロゲン化銀乳剤層、マゼンタ発色性ハロゲン化銀乳剤層、シアン発色性ハロゲン化銀乳剤層である。
【0108】
しかしながら、これとは異なった層構成を取っても構わない。
例えば、前記一般式(I)で表されるカプラーをイエローカプラーとして機能させる場合、該イエロ−カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層は支持体上のいずれの位置に配置されてもかまわないが、該イエローカプラー含有層にハロゲン化銀平板粒子を含有する場合は、マゼンタカプラー含有ハロゲン化銀乳剤層またはシアンカプラー含有ハロゲン化銀乳剤層の少なくとも一層よりも支持体から離れた位置に塗設されていることが好ましい。また、発色現像促進、脱銀促進、増感色素による残色の低減の観点からは、イエロ−カプラー含有ハロゲン化銀乳剤層は他のハロゲン化銀乳剤層より、支持体から最も離れた位置に塗設されていることが好ましい。更に、Blix退色の低減の観点からはシアンカプラー含有ハロゲン化銀乳剤層は他のハロゲン化銀乳剤層の中央の層が好ましく、光退色の低減の観点からはシアンカプラー含有ハロゲン化銀乳剤層は最下層が好ましい。また、イエロー、マゼンタおよびシアンのそれぞれの発色性層は2層または3層からなってもよい。例えば、特開平4−75055号、同9−114035号、同10−246940号、米国特許第5,576,159号等に記載のように、ハロゲン化銀乳剤を含有しないカプラー層をハロゲン化銀乳剤層に隣接して設け、発色層とすることも好ましい。
【0109】
本発明において適用されるハロゲン化銀乳剤やその他の素材(添加剤など)および写真構成層(層配置など)、並びにこの感光材料を処理するために適用される処理法や処理用添加剤としては、特開昭62−215272号、特開平2−33144号、欧州特許EP0,355,660A2号に記載されているもの、特に欧州特許EP0,355,660A2号に記載されているものが好ましく用いられる。更には、特開平5−34889号、同4−359249号、同4−313753号、同4−270344号、同5−66527号、同4−34548号、同4−145433号、同2−854号、同1−158431号、同2−90145号、同3−194539号、同2−93641号、欧州特許公開第0520457A2号等に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料やその処理方法も好ましい。
【0110】
特に、本発明においては、前記の反射型支持体やハロゲン化銀乳剤、更にはハロゲン化銀粒子中にドープされる異種金属イオン種、ハロゲン化銀乳剤の保存安定剤またはカブリ防止剤、化学増感法(増感剤)、分光増感法(分光増感剤)、シアン、マゼンタ、イエローカプラーおよびその乳化分散法、色像保存性改良剤(ステイン防止剤や褪色防止剤)、染料(着色層)、ゼラチン種、感光材料の層構成や感光材料の被膜pHなどについて、表1〜2の各公報に記載のものが特に好ましく適用できる。
【0111】
【表1】
【0112】
【表2】
【0113】
本発明において併用されるシアン、マゼンタおよびイエローカプラーとしては、その他、特開昭62−215272号の第91頁右上欄4行目〜121頁左上欄6行目、特開平2−33144号の第3頁右上欄14行目〜18頁左上欄末行目と第30頁右上欄6行目〜35頁右下欄11行目やEP0355,660A2号の第4頁15行目〜27行目、5頁30行目〜28頁末行目、45頁29行目〜31行目、47頁23行目〜63頁50行目に記載のカプラーも有用である。
また、本発明はWO−98/33760の一般式(II)および(III)、特開平10−221825号の一般式(D)で表される化合物を添加しても良く、好ましい。
【0114】
本発明のハロゲン化銀写真感光材料において、前記一般式(I)で表される色素形成カプラーは単独で使用しても、併用してもよい。前記カプラーをイエローカプラーとする場合、併用してもよい他のイエローカプラーとしては、前記表中に記載の化合物の他に、欧州特許EP0447969A1号明細書に記載のアシル基に3〜5員の環状構造を有するアシルアセトアミド型イエローカプラー、欧州特許EP0482552A1号明細書に記載の環状構造を有するマロンジアニリド型イエローカプラー、欧州公開特許第953870A1号、同第953871A1号、同第953872A1号、同第953873A1号、同第953874A1号、同第953875A1号等に記載のピロール−2または3−イルもしくはインドール−2または3−イルカルボニル酢酸アニリド系カプラー、米国特許第5,118,599号明細書に記載されたジオキサン構造を有するアシルアセトアミド型イエローカプラーが好ましく用いられる。その中でも、アシル基が1−アルキルシクロプロパン−1−カルボニル基であるアシルアセトアミド型イエローカプラー、アニリドの一方がインドリン環を構成するマロンジアニリド型イエローカプラーとの併用が特に好ましい。
【0115】
本発明において、シアンカプラーとしては、フェノール系、ナフトール系のシアンカプラーや複素環系のカプラーが好ましい。
フェノール系カプラーとしては、上表以外に、例えば、特開平10−333297号に記載の一般式(ADF)で表されるシアンカプラーが好ましい。
また、色相と堅牢性の改良された米国特許第5,888,716号に記載の2,5−ジアシルアミノフェノールカプラーは好ましく使用される。
【0116】
複素環系カプラーとしては、欧州特許EP0488248号明細書及びEP0491197A1号明細書に記載のピロロアゾール型シアンカプラー、米国特許第4,873,183号、同第4,916,051号に記載の6位に電子吸引性基、水素結合基を有するピラゾロアゾール型シアンカプラー、特に、特開平8−171185号、同8−311360号、同8−339060号に記載の6位にカルバモイル基を有するピラゾロアゾール型シアンカプラーとの併用も好ましい。
なお、これらのシアンカプラーのうち、特開平11−282138号に記載の一般式(I)で表されるピロロアゾール系シアンカプラーが特に好ましく、該公報の段落番号0012〜0059の記載は例示シアンカプラー(1)〜(47)を含め、本願にそのまま適用され、本願の明細書の一部として好ましく取り込まれる。
【0117】
また、特開平2−33144号公報に記載のジフェニルイミダゾール系シアンカプラーの他に、欧州特許EP0333185A2号明細書に記載の3−ヒドロキシピリジン系シアンカプラー(なかでも具体例として列挙されたカプラー(42)の4当量カプラーに塩素離脱基をもたせて2当量化したものや、カプラー(6)や(9)が特に好ましい)や特開昭64−32260号公報に記載された環状活性メチレン系シアンカプラー(なかでも具体例として列挙されたカプラー例3、8、34が特に好ましい)、欧州特許EP0456226A1号明細書に記載のピロロピラゾール型シアンカプラー、欧州特許EP0484909号に記載のピロロイミダゾール型シアンカプラーとの併用することもできる。
【0118】
本発明に用いられるマゼンタカプラーとしては、前記の表の公知文献に記載されたような5−ピラゾロン系マゼンタカプラーやピラゾロアゾール系マゼンタカプラーが用いられるが、中でも色相や画像安定性、発色性等の点で特開昭61−65245号に記載されたような2級又は3級アルキル基がピラゾロトリアゾール環の2、3又は6位に直結したピラゾロトリアゾールカプラー、特開昭61−65246号に記載されたような分子内にスルホンアミド基を含んだピラゾロアゾールカプラー、特開昭61−147254号に記載されたようなアルコキシフェニルスルホンアミドバラスト基を持つピラゾロアゾールカプラーや欧州特許第226,849A号や同第294,785A号に記載されたような6位にアルコキシ基やアリールオキシ基をもつピラゾロアゾールカプラーの使用が好ましい。
特に、マゼンタカプラーとしては特開平8−122984号に記載の一般式(M−I)で表されるピラゾロアゾールカプラーが好ましく、該公報の段落番号0009〜0026はそのまま本願に適用され、本願の明細書の一部として取り込まれる。
これに加えて、欧州特許第854384号、同第884640号に記載の3位と6位の両方に立体障害基を有するピラゾロアゾールカプラーも好ましく用いられる。
【0119】
本発明のカプラー同様、マゼンタまたはシアンカプラーにおいても、前出表中記載の高沸点有機溶媒の存在下で(または不存在下で)ローダブルラテックスポリマー(例えば米国特許第4,203,716号)に含浸させて、または水不溶性かつ有機溶媒可溶性のポリマーとともに溶かして親水性コロイド水溶液に乳化分散させることが好ましい。
好ましく用いることのできる水不溶性かつ有機溶媒可溶性のポリマーは、米国特許第4,857,449号明細書の第7欄〜15欄及び国際公開WO88/00723号明細書の第12頁〜30頁に記載の単独重合体または共重合体が挙げられる。より好ましくはメタクリレート系あるいはアクリルアミド系ポリマー、特にアクリルアミド系ポリマーの使用が色像安定性等の上で好ましい。
また、漂白液または漂白定着液によるブリックス退色(復色不良)の抑制の点で、親水性コロイド層中に、特開平8−62797号、特開平9−171240号、特開平9−329861号に記載の重合体を用いるのが好ましい。
【0120】
本発明においては公知の混色防止剤を用いることができるが、その中でも以下に挙げる公報に記載のものが好ましい。
例えば、特開平5−333501号に記載の高分子量のレドックス化合物、WO98/33760号、米国特許第4,923,787号等に記載のフェニドンやヒドラジン系化合物、特開平5−249637号、特開平10−282615号および独国特許第19629142A1号等に記載のホワイトカプラーを用いることができる。また、特に現像液のpHを上げ、現像の迅速化を行う場合には独国特許第19618786A1号、欧州特許第839623A1号、欧州特許第842975A1号、独国特許19806846A1号および仏国特許第2760460A1号等に記載のレドックス化合物を用いることも好ましい。
【0121】
本発明においては紫外線吸収剤としてモル吸光係数の高いトリアジン骨核を有する化合物を用いることが好ましく、例えば、以下の公報に記載の化合物を用いることができる。
特開昭46−3335号、同55−152776号、特開平5−197074号、同5−232630号、同5−307232号、同6−211813号、同8−53427号、同8−234364号、同8−239368号、同9−31067号、同10−115898号、同10−147577号、同10−182621号、独国特許第19739797A号、欧州特許第711804A号および特表平8−501291号等に記載されている化合物である。
【0122】
本発明においては、上表以外の退色防止剤、色相調節剤等として、特開平11−258748号に記載の一般式(II)で表されるビニル化合物、一般式(III)で表される酸素−窒素結合を有するかもしくはアルコキシ置換アニリン誘導体、一般式(IV)で表される耐拡散性フェニドン誘導体、一般式(V)で表される耐拡散性カルボン酸、一般式(VI)で表される耐拡散性アリールカルバモイル誘導体、一般式(VII)で表されるアリールアミド誘導体、一般式(VIII)で表される環状イミド誘導体が挙げられ、いずれも好ましく使用することができる。
【0123】
本発明に係わる感光材料に用いることのできる結合剤又は保護コロイドとしては、ゼラチンを用いることが有利であるが、それ以外の親水性コロイドを単独であるいはゼラチンとともに用いることができる。好ましいゼラチンとしては、鉄、銅、亜鉛、マンガン等の不純物として含有される重金属は、好ましくは5ppm以下、更に好ましくは3ppm以下である。
また、感光材料中に含まれるカルシウム量は、好ましくは20mg/m2以下、更に好ましくは10mg/m2以下、最も好ましくは5mg/m2以下である。
本発明においては、親水性コロイド層中に繁殖して画像を劣化させる各種の黴や細菌を防ぐために、特開昭63−271247号公報に記載のような防菌・防黴剤を添加するのが好ましい。
さらに、感光材料の被膜pHは4.0〜7.0が好ましく、より好ましくは4.0〜6.5である。
【0124】
本発明の感光材料は、通常のネガプリンターを用いたプリントシステムに使用される以外に、陰極線(CRT)を用いた走査露光方式にも適している。
陰極線管露光装置は、レーザーを用いた装置に比べて、簡便でかつコンパクトであり、低コストになる。また、光軸や色の調整も容易である。
画像露光に用いる陰極線管には、必要に応じてスペクトル領域に発光を示す各種発光体が用いられる。例えば赤色発光体、緑色発光体、青色発光体のいずれか1種、あるいは2種以上が混合されて用いられる。スペクトル領域は、上記の赤、緑、青に限定されず、黄色、橙色、紫色或いは赤外領域に発光する蛍光体も用いられる。特に、これらの発光体を混合して白色に発光する陰極線管がしばしば用いられる。
【0125】
感光材料が異なる分光感度分布を有する複数の感光性層を持ち、陰極性管も複数のスペクトル領域の発光を示す蛍光体を有する場合には、複数の色を一度に露光、即ち陰極線管に複数の色の画像信号を入力して管面から発光させてもよい。各色ごとの画像信号を順次入力して各色の発光を順次行わせ、その色以外の色をカットするフィルムを通して露光する方法(面順次露光)を採っても良く、一般には、面順次露光の方が、高解像度の陰極線管を用いることができるため、高画質化のためには好ましい。
【0126】
本発明の感光材料は、ガスレーザー、発光ダイオード、半導体レーザー、半導体レーザーあるいは半導体レーザーを励起光源に用いた固体レーザーと非線形光学結晶を組合わせた第二高調波発光光源(SHG)等の単色高密度光を用いたデジタル走査露光方式が好ましく使用される。システムをコンパクトで、安価なものにするために半導体レーザー、半導体レーザーあるいは固体レーザーと非線形光学結晶を組合わせた第二高調波発生光源(SHG)を使用することが好ましい。特にコンパクトで、安価、更に寿命が長く安定性が高い装置を設計するためには半導体レーザーの使用が好ましく、露光光源の少なくとも一つは半導体レーザーを使用することが好ましい。
【0127】
このような走査露光光源を使用する場合、本発明の感光材料の分光感度極大波長は、使用する走査露光用光源の波長により任意に設定することができる。半導体レーザーを励起光源に用いた固体レーザーあるいは半導体レーザーと非線形光学結晶を組合わせて得られるSHG光源では、レーザーの発振波長を半分にできるので、青色光、緑色光が得られる。従って、感光材料の分光感度極大は通常の青、緑、赤の3つの波長領域に持たせることが可能である。
このような走査露光における露光時間は、画素密度を400dpiとした場合の画素サイズを露光する時間として定義すると、好ましい露光時間としては10-4秒以下、更に好ましくは10-6秒以下である。
【0128】
本発明に適用できる好ましい走査露光方式については、前記の表に掲示した公報に詳しく記載されている。
また本発明の感光材料を処理するには、特開平2−207250号の第26頁右下欄1行目〜34頁右上欄9行目、及び特開平4−97355号の第5頁左上欄17行目〜18頁右下欄20行目に記載の処理素材や処理方法が好ましく適用できる。また、この現像液に使用する保恒剤としては、前記の表に掲示した公報に記載の化合物が好ましく用いられる。
【0129】
本発明は迅速処理適性を有する感光材料に好ましく適用される。
発色現像時間とは、感光材料が発色現像液中に入ってから次の処理工程の漂白定着液に入るまでの時間をいう。例えば、自動現像機などで処理される場合には、感光材料が発色現像液中に浸漬されている時間(いわゆる液中時間)と、感光材料が発色現像液を離れ次の処理工程の漂白定着浴に向けて空気中を搬送されている時間(いわゆる空中時間)との両者の合計を発色現像時間という。同様に、漂白定着時間とは、感光材料が漂白定着液中に入ってから次の水洗又は安定浴に入るまでの時間をいう。また、水洗又は安定化時間とは、感光材料が水洗又は安定化液中に入ってから乾燥工程に向けて液中にある時間(いわゆる液中時間)をいう。
【0130】
本発明においては、発色現像時間は好ましくは60秒以下、更に好ましくは50秒以下6秒以上、より好ましくは30秒以下6秒以上である。同様に、漂白定着時間は好ましくは60秒以下、更に好ましくは50秒以下6秒以上、より好ましくは30秒以下6秒以上である。また、水洗又は安定化時間は、好ましくは150秒以下、更に好ましくは130秒以下6秒以上である。
【0131】
本発明の感光材料を露光後、現像する方法としては、従来のアルカリ剤と現像主薬を含む現像液で現像する方法、現像主薬を感光材料に内蔵し、現像主薬を含まないアルカリ液などのアクチベーター液で現像する方法などの湿式方式のほか、処理液を用いない熱現像方式などを用いることができる。特に、アクチベーター方法は、現像主薬を処理液に含まないため、処理液の管理や取扱いが容易であり、また廃液処理時の負荷が少なく環境保全上の点からも好ましい方法である。
アクチベーター方法において、感光材料中に内蔵される現像主薬またはその前駆体としては、例えば、特開平8−234388号、同9−152686号、同9−152693号、同9−211814号、同9−160193号に記載されたヒドラジン型化合物が好ましい。
【0132】
また、感光材料の塗布銀量を低減し、過酸化水素を用いた画像増幅処理(補力処理)する現像方法も好ましく用いられる。特に、この方法をアクチベーター方法に用いることは好ましい。具体的には、特開平8−297354号、同9−152695号に記載された過酸化水素を含むアクチベーター液を用いた画像形成方法が好ましく用いられる。
アクチベーター方法において、アクチベーター液で処理後、通常脱銀処理されるが、低銀量の感光材料を用いた画像増幅処理方法では、脱銀処理を省略し、水洗または安定化処理といった簡易な方法を行うことができる。また、感光材料から画像情報をスキャナー等で読み取る方式では、撮影用感光材料などの様に高銀量の感光材料を用いた場合でも、脱銀処理を不要とする処理形態を採用することができる。
【0133】
本発明で用いられるアクチベーター液、脱銀液(漂白/定着液)、水洗および安定化液の処理素材や処理方法は公知のものを用いることができる。好ましくは、リサーチ・ディスクロージャーItem 36544(1994年9月)第536頁〜第541頁、特開平8−234388号に記載されたものを用いることができる。
【0134】
本発明の感光材料をプリンター露光する際、米国特許第4,880,726号に記載のバンドストップフィルターを用いることが好ましい。これによって光混色が取り除かれ、色再現性が著しく向上する。
本発明においては、欧州特許EP0789270A1や同EP0789480A1号に記載のように、画像情報を付与する前に、予め、黄色のマイクロドットパターンを前露光し、複写規制を施しても構わない。
【0135】
本発明の感光材料は、磁気記録層を有するアドバンストフォトシステム用の感光材料としても、好ましく適用することができる。また、本発明の感光材料は、少量の水を用いて加熱現像するシステムや水を全く用いずに加熱現像する完全ドライシステム用にも、好ましく適用できる。これらのシステムについては、特開平6−35118号、同6−17528号、特開昭56−146133号、同60−119557号、特開平1−161236号等に詳しい記載がある。
【0136】
なお、本発明において、ハロゲン化銀写真感光材料とは、色画像を形成する感光材料のみならず、黒白画像を含めたモノトーンの画像を形成する感光材料をも含む概念である。
【0137】
本発明のカプラーが、カラーペーパーに適用される場合は、特開平11−7109号に記載の感光材料等が好ましく、特に該特開平11−7109号の段落番号0071〜0087の記載は本願の明細書の一部としてそのまま取り込まれる。
本発明のカプラーが、カラーネガフイルムに適用される場合は、特開平11−305396号の明細書の段落番号0115〜0217の記載が好ましく適用され、本願の明細書の一部として取り込まれる。
本発明のカプラーが、カラー反転フイルムに適用される場合は、特開平11−84601号の明細書の段落番号0018〜0021の記載が好ましく適用され、本願の明細書の一部として取り込まれる。
【0138】
(アゾメチン色素)
次に本発明の一般式(II)で表される化合物(本願ではアゾメチン色素とも称す)を詳細に説明する。
【0139】
【化21】
【0140】
一般式(II)において、R1、R4、Q、Xは一般式(I)におけるものと同じものを表す。さらに一般式(I)におけるものと同じものが好ましい。
【0141】
一般式(II)において、R5、R6は水素原子または置換基を表す。R7は水素原子または置換基を表し、nは0または1から4の整数を表す。 R5、R6、R7が置換基を表す時、置換基の例としては前述のR4の置換基の例として挙げたものが挙げられる。
nが0以外のとき、R7はそれぞれ同じであっても異なっていてもよく、これらは互いに結合し、縮環していてもよい。またR7は、R5もしくはR6と互いに結合し、縮環していてもよい。
【0142】
R7は好ましくは水素原子、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキル基、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルケニル基、炭素数6〜30の置換又は無置換のアリール基、炭素数1〜30の置換又は無置換のアルコキシ基、ハロゲン原子または炭素数1〜30の置換又は無置換のアシルアミノ基であり、より好ましくは水素原子、アルキル基である。さらに好ましくはR7はアゾメチン窒素に対してオルト位のメチル基であることが好ましい。
【0143】
R5、R6は好ましくは炭素数1〜30の置換又は無置換のアルキル基または炭素数6〜30の置換又は無置換のアリール基である。より好ましくはアルキル基であり、さらに好ましくはR5、R6のうち一方がエチル基、もう一方が2−ヒドロキシエチル基もしくは2−メタンスルホンアミドエチル基である。
【0144】
本発明において一般式(II)で表されるアゾメチン色素のうち、好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0145】
【化22】
【0146】
【化23】
【0147】
【化24】
【0148】
【化25】
【0149】
【化26】
【0150】
本発明の一般式(II)で表される化合物は、本発明の一般式(I)で表される化合物とフェニレンジアミン系現像主薬、特にN,N−ジ置換−p−フェニレンジアミン誘導体の酸化体とをカップリング反応させることにより合成できる。また本発明の一般式(I)で表される化合物でYが水素原子のものと、4−ニトロソアニリン系化合物とを反応させることによっても合成することができる。合成法に関しては、以後の実施例で示す。
【0151】
本発明のアゾメチン色素化合物は、その優れた色相および堅牢性の点で、多くの応用が可能である。特に、インク、染料等にも有効であるが、画像用途の色素、例えばインクジェットプリンター用のインク用の染料などに有効であるが、カラー写真用途の染料として有用である。
【0152】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0153】
<比較例1〜2>
1.比較色素(CD−1)の調製
下記比較カプラー(C−1):0.85g、N−エチル−N−(β−メタンスルホンアミドエチル)−3−メチル−4−アミノアニリン硫酸塩:0.80g、炭酸ナトリウム:3.75g、THF:60ml、および、水、50mlの混合物の中に、過硫酸アンモニウム:1.45gを水:10mlに溶解した液を室温、攪拌下、徐々に加えた。1時間、攪拌した後、THF層を分離し、シリカゲルクロマトグラフィーにて精製し、下記比較用のイエローアゾメチン色素である比較色素(CD−1)を得た。
【0154】
【化27】
【0155】
2.比較色素(CD−2)の調製
下記比較カプラー(C−2)(米国特許第5455149号に記載の化合物(2)):0.73g、N−エチル−N−(β−メタンスルホンアミドエチル)−3−メチル−4−アミノアニリン硫酸塩:0.80g、炭酸ナトリウム:3.75g、THF:60ml、および、水、50mlの混合物の中に、過硫酸アンモニウム:1.45gを水:10mlに溶解した液を室温、攪拌下、徐々に加えた。10分間、60℃にて攪拌した後、THF層を分離し、シリカゲルクロマトグラフィーにて精製し、下記比較用のイエローアゾメチン色素である比較色素(CD−2)を得た。
【0156】
【化28】
【0157】
<実施例1〜4>
1.色素(D−1)〜(D−4)の調製
比較例2の「比較色素(CD−2)の調製」において、比較カプラー(C−2)の代わりに、本発明における前述の例示カプラー(1)、カプラー(2)、カプラー(20)およびカプラー(30)をそれぞれ用いたこと以外は比較例2と同様にして、本発明の色素形成カプラーから得られるアゾメチン色素である、下記色素D−1(カプラー(1)を用いたもの)、D−2(カプラー(2)を用いたもの)、D−3(カプラー(20)を用いたもの)、D−4(カプラー(30)を用いたもの)を合成した。
【0158】
【化29】
【0159】
<吸収スペクトルの測定>
以上の比較例1〜2および実施例1〜4で得られた比較色素(CD−1)、(CD−2)および色素(D−1)〜(D−4)について、それぞれ以下のようにして吸収スペクトルを測定した。
比較色素(CD−1)〜(CD−2)、色素(D−1)〜(D−4)のいずれか1.5mgを100mlメスフラスコに精秤し、酢酸エチル:100mlを加え溶解し、酢酸エチルで希釈して試料溶液101(比較色素(CD−1)を用いたもの)、試料溶液102(比較色素(CD−2)を用いたもの)、試料溶液103(色素(D−1)を用いたもの)、試料溶液104(色素(D−2)を用いたもの)、試料溶液105(色素(D−3)を用いたもの)、および試料溶液106(色素(D−4)を用いたもの)を調製した。
【0160】
得られた試料溶液101〜106を厚さ1cmの石英セルに入れて、島津製作所(株)製、紫外可視分光光度計で可視吸収スペクトルを測定し、分子吸光係数を算出した。また色素の吸収の長波側すそ切れを表すパラメーターとして、最大吸収波長λmaxの吸光度(A)を1としたときの、長波側のA=0.05での波長(λ(0.05))を読み、ΔS(0.05)=λmax−λ(0.05) としてそれぞれの色素でΔS(0.05)/nmを求めた。結果を表3に示す。
【0161】
【表3】
【0162】
表3より、本発明における色素形成カプラーから得られる色素は、比較用の色素形成カプラーから得られる色素に対して、分子吸光係数が大きいことがわかり、より薄層で従来と同じ濃度を出すことが可能となる。またΔS(0.05)が小さく、長波側のすそ切れがよいことがわかる。これは、当該カプラーを用いたハロゲン化銀写真感光材料においては、イエロー色素に赤みが含まれる割合が小さいことから、得られる画像の色再現性、特にレモンイエロー色の再現性が良化するとともに鮮鋭性が良化することを意味する。
【0163】
<色素の酸退色試験>
以上の比較例1〜2および実施例1〜4で得られた比較色素(CD−1)〜(CD−2)、および、色素(D−1)〜(D−4)について、それぞれ以下のようにして酸退色試験をおこなった。
比較色素(CD−1)〜(CD−2)、色素(D−1)〜(D−4)のいずれかを1.0mgをNMP(1−メチル−2−ピロリジノン・ペプチド合成用純度99%)15mlに溶解させ、試料溶液201(比較色素(CD−1)を用いたもの)、試料溶液202(比較色素(CD−2)を用いたもの)、試料溶液203(色素(D−1)を用いたもの)、試料溶液204(色素(D−2)を用いたもの)、試料溶液205(色素(D−3)を用いたもの)および試料溶液206(色素(D−4)を用いたもの)を調製した。
【0164】
ほう酸0.49gと1規定の酢酸水溶液8ml、1規定のリン酸水溶液16mlを200mlメスフラスコで調液したもの(Britton-Robinson緩衝溶液、今後B.R.bufferA液と略す)にリン酸を添加し、pHを1.15に調整して、60℃の恒温に保った。この緩衝溶液を先に調製した試料溶液201〜206に対し、全量が25mlとなるまで加え、調液直後と、60℃での恒温保存4時間後の可視吸収スペクトルを、島津製作所(株)製の紫外可視分光光度計で測定し、最大吸収波長でのそれぞれの吸光度を算出した。
酸退色試験前の試料の吸光度と酸退色試験後の試料の吸光度の比率にて濃度の割合(残存率:%)を計算し、これを色素の酸に対する堅牢性の評価指標とした。この結果を表4に示す。
【0165】
【表4】
【0166】
表4より明らかなように、本発明の色素形成カプラーから得られた色素は酸に対する堅牢性が著しく優れていることがわかる。
【0167】
<比較例3>
1.比較カプラー(C−1)の乳化分散物の調製
比較カプラー(C−1):0.88gおよびリン酸トリクレジル:2.6gを酢酸エチル:10mlに加熱溶解した(これを油相液とする)。別途、ゼラチン:4.2gを室温の水:25mlに加え、十分膨潤させた後に40℃に加温して完全に溶解させた。このゼラチン水溶液を約40℃に保ったまま、5%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液:3mlおよび先に調製した油相液を加え、ホモジナイザーにより乳化分散して乳化分散物を調製した。
【0168】
2.比較用感光材料の作成
得られた比較カプラー(C−1)の乳化分散物を用いて、以下の組成の塗布液を作製し、下塗り層を有するポエチレンラミネート紙上に、銀換算でのハロゲン化銀乳剤が0.33mmol/m2、カプラーが1mmol/m2になるように前記塗布液を塗布した。さらに、この上に2g/m2となるようにゼラチンを保護層として塗布し、比較用感光材料としての試料301を作製した。
【0169】
【0170】
【化30】
【0171】
<比較例4>
1.比較カプラー(C−2)の乳化分散物の調製
比較例3の「1.比較カプラー(C−1)の乳化分散物の調製」において、比較カプラー(C−1)の代わりに、比較カプラー(C−2)(米国特許第5455149号に記載の化合物(2))を用いたこと以外は比較例3と同様にして、比較カプラー(C−2)の乳化分散物を調製した。
【0172】
2.比較用感光材料の作成
比較例3の「2.比較用感光材料の作製」において、比較カプラー(C−1)の乳化分散物の代わりに、比較カプラー(C−2)(米国特許第5455149号に記載の化合物(2))の乳化分散物を用いたこと以外は比較例3と同様にして、比較用感光材料としての試料302を作製した。
【0173】
<実施例5〜8>
1.カプラー(1)、(2)、(20)および(30)の乳化分散物の調製
比較例3の「1.比較カプラー(C−1)の乳化分散物の調製」において、比較カプラー(C−1)の代わりに、本発明における前記例示カプラー(1)、カプラー(2)、カプラー(20)、およびカプラー(30)をそれぞれ用いたこと以外は比較例3と同様にして、本発明におけるカプラーの乳化分散物を調製した。
【0174】
2.本発明の感光材料の作成
比較例3の「2.比較用感光材料の作製」において、比較カプラー(C−1)の乳化分散物の代わりに、本発明における前記例示カプラー(1)、(2)、(20)および(30)の乳化分散物をそれぞれ用いたこと以外は比較例3と同様にして、本発明の感光材料としての試料303(カプラー(1)を用いたもの)、試料304(カプラー(2)を用いたもの)、試料305カプラー(20)を用いたもの)、および、試料306(カプラー(30)を用いたもの)を作製した。
【0175】
<色像堅牢性評価試験>
以上の比較例3、4および実施例5〜8で得られた試料301〜試料306について、それぞれ以下のようにして色像堅牢性評価試験を行った。まず、各試料を白色光でウェッジ露光し、以下に示す処理工程により発色現像処理を行った。
【0176】
【0177】
カラー現像、漂白定着、安定▲1▼、安定▲2▼および安定▲3▼の各工程については、以下に示す各処理液に上記条件で浸漬することにより処理を行った。
【0178】
(漂白定着工程における漂白定着液)
・水 800ml
・エチレンジアミン四酢酸鉄(III)アンモニウム 47.0g
・エチレンジアミン四酢酸 1.4g
・m−カルボキシメチルベンゼンスルフィン酸 8.3g
・硝酸(67%) 16.5g
・イミダゾール 14.6g
・チオ硫酸アンモニウム水溶液(750g/リットル) 107ml
・亜硫酸アンモニウム 16.0g
・メタ重亜硫酸カリウム 23.1g
・水を加えて 1000ml
pH(25℃/酢酸およびアンモニアにて調整) 6.0
【0179】
(安定▲1▼〜▲3▼工程における安定液)
・塩素化イソシアヌール酸ナトリウム 0.02g
・脱イオン水(導電度5μS/cm以下) 1000ml
pH 6.5
【0180】
処理後の試料はそれぞれイエロー発色し、比較感光材料の試料301および試料302に比べ、本発明の感光材料の試料303〜306は色相が鮮鋭であった。
【0181】
次に、これら発色現像処理まで行った試料301〜試料306をそれぞれ10万ルックスXe光源下、14日間照射(5時間明/1時間暗の間欠照射)の条件で、色像光堅牢性の評価を行った。D=1.0における残存率の結果を表5に示した。
表5より明らかなように、本発明の感光材料は、光堅牢性に優れていることがわかる。
【0182】
【表5】
【0183】
実施例9
紙の両面をポリエチレン樹脂で被覆してなる支持体の表面に、コロナ放電処理を施した後、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含むゼラチン下塗層を設け、さらに第一層〜第七層の写真構成層を順次塗設して、以下に示す層構成のハロゲン化銀カラー写真感光材料の試料(001)を作製した。各写真構成層用の塗布液は、以下のようにして調製した。
【0184】
第一層塗布液調製
イエローカプラー(ExY)62g、色像安定剤(Cpd−1)8g、色像安定剤(Cpd−2)4g、色像安定剤(Cpd−3)8g、色像安定剤(Cpd−8)2gを溶媒(Solv−1)23g及び酢酸エチル80mlに溶解し、この液を4gのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含む23.5質量%ゼラチン水溶液220g中に高速攪拌乳化機(ディゾルバー)で乳化分散し、水を加えて900gの乳化分散物Aを調製した。
一方、塩臭化銀乳剤A(立方体、平均粒子サイズ0.72μmの大サイズ乳剤Aと0.60μmの小サイズ乳剤Aとの3:7混合物(銀モル比)。粒子サイズ分布の変動係数はそれぞれ0.08と0.10。各サイズ乳剤とも臭化銀0.3モル%を、塩化銀を基体とする粒子表面の一部に局在含有させた)を調製した。
この乳剤には下記に示す青感性増感色素A、BおよびCをハロゲン化銀1モル当り、大サイズ乳剤に対してはそれぞれ1.4×10-4モル、小サイズ乳剤に対してはそれぞれ1.7×10-4モル添加されている。また、この乳剤の化学熟成は硫黄増感剤と金増感剤が添加して最適に行われた。
前記乳化分散物Aとこの塩臭化銀乳剤Aとを混合溶解し、後記組成となるように第一層塗布液を調製した。乳剤塗布量は銀量換算塗布量を示す。
【0185】
(第二層〜第七層塗布液の調製)
第二層〜第七層の塗布液も第一層塗布液と同様の方法で調製した。各層のゼラチン硬化剤としては、1−オキシ−3,5−ジクロロ−s−トリアジンナトリウム塩を用いた。また、各層にAb−1、Ab−2、Ab−3およびAb−4をそれぞれ全量が15.0mg/m2、60.0mg/m2、5.0mg/m2および10.0mg/m2となるように添加した。
【0186】
【化31】
【0187】
各感光性乳剤層の塩臭化銀乳剤には以下の分光増感色素をそれぞれ用いた。
青感性乳剤層
【0188】
【化32】
【0189】
(増感色素A、BおよびCをハロゲン化銀1モル当り、大サイズ乳剤に対してはそれぞれ1.4×10-4モル、小サイズ乳剤に対してはそれぞれ1.7×10-4モル添加した。)
緑感性乳剤層
【0190】
【化33】
【0191】
(増感色素Dをハロゲン化銀1モル当り、大サイズ乳剤に対しては3.0×10-4モル、小サイズ乳剤に対しては3.6×10-4モル、また、増感色素Eをハロゲン化銀1モル当り、大サイズ乳剤に対しては4.0×10-5モル、小サイズ乳剤に対しては7.0×10-5モル、また、増感色素Fをハロゲン化銀1モル当たり、大サイズ乳剤に対しては2.0×10-4モル、小サイズ乳剤に対しては2.8×10-4モル添加した。)
赤感性乳剤層
【0192】
【化34】
【0193】
(増感色素GおよびHを、ハロゲン化銀1モル当り、大サイズ乳剤に対してはそれぞれ6.0×10-5モル、小サイズ乳剤に対してはそれぞれ9.0×10-5モル添加した。)
さらに、以下の化合物Iを赤感性乳剤層にハロゲン化銀1モル当たり2.6×10-3モル添加した。
【0194】
【化35】
【0195】
また、青感性乳剤層、緑感性乳剤層および赤感性乳剤層に対し、1−(3−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールを、それぞれハロゲン化銀1モル当り3.3×10-4モル、1.0×10-3モルおよび5.9×10-4モル添加した。さらに、第二層、第四層、第六層および第七層にも、それぞれ0.2mg/m2、0.2mg/m2、0.6mg/m2、0.1mg/m2となるように添加した。
また、青感性乳剤層および緑感性乳剤層に対し、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデンを、それぞれハロゲン化銀1モル当たり、1×10-4モル、2×10-4モル添加した。
【0196】
また、赤感性乳剤層にメタクリル酸とアクリル酸ブチルの共重合体(質量比1:1、平均分子量200000〜400000)を0.05g/m2を添加した。
また、第二層、第四層および第六層にカテコール−3,5−ジスルホン酸二ナトリウムおよび2,6−ビスヒドロキシアミノ−4−ジエチルアミノ−1,3,5−トリアジンの混合物(モル比で9:1)をそれぞれ6mg/m2、6mg/m2、18mg/m2となるように添加した。
また、イラジエーション防止のために、乳剤層に以下の染料(カッコ内は塗布量を表す)を添加した。
【0197】
【化36】
【0198】
【化37】
【0199】
(層構成)
以下に、各層の構成を示す。数字は塗布量(g/m2)を表す。ハロゲン化銀乳剤は、銀換算塗布量を表す。
支持体
ポリエチレン樹脂ラミネート紙
[第一層側のポリエチレン樹脂に白色顔料(TiO2;含有率16質量%、ZnO;含有率4質量%)と蛍光増白剤(4,4’−ビス(ベンゾオキサゾリル)スチルベンと4,4’−ビス(5−メチルベンゾオキサゾリル)スチルベンの8/2混合物:含有率0.05質量%)、青味染料(群青)を含む]
【0200】
【0201】
第二層(混色防止層)
ゼラチン 0.99
混色防止剤(Cpd−4) 0.09
混色防止助剤(Cpd−5) 0.018
安定剤(Cpd−6) 0.13
混色防止剤(Cpd−7) 0.01
溶媒(Solv−1) 0.06
溶媒(Solv−2) 0.22
【0202】
【0203】
第四層(混色防止層)
ゼラチン 0.71
混色防止剤(Cpd−4) 0.06
混色防止助剤(Cpd−5) 0.013
安定剤(Cpd−6) 0.10
混色防止剤(Cpd−7) 0.007
溶媒(Solv−1) 0.04
溶媒(Solv−2) 0.16
【0204】
【0205】
第六層(紫外線吸収層)
ゼラチン 0.66
紫外線吸収剤(UV−1) 0.19
紫外線吸収剤(UV−2) 0.06
紫外線吸収剤(UV−3) 0.06
紫外線吸収剤(UV−4) 0.05
紫外線吸収剤(UV−5) 0.08
紫外線吸収剤(UV−6) 0.01
溶媒(Solv−7) 0.25
第七層(保護層)
ゼラチン 1.00
ポリビニルアルコールのアクリル変性共重合体(変性度17%) 0.04
流動パラフィン 0.02
界面活性剤(Cpd−13) 0.01
【0206】
【化38】
【0207】
【化39】
【0208】
【化40】
【0209】
【化41】
【0210】
【化42】
【0211】
【化43】
【0212】
【化44】
【0213】
【化45】
【0214】
【化46】
【0215】
【化47】
【0216】
さらに、以上のように作製したハロゲン化銀カラー写真感光材料(001)の第一層用乳化分散物Aのイエローカプラーを前述の比較例1で使用した比較カプラー(C−1)に同モル量置換えた以外は全く同様にして感光材料401を作製した。同様にして比較例2で使用した比較カプラー(C−2)に同モル量置換えた以外は全く同様にして感光材料402を作製した。また実施例1〜4で使用した色素形成カプラーを含め、カプラー(1)、(2)、(20)、(30)、(35)および(40)に、それぞれ同モル量置換えた以外は全く同様にして、本発明の感光材料(403)〜(408)を作製した。
なお、ここで調製したイエローカプラー含有親油性微粒子分散物の平均粒子サイズはいずれも0.10〜0.20μmの範囲にあった。
上記感光材料(001)を25℃55%RHに10日間保存後、127mm巾のロール状に加工し、富士写真フイルム(株)製ミニラボプリンタープロセッサー PP1258ARを用いて像様露光、及び下記処理工程にてカラー現像タンク容量の2倍補充するまで、連続処理(ランニングテスト)を行った。
処理工程 温 度 時 間 補充量*
カラー現像 38.5℃ 45秒 45ミリリットル
漂白定着 38.0℃ 45秒 35ミリリットル
リンス(1) 38.0℃ 20秒 −
リンス(2) 38.0℃ 20秒 −
リンス(3) **38.0℃ 20秒 −
リンス(4) **38.0℃ 30秒 121ミリリットル
*感光材料1m2 当たりの補充量
**富士写真フイルム社製 リンスクリーニングシステムRC50Dをリンス(3)に装置し、リンス(3)からリンス液を取り出し、ポンプにより逆浸透膜モジュール(RC50D)へ送る。同槽で得られた透過水はリンス(4)に供給し、濃縮水はリンス(3)に戻す。逆浸透モジュールへの透過水量は50〜300ミリリットル/分を維持するようにポンプ圧を調整し、1日10時間温調循環させた。
(リンスは(1)から(4)へのタンク向流方式とした。)
【0217】
各処理液の組成は以下の通りである。
【0218】
【0219】
【0220】
次に、各感光材料に感光計(富士写真フイルム株式会社、FWH型、光源の色温度3200゜K)を用いてセンシトメトリー用三色分解光学ウエッジで階調露光を与えた。この時の露光は0.1秒の露光時間で250 lx・sec(ルクス・秒)の露光量になるように行った。
また、別途、各感光材料における露光を以下に示す走査露光を行った。
走査露光には特開平8−16238号の図1の走査露光装置を用いた。光源としては半導体レーザーを用い688nmの光源(R光)、半導体レーザーにSHGを組み合わせることで532nmの光源(G光)、473nmの光源(B光)を得た。R光の光量を外部変調器を用いて変調し、回転多面体に反射させて、走査方向に対して直行して移動する試料に走査露光した。この走査露光は、400dpiで行い、1画素当たりの平均露光時間は8×10-8秒であった。半導体レーザーは温度による光量変化を抑えるために、ペルチェ素子を用いて温度を一定にした。
【0221】
露光済みの各試料を上記ランニング処理液を用いて現像処理し、比較例3、4、実施例5〜8において行った感光材料に対する評価と同様の評価を行った。
この結果、本発明の色素形成カプラーはいずれも発色性が高く、色相および堅牢性に優れていることを確認した。
【0222】
実施例10
特開平11−305396号の試料101の第13層と第14層のExY−2及びExY−3をいずれも本発明の色素形成カプラー(1)に等モル変更したことのみ異なる感光材料を作製し、特開平11−305396号の実施例1に記載の方法で露光、現像処理し、本願の実施例に記載の方法で評価した結果、本願の実施例5と同様の結果を得た。
【0223】
実施例11
特開平11−84601号の実施例1において試料107の第13層及び第14層のカプラーC−5、C−6及びC−10、第15層のC−6及びC−10をいずれも、本発明の色素形成カプラー(1)に等モル変更したことのみ異なる感光材料を作製し、特開平11−84601号の実施例1に記載の方法で露光、現像処理し、本願の実施例に記載の方法で評価した結果、本願の実施例5と同様の結果を得た。
【0224】
【発明の効果】
本発明によれば、色相が優れ、分子吸光係数が大きく、保存安定性、特に光堅牢性が良好な色素を与える色素形成カプラーが提供でき、該カプラーを感光材料中に添加することによって、色再現性および鮮鋭性に優れ、色像堅牢性が良好なハロゲン化銀写真感光材料を提供することができる。更に、分子吸光係数が大きく、色相と保存安定性に優れたアゾメチン色素を提供できる。
Claims (8)
- 下記一般式(I)で表される色素形成カプラー。
- 前記一般式(I)で表される色素形成カプラーにおいて、R 4がアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基、アシルアミノ基、アルキルおよびアリールスルホニルアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、アシル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、シアノ基、アルコキシ基もしくはアリールオキシ基の中から選ばれる基であることを特徴とする請求項1に記載の色素形成カプラー。
- R4の少なくとも一つが(R1)rのα位〜δ位の炭素原子に置換していることを特徴とする請求項1又は2に記載の色素形成カプラー。
- 下記一般式(I)で表される色素形成カプラーの少なくとも1種を含有することを特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
- 前記色素形成カプラーが請求項2又は3の色素形成カプラーであることを特徴とする請求項4に記載のハロゲン化銀写真感光材料。
- 下記一般式(II)で表されるアゾメチン色素化合物。
- 前記(II)で表されるアゾメチン色素化合物において、R 4がアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基、アシルアミノ基、アルキルおよびアリールスルホニルアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、アシル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、シアノ基、アルコキシ基もしくはアリールオキシ基の中から選ばれる基であることを特徴とする請求項6に記載のアゾメチン色素化合物。
- R4の少なくとも一つが(R1)rのα位〜δ位の炭素原子に置換していることを特徴とする請求項6又は7に記載のアゾメチン色素化合物。
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