JP4457292B2 - 水性ポリウレタン樹脂、印刷インキ用バインダーおよび印刷インキ組成物 - Google Patents

水性ポリウレタン樹脂、印刷インキ用バインダーおよび印刷インキ組成物 Download PDF

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Description

本発明は、水性ポリウレタン樹脂、印刷インキ用バインダーおよび印刷インキ組成物に関する。さらに詳しくは、本発明の水性ポリウレタン樹脂は、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステルなどのプラスチック、金属、ガラス、紙、ゴム、皮などの各種基材に対して優れた密着性を有するため、これらの基材に適用される各種コーティング剤(例えば、塗料、インキ、ガラス飛散防止膜など)や、これらの基材に適用される各種接着剤、粘着剤など、各種用途に好適に使用しうる水性ポリウレタン樹脂に関する。また本発明は、当該水性ポリウレタン樹脂を含有してなる印刷インキ用バインダーおよび印刷インキ組成物に関する。
従来、塗料、インキなどのコーティング剤や接着剤としては、高分子の有機溶剤溶液が主に用いられていたが、近年、大気汚染をはじめとする公害の防止、消防法上の規制、労働安全・衛生面などが考慮され、水溶性高分子や高分子エマルジョンに置換されつつある。
当該水溶性高分子としては、近年、柔軟性に特長を有する水性ポリウレタン樹脂などが開発されているが、当該樹脂を水性化するための極性基等が当該樹脂分子中に付与されているため(例えば、特許文献1参照)、プラスチック(特に極性基を有しないポリオレフィン等)に対する密着性が不十分であった。
特開平11−269243号公報
本発明は、上記の背景技術に鑑みなされたものであり、その目的は、水性ポリウレタン樹脂特有の柔軟性を有し、且つポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ナイロン、ポリエステルなどのプラスチックに対して優れた密着性を有する水性ポリウレタン樹脂を提供することにある。
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意研究を行なった結果、特定の低分子量グリコールを必須構成成分として得られる水性ポリウレタン樹脂が前記課題を悉く解決しうることを見出した。
すなわち、本発明は、一分子中に炭素数が2〜6のアルキル側鎖を二つ以上有する低分子量グリコール(A)、高分子量ポリオール(B)およびポリイソシアネート(C)を主成分として反応させて得られる水性ポリウレタン樹脂に関する。また本発明は、当該水性ポリウレタン樹脂を用いた印刷インキ用バインダーに関する。更に本発明は、当該印刷インキ用バインダーを含有してなる印刷インキ組成物に関する。
本発明によれば、水性ポリウレタン樹脂特有の柔軟性を有し、特に印刷インキ用バインダーとして使用した場合、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ナイロンやポリエステルなどのプラスチックに対してすぐれた密着性を有する水性ポリウレタン樹脂を提供できる。なお、当該水性ポリウレタン樹脂は、プラスチック、金属、ガラス、紙、ゴム、皮などの各種基材に対して優れた密着性を有するため、これらの基材に適用される各種コーティング剤(例えば、塗料、インキ、ガラス飛散防止膜など)や、これらの基材に適用される各種接着剤、粘着剤などの各種用途に好適である。
本発明の水性ポリウレタン樹脂の構成成分である、一分子中に炭素数が2〜6のアルキル側鎖を二つ以上有する低分子量グリコール(A)(以下、A成分という)としては、当該分子中に炭素数が2〜6であるアルキル側鎖2個および水酸基2個を有する低分子量グリコールであれば特に制限されず、公知各種のものを使用できる。A成分の具体例としては、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−3−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールなどが挙げられる。これらの化合物は単独で、または2種類以上を適宜に組み合わせて用いることができる。用いる低分子量グリコールのアルキル側鎖の炭素数が1である場合にはプラスチックに対する密着性が充分でなく、また当該炭素数が7以上である場合には得られるポリウレタン樹脂の耐油性が低下する。
A成分は後述する高分子量ポリオール(B)(以下、B成分という)の構成成分としても使用できる。但し、A成分を低分子グリコールの形態で使用せずに、単にB成分の構成成分として使用した場合には、得られる水性ポリウレタン樹脂のプラスチックに対する密着性向上効果が不充分となる。かかる理由は定かでないが、A成分を低分子量グリコールの形態でポリウレタン樹脂に組み込むことにより、極性の高いハードセグメント部分に非極性のアルキル側鎖が導入されることになり、かかる特定の化学構造に起因して、当該密着性向上効果が発現するものと推定される。かかる理由により、A成分の数平均分子量は500以下であることが好ましい。500を超える場合は、A成分がハードセグメント部分と相分離してソフトセグメント部分に相溶する傾向にあり、当該密着性向上効果が低下する傾向にある。
B成分である高分子量ポリオールとしては、例えば、酸化エチレン、酸化プロピレン、テトラヒドロフラン等の重合体または共重合体等のポリエーテルポリオール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、オクタンジオール、1,4−ブチンジオール、ジプロピレングリコール等の飽和もしくは不飽和の各種公知の低分子グリコール類またはn−ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル等のアルキルグリシジルエーテル類、バーサティック酸グリシジルエステル等のモノカルボン酸グリシジルエステル類と、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、しゅう酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸等の二塩基酸またはこれらに対応する酸無水物やダイマー酸などとを脱水縮合せしめて得られるポリエステルポリオール類;環状エステル化合物を開環重合して得られるポリエステルポリオール類;その他ポリカーボネートポリオール類、ポリブタジエングリコール類、ビスフェノールAにエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドを付加して得られたグリコール類等の一般にポリウレタン樹脂の製造に用いられる各種公知の高分子量ポリオールが挙げられる。B成分の数平均分子量としては特に限定されないが、通常、800〜10,000程度であることが好ましい。800未満の場合には得られる水性ポリウレタン樹脂の柔軟性が損なわれる傾向にあり、10,000を超える場合には得られる水性ポリウレタン樹脂の強靭性が低下する傾向にある。
前記ポリイソシアネート(C)(以下、C成分という)としては、主としてジイソシアネート類が挙げられる。当該ジイソシアネートとしては、例えば、メチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、ブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸が有するカルボキシル基をイソシアネート基に置き換えたダイマージイソシアネートなどの鎖状脂肪族ジイソシアネート;シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、1,3−ジ(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネートなどの環状脂肪族ジイソシアネート;4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネートなどのジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルテトラメチルメタンジイソシアネートなどのテトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート;リジンジイソシアネートなどのアミノ酸ジイソシアネートなどが挙げられる。これらのジイソシアネート類は、単独でまたは2種以上を適宜に組み合わせて用いられる。これらのジイソシアネート類の中では、鎖状脂肪族ジイソシアネートおよび環状脂肪族ジイソシアネートを用いることにより耐候性を向上させることができるため好ましい。
前記A成分とB成分の使用重量割合(A/B)は、0.1/99.9〜20/80程度であることが好ましい。当該使用重量割合が上記数値範囲の下限値に満たない場合には、水性ポリウレタン樹脂の各種プラスチックフィルムに対する密着性向上効果が不充分となる傾向があり、また当該数値範囲の上限を超える場合は、得られる水性ポリウレタン樹脂の柔軟性が低下する傾向がある。
本発明の水性ポリウレタン樹脂では、前記A、B、C成分の他に、必要に応じて鎖伸長剤を構成成分とすることができる。当該鎖伸長剤としては、例えば、前記B成分の構成原料である低分子グリコール類;エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2,2,4−または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジアミンなどのアミン;2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミンなどの分子内に水酸基を有するジアミン;ダイマー酸のカルボキシル基をアミノ基に置き換えたダイマージアミン、ヒドラジン、アジピン酸ジヒドラジドなどが挙げられる。これらの鎖伸長剤は、単独でまたは2種以上を適宜に組み合わせて用いられる。
また、ポリウレタン樹脂にイオン性官能基を付与して水への分散性を向上させる目的で、当該鎖伸長剤として、イオン性官能基を有する化合物を用いることができる。当該イオン性官能基としては、特に制限されないが、例えば、4級アミノ塩基やカルボキシル基などがあげられる。当該化合物の具体例としては、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−プロピルジエタノールアミン、N−イソプロピルジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン、N−イソブチルジエタノールアミン、N−オレイルジエタノールアミン、N−ステアリルジエタノールアミン、エトキシ化椰子油アミン、N−アリルジエタノールアミン、N−メチルジイソプロパノールアミン、N−エチルジイソプロパノールアミン、N−プロピルジイソプロパノールアミン、N−ブチルジイソプロパノールアミン、ジメチルジエトキシヒドラジン、プロポキシメチルジエタノールアミン、N−(3−アミノプロピル)−N−メチルエタノールアミン、N,N’−ビス(オキシエチル)プロピレンジアミン、ジエタノールアミノアセトアミド、ジエタノールアミノプロピオンアミド、N,N−ビス(オキシメチル)セミカルバジドなどのアルコキシ化鎖状脂肪族アミン;N−シクロヘキシルジイソプロパノールアミンなどのアルコキシ化環状脂肪族アミン;N,N−ジエトキシアニリン、N,N−ジエトキシトルイジン、N,N−ジエトキシ−1−アミノピリジン、N,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)−N、N’−ジエチルヘキサヒドロ−p−フェニレンジアミン、N,N’−ビス(オキシエチル)フェニルセミカルバジドなどのアルコキシ化芳香族アミン;N,N’−ジエトキシピペラジン、N−2−ヒドロキシエチルピペラジンなどのアルコキシ化複素環アミン;N−メチル−N,N−ビス(3−アミノプロピル)アミン、N−(3−アミノプロピル)−N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)−N,N’−ジメチルエチレンジアミン、2−メチル−2−[(N,N−ジメチルアミノ)メチル]プロパン−1,3−ジオールなどの鎖状脂肪族アミン;2,6−ジアミノピリジン、p,p’−ビス−アミノメチルジベンジルメチルアミンなどの芳香族アミン;N,N’−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン、N−(2−アミノエチル)ピペラジンなどの複素環アミンなどが挙げられる。なお、前記鎖伸長剤が有する塩基性窒素は、当該鎖伸長剤を水に分散させる前または水に分散させた後で、塩化物イオン、硫酸塩イオン、有機物カルボン酸のアニオンなどの4級化剤を用いて4級化される。
カルボキシル基を有する前記の鎖伸長剤は、得られる水性ポリウレタン樹脂にカルボキシル基を導入するために用いられ、その具体例としては、グリセリン酸、ジオキシマレイン酸、ジオキシフマル酸、酒石酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロール吉草酸、2,2−ジメチロールペンタン酸、4,4−ジ(ヒドロキシフェニル)吉草酸、4,4−ジ(ヒドロキシフェニル)酪酸などの脂肪族カルボン酸;2,6−ジオキシ安息香酸などの芳香族カルボン酸などが挙げられる。また、かかる鎖伸長剤の有するカルボキシル基は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物;アンモニア;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N−メチルジエタノールアミンやN−エチルジエタノールアミンをはじめとするN−アルキルジエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミンやN,N−ジエチルエタノールアミンをはじめとするN,N−ジアルキルエタノールアミンなどの3級アミンなどの中和剤を用いて中和されていても良い。該鎖伸長剤を反応させる時期は特に制限されず、成分A、B、Cと同時に反応させてもよく、成分A、B、Cから得られるプレポリマーを水中に分散させる前または水中に分散させた後に反応させてもよい。
前記鎖伸長剤の使用量は、特に限定はされないが、得られる水性ポリウレタン樹脂から形成される皮膜の柔軟性および強靭性を両立させるという観点から、水性ポリウレタン樹脂中の0.1〜20重量%であるのが好ましく、更に好ましくは1〜15重量%である。0.1重量%に満たない場合は強靭性が不足する傾向があり、20重量%を超える場合は柔軟性が損なわれる傾向がある。
イオン性官能基を有する前記鎖伸長剤を用いる場合、当該伸長剤の使用量は、特に限定されないが、例えば、前記塩基性窒素を有するポリウレタン樹脂中の塩基性窒素が、該ポリウレタン樹脂固形分1gに対して3×10−5〜1.8×10−3グラム当量程度となるように調整することが好ましい。また、イオン性官能基を有する前記鎖伸長剤のうち、カルボキシル基を有する鎖伸長剤の使用量は、とくに限定はないが、例えば、当該ポリウレタン樹脂中のカルボキシル基が、該ポリウレタン樹脂固形分1gに対して3×10−5〜1.8×10−3グラム当量程度となるように調整することが好ましい。
本発明の水性ポリウレタン樹脂は、前記各種の成分を用い公知の方法で反応させることにより製造できる。本発明の水性ポリウレタン樹脂は、主として、A成分とB成分における水酸基がC成分のイソシアネート基と反応し、ウレタン結合を形成したものである。本発明の水性ポリウレタン樹脂の数平均分子量は、特に限定はされないが、通常は3,000〜1,000,000程度であることが好ましい。3,000未満である場合は皮膜強度が不足する傾向にあり、また1,000,000を超える場合は印刷インキ用バインダーとして使用した場合には再溶解性に劣る傾向がある。本発明の水性ポリウレタン樹脂は前記各成分を反応させることにより得られるが、通常は水性ポリウレタン樹脂固形分としては単離されず、そのまま水溶液の形態で印刷インキ用バインダーとして用いられる。以下に、印刷インキ用バインダーの製造方法についてより具体的に説明する。
イオン性官能基を有する水性ポリウレタン樹脂を水に分散させる方法として次のようなものがある。1)A成分、B成分およびC成分を、A成分とB成分が有する水酸基の合計量に対してC成分が有するNCO基量が過剰となる条件下にウレタン化反応させて、分子末端にNCO基を有するプレポリマーを生成させ、当該プレポリマーを適当な有機溶剤に溶かした溶液を調製し、該溶液にイオン性官能基を有する前記鎖伸長剤を含有した鎖伸長剤混合物を加えて反応させ、前記4級化剤または中和剤を用いて4級化または中和した後、これを水に分散させる方法、2)A成分、B成分、C成分およびイオン性官能基を有する前記鎖伸長剤を含有した鎖伸長剤混合物を一括仕込みし、適当な有機溶剤中で反応させた後、前記4級化剤または中和剤を用いて4級化または中和を行い、ついで水に分散させる方法、3)A成分、B成分、C成分、およびイオン性官能基を有する前記鎖伸長剤を含有した鎖伸長剤混合物を仕込み、A成分、B成分およびイオン性官能基を有する前記鎖伸長剤を含有した鎖伸長剤混合物が有する活性水素基に対してC成分のNCO基が過剰となる条件下に適当な有機溶剤中で反応させて、分子末端にNCO基を有するプレポリマーを生成させ、前記4級化剤または中和剤を用いて4級化または中和を行なったのち、水に分散させ、ついで鎖伸長剤を加えて反応させる方法などがあげられる。なお、前記有機溶剤としては、前記各成分と非反応性である限り格別限定はなく、各種公知のものを使用できる。当該有機溶剤の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤;ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶剤;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶剤;ジメチルエーテル、ジエチルエーテルなどのエーテル系溶剤、イソプロピルアルコール、エタノールなどのアルコール類;N−メチルピロリドンなどが挙げられ、これらの有機溶剤は、単独でまたは2種以上を適宜に組み合わせて用いられる。
このようにして得られた印刷インキ用バインダーは、顔料などを加えて練肉および分散を行い、印刷インキ組成物を調製できる。なお、当該印刷インキ組成物の調製に際しては、必要に応じ、本発明の水性ポリウレタン樹脂とは異なる水性ポリウレタン樹脂、水性ポリアミド樹脂、水性アクリル酸エステル系共重合体塩、水性スチレン−マレイン酸系共重合体の塩などの水系樹脂、ブロッキング防止剤や可塑剤などの添加剤を適宜配合することができる。
次に、本発明の水性ポリウレタン樹脂を実施例に基づき更に具体的に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
実施例1
攪拌機、温度計、冷却管および窒素ガス導入管を備えた反応容器に、ジメチロールブタン酸26.4部、ポリプロピレングリコール(旭電化工業(株)製、商品名「アデカポリエーテルP−2000」、数平均分子量2,000)335.6部、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール10.4部、イソホロンジイソシアネート127.6部を仕込み、85℃にて5時間反応を行い、NCO基含有ウレタンプレポリマー500.0部を得た後、当該系内温度が70℃となるまで冷却した。他の撹拌容器に、水906.4部、イソプロピルアルコール74.7部、トリエチルアミン18.0部、アジピン酸ジヒドラジド38.0部を仕込み均一混合した後、撹拌下に前記ウレタンプレポリマーを全量添加し、分散させながら、50℃にて3時間反応させた。こうして得られたポリウレタン樹脂水分散液は、樹脂固形分濃度35%、粘度900mPa・s/25℃、pH8.0、数平均分子量12000であった。
実施例2
実施例1で使用したと同様の反応容器に、ジメチロールブタン酸26.4部、前記ポリプロピレングリコール(商品名「アデカポリエーテルP−2000」)334.0部、2−エチル−3−プロピル−1,3−プロパンジオール10.3部、イソホロンジイソシアネート129.3部を仕込み、85℃にて5時間反応を行い、NCO基含有ウレタンプレポリマー500.0部を得た後、当該系内温度が70℃となるまで冷却した。他の撹拌容器に、水907.0部、イソプロピルアルコール74.7部、トリエチルアミン18.0部、アジピン酸ジヒドラジド38.3部を仕込み均一混合した後、撹拌下に前記ウレタンプレポリマーを全量添加し、分散させながら、50℃にて3時間反応させた。こうして得られたポリウレタン樹脂水分散液は、樹脂固形分濃度35%、粘度800mPa・s/25℃、pH8.0、数平均分子量10000であった。
比較例1
実施例1で使用したと同様の反応容器に、ジメチロールブタン酸26.4部、前記ポリプロピレングリコール(商品名「アデカポリエーテルP−2000」)335.6部、1,9−ノナンジオール10.4部、イソホロンジイソシアネート127.6部を仕込み、85℃にて5時間反応を行い、NCO基含有ウレタンプレポリマー500.0部を得た後、当該系内温度が70℃となるまで冷却した。他の撹拌容器に、水906.4部、イソプロピルアルコール74.7部、トリエチルアミン18.0部、アジピン酸ジヒドラジド38.0部を仕込み、均一混合した後、撹拌下に前記ウレタンプレポリマーを全量添加し、分散させながら、50℃にて3時間反応させた。こうして得られたポリウレタン樹脂水分散液は、樹脂固形分濃度35%、粘度1000mPa・s/25℃、pH8.0であった。数平均分子量は13000であった。
比較例2
実施例1で使用したと同様の反応容器に、ジメチロールブタン酸26.4部、前記ポリプロピレングリコール(商品名「アデカポリエーテルP−2000」)327.1部、ネオペンチルグリコール10.1部、イソホロンジイソシアネート136.4部を仕込み、85℃にて5時間反応を行い、NCO基含有ウレタンプレポリマー500.0部を得た後、当該系内温度が70℃となるまで冷却した。他の撹拌容器に、水910.0部、イソプロピルアルコール74.7部、トリエチルアミン18.0部、アジピン酸ジヒドラジド40.0部を仕込み、均一混合した後、撹拌下に前記ウレタンプレポリマーを全量添加し、分散させながら、50℃にて3時間反応させた。こうして得られたポリウレタン樹脂水分散液は、樹脂固形分濃度35%、粘度700mPa・s/25℃、pH8.0、数平均分子量10000であった。
比較例3
実施例1で使用したと同様の反応容器に、ジメチロールブタン酸26.4部、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールとアジピン酸からなるポリエステルポリオール(試作品:数平均分子量2,000)355.1部、イソホロンジイソシアネート118.5部を仕込み、85℃にて5時間反応を行い、NCO基含有ウレタンプレポリマー500.0部を得た後、当該系内温度が70℃となるまで冷却した。他の撹拌容器に、水910.8部、イソプロピルアルコール74.7部、トリエチルアミン18.0部、アジピン酸ジヒドラジド40.4部を仕込み、均一混合した後、撹拌下に前記ウレタンプレポリマーを全量添加し、分散させながら、50℃にて3時間反応させた。こうして得られたポリウレタン樹脂水分散液は、樹脂固形分濃度35%、粘度1200mPa・s/25℃、pH8.0、数平均分子量12000であった。
実施例1〜2および比較例1〜3で得た各ポリウレタン樹脂水分散液につき、以下の項目を評価した。結果を表1に示す。
1) 塗膜の柔軟性
表面をテフロン(登録商標)コートした型枠(縦10cm×横10cm×深さ1cm)を水平に置き、各ポリウレタン樹脂水分散液を当該型枠に流し入れた。これを、常温4日間で予備乾燥させた後、50℃で3日間乾燥させ、更に減圧乾燥機で2時間乾燥させることにより、厚さ0.5mm程度の各フィルムを得た。各フィルムをスーパーダンベルカッター(商品名「SDK−300−D」、(株)ダンベル製)で打ち抜き、テンシロン(商品名「UCT−500」、(株)オリエンテック製)を用いて、23℃、50%RH、引張り速度:500mm/分の条件下に当該フィルムを引き伸ばし、破断直前の伸度をそれぞれ測定した。その結果、塗膜の伸度はいずれも200%以上で柔軟性は良好であった。
2) 密着性
各ポリウレタン樹脂水分散液を、コロナ処理を施したポリプロピレンフィルム(OPP)、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)、及びナイロンフィルム(NY)の処理面に、バーコーター(No.4)を使用して塗工した後、ヒートガン(商品名「プラジェットPJ−206A」、(株)石崎電機製作所製)で1分間乾燥させて、ポリウレタン樹脂の塗膜を得た。次いで塗工面に粘着テープ(商品名「セロテープ」、ニチバン(株)製)を貼り、塗工面に対して垂直方向に引き剥がした時の塗膜の残り具合を目視評価した。
○ :全く剥がれなかった。
○△:60%以上残った。
△ :30%以上残った。
△×:30%未満残った。
× :全て剥がれた。
Figure 0004457292

Claims (6)

  1. 一分子中に炭素数が2〜6のアルキル側鎖を二つ以上有する低分子量グリコール(A)、高分子量ポリオール(B)およびポリイソシアネート(C)を主成分として反応させて得られる水性ポリウレタン樹脂。
  2. 前記低分子量グリコール(A)と高分子量ポリオール(B)の使用重量割合(A/B)が、0.1/99.9〜20/80である請求項1に記載の水性ポリウレタン樹脂。
  3. イオン性官能基を有する請求項1または2に記載の水性ポリウレタン樹脂。
  4. イオン性官能基の含有量が当該水性ポリウレタン樹脂固形分1gに対して3×10−5〜1.8×10−3グラム当量である請求項3に記載の水性ポリウレタン樹脂。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の水性ポリウレタン樹脂を用いてなる印刷インキ用バインダー。
  6. 請求項5に記載の印刷インキ用バインダーを含有してなる印刷インキ組成物。
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