JP4455911B2 - 無水炭酸マグネシウムフィラー及びその製造方法、樹脂組成物 - Google Patents

無水炭酸マグネシウムフィラー及びその製造方法、樹脂組成物 Download PDF

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Description

本発明は、エンジニアリングプラスチックに配合するためのフィラーである無水炭酸マグネシウムの製造方法及び樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、熱伝導性、耐水性、難燃性、加工性に優れた樹脂組成物を提供するものである。
熱伝導性に関する従来の技術としては次のものがある。特許文献1には、ポリカーボネート樹脂又はポリアミド樹脂に0.1〜300μmのアルミナ、酸化マグネシウムを配合することで熱伝導性に優れた熱可塑性樹脂組成物が得られるとの記載がある。特許文献2によれば、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂に窒化アルミニウムを配合することで高品質の熱伝導性樹脂組成物を得ることができる。特許文献3には、ポリイミド樹脂に結晶質のシリカを配合することにより熱伝導性を向上できるとある。特許文献4によれば、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂に窒化ホウ素を配合することにより優れた熱伝導性樹脂組成物を提供できる。
また難燃性について、ノンハロゲン無機系難燃剤に関する従来の技術としては次のものがある。特許文献5では、ポリアミド系樹脂に水酸化マグネシウムを配合することにより、高い難燃性を有する樹脂組成物を提供している。特許文献6には、難燃性樹脂組成物としてのポリブチレンテレフタレート系樹脂に、難燃助剤として水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物を添加するとの記載がある。特許文献7は、難燃性ポリエステル系樹脂組成物での難燃剤として、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の無機系化合物を挙げている。
特開平5−86246号公報 特開平10−204300号公報 特開平10−273592号公報 特開2002−121393号公報 特開平5−255591号公報 特開平6−256628号公報 特開2002−47398号公報
エンジニアリングプラスチックに熱伝導性を付与させるフィラーとしては、窒化アルミニウムや窒化ホウ素、アルミナ、酸化マグネシウム、シリカ等が検討されている。窒化物は高熱伝導性であるがコスト上非実用的である。またアルミナは熱伝導性が比較的良好であるが、硬度がモース硬度9と高いので、成形時に金型を磨耗させて加工性に問題がある。酸化マグネシウムは熱伝導性が良好であるが、耐水性に問題があり使いづらい。シリカは安定なフィラーであるが、熱伝導性が良好とは言えず硬度もモース硬度7と高い。
またエンジニアリングプラスチックに難燃性を付与させるフィラーとして、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムが検討されているが、金属水酸化物は一般に熱伝導性が低い。従って熱伝導性・耐水性・難燃性・加工性・コストを全て満足するフィラーは、現状のところ見出されていない。
発明者は、エンジアリングプラスチックに熱伝導性・耐水性・難燃性・加工性・コスト等の各項目をバランス良く付与するフィラーを検討した結果、BET比表面積が1〜15m/gで平均粒子径が1〜10μmの無水炭酸マグネシウムが最適であることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明のフィラーの材質は無水炭酸マグネシウム(モース硬度3.5〜4.5)で、含水塩である塩基性炭酸マグネシウムではない。そして無水炭酸マグネシウムは、熱伝導率が酸化マグネシウムよりやや低く、アルミナよりは充分に高い。また酸化マグネシウムのように耐水性が低いとの問題がなく、硬度も適当である。
本発明のフィラーは、BET比表面積が1〜15m/gで平均粒子径が1〜10μmであり、BET比表面積と平均粒子径との積は例えば8×10−3〜15×10−3/kgである。本発明のフィラーは基本的に合成無水炭酸マグネシウムで、BET比表面積と平均粒子径との積が小さいことが特徴である。例えば無水炭酸マグネシウムの天然鉱物を粉砕したフィラーでは、BET比表面積と平均粒子径との積は例えば38×10−3〜78×10−3/kgとなった(比較例1,2参照)。BET比表面積と平均粒子径との積が小さいことは、無水炭酸マグネシウム粒子の凝集力が小さいことを意味する。このためエンジニアリングプラスチックに均一に分散させることが容易で、エンジニアリングプラスチックに添加した際の熱伝導率が高く、かつ高い難燃性が得られたと考えられる。
なお平均粒子径はレーザー回折法粒度分布計を用いて測定するものとし、例えばエタノール中に測定許容濃度になるように粉末を加えて懸濁液を調製し、超音波分散機で分散させてから測定する。
好ましくは、無水炭酸マグネシウムの粒子表面を0.1〜5質量%、特に好ましくは0.5〜3質量%の表面処理剤で表面被覆する。表面処理剤は、高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アマイド、高級アルコール、硬化油、シランカップリング剤、アルコールリン酸エステル等とする。
本発明の無水炭酸マグネシウムフィラーを得るには、例えば中性炭酸マグネシウム(MgCO・nHO,nは1〜5程度)をオートクレーブ中で水熱処理した後に乾燥して、BET比表面積が1〜15m/gで平均粒子径が1〜10μmの無水炭酸マグネシウムとする。例えば、オートクレーブに0.2〜3mol/Lの濃度で中性炭酸マグネシウム水懸濁液を入れ、撹拌下に最高温度が150〜250℃で1〜20時間水熱処理し、脱水、乾燥する。表面処理を行う場合、例えば懸濁液のままで粉砕し、例えば表面処理剤で処理した後に、脱水・乾燥する。乾燥温度は例えば100℃以上が好ましい。
本発明の樹脂組成物は、上記の無水炭酸マグネシウムフィラーを、エンジニアリングプラスチック100質量部に対して、100〜300質量部配合したものである。エンジニアリングプラスチックとしては、例えばポリアミド、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、シンジオタクチックポリスチレン、ポリフェニレンサルファイド、液晶ポリマー、ポリエーテルケトン、ポリエーテルニトリル、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリアリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、熱可塑性ポリイミドがある。
表面処理剤について説明する。高級脂肪酸として、例えばステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、リノール酸、ラウリン酸、カプリル酸、ベヘニン酸、モンタン酸等がある。高級脂肪酸金属塩としては、例えばステアリン酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、リノール酸塩、ラウリン酸塩、カプリル酸塩、ベヘニン酸塩、モンタン酸塩等があり、金属の種類には、Na、K、Al、Ca、Mg、Zn、Ba等がある。
高級脂肪酸エステルとして、例えばラウリン酸メチル、ミリスチン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、オレイン酸メチル、エルカ酸メチル、ベヘニン酸メチル、ラウリン酸ブチル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、ヤシ脂肪酸オクチルエステル、ステアリン酸オクチル、特殊牛脂脂肪酸オクチルエステル、ラウリン酸ラウリル、長ステアリン酸ステアリル、長鎖脂肪酸高級アルコールエステル、ベヘニン酸べへニル、ミリスチン酸セチル等のモノエステルがあり、また例えばネオペンチルポリオール長鎖脂肪酸エステル、ネオペンチルポリオール長鎖脂肪酸エステルの部分エステル化物、ネオペンチルポリオール脂肪酸エステル、ネオペンチルポリオール中鎖脂肪酸エステル、ネオペンチルポリオールC9鎖脂肪酸エステル、ジペンタエリスリトール長鎖脂肪酸エステル、コンプレックス中鎖脂肪酸エステル等の耐熱性特殊高級脂肪酸エステルがある。
高級脂肪酸アマイドとして、例えばステアリン酸アマイド、オレイン酸アマイド、パルミチン酸アマイド、リノール酸アマイド、ラウリン酸アマイド、カプリル酸アマイド、ベヘニン酸アマイド、モンタン酸アマイド等がある。高級アルコールとして、例えばオクチルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール等がある。硬化油としては、例えば牛脂硬化油、ヒマシ硬化油等がある。
シランカップリング剤としては、例えば、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のメタクリロキシ系、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン等のビニル系、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ系、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ系がある。
アルコールリン酸エステルとしては、モノおよびジ−飽和アルコールのリン酸エステル、例えば、モノ−ステアリルアシッドホスフェイト、ジ−ステアリルアシッドホスフェイト、モノ−ラウリルアシッドホスフェイト、ジ−ラウリルアシッドホスフェイト、モノ−ミリスチルアシッドホスフェイト、ジ−ミリスチルアシッドホスフェイト、モノ−パルミチルアシッドホスフェイト、ジ−パルミチルアシッドホスフェイト、モノ−アラキルアシッドホスフェイト、ジ−アラキルアシッドホスフェイト、モノ−ベヘルアシッドホスフェイト、ジ−ベヘルアシッドホスフェイト、モノ−リグノセリルアシッドホスフェイト、ジ−リグノセリルアシッドホスフェイト等があり、モノおよびジ−飽和アルコールのリン酸エステルの1種類もしくはそれらの混合物を使用しても良い。
本発明の樹脂組成物は、自動車分野の排ガスバルブ、ランプソケット、各種電装部品に応用される。またOA・AV機器分野では、ビデオCD・DVDピックアップ部品、各種コネクター、スイッチ、軸受け、ケースハウジングなどがあげられる。さらに表面実装電子部材(IC部品などの封止)にも適用できる。
本発明では、熱伝導性、耐水性、難燃性、加工性のバランスのとれたエンジニアリングプラスチック用のフィラーと、その製造方法及び樹脂組成物を提供できる。
以下に本発明を実施するための最適実施例を示す。
エンジニアリングプラスチックに配合するための無水炭酸マグネシウムフィラーとその調製方法及び樹脂組成物について、実施例を説明する。樹脂組成物を、エンジニアリングプラスチックの一例としてPPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂を用いて評価した。中性炭酸マグネシウムは組成がMgCO・3HOで、平均粒子径は25μm、BET比表面積は0.5m/gであった。
フィラーの調製
試験例1
容量100Lの撹拌機付きオートクレーブに1mol/Lの濃度に調整した中性炭酸マ
グネシウム懸濁液70Lを入れ、撹拌しながら180℃で5時間の水熱処理を行なった。
得られた懸濁液(炭酸マグネシウムの形態は中性炭酸マグネシウム)をそのままボールミル
に入れて5時間粉砕した後、固形物を無水炭酸マグネシウムに換算して3質量%のステア
リン酸ナトリウムを添加して表面処理し、脱水後、120℃で10時間乾燥した。そして
平均粒子径0.9μmでBET比表面積14m/gの無水炭酸マグネシウムを得た。乾
燥温度は例えば100℃以上が適切である。なお試験例1は特許請求の範囲に含まれない比較例である。
試験例2
容量100Lの撹拌機付きオートクレーブに1mol/Lの濃度に調整した中性炭酸マグネシウム懸濁液70Lを入れ、撹拌しながら180℃で5時間の水熱処理を行なった。得られた懸濁液を試験例1と同様にして、ボールミルで1時間粉砕した後、固形物に対して1質量%のステアリン酸ナトリウムを添加して表面処理し、脱水後、120℃で10時間乾燥した。そして平均粒子径1.5μmでBET比表面積6m/gの無水炭酸マグネシウムを得た。
試験例3
容量100Lの撹拌機付きオートクレーブに1mol/Lの濃度に調整した中性炭酸マグネシウム懸濁液70Lを入れ、撹拌しながら180℃で5時間の水熱処理を行なった。得られた懸濁液を試験例1と同様にして、ボールミルで1時間粉砕した後、固形物に対して0.5質量%のメタクリロキシ系シランカップリング剤を添加して表面処理し、脱水後、120℃で10時間乾燥した。そして平均粒子径1.5μmでBET比表面積7m/gの無水炭酸マグネシウムを得た。
試験例4
容量100Lの撹拌機付きオートクレーブに0.5mol/Lの濃度に調整した中性炭酸マグネシウム懸濁液50Lを入れ、撹拌しながら200℃で10時間の水熱処理を行なった。得られた懸濁液を脱水後、120℃で10時間乾燥した。そして平均粒子径10μmでBET比表面積1m/gの無水炭酸マグネシウムを得た。
比較例1
マグネサイト鉱を粉砕した市販の無水炭酸マグネシウム粉末を水に懸濁して1mol/Lの濃度に調整し、ボールミルで2時間粉砕した後、固形物に対して1質量%のステアリン酸ナトリウムを添加して表面処理し、脱水後、120℃で10時間乾燥した。そして平均粒子径13μmでBET比表面積6m/gの無水炭酸マグネシウムを得た。
比較例2
マグネサイト鉱を粉砕した市販の無水炭酸マグネシウム粉末を水に懸濁して1mol/Lの濃度に調整し、ボールミルで20時間粉砕した後、固形物に対して3質量%のステアリン酸ナトリウムを添加して表面処理し、脱水後、120℃で10時間乾燥した。そして平均粒子径2.0μmでBET比表面積19m/gの無水炭酸マグネシウムを得た。
試験例1〜4と比較例1,2を比較すると、試験例ではBET比表面積と平均粒子径との積が小さいのに対して、比較例1,2ではこの積が大きく、無水炭酸マグネシウムの凝集力が大きいことがわかる。
樹脂組成物
樹脂組成物の例を、試験例11〜16に示す。無水炭酸マグネシウム以外のフィラーを用いた樹脂組成物の例を比較例11〜14に、無水炭酸マグネシウムを用いたがBET比表面積もしくは平均粒径が不適切なフィラーを用いた例を比較例15,16に示す。また無水炭酸マグネシウムの配合量が不適切な例を比較例17,18に示す。
試験例11
PPS樹脂100質量部に対して試験例1の無水炭酸マグネシウムフィラーを300質量部配合して成型体とした。成型は射出成型機を用い、射出圧力は10KN/cm、金型温度は150℃で行った(以下同様)。
試験例12
PPS樹脂100質量部に対して試験例2の無水炭酸マグネシウムフィラーを300質量部配合して成型体とした。
試験例13
PPS樹脂100質量部に対して試験例3の無水炭酸マグネシウムフィラーを300質量部配合して成型体とした。
試験例14
PPS樹脂100質量部に対して試験例4の無水炭酸マグネシウムフィラーを300質量部配合して成型体とした。
試験例15,16
PPS樹脂100質量部に対して、試験例1の無水炭酸マグネシウムフィラーを200質量部(試験例15)、あるいは100質量部(試験例16)配合して、成型体とした。
比較例11
市販のアルミナ(BET比表面積3m/g,平均粒径1.4μm)を3質量%のステアリン酸ナトリウムで表面処理してフィラーとした。このフィラーをPPS樹脂100質量部に300質量部配合して成型体とした。
比較例12
市販の酸化マグネシウム(BET比表面積10m/g,平均粒径3.5μm)を3質量%のステアリン酸ナトリウムで表面処理してフィラーとした。このフィラーをPPS樹脂100質量部に対して300質量部配合して成型体とした。
比較例13
市販のシリカ(BET比表面積7m/g,平均粒径1.4μm)を3質量%のステアリン酸ナトリウムで表面処理してフィラーとした。このフィラーをPPS樹脂100質量部に対して300質量部配合して成型体とした。
比較例14
市販の水酸化マグネシウム(BET比表面積8m/g,平均粒径1.2μm)を3質量%のステアリン酸ナトリウムで表面処理してフィラーとした。このフィラーをPPS樹脂100質量部に対して300質量部配合して成型体とした。
比較例15
PPS樹脂100質量部に対して比較例1の無水炭酸マグネシウムフィラーを300質量部配合して成型体とした。
比較例16
PPS樹脂100質量部に対して比較例2の無水炭酸マグネシウムフィラーを300質量部配合して成型体とした。
比較例17,18
PPS樹脂100質量部に対して、試験例1の無水炭酸マグネシウムフィラーを50質量部(比較例17)、あるいは400質量部(比較例18)配合して成型体とした。
上記の方法により調製した樹脂組成物の成型体について、以下の物性を測定した。評価結果を表1、表2に示す。
(1) 熱伝導性試験: ASTM−E1503に準拠して熱伝導率を測定した。
(2) 耐水性試験: プレッシャークッカーテストにより耐水性について試験を行った。試験は121℃で2気圧(0.2MPa)96時間で行い、試験前後の重量変化が1%以内で、外観に変化がないものを良好とした。
(3) 難燃性試験: JIS K7201に準拠して3mm厚の成型体で試験を行い、酸素指数を求めた。酸素指数が高いほど、難燃性が高い。
(4) 引張試験: ASTM−D638に準拠して1/8インチダンベルで試験を行った。引っ張り強度が高いほど良好である。
表1
成型体の物性
熱伝導率 耐水性 酸素指数 引張強度 伸び
(W/mK) (N/m ) (%)
試験例11 3.2 良好 62 93 1.4
試験例12 3.0 良好 60 90 1.5
試験例13 3.3 良好 61 89 1.3
試験例14 3.1 良好 63 88 1.2
試験例15 2.9 良好 59 98 1.4
試験例16 2.8 良好 57 105 1.2
表2
成型体の物性
熱伝導率 耐水性 酸素指数 引張強度 伸び
(W/mK) (N/m ) (%)
比較例11 1.6 良好 58 96 1.6
比較例12 4.0 2倍に膨張 59 94 1.4
比較例13 0.8 良好 58 95 1.7
比較例14 0.7 良好 65 93 1.5
比較例15 2.7 良好 58 83 1.2
比較例16 2.8 良好 59 84 1.0
比較例17 2.5 良好 53 112 0.8
比較例18 3.4 良好 64 61 2.1
表1及び表2より、本発明の無水炭酸マグネシウムフィラーは、市販されているフィラーに比べて、熱伝導性、耐水性、難燃性のバランスのとれたフィラーであることがわかる。また無水炭酸マグネシウムは硬度がアルミナ、シリカよりも低く、加工性が高い。比較例15,16では、無水炭酸マグネシウムが樹脂中に均一に分散せずにクラスターを形成し、このため熱伝導率が低く、酸素指数や引っ張り強度も低くなったものと思われる。
実施例ではPPS樹脂を用いたが、本発明ではエンジニアリングプラスチックの種類よりも、特定のBET比表面積と平均粒径の無水炭酸マグネシウムをフィラーとすることが重要である。事実ポリアセタール、ポリエーテルケトンなどの他のエンジニアリングプラスチックで、試験例1のフィラーまたは比較例2のフィラーを200重量部加えたものを比較すると、試験例1のフィラーを加えた樹脂組成物の方が、熱伝導率で0.4W/mK高く、引っ張り強度で10N/mm高かった。また表面処理剤をステアリン酸ナトリウムから他の高級脂肪酸金属塩や、高級脂肪酸自体、あるいは高級脂肪酸エステルや高級脂肪酸アマイドに変えても、類似の結果が得られた。さらにシランカップリング剤を、アルコールリン酸エステルに変えてもやはり、類似の結果が得られた。

Claims (6)

  1. BET比表面積が1〜15m/gで平均粒子径が1〜10μmの無水炭酸マグネシウムからなる、エンジニアリングプラスチック用の無水炭酸マグネシウムフィラー。
  2. BET比表面積と平均粒子径との積が、8×10−3〜15×10−3/kgであることを特徴とする、請求項1の無水炭酸マグネシウムフィラー。
  3. 無水炭酸マグネシウムの粒子表面を0.1〜5質量%の表面処理剤で表面被覆したことを特徴とする、請求項1または2の無水炭酸マグネシウムフィラー。
  4. 中性炭酸マグネシウム(MgCO・nHO)をオートクレーブ中で水熱処理した後に乾燥して、BET比表面積が1〜15m/gで平均粒子径が1〜10μmの無水炭酸マグネシウムとすることを特徴とする無水炭酸マグネシウムフィラーの製造方法。
  5. 水熱処理温度が150〜250℃、処理時間が1〜20時間であることを特徴とする、請求項4の無水炭酸マグネシウムフィラーの製造方法。
  6. 請求項1〜3のいずれかの無水炭酸マグネシウムフィラーを、エンジニアリングプラスチック100質量部に対して、100〜300質量部配合した樹脂組成物。
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