JP4454502B2 - 電気式脱塩装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【技術分野】
【0002】
本発明は、いわゆる電気式脱塩装置に関する改良に関し、従来の電気式脱塩装置の性能を大きく上回る性能を持った電気式脱塩装置を提供するものである。
【背景技術】
【0003】
電気式脱塩装置とは、陰極と陽極の電極間にカチオン交換膜及びアニオン交換膜を配列することによって濃縮室及び脱塩室を形成し、電位勾配を駆動源として、脱塩室内において被処理水中のイオンをイオン交換膜を通して濃縮室へ移動・分離させることによって、イオン成分を除去するものである。
【0004】
図1に、従来の典型的な電気式脱塩装置の概念図を示す。図1に示す電気式脱塩装置は、陰極(−)と陽極(+)の間に、アニオン交換膜A、カチオン交換膜Cが交互に配列されて、脱塩室及び濃縮室が形成されている。アニオン交換膜とカチオン交換膜との交互配列を更に繰り返すことにより、複数の脱塩室及び濃縮室が交互に形成される。必要に応じて、脱塩室や濃縮室にはイオン交換体が充填され、これにより各室内でのイオンの移動が促進される。また、両端の陽極および陰極に接する区画は一般に陽極室および陰極室と称され、直流電流により印加される電流の電子を授受する機能を果たす。
【0005】
このような電気式脱塩装置の運転においては、陽極及び陰極に電圧を印加すると共に、脱塩室、濃縮室及び極室に通水を行う。脱塩室には、イオンを処理対象の被処理水が供給され、濃縮室及び極室には、それぞれ適当な水質の水が通水される。図1では、脱塩室、濃縮室、極室の全てにRO処理水を供給する例を示している。このように脱塩室及び濃縮室に通水を行うと、脱塩室において、被処理水中のカチオン及びアニオンはそれぞれ陰極側及び陽極側に引かれるが、アニオン交換膜及びカチオン交換膜はそれぞれアニオン又はカチオンのみを選択的に透過するため、被処理水中のカチオン(Ca2+,Na,Mg2+,Hなど)は、カチオン交換膜Cを通して陰極側濃縮室へ、またアニオン(Cl,SO 2−,HSiO 2−,HCO ,OHなど)は、アニオン交換膜Aを通して陽極側の濃縮室へ移動する。一方、陰極側濃縮室から脱塩室へのアニオンの移動および陽極側濃縮室から脱塩室へのカチオンの移動はイオン交換膜の異符号イオン遮断性のために阻止される。この結果、脱塩室からはイオン濃度の低められた脱塩水が得られ、濃縮室からはイオン濃度の高められた濃縮水が得られる。
【0006】
このような電気式脱塩装置によれば、被処理水として例えばRO(逆浸透膜)処理水相当の不純物の少ない水を用いることで、脱塩水として、さらに純度の高い純水が得られる。最近では、例えば半導体製造用超純水など、より高度な超純水が要求されるようになった。そこで、最近の電気式脱塩装置においては、脱塩室及び/又は濃縮室及び/又は極室に、イオン交換体としてカチオン交換樹脂ビーズとアニオン交換樹脂ビーズを混合して充填することにより、これらの室内におけるイオンの移動を促進させるという方法が知られている。さらに、イオン交換体として、脱塩室内において、カチオン交換膜側にカチオン交換繊維材料(不織布など)、アニオン交換膜側にアニオン交換繊維材料を、それぞれ向かい合わせて配置したり、これらイオン交換繊維材料の間にスペーサもしくはイオン伝導性を付与したイオン伝導スペーサを充填するという方法も提案されている(例えば、特開平5−64726号公報及び国際公開WO99/48820号パンフレットを参照)。
【0007】
上記のように、イオン交換体を充填した脱塩室に被処理水を通水すると、被処理水中の除去対象塩とイオン交換体のイオン交換基とがイオン交換反応を起こして塩が除去される。例えば、除去対象塩としてNaCl、カチオン交換基としてスルホン酸基、アニオン交換基として第4級アンモニウム塩を用いた場合は、以下のように説明することができる。
【0008】
除去対象塩(NaCl)が溶解した被処理水がカチオン交換体と接触すると、被処理水中のカチオン(Na)がカチオン交換基によってイオン交換され、固相(カチオン交換体)に吸着されて除去される(式1)。
【0009】
【化1】
Figure 0004454502
カチオン交換体と接触してある程度のカチオンが除去された被処理水は、次にアニオン交換体と接触する。このとき、カチオン交換基によるイオン交換反応(式1)によって生成した酸(HCl)は、式2に示すように、完全に中和される。
【0011】
HCl+R−N(CHOH → HO+R−N(CHCl(2)
一方、カチオン交換体と反応しなかった被処理水中の除去対象塩は、アニオン交換体と接触し、式3に示すようにアニオン交換基によってアニオン(Cl)がイオン交換され、固相(アニオン交換体)に吸着されて除去される。
【0012】
【化2】
Figure 0004454502
【0013】
次に、被処理水はカチオン交換体と接触し、アニオン交換基によるイオン交換反応(式3)によって生成したアルカリ(NaOH)が、式4に示すように中和される。
NaOH+R−SO → HO+R−SO Na (4)
上記式1及び3は平衡反応であり、従って、被処理水中に含まれる除去対象塩は、アニオン交換体及びカチオン交換体への1回の接触では、完全にはイオン交換されて除去されず、被処理水中にある程度残留してしまう。従って、効率よくイオンを除去するためには、上記式1〜式4の反応を繰り返し行うことが必要であり、そのためには、被処理水をカチオン交換体およびアニオン交換体に交互にできるだけ多数回接触させ、式1〜式4の反応により、除去対象塩を固相に移動させることが重要である。
【0014】
上記のように被処理水中の除去対象イオンがイオン交換反応および中和反応を起こすためには、除去対象イオンが官能基の近傍まで移動し、次にイオン交換反応を受けるという2段階の過程が必要である。電気式脱塩装置においては、被処理水は脱塩室に連続的に供給され、短時間で脱塩室を通過する間にイオン交換反応および中和反応を起こす必要があるため、被処理水中の除去対象イオンが短時間でイオン交換体の官能基近傍に拡散して、官能基とイオンとの接触頻度が高く保持されることが望ましい。
【0015】
また、電気式脱塩装置においては、上式1〜4のイオン交換反応および中和反応によって固相(イオン交換体)に吸着された除去対象イオンを、通電運転により脱塩室から濃縮室又は極室に移動させる必要がある。またその際には、イオン交換体に吸着された除去対象イオンが液相中に脱離することなく、固相(イオン交換体)上を連続して、脱塩室と濃縮室との間のイオン交換膜まで移動することが望ましい。すなわち、脱塩室において、カチオン交換膜およびアニオン交換膜間に、カチオン交換膜に接するカチオン交換体、および、アニオン交換膜に接するアニオン交換体が、それぞれ連続相を形成して充填されていることが望ましい。
【0016】
更に、上記のように室内にイオン交換体を充填した電気式脱塩装置においては、イオン交換体を充填した脱塩室及び/又は濃縮室内において、カチオン交換基とアニオン交換基とが接触する部位が存在する。特に脱塩室内のカチオン交換基とアニオン交換基とが接触する部位においては、急激な電位勾配下で水の解離(式5):
O → H+OH (5)
が起こり、この解離(水解)によって生成するHイオンおよびOHイオンによって脱塩室内のイオン交換体が再生されることにより、高純度な純水を得ることを可能にしている。従って、効率の良い脱塩のためには、水解の発生場、即ちアニオン交換体とカチオン交換体との接触部位を多くすることが望ましい。更に、水解によって生成するHイオンおよびOHイオンは、それぞれ隣接するカチオン交換体及びアニオン交換体のイオン交換基を次々に連続して再生していく。このような構造において、通電運転を続けるとカチオン交換体とアニオン交換体の接触部位で局所的に官能基の対イオンが不足することとなり、この不足した対イオンを補償すべく官能基近傍の水が解離し、カチオン交換基及びアニオン交換基にHイオン及びOHイオンを連続的に供給できるようになる。また、水だけでなくアルコールなど非電解質においても、強力な電場により分極及び解離しアニオン及びカチオンとなることで官能基に吸着し、除去することが可能となると考えられる。従って、アニオン交換体とカチオン交換体との接触部位(水解場)が、特に脱塩室内において全体に亘って分散して数多く存在していることが望ましく、更に当該接触部位から、アニオン交換体及びカチオン交換体がそれぞれ連続相を形成して配置されていることが望ましい。
【0017】
更に、近年、純度のより高い純水が求められており、処理水に含まれるTOC(有機体炭素)成分の濃度が低いことが望まれる。電気式脱塩処理によって得られる処理水中に含まれるTOC成分は、内因性、即ち脱塩装置に充填されているイオン交換体からの溶出成分に由来するものと、外因性、即ち被処理水中に含まれるTOCに由来するものとがある。このうち、イオン交換体から溶出するTOC成分は、イオン交換体の合成時にイオン交換体に付着した未反応モノマーや或いは架橋されていない高分子電解質であることが多い。これらは、通水洗浄により徐々に液相に溶出してくるが、できるだけ短時間で洗浄可能な構造のイオン交換体とすることが望ましい。また、イオン交換体合成プロセス中から架橋反応を排除して、未架橋の高分子電解質がイオン交換体に混入することを防ぐことが望まれる。一方、被処理水中に含まれるTOC成分については、カチオン交換基とアニオン交換基との間での水の解離反応と同様に強力な電位勾配下でイオン化させることによって除去可能である。従って、カチオン交換体とアニオン交換体の接触部位に、TOC成分を含んだ被処理水を均一に流通させることができることが望ましい。
【0018】
また、得られる処理水(純水)としては、更に、シリカ成分、炭酸などの弱電解質の濃度が低いことが望まれる。これらについても、カチオン交換基とアニオン交換基との間での水の解離反応と同様に強力な電位勾配下で弱電解質をイオン化させることが有効である。従って、この場合も同様に、カチオン交換体とアニオン交換体との接触部位に弱電解質を含んだ被処理水を均一に流通させることができることが望ましい。
【0019】
以上に、電気式脱塩装置に要求される機能を列挙したが、従来の構成の電気式脱塩装置においては、これらの要求を全て満足するものは得られていなかった。
例えば、従来の電気式脱塩装置では、アニオン交換樹脂ビーズおよびカチオン交換樹脂ビーズを脱塩室に混合充填したものが多かった。この場合、樹脂の充填状態はランダムであり、また、室内での水の流れもランダムであるため、微視的に見ると被処理水とイオン交換体との接触は、必ずしもアニオン交換体及びカチオン交換体に交互に接触するというものではなかった。また、充填するイオン交換樹脂ビーズの粒径は、圧力損失を小さくするために一般的に500μm程度のものを用いるのが通常であるが、イオン交換樹脂ビーズの官能基の大部分は、ビーズ内部のマクロポアおよびミクロポア内に存在するため、除去対象イオンが官能基近傍まで拡散されにくく、除去対象イオンと官能基との接触頻度はあまり高くない。また、カチオン交換体及びアニオン交換体がランダムに充填されているので、カチオン交換体及びアニオン交換体がそれぞれ連続相を形成しにくく、除去対象イオンが脱塩室から濃縮室へ固相中を連続して移動することが難しく、TOC成分の除去性能および弱電解質除去性能も低い。更にイオン交換樹脂ビーズはTOC成分の溶出が多く、特にマクロポアおよびミクロポア内から溶出するTOC成分は、樹脂ビーズを長時間通水洗浄しても完全に除去することが難しいという問題点があった。
【0020】
また、従来の電気式脱塩装置においては、イオン交換樹脂ビーズを層状に充填したものも提案されている。このような形態のものとしては、脱塩室内にアニオン交換樹脂ビーズとカチオン交換樹脂ビーズとを、必要に応じてプラスチックのメッシュスクリーンなどを介在させて交互に充填したもの、脱塩室を仕切りで分割し、分割した区画に、アニオン交換樹脂ビーズ単床およびカチオン交換樹脂ビーズ単床を交互に形成したもの、イオン交換樹脂ビーズをバインダーで結合したブロックを形成し、アニオン交換樹脂ビーズのブロックとカチオン交換樹脂ビーズのブロックとを交互に充填したものなどがある。しかしながら、脱塩室内にアニオン交換樹脂ビーズとカチオン交換樹脂ビーズとを、交互に層を形成させながら整然と充填することは、極めて困難である。また、層間にメッシュスクリーンなどを介在させたり、或いは脱塩室を仕切りで分割して交互に層を形成する場合は、アニオン交換基とカチオン交換基とが接触する部位(水解発生場)が、イオン交換膜と室内に充填するイオン交換体との接触面に限られてしまい、水解発生場を脱塩室内に多数形成することができない。また、脱塩室を仕切りで分割する場合には、形成できる樹脂層の数は、室の組み立て易さや、装置の全体の大きさから、数段から数十段に限られてしまう。また、イオン交換樹脂ビーズを用いている以上、上述したように、除去対象イオンとイオン交換基との接触頻度はあまり高くない。更に、イオン交換樹脂ビーズをバインダーで結合する場合には、バインダーによって水の流路が制限されるため、除去対象イオンとイオン交換基との接触頻度が著しく低下する。また、TOCの溶出量についても、イオン交換樹脂ビーズを用いているので、上述したように高く、特に、バインダーを用いる場合には、バインダー自体が溶出成分となるため、処理水のTOC濃度はより高くなる。更に、上述したように、アニオン交換基とカチオン交換基との接触部が、イオン交換膜と室内に充填するイオン交換体との接触面に限られてしまうので、被処理水の大部分はここを流れることがなく、TOC成分および弱電解質のイオン化は難しく、従って除去性能も低い。
【0021】
上記のようなイオン交換樹脂ビーズの使用に伴う各種の問題点を解消するために、織布、不織布などの繊維材料に放射線グラフト重合法などによってイオン交換基を導入したイオン交換繊維材料を、脱塩室への充填材料として用いることが提案されている(例えば、上述の特開平5−64726号公報)。イオン交換繊維材料は、イオン交換樹脂ビーズよりも比表面積が大きく、イオン交換樹脂ビーズのようにビーズ内部のミクロポア又はマクロポア内にイオン交換基が存在するというわけではないため、大多数のイオン交換基が繊維の表面上に配置されている。よって、被処理水中の除去対象イオンが容易にイオン交換基の近傍に流れにのって(対流により)輸送される。従って、イオン交換繊維材料を用いると、イオン交換樹脂ビーズを用いた場合と比べて、除去対象イオンとイオン交換基との接触頻度を格段に向上させることが可能になる。
【0022】
しかし、織布、不織布などの繊維材料は、一般に通水性があまり高くないため、従来の薄型脱塩セルに繊維材料を充填したのでは、圧力損失があまりにも大きくて、十分な処理流量を得ることができないと考えられていた。
【0023】
そこで、脱塩室において、カチオン交換膜側に不織布などのカチオン交換繊維材料、アニオン交換膜側にアニオン交換繊維材料を、それぞれ向かい合わせて配置し、これらイオン交換繊維材料の間に、例えば斜交網状のスペーサ、もしくはそれにイオン伝導性を付与したイオン伝導スペーサを充填した電気式脱塩装置が提案されている(例えば、上述の国際公開WO99/48820号パンフレット)。このような構成の装置の場合には、被処理水は、斜交網状のスペーサ若しくはイオン伝導スペーサの中で乱流となり、カチオン交換繊維材料およびアニオン交換繊維材料に接する。従って、被処理水は、多少はカチオン交換繊維材料及びアニオン交換繊維材料に交互に接触することになるが、これでは十分に効率的に交互接触が行われているとは言えない。また、表面積が広く、利用可能なイオン交換基を多く有する繊維材料を用いてはいるものの、繊維材料とスペーサとの通水性の差のために被処理水の多くはスペーサ部を流れてしまい、不織布内部を貫いて流れることは極めて少ない。このため、除去対象イオンとイオン交換基との接触頻度は低い。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明者らは、電気式脱塩装置に要求される機能を上記のように系統だてて考察した結果、脱塩性能およびTOC除去性能を高めるためには、被処理水をカチオン交換体及びアニオン交換体と多数段で交互に接触させること、被処理水中の除去対象イオンとイオン交換基との接触頻度を高めること、脱塩室において、アニオン交換膜とカチオン交換膜の間に、アニオン交換体及びカチオン交換体のそれぞれの連続相が形成されていること、カチオン交換基とアニオン交換基との接触部を脱塩室内全体に亘って多数形成すると共に、そこに被処理水を十分に流通させることが重要であることを想到した。そして、これらの条件を全て満たす電気式脱塩装置を提供すべく鋭意検討した結果、適切な材料の選定と充填方法の改良により、電気式脱塩装置の脱塩性能およびTOC除去性能を大幅に改善することに成功した。
【0025】
以下、本発明の具体的な種々の態様に関して、図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、電気式脱塩装置の原理を示す概念図である。
【図2】図2は、本発明の一態様に係る電気式脱塩装置の構成を示す概念図である。
【図3】図3は、本発明の他の態様に係る電気式脱塩装置の構成を示す概念図である。
【図4】図4は、本発明の他の態様に係る電気式脱塩装置の脱塩室の構成を示す概念図である。
【図5】図5は、本発明の他の態様に係る電気式脱塩装置の脱塩室の構成を示す概念図である。
【図6】図6は、実施例1で用いた本発明の電気式脱塩装置の構成を示す概念図である。
【図7】図7は、実施例1の通水実験結果を示すグラフである。
【図8】図8は、比較例1で用いた従来技術の電気式脱塩装置の構成を示す概念図である。
【図9】図9は、比較例2で用いた従来技術の電気式脱塩装置の構成を示す概念図である。
【図10】図10は、実施例2で用いた本発明の第2の態様にかかる電気式脱塩装置の構成を示す概念図である。
【図11】図11は、比較例3で用いた電気式脱塩装置の構成を示す概念図である。
【図12】図12は、実施例2の運転実験結果を示すグラフである。
【図13】図13は、比較例3の運転実験結果を示すグラフである。
【図14】図14は、実施例3で用いた本発明の第3の態様にかかる電気式脱塩装置の構成を示す概念図である。
【図15】図15は、実施例4で用いた本発明の第3の態様にかかる電気式脱塩装置の構成を示す概念図である。
【図16】図16は、実施例3の運転実験結果を示すグラフである。
【図17】図17は、実施例2の運転実験における両極室の両端にかかる電圧の経時変化を示すグラフである。
【図18】図18は、実施例4の運転実験結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図2は、本発明の一態様に係る電気式脱塩装置の構成例を示す概念図である。陰極(−)と陽極(+)の間にアニオン交換膜(A)とカチオン交換膜(C)が配置されて、濃縮室及び脱塩室が画定されている。そして、両電極に接する室が極室と称される。当業者には明らかなように、両極室は脱塩室又は濃縮室のいずれかの機能を有する。一般には最も外側の濃縮室が極室として供されることが多い。なお、例えば、図2に示す装置で、中央の脱塩室の両側の濃縮室に電極が配置される場合、即ち、陽極と陰極との間に、濃縮室−脱塩室−濃縮室の3室しか形成されない場合には、両側の濃縮室が極室としての機能も果たす。したがって、このような構成の装置も、本願の特許請求の範囲において規定する「脱塩室及び濃縮室及び電極室を有する電気式脱塩装置」の範囲内に包含されることは当業者には明らかである。
【0028】
陽極側のアニオン交換膜と陰極側のカチオン交換膜で画定された脱塩室には、カチオン交換機能を有する繊維材料(カチオン交換繊維材料という)とアニオン交換機能を有する繊維材料(アニオン交換繊維材料という)とが、被処理水の流通方向(通水方向)に対して交差して複数層積層されている。即ち、従来の電気式脱塩装置においては、脱塩室や濃縮室にイオン交換繊維材料やイオン伝導スペーサなどのシート材料を充填する際には、図8に示すように、被処理水の流通方向(通水方向)に沿って、つまり各室を構成するイオン交換膜と平行に充填していたが、本発明に係る電気式脱塩装置においては、脱塩室において、イオン交換繊維材料を、被処理水の流通方向(通水方向)に交差し、且つ室を構成するイオン交換膜と交差する方向に充填する。イオン交換繊維材料は、上述の方向に積層して配置することが好ましく、図2に示されるように、カチオン交換繊維材料の層とアニオン交換繊維材料の層とが交互に積層されていることが更に好ましい。
【0029】
このような構成の電気式脱塩装置においては、アニオン交換繊維材料及びカチオン交換繊維材料を、被処理水の流通方向に交差して積層配置しているので、被処理水は全て繊維材料中を貫いて、一方の表面から他方の表面に通過して流れる。従って、利用可能なイオン交換基を多数有するイオン交換繊維材料の全体に、十分に被処理水を供給することができるので、これらのイオン交換基を有効に活用することができる。これにより、脱塩室の長さ(被処理水が流通する方向)あたりの利用可能なイオン交換基の数が大幅に増大するので、脱塩室の長さを従来のものと比べて短くすることができる。イオン交換繊維材料には、上述した圧力損失の問題があるが、このように本発明に係る電気式脱塩装置においては、脱塩室の被処理水の流通方向に沿った長さを従来のものよりも大幅に短くすることができるので、被処理水の圧力損失の増大は、実用上問題にならない。
【0030】
また、本発明によれば、脱塩室内でのアニオン交換体とカチオン交換体との接触部位、即ち水解の発生場が、被処理水流の断面全体に亘って形成されるので、水解発生場に被処理水を多く供給して、水解によるイオン交換体の再生や、TOCやシリカなどの弱電解質の分解を促進させることができる。かかる目的を達成するためには、脱塩室内に充填するアニオン交換繊維材料とカチオン交換繊維材料とが互いに接触していることが好ましい。
【0031】
なお、本発明においては、アニオン交換繊維材料及びカチオン交換繊維材料の少なくとも一方が被処理水の流通方向に交差して配置されていればよい。例えば、アニオン交換繊維材料を被処理水の流通方向に交差して複数層配置すると共に、アニオン交換繊維材料の層の間にカチオン交換樹脂ビーズなどを充填することによっても、本発明の効果を奏することができ、このような形態も本発明に包含される。或いは、脱塩室内において、被処理水の流通方向に交差してアニオン交換繊維材料が複数層配置されると共にそのアニオン交換繊維材料の層の間にカチオン交換樹脂ビーズなどが充填されている部分と、被処理水の流通方向に交差してカチオン交換繊維材料が複数層配置されると共にそのカチオン交換繊維材料の層の間にアニオン交換樹脂ビーズなどが充填されている部分の両方が存在するように構成してもよい。
【0032】
本発明においては、脱塩室において、被処理水の流通方向に交差して積層配置されているアニオン交換繊維材料と、当該脱塩室を画定するアニオン交換膜、或いは、積層配置されているカチオン交換繊維材料と、当該脱塩室を画定するカチオン交換膜、の少なくとも一方が接触するようにされていることが好ましい。即ち、図2に示す構成において、脱塩室内に配置されているアニオン交換繊維材料とアニオン交換膜(A)とが接触するか、或いは脱塩室内に配置されているカチオン交換繊維材料とカチオン交換膜(C)とが接触するか、或いはこの両方が接触していることが好ましい。このような構成にすることにより、イオン交換繊維材料によってイオン交換によって吸着された被処理水中の除去対象イオンが、イオン交換繊維材料上を伝ってイオン交換膜まで移動し、イオン交換膜を通過して隣接する濃縮室に移動する。従って、イオン交換体に吸着された除去対象イオンが、液相中に脱離することなく、固相(イオン交換体)上を連続してイオン交換膜まで移動することが可能になる。
【0033】
また、本発明においては、脱塩室内に配置されているアニオン交換繊維材料及びカチオン交換繊維材料の少なくとも一方が、アニオン交換膜及びカチオン交換膜の両方に接触するように配置されていることが好ましい。図2に示す形態では、アニオン交換繊維材料及びカチオン交換繊維材料の両方が、脱塩室を画定するアニオン交換膜及びカチオン交換膜の両方に接触している。このような構成にすると、例えば、アニオン交換繊維材料とカチオン交換膜(C)との接触点が、水解の発生場として機能する。この部分で水解によって発生したOHイオンは、陽極に向かってアニオン交換繊維材料のアニオン交換基を次々に再生しながら移動する。従って、水解によって発生したOHイオンが、脱塩室の端から端まで移動して再生を行うので、極めて効率的である。アニオン交換膜(A)とカチオン交換繊維材料との接触点において発生するHイオンについても同様である。
【0034】
更に本発明においては、図3に示すように、脱塩室内において、アニオン交換膜の表面に沿ってアニオン交換繊維材料を配置し、及び/又は、カチオン交換膜の表面に沿ってカチオン交換繊維材料を配置することが好ましい。このようなイオン交換膜の表面に沿ってイオン交換繊維材料の層を配置しない場合、被処理水の流通方向に交差して積層配置されたイオン交換繊維材料と、被処理水の流通方向に沿って配置されているイオン交換膜との間の接触は、イオン交換繊維材料の端部で行われるため、接触が密にならず、このためイオン伝導性が低くなるという問題が生じる可能性があり、このような問題は運転電圧の上昇につながるおそれがある。しかしながら、図3に示す形態によれば、このような問題を解消することができる。
【0035】
また、本発明においては、脱塩室内において、被処理水の流通方向に交差して配置するアニオン交換繊維材料の層及びカチオン交換繊維材料の層は、交互に、且つできるだけ数多く配置することが好ましい。アニオン交換繊維材料の層とカチオン交換繊維材料の層とを交互に数多く配置すれば、上述した「被処理水をカチオン交換体及びアニオン交換体に交互にできるだけ多くの回数接触させる」という条件を満足することができ、イオン交換による被処理水からの除去対象イオンの除去をより完全に行うことができる。また、カチオン交換体の層とアニオン交換体の層とを交互に数多く積層すれば、アニオン交換体とカチオン交換体との接触する部位、即ち水解の発生場を脱塩室の全体に亘って数多く形成することができるので、イオン交換体の再生やTOC成分及びシリカなどの分解が極めて効率的に行われる。
【0036】
なお、本発明に係る電気式脱塩装置においては、濃縮室や電極室の構成は特に限定されないが、これら濃縮室及び/又は電極室にもイオン交換体を充填することが好ましい。濃縮室や電極室内に充填するイオン交換体としては、電気式脱塩装置において使用することが提案されている任意の材料を用いることができる。例えば、脱塩室に充填するものと同様のイオン交換機能を付与したイオン交換繊維材料などを電極室内に充填するイオン交換体として使用することができ、更に、特許文献2で開示されているイオン伝導性を付与した斜交網等の形態のイオン伝導スペーサなどを、濃縮室や電極室内に充填するイオン交換体として使用することができる。また、濃縮室や電極室には、イオン伝導性を付与していない斜交網等の形態のスペーサを充填することもできる。
【0037】
また、本発明に関する電気式脱塩装置の構造としては、次のような構造のものも含まれる。i)脱塩室および濃縮室が複数交互に配置された電気式脱塩装置において、本発明の基本構造をもった脱塩室が設けられたもの。ii)脱塩室内に、アニオン交換繊維材料の層及び/又はカチオン交換繊維材料の層が被処理水の流通方向に交差して積層配置されており、それらの層の間に、その他のイオン交換体によって構成された層が少なくとも一層挿入されたもの。iii)脱塩室内に、アニオン交換繊維材料の層及び/又はカチオン交換繊維材料の層が積層されており、少なくともその一層がアニオン交換繊維材料又はカチオン交換機能を有する繊維材料とその他のイオン交換体との複合によって構成されたもの。
【0038】
また、電気式脱塩装置の脱塩室内のカチオン交換体とアニオン交換体との接触部においては、カチオン交換基とアニオン交換基との結合が起こり、運転時間の経過と共に、アニオン交換体とカチオン交換体とがより強固に結合するようになる。本発明に係る電気式脱塩装置のように、脱塩室内でイオン交換体を被処理水の流通方向に交差して配置する、即ち脱塩室を画定するイオン交換膜に交差してイオン交換体を配置するような形態の場合、被処理水がイオン交換膜と、充填されているイオン交換体との間を優先して流れることを防ぐために、イオン交換膜とイオン交換体との接触部をより強固に密着させる必要がある。そこで、本発明に係る電気式脱塩装置においては、運転初期においては低流速(例えばSV<100h−1)で通電運転を行って、脱塩室のカチオン交換膜とアニオン交換体、及びアニオン交換膜とカチオン交換体との結合を通電運転によって形成した後に、流速を上昇させて通常の運転を行うことが望ましい。更に、長期間に亘って脱塩室のイオン交換膜とイオン交換体との間の結合を保持するために、各濃縮室の圧力と各脱塩室の圧力とを同じ程度に保ち、イオン交換膜とイオン交換体とが剥離しないようにすることが更に望ましい。
【0039】
本発明に係る電気式脱塩装置において使用することのできるイオン交換繊維材料としては、高分子繊維基材にイオン交換基をグラフト重合法によって導入したものが好ましく用いられる。高分子繊維よりなるグラフト化基材は、ポリオレフィン系高分子、例えばポリエチレンやポリプロピレンなどの一種の単繊維であってもよく、また、軸芯と鞘部とが異なる高分子によって構成される複合繊維であってもよい。用いることのできる複合繊維の例としては、ポリオレフィン系高分子、例えばポリエチレンを鞘成分とし、鞘成分として用いたもの以外の高分子、例えばポリプロピレンを芯成分とした芯鞘構造の複合繊維が挙げられる。かかる複合繊維材料に、イオン交換基を、放射線グラフト重合法を利用して導入したものが、イオン交換能力に優れ、厚みが均一に製造できるので、本発明において用いられるイオン交換繊維材料として好ましい。イオン交換繊維材料の形態としては、織布、不織布などを挙げることができる。
【0040】
また、本発明に係る電気式脱塩装置において使用することのできるイオン伝導スペーサとしては、ポリオレフィン系高分子製樹脂、例えば、従来電気透析槽において使用されていたポリエチレン製の斜交網(ネット)を基材として、これに、放射線グラフト法を用いてイオン交換機能を付与したものが、イオン伝導性に優れ、被処理水の分散性に優れているので、好ましい。
【0041】
本発明に係る電気式脱塩装置において使用するイオン交換繊維材料やイオン伝導スペーサなどは、放射線グラフト重合法を利用して製造することが好ましい。放射線グラフト重合法とは、高分子基材に放射線を照射してラジカルを形成させ、これにモノマーを反応させることによってモノマーを基材中に導入するという技法である。
【0042】
放射線グラフト重合法に用いることができる放射線としては、α線、β線、ガンマ線、電子線、紫外線等を挙げることができるが、本発明においてはガンマ線や電子線を好ましく用いる。放射線グラフト重合法には、グラフト基材に予め放射線を照射した後、グラフトモノマーと接触させて反応させる前照射グラフト重合法と、基材とモノマーの共存下に放射線を照射する同時照射グラフト重合法とがあるが、本発明においては、いずれの方法も用いることができる。また、モノマーと基材との接触方法により、モノマー溶液に基材を浸漬させたまま重合を行う液相グラフト重合法、モノマーの蒸気に基材を接触させて重合を行う気相グラフト重合法、基材をモノマー溶液に浸漬した後モノマー溶液から取り出して気相中で反応を行わせる含浸気相グラフト重合法などを挙げることができるが、いずれの方法も本発明において用いることができる。
【0043】
不織布などの繊維基材やスペーサ基材に導入するイオン交換基としては、特に限定されることなく種々のカチオン交換基又はアニオン交換基を用いることができる。例えば、カチオン交換基としては、スルホン酸基などの強酸性カチオン交換基、リン酸基などの中酸性カチオン交換基、カルボキシル基などの弱酸性カチオン交換基、アニオン交換基としては、第1級〜第3級アミノ基などの弱塩基性アニオン交換基、第4級アンモニウム基などの強塩基性アニオン交換基を用いることができ、或いは、上記カチオン交換基及びアニオン交換基の両方を併有するイオン交換体を用いることもできる。
【0044】
これらの各種イオン交換基は、これらのイオン交換基を有するモノマーを用いてグラフト重合、好ましくは放射線グラフト重合を行うか、又はこれらのイオン交換基に転換可能な基を有する重合性モノマーを用いてグラフト重合を行った後に当該基をイオン交換基に転換することによって、繊維基材又はスペーサ基材に導入することができる。この目的で用いることのできるイオン交換基を有するモノマーとしては、アクリル酸(AAc)、メタクリル酸、スチレンスルホン酸ナトリウム(SSS)、メタリルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナトリウム、ビニルスルホン酸ナトリウム、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド(VBTAC)、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリルアミドなどを挙げることができる。例えば、スチレンスルホン酸ナトリウムをモノマーとして用いて放射線グラフト重合を行うことにより、基材に直接、強酸性カチオン交換基であるスルホン酸基を導入することができ、また、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライドをモノマーとして用いて放射線グラフト重合を行うことにより、基材に直接、強塩基性アニオン交換基である第4級アンモニウム基を導入することができる。また、イオン交換基に転換可能な基を有するモノマーとしては、アクリロニトリル、アクロレイン、ビニルピリジン、スチレン、クロロメチルスチレン、メタクリル酸グリシジル(GMA)などが挙げられる。例えば、メタクリル酸グリシジルを放射線グラフト重合によって基材に導入し、次に亜硫酸ナトリウムなどのスルホン化剤を反応させることによって強酸性カチオン交換基であるスルホン酸基を基材に導入したり、又はクロロメチルスチレンをグラフト重合した後に、基材をトリメチルアミン水溶液に浸漬して第4級アンモニウム化を行うことによって、強塩基性アニオン交換基である第4級アンモニウム基を基材に導入することができる。
【0045】
なお、図2及び図3においては、シート状のイオン交換繊維材料を脱塩室内に被処理水の流通方向に交差する方向、即ち横置きに積層することによって本発明に係る電気式脱塩装置を構成する例を示しているが、その他にも下記に示すようなイオン交換繊維材料の充填方法によって本発明に係る電気式脱塩装置を構成することができる。
【0046】
まず、図4に示すように、長尺シート状のアニオン交換繊維材料及びカチオン交換繊維材料を重ね合わせ、これを脱塩室の寸法に合わせて折り畳んでプリーツ状のイオン交換繊維材料構造体を形成し、このプリーツ状構造体を、プリーツの面が通水方向に交差し、且つ構造体の両断面が脱塩室を画定するカチオン交換膜及びアニオン交換膜にそれぞれ接するように脱塩室内に充填することによって、本発明に係る電気式脱塩装置を構成することができる。また、図5に示すように、長尺シート状のアニオン交換繊維材料及びカチオン交換繊維材料を重ね合わせてロール状に巻回し、このロールを、両断面が脱塩室を画定するカチオン交換膜及びアニオン交換膜にそれぞれ接するように脱塩室内に1個又は複数個充填することによっても、本発明に係る電気式脱塩装置を構成することができる。このような図4及び図5に示すような形態のものも、アニオン交換繊維材料の層及びカチオン交換繊維材料の層が被処理水の流通方向に交差して積層配置されており、したがって、本発明の電気式脱塩装置の範囲に包含される。なお、これらの形態においても、図3に示すように、脱塩室を画定するアニオン交換膜の表面に沿ってアニオン交換繊維材料を配置し、及び/又は、カチオン交換膜の表面に沿ってカチオン交換繊維材料を配置して、脱塩室内に充填されるイオン交換体と、脱塩室を画定するイオン交換膜との接触をより強固にすることができる。
【0047】
本発明に係る電気式脱塩装置を構成するのに用いられるイオン交換膜としては、陽イオン交換膜としては例えば、NEOSEPTA CMX(トクヤマ)などを、陰イオン交換膜としては例えばNEOSEPTA AMX(トクヤマ)などを使用することができる。
【0048】
以上のような構成のために、本発明に係る電気式脱塩装置によれば、次のような効果が得られ、電気式脱塩装置の脱塩効率を大幅に向上させ、電気式脱塩装置を小型化することができる。被処理水をカチオン交換体とアニオン交換体に完全に交互に多数段接触させることが可能となる。
【0049】
1.イオン交換機能を持った繊維材料層は、繊維で構成され繊維径が小さいため、イオンの固相移動拡散距離が短く、また表面積が広く、除去対象イオンと官能基の接触頻度が高いためイオン交換反応が平衡状態に達するまでの時間が短く、さらに中和反応が完結しやすい。
【0050】
2.カチオン交換機能を有する繊維材料層およびアニオン交換機能を有する繊維材料層は、それぞれカチオン交換膜およびアニオン交換膜に密着しており、脱塩室を横切るように同種のイオン交換体が連続して電極方向に充填されているため、イオン交換により固相に吸着した除去対象イオンおよび水解で発生したHイオン及びOHイオンは容易に固相中を移動し、水相中に脱離することなく濃縮室に運ばれる。
【0051】
3.カチオン交換体とアニオン交換体の接触部として、カチオン交換膜とアニオン交換繊維材料層との接触部、アニオン交換膜とカチオン交換繊維材料層との接触部、及びカチオン交換繊維材料層とアニオン交換繊維材料層との接触部が設けられる。また、イオン交換繊維材料を多層交互に充填する場合には、大半の水解はカチオン交換繊維材料層とアニオン交換繊維材料層との接触部で起こると考えられる。したがって、被処理水は水解の発生場に多く流通し、水解場においてTOC成分および弱電解質のイオン化が促進され、TOC成分および弱電解質成分の除去率が向上する。
【0052】
以上の原理により、本発明に係る電気式脱塩装置によれば、例えば、RO処理水相当の水を被処理水として10Lh−1で供給した場合、SV(空間速度:被処理水供給速度/総脱塩室体積)=200h−1、運転電流0.4Aで、比抵抗値18.0MΩcm程度、TOC濃度10ppb以下、シリカ濃度30ppb以下の処理水を安定して得ることができる。
【0053】
上記に説明した、脱塩室においてアニオン交換繊維材料の層及びカチオン交換繊維材料の層の少なくとも一方を被処理水の流通方向に交差して積層配置するという本発明の構成を採用することにより、脱塩室体積あたりの脱塩効率を大幅に向上することができるため、電気式脱塩装置の寸法を従来のものよりも大幅に小型化することが可能になる。
【0054】
しかしながら、本発明者らのその後の研究により、上記のように小型化した電気式脱塩装置を長時間運転すると、特に被処理水がカルシウム分や炭酸分を多く含む、すなわち硬度の高い水である場合には、運転電圧が時間と共に上昇する傾向が強くみられる場合があることが判明した。これは、被処理水中のカルシウムイオン及び炭酸イオンが隣接する脱塩室から濃縮室に導入されて濃縮室内で濃縮されるために炭酸カルシウムが生成して結晶となって析出し、これが絶縁体として電気の流通を阻害するために、運転電圧が上昇するためであると考えられる。従来の電気式脱塩装置においても、この現象が起こっていることは確認されているが、装置が大型であるために、電極面積が広く、電流密度が低いので、炭酸カルシウムが全体に薄く生成するために水に溶解し、このため炭酸カルシウム結晶の析出による重大な問題を引き起こすことが少なかったと考えられる。しかしながら、本発明によって脱塩装置が大幅に小型化したことに伴って、この問題が顕在化する場合があると考えられる。
【0055】
この濃縮室内における炭酸カルシウムの結晶の析出という現象について考察すると、まず、濃縮室内におけるアニオン交換体/カチオン交換体の接触界面で炭酸カルシウムが生成する。生成した炭酸カルシウムは溶解度が低いために、これが結晶となって析出し、生成した結晶粒子が種核となって結晶析出が進行していく。本発明者は、このような炭酸カルシウム結晶析出のメカニズムに注目し、炭酸カルシウムが生成する場であるアニオン交換体/カチオン交換体の接触界面を濃縮室全体にわたって分散させることで、炭酸カルシウムが生成しても結晶として析出することなく、脱塩運転を安定して行うことができることに着目した。そして、上記に説明した脱塩室内における本発明の構成を濃縮室にも採用することで、濃縮室内におけるアニオン交換体/カチオン交換体の接触界面を室全体にわたって分散させることができることに想到し、本発明の好ましい第2の態様を完成するに至った。
【0056】
すなわち、本発明の好ましい第2の態様は、電気式脱塩装置の濃縮室内において、アニオン交換繊維材料の層及びカチオン交換繊維材料の層の少なくとも一方を、通水方向に交差して積層配置することを特徴とするものである。
【0057】
本発明の第2の態様において、濃縮室内へのイオン交換繊維材料の充填方法及び通水方法は、脱塩室へのイオン交換繊維材料の充填方法及び通水方法に関して、図2〜図5を参照して上記に説明した各種形態を採用することができる。
【0058】
更に、本発明者の更なる研究により、電極室においても、イオン交換繊維材料を通水方向に交差して積層配置することによって、脱塩運転の運転電圧をより安定化させることができることが分かった。電極室、特に陰極室においては、脱塩運転の時間経過に伴って室の両端にかかる電圧が上昇することが知られている。本発明者らが考察した結果、この現象は、電極表面において水の電気分解によってOHイオンが生成し、これが通水中のカルシウムイオンと結合して水酸化カルシウムが生成して、電極の表面で析出して絶縁体の膜を形成することによって、電気抵抗が上昇するためであるとの結論に達した。よって、電極室内、特に陰極室内においても、イオン交換繊維材料を通水方向に交差する方向に積層して配置することにより、電極と通水との接触面積が格段に増大し、生成する水酸化カルシウムが局在化することが抑制されて、極室全体に分散されるため、極室内における水酸化カルシウムの結晶の析出を抑制することができ、その結果、極室における電圧差の上昇を抑えることができる。また、陰極室両端にかかる電圧の上昇は、次のような原因によっても起こると考えられる。陰極室にイオン交換体を充填する場合には、通常はアニオン交換体を用いる。アニオン交換基、例えば第4級アンモニウム基(R−N(CH)は正に帯電しているため、電極(陰極)に引き寄せられる。電極では、通常、水の還元反応:
+2e→H
即ち水の電気分解が起こるが、これと同時に第4級アンモニウム基も還元されると考えられる。
2(R−N(CH)+2e→2R−CH+2C+N
第4アンモニウム基は、還元されるとイオン交換機能を失い、絶縁体となってしまうため、極室の両端にかかる電圧が上昇する。従来の電気式脱塩装置においては、極室にイオン交換体を充填する場合にはイオン伝導スペーサを使用していたので、電極とイオン交換体とがいわば点で接触しており、上記のアニオン交換基の絶縁化によって電気の流通が阻害されて、極室の両端にかかる電圧の上昇が顕著化していたと考えられる。しかしながら、本発明の第3の態様によれば、特に陰極室にアニオン交換繊維材料を通水方向に交差する方向に積層して配置することにより、陰電極と陰電極室内のアニオン交換体との接触面積が格段に増大していわば面で接触するようになるため、その一部で発生するアニオン交換基の絶縁化が、極室の両端にかかる電圧の上昇を引き起こすほどの影響を与えず、その結果、極室の両端にかかる電圧の上昇を抑えることができる。したがって、本発明の更に好ましい第3の態様は、電気式脱塩装置の電極室内において、アニオン交換繊維材料の層及びカチオン交換繊維材料の層の少なくとも一方を、通水方向に交差して積層配置することを特徴とするものである。本発明の第3の態様においては、陰極室にアニオン交換繊維材料を通水方向に交差して積層配置することが特に好ましい。
【0059】
なお、本発明の第3の態様においては、特に、陰極室内においてイオン交換繊維材料を通水方向に交差して積層配置することが好ましく、カチオン交換繊維材料を通水方向に交差して積層配置することがより好ましい。その他のイオン交換繊維材料の充填方法及び通水方法は、脱塩室へのイオン交換繊維材料の充填方法及び通水方法に関して、図2〜図5を参照して上記に説明した各種形態を採用することができる。但し、陰極室の場合には、陰極と、通常はアニオン交換膜によって室が画定されており、陰極室内に積層配置されているアニオン交換繊維材料と、当該室を画定するアニオン交換膜及び陰電極の少なくとも一方が接触するように配置することができ、また、陰極室内に積層配置されているアニオン交換繊維材料が、当該室を画定するアニオン交換膜及び陰電極の両方に接触するように配置することもでき、さらには、陰極室において、当該室を画定するアニオン交換膜及び/又は陰電極の表面に沿ってアニオン交換繊維材料が配置されていることもできる。
【0060】
上記の本発明の各種態様の特徴は、それぞれを組み合わせても、あるいはそれぞれ単独で採用してもよい。すなわち、本発明にかかる電気式脱塩装置おいては、イオン交換繊維材料を通水方向に交差して積層配置する室は、脱塩室、濃縮室及び極室のいずれか一つでもよく、あるいは脱塩室と濃縮室、あるいは脱塩室と極室、あるいは濃縮室と極室、あるいは脱塩室、濃縮室及び極室の全てであってもよい。また、上記にすでに説明したように、脱塩室の一部、濃縮室の一部、あるいは極室の一方においてイオン交換繊維材料を通水方向に交差して積層配置することもできる。
【0061】
なお、上記の説明は、脱塩室及び濃縮室の少なくとも一つの室においてイオン交換繊維材料を被処理水の流通方向に交差して積層配置する態様について説明したが、イオン交換繊維材料と比較して、同等程度の利用可能なイオン交換基量を有し、同等程度の通水性を有する、イオン交換性が付与された通水性の多孔質材料であれば、イオン交換繊維材料に代えて若しくはこれと組み合わせて脱塩室内に配置することができ、かかる形態によっても本発明の効果を奏することができる。即ち、本発明の他の形態は、陰極と陽極の間に、複数のイオン交換膜で仕切られた脱塩室及び濃縮室を有する電気式脱塩装置であって、脱塩室及び濃縮室の少なくとも一つの室において、イオン交換機能が付与された通水性多孔性材料層が、被処理水の流通方向に交差して積層配置されていることを特徴とする電気式脱塩装置に関する。
【0062】
本発明のかかる態様において用いることのできる通水性多孔性材料としては、例えば、連通空孔を有する多孔性基材などを挙げることができる。「連通空孔を有する多孔性基材」とは、基材の一面側から反対側の他面側まで内部を貫通して連続してつながった空孔を有する構造体全般を意味し、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどオレフィン性合成樹脂からなる連続気泡発泡体、海綿など天然の連続気泡発泡体、縦方向及び横方向に繊維を織ってなる平面織りにさらに厚み方向にも繊維が織られてなる三次元織布などを含む。これらのうち、ポリエチレン系多孔体、ポリプロピレン系多孔体などのポリオレフィン系連続気泡発泡体を好ましく用いることができ、三次元織布としては、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維などが三次元に織られてなるポリオレフィン系三次元織布を好ましく用いることができる。これらの材料にイオン交換基を導入したものを、脱塩室内に、流通方向に交差する方向に積層して配置することができる。
【0063】
この目的で用いることのできる連通空孔を有する多孔性基材としては、空隙率:93〜96%、平均孔径:0.6〜2.6mm、比表面積:21000〜38000m/m、特に約30000m/mを有することが好ましい。また、イオン交換基を導入する基材として機能することが必要であり、ポリオレフィン系高分子、例えばポリエチレン、ポリプロピレン及びこれらの複合体からなることが好ましい。具体的には、空隙率:93〜96%、平均孔径:0.6〜2.6mm、比表面積:約30000m/mのポリエチレン系多孔体(積水化学工業(株)製)を特に好ましく用いることができる。本発明においては、このような連通空孔を有する多孔性基材にイオン交換基を導入してなるイオン交換体を用い、これを被処理水の流通方向に交差して積層配置することにより、被処理水の流通を阻害せずにイオン交換体中を通過させ、被処理液の流入圧力を高く保持する必要なく、被処理液をイオン交換体と充分に接触させることができる。
【0064】
上記のような通水性多孔質材料へのイオン交換基の導入は、上記に説明した放射線グラフト重合法を用いることによって行うことができる。イオン交換基の導入は、アニオン交換体の場合には中性塩分解容量が2.8〜3.3meq/g、カチオン交換体の場合には中性塩分解容量が2.7〜3.0meq/gとなるように行うことが好ましい。イオン交換体の中性塩分解容量が上述の範囲にあれば、被処理水中のイオンと接触可能なイオン交換基が多く、良好なイオン交換機能を奏することができる。
【0065】
上記に説明したイオン交換機能が付与された通水性多孔性材料に関しても、これを配置する室は、脱塩室、濃縮室及び極室のいずれか一つでもよく、あるいは脱塩室と濃縮室、あるいは脱塩室と極室、あるいは濃縮室と極室、あるいは脱塩室、濃縮室及び極室の全てであってもよい。また、上記にすでに説明したように、脱塩室の一部、濃縮室の一部、あるいは極室の一方においてイオン交換機能が付与された通水性多孔性材料を配置することもできる。
【0066】
本発明の各種態様は、以下の通りである。
1. 陰極と陽極の間に、複数のイオン交換膜で仕切られた脱塩室及び濃縮室及び電極室を有する電気式脱塩装置であって、脱塩室及び濃縮室及び電極室の少なくとも一つの室において、アニオン交換繊維材料の層及びカチオン交換繊維材料の層の少なくとも一方が、通水方向に交差して積層配置されていることを特徴とする電気式脱塩装置。
【0067】
2. 脱塩室及び濃縮室の少なくとも一つの室において、当該室内に積層配置されているアニオン交換繊維材料と、当該室を画定するアニオン交換膜とが接触するように配置され、及び/又は、当該室内に積層配置されているカチオン交換繊維材料と、当該室を画定するカチオン交換膜とが接触するように配置されている上記第1項に記載の電気式脱塩装置。
【0068】
3. 脱塩室及び濃縮室の少なくとも一つの室において、当該室内に積層配置されているアニオン交換繊維材料、及び当該室内に積層配置されているカチオン交換繊維材料の一方若しくは両方が、当該室を画定するアニオン交換膜及びカチオン交換膜の両方に接触するように配置されている上記第1項に記載の電気式脱塩装置。
【0069】
4. 脱塩室及び濃縮室の少なくとも一つの室において、アニオン交換膜の表面に沿ってアニオン交換繊維材料が配置され、及び/又は、カチオン交換膜の表面に沿ってカチオン交換繊維材料が配置されている上記第1項に記載の電気式脱塩装置。
【0070】
5. 脱塩室及び濃縮室の少なくとも一つの室において、アニオン交換繊維材料の層及びカチオン交換繊維材料の層が、通水方向に交差して交互に積層して複数層配置されている上記第1項〜第4項のいずれかに記載の電気式脱塩装置。
【0071】
6. アニオン交換繊維材料及びカチオン交換繊維材料は、織布又は不織布材料である上記第1項〜第5項のいずれかに記載の電気式脱塩装置。
7. アニオン交換繊維材料及びカチオン交換繊維材料層の少なくとも一方は、放射線グラフト重合法を利用して基材にイオン交換基を導入したものである上記第1項〜第6項のいずれかに記載の電気式脱塩装置。
【0072】
8. 当該アニオン交換繊維材料又は当該カチオン交換繊維材料が、脱塩室の少なくとも一部に配置されている上記第1項〜第7項のいずれかに記載の電気式脱塩装置。
9. 当該アニオン交換繊維材料又は当該カチオン交換繊維材料が、濃縮室の少なくとも一部に配置されている上記第1項〜第7項のいずれかに記載の電気式脱塩装置。
【0073】
10. 当該アニオン交換繊維材料又は当該カチオン交換繊維材料が、電極室の少なくとも一方に配置されている上記第1項〜第9項のいずれかに記載の電気式脱塩装置。
11.当該アニオン交換繊維材料又は当該カチオン交換繊維材料が、脱塩室の少なくとも一部及び濃縮室の少なくとも一部に配置されている上記第1項〜第7項のいずれかに記載の電気式脱塩装置。
【0074】
12. 当該アニオン交換繊維材料又は当該カチオン交換繊維材料が、電極室の少なくとも一方に配置されている上記第11項に記載の電気式脱塩装置。
13.当該アニオン交換繊維材料の層が、陰極室に配置されている上記第10項又は第12項に記載の電気式脱塩装置。
【0075】
14.陰極室において、当該室内に積層配置されているアニオン交換繊維材料と、当該室を画定するアニオン交換膜及び陰電極の少なくとも一方が接触するように配置されている上記第13項に記載の電気式脱塩装置。
【0076】
15. 陰極室において、当該室内に積層配置されているアニオン交換繊維材料が、当該室を画定するアニオン交換膜及び陰電極の両方に接触するように配置されている上記第13項に記載の電気式脱塩装置。
【0077】
16. 陰極室において、当該室を確定するアニオン交換膜及び/又は陰電極の表面に沿ってアニオン交換繊維材料が配置されている上記第13項に記載の電気式脱塩装置。
17. 陰極と陽極の間に、複数のイオン交換膜で仕切られた脱塩室及び濃縮室及び電極室を有する電気式脱塩装置であって、脱塩室内及び濃縮室及び電極室の少なくとも一つの室において、イオン交換機能が付与された通水性多孔性材料層が、通水の流通方向に交差して積層配置されていることを特徴とする電気式脱塩装置。
【0078】
18. イオン交換機能が付与された通水性多孔性材料が、放射線グラフト重合法を利用して基材にイオン交換基を導入したものである上記第17項に記載の電気式脱塩装置。
19. イオン交換機能が付与された通水性多孔性材料が、脱塩室の少なくとも一部に配置されている上記第17項又は第18項に記載の電気式脱塩装置。
【0079】
20. イオン交換機能が付与された通水性多孔性材料が、濃縮室の少なくとも一部に配置されている上記第17項又は第18項に記載の電気式脱塩装置。
21. イオン交換機能が付与された通水性多孔性材料が、電極室の少なくとも一方に配置されている上記第17項〜第20項のいずれかに記載の電気式脱塩装置。
【0080】
22.イオン交換機能が付与された通水性多孔性材料が、脱塩室の少なくとも一部及び濃縮室の少なくとも一部に配置されている上記第17項又は第18項に記載の電気式脱塩装置。
【0081】
23. イオン交換機能が付与された通水性多孔性材料が、電極室の少なくとも一方に配置されている上記第22項に記載の電気式脱塩装置。
24.カチオン交換機能が付与された通水性多孔性材料が、陰極室に配置されている上記第21項又は第23項に記載の電気式脱塩装置。
【0082】
25.陰極と陽極の間に、複数のイオン交換膜で仕切られた脱塩室及び濃縮室及び電極室を有する電気式脱塩装置であって、脱塩室内及び濃縮室及び電極室の少なくとも一つの室において、長尺シート状のアニオン交換繊維材料及びカチオン交換繊維材料を重ね合わせ、これを当該室の寸法に合わせて折り畳んで形成されているプリーツ状のイオン交換繊維材料構造体を、プリーツの面が通水方向に交差し、且つ構造体の両切断面が当該室を画定するカチオン交換膜及びアニオン交換膜にそれぞれ接するように充填されていることを特徴とする電気式脱塩装置。
【0083】
26.陰極と陽極の間に、複数のイオン交換膜で仕切られた脱塩室及び濃縮室及び電極室を有する電気式脱塩装置であって、脱塩室内及び濃縮室及び電極室の少なくとも一つの室において、長尺シート状のアニオン交換繊維材料及びカチオン交換繊維材料を重ね合わせて巻回して形成したロール状構造体を、構造体の両切断面が当該室を画定するカチオン交換膜及びアニオン交換膜にそれぞれ接するように1個又は複数個充填されていることを特徴とする電気式脱塩装置。
以下、具体的な実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。以下の記載は、本発明の一具体例を示すものであり、本発明はこれらの記載によって限定されるものではない。
【0084】
製造例1:カチオン交換不織布の製造
基材として、繊維径17μmのポリエチレン(鞘)/ポリプロピレン(芯)の複合繊維からなる目付55g/m、厚さ0.35mmの熱融着不織布を用いた。不織布基材に、窒素雰囲気下で電子線(150kGy)を照射した。照射済みの不織布基材を、メタクリル酸グリシジルの10%メタノール溶液中に浸漬し、45℃で4時間反応させた。反応後の不織布基材を60℃のジメチルホルムアミド溶液に5時間浸漬して、基材に結合していないモノマー重合体(ホモポリマー)を除去して、メタクリル酸グリシジルによってグラフト重合された不織布材料(グラフト率131%)を得た。このグラフト不織布を、亜硫酸ナトリウム:イソプロピルアルコール:水=1:1:8(重量比)の溶液に浸漬し、80℃で10時間反応させて、スルホン酸基を導入した後、塩酸(5重量%)で再生処理をして、強酸性カチオン交換不織布(中性塩分解容量471meq/m)を得た。これを「カチオン交換不織布」とした。
【0085】
製造例2:アニオン交換不織布の製造
製造例1と同じ不織布基材に、窒素雰囲気下で電子線(150kGy)を照射した。クロロメチルスチレン(セイミケミカル製、商品名CMS−AM)を活性アルミナ充填層に通液して重合禁止剤を取り除き、窒素曝気を行った。脱酸素処理後のクロロメチルスチレン溶液中に、電子線照射済みの不織布基材を浸漬して、50℃で6時間反応させた。その後、クロロメチルスチレン溶液から不織布を取り出し、トルエン中に3時間浸漬してホモポリマーを除去して、クロロメチルスチレンによってグラフト重合された不織布材料(グラフト率161%)を得た。このグラフト不織布を、トリメチルアミン溶液(10重量%)中で4級アンモニウム化させた後、水酸化ナトリウム水溶液(5重量%)で再生処理をして、4級アンモニウム基を有する強塩基性アニオン交換不織布(中性塩分解容量350meq/m)を得た。これを「アニオン交換不織布」とした。
【0086】
製造例3:カチオン伝導スペーサの製造
イオン伝導スペーサの基材として、厚さ1.2mm、ピッチ3mmのポリエチレン製斜交網を用い、グラフトモノマーとしてスチレンスルホン酸ナトリウムと補助モノマーとしてアクリル酸を用いた。
【0087】
ドライアイスで冷却しながら、ポリエチレン製斜交網に窒素雰囲気中でγ線(150kGy)を照射した。この照射済み斜交網をスルホン酸ナトリウムとアクリル酸の混合モノマー溶液中に浸漬し、75℃で3時間反応させて、スルホン酸基及びカルボキシル基を有するグラフト斜交網材料(カチオン伝導スペーサー)を得た(グラフト率153%)。中性塩分解容量は189meq/m、総交換容量は834meq/mであった。これを「カチオン伝導スペーサ」とした。
【0088】
製造例4:アニオン伝導スペーサの製造
ドライアイスで冷却しながら、製造例3と同じポリエチレン製斜交網に窒素雰囲気下でγ線(150kGy)を照射した。この照射済み斜交網をVBTAC(ビニルベンジルトリメチルアンモニウム)及びDMAA(ジメチルアクリルアミド)の混合モノマー中に浸漬し、50℃で3時間反応させて、VBTAC及びDMAAのグラフト斜交網を得た。グラフト率を算出したところ156%であった。得られたグラフト斜交網の中性塩分解容量を算出したところ198meq/mであった。これを「アニオン伝導スペーサ」とした。
【実施例1】
【0089】
図6の構成の電気式脱塩装置を組み立てた。陰極および陽極の間に、カチオン交換膜C(トクヤマ製:NEOSEPTA CMB)とアニオン交換膜A(トクヤマ製:NEOSEPTA AHA)とを図6に示すように配列することにより、陽極側から陽極室、濃縮室、脱塩室、濃縮室、陰極室の順で配列されている電気式脱塩装置を構成した。脱塩室の厚さは20mm、電極の大きさは縦50mm×横50mmであり、濃縮室および電極室の厚さは3mmとした。脱塩室には製造例1により製造し、塩酸により再生したカチオン交換不織布、及び製造例2により製造し、アルカリにより再生したアニオン交換不織布を、図6に示すように被処理水の流通方向に対して交差する方向(即ち横置き)に、それぞれ25枚交互に積層充填した。両濃縮室においては、アニオン交換膜上に製造例4で製造したアニオン伝導スペーサを2枚、アニオン交換膜に平行に配置し、カチオン交換膜面上に製造例3で製造したカチオン伝導スペーサを2枚、カチオン交換膜に平行に配置した。また、陽極室には製造例3で製造したカチオン伝導スペーサを、カチオン交換膜に平行に4枚配置し、陰極室には製造例4で製造したアニオン伝導スペーサを、アニオン交換膜に平行に4枚配置した。
【0090】
両電極間に0.4Aの直流電流を印加して、0.2MΩcmのRO処理水(逆浸透膜処理水:シリカ濃度0.1〜0.3ppm、水温14℃〜26℃、TOC濃度120ppb)を、流量10Lh−1(SV=200h−1)で脱塩室に通水し、濃縮室および電極室については、0.2MΩcmのRO処理水を陰極側極室から陰極側濃縮室へ直列に、陽極側極室から陽極側濃縮室へ直列に,それぞれ2.5Lh−1で通水した。その結果、運転1分後に脱塩水として18.2MΩcmの水が脱塩室より得られ、1000時間運転後も18.0MΩcm以上の水が安定して得られた。図7に、1200時間運転までの処理水の比抵抗の経時変化をグラフで示す。また、処理水のTOCの濃度も25時間後に7.2ppbとなり、5.3ppbで平衡値に達した。脱塩室の圧力損失は、1000時間運転後において0.5kgf/cmとなった。
【0091】
比較例1
脱塩室/濃縮室にイオン交換繊維材料及びイオン伝導スペーサを被処理水の流通方向に平行に充填した従来の電気式脱塩装置による通水試験を行った。図8に示すように、電極間にアニオン交換膜(A)及びカチオン交換膜(C)を交互に配列することにより、脱塩室を3室とする従来公知のタイプの電気式脱塩装置を組み立てた。各脱塩室セル及び各極室の厚さ2.5mmであり、各濃縮室の厚さ1.5mm、電極の大きさは縦240mm×横50mmとした。イオン交換膜は実施例1と同様の物を用いた。各脱塩室においては、アニオン交換膜面に製造例2で製造したアニオン交換不織布を、カチオン交換膜面に製造例1で製造したカチオン交換不織布を1枚ずつ配置し、両不織布間には製造例4で製造したアニオン伝導スペーサを2枚充填した。各濃縮室においては、アニオン交換膜面に製造例4で製造したアニオン伝導スペーサを、カチオン交換膜面に製造例3で製造したカチオン伝導スペーサを、それぞれ1枚ずつ充填した。また、陽極室においては、製造例3で製造したカチオン伝導スペーサを4枚配置し、陰極室においては、製造例4で製造したアニオン伝導スペーサを4枚配置した。
【0092】
両電極間に0.13Aの直流電流を印加して、0.2MΩcmのRO処理水(逆浸透膜処理水:シリカ濃度0.1〜0.3ppm、水温14℃〜26℃、TOC濃度120ppb)を、流量5Lh−1(SV=55.6h−1)で、脱塩室D1,D2,D3に直列に通水し、濃縮室および電極室については、0.2MΩcmのRO処理水を、陰極側極室(K2)から濃縮室C2,C1を経由して陽極側極室(K1)へ、直列に2.5Lh−1で通水した。その結果、100時間後に脱塩水として17.9MΩcmの水が得られ、1000時間運転後も17.6MΩcmの水が得られた。また処理水のTOCの濃度は200時間後に10ppbとなり、9.2ppbでほぼ平衡値に達した。1000時間運転後、脱塩室圧力損失は3室当たり0.5kgf/cmとなった。
【0093】
同じ装置で、脱塩室への流量を20Lh−1(SV=222h−1)、濃縮室への流量を10Lh−1に上げて同様の実験を行ったところ、水質は運転時間の経過と共に上昇するものの1000時間運転後においても1.3MΩcmの水質が得られるに留まった。1000時間運転後においては、脱塩室の圧力損失は3室当たりで2.3kgf/cmとなった。
【0094】
比較例2
脱塩室/濃縮室にイオン交換樹脂ビーズを充填した従来の電気式脱塩装置による通水試験を行った。図9に示すように、脱塩室を9室とする従来公知のタイプの電気式脱塩装置を組み立てた。脱塩室セルの厚さ3mmであり、濃縮室および電極室の厚さは3mm、電極の大きさは縦220mm×横35mmとした。イオン交換膜は実施例1と同様のものを用い、各脱塩室、各濃縮室及び両極室に、カチオン樹脂ビーズ(ダウケミカル製 Dowex MONOSPHERE 650C)およびアニオン交換樹脂(ダウケミカル製 Dowex MONOSPHERE 550A)を混床充填した。両電極間に0.1Aの直流電流を印加して、0.2MΩcmのRO処理水(逆浸透膜処理水:シリカ濃度0.1〜0.3ppm、水温14℃〜26℃、TOC濃度120ppb)を、流量12Lh−1(SV=57.7h−1)で、図9に示すように脱塩室に通水し、濃縮室および電極室については、0.2MΩcmのRO処理水を、陰極側極室(K2)から図9に示すように各濃縮室を経由して陽極側極室(K1)へ6Lh−1で通水した。その結果、水質は1000時間運転後において4.3MΩcmの水質が得られ、処理水のTOCの濃度は1000時間後において20ppbであった。1000時間運転後、脱塩室の圧力損失は0.8kgf/cmとなった。
【0095】
同じ装置で、脱塩室への流量を36Lh−1(SV=173h−1)、濃縮室への流量を18Lh−1に上げて同様の実験を行ったところ、水質は運転時間の経過と共に上昇するものの1000時間運転後においても0.5MΩcmの水質が得られるに留まった。処理水のTOCの濃度は1000時間後において15ppbであり、脱塩室圧力損失は2.5kgf/cmであった。
【0096】
以上の実施例1及び比較例1,2から明らかなように、本発明の電気式脱塩装置によれば、従来の電気式脱塩装置と比べて遙かに高い原水流量で良好な処理水質を得ることができた。また、装置が小型化されたために、脱塩室の圧力損失も問題にはならなかった。
【実施例2】
【0097】
図10に示す構成の電気式脱塩装置を組み立てた。陰極及び陽極の間に、カチオン交換膜C(トクヤマ製:NEOSEPTA CMB)とアニオン交換膜A(トクヤマ製:NEOSEPTA AHA)とを図10に示すように配列することにより、陽極側から、陽極室、濃縮室、脱塩室、濃縮室、陰極室の順で配列されている電気式脱塩装置を構成した。脱塩室及び濃縮室の厚さは20mm、電極の大きさは縦50mm×横50mmであり、極室の厚さは3mmとした。脱塩室及び濃縮室に、製造例1により製造し、塩酸により再生したカチオン交換不織布、及び製造例2により製造し、アルカリにより再生したアニオン交換不織布を、図10に示すように被処理水の通水方向に対して交差する方向(即ち横置き)に、それぞれ25枚交互に積層充填した。また、陽極室には、製造例3で製造したカチオン伝導スペーサをカチオン交換膜に平行に4枚配置し、陰極室には製造例4で製造したアニオン伝導スペーサをアニオン交換膜に平行に4枚配置した。
【0098】
両電極間に0.4Aの直流電流を印加して、0.2MΩcmのRO処理水(逆浸透膜処理水:シリカ濃度0.1〜0.3ppm、水温14℃〜26℃、TOC濃度120ppb、炭酸濃度6.5ppm、カルシウム濃度208ppb)を、流量20Lh−1(SV=400h−1)で脱塩室に通水し、両濃縮室については0.2MΩcmのRO処理水を12Lh−1で通水し、両極室については0.2MΩcmのRO処理水を8Lh−1で通水した。その結果、運転1分後に脱塩水として18.2MΩcmの水が脱塩室より得られた。30時間後の運転電圧は40.75Vであった。また、この時点での陰極側濃縮室及び陽極室の両端にかかる電圧は、それぞれ4.87V、2.71Vであった。引き続いて2000時間の連続運転を行い、運転電圧及び両濃縮室並びに脱塩室の両端にかかる電圧の経時変化を測定した。結果を図12に示す。運転開始当初は徐々に運転電圧及び濃縮室の両端にかかる電圧が上昇したが、200時間程度で濃縮室の両端にかかる電圧はほぼ一定となり、また運転電圧の上昇率は500時間程度で極めて小さくなった。2000時間後の運転電圧は130V、陰極側濃縮室の両端にかかる電圧は8.0Vであった。運転後、装置を分解して濃縮室内のイオン交換不織布を観察したが、特にスケールの析出はみられなかった。
【0099】
なお、濃縮室の両端にかかる電圧は、図10の構成の脱塩装置において、陽極室内のカチオン交換膜側、陽極側濃縮室のアニオン交換膜側、陰極側濃縮室のカチオン交換膜側及び陰極室のアニオン交換膜側に白金製の電極線(径0.4mm)を装填してそれぞれの電極間の電位差を測定することによって測定した。
【0100】
比較例3
図11の構成の電気式脱塩装置を組み立てた。陰極および陽極の間に、カチオン交換膜C(トクヤマ製:NEOSEPTA CMB)とアニオン交換膜A(トクヤマ製:NEOSEPTA AHA)とを図11に示すように配列することにより、陽極側から、陽極室、濃縮室、脱塩室、濃縮室、陰極室の順で配列されている電気式脱塩装置を構成した。脱塩室の厚さは20mm、電極の大きさは縦50mm×横50mmであり、濃縮室および電極室の厚さは3mmとした。脱塩室には、製造例1により製造し、塩酸により再生したカチオン交換不織布、及び製造例2により製造し、アルカリにより再生したアニオン交換不織布を、図11に示すように被処理水の流通方向に対して交差する方向(即ち横置き)に、それぞれ25枚交互に積層充填した。両濃縮室においては、アニオン交換膜上に製造例4で製造したアニオン伝導スペーサを1枚、アニオン交換膜に平行に配置し、カチオン交換膜面上に製造例3で製造したカチオン伝導スペーサを1枚、カチオン交換膜に平行に配置した。また、陽極室には製造例3で製造したカチオン伝導スペーサを、カチオン交換膜に平行に4枚配置し、陰極室には製造例4で製造したアニオン伝導スペーサを、アニオン交換膜に平行に4枚配置した。
【0101】
両電極間に0.4Aの直流電流を印加して、0.2MΩcmのRO処理水(逆浸透膜処理水:シリカ濃度0.1〜0.3ppm、水温14℃〜26℃、TOC濃度120ppb、炭酸濃度6.5ppm、カルシウム濃度208ppb)を、流量20Lh−1(SV=400h−1)で脱塩室に通水し、両濃縮室については、それぞれ0.2MΩcmのRO処理水を12Lh−1で通水し、両極室には、それぞれ0.2MΩcmのRO処理水を8Lh−1で通水した。その結果、運転1分後に脱塩水として18.2MΩcmの水が脱塩室より得られた。30時間後の運転電圧は81.2Vであった。また、この時点での陰極側濃縮室及び陽極側濃縮室の両端にかかる電圧は、それぞれ11.9V、13.1Vであった。引き続いて2000時間の連続運転を行い、運転電圧及び両濃縮室並びに脱塩室の両端にかかる電圧の経時変化を測定した。結果を図13に示す。図12に示す実施例2の結果と比較して、運転電圧及び両濃縮室の両端にかかる電圧の上昇の度合いが極めて大きく、1000時間運転後においてもなお上昇傾向にあった。2000時間後の運転電圧は293.9V、陰極側濃縮室の両端にかかる電圧は44.0V、陽極側濃縮室の両端にかかる電圧は82.7Vであった。
【0102】
2000時間の運転後に装置を分解して濃縮室内のイオン伝導スペーサを観察したところ、スペーサ全体に炭酸カルシウムのスケールが激しく析出していた。まずアニオン伝導スペーサとカチオン伝導スペーサとの接触部分で炭酸カルシウムの結晶が析出し、これが種核となってスペーサ全体に結晶が析出したと考えられる。
【0103】
実施例2と比較例3とを比べると、濃縮室においてもアニオン交換不織布及びカチオン交換不織布を、液通方向に対して交差する方向に横置きに積層して充填した実施例2の方が、運転電圧の安定性に優れていることが分かる。長時間運転後の装置を分解して観察したところによれば、この運転電圧の安定性は、主として、濃縮室内における炭酸カルシウムのスケール析出が発生しにくいことによるものと考えられる。
【実施例3】
【0104】
図14の構成の電気式脱塩装置を組み立てた。陰極および陽極の間に、カチオン交換膜C(トクヤマ製:NEOSEPTA CMB)とアニオン交換膜A(トクヤマ製:NEOSEPTA AHA)とを図14に示すように配列することにより、陽極側から、陽極室、濃縮室、脱塩室、濃縮室、陰極室の順で配列されている電気式脱塩装置を構成した。脱塩室及び濃縮室の厚さは20mm、電極の大きさは縦50mm×横50mmであり、電極室の厚さは5mmとした。脱塩室及び濃縮室には、製造例1により製造し、塩酸により再生したカチオン交換不織布、及び製造例2により製造し、アルカリにより再生したアニオン交換不織布を、図14に示すように被処理水の流通方向に対して交差する方向(即ち横置き)に、それぞれ25枚交互に積層充填した。陽極室には、製造例1で製造したカチオン交換不織布を図14に示すように通水方向に対して交差する方向(横置き)に50枚積層充填した。陰極室には、製造例2で製造したアニオン交換不織布を、図14に示すように通水方向に対して交差する方向(横置き)に50枚積層充填した。
【0105】
両電極間に0.4Aの直流電流を印加して、0.2MΩcmのRO処理水(逆浸透膜処理水:シリカ濃度0.1〜0.3ppm、水温14℃〜26℃、TOC濃度120ppb、炭酸濃度6.5ppm、カルシウム濃度208ppb)を、流量20Lh−1(SV=400h−1)で脱塩室に通水し、両濃縮室については、それぞれ0.2MΩcmのRO処理水を12Lh−1で通水し、両極室には、それぞれ0.2MΩcmのRO処理水を8Lh−1で通水した。その結果、運転1分後に脱塩水として18.2MΩcmの水が脱塩室より得られた。30時間後の運転電圧は36.6Vであった。また、この時点での陰極室及び陽極室の両端にかかる電圧は、それぞれ5.25V、2.71Vであった。引き続いて2000時間の連続運転を行い、運転電圧及び両極室の両端にかかる電圧の経時変化を測定した。結果を図16に示す。両極室の両端にかかる電圧は運転開始当初より安定して低い値を示しており、2000時間運転後において、運転電圧は76.6V、陰極室及び陽極室の両端にかかる電圧は、それぞれ5.33V及び1.65Vであった。一方、実施例2の電気式脱塩装置の運転において測定した両極室の両端にかかる電圧の経時変化を図17に示す。
【0106】
図17に示す実施例2の結果と比較して、陰極室においてアニオン交換不織布を横置きに積層配置した実施例3では、陰極室の両端にかかる電圧の上昇が大きく抑制されたことが分かる。
【実施例4】
【0107】
図15の構成の電気式脱塩装置を組み立てた。陰極および陽極の間に、カチオン交換膜C(トクヤマ製:NEOSEPTA CMB)とアニオン交換膜A(トクヤマ製:NEOSEPTA AHA)とを図15に示すように配列することにより、陽極側から、陽極室、濃縮室、脱塩室、濃縮室(兼陰極室)の順で配列されている電気式脱塩装置を構成した。脱塩室及び濃縮室並びに濃縮室兼陰極室の厚さは20mm、電極の大きさは縦50mm×横50mmであり、陽極室の厚さは5mmとした。脱塩室及び濃縮室並びに濃縮室兼陰極室には、製造例1により製造し、塩酸により再生したカチオン交換不織布、及び製造例2により製造し、アルカリにより再生したアニオン交換不織布を、図15に示すように被処理水の流通方向に対して交差する方向(即ち横置き)に、それぞれ25枚交互に積層充填した。陽極室には、製造例1で製造したカチオン交換不織布を図15に示すように通水方向に対して交差する方向(横置き)に50枚積層充填した。
【0108】
両電極間に0.4Aの直流電流を印加して、0.2MΩcmのRO処理水(逆浸透膜処理水:シリカ濃度0.1〜0.3ppm、水温14℃〜26℃、TOC濃度120ppb、炭酸濃度6.5ppm、カルシウム濃度208ppb)を、流量20Lh−1(SV=400h−1)で脱塩室に通水し、濃縮室については0.2MΩcmのRO処理水を12Lh−1で通水し、陽極室及び濃縮室兼陰極室には、それぞれ0.2MΩcmのRO処理水を8Lh−1で通水した。その結果、運転1分後に脱塩水として18.2MΩcmの水が脱塩室より得られた。30時間後の運転電圧は33.4Vであった。また、この時点での濃縮室兼陰極室及び陽極室の両端にかかる電圧は、それぞれ6.71V、1.71Vであった。引き続いて2000時間の連続運転を行い、運転電圧及び陽極室及び濃縮室兼陰極室の両端にかかる電圧の経時変化を測定した。結果を図18に示す。陽極室及び濃縮室兼陰極室の両端にかかる電圧は運転開始当初より安定して低い値を示しており、2000時間運転後において、運転電圧は73.9V、濃縮室兼陰極室及び陽極室の両端にかかる電圧は、それぞれ9.84V及び1.78Vであった。
【産業上の利用の可能性】
【0109】
本発明によれば、脱塩室内において、イオン交換繊維材料を液通方向に対して交差する方向に横置きに積層して充填するという新規の脱塩室構造をとることで、従来の電気式脱塩装置に比べはるかに小型の装置によって、高純度(高比抵抗および低TOC)の純水を安定して得ることができる。また、装置を小型化することができるので、繊維材料のみを脱塩室に充填することによる圧力損失の問題もさほど大きくはならない。更に、濃縮室、及び更に極室においても、脱塩室と同様の構造を採用することにより、炭酸カルシウムの析出に起因する運転電圧の上昇の問題を抑制することが可能になる。

Claims (8)

  1. 陰極と陽極の間に、複数のイオン交換膜で仕切られた脱塩室及び濃縮室及び電極室を有する電気式脱塩装置であって、
    少なくとも脱塩室において、当該室を画定するアニオン交換膜及びカチオン交換膜の両方に接触するように、1枚以上のシート状アニオン交換繊維材料及びシート状カチオン交換繊維材料が通水方向に交差して積層配置されていることを特徴とする電気式脱塩装置。
  2. 前記1枚以上のシート状アニオン交換繊維材料及びシート状カチオン交換繊維材料が通水方向に交差して交互に積層配置されていることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の電気式脱塩装置。
  3. 前記シート状アニオン交換繊維材料及びシート状カチオン交換繊維材料は相互に接触していることを特徴とする、請求の範囲第1項又は第2項に記載の電気式脱塩装置。
  4. 前記アニオン交換膜の表面に沿って配置されたシート状アニオン交換繊維材料及び/又は前記カチオン交換膜の表面に沿って配置されたシート状カチオン交換繊維材料をさらに有することを特徴とする請求の範囲第1項〜第3項のいずれかに記載の電気式脱塩装置。
  5. さらに、濃縮室及び/又は電極室において、当該室を画定するアニオン交換膜及びカチオン交換膜の両方に接触するように、1枚以上のシート状アニオン交換繊維材料及びシート状カチオン交換繊維材料が通水方向に交差して積層配置されていることを特徴とする請求の範囲第1項〜第4項のいずれかに記載の電気式脱塩装置。
  6. 陰極と陽極の間に、複数のイオン交換膜で仕切られた脱塩室及び濃縮室及び電極室を有する電気式脱塩装置であって、脱塩室及び濃縮室及び電極室の少なくとも一つの室において、長尺シート状のアニオン交換繊維材料及び長尺シート状のカチオン交換繊維材料を重ね合わせ、これを当該室の寸法に合わせて折り畳んで形成されているプリーツ状のイオン交換繊維材料構造体を、該プリーツ状のイオン交換繊維材料構造体の面が通水方向に交差し且つ構造体の両切断面が当該室を画定するカチオン交換膜及びアニオン交換膜にそれぞれ接するように充填されていることを特徴とする電気式脱塩装置。
  7. 陰極と陽極の間に、複数のイオン交換膜で仕切られた脱塩室及び濃縮室及び電極室を有する電気式脱塩装置であって、脱塩室及び濃縮室及び電極室の少なくとも一つの室において、長尺シート状のアニオン交換繊維材料及び長尺シート状のカチオン交換繊維材料を重ね合わせ巻回して形成したロール状構造体を、該ロール状構造体の面が通水方向に交差し且つ該ロール状構造体の両切断面が当該室を画定するカチオン交換膜及びアニオン交換膜にそれぞれ接するように1個又は複数個充填されていることを特徴とする電気式脱塩装置。
  8. 前記シート状アニオン交換繊維材料及びシート状カチオン交換繊維材料の少なくとも一方は、放射線グラフト重合法を利用して織布又は不織布材料からなる基材にイオン交換基を導入したものである、請求の範囲第1項〜第7項の何れか1項に記載の電気式脱塩装置。
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