JP2002136971A - 電気的脱イオン装置 - Google Patents

電気的脱イオン装置

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JP2002136971A
JP2002136971A JP2000336313A JP2000336313A JP2002136971A JP 2002136971 A JP2002136971 A JP 2002136971A JP 2000336313 A JP2000336313 A JP 2000336313A JP 2000336313 A JP2000336313 A JP 2000336313A JP 2002136971 A JP2002136971 A JP 2002136971A
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small chambers
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Tomoaki Deguchi
智章 出口
Kunihiro Iwasaki
邦博 岩崎
Takayuki Moribe
隆行 森部
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Kurita Water Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 脱塩室内に例えば縦横方向に多数の小室を配
置することにより、種々のイオン交換体を充填可能であ
り、目的に応じてイオン交換体の配列や混合比率を任意
に選択して充填でき、また、イオン交換体の充填密度を
高くすることができる電気的脱イオン装置を提供する。 【解決手段】 脱塩室は、長方形状のフレーム20と、
このフレーム20内に配置された好ましくは導電性を有
した区画部材21と、区画部材21によって形成された
小室22内に充填されたイオン交換体23と、フレーム
20を挟むように配置されたアニオン交換膜24及びカ
チオン交換膜25とによって構成されている。区画部材
21は六角形のハニカム形状のものであり、1対の側辺
がフレーム20の長手方向即ち上下方向となるように配
置されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電気的脱イオン装置
に係わり、特に処理水の比抵抗値と弱電解質アニオンの
除去率の向上を図り、高純度の純水を連続的に製造する
ことができる電気的脱イオン装置に関する。
【0002】
【従来の技術】電気的脱イオン装置は、電極同士の間に
複数のカチオン交換膜とアニオン交換膜とを交互に配列
して脱塩室と濃縮室とを交互に形成し、脱塩室にイオン
交換体を充填した構成を有する。この電気的脱イオン装
置にあっては陽極、陰極間に電圧を印加しながら脱塩室
に被処理水を流入させると共に、濃縮室に濃縮水を流入
させ被処理水中の不純物イオンを除去し、脱イオン水を
製造する。
【0003】図12はこの電気的脱イオン装置の基本的
な構成を示す分解図である。
【0004】陰極側のエンドプレート1に沿って陰極電
極板2が配置され、この陰極電極板2の周縁部に枠状の
陰極用スペーサ3が重ね合わされる。この陰極用スペー
サ3の上にカチオン交換膜4、脱塩室形成用の枠状フレ
ーム5、アニオン交換膜6及び濃縮室形成用の枠状フレ
ーム7がこの順に重ね合わされる。このカチオン交換膜
4、脱塩室形成用の枠状フレーム5、アニオン交換膜6
及び濃縮室形成用の枠状フレーム7を1単位として多数
重ね合わされる。即ち、膜4、フレーム5、膜6、フレ
ーム7が連続して繰り返し積層される。最後のアニオン
交換膜6に対し枠状の陽極用スペーサ8を介して陽極電
極板9が重ね合わされ、その上に陽極側エンドプレート
10が重ね合わされて積層体とされる。この積層体はボ
ルト等によって締め付けられる。
【0005】上記の脱塩室用フレーム5の内側スペース
が脱塩室となっており、この脱塩室にはイオン交換樹脂
等のイオン交換体5Rが充填される。濃縮室用フレーム
7の内側が濃縮室となっている。この濃縮室にはメッシ
ュスペーサなどが配置される。
【0006】このような装置にあっては、陽極9と陰極
2の間に直流電流を通じ、且つ被処理水(原水)を被処
理水流入ライン11を通して脱塩室内に通水せしめ、ま
た、濃縮水を濃縮水流入ライン12を通して濃縮室8内
に通水せしめる。脱塩室内に流入してきた被処理水はイ
オン交換樹脂の充填層を流下し、その際、該被処理水中
の不純物イオンが除かれて脱イオン水となり、これが脱
イオン水流出ライン13を経て流出する。
【0007】一方、濃縮室内に通水された濃縮水は濃縮
室内を流下するときに、イオン交換膜4,6を介して移
動してくる不純物イオンを受け取り、不純物イオンを濃
縮した濃縮水として濃縮水流出ライン14より流出す
る。電極室にはそれぞれ導入ライン15,16及び取出
ライン17,18を介して電極水が流通される。
【0008】ところで、脱塩室内に上下方向に仕切り用
リブを設け、脱塩室内を上下方向に長い小室(セル)に区
画した電気的脱イオン装置が特公平4−72567号公
報に記載されている。このように脱塩室内をリブによっ
て細長い小室に区画し、各小室にそれぞれイオン交換樹
脂を充填した電気的脱イオン装置にあっては、脱塩室の
入口から出口に向って局部的に偏って水が流れるチャン
ネル化現象が防止されると共に、脱塩室内においてイオ
ン交換樹脂が圧縮されたり移動したりすることが防止さ
れる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記の特公平4−72
567号の電気的脱イオン装置にあっては、脱塩室を上
下に細長い小室に区画するため、小室の数に制限があ
る。即ち、あまり多くの小室を形成することができな
い。また、リブによって水の左右方向への流れが阻止さ
れるため、水とイオン交換樹脂との接触効率が悪い。さ
らに、小室の下部にあってはイオン交換樹脂が圧縮さ
れ、上部に隙間があき、イオン交換樹脂の充填率が低く
なりがちであるという短所もある。
【0010】本発明は、このような種々の短所を克服
し、水とイオン交換体との接触効率が高く、また、水の
攪拌性が高く、さらにイオン交換体等の充填密度も高い
電気的脱イオン装置を提供することを目的とする。
【0011】また、本発明は、1つの脱塩室内に部分的
に異なった電流密度にて電流を流すことが可能な電気的
脱イオン装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の電気的脱イオン
装置は、陽極、陰極、該陽極と陰極との間に交互に配置
されたカチオン交換膜及びアニオン交換膜、該カチオン
交換膜及びアニオン交換膜との間に交互に形成された、
被処理水が通水される脱塩室及び濃縮水が通水される濃
縮室、該脱塩室内の多数の小室であって、区画部材と該
カチオン交換膜及びアニオン交換膜とによって囲まれた
多数の小室、及び、各小室にそれぞれ充填されたイオン
交換体、を有する電気的脱イオン装置であって、各小室
に臨む区画部材の少なくとも一部は該脱塩室内の平均的
な水の流れ方向に対し傾斜しており、該区画部材の少な
くとも傾斜した部分は、水を通過させるがイオン交換体
の通過を阻止する電気的脱イオン装置において、前記小
室が、縦方向即ち平均的な水の流れ方向と、横方向即ち
該縦方向と直交方向であって膜面に沿う方向とのいずれ
にも複数個配置されており、かつ、縦方向の小室の数が
横方向の小室の数の1〜3倍であることを特徴とするも
のである。
【0013】かかる本発明の電気的脱イオン装置は、脱
塩室内を区画部材によって多数の小室に区画し、各小室
にイオン交換体を充填している。この各小室に臨む区画
部材の少なくとも一部は、脱塩室内の平均的な水の流れ
方向に対して傾斜しており、この傾斜した部分は、水は
通過させるが、イオン交換体は通過させない構造となっ
ている。このため、脱塩室内に流入した水の少なくとも
一部は、平均的な水の流れ方向に対し斜め方向に流れる
ようになり、脱塩室内の全体に分散して流れる。さらに
膜面方向におけるイオンの濃度境界層を破壊する攪拌効
果も有する。これによって、イオン拡散抵抗が緩和する
ため、高流速処理が可能となる。従って、水とイオン交
換体との接触効率が向上し、脱イオン特性が向上する。
【0014】この小室を平均的な水の流れ方向及びこれ
と直交方向のいずれにおいても膜面に沿って複数個配置
することにより、(例えば縦横に多数配置することによ
り、)水とイオン交換体との接触効率がきわめて高いも
のとなる。また、各小室内の上下方向の高さが小さくな
り、イオン交換体が局部的に圧縮されにくくなる。従っ
て、小室に隙間が生じることがなく、イオン交換体の充
填密度が平均化する。
【0015】この小室の横方向の配列数に対し、縦方向
の配列数を1〜3倍とすることにより、いずれの小室に
おいても効率良く脱イオンが行われると共に、脱塩室の
通水圧損が小さいものとなる。
【0016】この小室は、イオン交換膜面に投影した形
状が六角形又は四角形であることが好ましい。六角形の
場合には、1対の平行な辺が平均的な水の流れ方向とな
るように各小室を配置するのが好ましい。四角形の場合
には、各辺が平均的な水の流れ方向に対し傾斜するよう
に配置する。
【0017】本発明では、すべての小室に同種類のイオ
ン交換体を充填してもよく、一部の小室に他の小室とは
異なるイオン交換特性のイオン交換体を充填してもよ
い。例えば、第1の小室にアニオン交換体を充填し、第
2の小室にカチオン交換体を充填し、第3の小室に両性
イオン交換体(又はアニオン交換体とカチオン交換体と
の混合物)を充填してもよい。
【0018】本発明では、1つの小室内に1種類のイオ
ン交換特性のイオン交換体のみを充填してもよく、複数
種類のイオン交換特性のイオン交換体を充填してもよ
い。例えば1つの小室内にアニオン交換体と両性イオン
交換体とを混合して充填してもよく、1つの小室内にカ
チオン交換体と両性イオン交換体とを混合してもよい。
【0019】本発明では、イオン交換特性が同種のイオ
ン交換体が充填された第1の小室に対し第2の小室とは
異なった電圧を作用させるために、第1の小室と第2の
小室の配置に対応して電極を互いに絶縁された複数の小
電極にて構成してもよい。第1の小室、第2の小室及び
第3の小室のそれぞれに異なる電圧を作用させるように
第1、第2の小室及び第3の小室の配置に対応して電極
を互いに絶縁された複数の小電極にて構成してもよい。
【0020】本発明では、電極が各小室の配置に対応し
て互いに絶縁された複数の小電極にて構成されてもよ
い。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して実施の形態
について説明する。図1は実施の形態に係る脱塩室の構
成を示す分解斜視図、図2は区画部材の要部斜視図、図
3は区画部材の分解斜視図、図4は区画部材の通水状況
を示す正面図、図5,図6はそれぞれ区画部材へのイオ
ン交換体の充填例を示す正面図および斜視図である。
【0022】この脱塩室は、長方形状のフレーム20
と、このフレーム20内に配置された区画部材21と、
区画部材21によって形成された小室22内に充填され
たイオン交換体23と、フレーム20を挟むように配置
されたアニオン交換膜24及びカチオン交換膜25とに
よって構成されている。区画部材21は導電性を有して
いても良い。
【0023】膜24,25は市販のイオン交換膜を用い
ることができ、均一膜でも不均一膜でも良い。
【0024】フレーム20の上部には被処理水(原水)
の導入用の通水孔26及び濃縮水(流入側)の通水孔2
7が穿孔され、下部には脱塩水の通水孔28及び濃縮水
(排出側)の通水孔29が穿孔されている。この原水導
入用通水孔26及び脱塩水の通水孔28は切欠状の水路
26a,28aを介してそれぞれフレーム20の内側に
連通している。
【0025】水路26aは、図1では左上の小室にのみ
連通するように図示しているが、左右方向の各小室に原
水が均等に分配されるように水路26aは実際にはフレ
ーム20の上部に複数設けられ、通水孔26は最上部の
各小室に直接に連通している。同様に、図1では水路2
8aは右下の小室にのみ連通するように図示してある
が、実際には水路28aはフレーム20の下部に複数個
設けられており、通水孔28は最下部の各小室に直接に
連通している。
【0026】この実施の形態に係る区画部材21は六角
形のハニカム形状のものであり、小室22は上下左右に
多数配置されている。各小室22の1対の側辺がフレー
ム20の長手方向即ち上下方向となるように配置されて
いる。
【0027】この区画部材21は、予め一体成形された
ものであってもよく、複数の部材を組み合わせたもので
あってもよい。例えば図3のようにジグザグ状の屈曲板
30の長手方向面31同士を連結することにより構成さ
れる。この屈曲板30は、長手方向面31に対し120
゜の角度で連なる通水性の斜向面32,33を備えてい
る。長手方向面31同士を連結するには例えば接着剤を
用いることができる。この屈曲板30は、水は通過させ
るがイオン交換体は通過させない材料、例えば織布、不
織布、メッシュ、多孔質材などにより構成されている。
この屈曲板30は耐酸性及び耐アルカリ性を有した合成
樹脂又は金属により剛性を有するように形成されるのが
好ましい。長手方向面31は通水性を有していてもよ
く、有していなくてもよい。
【0028】長手方向面31が通水性を有していない
と、小室内において水がイオン交換体と満遍なく接触し
がちとなり、これにより処理水質が向上する。
【0029】小室22の横方向の配列数に対し、縦方向
の配列数は1〜3倍とくに1.5〜2.5倍とりわけ約
2倍であることが好ましい。縦方向の小室の数が横方向
の数と同じか又はそれよりも少し多い場合、いずれの小
室においても効率良く脱イオンが行われると共に、脱塩
室の通水圧損が小さい。
【0030】小室22の縦方向長さは、横方向長さより
も大きく、特に3倍以下であることが好ましく、より好
ましくは2倍程度とするのが良く、これにより小室内に
おいて水がイオン交換体と満遍なく接触しがちとなる。
【0031】脱塩室は、好ましくは、厚さが2.5〜1
5mm特に4〜10mmであり、高さが300〜500
mmである。10mm以下の厚さと300mm以上の高
さは、脱塩室から十分な脱イオンをもたらし、5mm以
上の厚さと500mm以下の高さは小さい圧力損失と多
い処理流量を保証する。
【0032】区画部材21はフレーム20に嵌め込まれ
てもよい。また、フレーム20の片面側に透水性シート
又はメッシュを張設し、これに区画部材を接着してもよ
い。
【0033】この脱塩室を有した電気的脱イオン装置の
全体構造それ自体は前記図12と同じであり、原水、濃
縮水及び電極水の通水系路も同じである。
【0034】図12に示された通り、陰極電極板、陰極
用スペーサ及びカチオン交換膜によって囲まれて陰極室
が形成される。
【0035】この電気的脱イオン装置に通水して脱塩運
転を行う場合、脱塩室に流入した原水は、図4の通り小
室22を囲む区画部材21を通過して隣接する小室22
に流れ込み、徐々に下方に流れ、この間に脱イオン処理
を受ける。そして、遂には脱塩室の下部に達し、水路2
8aを介して脱塩水取出用の通水孔28に流入し、脱塩
水として電気的脱イオン装置外に取り出される。
【0036】この脱塩室における平均的な水の流れ方向
は、原水流入用の水路26aがフレーム20の上部に存
在し、脱塩水取出用の水路28aがフレーム20の下部
に存在するところから、上から下に向う鉛直方向となっ
ている。この平均的な水の流れ方向に対し小室の上部及
び下部が傾斜しているので、被処理水は1つの小室22
から左及び右側の小室22へ斜めに分かれて流下するよ
うになる。このため、被処理水が各小室22にほぼ均等
に分散して流れるようになり、被処理水とイオン交換体
との接触効率が良好なものとなる。
【0037】この脱塩室にあっては、小室22が比較的
小さく、イオン交換体の自重及び水圧によって各小室2
2内においてイオン交換体に対し加えられる下向きの圧
力が小さい。従って、いずれの小室22内においてもイ
オン交換体が圧縮されることがなく、イオン交換体が小
室内の下部において局部的に圧密化されることがない。
【0038】各小室22に対して充填されるイオン交換
体としては、アニオン交換体、カチオン交換体、両性イ
オン交換体、これらの2以上の混合物のいずれでもよ
い。充填パターンの幾つかの例は次の通りである。
【0039】(i) すべての小室にアニオン交換体、カ
チオン交換体、両性イオン交換体のうち1種類のものを
充填する。
【0040】(ii) すべての小室にアニオン交換体、カ
チオン交換体及び両性イオン交換体の2又は3の混合物
を充填する。混合比、混合種はすべて共通であってもよ
く、一部又はすべての小室において異なっていてもよ
い。
【0041】(iii) 第1の小室にアニオン交換体を充
填し、第2の小室にカチオン交換体を充填し、残りの第
3の小室にアニオン交換体とカチオン交換体の混合物又
は両性イオン交換体を充填する。(混合物の場合、混合
比、混合種はすべて共通であってもよく、一部又はすべ
ての小室において異なっていてもよい。)図5はこの一
例を示すものであり、Aはアニオン交換体、Cはカチオ
ン交換体、Mは両性イオン交換体又は混合物を示してい
る。図5では、隣り合う小室のすべてにおいてイオン交
換体の種類が異なっているが、充填パターンはこれに限
定されるものではない。例えば横方向に隣接する小室の
すべてにアニオン交換体を充填し、その下の段にあって
は横方向に隣接する小室のすべてにカチオン交換体を充
填し、その下段にあっては横方向に隣接する小室のすべ
てに両性イオン交換体(又はアニオン交換体とカチオン
交換体との混合物)を充填する。
【0042】(iv) 図6の如く、脱塩室内の上部、中
部、下部の各領域ごとに同種のイオン交換体を充填し、
隣接する領域にあってはイオン交換体の種類を異ならせ
る。図6にあっては、上部と下部との2領域の小室には
アニオン交換体とカチオン交換体との混合物(又は両性
イオン交換体)が充填され、中間の領域の小室にはアニ
オン交換体が充填されている。なお、混合物の場合、混
合比は同一であってもよく、一部又はすべての小室にお
いて異なってもよい。
【0043】(ii)〜(iv)の場合、原水のアニオン、カチ
オン比率に応じ、アニオン交換体を充填する小室、及び
カチオン交換体を充填する小室の数を調整してもよい。
【0044】シリカ、炭酸、ホウ素など弱電解質の除去
率を向上させるには、アルカリ性にすることが望まれる
が、アニオン交換体を充填した小室の数を増大すること
によって好適な除去条件にできる。
【0045】本発明では、陽極側及び陰極側のいずれの
電極板も、脱塩室と同じ大きさの1枚のプレート又はシ
ートからなるものであってもよく、それよりも小さな小
電極板の組み合わせよりなるものであってもよい。
【0046】図6のように、脱塩室の各小室に充填する
イオン交換体の種類が上、中、下の各領域に分かれたパ
ターンとなっている場合、電極板を図7の如く上、中、
下の3枚の小電極板41,42,43にて構成し、上、
中、下の各小電極板41,42,43同士の間に電気絶
縁体44を配置した構成としてもよい。このようにすれ
ば、脱塩室内の各領域毎に異なる電流密度となるように
電流を流すことができる。
【0047】図6では、電極板が上、中、下の3段に配
置された中程度の大きさの電極板41,42,43より
構成されているが、電極板が2段又は4段以上に分かれ
ていてもよい。また、小室22よりもごくわずかに小さ
い大きさの六角形の六角電極板を、各六角電極板同士の
間に電気絶縁体を介在させて組み合わせて脱塩室とほぼ
同じ大きさの複合電極板を構成してもよく、これによっ
てすべての小室毎に通電する電流密度を個別に制御でき
る。
【0048】弱電解質の除去には電流密度を高めること
が有効であるところから、弱電解質の除去を意図する小
室(1又は2以上)のみを他の部分よりも電流密度が高
くなるように調整してもよい。
【0049】図1〜6では小室は六角形であるが、図8
の小室45の如く四角形例えば菱形であってもよい。こ
の四角形の小室を形成する区画部材46は、図9の如く
斜向面47,48よりなるジグザグ状の通水性部材4
9,49の頂点同士を連結することによって形成でき
る。通水性部材49同士を連結するには接着剤を用いて
もよく、各通水性部材49に設けておいた切込(図示
略)同士を係合させてもよい。
【0050】区画部材は、図10の如く三角形の小室5
0で形成する三角格子状区画部材51であってもよく、
図11の通り横部材52と波板部材53とを組み合わせ
た三角形の小室54を有する区画部材55であってもよ
い。
【0051】本発明の電気的脱イオン装置において、小
室のイオン交換膜面への投影面積は1〜100cm
くに2〜50cmとりわけ3〜10cm程度が好ま
しい。脱塩室を挟む1対のアニオン交換膜とカチオン交
換膜の間隔、即ち脱塩室の厚みは2.5〜15mmとく
に4〜10mm程度が好ましい。小室を小さくするほど
1つの小室に充填するイオン交換体の量が少なくなり、
イオン交換体の流動が抑制されると共に、区画部材及び
脱塩室の強度も大きくなるが、脱塩室の通水圧損が大き
くなる。
【0052】充填するイオン交換体は、通常イオン交換
樹脂が使用されるが、イオン交換繊維やイオン交換不織
布でもよく、イオン交換樹脂とイオン交換繊維の混合物
でもよい。導電性の樹脂のようなイオン伝導体であって
もよい。
【0053】イオン交換体は、アニオン交換体、カチオ
ン交換体、これらを混合した混合体であってもよく、ま
た両性イオン交換体でもよい。
【0054】アニオン交換体としては、I型アニオン交
換樹脂やII型アニオン交換樹脂が知られているが、いず
れでもよい。塩基度の大きいI型と、再生効率、反応速
度、強度に優れたII型とを混合して充填することによ
り、低電流でイオンの分離が促進され好ましい。I型と
II型の混合比率は1:2〜5程度が好ましい。
【0055】脱塩室内イオン交換体の再生比率が高いほ
ど処理水水質が高いことから、イオン交換体の再生に寄
与する水の水素イオンと水酸イオンへのスプリット量を
増加させることが好ましい。そのためには、水を水素イ
オンと水酸イオンに同時にスプリットする機能を有する
両性イオン交換体を5〜30%程度混合するのが好まし
い。
【0056】イオン交換体の粒径は、0.1〜1mmと
くに0.2〜0.6mm程度が好ましい。このイオン交
換体は、小室の容積の90〜140%望ましくは95〜
105%程度の量を小室に収容した後、イオン交換膜で
両側から挟みつけ、イオン交換体を小室内に緻密に充填
するのが好ましい。
【0057】小室内にイオン交換体を充填して電気的脱
イオン装置を組み立てる場合、小室内にイオン交換体を
充填し、両端に相対するイオン交換膜を設置後、原水を
供給し内部イオン交換体を膨潤させた後、小室を体積比
が90〜105%望ましくは95〜100%程度になる
ように締め付けてもよい。
【0058】イオン交換体は、水に浸漬されて膨潤した
ときの体積が乾燥時の体積の105〜115%になるも
のが好ましく、かかるイオン交換体は脱塩室及び濃縮室
内へ緻密に充填される。即ち、乾燥されたイオン交換体
が収容された脱塩室又は濃縮室に水が導入され、イオン
交換体が105%以上膨潤すると、緻密な充填がもたら
される。イオン交換体の115%以下の膨潤は、イオン
交換膜の劣化を生じさせない。
【0059】濃縮室は、0.3〜1mmの厚さを有し、
その中に約20〜60メッシュのスペーサが配置されて
もよい。
【0060】濃縮室は、2.5〜5mmの厚さを有し、
その中にイオン交換体が充填されてもよい。イオン交換
体が充填された濃縮室は、その中を電流が通り易く、ま
たその中で水の流れの乱流が強まり、電流効率が向上す
る。厚さが2.5mm以上の濃縮室においては、2.5
mm以下の濃縮室に比べてカチオン交換膜の膜面近傍の
Naイオン濃度が低く、脱塩室内のNaイオンが易々と
カチオン交換膜を通過する。
【0061】しかし、濃縮室の厚さが厚すぎると濃縮室
内の線速度を確保するためにより多くの濃縮水を通水さ
せる必要があり、動力量の点からは望ましくなく、厚さ
は5mm程度以下とするのが好ましい。
【0062】濃縮室内に脱塩室と同様の区画部材を配置
して多数の小室を形成し、各小室にイオン交換体を充填
しても良い。
【0063】全体に小室を設けた濃縮室は、Naイオン
濃度が0.5ppm以下の被処理水の膜イオン処理に好
適である。
【0064】濃縮室が本発明のようなハニカムでは、濃
度勾配の緩和効果により濃縮室カチオン交換膜面近傍の
Na濃度が相対的に高くなり、脱塩室でのNaイオン
の移動を妨げ、脱塩室にNaイオンが残り、アルカリ雰
囲気となる。これがCOのイオン化(CO+OH
→HCO )に寄与してCO除去率を向上させ、比
抵抗が高くなる。つまり、COを多く含有する給水の
処理に適している。ただし、給水Na濃度が高い(0.
5ppm以上)とNaイオンがリークして比抵抗が低下
する。
【0065】濃縮室内の上部にのみこの小室を配置し、
下部は小室なしとしてもよく、ここにおいては、濃縮室
上部で炭酸が容易に除去されがちであり、濃縮室下部で
Naイオンが容易に除去されがちである。
【0066】濃縮室内の上部にのみ小室を配置し、下部
は上下方向のリブが配置されてもよく、濃縮室上部で炭
酸が容易に除去されがちであり、濃縮室下部でNaイオ
ンが容易に除去されがちである。
【0067】いずれの濃縮室の構成であっても、被処理
水のCO濃度は10ppm以下であることが望まし
い。
【0068】一般に、陰極室はアルカリ性を呈するた
め、好ましくは通常陽極室を通過した酸性の陽極水が供
給され、陰極室で中和される。この中和により、陰極室
の導電性は低下し局部的に電圧が上昇し、スケールが発
生し易い。このため、陰極をメッシュ電極又は不織布状
の電極を単独又は組み合わせた電極を使用することによ
り電極面積を増やし、電極面の電流密度を下げることに
よりスケールの発生を防止するのが好ましい。
【0069】本発明の電気的脱イオン装置を運転する場
合、濃縮水を循環し、循環水中のイオン濃度を給水の5
〜40倍の範囲内に制御することが望ましい。この場
合、濃縮水のスケール成分である硬度成分を電気的に分
離排除し、循環水中のランゲリア(Langelie
r)インデックスをマイナスにすることが好ましい。硬
度成分除去に弱酸性イオン交換樹脂を使用してもよい。
【0070】本発明の電気的脱イオン装置は、Caスケ
ールの発生を防止するために、下記式で算出されるスケ
ール指標数値SIが400以下となる条件で運転される
ことが好ましい。
【0071】スケール指標数値SI=〔無機炭素の単位
膜面積当りの負荷量(mg−CO /hr・dm)〕
・〔濃縮水Ca濃度(mg−CaCO/L)〕 ここでいう無機炭素とは、生成する炭酸カルシウムスケ
ールのもととなるアニオン種CO,HCO ,CO
2−を構成する炭素のことを指す。
【0072】無機炭素の単位膜面積当りの負荷量(mg
−CO/hr・dm)は、該電気脱イオン装置のア
ニオン交換膜1dm当たりの負荷量(mg−CO
hr)である。濃縮水Ca濃度は濃縮室流出水のCa濃
度(CaCO換算)である。
【0073】本発明者らは、電気脱イオン装置における
スケール発生のメカニズムを明らかにするために、電気
脱イオン装置の供給水に過剰量のIC(無機炭素)及び
Ca 2+を混在させて、意図的にスケールを発生させた
後、装置を解体して濃縮室を観察した結果、濃縮室面側
のアニオン交換膜に炭酸カルシウムが付着していること
を知見した。
【0074】この知見から、本発明者らは、スケール発
生のメカニズムを次のように推定した。即ち、電気的脱
イオン装置を運転しているときには、アニオン交換膜の
表面近傍は局所的にアルカリになり、脱塩室からアニオ
ン交換膜を透過してくるHCO もしくはCO 2−
及びOHはアニオン交換膜付近で濃縮されており、そ
こへ濃縮室内の水に含まれるCa2+がアニオン交換膜
面へ引き寄せられ、これらが反応して炭酸カルシウムの
スケールがアニオン交換膜面に発生する。
【0075】そこで、本発明者らは更に研究を進めてい
き、アニオン交換膜の無機炭素の単位膜面積当りの負荷
量と濃縮水のCa濃度を掛け合わせたスケール指標数値
SIを400以下とすればスケールが全く発生しないこ
とを見出した。
【0076】電気脱イオン装置の無機炭素負荷量(mg
−CO/hr)は、電気脱イオン装置の供給水の無機
炭素濃度(mg−CO/L)に流量(L/hr)を掛
けることにより求められ、従って、無機炭素膜面積負荷
量(mg−CO/hr・dm)は、〔供給水の無機
炭素濃度(mg−CO/L)〕と〔セル当たりの流量
(L/hr)/セル有効アニオン交換膜面積(d
)〕との積で算出される。
【0077】この電気脱イオン装置のスケール発生因子
の指標としてのスケール指標数値SIを400以下にす
ることにより、電気脱イオン装置の濃縮室内での炭酸カ
ルシウムスケールの析出を確実に防止することができ、
該電気脱イオン装置を長期間に亘って安定に運転するこ
とが可能となる。
【0078】電気脱イオン装置では前述のように供給水
のイオンを排出させるのに必要な理論電流値以上の電流
を流して、脱塩室内で水解離を生じさせて、イオン交換
体を連続的に再生している。従って、電流を流すほどア
ニオン交換膜面のpHはアルカリ性になり、炭酸カルシ
ウムは析出し易くなる。そのため、許容SI値は電流値
によって変化する。
【0079】処理水比抵抗値10MΩ・cm程度を達成
すればよい電気脱イオン装置において、90%以上の高
シリカ除去率が要求されない場合、又は20%を超える
電流効率で運転するような場合には、SI値が400以
下になるようにすればよく、好ましくは250以下であ
る。特に、経済的な考慮からは、必要以上の脱ガス装置
や軟化装置による処理を避けるために、SI値を200
〜400とするのが望ましい。
【0080】電気脱イオン装置がシリカ除去率90%以
上を要求される場合、即ち電流効率を20%以下で運転
する場合は、SI値は300以下、特に200以下で運
転することが好ましい。経済的にはSI値を150〜3
00で運転するのが望ましい。
【0081】電流効率の変化によりSI値の望ましい範
囲が変わるのは、アニオン交換膜の濃縮室側面のpHも
変動するためである。
【0082】濃縮室にイオン交換体を充填しない電気脱
イオン装置の場合には、アニオン交換膜を透過したOH
イオンが濃縮室内を移動しにくくなるため、スケール
層が分散しにくくなる傾向がある。この場合、SI値は
120以下で運転することが望ましい。
【0083】SI値を規定値以下にまで低下させるため
には、次のような方法がある。即ち、濃縮水のCa濃度
を低下させるためには、水回収率を下げたり、濃縮室に
軟化装置等のCa除去装置を設けてCaを除去する方法
がある。また、無機炭素膜面積負荷量を低下させるため
には、電気脱イオン装置の処理水量を低下させたり、電
気脱イオン装置の上流側に脱ガス装置を設けて無機炭素
を除去する方法がある。
【0084】脱塩室の厚みが5mm以上である場合、操
作電圧V/Nは2〜10Vであり、空間速度は150/
h以上が好ましい。操作電圧V/NのVは、陽極と陰極
との間の電圧であり、Nは脱塩室の数である。操作電圧
V/Nには濃縮室に相当する電圧も含まれるが、通常、
脱塩室にかかる電圧に比べるとかなり小さい為、省略で
きる。Nが小室の数ではないことは留意されるべきであ
る。2V以上の操作電圧は優れた処理水質をもたらし、
10V以下の操作電圧は低い電力コストをもたらす。
【0085】厚さ5mm以上の脱塩室を有する電気的脱
イオン装置は、75m/h以上の線速度そして20〜4
0%の電流効率で運転されてもよく、この運転は優れた
処理水水質と低い電力コストをもたらす。
【0086】厚さ5mm以上の脱塩室を有する電気的脱
イオン装置は、100mA/dm以上の電流密度そし
て1m/m/d以上のイオン交換膜通水量で運転さ
れてもよく、この運転は優れた処理水水質をもたらす。
【0087】脱塩室にカチオン交換体とアニオン交換体
とが3/7〜5/5の割合で充填された電気的脱イオン
装置が運転されると、脱塩室の下半分では再生比率が8
0%以上となり、優れた処理水水質がもたらされる。
【0088】本発明の電気的脱イオン装置が80%以上
の水回収率にて運転されると、濃縮室内の水の導電率が
高くなり、優れた処理水水質がもたらされる。
【0089】10ppm以下のCO濃度の被処理水
は、逆浸透膜分離装置に通された後、本発明の電気的脱
イオン装置に導入されてもよい。
【0090】図14(a)は、本発明の電気的脱イオン
装置で用いられる脱イオン室用フレーム及び区画部材の
他の例を示す正面図である。
【0091】フレーム60の上部には被処理水(原水)
の導入用の通水孔61及び濃縮水(流入側)の通水孔6
2が穿孔され、下部には脱塩水の通水孔67及び濃縮水
(排出側)の通水孔68が穿孔されている。この原水導
入用通水孔61及び脱塩水の通水孔67は連通部63,
66を介してそれぞれフレーム60の内側の脱塩室64
に連通している。このフレーム60には、上下方向に延
在する1本のリブ65が設けられ、これによって2つの
脱塩室64,64が並設されている。各脱塩室64,6
4内にそれぞれ区画部材70が配置されている。この区
画部材70は六角形ハニカム形状のものである。なお、
このフレーム60は後述の実施例2で用いられている。
【0092】この脱塩室用フレーム60を用いる場合、
これとほぼ同一構成の濃縮室用フレーム(図示略)を用
いる。この濃縮室用フレームは、濃縮室(符号64に相
当する部分)が孔62,68に連通し、孔61,67に
は連通していないこと以外はフレーム60と同一の構成
である。
【0093】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をよ
り具体的に説明する。
【0094】実施例1,比較例1 図1に示す如く、脱塩室にハニカム型構造の小室を有す
る本発明の電気的脱イオン装置(実施例1)と脱塩室に
リブを有する従来の電気的脱イオン装置(比較例1)に
おける脱塩率の比較を行った。脱塩率の比較は、脱塩室
の一定高さごとにサンプリング管を挿入し、被処理水が
脱塩室を通過する位置ごとの水を取り出して水中に含ま
れるNaとClの濃度を測定し、被処理水の濃度か
らそれらの脱塩率を求めた。その結果を図13に示し
た、図13中、Clについてはリーク率(=100−
脱塩率)として表した。
【0095】各測定条件及び運転条件は以下の通りであ
る。 [測定条件] 被処理水:井水を活性炭処理した後、逆浸透膜分離装置
によって処理し、処理水にNaClを添加して電気伝導
率が10μS/cmとなるように調整すると共にCO
濃度を1mg/Lに調整した水。
【0096】電気的脱イオン装置の脱塩室寸法:厚さ5
mm×幅130mm×高さ665mm 実施例1の電気的脱イオン装置の小室:六角形 面積
3.9cm 比較例1の電気的脱イオン装置のリブ間幅:28mm 脱塩室のイオン交換樹脂:三菱化学株式会社製アニオン
交換樹脂「SA10A」及び同社製カチオン交換樹脂
「SK1B」を混合したもの (両樹脂の容量比は、アニオン交換樹脂/カチオン交換
樹脂=6/4) イオン交換膜:トクヤマ社製AHA(アニオン交換
膜)、CMB(カチオン交換膜)
【0097】[運転条件] 脱塩室通水速度:LV=44m/h、SV=63/h 電圧及び電流値 実施例1の電気的脱イオン装置:操作電圧15V、電流
値2.4A 比較例1の電気的脱イオン装置:操作電圧15V、電流
値2.8A
【0098】図13より、比較例1の従来のリブ型の場
合はClの脱塩は短い通水距離で行われるが、Na
の脱塩はなかなか行われず、長い通水距離が必要である
ことがわかる。結果として高純度の水を得るためには、
樹脂高さを高くする必要がある。これに対して、実施例
1の本発明のハニカム型の場合は、Naの脱塩は短い
通水距離部で行われ、NaとClがバランス良く脱
塩されていることがわかる。その結果、従来のリブ型に
比べて低い樹脂高さであっても良好な水質の処理水を得
ることが可能となる。このことは、脱塩室を本発明のよ
うにハニカム型にすることにより、電気的脱イオン装置
のコンパクト化を図ることが可能であることを示唆して
いる。
【0099】実施例2 井水を活性炭処理した後、逆浸透膜分離処理して得られ
た水を原水として、本発明の電気的脱イオン装置で処理
した。
【0100】この電気的脱イオン装置は、脱塩室用フレ
ームとして図14(a)に示したフレーム60を用いた
ものであり、フレームの各部の寸法は次の通りである。
【0101】 横幅(全幅) 380mm 縦幅(高さ) 625mm 1個の脱塩室44の横幅 130mm 脱塩室44の高さ 400mm リブ45の幅 6mm フレーム厚さ 5mm
【0102】また、このフレーム60内の区画部材70
はポリプロピレンの不織布で図示の形状に構成したもの
であり、ハニカムを構成する1個の六角形の形状及び大
きさは図14(b)に示す通りである。
【0103】濃縮室用フレームは、孔62,68と濃縮
室とが連通していること以外、このフレーム60と同一
のものであり、同一の区画部材70が濃縮室に収容され
ている。
【0104】各区画部材70のハニカム内にはイオン交
換樹脂として三菱化学株式会社製カチオン交換樹脂「S
K1B」及びアニオン交換樹脂「SA10A」を容量比
で4/6の割合で混合したものを充填した。1個のフレ
ームにおける充填量は乾燥容量にて480ccである。
【0105】4枚の脱塩室用フレーム60と、5枚の濃
縮室用フレームとを交互に積層し、各フレーム間にカチ
オン交換膜として(株)トクヤマ製CMH、アニオン交
換膜として(株)トクヤマ製AMHを介在させた。電極
室形成用のスペーサと電極を有したエンドプレート(図
示略)を重ね合わせた後、フレーム60の孔69にボル
トを通し、積層体を締め付けて電気的脱イオン装置とし
た。
【0106】井水を活性炭処理した後、逆浸透膜分離処
理して得られた原水の水質は次の通りである。
【0107】 導電率 :3〜4μS/cm Na :0.3〜0.4ppm CO :5〜10ppm SiO :300〜350ppb Ca2+ :0.25ppm as CaCO 主な運転条件を表1に示す。
【0108】得られた処理水(脱イオン水)の比抵抗と
SiO除去率を表1に併せて示す。
【0109】実施例3 図15に示すフレーム80を濃縮室用フレームとして用
いたこと以外は実施例1と同一の電気的脱イオン装置を
製作した。この濃縮室用フレーム80は、図14(a)
に示すフレーム60から区画部材70を除去し、且つリ
ブ65の本数を7本としている。各リブは等間隔にて上
下方向に延設されている。濃縮室は孔62,68に連通
している。
【0110】実施例3の電気的脱イオン装置の脱塩室の
構成は、実施例2と全く同一であり、イオン交換樹脂の
種類及び充填量も同一である。
【0111】この実施例3の電気的脱イオン装置は、濃
縮室の構成のみが上記の通りリブを用いた点において実
施例2と異なっている。イオン交換樹脂の種類は同一で
あるが、充填量は460cc(乾燥容量)である。
【0112】この電気的脱イオン装置を用い、運転条件
を表1の通りとした他は実施例2と同様にして原水を電
気脱イオン処理した。
【0113】処理水(脱イオン水)の比抵抗及びSiO
除去率を表1に示した。
【0114】実施例4 実施例3において、運転条件を表1に示す通りとした他
は同一条件にて処理した結果を表1に示す。
【0115】比較例2 図15に示すフレーム80を脱塩室用フレームとして用
いたこと以外は実施例3と同一の電気的脱イオン装置を
製作した。よって、この電気的脱イオン装置の濃縮室の
構成は、実施例3と全く同一であり、イオン交換樹脂の
種類及び充填量も同一である。
【0116】この比較例2の電気的脱イオン装置は、脱
塩室の構成が上記の通りリブを用いた点において実施例
3と異なっている。イオン交換樹脂の種類は同一である
が、充填量は430cc(乾燥容量)である。この電気
的脱イオン装置を用い、運転条件を表1の通りとした他
は実施例3と同様にして原水を電気脱イオン処理した。
処理水(脱イオン水)の比抵抗及びSiO除去率を表
1に示した。
【0117】
【表1】
【0118】表1より明らかなように、脱塩室がハニカ
ム式の場合(実施例1,2,3,4)は、SV=230
と高流速にしても、処理水比抵抗、SiO除去率は共
に高い。これに対し、脱塩室をリブ式とした比較例2に
おいては、比抵抗及びSiO 除去率は共に低い。ま
た、濃縮室もハニカム式とした実施例2においては、電
流効率が同程度の実施例4よりも処理水の比抵抗が高か
った。従って、本発明によれば、高流速による処理が可
能であるため、大容量の処理にも対応でき、また、低電
圧、低電流で電気的脱イオン装置を運転できるため、経
済的である。
【0119】
【発明の効果】以上詳述した通り、脱塩室内に例えば縦
横方向に多数の小室を配置することにより、種々のイオ
ン交換体を充填可能であり、目的に応じてイオン交換体
の配列や混合比率を任意に選択して充填できる。小室を
多く設けることにより、一つの室の面積が小さくなり、
イオン交換体の充填密度を高くすることができる。一部
の小室において仮に不十分な充填があっても、他の小室
への影響はなく全体的には充填密度を高くできる。小室
の数を多くすることにより、イオン交換体を均等に充填
でき、また、強度も大きくできるので強く圧縮してイオ
ン交換体を保持できる。
【0120】本発明では、水が区画部材を通過可能であ
るから、水が複数の小室を通過し、各小室でその室の条
件に応じた処理を受けるよう構成することもできる。
【0121】本発明の電気的脱イオン装置からもたらさ
れる水は、純水として半導体洗浄などに用いられ、そし
てボイラー用水としても用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態に係る脱塩室の構成を示す分解斜視
図である。
【図2】区画部材の要部斜視図である。
【図3】区画部材の分解斜視図である。
【図4】区画部材の通水状況を示す正面図である。
【図5】区画部材へのイオン交換体の充填例を示す正面
図である。
【図6】区画部材へのイオン交換体の充填例を示す斜視
図である。
【図7】電極板の一例を示す斜視図である。
【図8】区画部材の一例を示す正面図である。
【図9】図8の区画部材の分解図である。
【図10】区画部材の他の例を示す正面図である。
【図11】区画部材のさらに他の例を示す正面図であ
る。
【図12】従来例に係る電気的脱イオン装置を示す分解
斜視図である。
【図13】実施例1及び比較例1におけるNa除去率
とClリーク率の測定結果を示すグラフである。
【図14】図14(a)はフレーム及び区画部材の他の
例を示す正面図であり、図14(b)はハニカムの寸法
を示す正面図である。
【図15】比較例で用いたフレームの正面図である。
【符号の説明】
1 エンドプレート 2 陰極電極板 3 陰極用スペーサ 4 カチオン交換膜 5 枠状フレーム 6 アニオン交換膜 7 枠状フレーム 8 陽極用スペーサ 9 陽極電極板 10 陽極側エンドプレート 20 フレーム 21 区画部材 22 小室 23 イオン交換体 24 アニオン交換膜 25 カチオン交換膜 26,27,28,29 通水孔 26a,28a 水路 30 屈曲板 41,42,43 小電極板 45 小室 46 区画部材 49 通水性部材 50,54 小室 51,55 区画部材 60 フレーム 64 脱塩室 70 区画部材 80 フレーム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森部 隆行 東京都新宿区西新宿三丁目4番7号 栗田 工業株式会社内 Fターム(参考) 4D006 GA17 JA43B JA44B KB01 KB11 KB12 MA13 MA14 PB23 PB64 PB70 4D025 AA01 AB05 AB16 AB17 BA08 BA13 BA27 DA06 4D061 DA01 DB18 EA09 EB04 EB13 ED13 FA06 FA09

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陽極、 陰極、 該陽極と陰極との間に交互に配置されたカチオン交換膜
    及びアニオン交換膜、 該カチオン交換膜及びアニオン交換膜との間に交互に形
    成された、被処理水が通水される脱塩室及び濃縮水が通
    水される濃縮室、 該脱塩室内の多数の小室であって、区画部材と該カチオ
    ン交換膜及びアニオン交換膜とによって囲まれた多数の
    小室、及び、 各小室にそれぞれ充填されたイオン交換体、を有する電
    気的脱イオン装置であって、 各小室に臨む区画部材の少なくとも一部は該脱塩室内の
    平均的な水の流れ方向に対し傾斜しており、 該区画部材の少なくとも傾斜した部分は、水を通過させ
    るがイオン交換体の通過を阻止する電気的脱イオン装置
    において、 前記小室が、縦方向即ち平均的な水の流れ方向と、横方
    向即ち該縦方向と直交方向であって膜面に沿う方向との
    いずれにも複数個配置されており、かつ、縦方向の小室
    の数が横方向の小室の数の1〜3倍であることを特徴と
    する電気的脱イオン装置。
  2. 【請求項2】 請求項1の電気的脱イオン装置におい
    て、小室の縦方向の長さが横方向の長さよりも大きいこ
    とを特徴とする電気的脱イオン装置。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2の電気的脱イオン装置に
    おいて、膜面に投影した小室の形状が四角形又は六角形
    であることを特徴とする電気的脱イオン装置。
  4. 【請求項4】 請求項3の電気的脱イオン装置におい
    て、六角形の該小室は、縦方向に延在する1対の平行な
    辺を有することを特徴とする電気的脱イオン装置。
  5. 【請求項5】 請求項4の電気的脱イオン装置におい
    て、前記区画部材は、該1対の辺において通水性を有さ
    ず、残りの辺において通水性を有することを特徴とする
    電気的脱イオン装置。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項の電気的脱
    イオン装置において、濃縮室の厚みが2.5〜5mmで
    あり、濃縮室にイオン交換体が充填されていることを特
    徴とする電気的脱イオン装置。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項の電気的脱
    イオン装置において、さらに、 該濃縮室内の少なくとも上部に配置された多数の小室で
    あって、区画部材と該カチオン交換膜及びアニオン交換
    膜とによって囲まれた多数の小室と、 濃縮室内の各小室にそれぞれ充填されたイオン交換体と
    を有しており、 濃縮室内の各小室に臨む区画部材の少なくとも一部は該
    濃縮室内の平均的な水の流れ方向に対し傾斜しており、 濃縮室内の該区画部材の少なくとも傾斜した部分は、水
    を通過させるがイオン交換体の通過を阻止することを特
    徴とする電気的脱イオン装置。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれかの電気的脱イオ
    ン装置において、脱塩室の厚みが2.5〜15mmであ
    り、脱塩室の高さが300〜500mmであることを特
    徴とする電気的脱イオン装置。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8のいずれか1項の電気的脱
    イオン装置において、少なくとも一部の小室には同種の
    イオン交換特性のイオン交換体が充填されていることを
    特徴とする電気的脱イオン装置。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9のいずれか1項の電気的
    脱イオン装置において、少なくとも一部の小室にはイオ
    ン交換特性が異なる複数種類のイオン交換体が充填され
    ていることを特徴とする電気的脱イオン装置。
  11. 【請求項11】 請求項1〜10のいずれか1項の電気
    的脱イオン装置において、イオン交換特性が同種のイオ
    ン交換体が充填された第1の小室と、第1の小室内のイ
    オン交換体とはイオン交換特性が異なっているイオン交
    換体が充填された第2の小室とを有することを特徴とす
    る電気的脱イオン装置。
  12. 【請求項12】 請求項11の電気的脱イオン装置にお
    いて、第1の小室と第2の小室とに対して異なった電圧
    を作用させるように、小室群の配置に対応して、前記電
    極として複数の小電極が配置されていることを特徴とす
    る電気的脱イオン装置。
  13. 【請求項13】 請求項1〜12のいずれかの電気的脱
    イオン装置において、小室のイオン交換膜への投影面積
    が1〜100cmであることを特徴とする電気的脱イ
    オン装置。
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