JP2003190962A - イオン交換体及び電気式脱塩装置 - Google Patents

イオン交換体及び電気式脱塩装置

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JP2003190962A
JP2003190962A JP2001399527A JP2001399527A JP2003190962A JP 2003190962 A JP2003190962 A JP 2003190962A JP 2001399527 A JP2001399527 A JP 2001399527A JP 2001399527 A JP2001399527 A JP 2001399527A JP 2003190962 A JP2003190962 A JP 2003190962A
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ion exchanger
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Kunio Fujiwara
邦夫 藤原
Hideo Kawazu
秀雄 河津
Yohei Takahashi
洋平 高橋
Takayoshi Kawamoto
孝善 川本
Osamu Nakanishi
收 中西
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Ebara Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電気式脱塩装置の長時間運転時にあっても、
脱塩室及び/又は濃縮室におけるイオン交換体のイオン
交換基相互の接触を防止し、水の解離を阻害することな
く、運転電圧を低く維持することができるイオン交換体
及び電気式脱塩装置を提供する。 【解決手段】 本発明は、陽極と陰極との間にカチオン
交換膜及びアニオン交換膜を少なくとも一部交互に配設
して脱塩室と濃縮室とが形成されている電気式脱塩装置
の上記脱塩室及び/又は濃縮室に配置されるイオン交換
体において、アニオン又はカチオン何れかの電荷を有す
るイオン交換基を有し、さらに該イオン交換基と反対の
電荷を有する高分子電解質が導入されていることを特徴
とするイオン交換体に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、いわゆる電気式脱
塩装置用のイオン交換体及び電気式脱塩装置に関するも
のである。特に、低電圧で脱塩処理を行うことができる
電気式脱塩装置用のイオン交換体及び電気式脱塩装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】電気式脱塩装置とは、陽極と陰極との間
にカチオン交換膜及びアニオン交換膜を配列して濃縮室
及び脱塩室を交互に形成し、電位勾配を駆動源として、
脱塩室内において被処理液体中のイオンをイオン交換膜
を通して濃縮室へと移動・分離させることによって、液
体中のイオン成分を除去するものである。
【0003】図1に典型的な電気式脱塩装置の概念を示
す。図1に示す電気式脱塩装置は、陰極(−)と陽極
(+)の間に、アニオン交換膜A、カチオン交換膜Cが
交互に配列されて、脱塩室及び濃縮室が形成されてい
る。このアニオン交換膜とカチオン交換膜との交互配列
を更に繰り返すことにより、複数の脱塩室が並列に形成
される。必要に応じて、脱塩室や濃縮室内にはイオン交
換体が充填されて、これにより室内でのイオンの移動が
促進される。また、両端の陽極及び陰極に接する区画は
一般に陽極室及び陰極室と称される。これら極室は、最
も電極側の濃縮室が極室として用いられる場合もある
し、あるいは、最も電極側の濃縮室の更に電極側に更に
イオン交換膜を配置して独立して極室を形成する場合も
ある。前者の場合には、最も陰極側のイオン交換膜はカ
チオン交換膜、最も陽極側のイオン交換膜はアニオン交
換膜であり、後者の場合には、最も陰極側のイオン交換
膜はアニオン交換膜、最も陰極側のイオン交換膜はカチ
オン交換膜である。ここで、極室は、直流電流により印
加される電流の電子を授受するという機能を果たす。こ
のような電気式脱塩装置の運転においては、陽極及び陰
極に電圧を印加すると共に、脱塩室、濃縮室、両極室に
水が供給される。濃縮室に供給される水は濃縮水、脱塩
室に供給される水は被処理水と称される。このように被
処理水及び濃縮水を脱塩室及び濃縮室にそれぞれ導入す
ると、水中のカチオン及びアニオンはそれぞれ陰極側及
び陽極側に引かれるが、イオン交換膜が同種のイオンの
みを選択的に透過するため、被処理水中のカチオン(C
2+、Na、Mg2+、Hなど)は、カチオン交
換膜Cを通して陰極側の濃縮室へ、またアニオン(Cl
、SO 2−、HSiO 、CO 2−、HCO
、OHなど)は、アニオン交換膜Aを通して陽極側
の濃縮室へ移動する。一方、濃縮室から脱塩室へのアニ
オンの移動及び濃縮室から脱塩室へのカチオンの移動
は、イオン交換膜の異種イオン遮断性のために阻止され
る。この結果、脱塩室においては、イオン濃度の低めら
れた脱塩水が得られ、濃縮室においては、イオン濃度の
高められた濃縮水が得られる。
【0004】このような電気式脱塩装置によれば、被処
理水として例えばRO(逆浸透)処理水相当の不純物の
少ない水を用いることで、脱塩水として、さらに純度の
高い純水が得られる。最近では、例えば半導体製造用超
純水など、より高度な超純水が要求されるようになっ
た。そこで、電気式脱塩装置においては、脱塩室及び/
又は濃縮室にイオン交換体としてカチオン交換樹脂ビー
ズとアニオン交換樹脂ビーズとを混合して充填すること
により、これらの室内におけるイオンの移動を促進させ
るという方法が採用されていた。さらに、イオン交換体
として、脱塩室及び/又は濃縮室内において、カチオン
交換膜側にカチオン交換繊維材料(不織布など)を、ア
ニオン交換膜側にアニオン交換繊維材料を、それぞれ向
かい合わせて配置したり、これらイオン交換繊維材料の
間にスペーサもしくはイオン伝導性を付与したイオン伝
導スペーサを充填するという方法も提案されている(PC
T/JP99/01391 国際公報WO99/48820参照)。
【0005】このような方式の電気式脱塩装置において
は、イオン交換体を充填した脱塩室及び/又は濃縮室内
において、カチオン交換基とアニオン交換基とが接触す
る部位が存在する。特に脱塩室内においては、図2
(a)に示すように、水の解離(HO→H+O
)が起こり、この水の解離(水解)によって生成す
るHイオン及びOHイオンによって脱塩室内のイオ
ン交換体が連続的に効率よく再生されることにより、高
純度な超純水を得ることが可能になった。これは、脱塩
室及び/又は濃縮室内のカチオン交換繊維材料とアニオ
ン交換繊維材料との間にスペーサ又はイオン伝導スペー
サを配置することによって、連続的なカチオン交換体充
填層及びアニオン交換体充填層を形成することにより、
イオンが両電極側に通過しやすくなったため、カチオン
交換体とアニオン交換体との接触部位で、局部的に官能
基の対イオンが不足し、この不足した対イオンを補償す
べく水を解離させて、カチオン交換基及びアニオン交換
基にHイオン及びOHイオンを供給するようになる
こと、また、カチオン交換基及びアニオン交換基が数Å
〜数十Åの距離で近接していると、その間に強力な電場
が発生し、水が分極し解離しやすくなり、再結合するこ
となくイオン交換体を再生することに起因すると考えら
れる。また、水だけでなくアルコールなどの非電解質に
おいても、強力な電場により分極及び解離したアニオン
及びカチオンとなることで官能基に吸着し、除去するこ
とが可能となると考えられる。
【0006】しかしこのような構成の電気式脱塩装置に
おいても、長時間の運転によって運転電圧が上昇してし
まうという問題が生じた。例えば、図2(b)に示すよ
うに、水の解離部位、すなわちカチオン交換基とアニオ
ン交換基との接触部位において発生する電場が、カチオ
ン交換基とアニオン交換基とを互いに引き寄せてイオン
結合を形成させると、Hイオン及びOHイオンと結
合するフリーのイオン交換基が減少すると共に、接触部
位における電場が弱まってしまう。すると、水を解離す
るエネルギーが不足し、カチオン交換基とアニオン交換
基との間での水の解離が起こりにくくなり、イオン交換
体の再生能力が低下する。イオン交換体の再生能力を維
持するためには、更に外部から電気エネルギーを供給し
て強力な電場を与える必要があり、結果的に運転電圧の
上昇を引き起こすと考えられる。
【0007】要するに、従来提案されているイオン交換
体では、使用に伴ってイオン交換基間のイオン結合が発
生し、イオン交換能が低下するため、このイオン交換能
の低下を補うべく電気式脱塩装置に高い電圧をかけるこ
とが必要になり、省資源・省エネルギー型の電気式脱塩
装置の利点が損なわれ、また運転操作上も問題があっ
た。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、電
気式脱塩装置の長時間運転時にあっても、脱塩室及び/
又は濃縮室におけるイオン交換体のイオン交換基間のイ
オン結合の発生を防止でき、水の解離を阻害することな
く、運転電圧を低く維持することができるイオン交換体
及び電気式脱塩装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するべくなされたもので、アニオン又はカチオンのイ
オン交換基を有するイオン交換体に、更に該イオン交換
基の電荷と逆の電荷を有する高分子電解質を導入したこ
とを特徴とする。
【0010】すなわち、本発明によれば、陽極と陰極と
の間にカチオン交換膜及びアニオン交換膜を少なくとも
一部交互に配設して脱塩室と濃縮室とが形成されている
電気式脱塩装置の上記脱塩室及び/又は濃縮室に配置さ
れるイオン交換体において、アニオン又はカチオン何れ
かの電荷を有するイオン交換基を有し、さらに該イオン
交換基と反対の電荷を有する高分子電解質が導入されて
いることを特徴とするイオン交換体が提供される。
【0011】本発明のイオン交換体は、少なくとも1種
のイオン交換基を有するものであれば、その形状や寸法
並びに形成材料は特に制限されないが、例えば、ビー
ズ、不織布や織布等の繊維系基材、又は斜交網等のスペ
ーサー基材等の基材に少なくとも1種のイオン交換基を
導入し、更に高分子電解質を導入したもの、例えばイオ
ン交換不織布、イオン交換織布、イオン交換ネット、イ
オン交換斜交網、イオン交換膜等からなるイオン交換体
が好ましく挙げられる。
【0012】本発明のイオン交換体に基材として用いる
ことのできるイオン交換樹脂ビーズとしては、当該技術
において公知の、ポリスチレンをジビニルベンゼンで架
橋したビーズなどを基材樹脂として用いて製造したもの
を用いることができる。例えば、スルホン基を有する強
酸性カチオン交換樹脂を製造する場合には、上記の基材
樹脂を硫酸やクロロスルホン酸のようなスルホン化剤で
処理してスルホン化を行い、基材にスルホン基を導入す
ることによって、強酸性カチオン交換樹脂を得る。ま
た、例えば4級アンモニウム基を有する強塩基性アニオ
ン交換樹脂を製造する場合には、基材樹脂をクロロメチ
ル化処理した後、トリメチルアミンのような3級アミン
を反応させて4級アンモニウム化を行うことにより、強
塩基性アニオン交換樹脂を得る。このような製造方法は
当該技術分野において公知であり、またこのような手法
によって製造されたイオン交換樹脂ビーズは、例えば、
カチオン交換樹脂として、Dowex MONOSPHERE 650C(ダ
ウケミカル)、Amberlite IR-120B(ローム&ハー
ス)、アニオン交換樹脂として、Dowex MONOSPHERE 550
A(ダウケミカル)、Amberlite IRA-400(ローム&ハー
ス)などの商品名で市販されている。
【0013】本発明のイオン交換体に前記基材として用
いられる前記繊維系基材としては、ポリオレフィン系高
分子、例えばポリエチレンやポリプロピレンなどの一種
の高分子から構成される単繊維や、軸芯と鞘部とが異な
る高分子から構成される複合繊維を繊維材料として用い
て形成された不織布等を挙げることができる。用いるこ
とのできる複合繊維の例としては、ポリオレフィン系高
分子、例えばポリエチレンを鞘成分とし、鞘成分として
用いたもの以外の高分子、例えばポリプロピレンを芯成
分とした芯鞘構造の複合繊維が挙げられる。
【0014】前記繊維系基材は、その厚さが0.1〜1.0m
m、目付が10〜100g/m2、空隙率が50〜98%、繊維径が10
〜70μmの範囲であるのが、良好で安定な処理水質を得
るために好ましく、特に後述するグラフト重合体側鎖を
有する場合に好ましい。
【0015】また、前記スペーサー基材としては、ポリ
オレフィン系高分子製樹脂、例えば、従来電気透析層に
おいて使用されていたポリエチレン製の斜交網(ネッ
ト)等が挙げられる。
【0016】前記スペーサー基材は、その厚さが0.5〜
2.0mm、ピッチが1.0〜10mm、繊維径が0.1〜1.0mmμmの
範囲であるのが良好で安定な処理水質を得るために好ま
しく、特に後述するグラフト重合体側鎖を有する場合に
好ましい。
【0017】このように、イオン交換体の基材として前
記繊維系基材やスペーサー基材を用いる場合には、イオ
ン交換樹脂ビーズを用いる場合と比較して、シリカなど
の弱電解質や、アルコールや他の有機薬品など有機炭素
系(TOC)成分を含むイオンを良好に除去することがで
きるという利点もある。特に繊維系基材においては、イ
オン交換樹脂ビーズを用いる場合と比較して、ビーズの
緊密充填の必要性、ビーズの緊密充填ゆえの脱塩室及び
/又は濃縮室内への高い流入圧力の保持の必要性、ビー
ズの形状ゆえの偏在のおそれ、ビーズの均一混合の必要
性、ビーズ充填空隙率の制御の必要性などを排除するこ
とができるので、電気式脱塩装置において好ましい。
【0018】本発明のイオン交換体が有するイオン交換
基は、前記基材にグラフト重合法により形成されたグラ
フト重合体側鎖上に導入されているのが好ましい。ま
た、グラフト重合体側鎖は、放射線グラフト重合法を利
用して形成されたものであるのが好ましい。
【0019】このように放射線グラフト重合法を利用し
た場合には、繊維系基材においては、イオン交換能力に
優れ、厚みが均一に製造できると共にTOC溶出が少ない
という利点があり、スペーサー基材としては、イオン伝
導性に優れ、被処理水の分散性に優れているという利点
がある。
【0020】放射線グラフト重合法とは、高分子基材に
放射線を照射してラジカルを形成させ、これにモノマー
を反応させることによってモノマーを基材中に導入する
技法である。
【0021】放射線グラフト重合法に用いることができ
る放射線としては、α線、β線、ガンマ線、電子線、紫
外線等を挙げることができるが、本発明においてはガン
マ線や電子線を好ましく用いる。放射線グラフト重合法
には、基材に予め放射線を照射した後、グラフトモノマ
ーと接触させて反応させる前照射グラフト重合法と、基
材とモノマーの共存下に放射線を照射する同時照射グラ
フト重合法とがあるが、本発明においては、いずれの方
法も用いることができる。また、モノマーと基材との接
触方法により、モノマー溶液に基材を浸漬させたまま重
合を行う液相グラフト重合法、モノマーの蒸気に基材を
接触させて重合を行う気相グラフト重合法、基材をモノ
マー溶液に浸漬した後モノマー溶液から取り出して気相
中で反応を行わせる含浸気相グラフト重合法などを挙げ
ることができるが、いずれの方法も本発明において用い
ることができる。
【0022】これら繊維基材及びスペーサ基材に導入す
るイオン交換基としては、特に限定されることなく種々
のカチオン交換基又はアニオン交換基を用いることがで
きる。例えば、カチオン交換基としては、スルホン基な
どの強酸性カチオン交換基、リン酸基などの中酸性カチ
オン交換基、カルボキシル基などの弱酸性カチオン交換
基が挙げられる。アニオン交換基としては、第1級〜第
3級アミノ基などの弱塩基性アニオン交換基、第4級ア
ンモニウム基などの強塩基性アニオン交換基が挙げられ
る。あるいは上記カチオン交換基及びアニオン交換基の
両方を併有していてもよい。
【0023】これらの各種イオン交換基は、これらのイ
オン交換基を有するモノマーを用いてグラフト重合、好
ましくは放射線グラフト重合を行うか、又はこれらのイ
オン交換基に転換可能な基を有する重合性モノマーを用
いてグラフト重合を行った後に当該基をイオン交換基に
転換することによって、繊維基材又はスペーサ基材に導
入することができる。
【0024】この目的で用いることのできるイオン交換
基を有するモノマーとしては、アクリル酸(AAc)、メ
タクリル酸、スチレンスルホン酸ナトリウム(SSS)、
メタクリルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナ
トリウム、ビニルスルホン酸ナトリウム、ビニルベンジ
ルトリメチルアンモニウムクロライド(VBTAC)、ジエ
チルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)、ジメチル
アミノプロピルアクリルアミド(DMAPAA)などを挙げる
ことができる。例えば、スチレンスルホン酸ナトリウム
をモノマーとして用いて放射線グラフト重合を行うこと
により、基材に直接、強酸性カチオン交換基であるスル
ホン基を導入することができ、また、ビニルベンジルト
リメチルアンモニウムクロライドをモノマーとして用い
て放射線グラフト重合を行うことにより、基材に直接、
強塩基性アニオン交換基である第4級アンモニウム基を
導入することができる。
【0025】また、イオン交換基に転換可能な基を有す
るモノマーとしては、アクリロニトリル、アクロレイ
ン、ビニルピリジン、スチレン、クロロメチルスチレ
ン、メタクリル酸グリシジル(GMA)などが挙げられ
る。例えば、メタクリル酸グリシジルを放射線グラフト
重合によって基材に導入し、次に亜硫酸ナトリウムなど
のスルホン化剤を反応させることによって強酸性カチオ
ン交換基であるスルホン基を導入したり、又はクロロメ
チルスチレンをグラフト重合した後に、基材をトリメチ
ルアミン水溶液に浸漬して4級アンモニウム化を行うこ
とによって、強塩基性アニオン交換基である第4級アン
モニウム基を基材に導入することができる。
【0026】特に本発明のイオン交換体としては、イオ
ン交換基として強酸性カチオン交換基であるスルホン基
を有するカチオン交換体、並びに、イオン交換基として
強塩基性アニオン交換基である第4級アンモニウム基を
有するアニオン交換体が好ましい。これは、イオン交換
体の再生に必要なHイオン及びOHイオンを生成す
るカチオン交換体とアニオン交換体との接触部における
水の解離が、強酸性カチオン交換基と強塩基性アニオン
交換基との間でより良好に生じることに加えて、イオン
を吸着除去する能力が非常に高いからである。
【0027】すなわち、水の解離を良好に生じさせるた
めには、脱塩室及び/又は濃縮室に配置される本発明の
イオン交換体としてのカチオン交換体とアニオン交換体
との少なくとも一方は、強酸性カチオン交換体又は強塩
基性アニオン交換体であることが好ましい。特に、強酸
性カチオン交換体及び強塩基性アニオン交換体の組合せ
で用いることが好ましい。これは、カチオン交換体とア
ニオン交換体との接触部における水の解離が、強酸性カ
チオン交換基と強塩基性アニオン交換基との間における
強力な電場の発生でより良好に生じるからである。
【0028】そして、本発明のイオン交換体は、前記イ
オン交換基と逆の電荷を有する高分子電解質を導入した
ことを特徴とする。前記高分子電解質は、カルボキシル
基、リン酸基若しくはスルホン基等のカチオン性官能
基、又は4級アンモニウム基、3級アミノ基、2級アミ
ノ基若しくは1級アミノ基等のアニオン性官能基を含む
のが好ましい。そして、前記イオン交換体がカチオン交
換体の場合には、前記アニオン性成分を含むものを高分
子電解質として用い、前記イオン交換体がアニオン交換
体の場合には、前記カチオン性成分を含むものを高分子
電解質として用いる。
【0029】本発明で用いることができる前記高分子電
解質としては、具体的には、ポリ(N,N-ジメチル-3,5-
ジメチレン-ピペラジウムクロライド):平均分子量20
0,000〜300,000、ポリビニルベンジルトリメチルアンモ
ニウムクロライド:平均分子量100,000、ポリアクリル
酸:平均分子量5,000、ポリ(ソディウムp-スチレンス
ルホン酸):平均分子量100,000などを挙げることがで
きる。
【0030】前記高分子電解質は、例えば、高分子電解
質を導入していない未導入イオン交換体を高分子電解質
溶液に接触させることにより、少なくともイオン交換体
の表面上に導入させることができる。
【0031】前記高分子電解質溶液に用いられる溶媒と
しては、水、メタノール、エタノール等の極性溶媒等が
挙げられる。前記高分子電解質の導入量は、導入される
高分子電解質の官能基の量が高分子電解質を導入するイ
オン交換体のイオン交換容量の0.01〜0.1%となる量と
するのが好ましい。前記導入量を、0.01%以上となる量
とすることにより電圧の顕著な上昇を抑制でき、0.1%
以下となる量とすることによりイオン交換体本来のイオ
ン交換機能を十分に発揮させることができ処理水質のイ
オン濃度を低下させることができる。
【0032】次に、本発明のイオン交換体の奏する作用
効果について説明する。通常の電気式脱塩装置において
は、脱塩室及び/又は濃縮室に配置されたイオン交換体
が、反対符号の電荷を有するイオン交換体又はイオン交
換膜との接触部において、カチオン交換基とアニオン交
換基との接触部で水の解離が生じることで、この水の解
離によって発生するH及びOHによってカチオン交
換体及びアニオン交換体が再生されることにより、長時
間の運転を可能にしている。
【0033】しかし、この場合、両者の接触部におい
て、図2(b)に模式的に示し、下記に化学反応式で示
すように、カチオン交換基とアニオン交換基とにより生
じる強力な電場の力で互いに強く引き合い、カチオン交
換基とアニオン交換基とのイオン結合が進み、長時間の
運転後には、カチオン交換基及びアニオン交換基の電荷
が消失し、接触部位での電場が消失し、Hイオン及び
OHイオンの解離が阻害されることになる。
【0034】
【化1】
【0035】本発明のイオン交換体は、上述のように、
イオン交換基を有すると共に高分子電解質を有するの
で、特にイオン交換体としてカチオン交換体とアニオン
交換体とを隣接させて用いる場合に、カチオン交換体の
グラフト重合体側鎖上のカチオン交換基とアニオン交換
体のグラフト重合体側鎖上のアニオン交換基とが直接接
触する確率が低下する。本発明のイオン交換体の作用効
果についてより詳述するために、図3にカチオン交換体
について模式的に示して説明する。
【0036】図3に示す本発明のイオン交換体は不織布
からなり、基材主鎖には放射線グラフト重合法によりグ
ラフト重合体側鎖が形成されており、グラフト重合体側
鎖上にはイオン交換基としてスルホン基を有している。
そして、高分子電解質として3級アミノ基を有する高分
子が導入されている。このように高分子電解質が導入さ
れていることにより、少なくともイオン交換体の表面に
はイオン結合により高分子電解質が担持される。これに
より、図3に示すイオン交換体としてのカチオン交換体
をアニオン交換体と隣接させて用いてもアニオン交換体
のイオン交換基と図3に示すカチオン交換体のイオン交
換基であるスルホン基との間に高分子電解質が存在する
ことになるため、両交換体のイオン交換基間の接触が高
分子電解質により阻害されて、物理的に少なくなる。こ
のため両交換体のイオン交換基間でのイオン結合が形成
されるのが抑制され、水の解離が起こりにくくなるとい
う問題が解消される。その結果、電気式脱塩装置の運転
電圧が長期間の運転によって上昇するという問題点が緩
和される。
【0037】このような本発明の所望の効果を奏させる
ためには、高分子電解質は、少なくとも他方のイオン交
換体との接触面に導入されていればよく、本発明のイオ
ン交換体の全面に亘って導入されている必要はないこと
になる。例えば、図3に示す例で説明すると、アニオン
交換体(本発明のイオン交換体であると否とを問わな
い)と接触する面にのみ導入されていれば他面には導入
されていなくてもよい。
【0038】なお、上記より明らかなように、本発明に
おいて「高分子電解質を導入する」とは、高分子電解質
のイオン性官能基と、イオン交換体のイオン交換基と、
の間のイオン結合によって、高分子電解質をイオン交換
基上に担持又は添着させることを意味する。
【0039】そして、更に、本発明によれば、陽極と陰
極との間にカチオン交換膜及びアニオン交換膜を少なく
とも一部交互に配設して脱塩室と濃縮室とが形成されて
おり、上記脱塩室及び/又は濃縮室に上述の本発明のイ
オン交換体を配置してなる電気式脱塩装置が提供され
る。
【0040】電気式脱塩装置を構成するイオン交換膜と
しては、通常市販されているイオン交換膜を制限なく用
いることができ、カチオン交換膜として例えば、NEOSEP
TA CMX(トクヤマソーダ)等、アニオン交換膜としては
例えば、NEOSEPTA AMX(トクヤマソーダ)等を使用する
ことができる。
【0041】本発明の電気式脱塩装置においては、脱塩
室及び/又は濃縮室、好ましくは少なくとも脱塩室に、
上述の本発明のイオン交換体が配置されている。本発明
のイオン交換体の配置態様としては、脱塩室及び/又は
濃縮室に、それぞれ少なくとも1枚のアニオン交換体及
び及びカチオン交換体を対向配置させる態様が好ましく
挙げられ、この態様としては、イオン交換体として繊維
系基材を用いたイオン交換繊維材料のみを対向配置させ
る態様、イオン交換体としてこれらイオン交換繊維材料
に加えてこれら対向配置したイオン交換体の間にスペー
サー基材を用いたイオン伝導スペーサを更に配置させる
態様などがある。いずれの態様の場合にも、脱塩室及び
/又は濃縮室のアニオン交換膜側にアニオン交換体を、
カチオン交換膜側にカチオン交換体を配置することが、
イオン移動の観点から好ましい。更に、イオン伝導機能
を有さないスペーサーを対向配置したイオン交換体間に
配した態様でも良い。
【0042】また、脱塩室及び/又は濃縮室に配置する
イオン交換体は、本発明のイオン交換体を用いていれ
ば、本発明のイオン交換体単独でも、公知の別のイオン
交換体と本発明のイオン交換体と組み合わせて用いるこ
ともできる。例えば、上述のように繊維系基材を用いた
カチオン交換体、繊維系基材を用いたアニオン交換体及
びスペーサー基材を用いたイオン伝導スペーサーを用い
た場合には、これらのうち少なくとも1つのイオン交換
体が本発明のイオン交換体であれば良い。別のイオン交
換体としては、例えば、イオン交換樹脂ビーズ、イオン
交換繊維材料及び/又はイオン伝導スペーサなどを好ま
しく挙げることができる。なかでも、織布、不織布など
の繊維材料を用いてシート状基材を形成し、このシート
状基材にイオン交換基を導入して形成されたイオン交換
繊維材料、又はネットなどの基材にイオン交換基を導入
して形成されたイオン伝導スペーサを別のイオン交換体
として好ましく用いることができる。このようなイオン
交換繊維材料やイオン伝導スペーサを使用する場合に
は、イオン交換樹脂ビーズを用いる場合に比して、シリ
カなどの弱電解質や、アルコールや他の有機薬品など有
機炭素(TOC)成分を含むイオンを良好に除去すること
ができるという利点がある。
【0043】さらに、本発明の電気式脱塩装置用イオン
交換体と組み合わせて用いることができる別のイオン交
換体としては、強酸性カチオン交換基であるスルホン基
を有するカチオン交換体、並びに、強塩基性アニオン交
換基である第4級アンモニウム基を有するアニオン交換
体を用いることが好ましい。これは、イオン交換体の再
生に必要なHイオン及びOHイオンを生成するカチ
オン交換体とアニオン交換体との接触部における水の解
離が、強酸性カチオン交換基と強塩基性アニオン交換基
との間でより良好に生じることに加えて、イオンを吸着
除去する能力が非常に高いからである。
【0044】また、上述のようにイオン伝導スペーサを
用いる場合には、被処理水が乱流を起こしながら分散し
て流れやすいこと、スペーサとイオン交換体とが十分に
密着することができること、溶出物や粒子の発生が少な
いこと、圧力損失が少ないこと等の条件を満たすもので
あればよい。イオン伝導スペーサーの形状、寸法は適宜
設定することができるが、これらの条件をすべて良好に
満たすものとして、上述したスペーサー基材としての斜
交網を基材として用いたもの挙げることができる。処理
流量を大きくすることができ、圧力損失が小さい好まし
い網の全厚としては、0.3〜1.5mmを挙げることができ、
全体としてこの範囲内であれば非常に肉薄のスペーサを
複数枚用いることもできる。
【0045】複数枚のイオン伝導スペーサを用いる場合
には、アニオン交換体側にはアニオン交換基が導入され
ているアニオン伝導スペーサを配設し、カチオン交換体
側にはカチオン交換基が導入されているカチオン伝導ス
ペーサを配設することが好ましい。しかし、イオン伝導
スペーサの配置はこれに限定されるものではなく、被処
理水の水質に依存して変動し、アニオン及びカチオン交
換体間に、アニオン伝導スペーサ又はカチオン伝導スペ
ーサのみを、複数枚、配設してもよい。そして、この際
用いる各伝導スペーサーは、本発明に係る高分子電解質
が導入された本発明のイオン交換体としてのイオン伝導
スペーサーでも、また通常公知の高分子電解質が導入さ
れていないイオン伝導スペーサーでもよい。
【0046】上述のように本発明の電気式脱塩装置にお
いてイオン交換体の配置、即ち、アニオン交換体、カチ
オン交換体及びイオン伝導スペーサーの配置に関しては
種々の配置態様が採用でき、この場合にどのイオン交換
体として本発明のイオン交換体を用いるかは任意であ
る。しかしながら、本発明の電気式脱塩装置において
は、アニオン系のイオン交換体(アニオン交換体、アニ
オン伝導スペーサー)とカチオン系の交換体(カチオン
交換体、カチオン伝導スペーサー)とが隣接する場合、
隣接するアニオン系のイオン交換体とカチオン系のイオ
ン交換体との少なくとも何れか一方は本発明のイオン交
換体を用いるのが好ましい。
【0047】本発明の電気式脱塩装置においては、好ま
しくは2.5〜5mmの厚さの脱塩室及び/又は濃縮室の中
に、アニオン交換繊維材料、カチオン交換繊維材料、及
び場合によってはイオン伝導スペーサを挟み込むのが好
ましい。それぞれの厚さは、被処理水流量、圧力損失、
被処理水の水質、電圧等を考慮して、適宜決定すること
ができる。
【0048】
【好ましい実施形態の説明】以下、添付図面を参照しな
がら、本発明をさらに詳細に説明する。以下の記載は、
本発明に係る電気式脱塩装置の好ましい一具体例を示す
ものであり、本発明はこれらの記載に限定されるもので
はない。
【0049】図4は、本発明の好ましい実施形態にかか
る電気式脱塩装置の模式図である。図4に示す電気式脱
塩装置は、陽極と陰極との間に、アニオン交換膜A及び
カチオン交換膜Cを少なくとも一部を交互に配設して脱
塩室と濃縮室とを形成してなる電気式脱塩装置である。
少なくとも脱塩室には、繊維系基材である不織布にカチ
オン交換基を導入しさらに高分子電解質を添着させたカ
チオン交換不織布と、繊維系基材である不織布にアニオ
ン交換基を導入したアニオン交換不織布と、が対向配設
され、更にこれら両交換不織布間において、カチオン交
換不織布側にカチオン伝導スペーサが、アニオン交換不
織布側にアニオン交換伝導スペーサが、それぞれ配置さ
れている。図示した実施形態においては、1組のセル
(濃縮室/脱塩室/濃縮室)のみを記載しているが、必
要に応じて、カチオン交換膜とアニオン交換膜の配列を
繰り返すことによって、脱塩室のセル(濃縮室/脱塩室
/濃縮室の組合せ)が電極間に複数個並列に配置され
る。また、イオン交換膜の配列は、一部において、同種
のイオン交換膜を連続して配列する部分が存在していて
もよい。
【0050】次に、図4で示される本発明の一態様にか
かる電気式脱塩装置の操作を説明する。陰極と陽極の間
に、直流電圧を印加し、被処理水を通水すると、被処理
水中のCa2+、Mg2+、Na+などのカチオンは、脱塩室のカ
チオン交換体によりイオン交換されて、電場下でカチオ
ン交換体からカチオン交換膜を通過して、濃縮室に透過
し、濃縮水として排出される。一方、被処理水中のC
l-、SO4 2-などのアニオンは、脱塩室のアニオン交換体
によりイオン交換されて、電場下でアニオン交換体から
アニオン交換膜を通過して、濃縮室に透過し、濃縮水と
して排出される。
【0051】このとき、図2(a)に示されるように、カチ
オン伝導スペーサとアニオン伝導スペーサとの接触部位
では、カチオン交換基(図2ではSO3 -)とアニオン交換
基(図2では(CH3)3N+)との近接によって生じる電場の
影響で、水が解離し、カチオン交換体側にH+イオンが引
きつけられ、アニオン交換体側にOH-イオンが引きつけ
られる。運転時間が長くなるにつれ、近接しているカチ
オン交換基とアニオン交換基との間でイオン結合が形成
されて電荷が中和されてしまうために水解が起こらなく
なる。しかしながら、本発明においては、図3に示され
るように、カチオン交換体は、高分子電解質が導入され
た本発明のイオン交換体であるので、カチオン交換基と
アニオン交換基との間に水解作用を阻害しない程度に物
理的に距離が形成されて、イオン交換基同士のイオン結
合が形成されにくくなり、電荷を維持するので水の解離
が継続して進行する。このために、長時間運転後の水解
の阻害に起因する運転電圧の上昇が抑制される。
【0052】なお、図4においては、脱塩室内におい
て、アニオン交換体とカチオン交換体との間にアニオン
交換スペーサを配置する態様を示しているが、アニオン
交換不織布側にアニオン伝導スペーサを、カチオン交換
不織布側にカチオン伝導スペーサをを配置することもで
きる。
【0053】
【実施例】以下、具体的な実施例を用いて本発明をさら
に詳細に説明する。
【0054】
【製造例1】カチオン伝導スペーサの製造 イオン伝導スペーサの基材として、厚み1.2mm、ピッチ3
mmのポリエチレン製ポリエチレン製斜交網を用いた。ド
ライアイスで冷却しながら、ポリエチレン製斜交網に窒
素雰囲気中でγ線(150kGy)を照射した。このγ線照射
済み斜交網を、スチレンスルホン酸ナトリウム(25重量
%)及びアクリル酸(25重量%)の混合溶液中に浸漬
し、75℃で3時間反応させて、グラフト構造を有するカ
チオン伝導斜交網スペーサを得た。これを乾燥させて、
乾燥重量を測定してグラフト率を算出したところ、153
%であった。得られたカチオン伝導斜交網スペーサの中
性塩分解容量は、189meq/m2で、総交換容量は834meq/
m2であった。
【0055】
【製造例2】アニオン伝導スペーサの製造 イオン伝導スペーサの基材として、厚み1.2mm、ピッチ3
mmのポリエチレン製斜交網を用いた。ドライアイスで冷
却しながら、ポリエチレン製斜交網に窒素雰囲気中でγ
線(150kGy)を照射した。予めアルミナによって重合禁
止剤を取り除いたクロロメチルスチレン(m体70%:p
体30%、セイミケミカル社製、商品名CMS-AM)モノマー
溶液中に、照射済の斜交網を浸漬し、50℃で5時間反応
させて、クロロメチルスチレングラフト斜交網(グラフ
ト率90%)を得た。得られたクロロメチルスチレングラ
フト斜交網をトリメチルアミン水溶液中で4級アンモニ
ウム化させた後、水酸化ナトリウム水溶液で再生処理し
て、アニオン伝導斜交網スペーサを得た。中性塩分解容
量は267meq/m2であった。
【0056】
【製造例3】強酸性カチオン交換不織布の製造 基材として、繊維径17μmのポリエチレン(鞘)/ポリ
プロピレン(芯)の複合繊維よりなる目付55g/m2、厚さ
0.35mmの熱融着不織布を用い、窒素雰囲気下で電子線
(150kGy)を照射した。
【0057】電子線照射処理後の熱融着不織布を、メタ
クリル酸グリシジルの10%メタノール溶液中に浸漬し、
45℃で4時間反応させた。反応後の不織布を60℃のジメ
チルホルムアミド溶液に5時間浸漬してホモポリマーを
除去し、メタクリル酸グリシジルグラフト不織布(グラ
フト率:131%)を得た。このグラフト不織布を、亜硫
酸ナトリウム:イソプロピルアルコール:水=1:1:
8(重量比)の溶液に浸漬し、80℃で10時間反応させ、
強酸性カチオン交換不織布(中性塩分解容量471meq/
m2)を得た。
【0058】
【製造例4】高分子電解質を添着してなる強酸性カチオ
ン交換不織布の製造 高分子電解質溶液(ポリN,N-ジメチレン-3,5-ジメチレ
ン-ピペラジウムクロライド20重量%水溶液:アクロス
オルガニクス製:平均分子量200,000〜300,000)をミリ
キュー水で希釈して3重量%高分子電解質溶液を調製し
た。この溶液20gを再生型アニオン交換樹脂(ダウケミ
カル製、製品名:DOWEX MONOSPHERE 550A)50gを充填
した直径1cmのガラスカラムに自然流下させ、高分子電
解質イオン交換体を再生した。この高分子電解質イオン
交換体をミリキュー水により0.3重量%に希釈し、水溶
液120mLをステンレス製バットに分散させた。
【0059】ここに、50℃で真空中に5時間放置し乾燥
させた製造例3により得た強酸性カチオン交換不織布75
cm2を静かに載せて、高分子電解質溶液の液滴を吸収さ
せ、強酸性カチオン交換不織布に高分子電解質を添着さ
せた。
【0060】
【製造例5】強塩基性アニオン交換不織布の製造 基材として、繊維径17μmのポリエチレン(鞘)/ポリ
プロピレン(芯)の複合繊維よりなる目付55g/m2、厚さ
0.35mmの熱融着不織布を用い、窒素雰囲気下で電子線
(150kGy)を照射した。
【0061】クロロメチルスチレン(セイミケミカル社
製、商品名:CMS-AM)を活性アルミナ充填層に通液させ
て、重合禁止剤を取り除き、窒素曝気して脱酸素を行っ
た。脱酸素処理後のクロロメチルスチレン溶液中に、照
射済みの不織布基材を浸漬して、50℃で6時間反応させ
た。その後、クロロメチルスチレン溶液から不織布を取
り出し、トルエン中に3時間浸漬して、ホモポリマーを
除去し、クロロメチルスチレングラフト不織布(グラフ
ト率:161%)を得た。得られたクロロメチルスチレン
グラフト不織布を、トリメチルアミン水溶液(10wt%)
中で、4級アンモニウム化させた後、水酸化ナトリウム
水溶液で再生処理して、4級アンモニウム基を有する強
塩基性アニオン交換不織布(中性塩分解容量:350meq/m
2)を得た。
【0062】
【実施例1】図4に構成の電気式脱塩装置(脱塩室1
つ)を組み立てた。陽極及び陰極間に、カチオン交換膜
C(トクヤマ製:NEOSEPTA CM1)とアニオン交換膜A
(トクヤマ製:NEOSEPTA AM1)とを交互に配列して、カ
チオン交換膜Cとアニオン交換膜Aとの間に濃縮室、脱
塩室、濃縮室を形成し、濃縮室と陽極との間には陽極
室、濃縮室と陰極との間には陰極室を形成した。陽極室
には、強酸性カチオン伝導スペーサ(製造例1で作製し
たもの)を4枚装填し、陰極室には強塩基性アニオン伝
導スペーサ(製造例2で作製したもの)を4枚装填し
た。濃縮室には、アニオン交換膜A側に強塩基性アニオ
ン交換不織布(製造例5で作製したもの)を、カチオン
交換膜C側に強酸性カチオン交換不織布(製造例3で作
製したもの)をそれぞれ1枚ずつ装填し、強塩基性アニ
オン交換不織布と強酸性カチオン交換不織布との間に強
塩基性アニオン伝導スペーサ(製造例2で作製したも
の)を2枚装填した。脱塩室には、アニオン交換膜A側
に強塩基性アニオン交換不織布(製造例4で作製したも
の)を、カチオン交換膜C側に高分子電解質を添着して
なる強酸性カチオン交換不織布(製造例4で作製したも
の)を、それぞれ1枚ずつ装填し、これらのイオン交換
不織布の間に、強塩基性アニオン伝導スペーサ(製造例
2で作製したもの)を2枚装填した。なお、ここで用い
たイオン交換不織布及びイオン伝導スペーサはすべて、
上記製造例で得られたイオン交換体を15cm×5cmに切断
したものである。
【0063】両電極間に0.1Aの直流電流を印加して、0.
2MΩのRO水(逆浸透膜処理水:シリカ濃度0.1〜0.3pp
m、水温14〜20℃)を流速5L/hで通水したところ、脱塩
室出口から18MΩ以上の超純水が得られた。100時間運転
後の運転電圧は45Vであった。
【0064】
【比較例1】脱塩室において、カチオン交換膜C側に製
造例3で作製したカチオン交換不織布を装填した以外
は、実施例1と同様に実施した。脱塩室出口から18MΩ
以上の超純水が得られた。100時間運転後の運転電圧は8
1Vであった。
【0065】
【発明の効果】本発明によれば、長時間運転後にも水の
解離を持続させ得る電気式脱塩装置用イオン交換体が提
供され、及びこの電気式脱塩装置用イオン交換体を少な
くとも脱塩室に配置してなる電圧上昇が抑制され、低電
圧で運転可能な電気式脱塩装置が得られる。
【0066】本発明の電気式脱塩装置によれば、従来の
脱塩装置に比較して、処理水質及び電力消費量が著しく
向上し、イオン交換体再生用薬品を使用せずに、装置の
運転電圧の上昇を抑制し、電気的エネルギーだけで超純
水を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、電気式脱塩装置の概略説明図である。
【図2】図2(a)は、カチオン交換基とアニオン交換
基との接触部における水解発生のメカニズムを示す模式
図である。図2(b)は、長時間運転後の電気式脱塩装
置におけるカチオン交換基とアニオン交換基との接触部
における水解発生抑制のメカニズムを示す模式図であ
る。
【図3】図3は、本発明のイオン交換体としての繊維系
基材にカチオン交換基を導入し、更にアニオン系のイオ
ン交換基を有する高分子電解質を導入してなるイオン交
換体を示す模式図である。
【図4】図4は、本発明の好ましい実施形態による電気
式脱塩装置の概略模式図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 洋平 神奈川県藤沢市本藤沢4丁目2番1号 株 式会社荏原総合研究所内 (72)発明者 川本 孝善 東京都大田区羽田旭町11番1号 株式会社 荏原製作所内 (72)発明者 中西 收 東京都大田区羽田旭町11番1号 株式会社 荏原製作所内 Fターム(参考) 4D006 GA17 JA04Z JA30Z JA43Z JA44Z KA31 KB11 MA13 MA14 PA01 PB02 4D061 DA01 DB13 EA09 EB01 EB04 EB13 EB19 FA08

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陽極と陰極との間にカチオン交換膜及び
    アニオン交換膜を少なくとも一部交互に配設して脱塩室
    と濃縮室とが形成されている電気式脱塩装置の上記脱塩
    室及び/又は濃縮室に配置されるイオン交換体におい
    て、 アニオン又はカチオン何れかの電荷を有するイオン交換
    基を有し、さらに該イオン交換基と反対の電荷を有する
    高分子電解質が導入されていることを特徴とするイオン
    交換体。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のイオン交換体であって、
    前記イオン交換基は、基材にグラフト重合法により形成
    されたグラフト重合体側鎖上に導入されていることを特
    徴とするイオン交換体。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載のイオン交換体であ
    って、前記高分子電解質は、高分子電解質を導入してい
    ない未導入イオン交換体を高分子電解質溶液に接触させ
    ることにより、少なくともイオン交換体の表面上に導入
    されていることを特徴とするイオン交換体。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3の何れかに記載のイオン交
    換体であって、前記高分子電解質の導入量は、導入され
    る高分子電解質の官能基の量が高分子電解質を導入する
    イオン交換体のイオン交換容量の0.001〜0.01%となる
    量であることを特徴とするイオン交換体。
  5. 【請求項5】 請求項2に記載のイオン交換体であっ
    て、グラフト重合体側鎖が、放射線グラフト重合法を利
    用して形成されたものであることを特徴とするイオン交
    換体。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5の何れかに記載のイオン交
    換体であって、前記高分子電解質が、カルボキシル基、
    リン酸基、スルホン基、4級アンモニウム基、3級アミ
    ノ基、2級アミノ基又は1級アミノ基を含むことを特徴
    するイオン交換体。
  7. 【請求項7】 陽極と陰極との間にカチオン交換膜及び
    アニオン交換膜を少なくとも一部交互に配設して脱塩室
    と濃縮室とが形成されており、上記脱塩室及び/又は濃
    縮室に請求項1〜6の何れか1項に記載のイオン交換体
    を配置してなる電気式脱塩装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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