JP3727585B2 - 電気式脱塩装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、所謂電気式脱塩装置における改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電気式脱塩装置とは、正負の電極間に陽イオン(カチオン)交換膜及び陰イオン(アニオン)交換膜を配列して濃縮室及び脱塩室を交互に形成し、電位勾配を駆動源として、脱塩室内において被処理液体中のイオンをイオン交換膜を通して濃縮室へと移動・分離させることによって、液体中のイオン成分を除去するものである。
【0003】
図1に典型的な電気式脱塩装置の概念を示す。図1に示す電気式脱塩装置は、陰極(−)と陽極(+)の間に、陰イオン交換膜A、陽イオン交換膜Cが交互に配列されて、脱塩室及び濃縮室が形成されている。この陰イオン交換膜と陽イオン交換膜との交互配列を更に繰り返すことにより、複数の脱塩室が並列に形成される。必要に応じて、脱塩室や濃縮室内にはイオン交換体が充填されて、これにより室内でのイオンの移動が促進される。また、両電極に接する区画は一般に極室(陽極室又は陰極室)と称される。このような電気式脱塩装置の運転においては、陽極及び陰極に電圧を印加すると共に、脱塩室、濃縮室、極室に水が供給される。濃縮室に供給される水は濃縮水、脱塩室に供給される水は被処理水、また極室に供給される水は極水と称される。このように被処理水及び濃縮水を脱塩室及び濃縮室にそれぞれ導入すると、水中の陽イオン及び陰イオンはそれぞれ陰極側及び陽極側に引かれるが、イオン交換膜が同種のイオンのみを選択的に透過するため、被処理水中の陽イオン(Ca2+、Na+、Mg2+、H+など)は、陽イオン交換膜Cを通して陰極側の濃縮室へ、また陰イオン(Cl-、SO4 2-、HSiO3 -、CO3 2-、HCO3 -、OH-など)は、陰イオン交換膜Aを通して陽極側の濃縮室へ移動する。一方、濃縮室から脱塩室への陰イオンの移動及び濃縮室から脱塩室への陽イオンの移動は、イオン交換膜の異種イオン遮断性のために阻止される。この結果、脱塩室においては、イオン濃度の低められた脱塩水が得られ、濃縮室においては、イオン濃度の高められた濃縮水が得られる。
【0004】
このような電気式脱塩装置においては、脱塩室を複数個形成して、それらを直列に接続して、各脱塩室へ被処理水を直列に供給することにより、生成水の純度をより高いものとするという運転法が行われる場合がある(当該技術においては、マルチパス型電気式脱塩装置と呼ばれている)。この概念を図2に示す。図2に示す電気式脱塩装置は、陽極(+)と陰極(−)との間に、陽イオン交換膜(C)と陰イオン交換膜(A)とを交互に配置して、複数の濃縮室(C1,C2,C3,C4)及び脱塩室(D1,D2,D3)を形成している。Kは極室を表す。脱塩室への供給水(被処理水)は、まずD1に導入され、次にD2,D3へと直列に供給される。一方、このような形式の電気式脱塩装置においては、濃縮室への供給水(濃縮水)に関しても、まずC1に導入され、次に、C2,C3,C4へというように直列に供給されることが通常である。このように被処理水を複数の脱塩室へ直列に供給することにより、各脱塩室において陽イオン及び陰イオンが逐次除去されるので、最終的にイオン濃度が極めて低い脱塩水が得られる。即ち、D1,D2,D3と脱塩段階が増すにつれて、被処理水中のイオン濃度が累積的に低くなり、最終段階の脱塩室D3からは、極めて低いイオン濃度の処理水(脱塩水)が得られる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図2に示すような直列接続型(マルチパス型)の電気式脱塩装置においては、初期段階の濃縮室内において炭酸カルシウムなどのスケールが析出するという問題があった。この問題は、初期段階の脱塩室においては比較的高濃度のイオンが隣接する濃縮室へと移動するため、例えば、図2の第2濃縮室C2においては、第1脱塩室D1からの比較的高濃度のカルシウムイオン(Ca2+)などと、第2脱塩室D2からの比較的高濃度の炭酸イオン(CO3 2-)などが導入され、これに更に第1濃縮室C1で濃縮水中に導入された炭酸イオンとが合わさり、これらが第2濃縮室C2内で反応して炭酸カルシウムのスケールを形成するためであると考えられる。なお、より後段の脱塩室(図2ではD3)においては、被処理水中のカルシウムイオン(Ca2+)や炭酸イオン(CO3 2-)などの濃度は低くなっており、主として水の解離によって水素イオン(H+)と水酸イオン(OH-)とが生成していると考えられる。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、このような問題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、複数の脱塩室を有し、各脱塩室へ被処理水を直列に供給する所謂マルチパス型の電気式脱塩装置において、被処理水を脱塩室へ供給する順番を工夫することによって、上記のスケール形成の問題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明は、正負の両電極間に陽イオン交換膜及び陰イオン交換膜を少なくとも一部交互に配列することによって脱塩室と濃縮室とが形成されており、少なくとも3つの脱塩室が形成され、各脱塩室が直列に接続されていて被処理水が各脱塩室に直列に供給される電気式脱塩装置において、1番目に被処理水が供給される脱塩室と2番目に被処理水が供給される脱塩室との間に1つ以上の他の脱塩室が配列されていることを特徴とする電気式脱塩装置に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の一態様に係る電気式脱塩装置の構成例を図3に示す。図3に示す電気式脱塩装置は、脱塩室が3つ、濃縮室が4つ形成されている。被処理水は、1番目の脱塩室D1を通過した後、濃縮室C2を介して脱塩室D1と隣接する脱塩室D2を飛び越えて脱塩室D3に導入され、脱塩室D3を通過した後に次に、D1とD3の間に配列されている脱塩室D2に導入される。脱塩室D2からの排出水が脱塩水として回収される。
【0009】
脱塩室D1では、比較的イオン濃度の高い被処理水が導入され、相当程度の濃度のカルシウムイオン(Ca2+)や炭酸イオン(CO3 2-)が、それぞれ、陽イオン交換膜(C)及び陰イオン交換膜(A)を通過して、隣接する濃縮室C2及びC1に移動する。被処理水は、次に、脱塩室D3に送られ、D1よりは量は少ないが、ある程度の量のカルシウムイオン(Ca2+)や炭酸イオン(CO3 2-)が、同様に、それぞれ、陽イオン交換膜(C)及び陰イオン交換膜(A)を通過して、隣接する濃縮室C4及びC3に移動する。次に、被処理水は、脱塩室D2に送られるが、ここでは被処理水中のカルシウムイオン(Ca2+)や炭酸イオン(CO3 2-)の濃度が極めて低くなっているために、主として水の解離によって水素イオン(H+)と水酸イオン(OH-)とが生成し、これらがそれぞれ、陽イオン交換膜(C)及び陰イオン交換膜(A)を通過して、隣接する濃縮室C3及びC2に移動する。
【0010】
本発明に係る電気式脱塩装置によれば、上記に説明したような被処理水の供給方法を採用しているために、1番目に被処理水が供給される脱塩室や2番目に被処理水が供給される脱塩室という初期段階の脱塩室に隣接する濃縮室内において、カルシウムイオンなどと炭酸イオンなどの濃度が高くなって炭酸カルシウムなどのスケールを形成するのを抑制することができる。
【0011】
更に、本発明に係る電気式脱塩装置においては、脱塩室への被処理水の供給を上記のように構成するのに加えて、図4に示すように、各濃縮室C1、C2、C3、C4への濃縮水の供給を並列に行えば、濃縮室でのカルシウムイオンや炭酸イオンなどの蓄積を抑えることで、濃縮室での炭酸カルシウムなどの析出をより一層抑制することができるので好ましい。従って、本発明の好ましい態様は、上記に規定する電気式脱塩装置において、各濃縮室に、並列に水が供給されていることを更に特徴とする電気式脱塩装置に関する。
【0012】
また、電気式脱塩装置で処理される被処理水のイオン濃度がより高い場合には、更に多数の脱塩室を構成すると共に、2番目に被処理水が供給される脱塩室と、3番目に被処理水が供給される脱塩室との間にも、1つ以上の他の脱塩室を配列することによって、濃縮室内でのスケールの形成を更に抑制することが望ましい。なお、この場合、3番目に被処理水が供給される脱塩室の配列位置は、2番目に被処理水が供給される脱塩室との間に1つ以上の他の脱塩室が配列されると共に、1番目に被処理水が供給される脱塩室との間にも1つ以上の他の脱塩室が配列されることが望ましい。従って、本発明の更なる態様は、上記に規定する電気式脱塩装置において、1番目に被処理水が供給される脱塩室と2番目に被処理水が供給される脱塩室との間、並びに3番目に被処理水が供給される脱塩室と1番目に被処理水が供給される脱塩室及び2番目に被処理水が供給される脱塩室との間に、1つ以上の他の脱塩室が配列されていることを更に特徴とする電気式脱塩装置に関する。
【0013】
かかる態様の電気式脱塩装置の構成例を図5に示す。図5に示す電気式脱塩装置は、5つの脱塩室D1,D2,D3,D4,D5及び6つの濃縮室C1,C2,C3,C4,C5,C6を有しており、脱塩室への被処理水の供給は、D1,D5,D3,D4,D2の順に行われる。このような本発明の更に他の態様により、より後段の脱塩室に隣接する濃縮室においても、カルシウムイオン及び炭酸イオンの濃度増大による炭酸カルシウムスケールの発生を防止することが可能になる。なお、このように、1番目に被処理水が供給される脱塩室と2番目に被処理水が供給される脱塩室との間、並びに3番目に被処理水が供給される脱塩室と1番目に被処理水が供給される脱塩室及び2番目に被処理水が供給される脱塩室との間に1つ以上の他の脱塩室を配列させるためには、脱塩装置が少なくとも5つの脱塩室を有することが必要であることは当業者には容易に理解できるであろう。
【0014】
より多数の脱塩室を形成し、より後段の脱塩室に隣接する濃縮室でのスケール形成を防止するための脱塩室の直列接続の仕方は、上記の記載を参照すれば当業者には明らかであり、それぞれの場合に最低いくつの脱塩室を有することが必要であるかも、当業者には容易に理解できるであろう。
【0015】
本発明を適用することのできる電気式脱塩装置において、電気式脱塩装置を構成するイオン交換膜としては、陽イオン交換膜としては例えば、NEOSEPTA CMX(トクヤマソーダ)などを、陰イオン交換膜としては例えばNEOSEPTA AMX(トクヤマソーダ)などを使用することができる。
【0016】
電気式脱塩装置においては、脱塩室及び/又は濃縮室内にイオン交換体を配置することによって、これら室内におけるイオンの移動を促進させることができる。本発明は、このような態様の電気式脱塩装置においても適用することができる。かかる目的で脱塩室及び/又は濃縮室内に充填するイオン交換体としては、例えば、イオン交換樹脂ビーズを用いることができる。このような目的で用いることのできるイオン交換樹脂ビーズとしては、当該技術において公知の、ポリスチレンをジビニルベンゼンで架橋したビーズなどを基材樹脂として用いて製造したものを用いることができる。例えば、スルホン基を有する強酸性カチオン交換樹脂を製造する場合には、上記の基材樹脂を硫酸やクロロスルホン酸のようなスルホン化剤で処理してスルホン化を行い、基材にスルホン基を導入することによって、強酸性カチオン交換樹脂を得る。また、例えば4級アンモニウム基を有する強塩基性アニオン交換樹脂を製造する場合には、基材樹脂をクロロメチル化処理した後、トリメチルアミンのような3級アミンを反応させて4級アンモニウム化を行うことにより、強塩基性アニオン交換樹脂を得る。このような製造方法は当該技術において周知であり、またこのような手法によって製造されたイオン交換樹脂ビーズは、例えば、Dowex MONOSPHERE 650C(ダウケミカル)、Amberlite IR-120B(ローム&ハース)、Dowex MONOSPHERE 550A(ダウケミカル)、Amberlite IRA-400(ローム&ハース)などの商品名で市販されている。
【0017】
また、本発明は、脱塩室及び/又は濃縮室内において、陽イオン交換膜側に陽イオン交換繊維材料、陰イオン交換膜側に陽イオン交換繊維材料をそれぞれ対向して配置し、必要により、両イオン交換繊維材料の間に被処理水の流路を形成するスペーサーを配置した形態の電気式脱塩装置においても適用することができるし、更には、本発明者らが先に国際出願(PCY/JP99/01391;国際公開WO 99/48820)において提案した方式の電気式脱塩装置に適用することもできる。かかる電気式脱塩装置は、脱塩室及び/又は濃縮室内において、陽イオン交換膜側に陽イオン交換繊維材料、陰イオン交換膜側に陽イオン交換繊維材料をそれぞれ対向して配置すると共に、これらイオン交換繊維材料の間に、イオン交換機能が付与されているイオン伝導スペーサーを装填している。このように、脱塩室及び/又は濃縮室内にイオン交換体として、カチオン交換膜側にカチオン交換繊維材料を、アニオン交換膜側にアニオン交換繊維材料をそれぞれ向かい合わせて配置し、更にこれらイオン交換繊維材料の間に、イオン交換機能を付与したイオン伝導スペーサを用いると、被処理水を分散して流しやすくするので、運転電圧の上昇を著しく軽減させることができると同時に、スペーサのイオン捕捉機能により脱塩率も著しく向上し、炭酸成分、シリカ成分、有機炭素成分(TOC)も良好に除去することができる。
【0018】
上記に示したような構成の電気式脱塩装置において用いられるイオン交換繊維材料としては、高分子繊維基材にイオン交換基をグラフト重合法によって導入したものが好ましく用いられる。高分子繊維よりなるグラフト化基材は、ポリオレフィン系高分子、例えばポリエチレンやポリプロピレンなどの一種の単繊維であってもよく、また、軸芯と鞘部とが異なる高分子によって構成される複合繊維であってもよい。用いることのできる複合繊維の例としては、ポリオレフィン系高分子、例えばポリエチレンを鞘成分とし、鞘成分として用いたもの以外の高分子、例えばポリプロピレンを芯成分とした芯鞘構造の複合繊維が挙げられる。かかる複合繊維材料に、イオン交換基を、放射線グラフト重合法を利用して導入したものが、イオン交換能力に優れ、厚みが均一に製造できるので、本発明において用いられるイオン交換繊維材料として好ましい。イオン交換繊維材料の形態としては、織布、不織布などを挙げることができる。
【0019】
また、上記に示すような態様の電気式脱塩装置において用いられるイオン伝導スペーサーとしては、ポリオレフィン系高分子製樹脂、例えば、従来電気透析槽において使用されていたポリエチレン製の斜交網(ネット)を基材として、これに、放射線グラフト法を用いてイオン交換機能を付与したものが、イオン伝導性に優れ、被処理水の分散性に優れているので、好ましい。なお、放射線グラフト重合法とは、高分子基材に放射線を照射してラジカルを形成させ、これにモノマーを反応させることによってモノマーを基材中に導入するという技法である。
【0020】
放射線グラフト重合法に用いることができる放射線としては、α線、β線、ガンマ線、電子線、紫外線等を挙げることができるが、本発明においてはガンマ線や電子線を好ましく用いる。放射線グラフト重合法には、グラフト基材に予め放射線を照射した後、グラフトモノマーと接触させて反応させる前照射グラフト重合法と、基材とモノマーの共存下に放射線を照射する同時照射グラフト重合法とがあるが、本発明においては、いずれの方法も用いることができる。また、モノマーと基材との接触方法により、モノマー溶液に基材を浸漬させたまま重合を行う液相グラフト重合法、モノマーの上記に基材を接触させて重合を行う気相グラフト重合法、基材をモノマー溶液に浸漬した後モノマー溶液から取り出して気相中で反応を行わせる含浸気相グラフト重合法などを挙げることができるが、いずれの方法も本発明において用いることができる。
【0021】
これら繊維基材及びスペーサー基材に導入するイオン交換基としては、特に限定されることなく種々のカチオン交換基又はアニオン交換基を用いることができる。例えば、カチオン交換基としては、スルホン基などの強酸性カチオン交換基、リン酸基などの中酸性カチオン交換基、カルボキシル基などの弱酸性カチオン交換基、アニオン交換基としては、第1級〜第3級アミノ基などの弱塩基性アニオン交換基、第4アンモニウム基などの強塩基性アニオン交換基を用いることができ、或いは、上記カチオン交換基及びアニオン交換基の両方を併有するイオン交換体を用いることもできる。
【0022】
これらの各種イオン交換基は、これらのイオン交換基を有するモノマーを用いてグラフト重合、好ましくは放射線グラフト重合を行うか、又はこれらのイオン交換基に転換可能な基を有する重合性モノマーを用いてグラフト重合を行った後に当該基をイオン交換基に転換することによって、繊維基材又はスペーサー基材に導入することができる。この目的で用いることのできるイオン交換基を有するモノマーとしては、アクリル酸(AAc)、メタクリル酸、スチレンスルホン酸ナトリウム(SSS)、メタリルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナトリウム、ビニルスルホン酸ナトリウム、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド(VBTAC)、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリルアミドなどを挙げることができる。例えば、スチレンスルホン酸ナトリウムをモノマーとして用いて放射線グラフト重合を行うことにより、基材に直接、強酸性カチオン交換基であるスルホン基を導入することができ、また、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライドをモノマーとして用いて放射線グラフト重合を行うことにより、基材に直接、強塩基性アニオン交換基である第4級アンモニウム基を導入することができる。また、イオン交換基に転換可能な基を有するモノマーとしては、アクリロニトリル、アクロレイン、ビニルピリジン、スチレン、クロロメチルスチレン、メタクリル酸グリシジル(GMA)などが挙げられる。例えば、メタクリル酸グリシジルを放射線グラフト重合によって基材に導入し、次に亜硫酸ナトリウムなどのスルホン化剤を反応させることによって強酸性カチオン交換基であるスルホン基を基材に導入したり、又はクロロメチルスチレンをグラフト重合した後に、基材をトリメチルアミン水溶液に浸漬して4級アンモニウム化を行うことによって、強塩基性アニオン交換基である第4級アンモニウム基を基材に導入することができる。
【0023】
【実施例】
以下の実施例により、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0024】
【製造例1】
強酸性カチオン交換不織布の製造
基材として、繊維径17μmのポリエチレン(鞘)/ポリプロピレン(芯)の複合繊維よりなる目付55g/m2、厚さ0.35mmの熱融着不織布を用い、窒素雰囲気下で電子線(150kGy)を照射した。
【0025】
電子線照射処理後の熱融着不織布を、メタクリル酸グリシジルの10%メタノール溶液中に浸漬し、45℃で4時間反応させた。反応後の不織布を60℃のジメチルホルムアミド溶液に5時間浸漬してホモポリマーを除去し、メタクリル酸グリシジルグラフト不織布(グラフト率:131%)を得た。このグラフト不織布を、亜硫酸ナトリウム:イソプロピルアルコール:水=1:1:8(重量比)の溶液に浸漬し、80℃で10時間反応させ、強酸性カチオン交換不織布(中性塩分解容量2.72meq/g)を得た。
【0026】
強塩基性アニオン交換不織布の製造
基材として、繊維径17μmのポリエチレン(鞘)/ポリプロピレン(芯)の複合繊維よりなる目付55g/m2、厚さ0.35mmの熱融着不織布を用い、窒素雰囲気下で電子線(150kGy)を照射した。
【0027】
クロロメチルスチレン(セイミケミカル社製、商品名:CMS-AM)を活性アルミナ充填層に通液させて、重合禁止剤を取り除き、窒素曝気して脱酸素を行った。脱酸素処理後のクロロメチルスチレン溶液中に、照射済みの不織布基材を浸漬して、50℃で6時間反応させた。その後、クロロメチルスチレン溶液から不織布を取り出し、トルエン中に3時間浸漬して、ホモポリマーを除去し、クロロメチルスチレングラフト不織布(グラフト率:161%)を得た。得られたクロロメチルスチレングラフト不織布を、トリメチルアミン水溶液(10wt%)中で、4級アンモニウム化させた後、水酸化ナトリウム水溶液で再生処理して、4級アンモニウム基を有する強塩基性アニオン交換不織布(中性塩分解容量:350meq/m2)を得た。
【0028】
【製造例2】
強酸性カチオン伝導スペーサの製造
イオン伝導スペーサの基材として、厚み1.2mm、ピッチ3mmのポリエチレン製斜交網を用いた。
【0029】
ドライアイスで冷却しながら、ポリエチレン製斜交網に窒素雰囲気中でγ線(150kGy)を照射した。このγ線照射済み斜交網を、スチレンモノマー(和光純薬製)中に浸漬して、30℃で3時間反応させて、スチレングラフト斜交網(グラフト率:90%)を得た。このスチレングラフト斜交網を、クロロスルホン酸及び1,2−ジクロロエタンの混合溶液(クロロスルホン酸:1,2−ジクロロエタン=25:75(重量比))に、30℃で1時間浸漬して、ベンゼン環にスルホン基を導入し、メタノールで洗浄後、水酸化ナトリウム水溶液(5wt%)を用いて加水分解を行い、塩酸で再生して、カチオン伝導スペーサ(中性塩分解容量:280meq/m2)を得た。
【0030】
強塩基性アニオン交換伝導スペーサの製造
イオン伝導スペーサの基材として、厚み1.2mm、ピッチ3mmのポリエチレン製斜交網を用いた。
【0031】
ドライアイスで冷却しながら、ポリエチレン製斜交網に窒素雰囲気中でγ線(150kGy)を照射した。このγ線照射済み斜交網を、予め活性アルミナによって重合禁止剤を取り除いたクロロメチルスチレン(m体70%:p体30%;セイミケミカル社製;商品名CMS-AM)中に浸漬し、50℃で5時間反応させて、クロロメチルスチレングラフト斜交網(グラフト率:90%)を得た。このグラフト斜交網を10wt%トリメチルアミン水溶液を用いて4級アンモニウム化を行い、水酸化ナトリウム溶液で再生して、強塩基性アニオン伝導スペーサ(中性塩分解容量267meq/m2)を得た。
【0032】
【実施例1】
電極間にアニオン交換膜(トクヤマソーダ製、商品名NEOSEPTA AMX)及びカチオン交換膜(トクヤマソーダ製、商品名NEOSEPTA CMX)を交互に配列することによって、図4に示す、脱塩室を3つ、濃縮室を4つ有する電気式脱塩装置を構成した。脱塩室の厚さは5mm、濃縮室及び極室の厚さは3mmとした。脱塩室D1,D2,D3内には、カチオン交換膜側に上記製造例1で製造したカチオン交換不織布を、アニオン交換膜側に上記製造例1で製造したアニオン交換不織布をそれぞれ1枚配置し、両交換不織布の間に、上記製造例2で製造したアニオン伝導スペーサーを2枚充填した。また、濃縮室C1,C2,C3,C4には、カチオン交換膜側に上記製造例2で製造したカチオン伝導スペーサーを、アニオン交換膜側に上記製造例2で製造したアニオン伝導スペーサーを、それぞれ1枚ずつ充填した。また、陽極室には上記製造例2で製造したカチオン伝導スペーサーを、陰極室には上記製造例2で製造したアニオン伝導スペーサーを、それぞれ2枚ずつ充填した。
【0033】
両電極間に0.1Aの直流電流を印加し、図4に示すように、脱塩室には、0.2MΩのRO処理水(流量5L/h)を、D1,D3,D2の順番に直列に供給し、各濃縮室及び極室には、それぞれ0.2MΩのRO処理水(流量3L/h)を並列に供給した。1000時間の運転を行ったところ、脱塩室D2からは17〜18MΩ以上の純水が継続して得られた。1000時間運転後、装置を分解して各室内を目視で観察したところ、いずれの室内においてもスケールの蓄積は見られなかった。
【0034】
【比較例1】
実施例1と同じ構成の電気式脱塩装置を用い、図2に示すように、脱塩室には、0.2MΩのRO処理水(流量5L/h)を、D1,D2,D3の順番に直列に供給し、濃縮室及び極室には、0.2MΩのRO処理水(流量3L/h)を、K(陰極室),C4,C3,C2,C1,K(陽極室)の順に直列に供給した他は、実施例1と同様に実験を行った。1000時間の運転を行ったところ、脱塩室D3からは17〜18MΩ以上の純水が継続して得られた。1000時間運転後、装置を分解して各室内を目視で観察したところ、濃縮室C1,C2,C3内において、スケールがアニオン交換膜上に蓄積していた。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、マルチパス型の電気式脱塩装置において、濃縮室内でスケールが形成するという問題を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電気式脱塩装置の概念を示す図である。
【図2】従来のマルチパス型電気式脱塩装置の概念を示す図である。
【図3】本発明の一態様に係るマルチパス型電気式脱塩装置の概念を示す図である。
【図4】本発明の他の態様に係るマルチパス型電気式脱塩装置の概念を示す図である。
【図5】本発明の更に他の態様に係るマルチパス型電気式脱塩装置の概念を示す図である。
Claims (4)
- 正負の両電極間に陽イオン交換膜及び陰イオン交換膜を少なくとも一部交互に配列することによって脱塩室と濃縮室とが形成されており、少なくとも3つの脱塩室が形成され、各脱塩室が直列に接続されていて被処理水が各脱塩室に直列に供給される電気式脱塩装置において、1番目に被処理水が供給される脱塩室と2番目に被処理水が供給される脱塩室との間に1つ以上の他の脱塩室が配列されていることを特徴とする電気式脱塩装置。
- 各濃縮室に、並列に水が供給される請求項1に記載の電気式脱塩装置。
- 1番目に被処理水が供給される脱塩室と2番目に被処理水が供給される脱塩室との間、並びに3番目に被処理水が供給される脱塩室と1番目に被処理水が供給される脱塩室及び2番目に被処理水が供給される脱塩室との間に、1つ以上の他の脱塩室が配列されている請求項1又は2に記載の電気式脱塩装置。
- 脱塩室及び/又は濃縮室内において、陽イオン交換膜側に陽イオン交換繊維材料、陰イオン交換膜側にイオン交換繊維材料が対向して配置され、その間の被処理水流路にイオン交換機能が付与されているイオン伝導スペーサーが装填されている請求項1〜3のいずれかに記載の電気式脱塩装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001399511A JP3727585B2 (ja) | 2001-12-28 | 2001-12-28 | 電気式脱塩装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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