JP2003190960A - 電気式脱塩装置 - Google Patents

電気式脱塩装置

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JP2003190960A
JP2003190960A JP2001399519A JP2001399519A JP2003190960A JP 2003190960 A JP2003190960 A JP 2003190960A JP 2001399519 A JP2001399519 A JP 2001399519A JP 2001399519 A JP2001399519 A JP 2001399519A JP 2003190960 A JP2003190960 A JP 2003190960A
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chamber
exchange membrane
ion
cathode
cation exchange
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JP2001399519A
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English (en)
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Takayoshi Kawamoto
孝善 川本
Osamu Nakanishi
收 中西
Toru Akiyama
徹 秋山
Kunio Fujiwara
邦夫 藤原
Yohei Takahashi
洋平 高橋
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Ebara Corp
Original Assignee
Ebara Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電気式脱塩装置の陰極室内に導電性粒子を充
填して、陰極室内でのスケール形成の抑制を図る従来公
知の電気式脱塩装置において、陰極室を構成する陽イオ
ン交換膜においてスケールが形成されてしまうという問
題を解決する。 【解決手段】 本発明に係る電気式脱塩装置は、陽イオ
ン交換膜と陰極とによって構成される陰極室内におい
て、電極側には電子伝導体を、陽イオン交換膜側には陽
イオンを伝導することのできる陽イオン交換体をそれぞ
れ充填したことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、所謂電気式脱塩装
置における改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電気式脱塩装置とは、正負の電極間に陽
イオン(カチオン)交換膜及び陰イオン(アニオン)交
換膜を配列して濃縮室及び脱塩室を交互に形成し、電位
勾配を駆動源として、脱塩室内において被処理液体中の
イオンをイオン交換膜を通して濃縮室へと移動・分離さ
せることによって、液体中のイオン成分を除去するもの
である。
【0003】図1に典型的な電気式脱塩装置の概念を示
す。図1に示す電気式脱塩装置は、陰極(−)と陽極
(+)の間に、陰イオン交換膜A、陽イオン交換膜Cが
交互に配列されて、脱塩室及び濃縮室が形成されてい
る。この陰イオン交換膜と陽イオン交換膜との交互配列
を更に繰り返すことにより、複数の脱塩室/濃縮室が並
列に形成される。必要に応じて、脱塩室や濃縮室内に
は、イオン交換樹脂ビーズ、イオン交換繊維材料、イオ
ン伝導スペーサなどのイオン交換体が充填されて、これ
により室内でのイオンの移動が促進される。また、両電
極に接する区画は一般に極室(陽極室又は陰極室)と称
される。極室は、最も電極側の濃縮室として機能する室
が極室として用いられる場合もあるし、或いは、最も電
極側の脱塩室として機能する室が極室として用いられる
場合もある。前者の場合には最も陰極側のイオン交換膜
は陽イオン交換膜、最も陽極側のイオン交換膜は陰イオ
ン交換膜である。即ち、陰極室は、陰極と陽イオン交換
膜とにより形成され、陽極室は、陽極と陰イオン交換膜
とにより形成される。また、後者の場合には最も陰極側
のイオン交換膜は陰イオン交換膜、最も陽極側のイオン
交換膜は陽イオン交換膜である。即ち、陰極室は、陰極
と陰イオン交換膜とにより形成され、陽極室は、陽極と
陽イオン交換膜とにより形成される。極室は、直流電源
より印加される電流の電子を授受するという機能を果た
す。また、高純度純水を得る場合などにおいては、極室
に濃縮室の機能を持たせて極微量な不純物を極室から溶
出させる。このような電気式脱塩装置の運転において
は、陽極及び陰極に電圧を印加すると共に、脱塩室、濃
縮室、極室に水が供給される。濃縮室に供給される水は
濃縮水、脱塩室に供給される水は被処理水と称される。
このように被処理水及び濃縮水を脱塩室及び濃縮室にそ
れぞれ導入すると、水中の陽イオン及び陰イオンはそれ
ぞれ陰極側及び陽極側に引かれるが、イオン交換膜が同
種のイオンのみを選択的に透過するため、被処理水中の
陽イオン(Ca2+、Na+、Mg2+、H+など)は、陽イ
オン交換膜Cを通して陰極側の濃縮室へ、また陰イオン
(Cl-、SO4 2-、HSiO3 -、CO3 2-、HCO3 -
OH-など)は、陰イオン交換膜Aを通して陽極側の濃
縮室へ移動する。一方、濃縮室から脱塩室への陰イオン
の移動及び濃縮室から脱塩室への陽イオンの移動は、イ
オン交換膜の異種イオン遮断性のために阻止される。こ
の結果、脱塩室においては、イオン濃度の低められた脱
塩水が得られ、濃縮室においては、イオン濃度の高めら
れた濃縮水が得られる。
【0004】このような電気式脱塩装置においては、陰
電極に接触する室(陰極室)内において電極表面に炭酸
カルシウムが析出するという問題があった。これは、陰
極室内の水(極水)が電極表面において次式の陰極電解
反応を起こす結果、OH-イオンが局所的に過剰となっ
てアルカリ性となるために、イオン交換膜を通して陰極
室内に導入されるCa2+イオンやMg2+イオンが炭酸カ
ルシウム或いは水酸化マグネシウムとして析出しやすく
なるためであると考えられる。
【0005】
【化1】
【0006】この問題点を解消するための手法として、
陰極室内に電子を伝導することのできる粒子を充填して
陰極室内での炭酸カルシウムの析出を抑制するという方
法が提案された。これは、陰極室内に電子伝導性粒子を
充填することにより、陰電極として実質的に機能する表
面積を広げて、陰極反応によってOH-イオンが局所的
に形成されることを抑制するという原理に基づいてい
る。提案された方法においては、陰極室内に充填するこ
とのできる電子伝導性粒子の形態としては、ビーズ、グ
ラニュールなどの他に、このような粒子をポリマー繊維
などの織編布や不織布などのマトリクスに担持させたも
のなども挙げられている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
方法では、陰極室内全体でのスケールの析出は抑制され
るが、最も陰極側の濃縮室として機能する室を陰極室と
する場合、即ち、陰極室が陰極と陽イオン交換膜とによ
って形成されている場合には、陰極室を構成するイオン
交換膜の表面にスケールが形成されてしまうという問題
が生じた。これは次のようなメカニズムによるものであ
ると考えられる。上記のような構成の電気式脱塩装置に
おいては、イオン交換膜を通してMg2+やCa2+のよう
な陽イオンは陽イオン交換膜を通して陰極側へ移動し、
濃縮室においは濃縮水中に、同様に陰極室においては極
水中に溶解して排出される。しかしながら、陰極室内に
電子伝導性の粒子が充填されていると、当該粒子とイオ
ン交換膜との接触部ではイオンの移動が起こらず、イオ
ンは専ら粒子がイオン交換膜と接触していない部分、即
ち粒子の間隙においてのみ極水中に溶解する。このた
め、電子伝導性粒子とイオン交換膜との接触部におい
て、イオンの停滞が起こり、その部分において、水酸化
マグネシウムや炭酸カルシウムなどの析出が起こってし
まう。電子伝導性粒子とイオン交換膜との接触部は必然
的に水流の流速が遅い部分なので、析出が起こってしま
うと極めて除去しにくくなる。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の問題点
を解決すべくなされたものであり、電気式脱塩装置の陰
極室内において、電極側には電子伝導体を、イオン交換
膜側にはイオンを伝導することのできるイオン交換体を
それぞれ充填することを特徴とするものである。即ち、
本発明は、正負の両電極間に陽イオン交換膜及び陰イオ
ン交換膜を少なくとも一部交互に配列することによって
脱塩室と濃縮室とが形成され、陽極又は陰極とイオン交
換膜との間に電極室が形成されており、陰極室は、陰極
と陽イオン交換膜によって形成されている電気式脱塩装
置において、陰極室内において、電極側には電子伝導体
を、陽イオン交換膜側には陽イオンを伝導することので
きる陽イオン交換体をそれぞれ充填したことを特徴とす
る電気式脱塩装置に関する。
【0009】このように本発明においては陰極室内にお
いて、電極側には電子伝導体を、陽イオン交換膜側には
陽イオンを伝導することのできる陽イオン交換体をそれ
ぞれ充填したことにより、陽イオン交換膜を通過してく
るCa2+、Mg2+などの陽イオンは、陽イオン交換体に
よって陰極室内に速やかに導入され、陰極室内の水(陰
極水)内に溶解するので、イオン交換膜面でのスケール
の蓄積を抑制することができる。一方、陰極室内の電極
側には電子伝導体が充填されているので、陰電極として
機能する面積が実質的に増大せしめられており、陰極反
応によるOH-イオンの局所的発生が抑制されるので、
陰極表面での炭酸カルシウムや水酸化マグネシウムの析
出も抑制することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の各種態様について
説明する。以下の説明は、本発明の具体的な態様例を示
すものであり、本発明はこれに限定されるものではな
い。
【0011】本発明は、正負の両電極間に陽イオン交換
膜及び陰イオン交換膜を少なくとも一部交互に配列する
ことによって脱塩室と濃縮室とが形成されている電気式
脱塩装置における改良に係るものである。
【0012】本発明を適用することのできる電気式脱塩
装置において、電気式脱塩装置を構成するイオン交換膜
としては、陽イオン交換膜としては例えば、NEOSEPTA C
MX(トクヤマソーダ)、NEOSEPTA CMB(トクヤマソー
ダ)などを、陰イオン交換膜としては例えば、NEOSEPTA
AMX(トクヤマソーダ)、NEOSEPTA AHA(トクヤマソー
ダ)などを使用することができる。
【0013】電気式脱塩装置においては、脱塩室及び/
又は濃縮室内にイオン交換体を配置することによって、
これら室内におけるイオンの移動を促進させることがで
きる。本発明は、このような態様の電気式脱塩装置にお
いても適用することができる。かかる目的で脱塩室及び
/又は濃縮室内に充填するイオン交換体としては、例え
ば、イオン交換樹脂ビーズを用いることができる。この
ような目的で用いることのできるイオン交換樹脂ビーズ
としては、当該技術において公知の、ポリスチレンをジ
ビニルベンゼンで架橋したビーズなどを基材樹脂として
用いて製造したものを用いることができる。例えば、ス
ルホン基を有する強酸性カチオン交換樹脂を製造する場
合には、上記の基材樹脂を硫酸やクロロスルホン酸のよ
うなスルホン化剤で処理してスルホン化を行い、基材に
スルホン基を導入することによって、強酸性カチオン交
換樹脂を得る。また、例えば4級アンモニウム基を有す
る強塩基性アニオン交換樹脂を製造する場合には、基材
樹脂をクロロメチル化処理した後、トリメチルアミンの
ような3級アミンを反応させて4級アンモニウム化を行
うことにより、強塩基性アニオン交換樹脂を得る。この
ような製造方法は当該技術において周知であり、またこ
のような手法によって製造されたイオン交換樹脂ビーズ
は、例えば、カチオン交換樹脂としては、Dowex MONOSP
HERE 650C(ダウケミカル)、Amberlite IR-120B(ロー
ム&ハース)、ダイヤイオンSK-10A(三菱化学)など、
アニオン交換樹脂としては、Dowex MONOSPHERE 550A
(ダウケミカル)、Amberlite IRA-400(ローム&ハー
ス)、ダイヤイオンSA-10A(三菱化学)などの商品名で
市販されている。
【0014】また、本発明は、脱塩室及び/又は濃縮室
内において、陽イオン交換膜側に陽イオン交換繊維材
料、陰イオン交換膜側に陽イオン交換繊維材料をそれぞ
れ対向して配置し、必要により、両イオン交換繊維材料
の間に被処理水の流路を形成するスペーサーを配置した
形態の電気式脱塩装置においても適用することができる
し、更には、本発明者らが先に国際出願(PCY/JP99/013
91;国際公開WO 99/48820)において提案した方式の電
気式脱塩装置に適用することもできる。かかる電気式脱
塩装置は、脱塩室及び/又は濃縮室内において、陽イオ
ン交換膜側に陽イオン交換繊維材料、陰イオン交換膜側
に陽イオン交換繊維材料をそれぞれ対向して配置すると
共に、これらイオン交換繊維材料の間に、イオン交換機
能が付与されているイオン伝導スペーサーを装填してい
る。
【0015】上記に示したような構成の電気式脱塩装置
において用いられるイオン交換繊維材料としては、高分
子繊維基材にイオン交換基をグラフト重合法によって導
入したものが好ましく用いられる。高分子繊維よりなる
グラフト化基材は、ポリオレフィン系高分子、例えばポ
リエチレンやポリプロピレンなどの一種の単繊維であっ
てもよく、また、軸芯と鞘部とが異なる高分子によって
構成される複合繊維であってもよい。用いることのでき
る複合繊維の例としては、ポリオレフィン系高分子、例
えばポリエチレンを鞘成分とし、鞘成分として用いたも
の以外の高分子、例えばポリプロピレンを芯成分とした
芯鞘構造の複合繊維が挙げられる。かかる複合繊維材料
に、イオン交換基を、放射線グラフト重合法を利用して
導入したものが、イオン交換能力に優れ、厚みが均一に
製造できるので、本発明において用いられるイオン交換
繊維材料として好ましい。イオン交換繊維材料の形態と
しては、織布、不織布などを挙げることができる。
【0016】また、上記に示すような態様の電気式脱塩
装置において用いられるイオン伝導スペーサーとして
は、ポリオレフィン系高分子製樹脂、例えば、従来電気
透析槽において使用されていたポリエチレン製の斜交網
(ネット)を基材として、これに、放射線グラフト法を
用いてイオン交換機能を付与したものが、イオン伝導性
に優れ、被処理水の分散性に優れているので、好まし
い。なお、放射線グラフト重合法とは、高分子基材に放
射線を照射してラジカルを形成させ、これにモノマーを
反応させることによってモノマーを基材中に導入すると
いう技法である。
【0017】放射線グラフト重合法に用いることができ
る放射線としては、α線、β線、ガンマ線、電子線、紫
外線等を挙げることができるが、本発明においてはガン
マ線や電子線を好ましく用いる。放射線グラフト重合法
には、グラフト基材に予め放射線を照射した後、グラフ
トモノマーと接触させて反応させる前照射グラフト重合
法と、基材とモノマーの共存下に放射線を照射する同時
照射グラフト重合法とがあるが、本発明においては、い
ずれの方法も用いることができる。また、モノマーと基
材との接触方法により、モノマー溶液に基材を浸漬させ
たまま重合を行う液相グラフト重合法、モノマーの上記
に基材を接触させて重合を行う気相グラフト重合法、基
材をモノマー溶液に浸漬した後モノマー溶液から取り出
して気相中で反応を行わせる含浸気相グラフト重合法な
どを挙げることができるが、いずれの方法も本発明にお
いて用いることができる。
【0018】これら繊維基材及びスペーサー基材に導入
するイオン交換基としては、特に限定されることなく種
々のカチオン交換基又はアニオン交換基を用いることが
できる。例えば、カチオン交換基としては、スルホン酸
基などの強酸性カチオン交換基、リン酸基などの中酸性
カチオン交換基、カルボキシル基、フェノール性水酸基
などの弱酸性カチオン交換基、アニオン交換基として
は、第1級〜第3級アミノ基などの弱塩基性アニオン交
換基、第4アンモニウム基などの強塩基性アニオン交換
基を用いることができ、或いは、上記カチオン交換基及
びアニオン交換基の両方を併有するイオン交換体を用い
ることもできる。
【0019】これらの各種イオン交換基は、これらのイ
オン交換基を有するモノマーを用いてグラフト重合、好
ましくは放射線グラフト重合を行うか、又はこれらのイ
オン交換基に転換可能な基を有する重合性モノマーを用
いてグラフト重合を行った後に当該基をイオン交換基に
転換することによって、繊維基材又はスペーサー基材に
導入することができる。この目的で用いることのできる
イオン交換基を有するモノマーとしては、アクリル酸
(AAc)、メタクリル酸、スチレンスルホン酸ナトリ
ウム(SSS)、メタリルスルホン酸ナトリウム、アリ
ルスルホン酸ナトリウム、ビニルスルホン酸ナトリウ
ム、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド
(VBTAC)、ジエチルアミノエチルメタクリレー
ト、ジメチルアミノプロピルアクリルアミドなどを挙げ
ることができる。例えば、スチレンスルホン酸ナトリウ
ムをモノマーとして用いて放射線グラフト重合を行うこ
とにより、基材に直接、強酸性カチオン交換基であるス
ルホン酸基を導入することができ、また、ビニルベンジ
ルトリメチルアンモニウムクロライドをモノマーとして
用いて放射線グラフト重合を行うことにより、基材に直
接、強塩基性アニオン交換基である第4級アンモニウム
基を導入することができる。また、イオン交換基に転換
可能な基を有するモノマーとしては、アクリロニトリ
ル、アクロレイン、ビニルピリジン、スチレン、クロロ
メチルスチレン、メタクリル酸グリシジル(GMA)な
どが挙げられる。例えば、メタクリル酸グリシジルを放
射線グラフト重合によって基材に導入し、次に亜硫酸ナ
トリウムなどのスルホン化剤を反応させることによって
強酸性カチオン交換基であるスルホン酸基を基材に導入
したり、又はクロロメチルスチレンをグラフト重合した
後に、基材をトリメチルアミン水溶液に浸漬して4級ア
ンモニウム化を行うことによって、強塩基性アニオン交
換基である第4級アンモニウム基を基材に導入すること
ができる。
【0020】本発明は、上記に説明したような各種態様
の電気式脱塩装置において、陽イオン交換膜と陰極とに
よって形成される陰極室内において、電極側には電子伝
導体を、陽イオン交換膜側には陽イオンを伝導すること
のできる陽イオン交換体をそれぞれ充填したことを特徴
とする。
【0021】本発明に係る電気式脱塩装置において、陰
極室内に充填される電子伝導体としては、炭素及び/又
は金属製のビーズ或いはグラニュールの形態の電導性粒
子を用いることができる。金属ビーズとしては、例え
ば、ステンレスなどから形成された粒子状の材料を用い
ることができる。このような目的で用いることのできる
電導性粒子の粒径としては、0.05〜2.0mm、より
好ましくは0.5〜1.0mmのものが好ましく用いられ
る。なお、炭素製のビーズとしては、例えば、東海カー
ボン製のモナビーズ(粒径0.5〜1.0mm)などを用
いることができる。更に、かかる電導性粒子を、ポリマ
ー繊維などの織編布又は不織布のようなマトリクスに担
持させることによって、本発明において用いることので
きる電子伝導体を形成することもできる。この目的で用
いられる電導性粒子の粒径としては、0.005〜0.
1mm、最も好ましくは0.01〜0.02mmのものが好
ましく用いられる。また、電導性粒子を担持させるマト
リクスとしては、ポリエチレンネット、セルロースネッ
トなどを好ましく用いることができる。
【0022】また、本発明に係る電気式脱塩装置におい
て、陰極室内の陽イオン交換膜側に充填される陽イオン
交換体としては、上記に説明したような、イオン交換樹
脂ビーズ、イオン交換繊維材料或いはイオン交換スペー
サーの形態のイオン交換体を好適に用いることができ
る。
【0023】本発明の構成に従えば、電気式脱塩装置の
陰極室内において、電極側に電子伝導体を充填したこと
によって、陰電極として機能する面積が実質的に増大せ
しめられており、陰極反応によるOH-イオンの局所的
発生が抑制されるので、陰極表面での炭酸カルシウムや
水酸化マグネシウムの析出も抑制することができ、更
に、陰極室内の陽イオン交換膜側に陽イオンを伝導する
ことのできる陽イオン交換体をそれぞれ充填したことに
より、陽イオン交換膜を通過してくるCa2+、Mg2+
どの陽イオンが、陽イオン交換体によって陰極室内に速
やかに導入され、陰極室内の水(陰極水)内に溶解する
ので、イオン交換膜面でのスケールの蓄積を抑制するこ
とができる。
【0024】
【実施例】以下の実施例により、本発明をより具体的に
説明するが、本発明はこれらの実施例により限定される
ものではない。
【0025】製造例:イオン交換不織布及びイオン伝導
スペーサーの製造 表1に、本実施例においてイオン交換不織布の製造に使
用した基材不織布の仕様を示す。この不織布は、芯がポ
リプロピレン、鞘がポリエチレンから構成される複合繊
維を熱融着によって不織布にしたものである。
【0026】
【表1】
【0027】表2に、本実施例においてイオン伝導スペ
ーサーの製造に使用した基材斜交網の仕様を示す。
【0028】
【表2】
【0029】表1に示した不織布に、ガンマ線を、窒素
雰囲気下で照射した後、メタクリル酸グリシジル(GM
A)溶液に浸漬して反応させ、グラフト率163%を得
た。次に、このグラフト処理済不織布を、亜硫酸ナトリ
ウム/イソプロピルアルコール/水の混合液中に浸漬し
て反応させ、スルホン化を行った。得られたイオン交換
不織布のイオン交換容量を測定したところ、中性塩分解
容量が2.82meq/gの強酸性陽イオン交換不織布
が得られたことが分かった。
【0030】一方、上記のようにガンマ線を照射した不
織布を、クロロメチルスチレン(CMS)溶液に浸漬し
て反応させたところ、148%のグラフト率が得られ
た。このグラフト処理済不織布を、トリメチルアミン1
0%水溶液中に浸漬して反応させ、4級アンモニウム化
を行った。得られたイオン交換不織布は、中性塩分解容
量が2.49meq/gの強塩基性陰イオン交換不織布
であった。
【0031】表2に示した斜交網基材に、N2雰囲気下
でガンマ線を照射した後、メタクリル酸グリシジル(G
MA)/ジメチルホルムアミド(DMF)の混合液中に
浸漬して反応させ、グラフト率53%を得た。このグラ
フト処理済ネットを、亜硫酸ナトリウム/イソプロピル
アルコール/水の混合液に浸漬して反応させてスルホン
化を行ったところ、中性塩分解容量が0.62meq/
gの強酸性陽イオン伝導スペーサーが得られた。
【0032】表2に示す斜交網基材に上記と同様の照射
を行い、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロラ
イド(VBTAC)/ジメチルアクリルアミド(DMA
A)/水の混合液中に浸漬して反応させてグラフト率3
6%を得た。このスペーサーは、中性塩分解容量が0.
44meq/gの強塩基性陰イオン伝導スペーサーであ
った。
【0033】実施例1 上記製造例で得られたイオン交換不織布及びイオン伝導
スペーサー並びに市販のイオン交換膜を用いて、電気式
脱塩装置を形成した。陽イオン交換膜として株式会社ト
クヤマ製の陽イオン交換膜(商品名:C66−10F)
を、陰イオン交換膜として株式会社トクヤマ製の陰イオ
ン交換膜(商品名:AMH)をそれぞれ用い、脱塩室の
セルを11個並列に有する電気式脱塩装置を形成した。
脱塩室においては、陽イオン交換膜に隣接して上記で得
られた陽イオン交換不織布を、陰イオン交換膜に隣接し
て上記で得られた陰イオン交換不織布を充填し、更に、
上記で得られた陰イオン伝導スペーサーを2枚装填し
た。濃縮室内には、上記で得られた陽イオン伝導スペー
サーを陽イオン交換膜側に、陰イオン伝導スペーサーを
陰イオン交換膜側にそれぞれ1枚ずつ装填した。電極室
は、陽極室を陰イオン交換膜と陽極によって形成し、陰
極室を陽イオン交換膜と陰極によって形成した。即ち、
両極室とも濃縮室としての機能を有していた。陽極室に
は上記で得られた陽イオン伝導スペーサー4枚を充填
し、一方、陰極室には、陽イオン交換膜側に上記で得ら
れた陽イオン伝導不織布を1枚装填し、陰極側に粒径
0.5〜1.0mmのカーボンビーズを充填した。
【0034】この電気式脱塩装置を用い、水道水を当該
技術において公知の活性炭/RO処理装置で処理した処
理水を脱塩処理した。図1に、本実施例で用いた処理装
置の概要を示す。図1において、1は原水タンク、2
は、活性炭濾過装置、3はプレフィルタ装置、4は逆浸
透膜装置、5は上述のように構成した本発明に係る電気
式脱塩装置である。本実施例においては、活性炭濾過装
置2としては活性炭吸着剤として(株)荏原製作所製の
商品名エバダイヤLG10Sを充填したものを用い、プレフ
ィルタ3としては(株)新菱フィルテック製の商品名シ
ンリョウワインドSWPP型を用い、逆浸透膜装置4として
は日東電工(株)製の商品名ES20-D8を用いた。
【0035】原水11として、つくば市の水道水を用
い、図1に示す装置で処理を行った。原水を原水タンク
から、活性炭濾過装置2、プレフィルタ装置3、逆浸透
膜装置4を通して前処理を行った後、電気式脱塩装置5
で脱塩処理を行った。脱塩水12は脱塩処理水として排
出した。また、濃縮水13は、一部を電気式脱塩装置に
戻して、陽極室、陰極室及び濃縮室供給水として用い、
残りを原水タンク1に戻した。陽極水及び陰極水出口水
は原水タンク1に戻した。原水の水質は、電気伝導度3
6ms/m、炭酸濃度56mg/L(CaCO3換算値)、カル
シウム濃度41mg/L(CaCO3換算値)、マグネシウ
ム濃度32mg/L(CaCO3換算値)であった。
【0036】約1年間の連続運転を行ったところ、連続
運転後においても脱塩処理水は17.5MΩ・cmの高純
度を維持していた。また、連続運転終了後、陰極室を分
解して、目視で検査を行ったところ、CaCO3やMg
(OH)の析出物は観察されなかった。
【0037】比較例1 陽極室には、上記で得られた陽イオン伝導スペーサーを
4枚充填し、陰極室には実施例1で用いた粒径0.1〜
2.0mmのカーボンビーズを充填した他は、実施例1と
同様に電気式脱塩装置を構成し、これを用いて実施例1
と同様に、水道水の連続処理実験を行った。
【0038】脱塩処理水は、1年間の連続運転後におい
ても11MΩ・cm以上の純度を維持していたが、陰極室
を分解して目視で検査を行ったところ、陰極室を構成す
る陽イオン交換膜の極水入り口側に、微量ではあるがC
aCO3及びMg(OH)の白い斑点状の析出物が確認
された。
【0039】
【発明の効果】本発明によれば、電気式脱塩装置の陽イ
オン交換膜と陰極によって構成される陰極室内におい
て、陰極側にカーボンビーズを充填すると共に、陽イオ
ン交換膜側に陽イオン交換体を装填することによって、
長期間運転後の水質が高く維持されるのに加えて、陰極
室内の陰極表面でのスケール形成が抑制されると共に、
更に陽イオン交換膜面におけるスケールの形成をも抑制
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電気式脱塩装置の概念を示す図である。
【図2】実施例において用いた水処理装置のフロー図で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 秋山 徹 東京都大田区羽田旭町11番1号 株式会社 荏原製作所内 (72)発明者 藤原 邦夫 神奈川県藤沢市本藤沢4丁目2番1号 株 式会社荏原総合研究所内 (72)発明者 高橋 洋平 神奈川県藤沢市本藤沢4丁目2番1号 株 式会社荏原総合研究所内 Fターム(参考) 4D006 GA03 GA17 HA47 JA02A JA04A JA04C JA30A JA30C JA41A JA42A JA43A JA44A KA01 KA41 KA52 KB12 KB14 KE02Q KE06Q KE18Q MA03 MA13 MA14 MB07 PA01 PB02 PB25 PB26 PC02 4D061 DA02 DB13 EA09 EB13 EB19 EB39 FA06 FA08 FA09 FA13 GC02 GC12 GC20 4L031 AA14 AB32 BA02 DA15 4L033 AA05 AB05 AC06 AC07 AC15 BA08 BA46

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 正負の両電極間に陽イオン交換膜及び陰
    イオン交換膜を少なくとも一部交互に配列することによ
    って脱塩室と濃縮室とが形成され、陽極又は陰極とイオ
    ン交換膜との間に電極室が形成されており、陰極室は陰
    極と陽イオン交換膜によって形成されている電気式脱塩
    装置において、陰極室内において、電極側には電子伝導
    体を、陽イオン交換膜側には陽イオンを伝導することの
    できる陽イオン交換体をそれぞれ充填したことを特徴と
    する電気式脱塩装置。
  2. 【請求項2】 電子伝導体が導電体粒子である請求項1
    に記載の電気式脱塩装置。
  3. 【請求項3】 電子伝導体が、ポリマー繊維基材に導電
    体粒子を担持したものである請求項1に記載の電気式脱
    塩装置。
  4. 【請求項4】 導電体粒子がカーボンビーズである請求
    項2又は3に記載の電気式脱塩装置。
  5. 【請求項5】 脱塩室及び/又は濃縮室内において、陽
    イオン交換膜側に陽イオン交換繊維材料、陰イオン交換
    膜側にイオン交換繊維材料を対向して配置し、その間の
    被処理水流路にイオン交換機能が付与されているイオン
    伝導スペーサーが装填されている請求項1〜4のいずれ
    かに記載の電気式脱塩装置。
  6. 【請求項6】 イオン交換繊維材料が、ポリオレフィン
    系高分子繊維を基材とし、該基材に、放射線グラフト重
    合法を利用してイオン交換基を導入したものである請求
    項5に記載の電気式脱塩装置。
  7. 【請求項7】 イオン伝導スペーサーが、ポリオレフィ
    ン系斜交網材料を基材とし、該基材に、放射線グラフト
    重合法を利用してイオン交換基を導入したものである請
    求項5又は6に記載の電気式脱塩装置。
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