JPWO2003055604A1 - 電気式脱塩装置 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、いわゆる電気式脱塩装置及び電気式脱塩装置用イオン交換体に関するものである。特に、水の解離を持続させ得る電気式脱塩装置用イオン交換体、特に電気式脱塩装置用イオン交換不織布及びイオン伝導スペーサとして最適な電気式脱塩装置用イオン交換体、及び電気式脱塩装置の電圧上昇を抑制し、低電圧で運転可能な電気式脱塩装置に関する。
背景技術
電気式脱塩装置とは、正負の電極間にカチオン交換膜及びアニオン交換膜を配列して濃縮室及び脱塩室を交互に形成し、電位勾配を駆動源として、脱塩室内において被処理液体中のイオンをイオン交換膜を通して濃縮室へと移動・分離させることによって、液体中のイオン成分を除去するものである。
図1に典型的な電気式脱塩装置の概念を示す。図1に示す電気式脱塩装置は、陰極(−)と陽極(+)の間に、アニオン交換膜A、カチオン交換膜Cが交互に配列されて、脱塩室及び濃縮室が形成されている。このアニオン交換膜とカチオン交換膜との交互配列を更に繰り返すことにより、複数の脱塩室が並列に形成される。必要に応じて、脱塩室や濃縮室内にはイオン交換体が充填されて、これにより室内でのイオンの移動が促進される。また、両端の陽極及び陰極に接する区画は一般に陽極室及び陰極室と称される。これら極室は、最も電極側の濃縮室が極室として用いられる場合もあるし、あるいは、最も電極側の濃縮室の更に電極側に更にイオン交換膜を配置して独立して極室を形成する場合もある。前者の場合には、最も陰極側のイオン交換膜はカチオン交換膜、最も陽極側のイオン交換膜はアニオン交換膜であり、後者の場合には、最も陰極側のイオン交換膜はアニオン交換膜、最も陽極側のイオン交換膜はカチオン交換膜である。ここで、極室は、直流電源により印加される電流の電子を授受するという機能を果たす。このような電気式脱塩装置の運転においては、陽極及び陰極に電圧を印加すると共に、脱塩室、濃縮室、両極室に水が供給される。濃縮室に供給される水は濃縮水、脱塩室に供給される水は被処理水と称される。このように被処理水及び濃縮水を脱塩室及び濃縮室にそれぞれ導入すると、水中のカチオン及びアニオンはそれぞれ陰極側及び陽極側に引かれるが、イオン交換膜が同種のイオンのみを選択的に透過するため、被処理水中のカチオン(Ca2+、Na+、Mg2+、H+など)は、カチオン交換膜Cを通して陰極側の濃縮室へ、またアニオン(Cl−、SO4 2−、HSiO3 −、CO3 2−、HCO3 −、OH−など)は、アニオン交換膜Aを通して陽極側の濃縮室へ移動する。一方、濃縮室から脱塩室へのアニオンの移動及び濃縮室から脱塩室へのカチオンの移動は、イオン交換膜の異種イオン遮断性のために阻止される。この結果、脱塩室においては、イオン濃度の低められた脱塩水が得られ、濃縮室においては、イオン濃度の高められた濃縮水が得られる。
このような電気式脱塩装置によれば、被処理水として例えばRO(逆浸透)処理水相当の不純物の少ない水を用いることで、脱塩水として、さらに純度の高い純水が得られる。最近では、例えば半導体製造用超純水など、より高度な超純水が要求されるようになった。そこで、電気式脱塩装置においては、脱塩室及び/又は濃縮室にイオン交換体としてカチオン交換樹脂ビーズとアニオン交換樹脂ビーズとを混合して充填することにより、これらの室内におけるイオンの移動を促進させるという方法が採用されていた。さらに、イオン交換体として、脱塩室及び/又は濃縮室内において、カチオン交換膜側にカチオン交換繊維材料(不織布など)を、アニオン交換膜側にアニオン交換繊維材料を、それぞれ向かい合わせて配置したり、これらイオン交換繊維材料の間にスペーサもしくはイオン伝導性を付与したイオン伝導スペーサを充填するという方法も提案されている(PCT/JP99/01391、国際公報WO99/48820参照)。
このような方式の電気式脱塩装置においては、イオン交換体を充填した脱塩室及び/又は濃縮室内において、カチオン交換基とアニオン交換基とが接触する部位が存在する。特に脱塩室内においては、図2(a)に示すように、水の解離(H2O→H++OH−)が起こり、この水の解離(水解)によって生成するH+イオン及びOH−イオンによって脱塩室内のイオン交換体が連続的に効率よく再生されることにより、高純度な超純水を得ることが可能になった。これは、脱塩室及び/又は濃縮室内のカチオン交換繊維材料とアニオン交換繊維材料との間にスペーサ又はイオン伝導スペーサを配置することによって、連続的なカチオン交換体充填層及びアニオン交換体充填層を形成することにより、イオンが両電極側に通過しやすくなったため、カチオン交換体とアニオン交換体との接触部位で、局部的に官能基の対イオンが不足し、この不足した対イオンを補償すべく水を解離させて、カチオン交換基及びアニオン交換基にH+イオン及びOH−イオンを供給するようになること、また、カチオン交換基及びアニオン交換基が数Å〜数十Åの距離で近接していると、その間に強力な電場が発生し、水が分極し解離しやすくなり、再結合することなくイオン交換体を再生することに起因すると考えられる。また、水だけでなくアルコールなどの非電解質においても、強力な電場により分極及び解離したアニオン及びカチオンとなることで官能基に吸着し、除去することが可能となると考えられる
しかしこのような構成の電気式脱塩装置においても、長時間の運転によって運転電圧が上昇してしまうという問題が生じた。すなわち、図2(b)に示すように、水の解離部位、すなわちカチオン交換基とアニオン交換基との接触部位において発生する電場が、カチオン交換基とアニオン交換基とを互いに引き寄せてイオン結合を形成させると、H+イオン及びOH−イオンと結合するフリーのイオン交換基が減少すると共に、接触部位における電場が弱まってしまう。すると、水を解離するエネルギーが不足し、カチオン交換基とアニオン交換基との間での水の解離が起こりにくくなり、イオン交換体の再生能力が低下する。イオン交換体の再生能力を維持するためには、さらに外部から電気エネルギーを供給して、強力な電場を与える必要があり、結果的に運転電圧の上昇を引き起こすと考えられる。
そこで、本発明は、電気式脱塩装置の長時間運転時にあっても、脱塩室及び/又は濃縮室におけるカチオン交換基とアニオン交換基との接触部位に生じる水の解離を阻害することなく、運転電圧を低く維持することができる電気式脱塩装置を提供することを目的とする。
また本発明の目的は、脱塩室及び/又は濃縮室内でのカチオン交換基とアニオン交換基との接触部におけるアニオン交換基とカチオン交換基との結合を低減させることができる新規なイオン交換体及びこのイオン交換体を用いる電気式脱塩装置を提供することを目的とする。
発明の開示
上記課題を解決するための手段として、本発明の第一の態様は、脱塩室及び/又は濃縮室に配置するイオン交換体の少なくとも一部において、アニオン交換基とカチオン交換基との接触部位に、複数の異なる官能基を付与することを特徴とする。
また、本発明の第二の態様は、脱塩室及び/又は濃縮室に配置するイオン交換体のアニオン交換基とカチオン交換基との接触部位の少なくとも一部を、2段構造のグラフト重合体側鎖によって構成したことを特徴とする。
更に、本発明の第三の態様は、脱塩室及び/又は濃縮室に配置するイオン交換体のアニオン交換基とカチオン交換基との接触部位の少なくとも一部を、イオン交換基を有する架橋構造のグラフト重合体側鎖によって構成したことを特徴とする。
発明を実施するための最良の形態
本発明の第一の態様は、脱塩室及び/又は濃縮室に配置するイオン交換体の少なくとも一部において、アニオン交換基とカチオン交換基との接触部位に、複数の異なる官能基を付与することを特徴とする。
すなわち、本発明の第一の態様によれば、陽極と陰極との間に、カチオン交換膜及びアニオン交換膜を少なくとも一部交互に配設して脱塩室と濃縮室とを形成してなる電気式脱塩装置であって、少なくとも上記脱塩室及び/又は濃縮室にはイオン交換体が配置されており、該イオン交換体の少なくとも一部が、それと反対の符号の電荷を持つイオン交換体及び/又はイオン交換膜との接触部において複数の異なる官能基を有することを特徴とする電気式脱塩装置が提供される。本発明の第一の態様においては、上記イオン交換体は、少なくとも脱塩室に配置されていることが好ましい。
本発明の第一の態様において、「イオン交換体」とは、少なくとも1種のイオン交換基を有するものであれば、その形状や寸法を問わず、例えば、イオン交換樹脂ビーズや、繊維又は不織布や織布などに少なくとも1種のイオン交換基を導入させたもの、例えばイオン交換繊維、イオン交換不織布、イオン交換織布、イオン伝導ネット、イオン伝導斜交網、イオン交換膜などを含む意味で用いる。
電気式脱塩装置においては、脱塩室及び/又は濃縮室に配置されたイオン交換体が、反対符号の電荷を有するイオン交換体又はイオン交換膜との接触部において、カチオン交換基とアニオン交換基との接触部で水の解離が生じることで、この水の解離によって発生するH+及びOH−によってカチオン交換体及びアニオン交換体が再生されることにより、長時間の運転を可能にしている。この水の解離を生じさせるためには、脱塩室及び/又は濃縮室に配置されたカチオン交換体とアニオン交換体の少なくとも一方は、強酸性カチオン交換体又は強塩基性アニオン交換体であることが好ましい。特に、強酸性カチオン交換体及び強塩基性アニオン交換体の組合せで用いることが好ましい。これは、カチオン交換体とアニオン交換体との接触部における水の解離が、強酸性カチオン交換基と強塩基性アニオン交換基との間における強力な電場の発生でより良好に生じるからである。しかし、強酸性カチオン交換基と強塩基性アニオン交換基との組合せだけでは、両者の接触部において、図2(b)に模式的に示し、下記に化学反応式で示すように、カチオン交換基とアニオン交換基とにより生じる強力な電場の力で互いに強く引き合い、カチオン交換基とアニオン交換基とのイオン結合が進み、長時間の運転後には、カチオン交換基及びアニオン交換基の電荷が消失し、接触部位での電場が消失し、H+イオン及びOH−イオンの解離が阻害されることになる。
本発明の第一の態様においては、水の解離部すなわちカチオン交換基とアニオン交換基との接触部において、イオン交換体に複数の異なる官能基を付与することで、上記式の中和反応を抑制し、水の解離に要する電圧の上昇を抑制し、電気式脱塩装置の運転電圧の上昇を抑制する。なお、本発明において、水の解離部すなわちカチオン交換基とアニオン交換基との接触部とは、脱塩室及び/又は濃縮室内にイオン交換樹脂を充填する場合には、カチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂との接触部、及び、イオン交換樹脂とそれと反対符号の電荷を持つイオン交換膜との接触部、例えばカチオン交換樹脂とアニオン交換膜との接触部が含まれる。また、脱塩室内に、カチオン交換膜側にカチオン交換繊維材料を、アニオン交換膜側にアニオン交換繊維材料を、それぞれ向かい合わせて配置する場合には、カチオン交換繊維材料とアニオン交換繊維材料との接触部が含まれる。さらに、脱塩室内において、カチオン交換膜側に配置したカチオン交換繊維材料と、アニオン交換膜側に配置したアニオン交換繊維材料との間に、イオン伝導性を付与したイオン伝導スペーサを配置する場合には、両者のイオン交換繊維材料及びそれと反対符号の電荷を有するイオン伝導スペーサとの接触部、すなわちカチオン交換繊維材料とアニオン伝導スペーサとの接触部、又はアニオン交換繊維材料とカチオン伝導スペーサとの接触部が含まれる。さらに、両者のイオン交換繊維材料の間にアニオン伝導スペーサ及びカチオン伝導スペーサを配置する場合には、アニオン伝導スペーサとカチオン伝導スペーサとの接触部も含まれる。
電気式脱塩装置を構成するイオン交換膜としては、通常市販されているイオン交換膜を制限なく用いることができ、カチオン交換膜として例えば、NEOSEPTA CMX(トクヤマソーダ)、アニオン交換膜としては例えば、NEOSEPTA AMX(トクヤマソーダ)等を使用することができる。
また、本発明の第一の態様に係る電気式脱塩装置において、脱塩室及び/又は濃縮室内に配置されるイオン交換体としては、例えば、イオン交換樹脂ビーズを用いることができる。このような目的で用いることのできるイオン交換樹脂ビーズとしては、当該技術において公知の、ポリスチレンをジビニルベンゼンで架橋したビーズなどを基材樹脂として用いて製造したものを用いることができる。例えば、スルホン基を有する強酸性カチオン交換樹脂を製造する場合には、上記の基材樹脂を硫酸やクロロスルホン酸のようなスルホン化剤で処理してスルホン化を行い、基材にスルホン基を導入することによって、強酸性カチオン交換樹脂を得る。また、例えば4級アンモニウム基を有する強塩基性アニオン交換樹脂を製造する場合には、基材樹脂をクロロメチル化処理した後、トリメチルアミンのような3級アミンを反応させて4級アンモニウム化を行うことにより、強塩基性アニオン交換樹脂を得る。このような製造方法は当該技術分野において公知であり、またこのような手法によって製造されたイオン交換樹脂ビーズは、例えば、カチオン交換樹脂として、Dowex MONOSPHERE 650C(ダウケミカル)、Amberlite IR−120B(ローム&ハース)、アニオン交換樹脂として、Dowex MONOSPHERE 550A(ダウケミカル)、Amberlite IRA−400(ローム&ハース)などの商品名で市販されている。
また、本発明の第一の態様に係る電気式脱塩装置において脱塩室内に配置されるイオン交換体としては、イオン交換樹脂ビーズに代えて、イオン交換繊維材料やイオン伝導スペーサを用いることもできる。また、濃縮室内においては、イオン伝導スペーサーを充填することができる。すなわち、織布、不織布などの繊維材料を用いてシート状基材を形成し、このシート状基材にイオン交換基を導入して形成されたイオン交換繊維材料、又はネットなどの基材にイオン交換基を導入して形成されたイオン伝導スペーサをイオン交換体として好ましく用いることができる。このようなイオン交換体の使用態様としては、例えばイオン伝導スペーサーを脱塩室及び/又は濃縮室内で対向配置させたり、脱塩室内で対向配置させたイオン交換繊維材料の間にイオン伝導スペーサを介在させる態様などがある。このように、イオン交換繊維材料やイオン伝導スペーサを使用する場合には、イオン交換樹脂ビーズでは充分に除去できないシリカなどの弱電解質や、アルコールや他の有機薬品など有機炭素(TOC)成分を含むイオンを良好に除去することができるという利点もある。
本発明に係る電気式脱塩装置に好ましく用いられるイオン交換繊維材料としては、高分子繊維基材にイオン交換基をグラフト重合法によって導入したものを挙げることができる。高分子繊維よりなるグラフト化基材は、ポリオレフィン系高分子、例えばポリエチレンやポリプロピレンなどの一種の高分子から構成される単繊維であってもよく、また軸芯と鞘部とが異なる高分子から構成される複合繊維であってもよい。用いることのできる複合繊維の例としては、ポリオレフィン系高分子、例えばポリエチレンを鞘成分とし、鞘成分として用いたもの以外の高分子、例えばポリプロピレンを芯成分とした芯鞘構造の複合繊維が挙げられる。かかる複合繊維材料に、イオン交換基を、放射線グラフト重合法を利用して導入したものが、イオン交換能力に優れ、厚みが均一に製造できる上に、TOC溶出が少ないので、本発明において用いられるイオン交換繊維材料として好ましい。
なお、イオン交換体としてイオン交換繊維材料を用いると、イオン交換樹脂ビーズを用いる場合と比較して、ビーズの緊密充填の必要性、ビーズの緊密充填ゆえの脱塩室内への高い流入圧力の保持の必要性、ビーズの形状ゆえの偏在のおそれ、ビーズの均一混合の必要性、ビーズ充填空隙率の制御の必要性などを排除することができるので、より好ましい。また、イオン交換繊維材料をグラフト重合により作製する場合には、基材として厚さ0.1〜1.0mm、目付10〜100g/m2、空隙率50〜98%、繊維径10〜70μmの範囲の不織布が、良好で安定な処理水質を得るために特に好ましい。
また、イオン伝導スペーサとしては、ポリオレフィン系高分子製樹脂、例えば、従来電気透析槽において使用されていたポリエチレン製の斜交網(ネット)を基材として、これに、放射線グラフト法を用いてイオン交換機能を付与したものが、イオン伝導性に優れ、被処理水の分散性に優れているので、好ましい。なお、放射線グラフト重合法とは、高分子基材に放射線を照射してラジカルを形成させ、これにモノマーを反応させることによってモノマーを基材中に導入する技法である。
放射線グラフト重合法に用いることができる放射線としては、α線、β線、ガンマ線、電子線、紫外線等を挙げることができるが、本発明においてはガンマ線や電子線を好ましく用いる。放射線グラフト重合法には、グラフト基材に予め放射線を照射した後、グラフトモノマーと接触させて反応させる前照射グラフト重合法と、基材とモノマーの共存下に放射線を照射する同時照射グラフト重合法とがあるが、本発明においては、いずれの方法も用いることができる。また、モノマーと基材との接触方法により、モノマー溶液に基材を浸漬させたまま重合を行う液相グラフト重合法、モノマーの蒸気に基材を接触させて重合を行う気相グラフト重合法、基材をモノマー溶液に浸漬した後モノマー溶液から取り出して気相中で反応を行わせる含浸気相グラフト重合法などを挙げることができるが、いずれの方法も本発明において用いることができる。
これら繊維基材及びスペーサ基材に導入するイオン交換基としては、特に限定されることなく種々のカチオン交換基又はアニオン交換基を用いることができる。例えば、カチオン交換基としては、スルホン基などの強酸性カチオン交換基、リン酸基などの中酸性カチオン交換基、カルボキシル基などの弱酸性カチオン交換基、アニオン交換基としては、第1級〜第3級アミノ基などの弱塩基性アニオン交換基、第4級アンモニウム基などの強塩基性アニオン交換基を用いることができ、あるいは上記カチオン交換基及びアニオン交換基の両方を併有するイオン交換体を用いることもできる。
これらの各種イオン交換基は、これらのイオン交換基を有するモノマーを用いてグラフト重合、好ましくは放射線グラフト重合を行うか、又はこれらのイオン交換基に転換可能な基を有する重合性モノマーを用いてグラフト重合を行った後に当該基をイオン交換基に転換することによって、繊維基材又はスペーサ基材に導入することができる。この目的で用いることのできるイオン交換基を有するモノマーとしては、アクリル酸(AAc)、メタクリル酸、スチレンスルホン酸ナトリウム(SSS)、メタクリルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナトリウム、ビニルスルホン酸ナトリウム、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド(VBTAC)、ジエチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(DMAPAA)などを挙げることができる。例えば、スチレンスルホン酸ナトリウムをモノマーとして用いて放射線グラフト重合を行うことにより、基材に直接、強酸性カチオン交換基であるスルホン基を導入することができ、また、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライドをモノマーとして用いて放射線グラフト重合を行うことにより、基材に直接、強塩基性アニオン交換基である第4級アンモニウム基を導入することができる。また、イオン交換基に転換可能な基を有するモノマーとしては、アクリロニトリル、アクロレイン、ビニルピリジン、スチレン、クロロメチルスチレン、メタクリル酸グリシジル(GMA)などが挙げられる。例えば、メタクリル酸グリシジルを放射線グラフト重合によって基材に導入し、次に亜硫酸ナトリウムなどのスルホン化剤を反応させることによって強酸性カチオン交換基であるスルホン基を導入したり、又はクロロメチルスチレンをグラフト重合した後に、基材をトリメチルアミン水溶液に浸漬して4級アンモニウム化を行うことによって、強塩基性アニオン交換基である第4級アンモニウム基を基材に導入することができる。
なお、電気式脱塩装置の脱塩室及び/又は濃縮室内に導入するイオン交換体としては、強酸性カチオン交換基であるスルホン基を有するカチオン交換体、並びに、強塩基性アニオン交換基である第4級アンモニウム基を有するアニオン交換体を用いることが好ましい。これは、上記に説明したように、イオン交換体の再生に必要なH+イオン及びOH−イオンを生成するカチオン交換体とアニオン交換体との接触部における水の解離が、強酸性カチオン交換基と強塩基性アニオン交換基との間でより良好に生じることに加えて、イオンを吸着除去する能力が非常に高いからである。
本発明の第一の態様においては、上記に説明したような電気式脱塩装置の脱塩室及び/又は濃縮室内、好ましくは少なくとも脱塩室内に配置される上記の各種形態のイオン交換体の少なくとも一部が、それと反対の符号の電荷を持つイオン交換体及び/又はイオン交換膜との接触部において複数の異なる官能基を有することを特徴とする。
このような複数の異なる官能基としては、例えば、少なくとも1種の強酸性カチオン交換基と非強酸性カチオン交換基又はノニオン交換基との組合せ、又は少なくとも1種の強塩基性アニオン交換基と非強塩基性アニオン交換基又はノニオン交換基との組合せを好ましく用いることができる。強酸性カチオン交換基としては、スルホン基(−SO3 −)などを好ましく挙げることができ、強塩基性アニオン交換基としては、4級アンモニウム塩基(−N+R3)として、トリメチルアンモニウム基(−N+(CH3)3)、トリエチルアンモニウム基(−N+(C2H5)3)、ジメチルエタノールアンモニウム基(−N+(CH3)2(C2H5OH))などを好ましく挙げることができる。一方、非強酸性又は非強塩基性イオン交換基としては、カルボキシル基(−COOH)、などの弱酸性カチオン交換基、リン酸基(−PO3H2)などの中酸性カチオン交換基、1級アミノ基(−NH2)、2級アミノ基(−NRH)、3級アミノ基(−NR2)などの弱塩基性アニオン交換基、水酸基(−OH)、アミド基(−CONH2)などのノニオン性親水基などを好ましく挙げることができる。ノニオン性親水基は、ノニオン性親水基を有する重合性モノマーをグラフト重合することにより、或いは、ノニオン性親水基に転換可能な基を有する重合性モノマーをグラフト重合した後に、該基をノニオン性親水基に転換することによって、基材に導入することができる。ノニオン性親水基を有する重合性モノマーとしては、例えば、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、メタクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルメタクリレートなどを挙げることができる。また、例えば、メタクリル酸グリシジルを基材にグラフト重合した後に、硫酸水溶液で基材を加温処理してエポキシ基を開環させてジオール化することによって、ノニオン性親水基である水酸基を基材に導入することができる。
本発明の第一の態様において、電気式脱塩装置の脱塩室及び/又は濃縮室内に配置される複数の異なる官能基を有するイオン交換体は、上記に示した種々の官能基から複数の異なる官能基を選択し、選択された複数の官能基を上記に示した方法を用いて基材に導入することによって形成することができる。例えば、強塩基性アニオン交換基である第4級アンモニウム基を有する重合性モノマーとしてビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライドと、ノニオン性基であるアミド基を有する重合性モノマーとしてN,N−ジメチルアクリルアミドとを用い、これらのモノマーの混合液を用いて、繊維基材やスペーサー基材にグラフト重合を行うことによって、複数の異なる官能基を有するイオン交換体を形成することができる。
また、イオン交換体として、電気式脱塩装置の脱塩室及び/又は濃縮室内にイオン交換樹脂ビーズを配置する場合には、当該技術において公知の方法によって、複数の官能基を有するイオン交換樹脂ビーズを形成することができる。例えば、強酸性カチオン交換基と弱カチオン交換基とを有するカチオン交換樹脂ビーズの場合には、フェノールスルホン酸をホルムアルデヒド及びフェノールと共に縮重合すると、スルホン基とフェノール基を持った樹脂が合成される。。また、強塩基性アニオン交換基と弱塩基性アニオン交換基とを有するアニオン交換樹脂ビーズの場合には、クロロメチルスチレンとジビニルベンゼンを混合し、開始剤を用いて水中で懸濁重合を行い、2次反応として、トリメチルアミン、ジメチルアミン混合水溶液により処理し、トリメチルアンモニウム基及びジメチルアミド基を持ったアニオン交換樹脂が合成される。
本発明の第一の態様で用いる複数の異なる官能基を有するイオン交換体においては、少なくとも1種のイオン交換基は強酸性又は強塩基性イオン交換基であり、それぞれ弱酸性又は弱塩基性イオン交換基及び/又はノニオン性親水性基との組合せで用いることが好ましい。具体的には、強酸性カチオン交換基と弱酸性カチオン交換基との組合せの場合には、イオン交換容量比で強酸性カチオン交換基:弱酸性カチオン交換基=1:1〜1:3が好ましく、例えばスルホン基(スチレンスルホン酸ナトリウム):カルボキシル基(アクリル酸)=1:1.70が特に好ましい。強塩基性アニオン交換基と弱塩基性アニオン交換基との組合せの場合には、イオン交換容量比で強塩基性アニオン交換基:弱塩基性アニオン交換基=1:0.01〜1:0.1が好ましく、例えば4級アンモニウム基(トリメチルアミン):3級アミノ基(ジメチルアミン)=1:0.01が特に好ましい。強塩基性アニオンとノニオン性官能基との組合せの場合には、イオン交換容量比で1:1〜1:3が好ましく、例えば4級アンモニウム基(ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド):ノニオン性親水性基(N,N−ジメチルアクリルアミド)=1:2.4が特に好ましい。強酸性又は強塩基性イオン交換基と非強酸性又は非強塩基性官能基との比率を上記範囲内にすることによって、強酸性及び強塩基性イオン交換基同士のイオン結合を阻害する程度の立体障害となり得る非強酸性及び非強塩基性官能基を導入することができ、且つ異なる電荷のイオン交換体間の接触部位に水の解離を阻害しない程度の電場を維持することができる。
本発明の第一の態様で用いる複数の異なる官能基の組合せとしては、強酸性カチオン交換基と中〜弱酸性カチオン交換基又はノニオン性官能基、強塩基性アニオン交換基と中〜弱塩基性アニオン交換基又はノニオン性官能基の各組合せを挙げることができる。具体的には、4級アンモニウム基とジメチルアミド基との組合せ、4級アンモニウム基と3級アミノ基との組合せ、スルホン基とカルボキシル基との組合せ、4級アンモニウム基と水酸基との組合せ、スルホン基と水酸基との組合せ等を挙げることができる。
本発明の第一の態様に係る電気式脱塩装置においては、上記に説明したように、脱塩室及び/又は濃縮室にイオン交換体が配置されており、該イオン交換体の少なくとも一部が、それと反対の符号の電荷を持つイオン交換体及び/又はイオン交換膜との接触部において複数の異なる官能基を有しているので、異種の官能基の存在によってカチオン交換基とアニオン交換基とのイオン結合が形成されるのが抑制され、水の解離が起こりにくくなるという問題が解消される。例えば、図4に示すように、カチオン交換基としてスルホン基(−SO3 −)を有するカチオン交換体と、アニオン交換基として第4級アンモニウム基(−N+(CH3)3)を有するアニオン交換体とが接触する部位において、アニオン交換体のグラフト鎖に更にノニオン性官能基としてジメチルアミド基(−CO−N(CH3)2)を混在させると、このジメチルアミド基が立体障害として働いて、すなわちアニオン交換基とカチオン交換基との距離を長くして、スルホン基と第4級アンモニウム基とのイオン結合を阻害する。これにより、カチオン交換基とアニオン交換基との作用による水の解離がイオン結合の形成によって抑制されるという問題が緩和され、電気式脱塩装置の運転電圧が長期間の運転によって上昇するという問題点が緩和される。
更に本発明の第一の態様においては、脱塩室内にイオン交換体として、カチオン交換膜側にカチオン交換繊維材料を、アニオン交換膜側にアニオン交換繊維材料をそれぞれ向かい合わせて配置し、更にこれらイオン交換繊維材料の間に、複数の異なる官能基を付与したイオン伝導スペーサを用いると、被処理水を分散して流しやすくするので、運転電圧の上昇を著しく軽減させることができると同時に、そのイオン捕捉機能により脱塩率も著しく向上し、炭酸成分、シリカ成分、有機窒素系(TOC)成分も良好に除去することができる。
かかる態様において用いるイオン伝導スペーサとしては、被処理水が乱流を起こしながら分散して流れやすいこと、スペーサとイオン交換体とが十分に密着することができること、溶出物や粒子の発生が少ないこと、圧力損失が少ないこと等の条件を満たすものであればよく、形状、寸法は適宜設定することができるが、これらの条件をすべて良好に満たすものとして、斜交網を挙げることができる。処理流量を大きくすることができ、圧力損失が小さい好ましい網の全厚としては、0.3〜1.5mmを挙げることができ、全体としてこの範囲内であれば非常に肉薄のスペーサを複数枚用いることもできる。複数枚のイオン伝導スペーサを用いる場合には、アニオン交換体側には複数の異なるアニオン交換基を有するイオン伝導スペーサを配設し、カチオン交換体側には複数の異なるカチオン交換基を有するイオン伝導スペーサを配設することが好ましい。しかし、イオン伝導スペーサの配置はこれに限定されるものではなく、被処理水の水質に依存して変動し、イオン交換体の間に、複数の異なるアニオン交換基を有するイオン伝導スペーサのみ、あるいは複数の異なるカチオン交換基を有するイオン伝導スペーサのみを、複数枚、配設してもよい。あるいは、複数の異なる官能基を有するイオン交換体の間に、通常の単一のイオン交換基を有するイオン電導性スペーサ及び/又は複数の異なる官能基を有するイオン電導性スペーサを配設してもよい。
本発明の電気式脱塩装置においては、好ましくは2.5〜5mmの厚さの脱塩室及び/又は濃縮室の中に、アニオン交換体、カチオン交換体、及び場合によってはイオン伝導スペーサを挟み込む。それぞれの厚さは、被処理水流量、圧力損失、被処理水の水質、電圧等を考慮して、適宜決定することができる。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の第一の態様をさらに詳細に説明する。
図3は、本発明の第一の態様の好ましい実施形態にかかる電気式脱塩装置の模式図であり、図4は、本発明の第一の好ましい実施形態にかかる電気式脱塩装置の脱塩室内に配設されているアニオン交換体とカチオン交換体との接触部位の拡大模式図である。
図3に示すように、本発明の第一の態様の好ましい実施形態にかかる電気式脱塩装置は、陽極と陰極との間に、アニオン交換膜A及びカチオン交換膜Cを少なくとも一部交互に配設して脱塩室と濃縮室とを形成してなる電気式脱塩装置である。少なくとも脱塩室には、カチオン交換繊維材料からなるカチオン交換不織布とアニオン交換繊維材料からなるアニオン交換不織布とが対向配設され、このカチオン交換不織布側にはカチオン伝導スペーサが、アニオン交換不織布側には複数の異なる官能基を有するアニオン交換伝導スペーサが、それぞれ配置されている。図示した実施形態においては、1組のセル(濃縮室/脱塩室/濃縮室)のみを記載しているが、必要に応じて、カチオン交換膜とアニオン交換膜の配列を繰り返すことによって、脱塩室のセル(濃縮室/脱塩室/濃縮室の組合せ)が電極間に複数個並列に配置される。また、イオン交換膜の配列は、一部において、同種のイオン交換膜を連続して配列する部分が存在していてもよい。
図3の脱塩室に配設されているアニオン伝導スペーサは、複数の異なる官能基をグラフト重合法を用いて斜交網基材に導入して形成したイオン交換体である。図4に、脱塩室内に配設されているアニオン交換体とカチオン交換体との接触部位を拡大して、模式的に示す。図4には、対向配置されたスルホン基(SO3 −)を有するカチオン交換体のグラフト鎖部分と、ジメチルアミド基((CH3)2N−CO)及びトリメチルアンモニウム基((CH3)CN+)を有するアニオン交換体のグラフト鎖部分と、が拡大されて示されている。
次に、図3及び4で示される本発明の第一の態様にかかる電気式脱塩装置の操作を説明する。陰極と陽極の間に、直流電圧を印加し、被処理水を通水すると、被処理水中のCa2+、Mg2+、Na+などのカチオンは、脱塩室のカチオン交換体によりイオン交換されて、電場下でカチオン交換体からカチオン交換膜を通過して、濃縮室に透過し、濃縮水として排出される。一方、被処理水中のCl−、SO4 2−などのアニオンは、脱塩室のアニオン交換体によりイオン交換されて、電場下でアニオン交換体からアニオン交換膜を通過して、濃縮室に透過し、濃縮水として排出される。
このとき、図4(a)に示すように、カチオン伝導スペーサのグラフト鎖部分とアニオン伝導スペーサのグラフト鎖部分との接触部位では、カチオン交換基SO3 −とアニオン交換基(CH3)2N−CO及び(CH3)3N+との近接によって生じる電場の影響で、水が解離し、カチオン交換体側にH+イオンが引きつけられ、アニオン交換体側にOH−イオンが引きつけられる。運転時間が長くなるにつれ、強酸性カチオン交換体のSO3 −と分子が大きくカチオン交換基との距離が短い弱塩基性アニオン交換体の(CH3)2N−COとの結合が進むが、アニオン交換体には、弱塩基性イオン交換基(CH3)2N−COの他に分子が小さくカチオン交換基との距離が長い強塩基性イオン交換基である(CH3)3N+があり、この強塩基性イオン交換基(CH3)3N+と強酸性イオン交換基SO3 −との結合が分子の大きい弱塩基性アニオン交換体の(CH3)2N−COによって阻害されて進みにくく、電荷を維持するので、OH−がアニオン交換体側に引きつけら続ける。こうして、水の解離が引き続き生じるので、水の解離に要する電圧の上昇が抑制される。
次に、図5に本発明の第一態様の別の好ましい形態にかかる電気式脱塩装置を模式的に示す。この実施形態にかかる電気式脱塩装置は、脱塩室に対向配設するカチオン交換不織布とアニオン交換不織布の間に、複数の異なる官能基を有するアニオン伝導スペーサを2枚配置したものである。この場合には、アニオン交換体とカチオン交換体との間での水の解離が、カチオン交換不織布とアニオン伝導スペーサとの間に生じる。
次に、本発明の第二の態様は、脱塩室及び/又は濃縮室に配置するイオン交換体のアニオン交換基とカチオン交換基との接触部位の少なくとも一部を、2段構造のグラフト重合体側鎖によって構成したことを特徴とする。
すなわち、本発明の第二の態様によれば、陽極と陰極との間にカチオン交換膜及びアニオン交換膜を少なくとも一部交互に配設して脱塩室と濃縮室とが形成され、上記脱塩室及び/又は濃縮室にはイオン交換体が配置されており、該イオン交換体の少なくとも一部が、有機高分子基材の主鎖上にイオン交換基を有するグラフト重合体側鎖を有していて、該グラフト重合体側鎖上に更に第2のグラフト重合体側鎖が導入されているものであることを特徴とする電気式脱塩装置が提供される。なお、本発明の第二の態様に係る電気式脱塩装置においては、イオン交換体、特に、有機高分子基材の主鎖上にイオン交換基を有するグラフト重合体側鎖を有していて、該グラフト重合体側鎖上に更に第2のグラフト重合体側鎖が導入されているイオン交換体は、少なくとも脱塩室内に配置することがより好ましい。
本発明の第二の態様においては、「イオン交換体」とは、少なくとも1種のイオン交換基を有するものであればよく、例えば、繊維又は不織布や織布、或いは斜交網等のスペーサー基材などに少なくとも1種のイオン交換基を導入させたもの、例えばイオン交換繊維、イオン交換不織布、イオン交換織布、イオン伝導ネット、イオン伝導斜交網、イオン交換膜などを含む意味で用いる。これらの各種イオン交換体としては、上記に説明した種々の形態のものを用いることができる。なお、脱塩室には、上記のイオン交換繊維、イオン交換不織布、イオン交換織布、イオン伝導ネット、イオン伝導斜交網などを充填することが好ましく、濃縮室には、上記のイオン伝導ネット、イオン伝導斜交網などを充填することが好ましい。
本発明の第二の態様においては、水の解離部すなわちカチオン交換基とアニオン交換基との接触部の少なくとも一部において、イオン交換体の少なくとも一方として、有機高分子基材の主鎖上にイオン交換基を有するグラフト重合体側鎖を有していて、該グラフト重合体側鎖上に更に第2のグラフト重合体側鎖が導入されているものを用いる。即ち、上記イオン交換体は、基材の主鎖上にまずイオン交換基を有する第1のグラフト重合体側鎖が形成され、次に当該グラフト重合体側鎖の上に更に第2のグラフト重合体側鎖が形成されていることを特徴とする。このように、第1のグラフト重合体側鎖から更に第2のグラフト重合体側鎖を伸ばすことにより、第2のグラフト重合体側鎖が立体障害となって、第1のグラフト重合体側鎖の上に配置されているイオン交換基が、反対側の電荷を持つイオン交換基と引きつけあってイオン結合を形成するのが抑制される。本発明の第二の態様においては、このようなメカニズムによって上記式の中和反応を抑制し、水の解離に要する電圧の上昇を抑制し、電気式脱塩装置の運転電圧の上昇を抑制する。更に、本発明の第二の態様によれば、2段目グラフトの反応条件を制御して2段目グラフト鎖の長さを制御することにより、アニオン交換基とカチオン交換基との間の距離を調整することが可能になり、これにより水解に最適な官能基間距離を維持することが可能になる。
本発明の第二の態様においては、上記において本発明の第一の態様及び第二の態様に関連して説明したような電気式脱塩装置の脱塩室及び/又は濃縮室内、より好ましい態様においては少なくとも脱塩室内に配置される上記の各種形態のイオン交換体の少なくとも一部が、有機高分子基材の主鎖上にイオン交換基を有するグラフト重合体側鎖を有していて、該グラフト重合体側鎖上に更に第2のグラフト重合体側鎖が導入されていることを特徴とする。かかるイオン交換体は、少なくとも脱塩室内に配置することが好ましい。
このような2段グラフト構造を有するグラフト重合体側鎖は、有機高分子基材に対して第1のグラフト重合を行なってイオン交換基を有するグラフト重合体側鎖を形成し、続けて第2のグラフト重合を行うことによって形成することができる。この際、第1のグラフト重合においては、上述の各種モノマーを用いて各種のイオン交換基を基材に導入することができる。また、第2のグラフト重合においては、上述の各種モノマーを用いて各種のイオン交換基を有する第2のグラフト重合体側鎖を第1のグラフト重合体側鎖上に形成することもできるし、或いは、ノニオン性の親水基、例えば水酸基、アミド基などを有する第2のグラフト重合体側鎖を第1のグラフト重合体側鎖上に形成することもできる。例えば、第2のグラフト重合において、ノニオン性親水基を有する重合性モノマーをグラフト重合することにより、或いは、ノニオン性親水基に転換可能な基を有する重合性モノマーをグラフト重合した後に、該基をノニオン性親水基に転換することによって、ノニオン性親水基を有する第2のグラフト重合体側鎖を第1のグラフト重合体側鎖上に形成することができる。この目的で用いることのできるノニオン性親水基を有する重合性モノマーとしては、例えば、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、メタクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルメタクリレートなどを挙げることができる。また、例えば、メタクリル酸グリシジルを第1のグラフト重合体側鎖にグラフト重合した後に、硫酸水溶液で基材を加温処理してエポキシ基を開環させてジオール化することによって、ノニオン性親水基である水酸基を第1のグラフト重合体側鎖に導入することができる。
例えば、図7に示すように、まず、グラフトモノマーとしてクロロメチルスチレン(CMS)を用いてポリマー基材に対して第1段のグラフト重合を行なった後に、次にグラフトモノマーとして酢酸ビニルを用いて2段目のグラフト重合を行い、次に、基材をトリメチルアミン水溶液に浸漬して4級アンモニウム化を行い、次に水酸化ナトリウム水溶液によって鹸化及び再生することによって、強塩基性アニオン交換基である第4級アンモニウム基を有する第1のグラフト重合体側鎖上に、更にノニオン性親水基である水酸基を有する第2のグラフト重合体側鎖を形成させることができる。同様に、例えば、まずグラフトモノマーとしてスチレンスルホン酸ナトリウムを用いて第1段のグラフト重合を行ってスルホン基を有する第1のグラフト重合体側鎖を形成し、次に、メタクリル酸をグラフトモノマーとして用いて第2のグラフト重合を行うことにより、強酸性カチオン交換基であるスルホン基を有する第1のグラフト重合体側鎖上に、更に弱酸性カチオン交換基であるカルボキシル基を有する第2のグラフト重合体側鎖を形成させることができる。
なお、本発明の第二の態様に係る2段グラフトイオン交換体においては、同一の基材において、第1のグラフト重合体側鎖上に配置される官能基と、第2のグラフト重合体側鎖上に配置される官能基とは、同じ側の電荷を有するイオン交換基の組み合わせであるか、或いはイオン交換基と非イオン交換基との組み合わせであることが好ましい。これは、同一の基材に対してアニオン交換基とカチオン交換基とを導入すると、これら同士がイオン結合を形成してしまうおそれがあるからである。従って、2段グラフト重合によって同一の基材に導入する官能基の組み合わせとしては、強酸性カチオン交換基と弱酸性カチオン交換基との組み合わせ、強塩基性アニオン交換基と弱塩基性アニオン交換基との組み合わせ、強酸性カチオン交換基又は強塩基性アニオン交換基と非イオン性親水基との組み合わせが好ましい。更に、第2段のグラフト重合体側鎖の立体障害性によって、第1段のグラフト重合体側鎖上のイオン交換基が逆の電荷を有するイオン交換基との間にイオン結合を形成するのを抑制するという本発明の第二の態様のメカニズムに鑑みれば、本発明の第二の態様に係る2段グラフトイオン交換体においては、第1段のグラフト重合体側鎖が強酸性カチオン交換基又は強塩基性アニオン交換基を有していることが好ましい。具体例としては、本発明の第二の態様に係る2段グラフトカチオン交換体としては、例えば、第1段のグラフト重合体側鎖上にスルホン基を有し、第2段のグラフト重合体側鎖上にカルボキシル基或いは水酸基を有するイオン交換体を用いることができ、また、本発明の第二の態様に係る2段グラフトアニオン交換体としては、例えば、第1段のグラフト重合体側鎖上に第4級アンモニウム基を有し、第2段のグラフト重合体側鎖上に第3級アミン基又は水酸基を有するイオン交換体を用いることができる。
本発明の第二の態様に係る電気式脱塩装置においては、上記に説明したように、脱塩室及び/又は濃縮室にイオン交換体が配置されており、該イオン交換体の少なくとも一部が、有機高分子基材の主鎖上にイオン交換基を有するグラフト重合体側鎖を有していて、該グラフト重合体側鎖上に更に第2のグラフト重合体側鎖が導入されているので、例えば図8に模式的に示されるように、第2の(2段目の)グラフト重合体側鎖が立体障害となって、第1の(1段目の)グラフト重合体側鎖上のイオン交換基(図8では第4級アンモニウム基:−N+(CH3)3とスルホン基:−SO3 −)との間でのイオン結合の形成が抑制される。これにより、図2(b)で示されるようなカチオン交換基とアニオン交換基との作用による水の解離がイオン結合の形成によって抑制されるという問題が緩和され、電気式脱塩装置の運転電圧が長期間の運転によって上昇するという問題点が緩和される。更に、本発明の第二の態様によれば、2段目グラフトの反応条件を制御して2段目グラフト鎖の長さを制御することにより、イオン交換体のイオン交換能などの特性を調整することが可能になると考えられる。
更に本発明の第二の態様においては、脱塩室内にイオン交換体として、カチオン交換膜側にカチオン交換繊維材料を、アニオン交換膜側にアニオン交換繊維材料をそれぞれ向かい合わせて配置し、更にこれらイオン交換繊維材料の間に、本発明の第二の態様に係る、有機高分子基材の主鎖上にイオン交換基を有するグラフト重合体側鎖を有していて、該グラフト重合体側鎖上に更に第2のグラフト重合体側鎖が導入されているイオン伝導スペーサを用いると、被処理水を分散して流しやすくするので、運転電圧の上昇を著しく軽減させることができると同時に、そのイオン捕捉機能により脱塩率も著しく向上し、炭酸成分、シリカ成分、有機炭素系(TOC)成分も良好に除去することができる。
かかる態様において用いるイオン伝導スペーサとしては、上記において本発明の第一の態様に関連して説明したような斜交網形状などのイオン伝導スペーサーを用いることができる。複数枚のイオン伝導スペーサを用いる場合には、アニオン交換繊維材料側には本発明の第二の態様に係る有機高分子基材の主鎖上にアニオン交換基を有するグラフト重合体側鎖を有していて、該グラフト重合体側鎖上に更に第2のグラフト重合体側鎖が導入されているアニオン伝導スペーサを配設し、カチオン交換繊維材料側には本発明の第二の態様に係る有機高分子基材の主鎖上にカチオン交換基を有するグラフト重合体側鎖を有していて、該グラフト重合体側鎖上に更に第2のグラフト重合体側鎖が導入されているカチオン伝導スペーサを配設することが好ましい。しかし、イオン伝導スペーサの配置はこれに限定されるものではなく、被処理水の水質に依存して変動し、イオン交換繊維材料の間に、有機高分子基材の主鎖上にアニオン交換基を有するグラフト重合体側鎖を有していて、該グラフト重合体側鎖上に更に第2のグラフト重合体側鎖が導入されているアニオン伝導スペーサのみ、あるいは有機高分子基材の主鎖上にカチオン交換基を有するグラフト重合体側鎖を有していて、該グラフト重合体側鎖上に更に第2のグラフト重合体側鎖が導入されているカチオン伝導スペーサのみを、複数枚、配設してもよい。あるいは、有機高分子基材の主鎖上にイオン交換基を有するグラフト重合体側鎖を有していて、該グラフト重合体側鎖上に更に第2のグラフト重合体側鎖が導入されているイオン交換繊維材料の間に、通常のグラフト側鎖を有するイオン伝導スペーサ及び/又は有機高分子基材の主鎖上にイオン交換基を有するグラフト重合体側鎖を有していて、該グラフト重合体側鎖上に更に第2のグラフト重合体側鎖が導入されているイオン伝導スペーサを配設してもよい。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の第二の態様をさらに詳細に説明する。以下の記載は、本発明の第二の態様に係る電気式脱塩装置の好ましい一具体例を示すものであり、本発明はこれらの記載に限定されるものではない。
図9は、本発明の第二の態様の好ましい実施形態にかかる電気式脱塩装置の模式図である。図9に示す電気式脱塩装置は、陽極と陰極との間に、アニオン交換膜A及びカチオン交換膜Cを少なくとも一部交互に配設して脱塩室と濃縮室とを形成してなる電気式脱塩装置である。少なくとも脱塩室には、カチオン交換繊維材料からなるカチオン交換不織布とアニオン交換繊維材料からなるアニオン交換不織布とが対向配設され、更にこれら繊維材料の間において、カチオン交換不織布側に2段グラフト構造を有するカチオン伝導スペーサが、アニオン交換不織布側に2段グラフト構造を有するアニオン交換伝導スペーサが、それぞれ配置されている。図示した実施形態においては、1組のセル(濃縮室/脱塩室/濃縮室)のみを記載しているが、必要に応じて、カチオン交換膜とアニオン交換膜の配列を繰り返すことによって、脱塩室のセル(濃縮室/脱塩室/濃縮室の組合せ)が電極間に複数個並列に配置される。また、イオン交換膜の配列は、一部において、同種のイオン交換膜を連続して配列する部分が存在していてもよい。
図9の脱塩室に配設されているアニオン伝導スペーサ及びカチオン伝導スペーサは、それぞれ、斜交網基材の主鎖上にイオン交換基を有する第1のグラフト重合体側鎖を有していて、該第1のグラフト重合体側鎖上に更に第2のグラフト重合体側鎖が形成されているイオン交換体である。
次に、図9で示される本発明の第二の態様の一形態にかかる電気式脱塩装置の操作を説明する。陰極と陽極の間に、直流電圧を印加し、被処理水を通水すると、被処理水中のCa2+、Mg2+、Na+などのカチオンは、脱塩室のカチオン交換体によりイオン交換されて、電場下でカチオン交換体からカチオン交換膜を通過して、濃縮室に透過し、濃縮水として排出される。一方、被処理水中のCl−、SO4 2−などのアニオンは、脱塩室のアニオン交換体によりイオン交換されて、電場下でアニオン交換体からアニオン交換膜を通過して、濃縮室に透過し、濃縮水として排出される。
このとき、図2(a)に示されるように、カチオン伝導スペーサとアニオン伝導スペーサとの接触部位では、カチオン交換基(図2ではSO3 −)とアニオン交換基(図2では(CH3)3N+)との近接によって生じる電場の影響で、水が解離し、カチオン交換体側にH+イオンが引きつけられ、アニオン交換体側にOH−イオンが引きつけられる。運転時間が長くなるにつれ、近接しているカチオン交換基とアニオン交換基との間でイオン結合が形成されて電荷が中和されてしまうために水解が起こらなくなる(図2(b))。しかしながら、本発明の第二の態様においては、図8に示されるように、これらのイオン伝導スペーサは、イオン交換基を有する第1のグラフト重合体側鎖上に更に第2のグラフト重合体側鎖を有する2段グラフト構造を有しているので、第2のグラフト重合体側鎖が立体障害となって、第1のグラフト重合体側鎖上に存在するイオン交換基(図8においては、スルホン基:−SO3 −と第4級アンモニウム基:−(CH3)3N+)との間でイオン結合が形成されにくく、電荷を維持するので、水の解離が継続して進行する。このために、長時間運転後の水解の阻害に起因する運転電圧の上昇が抑制される。
なお、図9においては、脱塩室内において、アニオン交換不織布側に2段グラフト構造のアニオン交換スペーサを、カチオン交換不織布側に2段グラフト構造のカチオン交換スペーサを配置する態様を示しているが、これらイオン交換不織布の間に、例えばアニオン交換スペーサのみを配置することもできる。
次に、本発明の第三の態様は、脱塩室及び/又は濃縮室に配置するイオン交換体のアニオン交換基とカチオン交換基との接触部位の少なくとも一部を、イオン交換基を有する架橋構造のグラフト重合体側鎖によって構成したことを特徴とする。
すなわち、本発明の第三の態様によれば、陽極と陰極との間にカチオン交換膜及びアニオン交換膜を少なくとも一部交互に配設して脱塩室と濃縮室とが形成され、上記脱塩室及び/又は濃縮室にはイオン交換体が配置されており、該イオン交換体の少なくとも一部が、有機高分子基材の主鎖上に架橋構造を有するグラフト重合体側鎖を有していて、該架橋グラフト重合体側鎖上にイオン交換基が導入されていることを特徴とする電気式脱塩装置が提供される。なお、本発明の第三の態様に係る電気式脱塩装置においては、イオン交換体、特に、有機高分子基材の主鎖上に架橋構造を有するグラフト重合体側鎖を有していて、該架橋グラフト重合体側鎖上にイオン交換基が導入されているイオン交換体は、少なくとも脱塩室内に配置することがより好ましい。
本発明の第三の態様において、「イオン交換体」とは、少なくとも1種のイオン交換基を有するものであればよく、例えば、繊維又は不織布や織布、或いは斜交網等のスペーサー基材などに少なくとも1種のイオン交換基を導入させたもの、例えばイオン交換繊維、イオン交換不織布、イオン交換織布、イオン伝導ネット、イオン伝導斜交網、イオン交換膜などを含む意味で用いる。かかる各種イオン交換体としては、上記に説明した種々の形態のものを用いることができる。なお、脱塩室には、上記のイオン交換繊維、イオン交換不織布、イオン交換織布、イオン伝導ネット、イオン伝導斜交網などを充填することが好ましく、濃縮室には、上記のイオン伝導ネット、イオン伝導斜交網などを充填することが好ましい。
本発明の第三の態様においては、水の解離部すなわちカチオン交換基とアニオン交換基との接触部の少なくとも一部において、イオン交換体の少なくとも一方として、有機高分子基材の主鎖上に架橋構造を有するグラフト重合体側鎖を有していて、該架橋グラフト重合体側鎖上にイオン交換基が導入されているものを用いることで、イオン交換基が配置されているグラフト側鎖の自由度を小さくする。グラフト側鎖が架橋構造を有していないと、イオン交換基同士の電荷による引きつけ合いによってグラフト鎖が容易に変形してイオン交換基同士の距離が狭まることによって、より両者間のイオン結合が形成されやすくなる。しかしながら、本発明の第三の態様においては、グラフト側鎖を架橋構造としてグラフト鎖の自由度を小さくすることにより、イオン交換基同士の電荷による引きつけ合いによってもグラフト鎖が変形せず、このため、離隔した位置にあるイオン交換基同士の間ではイオン結合が形成されない。また、架橋グラフトによって架橋マトリクスが形成され、互いのグラフト鎖がこのマトリクス内に進入することができなくなるために、架橋グラフトのマトリクス内に存在するイオン交換基については、イオン結合が形成されなくなる。本発明の第三の態様においては、このようなメカニズムによって上記式の中和反応を抑制し、水の解離に要する電圧の上昇を抑制し、電気式脱塩装置の運転電圧の上昇を抑制する。
本発明の第三の態様においては、上記において本発明の第一の態様及び第二の態様に関連して説明したような電気式脱塩装置の脱塩室及び/又は濃縮室内、より好ましい態様においては少なくとも脱塩室内に配置される上記の各種形態のイオン交換体の少なくとも一部が、有機高分子基材の主鎖上に架橋構造を有するグラフト重合体側鎖を有していて、該架橋グラフト重合体側鎖上にイオン交換基が導入されていることを特徴とする。かかるイオン交換体は、少なくとも脱塩室内に配置することが好ましい。
このような架橋構造を有するグラフト重合体側鎖を形成する方法としては、例えば、架橋剤の存在下において、上記に説明したようなグラフトモノマーのグラフト重合を行う方法を採用することができる。このような目的で用いることのできる架橋剤としては、グラフトモノマーとしてGMA、SSS/AAc、VBTACなどの水溶性モノマーを用いる水系重合系においては、グリセロールジメタクリレート(例えば、日本油脂製のブレンマーGLM)、クロロメチルスチレンやスチレンなどの非水溶性モノマーを用いる非水系重合系においては、ジビニルベンゼンなどを挙げることができる。例えば、グラフトモノマーとしてスチレンスルホン酸ナトリウムを、架橋剤としてグリセロールジメタクリレートを用い、これらの混合液を用いてグラフト重合を行うことにより、架橋構造を有する重合体側鎖上にカチオン交換基であるスルホン基を有するイオン交換体を得ることができる。
また、一旦グラフト重合体側鎖を形成した後に、架橋剤を反応させることによっても、架橋構造を有するグラフト重合体側鎖を形成することができる。例えば、上述のようにしてグラフト重合を行った後、グラフト基材に再び放射線を照射するか或いは開始剤の存在下で、親水性の架橋剤、例えばグリセロールジメタクリレートを反応させることによって、架橋構造のグラフト重合体側鎖を形成することができる。
本発明の第三の態様に係る電気式脱塩装置においては、上記に説明したように、脱塩室及び/又は濃縮室にイオン交換体が配置されており、該イオン交換体の少なくとも一部が、有機高分子基材の主鎖上に架橋構造を有するグラフト重合体側鎖を有していて、該架橋グラフト重合体側鎖上にイオン交換基が導入されているので、グラフト重合体側鎖の自由度が小さくなって、グラフト重合体側鎖上のカチオン交換基とアニオン交換基とのイオン結合が形成されるのが抑制され、水の解離が起こりにくくなるという問題が解消される。架橋構造を有していないグラフト重合体側鎖は、その自由度(モビリティ)が高いため、カチオン交換基とアニオン交換基とが電荷の吸引力によって引きつけ合うことにより、重合体側鎖が変形してカチオン交換基とアニオン交換基とが近接するようになり、両交換基間で容易にイオン結合が形成され易い。しかしながら、グラフト重合体側鎖が架橋構造を有していると、図10に示すように、重合体側鎖の自由度が小さいために、近接するカチオン交換基(図10ではスルホン基:−SO3 −)とアニオン交換基(図10では第4級アンモニウム基:−N+(CH3)3)との間でのみイオン結合が形成され、離れているイオン交換基同士の間では、イオン結合が形成されなくなる。更に、架橋グラフトによって架橋マトリクスが形成され、互いのグラフト鎖がこのマトリクス内に進入することができなくなるために、架橋グラフトのマトリクス内に存在するイオン交換基については、イオン結合が形成されなくなる。これにより、カチオン交換基とアニオン交換基との作用による水の解離がイオン結合の形成によって抑制されるという問題が緩和され、電気式脱塩装置の運転電圧が長期間の運転によって上昇するという問題点が緩和される。
更に本発明の第三の態様においては、脱塩室内にイオン交換体として、カチオン交換膜側にカチオン交換繊維材料を、アニオン交換膜側にアニオン交換繊維材料をそれぞれ向かい合わせて配置し、更にこれらイオン交換繊維材料の間に、本発明の第三の態様に係る、有機高分子基材の主鎖上に架橋構造を有するグラフト重合体側鎖を有していて該架橋グラフト重合体側鎖上にイオン交換基が導入されているイオン伝導スペーサを用いると、被処理水を分散して流しやすくするので、運転電圧の上昇を著しく軽減させることができると同時に、そのイオン捕捉機能により脱塩率も著しく向上し、炭酸成分、シリカ成分、有機炭素成分(TOC)成分も良好に除去することができる。
かかる態様において用いるイオン伝導スペーサとしては、上記において本発明の第一の態様及び第二の態様に関連して説明した、例えば斜交網形状のスペーサーなどを用いることができる。本発明の第三の態様において、複数枚のイオン伝導スペーサを用いる場合には、アニオン交換繊維材料側には本発明の第三の態様に係る有機高分子基材の主鎖上に架橋構造を有するグラフト重合体側鎖を有していて該架橋グラフト重合体側鎖上にアニオン交換基が導入されているアニオン伝導スペーサを配設し、カチオン交換繊維材料側には本発明の第三の態様に係る有機高分子基材の主鎖上に架橋構造を有するグラフト重合体側鎖を有していて該架橋グラフト重合体側鎖上にカチオン交換基が導入されているカチオン伝導スペーサを配設することが好ましい。しかし、イオン伝導スペーサの配置はこれに限定されるものではなく、被処理水の水質に依存して変動し、イオン交換繊維材料の間に、有機高分子基材の主鎖上に架橋構造を有するグラフト重合体側鎖を有していて該架橋グラフト重合体側鎖上にアニオン交換基が導入されているアニオン伝導スペーサのみ、あるいは有機高分子基材の主鎖上に架橋構造を有するグラフト重合体側鎖を有していて該架橋グラフト重合体側鎖上にカチオン交換基が導入されているカチオン伝導スペーサのみを、複数枚、配設してもよい。あるいは、有機高分子基材の主鎖上に架橋構造を有するグラフト重合体側鎖を有していて該架橋グラフト重合体側鎖上にイオン交換基が導入されているイオン交換繊維材料の間に、通常のグラフト側鎖を有するイオン伝導スペーサ及び/又は有機高分子基材の主鎖上に架橋構造を有するグラフト重合体側鎖を有していて該架橋グラフト重合体側鎖上にイオン交換基が導入されているイオン伝導スペーサを配設してもよい。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の第三の態様をさらに詳細に説明する。以下の記載は、本発明の第三の態様に係る電気式脱塩装置の好ましい一具体例を示すものであり、本発明はこれらの記載に限定されるものではない。
図11は、本発明の第三の態様の好ましい実施形態にかかる電気式脱塩装置の模式図である。図11に示す電気式脱塩装置は、陽極と陰極との間に、アニオン交換膜A及びカチオン交換膜Cを少なくとも一部交互に配設して脱塩室と濃縮室とを形成してなる電気式脱塩装置である。少なくとも脱塩室には、カチオン交換繊維材料からなるカチオン交換不織布とアニオン交換繊維材料からなるアニオン交換不織布とが対向配設され、更にこれら繊維材料の間において、カチオン交換不織布側に架橋グラフト構造を有するカチオン伝導スペーサが、アニオン交換不織布側に架橋グラフト構造を有するアニオン交換伝導スペーサが、それぞれ配置されている。図示した実施形態においては、1組のセル(濃縮室/脱塩室/濃縮室)のみを記載しているが、必要に応じて、カチオン交換膜とアニオン交換膜の配列を繰り返すことによって、脱塩室のセル(濃縮室/脱塩室/濃縮室の組合せ)が電極間に複数個並列に配置される。また、イオン交換膜の配列は、一部において、同種のイオン交換膜を連続して配列する部分が存在していてもよい。
図11の脱塩室に配設されているアニオン伝導スペーサ及びカチオン伝導スペーサは、それぞれ、斜交網基材の主鎖上に架橋構造を有するグラフト重合体側鎖を有していて該架橋グラフト重合体側鎖上にイオン交換基が導入されているイオン交換体である。
次に、図11で示される本発明の第三の態様の一形態にかかる電気式脱塩装置の操作を説明する。陰極と陽極の間に、直流電圧を印加し、被処理水を通水すると、被処理水中のCa2+、Mg2+、Na+などのカチオンは、脱塩室のカチオン交換体によりイオン交換されて、電場下でカチオン交換体からカチオン交換膜を通過して、濃縮室に透過し、濃縮水として排出される。一方、被処理水中のCl−、SO4 2−などのアニオンは、脱塩室のアニオン交換体によりイオン交換されて、電場下でアニオン交換体からアニオン交換膜を通過して、濃縮室に透過し、濃縮水として排出される。
このとき、図2(a)に示されるように、カチオン伝導スペーサとアニオン伝導スペーサとの接触部位では、カチオン交換基(図2ではSO3 −)とアニオン交換基(図2では(CH3)3N+)との近接によって生じる電場の影響で、水が解離し、カチオン交換体側にH+イオンが引きつけられ、アニオン交換体側にOH−イオンが引きつけられる。運転時間が長くなるにつれ、近接しているカチオン交換基とアニオン交換基との間でイオン結合が形成されて電荷が中和されてしまうために水解が起こらなくなる。しかしながら、本発明の第三の態様においては、図10に示されるように、これらのイオン伝導スペーサは、イオン交換基が配置されているグラフト鎖が架橋構造を有しているので、自由度が小さく、互いに離隔しているイオン交換基同士の間では、イオン結合が形成されにくく、電荷を維持するので、水の解離が継続して進行する。このために、長時間運転後の水解の阻害に起因する運転電圧の上昇が抑制される。
なお、図11においては、脱塩室内において、アニオン交換不織布側に架橋グラフト構造のアニオン交換スペーサを、カチオン交換不織布側に架橋グラフト構造のカチオン交換スペーサを配置する態様を示しているが、これらイオン交換不織布の間に、例えばアニオン交換スペーサのみを配置することもできる。
以下、具体的な実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。
製造例1:複数の異なる官能基として4級アンモニウム基及びノニオン性官能基を有するイオン伝導スペーサの製造
イオン伝導スペーサの基材として、厚み1.2mm、ピッチ3mmのポリエチレン製斜交網を用い、官能基を有するグラフトモノマーとして、4級アンモニウム基を有するビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド(VBTAC)及びノニオン性官能基を有するN,N−ジメチルアクリルアミド(DMAA)を用いた。
ドライアイスで冷却しながら、ポリエチレン製斜交網に窒素雰囲気中でγ線(150kGy)を照射した。このγ線照射済み斜交網をVBTAC及びDMAAの混合モノマー溶液(VBTAC:DMAA:水=40:40:20(重量%))中に浸漬し、50℃で3時間反応させて、VBTAC及びDMAAのグラフト斜交網を得た。得られたVBTAC及びDMAAのグラフト斜交網を乾燥させて、乾燥重量を測定し、下記式(1):
によりグラフト率を算出したところ、156%であった。VBTAC及びDMAAのグラフト斜交網の中性塩分解容量を測定したところ、198meq/m2であった。
製造例2:複数の異なる官能基として4級アンモニウム基及び3級アミノ基を有するイオン伝導スペーサの製造
イオン伝導スペーサの基材として、厚み1.2mm、ピッチ3mmのポリエチレン製斜交網を用いた。
ドライアイスで冷却しながら、ポリエチレン製斜交網に窒素雰囲気中でγ線(150kGy)を照射した。このγ線照射済み斜交網を、予めアルミナによって重合禁止剤を取り除いたクロロメチルスチレン(m体70%:p体30%、セイミケミカル社製、商品名CMS−AM)に浸漬し、50℃で5時間反応させて、クロロメチルスチレングラフト斜交網(グラフト率90%)を得た。得られたクロロメチルスチレングラフト斜交網をトリメチルアミン及びジメチルアミンの混合水溶液(トリメチルアミン:ジメチルアミン:水=10:1:89(重量%))中で、4級アンモニウム化及び3級アミノ化させた後、水酸化ナトリウム水溶液で再生処理して、4級アンモニウム基及び3級アミノ基を有するイオン伝導スペーサを得た。中性塩分解容量は155meq/m2、総交換容量は158meq/m2であった。
製造例3:複数の異なる官能基として4級アンモニウム基及び3級アミノ基を有するイオン伝導スペーサの製造
イオン伝導スペーサの基材として、厚み1.2mm、ピッチ3mmのポリエチレン製斜交網を用いた。
ドライアイスで冷却しながら、ポリエチレン製斜交網に窒素雰囲気中でγ線(150kGy)を照射した。このγ線照射済み斜交網を、予めアルミナによって重合禁止剤を取り除いたクロロメチルスチレン(m体70%:p体30%、セイミケミカル社製、商品名CMS−AM)中に浸漬し、50℃で5時間反応させて、クロロメチルスチレングラフト斜交網(グラフト率90%)を得た。得られたクロロメチルスチレングラフト斜交網を10wt.%トリエチレンジアミン水溶液中で、4級アンモニウム化及び3級アミノ化させた後、水酸化ナトリウム水溶液で再生処理して、4級アンモニウム基及び3級アミノ基を有するイオン伝導スペーサを得た。中性塩分解容量は171meq/m2、総交換容量は279meq/m2であった。
製造例4:複数の異なる官能基としてカルボキシル基及びスルホン基を有するイオン伝導スペーサの製造
イオン伝導スペーサの基材として、厚み1.2mm、ピッチ3mmのポリエチレン製斜交網を用いた。
ドライアイスで冷却しながら、ポリエチレン製斜交網に窒素雰囲気中でγ線(150kGy)を照射した。このγ線照射済み斜交網を、スチレンスルホン酸ナトリウムとアクリル酸との混合モノマー溶液(スチレンスルホン酸ナトリウム25wt.%:アクリル酸25wt.%)中に浸漬し、75℃で3時間反応させて、スルホン基及びカルボキシル基を有するグラフト斜交網(グラフト率153%)を得た。中性塩分解容量は189meq/m2、総交換容量は834meq/m2であった。
製造例5:強塩基性アニオン交換伝導スペーサの製造
イオン伝導スペーサの基材として、厚み1.2mm、ピッチ3mmのポリエチレン製斜交網を用いた。
ドライアイスで冷却しながら、ポリエチレン製斜交網に窒素雰囲気中でγ線(150kGy)を照射した。このγ線照射済み斜交網を、予め活性アルミナによって重合禁止剤を取り除いたクロロメチルスチレン(m体70%:p体30%;セイミケミカル社製;商品名CMS−AM)中に浸漬し、50℃で5時間反応させて、クロロメチルスチレングラフト斜交網(グラフト率:90%)を得た。このグラフト斜交網を10wt.%トリメチルアミン水溶液を用いて4級アンモニウム化を行い、水酸化ナトリウム溶液で再生して、強塩基性アニオン伝導スペーサ(中性塩分解容量267meq/m2)を得た。
製造例6:強酸性カチオン伝導スペーサの製造
イオン伝導スペーサの基材として、厚み1.2mm、ピッチ3mmのポリエチレン製斜交網を用いた。
ドライアイスで冷却しながら、ポリエチレン製斜交網に窒素雰囲気中でγ線(150kGy)を照射した。このγ線照射済み斜交網を、スチレンモノマー(和光純薬製)中に浸漬して、30℃で3時間反応させて、スチレングラフト斜交網(グラフト率:90%)を得た。このスチレングラフト斜交網を、クロロスルホン酸及び1,2ジクロロエタンの混合溶液(クロロスルホン酸:1,2ジクロロエタン=25:75(重量比))に、30℃で1時間浸漬して、ベンゼン環にスルホン基を導入し、メタノールで洗浄後、水酸化ナトリウム水溶液(5wt.%)を用いて加水分解を行い、塩酸で再生して、カチオン伝導スペーサ(中性塩分解容量:280meq/m2)を得た。
製造例7:複数の異なる官能基を有するカチオン交換不織布の製造
基材として、繊維径17μmのポリエチレン(鞘)/ポリプロピレン(芯)の複合繊維よりなる目付55g/m2、厚さ0.35mmの熱融着不織布を用い、窒素雰囲気下で電子線(150kGy)を照射した。
ドライアイスで冷却しながら、熱融着不織布に窒素雰囲気中でγ線(150kGy)を照射した。このγ線照射済み不織布を、スチレンスルホン酸ナトリウムとアクリル酸との混合モノマー溶液(スチレンスルホン酸ナトリウム:アクリル酸:水=16:5.5:78.5(重量%))中に浸漬し、50℃で3時間反応させて、スルホン基及びカルボキシル基を有するグラフト斜交網(グラフト率80%)を得た。中性塩分解容量は188meq/m2、総交換容量は506meq/m2であった。
製造例8:複数の異なる官能基を有するアニオン交換不織布の製造
基材として、繊維径17μmのポリエチレン(鞘)/ポリプロピレン(芯)の複合繊維よりなる目付55g/m2、厚さ0.35mmの熱融着不織布を用い、窒素雰囲気下で電子線(150kGy)を照射した。
クロロメチルスチレン(セイミケミカル社製、商品名:CMS−AM)を活性アルミナ充填層に通液させて、重合禁止剤を取り除き、窒素曝気して脱酸素を行った。脱酸素処理後のクロロメチルスチレン溶液中に、照射済みの不織布基材を浸漬して、50℃で6時間反応させた。その後、クロロメチルスチレン溶液から不織布を取り出し、トルエン中に3時間浸漬して、ホモポリマーを除去し、強塩基性アニオン交換不織布(グラフト率:161%)を得た。得られたクロロメチルスチレングラフト不織布をトリメチルアミン及びジメチルアミンの混合水溶液(トリメチルアミン:ジメチルアミン:水=10:1:89(重量%))中で、4級アンモニウム化及び3級アミノ化させた後、水酸化ナトリウム水溶液で再生処理して、4級アンモニウム基及び3級アミノ基を有するイオン交換不織布を得た。中性塩分解容量は279meq/m2、総交換容量は286meq/m2であった。
製造例9:単一のイオン交換基のみを有する強酸性カチオン交換不織布の製造
基材として、繊維径17μmのポリエチレン(鞘)/ポリプロピレン(芯)の複合繊維よりなる目付55g/m2、厚さ0.35mmの熱融着不織布を用い、窒素雰囲気下で電子線(150kGy)を照射した。
電子線照射処理後の熱融着不織布を、メタクリル酸グリシジルの10%メタノール溶液中に浸漬し、45℃で4時間反応させた。反応後の不織布を60℃のジメチルホルムアミド溶液に5時間浸漬してホモポリマーを除去し、メタクリル酸グリシジルグラフト不織布(グラフト率:131%)を得た。このグラフト不織布を、亜硫酸ナトリウム:イソプロピルアルコール:水=1:1:8(重量比)の溶液に浸漬し、80℃で10時間反応させ、強酸性カチオン交換不織布(中性塩分解容量471meq/m2)を得た。
製造例10:単一のイオン交換基のみを有する強塩基性アニオン交換不織布の製造
基材として、繊維径17μmのポリエチレン(鞘)/ポリプロピレン(芯)の複合繊維よりなる目付55g/m2、厚さ0.35mmの熱融着不織布を用い、窒素雰囲気下で電子線(150kGy)を照射した。
クロロメチルスチレン(セイミケミカル社製、商品名:CMS−AM)を活性アルミナ充填層に通液させて、重合禁止剤を取り除き、窒素曝気して脱酸素を行った。脱酸素処理後のクロロメチルスチレン溶液中に、照射済みの不織布基材を浸漬して、50℃で6時間反応させた。その後、クロロメチルスチレン溶液から不織布を取り出し、トルエン中に3時間浸漬して、ホモポリマーを除去し、クロロメチルスチレングラフト不織布(グラフト率:161%)を得た。得られたクロロメチルスチレングラフト不織布を、トリメチルアミン水溶液(10wt%)中で、4級アンモニウム化させた後、水酸化ナトリウム水溶液で再生処理して、4級アンモニウム基を有する強塩基性アニオン交換不織布(中性塩分解容量:350meq/m2)を得た。
実施例1
図6に示す小型電気式脱塩装置を組み立てた。正負の電極の間に、カチオン交換膜C(トクヤマ製:NEOSEPTA CM1)とアニオン交換膜A(トクヤマ製:NEOSEPTA AM1)とを交互に配列して、カチオン交換膜Cとアニオン交換膜Aとの間に濃縮室、脱塩室、濃縮室を形成し、濃縮室と陽極との間には、陽極室、濃縮室と陰極との間には、陰極室を形成した。陽極室には、強酸性カチオン伝導性斜交網(製造例6で作製したもの)を4枚装填し、陰極室には強塩基性アニオン伝導性斜交網(製造例5で作製したもの)を4枚装填した。濃縮室には、単一のイオン交換基のみを有する強塩基性アニオン伝導性スペーサ(製造例5で作製したもの)を2枚装填した。脱塩室には、アニオン交換膜A側に強塩基性アニオン交換不織布(製造例10で作製したもの)を、カチオン交換膜C側に強酸性カチオン交換不織布(製造例9で作製したもの)を、それぞれ1枚ずつ装填し、強塩基性アニオン交換不織布側に単一のイオン交換基のみを有する強塩基性アニオン伝導スペーサ(製造例5で作製したもの)を、強酸性カチオン交換不織布側に複数の異なる官能基を有するアニオン伝導スペーサ(製造例1で作製したもの)を、それぞれ1枚ずつ装填した。
両電極間に0.1Aの直流電流を印加して、0.2MΩのRO水(逆浸透膜処理水:シリカ濃度0.1〜0.3ppm、水温14〜20℃)を流速5L/hで通水したところ、脱塩室出口から18MΩ以上の超純水が得られた。100時間運転後の運転電圧は53Vであった。
実施例2
脱塩室に装填するイオン伝導スペーサを、強塩基性アニオン交換不織布側に複数の異なる官能基を有するアニオン伝導スペーサ(製造例1で作製したもの)を、強酸性カチオン交換不織布側に複数の異なる官能基を有するカチオン伝導スペーサ(製造例4で作製したもの)を、それぞれ1枚ずつ装填した以外は、実施例1と同様に実施した。脱塩室出口から17MΩ以上の超純水が得られた。100時間運転後の運転電圧は45Vであった。
実施例3
脱塩室に装填するイオン伝導スペーサを、強塩基性アニオン交換不織布側に複数の異なる官能基を有する酸性カチオン伝導スペーサ(製造例4で作製したもの)を、強酸性カチオン交換不織布側に単一のイオン交換基のみを有する強酸性カチオン伝導スペーサ(製造例6で作製したもの)を、それぞれ1枚ずつ装填した以外は、実施例1と同様に実施した。脱塩室出口から17MΩ以上の超純水が得られ、100時間運転後の運転電圧は48Vであった。
比較例1
脱塩室のアニオン交換膜A側に、単一の官能基を有する塩基性アニオン交換不織布(製造例10で作製したもの)を、カチオン交換膜C側に単一の官能基を有する強酸性カチオン交換不織布(製造例9で作製したもの)を、それぞれ1枚ずつ装填し、これらの間に、単一のイオン交換基のみを有する強塩基性アニオン伝導スペーサ(製造例5で作製したもの)を装填した以外は、実施例1と同様に実施した。脱塩室出口から18MΩ以上の超純水が得られた。100時間運転後の運転電圧は78Vであった。
実施例4
脱塩室にアニオン交換膜A側に複数の官能基を有する塩基性アニオン交換不織布(製造例8で作製したもの)を、カチオン交換膜C側に強酸性カチオン交換不織布(製造例9で作製したもの)を、それぞれ1枚ずつ装填し、イオン伝導スペーサを取り除いた以外は、実施例1と同様に実施した。脱塩室出口から18MΩ以上の超純水が得られた。100時間運転後の運転電圧は43Vであった。
実施例5
脱塩室にアニオン交換膜A側に複数の官能基を有する塩基性アニオン交換不織布(製造例8で作製したもの)を、カチオン交換膜C側に複数の官能基を有する酸性カチオン交換不織布(製造例7で作製したもの)を、それぞれ1枚ずつ装填し、イオン伝導スペーサを取り除いた以外は、実施例1と同様に実施した。脱塩室出口から18MΩ以上の超純水が得られ、100時間運転後の運転電圧は40Vであった。
実施例6
脱塩室にアニオン交換膜A側に単一のイオン交換基のみを有する強塩基性アニオン交換不織布(製造例10で作製したもの)を、カチオン交換膜C側に複数の官能基を有する酸性カチオン交換不織布(製造例7で作製したもの)を、それぞれ1枚ずつ装填し、イオン伝導スペーサを取り除いた以外は、実施例1と同様に実施した。脱塩室出口から18MΩ以上の超純水が得られた。100時間運転後の運転電圧は45Vであった。
比較例2
脱塩室にアニオン交換膜A側に単一のイオン交換基のみを有する強塩基性アニオン交換不織布(製造例10で作製したもの)を、カチオン交換膜C側に単一のイオン交換基のみを有する強酸性カチオン交換不織布(製造例9で作製したもの)を、それぞれ1枚ずつ装填し、イオン伝導スペーサを取り除いた以外は、実施例1と同様に実施した。脱塩室出口から18MΩの処理水が得られた。100時間運転後の運転電圧は90Vであった。
製造例11:2段グラフト構造を有するカチオン伝導スペーサの製造
イオン伝導スペーサの基材として、厚み1.2mm、ピッチ3mmのポリエチレン製斜交網を用いた。ドライアイスで冷却しながら、ポリエチレン製斜交網に窒素雰囲気中でγ線(150kGy)を照射した。このγ線照射済み斜交網を、スチレンモノマー(和光純薬製)中に浸漬し、30℃で3時間反応させて、スチレングラフト斜交網(グラフト率:90%)を得た。このスチレングラフト斜交網を、クロロスルホン酸/1,2−ジクロロエタン(重量比25:75)の混合溶液に浸漬し、30℃で1時間反応させてベンゼン環にスルホン基を導入し、メタノールで洗浄した後、水酸化ナトリウム水溶液(5重量%)を用いて加水分解を行い、スルホン酸型グラフト斜交網を得た。次に、このグラフト斜交網に対して、再度窒素雰囲気中でγ線(150kGy)を照射した。このγ線照射済み斜交網をメタクリル酸10%水溶液中に浸漬し、50℃で3時間反応させて、第1のグラフト重合体側鎖上にカルボキシル基を有する第2のグラフト重合体側鎖を形成した。2段目のグラフト重合反応のグラフト率を算出したところ、15%であった。得られた2段グラフトカチオン伝導スペーサの中性塩分解容量を測定したところ、240meq/m2であった。
製造例12:2段グラフトを有するアニオン伝導スペーサの製造
イオン伝導スペーサの基材として、厚み1.2mm、ピッチ3mmのポリエチレン製斜交網を用いた。ドライアイスで冷却しながら、ポリエチレン製斜交網に窒素雰囲気中でγ線(150kGy)を照射した。予めアルミナによって重合禁止剤を取り除いたクロロメチルスチレン(m体70%:p体30%、セイミケミカル社製、商品名CMS−AM)のモノマー溶液中に、照射済の斜交網を浸漬し、50℃で5時間反応させて、クロロメチルスチレングラフト斜交網(グラフト率90%)を得た。得られたクロロメチルスチレングラフト斜交網に、再度窒素雰囲気中でγ線(150kGy)を照射し、酢酸ビニルモノマー中に浸漬して50℃で5時間反応させて、第1のグラフト重合体側鎖上に酢酸ビニルグラフト鎖を形成した。この斜交網を、トリメチルアミン水溶液中で4級アンモニウム化させた後、水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、50℃で5時間鹸化及び再生することにより、第4級アンモニウム基を有する第1のグラフト重合体側鎖上に、水酸基を有する第2のグラフト重合体側鎖を形成した。2段目のグラフト重合反応のグラフト率を算出したところ、15%であった。得られた2段グラフトアニオン伝導スペーサの中性塩分解容量は255meq/m2であった。
実施例7
図9に構成の電気式脱塩装置(脱塩室1つ)を組み立てた。陽極と陰極との間に、カチオン交換膜C(トクヤマ製:NEOSEPTA CM1)とアニオン交換膜A(トクヤマ製:NEOSEPTA AM1)とを交互に配列して、カチオン交換膜Cとアニオン交換膜Aとの間に濃縮室、脱塩室、濃縮室を形成し、濃縮室と陽極との間には陽極室、濃縮室と陰極との間には陰極室を形成した。陽極室には、強酸性カチオン伝導スペーサ(製造例6で作製したもの)を4枚装填し、陰極室には強塩基性アニオン伝導スペーサ(製造例5で作製したもの)を4枚装填した。濃縮室には、強塩基性アニオン伝導スペーサ(製造例5で作製したもの)を2枚装填した。脱塩室には、アニオン交換膜A側に強塩基性アニオン交換不織布(製造例10で作製したもの)を、カチオン交換膜C側に強酸性カチオン交換不織布(製造例9で作製したもの)を、それぞれ1枚ずつ装填し、強塩基性アニオン交換不織布側に2段グラフト構造を有するアニオン伝導スペーサ(製造例12で作製したもの)を、強酸性カチオン交換不織布側に2段グラフト構造を有するカチオン伝導スペーサ(製造例11で作製したもの)を、それぞれ1枚ずつ装填した。
両電極間に0.1Aの直流電流を印加して、0.2MΩのRO水(逆浸透膜処理水:シリカ濃度0.1〜0.3ppm、水温14〜20℃)を流速5L/hで通水したところ、脱塩室出口から18MΩ以上の超純水が得られた。100時間運転後の運転電圧は53Vであった。
比較例3
脱塩室において、アニオン交換膜A側に製造例10で作製したアニオン交換不織布を、カチオン交換膜C側に製造例9で作製したカチオン交換不織布をそれぞれ1枚ずつ装填し、これら不織布の間に、アニオン交換不織布側に製造例5で作製したアニオン伝導スペーサを、カチオン交換不織布側に製造例6で作製したカチオン伝導スペーサをそれぞれ1枚ずつ装填した以外は、実施例7と同様に実施した。脱塩室出口から18MΩ以上の超純水が得られた。100時間運転後の運転電圧は78Vであった。
製造例13:架橋グラフト構造を有するカチオン伝導スペーサの製造
イオン伝導スペーサの基材として、厚み1.2mm、ピッチ3mmのポリエチレン製斜交網を用いた。ドライアイスで冷却しながら、ポリエチレン製斜交網に窒素雰囲気中でγ線(150kGy)を照射した。このγ線照射済み斜交網を、スチレンスルホン酸ナトリウム/アクリル酸/グリセロールジメタクリレート/水(重量比20%:20%:5%:55%)の混合溶液中に浸漬し、75℃で3時間反応させて、架橋グラフト構造を有するカチオン伝導斜交網スペーサを得た。これを乾燥させて、乾燥重量を測定してグラフト率を算出したところ、185%であった。得られたカチオン伝導スペーサの中性塩分解容量を測定したところ、195meq/m2であった。
製造例14:架橋グラフトを有するアニオン伝導スペーサの製造
イオン伝導スペーサの基材として、厚み1.2mm、ピッチ3mmのポリエチレン製斜交網を用いた。ドライアイスで冷却しながら、ポリエチレン製斜交網に窒素雰囲気中でγ線(150kGy)を照射した。予めアルミナによって重合禁止剤を取り除いたクロロメチルスチレン(m体70%:p体30%、セイミケミカル社製、商品名CMS−AM)と、ジビニルベンゼンとの重量比80%:20%の混合溶液中に、照射済の斜交網を浸漬し、50℃で5時間反応させて、クロロメチルスチレン架橋グラフト斜交網(グラフト率120%)を得た。得られたクロロメチルスチレン架橋グラフト斜交網をトリメチルアミン10重量%水溶液中、50℃で4級アンモニウム化させた後、水酸化ナトリウム水溶液で再生処理して、架橋グラフト構造を有するアニオン伝導スペーサを得た。中性塩分解容量は215meq/m2であった。
実施例8
図11に構成の電気式脱塩装置(脱塩室1つ)を組み立てた。正負の電極の間に、カチオン交換膜C(トクヤマ製:NHOSEPTA CM1)とアニオン交換膜A(トクヤマ製:NEOSEPTA AM1)とを交互に配列して、カチオン交換膜Cとアニオン交換膜Aとの間に濃縮室、脱塩室、濃縮室を形成し、濃縮室と陽極との間には陽極室、濃縮室と陰極との間には陰極室を形成した。陽極室には、強酸性カチオン伝導スペーサ(製造例6で作製したもの)を4枚装填し、陰極室には強塩基性アニオン伝導スペーサ(製造例5で作製したもの)を4枚装填した。濃縮室には、強塩基性アニオン伝導スペーサ(製造例5で作製したもの)を2枚装填した。脱塩室には、アニオン交換膜A側に強塩基性アニオン交換不織布(製造例10で作製したもの)を、カチオン交換膜C側に強酸性カチオン交換不織布(製造例9で作製したもの)を、それぞれ1枚ずつ装填し、強塩基性アニオン交換不織布側に架橋グラフト構造を有するアニオン伝導スペーサ(製造例14で作製したもの)を、強酸性カチオン交換不織布側に架橋グラフト構造を有するカチオン伝導スペーサ(製造例13で作製したもの)を、それぞれ1枚ずつ装填した。
両電極間に0.1Aの直流電流を印加して、0.2MΩのRO水(逆浸透膜処理水:シリカ濃度0.1〜0.3ppm、水温14〜20℃)を流速5L/hで通水したところ、脱塩室出口から18MΩ以上の超純水が得られた。100時間運転後の運転電圧は53.4Vであった。
比較例4
脱塩室において、アニオン交換膜A側に製造例10で作製したアニオン交換不織布を、カチオン交換膜C側に製造例9で作製したカチオン交換不織布をそれぞれ1枚ずつ装填し、これら不織布の間に、アニオン交換不織布側に製造例5で作製したアニオン伝導スペーサを、カチオン交換不織布側に製造例6で作製したカチオン伝導スペーサをそれぞれ1枚ずつ装填した以外は、実施例8と同様に実施した。脱塩室出口から18MΩ以上の超純水が得られた。100時間運転後の運転電圧は78Vであった。
産業上の利用の可能性
本発明の各種態様によれば、長時間運転後にも水の解離を持続させ得る電気式脱塩装置用イオン交換体及び電気式脱塩装置用イオン伝導スペーサ並びに電気式脱塩装置の電圧上昇を抑制し、低電圧で運転可能な電気式脱塩装置が得られる。
本発明の各種態様に係る電気式脱塩装置によれば、従来の脱塩装置に比較して、処理水質及び電力消費量が著しく向上し、イオン交換体再生用薬品を使用せずに、装置の運転電圧の上昇を抑制し、電気的エネルギーだけで超純水を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、電気式脱塩装置の概略説明図である。
図2(a)は、カチオン交換基とアニオン交換基との接触部における水解発生のメカニズムを示す模式図である。図2(b)は、長時間運転後の電気式脱塩装置におけるカチオン交換基とアニオン交換基との接触部における水解発生抑制のメカニズムを示す模式図である。
図3は、本発明の第一の態様の好ましい実施形態による電気式脱塩装置の概略模式図である。
図4(a)は、本発明の第一の態様の複数官能基を有するイオン交換体におけるアニオン交換基とカチオン交換基との接触部位の拡大模式図である。図4(b)は、長時間運転後の電気式脱塩装置における本発明の第一の態様に係るイオン交換体におけるカチオン交換基とアニオン交換基との接触部における水解発生のメカニズムを示す模式図である。
図5は、本発明の第一の態様の別の好ましい実施形態による電気式脱塩装置の概略模式図である。
図6は、実施例1で用いた電気式脱塩装置の概略模式図である。
図7は、本発明の第二の態様に係る2段グラフト構造を有するイオン交換体の製造プロセスの概念を示す図である。
図8は、本発明の第二の態様に係る2段グラフト構造を有するイオン交換体によって、イオン交換基同士のイオン結合の形成が抑制される原理を示す図である。
図9は、本発明の第二の態様の好ましい実施形態による電気式脱塩装置の概略模式図である。
図10は、本発明の第三の態様に係る架橋グラフト構造を有するイオン交換体を用いた場合の、カチオン交換基とアニオン交換基との接触部における水解発生のメカニズムを示す模式図である。
図11は、本発明の第三の態様の好ましい実施形態による電気式脱塩装置の概略模式図である。
Claims (19)
- 陽極と陰極との間に、カチオン交換膜及びアニオン交換膜を少なくとも一部交互に配設して脱塩室と濃縮室とを形成し、上記脱塩室及び/又は濃縮室にイオン交換体を配置させてなる電気式脱塩装置において、該脱塩室及び/又は濃縮室に配置させるイオン交換体の少なくとも一方として用いる、少なくとも一部に複数の異なる官能基を有する電気式脱塩装置用イオン交換体。
- 請求項1に記載の電気式脱塩装置用イオン交換体であって、少なくとも1種の強酸性イオン交換基及び非強酸性官能基の組合せ、及び/又は少なくとも1種の強塩基性イオン交換基及び非強塩基性官能基の組合せを有することを特徴とする電気式脱塩装置用イオン交換体。
- 請求項1又は請求項2に記載の電気式脱塩装置用イオン交換体であって、スルホン基からなる少なくとも1種の強酸性イオン交換基又は4級アンモニウム塩からなる少なくとも1種の強塩基性イオン交換基と、リン酸基、カルボキシル基、ノニオン性親水基及び1級〜3級アミノ基から選択される少なくとも1種の非強酸性又は非強塩基性官能基と、の組合せを有することを特徴とする電気式脱塩装置用イオン交換体。
- 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の電気式脱塩装置用イオン交換体であって、放射線グラフト重合法を利用して複数の異なる官能基が付与されてなることを特徴とする電気脱塩装置用イオン交換体。
- 請求項4に記載の電気式脱塩装置用イオン交換体であって、繊維材料基材に放射線グラフト重合法を利用して複数の異なる官能基が付与されてなるイオン交換不織布であることを特徴とする電気式脱塩装置用イオン交換体。
- 請求項4に記載の電気式脱塩装置用イオン交換体であって、多孔性基材に放射線グラフト重合法を利用して複数の異なる官能基が付与されてなるイオン伝導スペーサであることを特徴とする電気式脱塩装置用イオン交換体。
- 陽極と陰極との間に、カチオン交換膜及びアニオン交換膜を少なくとも一部交互に配設して脱塩室と濃縮室とを形成してなる電気式脱塩装置であって、上記脱塩室及び/又は濃縮室にはイオン交換体が配置されており、該イオン交換体の少なくとも一部が、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のイオン交換体であることを特徴とする電気式脱塩装置。
- 請求項7に記載の電気式脱塩装置であって、脱塩室及び/又は濃縮室に配置するイオン交換体の少なくとも一部は、強酸性カチオン交換体又は強塩基性アニオン交換体であることを特徴とする電気式脱塩装置。
- グラフト重合体側鎖が、放射線グラフト重合法を利用して基材の主鎖上に導入されたものである請求項7又は8に記載の電気式脱塩装置。
- 陽極と陰極との間に、カチオン交換膜及びアニオン交換膜を少なくとも一部交互に配設して脱塩室と濃縮室とを形成し、上記脱塩室及び/又は濃縮室にイオン交換体を配置させてなる電気式脱塩装置において、該脱塩室及び/又は濃縮室に配置させるイオン交換体の少なくとも一部として用いられる、有機高分子基材の主鎖上にイオン交換基を有するグラフト重合体側鎖を有していて、該グラフト重合体側鎖上に更に第2のグラフト重合体側鎖が導入されていることを特徴とする電気式脱塩装置用イオン交換体。
- グラフト重合体側鎖が、放射線グラフト重合法を利用して基材の主鎖上に導入されたものである請求項10に記載の電気脱塩装置用イオン交換体。
- 陽極と陰極との間にカチオン交換膜及びアニオン交換膜を少なくとも一部交互に配設して脱塩室と濃縮室とが形成され、上記脱塩室及び/又は濃縮室にはイオン交換体が配置されており、該イオン交換体の少なくとも一部が、有機高分子基材の主鎖上にイオン交換基を有するグラフト重合体側鎖を有していて、該グラフト重合体側鎖上に更に第2のグラフト重合体側鎖が導入されていることを特徴とする電気式脱塩装置。
- 脱塩室及び/又は濃縮室において、カチオン交換膜側にカチオン交換繊維材料が、アニオン交換膜側にアニオン交換繊維材料がそれぞれ対向して配置されており、これら繊維材料の間にイオン交換機能が付与されているイオン伝導スペーサーが配置されていて、上記カチオン交換繊維材料、アニオン交換繊維材料又はイオン伝導スペーサの少なくとも一つが、有機高分子基材の主鎖上にイオン交換基を有するグラフト重合体側鎖を有していて、該グラフト重合体側鎖上に更に第2のグラフト重合体側鎖が導入されているイオン交換体である請求項12に記載の電気式脱塩装置。
- グラフト重合体側鎖が、放射線グラフト重合法を利用して基材の主鎖上に導入されたものである請求項12又は13に記載の電気式脱塩装置。
- 陽極と陰極との間に、カチオン交換膜及びアニオン交換膜を少なくとも一部交互に配設して脱塩室と濃縮室とを形成し、上記脱塩室及び/又は濃縮室にイオン交換体を配置させてなる電気式脱塩装置において、該脱塩室及び/又は濃縮室に配置させるイオン交換体の少なくとも一部として用いられる、有機高分子基材の主鎖上に架橋構造を有するグラフト重合体側鎖を有していて、該架橋グラフト重合体側鎖上にイオン交換基が導入されていることを特徴とする電気式脱塩装置用イオン交換体。
- グラフト重合体側鎖が、放射線グラフト重合法を利用して基材の主鎖上に導入されたものである請求項15に記載の電気式脱塩装置用イオン交換体。
- 陽極と陰極との間にカチオン交換膜及びアニオン交換膜を少なくとも一部交互に配設して脱塩室と濃縮室とが形成され、上記脱塩室及び/又は濃縮室にはイオン交換体が配置されており、該イオン交換体の少なくとも一部が、有機高分子基材の主鎖上に架橋構造を有するグラフト重合体側鎖を有していて、該架橋グラフト重合体側鎖上にイオン交換基が導入されていることを特徴とする電気式脱塩装置。
- 脱塩室及び/又は濃縮室において、カチオン交換膜側にカチオン交換繊維材料が、アニオン交換膜側にアニオン交換繊維材料がそれぞれ対向して配置されており、これら繊維材料の間にイオン交換機能が付与されているイオン伝導スペーサーが配置されていて、上記カチオン交換繊維材料、アニオン交換繊維材料又はイオン伝導スペーサの少なくとも一つが、有機高分子基材の主鎖上に架橋構造を有するグラフト重合体側鎖を有していて、該架橋グラフト重合体側鎖上にイオン交換基が導入されているイオン交換体である請求項17に記載の電気式脱塩装置。
- グラフト重合体側鎖が、放射線グラフト重合法を利用して基材の主鎖上に導入されたものである請求項18又は19に記載の電気式脱塩装置。
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